(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】半導体装置、無線端末装置、無線通信システムおよび無線端末装置の通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20220823BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20220823BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H04W72/04 131
H04W4/40
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2018238713
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】茶野 宏
(72)【発明者】
【氏名】藤田 卓
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-154309(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
G08G 1/09
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車両に搭載される無線端末装置を制御する半導体装置であって、
無線制御装置から第1の送信周期をもって送信されるフレームを受信して制御情報を復調するとともに、送信データを変調して無線周波数のパケット信号として第2の送信周期をもってブロードキャスト送信する通信部と、
前記第1の車両の車両情報に基づいて、前記第2の送信周期を決定する周期決定部と、
前記復調した制御情報および前記決定した第2の送信周期に基づいて、前記送信データの送信タイミングを決定するための送信タイミングトリガ信号を生成し、該生成した送信タイミングトリガ信号に同期して、前記送信データを前記通信部へ出力する送受信制御部と、
前記車両情報に紐付けられ、前記第2の送信周期を調整するための補正値を規定する車両情報テーブルを格納する記憶部と、
を備え、
前記第2の送信周期は、前記第1の送信周期と同じ、もしくは、前記第1の送信周期よりも長
く、
前記周期決定部は、
前記車両情報テーブルを参照し、前記車両情報に対応する前記補正値を読み出す補正値読み出し部と、
前記補正値読み出し部によって読み出された補正値に基づいて、前記第2の送信周期を決定するためのパラメータN(N:N>0の整数)を決定するN値決定部と、
を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記車両情報は、前記第1の車両の車両速度、前記第1の車両の車両位置、前記第1の車両が走行する道路の車線本数、前記第1の車両が走行する道路の混雑度統計情報または前記第1の車両が走行する地域の天候情報を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1の車両に搭載される無線端末装置を制御する半導体装置であって、
無線制御装置から第1の送信周期をもって送信されるフレームを受信して制御情報を復調するとともに、送信データを変調して無線周波数のパケット信号として第2の送信周期をもってブロードキャスト送信する通信部と、
前記第1の車両の車両情報に基づいて、前記第2の送信周期を決定する周期決定部と、
前記復調した制御情報および前記決定した第2の送信周期に基づいて、前記送信データの送信タイミングを決定するための送信タイミングトリガ信号を生成し、該生成した送信タイミングトリガ信号に同期して、前記送信データを前記通信部へ出力する送受信制御部と、
監視時間をカウントし、前記復調した制御情報に応答して、カウント値をリセットする監視カウンタを有する制御情報監視部と、
を備え、
前記第2の送信周期は、前記第1の送信周期と同じ、もしくは、前記第1の送信周期よりも長く、
前記制御情報監視部は、前記監視カウンタのカウント値がリセットされる前に前記監視カウンタによる前記監視時間のカウント動作が完了した場合には、オーバーフロー信号を生成し、
前記送受信制御部は、前記オーバーフロー信号に応答して、前記送信タイミングトリガ信号を生成する、
半導体装置。
【請求項4】
前記送受信制御部は、前記復調した制御情報に応答してカウント動作を行う送信制御カウンタを有し、前記パラメータNの値と前記送信制御カウンタのカウント値が一致した場合に、前記送信タイミングトリガ信号を生成する送信タイミング制御部を有する、
請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の送信周期は、前記第1の送信周期に前記パラメータNの値を乗じた期間に設定される、
請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項6】
監視時間をカウントし、前記復調した制御情報に応答して、カウント値をリセットする監視カウンタを有する制御情報監視部をさらに備え、
前記制御情報監視部は、前記監視カウンタのカウント値がリセットされる前に前記監視カウンタによる前記監視時間のカウント動作が完了した場合には、オーバーフロー信号を生成し、
前記送受信制御部は、前記オーバーフロー信号に応答して、前記送信タイミングトリガ信号を生成する、
請求項1
、2、4および5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
ビジー状態カウント部と、チャネル使用率算出部と、を有するチャネル監視部をさらに備え、
前記通信部は、第2の車両に搭載された無線端末装置から送信された無線信号を受信し、該受信した無線信号からデータを復調し、
前記ビジー状態カウント部は、前記復調した制御情報および前記復調したデータに基づいて、無線チャネルの使用状態を示すビジー信号を生成し、単位時間に前記ビジー信号が活性化状態となる期間をカウントし、
前記チャネル使用率算出部は、前記ビジー状態カウント部によって得られたカウント値に基づいて、前記単位時間あたりのチャネル使用率を算出し、
前記周期決定部は、前記算出したチャネル使用率が第1のしきい値よりも小さい場合には、前記第1の車両の前記車両情報にかかわらず、前記第2の送信周期を前記第1の送信周期と同じに決定する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
ビジー状態カウント部と、チャネル使用率算出部と、を有するチャネル監視部をさらに備え、
前記通信部は、第2の車両に搭載された無線端末装置から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号からデータを復調し、
前記ビジー状態カウント部は、前記復調した制御情報および前記復調したデータに基づいて、無線チャネルの使用状態を示すビジー信号を生成し、単位時間に前記ビジー信号が活性化状態となる期間をカウントし、
前記チャネル使用率算出部は、前記ビジー状態カウント部によって得られたカウント値に基づいて、前記単位時間あたりのチャネル使用率を算出し、
N値決定部は、前記算出したチャネル使用率が第2のしきい値よりも大きい場合には、前記補正値に基づいて決定した前記パラメータNの値を増加させる、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記通信部が受信した無線信号の受信電力を測定する電力測定部と、
前記受信電力と第3のしきい値とを比較して、前記第1の車両が前記無線制御装置から送信される無線信号の大きさに応じて決められた第1および第2のエリアのいずれかのエリアに位置するかどうかを決定するエリア決定部と、
をさらに備え、
前記エリア決定部は、前記受信電力が前記第3のしきい値以上である場合、前記第1の車両が前記第1のエリアに位置すると判断し、前記受信電力が前記第3のしきい値未満である場合、前記第1の車両が前記第2のエリアに位置すると判断し、
前記通信部が受信する前記フレームは、第1の期間と第2の期間とを含み、
前記第1の期間は、複数のスロットを含み、
前記復調した制御情報には、空きスロット情報が含まれ、
前記送受信制御部は、
前記エリア決定部によって決定されたエリアが第1のエリアである場合には、前記送信データを送信する期間として前記第1の期間を選択し、
前記エリア決定部によって決定されたエリアが第2のエリアである場合には、前記送信データを送信する期間として前記第2の期間を選択し、
前記送信データを送信する期間として前記第1の期間を選択する場合には、前記空きスロット情報を参照して、前記第1の期間に含まれる複数のスロットのうちの1つを選択し、前記送信データを選択した空きスロットの1つに割り当てて前記通信部へ出力する、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記復調した制御情報には、さらに衝突スロット情報が含まれ、
前記送受信制御部は、
前記第1の期間を使用して前記送信データの送信を実行した直後に受信するフレームにおいて、前記衝突スロット情報を参照して、使用したスロットが衝突スロットとして特定されているかどうかを確認し、
前記使用したスロットが衝突スロットとして特定されていた場合には、前記空きスロット情報を参照して、前記送信データを送信するためのスロットの選択をやり直し、前記選択し直したスロットにて前記送信データの送信を実行し、
前記使用したスロットが衝突スロットとして特定されていない場合には、前記送信制御カウンタのカウント値に基づいて、前記送信データの送信を行うかどうかを判断する、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記通信部が受信した無線信号の受信電力を測定する電力測定部と、
前記受信電力と第3のしきい値とを比較して、前記第1の車両が前記無線制御装置から送信される無線信号の大きさに応じて決められた第1および第2のエリアのいずれかのエリアに位置するかどうかを決定するエリア決定部と、
をさらに備え、
前記エリア決定部は、前記受信電力が前記第3のしきい値以上である場合、前記第1の車両が前記第1のエリアに位置すると判断し、前記受信電力が前記第3のしきい値未満である場合、前記第1の車両が前記第2のエリアに位置すると判断し、
前記通信部が受信する前記フレームは、第1の期間と第2の期間とを含み、
前記第1の期間は、優先端末期間と非優先端末期間とを含み、
前記優先端末期間および非優先端末期間は、複数のスロットをそれぞれ含み、
前記復調した制御情報には、空きスロット情報および衝突スロット情報が含まれ、
前記送受信制御部は、
前記エリア決定部によって決定されたエリアが第1のエリアであり、かつ、前記パラメータNが1である場合には、前記送信データを送信する期間として前記優先端末期間を選択し、
前記エリア決定部によって決定されたエリアが第1のエリアであり、かつ、前記パラメータNが1より大きい場合には、前記送信データを送信する期間として前記非優先端末期間を選択し、
前記エリア決定部によって決定されたエリアが第2のエリアである場合には、前記送信データを送信する期間として前記第2の期間を選択し、
前記送信データを送信する期間として前記優先端末期間または非優先端末期間を選択する場合には、前記空きスロット情報を参照して、前記優先端末期間または非優先端末期間に含まれる複数のスロットのうちの1つを選択し、前記送信データを選択した空きスロットの1つに割り当てて前記通信部へ出力し、
前記非優先端末期間を使用して前記送信データの送信を実行した直後に受信するフレームにおいて、前記衝突スロット情報を参照して、使用したスロットが衝突スロットとして特定されているかどうかを確認し、
前記使用したスロットが衝突スロットとして特定されており、かつ、同一のスロットでの連続した送信の回数が前記パラメータNの値に到達する場合には、前記空きスロット情報を参照して、前記送信データを送信するためのスロットの選択をやり直し、前記選択し直したスロットにて前記送信データの送信を実行し、
前記使用したスロットが衝突スロットとして特定されており、かつ、同一のスロットでの連続した送信の回数が前記パラメータNの値に到達しない場合には、再度同一のスロットでの前記送信データの送信を実行し、
前記使用したスロットが衝突スロットとして特定されていない場合には、前記送信制御カウンタのカウント値に基づいて、前記送信データの送信を行うかどうかを判断する、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記通信部に電気的に接続されるアンテナと、
を備え、
前記通信部は、前記アンテナを介して、前記無線制御装置から前記第1の送信周期をもって送信される制御情報を含むフレームを受信し、
前記通信部は、前記アンテナを介して、前記変調した送信データを無線周波数のパケット信号として前記第2の送信周期をもって送信する、
無線端末装置。
【請求項13】
請求項12に記載の無線端末装置と、
前記第1の送信周期で前記制御情報を含むフレームを送信する前記無線制御装置と、
を備える無線通信システム。
【請求項14】
第1の車両に搭載される無線端末装置を制御する半導体装置であって、
無線制御装置から第1の送信周期をもって送信されるフレームを受信して制御情報を復調するとともに、送信データを変調して無線周波数のパケット信号として第2の送信周期をもってブロードキャスト送信する通信部と、
前記第1の車両の車両情報に基づいて、前記第2の送信周期を決定する周期決定部と、
前記復調した制御情報および前記決定した第2の送信周期に基づいて、前記送信データの送信タイミングを決定するための送信タイミングトリガ信号を生成し、該生成した送信タイミングトリガ信号に同期して、前記送信データを前記通信部へ出力する送受信制御部と、
ビジー状態カウント部と、チャネル使用率算出部と、を有するチャネル監視部と、
を備え、
前記第2の送信周期は、前記第1の送信周期と同じ、もしくは、前記第1の送信周期よりも長く、
前記通信部は、第2の車両に搭載された無線端末装置から送信された無線信号を受信し、該受信した無線信号からデータを復調し、
前記ビジー状態カウント部は、前記復調した制御情報および前記復調したデータに基づいて、無線チャネルの使用状態を示すビジー信号を生成し、単位時間に前記ビジー信号が活性化状態となる期間をカウントし、
前記チャネル使用率算出部は、前記ビジー状態カウント部によって得られたカウント値に基づいて、前記単位時間あたりのチャネル使用率を算出し、
前記周期決定部は、前記算出したチャネル使用率が第1のしきい値よりも小さい場合には、前記第1の車両の前記車両情報にかかわらず、前記第2の送信周期を前記第1の送信周期と同じに決定する、
半導体装置。
【請求項15】
第1の車両に搭載される無線端末装置の通信方法であって、
無線制御装置から第1の送信周期をもって送信される制御情報を受信するステップと、
前記第1の車両の車両情報を取得するステップと、
前記取得するステップで取得した車両情報に基づいて、送信データの第2の送信周期を決定するステップと、
前記受信するステップで受信した制御情報および前記決定するステップで決定した第2の送信周期に基づいて、前記送信データの送信タイミングを決定するための送信タイミングトリガ信号を生成するステップと、
前記生成するステップで生成した送信タイミングトリガ信号に同期して、前記第2の送信周期で前記送信データを送信するステップと、
監視時間をカウントするステップと、
前記受信した制御情報に応答して、前記カウントするステップでカウントした値をリセットするステップと、
前記カウントするステップでカウントした値が前記監視時間に到達した場合に、オーバーフロー信号を生成するステップと、
前記オーバーフロー信号を生成するステップで生成した前記オーバーフロー信号に応答して、前記送信タイミングトリガ信号を生成するステップと、
を備え、
前記第2の送信周期は、前記第1の送信周期と同じ、もしくは、前記第1の送信周期よりも長い、
無線端末装置の通信方法。
【請求項16】
第2の車両に搭載された無線端末装置から送信されたデータを受信するステップと、
前記制御情報を受信するステップで受信した制御情報および前記データを受信するステップで受信したデータに基づいて、無線チャネルの使用状態を示すビジー信号を生成するステップと、
前記ビジー信号を生成するステップで生成したビジー信号が単位時間に活性化状態となる期間をカウントするステップと、
前記ビジー信号が単位時間に活性化状態となる期間をカウントするステップで得られたカウント値に基づいて、前記単位時間あたりのチャネル使用率を算出するステップと、
前記算出するステップで算出したチャネル使用率が第1のしきい値よりも小さい場合には、前記決定するステップで決定した第2の送信周期にかかわらず、前記第2の送信周期を前記第1の送信周期と同じに決定するステップと、
を備える請求項
15に記載の無線端末装置の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、無線端末装置、無線通信システムおよび無線端末装置の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路車間通信および車車間通信は、交通の安全、事故防止、渋滞緩和などを目的として研究・開発が進められている安全運転を支援する無線通信システムである。路車間通信では、車両とインフラ設備(路車機など)とが無線通信を行い、車両がインフラからの信号情報や規制情報などを入手することによって運転者の安全運転を支援する。車車間通信では、車両同士が無線通信を行い、自車両および他車両が車両速度や車両位置などを交換し合うことによって運転者の安全運転を支援する。
【0003】
路車間通信および車車間通信における無線通信システムでは、通信機器間のデータ送受信における種々の通信方法が提案されている。例えば、特許文献1に記載のアクセス制御装置(路車機)と端末装置(車載機)とを含む無線通信システムは、第1の期間と第2の期間とを有し、アクセス制御装置から繰り返し送信されるフレームを利用して、データの送受信を行う。端末装置は、アクセス制御装置からの距離に応じて、第1の期間もしくは第2の期間のいずれかをデータ送信に使用する期間として選択する。第1の期間は、さらに複数のスロットに分割され、第1の期間を選択してデータ送信を行う端末装置は、通信に使用するスロットを選択する。アクセス制御装置は、空きスロットおよび衝突スロットの情報を管理することにより、端末装置間の送信データの衝突確率を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アクセス制御装置は、交差点など交通事故の発生リスクが高い場所に設置される。交差点など交通事故の発生リスクが高い場所では、多くの車両が集まる。多くの車両が一斉にデータ送信を行うと、無線通信のための帯域が十分に確保できなくなり、路車間通信および車車間通信が適切に実行できない場合が生じる。しかしながら、特許文献1では、このような観点での考慮がなされていないため、フレーム内の全ての帯域が埋まってしまうことによって、無線通信が適切に実行できなくなる恐れがある。
【0006】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に係る半導体装置は、車両に搭載される無線端末装置を制御する半導体装置であって、無線制御装置から第1の送信周期をもって送信されるフレームを受信して制御情報を復調するとともに、送信データを変調して無線周波数のパケット信号として第2の送信周期をもってブロードキャスト送信する通信部と、車両情報に基づいて、第2の送信周期を決定する周期決定部と、復調した制御情報および決定した第2の送信周期に基づいて、送信データの送信タイミングを決定するための送信タイミングトリガ信号を生成し、生成した送信タイミングトリガ信号に同期して、送信データを通信部へ出力する送受信制御部と、を備える。第2の送信周期は、第1の送信周期と同じ、もしくは、第1の送信周期よりも長く設定される。
【0008】
他の実施の形態に係る半導体装置は、車両に搭載される無線端末装置を制御する半導体装置であって、無線制御装置から送信されるフレームを受信し、受信したフレームに同期して送信データを送信する通信部と、車両情報に基づいて、送信データの送信周期を決定する周期決定部と、決定した送信周期に基づいて、第1の送信動作モードと第2の送信動作モードのいずれかの送信動作モードで動作する送受信制御部と、を備える。送受信制御部は、第1の送信動作モードでは、フレームを受信する度に送信データを通信部へ出力するように、送信データの送信タイミングを制御し、第2の送信動作モードでは、受信したフレームに対して送信データを通信部へ出力する場合と、受信したフレームに対して送信データを通信部へ出力しない場合と、を含むように、送信データの送信タイミングを制御する。
【0009】
他の実施の形態に係る通信方法は、車両に搭載される無線端末装置の通信方法であって、無線制御装置から第1の送信周期をもって送信される制御情報を受信するステップと、車両情報を取得するステップと、取得するステップで取得した車両情報に基づいて、送信データの第2の送信周期を決定するステップと、受信するステップで受信した制御情報および決定するステップで決定した第2の送信周期に基づいて、送信データの送信タイミングを決定するための送信タイミングトリガ信号を生成するステップと、生成するステップで生成した送信タイミングトリガ信号に同期して、第2の送信周期で送信データを送信するステップと、を備える。第2の送信周期は、第1の送信周期と同じ、もしくは、第1の送信周期よりも長く設定される。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態に係る半導体装置では、多くの車両が集まる場所であっても、情報発信の優先度の高い車両の通信が妨げられてしまう事態を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態に係る通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】一実施の形態に係る無線制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】一実施の形態に係る処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】一実施の形態に係る無線端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】一実施の形態に係る処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】一実施の形態に係る車両情報テーブルの一例を示す図である。
【
図7】一実施の形態に係る車両情報テーブルの一例を示す図である。
【
図8】一実施の形態に係る通信システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図9】一実施の形態に係る無線端末装置の送信制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】一実施の形態に係るパラメータNを決定するための手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11A】一実施の形態に係る無線端末装置の送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11B】一実施の形態に係る無線端末装置の送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図12】一実施の形態に係る処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】一実施の形態に係る監視カウンタのカウント動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】一実施の形態に係る無線端末装置の送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図15】一実施の形態に係る処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】一実施の形態に係るパラメータNを調整するための手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】一実施の形態の変形例に係る処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】一実施の形態に係る通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図19】一実施の形態に係る無線制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】一実施の形態に係る無線端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】一実施の形態に係る無線端末装置の送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図22】一実施の形態の変形例に係る無線端末装置の送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る通信システム100の構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、通信システム100は、車両110、車両111、後述する符号が付されていない車両および無線制御装置200を含む。各車両には、後述する図示しない無線端末装置300がそれぞれ搭載されている。また、
図1は、図面の上下方向に向かう道路と図面の左右方向に向かう道路とが交差する交差点を示している。これら2つの道路が交差することによって、交差部分130が形成される。車両から伸びる矢印は、車両の進行方向を表している。
図1では、上下方向に向かう道路の信号は赤信号であるため、上下方向に向かう道路を走行中の車両は、停止し、もしくは、停止のために減速している。一方、左右方向に向かう道路の信号は青信号であるため、左右方向に向かう道路を走行中の車両は、直進、もしくは、右折のために交差点内で停止している。なお、
図1では、無線制御装置200は、信号機120に設置されているが、これに限定されない。各車両の無線端末装置300が、無線制御装置200の通信範囲内に位置していればよい。例えば、無線制御装置200は、信号機120の近傍に設けられた建物や、自動販売機に設置されてもよく、さらには、地下に埋め込まれていてもよい。また、無線制御装置200は、信号機が配置されていない交差点に設置されても構わない。さらには、無線制御装置200は、交差点に限らず、例えば、見通しの悪い道路の曲がり角付近に設置されることも可能である。
【0014】
無線制御装置200と各車両の無線端末装置300との間の無線通信、および、各車両の無線端末装置300間の無線通信は、無線制御装置200から送信される、制御情報を含む送信フレームを利用して行われる。制御情報および送信フレームの詳細については、後述する。
図1において、無線制御装置200は、車両110、車両111および符号が付されていない車両に対して、ブロードキャスト型の無線通信により制御情報を含む送信フレームを送信する。送信フレームには、制御情報の他、例えば、信号機情報、規制情報、歩行者情報などが含まれる。信号機情報、規制情報、歩行者情報などは、運転者にとって死角となっている状況においても提供可能とされ、運転者の安全運転を支援する。また、各車両の無線端末装置300は、無線制御装置200から送信される送信フレームを受信し、受信した送信フレームに同期して、ブロードキャスト型の無線通信によりデータの送受信を行う。各車両の無線端末装置300から送信されるデータは、自車両の速度情報、位置情報、車両制御情報などが含まれ、物陰となり運転者の死角となる車両の速度情報や位置情報などを車両同士で提供し合うことによって、運転者の安全運転を支援する。
【0015】
次いで、実施の形態1に係る無線制御装置200の構成について説明する。
図2は、実施の形態1に係る無線制御装置200の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示されるように、無線制御装置200は、アンテナ210、RF(Radio Frequency)部220および半導体装置230を有する。無線制御装置200は、交差点や見通しの悪い道路の曲がり角付近などにおいて、車両に搭載された無線端末装置300とデータ通信を行う。ここでは、変調方式として、直交周波数分割多重(OFDM)方式を採用しているが、これに限らず、時分割多重(TDMA)方式や、周波数分割多重(FDMA)方式を採用してもよい。これらの変調方式のうち、直交周波数分割多重方式は、他の変調方式よりも通信速度を高速化することができるため、交通事故を未然に防止するための本通信システムに適している。
【0016】
アンテナ210は、電波を放射または電波を受信するための装置である。RF部220は、アンテナ210と半導体装置230との間に接続され、無線端末装置300と半導体装置230との間のデータの送受信処理を行う。RF部220は、RFスイッチ221、バンドパスフィルタ(BPF)222、BPF223、電力増幅器(PA)224および低雑音増幅器(LNA)225を含む。RFスイッチ221は、アンテナ210、BPF222およびBPF223に接続され、無線通信に利用する高周波信号の経路を切り替えるスイッチである。RF部220が送信処理を行う場合には、RFスイッチ221は、アンテナ210とBPF222とを接続する経路を形成する。一方、RF部220が受信処理を行う場合には、RFスイッチ221は、アンテナ210とBPF223とを接続する経路を形成する。
【0017】
BPF222は、PA224とRFスイッチ221との間に接続され、PA224から出力される信号のうちの特定の周波数を有する信号のみをRFスイッチ221へ通過させる。BPF223は、RFスイッチ221とLNA225との間に接続され、RFスイッチ221から出力される信号のうちの特定の周波数を有する信号のみをLNA225へ通過させる。PA224は、半導体装置230とBPF222との間に接続され、半導体装置230から出力される信号の電力を増幅してBPF222へ出力する。LNA225は、BPF223と半導体装置230との間に接続され、BPF223から出力される信号を増幅して半導体装置230へ出力する。
【0018】
送信処理として、RF部220は、半導体装置230から出力された無線周波数のパケット信号(送信信号)を、PA224、BPF222およびRFスイッチ221を介して、アンテナ210からブロードキャスト送信する。一方、受信処理として、RF部220は、アンテナ210から受信した無線周波数のパケット信号(受信信号)を、RFスイッチ221、BPF223およびLNA225を介して、半導体装置230に出力する。
【0019】
半導体装置230は、通信部240、処理部250および記憶部260を有する。通信部240は、RF部220と処理部250との間に接続される。処理部250は、通信部240および記憶部260に接続される。通信部240は、送信回路241、受信回路242、デジタル-アナログ変換回路(D/A)243、アナログ-デジタル変換回路(A/D)244およびベースバンド部245を含む。送信回路241は、PA224とD/A243との間に接続される。D/A243は、送信回路241とベースバンド部245との間に接続される。受信回路242は、LNA225とA/D244との間に接続される。A/D244は、受信回路242とベースバンド部245との間に接続される。ベースバンド部245は、処理部250に接続される。
【0020】
通信部240の送信経路には、送信回路241、D/A243およびベースバンド部245が含まれる。送信処理において、ベースバンド部245は、処理部250から受け取った送信データに対してOFDM変調の処理を行い、ベースバンドOFDMのパケット信号を生成する。生成されたベースバンドOFDM信号は、D/A243においてデジタル-アナログ変換され、送信回路241に出力される。送信回路241は、受け取ったベースバンドOFDMのパケット信号に対して周波数変換の処理を行い、無線周波数のパケット信号を生成する。生成された無線周波数のパケット信号は、PA224へ出力される。
【0021】
また、通信部240の受信経路には、受信回路242、A/D244およびベースバンド部245が含まれる。受信処理において、受信回路242は、LNA225から受け取った無線周波数のパケット信号に対して周波数変換の処理を行い、ベースバンドOFDMのパケット信号を生成する。生成されたベースバンドOFDMのパケット信号は、A/D244においてアナログ-デジタル変換され、ベースバンド部245に出力される。ベースバンド部245は、受け取ったベースバンドOFDMのパケット信号に対してOFDM復調の処理を行い、受信データを生成する。生成された受信データは処理部250に出力される。なお、ベースバンドOFDMのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるため、本来は2本の信号線によって示されるべきであるが、
図2では、明瞭化するために1本の信号線だけを示すものとする。
【0022】
処理部250は、送受信制御部251および制御情報生成部252を有する。送受信制御部251は、制御情報生成部252から出力される制御情報に基づいて送信データを生成し、記憶部260から読み出した基本送信周期で送信データをベースバンド部245へ出力する。また、送受信制御部251は、ベースバンド部245から出力された受信データを受け取って、記憶部260に格納する。
【0023】
さらに、
図3を用いて、送受信制御部251および制御情報生成部252の構成について詳細に説明する。
図3は、処理部250の詳細構成の一例を示すブロック図である。
図3に示されるように、送受信制御部251は、送信制御部253、受信制御部254および送信タイミング制御部255を有する。
【0024】
制御情報生成部252は、記憶部260および送信制御部253に接続される。制御情報生成部252は、記憶部260に格納された情報を参照し、制御情報を生成する。制御情報には、少なくとも無線端末装置300が無線制御装置200から送信されたパケット信号であることを識別可能とするための識別情報が含まれている。制御情報に含まれるその他の情報については、後述する。制御情報生成部252は、生成した制御情報を送信制御部253へ出力する。
【0025】
送信タイミング制御部255は、記憶部260に接続され、記憶部260に格納された基本送信周期の情報を読み出す。送信タイミング制御部255は、記憶部260から読み出した基本送信周期をもとに、複数の送信タイミングトリガ信号を生成する。より詳細には、送信タイミング制御部255は、周期カウンタ256を含み、周期カウンタ256を用いて、基本送信周期の期間をカウントする。送信タイミング制御部255は、周期カウンタ256のカウント値が基本送信周期に至るタイミングで、送信タイミングトリガ信号を生成し、周期カウンタ256のカウント値をクリアする。このような制御を繰り返し行うことによって、複数の送信タイミングトリガ信号が、基本送信周期の間隔で生成される。また、送信タイミング制御部255は、送信制御部253に接続され、生成した送信タイミングトリガ信号を送信制御部253へ出力する。
【0026】
送信制御部253は、制御情報生成部252から受け取った制御情報に基づいて送信データを生成する。また、送信制御部253は、ベースバンド部245に接続され、送信タイミング制御部255から出力される送信タイミングトリガ信号に応答して、生成した送信データをベースバンド部245へ出力する。上述の通り、送信タイミングトリガ信号は基本送信周期の間隔で繰り返し生成されているため、送信制御部253は、基本送信周期の間隔で送信データを繰り返し出力することになる。換言すれば、1個の送信データを含む送信フレームが、基本送信周期の間隔で送信制御部253から繰り返し出力される。
【0027】
受信制御部254は、ベースバンド部245および記憶部260に接続される。受信制御部254は、ベースバンド部245から出力された受信データを受け取り、記憶部260に格納する。
【0028】
再び
図2に戻り、無線制御装置200の構成についての説明を続ける。記憶部260は、制御情報を生成するための情報、基本送信周期の情報および受信データを格納する。なお、記憶部260は、レジスタやRAM(Random Access Memory)などデータを記憶できるものであれば何でもよく、また揮発性か不揮発性かを問われない。
【0029】
図2では、半導体装置230は、通信部240および記憶部260を含む構成として示されているが、これに限定されることはない。例えば、通信部240、処理部250および記憶部260は、それぞれ別個の半導体装置として形成されることも可能である。また、半導体装置230は、1個の半導体チップ上に形成されてもよく、複数のチップに分けて形成されてもよい。
【0030】
また、半導体装置230は、ハードウェア(H/W)のみ、もしくは、H/Wとソフトウェア(S/W)の連携によって構成されることができる。すなわち、
図2および
図3には、H/Wのみ、S/Wのみ、もしくは、H/WとS/Wの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。半導体装置230がH/Wのみで構成される場合には、半導体装置230の各ブロック(通信部240、処理部250および記憶部260)は、それぞれ回路で構成される。また、半導体装置230がH/WとS/Wの連携によって構成される場合には、例えば、処理部250は、プロセッサで構成され、当該プロセッサが記憶部260に格納された所定のプログラムを読み出して実行することによって、処理部250の機能が実現されることが可能である。通信部240についても同様であり、例えば、ベースバンド部245の機能は、プロセッサとプログラムの実行によって実現されることができる。また、後述する他の実施の形態における無線制御装置の半導体装置についても同様である。
【0031】
次いで、実施の形態1に係る無線端末装置300の構成について説明する。
図4は、実施の形態1に係る無線端末装置300の構成の一例を示すブロック図である。無線端末装置300は、車両に搭載され、交差点などにおいて、無線制御装置200および他車両に搭載された無線端末装置300に対して、ブロードキャスト型の無線通信によるデータの送受信を行う。
図4に示されるように、無線端末装置300は、アンテナ310、RF部320および半導体装置330を有する。RF部320は、RFスイッチ321、BPF332、BPF323、PA324およびLNA325を含む。また、半導体装置330は、通信部340、処理部350、記憶部360およびインタフェース(I/F)部370を含む。通信部340は、送信回路341、受信回路342、D/A343、A/D344およびベースバンド部345を含む。
図4のアンテナ310、RF部320(RFスイッチ321、BPF332、BPF323、PA324、LNA325)および通信部340(送信回路341、受信回路342、D/A343、A/D344、ベースバンド部345)は、
図2のアンテナ210、RF部220(RFスイッチ221、BPF232、BPF223、PA224、LNA225)および通信部240(送信回路241、受信回路242、D/A243、A/D244、ベースバンド部245)と同様の処理を実行するため、ここでは、これらの説明を省略する。
【0032】
処理部350は、送受信制御部351、制御情報抽出部352、第1の車両情報取得部353、第2の車両情報取得部354および周期決定部355を有する。制御情報抽出部352は、ベースバンド部345および送受信制御部351に接続される。制御情報抽出部352は、ベースバンド部345によって復調された受信データを受け取り、受け取った受信データに無線制御装置200の制御情報が含まれているか否かの判断を行う。受信データに無線制御装置200の識別情報が含まれている場合には、制御情報抽出部352は、当該受信データが無線制御装置200から送信された送信データであると判断し、制御情報を抽出する。また、制御情報抽出部352は、抽出した制御情報からタイミング調整情報を生成し、送受信制御部351へ出力する。なお、制御情報は、無線制御装置200から基本送信周期をもって送信されるため、タイミング調整情報は、基本送信周期の間隔で送信フレームの受信毎に生成される。
【0033】
第1の車両情報取得部353は、無線端末装置300の外側にあるECU(Electronic Control Unit)装置380およびGPS(Global Positioning System)モジュール381にI/F部370を介して接続され、ECU装置380およびGPSモジュール381から第1の車両情報を取得する。具体的には、第1の車両情報取得部353は、ECU装置380から自車両の車両速度の情報を、GPSモジュール381から自車両の車両位置の情報を、それぞれ取得する。また、第1の車両情報取得部353は、周期決定部355に接続され、取得した第1の車両情報(例えば、車両速度および車両位置のいずれか1つまたは両方)を周期決定部355へ出力する。
【0034】
第2の車両情報取得部354は、無線端末装置300の外側にある通信モジュール382およびカメラモジュール383にI/F部370を介して接続され、通信モジュール382およびカメラモジュール383から第2の車両情報を取得する。具体的には、第2の車両情報取得部354は、通信モジュール382もしくはカメラモジュール383から自車両が走行する道路の道路情報および自車両が走行する地域の天候情報を、通信モジュール382から自車両が走行する道路の混雑度統計情報を、それぞれ取得する。また、第2の車両情報取得部354は、周期決定部355に接続され、取得した第2の車両情報(例えば、道路情報、混雑度統計情報および天候情報のいずれか1つまたは2つまたは全て)を周期決定部355へ出力する。このように、第1の車両情報が、車両それ自体に関連する情報に対応するのに対し、第2の車両情報は、車両それ自体の情報ではなく、車両外部の情報、つまり、車両が走行する道路や地域に関連する環境情報に対応する。
【0035】
周期決定部355は、第1の車両情報取得部353からおよび第2の車両情報取得部354から受け取った車両情報(第1の車両情報および第2の車両情報のいずれか1つまたは両方)および記憶部360に格納された車両情報テーブル(第1の車両情報テーブルおよび第2の車両情報テーブルのいずれか1つまたは両方)に基づいて、パラメータN(N値)を決定する。N値は、無線端末装置300の送信データの送信周期を決定するために用いられる。すなわち、周期決定部355は、N値を決定することによって、無線端末装置300の送信データの送信周期を決定する機能を有する。また、周期決定部355は、送受信制御部351に接続され、決定したN値を送受信制御部351へ出力する。
【0036】
送受信制御部351は、制御情報抽出部352から出力されたタイミング調整情報および周期決定部355で決定されたN値(送信周期)に基づいて、送信タイミングトリガ信号を生成する。送受信制御部351は、ベースバンド部345に接続され、生成した送信タイミング信号に同期して、送信データをベースバンド部345へ出力する。また、送受信制御部351は、ベースバンド部345を介して、他車両に搭載された無線端末装置300から送信されたデータを受け取る。
【0037】
さらに、
図5を用いて、周期決定部355および送受信制御部351の構成について詳細に説明する。
図5は、処理部350の詳細構成の一例を示すブロック図である。
図5に示されるように、周期決定部355は、補正値読み出し部391およびN値決定部392を有する。また、送受信制御部351は、送信データ生成部356、送信タイミング制御部357、送信制御部358および受信制御部359を有する。
【0038】
補正値読み出し部391は、第1の車両情報取得部353、第2の車両情報取得部354および記憶部360に接続される。補正値読み出し部391は、記憶部360に格納された第1および第2の車両情報テーブルを参照して、第1の車両情報取得部353から受け取った第1の車両情報および第2の車両情報取得部354から受け取った第2の車両情報にそれぞれ対応する補正値を読み出す。
【0039】
ここで、記憶部360に格納される第1の車両情報テーブルおよび第2の車両情報テーブルについて説明する。
図6は、第1の車両情報テーブルの一例を示す図である。第1の車両情報テーブルは、第1の車両情報に紐づけられ、N値、すなわち、無線端末装置300の送信データの送信周期を調整するための第一補正値(C1)、第二補正値(C2)を規定する車両情報テーブルである。
図6に示されるように、第1の車両情報テーブルは、車両速度および車両位置の2つの項目を含み、時速および距離のそれぞれに対してC1、C2が対応付けられている。
【0040】
車両速度においては、時速の値が大きいほど、C1の値が小さくなるように設定されている。車両位置においては、距離の値が小さいほど、C2の値が小さくなるように設定されている。なお、
図6の車両位置における距離とは、
図1の交差部分130の端から自車両までの距離を示すものとする。そのため、交差部分130の内部に位置する車両は、距離0mであるとみなす。
【0041】
例えば、第1の車両情報取得部353から取得した自車両の車両速度が15km/hであった場合には、補正値読み出し部391は、第1の車両情報テーブルを参照して、C1=1を読み出す。また、第1の車両情報取得部353から自車両の車両位置に関する情報を取得した場合には、補正値読み出し部391は、自車両の車両位置に関する情報に基づいて、交差部分130から自車両までの距離を算出する。このとき、例えば、交差部分から自車両までの距離が20mであった場合には、補正値読み出し部391は、第1の車両情報テーブルを参照して、C2=0を読み出す。
【0042】
図7は、第2の車両情報テーブルの一例を示す図である。第2の車両情報テーブルは、第2の車両情報に紐づけられ、N値、すなわち、無線端末装置300の送信データの送信周期を調整するための第三補正値(C3)、第四補正値(C4)および第五補正値(C5)を規定する車両情報テーブルである。
図7に示されるように、第2の車両情報テーブルは、道路情報、混雑度統計情報および天候情報の3つの項目を含み、車線、混雑度レベルおよび天候のそれぞれに対してC3~C5が対応付けされている。
【0043】
道路情報においては、車線本数の値が小さいほど、C3が小さくなるように設定されている。混雑度統計情報においては、混雑度レベルの値が小さいほど、C4が小さくなるように設定されている。なお、混雑度レベルとは、現時刻の時間帯における自車両周辺の道路の過去の混雑状況(統計情報)から得られた混雑の程度を指す。天候情報においては、無線通信や車両の機器に与える影響が大きい天候(雨、雪、霧)に対して、C5が小さい値(負の値)になるように設定されている。一般的に、天候が雨、雪および霧である場合には、電波の減衰、アンテナおよびカメラへの水滴の付着により、無線通信の環境の悪化および画像認識精度の低下が生じるからである。
【0044】
第2の車両情報取得部354は、通信モジュール382を介してインターネット回線に接続され、種々のクラウドサービスの提供を受けることによって、自車両周辺の道路情報(車線本数)、混雑度レベルおよび天候情報を入手することができる。例えば、通信モジュール382から取得した自車両周辺の車線本数が2本であり、混雑度レベルが1であり、天候が雨であった場合には、補正値読み出し部391は、第2の車両情報テーブルを参照して、C3=1、C4=0、C5=-1をそれぞれ読み出す。
【0045】
なお、補正値み出し部391は、第2の車両情報取得部354を介してカメラモジュール383から取得した自車両周辺の撮像画像を解析することによっても、自車両周辺の車線本数および天候を特定することが可能である。
【0046】
補正値読み出し部391は、N値決定部392に接続され、記憶部360から読み出したC1~C5をN値決定部392へ出力する。
【0047】
N値決定部392は、補正値読み出し部391から受け取ったC1~C5に基づいて、N値を決定する。なお、N値を決定するための具体的な手順については、後述する。また、N値決定部392は、送信タイミング制御部357に接続され、決定したN値を送信タイミング制御部357へ出力する。
【0048】
送信データ生成部356は、無線制御装置200および他車両に搭載された無線端末装置300へ送信するためのデータ(送信データ)を生成する。送信データには、例えば、自車両を特定するための識別番号、自車両の車両速度および車両位置などの情報が含まれる。送信データ生成部356は、送信制御部358に接続され、生成した送信データを送信制御部358へ出力する。
【0049】
送信タイミング制御部357は、制御情報抽出部352に接続され、制御情報抽出部352から出力されたタイミング調整情報を受け取る。また、送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390を含む。送信制御カウンタ390は、タイミング調整情報に応答してカウント動作を行う。つまり、タイミング調整情報は、無線制御装置200から基本送信周期をもって繰り返し送信される制御情報から生成されているため、送信制御カウンタ390は、基本送信周期の間隔でカウント動作を行う。
【0050】
送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390のカウント値およびN値決定部392から受け取ったN値に基づいて、送信タイミングトリガ信号を生成する。より詳細には、送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390のカウント値がN値に一致したタイミングで、送信タイミングトリガ信号を生成する。
【0051】
例えば、N値が1である場合には、送信タイミング制御部357は、1つのタイミング調整情報を受け取る度に、1つの送信タイミングトリガ信号を生成する。すなわち、受信した全ての送信フレームに同期して、送信タイミングトリガ信号が生成されることになる。また、N値が2である場合には、送信タイミング制御部357は、2つのタイミング調整情報を受け取って、1つの送信タイミング信号を生成する。すなわち、受信した2つに1つの送信フレームに同期して、送信タイミングトリガ信号が生成されることになる。
【0052】
送信タイミング制御部357は、送信制御部358に接続され、生成した送信タイミングトリガ信号を送信制御部358へ出力する。
【0053】
送信制御部358は、ベースバンド部345に接続され、送信タイミング制御部357から出力された送信タイミングトリガ信号に同期して、送信データ生成部356から取得した送信データをベースバンド部345へ出力する。送信データは、ベースバンド部345でOFDM変調され、送信回路341を経由して、アンテナ310から無線周波数のOFDMパケット信号としてブロードキャスト送信される。
【0054】
このように、無線端末装置300は、送信データの送信タイミングを決定するための信号である送信タイミングトリガ信号に基づいた送信周期で、送信データの送信処理を行う。N値が1以上の整数値を取り得るとした場合には、送信タイミングトリガ信号は、基本送信周期×Nの周期をもって生成されるため、送信データは、基本送信周期×Nの送信周期をもって送信される。また、送信タイミングトリガ信号は、無線制御装置200から送信された送信フレームに同期して生成される。そのため、送信制御部358から出力された送信データは、通信部340を経由して、無線制御装置200から送信された送信フレームに同期して、ブロードキャスト送信される。換言すれば、無線端末装置300の通信部340は、無線制御装置200から送信される送信フレームに同期して、送信データを送信する。
【0055】
受信制御部359は、ベースバンド部345および記憶部360に接続される。受信制御部359は、ベースバンド部345から出力された受信データを受け取り、記憶部360に格納する。ここでの受信データは、例えば、他車両の無線端末装置300から送信されたデータであって、他車両を特定するための識別番号、他車両の車両速度および位置情報などを含むものである。
【0056】
再び
図4に戻り、無線端末装置300の構成ついての説明を続ける。記憶部360は、第1の車両情報テーブル、第2の車両情報テーブルおよび受信データを格納する。なお、記憶部360は、
図2の記憶部260と同様に、構成や種類を問われない。
【0057】
I/F部370は、ECU装置380、GPSモジュール381、通信モジュール382およびカメラモジュール383などの無線端末装置300の外側にある装置とのインタフェースを構成する。PCI(Peripheral Component Interconnect)やSPI(Serial Peripheral Interface)などの各種通信プロトコルのインタフェースに対応する。
【0058】
ECU装置380は、図示しない各種センサーを用いて得られた情報から自車両の車両速度を算出する。算出された車両速度は、I/F部370を介して、第1の車両情報取得部353へ送られる。GPSモジュール381は、図示しないGPS衛星から位置情報を含むGPS信号を受信する。受信されたGPS信号は、I/F部370を介して、第1の車両情報取得部353へ送られる。通信モジュール382は、インターネット回線に接続され、地図情報(道路情報)、混雑度統計情報および天候情報などの各種情報を入手することができる。入手されたこれらの情報は、I/F部370を介して、第2の車両情報取得部354へ送られる。カメラモジュール383は、図示しないカメラから自車両周辺の撮像画像を入手する。入手された撮像画像は、I/F部370を介して、第2の車両情報取得部354へ送られる。
【0059】
図4では、半導体装置330は、通信部340、処理部350、記憶部360およびI/F部370を含む構成として示されているが、これに限定されることはない。
図2の半導体装置230と同様に、例えば、通信部340、処理部350、記憶部360およびI/F部370が、それぞれ別個の半導体装置として形成されることも可能である。また、半導体装置330は、1個の半導体チップ上に形成されてもよく、複数のチップに分けて形成されてもよい。
【0060】
また、
図2の半導体装置230と同様に、半導体装置330は、H/Wのみ、もしくは、H/WとS/Wの連携によって構成されることができる。すなわち、
図4および
図5には、H/Wのみ、S/Wのみ、もしくは、H/WとS/Wの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。半導体装置330がH/Wのみで構成される場合には、半導体装置330の各ブロック(通信部340、処理部350、記憶部360およびI/F部370)は、それぞれ回路で構成される。また、半導体装置330がH/WとS/Wで構成される場合には、例えば、処理部350は、プロセッサで構成され、当該プロセッサが記憶部360に格納された所定のプログラムを読み出して実行することによって、処理部350の機能を実現されることが可能である。通信部340についても同様であり、例えば、ベースバンド部345の機能は、プロセッサとプログラムの実行によって実現されることができる。また、後述する他の実施の形態における無線端末装置の半導体装置についても同様である。
【0061】
次いで、無線制御装置200および無線端末装置300を有する通信システム100の動作の一例について説明する。
図8は、通信システム100の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8の横方向は、時間に相当し、第nから第n+5までの6つの送信フレームが示されている。
図8の縦方向には、無線制御装置200の送信データ、車両110に搭載された無線端末装置300の送信データ(車両110の送信データ)、車両111に搭載された無線端末装置300の送信データ(車両111の送信データ)が示されている。なお、ここでの車両110および車両111は、それぞれ
図1に示された車両110および車両111に対応する。車両110は、車線本数が1本である道路上の交差部分130内で、時速40km/hで走行中であるものとし、一方、車両111は、車線本数が2本である道路上の交差部分130からの距離15m付近で、時速15km/hで交差部分130に向かって走行中であるものとする。また、両車両周辺の混雑レベルは1、天候は晴であるものとする。
【0062】
図8に示されるように、無線制御装置200は、先頭部分に送信データを含む送信フレームを繰り返しブロードキャスト送信する。無線制御装置200から送信される送信データには、制御情報が含まれる。車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300は、無線制御装置200から送信された送信フレームを受信し、制御情報を抽出する。車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300は、受信した制御情報に応答して、車両情報に応じた送信周期で送信データをブロードキャスト送信する。
【0063】
図8では、車両110に搭載された無線端末装置300は、各送信フレームに送信データを含むように、データ送信を実行している。すなわち、車両110に搭載された無線端末装置300は、自車両の第1の車両情報(車両速度:40km/h、車両位置:交差部分130内(0m))および第2の車両情報(車線本数:1、混雑レベル:1、天候:晴)に基づいて決定した送信周期=基本送信周期(送信フレームの周期)×1倍で、データ送信を実行している。
【0064】
一方、車両111に搭載された無線端末装置300は、3つの送信フレームに1回の割合で、データ送信を実行している。
図8では、第n送信フレームにデータ送信を実行し、その後に続く第n+1および第n+2送信フレームではデータ送信を実行しない。すなわち、車両111に搭載された無線端末装置300は、自車両の第1の車両情報(車両速度:15km/h、車両位置:15m)および第2の車両情報(車線本数:2、混雑レベル:1、天候:晴)に基づいて決定した送信周期=基本送信周期(送信フレームの周期)×3倍で、データ送信を実行している。
【0065】
図8に示されるように、第nおよび第n+3送信フレームでは、無線チャネル上に、無線制御装置200からの送信データ(制御情報)、車両110に搭載された無線端末装置300からの送信データおよび車両111に搭載された無線端末装置300からの送信データが含まれる。また、第n+1、第n+2、第n+4および第n+5送信フレームでは、無線チャネル上に、無線制御装置200からの送信データ(制御情報)および車両110に搭載された無線端末装置300からの送信データが含まれる。このように、送信データは、無線チャネル上を間引かれて送信されるため、間引かれた分の通信帯域は、他車両に搭載された無線端末装置からの送信データの送信に利用可能となる。
【0066】
次いで、
図9を参照しながら、無線端末装置300の送信動作について説明する。
図9は、無線端末装置300の送信制御の手順の一例を示すフローチャートである。
図9に示されるように、まず、送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390のカウンタ値を0にリセットする(ステップS100)。次いで、無線端末装置300は、データを受信する(ステップS101)。受信したデータ(受信データ)は、通信部340を介して制御情報抽出部352へ送られる。
【0067】
制御情報抽出部352は、受信データに無線制御装置200の制御情報が含まれているか否かの判断を行う(ステップS102)。受信データに制御情報が含まれていると判断した場合には(ステップS102のYES)、制御情報抽出部352は、受信データから制御情報を抽出し、抽出した制御情報からタイミング調整情報を生成する(ステップS103)。一方、受信データに制御情報が含まれていないと判断した場合には(ステップS102のNO)、無線端末装置300は、データの受信ステップ(ステップS101)に戻り、制御情報を含む受信データを確認するまで、ステップS103以降のステップには進まない。
【0068】
タイミング調整情報は、送信タイミング制御部357に送られる。このとき、送信タイミング制御部357は、N値決定部392から出力されるN値に変化があるかどうかの判断を行う(ステップS104)。例えば、送信タイミング制御部357は、N値決定部392から出力されるN値を所定の期間保持し、タイミング調整情報を受け取った前後のタイミングで、N値が変化したか否かを判断する。N値に変化があった場合には(ステップS104のYES)、送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390のカウンタ値を1にセットし(ステップS105)、送信制御部358へ送信タイミングトリガ信号を出力する。送信制御部358は、送信タイミング制御部357から出力された送信タイミングトリガ信号に同期して、送信データ生成部356から取得した送信データを通信部340へ出力する。通信部340に出力された送信データは、RF部320、アンテナ310を経由して、ブロードキャスト送信される(ステップS106)。
【0069】
一方、N値に変化がなかった場合には(ステップS104のNO)、送信タイミング制御部357は、N値が1であるか否かの判断を行う(ステップS107)。N値が1である場合には(ステップS107のYES)、ステップS105およびステップS106へ進み、送信データのブロードキャスト送信が実行される。N値が1でない場合には(S107のNO)、送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390のカウンタ値を参照し、カウンタ値が0であるか否かの判断を行う(ステップS108)。送信制御カウンタ390のカウンタ値が0である場合には(ステップS108のY)、ステップS105およびステップS106へ進み、送信データのブロードキャスト送信が実行される。また、送信制御カウンタ390のカウンタ値が0でない場合には(ステップS108のNO)、送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390のカウンタ値を+1増加させる。
【0070】
ステップS106およびステップS109の各ステップの後、送信タイミング制御部357は、送信制御カウンタ390のカウンタ値を参照し、カウンタ値がN値決定部392から受け取ったN値であるか否かの判断を行う(ステップS110)。送信制御カウンタ390のカウンタ値がN値である場合には(ステップS110のYES)、無線端末装置300における1送信周期の送信動作が完了する。また、送信制御カウンタ390のカウンタ値がN値でない場合には(ステップS110のNO)、ステップS101に戻る。
【0071】
このように、無線端末装置300は、
図9に示す開始から終了までの一連のステップを実行することによって、1送信周期の送信動作を完了する。この1送信周期の動作中には、1回だけ送信データの送信処理が行われる。また、N値が1(送信データの送信周期が基本送信周期の1倍)の場合には、無線端末装置300は、1送信周期の送信動作中に制御信号を1度受けて送信動作を完了する。N値が2(送信データの送信周期が基本送信周期の2倍)の場合には、無線端末装置300は、1送信周期の送信動作中に制御信号を2度受けて送信動作を完了する。このとき、ステップS110からステップS101への戻りは1回となる。N値が3(送信データの送信周期が基本送信周期の3倍)の場合には、無線端末装置300は、1送信周期の送信動作中に制御信号を3度受けて送信動作を完了する。このとき、ステップS110からステップS101への戻りは2回となる。
【0072】
次いで、
図10を用いて、N値を決定する処理について説明する。
図10は、無線端末装置300のN値を決定するための手順の一例を示すフローチャートである。
図10に示されるように、まず、第1の車両情報取得部353は、第1の車両情報を取得する(ステップS200)。取得された第1の車両情報は、補正値読み出し部391へ送られる。補正値読み出し部391は、受け取った第1の車両情報に車両速度の情報が含まれているか否かの確認を行う(ステップS201)。車両速度の情報が含まれている場合(ステップS201のY)、補正値読み出し部391は、記憶部360に格納された第1の車両情報テーブルを参照して、その車両速度に対応するC1を記憶部360から読み出す(ステップS202)。受け取った第1の車両情報に車両速度の情報が含まれていない場合(ステップS201のN)、ステップS202は行われない。
【0073】
次いで、補正値読み出し部391は、受け取った第1の車両情報に車両位置の情報が含まれているか否かの確認を行う(ステップS203)。車両位置の情報が含まれている場合(ステップS203のY)、補正値読み出し部391は、受け取った車両位置に基づいて、交差部分130から自車両までの距離を算出する(ステップS204)。補正値読み出し部391は、記憶部360に格納された第1の車両情報テーブルを参照して、算出した距離に対応するC2を記憶部360から読み出す(ステップS205)。受け取った第1の車両情報に車両位置の情報が含まれていない場合(ステップS203のNO)、ステップS204およびステップS205は行われない。なお、無線制御装置200が設置されている交差点の位置に関する情報は、記憶部360に予め格納されていてもよく、また、通信モジュール382を介して取得するようにしてもよい。
【0074】
次いで、第2の車両情報取得部354は、第2の車両情報を取得する(ステップS206)。取得された第2の車両情報は、補正値読み出し部391へ送られる。補正値読み出し部391は、受け取った第2の車両情報に道路情報(車線本数)が含まれているか否かの確認を行う(ステップS207)。車線本数の情報が含まれている場合(ステップS207のY)、補正値読み出し部391は、記憶部360に格納された第2の車両情報テーブルを参照して、その車線本数に対応するC3を記憶部360から読み出す(ステップS208)。受け取った第2の車両情報に道路情報(車線本数)が含まれていない場合(ステップS207のNO)、ステップS208は行われない。
【0075】
次いで、補正値読み出し部391は、受け取った第2の車両情報に混雑度統計情報(混雑レベル)が含まれているか否かの確認を行う(ステップS209)。混雑レベルの情報が含まれている場合(ステップS209のYES)、補正値読み出し部391は、記憶部360に格納された第2の車両情報テーブルを参照して、その混雑レベルに対応するC4を記憶部360から読み出す(ステップS210)。受け取った第2の車両情報に混雑度統計情報(混雑レベル)が含まれていない場合(ステップS209のN)、ステップS210は行われない。
【0076】
次いで、補正値読み出し部391は、受け取った第2の車両情報に天候情報が含まれているか否かの確認を行う(ステップS211)。天候情報が含まれている場合(ステップS211のY)、補正値読み出し部391は、記憶部360に格納された第2の車両情報テーブルを参照して、その天候情報に対応するC5を記憶部360から読み出す(S212)。受け取った第2の車両情報に天候情報が含まれていない場合(ステップS211のN)、ステップS212は行われない。
【0077】
補正値読み出し部391によって読み出されたC1~C5は、N値決定部392へ送られる。N値決定部392は、C1~C5に基づいて、N値を決定する(ステップS213)。N値決定部392は、初期値としてN値を1に設定し、それにC1~C5の値を加算することによって、N値を決定する。例えば、N値決定部392は、式1に基づき、N値を決定することができる。
N=1(初期値)+C1+C2+C3+C4+C5 … (式1)
この場合には、第1及び第2の車両情報に基づいて読み出した全ての補正値を考慮して、N値が決定される。
図8の車両110に搭載された車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300の事例では、式1を用いてN値を算出すると、それぞれ以下のようになる。
<車両110に搭載された無線端末装置300>
・車両速度:40km/h → C1:0
・車両位置:0m → C2:0
・車線本数:1 → C3:0
・混雑レベル:1 → C4:0
・天候:晴 → C5:0
・N=1+0+0+0+0+0=1
<車両111に搭載された無線端末装置300>
・車両速度:15km/h → C1:1
・車両位置:15m → C2:0
・車線本数:2 → C3:1
・混雑レベル:1 → C4:0
・天候:晴 → C5:0
・N=1+1+0+1+0+0=3
また、ステップS213では、N値は、補正値の全てを考慮して算出されなくてもよい。すなわち、考慮する補正値の組合せは制限されない。例えば、N値は、第1の車両情報のみを考慮して算出されてもよく(式2)、第2の車両情報のみを考慮して算出されてもよく(式3)、第1の車両情報と第2の車両情報のそれぞれの一部を考慮して算出されてよい(式4)。
N=1(初期値)+C1+C2 … (式2)
N=1(初期値)+C3+C4+C5 … (式3)
N=1(初期値)+C1+C5 … (式4)
C1~C5の読み出し順序に関しては、
図10に例示する場合に限られない。例えば、補正値読み出し部291は、C3~C5を読み出してから、C1およびC2を読み出してもよい。式1~式4を用いたN値の算出においては、読み出しが行われなかった補正値があれば、その値を0としてN値は計算されてもよい。また、車両情報テーブルに紐づけられたC1~C5は整数値を取り得るため、式1~式4を用いたN値の計算結果についても整数値を取り得る。但し、
図6の第1の車両情報テーブルおよび
図7の第2の車両情報テーブルを参照して、式1、式3および式4の計算を行った場合には、N値が0になる場合がある。このように、N値が0以下になる場合には、N値は1として決定されることができる。
【0078】
上述の説明の通り、N値決定部392によって決定されたN値は、1以上の整数値を取り得る。送信タイミング制御部357は、N値に基づいて、送信データの送信周期を設定する。実施の形態1では、N値が1である場合には、無線端末装置300の送信データの送信周期は、基本送信周期×1倍とし、N値が2である場合には、無線端末装置300の送信データの送信周期は、基本送信周期×2倍とし、N値が3である場合には、無線端末装置300の送信データの送信周期は、基本送信周期×3倍とする。
【0079】
次いで、
図9、
図11Aおよび
図11Bを参照して、車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300の送信動作の詳細について説明する。
図11Aは、車両110に搭載された無線端末装置300の送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
図11Bは、車両111に搭載された無線端末装置300の送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
図11Aおよび
図11Bの横方向は、時間に相当し、第nから第n+5までの6つの送信フレームが示されている。
図11A、11Bの縦方向には、車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300が送受信する信号(車両110および車両111の送受信データ)およびそれらに関連する内部信号がそれぞれ示されている。
【0080】
図11A、11Bに示されるように、車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300は、無線制御装置200から繰り返し送信される送信フレームを受信する。受信する各送信フレームの先頭部分には、送信制御装置200の制御情報が含まれている。第n送信フレームにおいて、車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300は、送信制御カウンタ390のカウンタ値を0にリセットした(
図9のステップS100)後、無線制御装置200から送信された制御情報を受信する(
図9のステップS101のYおよびステップS102)。制御情報抽出部352は、受信した制御情報に基づいて、タイミング調整情報を生成する(
図9のステップS103)。
【0081】
車両110に搭載された無線端末装置300については、
図11Aに示されるように、N値決定部392は、自車両(車両110)の第1および第2の車両情報に基づいて、N値を1に決定する。第n送信フレームでは、送信タイミング制御部357は、N値決定部392からN値を初めて受け取ることになるため、N値に変化があったものと判断し(
図9のステップS104のYES)、送信制御カウンタ390の値を1にセットする(
図9のステップS105)。その後、送信タイミング制御部357は、送信タイミングトリガ信号を生成し、送信制御部358は、送信タイミングトリガ信号に同期して、送信データの送信処理を行う(
図9のステップS106)。このとき、送信制御カウンタ390のカウンタ値は1であり、N値の1と同じであるため、車両110に搭載された無線端末装置300は、1送信周期の送信動作の処理を完了する(
図9のステップS110のYES)。第n送信フレームに続く第n+1送信フレームでは、車両110に搭載された送信端末装置300は、次の1送信周期の送信動作に入り、再度、
図9のステップS100~S103の各ステップの処理を実行する。
図11Aでは、第n~第n+5送信フレームの期間において、N値は1で変化がない。そのため、第n+1送信フレームでは、送信タイミング制御部357は、N値に変化がなく(
図9のS104のNO)、かつ、N値が1であると判断し(
図9のS107のY)、
図9のステップS105、S106、S110の各処理が行われる。このような送信動作が行われることにより、
図11Aに示されるように、車両110に搭載された無線端末装置300は、送信データの送信周期を基本送信周期としてデータ送信を実行する。
【0082】
一方、車両111に搭載された無線端末装置300については、
図11Bに示されるように、N値決定部392は、自車両(車両111)の第1および第2の車両情報に基づいて、N値を3に決定する。第n送信フレームでは、送信タイミング制御部357は、N値決定部392からN値を初めて受け取ることになるため、N値に変化があったものと判断し(
図9のステップS104のYES)、送信制御カウンタ390の値を1にセットする(
図9のS105)。その後、送信タイミング制御部357は、送信タイミングトリガ信号を生成し、送信制御部358は、送信タイミングトリガ信号に同期して、送信データの送信処理を行う(
図9のステップS106)。このとき、送信制御カウンタ390のカウンタ値は1であり、N値の3と異なるため(
図9のステップS110のNO)、車両111に搭載された無線端末装置300は、次の第n+1送信フレームでのデータ受信の状態に戻る(
図9のステップS101)。第n+1フレームで制御情報を受信すると、制御情報抽出部352は、タイミング調整情報を生成する。
図11Bでは、第n~第n+5送信フレームの期間において、N値は3で変化がない。そのため、送信タイミング制御部357は、N値に変化がなく(
図9のステップS104のNO)、N値は1ではなく(
図9のステップS107のNO)、かつ、送信制御カウンタ390のカウント値が0ではない(
図9のステップS108のNO)と判断し、送信制御カウンタ390のカウンタ値を+1増加させる。このとき、送信制御カウンタ390のカウンタ値は2であり、N値の3と異なるため(
図9のステップS110のNO)、車両111に搭載された無線端末装置300は、再び、次の第n+2送信フレームでのデータ受信の状態に戻る(
図9のステップS101)。第n+1送信フレームと同様に第n+2送信フレームでの送信動作が行われる。しかし、第n+2送信フレームでの送信制御カウンタ390のカウンタ値は3となるため、
図9のステップS110でYESとなり、車両111に搭載された無線端末装置300は、1送信周期の送信動作の処理を完了する。このような送信動作が行われることにより、
図11Bに示されるように、車両111に搭載された無線端末装置300は、送信データの送信周期を基本送信周期の3倍としてデータ送信を実行する。
【0083】
このように、無線端末装置300の送受信制御部351は、N値(送信周期)に基づいて、送信フレームを受信する度に送信データを通信部へ出力するように、送信データの送信タイミングを制御する第1の送信動作モード(
図11Aの場合)と、受信した送信フレームに対して送信データを通信部へ出力する場合と、受信した送信フレームに対して送信データを通信部へ出力しない場合と、を含むように、送信データの送信タイミングを制御する第2の動作モード(
図11Bの場合)と、を切り替えての動作が可能である。
【0084】
また、実施の形態1における通信システム100において、無線チャネルアクセス制御には、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)方式を採用している。この方式では、無線チャネルがビジー状態から解放された直後からの待ち時間を規定するためのIFS(Inter Frame Space)およびIFSに続くランダムバックオフ期間の最大値を規定するCW(Contention Window)が設定されている。IFSとCWの値は、無線端末装置300間において、互い異なるように設定されている。つまり、車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300には、互いに異なるIFSおよびCWの値が設定されている。これにより、
図8の第nおよび第n+3送信フレームに示されるように、車両110に搭載された無線端末装置300および車両111に搭載された無線端末装置300は、同一の無線チャネル上で互いにタイミングをずらすようにして送信データを送信し、送信データの衝突を回避する。
【0085】
実施の形態1によれば、各車両に搭載された無線端末装置300は、自車両の車両情報、すなわち、第1の車両情報および第2の車両情報のいずれか1つまたは両方に基づいて、送信データの送信周期を変更することができる。例えば、
図8および
図11に示される例では、車両110に搭載された無線端末装置300の送信データの送信周期は、車両111に搭載された無線端末装置300の送信データの送信周期に対して、1/3となるように設定される。つまり、車両110に搭載された無線端末装置300の送信データの送信頻度(情報発信の頻度)は、車両111に搭載された無線端末装置300よりも多くなるように設定される。無線端末装置300が搭載される車両110は、車線本数が1本である道路上を時速40km/hで走行中であり、交差部分130内にさしかかっている。つまり、車両110は、車線幅が狭く、比較的速いスピードで、交通事故の発生リスクが高い交差点内を走行中であり、交通事故防止の観点では、情報発信の優先度は高い。これに対して、無線端末装置300が搭載される車両111は、車線本数が2本である道路上を時速15km/hで走行中であり、交差部分130からの距離は15mである。車両111は、交差部分130からの距離が15mと交差点に比較的近い位置を走行中であるものの、車線本数や車両速度の面からは、車両110より情報発信の優先度は低くなる。
【0086】
交差点のような多くの車両が集中する場所では、無線チャネル上の全ての帯域が埋まってしまう可能性がある。このとき、車両速度が大きい車両や交差点に近い場所を走行中の車両の通信が妨げられてしまうと、特に問題となる。しかしながら、実施の形態1によれば、各車両に搭載された無線端末装置300は、車両速度や車両位置などの情報に基づいて、情報発信の優先度を調整したデータ送信を実行可能とする。これにより、多くの車両が集まる場所であったとしても、情報発信の優先度の高い車両の通信が妨げられてしまう事態を低減することができる。
【0087】
例えば、無線制御装置200は、無線制御装置200が設置された場所を中心に半径250m以内に存在する車両(無線端末装置300)と通信可能であるとし、この半径250mの円内のエリアには、朝の通勤ラッシュの時間帯には最大500台の車両が含まれる可能性があるとする。このとき、無線制御装置200から送信される送信フレームの1周期が100msであり、各車両の無線端末装置300から送信される1回あたりの送信データの長さが0.5msであると仮定すると、200台の無線端末装置300からのデータ送信で無線チャネル上の帯域は全て埋まってしまう(但し、簡単化のため、無線制御装置200から送信される制御情報の送信のための期間は考慮しない)。もし、残りの車両300台の中に情報発信の優先度が高い車両が含まれていた場合には、その車両からの情報発信ができない状況となる。しかしながら、実施の形態1によれば、情報発信の優先度(情報の更新頻度)が低くてもよい無線端末装置300からのデータ送信の割合を抑えることにより、情報発信の優先度が高い無線端末装置300からのデータ送信が優先されることができる。
【0088】
また、実施の形態1では、無線制御装置200は、無線制御装置200が設置されている交差点の位置に関する情報を制御情報に含めるようにしてもよい。この場合には、制御情報抽出部352は、制御情報から交差点の位置情報を抽出し、補正値読み出し部391は、抽出された交差点の位置情報および第1の車両情報取得部353から取得した自車両の位置情報を用いて、交差部分130から自車両までの距離を算出することができる。
【0089】
また、
図6および
図7に示された車両情報テーブルは、一例であって、車両速度や車両位置などの各項目ならびにそれらの各項目に対する補正値の大きさは、例示されるものに限定されない。例えば、その他の第1の車両情報に関連する項目としては、車両の加速度(アクセルペダルの開度、ブレーキの状態)、車両の状態(灯火類の状態)、車両の方向(ハンドル角)および車両の特徴(車体の形状、サイズ、重量、車種、用途)などが考えられる。その他の第2の車両情報に関連する項目としては、道路の形状(直線/曲線、道幅、勾配)および過去の交通事故発生件数などが考えられる。また、例えば、道幅が狭い道路については、車両情報テーブルの補正値の値が全体的に大きな値になるように調整されてもよい。
【0090】
また、
図7に示された第2の車両情報テーブルの天候情報によれば、雨/雪/霧の場合、補正値が負の値に設定されているため、雨/雪/霧の状況における無線端末装置300からの通信頻度は、増加する方向に設定される。これは、多くの車両が集まる場所では、むしろ無線通信の環境を悪化させる方向に働いてしまう。しかしながら、天候からの影響を受けて情報発信の優先度の高い車両の通信が妨げられてしまうリスクを考えると、雨/雪/霧の場合に通信頻度を増加されることには、大きな利点がある。
【0091】
[実施の形態2]
次いで、実施の形態2を説明する。実施の形態2では、実施の形態1に係る処理部350の別の形態となる処理部350aについて説明する。
図12は、実施の形態2に係る無線端末装置300aに含まれる処理部350aの構成の一例を示すブロック図である。実施の形態2において、無線端末装置300aの処理部350a以外の構成は、
図4に示されるものと同様でよい。そのため、ここでは、それらの説明を省略する。また、
図12に示された構成のうち、
図5と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
図12に示されるように、処理部350aは、
図5に示された構成に加えて、さらに制御情報監視部400を有する。制御情報監視部400は、制御情報抽出部352、記憶部360および送信タイミング制御部357aに接続される。記憶部360には、監視時間に関する情報が格納されている。例えば、監視時間は、無線制御装置200が送信する送信フレームの周期(基本送信周期)より大きな値であるものとする。
【0093】
制御情報監視部400は、監視カウンタ401を含み、監視カウンタ401を用いて監視時間をカウントする間に、制御情報を受信したか否かの監視を行う。ここで、監視カウンタ401の動作の詳細を説明する。
図13は、監視カウンタ401のカウント動作の一例を示すフローチャートである。
図13に示されるように、まず、制御情報監視部400は、記憶部360から監視時間に関する情報を読み出す(ステップS300)。次いで、制御情報監視部400は、監視カウンタ401のカウンタ値を0にリセットする(ステップS301)。その後、制御情報監視部400は、監視カウンタ401のカウント動作を開始させる(ステップS302)。
【0094】
監視カウンタ401がカウント動作を継続する間、制御情報監視部400は、制御情報抽出部352から出力されるタイミング調整情報に基づいて、制御情報を受信したか否かの判断を行う(ステップS303)。制御情報を受信したと判断する場合(ステップS303のYES)、ステップS301に戻り、ステップS301およびステップS302が再度行われる。制御情報を受信したと判断しない場合(ステップS303のNO)、制御情報監視部400は、監視カウンタ401のカウント値を参照し、監視カウンタ401のカウンタ値が監視時間の終了を示す値に到達したか否かを判断する(ステップS304)。監視カウンタ401のカウンタ値が監視時間の終了を示す値に到達したと判断する場合(ステップS304のYES)、制御情報監視部400は、オーバーフロー信号を出力する(ステップS305)。監視カウンタ401のカウンタ値が監視時間の終了を示す値に到達したと判断しない場合(ステップS304のNO)、ステップS303に戻り、監視カウンタ401のカウン動作は継続される。なお、オーバーフロー信号の出力後、監視カウンタ401の動作は、
図13のフローチャートの最初から再度繰り返されることになる。ただし、2回目以降では、監視時間に変更がない限り、ステップS300は省略されてもよい。
【0095】
次いで、
図13および
図14を参照して、
図1に不図示の車両に搭載された無線端末装置300aの送信動作について説明する。
図14は、無線端末装置300aの送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
図14の横方向は、時間に相当する。
図14の縦方向には、無線端末装置300aが送受信する信号およびそれらに関連する内部信号がそれぞれ示されている。
【0096】
図1に不図示の車両と無線制御装置200が設置された信号機120の間には、不図示の遮蔽物が存在し、無線端末装置300aは、無線制御装置200からの送信フレーム(制御情報)を受信し難い状況にあるものとする。そのため、
図14に示されるように、車両112に搭載された無線端末装置300aは、t5およびt6以外のタイミングでは、制御情報を受信できていない。また、
図14に示されるように、N値決定部392は、取得した第1または第2の車両情報に基づき、N値を1に決定している。
【0097】
図14のt0において、制御情報監視部400は、監視カウンタ401カウント値を0にリセットし後、カウンタ動作を開始させて、記憶部360から読み出した監視時間の計測を開始する(
図13のステップS300~S302)。監視カウンタ401による監視時間の計測が終わるまでに、無線制御装置200からの制御情報の受信を確認できなかったため(
図13のステップS303のNO)、制御情報監視部400は、監視カウンタ401が監視時間の計測を完了したt1のタイミングで(
図13のステップS304のYES)、オーバーフロー信号を送信タイミング制御部357aへ出力する(
図13のステップS305)。
【0098】
実施の形態1に係る送信タイミング制御部357は、制御情報抽出部352から出力されるタイミング調整情報に基づいて、送信タイミングトリガ信号を生成する。一方、実施の形態2に係る送信タイミング制御部357aは、制御情報抽出部352から出力されるタイミング調整情報に加えて、制御情報監視部400から出力されるオーバーフロー信号に基づいても送信タイミングトリガ信号を生成する。実施の形態1の無線端末装置300と同様に、実施の形態2の無線端末装置300aも、送信タイミングトリガ信号に同期して、t2のタイミングで送信データの送信処理を実行する。
【0099】
図14のt3のタイミングで再びオーバーフロー信号が出力され、t4のタイミングで送信データの送信処理が実行された後、無線端末装置300aは、t5のタイミングで無線制御装置200から送信された制御情報を受信する。制御情報を受信したため(
図13のステップS303のNO)、制御情報監視部400は、監視カウンタ401のカウント値を0にリセットし、監視カウンタ401のカウント動作を始めからやり直しさせる(
図13のステップS301およびステップS302)。制御情報を受信した場合には、実施の形態1に係る無線端末装置300の送信処理と同じ処理が実行される。
【0100】
図14で示される例では、無線端末装置300aは、t6のタイミングで2回目の制御情報を受信できたものの、その後は再び制御情報を受信できなくなってしまっている。そのため、監視カウンタ401の監視時間の計測動作によって、t7のタイミングで再びオーバーフロー信号が出力され、無線端末装置300aは、t8のタイミングで、オーバーフロー信号に基づく送信データの送信処理を実行する。
【0101】
実施の形態2によれば、無線端末装置300aは、無線制御装置200から送信される送信フレーム(制御情報)を受信できなかった場合でも、送信データの送信処理を実行することができる。この場合には、無線端末装置300aは、無線制御装置200から送信される送信フレームに同期せずに送信処理を行うため、無線端末装置300a自体が主体的に送信フレームを送信する形態となる。
図14では、t2からt5の期間およびt8以降の期間は、無線端末装置300aが送信フレーム(第p~p+2送信フレーム)を送信する期間となる。一方、無線制御装置200から送信される送信フレーム(制御情報)を受信できた場合には、無線端末装置300aは、無線制御装置200から送信される第nおよび第n+1送信フレームに同期した送信処理を行う。
【0102】
このように、実施の形態2に係る無線端末装置300aは、オーバーフロー信号に基づき送信処理を行う第3の送信動作モードと、無線制御装置200から送信される制御情報に基づき送信処理を行う第4の送信動作モードと、を切り替えての送信動作を行うことができる。
【0103】
なお、実施の形態2に係る上述の説明では、制御情報の受信の監視動作と送信データの送信動作は、監視カウンタ401に基づいて、共通に制御されている。しかしながら、これらは、別々に制御されることも可能である。例えば、送信データの送信動作を制御するカウンタは、監視カウンタ401とは別に設けられてもよい。この場合、新たに設置したカウンタが、監視期間とは別の期間をカウントするように設定すれば、送信データは、監視時間とは異なる周期をもって、送信されることができる。
【0104】
[実施の形態3]
次いで、実施の形態3を説明する。実施の形態3では、実施の形態1に係る処理部350のさらに別の形態となる処理部350bについて説明する。
図15は、実施の形態3に係る無線端末装置300bに含まれる処理部350bの構成の一例を示すブロック図である。実施の形態3において、無線端末装置300bの処理部350b以外の構成は、
図4に示されるものと同様でよい。そのため、ここでは、それらの説明を省略する。また、
図15に示された構成のうち、
図5と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
図15に示されるように、処理部350bは、
図5に示された構成に加えて、さらにチャネル監視部500を有する。チャネル監視部500は、ビジー状態カウント部501およびチャネル使用率算出部502を含む。ビジー状態カウント部501は、ベースバンド部345に接続され、ベースバンド部345から受信データを受け取り、無線チャネルの使用状態を示す信号(ビジー信号)を生成する。例えば、ビジー信号は、無線制御装置200および他車両に搭載された無線端末装置300から送信されたデータを受信している期間をHigh(活性化状態)、データを受信していない期間をLow(非活性化状態)とすることで生成される。なお、このビジー信号は、通信部340で生成されてもよい。ビジー状態カウント部501は、記憶部360に接続され、記憶部360に格納された単位時間の情報を読み出す。ビジー状態カウント部501は、記憶部360から読み出した単位時間内にビジー信号がHighとなる期間をカウントする。ビジー状態カウント部501は、チャネル使用率算出部502に接続され、カウントによって得られたビジー状態の時間値をチャネル使用率算出部502へ出力する。
【0106】
チャネル使用率算出部502は、記憶部360に接続され、記憶部360に格納された単位時間の情報を読み出す。チャネル使用率算出部502は、ビジー状態カウント部501から受け取ったビジー状態の時間値を記憶部360から読み出した単位時間で除することによって、チャネル使用率を算出する。また、チャネル使用率算出部502は、N値決定部392bに接続され、算出したチャネル使用率をN値決定部392bへ出力する。
【0107】
実施の形態3に係るN値決定部392bは、実施の形態1に係るN値決定部392と同じ方法により、C1~C5に基づいてN値を決定する。ただし、実施の形態3に係るN値決定部392bは、C1~C5に基づいて決定したN値を、チャネル使用率に基づいて調整する点が、実施の形態1に係るN値決定部392と異なる。
【0108】
N値決定部392bは、記憶部360に接続され、記憶部360に格納された第一しきい値(R1)および第二しきい値(R2)を読み出す。R1とR2は、R1<R2の関係にある。N値決定部392bは、チャネル使用率算出部502から受け取ったチャネル使用率を記憶部360から読み出したR1およびR2と比較することによって、無線チャネル上の送信データの混み具合を判断し、その判断した結果に基づいてN値を調整する。
【0109】
図16は、チャネル使用率に基づいてN値を調整するための手順の一例を示すフローチャートである。まず、チャネル使用率算出部502は、ビジー状態カウント部501から出力されたビジー状態の時間値に基づいて、単位時間あたりのチャネル使用率を算出する(ステップS400)。N値決定部392bは、算出されたチャネル使用率がR1よりも小さいか否かの判断を行う(ステップS401)。チャネル使用率がR1よりも小さい場合(ステップS401のYES)、N値決定部392bは、無線チャネルが空いている状態であると判断し、N値を1に変更する(ステップS402)。すなわち、C1~C5の値(自車両の車両情報)にかかわらず、N値は1に変更され、送信データの送信周期は、無線制御装置200の送信フレームの周期(基本送信周期)に設定される。この場合には、自車両の周囲に無線通信を行う車両(無線端末装置300)が少なく、無線通信を行うための帯域が十分確保されている状態であるため、送信データの送信周期を大きくすることによって無線通信の頻度を減らす必要がない、と判断される。
【0110】
チャネル使用率がR1よりも小さくない場合(ステップS401のN)、N値決定部392bは、チャネル使用率がR2よりも大きいか否かの判断を行う(ステップS403)。チャネル使用率がR2よりも大きい場合(ステップS403のY)、N値決定部392bは、無線チャネルが混んでいる状態であると判断し、C1~C5(自車両の車両情報)に基づいて決定したN値を増加させる(ステップS404)。すなわち、N値が大きくなるように変更されるため、送信データの送信周期は、大きくなるように設定される。この場合には、自車両の周囲に無線通信を行う多くの車両(無線端末装置300)が存在し、無線通信を行うための帯域が十分に確保できていない状態であるため、送信データの送信周期を大きくすることによって無線通信の混雑度を緩和させる必要がある、と判断される。なお、ステップS404では、C1~C5に基づいて決定したN値を増加させるのではなく、C1~C5のいずれかを増加させるようにしてもよい。
【0111】
チャネル使用率がR2よりも大きくない場合(ステップS403のN)、N値決定部392bは、C1~C5(自車両の車両情報)に基づいて決定したN値を維持する(ステップS405)。この場合には、チャネルの混み具合を考慮して、現状の送信データの送信周期の決定の仕方を変更する必要がない、と判断される。
【0112】
このように、無線端末装置300bは、チャネル使用率とR1およびR2とを比較した結果に応じて、N値を1に固定して送信データの送信周期の変更を行わない(基本送信周期から変更しない)第5の送信動作モード(ステップS402)と、N値に基づいて送信データの送信周期の変更を行う第6の送信動作モード(ステップS404、S405)を切り替えての送信動作を可能とする。
【0113】
実施の形態3によれば、無線端末装置300bは、適切な頻度でデータ送信ができるように、無線チャネルの使用状態を監視することによって送信データの送信周期を調整する。そのため、無線通信の帯域が十分に確保されている状況下では、送信データの送信周期を大きくすることにより、むやみに無線通信の機会を減らしてしまうことを避けることができる。一方、無線通信の帯域に余裕がなくなっている状況下では、送信データの送信周期をさらに大きくすることにより、帯域オーバーで無線通信ができない事態となることを避けることができる。
【0114】
なお、
図16には、チャネル使用率をR1およびR2の両方とそれぞれ比較するステップ(ステップS401とステップS403)が示されているが、チャネル使用率は、R1およびR2のいずれか1つと比較されるようにしてもよい。例えば、
図16のステップS401のNをステップS405に接続することによって、チャネル使用率がR1のみと比較されるように変更することができる。また、ステップS401のステップを省略することによって、チャネル使用率がしきい値R2のみと比較されるように変更することができる。
【0115】
[実施の形態3の変形例]
次いで、実施の形態3の変形例を説明する。上述した実施の形態3では、無線端末装置300bでチャネル使用率を算出するようにしたが、チャネル使用率の算出処理は、無線制御装置200で実行されることも可能である。
図17は、実施の形態3の変形例に係る無線制御装置200bに含まれる処理部250bの構成の一例を示すブロック図である。実施の形態3の変形例において、無線制御装置200bの処理部250b以外の構成は、
図2に示されるものと同様でよい。そのため、ここでは、それらの説明を省略する。また、
図17に示された構成のうち、
図3と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0116】
図17に示されるように、処理部250bは、
図3に示された構成に加えて、さらにチャネル監視部500を有する。処理部250bのチャネル監視部500は、
図15の処理部350bのチャネル監視部500と同じ機能を有する。
図17のチャネル使用率算出部502は、制御情報生成部252bに接続され、算出したチャネル使用率を制御情報生成部252bへ出力する。制御情報生成部252bは、チャネル使用率算出部502から受け取ったチャネル使用率を含めて制御情報を生成する。チャネル使用率を含む制御情報は、送信制御部253を経由してブロードキャスト送信される。
【0117】
無線制御装置200bから制御情報に含めて送信されたチャネル使用率は、無線端末装置300bによって受信される。受信されたチャネル使用率は、例えば、制御情報抽出部352によって制御情報から抽出され、N値決定部392bに送られるようにしてもよい。なお、チャネル使用率の算出処理が、常に無線制御装置200bで行われるのであれば、無線端末装置300bは、チャネル監視部500を含めなくてもよい。
【0118】
また、
図17では、無線制御装置200bは、チャネル使用率の算出を行い、制御情報に含めてチャネル使用率を無線端末装置300bに送信するように説明された。しかし、無線制御装置200bが、チャネル使用率とR1およびR2との比較を行い、その比較の結果を制御情報に含めて無線端末装置300bに送信するようにしてよい。この場合には、無線端末装置300bのN値決定部392bは、無線制御装置200bから受け取ったチャネル使用率とR1およびR2との比較の結果に基づいて、C1~C5によって決定したN値を調整することができる。
【0119】
[実施の形態4]
次いで、実施の形態4を説明する。特許文献1には、複数のスロットを含む第1の期間とスロットを含まない第2の期間によって規定された送信フレームを用いて、無線通信を行う通信システムが開示されている。また、特許文献1の通信システムには、端末装置がデータを送信する場合には、交差点からの距離に応じて決められた第1の期間もしくは第2の期間のいずれかを選択して、データ送信を行うことが開示されている。実施の形態1~3に記載の無線端末装置300、300aおよび300bのぞれぞれは、特許文献1に開示された通信システムと組み合わせることが可能である。実施の形態4では、実施の形態1の無線端末装置300と特許文献1に開示された通信システムとの組み合わせについて説明する。なお、実施の形態4において、実施の形態1と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0120】
図18は、実施の形態4に係る通信システム100cの構成の一例を示す図である。
図18に示されるように、無線制御装置200cから送信される無線信号の大きさに応じて、境界140の内側の領域(第1のエリア)、境界140と境界141に挟まれた領域(第2のエリア)および境界141の外側の領域(第3のエリア)が設定される。第3のエリアには、無線制御装置200cから送信される無線信号は、届かないものとする。なお、第1~第3のエリアは、本来、無線制御装置200cを中心に広がっていくものであるが、簡単化のため、
図18では、第1~第3のエリアは、交差部分130を中心に広がっていくものとして描かれている。
【0121】
第1のエリアには、車両110、113、114および115が存在する。第2のエリアには、車両111が存在する。第3のエリアには、車両116が存在する。これらの車両には、後述する不図示の無線端末装置300cがそれぞれ搭載されているものとする。
【0122】
次いで、実施の形態4に係る無線制御装置200cの構成について説明する。
図19は、無線制御装置200cの構成の一例を示すブロック図である。
図19に示されるように、
図2の構成に加えて、無線制御装置200cは、さらにフレーム規定部600、電力測定部601、空きスロット特定部602および衝突スロット特定部603を備える。電力測定部601は、半導体装置230cに含まれる。フレーム規定部600、空きスロット特定部602および衝突スロット特定部603は、半導体装置230cの処理部250cに含まれる。
【0123】
フレーム規定部600は、制御情報生成部252c、送受信制御部251c、電力測定部601、空きスロット特定部602および衝突スロット特定部603に接続される。フレーム規定部600は、送信フレームを第1の期間および第2の期間に分割し、さらに第1の期間を複数のスロットに分割する。第1の期間、第2の期間およびスロットの長さは、所定の長さを有した期間として規定される。フレーム規定部600は、第1の期間および第2の期間の長さに関する情報、スロットの長さおよび数に関する情報などからなるフレーム構成情報を、制御情報生成部252c、送受信制御部251c、電力測定部601、空きスロット特定部602および衝突スロット特定部603へ出力する。
【0124】
電力測定部601は、受信回路242、空きスロット特定部602および衝突スロット特定部603に接続される。電力測定部601は、受信回路242を経由して、アンテナ210で受信した信号を受け取り、受信電力を測定する。受信電力の測定は、フレーム規定部600から受け取ったフレーム構成情報に基づき、第1の期間においてスロット単位に測定される。スロット単位で測定された受信電力は、空きスロット特定部602および衝突スロット特定部603に出力される。
【0125】
空きスロット特定部602は、スロット単位で測定された受信電力と予め保持された空きスロット用しきい値を比較する。空きスロット特定部602は、受信電力が空きスロット用しきい値よりも小さくなっているスロットを、データの送信に使用されていないスロットであると判断し、空きスロットとして特定する。空きスロット特定部602は、制御情報生成部252cに接続され、フレーム規定部600から受け取ったフレーム構成情報を参照して、空きスロットとして特定したスロットのスロット番号を、空きスロット情報として制御情報生成部252cへ出力する。なお、第1の期間に含まれる複数のスロットは、前から順番に番号(スロット番号)が付されているものとする。
【0126】
衝突スロット特定部603は、ベースバンド部245に接続され、ベースバンド部245から出力された復調結果から、公知の技術を使用して第1の期間における複数のスロットのそれぞれに対する信号品質(誤り率)を測定する。衝突スロット特定部603は、電力測定部601から受け取った受信電力と測定した誤り率とを関連付け、スロット単位で、受信電力と予め保持された第1の衝突スロット用しきい値とを比較するとともに、誤り率と予め保持された第2の衝突スロット用しきい値とを比較する。衝突スロット特定部603は、受信電力が第1の衝突スロット用しきい値よりも大きく、かつ、誤り率が第2の衝突スロット用しきい値よりも悪化しているスロットを、2つ以上のデータの送信に使用されているスロットであると判断し、衝突スロットとして特定する。衝突スロット特定部603は、制御情報生成部252cに接続され、フレーム規定部600から受け取ったフレーム構成情報を参照して、衝突スロットとして特定したスロットのスロット番号を、衝突スロット情報として制御情報生成部252cへ出力する。
【0127】
制御情報生成部252cは、フレーム規定部600から受け取ったフレーム構成情報、空きスロット特定部602から受け取った空きスロット情報および衝突スロット特定部603から受け取った衝突スロット情報を含めて制御情報を生成し、生成した制御情報を送受信制御部251cに送る。
【0128】
送受信制御部251cは、フレーム構成情報を参照して、制御情報を第1の期間に含まれる先頭スロット(スロット番号0)に割り当てる。送受信制御部251cは、スロット番号0にて、制御情報をベースバンド部245へ出力する。
【0129】
次いで、実施の形態4に係る無線端末装置300cの構成について説明する。
図20は、実施の形態4に係る無線端末装置300cの構成の一例を示すブロック図である。
図20に示されるように、
図4の構成に加えて、無線端末装置300cは、さらに電力測定部700およびエリア決定部701を備える。電力測定部700およびエリア決定部701は、半導体装置330cの処理部350cに含まれる。
【0130】
電力測定部700は、受信回路342およびエリア決定部701に接続される。電力測定部700は、受信回路342を経由して、アンテナ310で受信した信号を受け取り、受信電力を測定する。測定された受信電力は、エリア決定部701に出力される。
【0131】
エリア決定部701は、電力測定部700から受け取った受信電力と予め保持されたエリア決定用しきい値とを比較し、無線端末装置300cが搭載された自車両が、第1のエリアもしくは第2のエリアのいずれかに位置しているのかを決定する。例えば、受信電力がエリア決定用しきい値以上であれば、自車両が第1のエリアに位置すると判断される。一方、受信電力がエリア決定用しきい値未満であれば、自車両が第2のエリアに位置すると判断される。また、エリア決定部701は、送受信制御部351cに接続され、決定したエリア(エリア情報)を送受信制御部351cへ出力する。
【0132】
制御情報抽出部352cは、制御情報に含まれるフレーム構成情報、空きスロット情報および衝突スロット情報を抽出する。抽出されたこれらの情報は、生成したタイミング調整情報に含めて、送受信制御部351cに出力される。
【0133】
送受信制御部351cは、エリア情報に基づいて、データ送信を行う期間として、第1の期間もしくは第2の期間のいずれかを選択する。送受信制御部351cは、第1の期間でのデータ送信を選択した場合、空きスロット情報を参照して、空きスロットの1つを選択する。送受信制御部351cは、フレーム構成情報を参照して、選択した空きスロットに送信データを割り当てる。送受信制御部351cは、選択した空きスロットにて、送信データをベースバンド部345へ出力する。送受信制御部351cは、選択した空きスロットの情報を保持しておき、次の送信フレームの第1の期間においても、同一のスロット番号のスロットにて、送信データを出力する。
【0134】
また、送信制御部351cは、衝突スロット情報を参照して、現在使用中のスロットに対応したスロット番号が衝突スロットに特定されていないかを確認する。現在使用中のスロットが衝突スロットとして特定されていた場合、送信制御部351cは、空きスロット情報を参照して、空きスロットの1つを選択し直す。
【0135】
一方、送受信制御部351cは、第2の期間でのデータ送信を選択した場合、タイミング調整情報に基づいて、第2の期間を使用して、送信データをベースバンド部345へ出力する。第2の期間を使用してのデータ送信は、実施の形態1でのデータ送信と同様に行われる。
【0136】
次いで、
図21を参照して、実施の形態4に係る無線端末装置300cの送信動作について説明する。
図21は、無線端末装置300cの送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
図21の横方向は、時間に相当し、第n~第n+3の4つの送信フレームが示されている。
図21の縦方向には、スロット情報、無線制御装置200cの送信データ(制御情報)、車両110、113および114に搭載された無線端末装置300cの送信データ(車両110、113および114の送信データ)が示されている。ここでは、車両110および113に搭載された無線端末装置300cは、自車両の第1および第2の車両情報に基づいて、N値を1に設定している。そのため、車両110および113に搭載された無線端末装置300cの送信データの送信周期は、送信フレームの送信周期(基本送信周期)と同じとなる。また、車両114に搭載された無線端末装置300cは、自車両の第1および第2の車両情報に基づいて、N値を2に設定している。そのため、車両114に搭載された無線端末装置300cの送信データの送信周期は、送信フレームの送信周期の2倍となる。
【0137】
図21に示されるように、各送信フレームは、第1の期間(T1)と第2の期間(T2)を含み、さらに第1の期間は、i+1個のスロットを含む。各送信フレームの第1の期間における先頭スロット(スロット番号0)は、無線制御装置200cが制御情報を送信するために使用される。各送信フレームに描かれているスロット情報は、同一の送信フレームの先頭スロットで送信される制御情報に含まれる情報であるため、当該スロット情報は、直前の送信フレームにおけるスロット情報に対応している。スロット情報として、梨地塗りされているスロットは、空きスロットを示し、色塗りされているスロットは、衝突スロットを示し、空欄のスロットは、使用済スロットを示すものとする。また、
図18に示されるように、車両110、113および114は、いずれも第1のエリアに位置するため、これらの車両に搭載された無線端末装置300cは、第1の期間を使用してデータ送信を実行する。
【0138】
第n送信フレームにおいて、車両110に搭載された無線端末装置300cは、データ送信に使用するスロットとして、制御情報に含まれる空きスロット情報を参照してスロット番号2を選択し、データ送信を行う。車両113および114に搭載された無線端末装置300cは、空きスロットの中からスロット番号5を選択し、データ送信を行う。車両110、113および114に搭載された無線端末装置300cは、データ送信に使用したスロット番号をそれぞれ保持しておく。
【0139】
第n+1送信フレームにおいて、車両110、113および114に搭載された無線端末装置300cは、制御情報に含まれる衝突スロット情報を参照し、現在使用中のスロット番号が衝突スロットとして特定されているか否かを確認する。ここでは、車両110に搭載された無線端末装置300cは、現在使用中のスロット番号が衝突スロットとして特定されていないことを確認し、設定されたN値(N=1)に基づき、スロット番号2を使用して、データ送信を行う。一方、車両113および114に搭載された無線端末装置300cは、制御情報に含まれる衝突スロットの情報から、現在使用中のスロットが衝突スロットとして特定されていることを認識する。そこで、車両113に搭載された無線端末装置300cは、制御情報に含まれる空きスロット情報を参照し、データ送信として使用するスロットの選び直しを行う。車両113に搭載された無線端末装置300cは、スロット番号4を再選択し、データ送信を行う。車両114に搭載された無線端末装置300cも同様に、スロット番号6を再選択し、データ送信を行う。
【0140】
第n+2送信フレームにおいて、車両110に搭載された無線端末装置300cは、設定されたN値(N=1)に基づき、継続してスロット番号2を使用して、データ送信を行う。車両113および114に搭載された無線端末装置300cは、制御情報に含まれる衝突スロット情報を参照し、現在使用中のスロット番号が衝突スロットとして特定されているか否かを確認する。ここでは、車両113および114に搭載された無線端末装置300cは、現在使用中のスロット番号4および6が衝突スロットとして特定されていないことを確認する。車両113に搭載された無線端末装置300cは、設定されたN値(N=1)に基づき、現在使用中のスロット番号4を使用して、データ送信を行う。一方、車両114に搭載された無線端末装置300cは、N値を2に設定しているため、本送信フレームでのデータ送信を実行しない。
【0141】
第n+3送信フレームにおいて、車両110に搭載された無線端末装置300cは、設定されたN値(N=1)に基づき、継続してスロット番号2を使用して、データ送信を行う。車両113および114に搭載された無線端末装置300cも、設定されたN値(N=1、2)に基づき、継続してスロット番号4および6を使用して、データ送信を行う。
【0142】
実施の形態4によれば、無線端末装置300cは、送信フレームの第1の期間に含まれるスロットを使用して、データ送信を行うことができる。このとき、無線端末装置300cの送信データの送信周期は、車両情報に基づいて決定されるため、交差点のような多くの車両が集中する場所でも、帯域に余裕をもった無線通信が実現可能となる。
【0143】
なお、実施の形態4では、実施の形態1と特許文献1に開示された技術との組み合わせについて説明を行ったが、実施の形態2もしくは3と特許文献1に開示された技術との組み合わせについても可能である。特に、
図18において第3のエリアに位置する車両116は、無線制御装置200cからの送信される送信フレーム(制御情報)を受信することができない。そのため、車両116に搭載される無線端末装置300cは、実施の形態2に係る無線端末装置300aの制御情報監視部400の機能を組み合せることで、無線制御装置200cからの送信フレームを受信できない状況でも、データ送信の処理を行うことができる。
【0144】
また、実施の形態4では、無線制御装置200cは、フレーム構成情報を制御情報に含めて、無線端末装置300cに送信するとしたが、第1の期間やスロットの長さ、スロットの数などの通信プロトコルが予め決められているシステムの場合には、無線制御装置200cは、フレーム構成情報を無線端末装置300cへ送信する必要はない。
【0145】
[実施の形態4の変形例]
次いで、実施の形態4の変形例を説明する。上述した実施の形態4では、第1の期間をさらに優先端末期間と非優先端末期間に分割する。優先端末期間では、N値が1に設定されている無線端末装置300cがデータ送信を行うものとし、非優先端末期間では、N値が1より大きな値に設定されている無線端末装置300cがデータ送信を行うものとする。
【0146】
実施の形態4の変形例に係る無線制御装置200cでは、フレーム規定部600が第1の期間をさらに優先端末期間と非優先端末期間に分割する。フレーム規定部600は、優先端末期間および非優先端末期間の長さもしくはそれらの期間に含まれるスロットの数に関する情報を含めて、フレーム構成情報を生成する。
【0147】
実施の形態4の変形例に係る無線端末装置300cでは、送受信制御部351cは、エリア情報に基づいて第1の期間でのデータ送信を選択した場合、さらに周期決定部355から出力されるN値を参照して、優先端末期間もしくは非優先端末期間のいずれかを選択する。N値が1である場合、優先端末期間が選択され、N値が1より大きい値の場合、非優先端末期間が選択される。実施の形態4の変形例における第1の期間の優先端末期間でのデータ送信の動作は、実施の形態4における第1の期間でのデータ送信の動作と同じとなる。しかし、実施の形態4の変形例における第1の期間の非優先端末期間でのデータ送信の動作は、スロットの衝突が生じた場合に、実施の形態4における第1の期間でのデータ送信の動作と異なる。
【0148】
図22は、実施の形態4の変形例に係る無線端末装置300cの送信動作の一例を示すタイミングチャートである。
図22の横方向は、時間に相当し、第n~第n+5の6つの送信フレームが示されている。
図22の縦方向には、スロット情報、車両114および115に搭載された無線端末装置300cの送信データ(車両114および115の送信データ)が示されている。ここでは、車両114に搭載された無線端末装置300cは、自車両の第1および第2の車両情報に基づいて、N値を2に設定している。そのため、車両114に搭載された無線端末装置300cの送信データの送信周期は、送信フレームの送信周期の2倍となる。また、車両115に搭載された無線端末装置300cは、自車両の第1および第2の車両情報に基づいて、N値を3に設定している。そのため、車両115に搭載された無線端末装置300cの送信データの送信周期は、送信フレームの送信周期の3倍となる。
【0149】
図22に示されるように、各送信フレームは、第1の期間(T1)と第2の期間(T2)を含み、さらに第1の期間は、優先端末期間(T11)と非優先端末期間(T12)とに分割されている。優先端末期間には、k+1個のスロットが含まれ、非優先端末期間には、j+1個のスロットが含まれる。スロット情報の表記については、
図21と同様である。また、
図18に示されるように、車両114および115は、いずれも第1のエリアに位置する。また、車両114および車両115に搭載された無線端末装置300cは、いずれもN値を1よりも大きい値に設定しているため、これらの車両114,115に搭載された無線端末装置300cは、第1の期間の非優先端末期間を使用してデータ送信を実行する。
【0150】
第n送信フレームにおいて、車両114および115に搭載された無線端末装置300cは、空きスロット情報を参照して、スロット番号1を選択し、データ送信を行う。
【0151】
第n+1送信フレームにおいて、車両114および115に搭載された無線端末装置300cは、衝突スロット情報から現在使用中のスロットが衝突スロットとして特定されていることを認識する。実施の形態4では、スロットの衝突を認識した場合には、即座に空きスロット情報を参照して、データ送信を行うスロットの選び直しが行われた。しかし、実施の形態4の変形例では、同じスロットを使ってのデータ送信の回数がN値と同じになるまで、同じスロットでのデータ送信が試みられる。そのため、スロットの衝突を認識したのにもかかわらず、車両114および115に搭載された無線端末装置300cは、現在使用中のスロット番号1を再度使用する。
【0152】
第n+2送信フレームにおいて、車両114および115に搭載された無線端末装置300cは、衝突スロット情報を参照して、使用中のスロットが衝突スロットであることを再び認識する。このとき、車両114に搭載された無線端末装置300cでは、N値が2であり、同じスロットでのデータ送信回数と一致する。そのため、車両114に搭載された無線端末装置300cは、空きスロット情報を参照して、データ送信として使用するスロットの選び直しを行う。車両114に搭載された無線端末装置300cは、スロット番号3を再選択し、データ送信を行う。一方、車両115に搭載された無線端末装置300cは、N値が3であり、同じスロットでのデータ送信回数2と一致しないため、再び同じスロット(スロット番号1)でのデータ送信を試みる。
【0153】
第n+3送信フレームにおいて、車両114および115に搭載された無線端末装置300cは、衝突スロット情報を参照し、現在使用中のスロット番号が衝突スロットとして特定されているか否かを確認する。ここでは、車両114および115に搭載された無線端末装置300cは、現在使用中のスロット番号3および1が衝突スロットとして特定されていないことを確認するが、N値を2および3に設定しているため、本送信フレームでのデータ送信を実行しない。
【0154】
第n+4送信フレームにおいて、車両114に搭載された無線端末装置300cは、設定されたN値(N=2)に基づき、現在使用中のスロット番号3を使用して、データ送信を行う。一方、車両115に搭載された無線端末装置300cは、N値を3に設定しているため、本送信フレームでのデータ送信を実行しない。
【0155】
第n+5送信フレームにおいて、車両114に搭載された無線端末装置300cは、衝突スロット情報を参照し、現在使用中のスロット番号が衝突スロットとして特定されているか否かを確認する。ここでは、車両114に搭載された無線端末装置300cは、現在使用中のスロット番号3が衝突スロットとして特定されていないことを確認するが、N値を2に設定しているため、本送信フレームでのデータ送信を実行しない。車両115に搭載された無線端末装置300cは、空きスロット情報を参照して、現在使用中のスロット(スロット番号1)が空きスロットであるか否かを確認する。ここでは、車両115に搭載された無線端末装置300cは、空きスロット情報からスロット番号1が空きスロットであることを確認し、設定されたN値(N=3)に基づき、スロット番号1を使用して、データ送信を行う。もし、ここで、スロット番号1が空きスロットでなかった場合には、車両115に搭載された無線端末装置300cは、空きスロット情報を参照して、空きスロットの再選択を行う。
【0156】
実施の形態4の変形例によれば、第1の期間の非優先端末期間においてスロットの衝突が発生した場合でも、無線端末装置300cは、同じスロットでの連続したデータ送信の回数がN値に一致するまで、同じスロットでのデータ送信を繰り返す。この方法によれば、非優先端末期間では、無線端末装置300cは、N値と同じ回数、同じスロットでの送信ができない場合もある。しかし、このときには、無線端末装置300cは、送信フレームの送信周期のN倍でデータ送信を行う設定とされており、たとえN値と同じ回数失敗したとしても、その影響は少ない。
【0157】
また、実施の形態4の変形例では、第1の期間は、優先端末期間と非優先端末期間とに分割され、N値が1に設定されている無線端末装置300cは、優先端末期間を使用して優先的にデータ送信を実行できるようにされている。すなわち、より情報発信の優先度の高い車両からの通信の機会が、十分に確保される。
【0158】
なお、無線制御装置200cは、優先端末期間および非優先端末期間におけるスロットの使用率を把握できる構成であるため、優先端末期間のスロットが足りない場合には、優先端末期間のスロットを増やすようにスロット数を調整する、もしくは、非優先端末期間の空きスロットを利用してデータ送信を行う、といった対応が可能である。また、無線制御装置200cは、非優先端末期間のスロットが足りない場合には、第2の期間を利用して、データ送信することも可能である。
【0159】
また、実施の形態1~4では、無線端末装置300が車両に搭載されていると説明したが、ここでいう車両に搭載するとは、無線端末装置300が車両本体に部品の一部として組み込まれている態様に限定されない。例えば、実施の形態1~4の機能を実現するアプリケーションソフトが動作可能なスマートフォンなどのモバイル端末を車両に持ち込まれる態様も含まれてもよい。
【0160】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0161】
100、100c:通信システム、110、111、113~116:車両、120:信号機、130:交差部分、140、141:境界、200、200b、200c:無線制御装置、210、310:アンテナ、220、320:RF部、221、321:RFスイッチ、222、223、322、323:BPF、224、324:PA、225、325:LNA、230、230c、330、330c:半導体装置、240、340:通信部、241、341:送信回路、242、342:受信回路、243、343:D/A、244、344:A/D、245、345:ベースバンド部、250、250b、250c、350、350a、350b、350c:処理部、251、251c、351,351c:送受信制御部、252、252b、252c:制御情報生成部、253、358:送信制御部、254、359:受信制御部、255:送信タイミング制御部、256:周期カウンタ、260、360:記憶部、300、300a、300b、300c:無線端末装置、352、352c:制御情報抽出部、353:第1の車両情報取得部、354:第2の車両情報取得部、355、355b:周期決定部、356:送信データ生成部、357:送信タイミング制御部、370:I/F部、380:ECU装置、381:GPSモジュール、382:通信モジュール、383:カメラモジュール、390:送信制御カウンタ、391:補正値読み出し部、392、392b:N値決定部、400:制御情報監視部、401:監視カウンタ、500:チャネル監視部、501:ビジー状態カウント部、502:チャネル使用率算出部、600:フレーム規定部、601、700:電力測定部、602:空きスロット特定部、603:衝突スロット特定部、701:エリア決定部