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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】放射線撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/16 20060101AFI20220823BHJP
   G01T 1/169 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G01T1/16 A
G01T1/169 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018568299
(86)(22)【出願日】2017-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 GB2017051933
(87)【国際公開番号】W WO2018002655
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-04-08
(31)【優先権主張番号】1611506.5
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513201572
【氏名又は名称】クリエイト テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREATE TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】メラー マシュー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ネピア アシュリー
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-151884(JP,A)
【文献】特表2001-512570(JP,A)
【文献】特表2005-510742(JP,A)
【文献】特開2014-062797(JP,A)
【文献】特開2014-071013(JP,A)
【文献】特開2014-145628(JP,A)
【文献】特開2016-080529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0256080(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0043471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/16
G01T 1/169
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式の放射線撮像装置であって、
実際の構造物を撮像するように構成された光学撮像装置と、
固定基準フレームとしての前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するように構成された位置及び配向検出器と、
電離放射線を検出するように構成された放射線検出器と、
前記放射線検出器によって検出された前記電離放射線のデータと、前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の前記位置及び配向のデータとの組み合わせに基づいて、放射線源の分布を特定するように構成された放射線源特定部と、
前記光学撮像装置によって撮像された前記実際の構造物の光学画像と、前記放射線源特定部からのデータに基づく前記放射線源の分布を表すオーバーレイ画像とを含む合成画像のためのデータを生成するように構成された画像生成器と、
を備え
前記位置及び配向検出器は、前記放射線撮像装置から実際の構造物までの距離の距離データを少なくとも2次元で測定するように構成された距離センサを含み、
前記放射線撮像装置は、固定基準フレームとしての前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の瞬間的位置を少なくとも2次元で特定するために、前記測定された距離データを基準距離データに整合させるように構成された処理ユニットを含み、
前記処理ユニットは、一定期間にわたる前記放射線撮像装置の位置及び/又は配向の変化を測定するために、前記測定された距離データを前回測定された距離データと最適に整合させる並進及び回転を計算するように構成されている、
ことを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
前記放射線検出器は、電離放射線のエネルギーの大きさを測定するように構成され、
前記放射線源特定部は、前記放射線源の放射能を特定するように構成されている、
請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
前記画像生成器は、前記放射線源特定部からのデータに基づく前記放射線源の放射能を前記オーバーレイ画像が表すような前記合成画像のためのデータを生成するように構成されている、
請求項2に記載の放射線撮像装置。
【請求項4】
電離放射線を平行にするように構成されたコリメータを含み、
前記放射線検出器は、前記コリメータによって平行にされた電離放射線を検出するように構成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項5】
前記放射線検出器は、電離放射線を検出するように構成されたコンプトンカメラである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項6】
前記処理ユニットは、調査領域の少なくとも2次元のモデルを構築するために、前記測定された距離データを前記基準距離データにリアルタイムで整合させるように構成されている、
請求項に記載の放射線撮像装置。
【請求項7】
前記モデルをユーザに表示するように構成されたディスプレイを備える、
請求項に記載の放射線撮像装置。
【請求項8】
前記固定基準フレーム内における前記放射線撮像装置の前記瞬間的位置を示す情報をユーザに出力するように構成されたディスプレイを備えている、
請求項1又は6に記載の放射線撮像装置。
【請求項9】
前記画像生成器によって生成された前記データに基づいて前記合成画像を表示するように構成されたディスプレイを備えている、
請求項1からのいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項10】
前記画像生成器によって生成された前記データを外部装置に出力するように構成された画像データ出力装置を備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項11】
前記位置及び配向検出器は、LIDAR、SONAR又はRADARを用いて前記放射線撮像装置の前記瞬間的位置を特定するように構成されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項12】
前記画像生成器は、前記光学画像が前記光学撮像装置によって撮像された前記実際の構造物のリアルタイム光学画像であるような前記合成画像のためのデータを生成するように構成されている、
請求項1から11のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項13】
前記放射線源特定部は、前記放射線検出器によって既に検出されてローカルメモリに記憶されている電離放射線のデータに少なくとも部分的に基づいて前記放射線源の分布を特定するように構成されている、
請求項1から12のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項14】
前記画像生成器は、前記放射線検出器によって検出された放射線のデータを前記放射線源特定部がさらに多く使用して前記放射線源の分布を特定する際に前記オーバーレイ画像が追加されるような前記合成画像のためのデータを生成するように構成されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項15】
前記位置及び配向検出器からのデータに基づいて前記実際の構造物の3Dモデルを定めるように構成された3Dモデル生成器を備えている、
請求項1から14のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項16】
前記放射線源は、3Dモデルにおける前記実際の構造物の表面に制限されているものとして定められる、
請求項1から15のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項17】
前記放射線撮像装置は、ポータブルである、
請求項1から16のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項18】
前記放射線撮像装置は、ハンドヘルド型である、
請求項1から17のいずれか一項に記載の放射線撮像装置。
【請求項19】
放射線撮像法であって、
実際の構造物の光学画像を提供する移動式の放射線撮像装置を用いて前記実際の構造物を撮像するステップと、
固定基準フレームとしての前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するステップと、
前記放射線撮像装置を用いて電離放射線を検出するステップと、
放射線検出器によって検出された前記電離放射線のデータと、前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の前記位置及び配向のデータとの組み合わせに基づいて、放射線源の分布を特定するステップと、
前記実際の構造物の前記光学画像と、前記放射線源の前記分布の前記特定に基づく前記放射線源の前記分布を表すオーバーレイ画像とを含む合成画像のためのデータを生成するステップと、
を含み、
前記放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するステップは、前記放射線撮像装置から実際の構造物までの距離の距離データを少なくとも2次元で測定するステップを含み、
前記放射線撮像法は、固定基準フレームとしての前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の瞬間的位置を少なくとも2次元で特定するために、前記測定された距離データを基準距離データに整合させるステップを含み、
前記測定された距離データを基準距離データに整合させるステップは、一定期間にわたる前記放射線撮像装置の位置及び/又は配向の変化を測定するために、前記測定された距離データを前回測定された距離データと最適に整合させる並進及び回転を計算するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
コンピュータ実行可能コードを含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ実行可能コードは、コンピュータシステム上で実行された時に、該コンピュータシステムに、
実際の構造物を撮像して該実際の構造物の光学画像を提供するステップと、
固定基準フレームとしての前記実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するステップと、
電離放射線を検出するステップと、
前記電離放射線のデータと、前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の前記位置及び配向のデータとの組み合わせに基づいて、放射線源の分布を特定するステップと、
前記実際の構造物の前記光学画像と、前記放射線源の前記分布の前記特定に基づく前記放射線源の前記分布を表すオーバーレイ画像とを含む合成画像のためのデータを生成するステップと、
を含む放射線撮像法を、移動式の放射線撮像装置からデータを転送することにより実行させ
前記放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するステップは、前記放射線撮像装置から実際の構造物までの距離の距離データを少なくとも2次元で測定するステップを含み、
前記放射線撮像法は、固定基準フレームとしての前記実際の構造物に対する前記放射線撮像装置の瞬間的位置を少なくとも2次元で特定するために、前記測定された距離データを基準距離データに整合させるステップを含み、
前記測定された距離データを基準距離データに整合させるステップは、一定期間にわたる前記放射線撮像装置の位置及び/又は配向の変化を測定するために、前記測定された距離データを前回測定された距離データと最適に整合させる並進及び回転を計算するステップを含む、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮像装置、放射線撮像方法及びコンピュータプログラムに関する。具体的には、本発明の実施形態は、核施設などの領域内で空間的に記録された平行放射線測定値の収集、解析、及び施設内の放射線源の分布の識別を行う自律的なポータブル放射線モデリングツールに関する。
【背景技術】
【0002】
放射性物質を収容する施設を稼働又は閉鎖する際には、環境及びその環境に進入するあらゆる人々に対する放射能の影響を割り出すことができるように、しばしばその物質の分布を理解することが必要である。このような施設の物理的特性を求める必要があることも多い。通常、この情報を求めるための従来法は大型の設備を必要とし、施設周辺の様々な位置におけるマーカー又は固定基準点などの外部基準に依拠する。この方法は、潜在的に汚染された環境では認められず又は実際的でないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許第2074442号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、調査中の施設とは完全に無関係な、いずれの外部入力又は外部基準にも依拠せずに展開できる形で空間データと放射線データの両方を収集する装置及び方法を提供することによってこの問題を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明の1つの態様は、放射線撮像装置であって、
実際の構造物を撮像するように構成された光学撮像装置と、
固定基準フレームとしての実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するように構成された位置及び配向検出器と、
電離放射線を検出するように構成された放射線検出器と、
放射線検出器によって検出された平行電離放射線のデータと、実際の構造物に対する放射線撮像装置の位置及び配向のデータとの組み合わせに基づいて放射線源の分布を特定するように構成された放射線源特定部と、
光学撮像装置によって撮像された実際の構造物の光学画像と、放射線源特定部からのデータに基づく放射線源の分布を表すオーバーレイ画像とを含む合成画像のためのデータを生成するように構成された画像生成器と、
を含む放射線撮像装置を提供する。
【0006】
本発明の別の態様は、放射線撮像法であって、
実際の構造物の光学画像を提供する放射線撮像装置を用いて実際の構造物を撮像するステップと、
固定基準フレームとしての実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するステップと、
放射線撮像装置を用いて電離放射線を検出するステップと、
放射線検出器によって検出された平行電離放射線のデータと、実際の構造物に対する放射線撮像装置の位置及び配向のデータとの組み合わせに基づいて放射線源の分布を特定するステップと、
実際の構造物の光学画像と、放射線源の分布の特定に基づく放射線源の分布を表すオーバーレイ画像とを含む合成画像のためのデータを生成するステップと、
を含む方法を提供する。
【0007】
コンピュータ実行可能コードを含むコンピュータプログラムであって、コンピュータ実行可能コードが、コンピュータシステム上で実行された時に、コンピュータシステムに、
実際の構造物を撮像して実際の構造物の光学画像を提供するステップと、
固定基準フレームとしての実際の構造物に対するコンピュータシステムの瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するステップと、
電離放射線を検出するステップと、
平行電離放射線のデータと、実際の構造物に対するコンピュータシステムの位置及び配向のデータとの組み合わせに基づいて放射線源の分布を特定するステップと、
実際の構造物の光学画像と、放射線源の分布の特定に基づく放射線源の分布を表すオーバーレイ画像とを含む合成画像のためのデータを生成するステップと、
を含む放射線撮像法を実行させるコンピュータプログラムを提供する。
【0008】
従属請求項には、本発明の他の任意の態様を規定する。
【0009】
本発明の実施形態は、調査中の施設とは無関係な、いずれの外部入力又は外部基準にも依拠せずに展開できる形で空間データと放射線データの両方を収集できるようにする。
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態をほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による放射線撮像装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態による放射線撮像装置のLIDARの走査面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本発明の実施形態による放射線撮像装置を概略的に示す。この放射線撮像装置は、空間的に記録された放射線測定値を収集する方法において使用することができる。
【0013】
任意に、この放射線撮像装置は、放射線検出器7を含む。任意に、放射線検出器7は、電離放射線を検出するように構成される。放射線検出器7は、電離放射線のレベルを測定する手段である。任意に、放射線検出器7は、平行電離放射線の大きさを測定するように構成される。
【0014】
任意に、放射線撮像装置は、位置及び配向検出器1~3を含む。任意に、位置及び配向検出器1~3は、固定基準フレームとしての実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的位置及び配向を6自由度で特定するように構成される。しかしながら、位置及び配向検出器1~3が放射線撮像装置の位置及び配向を6自由度で特定することは必須ではない。位置及び配向検出器1~3は、放射線撮像装置を取り囲む実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的位置を少なくとも2次元で特定する手段である。従って、位置及び配向検出器1~3は、放射線撮像装置の位置を2自由度、3自由度、4自由度又は5自由度で検出することもできる。
【0015】
任意に、放射線撮像装置は、光学撮像装置12を含む。光学撮像装置12は、実際の構造物を撮像するように構成される。位置及び配向検出器1~3及び光学撮像装置12を含む放射線撮像装置は、放射線撮像装置が範囲内をあちこち移動するにつれて3Dモデルを生成できるように空間データを連続記録する手段である。
【0016】
放射線データ及び幾何学的データの測定は、実際の構造物に対する放射線撮像装置の位置及び配向を正確に定めるのに必要な6自由度を特定するように構成されたセンサの組み合わせを用いて行われる。図1に示すように、放射線撮像装置の位置及び配向検出器1~3は、任意に2つの距離センサ1、2と配向検出器3とを含む。しかしながら、これは必ずしもそうでなくてもよい。別の実施形態では、放射線撮像装置の位置及び配向検出器1~3が、1つの距離センサ1のみ、又は2つよりも多くの距離センサを含む。
【0017】
各距離センサ1、2は、放射線撮像装置から実際の構造物までの距離の距離データを少なくとも2次元で測定するように構成される。この距離データは、固定基準フレームとしての実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的位置を少なくとも2次元で特定するアルゴリズムによって解釈される。距離センサ1、2は、実際の構造物に対する放射線撮像装置の位置を特定するアルゴリズムを実行するソフトウェアを兼ね備える。従って、各放射線測定が既知の位置で行われる。ソフトウェアは、位置及び配向検出器1~3の一部を構成する。任意に、ソフトウェアは、放射線撮像装置の処理ユニット4内に具現化される。
【0018】
各距離センサ1、2は、放射線撮像装置から壁などの実際の物体までの距離(すなわち、範囲)を測定するように構成される。距離センサ1、2は、放射線撮像装置が実際の構造物から異なる方向にどれほど離れているかに関する時変距離データを測定するように構成される。具体的に言えば、第1の距離センサ1は、実際の物体までの距離をXY平面において測定するように構成される。その後、この距離データを用いて、実際の物体に対する放射線撮像装置の位置を特定する。この特定は、距離データを実際の構造物に関する既知の情報に整合(aligning)させることによって行うことができる。
【0019】
例えば、距離データは、放射線撮像装置からある部屋の一連の地点までの距離に関する情報を提供することができる。その後、その部屋の地図に距離データを整合させることによって放射線撮像装置の位置を特定することができる。部屋の地図は、実際の構造物のレイアウトに関する既知の情報の一例である。従って、測定された距離データは、実際の構造物に対する位置情報を提供するように解釈される。この解釈は、距離データを基準距離データ(例えば、地図)に整合させることによって放射線撮像装置の動きを推定するように構成されたアルゴリズムを実行するソフトウェアによって行われる。
【0020】
測定された距離データを基準距離データ(例えば、実際の構造物の地図)に整合させることによって、固定基準フレームとしての実際の構造物に対する放射線撮像装置の位置を特定することができる。この方法は、GPS、ラジオビーコン法及びQRコード(登録商標)リーダなどの他の位置検出手段とは異なる。GPS、ラジオビーコン法及びQRコード(登録商標)リーダは、別の座標系内の既知の位置を有する衛星、ビーコン又はQRコード(登録商標)までの距離を測定することに依拠する。この座標系内で複数の衛星、ビーコン又はQRコード(登録商標)までの距離を測定し、リーダの位置を特定する方程式を解くことによって、リーダの位置を特定することができる。これらの方法は、測定された衛星、ビーコン又はQRコード(登録商標)までの距離を基準距離データに整合させるものではない。
【0021】
本発明では、位置特定の目的で実際の物体を設置する必要がない。具体的に言えば、本発明は、いかなる衛星、ビーコン又はQRコード(登録商標)も必要としない。実際の構造物は、衛星、ビーコン又はQRコード(登録商標)ではない。代わりに、そこにちょうど存在する物体までの距離を各距離センサ1、2が測定する。別の座標系内の物体の位置は分からなくてもよい。実際の構造物自体が固定基準フレームになるように、測定された距離データを基準距離データに整合させる。
【0022】
距離データの整合は、現在の距離データと1又は2以上の基準距離データ例との間の変換を計算できるいずれかのアルゴリズムによって行うことができる。本出願では、放射線測定装置の物理的空間及び電力要件を低く保つことができるように、このようなアルゴリズムが計算要件を最小限に保つように設計されることが好ましい。水平面距離データを整合させるのに特に適したアルゴリズムについて説明する。
【0023】
1)(現在の又は基準の)水平面距離データの各例は、基準データとの比較よりもむしろデータの固有特性に基づいて「回転正規化」されたものである。これにより、整合問題空間の次元が3次元(X、Y、シータ)から2次元(X、Y)に低減される。人為的環境における固有配向を測る正しい尺度は、回転候補を適用して距離データのX値及びY値の1次元ヒストグラムHを計算した後に、(Hの和にHの自然対数を乗じることによって近似させた)このヒストグラムのエントロピーを計算することである。固有配向は、エントロピースコアを最小化するものである。なお、この配向尺度は90度の回転まで不変であるため、90度の配向範囲にわたってサーチすればよい。
【0024】
2)次に、現在の距離データのX及びYヒストグラムと基準距離データのX及びYヒストグラムとを比較することによって2次元サーチを2つの1次元サーチに低減することができる。現在のデータのX軸を基準走査に整合させるには、Xoに対するF(Rx(X)、Cx(X+Xo))の最大値をサーチすれば十分であり、ここでのFは、ヒストグラムの整合時に出力が最大になる類似性尺度関数であり、Rx(X)は、基準データのX値のヒストグラムであり、Cx(X)は、現在のデータのヒストグラムであり、Xoは、基準データと現在のデータとの間のXオフセットの候補値である。Fは、ヒストグラム間又は確率分布間のあらゆる類似性尺度とすることができ、最も単純な方法は、2つの入力ヒストグラムのドット積である。この方法は計算コストが低いので、一般にしらみつぶしサーチ(exhaustive search)によってF(Rx(i)、Cx(i+Xo))を最大化することができる。なお、90度回転に関する配向正規化ステップの対称性に起因して、基準データと現在のデータとの間には90度の倍数の配向シフトが存在し得るので、Cx(i)をRx(i)と比較し、Cy(i)をRy(i)と比較するだけでは不十分である。これは、考えられる4つの配向全てを個別に整合させ、整合スコアが最も高い配向を真の配向として採用することによって解決することができる。これらの4つの整合は、Cx(i)をRx(i)と比較してCy(i)をRy(i)と比較し、Cx(i)をRy(i)と比較してCy(i)をRx(-i)と比較し、Cx(i)をRx(-i)と比較してCy(i)をRy(-i)と比較し、Cx(i)をRy(-i)と比較してCy(i)をRx(i)と比較することによって実施することができる。
【0025】
上記に関連するアルゴリズムは、ステップ2が垂直方向のみに制限される場合には垂直liderデータについても有効である。説明したように、このアルゴリズムは、現在のデータが基準データと大幅に重複する事例に制限される。そうでない場合には、キーフレームの概念を導入することによってアルゴリズムを拡張することができる。現在の距離データが基準データから所定の距離閾値だけオフセットされていると分かっている場合、又は類似性スコアが所定の閾値よりも低い場合には、現在のフレームを「キーフレーム」として指名する。その後の距離データは、元々の基準データではなく最新のキーフレームに合わせて記録される。次に、現在のデータと現在のキーフレームとの間の変換を(それ自体が他の中間キーフレームの変換に依存し得る)現在のキーフレームと基準フレームとの間の変換と組み合わせることによって、元々の基準データと現在のデータとの間の整合を推定することができる。
【0026】
任意に、第1の距離センサ1は、放射線撮像装置から実際の構造物までの距離のデータを水平(XY)面内で測定するように構成される。任意に、各距離センサ1、2は、光検出及び測距(LIDAR)、音ナビゲーション及び測距(SONAR)、又は無線検出及び測距(RADAR)を用いて放射線撮像装置から実際の構造物までの距離の距離データを測定するように構成される。第1の距離センサ1は、LIDAR計器、SONAR計器又はRADAR計器とすることができる。各距離センサ1、2は、放射線撮像装置から放射線撮像装置を取り囲む実際の構造物までの距離を測定することができる。
【0027】
第1の距離センサ1がLIDAR計器である場合、LIDAR計器は、図2に示すZ軸の周囲でX軸に対して角度シータを成して回転するように構成され、シータ=角速度×時間である。第1の距離センサ1は、XY平面を走査して、LIDAR計器によって放出され表面から反射されたレーザーパルスの飛行時間に基づいて、最も近い表面に対して角度シータで一連の距離測定を行うように構成される。現在の距離データを前回の(例えば、最初の)距離データと最適に整合させる並進及び回転を計算することにより、一定期間にわたる放射線撮像装置の位置の変化を測定することができる。測定された距離データの整合先である基準距離データは、調査の開始時に測定された最初の距離データとすることができる。従って、調査すべき領域の地図が分かっている必要はない。たとえこのような地図を使用しなくても、調査中に領域のモデルを構築することができる。
【0028】
図1に示すように、放射線撮像装置は、任意に2つの距離センサ1、2を含む。しかしながら、これは必ずしもそうでなくてもよい。別の実施形態では、放射線撮像装置が1つの距離センサ1のみ、又は2つよりも多くの距離センサを含む。
【0029】
放射線撮像装置はポータブルである。放射線撮像装置は、移動しながら画像を形成する。任意に、放射線撮像装置はハンドヘルド型である。放射線撮像装置は、調査全体を通じてXY平面内に固定されたままではなく、垂直に移動することもできる。放射線撮像装置が傾いて、誤った周囲世界の印象をもたらす恐れもある。これを防ぐために、任意に、第1の距離センサ1(すなわち、水平距離検知装置)からの出力を後述するように傾斜について補正する。
【0030】
放射線撮像装置の位置及び配向検出器1~3は、任意に配向検出器3を含む。配向検出器3は、実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的ヨー、瞬間的ロール及び瞬間的ピッチのうちの少なくとも1つを特定するように構成される。配向検出器3は、XYデータに補正係数を適用して水平面がより正確に表されることを保証できるように放射線撮像装置の傾斜を測定するよう構成される。任意に、配向検出器3は、少なくとも6自由度を測定するように構成された慣性測定ユニット(IMU)である。任意に、放射線撮像装置は、配向精度を改善するための磁力計を含む。
【0031】
任意に、放射線撮像装置は、機械的安定化装置を含む。任意に、機械的安定化装置は、あらゆる傾斜を阻止又は低減するように放射線撮像装置の残り部分に適合される。
【0032】
任意に、放射線撮像装置は、位置フィードバックプロバイダを含む。位置フィードバックプロバイダは、ユーザが放射線撮像装置を実際の構造物に対する目標位置及び/又は目標配向に動かすのに役立つ情報をユーザに出力するように構成される。任意に、位置フィードバックプロバイダは、ユーザが放射線撮像装置のヨー、ロール及びピッチのうちの少なくとも1つを目標ヨー、目標ロール及び目標ピッチにそれぞれ変更するのに役立つ情報をユーザに出力するように構成される。任意に、位置フィードバックプロバイダは、ユーザがあらゆる傾斜を手動で補正できるようにするフィードバックを提供するように構成される。
【0033】
IMUを配向検出器3として使用する場合には、放射線撮像装置の瞬間的ピッチ、ロール及びヨーを、第1の距離センサ1によって測定されたデータと組み合わせた時に6自由度のうちの5つ(X、Y、ピッチ、ロール及びヨー)が既知となるように測定することができる。
【0034】
Z方向における検出器の位置、又は地面よりも上の高さを求めるには、別のセンサ、すなわち第2の距離センサ2が必要である。任意に、第2のLIDAR、SONAR又はRADAR検出器を使用することができる。任意に、放射線撮像装置は、(メイン処理ユニットとも呼ばれる)処理ユニット4を含む。放射線撮像装置の(垂直から離れる)角度が分かると、地面が平坦であるという仮定を利用して、三角法を用いて放射線撮像装置の高さを計算することができる。任意に、処理ユニット4は、配向検出器3によって測定された放射線撮像装置の角度に基づいて放射線撮像装置の高さを計算するように構成される。任意に、第2の距離センサ2は、第1の距離センサ1にしっかりと取り付けられる。距離センサ1、2によって出力されたデータを用いて3Dモデルを構築することができる。これは、LIDAR、SONAR又はRADAR検知装置(すなわち、距離センサ1、2)のいずれかによって取り込まれた作業空間形状の各平面断面を共通基準フレーム内に配置することによって行われる。この複数の断面の集合体は作業空間の3Dモデルをもたらし、きわめて大雑把に言えば、これはラスター走査の3D変形例である。放射線撮像装置が作業空間を進むにつれてさらに多くの断面が取り込まれ、この3Dモデルがさらに完全な作業空間の表現になる。6つの自由度が全て分かると、処理ユニット4は、3Dモデル内の放射線撮像装置の位置を正確にプロットすることができる。任意に、放射線撮像装置は、位置及び配向検出器1~3からのデータに基づいて実際の構造物の3Dモデルを定めるように構成された3Dモデル生成器を含む。
【0035】
任意に、処理ユニット4は、第1の距離センサ1から、また第2の距離センサ2が提供される場合には第2の距離センサ2からも距離データを受け取るように構成される。処理ユニット4は、距離データを前回の距離データ(恐らくは最初の距離データ)と比較するように構成される。処理ユニット4は、現在の距離データを前回の(最初の)距離データに最適に整合させる並進及び回転を計算して、一定期間にわたる放射線撮像装置の位置及び/又は配向の変化を測定するように構成される。或いは、距離データを比較して並進及び回転を計算して位置の変化を測定する工程は、放射線撮像装置から離れて位置するプロセッサによって行うこともできる。
【0036】
これに加えて、又はこれとは別に、放射線撮像装置は、放射線撮像装置の瞬間的な床上の高さを求めるように構成された高さ検出器も含む。任意に、高さ検出器は、Z方向の位置の変化と共に予想通りに変化する特性を直接測定するセンサである。例えば、放射線撮像装置は、任意に気圧センサを含む。
【0037】
任意に、放射線撮像装置はコリメータを含む。コリメータは、電離放射線を平行にするように構成される。放射線検出器7は、コリメータによって平行にされた電離放射線を検出するように構成される。コリメータ及び放射線検出器7は、組み合わさって放射線データを収集する。任意に、コリメータ及び放射線検出器7の機能は、例えばコンプトンカメラ又は平行ガンマ線スペクトロメータなどの同じ装置内に具現化される。コンプトンカメラは、コリメータを使用することなく、受け取った放射線の方向を特定するように構成される。測定される放射線のタイプはガンマ線に限定されず、1又は複数のあらゆるタイプの電離放射線又は非電離放射線とすることができる。装置は、特定の方向から発生する照射場の一連の測定値を、上述した位置及び配向検出器1~3によって特定された一連の既知の位置から収集する。任意に、放射線検出器7は、位置及び配向検出器1~3(すなわち、空間検出器)にしっかりと取り付けられる。
【0038】
任意に、光学撮像装置12はカメラである。光学撮像装置12は、表象的使用(presentational use)のために環境のビデオ表現を取り込むように構成される。
【0039】
上述した位置及び配向検出器1~3、放射線検出器7及び光学撮像装置12からの出力は、施設、一連の放射線測定値、施設の一連の画像、及び3Dモデル内の各放射線測定及び画像の位置及び配向を表す(任意に放射線撮像装置の配向に対して補正された)一連の座標の3次元(3D)モデルである。任意に、放射線撮像装置は、さらなる処理又は操作のために情報を取り出せるように放射線撮像装置に取り付けられた、この情報を記憶する好適な記憶装置を含む。
【0040】
任意に、上述した放射線撮像装置によって収集された情報は、施設内の放射線源の分布を予測するために使用される。任意に、欧州特許第2074442号に概説されている方法を使用することができる。この計算は、例えば光学撮像装置を用いて取り込まれた画像から計算された調査領域のグラフィック表現上に放射線源の表現をオーバーレイ表示できるように(例えば、処理ユニット4が)放射線撮像装置においてリアルタイムで行うことも、或いは取り込み後にオフラインで行うこともできる。任意に、放射線源は、3Dモデル内の実際の構造物の表面に制限されるものとして定められる。
【0041】
任意に、処理ユニット4は、放射線源特定部(radiation source determination section)を含む。放射線源特定部は、放射線検出器7によって検出された平行電離放射線のデータと、実際の構造物に対する放射線撮像装置の位置及び配向のデータとの組み合わせに基づいて放射線源の分布を特定するように構成される。任意に、放射線源特定部は、放射線源の放射能を特定するように構成される。任意に、放射線源特定部は、既に放射線検出器7によって検出されてローカルメモリに記憶されている平行電離放射線のデータに少なくとも部分的に基づいて放射線源の分布を特定するように構成される。
【0042】
任意に、処理ユニット4は、光学撮像装置12によって撮像される実際の構造物の光学画像と、放射線源特定部からのデータに基づく放射線源の分布を表すオーバーレイ画像とを含む合成画像のためのデータを生成するように構成された画像生成器を含む。任意に、画像生成器は、オーバーレイ画像が放射線源特定部からのデータに基づく放射線源の放射能を表すような合成画像のためのデータを生成するように構成される。任意に、放射線撮像装置は、画像生成器によって生成されたデータに基づいて合成画像を表示するように構成されたディスプレイ8を含む。しかしながら、放射線撮像装置がディスプレイ8を含むことは必須ではない。任意に、放射線撮像装置は、画像生成器によって生成されたデータを外部装置に出力するように構成された画像データ出力装置を含む。任意に、画像生成器は、光学画像が光学撮像装置12によって撮像された実際の構造物のリアルタイム光学画像であるような合成画像のためのデータを生成するように構成される。
【0043】
任意に、画像生成器は、放射線源特定部が放射線検出器7によって検出された平行放射線のデータをさらに多く使用して放射線源の分布を特定する際にオーバーレイ画像が追加されるような合成画像のためのデータを生成するように構成される。
【0044】
リアルタイムのモデル提示は、調査を行う工作員に迅速なフィードバックを提供するのに対し、取り込み後解析は、「リアルタイム」モードで利用可能な一部の情報、すなわち現時点までに取得された情報だけでなく、調査全体を通じて取得される全ての幾何学的センサ情報を使用することによって、精度の高い施設モデルの作成を可能にする。
【0045】
図1に示す放射線撮像装置は、位置及び配向検出器1~3の幾何学的測定装置として一方がXZ垂直面を走査して他方がXY水平面を走査するように取り付けられた2つのLIDARセンサを含む。2つの距離センサ1、2を有することは本質的な特徴ではない。別の実施形態では、放射線撮像装置が、放射線撮像装置の位置を2次元で(すなわち、XY平面で)特定できるような1つの距離センサ1しか含まない。任意に、放射線撮像装置は、放射線撮像装置の高さを測定するように構成された高さ検出器を含む。これらの実施形態では、LIDARデータを用いて、連続するLIDARエコー間のベクトルでヒストグラムが構成されるようにロール補正の精度及び安定性を改善する。90度だけ分離したヒストグラムには、実際の構造物としての床/天井及び壁を表すピークが現れる。周囲領域の構造が基本的に走査間で変化しないと仮定すると、連続走査から取得されるヒストグラムは類似するが、ユニットのロール角のあらゆる変化によってオフセットされる。従って、これにより、位置及び配向検出器1~3の配向検出器3としてのIMUから取得されたデータを精細化するために使用される、ロール角の変化を検出して補正する手段がもたらされる。
【0046】
距離センサ1、2がLIDAR計器であることは必須ではない。他の実施形態では、SONAR、RADAR又は他の形態の走査又は開始距離測定センサを使用することができる。任意に、(放射線センサとも呼ばれる)放射線検出器7はガイガーミュラー管である。しかしながら、他の実施形態では、例えば放射線検出器7を、用途に必要な非平行総数ガンマ放射線センサ(uncollimated total-counts gamma radiation sensor)、非平行総吸収線量放射線センサ(un-collimated total absorbed dose radiation sensor)又は他のいずれかのタイプの放射線センサである。放射線検出器7によって検出される放射線はガンマ放射線に限定されず、1又は複数のあらゆるタイプの電離放射線又は非電離放射線とすることができる。
【0047】
任意に、放射線撮像装置はフレーム11を含む。任意に、放射線検出器7、並びに位置及び配向検出器1~3は、相対的に固定されるようにフレーム11上などに共に取り付けられる。任意に、フレーム11はハンドヘルド型であり、又は例えば長いポール、或いはロボットアームを含む遠隔制御可能なプラットホーム又はクワッドコプターなどの遠隔作業機などの遠隔展開プラットホーム上に取り付けることができる。このことは、予想放射線レベルが高過ぎて人間が進入できない領域における展開が望ましい場合に特に有利である。任意に、放射線撮像装置はハンドル5を含む。
【0048】
任意に、ディスプレイ8は、ユーザを次の測定点に導く命令を表示できるようにフレーム11に取り付けられる。任意に、放射線撮像装置はトリガ10を含む。トリガ10は、正しい位置にある時に、放射線撮像装置による空間的にタグ付けされた放射線測定値の採取を引き起こす入力をユーザが提供できるように設けられる。他の実施形態では、放射線撮像装置が目標位置に十分に近い時に自動的に測定を引き起こすことも、或いは他のユーザ入力手段によって測定を引き起こすこともできる。
【0049】
任意に、光学撮像装置12は、施設の画像を取り込んで、処理された放射線源データを施設のカメラ表現上にオーバーレイ表示できるように、フレーム11にしっかりと取り付けられる。任意に、放射線撮像装置は、放射線撮像装置に電力を供給するように構成されたバッテリ6を含む。
【0050】
任意に、放射線撮像装置はスイッチ9を含む。使用中、放射線撮像装置は、モデル化すべき施設に運ばれ、スイッチ9を用いて電源を入れられる。電源投入シーケンスが完了すると、自動的に調査が開始される。放射線撮像装置は、距離センサ1及び2がそれぞれの測定平面内における実際の構造物までの距離を記録し、配向検出器3が相対的位置及び配向を連続して記録する形で位置データを記録し始める。
【0051】
このデータは、処理ユニット4内の記憶媒体に記憶されるとともに、調査領域の2Dモデルを構築するアルゴリズムを用いてリアルタイムで処理される。任意に、処理ユニット4は、固定基準フレームとしての実際の構造物に対する放射線撮像装置の瞬間的位置を少なくとも2次元で特定するために、測定された距離データを基準距離データに整合させるように構成されたソフトウェアを含む。
【0052】
処理では、Z軸に沿って狭い間隔を空けた観察点から構造が少し異なって見えるというマンハッタンワールド仮説が使用される。このモデルは、処理ユニット4内に保持される。処理ユニット4には、施設構造に対する一連の調査位置も読み込まれる。
【0053】
放射線測定は、所定の間隔で行われる。トリガ10を用いて、ユーザが選択した配向におけるさらなる測定値を取り込むことができる。各放射線測定が完了すると、その放射線測定には、距離センサ1、2及び配向検出器3から計算されて、メイン処理ユニット4に取り付けられた記憶装置に記憶された、2D領域モデルに対する位置がタグ付けされる。
【0054】
施設は、建物内の単一の部屋、複数の部屋、ビル壁部の外面、或いは固有の位置及び配向検出器1~3を用いて位置及び配向を特定できる、未知の放射性物質分布を含む実際に全ての3次元環境とすることができる。「領域」という一般用語は、このような放射性物質の分布を特定するように意図されたあらゆる施設又は空間について使用するものである。必要な観察回数は調査領域の規模及び複雑さによって決まるが、狭い領域では通常50~200回とすることができる。
【0055】
データ収集の完了後には、これらのデータが、欧州特許第2074442号に記載されている方法を用いた解析のために装置から別個のコンピュータシステムに転送される。他の実施形態では、これらのデータを装置上でリアルタイムに解析して、光学撮像装置12によって提供されるライブ画像データ上にオーバーレイ表示するのに適した疑似色の「ホットスポット」マップを生成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の距離センサ
2 第2の距離センサ
3 配向検出器
4 処理ユニット
5 ハンドル
6 バッテリ
7 放射線検出器
8 ディスプレイ
9 スイッチ
10 トリガ
11 フレーム
12 光学撮像装置
図1
図2