(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】需要地選択装置および需要地選択方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220823BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220823BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20220823BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220823BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220823BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20220823BHJP
【FI】
G01C21/34
H02J7/00 P
H02J3/14
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
G06Q50/10
B60L55/00
(21)【出願番号】P 2019032672
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 一史
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 美喜
(72)【発明者】
【氏名】馬場▲崎▼ 忠利
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-247816(JP,A)
【文献】特開2017-075967(JP,A)
【文献】特開2019-007779(JP,A)
【文献】特開2013-104680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H02J 13/00
H02J 3/00-5/00
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
G06Q 10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部に蓄電された電力を用いて走行可能な車両から電力の供給を受ける需要地を、複数個所から選択する装置であって、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両が電力の供給を行う需要地の複数の候補地に関する候補地情報を取得する候補地情報取得部と、
前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両が前記候補地へ向かう経路に関する経路情報を取得する経路情報取得部と、
前記候補地における電力の供給を受ける際に用いられる設備に関する設備情報を取得する設備情報取得部と、
前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報に基づいて、前記車両が供給可能な電力量と前記需要地にて要請されているディマンドリスポンスの電力量との差の絶対値である評価基準を求め、前記評価基準に基づいて前記車両が電力を供給する前記需要地の選択を行う選択部と、
が設けられ、
前記選択部は、選択した前記需要地に対する前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報が同じ車両が複数の場合には、
更に、当該同じ車両が利用する車庫に関する車庫情報
と、当該同じ車両の運行予定情報
と、当該同じ車両を運転する運転手に関するドライバー情報
と、当該同じ車両による電力供給に要する費用であるコスト情報
と、当該同じ車両による電力供給ができなくなった場合である事故時のリスク情報
と、
の少なくとも一つに基づいて求められる配車コストのランク、
当該同じ車両の利用履歴
に基づいて求められる走行距離合計のランク、当該同じ車両の利用履歴に基づいて求められる走行時間合計のランク、および、
当該同じ車両が前記需要地に向かう経路における渋滞情報
のランクの少なくとも一つに基づいて
求められる総合評価を用いて当該同じ車両から1つの前記車両の選定を行うことを特徴とす
る需要地選択装置。
【請求項2】
前記設備情報は、前記設備の利用可否に関する利用情報、および、前記設備に対して電力を供給可能、または、前記設備から電力の供給を受けることが可能な位置に前記車両が駐車するスペースに関する駐車情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の需要地選択装置。
【請求項3】
前記候補地において電力の供給、または、供給を受けることが可能な他の車両に関する他車両情報を取得する他車両情報取得部が更に設けられ、
前記選択部は、前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、前記設備情報、および、前記他車両情報に基づいて前記需要地の選択を行うことを特徴とする請求項1記載の需要地選択装置。
【請求項4】
前記経路情報取得部は、前記位置情報および前記候補地情報を取得し、取得した前記位置情報および前記候補地情報に基づいて前記経路情報を求めることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の需要地選択装置。
【請求項5】
前記経路情報は、前記車両が前記候補地へ向かう経路における走行予定時間、走行予定距離、および、走行予定速度の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4記載の需要地選択装置。
【請求項6】
前記位置情報は、情報取得時における前記車両が位置する地点名、および、情報取得時における前記車両が位置する緯度経度の値の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の需要地選択装置。
【請求項7】
前記候補地情報は、前記候補地の地点名、および、前記候補地の緯度経度の値の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の需要地選択装置。
【請求項8】
前記車両情報は、前記車両における所定電力量で走行可能な走行距離である電費に関する情報を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の需要地選択装置。
【請求項9】
前記車両情報は、前記蓄電部の充電状態を表す充電情報、前記車両における平均走行速度、前記車両における電池温度、前記車両における積算走行時間、および、前記車両における積算走行距離の少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項8記載の需要地選択装置。
【請求項10】
前記車両が前記複数の候補地に対して供給可能な電力、または、前記複数の候補地から供給を受けることが可能な電力を推計する推計部が更に設けられ、
前記選択部は、位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報と、前記推計部により推計された前記電力と、に基づいて前記需要地の選択を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の需要地選択装置。
【請求項11】
位置情報取得部と、候補地情報取得部と、車両情報取得部と、経路情報取得部と、設備情報取得部と、選択部と、が設けられた需要地選択装置により実行され、蓄電部に蓄電された電力を用いて走行可能な車両から電力の供給を受け
る需要地を、複数個所から選択する方法であって、
前記位置情報取得部が、前記車両の位置情報を取得する位置情報取ステップと、
前記候補地情報取得部が、前記車両が電力の供給を行
う需要地の複数の候補地に関する候補地情報を取得する候補地情報取得ステップと、
前記車両情報取得部が、前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記経路情報取得部が、前記車両が前記候補地へ向かう経路に関する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、
前記設備情報取得部が、前記候補地における電力の供給を受け
る際に用いられる設備に関する設備情報を取得する設備情報取得ステップと、
前記選択部が、前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報に基づいて、
前記車両が供給可能な電力量と前記需要地にて要請されているディマンドリスポンスの電力量との差の絶対値である評価基準を求め、前記評価基準に基づいて前記車両が電力を供給す
る前記需要地の選択を行い、
選択した前記需要地に対する前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報が同じ車両が複数の場合には、
更に、当該同じ車両が利用する車庫に関する車庫情報と、当該同じ車両の運行予定情報と、当該同じ車両を運転する運転手に関するドライバー情報と、当該同じ車両による電力供給に要する費用であるコスト情報と、当該同じ車両による電力供給ができなくなった場合である事故時のリスク情報と、の少なくとも一つに基づいて求められる配車コストのランク、
当該同じ車両の利用履歴に基づいて求められる走行距離合計のランク、
当該同じ車両の利用履歴に基づいて求められる走行時間合計のランク、および、
当該同じ車両が前記需要地に向かう経路における渋滞情報のランクの少なくとも一つに基づいて求められる総合評価を用いて当該同じ車両から1つの前記車両の選定を行う選択ステップと、
を有することを特徴とする需要地選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要地選択装置および需要地選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車に搭載される蓄電池の電力を需要家の配電設備等に供給するV2X(Vehicle to X)といった取組が行われている。また、需要家側のリソースの保有者もしくは第三者が、需要家側のリソースを制御することで電力需要パターンを変化させるディマンドリスポンス(以下「DR」とも表記する。)の取り組みが行われており、V2XをDRに利用することが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車(以下「EV」とも表記する。)やプラグインハイブリッド自動車(以下「PHEV」とも表記する。)等をDRに利用する場合、EVやPHEV等が、放電を行う需要地から離れている場合、EVやPHEV等が需要地へ移動することが考えられる。このとき、EVやPHEV等が需要地に到着した際に、EVやPHEV等から利用可能な充放電量が推計できないという課題があった。
【0005】
また、EVやPHEV等が需要地へ移動するのに時間(移動時間)がかかる。そのため、需要地が遠隔地である場合、EVやPHEV等の到着時刻が、需要地で放電が求められるDR該当時間帯よりも遅れてV2XをDRに利用できない可能性があるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数の需要地からDRに貢献できる需要地点の選択を行うことができる需要地選択装置および需要地選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様に係る需要地選択装置は、蓄電部に蓄電された電力を用いて走行可能な車両から電力の供給を受ける、または、前記車両に電力を供給する需要地を、複数個所から選択する装置であって、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記車両が電力の供給を行う、または、供給を受ける需要地の複数の候補地に関する候補地情報を取得する候補地情報取得部と、前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、前記車両が前記候補地へ向かう経路に関する経路情報を取得する経路情報取得部と、前記候補地における電力の供給を受ける、または、電力を供給する際に用いられる設備に関する設備情報を取得する設備情報取得部と、前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報に基づいて、前記車両が電力を供給する又は電力の供給を受ける前記需要地の選択を行う選択部と、が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様に係る需要地選択方法は、蓄電部に蓄電された電力を用いて走行可能な車両から電力の供給を受ける、または、前記車両に電力を供給する需要地を、複数個所から選択する方法であって、前記車両の位置情報を取得する位置情報取ステップと、前記車両が電力の供給を行う、または、電力を供給する需要地の複数の候補地に関する候補地情報を取得する候補地情報取得ステップと、前記車両に関する車両情報を取得する車両情報取得ステップと、前記車両が前記候補地へ向かう経路に関する経路情報を取得する経路情報取得ステップと、前記候補地における電力の供給を受ける、または、電力を供給する際に用いられる設備に関する設備情報を取得する設備情報取得ステップと、前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報に基づいて、前記車両が電力を供給する又は電力の供給を受ける前記需要地の選択を行う選択ステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の態様に係る需要地選択装置、および、第2の態様に係る需要地選択方法によれば、位置情報、候補地情報、車両情報、経路情報、および、設備情報に基づいて、複数の候補地から需要地を選択するため、DRに貢献できる需要地の選択が行いやすくなる。例えば、選択する際に設備情報に基づかない場合と比較して、車両に対して電力の供給を受ける、または、電力を供給するのに適切でない設備が選択され難くなる。
【0010】
上記発明の第1の態様において前記設備情報は、前記設備の利用可否に関する利用情報、および、前記設備に対して電力を供給可能、または、前記設備から電力の供給を受けることが可能な位置に前記車両が駐車するスペースに関する駐車情報の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0011】
このように設備情報に、設備の利用可否に関する利用情報を含めることにより、車両が設備を利用して電力の供給を行える候補地を需要地として選択しやすくなる。また設備情報に、駐車情報を含めることにより、車両が電力を供給する際に駐車するスペースを有する候補地を需要地として選択しやすくなる。
【0012】
上記発明の第1の態様においては、前記候補地において電力の供給、または、供給を受けることが可能な他の車両に関する他車両情報を取得する他車両情報取得部が更に設けられ、前記選択部は、前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、前記設備情報、および、前記他車両情報に基づいて前記需要地の選択を行うことが好ましい。
【0013】
このように複数の候補地から需要地を選択する際に、他車両情報にも基づくことにより、他車両情報に基づかない場合と比較して、需要地の選択を適切に行いやすくなる。言い換えると、需要地に対して車両を必要以上に割り当てることを抑制しやすくなる。
【0014】
上記発明の第1の態様において前記経路情報取得部は、前記位置情報および前記候補地情報を取得し、取得した前記位置情報および前記候補地情報に基づいて前記経路情報を求めることが好ましい。
【0015】
このように位置情報および候補地情報に基づいて経路情報を求めることにより、位置情報および候補地情報の一方および過去に使用された経路に基づいて経路情報を求める場合と比較して、経路情報の精度を高めやすい。
【0016】
上記発明の第1の態様において前記経路情報は、前記車両が前記候補地へ向かう経路における走行予定時間、走行予定距離、および、走行予定速度の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0017】
このように経路情報に、走行予定時間、走行予定距離、および、走行予定速度の少なくとも1つを含めることにより、車両が需要地に到着する時刻の推定を行いやすくなる。また、車両が需要地において供給することが可能な電力もしくは供給を受けることが可能な電力を確保しやすくなる。
【0018】
上記発明の第1の態様において前記位置情報は、情報取得時における前記車両が位置する地点名、および、情報取得時における前記車両が位置する緯度経度の値の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0019】
このように位置情報に、車両が位置する地点名、および、緯度経度の値の少なくとも1つを含めることにより、含まれていない場合と比較して、情報取得時における車両の位置の特定が容易になる。
【0020】
上記発明の第1の態様において前記候補地情報は、前記候補地の地点名、および、前記候補地の緯度経度の値の少なくとも1つを含むことが好ましい。
このように候補地情報に、候補地の地点名、および、緯度経度の値の少なくとも1つを含めることにより、含まれていない場合と比較して、候補地の位置の特定が容易になる。
【0021】
上記発明の第1の態様において前記車両情報は、前記車両における所定電力量で走行可能な走行距離である電費に関する情報を含むことが好ましい。
このように車両情報に電費に関する情報を含めることにより、車両が需要地において供給することが可能な電力、または、供給を受けることが可能な電力を確保しやすくなる。
【0022】
なお、車両における所定電力量で走行可能な走行距離である電費に関する情報としては、測定した瞬間の電費である瞬時走行電費(km/kWh)や、所定の一定期間内に測定された電費の最大値である最大走行電費(km/kWh)や、所定の一定期間内に測定された電費の最小値である最小走行電費(km/kWh)や、所定の一定期間内に測定された電費の平均値である平均走行電費(km/kWh)などを例示することができる。
【0023】
上記発明の第1の態様において前記車両情報は、前記蓄電部の充電状態を表す充電情報、前記車両における平均走行速度、前記車両における電池温度、前記車両における積算走行時間、および、前記車両における積算走行距離の少なくとも1つを更に含むことが好ましい。
【0024】
このように車両情報に充電情報、平均走行速度、積算走行時間、積算走行距離、および、電池温度の少なくとも1つを更に含めることにより、電費に関する情報の精度を高めやすくなる。その結果、車両が需要地において供給することが可能な電力、もしくは、供給を受けることが可能な電力を確保しやすくなる。
【0025】
上記発明の第1の態様においては、前記車両が前記複数の候補地に対して供給可能な電力、または、前記複数の候補地から供給を受けることが可能な電力を推計する推計部が更に設けられ、前記選択部は、位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報と、前記推計部により推計された前記電力と、に基づいて前記需要地の選択を行うことが好ましい。
【0026】
このように推計部により推計された電力を更に加えて需要地の選択を行うことにより、推計された電力を加えない場合と比較して、DRに貢献できる需要地の選択が更に行いやすくなる。
【0027】
上記発明の第1の態様において前記選択部は、選択した前記需要地に対する前記位置情報、前記候補地情報、前記車両情報、前記経路情報、および、前記設備情報が同じ車両が複数の場合には、更に、当該同じ車両が利用する車庫に関する車庫情報、当該同じ車両の運行予定情報、当該同じ車両の利用履歴、当該同じ車両を運転する運転手に関するドライバー情報、当該同じ車両による電力供給に要する費用であるコスト情報、当該同じ車両による電力供給ができなくなった場合である事故時のリスク情報、および、当該同じ車両が前記需要地に向かう経路における渋滞情報の少なくとも一つに基づいて、車両の選定を行うことが好ましい。
【0028】
このように条件が同じ車両が複数になった場合に、更に、車庫情報、運行予定情報、利用履歴、ドライバー情報、コスト情報、リスク情報、および、渋滞情報の少なくとも1つに基づいて車両の選定を行うことにより、DRに貢献できる車両を選定しやすくなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の第1の態様に係る需要地選択装置、および、第2の態様に係る需要地選択方法によれば、位置情報、候補地情報、車両情報、経路情報、および、設備情報に基づいて、複数の候補地から需要地を選択することにより、複数の需要地からDRに貢献できる需要地点の選択を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る需要地選択装置の概要を説明する模式図である。
【
図2】
図1の需要地選択装置の概要を説明するブロック図である。
【
図3】
図1の需要地選択装置における制御を説明するフローチャートである。
【
図4】
図3の設備情報取得に関するサブルーチンを説明するフローチャートである。
【
図5】
図3の利用可能拠点抽出に関するサブルーチンを説明するフローチャートである。
【
図6】
図3の位置情報取得に関するサブルーチンを説明するフローチャートである。
【
図7】
図3の車両情報取得に関するサブルーチンを説明するフローチャートである。
【
図8】
図3の経路情報取得に関するサブルーチンを説明するフローチャートである。
【
図9】
図3の供給可能量推計に関するサブルーチンを説明するフローチャートである。
【
図10】
図3の需要地選択に関するサブルーチンを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態に係る需要地選択装置について、
図1から
図11を参照しながら説明する。本実施形態の需要地選択装置10は、
図1に示すように、車両21に搭載される蓄電部22の電力を需要地31の負荷装置32等に供給したり、蓄電部22に電力を供給したりするV2X(Vehicle to X)に用いられるものである。具体的には需要地選択装置10は、蓄電部22の充電や放電を行う車両21と需要地31との組み合わせを選択するものである。
【0032】
ここで車両21とは、自身に搭載された蓄電部22の電力を用いて走行可能な車両である。本実施形態では、車両21が電気自動車(以下「EV」とも表記する。)やプラグインハイブリッド自動車(以下「PHEV」とも表記する。)である例に適用して説明する。
【0033】
また需要地31の負荷装置32には商用電源35から電力が供給可能とされている。さらに、商用電源35から負荷装置32へ電力を供給する経路に、車両21と接続および離脱が可能とされた接続部(設備)33が設けられている。接続部33は、車両21の蓄電部22から負荷装置32へ電力の供給(言い換えると放電)を可能にするものであり、かつ、商用電源35から蓄電部22に電力の供給(言い換えると充電)を可能にするものである。
【0034】
需要地選択装置10は、
図2に示すように、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するコンピュータ等の情報処理装置である。上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて、少なくとも位置情報取得部11と、候補地情報取得部12と、車両情報取得部13と、経路情報取得部14と、設備情報取得部15と、他車両情報取得部16と、推計部17と、選択部18と、として機能させるものである。
【0035】
位置情報取得部11は、車両21の位置情報を取得するものである。具体的には、車両管理システム20に対して情報を取得する対象となる車両21の位置情報を要求する信号を出力し、要求に該当する車両21の位置情報を車両管理システム20から取得するものである。
【0036】
ここで位置情報は、車両21が位置する地点名、および、情報取得時における車両21が位置する緯度経度の値の少なくとも1つを含む情報である。車両21には、位置情報を取得するセンサ等が搭載されている。当該センサ等としては、公知のものを用いることができ特に限定するものではない。取得された車両21の位置情報は、所定のタイミングで車両管理システム20へ送信され、車両管理システム20に記憶されている。
【0037】
車両管理システム20は、位置情報取得部11から車両21の位置情報を要求する信号が入力されると、車両21の位置情報を位置情報取得部11へ出力する処理を行うものである。出力される車両21の位置情報は、要求信号が入力された時点を基準として、直近に記憶された車両21の位置情報であってもよいし、要求信号が入力された後の1番目に取得された車両21の位置情報であってもよい。
【0038】
なお、車両21が位置情報を取得するタイミング、および、取得した位置情報を車両管理システム20へ送信するタイミングは、予め定められたタイミングであってもよいし、外部からの要求があったタイミングであってもよい。
【0039】
また、車両21の位置情報は、位置情報を取得した時刻、および、車両管理システム20に送信された時刻の少なくとも一方と紐付けされ、車両管理システム20に記憶されてもよい。
【0040】
候補地情報取得部12は、車両21が電力の供給を行う、または、供給を受ける需要地31の候補である候補地31Cに関する候補地情報を取得するものである。具体的には、設備管理システム30に対して候補地31Cの位置情報である候補地情報を要求する信号を出力し、要求に該当する候補地情報を設備管理システム30から取得するものである。
【0041】
ここで候補地情報は、候補地31Cの地点名、および、候補地31Cの緯度経度の値の少なくとも1つを含む情報である。設備管理システム30には、予め候補地31Cの地点名、および、緯度経度の値が記憶されている。候補地31Cの地点名、および、緯度経度の値は、設備管理システム30の管理者が定義を行い設備管理システム30に記憶させている例を挙げることができる。
【0042】
設備管理システム30は、候補地情報取得部12から候補地情報を要求する信号が入力されると、要求信号に対応した候補地情報を候補地情報取得部12へ出力する処理を行うものである。
【0043】
車両情報取得部13は、車両21に関する車両情報を取得するものである。具体的には、車両管理システム20に対して情報を取得する対象となる車両21に関する車両情報を要求する信号を出力し、要求に該当する車両情報を車両管理システム20から取得するものである。
【0044】
ここで車両情報は、車両21における所定電力量で走行可能な走行距離である電費に関する情報、蓄電部22の充電状態を表す充電情報、車両21における平均走行速度、車両21における電池温度、車両21における積算走行時間、および、車両21における積算走行距離を含む情報である。車両21には、電費に関する情報の算出に用いられる測定値を取得するセンサ等が搭載されている。当該センサ等は、公知のものを用いることができ特に限定するものではない。
【0045】
電費に関する情報は、測定値に基づいて車両21に搭載された演算素子により算出されてもよいし、測定値を取得した車両管理システム20において算出されてもよい。算出された電費に関する情報は車両管理システム20に記憶されている。車両管理システム20としては、車両21の運行管理に用いられるテレマティクス(telematics)を例示することができる。
【0046】
車両管理システム20は、車両情報取得部13から電費に関する情報を要求する信号が入力されると、電費に関する情報を車両情報取得部13へ出力する処理を行うものである。出力される電費に関する情報は、要求信号が入力された時点を基準として、直近に記憶された電費に関する情報であってもよいし、要求信号が入力された後の1番目に算出された電費に関する情報であってもよい。
【0047】
なお、電費に関する情報を算出するタイミング、および、算出した電費に関する情報を車両管理システム20に記憶するタイミングは、予め定められたタイミングであってもよいし、外部からの要求があったタイミングであってもよい。また、電費に関する情報は、算出した時刻、および、車両管理システム20に記憶された時刻の少なくとも一方と紐付けされ、車両管理システム20に記憶されてもよい。
【0048】
経路情報取得部14は、車両21が候補地31Cへ向かう経路に関する経路情報を取得するものである。具体的には、地理情報システム40に対して車両21の位置情報と候補地情報とを送信すると共に、当該車両21の位置情報と候補地情報に対応する経路情報を要求する信号を出力し、要求に該当する経路情報を地理情報システム40から取得するものである。
【0049】
ここで経路情報は、車両21が候補地31Cへ向かう経路における走行予定時間と、走行予定距離と、走行予定速度と、を含む情報である。地理情報システム40としては、GIS(geographic information system)と呼ばれる公知のシステムを用いることができ、特に限定するものではない。
【0050】
設備情報取得部15は、候補地31Cにおける電力の供給を受ける、または、電力を供給する際に用いられる接続部33に関する設備情報を取得するものである。具体的には、設備管理システム30に対して候補地31Cに対応する接続部33に関する設備情報を要求する信号を出力し、要求に該当する接続部33に関する設備情報を設備管理システム30から取得するものである。
【0051】
ここで設備情報は、接続部33の利用可否に関する利用情報と、接続部33に対して電力を供給可能、または、接続部33から電力の供給を受けることが可能な位置に車両が駐車するスペースに関する駐車情報と、を含む情報である。設備管理システム30としては、需要地31に設置されている各種の設備の情報を管理するもの、例えばビル・エネルギ・マネジメント・システム(BEMS)などの各種の管理システムを用いることができる。
【0052】
他車両情報取得部16は、候補地31Cにおいて電力の供給、または、供給を受けることが可能な他の車両21Tに関する他車両情報を取得するものである。具体的には、車両管理システム20に対して情報を取得する対象となる他の車両21Tに関する他車両情報を要求する信号を出力し、要求に該当する他の車両21Tに関する他車両情報を車両管理システム20から取得するものである。
【0053】
ここで他車両情報には、他の車両21Tの運行状況に関する情報が少なくとも含まれている。運行状況に関する情報には、他の車両21Tが配車される候補地31Cを特定する情報や、候補地31Cにおいて接続される接続部33を特定する情報や、接続部33に接続されている期間に他の車両21Tを駐車する駐車スペースを特定する情報や、駐車スペースに駐車する期間を特定する情報などが少なくとも含まれている。
【0054】
推計部17は、車両21が複数の候補地31Cに対して供給可能な電力、または、複数の候補地31Cから供給を受けることが可能な電力を推計するものである。推計部17における推計の具体的な内容は後述する。
【0055】
選択部18は、位置情報、候補地情報、車両情報、経路情報、および、設備情報と、推計部17により推計された電力と、に基づいて需要地31の選択を行うものである。選択部18における選択を行う演算処理の詳細は後述する。
【0056】
次に、上記の構成からなる需要地選択装置10における演算内容について
図3から
図11を参照しながら説明する。
需要地選択装置10は、
図3に示すように外部からDRの要請が入力されたか否かを判定する処理を行う(S10)。ここでDRの要請とは、需要地31に対する消費電力の削減または増加の要請である。またDRの要請を行うものとしては、商用電力を供給する電力会社やアグリゲータなどを例示することができる。DRの要請が入力されていないと判定された場合(NOの場合)には、需要地選択装置10は再びS10の判定処理を行う。
【0057】
DRの要請が入力されていると判定された場合(YESの場合)には、需要地選択装置10の設備情報取得部15は、設備情報を取得する処理を行う(S20)。具体的には、
図4に示すように、設備情報取得部15は、設備管理システム30に対して候補地31Cに対応する接続部33に関する設備情報を取得する処理を行う(S21:設備情報取得ステップ)。ここで候補地31Cは、DRの要請が行われた需要地31である。
【0058】
その後、設備情報取得部15は全ての候補地31Cについて設備情報を取得したか否かを判定する処理を行う(S22)。全ての候補地31Cについて設備情報を取得していないと判定した場合(NOの場合)には、設備情報取得部15はS21の取得する処理を行う。全ての候補地31Cについて設備情報を取得したと判定した場合(YESの場合)には、
図3に戻り、需要地選択装置10は利用可能拠点抽出の処理を行う(S30)。
【0059】
需要地選択装置10は、取得した設備情報に基づいて候補地31Cの接続部33が利用可能か否かを判定する処理を行う(S31)。例えば、設備情報に含まれる利用情報に基づいて、配車された車両21が接続部33を利用できる状態にあるか否かを判定する処理を行う。
【0060】
候補地31Cの接続部33が利用可能と判定された場合(YESの場合)には、需要地選択装置10は、更に車両21が駐車可能な否かを判定する処理を行う(S32)。例えば、需要地選択装置10は、設備情報に含まれる駐車情報、および、他車両情報に基づいて、接続部33に接続可能な位置に車両21の駐車スペースの空きがあるか否かを判定する処理を行う。駐車スペースの空きの有無は、候補地31CがDRの要請に反応する期間に限定して判定されてもよい。車両21が駐車可能と判定された場合(YESの場合)には、当該接続部33が配置された候補地31Cを利用可能な拠点として設定して記憶する処理を行う(S33)。
【0061】
その一方で、S31の判定処理において接続部33が利用不可と判定された場合(NOの場合)、または、S32の判定処理において車両21が駐車不可と判定された場合(NOの場合)には、需要地選択装置10は、当該接続部33が配置された候補地31Cを利用不可な拠点として設定して記憶する処理を行う(S34)。
【0062】
その後、需要地選択装置10は全ての候補地31Cについて設定をしたか否かを判定する処理を行う(S35)。全ての候補地31Cについて設定をしていないと判定した場合(NOの場合)には、需要地選択装置10はS31に戻り上述の処理を繰り返し行う。全ての候補地31Cについて設定をしたと判定した場合(YESの場合)には、
図3に戻り、需要地選択装置10は位置情報取得の処理を行う(S40)。
【0063】
具体的には、
図6に示すように、位置情報取得部11は、車両管理システム20から車両21の位置情報を取得する処理を行う(S41:位置情報取ステップ)。その後、位置情報取得部11は全ての車両21について位置情報を取得したか否かを判定する処理を行う(S42)。
【0064】
全ての車両21について位置情報を取得していないと判定した場合(NOの場合)には、位置情報取得部11はS41の取得する処理を行う。全ての車両21について位置情報を取得したと判定した場合(YESの場合)には、
図3に戻り、需要地選択装置10は車両情報を取得する処理を行う(S50)。
【0065】
具体的には、
図7に示すように、車両情報取得部13は、車両管理システム20に対して車両21に関する車両情報を取得する処理を行う(S51:車両情報取得ステップ)。その後、車両情報取得部13は全ての車両21について車両情報を取得したか否かを判定する処理を行う(S52)。
【0066】
全ての車両21について車両情報を取得していないと判定した場合(NOの場合)には、車両情報取得部13はS51の取得する処理を行う。全ての車両21について車両情報を取得したと判定した場合(YESの場合)には、
図3に戻り、需要地選択装置10は経路情報を取得する処理を行う(S60)。
【0067】
具体的には、
図8に示すように、経路情報取得部14は、S33の処理により設定して記憶した利用可能な拠点の候補地31Cに関する候補地情報を取得する処理を行う(S61:候補地情報取得ステップ)。次いで取得した候補地情報を地理情報システム40へ出力する処理を行う(S62)。
【0068】
さらに経路情報取得部14は、S41の処理により取得した車両21の位置情報を地理情報システム40へ出力する処理(S63)と、S51の処理により取得した車両21について車両情報を地理情報システム40へ出力する処理(S64)を行う。
【0069】
地理情報システム40は、位置情報および候補地情報に基づいて経路情報を求める処理を行う。具体的には、位置情報を出発地点、候補地情報を目的地点として出発地点から目的地点に向かう道順である経路の情報を求める処理を行う。
【0070】
なお、経路を求める演算を行う際に、道路の混雑状況や、幅員や、車線数や、制限速度や、傾斜の有無(坂道か否か)などの情報に基づいていてもよい。経路を求める具体的な演算方法としては、公知の演算方法を用いることができ、特に限定するものではない。
【0071】
次いで、経路情報取得部14は、地理情報システム40において求められた経路情報を取得する処理を行う(S65:経路情報取得ステップ)。その後、経路情報取得部14はS61の処理で取得された候補地31Cの全てについて経路情報を取得したか否かを判定する処理を行う(S66)。
【0072】
取得された候補地31Cの全てについて経路情報を取得していないと判定された場合(NOの場合)には、経路情報取得部14は、S62に戻り上述の処理を繰り返し行う。取得された候補地31Cの全てについて経路情報を取得したと判定された場合(YESの場合)には、さらに全ての車両21について経路情報を取得したか否かを判定する処理を行う(S67)。
【0073】
全ての車両21について経路情報を取得していないと判定された場合(NOの場合)には、経路情報取得部14は、S62に戻り上述の処理を繰り返し行う。全ての車両21について経路情報を取得したと判定された場合(YESの場合)には、
図3に戻り、需要地選択装置10は供給可能量を推計する処理を行う(S70)。
【0074】
具体的には、
図9に示すように、推計部17は、S33の処理により設定して記憶した利用可能な拠点の候補地31Cに関する候補地情報を取得する処理を行う(S71)。次いで推計部17は、車両情報を取得する処理を行う(S72)。なお取得する車両情報は、S51において車両管理システム20から取得した車両情報であってもよいし、新たに車両管理システム20から取得した車両情報であってもよい。
【0075】
次いで推計部17は、経路情報を取得する処理を行う(S73)。この経路情報はS65の処理において取得したものを例示することができる。その後、推計部17は車両21が供給可能(言い換えると放電可能)な電力量、または、車両21へ供給可能(言い換えると充電可能)な電力量を算出する処理を行う(S74)。
【0076】
推計部17において行われる電力量を算出する具体的な処理は次の通りである。車両21が、需要地31に到着した時の放電可能量(A)は次の式(1)に基づいて、充電可能量(A’)は次の式(2)に基づいて算出される。
【0077】
【0078】
【0079】
ここで、(ア)は推計時点または推計時の直近に取得された蓄電部22のSOC(%)である。(イ)は推計時点または推計時の直近に取得された蓄電部22に充電されている電力量(kWh)である。
【0080】
(ウ)は蓄電部22の定格容量(kWh)である。(エ)は需要地31に到着するまでに必要な電力量(kWh)、言い換えると車両21が走行して需要地31に到着までに消費する電力量(kWh)である。
【0081】
(オ)は電費(km/kWh)である。(オ)として用いられる電費は、瞬時走行電費、最大走行電費、最小走行電費、実績最小値、および、平均走行電費のいずれかであってもよいし、2つ以上の電費に基づいて求められるものであってもよい。(カ)は現在地から需要地までの距離(km)である。
【0082】
また、(オ)の電費は、車両情報に含まれる車両21における平均走行速度に基づいて算出してもよいし、値の修正が行われてもよい。具体的には、車両21の平均走行速度と走行抵抗には相関関係があり、走行抵抗と電費とには相関関係がある。そのため、平均走行速度に基づくことにより(オ)の電費の精度を高めやすくなり、放電可能量(A)および充電可能量(A’)の精度を高めやすくなる。
【0083】
(オ)の電費は、車両情報に含まれる積算走行時間および積算走行距離の少なくとも一方に基づいて算出してもよいし、値の修正が行われてもよい。具体的には、積算走行時間や積算走行距離は蓄電部22の劣化状態と相関関係があり、蓄電部22の劣化状態と電費とには相関関係がある。そのため、積算走行時間および積算走行距離の少なくとも一方に基づくことにより(オ)の電費の精度を高めやすくなり、放電可能量(A)および充電可能量(A’)の精度を高めやすくなる。
【0084】
(オ)の電費は、車両情報に含まれる車両21における電池温度に基づいて算出してもよいし、値の修正が行われてもよい。具体的には、電池温度と蓄電部22の劣化状態とは相関関係があり、蓄電部22の劣化状態と電費とは相関関係がある。そのため、電池温度に基づくことにより(オ)の電費の精度を高めやすくなり、放電可能量(A)および充電可能量(A’)の精度を高めやすくなる。なお、同一条件の蓄電部22が複数ある場合には、劣化度合いの高い蓄電部22を避けて利用することも可能となる。
【0085】
なお、放電可能量(A)および充電可能量(A’)を上述の式を用いて算出してもよいし、上述以外の式を用いて算出してもよい。さらに、上述のパラメータを用いて算出してもよいし、他のパラメータを用いて算出してもよい。
【0086】
その後、推計部17はS71の処理で取得された候補地31Cの全てについて電力量を算出したか否かを判定する処理を行う(S75)。取得された候補地31Cの全てについて電力量を算出していないと判定された場合(NOの場合)には、推計部17は、S72に戻り上述の処理を繰り返し行う。取得された候補地31Cの全てについて電力量を算出したと判定された場合(YESの場合)には、さらに全ての車両21について電力量を算出したか否かを判定する処理を行う(S76)。
【0087】
全ての車両21について電力量を算出していないと判定された場合(NOの場合)には、推計部17は、S72に戻り上述の処理を繰り返し行う。全ての車両21について電力量を算出したと判定された場合(YESの場合)には、
図3に戻り、需要地選択装置10は需要地31を選択する処理を行う(S80)。
【0088】
具体的には、
図10に示すように、選択部18は、推計テーブルを作成する処理を行う(S81)。具体的には
図11に示す推計テーブルを作成する処理を行う。
図11には、候補地31Cが5箇所、車両21が3台の場合の推計テーブルが示されている。
【0089】
まず選択部18は、
図11に示す推計テーブルの枠組みのみを作成する処理を行う。次いで選択部18は、3台の車両21-1,車両21-2,車両21-3のそれぞれについて、5箇所の候補地31C-1,候補地31C-2,候補地31C-3,候補地31C-4,候補地31C-5において供給可能な電力量を書き込む処理を行う。
【0090】
その後、選択部18は、5箇所の候補地31Cのそれぞれについて、3台の車両21が供給可能な電力量の合計値Aを算出して書き込む処理を行う。この合計値Aは、3台の車両21の全てが同じ候補地31Cに配置された場合に、当該候補地31Cに供給可能な電力量である。言い換えると当該候補地31Cにおける最大DR能力を表す値である。
【0091】
次いで選択部18は、5箇所の候補地31Cのそれぞれにおける受け入れ可能な電力量Bを書き込む処理を行う。具体的には接続部33における受け入れ可能な電力量を書き込む処理を行う。
【0092】
さらに選択部18は、5箇所の候補地31Cのそれぞれにおける車両21から放電可能な電力量の最大値Cを書き込む処理を行う。例えば、供給可能な電力量の合計値A≧受け入れ可能な電力量Bの場合には、受け入れ可能な電力量Bを最大値Cとして書き込む処理を行う。また供給可能な電力量の合計値A<受け入れ可能な電力量Bの場合には、供給可能な電力量の合計値Aを最大値Cとして書き込む処理を行う。
【0093】
推計テーブルを作成すると選択部18は、DRが要求されている候補地31Cを抽出する処理を行う(S82)。選択部18は、DRが要求されている候補地31CについてDRの要請がされている電力量Dを書き込む処理を行う。
図11では候補地31C-1,候補地31C-2について電力量Dが書き込まれている。
【0094】
候補地31Cが抽出されると選択部18は、分配演算を行う(S83)。具体的には、3台の車両21のうちの1台が候補地31Cへ配車される組合せ1の場合、3台の車両21のうちの2台が候補地31Cへ配車される組合せ2の場合、3台の車両21の全てが候補地31Cへ配車される組合せ3の場合について分配演算を行う。
【0095】
選択部18は分配演算において、DRが要求されている候補地31Cのそれぞれについて、配車された車両21から放電可能な電力量の合計値である達成量合計Eを算出する。算出された達成量合計Eは、推計テーブルの対応箇所に書き込まれる。
【0096】
配分演算が行われると選択部18は、DRが要求されている候補地31Cの全てにおいて配分演算が行われたか否かを判定する処理を行う(S84)。配分演算が行われていないと判定された場合(NOの場合)には、選択部18は、S83の演算処理を繰り返し行う。
【0097】
配分演算が行われたと判定された場合(YESの場合)には、選択部18は、S83の演算処理における組合せの評価(以後「配分時評価」とも表記する。)が最小となる組合せが複数存在するか否かを判定する処理を行う(S85)。ここで配分時評価は、達成量合計E-電力量Dの絶対値のことである。
【0098】
配分時評価が最小となる組合せが複数存在すると判定された場合(YESの場合)には、選択部18は、総合評価が高い組合せを選択する処理を行う(S86:選択ステップ)。
【0099】
具体的には選択部18は、組合せ1、組合せ2、および、組合せ3のそれぞれにおいて、配車コスト、走行距離合計、走行時間合計、および、渋滞情報のランクに基づいて総合評価のランクを求める演算処理を行う。
【0100】
配車コストは車両21を配車する際に要するコストである。例えば、車両21が利用する車庫に関する車庫情報から求められる車庫の位置に基づいて配車コストに付与されるランクを求めることができる。具体的には、需要地31の近くに車庫が位置する車両21の配車コストに付与されるランクは高く、遠くに車庫が位置する車両21の配車コストに付与されるランクは低くなる。
【0101】
また、車両21の運行予定情報から求められる運行状況に基づいて配車コストに付与されるランクを求めることができる。具体的には、需要地31の近くを運行する予定を有している車両21の配車コストに付与されるランクは高く、遠くを運行する予定を有している車両21の配車コストに付与されるランクは低くなる。
【0102】
車両21による電力供給に要する費用であるコスト情報に基づいて配車コストに付与されるランクを求めることができる。具体的には、需要地31への電力供給に要する費用が安い車両21の配車コストに付与されるランクは高く、費用が高い車両21の配車コストに付与されるランクは低くなる。
【0103】
車両21による電力供給ができなくなった場合である事故時のリスク情報に基づいて配車コストに付与されるランクを求めることができる。具体的には、事故時に他の車両21を需要地31へ配車する費用が低い場合には配車コストに付与されるランクは高く、配車する費用が高い場合には配車コストに付与されるランクは低くなる。
【0104】
車両21を運転する運転手に関するドライバー情報に基づいて配車コストに付与されるランクを求めることができる。具体的には、運転手に要する費用が安い車両21の配車コストに付与されるランクは高く、運転手に要する費用が高い車両21の配車コストに付与されるランクは低くなる。
【0105】
走行距離合計は車両21が走行してきた距離の合計値である。走行時間合計は車両21が走行してきた時間の合計値である。例えば、車両21の利用履歴から走行距離合計や、走行時間合計を求めることができる。走行距離合計が長い車両21や、走行時間合計が長い車両21には低いランクが付与され、走行距離合計が短い車両21や、走行時間合計が短い車両21には高いランクが付与される。
【0106】
渋滞情報に付与されるランクは、例えば、渋滞により需要地31に到着する時間の遅延程度に基づいて求めることができる。具体的には、渋滞の影響による遅延する時間が短い場合には高いランクが付与され、遅延する時間が長い場合には低いランクが付与される。
【0107】
なお本実施形態では、車両21が利用する車庫に関する車庫情報、車両21の運行予定情報、車両21の利用履歴、車両21を運転する運転手に関するドライバー情報、車両21による電力供給に要する費用であるコスト情報、車両21による電力供給ができなくなった場合である事故時のリスク情報、および、車両21が前記需要地に向かう経路における渋滞情報は、車両管理システム20から取得される例に適用して説明する。
【0108】
総合評価のランクは、配車コスト、走行距離合計、走行時間合計、および、渋滞情報のランクを足し算して求めてもよいし、配車コスト、走行距離合計、走行時間合計、および、渋滞情報のランクのそれぞれに所定の係数を乗じたものを足し算して求めてもよく、具体的な算出方法を限定するものではない。
【0109】
配分時評価が最小となる組合せが複数存在しないと判定された場合(NOの場合)には、選択部18は、S83の配分時評価が最小となる組合せを選択する処理を行う(S87:選択ステップ)。
【0110】
S86またはS87の処理が行われると、選択部18は、車両21の配送先を決定する処理を行う(S88)。言い換えると、車両21を向かわせる需要地31を決定する処理を行う。さらに選択部18は、車両21の配送先に基づいて、推計テーブルの決定達成量合計Fに候補地31Cで放電される電力量を書き込む処理を行う。配送先を決定する処理が行われると、
図3に戻り、需要地選択装置10は再びS10に戻り上述の処理を繰り返し行う。
【0111】
上記の構成の需要地選択装置10によれば、位置情報、候補地情報、車両情報、経路情報、および、設備情報に基づいて、複数の候補地31Cから需要地31を選択するため、DRに貢献できる需要地31の選択が行いやすくなる。例えば、選択する際に設備情報に基づかない場合と比較して、車両21に対して電力の供給を受ける、または、電力を供給するのに適切でない接続部33が設けられた候補地31Cを需要地31として選択し難くなる。
【0112】
設備情報に、接続部33の利用可否に関する利用情報を含めることにより、車両21が接続部33を利用して電力の供給を行える候補地31Cを需要地31として選択しやすくなる。また設備情報に、駐車情報を含めることにより、車両21が電力を供給する際に駐車するスペースを有する候補地31Cを需要地31として選択しやすくなる。
【0113】
複数の候補地31Cから需要地31を選択する際に、他車両情報にも基づくことにより、他車両情報に基づかない場合と比較して、需要地31の選択を適切に行いやすくなる。言い換えると、需要地31に対して車両21を必要以上に割り当てることを抑制しやすくなる。
【0114】
位置情報および候補地情報に基づいて経路情報を求めることにより、位置情報および候補地情報の一方、および、過去に使用された経路に基づいて経路情報を求める場合と比較して、経路情報の精度を高めやすい。言い換えると、過去に使用された経路の中から、同じ位置情報に関連する経路を選択する方法や、過去に使用された経路の中から同じ候補地情報に関連する経路を選択する方法と比較して、経路情報の精度を高めやすい。
【0115】
経路情報に、走行予定時間、走行予定距離、および、走行予定速度の少なくとも1つを含めることにより、車両21が需要地31に到着する時刻の推定を行いやすくなる。また、車両21が需要地31において供給することが可能な電力もしくは供給を受けることが可能な電力を確保しやすくなる。
【0116】
位置情報に、車両21が位置する地点名、および、緯度経度の値の少なくとも1つを含めることにより、含まれていない場合と比較して、情報取得時における車両21の位置の特定が容易になる。
【0117】
候補地情報に、候補地31Cの地点名、および、緯度経度の値の少なくとも1つを含めることにより、含まれていない場合と比較して、候補地31Cの位置の特定が容易になる。
【0118】
車両情報に電費に関する情報を含めることにより、車両21が需要地31において供給することが可能な電力、または、供給を受けることが可能な電力を確保しやすくなる。
【0119】
車両情報に充電情報、平均走行速度、積算走行時間、積算走行距離、および、電池温度の少なくとも1つを更に含めることにより、電費に関する情報の精度を高めやすくなる。その結果、車両21が需要地31において供給することが可能な電力、もしくは、供給を受けることが可能な電力を確保しやすくなる。
【0120】
推計部17により推計された電力を更に加えて需要地の選択を行うことにより、推計された電力を加えない場合と比較して、DRに貢献できる需要地の選択が更に行いやすくなる。
【0121】
条件が同じ車両21が複数になった場合に、更に、車庫情報、運行予定情報、利用履歴、ドライバー情報、コスト情報、リスク情報、および、渋滞情報の少なくとも1つに基づいて車両の選定を行うことにより、DRに貢献できる車両21を選定しやすくなる。
【0122】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施の形態においては、車両21がEVやPHEVである例に適用して説明したが、自身に搭載された蓄電部22の電力を用いて走行可能な車両であればよいため、EVやPHEV以外の車両、例えば電動自転車や電動車椅子や電動鉄道などの各種の車両であってもよい。
【0123】
また、本実施形態では経路情報を、地理情報システム40から取得する例に適用して説明したが、経路情報を地理情報システム40ではなく、公知の車両用のナビゲーション機器や、ナビゲーションシステムを用いて取得してもよい。
【0124】
本実施形態では車両情報を車両管理システム20から取得する例に適用して説明したが、車両管理システム20を介することなく、車両21の自己診断機能(On-Board Diagnostics second generation:OBD2)により取得された車両情報を直接取得してもよい。
【符号の説明】
【0125】
10…需要地選択装置、 11…位置情報取得部、 12…候補地情報取得部、 13…車両情報取得部、 14…経路情報取得部、 15…設備情報取得部、 16…他車両情報取得部、 17…推計部、 18…選択部、 21…車両、 22…蓄電部、 31…需要地、 31C…候補地、 33…接続部(設備)、 S21…設備情報取得ステップ、 S41…位置情報取ステップ、 S51…車両情報取得ステップ、 S61…候補地情報取得ステップ、 S65…経路情報取得ステップ、 S86…選択ステップ、 S87…選択ステップ