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特許7128149パラシュート装置、飛行装置、および飛翔体射出機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】パラシュート装置、飛行装置、および飛翔体射出機構
(51)【国際特許分類】
   B64D 17/72 20060101AFI20220823BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220823BHJP
   B64D 17/80 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B64D17/72
B64C39/02
B64D17/80
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019091904
(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公開番号】P2020185895
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】酒本 譲
(72)【発明者】
【氏名】下久 昌司
(72)【発明者】
【氏名】持田 佳広
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-193055(JP,A)
【文献】特開昭53-144197(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0251083(US,A1)
【文献】特開昭58-118498(JP,A)
【文献】特開2019-014320(JP,A)
【文献】特許第4785084(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 17/72
B64C 39/02
B64D 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラシュートと、
前記パラシュートを収容するパラシュート収容部と、
前記パラシュートに連結された飛翔体本体部と、ガスを発生するガス発生装置とを有する少なくとも一つの飛翔体と、
前記飛翔体を保持し、保持した前記飛翔体を射出するための射出部と、
前記ガス発生装置を点火するためのリード線と、を備え、
前記飛翔体本体部は、前記射出部と係合され、
前記ガス発生装置は、前記射出部と前記飛翔体本体部とによって画成される内部空間に配置され、
前記リード線は、一端が前記ガス発生装置と接続された状態で、前記内部空間から前記飛翔体の射出方向と異なる方向に引き出されている
パラシュート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパラシュート装置において、
前記リード線は、前記射出方向と反対の方向に引き出されている
ことを特徴とするパラシュート装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパラシュート装置において、
前記リード線は、前記射出方向と交差する方向に引き出されている
ことを特徴とするパラシュート装置。
【請求項4】
請求項2に記載のパラシュート装置において、
前記射出部は、筒状の側壁部と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部とを含み、
前記飛翔体本体部は、棒状に形成され、
前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、
前記飛翔体は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、
前記底部には、貫通穴が形成され、
前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されている
ことを特徴とするパラシュート装置。
【請求項5】
請求項3に記載のパラシュート装置において、
前記射出部は、筒状の側壁部と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部とを含み、
前記飛翔体本体部は、棒状に形成され、
前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、
前記飛翔体は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、
前記側壁部には、貫通穴が形成され、
前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されている
ことを特徴とするパラシュート装置。
【請求項6】
請求項2に記載のパラシュート装置において、
前記射出部は、棒状に形成され、
前記飛翔体本体部は、
筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部と、
前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に挿入された前記射出部の先端部と対面した状態で保持する保持部と、
前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索に連結された連結部とを含み、
前記リード線は、前記射出部の内部において前記先端部と反対方向に延在している
ことを特徴とするパラシュート装置。
【請求項7】
請求項3に記載のパラシュート装置において、
前記射出部は、棒状に形成され、
前記飛翔体本体部は、
筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部と、
前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に挿入された前記射出部の先端部と対面した状態で保持する保持部と、
前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索に連結された連結部とを含み、
前記保持部には、貫通穴が形成され、
前記リード線は、前記貫通穴を通って前記飛翔体本体部の外部に引き出されている
ことを特徴とするパラシュート装置。
【請求項8】
請求項1に記載のパラシュート装置において、
前記ガス発生装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたガス発生剤と、
前記リード線の前記一端に形成され、少なくとも一部が前記ガス発生剤に覆われた状態で固定された点火薬と、
を含むことを特徴とするパラシュート装置。
【請求項9】
機体ユニットと、
前記機体ユニットに接続され、推力を発生する推力発生部と、
前記推力発生部を制御する飛行制御部と、
飛行時の異常を検出する異常検出部と、
請求項1乃至8の何れか一項に記載のパラシュート装置と、
前記異常検出部による異常の検出に応じて、前記飛翔体を前記射出部から射出させる落下制御部と、を備える
ことを特徴とする飛行装置。
【請求項10】
パラシュートに連結可能な飛翔体本体部と、ガスを発生するガス発生装置とを有する少なくとも一つの飛翔体と、
前記飛翔体を保持し、保持した前記飛翔体を射出するための射出部と、
前記ガス発生装置を点火するためのリード線と、を備え、
前記飛翔体本体部は、前記射出部と係合され、
前記ガス発生装置は、前記射出部と前記飛翔体本体部とによって画成される内部空間に配置され、
前記リード線は、一端が前記ガス発生装置と接続された状態で、前記内部空間から前記飛翔体の射出方向と異なる方向に引き出されている
飛翔体射出機構。
【請求項11】
請求項10に記載の飛翔体射出機構において、
前記リード線は、前記射出方向と反対の方向に引き出されている
ことを特徴とする飛翔体射出機構。
【請求項12】
請求項10に記載の飛翔体射出機構において、
前記リード線は、前記射出方向と交差する方向に引き出されている
ことを特徴とする飛翔体射出機構。
【請求項13】
請求項11に記載の飛翔体射出機構において、
前記射出部は、筒状の側壁部と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部とを含み、
前記飛翔体本体部は、棒状に形成され、
前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、
前記飛翔体は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、
前記底部には、貫通穴が形成され、
前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されている
ことを特徴とする飛翔体射出機構。
【請求項14】
請求項12に記載の飛翔体射出機構において、
前記射出部は、筒状の側壁部と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部とを含み、
前記飛翔体本体部は、棒状に形成され、
前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、
前記飛翔体は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、
前記側壁部には、貫通穴が形成され、
前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されている
ことを特徴とする飛翔体射出機構。
【請求項15】
請求項11に記載の飛翔体射出機構において、
前記射出部は、棒状に形成され、
前記飛翔体本体部は、
筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部と、
前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に挿入された前記射出部の先端部と対面した状態で保持する保持部と、
前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索に連結された連結部とを含み、
前記リード線は、前記射出部の内部において前記先端部と反対方向に延在している
ことを特徴とする飛翔体射出機構。
【請求項16】
請求項12に記載の飛翔体射出機構において、
前記射出部は、棒状に形成され、
前記飛翔体本体部は、
筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部と、
前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に挿入された前記射出部の先端部と対面した状態で保持する保持部と、
前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索に連結された連結部とを含み、
前記保持部には、貫通穴が形成され、
前記リード線は、前記貫通穴を通って前記飛翔体本体部の外部に引き出されている
ことを特徴とする飛翔体射出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラシュート装置、および飛行装置に関し、例えば、遠隔操作および自律飛行が可能な、マルチロータの回転翼機型の飛行装置に取り付けられるパラシュート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔操作および自律飛行が可能な、マルチロータの回転翼機型の飛行装置(以下、単に「回転翼機」とも称する。)の産業分野への実用化が検討されている。例えば、運送業において、回転翼機(所謂ドローン)による荷物の輸送や旅客の輸送等が検討されている。
【0003】
輸送用の回転翼機は、GPS(Global Positioning System)信号等によって自己の位置を特定しながら飛行する自立飛行機能を備えている。しかしながら、何らかの原因で回転翼機に異常が発生した場合、自立飛行ができなくなり、回転翼機の落下等の事故が発生するおそれがある。そのため、回転翼機の安全性の向上が望まれている。
【0004】
特に、輸送用の回転翼機は、今後、より大きな荷物や、旅客を輸送できるように機体の大型化が進むと予想される。このような大型の回転翼機が何らかの原因で制御不能に陥って落下した場合、これまでの回転翼機に比べて、人や構造物に甚大な被害を与えるおそれがある。そのため、回転翼機の大型化を図る場合には、これまで以上に安全性を重視する必要がある。
【0005】
そこで、本願発明者らは、回転翼機の安全性を向上させるために、パラシュート装置を回転翼機に取り付けることを検討した。
【0006】
例えば、特許文献1には、ガス発生器を内蔵した容器に連通する中空管に複数の発射体を挿通して配置し、各発射体とパラシュートをコードで連結した構造を有する、回転翼機用のパラシュート展開装置が開示されている。このパラシュート展開装置によれば、回転翼機の落下時に、ガス発生器からガスを発生させて発射体を射出台から射出することにより、パラシュートを強制的に開傘させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2016/0251083号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されたパラシュート展開装置において、発射体(飛翔体)は、射出台としての中空管に挿通されているだけであり、射出台に固定するための保持機構は特段設けられていない。そのため、例えば、パラシュート展開装置を搭載した回転翼機が大きく傾いた場合や回転翼機が逆さになった場合等において、発射体が適切な位置から移動したり、発射体が中空管から抜け落ちたりして、必要な時に発射体を適切に射出できないおそれがある。
【0009】
この課題を解決するための方法として、例えば、発射体の射出時に破壊可能なシアピンによって、発射体を中空管に固定する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、発射体と射出台に穴を形成するための加工処理が必要になる上に、部品点数が増加するため、好ましくない。
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、飛翔体を射出してパラシュートを強制的に開傘可能なパラシュート装置において、飛翔体がパラシュート装置から抜け落ちることを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の代表的な実施の形態に係るパラシュート装置は、パラシュートと、前記パラシュートを収容するパラシュート収容部と、前記パラシュートに連結された飛翔体本体部と、ガスを発生するガス発生装置とを有する少なくとも一つの飛翔体と、前記飛翔体を保持し、保持した前記飛翔体を射出するための射出部と、前記ガス発生装置を点火するためのリード線とを備え、前記飛翔体本体部は、前記射出部と係合され、前記ガス発生装置は、前記射出部と前記飛翔体本体部とによって画成される内部空間に配置され、前記リード線は、一端が前記ガス発生装置と接続された状態で、前記内部空間から前記飛翔体の射出方向と異なる方向に引き出されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、飛翔体を射出してパラシュートを強制的に開傘可能なパラシュート装置において、飛翔体がパラシュート装置から抜け落ちることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係るパラシュート装置を搭載した飛行装置の外観を模式的に示す図である。
図2】実施の形態1に係るパラシュート装置を搭載した飛行装置の機能ブロック図である。
図3】実施の形態1に係るパラシュート装置の構成を模式的に示す図である。
図4】パラシュートが開いた状態を模式的に示す図である。
図5】実施の形態1に係る飛翔体射出機構の構成を示す図である。
図6】実施の形態1に係るパラシュート装置を搭載した飛行装置のパラシュートが開いた状態を模式的に示す図である。
図7】実施の形態2に係るパラシュート装置の構成を模式的に示す図である。
図8】実施の形態2に係る飛翔体射出機構の構成を示す図である。
図9】実施の形態3に係るパラシュート装置の構成を模式的に示す図である。
図10】実施の形態3に係る飛翔体射出機構の構成を示す図である。
図11】実施の形態4に係るパラシュート装置の構成を模式的に示す図である。
図12】実施の形態4に係る飛翔体射出機構の構成を示す図である。
図13】異常状態検知機構を備えたパラシュート装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0015】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係るパラシュート装置(4,4A~4D)は、パラシュート(400)と、前記パラシュートを収容するパラシュート収容部(40)と、前記パラシュートに連結された飛翔体本体部(44)とガスを発生するガス発生装置(45)とを有する少なくとも一つの飛翔体(43)と、前記飛翔体を保持し、保持した前記飛翔体を射出するための射出部(41)と、前記ガス発生装置を点火するためのリード線(47)とを備え、前記飛翔体本体部は、前記射出部と係合され、前記ガス発生装置は、前記射出部と前記飛翔体本体部とによって画成される内部空間(440)に配置され、前記リード線は、一端が前記ガス発生装置と接続された状態で、前記内部空間から前記飛翔体の射出方向と異なる方向に引き出されていることを特徴とする。
【0016】
〔2〕上記パラシュート装置(4,4B)において、前記リード線は、前記射出方向と反対の方向(S)に引き出されていてもよい。
【0017】
〔3〕上記パラシュート装置(4A,4C)において、前記リード線は、前記射出方向と交差する方向(R)に引き出されていてもよい。
【0018】
〔4〕上記パラシュート装置(4)において、前記射出部(41)は、筒状の側壁部(411)と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部(412)とを含み、前記飛翔体本体部(44)は、棒状に形成され、前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、前記飛翔体は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、前記底部には、貫通穴(4120)が形成され、前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されていてもよい。
【0019】
〔5〕上記パラシュート装置(4A)において、前記射出部(41A)は、筒状の側壁部(411A)と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部(412)とを含み、前記飛翔体本体部(44A)は、棒状に形成され、前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、前記飛翔体(43A)は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、前記側壁部には、貫通穴(4110)が形成され、前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されていてもよい。
【0020】
〔6〕上記パラシュート装置(4B)において、前記射出部(41B)は、棒状に形成され、前記飛翔体本体部は、筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部(443B)と、前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に前記射出部の先端部(414B)と対面した状態で保持する保持部(441B)と、前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索(46)に連結された連結部(442B)とを含み、前記リード線は、前記射出部の内部において前記先端部と反対方向(S)に延在していてもよい。
【0021】
〔7〕上記パラシュート装置(4C)において、前記射出部(41C)は、棒状に形成され、前記飛翔体本体部(44C)は、筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部(443C)と、前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に挿入された前記射出部の先端部(414C)と対面した状態で保持する保持部(441C)と、前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索(46)に連結された連結部(442C)とを含み、前記保持部には、貫通穴(4412)が形成され、前記リード線は、前記貫通穴を通って前記飛翔体本体部の外部に引き出されていてもよい。
【0022】
〔8〕上記パラシュート装置(4,4A~4C)において、前記ガス発生装置(45)は、ハウジング(451)と、前記ハウジング内に収容されたガス発生剤(454)と、前記リード線の前記一端に形成され、少なくとも一部が前記ガス発生剤に覆われた状態で固定された点火薬(453)とを含んでいてもよい。
【0023】
〔9〕本発明の代表的な実施の形態に係る飛行装置(1)は、機体ユニット(2)と、前記機体ユニットに接続され、推力を発生する推力発生部(3_1~3_n)と、前記推力発生部を制御する飛行制御部(14)と、飛行時の異常を検出する異常検出部(15)と、上記〔1〕乃至〔8〕の何れか一項に記載のパラシュート装置(4)と、前記異常検出部による異常の検出に応じて、前記飛翔体を前記射出部から射出させる落下制御部(16)とを備えることを特徴とする。
【0024】
〔10〕本発明の代表的な実施の形態に係る飛翔体射出機構(50,50A,50B,50C)は、パラシュート(400)に連結可能な飛翔体本体部(44)と、ガスを発生するガス発生装置(45)とを有する少なくとも一つの飛翔体(43)と、前記飛翔体を保持し、保持した前記飛翔体を射出するための射出部(41)と、前記ガス発生装置を点火するためのリード線(47)とを備え、前記飛翔体本体部は、前記射出部と係合され、前記ガス発生装置は、前記射出部と前記飛翔体本体部とによって画成される内部空間に配置され、前記リード線は、一端が前記ガス発生装置と接続された状態で、前記内部空間から前記飛翔体の射出方向と異なる方向に引き出されていることを特徴とする。
【0025】
〔11〕上記飛翔体射出機構(50,50B)において、前記リード線は、前記射出方向と反対の方向(S)に引き出されていてもよい。
【0026】
〔12〕上記飛翔体射出機構(50A,50C)において、前記リード線は、前記射出方向と交差する方向に引き出されていてもよい。
【0027】
〔13〕上記飛翔体射出機構(50)において、前記射出部(41)は、筒状の側壁部(411)と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部(412)とを含み、前記飛翔体本体部(44)は、棒状に形成され、前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、前記飛翔体は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、前記底部には、貫通穴(4120)が形成され、前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されていてもよい。
【0028】
〔14〕上記飛翔体射出機構(50A)において、前記射出部(41A)は、筒状の側壁部(411A)と、前記側壁部の一方の開口を覆う底部(412)とを含み、前記飛翔体本体部(44A)は、棒状に形成され、前記ガス発生装置は、前記飛翔体本体部の一端側に配置され、前記飛翔体(43A)は、前記飛翔体本体部の前記一端側が前記射出部の内部に挿入され、且つ、前記射出部の内部において前記ガス発生装置が前記射出部の前記底部と対面した状態で、配置され、前記側壁部には、貫通穴(4110)が形成され、前記リード線は、前記貫通穴を通って前記射出部の外部に引き出されていてもよい。
【0029】
〔15〕上記飛翔体射出機構(50B)において、前記射出部(41B)は、棒状に形成され、前記飛翔体本体部は、筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部(443B)と、前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に前記射出部の先端部(414B)と対面した状態で保持する保持部(441B)と、前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索(46)に連結された連結部(442B)とを含み、前記リード線は、前記射出部の内部において前記先端部と反対方向(S)に延在していてもよい。
【0030】
〔16〕上記飛翔体射出機構(50C)において、前記射出部(41C)は、棒状に形成され、前記飛翔体本体部(44C)は、筒状に形成され、一端側から前記射出部の少なくとも一部が挿入された支持部(443C)と、前記支持部の他端側において、前記ガス発生装置を、前記支持部に挿入された前記射出部の先端部(414C)と対面した状態で保持する保持部(441C)と、前記保持部から前記支持部と反対側に突出して形成され、前記パラシュートと前記飛翔体とを連結する連結索(46)に連結された連結部(442C)とを含み、前記保持部には、貫通穴(4412)が形成され、前記リード線は、前記貫通穴を通って前記飛翔体本体部の外部に引き出されていてもよい。
【0031】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0032】
≪実施の形態1≫
図1は、実施の形態1に係るパラシュート装置を搭載した飛行装置の外観を模式的に示す図である。図1に示される飛行装置1は、例えば、3つ以上のロータを搭載したマルチロータの回転翼機型の飛行装置であり、所謂ドローンである。
【0033】
図1に示すように、飛行装置1は、機体ユニット2、推力発生部3_1~3_n(nは3以上の整数)、パラシュート装置4、報知装置5、およびアーム部6を備えている。
【0034】
機体ユニット2は、飛行装置1の本体部分である。機体ユニット2は、後述のように、飛行装置1の飛行を制御するための各種機能部を収容している。なお、図1では、一例として円柱状の機体ユニット2を図示しているが、機体ユニット2の形状は特に制限されない。
【0035】
推力発生部3_1~3_nは、推力を発生するロータである。なお、以下の説明において、各推力発生部3_1~3_nを特に区別しない場合には、単に、「推力発生部3」と表記する。飛行装置1が備える推力発生部3の個数は特に制限されないが、3つ以上であることが好ましい。例えば、飛行装置1は、3つの推力発生部3を備えたトライコプター、4つの推力発生部3を備えたクワッドコプター、6つの推力発生部を備えたヘキサコプター、および8つの推力発生部3を備えたオクトコプターなどの何れであってもよい。
【0036】
なお、図1では、飛行装置1が4つ(n=4)の推力発生部3_1~3_4を搭載したクワッドコプターである場合を一例として図示している。
【0037】
推力発生部3は、例えば、プロペラ30と、プロペラ30を回転させるモータ31とを、筒状の筐体32に収容した構造を有している。筒状の筐体32の開口部には、プロペラ30との接触を防止するための網(例えば、樹脂材料や金属材料(ステンレス鋼等)等)が設けられていてもよい。
【0038】
アーム部6は、機体ユニット2と各推力発生部3とを連結するための構造体である。アーム部6は、機体ユニット2から、例えば、機体ユニット2の中心軸Oを中心として放射状に突出して形成されている。各アーム部6の先端には、推力発生部3がそれぞれ取り付けられている。
【0039】
報知装置5は、飛行装置1の外部に危険を知らせるための装置である。報知装置5は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等から成る光源や音声発生装置(アンプおよびスピーカ等)を含んで構成されている。報知装置5は、後述する異常検出部15による異常の検出に応じて、飛行装置1が危険な状態であることを、光や音声によって外部に報知する。
【0040】
なお、報知装置5は、機体ユニット2の外部に露出していてもよいし、光源から発生した光やスピーカから発生した音声等を外部に出力可能な形態で機体ユニット2の内部に収容されていてもよい。
【0041】
パラシュート装置4は、飛行装置1に異常が発生し、落下のおそれがある場合に、飛行装置1の落下速度を緩やかにして、飛行装置1を安全に落下させるための装置である。パラシュート装置4は、例えば図1に示すように、機体ユニット2上に設置されている。なお、パラシュート装置4の具体的な構成については、後述する。
【0042】
図2は、実施の形態1に係るパラシュート装置4を搭載した飛行装置1の機能ブロック図である。
【0043】
図2に示すように、機体ユニット2は、電源部11、センサ部12、モータ駆動部13_1~13_n(nは3以上の整数)、飛行制御部14、異常検出部15、落下制御部16、通信部17、および記憶部18を含む。
【0044】
これらの機能部のうち、飛行制御部14、異常検出部15、および落下制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)および各種メモリを含むマイクロコントローラ等によるプログラム処理によって実現される。
【0045】
電源部11は、バッテリ22と電源回路23とを含む。バッテリ22は、例えば二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)である。電源回路23は、バッテリ22の出力電圧に基づいて電源電圧を生成し、上記機能部を実現する各ハードウェアに供給する回路である。電源回路23は、例えば複数のレギュレータ回路を含み、上記ハードウェア毎に適切な大きさの電源電圧を供給する。
【0046】
センサ部12は、飛行装置1の状態を検知する機能部である。センサ部12は、飛行装置1の機体の傾きを検出する。センサ部12は、例えば、角速度センサ24、加速度センサ25、磁気センサ26、および角度算出部27を含む。
【0047】
角速度センサ24は、角速度(回転速度)を検出するセンサである。例えば、角速度センサ24は、x軸、y軸、およびz軸の3つの基準軸に基づいて角速度を検出する3軸ジャイロセンサである。
【0048】
加速度センサ25は、加速度を検出するセンサである。例えば、加速度センサ25は、x軸、y軸、およびz軸の3つの基準軸に基づいて加速度を検出する3軸加速度センサである。
【0049】
磁気センサ26は、地磁気を検出するセンサである。例えば、磁気センサ26は、x軸、y軸、およびz軸の3つの基準軸に基づいて方位(絶対方向)を検出する3軸地磁気センサ(電子コンパス)である。
【0050】
角度算出部27は、角速度センサ24および加速度センサ25の少なくとも一方の検出結果に基づいて、飛行装置1の機体の傾きを算出する。ここで、飛行装置1の機体の傾きとは、地面(水平方向)に対する機体(機体ユニット2)の角度のことである。
【0051】
例えば、角度算出部27は、角速度センサ24の検出結果に基づいて、地面に対する機体の角度を算出してもよいし、角速度センサ24および加速度センサ25の検出結果に基づいて、地面に対する機体の角度を算出してもよい。なお、角速度センサ24や加速度センサ25の検出結果を用いた角度の算出方法は、公知の計算式を用いてもよい。
【0052】
また、角度算出部27は、角速度センサ24および加速度センサ25の少なくとも一方の検出結果に基づいて算出した角度を、磁気センサ26の検出結果に基づいて補正してもよい。
【0053】
なお、センサ部12は、上述した角速度センサ24、加速度センサ25、および磁気センサ26に加えて、例えば、気圧センサ、風量(風向き)センサ、超音波センサ、GPS受信機、およびカメラ等を含んでいてもよい。
【0054】
通信部17は、外部装置9と通信を行うための機能部である。ここで、外部装置9は、飛行装置1の動作を制御し、飛行装置1の状態を監視する送信機やサーバ等である。通信部17は、例えば、アンテナおよびRF(Radio Frequency)回路等によって構成されている。通信部17と外部装置9との間の通信は、例えば、ISMバンド(2.4GHz帯)の無線通信によって実現される。
【0055】
通信部17は、外部装置9から送信された飛行装置1の操作情報を受信して飛行制御部14に出力するとともに、センサ部12によって計測された各種計測データ等を外部装置9へ送信する。また、通信部17は、異常検出部15によって飛行装置1の異常が検出された場合に、飛行装置1に異常が発生したことを示す情報を外部装置9に送信する。更に、通信部17は、飛行装置1が地上に落下した場合に、飛行装置1が落下したことを示す情報を外部装置9に送信する。
【0056】
モータ駆動部13_1~13_nは、推力発生部3_n毎に設けられ、飛行制御部14からの指示に応じて、駆動対象のモータ31を駆動する機能部である。
【0057】
なお、以下の説明において、各モータ駆動部13_1~13_nを特に区別しない場合には、単に、「モータ駆動部13」と表記する。
【0058】
モータ駆動部13は、飛行制御部14から指示された回転数でモータ31が回転するように、モータ31を駆動する。例えば、モータ駆動部13は、ESC(Electronic Speed Controller)である。
【0059】
飛行制御部14は、飛行装置1の各機能部を統括的に制御する機能部である。
飛行制御部14は、飛行装置1が安定して飛行するように推力発生部3を制御する。具体的には、飛行制御部14は、通信部17によって受信した外部装置9からの操作情報(上昇や下降、前進や後退等の指示)と、センサ部12の検出結果とに基づいて、機体が安定した状態で所望の方向に飛行するように、各推力発生部3のモータ31の適切な回転数を算出し、算出した回転数を各モータ駆動部13にそれぞれ指示する。
【0060】
飛行制御部14は、例えば風等の外部からの影響によって機体の姿勢が乱れた場合に、角速度センサ24の検出結果に基づいて、機体が水平になるように、各推力発生部3のモータ31の適切な回転数をそれぞれ算出し、算出した回転数を各モータ駆動部13にそれぞれ指示する。
【0061】
また、例えば、飛行制御部14は、飛行装置1のホバリング時に飛行装置1のドリフトを防止するために、加速度センサ25の検出結果に基づいて各推力発生部3のモータ31の適切な回転数を算出し、算出した回転数を各モータ駆動部13にそれぞれ指示する。
【0062】
また、飛行制御部14は、通信部17を制御して、外部装置9との間で上述した各種データの送受信を実現する。
【0063】
記憶部18は、飛行装置1の動作を制御するための各種プログラムやパラメータ等を記憶するための機能部である。例えば、記憶部18は、フラッシュメモリおよびROM等の不揮発性メモリやRAM等から構成されている。
【0064】
記憶部18に記憶される上記パラメータは、例えば、後述する残容量閾値28および傾き閾値29等である。
【0065】
異常検出部15は、飛行時の異常を検出する機能部である。具体的には、異常検出部15は、センサ部12の検出結果と、バッテリ22の状態と、推力発生部3の動作状態とを監視し、飛行装置1が異常状態であるか否かを判定する。
【0066】
ここで、異常状態とは、飛行装置1の自律飛行が不可能になるおそれがある状態を言う。例えば、推力発生部3が故障したこと、バッテリ22の残容量が所定の閾値よりも低下したこと、および機体(機体ユニット2)が異常に傾いたこと、の少なくとも一つが発生した状態を異常状態と言う。
【0067】
異常検出部15は、推力発生部3の故障を検出した場合に、飛行装置1が異常状態であると判定する。ここで、推力発生部3の故障とは、例えば、飛行制御部14が指定した回転数でモータ31が回転しないこと、プロペラ30が回転しないこと、およびプロペラ30の破損したこと等を言う。
【0068】
また、異常検出部15は、バッテリ22の残容量が所定の閾値(以下、「残容量閾値」とも称する。)28よりも低下したことを検出した場合に、飛行装置1が異常状態であると判定する。
【0069】
ここで、残容量閾値28は、例えば、飛行制御部14が指示した回転数でモータが回転できなくなる程度の容量値とすればよい。残容量閾値28は、例えば、予め記憶部18に記憶されている。
【0070】
また、異常検出部15は、飛行装置1(機体)の異常な傾きを検出した場合に、飛行装置1が異常であると判定する。例えば、異常検出部15は、角度算出部27によって算出した角度が所定の閾値(以下、「傾き閾値」とも称する。)29を超えている状態が所定期間継続した場合に、飛行装置1が異常状態であると判定する。
【0071】
傾き閾値29は、例えば、飛行装置1が前後方向に移動するときの角度(ピッチ角)や飛行装置1が左右方向に移動するときの角度(ロール角)を予め実験により取得し、それらの角度よりも大きい値に設定すればよい。傾き閾値29は、例えば、予め記憶部18に記憶されている。
【0072】
落下制御部16は、飛行装置1の落下を制御するための機能部である。具体的には、落下制御部16は、異常検出部15によって飛行装置1が異常状態であることが検出された場合に、飛行装置1を安全に落下させるための落下準備処理を実行する。
【0073】
具体的には、落下制御部16は、落下準備処理として以下に示す処理を実行する。すなわち、落下制御部16は、異常検出部15による異常の検出に応じて報知装置5を制御して、危険な状態であることを外部に報知する。また、落下制御部16は、異常検出部15による異常の検出に応じて各モータ駆動部13を制御して、各モータ31の回転を停止させる。更に、落下制御部16は、異常検出部15による異常の検出に応じて、パラシュートの開傘を指示する制御信号をパラシュート装置4に出力して、パラシュート400を開傘させる。
【0074】
次に、実施の形態1に係るパラシュート装置4について、具体的に説明する。
図3は、実施の形態1に係るパラシュート装置4の構成を模式的に示す図である。同図には、パラシュート装置4の側断面が示されている。
【0075】
パラシュート装置4は、パラシュート400、パラシュート収容部40、射出部41、射出制御部42、飛翔体43、およびリード線47を備えている。
【0076】
図4は、パラシュート400が開いた状態を模式的に示す図である。
同図に示すように、パラシュート400は、傘体(キャノピー)406、および吊索407を含む。
【0077】
吊索407は、傘体406とパラシュート収容部40(パラシュート取り付け部404)とを連結する。
【0078】
傘体406は、連結索46によって飛翔体43と連結されている。例えば、図4に示すように、連結索46は、傘体406の頂点よりもエッジ(周縁)側において、傘体406と接続されている。より具体的には、各連結索46は、パラシュート400の周縁部に互いに離間してそれぞれ接続されている。例えば、図4に示すように、パラシュート400が開いたときの頂点側から見たときのパラシュート400の形状が円形状である場合には、各連結索46は、パラシュート400の周縁部の円周方向に沿って等間隔に接続されている。
【0079】
なお、飛翔体43が1つだけ設けられる場合には、連結索46は、パラシュート400の周縁部に接続されていればよい。この場合、連結索46が接続されるパラシュート400の周縁部上の位置については、特に制限されない。
【0080】
連結索46は、例えば、金属材料(例えばステンレス鋼)、または、繊維材料(例えば、ナイロン紐)から構成されている。
【0081】
例えば、飛行装置1を低速で落下させるために必要な傘体406の直径Dは、下記式(1)に基づいて算出することができる。式(1)において、mは飛行装置1の総重量、vは飛行装置1の落下速度、ρは空気密度、Cdは抵抗係数である。
【0082】
【数1】
【0083】
例えば、飛行装置1の総重量m=250〔kg〕、抵抗係数Cd=0.9、空気密度ρ=1.3kg/mとしたとき、飛行装置1の落下速度vを5〔m/s〕とするために必要な傘体406の直径Dは、式(1)より14.6〔m〕と算出される。
【0084】
例えば図3に示すように、パラシュート400は、その使用前において、傘体406が折り畳まれた状態でパラシュート収容部40に収容されている。
【0085】
パラシュート収容部40は、パラシュート400を収容する容器である。パラシュート収容部40は、例えば樹脂から構成されている。図1に示すように、パラシュート収容部40は、機体ユニット2の上面、すなわち飛行装置1の飛行時において地面と反対側に面する面に設定されている。例えば、パラシュート収容部40は、機体ユニットの上面において、機体ユニット2の中心軸Oとパラシュート収容部40の中心軸Pとが重なるように設置されていることが好ましい。
【0086】
図3に示すように、パラシュート収容部40は、例えば、一端が開口し、他端が有底の円筒形状を有する。
【0087】
具体的には、パラシュート収容部40は、筒状(例えば円筒状)の側壁部401と、側壁部401の一端側の開口を塞ぐように形成された底部402とを有する。
【0088】
パラシュート収容部40において、側壁部401と底部402とは、パラシュート400を収容するための収容空間403を画成している。なお、側壁部401と底部402とは、それぞれ個別に形成されて接合されていてもよいし、一体に形成されていてもよい。
【0089】
図4に示すように、底部402には、パラシュート収容部40とパラシュート400とを連結するためのパラシュート取り付け部404が設けられている。例えば、パラシュート400の吊索407の一端がパラシュート取り付け部404に連結されることにより、パラシュート400とパラシュート収容部40とが連結される。
【0090】
なお、パラシュート収容部40には、パラシュート400を収容空間403に収容した状態で側壁部401の開口した一端側を覆う蓋が設けられていてもよい。
【0091】
飛翔体43は、パラシュート400をパラシュート収容部40の外部に放出し、パラシュート400の開傘(展開)を補助するための装置である。飛翔体43は、ガスを発生するガス発生装置45を有する。
【0092】
リード線47は、ガス発生装置45を点火するための電気配線である。リード線47は、例えば、ビニール線、すずめっき線、またはエナメル線等から構成されている。リード線47の一端は、ガス発生装置45に接続され、リード線47の他端は、射出制御部42に接続されている。
【0093】
射出制御部42がリード線47を介してガス発生装置45を点火することにより、ガス発生装置45からガスが発生する。飛翔体43は、ガス発生装置45から発生したガスを噴射することによって推力を得て、射出部41から射出される。
【0094】
パラシュート装置4は、少なくとも1つの飛翔体43を備えている。例えば、パラシュート装置4は、3つ以上の飛翔体43を備えていることが好ましい。本実施の形態では、一例として、パラシュート装置4が3つの飛翔体を備えている場合を例にとり説明する。なお、飛翔体43の具体的な構成については後述する。
【0095】
射出部41は、飛翔体43を保持し、保持している飛翔体43を射出するため装置である。射出部41は、飛翔体43毎に設けられている。図1に示すように、実施の形態1に係るパラシュート装置4は、3つの飛翔体43を別々に収容するために、3つの射出部41を備えている。
【0096】
射出制御部42は、飛翔体43を射出部41から射出するための制御を行う機能部である。射出制御部42は、例えば、落下制御部16からパラシュート400の開傘を指示する制御信号が出力された場合に点火信号を出力する。点火信号がリード線47を介して各飛翔体43に設けられたガス発生装置45に入力されることにより、後述する点火薬453が点火して、ガス発生装置45からガスが発生する。
【0097】
図5は、実施の形態1に係る飛翔体射出機構の構成を示す図である。
同図には、飛翔体43、射出部41、およびリード線47を含む飛翔体射出機構50の断面形状が示されている。
【0098】
図5に示すように、射出部41は、一端が開口し、他端が有底の筒状に形成されている。具体的には、射出部41は、筒状(例えば円筒状)の側壁部411と、側壁部411の一方の開口を覆う底部412とを有する。側壁部411と底部412とは、飛翔体43を収容するための収容空間を画成している。側壁部411および底部412は、例えば樹脂から構成されている。底部412には、リード線47を射出部41の外部に引き出すための貫通穴4120が形成されている。
【0099】
射出部41は、パラシュート収容部40に設けられている。例えば、図1等に示すように、各射出部41は、側壁部411における底部412と反対側の開口部である射出口413がパラシュート収容部40の開口部と同じ方向を向くようにパラシュート収容部40の外周面にそれぞれ接合されている。
【0100】
また、複数の射出部41は、パラシュート収容部40の中心軸Pを中心とした回転方向において等間隔に配置されている。例えば、実施の形態1のように飛翔体43および射出部41が3つある場合には、複数の射出部41は、パラシュート収容部40の中心軸Pを中心とした回転方向に120°(=360°/3)間隔で配置される。
【0101】
なお、射出部41が1つのみ設けられる場合は、パラシュート収容部40の外周面に接合されていればよい。この場合、射出部41が接合されるパラシュート収容部40の外周面上の位置については、特に制限されない。
【0102】
飛翔体43は、ガス発生装置45と飛翔体本体部44を有する。図5に示すように、飛翔体43は、飛翔体本体部44の一端側が射出部41の内部に挿入され、且つ、射出部41の内部においてガス発生装置45が射出部41の底部412(底面412a)と対面した状態で、配置されている。
【0103】
ガス発生装置45は、飛翔体43を射出部41の射出口413から射出するための推力の基になるガスを発生する装置である。ガス発生装置45は、例えば図5に示すように、ハウジング451、封止部材452、点火薬453、およびガス発生剤454を有する。
【0104】
ハウジング451は、ガス発生装置45を収容するとともにガス発生装置45から発生したガスを放出するガス放出室455を有する筐体である。例えば、ハウジング451は、ドーム形状を有している。ハウジング451は、例えば、樹脂から構成されている。好ましくは、ハウジング451は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced Plastics)等によって構成されている。なお、ハウジング451は、樹脂に限らず金属によって構成されていてもよい。
【0105】
図5に示すように、ガス放出室455には、ガス発生剤454が充填されている。
点火薬453は、ガス発生剤を点火するための薬剤である。点火薬453は、リード線47の一端に形成されている。例えば、樹脂等を混ぜ込んだ液状の点火薬をリード線47の先端に塗り固めることにより、リード線47の一端に点火薬453を固定することができる。
【0106】
なお、図5では、点火薬453が球状である場合が例示されているが、点火薬453の形状は特に制限されない。
【0107】
点火薬453は、少なくとも一部がガス発生剤454に覆われた状態で固定されている。例えば、図5に示すように、点火薬453は、ハウジング451内において、ガス発生剤454に埋め込まれた状態で固定されている。点火薬453の固定方法は、例えば以下の通りである。
【0108】
先ず、樹脂等を混ぜ込んだ粉状のガス発生剤454をハウジング451のガス放出室455内に流し込む。その後、粉状のガス発生剤454中に、リード線47の先端に形成された点火薬453を入れた状態でガス発生剤454を圧填する。これにより、点火薬453が、ガス発生剤454の内部に固定されるとともに、リード線47の一端がガス発生装置45と接続される。
【0109】
点火薬453は、リード線(導線)47を介して射出制御部42と電気的に接続されている。点火薬453は、射出制御部42から出力された点火信号に応じて点火し、ガス発生剤454を化学的に反応させることにより、ガスを発生させる。
【0110】
ガス放出室455には、ガス発生剤454から発生したガスを放出するガス放出孔456が形成されている。また、ガス放出室455には、ガス放出孔456を覆ってガス発生剤454をガス放出室455に封止する封止部材452が設けられている。
【0111】
封止部材452は、ガス発生剤454からガスが発生した場合に、発生したガスの圧力によって容易に破壊される材料によって構成されている。例えば、封止部材452は、ポリエステル等の薄膜である。封止部材452には、リード線47を射出部41の外部に引き出すための貫通穴4520が形成されている。
【0112】
ガス発生装置45は、射出部41と飛翔体本体部44とによって画成される内部空間440に配置されている。
【0113】
飛翔体本体部44は、パラシュートに連結される部品である。飛翔体本体部44は、ガス発生装置45を保持するとともに、連結索46に連結される。飛翔体本体部44は、例えば、棒状に形成されている。より具体的には、飛翔体本体部44は、例えば一部が中空の円柱状に形成されている。飛翔体本体部44は、射出部41と係合されている。
【0114】
飛翔体本体部44は、一端においてガス発生装置45を保持し、他端において連結索46と連結されている。換言すれば、飛翔体本体部44は、飛翔体本体部44の軸線Qの方向において、ガス発生装置45を保持する保持部441と、連結索46と連結するための連結部442の二つの機能部に分けられている。例えば、保持部441および連結部442はそれぞれ有底の筒形状を有している。保持部441と連結部442とは、互いの底面が対面し、且つ同軸となるように接合されている。
【0115】
飛翔体本体部44は、例えば、樹脂から構成されている。保持部441および連結部442は、例えば樹脂成形品として一体成形されていてもよいし、別個の部品として形成され、互いに接合されていてもよい。本実施の形態では、飛翔体本体部44は、保持部441と連結部442とが一体成形された部品であるとして説明する。
【0116】
保持部441は、その内部にガス発生装置45を収容して、保持する。具体的には、保持部441は、射出部41の内部において、ガス発生装置45のガスが放出される側、すなわちハウジング451のガス放出孔456(封止部材452)側が射出部41の底部412(底面412a)と対面するように、ガス発生装置45を保持している。例えば、保持部441は、ガス発生装置45の形状に対応するように形成された穴441aを有している。例えば、ガス発生装置45(ハウジング451)が穴441aに対して圧入または接着されることにより、ガス発生装置45が保持部441に保持される。
【0117】
連結部442は、飛翔体本体部44の軸線Qと平行な方向において保持部441と反対側に突出して形成されている。上述したように、連結部442は、有底の筒状(例えば円筒状)に形成されている。連結部442は、保持部441と反対側の端部に、連結索46を係止するための係止部4420を有する。係止部4420は、例えば貫通穴である。例えば、連結索46は、係止部4420としての貫通穴に挿通された状態で係止部4420に係止されている。
【0118】
実施の形態1に係る飛翔体射出機構50において、リード線47は、一端がガス発生装置45と接続された状態で、内部空間440から飛翔体本体部44が射出される射出方向(軸線Qの方向)と異なる方向に引き出されている。
【0119】
具体的には、リード線47は、飛翔体本体部44の射出方向と反対の方向、すなわち、図5におけるS方向に引き出されている。より具体的には、図5に示すように、リード線47は、封止部材452に形成された貫通穴4520と射出部41の底部412に形成された貫通穴4120を通って、射出部41の外部に引き出されている。
【0120】
図5に示すように、飛翔体43は、射出部41の内部において、ガス発生装置45(封止部材452)が射出部41の底部412(底面412a)と離間し、且つ対面した状態で、配置されている。これにより、飛翔体43のガス発生装置45と射出部41の底部412との間に空間418が形成される。
【0121】
なお、飛翔体43のガス発生装置45と射出部41の底部412との間の距離は、飛翔体43を射出するためのガスの圧力が適切になるように、適宜変更することが可能である。
【0122】
次に、実施の形態1に係るパラシュート装置4におけるパラシュート400の開傘の流れについて説明する。
【0123】
例えば、パラシュート装置4を搭載した飛行装置1が飛行しているときに、強風によって飛行装置1の機体(機体ユニット2)の傾きが傾き閾値29を超えた状態が所定期間継続し、異常検出部15,15Dが異常状態であると判定した場合、飛行装置1側の落下制御部16またはパラシュート装置4側の落下制御部16Dが、パラシュート400の開傘を指示する制御信号をパラシュート装置4の射出制御部42に対して送信する。
【0124】
パラシュート装置4の射出制御部42は、パラシュート400の開傘を指示する制御信号を受信した場合、リード線47を介してガス発生装置45に点火信号を出力する。具体的には、射出制御部42はリード線47に所定の電流を流して、リード線47の一端に形成されている点火薬453を点火させる。
【0125】
点火薬453が点火することにより、点火薬453を覆っているガス発生剤454が化学的に反応し、ガスが発生する。ガス放出室455内に発生したガスの圧力が高まると、ガス放出孔456を覆っている封止部材452が破れる。これにより、ガス放出室455内のガスが、ガス放出孔456から射出部41内の空間418に放出され、空間418にガスが充満する。そして、空間418内のガスの圧力が所定値を超えたとき、飛翔体43は、ガスの圧力によって射出口413側に移動し、射出部41の射出口413から射出される。
【0126】
このとき、点火薬453とともにガス発生剤454に固定されていたリード線47は、ガス発生剤454が化学的に反応することにより、飛翔体43と分離可能になる。そのため、飛翔体43が射出部41から射出されたとき、例えば、リード線47は、飛翔体43から分離し、射出部41側に残る。あるいは、リード線47が射出部41の貫通穴4120の縁部によって切断され、リード線47の一部が飛翔体43とともに射出され、リード線47の残りの部分が射出部41側に残る。
【0127】
飛翔体43が各射出部41からそれぞれ射出されると、各飛翔体43は、連結索46を介してパラシュート400を引っ張る。これにより、パラシュート400がパラシュート収容部40から放出される。その後、各飛翔体43によって更に引っ張られたパラシュート400は、畳まれた状態の傘体406の内部に空気が入り込むことによって、開傘する。
【0128】
図6は、実施の形態1に係る飛行装置1のパラシュート400が開いた状態を模式的に示す図である。
例えば、上述した処理手順を経て各飛翔体43が射出された場合、各飛翔体43は、放出されたパラシュート400の傘体406をその頂点部分からエッジ(周縁)側に引っ張る。これにより、傘体406が広がって空気をはらみ易くなり、パラシュート400を直ちに開かせることが可能となる。
【0129】
以上、実施の形態1に係るパラシュート装置4は、パラシュート400に連結された少なくとも一つの飛翔体43を備え、飛翔体43は、射出部41と係合された飛翔体本体部44と、射出部41と飛翔体本体部44とによって画成される内部空間440に配置されたガス発生装置45とを有している。
【0130】
これによれば、上述したように、ガス発生装置45からガスが発生して射出部41と飛翔体本体部44とによって画成される内部空間440のガスの圧力が高まることにより、飛翔体43を射出部41から飛翔させることができる。飛翔体43が飛翔することにより、飛翔体43に連結されたパラシュート400の傘体406がその頂点部分からエッジ(周縁)側に引っ張られるので、傘体406が空気をはらみ易くなり、パラシュート400を直ちに開傘させることが可能となる。これにより、パラシュート装置4の信頼性を高めることが可能となる。
【0131】
また、パラシュート装置4において、ガス発生装置45を点火するためのリード線47は、一端がガス発生装置45と接続された状態で、内部空間440から飛翔体43の射出方向と異なる方向に引き出されている。
【0132】
これによれば、パラシュート装置4の未使用時には、リード線47によって、飛翔体43をその射出方向と異なる方向に引っ張って保持することが可能となる。これにより、例えば、パラシュート装置4を搭載した回転翼機が大きく傾いた場合や回転翼機が逆さになった場合であっても、飛翔体43が適切な位置から移動したり、飛翔体43が射出部41から抜け落ちたりすることを防止することが可能となる。これにより、パラシュート装置4の信頼性を更に高めることが可能となる。
【0133】
好ましくは、上述したように、リード線47を、飛翔体43の射出方向と反対の方向Sに引き出す。これによれば、パラシュート装置4の未使用時に、飛翔体43に対してより適切な方向から力を加えることができるので、射出部41から抜け落ちたりすることを、より効果的に防止することが可能となる。
【0134】
また、リード線47は、射出部41の底部412に形成された貫通穴4120を通って射出部41の外部に引き出されている。これによれば、飛翔体射出機構50の組み立てが容易となる。例えば、飛翔体射出機構50を組み立てる際に、先ず、飛翔体43に一端が固定されたリード線47の他端側を射出部41の底部412に形成された貫通穴4120に挿通させる。その後、飛翔体43を射出部41の側壁部411内に挿入する。これによれば、図5に示す状態の飛翔体射出機構50を容易に組み立てることが可能となる。
【0135】
≪実施の形態2≫
図7は、実施の形態2に係るパラシュート装置4Aの構成を模式的に示す図である。同図には、パラシュート装置4Aの側断面が示されている。
【0136】
図7に示される、実施の形態2に係るパラシュート装置4Aは、リード線47が射出部41Aの側壁部411Aから引き出される点において、実施の形態1に係るパラシュート装置4と相違し、その他の点においては、実施の形態1に係るパラシュート装置4と同様である。
【0137】
図8は、実施の形態2に係る飛翔体射出機構50Aの構成を示す図である。
【0138】
飛翔体射出機構50Aは、飛翔体43Aおよび射出部41Aを含む。
飛翔体射出機構50Aにおいて、飛翔体本体部44Aは、実施の形態1に係る飛翔体本体部44と同様に、保持部441Aと連結部442の二つの機能部に分けられている。保持部441Aは、実施の形態1に係る保持部441に対応し、それと同様の機能を有している。保持部441Aには、後述するように、リード線47を通すための貫通穴4410が形成されている。
【0139】
射出部41Aは、実施の形態1に係る射出部41と同様に、側壁部411Aと底部412とを有する。側壁部411Aは、実施の形態1に係る側壁部411に対応し、それと同様の機能を有している。側壁部411Aには、後述するように、リード線47を通すための貫通穴4110が形成されている。
【0140】
リード線47は、一端がガス発生装置45と接続された状態で、内部空間440から飛翔体43Aの射出方向(軸線Qの方向)と異なる方向に引き出されている。
【0141】
具体的には、リード線47は、飛翔体43の射出方向と交差する方向に引き出されている。例えば、リード線47は、図8における軸線Qの方向と直交するR方向に引き出されている。
【0142】
リード線47は、内部空間440から、射出部41Aの側壁部411Aに形成された貫通穴4110を通って、射出部41Aの外部に引き出されている。より具体的には、図8に示すように、リード線47は、ガス発生装置45のハウジング451に形成された貫通穴4510と、飛翔体本体部44Aの保持部441Aに形成された貫通穴4410と、射出部41Aの側壁部411Aに形成された貫通穴4110とを通って、射出部41Aの外部に引き出されている。
【0143】
リード線47は、飛翔体43Aが射出部41Aの射出口413から射出されたときに、切断可能に構成されている。例えば、飛翔体43Aが射出口413から射出されたときに、飛翔体43Aによってリード線47が引っ張られ、その引張力によってリード線47が貫通穴4110の縁部に押し付けられることにより、リード線47を破断することが可能となる。
【0144】
上述したように、リード線47を軸線Qの方向と直交するR方向に引き出しておくことにより、飛翔体43Aの射出時に、リード線47が貫通穴4110の縁部により大きな力で押し付けられるので、リード線47が破断し易くなる。
【0145】
好ましくは、貫通穴4110の開口部分(縁部)を鋭利な形状となるように予め加工しておく。これによれば、リード線47が更に破断し易くなる。
【0146】
以上、実施の形態2に係るパラシュート装置4Aは、ガス発生装置45を点火するためのリード線47が飛翔体43Aの射出方向と交差する方向(例えば、図8における方向R)に引き出されているので、リード線47によって飛翔体43Aをその射出方向と異なる方向に引っ張ることができる。これにより、実施の形態1と同様に、パラシュート装置4Aの未使用時に、飛翔体43Aが適切な位置から移動したり、飛翔体43Aが射出部41Aから抜け落ちたりすることを防止でき、パラシュート装置4Aの信頼性を高めることが可能となる。
【0147】
また、上述したように、リード線47を、飛翔体43Aの射出方向に直交する方向Rに引き出すことにより、パラシュート装置4Aの未使用時には、飛翔体43Aが射出部41Aから抜け落ちることを防止しつつ、飛翔体43Aの射出時には、リード線47に適切な力を加えてリード線47を破断することが容易となる。
【0148】
≪実施の形態3≫
図9は、実施の形態3に係るパラシュート装置4Bの構成を模式的に示す図である。同図には、パラシュート装置4Bの側断面が示されている。
【0149】
図9に示される、実施の形態3に係るパラシュート装置4Bは、飛翔体および射出部の構造において実施の形態1に係るパラシュート装置4と相違し、その他の点においては、実施の形態1に係るパラシュート装置4と同様である。
【0150】
図10は、実施の形態3に係る飛翔体射出機構50Bの構成を示す図である。
【0151】
飛翔体射出機構50Bは、飛翔体43Bおよび射出部41Bを含む。
射出部41Bは、棒状に形成されている。具体的には、射出部41Bは、例えば一端が開口し、他端が有底の筒状に形成されている。より具体的には、射出部41Bは、筒状(例えば円筒状)の側壁部411Bと、側壁部411Bの一方の開口部を覆うように形成された先端部414Bとを含む。射出部41Bは、例えば樹脂から構成されている。側壁部411Bと先端部414Bは、例えば、樹脂成形品として一体成形されていてもよい。
【0152】
先端部414Bには、リード線47を通すための、先端部414Bの外周面(先端面)414Baと側壁部411Bの内部とを連通する貫通穴4140が形成されている。
【0153】
飛翔体43Bは、ガス発生装置45と飛翔体本体部44Bとを有する。ガス発生装置45は、飛翔体本体部44Bの内部に設けられている。ガス発生装置45は、射出部41Bと飛翔体本体部44Bとによって画成される内部空間440Bに配置されている。
【0154】
飛翔体43Bは、射出部41Bの外周面の少なくとも一部を覆うように、射出部41B上に配置されている。具体的には、図10に示すように、飛翔体43Bは、飛翔体本体部44Bの内部に射出部41Bの少なくとも一部が挿入され、且つガス発生装置45が射出部41Bの先端部414Bに対面した状態で、射出部41B上に支持されている。
【0155】
飛翔体本体部44Bは、一端が開口し他端が有底の筒状(例えば円筒状)に形成されている。飛翔体本体部44Bは、例えば、樹脂から構成されている。
【0156】
より具体的には、飛翔体本体部44Bは、開口部側が射出部41Bに挿通され、底部側においてガス発生装置45を保持している。また、飛翔体本体部44Bは、開口部と反対側の端部において連結索46と連結されている。
換言すれば、飛翔体本体部44Bは、飛翔体本体部44Bの軸線Qに沿って、飛翔体43Bを射出部41Bに支持するための支持部443Bと、ガス発生装置45を保持するための保持部441Bと、連結索46と連結するための連結部442Bの、三つの機能部に分かれている。
【0157】
ここで、支持部443B、保持部441B、および連結部442Bは、例えば、樹脂成形品として一体成形されていてもよいし、別個の部品として形成され、互いに接合されていてもよい。本実施の形態では、飛翔体本体部44Bは、支持部443B、保持部441B、および連結部442Bが一体成形された部品であるとして説明する。
【0158】
支持部443Bは、筒状(例えば円柱状)に形成されている。支持部443Bの内径は、射出部41Bの外径に対応する大きさを有している。支持部443Bには、その一端側から射出部41Bの少なくとも一部が挿入されている。具体的には、射出部41Bの先端部414Bが支持部443Bの一端側から支持部443Bの内部に挿入されている。
【0159】
保持部441Bは、例えば、ガス発生装置45の形状に対応するように形成された穴4411を有している。保持部441Bは、例えば、ガス発生装置45が穴4411に対して圧入または接着されることにより、ガス発生装置45を保持する。
【0160】
保持部441Bは、支持部443Bの他端側において、ガス発生装置45を、射出部41Bの先端部414Bと対面した状態で保持する。すなわち、ガス発生装置45は、ガス発生装置45のガスが放出される側、すなわちハウジング451のガス放出孔456(封止部材452)側が射出部41Bの先端部414Bと対面するように、配置されている。
【0161】
図10に示すように、飛翔体43Bは、ガス発生装置45(封止部材452)が射出部41Bの先端部414B(先端面414Ba)と離間し、且つ対面した状態で、配置されている。これにより、飛翔体43Bのガス発生装置45と射出部41Bの先端部414Bとの間に空間418Bが形成される。
【0162】
なお、飛翔体43Bのガス発生装置45と射出部41Bの先端部414Bとの間の距離は、飛翔体43Bを射出するためのガスの圧力が適切になるように、適宜変更することが可能である。
【0163】
連結部442Bは、飛翔体本体部44Bの軸線Qと平行な方向において、保持部441Bから、支持部443Bと反対側に突出して形成されている。連結部442Bは、例えば、一端が開口し他端が有底の筒状(例えば円筒状)に形成されている。
【0164】
連結部442Bは、連結索46と連結されている。具体的には、連結部442Bは、支持部443Bと反対側の端部に、連結索46を係止するための係止部4420を有する。係止部4420は、例えば貫通穴である。例えば、連結索46は、係止部4420としての貫通穴に挿通された状態で係止部4420に係止されている。
【0165】
実施の形態3に係るパラシュート装置4Bにおいて、リード線47は、射出部41Bの内部において先端部414Bと反対方向に延在している。
【0166】
より具体的には、リード線47は、封止部材452に形成された貫通穴4520と射出部41Bの先端部414Bに形成された貫通穴4140とを通って、射出部41Bの側壁部411Bの内部空間4111に延在し、ガス発生装置45と射出制御部42とを互いに接続している。
【0167】
上述の構成を有するパラシュート装置4Bによれば、ガス発生装置45から発生したガスを、支持部443Bの内壁面と射出部41Bの先端面414Baとによって画成される空間に溜めて、ガス圧力を高めることにより、勢い良く飛翔体43Bを射出することができる。このとき、射出部41Bの側面41Baが、射出時の飛翔体43Bの移動をガイドするガイド機構として機能するので、飛翔体43Bをより直線的に飛翔させることが可能となる。
【0168】
また、パラシュート装置4Bによれば、ガス発生装置45が飛翔体本体部44Bの内部に収容された状態で、射出部41Bによって封止されるので、ガス発生装置45が雨水や異物に曝されることによるガス発生装置45の劣化を防止することが可能となる。
【0169】
特に、飛翔体本体部44Bが、棒状の射出部41Bに被さるように(蓋をするように)配置されているので、パラシュート装置4Bを飛行装置1に設置したときに飛翔体43Bが雨や風に曝された場合であっても、飛翔体本体部44Bの内部に雨水や異物が侵入し難い。
【0170】
また、パラシュート装置4Bにおいて、リード線47は、射出部41Bの内部において、射出部41Bの先端部414Bと反対の方向Sに延在している。これによれば、リード線47によって飛翔体43Bをその射出方向と異なる方向に引っ張ることができる。これにより、実施の形態1と同様に、パラシュート装置4Bの未使用時に、飛翔体43Bが適切な位置から移動したり、飛翔体43Bが射出部41Bから抜け落ちたりすることを防止することが可能となり、パラシュート装置4Bの信頼性を高めることが可能となる。
【0171】
また、パラシュート装置4Bにおいて、リード線47は、封止部材452に形成された貫通穴4520と射出部41Bの先端部414Bに形成された貫通穴4140とを通って、射出部41Bの内部空間4111に配策されている。
【0172】
これによれば、飛翔体射出機構50Bの組み立てが容易となる。例えば、飛翔体射出機構50Bを組み立てる際に、先ず、飛翔体43Bに一端が固定されたリード線47の他端側を射出部41Bの貫通穴4140に挿通させる。その後、射出部41Bを飛翔体43Bの支持部443Bの内部に挿入する。これによれば、図10に示す状態の飛翔体射出機構50Bを容易に組み立てることができる。
【0173】
≪実施の形態4≫
図11は、実施の形態4に係るパラシュート装置4Cの構成を模式的に示す図である。同図には、パラシュート装置4Cの側断面が示されている。
【0174】
図11に示される、実施の形態4に係るパラシュート装置4Cは、リード線47が飛翔体本体部44Cの保持部441Cから引き出される点において、実施の形態3に係るパラシュート装置4Bと相違し、その他の点においては、実施の形態3に係るパラシュート装置4Bと同様である。
【0175】
図12は、実施の形態4に係る飛翔体射出機構50Cの構成を示す図である。
【0176】
飛翔体射出機構50Cは、飛翔体43Cおよび射出部41Cを含む。
飛翔体43Cの飛翔体本体部44Cは、支持部443C、保持部441C、および連結部442Cの三つの機能部に分かれている。支持部443C、保持部441C、および連結部442Cは、実施の形態3に係るパラシュート装置4Bにおける、支持部443B、保持部441B、および連結部442Bにそれぞれ対応し、これらと同様の機能を有している。
【0177】
実施の形態4に係る飛翔体射出機構50Cにおいて、リード線47は、一端がガス発生装置45と接続された状態で、飛翔体43Cの射出方向(軸線Qの方向)と異なる方向に引き出されている。
【0178】
具体的には、リード線47は、飛翔体43Cの射出方向と交差する方向に引き出されている。例えば、リード線47は、図12における軸線Qの方向と直交するR方向に引き出されている。
【0179】
リード線47は、ガス発生装置45から、飛翔体本体部44Cの保持部441Cに形成された貫通穴4412を通って、飛翔体本体部44Cの外部に引き出されている。より具体的には、図12に示すように、リード線47は、ガス発生装置45のハウジング451に形成された貫通穴4510と、飛翔体本体部44Cの保持部441Cに形成された貫通穴4412とを通って、飛翔体本体部44Cの外部に引き出されている。
【0180】
リード線47は、飛翔体43Cが射出部41Cから射出されたときに、切断可能に構成されている。例えば、飛翔体43Cが射出部41Cから射出されたときに、飛翔体43Cによってリード線47が引っ張られ、その引張力によってリード線47が飛翔体本体部44Cの貫通穴4412の縁部に押し付けられることにより、リード線47を破断することが可能となる。
【0181】
上述したように、リード線47を軸線Qの方向と直交するR方向に引き出しておくことにより、飛翔体43Cの射出時に、リード線47に対して貫通穴4412の縁部からより大きな力を加えることが可能となり、リード線47がより破断し易くなる。
【0182】
ここで、貫通穴4412の開口部分(縁部)を鋭利な形状となるように予め加工しておくことが好ましい。これによれば、リード線47が更に破断し易くなる。
【0183】
以上、実施の形態4に係るパラシュート装置4Cは、実施の形態2に係るパラシュート装置4Aと同様に、ガス発生装置45を点火するためのリード線47が飛翔体43Cの射出方向と交差する方向(例えば、図12における方向R)に引き出されているので、リード線47によって飛翔体43Cをその射出方向と異なる方向に引っ張ることができる。これにより、実施の形態2に係るパラシュート装置4Aと同様に、パラシュート装置4Cの未使用時に、飛翔体43Cが適切な位置から移動したり、飛翔体43Cが射出部41Cから抜け落ちたりすることを防止することが可能となり、パラシュート装置4Cの信頼性を高めることが可能となる。
【0184】
また、上述したように、リード線47を、飛翔体43Cの射出方向に直交する方向Rに引き出すことにより、パラシュート装置4Cの未使用時には、飛翔体43Cが射出部41Cから抜け落ちることを防止しつつ、飛翔体43Cの射出時には、リード線47に適切な力を加えてリード線47を破断することが可能となる。
【0185】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0186】
例えば、上記実施の形態において、射出制御部42がパラシュート装置4,4A,4B,4Cに設けられる場合を例示したが、これに限られない。例えば、射出制御部42は、機体ユニット2に設けられていてもよい。
【0187】
また、上記実施の形態では、機体ユニット2側に設けられた落下制御部16からの信号に応じてパラシュート装置4,4A~4Cが飛翔体43,43A~43Cを射出する場合を例示したが、これに限られない。例えば、図13に示すように、パラシュート装置4Dが、センサ部12D、異常検出部15D、および落下制御部16Dを含む異常状態検知機構を備えていてもよい。センサ部12D、異常検出部15D、および落下制御部16Dは、それぞれセンサ部12、異常検出部15、および落下制御部16と同様の機能を有している。これによれば、パラシュート装置4D自らが異常状態を検出して飛翔体43を射出することが可能となる。
【0188】
この場合、機体ユニット2は、センサ部12、異常検出部15、および落下制御部16を含む異常状態検知機構を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、機体ユニット2とパラシュート装置4Dの双方が異常状態検知機構を有することにより、何等かの原因で一方の異常状態検知機構が異常状態を検知できなかった場合であっても、他方の異常状態検知機構によって異常状態を検知して、より確実にパラシュート400を開傘することが可能となる。
【0189】
また、上記実施の形態では、パラシュート収容部40が円筒状である場合を例示したが、これに限られない。すなわち、パラシュート収容部40は、内部にパラシュート400を収容するための空間を有していればよく、例えば、多角柱(例えば四角柱)状であってもよい。
【0190】
また、実施の形態1では、ガス発生装置45と射出部41との間に空間418が形成されるように、飛翔体43を配置する場合を例示したが、これに限られない。すなわち、飛翔体43を射出するための十分なガスの圧力が得られるのであれば、ガス発生装置45は、射出部41(底面412a)と接触して配置されていてもよい。他の実施の形態についても同様である。
【0191】
また、上記実施の形態において、射出部41,41A~41Cの外形が円筒状である場合を例示したが、これに限られない。すなわち、射出部41,41Aは、内部に飛翔体43,43Aを収容し、飛翔体43,43Aを射出可能な構造であればよく、例えば、外形が多角柱(例えば四角柱)状で、飛翔体43,43Aを収容する内部空間が円筒状であってもよい。同様に、射出部41B,41Cは、外部に飛翔体43B,43Cを配置し、飛翔体43B,43Cを射出可能な構造であればよく、例えば、外形が多角柱(例えば四角柱)状であってもよい。但し、その場合は、飛翔体43B,43Cの内部形状を射出部41B,41Cに合わせる必要がある。
【符号の説明】
【0192】
1…飛行装置、2…機体ユニット、3,3_1~3_n…推力発生部、4,4A~4D…パラシュート装置、5…報知装置、6…アーム部、9…外部装置、11…電源部、12,12D…センサ部、13,13_1~13_n…モータ駆動部、14…飛行制御部、15,15D…異常検出部、16,16D…落下制御部、17…通信部、18…記憶部、22…バッテリ、23…電源回路、24…角速度センサ、25…加速度センサ、26…磁気センサ、27…角度算出部、28…残容量閾値、29…傾き閾値、30…プロペラ、31…モータ、32…筐体、40…パラシュート収容部、41,41A,41B,41C…射出部、41Ba,41Ca…側面、42…射出制御部、43,43A,43B,43C…飛翔体、44,44A,44B,44C…飛翔体本体部、45…ガス発生装置、46…連結索、47…リード線(導線)、50,50A,50B,50C…飛翔体射出機構、400…パラシュート、401…側壁部、402…底部、403…収容空間、404…パラシュート取り付け部、406…傘体(キャノピー)、407…吊索、411,411A,411B…側壁部、412…底部、412a…底面、413…射出口、414B,414C…先端部、414Ba…外周面(先端面)、418,418B,418C…空間、440,440B,440C…内部空間、441,441A,441B,441C…保持部、441a…穴、442,442B,442C…連結部、443B,443C…支持部、451…ハウジング、452…封止部材、453…点火薬、454…ガス発生剤、455…ガス放出室、456…ガス放出孔、4110,4120,4140,4410,4412,4510,4520…貫通穴、4111…内部空間、4411…穴、4420…係止部(貫通穴)。
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