(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】スピロケタール置換環状ケトエノール類を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 491/113 20060101AFI20220823BHJP
C07D 317/72 20060101ALI20220823BHJP
C07D 319/08 20060101ALI20220823BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220823BHJP
【FI】
C07D491/113 CSP
C07D317/72
C07D319/08
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2019505192
(86)(22)【出願日】2017-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2017069287
(87)【国際公開番号】W WO2018024659
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-28
(32)【優先日】2016-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヒムラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ジュリア・ジョアンナ
(72)【発明者】
【氏名】クレーデ,ヨアヒム
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-531486(JP,A)
【文献】国際公開第99/032488(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(XI)
【化1】
〔式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルを表し;
R
8、R
9、R
10、R
11、R
12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フルオロアルキル(ここで、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個のフッ素原子を有している)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換されていてもよいフェニルを表し;及び、
nは、0又は1を表す〕
で表される化合物を調製する方法であって、
式(III)
【化2】
〔式中、n及びR
1~R
6は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を、塩基の存在下で、式(VII)
【化3】
〔式中、R
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物と反応させて、式(XV)
【化4】
〔式中、n、R
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を生成させ;
次いで、式(XV)で表される化合物を、触媒としての酸の存在下で、式(XIV)
【化5】
〔式中、n及びR
1~R
6は、上記で与えられている意味を有し、そして、具体的な個々の場合では、一般式(XV)で表される化合物における意味と同一である〕
で表される化合物を用いてエステル化して、式(XVI)及び式(XVII)
【化6】
〔式中、n、R
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有し、そして、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、n並びに対応するラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、両方とも同じである〕
で表される化合物を生成させ;
次いで、式(XVI)及び式(XVII)〔式中、n、R
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、強塩基と反応させることによって、式(XI)
【化7】
〔式中、n、R
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に変換させる;
ことを特徴とする、前記調製方法。
【請求項2】
R
1~R
6が、互いに独立して、水素、メチル又はエチルを表し;
R
8~R
12が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ素-、塩素-若しくは臭素-で置換されていてもよいフェニルを表し;
nが、0又は1を表す;
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
1~R
6が、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
R
8~R
12が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ素-若しくは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し;
nが、0又は1を表す;
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(XVI)
又は式(XVII)
【化10】
〔式中、
R
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、対応するラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、同一であり;及び、
nは、0又は1を表し、そして、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一である〕
で表される化合物を調製する方法であって、
式(XVIII)
【化11】
〔式中、R
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を、触媒としての酸の存在下で、式(XIV)
【化12】
〔式中、n及びR
1~R
6は、上記で与えられている意味を有し、そして、具体的な個々の場合では、式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物における意味と同一である〕
で表される化合物と反応させることを特徴とする、前記調製方法。
【請求項5】
式(XV-1)
【化13】
で表される化合物。
【請求項6】
式(XVI)又は式(XVII)
【化15】
〔式中、
R
1~R
6は、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルを表し、そして、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6の各々は式(XVI)又は式(XVII)において同一であり;
nは、0又は1を表し、そして、2つの記号nは式(XVI)において同一であり、また、3つの記号nは式(XVII)において同一であり;及び、
R
8~R
12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フルオロアルキル(ここで、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個のフッ素原子を有している)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換されていてもよいフェニルを表し、そして、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は式(XVI)又は式(XVII)において同一である〕
で表される化合物。
【請求項7】
R
3~R
6が、互いに独立して、水素又はメチルを表し、そして、R
3、R
4、R
5及びR
6の各々は式(XVI)又は式(XVII)において、同一であり;
nが、0を表し;及び、
R
8~R
12が、互いに独立して、水素、メチル又は塩素を表し、そして、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は式(XVI)又は式(XVII)において同一である;
請求項6に記載の式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物。
【請求項8】
R
3~R
6が、水素を表し;
nが、0を表し;及び、
R
8が、メチルを表し;
R
9が、水素を表し;
R
10が、塩素を表し;
R
11が、水素を表し;
R
12が、メチルを表す;
請求項6に記載の式(XVI)又は式(XVII)で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫剤、殺ダニ剤又は除草剤として使用することが可能なスピロケタール置換環状ケトエノール類を調製するための新規調製方法に関する。本発明は、さらに、スピロケタール置換環状ケトエノール類を調製するための新規中間体にも関する。
【背景技術】
【0002】
特定のスピロケタール置換環状ケトエノール類が殺虫活性、殺ダニ活性又は除草活性を有していることは、既に知られている(WO99/16748;WO06/089633)。そのようなスピロケタール置換環状ケトエノールの1つの既知合成(A)は、ブヘラ・ベルクス反応において一般式(II)で表されるスピロケタール置換ヒダントインに変換され得る一般式(I)で表される適切にスピロケタールで置換されているシクロヘキサノンから出発する。これらのヒダントイン類をアルカリ加水分解することによって、一般式(III)で表されるスピロケタール置換アミノ酸が得られる。次いで、これらのアミノ酸を有機化学の既知方法によって(例えば、アルコールR7-OH及び塩化チオニルとの反応によって)エステル化して、一般式(IV;R7=C1-C6-アルキル)で表されるスピロケタール置換アミノ酸エステルが得られる。これらのアミノ酸エステルを、次いで、その窒素において一般式(VII)で表されるフェニルアセチルクロリドでアシル化して、一般式(VIII)で表される化合物が得られる。一般式(VIII)で表される化合物を、次いで、ディークマン反応において強塩基(例えば、カリウムtert-ブトキシド又はナトリウムメトキシド)の作用によって環化させて、一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールが得られる。この調製方法(A)は、スキーム1に示されている。この調製方法(A)の考慮すべき不利点は、酸性条件下における一般式(III)で表されるアミノ酸のエステル化に際して、殆どの場合、該環状ケタールが少なくとも部分的に再ケタール化されて一般式(V)で表される非環状ケタール(ジェミナルビス(アルコキシ)化合物)となるという事実である。さらに、実際面では、原理上無水である条件下においてさえ、たとえごく僅かな量とはいえ、一般式(VI)で表される付加的なケトンが形成され得るということが分かった。その後、結果として、該エステルは、一般式(IV)及び一般式(V)で表される少なくとも2種類の生成物の混合物として得られ、これは、調製方法(A)のその後の段階においても対応する生成物の混合物をもたらす。加えて、非環状ケタールは容易に加水分解されるという事実は、さらに、一般式(X)で表されるN-アシル化ケトン(これは、一般式(VI)で表されるケト化合物のN-アシル化の生成物と同一である)の形成ももたらす。かくして、一般式(VII)で表されるフェニルアセチルクロリドによるN-アシル化の後で、一般式(VIII)、一般式(IX)及び一般式(X)で表されるアミドが得られる。次いで、ディークマン環化に付して、一般式(XI)、一般式(XII)及び一般式(XIII)で表される環状ケトエノールの混合物が得られる。従って、不純物を含んでいない一般式(XI)で表される生成物を工業条件下(ここでは、例えば、目標化合物のクロマトグラフィーによる精製はオプションにはない)で得るためには、付加的な段階において、一般式(XI)、一般式(XII)及び一般式(XIII)で表される化合物の該混合物を酸性触媒の存在下で一般式(XIV)で表されるジオールを用いて一般式(XI)で表される均質な化合物に変換させることが不可欠である。この付加的な段階は、多大な時間を必要とし、膨大な費用がかかり、非経済的である。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際特許出願公開第99/16748号
【文献】国際特許出願公開第06/089633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールを調製するための、より簡潔で、より短いプロセスが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、第1段階(1)において、一般式(III)で表されるスピロケタール置換アミノ酸を、その窒素において、ショッテン・バウマン条件下で一般式(VII)で表されるフェニルアセチルクロリドを用いてアシル化して、一般式(XV)で表されるアミドを生成させ;次いで、本発明の調製方法の第2段階(2)において、酸性条件下で一般式(XIV)で表されるジオールを用いてエステル化を実施し(これは、一般式(XVI)で表されるエステルと一般式(XVII)で表されるジエステルの混合物を生成し得る);及び、次いで、本発明の調製方法の第3段階(3)において、ディークマン環化を実施して一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールを生成させることによって、一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールの合成を単純化させることができるということが見いだされた。本発明による調製方法(B)は、スキーム2に示されている。
【0007】
【0008】
従って、本発明は、一般式(XI)で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールを調製するための新規調製方法(B)を包含し、ここで、該調製方法は、
該調製方法の第1段階に(1)において、一般式(III)
【化3】
【0009】
〔式中、
ラジカルR
1~R
6は、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルを表し;
及び、
nは、0又は1を表す〕
で表されるスピロケタール置換アミノ酸を、塩基の存在下で、一般式(VII)
【化4】
【0010】
〔式中、ラジカルR
8~R
12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フルオロアルキル(ここで、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個のフッ素原子を有している)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換されていてもよいフェニルを表す〕
で表されるフェニルアセチルクロリドと反応させて、一般式(XV)
【化5】
【0011】
〔式中、n並びにラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を生成させ;
次いで、本発明による調製方法(B)の第2段階(2)において、一般式(XV)で表される化合物を、触媒としての酸の存在下で、一般式(XIV)
【化6】
【0012】
〔式中、n及びラジカルR
1~R
6は、上記で与えられている意味を有し、そして、具体的な個々の場合では、一般式(XV)で表される化合物における意味と同一である〕
で表されるα,ω-ジオールを用いてエステル化して、一般式(XVI)及び一般式(XVII)
【化7】
【0013】
〔式中、n並びにラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、n並びに対応するラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、両方とも同じである〕
で表されるモノエステル及びジエステルを生成させ;
次いで、本発明による調製方法(B)の第3段階(3)において、一般式(XVI)及び一般式(XVII)〔式中、n並びにラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、強塩基と反応させることによって、一般式(XI)
【化8】
【0014】
〔式中、n並びにラジカルR1~R6及びR8~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるスピロケタール置換環状ケトエノールに変換させる;
ことを特徴とする。
【0015】
R1~R6は、R1、R2、R3、R4、R5、R6を表す。
【0016】
R8~R12は、R8、R9、R10、R11、R12を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
式(III)、式(VII)、式(XV)、式(XIV)、式(XVI)、式(XVII)、式(XI)において、
R1~R6は、互いに独立して、好ましくは、水素、メチル又はエチルを表し、
R8~R12は、互いに独立して、好ましくは、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ素-、塩素-若しくは臭素-で置換されていてもよいフェニルを表し、
nは、好ましくは、0又は1を表す;
R1~R6は、互いに独立して、特に好ましくは、水素又はメチルを表し、
R8~R12は、互いに独立して、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ素-若しくは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し、
nは、特に好ましくは、0又は1を表す;
R3~R6は、互いに独立して、同様に特に好ましくは、水素又はメチルを表し、
R8~R12は、互いに独立して、同様に特に好ましくは、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシを表すか、又は、メチル-、メトキシ-、フッ素-若しくは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し、
nは、同様に特に好ましくは、0を表す;
R3~R6は、互いに独立して、極めて特に好ましくは、水素又はメチルを表し、
R8~R12は、互いに独立して、極めて特に好ましくは、水素、メチル又は塩素を表し、
nは、極めて特に好ましくは、0を表す。
【0018】
重要なのは以下の場合である:nは0を表し、R3~R6は水素を表し、R8はメチルを表し、R9は水素を表し、R10は塩素を表し、R11は水素を表し、R12はメチルを表す。
【0019】
重要なのは以下の場合である:nは0を表し、R3~R6は水素を表し、R8はメチルを表し、R9は水素を表し、R10はメチルを表し、R11は水素を表し、R12はメチルを表す。
【0020】
重要なのは以下の場合である:nは0を表し、R3は水素を表し、R4はメチルを表し、R5は水素を表し、R6はメチルを表し、R8はメチルを表し、R9は水素を表し、R10は水素を表し、R11はメチルを表し、R12は水素を表す。
【0021】
重要なのは以下の場合である:nは1を表し、R1は水素を表し、R2は水素を表し、R3はメチルを表し、R4はメチルを表し、R5は水素を表し、R6は水素を表し、R8はメチルを表し、R9は水素を表し、R10は塩素を表し、R11は水素を表し、R12はメチルを表す。
【0022】
重要なのは以下の場合である:nは1を表し、R1~R6は水素を表し、R8はメチルを表し、R9は水素を表し、R10は塩素を表し、R11は水素を表し、R12はメチルを表す。
【0023】
調製方法Aに記載されている式(I)、式(II)及び式(XIII)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R12及びnは、上記で記載されている意味を有する。
【0024】
調製方法Aに記載されている式(IV)、式(VIII)、式(IX)、式(X)及び式(XII)において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12及びnは、上記で記載されている意味を有し、並びに、R
7は、C
1-C
6-アルキルを表す。特に重要なのは以下の場合である:nは0を表し;R
3~R
6は水素を表し;R
8及びR
12はメチルを表し;R
9及びR
11は水素を表し;R
10は塩素を表し;及び、R
7はメチルを表す:
式(IV-1)で表される化合物:
【化9】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
調製方法Aに記載されている式(V)及び式(VI)において、R
7は、C
1-C
6-アルキルを表す。特に重要なのは以下の場合である:R
7は、メチルを表す:
式(V-1)で表される化合物:
【化14】
【0030】
【0031】
(Me=CH3=メチル)。
【0032】
本発明による調製方法(B)の第1段階(1)は、当該反応条件下で不活性である溶媒の中で実施する。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げることができる:ジクロロメタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、水、又は、これら溶媒の混合物。好ましいのは、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、水又はこれら溶媒の混合物である。特に好ましいのは、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテルと水の混合物である(ショッテン・バウマン条件)。
【0033】
本発明による調製方法(B)の第1段階(1)において使用するのに適している塩基は、有機塩基、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、ピリジン;又は、無機塩基、例えば、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウムである。好ましいのは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0034】
固形無機塩基は、固体として、又は、それらの水溶液の形態で、使用することができる。好ましくは、水溶液を使用する。
【0035】
該塩基は、通常、結果としてpHが10~14になるような量で使用する。好ましくは、該反応は、pH11~13で実施する。
【0036】
本発明による調製方法(B)の第1段階(1)は、-5~50℃の温度で実施し;好ましくは、0~30℃の温度で実施する。
【0037】
一般式(XV)で表される化合物の単離は、濾過、相分離又は抽出などの有機化学の慣習的な方法で実施する。
【0038】
本発明による調製方法(B)の第2段階(2)において、当該反応条件下で不活性である溶媒を使用することができる。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げることができる:ジクロロメタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、1,4-ジオキサン、又は、これら溶媒の混合物。好ましいのは、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル又はこれら溶媒の混合物である。
【0039】
一般式(XIV)で表されるα,ω-ジオールは、一般式(XV)で表される化合物1molあたり、少なくとも0.5molの量で使用する。過剰量の一般式(XIV)で表されるα,ω-ジオールの中で実施することも可能であり、その場合、同時に、後者を溶媒として使用する。
【0040】
本発明による調製方法(B)の第2段階(2)は、触媒量の酸の存在下で実施する。可能な酸としては、例えば、以下のものを挙げることができる:塩化水素、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、又は、酸性イオン交換樹脂(例えば、Amberlite)。好ましくは、硫酸又はパラ-トルエンスルホン酸を使用する。特に好ましくは、硫酸を使用する。
【0041】
該酸は、一般式(XV)で表される化合物に基づいて、0.01~20重量%の量で使用する。好ましいのは、0.05~10重量%である。
【0042】
本発明による調製方法(B)の第2段階(2)は、20~150℃の温度で実施し;好ましくは、50~120℃の温度で実施する。
【0043】
一般式(XVI)及び一般式(XVII)で表される化合物の単離は、濾過、相分離又は抽出などの有機化学の慣習的な方法で実施する。
【0044】
本発明による調製方法(B)の第3段階(3)において、当該反応条件下で不活性である溶媒を使用することができる。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げることができる:トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、1-ブタノール、tert-ブタノール、又は、これら溶媒の混合物。好ましいのは、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、メタノール、tert-ブタノール又はこれら溶媒の混合物である。
【0045】
本発明による調製方法(B)の第3段階(3)において塩基として使用するのに適しているものは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド又はカリウムtert-ブトキシドである。好ましいのは、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド及びカリウムtert-ブトキシドである。特に好ましくは、ナトリウムメトキシドを使用する。
【0046】
該塩基は、一般式(XVI)及び一般式(XVII)で表される化合物に基づいて、0.9~4モル当量の量で使用する。好ましくは、1~3.5モル当量を使用する。
【0047】
本発明による調製方法(B)の第3段階(3)における温度は、20~150℃である。好ましくは、該反応は、40~100℃で実施する。
【0048】
一般式(XI)で表される化合物の単離は、当該反応混合物のpHを0~8の値に調節した後で、濾過、相分離又は抽出などの有機化学の慣習的な方法で実施する。
【0049】
式(III)で表される化合物の一部は、既知であり(WO06/089633)、一部は、新規であり、又は、その中に記載されている方法で調製することができる。
【0050】
式(VII)で表される化合物の一部は、既知であり(WO97/02243)、一部は、新規であり、又は、その中に記載されている方法で調製することができる。
【0051】
式(XIV)で表される化合物は、市販されている。
【0052】
本発明は、さらに、新規化合物1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸(XV-1)
【化16】
【0053】
も提供する。
【0054】
一般式(XV)で表される化合物を調製するのに必要とされる一般式(III)で表されるアミノ酸の一部は、新規である。一般式(II)で表される対応するヒダントインをアルカリ加水分解に付し、その後、pHを7未満に調節し、そして、無機塩を除去することによるそれらの調製において達成される収率は、必ずしも満足できるものではない。かくして、例えば、WO06/089633には、化合物9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオン(II-1)を30%強度水酸化カリウム水溶液の形態にある9.8モル当量の水酸化カリウムと一緒に沸騰させることによる、化合物8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸(III-1)の調製が記載されている。その後、濃塩酸を用いてpHを5.2-5.3に調節する。濾過後、その濾液を、メタノールと共沸蒸留させることで、最初の体積の約半分になるまで濃縮する。塩化カリウムを吸引濾過し、その濾液を、メタノールを用いて共沸的にさらに脱水する。目標化合物の単離された収率は、理論値の46%にすぎない。公表されているさらなる調製方法(Journal of Agricultural and Food Chemistry 2012 (60) 4779-4787)では、ヒダントイン(II-1)を、3N水酸化ナトリウム水溶液の形態にある7モル当量の水酸化ナトリウムと一緒に環流しながら4日間沸騰させる。次いで、その混合物を0℃まで冷却し、濃塩酸を用いてpHを6に調節する。濾過後、その濾液を減圧下で最初の体積の約3分の1になるまで濃縮する。沈澱した固体を吸引濾過し、乾燥させた。目標化合物の収率は、理論値の48%しかなかった。
【0055】
【0056】
〔式中、ラジカルR8~R12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を調製するのに適している前駆物質を調製するための改善された調製方法が必要であった。
【0057】
驚くべきことに、アミノ酸(III-1)の代わりに、一般式(XIX)
【化18】
【0058】
〔式中、Mは、ナトリウム又はカリウムを表す〕
で表される対応するナトリウム塩又はカリウム塩を単純な方法で高い収率で得ることができるということが分かった。
【0059】
従って、本発明は、一般式(XIX)で表される化合物を調製するための新規調製方法(C)も提供し、ここで、該方法は、式(II-1、 9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオン)で表されるヒダントインを水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液と一緒に環流しながら加熱し、次いで、得られた一般式(XIX)で表される化合物を濾過によって単離することを特徴とする。
【0060】
該水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは、1~10モル当量の量で使用する。好ましくは、2~7当量を使用する。該水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムをこれらの量で使用する場合、式(XIX)で表される化合物は固体として沈澱する。
【0061】
特に好ましくは、水酸化ナトリウムを使用する。
【0062】
水の量は、ヒダントイン1モル当たり、250~1500mLである。好ましくは、ヒダントイン1モル当たり、300~1000mLを使用する。
【0063】
該反応温度は、50℃~200℃である。好ましくは、80℃~150℃で実施する。
【0064】
該反応は、減圧下又は高圧下で実施することも可能である。
【0065】
一般式(XIX)で表される化合物は、単純な濾過によって単離する。分析によって含有量を測定した後、それらは、それ以上精製することなく、化合物(XV#)を調製するためのショッテン・バウマン反応において、該遊離アミノ酸の代わりに使用することが可能であり、ここで、同時に、さらに、1当量の塩基が節約される。このことは、該調製方法のさらなる有利点を構成する。
【0066】
【0067】
〔式中、Mは、ナトリウム又はカリウムを表す〕
で表される新規化合物も提供する。
【0068】
好ましいのは、一般式(XIX)〔式中、Mは、ナトリウムを表す〕で表される化合物である。
【0069】
本発明は、さらに、一般式(XVI)及び一般式(XVII)
【化20】
【0070】
〔式中、
ラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、対応するラジカルR
1~R
6及びR
8~R
12は、同一であり;
nは、0又は1を表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一である〕
で表される化合物を調製するための新規調製方法(D)も提供し、ここで、該調製方法は、一般式(XVIII)
【化21】
【0071】
〔式中、ラジカルR
8~R
12は、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるケト化合物を、触媒としての酸の存在下で、一般式(XIV)
【化22】
【0072】
〔式中、n及びラジカルR1~R6は、上記で与えられている意味を有し、そして、具体的な個々の場合では、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物における意味と同一である〕
で表されるα,ω-ジオールと反応させることを特徴とする。
【0073】
本発明による調製方法(D)において出発物質として使用する一般式(XVIII)で表される化合物は、原則として既知である(WO06/089633)。
【0074】
本発明による調製方法(D)において、当該反応条件下で不活性である溶媒を使用することができる。可能な溶媒としては、例えば、以下のものを挙げることができる:ジクロロメタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、オルト-ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、1,4-ジオキサン、又は、これら溶媒の混合物。好ましいのは、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン若しくはパラ-キシレン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ブチロニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル又はこれら溶媒の混合物である。
【0075】
一般式(XIV)で表されるα,ω-ジオールは、一般式(XVIII)で表される化合物1mol当たり、少なくとも2molの量で使用する。過剰量の一般式(XIV)で表されるα,ω-ジオールの中で実施することも可能であり、その場合、同時に、後者を溶媒として使用する。
【0076】
本発明による調製方法(D)は、触媒量の酸の存在下で実施する。可能な酸としては、例えば、以下のものを挙げることができる:塩化水素、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、又は、酸性イオン交換樹脂(例えば、Amberlite)。好ましくは、硫酸又はパラ-トルエンスルホン酸を使用する。
【0077】
該酸は、一般式(XVIII)で表される化合物に基づいて、0.01~20重量%の量で使用する。好ましいのは、0.05~10重量%である。
【0078】
本発明による調製方法(D)は、20~150℃の温度で実施し;好ましくは、50~120℃の温度で実施する。
【0079】
一般式(XVI)及び一般式(XVII)で表される化合物の単離は、濾過、相分離又は抽出などの有機化学の慣習的な方法で実施する。
【0080】
本発明は、さらに、一般式(XVI)及び一般式(XVII)
【化23】
【0081】
〔式中、
ラジカルR1~R6は、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルを表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において、同一であり;
nは、0又は1を表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一であり;及び、
ラジカルR8~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フルオロアルキル(ここで、該フルオロアルキルは、1個又は2個の炭素原子及び1~5個のフッ素原子を有している)、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-若しくはハロゲン-で置換されていてもよいフェニルを表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一である〕
で表される新規化合物も提供する。
【0082】
好ましいのは、一般式(XVI)及び一般式(XVII)〔式中、
ラジカルR1~R6は、互いに独立して、水素、メチル又はエチルを表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一であり;
nは、0又は1を表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一であり;及び、
ラジカルR8~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ素-、塩素-若しくは臭素-で置換されていてもよいフェニルを表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一である〕
で表される新規化合物である。
【0083】
特に好ましいのは、一般式(XVI)及び一般式(XVII)〔式中、
ラジカルR1~R6は、互いに独立して、水素又はメチルを表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一であり;
nは、0を表し;及び、
ラジカルR8~R12は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシを表すか、又は、メチル-、エチル-、メトキシ-、エトキシ-、フッ素-若しくは塩素-で置換されていてもよいフェニルを表し、そして、一般式(XVI)又は一般式(XVII)で表される化合物の当該2つの位置において同一である〕
で表される新規化合物である。
【0084】
極めて特に好ましいのは、以下のものである:
2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート((XVI);ここで、n=0、R3~R6は水素を表し、R8及びR12はメチルを表し、R9及びR11は水素を表し、R10は塩素を表す);
エタン-1,2-ジイル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート)((XVII);ここで、n=0、R3~R6は水素を表し、R8及びR12はメチルを表し、R9及びR11は水素を表し、R10は塩素を表す);
3-ヒドロキシブタン-2-イル 8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート((XVI);ここで、n=0、R3及びR5は水素を表し、R4及びR6はメチルを表し、R8及びR11はメチルを表し、R9、R10及びR12は水素を表す);
3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-3,3-ジメチル-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート(((XVI);ここで、n=1、R1、R2、R5及びR6は水素を表し、R3及びR4はメチルを表し、R9及びR11は水素を表し、R8及びR12はメチルを表し、R10は塩素を表す)。
【0085】
下記実施例によって、本発明についてさらに詳細に記載するが、本発明はそれら実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0086】
実施例1
2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(Ex.XVI-1、及び、エタン-1,2-ジイル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート)(Ex.XVII-1)
【化24】
【0087】
3.82g[10mmol]の8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を15mLのクロロベンゼンに溶解させた溶液に、1.862g[30mmol]のエチレングリコール及び10滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を88~103℃で9時間加熱する。5時間後、さらなる8滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を室温まで冷却し、30mLのクロロベンゼンで希釈し、濾過する。その濾過残渣を石油エーテルで洗浄し、塩化メチレンに溶解させ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び水で洗浄する。その有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮して、3.00gの無色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、68.8%の2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(理論値の48.5%)及び14.1%のエタン-1,2-ジイル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート)(理論値の10.7%)を含んでいる。
【0088】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=426(MH+,1 35Cl);
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=788(MH+,2 35Cl);
1H-NMR(600MHz,CDCl3):δ=1.25-1.35(m;2H),1.6-1.7(m;2H),1.8-1.9(m;2H),2.05-2.15(m;2H),2.24(s;6H),2.9(s,br;1H),3.51(s;2H),3.7(m,br;2H),3.85(s;4H),4.24(m;2H),5.48(s;1H),7.04(s;2H)ppm;
1H-NMR(600MHz,CDCl3):δ=1.25-1.35(m;4H),1.6-1.7(m;4H),1.8-1.9(m;4H),2.05-2.15(m;4H),2.23-2.25(s;12H),3.48(s;4H),3.85(s;4H),4.24(m;4H),5.48(s;1H),7.03(s;4H)ppm。
【0089】
実施例2
2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(Ex.XVI-1)
【化25】
【0090】
1.689g[5mmol]の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸を7.5mLのクロロベンゼンに溶解させた溶液に、2.483g[40mmol]のエチレングリコール及び5滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を100~105℃で4.5時間加熱し、次いで、室温で、水及び塩化メチレンと一緒に撹拌する。その有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、1.98gの無色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、83.1%の標題化合物(理論値の77.3%)を含んでいる。
【0091】
実施例3
3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-3,3-ジメチル-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート(Ex.XVI-2)
【化26】
【0092】
5.067g[15mmol]の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸を22.5mLのクロロベンゼンに溶解させた溶液に、12.5g[120mmol]の1,3-ジヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパン及び15滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を96~105℃で4時間加熱し、次いで、室温で、25mLの水及び100mLの塩化メチレンと一緒に撹拌する。その有機相を分離し、いずれの場合にも25mLの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、6.51gの無色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、83.5%の標題化合物(理論値の82.8%)を含んでいる。
【0093】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=510(MH+,1 35Cl);
1H-NMR(600MHz,CDCl3):δ=0.92(s;6H),0.94(s;6H),1.3-1.4(m;2H),1.8-1.85(m;2H),1.95-2.1(m;4H),2.30(s;6H),3.32(s;2H),3.45(d;4H),3.56(s;2H),3.97(s;2H),5.42(s;1H),7.1(s;2H)ppm。
【0094】
実施例4
2-ヒドロキシエチル 8-[(メシチルアセチル)アミノ]-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(Ex.XVI-3)
【化27】
【0095】
2.530g[7mmol]の8-[(メシチルアセチル)アミノ]-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を19.48g[313.8mmol]のエチレングリコールに懸濁させた懸濁液に、85℃で、3滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を100℃で3.5時間撹拌し、次いで、室温で、50mLの塩化メチレンの中に入れる。その塩化メチレン相を分離し、順次、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び水で抽出し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、2.90gの無色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、91.9%の標題化合物を含んでいる。これは、理論値の93.9%の収率に相当する。
【0096】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=406(MH+),811([2M+H]+);
1H-NMR(600MHz,CDCl3):δ=1.3-1.4(m;2H),1.6-1.7(m;2H),1.85-1.9(m;2H),2.1-2.2(m;2H),2.29(s;9H),3.1(s,br;1H),3.58(s;2H),3.79(m,br;2H),3.91(s;4H),4.3(m;2H),5.61(s;1H),6.92(s;2H)ppm。
【0097】
実施例5
3-ヒドロキシプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート(Ex.XVI-4)、及び、プロパン-1,3-ジイル ビス(9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート)(Ex.XVII-4)
【化28】
【0098】
5.067g[15mmol]の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸を22.5mLのクロロベンゼンに溶解させた溶液に、9.31g[120mmol]の1,3-プロパンジオール及び15滴の濃硫酸を添加する。その反応混合物を95-100℃で10時間加熱し、次いで、室温で、塩化メチレン及び水と一緒に撹拌する。その有機相を分離し、水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、7.37gの樹脂状の油状物が得られる。これは、LC/MSによれば、64%の3-ヒドロキシプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート(理論値の69%)及び5.2%のプロパン-1,3-ジイル ビス(9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート)(理論値の6%)を含んでいる。
【0099】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=454(MH+,1 35Cl),907([2M+H]+,2 35Cl);
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=831(MH+,2 35Cl)。
【0100】
実施例6
11-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-12-ヒドロキシ-1,4-ジオキサ-9-アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン(Ex.XI-1)
【化29】
【0101】
5mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、実施例1に記載されているようにして調製した1.065g[2.50mmol]の2-ヒドロキシエチル 8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレートと0.218g[0.28mmol]のエタン-1,2-ジイル ビス(8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート)の混合物を最初に装入する。次いで、75-80℃で、メタノール中のナトリウムメトキシドの30%強度溶液1.576g[8.75mmol]を2分間かけて滴下して加える。その反応混合物を75-80℃で55分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮する。その残渣を30mLの水に溶解させ、その溶液を濾過し、その濾液を酢酸を用いてpH4-5に調節する。沈澱した固体を吸引濾過し、いずれの場合にも5mLの水で2回洗浄し、乾燥させる。これによって、1.203gの薄いベージュ色の固体が得られる。これは、定量的NMRによれば、80.7%の標題化合物を含んでいる。これは、両方の出発物質分子の総量に基づいて、理論値の99%の収率に相当する。
【0102】
1H-NMR(600MHz,d6-DMSO):δ=1.35-1.4(m;2H),1.65-1.7(m;2H),1.8-1.9(m;4H),2.05-2.15(m;2H),2.07(s;6H),3.88(s;4H),7.09(s;2H),8.1(s,br;1H),10.5(s,br;1H)ppm。
【0103】
実施例7
3-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシ-11,11-ジメチル-9,13-ジオキサ-1-アザジスピロ[4.2.5.2]ペンタデカ-3-エン-2-オン(Ex.XI-2)
【化30】
【0104】
10mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、2.550g[5mmol]の3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル 9-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-3,3-ジメチル-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-9-カルボキシレート(実施例3)を最初に装入する。次いで、75-80℃で、メタノール中のナトリウムメトキシドの30%強度溶液3.151g[17.5mmol]を2分間かけて滴下して加える。その反応混合物を75-80℃で42分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮する。その残渣を60mLの水に溶解させ、その溶液を酢酸を用いてpH4-5に調節する。沈澱した固体を吸引濾過し、いずれの場合にも10mLの水で2回洗浄し、乾燥させる。これによって、2.32gの薄いベージュ色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、76%の標題化合物を含んでいる。これは、理論値の86.9%の収率に相当する。
【0105】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=406(MH+,1 35Cl),811([2M+H]+,2 35Cl)。
【0106】
実施例8
12-ヒドロキシ-11-メシチル-1,4-ジオキサ-9-アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン(Ex.XI-3)
【化31】
【0107】
12mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、2.43g[6.0mmol]の2-ヒドロキシエチル 8-[(メシチルアセチル)アミノ]-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(実施例4)を最初に装入する。次いで、75-80℃で、メタノール中のナトリウムメトキシドの30%強度溶液3.78g[21mmol]を3分間かけて滴下して加える。その反応混合物を75-80℃で6時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮する。その残渣を70mLの水に溶解させ、その溶液を酢酸を用いてpH4に調節する。沈澱した固体を吸引濾過し、12mLの水で洗浄し、乾燥させる。これによって、1.88gの薄いベージュ色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、87%の標題化合物を含んでいる。これは、理論値の79.4%の収率に相当する。
【0108】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=344(MH+),687([2M+H]+);
1H-NMR(600MHz,d6-DMSO):δ=1.36-1.38(m;2H),1.67-1.69(m;2H),1.83-1.88(m;2H),2.04(s;6H),2.06-2.1(m;2H),2.2(s;3H),3.88(s;4H),6.81(s;2H)ppm。
【0109】
実施例9
3-ヒドロキシブタン-2-イル 8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(Ex.XVI-5)
【化32】
【0110】
20mLの2,3-ブタンジオールに、2.87g[7.66mmol]の8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を最初に装入し、3滴の濃硫酸を添加し、その混合物を100℃で10時間撹拌する。次いで、その反応混合物を、室温で、塩化メチレンで希釈し、水で2回抽出する。その有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮する。これによって、4.0gの黄色がかった油状物が得られる。これは、HPLCによれば、77.1%の目標生成物を含んでおり、これは、理論値の90%の収率に相当する。
【0111】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=448(MH+),895([2M+H]+)。
【0112】
実施例10
11-(2,5-ジメチルフェニル)-12-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサ-9-アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン(Ex.XI-4)
【化33】
【0113】
7mLのN,N-ジメチルアセトアミドに、1.54g[3.45mmol]の3-ヒドロキシブタン-2-イル 8-{[(2,5-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-2,3-ジメチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート(実施例9)を最初に装入する。次いで、75-80℃で、メタノール中のナトリウムメトキシドの30%強度溶液2.17g[12.1mmol]を5分間かけて滴下して加える。その反応混合物を75-80℃で90分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮する。その残渣を40mLの水に溶解させ、その溶液を酢酸を用いてpH4-5に調節する。沈澱した固体を吸引濾過し、いずれの場合にも5mLの水で2回洗浄し、乾燥させる。これによって、0.70gの薄いベージュ色の固体が得られる。これは、HPLCによれば、82.8%の標題化合物を含んでいる。これは、理論値の47.1%の収率に相当する。
【0114】
LC/MS(ESIポジティブ):m/e=358(MH+),715([2M+H]+)。
【0115】
実施例11
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸カリウム(Ex.XIX-1)
【化34】
【0116】
141.4g[0.625mol]の9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオンを100mLの水に懸濁させる。アルゴン雰囲気下、その混合物を90℃まで加熱し、47%強度水酸化カリウム溶液の形態にある298.4g[2.5mol]の水酸化カリウムを15分間かけて加える。次いで、その反応混合物を環流しながら24時間撹拌する。さらに撹拌しながら、その混合物を室温まで冷却し、フリットを通して濾過することによって固体を単離する。1mbarの減圧下、60℃で乾燥させることによって、139.0gのベージュ色の固体が得られる。定量的NMR:88.0%。そこから、理論値の81.8%の収率が算出される。
【0117】
実施例12
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸ナトリウム(Ex.XIX-2)
【化35】
【0118】
43.4g[0.192mol]の9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオンを30mLの水に懸濁させる。アルゴン雰囲気下、その混合物を90℃まで加熱し、45%強度水酸化ナトリウム溶液の形態にある68.3g[0.768mol]の水酸化ナトリウムを2分間かけて加える。次いで、その反応混合物を環流しながら27.5時間撹拌する。さらに撹拌しながら、その混合物を室温まで冷却し、フリットを通して濾過することによって固体を単離する。1mbarの減圧下、60℃で乾燥させることによって、54.8gのベージュ色の固体が得られる。定量的NMR:72.7%。そこから、理論値の93.0%の収率が算出される。
【0119】
1H-NMR(600MHz,D2O):δ=1.56-1.6(m,2H),1.69-1.75(m,2H),1.75-1.82(m,2H),2.0-2.04(m,2H),4.06(s,4H)ppm。
【0120】
実施例13
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸ナトリウム(Ex.XIX-2)
【化36】
【0121】
291.8g[1.29mol]の9,12-ジオキサ-1,3-ジアザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン-2,4-ジオンを495mLの水に懸濁させる。アルゴン雰囲気下、その混合物を90℃まで加熱し、45%強度水酸化ナトリウム溶液の形態にある773.3g[8.7mol]の水酸化ナトリウムを17分間かけて加える。次いで、その反応混合物を環流しながら20時間撹拌する。さらに撹拌しながら、その混合物を室温まで冷却し、フリットを通して濾過することによって固体を単離する。1mbarの減圧下、60℃で乾燥させることによって、367.3gのベージュ色の固体が得られる。定量的NMR:76.3%。そこから、理論値の97.1%の収率が算出される。
【0122】
実施例14
1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸(Ex.XV-1)
【化37】
【0123】
室温で、65mLの水に、23.88g[81.4mmol]の8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸カリウム(定量的NMRによる純度81.6%)を最初に装入し、その結果、pHは約13.6になる。その溶液を2℃まで冷却し、32%強度塩酸を用いてpH12.1に調節する。次いで、3~5℃で、17.68g[81.4mmol]の(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリドを20mLの乾燥テトラヒドロフランに溶解させた溶液を70分間かけて滴下して加える。同時に、32%強度水酸化ナトリウム水溶液を、その反応混合物のpHが常に11.8~12.5に留まるような速度で滴下して加える(消費量10.93g[87.4mmol])。次いで、3~5℃で60分間撹拌を継続し、その混合物を室温まで昇温させ、30mLの水で稀釈し、効果的に撹拌しながらその反応混合物のpHを約1.8に調節する。沈澱した固体をいずれの場合にも30mLの水で2回洗浄し、次いで、減圧下、約60℃で乾燥させる。これによって、29.31gの殆ど無色の固体が得られる。
【0124】
定量的NMR:純度88.7%、これは、理論値の83.6%の収率に相当する。
【0125】
1H-NMR(600MHz,d6-DMSO):δ=1.56-1.58(m,2H),1.64-1.69(m,2H),1.84-1.9(m,2H),2.01-2.03(m,2H),2.24(s,6H),3.54(s,2H),3.86(s,4H),7.05(s,2H),8.17(s,1H),12(s,br,1H)ppm。
【0126】
比較実施例1
8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル
【化38】
【0127】
64.5gの8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を960mLのメタノールに懸濁させた懸濁液に、5~10℃で、57gの塩化チオニルを60分間かけて滴下して加える。その混合物を40~45℃まで昇温させ、その温度で48時間撹拌する。5℃まで冷却した後、固体を吸引濾過し、60mLの冷メタノールで洗浄し、乾燥させる。次いで、撹拌しながら、その固体を、54gの炭酸カリウムを220mLの水に溶解させた溶液に添加し、約30分間撹拌する。次いで、その混合物をいずれの場合にも200mLの塩化メチレンで5回抽出する。その有機相を合して硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレーターで30℃で濃縮する。これによって、65.8gの黒ずんだ油状物が得られる。これは、シリル化後のGC/MSによれば、約52.7%の標題化合物及び35.7%の1-アミノ-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチルを含んでいる。
【0128】
比較実施例2
8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル
【化39】
【0129】
33.4gの比較実施例1の生成物を490mLの乾燥アセトニトリルに溶解させた溶液に、室温で、38gの炭酸カリウムを添加する。次いで、5~10℃の温度で、30gの(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリドを60mLの乾燥アセトニトリルに溶解させた溶液を1時間かけて計量添加する。5℃で2時間撹拌を継続し、そして、室温で一晩撹拌を継続し、その反応混合物を約2リットルの水に添加し、室温で1時間撹拌し、沈澱した固体を濾過し、250mLの水で洗浄し、減圧下、50℃で乾燥させる。これによって、53.2gの白色の固体が得られる。これは、GCによれば、66.4%の標題化合物、18.2%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチル及び12.4%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチルを含んでいる。
【0130】
比較実施例3
8-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル
【化40】
【0131】
28.0gの粗製8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル塩酸塩(これは、純度約69%であり、そして、約21%の1-アミノ-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチルを付加的に含んでいる)を90mLの水に溶解させた溶液を10℃まで冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH約7.2に調節する。10.92gの重炭酸ナトリウム及び100mLのキシレンを添加し、その後、23.88gの(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリドを27mLのキシレンに溶解させた溶液を5~10℃で1時間かけて滴下して加える。次いで、5~10℃で30分間撹拌を継続し、次いで、その混合物を65℃まで昇温させ、その温度で1時間撹拌する。その時間の間、1N水酸化ナトリウム水溶液を添加することによってpHを7に維持する。室温まで冷却した後、沈澱した固体を吸引濾過し、順次、25mLのキシレンで、及び、いずれの場合にも25mLの石油エーテルで2回、洗浄する。減圧下、50℃で乾燥させて、ベージュ色の固体が得られる。これは、HPLC分析によれば、78.8%の標題化合物、6.6%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチル及び11.1%の1-{[(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチル]アミノ}-4-オキソシクロヘキサンカルボン酸メチルを含んでいる。
【0132】
比較実施例4
11-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-12-ヒドロキシ-1,4-ジオキサ-9-アザジスピロ[4.2.4.2]テトラデカ-11-エン-10-オン
【化41】
【0133】
42.0gの粗製8-アミノ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸メチル塩酸塩(これは、純度約69%であり、そして、約21%の1-アミノ-4,4-ジメトキシシクロヘキサンカルボン酸メチルを付加的に含んでいる)を135mLの水に溶解させた溶液を10℃まで冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH約7.2に調節する。16.4gの重炭酸ナトリウム及び150mLのキシレンを添加し、その後、29.31gの(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)アセチルクロリドを36mLのキシレンに溶解させた溶液を5~10℃で1時間かけて滴下して加える。次いで、5~10℃で30分間撹拌を継続し、次いで、その混合物を65℃まで昇温させ、その温度で1時間撹拌する。その時間の間、1N水酸化ナトリウム水溶液を添加することによってpHを7に維持する。次いで、約250~110mbarの減圧下、水分離器での共沸蒸留によって水を除去する。その底部を約50℃まで冷却し、次いで、110mLのN,N-ジメチルアセトアミドを添加する。次いで、キシレンを、僅かに減圧下、約70℃の沸点で留去する。次いで、その混合物を50℃まで冷却し、次いで、36.47gの30%強度メタノール性ナトリウムメトキシド溶液を10分間かけて滴下して加える。その混合物を70℃まで加熱し、僅かに減圧下、約2時間かけてメタノールを留去する。次いで、減圧下で、N,N-ジメチルアセトアミドを実質的に留去する。その残渣を取って500mLの水の中に入れ、その溶液を氷酢酸を添加することによってpH約5に調節する。沈澱した固体を吸引濾過し、いずれの場合にも80mLの水で2回洗浄し、減圧下、50℃で乾燥させる。これによって、51.95gのベージュ色の固体が得られる。これは、LC/MS分析によれば、71.3%の標題化合物、11.1%の3-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシ-8,8-ジメトキシ-1-アザスピロ[4.5]デカ-3-エン-2-オン及び1.9%の3-(4-クロロ-2,6-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシ-1-アザスピロ[4.5]デカ-3-エン-2,8-ジオンを含んでいる。