(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】光ファイバスプライスを評価するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20220823BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20220823BHJP
G02B 6/24 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G01M11/02 J
G02B6/36
G02B6/24
(21)【出願番号】P 2019505371
(86)(22)【出願日】2017-07-27
(86)【国際出願番号】 US2017044079
(87)【国際公開番号】W WO2018026618
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-13
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507202736
【氏名又は名称】パンドウィット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・エム・カストロ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジェイ・ピンピネラ
(72)【発明者】
【氏名】ユ・フワン
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・コーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ダブリュー・キッド
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/077054(WO,A1)
【文献】特表2011-522292(JP,A)
【文献】特開2003-214978(JP,A)
【文献】国際公開第2007/013551(WO,A1)
【文献】特表2015-526135(JP,A)
【文献】特開2005-189145(JP,A)
【文献】特開平11-326681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0025681(US,A1)
【文献】特表2006-509220(JP,A)
【文献】米国特許第06677591(US,B1)
【文献】特開平10-311926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0226148(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/08
G02B 6/24
G02B 6/26 - G02B 6/27
G02B 6/36 - G02B 6/40
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の光ファイバのメカニカルスプライスジョイントの光挿入損失を評価するための検査方法を実行するための装置であって、
レーザ源、デジタルビデオカメラ、マイクロコントローラまたはプロセッサ、電子回路、常駐メモリ、及びレーザ出力信号をスプライスされるべき光学フィルタのうちの1つに結合するための手段を備え、
前記メカニカルスプライスジョイントの質を判定するために、1本の光ファイバと前記メカニカルスプライスジョイントとの少なくとも一部からの散乱光のデジタルビデオ画像が取り込まれて、組み込まれたアルゴリズムを用いて分析され、
前記方法は、カメラセンサのダイナミックレンジの向上と、前記メカニカルスプライスジョイントのリアルタイム画像分析に基づくコネクタの前記光挿入損失の推定を改善するための周囲光のバックグラウンド減算のための手段とを提供し、
前記カメラセンサのダイナミックレンジの向上を提供する事は、
前記デジタルビデオ画像における現在の最大値に基づいて露光を連続的に修正する反復サイクルに従うアルゴリズムを用いる事
と、
低露光画像及び高露光画像を組み合わせて、高ダイナミックレンジを有する画像を生成する事であって、前記低露光画像及び前記高露光画像は、光供給源をオンにして取得された画像から光供給源をオフにして取得された画像を差し引いて取得される、生成する事と、
ノイズより下のレベルの値を有するすべての画素をゼロに設定する事と、を含み、
前記方法が、終端処理プロセス中に操作者を補助するために前記メカニカルスプライスジョイントの、前記光挿入損失の推定値に対する合格/不合格の表示、絵の表示、または終端処理プロセスの状況に応じた音を提示する、前記装置。
【請求項2】
前記装置の機械的公差を緩和するために、リアルタイム画像オフセット及び/または傾斜補正が行われる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
コネクタの前記光挿入損失が純粋に画像分析に基づいて推定される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記終端処理プロセス中に補助するために、異なるピッチの一連の音がスピーカ、トランスデューサ、または無線ヘッドフォンにより生成される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年8月3日に出願された米国仮特許出願第62/370,379号の優先権を主張し、その主題はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、光ファイバのスプライス、挿入損失の推定、画像処理の分野に関し、より具体的には、メカニカルスプライス端子におけるスプライス接合部を評価するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在及び将来の、高帯域幅チャネルを必要とする適用例では、光ファイバリンクを利用することが支持される。光ファイバリンクの設置は、予め終端処理されたか、現場で終端処理されるコネクタを利用することができる。予め終端処理されている場合、予め指定された長さのファイバケーブルが工場でコネクタ接続され、そこでコネクタを機械研磨し、検査し、高いパフォーマンスを提供することを証明する。現場で終端処理するリンクは様々なアプローチに従うことができる。つまり、現場でのコネクタの終端処理と研磨、ファイバリンクに接合可能な予め終端処理したピグテールの使用、またはメカニカルスプライスコネクタである。現場での終端処理と研磨は実用的ではなく、通常は工場で研磨されたコネクタの質とは整合させられない。工場が終端処理したピグテールをファイバリンクに接続することは、2本のファイバの間に一時的または恒久的なジョイントを作成することを含む、より優れたアプローチである。ある場合には、2本のファイバを正確に位置合わせし、次いで頻繁に電気アークを伴って発生させる局所的な強い熱を使用して、一緒に融合する。これは融着接続と呼ばれ、2本の光ファイバの間に高いパフォーマンスの永続的なジョイントを形成するために広く用いられている。しかし、融着接続装置は、通常かさばり、高価であり、比較的もろいものであり、接続ジョイントは、典型的には接続管理トレイまたはエンクロージャにて保護及び管理をしなければならない。
【0004】
あるいは、メカニカルスプライスコネクタは、低コスト、迅速な設置、及び良質のパフォーマンスを提供することができる。この手法では、2本のファイバは、頻繁にメカニカルスプライスと称する位置合わせ固定具で、単に互いに当接させることができる。位置合わせ固定具は、位置合わせチューブ、チャネル、または両側に別々のファイバの2つの端部を収容し、ファイバを適所に物理的に固定する手段を有するV字形の溝であり得る。他の例では、位置合わせ装置は、スタブファイバが埋め込まれ、フィールドファイバをコネクタ接続するように設計された光ファイバコネクタとすることができる。この場合、フィールドファイバは、コネクタ内部のスタブファイバへのメカニカルスプライスを利用して終端処理することができる。
【0005】
重大な信号損失を回避し、これらのジョイント内の潜在的な反射率または光の漏れを低減するために、使用者は、フィールドファイバが適切に劈開され、フィールドファイバとスタブファイバとの間に正確な位置合わせが存在していること、及びファイバ間に塗布する透明なゲルまたは光学的接着剤がガラスの光学的性質と適合していることを、確実にしなければならない。しかし、これらの詳細は必ずしも検出及び/または確実化するのが容易ではない。その不確実さにより、指定されたチャネルの限界を超える挿入損失(IL)値を有し、したがって要求されるリーチ、データレート、またはビットエラーレート(BER)で適用するには不適切なコネクタになる可能性がある。
【0006】
チャネルILが仕様を満たすことを確実にするために一般的に使用されているアプローチは、設置後に完全なチャネルを検査することである。ILの測定は、TIAまたはIECの規格に、例えばシングルモードファイバ(SMF)についてはTIA、OFSTP-7、及びマルチモードファイバ(MMF)についてはIEC 61280-4-1に示されている方法で、パワーメータを使用して行うことができる。それらの両者とも全体が参照により本明細書に組み込まれる。代わりに、ファイバの後方散乱シグナチャを使用してファイバとコネクタの損失を間接的に測定する光時間領域反射率計(OTDR)を使用してチャネルを検査できる。OTDRはリンクの片側の終端処理のみを必要とするが、一般的に空間分解能が低いため、狭いスペースのコネクタの個別の損失を解決するのは難しく、比較的高価な機器である。さらに、OTDRにはいくつかの技術的な欠点がある。それらは、デッドゾーン効果を軽減するために長い発射用ケーブルが必要であり、光ファイバの後方散乱の不一致、直径、及びリンクに使用されるファイバの開口数の不一致のためにかなりの不正確さを備えている可能性がある。OTDRの精度を向上させるには、リンクの両側から測定する必要がある。ただし、これによりケーブルの一端から測定を実行するという主要な利点が消失する。
【0007】
したがって、光ファイバリンクのコストを削減し、チャネルのパフォーマンスを改善するのに寄与することを対象とした装置及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本明細書で開示されるのは、フィールド光ファイバの終端処理の間に設置者を補助して現場での終端処理が可能なコネクタに誘導し、終端処理後にILを判定して記録するのを促す装置、方法、及びシステムを対象とする実施形態である。特定の例では、装置はまた、設置データの管理及び記録を促すために集約的なデータベースにデータを送信することができる。
【0009】
一実施形態では、本発明は、メカニカルスプライスジョイントの質を評価する方法であり、この方法は、光を予め終端処理されたコネクタ及びフィールドファイバへと結合することと、メカニカルスプライスジョイントと光ファイバとの少なくとも一部からの散乱光のパターンのデジタル画像を評価することとを含む。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、可視光源または赤外光源、デジタルカメラ、デジタル信号プロセッサ、光学フィルタ、及び視覚的インジケータを含む、メカニカルスプライスジョイントの終端処理を補助するための装置及び方法である。装置は、周囲環境の光を遮断するためのいかなるカバーをも必要としなくてよく、簡単で、信頼性があり、迅速な設置プロセスを可能にする。マイクロコントローラは一連のアルゴリズムを実行して、周囲光のバックグラウンド減算、多重露光ダイナミックレンジ補正、及び特徴の抽出を実行する。これらのアルゴリズムは、設置者がフィールドファイバのメカニカルスプライスへの挿入を開始した瞬間、及びファイバの終端処理が完了した後の最終的な挿入損失の推定で終了する瞬間に由来するリアルタイムの動作支援を可能にする。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、光源、デジタルカメラ、デジタル信号プロセッサ、メモリ、及び視覚的表示器を備えるメカニカルスプライスジョイントの質を評価するための装置であり、装置は予め終端処理されたコネクタに接続し、デジタル信号プロセッサは、予め終端処理されたコネクタの少なくとも一部からの散乱光のデジタル画像を、設置している間少なくとも1回分析する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、メカニカルスプライスジョイントの質を評価するための装置及び方法であり、この方法は、コネクタの散乱光から周囲のバックグラウンドのデジタル画像を減算し、カメラの露光のレベルを調整してサチュレーションまたは低い信号対雑音比(SNR)を回避する。この方法はまた、供給源からフィールドターミネータコネクタまでの間の接続部が汚れていたり損傷していたりしているかどうか、あるいはバックグラウンドの周囲光が高すぎて検査を実行するためのカバーが必要であるかどうかを推定するために、多重露光画像を利用してダイナミックレンジを増した最終画像を生成することができる。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、終端処理されるコネクタ挿入損失が特定のILの限界について合格するか不合格であるかを評価する方法であって、光を前述のコネクタとフィールドファイバに結合すること、及びメカニカルスプライスジョイントと光ファイバとの少なくとも一部からの散乱光のパターンのデジタル画像を分析及び評価することを含む方法である。
【0014】
本発明の別の実施形態では、装置は、ブルートゥース(登録商標)または他の無線通信インターフェースを含み、スマートフォンなどの携帯用またはハンドヘルド機器との通信を可能にし、携帯機器は、コネクタ設置データを収集及び通信するための前述の装置にユーザインターフェースを提供する常駐アプリケーションを含み、スプライス分析ファームウェアも含み得る。
【0015】
本発明の別の実施形態では、移動式または集中型システムは、本発明による1つ以上の装置からデータを収集して、プロジェクト設置の現在の進捗状況、傾向、リスク、及び設置コネクタの推定ILを記録及び/または通信する。
【0016】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の図面、説明、及び続き得る添付の特許請求の範囲を参照してよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】スタブファイバを有する終端処理されたフィールドファイバ・光コネクタの断面側面図を示す。
【
図3】光をスタブファイバに発射するときの終端処理されたフィールドファイバ・光コネクタの典型的な画像を示す。
【
図4A】補助されるフィールドファイバ終端処理及び挿入損失(IL)推定の、本発明の実施形態による方法を表す流れ図を示す。
【
図4B】補助されるフィールドファイバ終端処理及び挿入損失(IL)推定の、本発明の実施形態による方法を表す流れ図を示す。
【
図4C】補助されるフィールドファイバ終端処理及び挿入損失(IL)推定の、本発明の実施形態による方法を表す流れ図を示す。
【
図5】例示的な自動位置合わせアルゴリズムを表す流れ図を示す。
【
図6】例示的なプロセス画像アルゴリズムを表す流れ図を示す。
【
図7】例示的なバックグラウンド減算アルゴリズムを表す流れ図を示す。
【
図8】例示的なプロファイル垂直アルゴリズムを表す流れ図を示す。
【
図11】画像の合成及びダイナミックレンジ向上アルゴリズムの効果を示す。
【
図12】プロファイル計算アルゴリズムから得た結果を示す。
【
図14】プロファイルの形状の変化とILとの相関関係を示す。
【
図15】画像センサにおいて高い相関性または反相関性を伴う画素の計算を示す。
【
図17】装置の電源を入れたときの表示画像を示す。
【
図18】ファイバが挿入されていない(最適な位置ではない)ときの準備態勢のカムに関する表示画像を示す。
【
図19】フィールドファイバの挿入が検出されたときの表示画像を示す。
【
図20】ファイバが挿入されている(近接)ときの準備態勢のカムの表示画像を示す。
【
図21】ファイバが挿入されている(カム準備態勢)ときの準備態勢のカムに関する表示画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
メカニカルスプライスは、スタブファイバを埋め込んだ状態でフィールド光ファイバを予め製造された光ファイバコネクタに接続するときに生じることが多い。そのようなコネクタの例を
図1に示す。コネクタ100は、概して、その前端にフェルール108が配置されたフェルールホルダ107と、フェルール108とコネクタの遠位端110との間に配置された上部厚板104と下部厚板106とを含む。コネクタ100は、製造時に光コネクタに通常埋め込まれるスタブファイバ101を含む。スタブファイバ101は、フェルールの外縁部(後に対応するアダプタと接続することができる)から上部厚板104及び下部厚板106の全体領域のコネクタの内側部分まで延在する。スタブファイバ101をフィールドファイバ102でスプライスするために、使用者は、その遠位端110を介してフィールドファイバをコネクタ100に挿入し、適宜両方のファイバを位置合わせし、カム105を作動させてフィールドファイバとスタブファイバを定位置に固定し、スタブファイバ/フィールドファイバインターフェース103(スプライスジョイントとも称する)を形成する。光の漏れや反射がこれらのジョイントで確実に低減または最小化するようにすることは、スプライスの適切な実行に不可欠である。したがって、本発明は、使用者が2本のファイバを適切にスプライスするのを促すことができる。
【0019】
図2に示す一実施形態では、本発明は、使用者がフィールドファイバを研磨済みコネクタスタブファイバで終端させ、結果として得られるスプライスジョイントの質を検査するのに寄与できる装置である。終端処理・検査装置は、可視光源または赤外光源への継続的な信号またはパルス信号を生成する電子ドライバ201と、レンズ、回折素子などの空き領域光学系を使用して、または発射用の光学パッチコードを使用して光ファイバフェルールに光を発射するLEDまたはレーザ機器202と、850nmといった光のスペクトルの特定の領域用のバンドパスフィルタとして動作することができる光学フィルタ203と、カメラセンサなどの撮像機器に向けて光を方向付けて結像させる光学レンズまたは回折素子204と、任意選択で赤外線阻止帯域フィルタを取り外し、赤外線バンドパスフィルタを取り付けることができる光検出器アレイまたはデジタルビデオカメラ205と、画像取得のため、及び装置のすべての機能を制御するためのマイクロコントローラまたはプロセッサ206とを備え、使用者入力装置、例えばキーボード212、または可視または可聴変換器208及び210などの出力装置をそれぞれ含む。本発明による装置はまた、設置プロセス中に使用者を補助し、終端処理合格/不合格条件を示すための表示ユニットを含むことができる。装置はまた、遠隔制御用の無線通信プロトコルを使用して、及び/またはコネクタ設置データのアップロードを利用して、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi、または他の無線装置207によって他の装置と通信するための設備を有することができる。
【0020】
被検査コネクタ100は、スプライスジョイント103が本質的にデジタルビデオカメラ205の視野の中に位置するように配置される。光源202は、ビデオカメラの光感度内のスペクトル範囲、つまり可視の作動の場合は典型的には約450nm~630nmの間、また赤外線の作動の場合は700nm~1700nmの間、を有する光を放射することができる半導体レーザを含むことができる。光供給源は、被検査コネクタと係合したときにスタブファイバへと光を発射することができる。使用者が装置に電源を入れると、光源202、デジタルビデオカメラ205、プロセッサ及び電子機器206、207、ならびにユーザヴィジュアル/サウンドインターフェース208、210を非限定的に含む必要な電力消費構成要素すべてに、電力が供給される。フィルタ203及び集束光学系204を経るコネクタ100の複数の領域から発する散乱光の空間パターンは、ビデオカメラ205により撮像され、その画像は、本願に開示されたデジタル信号処理アルゴリズムを利用して206で分析する。
【0021】
準備済のフィールドファイバ102は、提示された装置及び方法の補助のもと、検査コネクタ100の内部でスタブファイバに接合することができる。フィールドファイバ102が挿入されている間、装置は散乱光パターンの画像を連続的に取り込み、スプライスジョイント103とフィールドファイバ102とを含む検査コネクタ130の少なくとも2つの領域からのデジタル画像を分析する。
図3は、OptiCam(登録商標)LCコネクタ130の典型的な画像210を示しており、それは640×480x-y画素解像度の8ビット白黒カメラを使用して取り込まれた。ここで表している構成では、y軸に沿う100画素だけ考慮している。
【0022】
フィールドファイバが挿入されると、リアルタイムモニタリング、終端処理の補助、及びILの推定をもたらすために、終端処理プロセスの異なる段階の一連の画像を装置が取り込み、補正し、分析する。
図4は、設置中の補助及びコネクタ挿入損失の評価に使用される例示的な方法を表す流れ図を示す。
【0023】
図4に示すプロセスは、機器が操作者によってオンにされたときにステップ300で開始する。302において、装置は、マイクロコントローラ、カメラ、レーザ出力レベル、フラッシュメモリなどのその電子部品の適切な動作をチェックすることを含む初期化ルーチンを実行する。304において、本方法のアルゴリズムで使用する主要パラメータをローカルメモリにロードする。これらのパラメータには、コネクタの種類ごとの変数の割り当て、キャリブレーション定数、カメラのデフォルトの解像度、デフォルトの露光時間、デフォルトのゲイン、デフォルトのフレームレート、ノイズの閾値、暗電流を計算するためのセンサの位置のx-y座標、センサの基準点のx-y座標、画像の位置付けのための判定閾値、傾斜補正のための判定閾値、初期のスケーリング係数、コネクタの種類ごとのRTC許容のための判定閾値、照明の判定及び閾値の係数、スリープ時定数、RTCプロセスの最大反復回数の変数、または他の多くのものを含み得る。306において、装置は、装置を動作させる準備ができていることを示すメッセージを表示し、コネクタの種類、合格/不合格の仕様の限界、または他の関連パラメータなどのデフォルト値を変更するオプションを操作者に提供する。必要であれば、308において、操作者は入力装置を用いて1つ以上のデフォルトパラメータを変更する。310において、操作者は予め終端処理された光コネクタを挿入して光供給源をコネクタフェルールに接続するための表示メッセージを受信する。この時点で、使用者がプロセスを終了することもできる。
【0024】
312において、装置はアルゴリズムA1を実行し、それはレーザ照射なしの周囲環境の照明のレベルをチェックし、レベルを304において既にロードされた閾値レベルと比較する。これは、センサに到達する周囲光のバックグラウンドレベルを測定することによって行われる。測定値が特定の閾値よりも大きい場合、低い挿入損失値を正確に推定するために、装置は、コネクタを遮蔽するためにカバーが必要である(または他の方法で周囲光を減らす必要がある)ことを示すメッセージを出力する。屋内照明(蛍光灯またはLED照明装置)で少なくとも1500ルクスという動作条件の下では、大半において、閾値はカバーなしで動作できる十分な高さである。
【0025】
次に、316において、装置はアルゴリズムA1を実行し、それはセンサの照射されていない領域におけるバックグラウンドノイズをチェックするものである。光学結像系のノイズレベルは、外部の光供給源によって照射されていないセンサの小さな領域を分析することによって推定される。次に、ノイズの最大値及び標準偏差、さらにヒストグラムを推定する。ノイズは、変数、すなわちNOISE_THとしてメモリに記録され、他のアルゴリズムによって画像を整えるための閾値として使用される。
【0026】
次にステップ318において、センサにおけるコネクタ画像の位置、傾斜及び倍率を、アルゴリズムA3を使用して推定する。製造コスト及び組立コストを削減するために、横方向及び角度方向のオフセット、高さ、センサとレンズとの相対的な位置、長さのデフォーカス、ならびに倍率などの装置の機械的公差を緩和することができる。したがって、ステップ318の前に、センサの画像の正確な位置及び方向、ならびにこれらのパラメータの正確な値は未知である。
図5の流れ図に表されている自動位置合わせアルゴリズムは、センサ上のコネクタ画像の位置を特定し、横方向のオフセットまたは軸方向の傾斜を補正するために使用され、センサの画像に関する対象の視覚的な拡大率を推定する。このアルゴリズムから得られたパラメータは、正確な画像分析及びコネクタのパフォーマンスの推定のために
図4のチャートに示される後続のアルゴリズムに必要とされる。
【0027】
図5を参照すると、これらのパラメータの推定はステップ400で始まり、そこではアルゴリズムA2の実行中に推定されたセンサのノイズNOISE_THが、センサ内のコネクタの位置を特定するのに必要な閾値を決定するために使用され、ここではTHRESHOLD_P0と表示する。例えば、工場較正係数(ステップ304でロードされる)を使用して、パラメータNOISE_THを乗算することができる。
【0028】
ステップ402において、カメラは最大露光時間に設定され、ステップ404において、2つの画像が取り込まれる。第1の画像は、光供給源を消した状態で取得される。この画像はバックグラウンド画像と分類される。第2の画像の取り込みは、光供給源をオンにした状態で行う。後者の画像はフォアグラウンド画像と分類される。次に、バックグラウンド画像がフォアグラウンド画像から差し引かれ、結果として画像が得られる。これらの画像のそれぞれの例が
図7に示されている。ステップ406において、NOISE_THより下のレベルの値を有するすべての画素をゼロに設定することによって、画像解析におけるノイズの影響を最小化する。ステップ408において、画像のy軸プロファイルまたは垂直プロファイルを、以下を用いて計算する。
【数1】
式中、I(x,y)は画像のアレイである。PV(y)の計算例を
図8に示す。
【0029】
410において、PV(y)の重心を、以下を用いて計算する。
【数2】
または代わりに
【数3】
を用いる。
【0030】
ステップ412において、cent_yの値は、y軸に沿ってコネクタの画像を覆うセンサ内の対象領域(ROI)を選択するために使用される。これは、その後の計算で利用されるy軸の画素の数を減らす。例えば、640×480画素のセンサの場合、y軸のROIが見出された後は、640×100画素のみを使用する。次に、414において、画像のプロファイルの平均を以下を用いて計算する。
【数4】
式中、I
ROI(x,y)は、今やセンサの画像から選択されたROIである。コネクタの画像の開始と終了は、次の手順を用いて計算する。
a. 画像の左側(x=0)から、最初のxの値を求める。式中、PA(x)≦THRESHOLD_P
0かつPA(x+1)≧THRESHOLD_P0である。この位置をpos_0(1)として記憶する。
b. 画像の右側(x=640、640×480センサの場合)から、最初のxを見出す。式中、PA(x)≦THRESHOLD_P
0及びPA(x-1)≧THRESHOLD_P
0である。この位置をpos_0(2)として記憶する。
【0031】
次に、ステップ416において、重心(x)及び幅(x)を以下の式を用いて計算する。
【数5】
センサのコネクタを表す画素数は、次の式で計算する。
【数6】
その後、304でロードされたn_pixelsと設計パラメータとの比を使用して倍率を計算する。
【数7】
設計パラメータの値は、画像に焦点が合っている、厳密な許容誤差を有する装置を想定している。倍率は記憶し、RTCとILのアルゴリズム(A6とA7)で使用する。傾斜推定アルゴリズムである次のステップでは、
図9に示すように、対象の平面がセンサの平面に対して傾斜していると仮定する。この図は、416で計算された重心(x)及び幅(x)を示す。
【0032】
ステップ418において、重心(x)の勾配は、以下を用いて計算する。
【数8】
また、ステップ420において、傾斜角angle_dを、以下の式を用いて勾配から計算する。
【数9】
式中、ANGLE_BIASは、ステップ304でメモリからロードされた工場較正パラメータである。
【0033】
次に、ステップ422において、傾斜角が最大傾斜角より大きい場合、フラグ変数FLAG_ANGLE_CORRECTがオンにされる。このフラグは、アルゴリズムA4で使用する。それをオンにしたときは傾斜を補正し、それをオフにした場合は補正しない。ステップ424において、FLAG_ANGLE_CORRECTをオンにした場合、画像を修正する。これは、コネクタの終端処理が実行される前の修正の程度を示すための任意選択のステップである。傾斜の補正の例を
図10に示す。ステップ426で、アルゴリズムは終了し、
図4に示す一般的な流れ図とステップ320に戻る。
【0034】
図4に戻って参照すると、ステップ320において、装置は、バックグラウンドが補正され、ダイナミックレンジが改善された画像を取り込むアルゴリズムA4を実行する。より具体的には、ファイバを挿入している間はコネクタが終端処理する態勢になっているかどうかを予測するために、また終端後はILを推定するために、取得した画像から情報を抽出するべく、画像処理が必要となる。装置のコストを削減するために、比較的低い解像度、例えば640×480の画素を有する非冷却の白黒CMOSカメラを利用することができる。1画素当たりの有効ビット数は比較的低い(例えば8ビット)。
図6の流れ図によって示されるアルゴリズムは、カメラによって取り込まれた画像から重要な情報を効率的に抽出することができる。この情報は、カム態勢アルゴリズム(RTC、A6)及びILの推定(アルゴリズムA7)のために後で使用される。
【0035】
図6は、アルゴリズムA4のフロー図を示す。ステップ500から開始して、アルゴリズムは、
図4のステップ300で得られた画素レベルの範囲内のレベルを設定する最良の露光時間を見出す。例えば、8ビット/画素の白黒カメラでは、レベルの範囲は200~250になり得る。不正確な露光時間により露光不足または飽和した画像が生成されるので、このステップを正しく実行することは、他のアルゴリズムにとって重要である。アルゴリズムは、画像における現在の最大値に基づいて露光を連続的に修正する反復サイクルに従う。例えば、新しい露光は、現在の露光に、最大画素レベル(例えば、8ビットのカメラの場合は255)に正比例するとともに現在の最大値のレベルに反比例する係数を乗じることによって得られる。適正な露光が得られた後、ステップ502で画像が取り込まれる。室内照明条件の大部分においてカバーなしで動作するために装置はリアルタイムのバックグラウンドの減算を実行するので、理想的には少なくとも2つの画像がこのステップの間に取り込まれる。まず、光供給源をオフにし、画像を取得してバックグラウンド画像として分類する。次に、光供給源をオンにし、フォアグラウンド画像と分類される第2の画像が取得される。最後に、バックグラウンド画像がフォアグラウンド画像から差し引かれる。この処理の結果として、周囲の照明の影響は減少または最小化される。得られた画像は、低露光画像と分類される。
【0036】
次にステップ504において、露光量は最大値に設定され、この最大値は、ほとんどの場合、少なくとも1つの画素にサチュレーション生じる。ステップ506において、得られた画像は、低露光画像について上述したのと同様の方法で取り込まれる。光供給源はバックグラウンド画像を取り込むためにオフにし、フォアグラウンド画像を取り込むためにオンにする。画像を差し引き、得られた画像を保存して高露光画像と分類する。
【0037】
ステップ508において、両方の画像を組み合わせて、高ダイナミックレンジを有する画像を生成する。アルゴリズムは、組み合わせに対して次の式を使用できる。
【数10】
式中、I
c(x,y)は装置のメモリ内の画像のアレイであり、
【数11】
と
【数12】
はそれぞれ低露光時間(ステップ500で得られる)、及びカメラの最大露光時間である。式(8)において、Threshold_combは、カメラの特性に依存する、
図3のステップ300においてロードされた所定のパラメータである。この組み合わせの例を
図12に示す。
【0038】
次にステップ510において、ノイズの影響を、以下を使用することによって低減する。
【数13】
式中のNOISE_THは、アルゴリズムA2を使用してステップ316において求められた。
【0039】
ステップ512において、アルゴリズムは、アルゴリズムA3によって検出された位置のずれを補正する。例えば、画像に傾斜があり、FLAG_ANGLE_CORRECTがオンの場合(アルゴリズムA3を参照)、画像を修正する。この補正の例を
図10に示す。ステップ514において、画像は、2次元アレイから1次元アレイまたはベクトルに縮小され、ここではプロファイルと称される。この減少は、高額な、及び/または電力を消費するプロセッサを必要とせずにRTC及びILアルゴリズムのリアルタイムの計算を可能にするために行われる。例として、
図12に示すプロファイルは、プロファイルの平均PA(x)及びプロファイルの最大値PM(x)と呼ばれ、式(2)からの画像I(x,y)から以下の式を用いて計算する。
【数14】
【0040】
計算後、プロファイルはメモリ内に記憶され、ステップ516において、A4アルゴリズムは終了し、
図4に示すように他のプロセスに制御を戻す。
【0041】
図4の流れ図に戻って参照すると、ステップ322において、アルゴリズムA5はチェックを実行して光供給源が被検査コネクタに十分に結合されているかどうかを判定する。不十分な光学的結合は、低い信号対雑音比(SNR)及び不正確なILの推定をもたらす。接続の完全性を判断しやすくするために、このアルゴリズムはコネクタの様々な領域の強度レベルの比率を評価する。これらの比率を推定するために、アルゴリズムは、全般的な方法の前のステップからメモリに記憶されたプロファイル、PA及びPMを使用する。例として、次の式を比率の計算に使用することができる。
【数15】
【0042】
領域Bと領域Cの位置は、コネクタの種類について事前にロードされた表(ステップ304で取得)から取得する。例示として、
図12に示すプロファイルを使用することができ、式中、領域Bは、xの画素300~400によって判断される、発射ファイバとフィールドコネクタの開始との間の境界に近い領域であり、領域Cは、xの画素450~630によって判断できる。式(11)及び(12)を使用して比率が計算された後、それらは予めロードされた閾値と比較される。比較に応じて、発射ファイバとフィールドコネクタとの間の接続が十分に良好であるかどうかを判断する。接続が十分に良好であれば、フラグ変数が作動され、接続の状況を示すメッセージを表示することができる。さもなければ、供給源を外して整えるメッセージを表示し得る。
【0043】
図4に戻って参照すると、ステップ328において、装置はステップ320で得られたプロファイルを初期コネクタプロファイルとして保存する。説明のために、このステップでの平均最大プロファイルは、PA1(x)とPM2(x)として保存される。
【0044】
次に、ステップ330において、操作者は、準備したフィールドファイバをコネクタに挿入するメッセージを受信し、コネクタの挿入時に、装置はステップ332~338においてRTCアルゴリズムA6を継続する。
【0045】
より具体的には、アルゴリズムA6は、終端処理プロセスの間に操作者を補助するように設計されている。それは、スプライスが完了するように、コネクタがカム作動の態勢のときにインジケータを出力する。ステップ332では、アルゴリズムA4が呼び出されて画像を処理し、プロファイルPA(x)及びPM(x)を提示する。先に説明したように、アルゴリズムA4は、プロファイルを戻す前に、取り込み、バックグラウンドの照明を補正し、位置のずれを補正し、ダイナミックレンジを向上させる。
【0046】
ステップ334において、両方のプロファイルの重心及び特定の領域に対するそれらの比率を、アルゴリズムA5に記載されているのと同様の方法で計算する。RTCアルゴリズムにとって重要な領域は、各コネクタの種類、例えばLCまたはSCに対して事前にロードされている。これらの領域は、多数のコネクタの統計的分析から判定することができる。
図13は、SC1~SC4と分類された4つのSCコネクタの例を示している。
【0047】
RTC画像解析の3つの段階を
図13に示している。(a)部では、フィールドファイバは部分的にしか挿入されておらず、コネクタはカム作動する態勢になっておらず、高いIL(>1dB)の条件を回避している。(b)部では、フィールドファイバは内部スタブファイバに近接しているが、まだ最適な位置にない。(c)部では、フィールドファイバが完全に挿入され、内部スタブファイバと物理的に接触しているときの画像を示している。この条件が達成されると、コネクタはカム作動する態勢になっている。この状態の間カム作動させるコネクタの場合、ILが非常に低い(例えば、<0.3dB)可能性が高い。
【0048】
図13はまた、フィールドファイバがスタブファイバに近づくにつれて放射パターンのピークのレベルが領域Cから領域Dにシフトすることを示している。この視覚的効果は、画像の重心または領域Cと領域Dとの間の平均レベルの比によって定量化することができる。後者のメトリックに対する計算方法は、次式によって得られる。
【数16】
【0049】
使用者に継続的なフィードバックを提供するために、ステップ336において、装置は、計算された数値または絵による表示を、グラフィック画像またはプログレスバーの形態でディスプレイに送信することによって、比率または重心のリアルタイムの値を伝達することができる。
【0050】
338において、アルゴリズムは、比率及び重心を事前にロードされた閾値(コネクタの種類について304でロードしている)と比較する。この閾値は、コネクタの種類ごとの統計分析に由来し得る。重心が重心の閾値より高く、RTC条件が達成されると、アルゴリズムはステップ340に進む。そうでなければ、アルゴリズムはステップ332に戻り、RTCサイクルが繰り返される。ステップ340において、プロファイルはPA2(x)及びPM2(x)として記憶され、その後ステップ342において、メカニカルスプライス機構をカム作動させるか回転させることによって、コネクタの終端処理が完了できることを示すメッセージ及び/または画像が表示され得る。一旦それが行われると、RTCプロセスはステップ344で終了し、RTCプロセスからの最後のプロファイルがステップ346で記憶される。
【0051】
次に、ステップ348において、アルゴリズムA5は再び光供給源がコネクタに適切に結合されていることを確認する。そうでなければ、フラグ変数が作動して、交点を再配置する、及び/または整えるように使用者に指示するメッセージが表示される。アルゴリズムA5が光供給源を適切に結合したことを確認した場合、ステップ352はILプロファイルの新しいセットを取り込み、記憶する。次に、ステップ354において、設置プロセスの記録を維持するために、コネクタパラメータ(コネクタプロファイル、RTCプロファイル、及びILプロファイル)を保存する。
【0052】
その後、ステップ356で、コネクタのILを推定するためにアルゴリズムA7を実行する。このアルゴリズムは、設置プロセスの様々な段階で取り込まれた画像に基づいてILを推定するために利用する。このアルゴリズムは、シングルモード及びマルチモードのコネクタ用のLCやSCなど、様々な種類の多数のコネクタの統計的研究に基づいている。このアルゴリズムに従って求めた挿入損失値は、以下を使用して推定する。
【数17】
式中、K_IL1、K_IL,K_IL2、K_IL3、K_IL4、及びK_IL5は、ステップ304でロードされた工場較正係数であり、SUM_C1、SUM_C2、SUM_C3及びSUM_B3は、次のように定義される。
【数18】
式中、iは1~3の値をとることができるインデックスである。このアルゴリズムの基本を以下に説明し、アルゴリズムのパフォーマンスの例示的な説明を
図14~
図16に示す。
【0053】
ILが推定されると、ステップ358において、アルゴリズムA7によって返された値が、ステップ302においてロードされたデフォルトの表からの指定された限界に対して、またはステップ308において操作者によって入力された値に対して比較される。ILが指定された限界(例えば、0.75dB)より低いなら、真の論理条件が生成され、合格インジケータ362が推定IL値と共に表示画面に表示される。偽の条件が生じた場合、ステップ360で「不合格」のメッセージが表示される。前者の場合には、ILの結果をステップ364で保存し、プロセスはステップ366で終了し、そこでツールは、ステップ306の後の段階と本質的に同等である「ツール準備態勢」の段階に入る。後者の場合、プロセスは直接ステップ366に進む。
【0054】
終端処理プロセスを終えた後、設置の3つの段階におけるプロファイル、ならびにIL及び時間を保存する。この情報は後で統計分析に使用できる。画像の代わりにプロファイルを保存する利点は、ツールのメモリ要件を少なくとも2桁減らすことができ、装置からモバイル機器へのデータ送信をより速くすることができるということである。
【0055】
開示された装置は、完全な設置中にスタンドアロンモードで動作することができる。各コネクタの設置者ID、時間、位置及びプロファイルは装置に記憶することができる。しかし、設置プロジェクトの技術的及び管理的分析を実行するために、いくつかの装置からの集約的なデータが必要とされる可能性がある。この目的のために、装置は、有線または無線構成、例えばブルートゥース(登録商標)でモバイル機器に接続するための機能を含むことができる。モバイル機器は、ツールの表を更新し、他の機能の中でもファームウェアを更新するためにデータを送信することができる。モバイル機器はまた、ツールに記憶されているデータをアップロードするか、分析を実行することができる中央データベースに送信することができる。
【0056】
1つ以上の設置プロジェクトの集約的なデータにアクセスするコンピュータまたはモバイル機器は、データを分析し、以下を改善するために使用される貴重な情報を設置業者、顧客、またはコネクタ供給業者に提供することができる。
a) パフォーマンス-例えば、操作者ごとのILのヒストグラム、コネクタの位置と種類をレポートできる。どの設置者にさらなる訓練が必要かを識別できる。プロジェクトの設置フェーズが終了する前に、リスクベースの限界パス接続を折よく識別できる。
b) 生産性-設置プロセスが監視されているため、集約的なデータを使用して生産性、各操作者、またはクルーごとの技能を推定できる。この情報は、より正確な時間の推定とより優れたリソースの割り当てで将来のプロジェクトを計画するのに役立つ。また、コネクタの使用状況を監視し、コネクタの在庫を事前に調達することもできる。
c) トラブルシューティング-各コネクタのプロファイルは異なる段階で記憶されるので、接続の不具合がコネクタ自体、設置方法、または機器の問題によるものであるかどうかを判断するための適切な情報がある。
【0057】
場合によっては、コンピュータ制御、表示をもたらし、終端処理プロセスの状況に応じて音声出力を提供することが望ましい場合がある。
図4に示している全般的な方法では、表示及び音声アルゴリズムはステップ306、310、314、326、330、336、342、350、及び360で実行される。表示される画像の一部の例を
図17~
図22に示す。例えば、RTCアルゴリズム(A7)の間に、
図18~
図20は、フィールドファイバがスタブファイバにどれだけ近いかを表すカラーバーのインジケータと共にコネクタの図を示すことができる。最適な位置では、ディスプレイには(
図21のように)ファイバが終端処理またはカム作動の準備態勢になっていることが示され、コネクタを回転させるメッセージが示される。あるいは、設置条件によってディスプレイが見えにくくなると、装置のスピーカまたは装置に接続されたヘッドフォン(有線または無線)からの音が、コネクタが終端処理の準備態勢になっているかどうかを示す音を発することができる。
図22は、ステップ356においてアルゴリズムA7を使用して、装置によってILが推定された後のディスプレイの例示的な画像を示す。
【0058】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明してきたが、これらの実施形態は非限定的であり(例示として分類されているか否かにかかわらず)、変更、置換、及び均等物がある本発明の範囲内にあることに留意されたい。さらに、記載された実施形態は相互に排他的であると解釈されるべきではなく、そのような組み合わせが許容される場合に代わりに潜在的に組み合わせ可能であると理解するべきである。本発明の方法及び装置を実施する多くの代替方法があることにも留意されたい。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内に含まれるものとして、そのようなすべての変更、置換、及び均等物を含むと解釈できることが意図されている。