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特許7128196検体の存在に関する生体サンプルの分類のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】検体の存在に関する生体サンプルの分類のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20220823BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G01N35/00 Z
G01N33/68
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019547261
(86)(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018054495
(87)【国際公開番号】W WO2018158147
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】17158679.5
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ウプマイアー,バルバラ
(72)【発明者】
【氏名】ベステ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】バラッサ,バネッサ
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-033132(JP,A)
【文献】特表平08-501627(JP,A)
【文献】米国特許第06306616(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルの自動分析器システム(1)であって、
サンプル処理システム(2)と、
生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローの選択を受け取り(101)、
前記自動分析器システムに、選択された前記ワークフローを、前記サンプル処理システムを使用して自動的に実行するように促し、
前記生体サンプルを分類する結果を出力する
ように構成されたコントローラと、を含み、
前記複数のワークフローのそれぞれが、前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられ、前記自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義し、前記複数のステップは、
第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のサンプルアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調製するステップ(103、104)と、
前記検体の存在を特異的に判定するための所定量の1つまたは複数の薬剤を前記確認アリコートと前記対照アリコートとに添加するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップ(105)と、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの関係を判定するステップ(106)と、
判定された前記関係に基づいて、前記生体サンプルを前記検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つに分類するステップ(107、108)と、を含み、
前記確認アリコートは、前記検体の存在を判定するために薬剤の効果を低減するための中和剤を含み、前記対照アリコートは、前記第2のサンプルアリコートの特性を実質的に変化させない物質を含み、
前記複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローが、前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記値または値の範囲に基づいて選択され、
前記生体サンプルの中の前記検体の存在および/または濃度が、既に、以前に実行された検査において決定されていて、初期検査が不要であり、
前記特定の希釈度は、前記それぞれのワークフローが割り当てられている前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記それぞれの値または値の範囲に基づいて定義される、
自動分析器システム。
【請求項2】
生体サンプルの自動分析器システム(1)であって、
サンプル処理システム(2)と、
生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローの選択を受け取り(101)、
前記自動分析器システムに、選択された前記ワークフローを、前記サンプル処理システムを使用して自動的に実行するように促し、
前記生体サンプルを分類する結果を出力する
ように構成されたコントローラと、を含み、
前記複数のワークフローのそれぞれが、前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられ、前記自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義し、前記複数のステップは、
第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のサンプルアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調製するステップ(103、104)と、
前記検体の存在を特異的に判定するための所定量の1つまたは複数の薬剤を前記確認アリコートと前記対照アリコートとに添加するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップ(105)と、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの関係を判定するステップ(106)と、
判定された前記関係に基づいて、前記生体サンプルを前記検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つに分類するステップ(107、108)と、を含み、
前記確認アリコートは、前記検体の存在を判定するために薬剤の効果を低減するための中和剤を含み、前記対照アリコートは、前記第2のサンプルアリコートの特性を実質的に変化させない物質を含み、
前記コントローラが、更に、前記サンプル処理システムを使用して、前記生体サンプルについての初期検査(110; 112)を実行して、前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲を測定するように構成され、
前記初期検査結果で前記生体サンプル中の前記検体の存在を示す場合にのみ、前記コントローラが、その動作を開始し、
前記複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローが、前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記値または値の範囲に基づいて選択され、
前記特定の希釈度は、前記それぞれのワークフローが割り当てられている前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記それぞれの値または値の範囲に基づいて定義される、
自動分析器システム。
【請求項3】
ユーザインターフェースをさらに含み、
前記コントローラは、
前記ワークフローのうちの実行される1つまたは複数のワークフローを前記ユーザインターフェース(4)上に提示し、
前記ワークフローのうちの実行される前記1つのワークフローの前記選択を、前記ユーザインターフェースを介して受け取るようにさらに構成された、請求項1又は2に記載の自動分析器システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記ユーザインターフェースを介して受け取った前記ワークフローのうちの前記1つのワークフローの前記選択が1つまたは複数の基準を満たすか否かを確認するように構成され、任意により、前記コントローラは、前記ユーザインターフェースを介して受け取った選択された前記ワークフローが前記1つまたは複数の基準を満たさない場合に、警告またはエラーメッセージを出力するように構成された、請求項3に記載の自動分析器システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記自動分析器システムによって実行される前記複数のワークフローのうちの前記1つのワークフローを自動的に選択するようにさらに構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動分析器システム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記生体サンプルにおいて測定された前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを受け取り、
前記生体サンプル中の前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータに基づいて、分析される前記生体サンプルを複数のクラスのうちの1つのクラスに分類し、
前記複数のワークフローのうち前記自動分析器システムによって実行される前記1つのワークフローを前記分類に基づいて自動的に選択するようにさらに構成された、請求項5に記載の自動分析器システム。
【請求項7】
前記複数のクラスは、前記測定パラメータが所定の第1の閾値を下回る範囲である場合の状況のための第1のクラスと、前記測定パラメータが所定の第2の閾値を上回る範囲である場合の状況のための第2のクラスとを少なくとも含み、任意により前記第1の閾値と前記第2の閾値は異なる値を有する、請求項6に記載の自動分析器システム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記サンプル処理システムを使用して、ワークフロー選択のために使用される前記生体サンプル中の前記検体の存在および/または濃度を示す前記パラメータを測定するようにさらに構成された、請求項1から7のいずれか一項に記載の自動分析器システム。
【請求項9】
前記生体サンプル中の前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータは、カットオフ指標または濃度単位であり、各ワークフローがカットオフ指標または濃度単位の範囲に関連づけられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動分析器システム。
【請求項10】
前記検体はタンパク質であり、任意により、前記検体は病原体、または病原体による感染に反応して生成された抗体であり、さらに任意により、前記検体は肝炎感染を示す、請求項1から9のいずれか一項に記載自動分析器システム。
【請求項11】
前記少なくとも第1および第2のサンプルアリコートは、120μL未満の量、任意により50μL未満の量の前記生体サンプルを含有する、請求項1から10のいずれか一項に記載自動分析器システム。
【請求項12】
各ワークフローの前記複数のステップは、
前記確認アリコートを調製するために前記第1のサンプルアリコートに中和剤を添加するステップと、
前記対照アリコートを調製するために前記第2のサンプルアリコートに対照薬剤を添加するステップと、をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の自動分析器システム。
【請求項13】
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの前記関係は、前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの比を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載自動分析器システム。
【請求項14】
前記複数のクラスは、前記パラメータが第1の閾値を下回る範囲であることを示す第1のクラスと、前記パラメータが第2の閾値を上回る範囲であることを示す第2のクラスとを少なくとも含む、請求項1から13のいずれか一項に記載自動分析器システム。
【請求項15】
コンピュータ実装方法であって、
生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローの選択を受け取るステップ(101)と、
自動分析器システム(1)に、選択された前記ワークフローを、サンプル処理システム(2)を使用して自動的に実行するように促すステップと、
前記生体サンプルを分類する結果を出力するステップと、を含み、
前記複数のワークフローのそれぞれが前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられ、前記自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義し、前記複数のステップは、
第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調製するステップ(103、104)と、
前記検体の存在を特異的に判定するための所定量の1つまたは複数の薬剤を前記確認アリコートと前記対照アリコートとに添加するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップ(105)と、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの関係を判定するステップ(106)と、
判定された前記関係に基づいて、前記生体サンプルを前記検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つのクラスに分類するステップ(107、108)と、を含み、
前記確認アリコートは、前記検体の存在を判定するために薬剤の効果を低減するための中和剤を含み、前記対照アリコートは、前記第2のサンプルアリコートの特性を実質的に変化させない物質を含み、
前記複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローが、前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記値または値の範囲に基づいて選択され、
前記生体サンプルの中の前記検体の存在および/または濃度が、既に、以前に実行された検査において決定されていて、初期検査が不要であり、
前記特定の希釈度は、前記それぞれのワークフローが割り当てられている前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記それぞれの値または値の範囲に基づいて定義される、
コンピュータ実装方法。
【請求項16】
コンピュータ実装方法であって、
生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローの選択を受け取るステップと、
自動分析器システム(1)に、選択された前記ワークフローを、サンプル処理システム(2)を使用して自動的に実行するように促すステップと、
前記生体サンプルを分類する結果を出力するステップと、を含み、
前記複数のワークフローのそれぞれが前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられ、前記自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義し、前記複数のステップは、
第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調製するステップ(103、104)と、
前記検体の存在を特異的に判定するための所定量の1つまたは複数の薬剤を前記確認アリコートと前記対照アリコートとに添加するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップ(105)と、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの関係を判定するステップ(106)と、
判定された前記関係に基づいて、前記生体サンプルを前記検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つのクラスに分類するステップ(107、108)と、を含み、
前記確認アリコートは、前記検体の存在を判定するために薬剤の効果を低減するための中和剤を含み、前記対照アリコートは、前記第2のサンプルアリコートの特性を実質的に変化させない物質を含み、
前記コンピュータ実装方法が、更に、
前記サンプル処理システムを使用して、前記生体サンプルについての初期検査(110; 112)を実行して、前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲を測定するステップと、
前記初期検査結果で前記生体サンプル中の前記検体の存在を示す場合にのみ、前記ステップ1からステップ3を開始するステップと、
更に含み、
前記複数のワークフロー(5)のうちの1つのワークフローが、前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記値または値の範囲に基づいて選択され、
前記特定の希釈度は、前記それぞれのワークフローが割り当てられている前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記それぞれの値または値の範囲に基づいて定義される、
コンピュータ実装方法。
【請求項17】
自動分析器システムのコントローラによって実行されると、前記自動分析器システムに請求項15に記載の方法の前記ステップを実行するように促す命令を記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検体の存在に関する生体サンプルの分類のためのシステムおよび方法に関する。詳細には、生体サンプルの確認検査のためのシステムおよび方法が提示される。
【背景技術】
【0002】
最近では、多くの状況において自動分析器によって、検体の存在に関する生体サンプルの検査を行うことができる。一例では、B型肝炎ウイルス(「HBV」)の急性または慢性感染を示すことができるHBV表面抗原(「HBsAg」)の存在を(例えば、スクリーニング検査または診断検査の過程において)自動分析器によって検出することができる。生体サンプルが陽性の結果となった場合、例えば、特に血液スクリーニングの環境において患者にとって深刻な結果をもたらす可能性のある擬陽性結果の確率を下げるために、多くの状況においてサンプルの確認検査が望ましいか、または必要とされる。
【0003】
確認検査は、かなりの数のサンプル調整ステップとプロトコル選択ステップとを要することがあるため、面倒な手順となる場合がある。一方、異なる状況において異なる確認検査プロトコルが必要とされる場合がある。知られているシステムの中には、特定の状況において、オペレータが、サンプルの必要量と試薬量の計算を含めて確認検査をどのように設定するかを考える必要があるものがある。これは、知的に難しい作業となることがある。さらに、確認検査のステップの実行は、一部の知られているシステムでは、手作業で行われる必要がある複数のサンプル調製および前処理ステップを含むことがある。最後に、知られているシステムの中には、オペレータが確認検査の結果を解釈する必要があるものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの作業のそれぞれと、さらにそれらの組合せとは、誤りを生じやすく、かなりの量の検査資源を必要とする場合がある(何よりもまず、かなりの検査技師作業時間が必要となる場合がある)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の一般態様では、生体サンプルの自動分析器システムが、サンプル処理システムと、生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフローのうちの1つの選択を受け取り、自動分析器システムに、選択されたワークフローをサンプル処理システムを使用して自動的に行うように促し、生体サンプルの分類結果を出力するように構成されたコントローラとを含む。複数のワークフローのそれぞれが、検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられ、自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義する。複数のステップは、第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のサンプルアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調整するステップと、前記検体の存在を特異的に判定するために1つまたは複数の薬剤を所定量、確認アリコートと対照アリコートとに添加するステップと、確認アリコート中と対照アリコート中との検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップと、確認アリコート中と対照アリコート中の検体の判定されたパラメータの関係を判定するステップと、判定された関係に基づいて、生体サンプルを検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つに分類するステップとを含む。
【0006】
第2の一般的態様では、コンピュータ実装方法が、生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフローのうちの1つのワークフローの選択を受け取ることと、自動分析器システムに、選択されたワークフローを、サンプル処理システムを使用して自動的に実行するように促すことと、生体サンプルの分類結果を出力することとを含む。複数のワークフローのそれぞれが、検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの1つの値または値の範囲に割り当てられ、第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のサンプルアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調整するステップと、前記検体の存在を特異的に判定するための1つまたは複数の薬剤を所定量、確認アリコートと対照アリコートとに添加するステップと、確認アリコート中と対照アリコート中の検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップと、確認アリコート中と対照アリコート中の検体の判定されたパラメータの関係を判定するステップと、判定された関係に基づいて、生体サンプルを検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つに分類するステップと、を含む複数のステップを定義する。
【0007】
以下の利点のうちの1つまたは複数の利点を実現するように、第1および第2の一般態様の主題の具体的な実施形態を実装することができる。
第1に、本開示の技術は、いくつかの実施例では、生体サンプルの確認検査の異なる側面の自動化によって、自動分析器のオペレータの作業負荷を軽減することができる。具体的には、従来技術のシステムの中には、確認検査をどのように行うかに関する知的に負担の大きい決定ステップと、対照アリコートと確認アリコートの面倒な手作業による調整ステップとを必要とするものがある。
【0008】
第2に、本開示の技術は、いくつかの実施例では、確認検査を行う際の誤りの件数を減らすことができる。前述のように、従来技術のシステムの確認検査の中には、自動分析器のオペレータによって行われる知的および手作業的に難しいステップを含むものがある。これは相当数の誤りにつながることがあり、これらの誤りは、(新たなサンプルの取得を伴う場合がある)検査のやり直しの必要から、(患者にとって重大な結果をもたらす場合がある)誤った結果までにわたる、様々な結果をもたらす可能性がある。本開示の技術は、自動化と自動決定支援とを提供することにより、ある状況におけるこのような誤りの頻度/件数を減らすことができる。
【0009】
第3に、本開示の技術は、検査技師が感染性物質または作業環境に曝されるのを減らすことができる。いくつかの実施例では、本開示の技術を採用した場合、オペレータは確認検査を行う過程でサンプルを扱う必要がない場合がある。例えば、いくつかの実施例では、自動分析器によって、ユーザ介入なしに確認検査を行うことができる。また、いくつかの実施例では、確認検査は自動的にトリガされることも可能であり、これによって、オペレータが感染性物質または作業環境に曝されるのをさらに減らすことができる。
【0010】
第4に、いくつかの実施例では、確認検査におけるサンプル消費量の低減が可能である。これは、その結果として、本開示の技術を使用すると、状況によっては確認検査を行うためのサンプルおよび試薬所要量を減らすことができることを意味し得る。例えば、確認検査を行うのに50μL以下のサンプル消費量で十分な場合がある。それに応じて、試薬量およびその他の必要物質の量が削減可能となる。したがって、状況によっては、患者から採取する必要がある体物質を減らすことができる。他の場合には、低減されたサンプル量による作業により、確認検査を行うために患者から第2のサンプルを採取しなければならない事態を回避することができる。
【0011】
第5に、確認検査の自動化は、一部の知られているシステムにおいて手作業で行われる、確認検査のプロトコルの修正を可能にすることができる。このような、知られているプロトコルは、手作業で実行されるプロセスは誤りが生じやすいということが動因の1つとなってとられている安全策(例えば、サンプルの繰り返し検査)を含む場合がある。さらに、知られているプロトコルにおける手作業のステップは、特定の修正を行うのを難しくするかまたは不可能にすることがある。いくつかの実施例では、上記のようにして修正されたプロトコルはより単純であり、したがってより時間効率および資源効率がよくなることがある(例えば、カットオフ指標を判定するための検査の回数の削減が可能である)。ただし、生体サンプルの検査は、特に感染症の場合、異なる国ごとに異なる法規の対象となる場合があることを指摘しておく必要がある。したがって、法規により特定のプロトコルおよびプロトコルステップが要求されることがある。
【0012】
第6に、いくつかの実施例では、自動分析器は、検査手順の効率向上および/または結果取得に要する時間の短縮を可能にする。確認検査は、サンプルが反応性であることが判明すると自動的に開始可能である。このようにして、一部の知られているシステムと比較して、結果取得に要する時間を短縮することができる。
【0013】
本開示では、以下のように、いくつかの用語が特定の意味で使用される。
本開示で使用される「自動(化)」/「自動的に」という用語は、「特定の手順または手順の特定ステップをトリガまたは停止する操作、または手順の特定のステップを実行すべきであることを確定する操作以外は、ユーザの介入なしに」という意味である。言い換えると、自動化処理/自動処理は、ユーザ介入がまったくないという意味ではない(ただし、この場合も「自動(化)」/「自動的に」という用語に包含される)。正確には、可能なユーザ介入はプロセスまたはプロセスのステップの開始/停止に限定されている。例えば、いくつかの実施例では、オペレータは、確認検査の特定のワークフローが実行されるべきであること、または確認検査の特定のステップが実行されるべきであることを確定する必要がある場合がある。オペレータは、プロセスが実行されるべきであることを確定/却下するに過ぎず、実際の実行には関与しない。
【0014】
本明細書で使用される「自動分析器」という用語は、体外で生体サンプルの確認検査を行うために使用される、例えば臨床、化学、生物学、免疫学または薬学分野などにおける検査作業で使用するための、任意の種類の自動または半自動の技術的装置を指すことがある。
【0015】
本開示では、B型肝炎ウイルス(「HBV」)確認検査を行うための自動分析器について説明する。これは、検体がHBV表面抗原(「HBsAg」)であることを意味する。しかし、本開示の技術はHBV確認検査には限定されない。他の実施例では、自動分析器は、(本開示の技術がそれぞれの確認検査において適用可能である限り)他の疾病または疾患の確認検査を行うように構成される。以下の各段落では、自動分析器のいくつかの考えられる実装形態について説明する。
【0016】
一般に、自動分析器は、液体移動および投与、液体均質化(混合)、温度制御、および化学的パラメータまたは物理的パラメータの測定を行う構成要素を含み得る。例えば、装置は、液体分注構成要素(例えば、ピペットまたはバルブ)、ステーラ、テンパリング装置、シェーカ、および/または撹拌機を含み得る。
【0017】
他の実施例では、自動分析器は、分析システム、または分析システムまたは分析器の作業セルを含み得る。例えば、自動分析器は、サンプルの力学的、光学的、化学的、または生物学的特性を分析するための分析器とすることができる。
【0018】
「分析器」は、必ずしも専用検査室に配置されない。むしろ、この用語は、例えば臨床、化学、生物学、免疫学、または薬学分野における分析手順を実行するための独立型分析器も含む。例えば、医師診療所または薬局などのポイント・オブ・ケア環境における卓上装置、または家庭用装置も、本開示による自動分析器とすることができる。
【0019】
本明細書で使用される「分析器」は、分析器の動作を制御するために動作可能に結合されたコントロールユニットまたはコントローラを含む。また、コントローラは、収集された分析データの評価および/または処理を行うため、分析器のうちの任意の1つの分析器へのサンプルの装填、格納、および/または分析器からの取り出しを制御するため、分析または、前記分析などのためのサンプル、サンプル管、または試薬の調整のために使用される分析システムのハードウェアまたはソフトウェア動作を開始するように動作可能とすることができる。
【0020】
分析器は、様々な化学的、生物学的、物理学的、光学的、またはその他の技術的手順によって、サンプルまたはサンプルの成分のパラメータ値(例えば、サンプルから発せられる光シグナルによる、HBsAgを検体として含むサンプルのカットオフ指標)を判定するように動作可能とすることができる。
【0021】
分析器は、サンプルの、または少なくとも1つの検体の、前記パラメータを測定し、得られた測定値を返すように動作可能とすることができる。分析器によって返される考えられる分析結果としては、サンプル中の検体の濃度、(検出レベルを超える濃度に対応する)サンプル中の検体の存在を示すデジタル(例えば、イエスまたはノー、肯定または否定)結果、光学パラメータ、画像、細胞数または粒子数、DNAまたはRNA配列、タンパク質または代謝物の質量分析から取得されたデータ、および様々な種類の物理学的、力学的、光学的、電気的または化学的パラメータを含むが、これらには限定されない。
【0022】
自動分析器は、サンプルおよび/または試薬のピペット操作、投与、および混合を支援するユニットを含むことができる。分析器は、アッセイを行うために(特に確認検査を行うために)試薬を保持するための試薬保持ユニットを含むことができる。試薬は、例えば、格納用コンパートメントまたは運搬器内の適切な収納場所または位置に配置された、個々の試薬または試薬のグループを収納するコンテナまたはカセットの形態で配置可能である。分析器は、消耗品供給ユニットを含むことができる。分析器は、ワークフローが特定の種類の分析向けに最適化されている、処理および検出システムを含むことができる。一般に、このような分析器の例は、化学的または生物学的反応の結果を検出するため、または化学的または生物学的反応の進行を観察するために使用される、臨床化学分析器、凝固化学分析器、免疫化学分析器、尿検査器、核酸分析器である。一実施例では、分析器は免疫測定法(例えば、微小粒子に基づく免疫測定法)を行うように構成することができる。
【0023】
本開示では、「自動分析器」または「分析器」は、「自動分析器システム」であるユニットの一部である。いくつかの実施例では、「自動分析器システム」は自動分析器自体のみからなることができる。しかし、他の実施例では、「自動分析器システム」は、(例えば通信ネットワークを介して)自動分析器に結合され、および/または、自動分析器とともにネットワーク化された、本開示の技術の実行に関与する他の構成要素も含むことができる。これら他の構成要素は、サンプル処理が行われる自動分析器のローカルに、および/または、遠隔にあってもよい。例えば、検査室または病院管理システムを自動分析器と結合またはネットワーク化することができ、自動分析器の機能を制御することができる。他の実施例では、自動分析器に制御機能を与えるように、携帯型装置または遠隔ワークステーションを自動分析器とネットワーク化することができる。本開示の検査を行うために、いくつかの実施例では自動分析器システムは複数の分散自動分析器も含むことができる。
【0024】
「生体サンプル」または「サンプル」という用語は、対象検体を含有する可能性のある物質を指す。サンプルは、全血、血漿、血清、唾液、水晶体液、髄液、汗、尿、便、精液、乳汁、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊水、組織、細胞などを含む、生理液などの生物供給源から抽出することができる。生体サンプルは、使用の前に前処理されることができる。前処理は、対象検体を含むサンプル成分の遠心分離、濾過、希釈、濃縮、および/または分離、妨害成分の不活性化、および試薬の添加を含み得る。
【0025】
サンプルは、供給源から取得して直接使用されてもよく、またはサンプルの性質を改変するように前処理を行った後で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、当初は固体または半固体である生体物質を、適合する液状媒質によって溶解または懸濁することによって液体にすることができる。いくつかの実施例では、サンプルは特定の抗原または核酸を含有することが疑われる場合がある。
【0026】
サンプルは、分析試験が行われる前に処理されることができる。患者から採取した血液を、例えば血清を得るために遠心分離したり、血漿を得るために抗凝血剤で処理したりすることができる。
【0027】
本開示では、HBV確認検査で使用するために血液から抽出されたサンプル(例えば血清サンプルまたは血漿サンプル)について詳細に説明する。しかし、本開示の技術は血液サンプルまたは血液から抽出されたサンプルには限定されない。他の実施例では、(本開示の技術がそれぞれの検体の存在を検出するために適用可能である限り)確認検査を行うために他の生体サンプルを使用することができる。
【0028】
本開示で使用する「検体」という用語は、分析手順において対象となる物質または成分を指す。いくつかの実施例では、検体はタンパク質とすることができる。例えば、検体は、病原体(例えば、ウイルス、バクテリアまたは微生物)、または病原体(例えば、ウイルス、バクテリアまたは微生物)による感染に反応して生成される抗体とすることができる。本開示では、実施例の多くにおける検体としてB型肝炎表面抗原(「HBsAg」)について説明する。しかし、本開示の技術は検体としてB型肝炎表面抗原には限定されない。
【0029】
他の実施例では、(本開示の技術がそれぞれのサンプルを処理するために適用可能である限り)生体サンプル中に存在する可能性のある他の検体を確認検査における対象物として使用することができる。例えば、いくつかの実施例では、B型肝炎以外の感染症を示す検体、または感染症以外の状態を示す検体を検出することができる。
【0030】
「検体の存在」という表現は、(例えば、検体が存在するとの二分決定を含む)分析の定性的測定値を指す。「検体の濃度」という表現は、(例えば、検体が特定の濃度で存在するとの判定を含む)定量的測定値を指す。
【0031】
本開示で使用する「薬剤」という用語は、薬剤が単一の(活性)物質のみを含む状況には限定されない。「薬剤」は、2つ以上の(活性)物質も含み得る。また、薬剤は、(並行して、順次に、後で、および/または、他のステップを介在させて行われてもよい)複数のステップで使用されるように調製された物質の組を含んでもよい。
【0032】
したがって、「薬剤の添加」は、並行して、または順次に実行可能な複数のサブステップを含み得る。また、「薬剤の添加」は、複数のステップが間を置かずに連続して行われるか、または他のステップ(例えばインキュベーションステップ)によって割り込まれる状況を含む。
【0033】
一実施例では、薬剤は、分析体外診断検査(例えばサンドイッチアッセイ)を行うために必要な様々な種類の試薬を含むことができる。例えば、薬剤は、例えば、検体に特異的に結合する抗体などの結合パートナーなど、検体を特異的に判定するために必要な試薬を含み得る。このような検体特異的結合パートナーまたは抗体の1つのグループを標識して、検出可能シグナルにより検体を確実に判定することができるようにし、検体特異的結合パートナーまたは抗体の別のグループが微小粒子などの固相に付着させることができる。
【0034】
薬剤は、標識されていない形態の検体特異的結合パートナーを含有可能な中和剤とすることもできる。
薬剤という用語は、いかなる検体特異的結合パートナーまたは抗体も含有しない対照薬剤(例えば、検体または緩衝溶液について検査で陰性と出たヒト血清)も含む。ある実施例では、薬剤は特定の結果を引き出すための追加の含有物も含む(例えば、固相粒子、緩衝剤、塩類など)。
【0035】
本明細書に記載されている「特定の希釈度」という用語は、希釈がない(すなわち、希釈度がゼロである)状況を含む。
「希釈」という用語(および、それぞれ「希釈動作」)は、サンプルへの希釈剤(例えば、緩衝剤、正常血清)および他のいかなる物質(例えば化学物質、抗体、抗原、抗干渉化合物、防腐剤など)の添加にも限定されない。
【0036】
「希釈」という用語は、専用インキュベーション時間の有無にかかわらず、ある状況における検体の判定の前のいかなる前処理手順も含む。
一例として、希釈ステップは、通常は、検体の存在および/または濃度が判定される前の一定のインキュベーション時間がその後に続く、対象検体を解放するために必要な界面活性剤のサンプルアリコートへの添加も指すことがある。
【0037】
「コントロールユニット」または「コントローラ」は、処理プロトコルのために必要なステップが自動システムによって実行されるように自動または半自動システムを制御する。これは、コントローラが例えば、液状生体サンプルを試薬と混合するために特定のピペット操作ステップを行うように自動システムに指示することができること、またはコントローラがサンプル混合物を一定時間インキュベートさせるように自動システムを制御することなどを意味する。コントロールユニットは、データ管理ユニットから、特定のサンプルについてどのステップを行う必要があるのかに関する情報を受け取ることができる。ある実施形態では、コントローラはデータ管理ユニットと一体化されてもよく、または共通のハードウェアによって実現されてもよい。コントローラは、例えば、プロセス動作計画に従って動作を行うための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラマブル・ロジック・コントローラとして実現されてもよい。コントローラは、例えば、以下の動作の任意の1つまたは複数の動作を制御するように設定されてもよい。すなわち、キュベットおよび/またはピペットチップの装填および/または廃棄および/または洗浄、サンプル管および試薬カセットの移動および/または開封、サンプルおよび/または試薬のピペット操作、サンプルおよび/または試薬の混合、ピペット針またはチップの洗浄、撹拌器の洗浄、光源の制御、例えば波長の選択、などである。具体的には、コントローラは、所定のサイクル時間内に一連のステップを実行するために、スケジューラを含んでもよい。コントローラは、アッセイの種類、緊急性などに応じて、処理されるサンプルの順序をさらに決定してもよい。
【0038】
本明細書で使用される「通信ネットワーク」という用語は、WIFI、GSM(登録商標)、UNTSまたはその他の無線デジタルネットワークなどの任意の種類の無線ネットワーク、または、Ethernetなどの有線ネットワークを含む。具体的には、通信ネットワークはインターネットプロトコル(IP)を実装することができる。例えば、通信ネットワークは有線ネットワークと無線ネットワークの組合せを含む。
【0039】
特に明記されていない限り、本明細書で使用される「約」、「実質的に」および「ほぼ」という用語は、示されている値の+/-10%のずれを指すことがある。2つの値が「実質的に」または「ほぼ」等しい場合、これはそれらの値が(小さい方の値から判定して)最大で10%異なることを意味することがある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本開示による、生体サンプルの自動分析器システムを示す概略図である。
図2】本開示による、例示のワークフローを示す流れ図である。
図3】本開示による、別の例示の確認検査手順を示す流れ図である。
図4】本開示による、例示のスクリーニング検査または診断検査と確認検査手順との例示の組合せを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本開示による検体の存在に関する生体サンプルの分類方法およびシステムについてより詳細に説明する。まず、例示の自動分析器システムについて、図1に関連して説明する。その後、確認検査、または診断検査またはスクリーニング検査と確認検査との組合せを含み得る、本開示による自動分析器システムによって実行可能なワークフローの態様について、図2から図4に関連して説明する。
自動分析器システム
図1に、本開示による例示の自動分析器システム1を示す。
【0042】
オペレータ3が、ユーザインターフェース4を使用して自動分析器システム1を監視し、制御することができる。図1の実施例では、ユーザインターフェース4は自動分析器システム1のモニタである。しかし、ユーザインターフェースは、自動分析器システム1の状態に関する情報を出力するのに適し、ユーザが自動分析器システムに入力することができるようにするための、任意のその他の装置とすることができる。例えば、モバイル装置または遠隔装置(例えばラップトップまたはスマートフォン)上にユーザインターフェースを設けることができる。これに加えて、またはこれに代えて、ユーザインターフェースは、必ずしもディスプレイ上のグラフィカルユーザインターフェースとは限らず、他の手段によって提供されてもよい(例えばオペレータ3が音声コマンドまたはジェスチャーコマンドによって命令を入力することができる)。
【0043】
さらに、自動分析器システム1は、本開示による自動サンプル処理ステップを実行するように構成されたサンプル処理システム2を含む。一実施例では、サンプル処理システム2は、サンプルのアリコートの採取、希釈剤および試薬の添加、およびその他のサンプル前処理操作作業のための、1つまたは複数の分注ユニット(例えば、図1に示されていないピペットユニット)を備えることができる。
【0044】
また、サンプル処理システム2は、サンプルのパラメータを感知するための測定ユニット(例えば、光度計またはその他の光学測定ユニット)を含むことができる。これに加えて、またはこれに代えて、自動分析器システムは、上記の「発明の概要」の項で説明した構成要素のいずれでも含むことができる。
【0045】
一実施例では、自動分析器システム1は、サンプル処理システム2を使用して生体サンプルに対して確認検査とスクリーニング検査または診断検査とを実行するように構成される。これらの検査の結果に基づいて、生体サンプルを(例えば「反応性」か「非反応性」かに)分類することができる。本開示による自動分析器システム1の構成要素の説明を続ける前に、スクリーニング検査または診断検査に関する背景情報を以下に示す。
【0046】
上述のように、自動分析器システムは、特定の検体の(または複数の検体の)存在および/または濃度を検出するために、生体サンプルに対して体外検査を実行することができる。
【0047】
いくつかの実施例では、生体サンプル中の検体の存在を判定するための検査は、物理的または化学的に測定可能なパラメータ(例えば、吸収シグナルまたは放出シグナル)の取得された値を提供する。これらの診断検査またはスクリーニング検査は、ある尺度で測定される連続的な結果を有し得る。測定値が「正常」(または、「陰性」または「非反応性」)として分類されるか「病的」(「陽性」または「反応性」)として分類されるかを決定するために、病的範囲または異常範囲から正常範囲を区別する基準を定義することができる。
【0048】
いくつかの実施例では(特に感染症の分野では)、このような基準は閾値を含むことができる。測定パラメータが閾値を下回る範囲の場合、サンプルは非反応性または陰性とみなされる。測定パラメータが閾値を上回る場合、サンプルは反応性または陽性とみなされる。このような閾値の一例は、陽性値と陰性値とを区別するために検査手順のために設定される測定尺度上の分岐点である、いわゆる「カットオフ」である
前記閾値は、擬陽性結果と擬陰性結果とが回避されるように、検査が所定の高感度(高い真陽性率)を維持すると同時に所定の高い特異度(高い真陰性率)も保証するように選定することができる。検査設計によっては、擬陽性結果を回避するために、カットオフ値を背景シグナルの倍数として、または正常(陰性)サンプルの結果の倍数として定義することができる。ある実施例では、検査の結果は、サンプルについて取得された結果シグナルを所定のカットオフ値で割った、シグナルサンプル/カットオフ比とすることができる、「カットオフ指標」(COI)の形態で提供される。
【0049】
具体的には、感染症診断では、カットオフと算出COIとは、アッセイの高い感度と高い特異度とが達成されるように、すなわち、理想的にはすべての陽性反応が検出されなければならず、それらの陽性反応の中に擬陽性があってはならず、または少なくとも可能な限り擬陽性が少なくなるように選定することができる。多くの場合、大部分の高度に制御された感染症検査の感度および特異度は、少なくとも98%(例えば98%から99.95%の範囲)である。
【0050】
図1に戻ると、自動分析器システム1は、自動分析器システムによって実行される確認検査のための2つ以上のワークフロー5をユーザインターフェース4上に提示し、ワークフロー5のうちの実行される1つワークフローの選択を、ユーザインターフェース4を介して受け取るように構成することができる。自動分析器システムは、確認検査の選択されたワークフローを自動的に実行するように構成される。ワークフローは、自動分析器システム上に記憶されるか、または適合する方式で(例えば、ソフトウェア、ハードウェアまたは両方の組合せとして)自動分析器システムによって受け取られてもよい。一実施例では、ワークフローは、分析器システムの工場設定の一部として定義される。他の実施例では、ワークフローは、現場への分析器システムの配備後に通信ネットワークを介して分析器システムに提供することができる。
【0051】
このプロセスおよびワークフローの構造に関する他の態様については(特に図2に関連して)、以下で示す。
他の実施例では、自動分析器システムは、確認検査のためにワークフローを自動的に選択するように構成することができる(すなわち、オペレータは実行すべきワークフローを選択する必要がない)。これらの実施例に関する詳細についても(特に図3に関連して)以下で説明する。
ユーザ選択ワークフローによる確認検査
図2に、本開示による確認検査(本実施例におけるHBV確認検査)のための例示のワークフローの流れ図を示す。このワークフローは、自動分析器システムによって自動的に実行することができる。
【0052】
図2の実施例では、HBVスクリーニングまたは診断検査が、特定の生体サンプルについて陽性(反応性)結果を出している可能性がある。この結果を確認するために確認検査が指令される。
【0053】
本開示の自動分析システムでは、確認検査を行うために自動分析システムによって提示された複数のワークフローからオペレータが1つのワークフローを選択することができる。一実施例では、図1に示すように、自動分析器システムのユーザインターフェースが、複数のワークフローのうちの(1つまたは複数の)選択されたもの、または複数のワークフローのすべてを提示することができる(例えば、ユーザインターフェース上にそれぞれのグラフィカル表現を提示する)。この選択は、自動分析器システムで受け取られ、その後、自動分析器システムは、自動分析器システムにサンプル処理システムを使用して選択されたワークフローを自動的に実行するように促す。
【0054】
図2に示すように、複数のワークフローのそれぞれが、自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義する。各ワークフローは、生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられる。図2では、ワークフローは、「低COI」範囲(例えば、生体サンプルについて定義されたCOIが所定の(第1の)閾値以下である)に割り当てられる。自動分析器システムによって提供される複数のワークフローの他のワークフローは他のCOI範囲に割り当てられてもよい。
【0055】
一実施例では、第2のワークフローが、高COI範囲(例えば、生体サンプルについて判定されたCOIが所定の(第2の)閾値を超える)に割り当てられることができる。さらに、1つまたは複数の第3のワークフローがCOIの中間範囲(例えば、生体サンプルについて判定されたCOIが第1の閾値を超え、第2の閾値以下である)に割り当てられることができる。
【0056】
上述のように、COIは生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を示す考えられる1つの測定パラメータに過ぎない。以下の実施例においてはCOIをパラメータとして使用するが、本開示の技術は、生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を示す他のパラメータとも使用可能である。例えば、検体の存在および/または濃度は、濃度単位(例えばmol/Lまたはmg/L)またはパーセンテージでも表すことができる。
【0057】
図2の実施例では、自動分析器システムによって、確認検査のための1組のワークフローが提供される。他の実施例では、1つまたは複数のパラメータによってパラメータ化された単一のワークフローによって複数のワークフローが定義され得る。このような実施例では、複数のワークフローのうちの1つを選択することは、1つまたは複数のパラメータを指定することを含む。例えば、いくつかの実施例では、オペレータが生体サンプルのCOIを指定することによってワークフローを選択することができる。例えば、生体サンプルについて判定されたCOIが7.5であるとすると、オペレータはこの値を自動分析器システムに入力することができる。
【0058】
図2に戻ると、(101で)自動分析器システムはワークフローの選択を受け取ることができる。103および104で、自動分析器は、検討中の生体サンプルから少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを自動的に調製する。第1のサンプルアリコートは確認アリコートであり、第2のサンプルアリコートは対照アリコートである。自動分析器システムはすべての必要なステップを自動で行うことができる。
測定前のサンプル処理
サンプルアリコートの調製は、確認アリコートと対照アリコートを、それぞれのワークフローで定義されている特定の希釈度に希釈することを含み得る。上述のように、各ワークフローは、それぞれのワークフローが選択された場合に自動分析器システムが使用する所定の希釈度を定義する。複数のワークフローは、希釈がない(すなわち、希釈度がゼロである)1つまたは複数のワークフローも含むことができる。ただし、1つまたは複数のワークフローが、常に非ゼロの希釈度を定義する。
【0059】
特定の実施形態では、希釈ステップは、サンプルに希釈剤(例えば緩衝剤、正常血清)およびその他の物質(例えば、化学物質、抗体、抗原、抗干渉化合物、防腐剤など)の添加を含み得る。
【0060】
また、希釈ステップは、検体の判定の前に前処理手順の1つまたは複数のステップ(例えば、対象検体を解放するために必要な、サンプルアリコートに界面活性剤を添加するステップ)を含むことができる。
【0061】
いくつかの実施例では、それぞれのワークフローが割り当てられている、検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータのそれぞれの値または値の範囲(例えば、ワークフローが割り当てられているCOI値またはCOI値の範囲)に基づいて、特定の希釈度が定義される。例えば、特定の希釈度は、(例えばより低いCOI範囲のための)少なくとも1つのより低い希釈度と、(例えば中間COI範囲のための)1つの中間希釈度と、(例えばより高いCOI範囲のための)1つのより高い希釈度とを含む。
【0062】
特定の一実施例では、3つのワークフローが存在し得る。すなわち、7.0未満のCOIのための第1のワークフローと、7.0以上、30未満のCOIのための第2のワークフローと、30以上のCOIのための第3のワークフローである。この実施例では、30未満のCOIのためのワークフローは、希釈度ゼロを定義してよく、30以上のCOIのためのワークフローは非ゼロの希釈度を定義してもよい。
【0063】
対照アリコートと確認アリコートの調製は、1つまたは複数の追加のステップを含み得る。
例えば、確認サンプルの調製は、確認アリコートを調製するために第1のサンプルアリコートに中和剤を添加することを含み得る。中和剤は、前記検体の存在を判定するために薬剤の効果を低減するように選択することができる。一実施例では、中和剤は、検体と結合するが測定可能なシグナルを生成することができないように選択される、標識されていない抗体を含み得る。例えば、いくつかの実施例では、所定量の(標識されていない)抗HBs抗体を有するヒト血清を採用することができる。
【0064】
サンプルアリコートの調製は、対照アリコートを調製するために第2のサンプルアリコートに対照薬剤を添加することを含み得る。一実施例では、対照薬剤は、対照アリコートの特性を実質的に変化させない物質とすることができる。対照薬剤は、緩衝液とすることができる。例えば、対照薬剤は、抗HBs抗体およびB型肝炎表面抗原(検体自体)について検査で陰性と出たヒト血清とすることができる。
【0065】
他の実施例では、対照アリコートに対照薬剤を必要としない場合がある。例えば、自動分析器システムは、補正アルゴリズムにより、対照アリコートと確認アリコートとの差(例えば、希釈および/または量の差)を補正するように構成することができる。
【0066】
対照アリコートと確認アリコートを調製するための上述のステップの順序は、ある程度柔軟性がある。例えば、希釈ステップをアリコート分取ステップの前に行うことができ、または希釈ステップをアリコート分取ステップの後に行うこともできる。多くの実施例では、アリコートは分釈ステップの前に分取される。
【0067】
上記に加えて、または上記に代えて、対照アリコートと確認アリコートの調製は、上述のステップに加えてアリコート分取動作の前および/または後に、上述のステップに加えて追加のステップ(例えば、インキュベーションステップまたは追加の試薬を添加するステップ)も含むことができる。
【0068】
いくつかの実施例では、確認アリコートの調製と対照アリコートの調製は並行して行うことができる。他の実施例では、自動分析器はアリコートを順次に調製する。
確認アリコートおよび対照アリコートの一般的測定プロセス
追加のステップ(図2には示さず)で、自動分析器システムは前記検体の存在を特異的に判定するための1つまたは複数の薬剤を所定量、確認アリコートおよび対照アリコートに添加する。一実施例では、自動分析器システムは、それぞれのアリコート中の検体に結合するように構成された1種類または複数種類の標識されたアリコートを添加する。
【0069】
対照アリコートと確認アリコートとが調製され、前記検体の存在を特異的に判定するための1つまたは複数の薬剤が添加された後、自動分析器は、確認アリコート中および対照アリコート中の検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定する(105)。いくつかの実施例では、このパラメータはCOIである。他の実施例では、調製および判定動作の順序も異なっていてもよい(特定のサンプルについてのそれぞれのサンプル調製ステップは、当然ながら当該サンプルのパラメータを判定する前に完了する必要がある)。
【0070】
一実施例では、前記検体の存在を特異的に判定するために1つまたは複数の薬剤を所定量、確認アリコートおよび対照アリコートに添加するステップと判定ステップとは、以下の手順を含んでもよい。
肝炎表面抗原(HBsAg)を検体として含むサンプルのCOI判定
この手順は、(上述のように調製可能な)確認アリコートと対照アリコートとを受け取ることから開始する。
【0071】
この例示の手順の検体は肝炎表面抗原(HBsAg)であり、したがって、判定ステップはHBsAgアッセイを自動的に実行することを含む。アッセイは、以下のように、2回のインキュベーションを含むサンドイッチ形式に基づくことができる。このプロセスの過程で、検体はビオチン化抗HBs抗体とシグナル生成成分(例えば、ルテニウム複合体:トリス(2,2’-ビピリジル)ルテニウム(II)-複合体(Ru(bpy)32+)で標識された抗HBs抗体(すなわち、検体の存在を特異的に判定するための薬剤)との間に結合される。確認アリコート用の中和剤は、標識された抗体と競合する標識されていない抗体を含む。対照アリコート用の対照薬剤は、抗HBs抗体およびHBsAgについて検査で陰性と出たヒト血清、または緩衝液とすることができる。したがって、(生体サンプルが肝炎表面抗原(HBsAg)について陽性の場合)確認アリコート中では、対照サンプル中よりも少数の、標識を含むサンドイッチ複合体が形成さることになる。
【0072】
このプロセスは、上述の抗HBs抗体を使用して調製された、ある量(例えば50μL)のヒト血清または血漿サンプルの第1のインキュベーションステップを含む。このインキュベーションステップは、対照アリコート中の検体HBsAgとのサンドイッチ免疫複合体と、確認アリコート中のより少量のサンドイッチ免疫複合体(この場合、生体サンプル中にHBsAgが存在する)とを形成する。第2のインキュベーションステップでは、分析器がストレプトアビジン被覆微小粒子を添加し、ビオチンとストレプトアビジンとの相互作用により複合体が固相と結合する。
【0073】
このようにして調製された反応混合物が、サンプル処理システムの測定セル内に吸引され、そこで微小粒子が電極の表面に磁気捕捉される。次に、適切な試薬(例えば緩衝トリプロピルアミン液)を添加することによって非結合物質が除去される。
【0074】
検体が存在する状態では、ルテニウム複合体が固相に架橋し、自動分析器のサンプル処理システムの測定セルに含まれるプラチナ電極で励起後、620nmで発光する。発光複合体に多量のHBsAgが混和されていないため、確認アリコートは光の発光量がより少ない。シグナル出力は任意の光単位とすることができる。分析器のコントローラが、サンプルの反応生成物から得られた電気化学発光シグナルを、キャリブレーションによって予め得られたカットオフ値のシグナルと比較することによって、ソフトウェアにより自動的に結果を判定する。対照アリコートと確認アリコートのカットオフ指標(COI)を(上述のように)判定することができる。
【0075】
図2に戻ると、自動分析器が確認アリコート中および対照アリコート中の検体の存在および/または濃度を示すパラメータ(例えば、両方のサンプルのCOI)を判定した後、分析器は、確認アリコート中と対照アリコート中の検体の判定されたパラメータの関係を判定する(106)。一実施例では、このステップは、確認アリコート中と対照アリコート中の検体の判定されたパラメータ(例えば、COI値)の比を計算することを含む。図2の実施例では、この比は「確認アリコートのCOI」を「対照アリコートのCOI」で割った値として計算される。
【0076】
他の実施例では、この関係は異なる方式で判定されてもよい。例えば、比が逆にされるか、または比の代わりに別の関係が使用されてもよい(例えば、対照アリコートと確認アリコートの判定されたパラメータの減算であってもよい)。さらに、関係の判定は、自動分析器システムのサンプル処理システムの検出ユニットによって測定されたシグナルの1つまたは複数の前処理ステップまたは後処理ステップを含むことができる。
【0077】
関係が判定された後、自動分析器システムは、判定された関係に基づいて、生体サンプルを検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つに自動的に分類する。
図2では、自動分析器はサンプルを2つのクラスのうちの一方に分類する。すなわち、第1のクラスは、生体サンプルが反応性である(例えば、初回診断検査またはスクリーニング検査の結果が確定される)ことを示す。第2のクラスは、生体サンプルが反応性でない(例えば、初回診断検査またはスクリーニング検査の結果が確定されない)ことを示す。
【0078】
図2の実施例では、自動分類は、COIの比が所定の閾値以下であるかまたは上回るかを判定することを含む。前者(COIが前記閾値以下)の場合、自動分析器システムは生体サンプルを反応性として分類する(ステップ107)。後者(COIが前記閾値を上回る)の場合、自動分析器は生体サンプルを非反応性として分類する(ステップ108)。より低いCOI比は、中和剤の添加がシグナル強度に実質的な作用を及ぼしているため、生体サンプルが実際に目的検体を含むことを示している可能性がある。より高いCOI比は、中和剤の添加が実質的な作用を及ぼさず、それにより、生体サンプルは目的検体を含まない可能性があることを示している可能性がある。一実施例では、閾値比は0.5と0.7の間(例えば約0.6)であってもよい。
【0079】
他の実施例では分類の基準が異なっていてもよい。そのような場合、それぞれの閾値は、確認アリコート中と対照アリコート中の検体の存在および/または濃度を示すパラメータの関係の判定方式によって左右されることがある。例えば、比が図2のワークフローとは逆の方式で判定される場合、比が所定の閾値を超えると、サンプルは確定されたと分類されてもよい。関係を判定するためにパラメータ(例えばCOI)が減算される場合、約0の値が確定サンプルと非確定サンプルの間の閾値であってもよい。
【0080】
図2では、生体サンプルを分類するためにCOIの比のみが使用される。他の実施例では、比(または確認アリコート中と対照アリコート中との検体のパラメータ間の任意のその他の関係)以外に追加の情報を使用することができる。一実施例では、生体サンプルを分類するために、確認アリコート中および/または対照アリコート中の検体の存在および/または濃度を示す判定されたパラメータ自体(例えばCOI値)を使用することができる。例えば、自動分析器は、対照アリコートのCOI(または任意のその他の適合するパラメータ)が所定の閾値を下回るかまたは上回るかを判定することができる。
【0081】
上記に加えて、または上記に代えて、自動分析器システムは生体サンプルを3つ以上のクラス(例えば、3クラス、4クラス、または4クラスより多いクラス)に分類することができる。
【0082】
例えば、自動分析器システムは、生体サンプルの検査結果が無効であることを示す第3のクラスと、検査結果が第1のクラスと第2のクラスのうちの一方に分類することができない(例えば不確定)であることを示す第4のクラスの一方または両方をさらに採用することができる。
【0083】
一実施例では、自動分析器は、i)確認アリコート中と対照アリコート中の検体の存在および/または濃度を示すパラメータ間の比が第1の閾値以下であるかまたは第1の閾値を上回るか、および、ii)対照アリコートおよび/または確認アリコートのパラメータ自体(例えばCOI)が第2の閾値以下であるかまたは第2の閾値を上回るかを判定する。
【0084】
比が第1の閾値以下で対照アリコートのパラメータが第2の閾値以上である場合、生体サンプルは反応性として分類することができる。
比が第1の閾値以下で対照アリコートのパラメータが第2の閾値を下回る場合、生体サンプルは不確定として分類することができる。
【0085】
比が第1の閾値を上回り、対照アリコートのパラメータが第2の閾値以上である場合、生体サンプルは非反応性として分類することができる。
比が第1の閾値を上回り、対照アリコートのパラメータが第2の閾値を下回る場合、生体サンプルは無効として分類することができる。
【0086】
一実施例では、自動分析器システムは生体サンプルを以下のように分類することができる。
「確認/対照」比x>60%、かつ、対照アリコートのCOI≧0.81の場合→陰性(非反応性)、
「確認/対照」比x>60%、かつ、対照試薬のCOI<0.81の場合→無効、
「確認/対照」比x≦60%、かつ、対照試薬のCOI≧0.81の場合→陽性(反応性)、
「確認/対照」比x≦60%、かつ、対照試薬のCOI<0.81の場合→不確定。
【0087】
上述の変形および代替態様の外に、確認検査を自動的に行う技術は以下の特徴の1つまたは複数も含むことができる。
図2の実施例では、1つの対照アリコートと1つの確認アリコートが調製される。他の実施例では、ワークフローが複数の対照アリコートおよび/または複数の確認アリコートを調製することを含み得る。
【0088】
上記に加えて、または上記に代えて、自動分析器システムは、検査の妥当性を確実にするために、1つまたは複数の追加検査を実行するように構成することができる。一実施例では、上述の確認アリコートと対照アリコートに対する検査と並行して、陽性対照検査を実行することができる。
【0089】
また、図1に示し、上述したように、いくつかの実施例ではオペレータが複数のワークフローから選択することができる。この結果として、オペレータがそれぞれの生体サンプルに完全には適合しないワークフローを選択することになる可能性がある。
【0090】
一実施例では、自動分析器システムのコントローラは、ユーザインターフェースを介して受け取ったワークフローの1つのワークフローの選択が1つまたは複数の基準を満たすか否かを確認するように構成することができる。一実施例では、1つまたは複数の基準は、選択されたワークフローの生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの割り当てられた値または値の範囲が、生体サンプルで測定された検体の存在および/また濃度を示すパラメータと合致しているか否かとすることができる。さらに、コントローラは、ユーザインターフェースを介して受け取った選択ワークフローが1つまたは複数の基準を満たさない場合に、警告またはエラーメッセージを出力するように構成することができる。これに加えて、またはこれに代えて、コントローラは、ユーザインターフェースを介して受け取った選択ワークフローが1つまたは複数の基準を満たさない場合、選択ワークフローのステップが実行されないようにするように構成することができる。
【0091】
一実施例では、基準は、生体サンプルのCOIが、選択ワークフローが割り当てられているCOIの範囲と合致しているか否かとすることができる。合致していない場合、警告メッセージ(例えば、「確認無効」「サンプルタイターが高過ぎる」、「サンプルタイターが低過ぎる」)をユーザに出力することができる。
【0092】
要約すると、自動分析器は、サンプルの誤った希釈、ピペット操作誤りなどの結果を招く可能性のある、従来は手作業で実行されていた潜在的に誤りを生じやすいステップを自動的に実行する。また、従来はオペレータによって行われていたサンプルの分類(および場合によってはその他のステップ)が自動化される。これにより、プロセス中に発生する誤りの件数を減らすことができるとともに、所要オペレータ時間が低減される可能性がある。
【0093】
また、この検査は、従来の検査よりも生体サンプルの消費量が少なくて済む。検査を行うのに必要なサンプルの総量は、検査で消費される量よりも若干多くなる場合がある(例えば、検査で使用することができないある程度のデッドボリュームがある場合がある)。サンプル消費量が少なくなる結果として、状況によっては試薬およびサンプルの量の低減が可能になる。
【0094】
いくつかの実施例では、確認検査における生体サンプルの消費量(すなわち、確認検査で使用される量)は、120μL未満、任意により、50μL未満とすることができる。
一実施形態では、120μL未満または50μL未満の消費量はそれぞれ、第1および第2のサンプルアリコート中に含まれる合計生体サンプル量に関連する。カットオフ指標<7.0を有する陽性サンプルの場合、状況によっては100μL未満で十分な場合があり、カットオフ指標≧7.0を有する陽性サンプルの場合、40μL未満で十分な場合がある。
自動ワークフロー選択による確認検査
上述の実施例では、オペレータが複数のワークフローのうちの1つを選択する。以下、図3に関連して、実行するワークフローを自動分析器システムが自動的に選択する本開示の技術の変形について説明する。
【0095】
図からわかるように、図3の技術は自動分析器によって実行されるワークフローを選択することを含む。図3の実施例では、自動分析器システムによって、異なる希釈度(「低」、「中」、および「高」)を使用する3つのワークフローが提供される。ワークフローは、上記で図2に関連して説明したワークフローと同じである。具体的には、ワークフローは、上述のように、自動的に実行される、確認アリコートと対照アリコートの調整ステップ103a~103c、104a~104cと、測定ステップ105と、関係の判定ステップ106と、分類ステップ107、108とを含む。したがって、図2に関連してこれらのステップについて説明したすべての態様を、実行するワークフローを自動分析器システムが自動的に選択する技術でも採用することができる。
【0096】
したがって、図3の説明は、実行するワークフローを自動分析器システムが自動的に選択する方法の、追加および/または異なる態様に焦点を合わせる。
図からわかるように、このプロセスは、自動分析器システムにおいて既知の反応性サンプルの確認測定の指令を受け取ることから開始することができる(ステップ109)。
【0097】
次に、自動分析器が、(110で)検体の存在および/または濃度を判定するために、サンプル処理システムを使用して生体サンプルに対して初回検査を実行する。この検査は、上述のようなHBsAgアッセイ、または生体サンプルの任意のその他の適合する検査とすることができる。
【0098】
図3の実施例では、初回検査で生体サンプルのCOI値が出る。他の実施例では、検体の存在および/または濃度を示す他の定量パラメータまたは定性パラメータが得られる。
他の実施例では、(例えば事前に行った検査で)すでに判定済みのサンプル中の検体の存在および/または濃度を示すパラメータ(例えばCOI)を使用することができる。この場合、ステップ110における初回検査は不要であり、自動分析器は、以下で説明する各ステップで、すでに取得されているサンプル中の検体の存在および/または濃度を示すパラメータを使用することができる。初回検査の結果(または、すでに判定されている存在および/または濃度を示すパラメータの値)に応じて、自動分析器は以下の動作のうちの1つまたは複数の動作を実行する。
【0099】
一実施例では、自動分析器システムは、初回検査が生体サンプル中の検体の存在および/またはある程度の濃度を示す場合にのみ、確認検査の実行を開始することができる。図3の実施例では、自動分析器は、初回検査で第1の閾値を上回るCOI(COI>A)が出た場合にのみ、確認検査を開始する。COIが第1の閾値以下(COI≦A)の場合、(111で)自動分析器システムは生体サンプルを非反応性として分類する。自動分析器システムは、対応するメッセージ(例えば、「非反応性:確認検査実施せず、不十分な検体」)をユーザインターフェース上に出力することができる。
【0100】
上記に加えて、または上記に代えて、自動分析器システムは、分析する生体サンプルを、生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータに基づいて複数のクラスの1つに分類することができる。複数のクラスは、測定パラメータが所定の第2の閾値未満の範囲である場合の状況のための第1のクラスと、測定パラメータが所定の第3の閾値を上回る範囲である場合の状況のための第2のクラスとを少なくとも含むことができる(第2の閾値と第3の閾値は異なる値を有し得る)。
【0101】
図3の実施例では、自動分析器システムは、判定されたCOI値に応じて生体サンプルを3つのクラスに分類する。すなわち、COIが第1の閾値と第2の閾値の間の場合は第1のクラス(A≦COI<B-「低COI」クラス)、COIが第2の閾値と第3の閾値の間の場合は第2のクラス(B≦COI<C-「中COI」クラス)、およびCOIが第3の閾値以上の場合は第3のクラス(C≧COI-「高COI」クラス)である。
【0102】
他の実施例では、自動分析器は、より少ないクラス(例えば2クラス)またはより多くのクラス(例えば4クラス以上)を含んでもよい。
判定されたクラスに基づいて、自動分析器システムは、複数のワークフローのうちから実行する1つのワークフローを自動的に選択する。次に、自動分析器システムは、上述のように、選択されたワークフローの実行に進むことができる。
【0103】
さらに、自動分析器は、選択されたワークフローを(例えば自動分析器システムのユーザインターフェース上で)ユーザに提示し、選択されたワークフローを実行すべきであるという確定をユーザから受け取るように、さらに構成することができる。他の実施例では、全プロセスがユーザの確定なしで実行される。
【0104】
ワークフローの選択プロセスの自動化は、いくつかの実施例では、オペレータにとっての知的負担をさらに軽減することができるとともに、誤り率を低下させることができる。
組合せ診断/スクリーニング検査および確認検査
図2および図3に関連して上述した実施例では、生体サンプルに対して行うことができる確認検査の異なる態様について説明した。この場合、事前の診断またはスクリーニングが生体サンプルについて陽性結果を出している場合がある。ある他の実施例では、本開示の技術は初回診断検査またはスクリーニング検査を実行することを含み得る。これも自動的に実行可能である。これについて図4に関連して以下に説明する。
【0105】
図からわかるように、図4の例示の流れ図は、右側に図3の自動確認検査手順を含む。さらに、図4の技術は、生体サンプルが陽性または反応性であるかを判定するためのスクリーニング検査または診断検査を自動的に実行することを含む(これらのステップは図4の左側に示されている)。
【0106】
自動分析器システムは、確認検査を自動的に指令することができる。この確認検査は、この点について本明細書で説明している態様のいずれでも含むことができる(例えば、オペレータ選択ワークフローまたは自動分析器システムによって自動的に選択されたワークフローを使用することを含んでもよい)。
【0107】
一実施例では、スクリーニング検査または診断検査は、生体サンプルのスクリーニングアリコートに対する第1の検査と、生体サンプルの1つまたは複数の他のアリコートに対する二重検査とを含む(二重検査は生体サンプルの2つ以上のアリコートに対する2つ以上の検査を含むことができる)。第1の検査と二重検査とが、生体サンプルが反応性であるという結果を出した場合のみ、確認検査が指令される。他の実施例では、異なる数の検査を使用することができ、および/または、異なる状況で確認検査を指令することができる。
【0108】
図4の例示のスクリーニング検査または診断検査では、112で、初回測定が行われる(例えば、生体サンプルのCOIを判定する)。一実施例では、自動HBsAgアッセイ(例えば図2に関連して上述したアッセイ)を採用することができる。
【0109】
初回測定の結果に応じて、生体サンプルが陽性または陰性に分類される113。例えば、これは上述のように生体サンプルのCOIに基づいて行うことができる。
初回が境界域または陽性結果の場合、測定が繰り返される。一実施例では、測定が2回繰り返される(ステップ115)。初回測定に使用されたアッセイを再び使用することができる。この動作は、(ユーザ確定あり、またはユーザ確定なしで)自動分析器システムによって自動的にトリガされ得る。
【0110】
繰り返し測定の後に、もう1つの分類ステップ(116)を行うことができる。両方の二重繰り返し測定が陰性の場合、最終結果解釈は非反応性であるとみなされる(117)。この場合、追加の測定を行う必要はなく、スクリーニングプロセスを終了させる。
【0111】
繰り返し測定の一方または両方が境界域または陽性結果を示す場合、サンプルは反復反応性であるとみなされ、サンプルの自動確認検査の指令がトリガされる(109)。
一実施例では、自動分析器は、前の検査(例えば、初回測定112および/または二重測定115)で得られた結果に基づいて、複数のワークフローのうちの実行する1つのワークフローを選択することができる120。
【0112】
すべての結果を、自動分析器システムのユーザインターフェース上に出力することができる。
スクリーニングおよび診断検査と確認検査との完全自動組合せは、システムの効率をさらに向上させることができる。具体的には、スクリーニングまたは診断検査が陽性である場合に、確認検査が直に指令され、開始可能であるため、結果取得に要する時間を短縮することができる。
その他の態様
上記の詳細な説明では、検体の存在に関する生体サンプルの分類システムおよび方法の複数の実施例について説明した。しかし、検体の存在に関して生体サンプルを分類するためのシステムおよび方法は、以下の態様に記載するようにも構成可能である。
1.生体サンプルの自動分析器システムであって、
サンプル処理システムと、
生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフローのうちの1つのワークフローの選択を受け取り、
前記自動分析器システムに、前記サンプル処理システムを使用して、選択された前記ワークフローを自動的に実行するように促し、
前記生体サンプルを分類する結果を出力する
ように構成されたコントローラと、を含み、
前記複数のワークフローのそれぞれが前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられ、前記自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義し、前記複数のステップは、
第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のサンプルアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調製するステップと、
前記検体の存在を特異的に判定するための所定量の1つまたは複数の薬剤を前記確認アリコートと前記対照アリコートとに添加するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの関係を判定するステップと、
判定された前記関係に基づいて、前記生体サンプルを前記検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つに分類するステップと、を含む、自動分析器システム。
2.前記自動分析器システムはユーザインターフェースをさらに含み、前記自動分析器システムは、ユーザが前記ユーザインターフェースを介して、実行されるワークフローの前記ステップのうちの1つまたは複数のステップの自動実行を確定または却下することができるように構成されている、態様1に記載の自動分析器システム。
3.前記複数のワークフローは、1つまたは複数のワークフロー、一実施形態では2つ以上のワークフロー、一実施形態では3つ以上のワークフローを含む、態様1または態様2に記載の自動分析器システム。
4.前記複数のワークフローは、1つまたは複数のパラメータによってパラメータ化された単一のワークフローによって定義され、前記複数のワークフローのうちの1つのワークフローを選択することは前記1つまたは複数のパラメータを指定することを含む、態様1から3のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
5.前記1つまたは複数のパラメータの1つが、前記少なくとも第1および第2のサンプルアリコートの異なる希釈度である、態様4に記載の自動分析器システム。
6.ユーザインターフェースをさらに含み、
前記コントローラは、
前記ワークフローのうちの実行される1つまたは複数のワークフローを前記ユーザインターフェース上に提示し、
前記ワークフローのうちの実行される前記1つのワークフローの前記選択を、前記ユーザインターフェースを介して受け取るようにさらに構成された、態様1から5のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
7.前記コントローラは、前記ユーザインターフェースを介して受け取った前記ワークフローのうちの前記1つのワークフローの前記選択が1つまたは複数の基準を満たすか否かを確認するようにさらに構成された、態様6に記載の自動分析器システム。
8.前記コントローラは、前記ユーザインターフェースを介して受け取った選択された前記ワークフローが前記1つまたは複数の基準を満たさない場合に、警告またはエラーメッセージを出力するように構成された、態様7に記載の自動分析器システム。
9.前記コントローラは、前記ユーザインターフェースを介して受け取った選択された前記ワークフローが前記1つまたは複数の基準を満たさない場合に、選択された前記ワークフローの前記ステップが実行されないようにするように構成された、態様7または8に記載の自動分析器システム。
10.ユーザインターフェースをさらに含み、
前記コントローラは、
前記ワークフローのうちの実行される1つのワークフローを前記ユーザインターフェース上に提示し、
前記ワークフローのうちの前記1つのワークフローが実行されることの確定を前記ユーザインターフェース介して受け取るようにさらに構成された、態様1から5のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
11.前記コントローラは、前記ユーザインターフェースに提示される前記1つまたは複数のワークフローを自動的に選択するように構成された、態様6から10のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
12.前記コントローラは、前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータに基づいて、前記ユーザインターフェース上に提示される前記1つまたは複数のワークフローを自動的に選択するように構成された、態様11に記載の自動分析器システム。
13.前記コントローラは、
前記複数のワークフローのうちの前記自動分析器システムによって実行される前記1つのワークフローを自動的に選択するようにさらに構成された、態様1から5のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
14.前記コントローラは、
前記生体サンプルにおいて測定された前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを受け取り、
前記生体サンプル中の前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータに基づいて、分析される前記生体サンプルを複数のクラスのうちの1つに分類し、
前記複数のワークフローのうちの前記自動分析器システムによって実行される前記1つのワークフローを前期分類に基づいて自動的に選択するようにさらに構成された、態様13に記載の自動分析器システム。
15.前記コントローラは、
選択された前記ワークフローをユーザに提示し、
選択された前記ワークフローが実行されるべきであるとの確定を前記ユーザから受け取るようにさらに構成された、態様13または態様14に記載の自動分析器システム。
16.前記複数のクラスは、前記測定パラメータが所定の第1の閾値未満の範囲である場合の状況のための第1のクラスと、前記測定パラメータが所定の第2の閾値を上回る範囲である場合の状況のための第2のクラスとを少なくとも含む、態様14または態様15に記載の自動分析器システム。
17.前記第1の閾値と前記第2の閾値とが異なる値を有する、態様16に記載の自動分析器システム。
18.前記コントローラは、
前記サンプル処理システムを使用して、ワークフロー選択に使用された前記生体サンプル中の前記検体の存在および/または濃度を示す前記パラメータを測定するようにさらに構成された、態様1から17のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
19.前記コントローラは、
前記サンプル処理システムを使用して、前記生体サンプルに対する初回検査を実行して前記検体の存在を判定し、
前記初回検査が前記生体サンプル中の前記検体の存在を示す場合にのみ、態様1から18のいずれか一態様に定義されている前記動作の実行を開始するようにさらに構成された、態様1から態様18のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
20.前記コントローラは、前記初回検査が前記生体サンプル中の前記検体の存在を示す場合、態様1から18のいずれか一態様に定義されている前記動作の実行を自動的に開始するようにさらに構成された、態様19に記載の自動分析器システム。
21.前記コントローラは、前記初回検査が前記生体サンプル中の前記検体の存在を示す場合、ユーザ確定時に態様1から18のいずれか一態様に定義されている前記動作の実行を開始するようにさらに構成された、態様19に記載の自動分析器システム。
22.前記初回検査はスクリーニング検査または診断検査であり、態様1から18のいずれか一態様に定義されている前記動作は確認検査の一部である、態様19から21のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
23.前記初回検査は、
前記生体サンプルのスクリーニングアリコートに対する第1の検査と、
前記生体サンプルの1つまたは複数のさらなるアリコートに対する二重検査と、を含み、
態様1から18のいずれか一態様で定義されている前記動作は、前記第1の検査と前記二重検査とが前記生体サンプル中の前記検体の存在を示す場合にのみ開始される、態様19から22のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
24.前記二重検査は、前記生体サンプルの2つ以上のアリコートに対する2回以上の検査を含む、態様23に記載の自動分析器システム。
25.前記生体サンプル中の前記検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータは、カットオフ指標または濃度単位であり、各ワークフローがカットオフ指標または濃度単位の範囲に関連づけられている、態様1から24のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
26.前記検体は、肝炎感染を示し、任意により前記検体はB型肝炎抗原であり、任意によりB型肝炎表面抗原である、態様1から25のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
27.各ワークフローがカットオフ指標の範囲に関連づけられている、態様1から26のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
28.前記特定の希釈度は、前記それぞれのワークフローが割り当てられた検体の存在および/または濃度を示す前記測定パラメータの前記それぞれの値または値の範囲に基づいて定義される、態様1から27のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
29.前記複数のワークフローの前記特定の希釈度は、ゼロ以外の少なくとも1つの希釈度、任意により、ゼロ以外の2つ以上の希釈度を含む、態様28に記載の自動分析器システム。
30.前記少なくとも第1および第2のサンプルアリコートは、120μL未満の量、任意により50μL未満の量の前記生体サンプルを含有する、態様1から29のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
31.前記自動分析器システムは、前記検体の前記存在および/または濃度が判定されていない生体サンプルに対するスクリーニング検査または診断検査の一部として、態様1から30の方法のいずれか1つの方法によるステップを実行するように構成された、態様1から30のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
32.前記自動分析器システムは、初回スクリーニング検査または診断検査で前記検体の前記存在および/または濃度が検出された生体サンプルに対する確認プロセスの一部として、態様1から18または態様25から30に記載の方法のいずれか1つの方法による前記ステップを実行するように構成された、態様1から18または態様25から30のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
33.前記生体サンプルは、初回検査で前記検体の存在が検出されたサンプルである、態様1から18または態様25から31のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
34.前記検体の存在に関する前記生体サンプルの分類は、前記生体サンプルが、前記生体サンプルが反応性であることを示す第1のクラスと、前記生体サンプルが非反応性であることを示す第2のクラスとを少なくとも含む複数のクラスに含まれるか否かを判定することを含む、態様1から33のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
35.前記複数のクラスは、前記生体サンプルの前記検査結果が無効であることを示す第3のクラスと、前記検査結果が前記第1のクラスと前記第2のクラスのうちの一方に分類することができない(例えば不確定である)ことを示す第4のクラスとの一方または両方をさらに含む、態様34に記載の自動分析器システム。
36.前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの前記関係は、前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの比を含む、態様1から35のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
37.前記比が所定の閾値を超えるか下回る場合に、検査が前記生体サンプル中の前記検体の存在を示す、態様36に記載の自動分析器システム。
38.単一のユニットに一体化された前記サンプル処理システムと前記コントローラとを含む自動分析器を含む、態様1から37のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
39.前記サンプル処理システムを含む自動分析器を含み、
前記コントローラは、前記自動分析器から遠隔に配置されている、態様1から37のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
40.各ワークフローの前記複数のステップは、
前記確認アリコートを調製するために前記第1のサンプルアリコートに中和剤を添加するステップをさらに含む、態様1から39のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
41.各ワークフローの前記複数のステップは、
前記対照アリコートを調製するために前記第2のサンプルアリコートに対照薬剤を添加するステップをさらに含む、態様1から40のいずれか一態様に記載の自動分析器システム。
42.コンピュータ実装方法であって、
生体サンプル中の検体の存在および/または濃度を判定するための複数のワークフローのうちの1つのワークフローの選択を受け取るステップと、
自動分析器システムに、選択された前記ワークフローを、サンプル処理システムを使用して自動的に実行するように促すステップと、
前記生体サンプルを分類する結果を出力するステップと、を含み、
前記複数のワークフローのそれぞれが、前記検体の存在および/または濃度を示す測定パラメータの値または値の範囲に割り当てられ、前記自動分析器システムによって実行される複数のステップを定義し、前記複数のステップは、
第1のサンプルアリコートが確認アリコートであり、第2のサンプルアリコートが対照アリコートである、特定の希釈度を有する少なくとも第1および第2のサンプルアリコートを生体サンプルから調製するステップと、
前記検体の存在を特異的に判定するための所定量の1つまたは複数の薬剤を前記確認アリコートと前記対照アリコートとに添加するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の存在および/または濃度を示すパラメータを判定するステップと、
前記確認アリコート中と前記対照アリコート中との前記検体の判定された前記パラメータの関係を判定するステップと、
判定された前記関係に基づいて、前記生体サンプルを前記検体の存在に関する複数のクラスのうちの1つのクラスに分類するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
43.自動分析器システムのコントローラによって実行されると、前記自動分析器システムに態様42に記載の方法の前記ステップを実行するように促す命令を記憶したコンピュータ可読媒体。
コンピュータ実装形態
また、コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態の本発明による方法を実行するための、コンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムを開示し、提案する。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データ担体上に記憶可能である。したがって、具体的には、本明細書に開示される方法ステップの1つのステップ、複数のステップ、またはすべてのステップが、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行可能である。
【0113】
また、コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態の本発明による方法を実行するためにプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を開示し、提案する。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データ担体上に記憶可能である。
【0114】
また、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなど、コンピュータまたはコンピュータネットワークへのロード後、本明細書で開示されている実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態による方法を実行することができるデータ構造が記憶されたデータ担体を開示し、提案する。
【0115】
また、コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書で開示されている実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態による方法を実行するために、機械可読担体に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を開示し、提案する。本明細書で使用されるコンピュータプログラム製品とは、売買可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙形式またはコンピュータ可読データ上担体などの任意の形式で存在し得る。具体的には、コンピュータプログラム製品はデータネットワークを介して配布可能である。
【0116】
また、本明細書で開示されている実施形態の1つまたは複数の実施形態による方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号を開示し、提案する。
【0117】
本発明のコンピュータ実装態様に言及すると、本明細書で開示されている実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態による方法の方法ステップのうちの1つまたは複数の方法ステップ、またはすべての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行可能である。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む、方法ステップのいずれもコンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行可能である。一般に、これらの方法ステップは、典型的には、サンプルの提供、および/または、測定を行う特定の局面などの手作業を必要とする方法ステップ以外は、方法ステップのいずれも含むことができる。
【0118】
また、本明細書に記載の実施形態のうちの1つの実施形態による方法を実行するようになされた少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータまたはコンピュータネットワークを開示し、提案する。
【0119】
また、データ構造がコンピュータ上で実行されているときに、本明細書に記載の実施形態のうちの1つの実施形態による方法を実行するようになされたコンピュータロード可能データ構造を開示し、提案する。
【0120】
また、記憶媒体にデータ構造が記憶され、データ構造が、コンピュータまたはコンピュータネットワークのメインストレージおよび/またはワーキングストレージにロードされた後、本明細書に記載の実施形態のうちの1つの実施形態による方法を実行するようになされた、記憶媒体を開示し、提案する。
図1
図2
図3
図4