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特許7128198カニューレの遠位端にカバーを有する内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】カニューレの遠位端にカバーを有する内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220823BHJP
   A61B 1/07 20060101ALI20220823BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220823BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20220823BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/07 733
A61B1/00 716
G02B23/24 B
A61B1/04 530
A61B1/06 531
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019548570
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018021250
(87)【国際公開番号】W WO2018165229
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】62/467,908
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514238250
【氏名又は名称】キオプティック フォトニクス ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビマー,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ローテ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ジルマン,グイド
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-033120(JP,A)
【文献】特開2014-066923(JP,A)
【文献】特開平09-197292(JP,A)
【文献】特開2004-041265(JP,A)
【文献】特開平09-265047(JP,A)
【文献】特開2004-016455(JP,A)
【文献】特開2004-041458(JP,A)
【文献】米国特許第06503196(US,B1)
【文献】特開平4-359218(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188147(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に挿入するためのカニューレと、
前記カニューレの遠位端全体にわたり延在する透明又は透光性材料から成る唯一のカバーであって、全体が平坦な外側表面及び外側表面に対向する内側表面を有するカバーと、
前記カバー内へ、少なくとも一部が前記カバーを通過して前記患者の体内の検査現場を照明する光を送出するように構成された前記カニューレ内部の光源と、
前記患者の体内の前記検査現場から反射し、前記カバーを通って内視鏡へ戻った光を受け取るように構成された前記カニューレ内部に配置された光センサを備える撮像システムと、を備える内視鏡であって、
動作中、前記光源によって前記カバー内へ送出された光の一部は、前記カバーの前記外側表面において内部反射し、前記カバーの前記内側表面へ向かって後退し、
前記光源、前記カバー、及び前記撮像システムは、前記カバーの前記外側表面において内部反射し前記カバーの前記内側表面へ向かって後退する光の一切が、直接、すなわちさらに内部反射することなく前記撮像システムの光入力に到達することがないように、互いに対して構成される、内視鏡。
【請求項2】
前記カバー、前記光源、及び前記撮像システムの相対構成が、前記カバーの前記外側表面において内部反射した前記光の一切が前記撮像システムの光入力に直接到達しないことを確実にする単独の要因である、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記光が前記カバーの前記外側表面において内部反射し前記カバーの前記内側表面へ向かって後退する時に通る前記カバーのどの部分も、透光性又は透明ではない材料から成ることはない、請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記カバーは、前記透明又は透光性材料の単一片で形成されるので、前記単一片の材料を破壊することなく予測可能な方法で容易に互いに分離され再び組み立てることができる別個のパーツ又はセクションを有さない、請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記カバーは、互いに接着又は他の方法で固定される2つ以上の片から成る、請求項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記カバーは、前記内視鏡外の流体が前記光源に侵入又は到達することを防ぐとともに、前記カバーの前記外側表面に存在する前記光源からの前記光の全てが前記検査現場に到達し前記検査現場を照明することが可能であるように、前記カニューレに結合される、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記カバーの前記外側表面に存在する前記光が、前記カニューレを含む前記内視鏡の任意の部分に当たらない、又は遮断されないように構成される、請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記光源は、遠隔光発生デバイスによって生成された前記光を送出するように構成された光導体又は光ファイバの束を備える、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記光導体又は前記光ファイバの束の遠位端と前記カバーの前記内側表面との間に光学接着剤をさらに備える、請求項8に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記カバーは、透明又は透光性の単一片である、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記カバーは、前記内視鏡の内側に面する少なくとも1つのキャビティを規定するように構成される、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記光源は前記キャビティ内へ延在する、請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記光源の遠位端は、前記キャビティの底面に接着される、請求項12に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記カバーの、前記撮像システムの前にある部分は、前記カバーの、前記光源の前にある部分よりも厚い、請求項11に記載の内視鏡。
【請求項15】
a)前記光源によって前記カバー内へ前記光が送出される角度、b)前記カバーの前記撮像システムの前にある前記部分の厚さ、c)前記カバーの前記光源の前にある前記部分の厚さ、及びd)前記光源の光出口と前記撮像システムの光入口との間の距離は、前記カバーの前記外側表面において内部反射し前記カバーの前記内側表面へ向かって後退する光が、前記内部反射から直接、前記撮像システムの光入力に到達することを防ぐように構成される、請求項14に記載の内視鏡。
【請求項16】
前記カバーは、
全範囲にわたり厚さが均一な前記透明又は透光性材料の第1部分と、
前記第1部分よりも厚いが、それでも全範囲にわたり厚さが均一な前記透明又は透光性材料の第2部分と、
前記第2部分を前記第1部分に固定するための光学接着剤と、を備え、
前記第2部分は、前記第1部分に対して実質的に中央にあり、前記第1部分部分的にのみ被覆する、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項17】
前記光源の遠位端は、前記透明又は透光性材料の第1部分の、前記透明又は透光性材料の第2部分によって被覆されていない部分に接着される、請求項16に記載の内視鏡。
【請求項18】
前記カバーは、はんだ付け接続によって前記カニューレに結合される、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項19】
前記患者の体内の前記検査現場は、前記内視鏡によって照明され観察され得る前記内視鏡の遠位端の周囲かつ付近の空間及び物体を含むが、前記内視鏡自体のあらゆる部分を除外する、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項20】
前記カバーの最大の厚さは0.05mm~1mmである、請求項1に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年3月7日に出願された、ENDOSCOPE WITH COVER FOR LIGHT DELIVERY COMPONENT(S)と題された米国仮特許出願第62/467,908号に対する優先権の利益を主張するものである。先行出願の開示は、その全体が参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、内視鏡に関し、具体的には、カニューレの遠位端を覆うカバーを有する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡は、体内部位の眺望をもたらすために体内へ導入され得る器具である。
【0004】
一般に、内視鏡は、可能な限り小型であり、可能な限り十分に(患者の体内の)検査現場を照明し、手入れが簡単であり、設計において頑強であることが望ましい。
【0005】
一般に、使用と使用の間、特に使用が異なる患者に関与する場合、内視鏡は滅菌される。
【0006】
経時的に、複数回の滅菌プロセスを受けると、内視鏡の高効率で機能する能力は低下することもある。
【発明の概要】
【0007】
1つの態様において、内視鏡は、カニューレと、カニューレの遠位端における透光性又は透明材料から成る唯一のカバーと、いずれもカニューレ内部にある光源及び撮像システムと、を有する。光源は、カバー内へ光を送出する。その光の少なくとも一部は、カバーを通過して患者の体内の検査現場を照明し、その光の一部は、カバーの外側表面において内部反射し、カバーの内側表面へ向かって後退する。撮像システムは、検査現場から反射し、カバーを通って内視鏡へ戻った光を受け取る。部品は、カバーの外側表面において内部反射した光の一切が直接(例えばさらに反射することなく)撮像システムの光入力に到達することがないように構成される。
【0008】
一般的な実装において、カバー、光源、及び撮像システムのジオメトリ(例えば相対構成)が、カバーの外側表面において内部反射した光の一切が直接(例えばさらに反射することなく)撮像システムの光入力に到達しないことを確実にする単独の要因である。例えばこれらの実装において、例えばカバー全体が透光性又は透明であり、内部反射(「第1反射」)光が通過するカバーのどの部分も、透光性又は透明でない材料から成ることはない。従って、一般的な実装において、(「第1反射」)光が通過するカバーのどの部分も、透光性又は透明でないことにより(「第1反射」)光の伝達を遮断することはない。
【0009】
いくつかの典型的な実装において、カバーは、全体にわたり均一又は少なくとも実質的に均一な光学特性を有する。例えばいくつかの実装において、カバー全体が、全体にわたり同じ透光性又は透明材料から成る。そのようなカバーは、透光性又は透明材料の「単一片」として形成され得る。カバーを説明するために使用される「単一片」という表現は、カバーが単一の連続的要素である(すなわち、予測可能な方法で材料の単一片を事実上破壊することなく容易に互いに分離され再び組み立てられ得る別個のパーツ又はセクションを有さない)ことを意味するものとして解釈すべきである。
【0010】
いくつかの実装において、カバーは、互いに接着又は他の方法で固定された2つ以上の片から成り得る。これらの複数片は、互いに同じ材料から成ってよく、あるいは異なる材料であってよい。同じ材料が用いられるか異なる材料が用いられるかにかかわらず、カバー、光源、及び撮像システムのジオメトリ(例えば相対構成)が、カバーの外側表面において内部反射した光の一切が直接(例えばさらに反射することなく)撮像システムの光入力に到達しないことを確実にする単独の要因であることは変わらず、内部反射(「第1反射」)光が通過するカバーのどの部も、透光性又は透明でない材料から成ることはない。
【0011】
カバーが複数片から成る実装において、他の任意の材料(例えば接着剤など)が存在する場合、これらの材料は一般に、光学等級材料であり、その結果生じる構造が、透明又は透光性材料の「単一片」が作用するのと同一に(又はほぼ同じように)作用することを可能にする光学特性を有する。
【0012】
他の態様において、内視鏡は、カニューレと、カニューレの遠位端にわたり延在する単一の完全に透光性又は透明なカバーと、カニューレ内部の光源と、カニューレ内部の撮像システムと、を有する。カバーは、第1外側表面及び第2内側表面を有する。光源は、カニューレの遠位端へ光を送出する。その光の第1部分は、カバーを通過して患者の体内の検査現場を照明する。その光の第2部分は、カバー内へ入るが、第2内側表面へ向かって(すなわちカニューレの内側へ向かって)第1外側表面において内部反射する。撮像システムは、患者の体内の検査現場から反射しカバーを通過して戻った任意の光を受け取る、カニューレ内部の光学素子を有する。ただし、カバー、光源、及び光学素子は、(カバー内へ入るが第2内側表面へ向かって第1外側表面において内部反射した)光の第2部分が直接(例えばさらに反射することなく)光学素子に到達することがないように構成される。
【0013】
また1つの態様において、内視鏡は、患者の体内に挿入するためのカニューレと、患者の体内の検査現場を照明するための光を送出するように構成されたカニューレ内部の光源と、光ファイバ束の遠位端にわたり延在する透光性又は透明カバーと、を含む。カバーは、内視鏡外の流体(例えば液体及び/又は気体)が光源に侵入又は到達することを防ぐとともに、カバーの前部外側表面に存在する光源からの光の全てが遮られずに検査現場に到達し検査現場を照明することを可能にするように、カニューレに結合される。
【0014】
いくつかの実装において、カバーの前部外側表面に存在する光が一切、カニューレを含む内視鏡の任意の部分に当たり、又は遮断されることはない。よって例えば、光錐(すなわち光錐パターンにおいて送出された光)がカバーの前部外側表面を通って送出されるように内視鏡が構成された場合、光錐全体が、検査現場(例えば、内視鏡の遠位端の外側付近の身体部位)を照明するために利用可能である。概して、光錐は、3次元において円錐として表現され、特定のポイントから同時に光信号が到達する点を全て備え、従って、その点において同時に観察者に見える、空間時間内の表面と考えられ得る。
【0015】
「検査現場」などの表現は、本明細書で用いられる場合、一般に、内視鏡を用いて照明され、場合によっては観察され得る、内視鏡の遠位端の周囲かつ付近の空間及び物体を指す。ただし、「検査現場」という表現は一般に、内視鏡自体のあらゆる部分を除外する。
【0016】
いくつかの実装において、光源は、遠隔光発生デバイスによって生成された光を送出するように構成された光ファイバの束又は光導体(複数も可)を含んでよい。概して、光ファイバは、例えばガラス(シリカ)又はプラスティックを通常人間の毛髪よりもわずかに太い径になるまで引張することによって作られた、任意の種類の可撓性透明繊維であってよい。光ファイバは、透明であってよいがより低い屈折率を有するクラッド材料に取り巻かれた透明芯を有してよい。光は芯において維持され、全内部反射として知られる現象によって、繊維の長さに沿って伝達する。いくつかの実装において、光源は光導体を含んでよい。
【0017】
いくつかの実装によると、光導体/光ファイバ束の遠位端とカバーの内側表面との間に光学接着剤が存在する。光学接着剤は、事実上、説明された用例(複数も可)に関連して用いるために適した任意の種類の接着剤であってよい。
【0018】
いくつかの実装において、カバーは、透光性又は透明材料(例えばガラス、シリカなど)である。そのようなカバーは一般に、内側表面、内側表面に対向する外側表面、及び内側表面と外側表面とを接続する円筒形側面を有するディスク形状である。一般的な実装において、外側表面は、その全体にわたり平坦である。いくつかの実装において、内側表面もまた、その全体にわたり平坦である。一般的な実装において、カバーの透光性又は透明材料は、その体積全体にわたり(例えば、外側表面の全ての点から、内側表面の全ての点まで、円筒形側面に沿った全ての点、及びそれらの間の全ての点まで)実質的に均一である(実質的に均一な透光性及び/又は透明性を有する)。
【0019】
いくつかの実装において、カバー材料は、(例えば内視鏡の内側に面する)内側表面に少なくとも1つのキャビティを規定するように構成される。これらの実装において、光源(例えば光ファイバ束)は一般に、キャビティ内へ延在し、光源の遠位端は一般に、キャビティの底面に接着される。いくつかの実装において、材料内にキャビティは存在しない。
【0020】
いくつかの実装において、カバーは、(例えば各キャビティにおける)1又は複数のより薄い部分及び1又は複数のより厚い部分(その他の場所)を有する。これらの実装において、カバーの、検査現場から反射して撮像のために内視鏡へ戻る光が通る部分は一般に、カバーの、光源からの光が内視鏡から出る時に通る部分よりも厚い(実際にはかなり厚い)。
【0021】
一般的な実装において、内視鏡/内視鏡システムはさらに、カニューレ内部に、光学系(例えばレンズなどの任意の種類の光学素子)を有する撮像システムを含む。これらの実装のいくつかにおいて、光学系は、検査現場から反射して撮像のためにカバーを通って内視鏡へ戻る光を受け取るように構成され得る。これらの実装において、光源は一般に、カバーの、カバー内にキャビティの底部を形成する部分を介して、検査現場内へ光を送出するように構成され得る。光源からのその光の一部は、カバーの外側表面から内部反射し、それによって反射光はカバーの内側表面へ向かって後退する。光源、カバー(及びそのキャビティ)、及び撮像システムは、(その第1反射からの)反射光の一切が、その第1反射から直接撮像システムの光入力に到達しないことを確実にするように構成及び配置され得る。
【0022】
いくつかの実装において、反射光が、カバーの外側表面における第1反射から直接撮像システムへの光入口に到達することを防ぐための内視鏡の能力は、少なくとも、光源によってカバー内へ光が送出される角度、(キャビティがない場所の)カバーの厚さ、カバーの(例えばキャビティ(複数も可)における)光源の前部にある薄い部分の厚さ、及び光源の光出口と撮像システムの光入口との間の距離の関数である。
【0023】
いくつかの実装において、カバーは、材料の単一片ではなく、(例えば光学接着剤によって)互いに保持された2つ(又はそれより多く)の個別片から成り得る。これらの実装のいくつかにおいて、カバーは、全範囲にわたり厚さが均一な透光性又は透明材料の第1片、第1片よりも厚く、全範囲にわたり厚さが均一な透光性又は透明材料の第2片、及び第2片を第1片に固定するための光学接着剤を含んでよい。第2片は、第1片に対して実質的に中央にあってよく、第1片よりも小さいので第1片の一部のみを被覆する。これらの実装において、光源の遠位端は、透光性又は透明材料の第1片の、透光性又は透明材料の第2片によって被覆されていない部分に接着され得る。
【0024】
カバーは一般に、(例えばはんだ付けなどによる)強力な流体密封接続でカニューレに結合される。概して、はんだ付けは、透明カバー上のはんだ領域における金属薄膜コーティングと、熱によって融解し、いくつかの例において金属であるカニューレを例えば透光性カバー上の薄膜コーティングに結合する、例えばAU及び/又はSNなどのはんだ材料とを用いることを指す。
【0025】
いくつかの実装において、以下の利点の1又は複数が存在する。
【0026】
例えば、複数の、さらには多数の(例えば過酸化水素による低温ガスプラズマ滅菌などを用いた)滅菌サイクルへの耐性が特に高い内視鏡が提供され得る。より具体的には、内視鏡は、滅菌プロセスの結果として光ファイバ性能を低下させることなく、複数回、さらには多数回、滅菌され得る。これは、本明細書に開示されるように、光ファイバが光を供給する際に通る内視鏡の遠位端が、光ファイバが1)使用中に患者の身体と接触せず、2)滅菌中にプラズマガス、過酸化水素、及び/又は他の滅菌剤に触れないようにするカバーを有するためである。
【0027】
複数、さらには多数の(例えば過酸化水素による低温ガスプラズマ滅菌などを用いた)滅菌サイクルへの耐性に加えて、いくつかの実装において、一般的な実装における内視鏡は、他の種類の可撓性内視鏡と比べて、オートクレーブに関連する環境条件への耐性が高い。これもまた、本明細書に開示されるカバー構成に起因する。
【0028】
加えて、検査現場(例えば患者の体内領域)へ高度の照明を送出するために特に適した内視鏡が提供され得る。これは、一般的な実装における内視鏡構成が、内視鏡の正面から出る光の全てが最終的に検査現場に到達し検査現場を効果的に照明することを確実にするためである。より具体的には、カバーから出る光が、例えばカニューレを含む内視鏡の任意の部分に当たる(又は遮断される)ことはない。
【0029】
繊維及び接着剤が患者に接触することはないので、繊維及びそれらの接着剤に非生体適合性材料が用いられてよい。これにより、繊維自体の品質の向上が可能である。
【0030】
いくつかの実装において、十分に小さければ、カバーガラスの裏側で光を直接供給するために発光ダイオード(LED)が用いられてもよい。これらの実装において、発光ダイオードの出力面は、カバーの背面に直接接着される。これらの実装において、LEDは、光ファイバの代わりに、又は光ファイバに加えて提供され得る。また、LEDが内視鏡の遠位端に提供(例えばカバーの背面に接着)される場合、LEDに至るまでのカニューレ内部に電気導体が提供される。
【0031】
繊維のカバーは、例えばサファイアなど非常に硬質な材料であってよい。これにより、これらの実装において、繊維の表面に傷をつける可能性が非常に低いという利点が生じる。
【0032】
本明細書で用いられる場合、「実質的に」という言葉及び類似の言葉は、当然、それらの元来の意味に従って解釈すべきである。よって、「実質的に平坦な表面」は例えば、少なくとも予想される製造公差内で多くの部分(又は全体)が平坦な表面である。同様に、互いに「実質的に同一」であるものと識別されるキャビティは、少なくとも余所目には、又は予想される製造公差内で、多くの部分(又は全体)が同一である。同様に、「実質的に中央にある」は、少なくとも予想される製造公差内で多くの部分(又は全体)が中央にあることを意味する。
【0033】
他の特徴及び利点は、説明及び図面から、また特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】典型的な内視鏡の略図である。
図2】内視鏡のカニューレの遠位端における部品の典型的な構成を示す(図1の2-2に沿って示された)部分略断面図である。
図3】内視鏡のカニューレの遠位端における部品の別のより詳細な典型的な構成を示す(図1の2-2に沿って示された)部分略断面図である。
図4】内視鏡のカニューレの遠位端における部品のさらに別の典型的な構成を示す(図1の2-2に沿って示された)部分略断面図である。
図5】内視鏡の略図である。
図6】内視鏡内の光源によって生成されている光錐の略図である。
図7】内視鏡のカニューレの遠位端における部品のまたさらに別の典型的な構成を示す(図1の2-2に沿って示された)部分略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
類似の参照番号は類似の要素を指す。
【0036】
図1は、典型的な内視鏡100の略図である。
【0037】
内視鏡100は、電子機器筐体102、電子機器筐体102から第1方向へ延在するカニューレ104、電子機器筐体102から延在するケーブル106、及びケーブル106の端部におけるコネクタ108を有する。使用中、コネクタ108は例えば、外部光源及び/又は(光源に給電するための)電源、及び/又は外部視覚モニタリングデバイス(例えばビデオスクリーン)に接続されてよく、それらはいずれも例示された図に示されない。
【0038】
内視鏡100は一般に、医師又は他の医療従事者が、内視鏡検査(すなわち、患者の体内の検査現場を視覚的に検査すること)を行うことを可能にするように構成され、動作可能である。これに関して、使用中、内視鏡100のカニューレ104は、その遠位端が患者の体内の検査現場付近にあるように、一般に患者の身体における小さな開口部を通って挿入され得る。挿入されると、内視鏡100は、カニューレ104を通して(例えば1又は複数の光ファイバ又は光導体を介して)光を送出してよく、その光の少なくとも一部は検査現場へ入光して検査現場を照明する。送出光は、検査現場における身体部位から反射し、カバーを介してカニューレ104の遠位端へ再び入光し、(例示された図には示されないが、例えばビデオスクリーンであってよく、又はビデオスクリーンを含んでよい)外部観察装置において、医療従事者によって検査の画像を観察又は生成することを容易にする。
【0039】
本明細書に詳しく開示されるように、内視鏡100は、とりわけ非常に高品質の撮像を確実にするために、カニューレ104の遠位端又はその付近に特定の構成の部品を有する。
【0040】
図2は、例えば、カニューレ104の遠位端における部品の1つの典型的な構成を表す。
【0041】
例示された実装によると、内視鏡100は、カニューレ104の遠位端にわたり延在する(かつ流体又はガス密封シールをもたらし得る)、単一(すなわち唯一)の完全に透光性又は透明のカバー214を有する。光源210及び撮像システム212(並びに撮像システム212への入光を容易にする光学素子211)は、カニューレの遠位端又はその付近におけるカニューレ内部にある。
【0042】
動作中、光源210によってカバー214内へ送出された光の一部は、カバー214の外側表面217において内部反射し、カバー214の内側表面215へ向かって後退する。例示された実装において、光源210、カバー214、及び撮像システム212は、カバー214の外側表面217において内部反射しカバー214の内側表面215へ向かって後退する(「第1反射」)光の一切が撮像システム212の(211における)光入力へ直接(例えばさらに反射することなく)到達することがないように、互いに対して構成される。
【0043】
また、例示された実装において、カバー214、光源210、及び撮像システム212のジオメトリ(例えば相対物理構成)が、カバー214の外側表面217において内部反射した(「第1反射」)光の一切が撮像システム212の(211における)光入力へ直接(例えばさらに反射することなく)到達しないことを確実にする単独の要因である。例示された実装において、カバー214全体が透光性又は透明であり、内部反射(「第1反射」)光が通過するカバーの一部が、透光性又は透明でない材料から成ることはない。
【0044】
いくつかの典型的な実装において、カバー214は全体にわたり均一又は少なくとも実質的に均一な光学特性を有する。例えば例示された実装において、カバー214全体が、全体的に透光性又は透明な材料の単一片で製作される。「単一片」という表現は、カバー214を説明するために使用される場合、カバーが単一の連続的要素(すなわち、材料の「単一片」を事実上破壊することなく予測可能な方法で互いに容易に分離され再び組み立てることができる別個のパーツ又はセクションを有さないもの)であるという概念を伝えるものとして解釈すべきである。例えば光ファイバの束又は光導体を含み得る光源210は、カニューレ104の遠位端へ光を送出するように構成される。例示された実装において、光源210の遠位端は、カバー214の内側表面に接触する(かつ接着され得る)。光源210の遠位端は、カバー214の内側表面に必ずしも接触する(又は接着される)必要はない。しかし、光源210の遠位端をカバーの内側表面に接触させることにより、光損失が低減される。また、光源210の遠位端をカバー214の内側表面に接着することにより、それらの間の良好な接触及び光源210の適切な位置合わせ/位置決めが確実にされ、維持される。事実上、任意の種類の光学等級接着剤が、光源210の遠位端をカバー214の内側表面に接着するために用いられ得る。
【0045】
光源210によってカニューレ104の遠位端へ送出された光の第1部分L1は、カバーを通過して患者の体内の検査現場を照明する。一般的な実装において、この光の少なくとも一部は、最終的に、検査領域内の物体(例えば患者の身体部位)から反射し、カバー214を再び通過し、光学素子211を介して撮像システム212へ入光する。
【0046】
基本的に、光学素子211は、撮像システムの遠位端に開口部を規定し、光は、撮像システムへ入光し撮像システム212における画像生成プロセスの任意の役割を果たすためにこれを通らなければならない。すなわち、この光学素子211を通過する光のみが画像生成に関与し(又は何らかの影響を及ぼし)、光学素子211を通過しない光が画像生成に関与する(又は何らかの影響を及ぼす)ことはない。
【0047】
撮像システム212のためのレンズ又は透明又は透光性カバーであってよい光学素子211は、例示された実装において、カバー214の付近にあるがカバー214と接触しない。光学素子211の遠位表面とカバー214の内側表面との間の距離は、様々な可能値を有してよく、光源210(及びそれがもたらす光錐)及びカバー214の物理構成に少なくとも部分的に依存し得る。様々な実装において、この距離は、例えば0.25ミリメートル~1ミリメートルであってよい。
【0048】
例示された構成によると、撮像システム212の遠位端(光学素子211)とカバー214の外側表面217との間の距離は、光源210の遠位端とカバー214の外側表面217との間の距離よりも大きい。
【0049】
撮像システム212は、光学素子211を介して撮像システムへ入光する光(例えば、カバー214を介して検査現場から戻る光)に基づいて検査現場の画像を生成する。一般に、撮像システム212によって生成された任意の画像(静止画像又は映像)は、内視鏡にある、又は内視鏡100が接続されたスクリーン又はレンズでの観察に使用可能にされる。
【0050】
光源210によってカニューレの遠位端へ送出された光の第2部分L2は、カバー214内へ入るが、最終的に、カバー214の正面、遠位表面、又は外側表面217において内部反射する。この「第1反射」光L2は、カニューレ104の内側表面215へ向かってカバー214を通って後退する。典型的な実装において、この「第1反射」光L2の一部L3は、内側表面215上の再入点RPにおいてカバー214の内側表面215を通過する。カバー214の内側表面におけるこの再入点RPの位置は、再入光L3が撮像システム212へ(例えば光学素子211を介して)到達せず、又は入光できないことを確実にする。具体的には、カバー214、(光源によって生成される光錐LCを含む)光源210、及び撮像システム212の光学素子211は、例示された実装において、再入光L3の一切が光学素子211を介して直接(例えば、最初にカバー214内での少なくとも2回の更なる内部反射を経ることなく)撮像システム212へ到達することがないように構成される。
【0051】
従って、典型的な実装において、「第1反射」光L2の一部が撮像システム212へ(例えば光学素子211を介して)入光することはないので、「第1反射」光が画像生成に干渉し得ることはない。よって、内視鏡によって生成された検査現場の画像は、そのような干渉から自由であり得る。当然、一部の光(例えば、カバー214内で2回及び3回内部反射した光)が、最終的に光学素子211へ到達し、撮像システム212へ入光し得ることは可能である。ただし、複数の内部反射後、光学素子211を介して撮像システム212へ入光し得るそのような内部反射光はいずれもわずかであり、撮像システム212へ入光する光に関連する任意の起こり得る悪影響は、大半が無視できるものである。
【0052】
従って、システム部品(すなわち光源210(及びその光錐LC)、撮像システム212/光学素子211、及びカバー214)の相対ジオメトリは、示された有利な結果、すなわち、「第1反射」光L2の一部が直接撮像システム212へ入光することがないので、「第1反射」光の一部が内視鏡システムによって生成される画像に干渉し得ることがないという結果をもたらすことが分かる。この相対ジオメトリが構成され得る様々な方法が存在する。
【0053】
このように、典型的な実装において、内視鏡100は、(例えば患者の体内の)検査現場のより良好で鮮明な画像を提供することができる。
【0054】
典型的な実装において、カバー214は、問題及び/又は汚染の原因になり得る、体液及び他の異物がカニューレ104の遠位先端に侵入することも防ぐ。これは特に、カバー214がカニューレ104の遠位端に対してシールを生成する実装において言える。他の利点も同様に考えられる。例えば、使用と使用の間、特に連続的使用が異なる患者に関与する場合、内視鏡100は滅菌されなければならない。滅菌は、例えば(STERRAD(登録商標)100NXシステムによって実装され得る類の)過酸化水素による低温ガスプラズマ滅菌、又はオートクレーブ内で高温飽和蒸気に晒すことを含む様々な技術のいずれか1つを用いて実現され得る。図1の内視鏡100は、特にカバー214とカニューレ104との間に密封シールが存在する場合、これらの滅菌技術に関連する環境条件(例えば高温及び/又は高湿度)への耐性が高い。
【0055】
また、典型的な実装において、内視鏡100は、複数の、さらには多数の(例えば過酸化水素による低温ガスプラズマ滅菌などを用いる)滅菌サイクルへの耐性が高い。一般に、他の種類の内視鏡において問題を引き起こし得るこれら複数回の滅菌は、内視鏡100の光学性能を目立った程度まで低下させることはない。これは特に、内視鏡の遠位端がカバーによってシールされており、また光ファイバ/光導体(及び他の内部部品)が1)使用中に患者の身体に接触することなく、かつ2)滅菌中にプラズマガス、過酸化水素、及び/又は他の滅菌剤に触れることがないようにカバーが構成されている例において当てはまる。
【0056】
また、いくつかの実装において、カバーは、カバー214の正面を通過する光の全てが、例えばカバー214の外側表面が置かれた平面を通って延在し得るカニューレ又は他の物理構造の側面によって遮断されることなく検査現場に到達するように構成される。複数、さらには多数の(例えば過酸化水素による低温ガスプラズマ滅菌などを用いた)滅菌サイクルに耐えられることに加えて、いくつかの実装において、内視鏡100及びそのカバー構成は、他の種類の可撓性内視鏡と比べて、(例えば約132℃の高温飽和蒸気に約15~20分間晒すことを含む)オートクレーブに関連する環境条件への耐性が高くなり得る。
【0057】
図3は、内視鏡300の遠位端における部品の典型的な構成を示す部分断面図である。
【0058】
図3の内視鏡300は、図1に示す内視鏡100といくつかの点で同様である。例えば図3の内視鏡300は、患者の体内へ挿入するためのカニューレ104を有する。透光性又は透明カバー214がカニューレ104の遠位端にわたり延在する。カバー214は、平坦外側表面216及び(外側表面と対向する)平坦内側表面217を有する。カニューレ104の内部に(2つ示された)光源210が存在する。各光源210は、カバー214と直接物理的接触し、カバー214内へ光を送出するように構成され、その光の一部はカバー214を通過して患者の体内の検査現場を照明する。また(光学部品/撮像光学系211を有する)撮像システム212もカニューレ104内にある。撮像システム212は、患者の体内の検査現場から反射し、カバー214を通って内視鏡へ戻った光を(例えば自身の光学素子211を通して)受け取るように構成される。撮像システム212はその光を用いて、観察ステーション(例えばレンズ、ビデオスクリーンなど)において、例えば医療従事者によって観察され得る検査現場の1又は複数の画像を生成する。
【0059】
動作中、各光源210は、カニューレ104の遠位端、及びカバー214内へ光を送出する。その光の第1部分はカバー214を通過し、患者の体内の検査現場を照明し、光の第2部分はカバー214内へ入り、再び内側表面へ向かって(検査現場に到達することなく)カバー214の外側表面において内部反射する。カバー、光源(及びその光錐)、及び光学素子は、(検査現場に到達することなく)カバー214の外側表面において内部反射した光の一部が直接(例えばカバー214の内部でさらに反射することなく)光学素子211に到達し、又は撮像システム212へ入光することがないように構成される。
【0060】
この結果をもたらし得る多くの様々な物理構成及び動作特徴が存在する。1つの典型的な実装において、各光源210は83度の光錐を生成し、カバー214は0.3ミリメートルの均一な厚さを有し、各光源210と撮像システム212又は光学素子211との間の距離D1は0.73ミリメートルであり、撮像システム212の遠位正面はカバー214の内側表面から(間に空いた空間を有して)分離され、撮像システム212の遠位正面とカバー214の外側表面との間の距離D2は0.5ミリメートルであり、各光源210の遠位端はカバー214の内側表面と物理的に接触している。
【0061】
これらの寸法は当然、上述した利点、すなわち、(検査現場に到達することなく)カバー214の外側表面において内部反射した光の一部が直接(例えばカバー214の内部でさらに反射することなく)光学素子211に到達し、又は撮像システム212へ入光することはないという点を損なうことなく、変動してよい。例えば様々な実装において、光錐は75~91度であってよく、カバー214の厚さTは0.1~0.4ミリメートルであってよく、距離D1は0.6~0.9ミリメートルであってよく、及び/又は距離D2は0.3~0.6ミリメートルであってよい。いくつかの実装において、光源210の遠位端は、カバー214の内側表面から(接触せずに)分離され得る。
【0062】
いくつかの実装において、上記寸法の1又は複数は、(検査現場に到達することなく)カバー214の外側表面において内部反射した光のどの部も直接(例えばカバー214の内部でさらに反射することなく)光学素子211に到達し、又は撮像システム212へ入光することはないという結果をもたらしたまま、本明細書において特に言及されたものから変動してよい。
【0063】
例示された内視鏡は、光源210及びカバーガラスと接触し、及び/又はそれらを支持し得る剛性内部構造328を有する。この剛性内部構造328は、多種多様な材料又は材料の組み合わせのいずれか1つで製作され、又はそれを含んでよい。1つの典型的な実装において、剛性内部構造328は金属である。
【0064】
例示された実装において、剛性内部構造328は、カバー214へ延在し、カバー214と接触する。またいくつかの実装において、カバー214と、カバー214と接触する剛性内部構造328の一部との間に、接着材料が存在する。
【0065】
いくつかの実装において、剛性内部構造328は、カニューレ104を通りその遠位端へ向かって、光源(複数も可)210を取り巻き、支持し、及び/又は導いてよい。
【0066】
例示された実装におけるカバー214は、多種多様な方法でカニューレ104及び/又は他の部品に取り付けられ得る。1つの典型的な実装において、カバー214は、はんだ付け接続によってカニューレ104に固定され、これはいくつかの例において、それらの間に、内視鏡外からの流体が内視鏡300へ侵入すること又は光源(複数も可)210に到達することを防ぐシールをもたらす。
【0067】
カバー214は、光源210及びカニューレ104に対して、例えばカバー214の外側表面に存在する光源210からの(例えば83度の光錐における)光の全てが検査現場に到達し検査現場を照明することを確実にするように構成される。すなわち、カバー214の外側表面に存在する光が(カニューレ104を含む)内視鏡300のどこか一部によって遮断されることはない。
【0068】
図4は、図1のカニューレ104の遠位端における部品の他の典型的な構成を表す。
【0069】
例示された図は、カニューレ内部の光源710(例えば光を搬送し得る光ファイバの束)、カニューレ内部の(例えば撮像光学系を含む)撮像システム712、及び光源710及び撮像システム712にわたり延在しこれらを被覆する、カニューレの遠位端における単一片の透光性又は透明カバー714を示す。本明細書で用いられる「単一片」という表現は一般に、例示された実装におけるカバー714が、例えば容易又は予測可能に構成パーツに分離され、その後再び組み立てられることができない、ただ1片の透光性又は透明材料(例えばガラス又はプラスティック)から成るという事実を指す。
【0070】
例示されたカバー714は、略平坦であり外側方向を向いた第1外側表面716、及び第1表面に対向し内側方向を向いた第2内側表面718を有する。図は、カバー714の第2表面718に2つのキャビティ720a、720bが存在することを示す。当然、様々な実装において、1つ以上から事実上任意の数のキャビティがカバー714の第2表面718に存在してよい。また、典型的な実装において、カバー714の第2表面718における全てのキャビティ720は、形状及びサイズが実質的に同一である。例示された実装において、例えばキャビティ720aはキャビティ720bと(サイズ及び形状が)実質的に同一である。1つの典型的な実装において、(第2表面718にわたり対照的に配置された)4つのキャビティが存在し、その各々は、サイズ及び形状が他と実質的に同一である。
【0071】
各キャビティ720a、720bは、カバー714の厚さ(T1)の全体ではないが一部(実際には大部分)を通り延在する。例えば様々な実装において、各キャビティ720a、720bは、カバー714の厚さ(T1)の70%以上、又は80%以上、又は90%以上を通り延在してよい。各キャビティ720a、720bは、略平坦底面722a、722bと、平坦底面722a、722bからわずかに外方向に広がって上向きに延在し内部に(円筒形に近いが)わずかに円錐台形の空間を規定する1又は複数の側壁724a、724bとを有する。各キャビティ720a、720bは一般に、光源(例えば光ファイバ710の束)の対応する1つが、(円筒形に近いが)わずかに円錐台形の空間内に適合し、それによって光ファイバの遠位端がキャビティ720a、720bの底面722a、722bに到達又はほぼ到達し、(例えば光学接着剤721などによって)接着され得るように構成される。
【0072】
キャビティ720a、720bはカバー714の厚さ(T1)全体を通り延在するわけではないので、各キャビティ720a、720bの底部726a、726bにわたり延在するカバー材料の(厚さT2を有する)薄片が存在する。一般的な実装において、この材料の薄片は、材料の薄片又はカバー714全体のいずれかの構造等剛性を過度に備えることなく実用的である限り薄くあってよい。一般的な実装において、これらのカバー材料の薄片の各々は、各キャビティ720a、720bの底部726a、726b全体にわたり均一又は少なくとも実質的に均一な厚さを有する。
【0073】
一般的な実装において、例示されたキャビティ720a、720b(及び他の光源の遠位端を受容するためにカバー714の第2表面718に形成され得る他の任意のキャビティ)を除き、カバー714の残りの部分は、実質的に一定の厚さ(T1)を有し、実質的に平滑な平坦外側表面716、及び718の一部である実質的に平滑な平坦内側表面を有する。具体的には、一般的な実装において、カバー714の実質的に平滑な平坦外側表面716のどこにもキャビティは存在しない。
【0074】
例示された実装における光源710(例えば光ファイバの束)は、カバー714に至るまでずっとカニューレを通って延在する。実際、光源710の遠位端は、光源710の光ファイバの遠位端がキャビティ720aの底部726aにおいてカバー714の内側表面に接触(又は非常に接近)するように、キャビティ720a内へ延在する。図に示す例などの典型的な実装において、光源710の光ファイバの遠位端は、十分に高い温度安定性を有する光学接着剤によって、キャビティ720aの底部726aの内側表面に接着される。典型的な実装において、カバー714におけるキャビティの各々に別々の(光源710のような)光源が存在する。よって、図4には特に示されないが、典型的な実装において、キャビティ720bには別の光源(例えば別の光ファイバの束)が存在し、その別の光源は、光源710がキャビティ720aに対して配置されたのと正確に同じではなくともほぼ同じように、キャビティ720bに対して配置及び構成される。当然、典型的な実装において、カバー714に形成され得る他の任意のキャビティに関しても同じ概念が適用される。各々は一般に、自身の個別の光源(すなわち光ファイバの束)を得る。留意すべき点として、光源の各々又は全てに関する光は、同じ(又は異なる)遠隔光発生器(例えば発光ダイオード、レーザなど)を起点とし得る。
【0075】
例示された実装における撮像システム712は、カバー714まで延在し、カバー714に接触(又は少なくとも非常に接近)する。一般的な実装において、撮像システム712の遠位端(すなわち、カバー714に近接又は接触する部分)は窓であり、これを例えば検査現場からの光が通過する。図2に表すような典型的な実装において、撮像システム712(例えば撮像システムの窓)に直接物理的に接触又は近接するカバー714の部分にはキャビティがない。すなわち、撮像システム712(又は撮像システム712の窓)を被覆する表面718の任意の部分にはキャビティがなく、撮像システム712を被覆するカバー714の表面718の全部が平滑かつ平坦である。
【0076】
例示された実装における撮像システム712は一般に、(検査現場から反射して戻る)光が、カバー714に面する(かつカバー714と直接物理的に接触し得る)表面を通って撮像システム712へ入光するように構成される。
【0077】
撮像システム712への光入口は、光源710の光出力から距離D1だけ分離される。いくつかの実装において、内視鏡100内の光源の全て(又は少なくとも一部)は、撮像システム712に対して対照的な形式で配置される。内視鏡100内の光源の全てが撮像システム712に対して対照的な形式で配置された実装において、撮像システム712への光入口の全てが、各光源の光出力から同じ距離(例えばD1)だけ分離される。
【0078】
例示された実装における光源710は、キャビティ720aの底部726aを形成するカバー714の部分を介して、検査現場(すなわち、カバー714より先の空間、患者の体内)へ光を送出するように構成される。略円錐形状であってよい、光源710によって送出された光の大部分は、キャビティ720aの底部726aを通過して検査現場を照明するが、光の一部は、カバー714から出ることなくカバー714の外側表面に内部反射し得る。この(「第1反射」と付記された曲がった矢印によって表される)第1内部反射は、第1反射光をカバー714の内側表面718へ向かって後退させ、ここでその光の一部は内側表面718を(カニューレ内へ)通過し、その光の一部は、カバー714の正面へ向かってもう一度内部反射する。
【0079】
光源によって送出された光のどれ程がカバー714の外側表面に最初に到達したときに内部反射(すなわち「第1反射」)するかの程度は、一般に、カバー材料、光がカバー714内へ送出される角度θ、及び少なかれ、光に含まれた波長の関数である。概して、入射角シータが、臨界角と呼ばれる特定の制限角度よりも大きい場合、光は、カバー714の外側表面に最初に到達したときに反射(すなわち「第1反射」)する。
【0080】
概して、例示された実装における光源710、カバー714(及びそのキャビティ720a)、及び撮像システム712は、第1反射(すなわち「第1反射」)からの光の一切が、その第1反射において撮像システム712のための光入力に到達することができないことを確実にするように構成及び配置される。図2の略図に示すように、例えば、「第1反射」光は、光入口(すなわち、カバー714に近接又は接触する撮像システム712の表面)への到達に明らかに届かない。よって、「第1反射」光は、撮像システム又は内視鏡がシステムの外部観察デバイス(不図示)において検査現場の正確な高解像度画像を生成する能力に干渉すること、又はこれを制限することがない。
【0081】
また、一般的な実装において、例示された内視鏡100は、比較的小型の内視鏡(すなわち小さな外径のカニューレを有する内視鏡)においてこの結果(すなわち、「第1反射」光が第1反射において撮像システム712のための光入力に到達し得ないことを確実にすること)を実現する。カニューレ径を大きくすることは内視鏡の使用及び扱いを難しくするため、これは当然、望ましい。いくつかの例において、実際、「第1反射」光が第1反射において撮像システム712のための光入力に到達することを一切防ぐことは、カニューレ径を全く大きくすることなく、図2に示すような構成を用いて実現され得る。
【0082】
図2における「第1反射」光が撮像システム712への光入口に到達することを防ぐ内視鏡の能力は、光源によってカバー714内へ光が送出される角度θ、カバー714の正面716から背面718の撮像システム712に接触(又は近接)する部分までの厚さ(T1)、光源710の正面にあるカバー714の薄い部分の厚さ(T2)、及び光源710の光出口と撮像システム712の光入口との間の距離D1の関数であると考えられ得る。
【0083】
また、光源710がカバー714の前部外側表面716に非常に近いという事実により、カバー714の正面716から出る光の全て(例えば光錐全体)が検査現場に到達し、最終的に検査現場を効果的に照明することが確実である。具体的には、前部外側表面716から出る光が、例えばカニューレ104を含む内視鏡100の任意の部分に当たる(又は遮断される)ことはない。
【0084】
図5は、電子機器筐体102、カニューレ104、ケーブル106、及びコネクタ108を含む、図1に示すような内視鏡100の略断面図である。
【0085】
例示された実装によると、外部光源(不図示)、外部電源(不図示)、及び/又は外部観察デバイス(不図示)に接続され得るコネクタ108は、内視鏡100の一端にある。ケーブル106は、コネクタ108から電子機器筐体102へ延在する。一般的な実装において、ケーブル106は、コネクタ108と電子機器筐体102との間で電気及び/又は光を搬送するように構成される。
【0086】
2つの光ファイバ束210a、210b(光源)は、カニューレ104を通って内視鏡100の遠位端へ延在する。使用中、光は、光ファイバ束210a、210bを介してカニューレを通って移動し、内視鏡100から出て、カバー214を通りその遠位端において検査現場を照明する。上述したように、カバー214を通り内視鏡100から出る光が一切、例えばカニューレ104の外縁を含む内視鏡100の任意の部分に当たる(又は遮断される)ことはない。
【0087】
例示された実装における撮像システム212は、光学系832と、光学系832に関連する光センサ及び(電子機器を有する)印刷回路基板834と、を有する。光は、カバー214を通って検査現場から内視鏡100へ戻り、戻り光を電気信号に変換する光センサへ光を向ける光学系832へ入光する。
【0088】
図6は、内視鏡100内の光ファイバ束(光源)の1つの一部であり得るような光ファイバ934によって生成されている光錐の略図である。光は、カバー214を通過すると拡張するように示される。例示された実装におけるファイバ径は1ミリメートルであり、開口角度は約86度である。本明細書のどこかで言及し、図6に示すように、一般的な実装において、内視鏡100は、光錐がカバー214の先で内視鏡の任意の部分によって遮断されることがないように構成される。具体的には、光ファイバ934によって放出された光錐の上縁は、カニューレ104の遠位端を距離(Dclear)だけ通過する。Dclearは事実上、ゼロよりも大きい任意の寸法であってよい。内視鏡100及びその様々な部品は、多様な寸法を有してよい。概して、内視鏡に関して小型性が非常に望ましいと考えられる。例として、典型的な内視鏡におけるカバー214の外径は約8.3ミリメートルである。他の例において、外径は8.5ミリメートルであってよい。また他の例において、外径は約9ミリメートルであってよい。この寸法は当然、わずかに変動し得るが、実際問題として、外径は通常、8ミリメートル以上10ミリメートル以下である。実際、この寸法は多くの場合、8ミリメートル~8.5ミリメートル、又は8ミリメートル~9ミリメートルである。
【0089】
典型的な内視鏡における各光源(すなわち光ファイバ束)の遠位端は、約1.2ミリメートルの径である(当然、これは単なる一例である)。いくつかの実装において、4つの個別の光源(例えば円形ファイバ束)が存在する。そのような実装において、カバー214の背面に4つのキャビティが存在する。他の実装において、2つの個別の光源(略半月形)が存在する。代替の実装において、撮像システムの周囲に環状に1つの束だけが存在し得る。
【0090】
いくつかの実装において、撮像システムのための2つの光入口(2つのカメラシステム)が存在し、各光入口は、約2.6ミリメートルの径を有する。ただし、1つのみ(又は2より多くの数)が存在してもよい。
【0091】
カバー214の厚さは当然変動してよい。ただし、一般的な実装において、カバーのより厚い部分は0.5ミリメートル~1ミリメートルである。ただし、いくつかの実装において、より厚い部分は0.3ミリメートルまで小さくあってよい。
【0092】
カバー214のより薄い(例えばキャビティが形成された)部分は一般に、0.1ミリメートル~0.05ミリメートルである。いくつかの実装において、カバー214のより薄い部分は、0.2ミリメートルまで薄くあってよい。
【0093】
一般的な実装において、光源の光出口と撮像システムの光入口との間の距離は2ミリメートルである。ただし、様々な実装において、寸法は、例えば1~4ミリメートルの範囲であってよい。
【0094】
図7は、内視鏡100のカニューレ104の遠位端における部品の他の典型的な構成を示す(図1における2-2に沿って示された)部分略断面図である。
【0095】
図7に示す構成は、図4に示す構成と多くの点で同様である。例えば、図4の構成と同様、図7に示す構成は、光源210、撮像システム212、及びカバー1014を有する。まら、図4の構成と同様、光源210内の光ファイバの遠位端とカバー1014との間に光学接着剤221が存在する。
【0096】
ただし、図4の構成と異なり、図7のカバー1014は単一片カバーではなく、光学接着剤1014cによって互いに接続され得る2片1014、1014bを有する。具体的には、例示された実装において、カバー1014は、薄く、全範囲にわたり均一な厚さの第1片1014と、第1片1014よりも厚く、全範囲にわたり均一な厚さの第2片1014bとを有する。光学接着剤1014cは、第2片1014bが第1片1014aに固定された状態を保つ。例示された実装によると、第2片1014bは、第1片1014aに対して実質的に中央にあり、第1片1014aの一部のみを被覆する。
【0097】
本発明の数々の実施形態が説明された。しかしながら、理解されるように、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得る。
【0098】
例えば、内視鏡の(絶対的及び相対的)サイズ、形状、及び構成、及びその様々な実装は、大幅に変動し得る。また、本明細書には明確に開示されない他の部品及び副部品が、本明細書に開示された内視鏡と併用され、又は追加され得る。また、本明細書の開示は、例えば立体内視鏡を含む様々な種類の内視鏡構成に適合され得る。
【0099】
加えて、例えば本明細書に開示されたカバーを含む概念は、内視鏡に関連しない他の用途とともに使用するために適合され得る。
【0100】
本明細書は多くの特定の実装詳細を含むが、これらは、任意の発明又は特許請求の範囲に記載され得るものへの限定として解釈されてはならず、特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈すべきである。個別の実施形態の文脈で本明細書において説明された特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実装されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で説明された様々な特徴は、複数の実施形態において個別に、あるいは任意の適切な部分的組み合わせで実装されてもよい。また、特徴は特定の組み合わせで機能するものとして上述され、またそのように特許請求の範囲において最初に記載され得るが、特許請求の範囲に記載の組み合わせによる1又は複数の特徴は、場合によっては組み合わせから削除されてよく、特許請求の範囲に記載の組み合わせは、部分的組み合わせ又は部分的組み合わせのバリエーションに向けられ得る。
【0101】
本明細書で使用される任意の相対的用語は、単に、説明している特定の実施形態における明確性のために提供されることを理解すべきである。相対的用語は、説明されるものの範囲が特定の位置又は配向を要するように限定することが意図されない。従って、そのような相対的用語は、本出願の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0102】
他の実装は、特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7