(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】浮体式設備のためのフレーム構造体
(51)【国際特許分類】
B63B 35/44 20060101AFI20220823BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20220823BHJP
B63B 77/10 20200101ALI20220823BHJP
A01K 61/60 20170101ALI20220823BHJP
【FI】
B63B35/44 Z
B63B35/00 T
B63B77/10
A01K61/60
(21)【出願番号】P 2019564002
(86)(22)【出願日】2018-01-23
(86)【国際出願番号】 NO2018050014
(87)【国際公開番号】W WO2018143818
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-13
(32)【優先日】2017-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】519282764
【氏名又は名称】フレキシブル フローティング システム アー エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンダル エイナル トミー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102390495(CN,A)
【文献】米国特許第04819399(US,A)
【文献】特開2015-174617(JP,A)
【文献】特開2015-168372(JP,A)
【文献】特開平04-197897(JP,A)
【文献】特開昭58-085788(JP,A)
【文献】国際公開第2016/205746(WO,A1)
【文献】国際公開第02/035014(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104058073(CN,A)
【文献】中国実用新案第202124824(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/44
B63B 35/00
B63B 77/10
A01K 61/60
F03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの連結されたフレームモジュール(1)から形成される浮体可能なフレーム構造体であって、
前記フレームモジュール(1)は、実質的に垂直に配置される4つの柱(11a、11b、11c、11d)と、4つの上側タイバー(12a)と、4つの下側タイバー(12b)と、から形成され、
隣接する柱(11a、11b;11b、11c;11c、11d;11d、11a)は、上側タイバー(12a)と下側タイバー(12b)によって対で相互接続され、モジュール部分(1a、1b、1c、1d)を形成し、
前記タイバー(12a、12b)と前記柱(11a、11b、11c、11d)との間の接続は、前記柱(11a、11b、11c、11d)の上側接続点(14a)と下側接続点(14b)に配置される回転継手(J1、J2)により形成され、
関連付けられたタイバー(12a、12b)に関連して各柱(11a、11b、11c、11d)に配置される少なくとも1つの水平回転継手(J1)があり、
関連付けられた柱(11a、11b、11c、11d)に関連して各タイバー(12a、12b)に配置される、少なくとも1つの球面回転継手(J2)または弾性回転継手(J3)があり、
各モジュール部分(1a、1b、1c、1d)には、上側接続点(14a)と下側接続点(14b)とが斜めに対向するように固定される弾性引張要素(13)が設けられ、
同一水平面および同一フレームモジュール(1)に互いに斜めに対向して位置する接続点(14a、14b)は、弾性引張要素(13)によって接続され、
少なくともいくつかの柱(11a、11b、11c、11d)は、正浮力を有する水中部分を有する容器を形成し、
隣接するフレームモジュール(1)は、少なくとも1つの柱(11a、11b、11c、11d)を共有する、フレーム構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、少なくともいくつかの前記タイバー(12a、12b)は、歩道を形成する、フレーム構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、少なくともいくつかの前記タイバー(12a、12b)は、電源ライン、信号ライン、流体ラインの少なくともいずれかを
延設するために配置されるトレイを形成する、フレーム構造体。
【請求項4】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、少なくともいくつかの前記柱(11a、11b、11c、11d)の下側部分(111)は、広がった断面を有する、フレーム構造体。
【請求項5】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、少なくともいくつかの前記柱(11a、11b、11c、11d)にバラストシステム(112)を設ける、フレーム構造体。
【請求項6】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、少なくともいくつかの前記柱(11a、11b、11c、11d)に少なくとも1つの上下浮動安定器(113)をそれぞれ設ける、フレーム構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、前記少なくとも1つの上下浮動安定器(113)は、前記柱
(11a、11b、11c、11d)から実質的に半径方向に突出する板要素として形成される、フレーム構造体。
【請求項8】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、前記弾性回転継手(J3)は、継手ピン(172)を含み、
前記継手ピン(172)は、タイバー(12a、12b)の端部から、前記柱(
11a,11b,11c、11d)に固定された板要素(171c)の切欠き(171d)を通って突出し、前記継手ピン(172)
の軸方向に変位可能で、前記板要素(171c)に対して支持するように位置する弾性支持要素(175、175’)により、前記板要素(171c)にクランプされる、フレーム構造体。
【請求項9】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、球面回転継手(J2)または弾性回転継手(J3)を備えるタイバー(12a、12b)は、長手方向軸を中心として、中心位置から最大±6°の
扇形の範囲を回転可能である、フレーム構造体。
【請求項10】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、前記弾性引張要素(13)は、スチールロープまたは合成繊維のロープから形成される、フレーム構造体。
【請求項11】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、前記フレームモジュール(1)のうちの少なくとも1つに、前記柱(11a、11b、11c、11d)のうちの1つに配置される風力タービン(2a)を設ける、フレーム構造体。
【請求項12】
請求項1に記載の浮体可能なフレーム構造体であって、前記フレームモジュール(1)は、四角平面図を有する、フレーム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの連結されたフレームモジュールから形成される浮体可能なフレーム構造体が説明される。
【背景技術】
【0002】
特に、設備の規模により、船体の形の浮力体または他の浮体物に大きな建築面積および大きな体積を与えることが必要になり、それにともなって大量の水の動きによる影響を受ける広い海面を与えることが必要なとき、海の開水域に配置される浮体式設備は、大きな歪みにさらされる。規模によって、海での建設および場所の移動は、労力と費用を要する。剛性の船体は、荒れた海で大きなひずみを受ける。
【0003】
他方で、大きく水平に広がる設備は、利点となり得る。洋上風力タービンなどの設備に、関連するヘリポートを設けることで、設備へのアクセスは、一般的に、ボートを使用するアクセスよりも簡単になり、気象条件による影響を受けにくくなる。
【0004】
特許文献1に記載される半水中風力タービン設備のための六角形支持構造体が既知であるが、その構造体において、各風力タービンは、筒状断面を有する浮力体に取り付けられる。各浮力体は固定され、浮力体は水面下にある格子状の梁により相互接続される。
【0005】
特許文献2は、三角形モジュールから作られる半水中風力タービン設備を開示し、各接続点には、風力タービンを支持する浮力体がある。浮力体は、中間部でさらなるの浮力体により支持される格子状の梁により、固定および相互接続される。格子状の梁は、水面より上にある。
【0006】
特許文献3は、漁業用の浮体式養殖設備を開示し、その設備において、接続点で相互接続される控え棒から形成されるかごの中に引き網が吊るされる。垂直の控え棒には、浮力体が設けられる。いくつかの接続点は、斜めの支柱により相互接続される。
【0007】
特許文献4に記載される漁業用の養殖設備は既知であり、その設備において、フレーム構造体は、接続点において相互接続されるいくつかの細長い要素を含み、要素と接続点は繰り返す三角形を形成する。各細長い要素は水平面および垂直面において接続点を中心として独立して回転可能である。
【0008】
特許文献5は、所定の横方向の移動を可能にする球面回転継手を開示し、同時にそれは2つの異なる軸を中心として回転可能であるが、第3の軸を中心としてトルクを伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許出願公開第102506012号明細書
【文献】中国特許出願公開第104058073号明細書
【文献】国際公開第198703170号明細書
【文献】国際公開第2012098564号明細書
【文献】米国特許第2474529号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を改善または軽減させること、または先行技術に対する有用な代替物を少なくとも提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の本明細書およびそれに続く特許請求の範囲に記載される特徴により本発明の目的は達成される。
【0012】
本発明は、いくつかの連結されたフレームモジュールから作られる浮体可能なフレーム構造体を提供する。各フレームモジュールは、格子状立方体として形成され、4つの垂直の柱が上側タイバーおよび下側タイバーにより相互接続される。隣接するフレームモジュールは、1つ以上の柱を共有する。それにより、大きく水平な広がりを有するが、大量の水の動きによる影響を受ける表面が小さい、浮体可能な弾性フレーム構造体が提供される。
【0013】
少なくともタイバーのいくつかは、柱と柱の間に歩道、ケーブルトレイなどを形成してもよく、好ましくは、格子構造体として形成される。
【0014】
タイバーと柱との間の接続点は、2つの異なる種類の回転継手として形成される。1つ目は、a)水平回転継手、つまり、柱の中心軸を通る面に対して垂直である回転軸を有し、タイバーの長手方向軸を中心としてトルクを伝達することができる回転継手であり、2つ目は、b)球面継手(玉継手、ピボット軸受継手、ロッドエンド軸受)、つまり、実質的にはトルクを接続された要素に伝達させることなく、継手の制限内で、タイバーの自由回転を可能にする回転継手である。異なる回転継手が以下の原則にしたがって、配置される。
・各柱には、柱がその中心軸の周りを回転することを防ぐための、少なくとも1つの水平回転継手が設けられる。
・各タイバーには、関連付けられた柱との接続を形成し、中心位置からすべての方向に、中心位置から約最大±6°の角度を回転するように配置される、少なくとも1つの球面回転継手が設けられる。
【0015】
球面回転継手は、球面軸受を適宜含み、球面軸受は、柱の中心軸に垂直な面に配置される中心軸を有し柱に取り付けられる接続軸に配置される。球面軸受を取り囲む接続スリーブは、取り囲んでいるリングを介してタイバーの端部に固定される。リングは球面軸受の中心面に配置される。柱に固定され接続軸と同心円をなす2つの支持スリーブがリングに向かって内側に対称的に突出するように配置され、リングに対する止め面を内向きの端面で形成する。止め面の少なくとも下側セクターおよび上側セクターに低摩擦性の塗装を設けることが好ましい。支持スリーブおよび接続スリーブの間に、弾性パッキンリングを配置することが好ましい。
【0016】
立方体の同一面上で斜め向かい位置する接続点は、通常、スチールロープの形である、細長い、弾性引張要素によって相互接続される。
【0017】
柱の下側部分自体が、水中ボリュームを有する容器として形成されるため、いくつかの柱は、浮力体を形成する。いくつかの柱に1つ以上の水中用の浮体物を設けてもよく、および/または柱の下側部分の断面を柱の残りの部分の断面よりも大きく設けてもよい。
【0018】
フレーム構造体が浮体して、荷重、風、波応力の変化に影響を受けるとき、各フレームモジュールは、「持ちこたえられる」、つまり、その形を変化させることができる格子構造の部分を形成する。これは、タイバーおよび柱の間の上述した回転継手による接続によって可能になる。異なる回転継手が、柱を実質的に平行に保つシステム内に配置される一方、同時に、斜めの引張要素の弾性のみにより制限されて各柱が垂直方向に移動することができる。
【0019】
上側タイバーと下側タイバーで回転継手を介して相互接続される2つの隣接する柱によって、モジュール部分が形成される。1つの柱にある上側接続点と対向する柱の下側接続点との間に斜めに延びる、弾性引張要素がある。各柱は、2つの隣接するモジュール部分の一部を構成する。モジュール部分の4つすべての回転継手は、上記の基準に基づき選択され、柱を同時に平行に保ちつつ、柱の垂直方向の変位を可能にする。柱の個別の垂直方向の変位によって、変化し隣接する柱同士の間で水平方向の距離が生じる。斜めに対向する柱と柱の間の水平方向の距離もまた、フレームモジュール内に水平に位置する引張要素の弾性によって設定される制限内で変化してもよい。
【0020】
フレーム構造体は、風力タービンを保持するためのタワーを形成する1つ以上の柱を含んでもよい。柱の寸法は、強度、高さ、断面、および浮力を考慮して支える荷重に適合される。
【0021】
少なくともいくつかの柱に、通常ポンプの形のバラストのための手段と、柱の好ましくは下側部分に配置される1つ以上のバラストタンクを満たし空にするパイプシステムとを設けてもよい。
【0022】
大量の水の波により影響を受ける場合に柱の垂直方向の変位を減少させるために、柱から実質的に放射状に突出する、1つ以上の板要素の形の上下浮動安定器を柱に設けることが有利である。
【0023】
フレーム構造体には、例えば、ヘリコプター着陸用プラットフォーム、アンカーハンドリング設備、機器用ハウジング、周波数変換機、電気変圧器、蓄電池、フレーム構造体などに関連する作業に関して使用される資材のための倉庫などの、フレーム構造体により保持される機器の動作において使用される多くの設備が設けられてもよい。荷重の観点から、設備は、浮力体を形成する柱に中心的に配置されることが有利である。
【0024】
本発明は独立請求項により定義される。独立請求項は、本発明の有利な実施形態を定義する。
【0025】
本発明は、より具体的には、いくつかの連結されたフレームモジュールから形成される浮体可能なフレーム構造体であって、フレームモジュールは、実質的に垂直に配置される4つの柱と、4つの上側タイバーと、4つの下側タイバーと、から形成され、隣接する柱は、上側タイバーと下側タイバーによって対で相互接続され、モジュール部分を形成し、タイバーと柱との間の接続は、柱の上側接続点と下側接続点に配置される回転継手により形成され、関連付けられたタイバーに関連して各柱に配置される少なくとも1つの水平回転継手があり、関連付けられた柱に関連して各タイバーに配置される、少なくとも1つの球面回転継手または弾性回転継手があり、各モジュール部分には、上側接続点と下側接続点とが斜めに対向するように固定される弾性引張要素が設けられ、同一水平面および同一フレームモジュールに互いに斜めに対向して位置する接続点は、弾性引張要素によって接続され、少なくともいくつかの柱は、正浮力を有する水中部分を有する容器を形成し、隣接するフレームモジュールは、少なくとも1つの柱を共有する、浮体可能なフレーム構造体に関する。
【0026】
少なくともいくつかのタイバーは、歩道を形成してもよい。
【0027】
少なくともいくつかのタイバーは、電源ライン、信号ライン、流体ラインの少なくともいずれかを延長するために配置されるトレイを形成してもよい。
【0028】
少なくともいくつかの柱の下側部分は、広がった断面を有してもよい。
【0029】
少なくともいくつかの柱にバラストシステムを設けてもよい。それにより海中におけるフレーム構造体の喫水が、載せられる積荷に対して常に調節、調整されてもよい。
【0030】
少なくともいくつか柱に、少なくとも1つの上下浮動安定器を設けてもよい。少なくとも1つの上下浮動安定器は、柱から実質的に半径方向に突出する板要素として形成されてもよい。
【0031】
弾性回転継手は、継手ピンを含んでよく、その継手ピンは、タイバーの端部から、柱に固定された板要素の切欠きを通って突出し、継手ピン上で軸方向に変位可能で板要素に対して支持するように位置する弾性支持要素により、板要素にクランプされる。
【0032】
球面回転継手または弾性回転継手を備えるタイバーは、長手方向軸を中心として中心位置から少なくとも±6°のセクターを回転してもよい。引張要素の弾性を予想される風および波の荷重に適合させて、球面回転継手が最大極限位置に達しないようにすることが有利である。
【0033】
弾性引張要素は、スチールロープまたは合成繊維のロープから形成されてもよい。
【0034】
少なくとも1つのフレームモジュールに、柱の1つに配置される風力タービンを設けてもよい。例えば、漁業用いけすなどのフレーム構造体に設置される生産施設は、電気エネルギーを自給自足してもよい。
【0035】
フレームモジュールは、四角平面図を有してもよい。フレーム構造体を建設するために必要な部品の数は、それによって最小限まで少なくしてもよい。
【0036】
以下において、好ましい実施形態の例が示され、添付の図面に描かれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】垂直回転軸を有するいくつかの風力タービンを備える本発明によるフレーム構造体の基本的な斜視図であり、明らかにするために、フレーム構造体の前部の1つのフレームモジュールのみが完全な数の斜めの引張要素を有する状態で示される。
【
図2】2つの隣接するフレームモジュールに属するタイバーを示すフレームモジュールを拡大して示す基本的な図である。
【
図3】格子構造として形成されるタイバーを有するフレームモジュールおよび水中の柱部分から突出する上下浮動安定器を備える2つの柱を示す図である。
【
図4】
図3の第1の部分を示し、タイバーと柱との間の接続を形成する球面回転継手を有する上側接続点および斜めの引張要素のための取り付けを拡大して示す図である。
【
図5】
図3の第2の部分を示し、水平回転継手を有する上側接続点を示す図である。
【
図6】球面回転継手を通る水平軸方向断面を拡大して示す図である。
【
図8】漁業用網いけすを設けたフレーム構造体を縮尺して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
まず
図2を参照する。フレームモジュール1は、立方格子構造として形成され、4つの柱11a、11b、11c、11dはそれぞれ、上側接続点14a、下側接続点14bにある相互に平行な上側タイバー12aおよび下側タイバー12bによって、最も近い柱に接続される。タイバー12a、12bは、以下に詳細に説明されるシステムにおいて、水平回転継手J1または球面回転継手J2(ピボット軸受継手またはロッドエンド軸受継手としても知られる)により各柱11a、11b、11c、11dに接続される。一対の柱11a、11b;11b、11c;11c、11d;11d、11aおよび上側タイバー12a、下側タイバー12bによりモジュール部分1a、1b、1c、1dが形成される。隣接するモジュール部分は1つの柱を共有する。各モジュール部分1a、1b、1c、1dの上側接続点14aおよび斜めに対向する下側接続点14bは、例えばスチールロープなどの弾性引張要素13によって接続される。それに対応して、斜めに対向する柱11a、11c;11b、11dの上側接続点14aは、対応する弾性引張要素13によって接続され、斜めに対向する下側接続点14bも同様である。図示されない隣接するモジュール部分に属するタイバーは、鎖線で示される。
【0039】
柱11a、11b、11c、11dがその中心軸を中心として回転することを防ぐために、各柱は、水平回転継手J1、つまり、回転水平軸のみを中心として回転する回転継手を介して少なくとも1つのタイバー12a、12bと接続される。
図2において、水平回転継手J1は、柱11a、11b、11c、11dの上側接続点14aに配置される。
【0040】
タイバー12a、12bおよび柱11a、11b、11c、11dの間の残りの連結接続点において、球面回転継手J2が使用され、つまり、一定限度内ですべての方向に自在に回転可能である。
図2において、球面回転継手J2は、すべての下側接続点14bで使用される。球面回転継手J2は、通常、球面回転継手J2の中心位置から±6°のタイバー12a、12bの長手方向軸を中心とした回転を可能にする。球面回転継手J2は、タイバー12a、12bの重心上に位置するとき、タイバー12a、12bは、例えば波や風など外部荷重によって、長手方向回転軸を中心とするタイバー12a、12におけるトルクが発生しない限り、中立位置にある。
【0041】
動作状況において、いくつかの柱、ここに示される2つの柱11a、11cの下側部分111は、水中にあり、正浮力を提供する容器を形成する。上記柱11a、11cは、より大きな浮力を提供するための、広がった断面を有する下側部分111とともにここに示される。
【0042】
異なる継手J1、J2は、
図4、5、6においてより詳細に示される。また、
図4および
図5において、どのように弾性引張要素13の端部131が柱11の上側接続点14aに固定されるかを示している。
【0043】
ここで球面回転継手J2の実施形態が示される
図6を参照する。接続軸161が、2つのブラケット162によって、長手方向軸を有する柱11の外面から離れて、柱の長手方向軸に垂直な面に、タイバー12a、12bの長手方向軸に垂直に固定される。球面軸受163は、接続軸161に配置され、ここでは、接続軸161に中心を合わせて、中立位置において示される。接続スリーブ164は、球面軸受163を取り囲む。リング165は、接続スリーブ164を取り囲む。環状フランジ165aは、リング165の外面を形成する。リング165は、タイバー12a、12bに取り付けられる。2つの支持スリーブ166は、接続軸161に同心円状に配置され、それぞれのブラケット162に固定され、リング165に向かって延び、支持スリーブ166の端部166aは、球面回転継手J2がその中心位置から横向きに回転することを、当接面166aに当たる球面回転継手J2の極限位置にあるリング165によって制限する当接面166aを形成する。支持スリーブ166の端部166aは、ここでは、円錐形として示され、十分に大きい当接面を提供するように突出する。低摩擦性の塗装166bが、当接面166aの少なくとも一部、通常、上側セクターと下側セクターに塗布され、それが極限位置にあるとき、回転継手J2の摩擦を制限する。球面回転継手J2は、通常、タイバー12a、12bの長手方向軸を中心とする、球面回転継手J2の中心位置から±6°までの回転を可能にする。弾性パッキングリング167が、支持スリーブ166と接続スリーブ164との間の環状隙間に配置される。
【0044】
接続要素の代替的な例示的実施形態は、柱11と上側タイバー12aまたは下側タイバー12bとの間の接続を形成する弾性継手J3(以下にフレキシ継手としても呼ばれる)の形で
図7に示される。第1の切欠き171dを備える板要素171cは、柱11から離れて固定され、板要素171cは、端壁171aを介して柱11に形成される継手取り付け部18に対し当接面を形成する継手ハウジング171内で仕切り壁を形成する。継手ハウジング171は、いくつかの第1の取り付けボルト181を介して継手取り付け部18に取り付けられる。
【0045】
板要素171cは、端壁171aと平行に配置され、継手ハウジング171のほぼ中間に固定される。貫通する切欠き171dは、板要素171cの中間部分に配置される。
【0046】
弾性支持要素175、175’は、板要素171cの各側面に配置される。板要素171cから反対を向く端部において、各支持要素175、175’に、支持要素175、175’の弾性材料が、例えば接着、加硫によって取り付けられる、通常、金属板の形の支持板175a、175a’をそれぞれ設ける。各支持要素175、175’には、中央開口部175bを設ける。
【0047】
継手ハウジング171の開口端部171dは、タイバー12a、12bの端部に面し、そこで、取り付けフランジ172aが設けられる継手ピン172は、いくつかの第2の取り付けボルト172cによってタイバー12a、12bに取り付けられ、板要素171cの切欠き171d、171bおよび継手ハウジング171の端壁171aをそれぞれ通じて、支持要素175、175’の中央開口部175bを通じて継手ハウジング171に突出する。ナット173は、継手ピン172のねじ部172bと係合する。ナット173とその最も近くにある弾性支持要素175’との間に配置されるワッシャー174は、いくつかの第3の取り付けボルト174aによって弾性支持要素175’の支持板175a’に取り付けられる。ナット173が、継手ピン172のねじ部172bに取り付けられ、弾性支持要素175、175’は板要素171cに対して押し付けられる。支持要素175、175’に弾性があり、継手ピン172と板要素171cの切欠き171bとの間に隙間があるため、継手ピン172および継手ピン172が取り付けられるタイバー12a、12bは、板要素171cに対して垂直方向から逸脱した方向としてもよい。
【0048】
ねじれは、弾性支持要素175、175’の剛性により、減衰される。
【0049】
特に、タイバー12a、12bがその長手方向軸を中心とした一定のひねりがタイバー12a、12bの支持機能に影響を与えない場合、および、環境的条件などにより、例えば、海水による影響を受ける場合など、継手の機能および耐久性に特に厳しい要件が求められるすべての状況において、弾性継手J3は、球面回転継手J2に置き換えてもよい。
【0050】
図1において、フレーム構造体に配置されるいくつかの設備2が示され、ここでは、建物やヘリコプター着陸用プラットフォームとして模式的に示される。さらに、いくつかの風力タービン2aが、フレーム構造体の外面に設けられる伸長された柱11aに配置される。説明のために、すべての張力要素13は示されていない。
【0051】
図3において、水位線3が柱11aに示される。水位線3は、通常、下側タイバー12bの約4メートル下にある。
【0052】
図3において、柱11aに配置されるバラストシステム112が模式的に示される。
【0053】
図8において、漁業用網いけす2bならびに整備用建物および2つの風力タービン2aの形をした設備2を保持するフレーム構造体の実施形態が示される。この実施形態において、フレームモジュール1の外部に、可能ならば内部にも、波よけ2c、2dを設けることが有利である。
図8では、説明のために、1つのフレームモジュール1のみに外部の波よけ2cが設けられ、1つのフレームモジュール1に内部の波よけ2dが設けられる。説明のために、柱のいくつかのみが浮力体として示される。本実施形態において、フレーム構造体は、先述したよりも深く浮体している。
【0054】
このタイプのフレーム構造体において、大型船の係留および大型船とフレーム構造体との間で人や積荷の移動を可能にする要素(図示せず)が設置されることもまた明らかである。
【0055】
上記の実施形態すべてが本発明を例示するが、それに限定されず、当業者は、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、多くの代替的実施形態を構成してもよいことに留意するべきである。請求項において、括弧付き参照番号は、限定的なものとしてみなされない。
【0056】
「を含む(comprise)」という動詞を使用すること、および、それを異なる形式で使用することは、請求項に記載されない要素または工程の存在を除外しない。ある要素の前の「1つの(a,an)」といった不定冠詞は、その要素がいくつか存在することを除外しない。
【0057】
いくつかの特徴が互いに異なる独立請求項に示されるという事実は、これらの特徴の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。