(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】適合可能なエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220823BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20220823BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220823BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/30
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2019568091
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2018065226
(87)【国際公開番号】W WO2018224677
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-07
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マルケス ボルヘス ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ファリーヌ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ルッシオ ダニー
(72)【発明者】
【氏名】サイギリ アリ ムラート
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-515465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0095002(US,A1)
【文献】国際公開第2016/156509(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111418896(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記熱伝導性のあるシースが、前記細長い電気ヒーター上に永久的に固定される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記熱伝導性のあるシースが、前記細長い電気ヒーター上に取外し可能に固定される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記細長い電気ヒーターが、前記細長い電気ヒーターの実質的に全長に沿って前記熱伝導性のあるシース内に実質的に封入される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記熱伝導性材料のあるシースが、一つ以上の中間構成要素を介して前記細長い電気ヒーターに熱結合される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記熱伝導性のあるシースが、金属又は合金から形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記熱伝導性のあるシースには、シースマウントが提供され、前記シースマウントによって前記熱伝導性のあるシースが前記長細い電気ヒーター上に固定される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記シースマウントが、低い熱伝導率を有する高温耐性材料から作られる、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記熱伝導性のあるシースが、曲げられ、または折り畳まれた形状の熱伝導性材料の単一のシートを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記熱伝導性のあるシースが、前記シースが二つの向かい合ったシース壁を含み、それらの間に前記細長い電気ヒーターがその長さの少なくとも一部に沿って実質的に封入されるように、折り曲げ線に沿って曲げられ、または折り畳まれた熱伝導性材料のシートと、前記折り曲げ線の反対側にある開口部と、を含む、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記熱伝導性材料のシートが、弾性であり、前記折り曲げ線がばね力を提供して前記シース壁が前記開口部において離れるように付勢するように、曲げられるか、または折り畳まれる、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記折り曲げ線が、前記熱伝導性のあるシースの長軸方向軸に平行であり、前記熱伝導性のあるシースの側端に沿って延びる、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記熱伝導性のあるシースが、熱伝導性材料の波型形状のシートを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記熱伝導性材料の波型形状のシートが、第一の方向に沿って延びる第一の組の波型形状および前記第一の方向に対してある角度を有する第二の方向に沿って延びる第二の組の波型形状を含む、請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記熱伝導性のあるシースが、0.20mm~0.35mmの厚さを有している、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項16】
前記熱伝導性のあるシースが、0.22mm~0.30mmの厚さを有している、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項17】
前記熱伝導性のあるシースが、0.25mm~0.29mmの厚さを有している、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項18】
前記熱伝導性のあるシースが、0.27mmの厚さを有している、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を含有するカートリッジと、エアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムに関する。特に、本発明は、基体区画およびヒーターくぼみを画定するカートリッジ本体を有するカートリッジと、カートリッジ本体の少なくとも一部分を受けるための装置くぼみ、および装置くぼみ内に位置し、前記カートリッジが前記装置くぼみに受けられたときに前記ヒーターくぼみ内に延びるように構成された細長い電気ヒーターを有するエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生装置システムに関する。また、本発明は、こうしたシステムで使用されるエアロゾル発生装置、およびこうしたエアロゾル発生システム用のキットに関する。本発明はさらに、カートリッジで使用されてこうしたエアロゾル発生システムを形成するようにエアロゾル発生装置を適合させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の手持ち式のエアロゾル発生システムは典型的に、電池と、制御電子回路と、エアロゾル発生装置で使用するために特別に設計された、カートリッジなどのエアロゾル発生物品を加熱するための電気ヒーターとを備える、エアロゾル発生装置を備える。一部の実施例において、エアロゾル発生物品は、たばこロッドまたはたばこプラグなどのエアロゾル形成基体を備え、またエアロゾル発生装置の中に収容されたヒーターは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中へと挿入される時に、エアロゾル形成基体の中へと、またはその周りに挿入される。代替的なエアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル発生物品は、ばらのたばこなどのエアロゾル形成基体を含有するカプセル、または液体エアロゾル形成基体を含有する液体貯蔵部分を備えてもよい。
【0003】
別の代替的なエアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル発生物品は、カートリッジを備えてもよく、この中でエアロゾル形成基体はニコチン供与源および酸供与源を含む。使用時に、ニコチンおよび酸は気相で相互に反応して、ユーザーによって吸い込まれるニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する。ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物供与源を備える、エアロゾルをユーザーに送達するための装置が公知である。例えば、国際特許公開公報第2008/121610A1号は、ニコチンおよび酸(ピルビン酸など)が気相で相互に反応して、ユーザーによって吸入されるニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する装置を開示している。
【0004】
基体区画およびヒーターくぼみを画定するカートリッジ本体を有するカートリッジと、カートリッジのヒーターくぼみ内に延びるように構成された細長い電気ヒーターを有するエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが公知である。電気ヒーターの寸法とヒーターくぼみの寸法との差異は、電気ヒーターからカートリッジへの熱の伝達を妨げうる。また、これらの差異、または電気ヒーターの構造は、カートリッジ上でのホットスポットの発生につながり、これが次にその中に含有されるエアロゾル形成基体の一貫性のない加熱につながる場合がある。さらに、既存の電気ヒーターは、電気ヒーターおよびカートリッジが適切に整列されて過剰な力が使用されないことを確実にするように注意しない限り、カートリッジのヒーターくぼみ内への挿入中に損傷をうけうる。
【0005】
カートリッジおよびカートリッジ内のヒーターくぼみ内に延びるように構成された電気ヒーターを含むエアロゾル発生装置を備え、カートリッジが電気ヒーターによってより均一に加熱されることを可能にする、エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。また、カートリッジおよびカートリッジ内のヒーターくぼみ内に延びるように構成され、ヒーターくぼみ内への挿入中の電気ヒーターへの損傷リスクを低減する、エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、カートリッジおよびエアロゾル発生装置を備える、エアロゾル発生システムが提供されている。カートリッジは、基体区画およびヒーターくぼみを画定するカートリッジ本体と、基体区画内に位置付けられたエアロゾル形成基体とを含む。エアロゾル発生装置は、カートリッジ本体の少なくとも一部分を受けるための装置くぼみを画定するハウジングと、装置くぼみ内に位置する細長い電気ヒーターと、電気ヒーターがその長さの少なくとも一部に沿って熱伝導性のあるシース内に実質的に封入されるように、細長い電気ヒーター上に固定される熱伝導性のあるシースと、を含む。熱伝導性のあるシースおよび電気ヒーターは、カートリッジが装置くぼみに受けられたときにカートリッジのヒーターくぼみ内に延び、その結果、使用時に、カートリッジの基体区画が熱伝導性のあるシースを介して電気ヒーターによって加熱されるように構成される。
【0007】
有利なことに、これは電気ヒーターからカートリッジへの熱伝達の効率を改善しうる。また、シースは、電気ヒーターからの熱を、電気ヒーター単独によるよりも広い表面積にわたって拡散させるように機能し、これが、カートリッジにおけるホットスポットの発生を低減し、エアロゾル形成基体のより均一で均質化された加熱を可能にしうる。これは、より一貫したエアロゾル送達をもたらしうる。さらに、シースは、電気ヒーター上の保護カバーとして機能して、カートリッジの装置くぼみ内への挿入中の電気ヒーターへの損傷のリスクを低減しうる。これは、シースを、電気ヒーターにおいて可能であるよりもより堅い、より硬い、またはより堅くかつより硬い材料から形成することによって強化されうる。
【0008】
さらに、シースを使用することによって、電気ヒーターまたは装置自体を再設計する必要なく、装置の加熱性能を所与のカートリッジに対して調整しうる。これは、使用されるシースの形状を、装置での使用が意図されるカートリッジの構成に応じて、例えば、ヒーターくぼみの寸法またはカートリッジ内の基体区画の位置に応じて変更しうるためである。これはまた、下にある電気ヒーターよりもより密接にヒーターくぼみの寸法に従うことで、シースが装置くぼみ内のカートリッジの適切な配置のためのガイドとして機能しうるために、カートリッジを装置くぼみ内に挿入する容易さを改善しうる。また、シースは、カートリッジ内のヒーターくぼみのサイズを所与の電気ヒーター厚さに対して増大させることを可能にしうる。このことは、薄い電気ヒーターを使用する場合に特に有益でありうるが、これは、対応する狭いヒーターくぼみを有するカートリッジを一貫して製造することが困難である、あるいは効率的な熱伝達を必要としうるためである。
【0009】
システムはカートリッジを備える。カートリッジは消耗品である。カートリッジおよびエアロゾル発生装置は、互いに係合して協働し、エアロゾルを原位置での発生のためのエアロゾル発生システムを形成するように構成される。カートリッジは、エアロゾル発生装置に取り外し可能に結合されてもよい。本明細書で使用される「取り外し可能に結合される」という用語は、装置またはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび装置が互いに結合および分離できることを意味するように使用される。カートリッジは、エアロゾル形成基体が消費された時にエアロゾル発生装置から取り外されてもよい。カートリッジは、使い捨て式であってもよい。カートリッジは、再利用可能であってもよい。カートリッジは、エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。カートリッジは、エアロゾル発生装置において交換可能であってもよい。
【0010】
「エアロゾル形成基体」という用語は本明細書で使用される場合、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関連する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体の加熱によって放出させることができる。
【0011】
「エアロゾル発生装置」という用語は本明細書で使用される場合、エアロゾル形成基体を含むカートリッジと相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「実質的に封入された」という用語は、シース内に実質的に封入された電気ヒーターの長さの一部が、ヒーターの外表面領域の少なくとも70パーセント、好ましくはその外表面領域の少なくとも80パーセント、より好ましくはその外側領域の少なくとも90パーセントでシースによって覆われることを意味する。これは、電気ヒーターの周囲全体の周りに延びるシースの配置、ならびに、一つ以上の開口部をその長さに沿って、またはその周囲の周りに有する配置、例えば、片持ちシースを含む。
【0013】
一定の実施形態において、熱伝導性のあるシースは、電気ヒーターの外表面領域の少なくとも30パーセントを覆う。例えば、熱伝導性のあるシースは、電気ヒーターの長さの約30パーセントを超えて電気ヒーターを実質的に封入しうる。他の実施例では、熱伝導性のあるシースは、電気ヒーターの実質的に全長に延びてもよく、約30パーセントまでシースによって被覆される電気ヒーターの外表面領域の量を低減する一つ以上のウィンドウまたは開口部を含みうる。熱伝導性のあるシースが電気ヒーターの外表面の少なくとも30パーセントを覆う場合、熱伝導性のあるシースは、電気ヒーターの長さの約30パーセント~電気ヒーターの長さの100パーセントまでのどこにでも延びうる。熱伝導性のあるシースが一つ以上のウィンドウまたは開口部を含む場合、一つ以上のウィンドウまたは開口部は、熱伝導性のあるシースの遠位部分内に、例えば、熱伝導性のあるシースの遠位端に向かって位置することが好ましい。このように、一つ以上のウィンドウまたは開口部は、必要な熱伝導性材料の量を低減すると同時に、電気ヒーターとカートリッジとの間の熱伝導性のあるシースの近位端に向かった良好な熱接触を確実にしうる。
【0014】
本明細書で使用される「熱伝導性のあるシース」という用語は、少なくとも40W/m.K、または好ましくは少なくとも100W/m.Kの熱伝導率を有するシースを指す。別段の記載がない限り、本明細書で言及される熱伝導率値は、ASTM C1114-00に従って測定される熱伝導率値である。
【0015】
シースは、一つ以上の中間構成要素を介して電気ヒーターに熱結合されうる。シースは、シースの長さの少なくとも一部に沿って電気ヒーターと直接接触することが好ましい。シースは、一つ以上の中間構成要素を介してカートリッジに熱結合されうる。シースは、シースの長さの少なくとも一部に沿ってカートリッジと直接接触することが好ましい。特に好ましい実施形態において、シースは、シースの長さの少なくとも一部に沿って、カートリッジおよび電気ヒーターの両方に直接接触する。
【0016】
シースは、電気ヒーターの長さのその少なくとも一部に沿って電気ヒーターを実質的に囲む。好ましい実施形態において、シースは、カートリッジのヒーターくぼみ内に延びるように構成された電気ヒーターの一部の全長に沿って電気ヒーターを実質的に封入する。電気ヒーターは、電気ヒーターの実質的に全長に沿って熱伝導性のあるシース内に実質的に封入されることが好ましい。本明細書で使用される「電気ヒーターの実質的に全長に沿って」という用語は、電気ヒーターの長さの少なくとも80パーセント、好ましくは電気ヒーターの長さの少なくとも90パーセント、より好ましくは電気ヒーターの長さの少なくとも95パーセントを指す。
【0017】
熱伝導性のあるシースは、電気ヒーター上に永久的に固定されうる。有利なことには、熱伝導性のあるシースは、電気ヒーター上に取り外し可能に固定されうる。この配置では、シースは、例えば、特定の使用回数後に取り外されて、装置の残部とは独立して新たなシースと交換されうる。これにより、電気ヒーターまたは熱伝導性のあるシースを洗浄する必要なく、装置の性能を維持することが可能になりうる。これにより、シースを所与のカートリッジの要件に応じたシースと取り替えることが可能になりうる。例えば、シースは、異なる寸法を有する、または異なる材料で形成されるシースと交換されてもよい。
【0018】
シースは複数の構成要素から形成されうる。例えば、シースは、一緒に結合される二つ以上の離散セグメントから形成されてもよい。シースは、単一の熱伝導性のある構成要素から形成されることが好ましい。
【0019】
好ましい実施形態において、シースは、曲げられ、または折り畳まれた形状の熱伝導性材料の単一のシートから形成される。これにより、単純なシース構造および製造が可能になる。
【0020】
特に好ましい実施形態において、シースは、シースが二つの向かい合ったシース壁を含み、それらの間に電気ヒーターがその長さの少なくとも一部に沿って実質的に封入されるように、単一の折り曲げ線に沿って曲げられ、または折り畳まれた熱伝導性材料のシートと、単一の折り曲げ線の反対側にある開口部とを含む。これは、特に単純で効果的な構造を提供することが分かっている。開口部は、製造また組立中にシースを電気ヒーター上に置くことを容易にしうる。
【0021】
熱伝導性材料シートは弾性であり、折り曲げ線がばね力を提供してシース壁が開口部において離れるように付勢するように、曲げられる、または折り畳まれることが好ましい。これにより、ユーザーによって、または製造中にシースを電気ヒーター上に位置付ける容易さが改善されうる。例えば、熱伝導性材料シートは、実質的にV字形状に曲げられるか、または折り畳まれうる。この配置により、シース壁は開口部において離れるように付勢される。その後、シースの向かい合った壁は電気ヒーター上で一緒に閉じられうる。例えば、電気ヒーターが平坦である場合、シース壁が平行となるように、シースの向かい合った壁が電気ヒーター上で一緒に閉じられうる。
【0022】
シースは、実質的に滑らかな外表面を有しうる。これにより、シースをカートリッジのヒーターくぼみ内に挿入するのに必要な挿入力、およびそれ故にカートリッジを装置くぼみ内に挿入するのに必要な挿入力が低減されうる。
【0023】
好ましい実施形態において、シースはその外表面上に複数の隆起を含む。
【0024】
特に好ましい実施形態において、シースは熱伝導性材料の波型形状シートを含む。この構成により、波型構造は、シースをその厚さにわたって曲げ、電気ヒーターの外表面に、およびカートリッジのヒーターくぼみの内表面に適合させることが可能になる。これは、電気ヒーター、シース、およびカートリッジ製造許容差を補正することによって、電気ヒーターとカートリッジとの間の熱的接触の一貫性を改善しうる。これにより、電気ヒーターとカートリッジとの間のより効率的な熱伝達が可能となる。また、異なるカートリッジまたは異なる装置間のより一貫した性能を確保するのに役立ちうる。また、シースとカートリッジとの間の信頼できる接触を可能とすると同時に、カートリッジと装置との間の挿入力を制限することが可能になりうる。波型形状はまた、同じシート厚さを有する平坦なシートに対するシースの慣性モーメントを増大させうる。これは、シースの剛性を増大させ、カートリッジを装置くぼみ内へ挿入する間の電気ヒーターおよびシースの曲がりのリスクを低減しうる。また、所与の剛性または厚さのシースを製造するために必要な材料の量が減少しうる。
【0025】
熱伝導性材料の波型形状シートは、第一の方向に沿って延びる第一の組の波型形状および第一の方向に対してある角度を有する第二の方向に沿って延びる第二の組の波型形状を含むことが好ましい。この構成では、シースの剛性はすべての方向で維持されうる。これは、各波型形状がシースの幅または長さ全体にわたって単一の方向に延びる配置とは異なり、シースが、波型形状方向に平行な軸の周りに適用される曲げモーメント下で、曲げの影響をより受けやすくなりうる。いくつかの実施形態において、波型形状は山形パターンで配置される。シートは、結果として得られるシート上の波型形状が、一つ以上の軸を中心として対称となるように波型にされうる。例えば、波型形状は、シースの長軸方向軸の周りで対称であってもよい。
【0026】
熱伝導性のあるシースは、任意の適切な熱伝導性材料から作製されうる。熱伝導性のあるシースは金属または合金から形成されることが好ましい。適切な材料にはアルミニウム、銅および鋼、またはそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0027】
シースは任意の適切な厚さを有してもよい。一定の好ましい実施形態において、シースは約0.20mm~約0.35mm、好ましくは約0.22mm~約0.30mm、より好ましくは約0.25mm~約0.29mm、最も好ましくは約0.27mmの厚さを有する。これらの範囲は、装置の重量、またはカートリッジを装置くぼみ内に挿入するのに必要な挿入力を過度に増大させることなく、効率的な熱伝達および電気ヒーターの保護の特に望ましい組み合わせを提供することが分かった。
【0028】
本明細書で使用される、シースに対する「厚さ」という用語は、シースの全幅または全体としてのシースの深さではなく、シースの壁の厚さを指す。例えば、シースが熱伝導性材料から作製される場合、「厚さ」という用語はシート自体の厚さを指す。
【0029】
シースは、適切な任意の接続によって装置のくぼみに固定されうる。例えば、シースがクリップまたは保持ピンによって電気ヒーター上に取り外し可能に固定される場合である。好ましい実施形態において、シースには、それによってシースが電気ヒーター上に固定されるシースマウントが提供される。シースマウントは、シースの遠位端にあることが好ましい。シースマウントは、装置くぼみの遠位端でリテーナに対してプレスばめされるように構成されることが好ましい。こうした実施形態において、シースマウントは適切な任意の形状を有しうる。例えば、シースマウントは概してディスク形状であってもよい。リテーナは、シースマウントが保持されるクリップを含みうる。リテーナは、それに対してシースマウントがプレスばめされる隆起したリップを含みうる。
【0030】
シースがその中に電気ヒーターが実質的に封入される二つ以上のシース壁を含むように、曲げられ、または折り畳まれた形状の熱伝導性材料のシートをシースが含む場合、シースマウントは、一つ以上のシース壁の遠位端に提供されうる。有利なことには、シースマウントは第一のシース壁の遠位端における第一のシースマウント部分と、第二のシース壁の遠位端における第二のシースマウント部分とを含む。この配置では、シース壁が電気ヒーターの周りで一緒にされるときにシースマウントが形成され、シースマウント部分が組み合わされてシースマウントを画定している。これは、シースマウントがシース壁を電気ヒーターに対して一緒に保持するのに役立つとともに、シースを装置くぼみ内に保持する。
【0031】
シースマウントは、適切な任意の高温耐性材料から作製されうる。シースマウントは、低い熱伝導率を有する材料から作製されることが好ましい。例えば、シースマウントは、PEEKを含んでもよく、またはPEEKで作製されてもよい。
【0032】
本発明によるエアロゾル発生装置は、細長い電気ヒーターを含む。電気ヒーターは、単一の電気ヒーターであってもよい。これは、有利なことに単純な装置の構造を提供する。
【0033】
電気ヒーターは、使用時にカートリッジの内部に位置付けられた内部電気ヒーターとして構成される。有利なことには、エアロゾル発生装置は、カートリッジと係合して電気ヒーターとカートリッジのヒーターくぼみとの適切な整列を促進するよう構成された案内部分を含みうる。
【0034】
有利なことには、電気ヒーターは、カートリッジを約250℃未満の温度に加熱するように構成される。電気ヒーターは、カートリッジを、約80℃~約150℃の温度に加熱するように構成されることが好ましい。
【0035】
有利なことには、細長い電気ヒーターは、その厚さよりも大きい幅を有するヒーターブレードの形態である。こうした実施形態において、カートリッジ内のヒーターくぼみは、細長いスロットとして構成されうる。
【0036】
電気ヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。別の方法として、電気ヒーターは誘導ヒーターであってもよい。電気ヒーターは、電気抵抗性材料を含む電気発熱体を含むことが好ましい。電気発熱体は、例えば、アルミナ(Al2O3)および窒化珪素(Si3N4)、またはプリント基板またはシリコンゴムなど、セラミック焼結材料といった非弾性材料を備えうる。別の方法として、電気発熱体は、例えば鉄合金またはニッケルクロム合金などの弾性金属材料を備えうる。
【0037】
その他の適切な電気抵抗性の材料には、添加セラミックなどの半導体、電気的に「伝導性」のセラミック(例えば、ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が含まれるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例は、ステンレス鋼、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)および鉄-マンガン-アルミニウム系の合金を含む。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300,Denver,Colorado)の登録商標である。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料内に包埋、断熱材料内に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0038】
電気発熱体は、温度と比抵抗の間で明確な関係を有する金属を使用して形成されうる。こうした実施形態で、金属は二層の適切な絶縁材の間のトラックとして形成しうる。このように形成された電気発熱体は、ヒーターおよび温度センサーのどちらとしても使用されうる。
【0039】
電気ヒーターは、エアロゾル発生装置から突出しないことが好ましい。
【0040】
エアロゾル発生システムは、電気ヒーターへ電力を供給するための電源と、電源から電気ヒーターへの電力供給を制御するよう構成されたコントローラとをさらに備えうる。適切な任意の電子回路がコントローラとして使用されうる。コントローラはプログラム可能でありうる。
【0041】
電源はDC電圧供給源であってもよい。好ましい実施形態において、電源は電池である。例えば、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リチウム鉄リン酸塩またはリチウムポリマー電池としうる。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とすることがあり、またエアロゾル発生装置を一つ以上のエアロゾル発生物品とともに使用するために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。
【0042】
エアロゾル発生装置は、電気ヒーターの温度と、カートリッジの基体区画の温度とを検出するように構成された一つ以上の温度センサーを含みうる。こうした実施形態において、コントローラは、検出した温度に基づいてヒーターへの電力供給を制御するように構成されうる。
【0043】
カートリッジは、エアロゾル発生装置の装置くぼみ内に完全に、またはエアロゾル発生装置の装置くぼみ内に部分的に受けられてもよい。例えば、エアロゾル発生装置の装置くぼみの長さは、カートリッジがエアロゾル発生装置のくぼみに受けられたときに、カートリッジの近位端または下流端がエアロゾル発生装置のくぼみから突出するように、カートリッジの長さよりも短い。
【0044】
エアロゾル発生装置の装置くぼみは実質的に円筒形であることが好ましい。
【0045】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「円筒」および「円筒形の」という用語は、実質的に一対の向かい合った実質的に平面状の端面を有する正円柱を指す。
【0046】
エアロゾル発生装置の装置くぼみは、カートリッジの直径と実質的に等しいかまたはわずかに大きい直径を有することが好ましい。
【0047】
カートリッジは、エアロゾル形成基体が位置付けられている基体区画を含む。基体区画は、単一のエアロゾル形成基体を含有しうる。基体区画は、複数のエアロゾル形成基体を含有しうる。基体区画が複数のエアロゾル形成基体を含む場合、これらは別個にまたは一緒に貯蔵されうる。好ましい実施形態において、カートリッジは、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルの原位置発生のためにエアロゾル発生システムで使用されるニコチン供与源および酸供与源を含む。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「原位置(in situ)」とは、使用時に、ニコチン供与源から放出されるニコチン蒸気および乳酸供与源から放出される乳酸蒸気が、本発明によるエアロゾル発生システム内の気相内で互いに反応して、乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを形成することを意味する。
【0048】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。担体材料がニコチン塩基またはニコチン塩で含浸されている実施形態において、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれニコチン塩基の量またはイオン化されたニコチンの量である。
【0049】
ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩、またはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含んでもよい。ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶媒もしくは非水性溶媒中のニコチン溶液、または液体たばこ抽出物を含んでもよい。
【0050】
ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。例えば、ニコチン供与源は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される電解質形成化合物を含んでもよい。
【0051】
ある特定の実施形態では、ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。別の方法としてまたは追加的に、ニコチン供与源は、天然風味、人工風味、および酸化防止剤が挙げられるがこれに限定されない他の構成成分をさらに含んでもよい。
【0052】
ニコチン供与源は、ニコチンが含浸された第一の担体材料を含んでもよい。例えば、第一の担体材料は、約1ミリグラム~約50ミリグラムのニコチン、好ましくは約1ミリグラム~約40ミリグラムのニコチン、より好ましくは約3ミリグラム~約30ミリグラムのニコチン、より好ましくは約6ミリグラム~約20ミリグラムのニコチン、最も好ましくは約8ミリグラム~約18ミリグラムのニコチンで含浸されてもよい。
【0053】
第一の担体材料は、水性溶媒または非水性溶媒中の液体ニコチンまたはニコチン溶液で含浸されてもよい。第一の担体材料は、天然ニコチンまたは合成ニコチンで含浸されてもよい。
【0054】
有利なことには、第一の担体材料は約0.1グラム/立方センチメートル~約0.3グラム/立方センチメートルの密度を有する。有利なことには、第一の担体材料は約15パーセント~約55パーセントの空隙率を有する。
【0055】
第一の担体材料はガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0056】
第一の担体材料は、ニコチン用の貯蔵部としての役目をする。
【0057】
有利なことに、第一の担体材料は、ニコチンに対して化学的に不活性である。
【0058】
第一の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを持ちうる。例えば、第一の担体材料はシートまたはプラグの形態でありうる。第一の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第一の担体材料が望ましい量のニコチンを含浸できるように選択されうる。
【0059】
有利なことには、第一の担体材料は、風味剤をさらに含みうる。適切な風味剤としては、メントールが挙げられるが、これに限定されない。有利なことには、第一の担体材料は、約3ミリグラム~約12ミリグラムの風味剤で含浸されうる。
【0060】
酸供与源は有機酸または無機酸を含んでもよい。
【0061】
酸供与源は有機酸を含むことが好ましく、カルボン酸を含むことがより好ましく、アルファ-ケト酸もしくは2-オキソ酸または乳酸を含むことが最も好ましい。
【0062】
有利には、酸供与源は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸、乳酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された酸を含む。有利には、酸供与源は、ピルビン酸または乳酸を含む。さらに有利には、酸供与源は乳酸を含む。
【0063】
酸供与源は、酸で含浸された第二の担体材料を含んでもよい。酸供与源は、乳酸で含浸された第二の担体材料を含む乳酸供与源であることが好ましい。例えば、第二の担体材料は、約2ミリグラム~約60ミリグラムの乳酸、約5ミリグラム~約50ミリグラムの乳酸、より好ましくは約8ミリグラム~約40ミリグラムの乳酸、最も好ましくは約10ミリグラム~約30ミリグラムの乳酸で含浸されてもよい。
【0064】
有利なことには、第二の担体材料は、約0.1グラム/立法センチメートル~約0.3グラム/立法センチメートルの密度を有する。有利なことには、第二の担体材料は、約15パーセント~約55パーセントの空隙率を有する。
【0065】
第二の担体材料はガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0066】
第二の担体材料は、酸用の貯蔵部としての役目をする。
【0067】
有利なことに、第二の担体材料は、酸に対して化学的に不活性である。
【0068】
第二の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを持ちうる。例えば、第二の担体材料はシートまたはプラグの形態でありうる。第二の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第二の担体材料が望ましい量の酸を含浸できるように選択されうる。
【0069】
第一の担体材料および第二の担体材料は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0070】
基体区画は、ニコチン供与源を含む第一の区画と、酸供与源を含む第二の区画とを含むことが好ましい。ニコチン供与源は、上記の通り、ニコチンが含浸された第一の担体材料を含むことが好ましい。有利なことには、第一の担体材料の形状は、カートリッジの第一の区画の形状およびサイズと同様である。酸供与源は、乳酸などの酸で含浸された第二の担体材料を含むことが好ましい。有利なことには、第二の担体材料の形状およびサイズは、カートリッジの第二の区画の形状およびサイズと同様である。
【0071】
有利なことには、電気ヒーターは、カートリッジの第一の区画と第二の区画とを、実質的に同一の温度に加熱するように構成される。
【0072】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「実質的に同一の温度」とは、ヒーターに関して対応する場所で測定したカートリッジの第一の区画と第二の区画との間の温度の差異が約3℃未満であることを意味する。
【0073】
使用時に、カートリッジの第一の区画と第二の区画とを、周囲温度を超える温度に加熱することによって、有利なことに、カートリッジの第一の区画内のニコチンの蒸気濃度と、カートリッジの第二の区画内の酸の蒸気圧とが、制御されて比例的に均衡することができ、ニコチンと酸との間の効率的な反応化学量論が得られる。有利なことに、これはニコチン塩粒子の形成効率、およびユーザーへの送達の一貫性を改善しうる。また有利なことに、未反応のニコチンおよび未反応の酸のユーザーへの送達が低減されうる。
【0074】
カートリッジは、エアロゾル発生装置の電気ヒーターおよび熱伝導性のあるスリーブを受けるためのヒーターくぼみを含む。カートリッジが、第一の区画および第二の区画に貯蔵されたニコチン供与源および酸供与源などの二つ以上のエアロゾル形成基体を含む場合、電気ヒーターは、第一の区画および第二の区画の両方を加熱するように構成されることが好ましい。こうした実施形態において、有利なことには、ヒーターくぼみは第一の区画と第二の区画との間に位置する。すなわち、第一の区画と第二の区画とが、ヒーターくぼみの両側に配置される。
【0075】
好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は、ニコチン供与源および酸供与源を含み、基体区画は、ニコチン供与源を含有する第一の区画および酸供与源を含有する第二の区画を含み、第一および第二の区画はヒーターくぼみのいずれかの側に位置付けられる。
【0076】
有利なことには、ヒーターくぼみは、カートリッジの遠位端からカートリッジの長さに沿って少なくとも途中まで延びる。有利なことには、ヒーターくぼみは、カートリッジの長軸方向軸に沿って延びる。
【0077】
ヒーターくぼみは、カートリッジの遠位端からカートリッジの近位端まで延びうる。こうした実施形態において、ヒーターくぼみは開放遠位端と開放近位端とを有する。ヒーターくぼみは、カートリッジの遠位端からカートリッジの長さに沿って途中まで延びうる。こうした実施形態において、ヒーターくぼみは開放遠位端と閉鎖近位端とを有する。
【0078】
ヒーターくぼみは、その長さに沿って封入されうる。
【0079】
ヒーターくぼみは、その長さに沿って少なくとも部分的に開放されてもよい。これにより、有利なことには、ヒーターのヒーターくぼみへの挿入が容易になりうる。
【0080】
以下にさらに説明および図示する通り、カートリッジは、ニコチン供与源を含む第一の区画および酸供与源を含む第二の区画を含むことが好ましい。本明細書で使用される場合、「第一の区画」という用語は、ニコチン供与源を含むカートリッジ内の一つ以上のチャンバーまたは容器を記述するために使用される。本明細書で使用される場合、「第二の区画」という用語は、酸供与源を含むカートリッジ内の一つ以上のチャンバーまたは容器を記述するために使用される。
【0081】
第一の区画は、カートリッジ内の一つ以上の第一のチャンバーから構成されうる。第一のチャンバーの数および寸法は、望ましい量のニコチンがカートリッジ内に含められるように選択されうる。第二の区画は、カートリッジ内の一つ以上の第二のチャンバーから構成されうる。第二のチャンバーの数および寸法は、望ましい量の酸がカートリッジ内に含められるように選択されうる。
【0082】
第一の区画と第二の区画は互いに隣接しうる。別の方法として、第一の区画と第二の区画は互いに間隙を介しうる。
【0083】
使用時に、ニコチン蒸気は第一の区画内のニコチン供与源から放出され、酸は第二の区画の酸供与源から放出される。ニコチン蒸気は気相で酸蒸気と反応してエアロゾルを形成し、これがユーザーに送達される。本発明によるエアロゾル発生システムはさらに、ニコチン蒸気と酸蒸気の間の反応を促進するよう構成された第一の区画および第二の区画の下流にある反応チャンバーを備えることが好ましい。カートリッジが反応チャンバーを含んでもよい。別の方法として、エアロゾル発生システムがマウスピース部分を含む場合、マウスピース部分が反応チャンバーを含んでもよい。
【0084】
下記にさらに説明する通り、第一の区画と第二の区画はカートリッジ内に直列または並列に配置されうる。第一の区画および第二の区画は、並列に配置されることが好ましい。
【0085】
本明細書で使用される場合、「直列」という用語は、使用時にカートリッジを通して引き出される空気流が、第一の区画と第二の区画のうちの一方を通過し、次いで第一の区画と第二の区画のうちの他方を通過するように、カートリッジ内に第一の区画と第二の区画とを配置することを意味する。ニコチン蒸気は、第一の区画内のニコチン供与源からカートリッジを通して引き出された空気流内に放出され、酸は、第二の区画内の酸供与源からカートリッジを通して引き出された空気流内に放出される。ニコチン蒸気は気相で酸蒸気と反応してエアロゾルを形成し、これがユーザーに送達される。
【0086】
一定の実施形態において、カートリッジは、空気吸込み口と、空気吸込み口と連通するニコチン供与源を含む第一の区画と、第一の区画と連通する酸供与源を含む第二の区画と、空気出口とを含みうるが、ここで空気吸込み口および空気出口は、空気が空気吸込み口からハウジング内に入り、ハウジングを通過し、空気出口を通してハウジングから出ることができるように、相互に連通し構成されている。
【0087】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気吸込み口」という用語は、空気が通ってエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の中へと引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。本発明に関連して本明細書で使用される「空気出口」という用語は、空気が通ってエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分から外へ引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0088】
このような実施形態において、第一の区画と第二の区画とは、カートリッジ内で空気吸込み口から空気出口まで直列に配置されている。すなわち、第一の区画は空気吸込み口の下流であり、第二の区画は第一の区画の下流であり、空気出口は第二の区画の下流である。使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してハウジングの中へと引き出され、第一の区画および第二の区画を通して下流に引き出された後、空気出口を通してカートリッジを出るように引き出される。
【0089】
こうした実施形態において、カートリッジは、第二の区画および空気出口と連通する第三の区画をさらに含みうる。こうした実施形態での使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、第一の区画、第二の区画、および第三の区画を通して下流に引き出された後、空気出口を通してカートリッジを出るように引き出される。
【0090】
こうした実施形態において、カートリッジは、第二の区画または第三の区画(存在する場合)、および空気出口と連通するマウスピースをさらに含みうる。こうした実施形態では使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、第一の区画、第二の区画、第三の区画(存在する場合)、およびマウスピースを通して下流に引き出された後、空気出口を通してハウジングを出るように引き出される。
【0091】
他の実施形態において、カートリッジは、空気吸込み口と、空気吸込み口と連通する酸供与源を含む第二の区画と、第二の区画と連通するニコチン供与源を含む第一の区画と、空気出口とを備えうるが、ここで空気吸込み口および空気出口は相互に連通し、空気が空気吸込み口からカートリッジ内に入り、カートリッジを通過し、空気出口を通してカートリッジから出ることができるように構成されている。
【0092】
こうした実施形態において、第二の区画と第一の区画とは、カートリッジ内で空気吸込み口から空気出口まで直列に配置されている。すなわち、第二の区画は空気吸込み口の下流であり、第一の区画は第二の区画の下流であり、空気出口は第一の区画の下流である。使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、第二の区画、次に第一の区画を通して下流に引き出された後、空気出口を通してカートリッジを出るように引き出される。
【0093】
こうした実施形態において、カートリッジは、第一の区画、および空気出口と連通する第三の区画をさらに含みうる。こうした実施形態での使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、第二の区画、第一の区画、および第三の区画を通して下流に引き出された後、空気出口を通してカートリッジを出るように引き出される。
【0094】
こうした実施形態において、カートリッジは、第一の区画または第三の区画(存在する場合)、および空気出口と連通するマウスピースをさらに含みうる。こうした実施形態では使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、第二の区画、第一の区画、第三の区画(存在する場合)、およびマウスピースを通して下流に引き出された後、空気出口を通してカートリッジを出るように引き出される。
【0095】
第一の区画と第二の区画がカートリッジ内で直列に配置されている場合、使用時にカートリッジを通して引き出される空気の流れが第一の区画を通過してから第二の区画を通過するように、第二の区画は第一の区画の下流にあることが好ましい。
【0096】
酸供与源を含む第二の区画の位置がニコチン供与源を含む第一の区画の下流にあることで、有利なことには、エアロゾル発生システムのニコチン送達の一貫性が改善される。理論によって束縛されることはないが、ニコチン供与源の下流の乳酸供与源の位置が、使用中に酸供与源から放出される酸蒸気のニコチン供与源への蒸着を低減または防止すると考えられる。これは、エアロゾル発生システム内のニコチン送達の経時的な退色を減少する。また、望ましくない未反応の酸蒸気がユーザーへ送達されるリスクを低減しうる。
【0097】
「並列」は本明細書で使用される時、使用時にカートリッジを通して引き出される第一の空気流が第一の区画を通過し、カートリッジを通して引き出される第二の空気流が第二の区画を通過するように、第一の区画と第二の区画がカートリッジ内に配置されることを意味する。ニコチン蒸気は、第一の区画内のニコチン供与源からカートリッジを通して引き出された第一の空気流内に放出され、酸蒸気は第二の区画内の酸供与源からカートリッジを通して引き出された第二の空気流内に放出される。第一の空気流内のニコチン蒸気は、第二の空気流内の酸蒸気と気相で反応してエアロゾルを形成し、これがユーザーに送達される。
【0098】
一定の実施形態において、カートリッジは、空気吸込み口と、空気吸込み口と連通するニコチン供与源を含む第一の区画と、空気吸込み口と連通する酸供与源を含む第二の区画と、空気出口とを含むが、ここで空気吸込み口および空気出口は相互に連通し、空気が空気吸込み口からカートリッジ内に入り、カートリッジを通過し、空気出口を通してカートリッジから出ることができるように構成されている。
【0099】
こうした実施形態において、第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で空気吸込み口から空気出口まで並列に配置されている。第一の区画および第二の区画は両方とも空気吸込み口の下流でありかつ空気出口の上流である。使用時に、空気流は空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、空気流の第一の部分は第一の区画を通して下流に引き出され、空気流の第二の部分は第二の区画を通して下流に引き出される。
【0100】
こうした実施形態において、カートリッジは、第一の区画と第二の区画のうちの一方または両方、および空気出口と連通する第三の区画をさらに含みうる。こうした実施形態において、カートリッジは、第一の区画、第二の区画または第三の区画(存在する場合)、および空気出口と連通するマウスピースをさらに含みうる。
【0101】
他の実施形態において、カートリッジは、第一の空気吸込み口と、第二の空気吸込み口と、第一の空気吸込み口と連通するニコチン供与源を含む第一の区画と、第二の空気吸込み口と連通する酸供与源を含む第二の区画と、空気出口とを含み、ここで第一の空気吸込み口、第二の空気吸込み口、および空気出口は相互に連通し、空気が第一の空気吸込み口を通過してカートリッジの中へと入り、カートリッジを通過し、空気出口を通してカートリッジから出てもよいように、および空気が第一の空気吸込み口を通過してカートリッジの中へと入り、カートリッジを通過し、空気出口を通してハウジングから出てもよいように構成されている。
【0102】
このような実施形態において、第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で並列に配置される。第一の区画は第一の空気吸込み口の下流であり、かつ空気出口の上流であり、そして第二の区画は第二の空気吸込み口の下流でありかつ空気出口の上流である。使用時に、第一の空気流は、第一の空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、かつ第一の区画を通して下流に引き出され、第二の空気流は、第二の空気吸込み口を通してカートリッジの中へと引き出され、かつ第二の区画を通して下流に引き出される。
【0103】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口は、カートリッジの第一の区画の近位端に位置する。カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の上流に位置する。カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口は、カートリッジの第二の区画の近位端に位置する。カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の上流に位置する。
【0104】
こうした実施形態において、カートリッジは、第一の区画と第二の区画のうちの一方または両方、および空気出口と連通する第三の区画をさらに含みうる。こうした実施形態において、カートリッジは、第一の区画、第二の区画または第三の区画(存在する場合)、および空気出口と連通するマウスピースをさらに含みうる。
【0105】
カートリッジが第三の区画をさらに含む実施形態では、第三の区画は、一つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、第三の区画は、活性炭などの一つ以上の吸収材、メントールなどの一つ以上の風味剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0106】
第一の区画は長さL1と最大横断断面積A1とを有する細長い第一の区画であり、第一の区画は、第一の空気吸込み口と第一の空気出口とを有し、上記の通り、ニコチンで充填された第一の担体材料を含むニコチン供与源を含有することが好ましい。
【0107】
第二の区画は、長さL2と最大横断断面積A2とを有する細長い第二の区画であり、第二の区画は、第二の空気吸込み口と第二の空気出口とを有し、酸供与源を含有し、第一の区画および第二の区画はカートリッジ内に平行に配置され、比(L1)2:A1は少なくとも12:1であり、比(L2)2:A2は少なくとも12:1であることが好ましい。
【0108】
有利なことには、長さL1と最大横断断面積A1とを有する細長い第一の区画と、長さL2と最大横断断面積A2とを有する細長い第二の区画と、を提供することであって、(L1)2とA1の比、および(L2)2とA2の比が、少なくとも約12:1である、該提供することによって、カートリッジの使用中、第一の区画におけるニコチン供与源と、第二の区画における酸供与源との均一な加熱が容易になる。また、これにより、第一の区画におけるニコチン供与源からのニコチンの気化および第二の区画における酸供与源からの酸の気化が容易になりうる。
【0109】
(L1)2とA1の比は、約12:1~約400:1であることが好ましい。
【0110】
(L1)2とA1の比は、少なくとも約15:1であることが好ましい。
【0111】
(L1)2とA1の比は、約15:1~約200:1であることが好ましい。
【0112】
(L1)2とA1の比は、少なくとも約20:1であることが好ましい。
【0113】
(L1)2とA1の比は、約20:1~約100:1であることが好ましい。
【0114】
例えば、(L1)2とA1の比は、約25:1~約70:1、または約30:1~約70:1であってもよい。
【0115】
(L2)2とA2の比は、約12:1~約400:1であることが好ましい。
【0116】
(L2)2とA2の比は、少なくとも約15:1であることが好ましい。
【0117】
(L2)2とA2の比は、約15:1~約200:1であることが好ましい。
【0118】
(L2)2とA2の比は、少なくとも約20:1であることが好ましい。
【0119】
(L2)2とA2の比は、約20:1~約100:1であることが好ましい。
【0120】
例えば、(L2)2とA2の比は、約25:1~約70:1、または約30:1~約70:1であってもよい。
【0121】
別個の空気吸込み口と別個の空気出口とを備えた別個の区画にニコチン供与源および酸供与源を提供することによって、有利なことには、ニコチンと酸の間の反応化学量論の制御が容易になりうる。
【0122】
適切な反応化学量論を達成するために必要なニコチンと酸の比は、第一の区画の容積を第二の区画の容積に対して変動させることにより制御されてバランスを取りうる。
【0123】
カートリッジの第一の区画の形状および寸法は、望ましい量のニコチンがカートリッジ内に収容可能になるように選択されうる。
【0124】
カートリッジの第二の区画の形状および寸法は、望ましい量の酸がカートリッジ内に収容可能になるように選択されうる。
【0125】
第一の区画は、長さL1、幅W1、および高さH1を有してもよく、第二の区画は、長さL2、幅W2、および高さH2を有してもよい。有利なことには、L1とW1の比およびL2とW2の比は、約2:1~約4:1とすることができ、例えば約5:2~約3:1でありうる。有利なことには、L1とH1の比およびL2とH2の比は、少なくとも約6:1でありうる。
【0126】
有利なことには、L1とH1の比およびL2とH2の比は、約6:1~約30:1でありうる。有利なことには、L1とH1の比およびL2とH2の比は、約8:1~約16:1でありうる。
【0127】
有利なことには、カートリッジの第一の区画は、約8ミリメートル~約40ミリメートル、例えば約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さL1を有する。有利なことには、カートリッジの第一の区画は、約4ミリメートル~約6ミリメートルの幅W1を有する。有利なことには、カートリッジの第一の区画は、約0.5ミリメートル~約2.5ミリメートルの高さH1を有する。
【0128】
カートリッジの第一の区画は、適切な任意の形状の横断断面を持ちうる。例えば、第一の区画の横断断面形状は、円形、半円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、または台形でありうる。
【0129】
有利なことには、カートリッジの第二の区画は、約8ミリメートル~約40ミリメートル、例えば約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さL2を有する。有利なことには、カートリッジの第二の区画は、約4ミリメートル~約6ミリメートルの幅W2を有する。有利なことには、カートリッジの第二の区画は、約0.5ミリメートル~約2.5ミリメートルの高さH2を有する。
【0130】
カートリッジの第二の区画は、適切な任意の形状の横断断面を持ちうる。例えば、第二の区画の横断断面形状は、円形、半円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、または台形でありうる。
【0131】
カートリッジの第一の区画と第二の区画の形状および寸法は、同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0132】
第一の区画の長さL1と第二の区画の長さL2の比は、約2:1~約1:2であることが有利であり、約1.2:1~約1:1.2であることがさらに有利である。
【0133】
第一の区画の最大横断断面積A1と第一の区画の最大横断断面積A2の比は、約2:1~約1:2であることが有利であり、約1.2:1~約1:1.2であることがさらに有利である。
【0134】
有利なことには、第一の区画と第二の区画の形状および寸法は、実質的に同一である。実質的に同一の形状および寸法を備えた第一の区画と第二の区画とを提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0135】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口とが、それぞれ一つ以上の開口部を含んでもよい。例えば、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口とが、それぞれ一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの開口部を含みうる。
【0136】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口とが、同一または異なる数の開口部を含んでもよい。
【0137】
有利なことには、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口とが、それぞれ複数の開口部を含む。例えば、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口とが、それぞれ二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの開口部を含みうる。
【0138】
複数の開口部を含む第一の空気吸込み口を備えた第一の区画と、複数の開口部を含む第二の空気吸込み口を備えた第二の区画とを提供することによって、有利なことに、それぞれ第一の区画内および第二の区画内で、より均一な気流がもたらされうる。これにより、使用時に、第一の区画を通して引き出される気流におけるニコチンの混入が改善され、また第二の区画を通して引き出される気流における酸の混入が改善されうる。
【0139】
適切な反応化学量論を達成するために必要なニコチンと酸の比は、カートリッジの第一の区画を通る空気流量を、カートリッジの第二の区画を通る空気流量に対して変動させることにより制御されてバランスを取りうる。第一の区画を通る空気流量の、第二の区画を通る空気流量に対する比は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口を形成する開口部の数、寸法、および位置のうちの一つ以上を、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口を形成する開口部の数、寸法、および位置に対して変動させることにより制御されうる。
【0140】
酸供与源が乳酸を含む実施形態では、有利なことには、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の流れ面積は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積よりも大きい。
【0141】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「流れ面積」という用語は、使用中に空気がそれを通して流れる空気吸込み口また空気出口の断面積を記述するために使用される。空気吸込み口または空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、空気吸込み口または空気出口の流れ面積は、空気吸込み口または空気出口の全流れ面積となり、空気吸込み口または空気出口を形成する複数の開口部の各々の合計流れ面積と等しい。空気吸込み口または空気出口の断面積が気流の方向で変動する実施形態では、空気吸込み口または空気出口の流れ面積は、気流の方向における最小断面積となる。
【0142】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の流れ面積を、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積に対して増加させることで、有利なことに、第二の空気吸込み口を通る空気流量が、第一の空気吸込み口を通る空気流量に比べて増加する。
【0143】
酸供与源が乳酸を含む実施形態では、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の流れ面積の比が、約3:4~約1:2であることが好ましい。カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の流れ面積の比は、約2:3~約1:2であることがより好ましい。
【0144】
第二の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部のサイズを、第一の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部のサイズに対して増加させること、および、第二の空気吸込み口を形成する開口部の数を、第一の空気吸込み口を形成する開口部の数に対して増加させることのうちの一方または両方によって、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の流れ面積が、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積に比べて増加しうる。
【0145】
有利なことには、第二の空気吸込み口を形成する開口部の数を、第一の空気吸込み口を形成する開口部の数に対して増加させることによって、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の流れ面積が、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積に比べて増加する。
【0146】
有利なことには、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口は、二つ~五つの開口部を含む。有利なことには、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口は、三つ~七つの開口部を含む。
【0147】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積は、約0.1平方ミリメートル~約1.6平方ミリメートルであることが有利であり、約0.2平方ミリメートル~約0.8平方ミリメートルであることがより有利である。
【0148】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積が第一の空気吸込み口を形成する開口部間で不均等に分けられるように、異なる流れ面積を有しうる。
【0149】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部の各々は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口の流れ面積が第一の空気吸込み口を形成する開口部間で等しく分けられるように、同一の流れ面積を有しうる。実質的に同一の流れ面積を有する複数の開口部を含む第一の空気吸込み口を備えた第一の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0150】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口は、適切な任意の断面形状を有する一つ以上の開口部を含みうる。例えば、各開口部の断面形状は、円形、楕円形、正方形、または長方形でありうる。有利なことには、各開口部は、実質的に円形の断面形状を有する。有利なことには、各開口部の直径は、約0.2ミリメートル~約0.6ミリメートルである。
【0151】
酸供与源が乳酸を含む実施形態では、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の流れ面積は、約0.2平方ミリメートル~約2.4平方ミリメートルであることが有利であり、約0.4平方ミリメートル~約1.2平方ミリメートルであることがより有利である。
【0152】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の全流れ面積が第二の空気吸込み口を形成する開口部間で不均等に分けられるように、異なる流れ面積を有しうる。
【0153】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部の各々は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口の全流れ面積が第二の空気吸込み口を形成する開口部間で等しく分けられるように、同一の流れ面積を有しうる。実質的に同一の流れ面積を有する複数の開口部を含む第二の空気吸込み口を備えた第二の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0154】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口は、適切な任意の断面形状を有する一つ以上の開口部を含みうる。例えば、各開口部の断面形状は、円形、楕円形、正方形、または長方形でありうる。有利なことには、各開口部は、実質的に円形の断面形状を有する。有利なことには、各開口部の直径は、約0.2ミリメートル~約0.6ミリメートルである。
【0155】
有利なことには、第一の区画は、長手方向の第一の空気吸込み口を備え、第二の区画は、長手方向の第二の空気吸込み口を備える。
【0156】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「長手方向の空気吸込み口」という用語は、それを通して空気がカートリッジの構成要素または構成要素の部分の中へ長手方向に吸い込まれうる一つ以上の開口部を描写するために使用される。
【0157】
有利なことには、カートリッジを初めて使用する前に、第一の区画の第一の空気吸込み口および第二の区画の第二の空気吸込み口のうちの一方または両方が、一つ以上の取り外し可能または壊れやすいバリアで封止されうる。例えば、第一の区画の第一の空気吸込み口および第二の区画の第二の空気吸込み口のうちの一方または両方が、一つ以上の剥ぎ取り式シールまたは貫通可能なシールで封止されてもよい。
【0158】
一つ以上の取り外し可能または壊れやすいバリアは適切な任意の材料で形成されうる。例えば、一つ以上の取り外し可能または壊れやすいバリアは金属の箔またはフィルムで形成されうる。
【0159】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口とが、それぞれ一つ以上の開口部を含んでもよい。例えば、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口とが、それぞれ一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの開口部を含みうる。
【0160】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口とが、同一または異なる数の開口部を含んでもよい。
【0161】
有利なことには、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口とが、それぞれ複数の開口部を含みうる。例えば、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口とが、それぞれ二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの開口部を含みうる。複数の開口部を含む第一の空気出口を備えた第一の区画と、複数の開口部を含む第二の空気出口を備えた第二の区画とを提供することによって、有利なことに、それぞれ第一の区画内および第二の区画内で、より均一な気流がもたらされうる。これにより、使用時に、第一の区画を通して引き出される気流におけるニコチンの混入が改善され、また第二の区画を通して引き出される気流における酸の混入が改善されうる。
【0162】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、有利なことに、第一の空気出口は、2つ~5つの開口部を含む。カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、有利なことに、第二の空気出口は、3つ~7つの開口部を含む。
【0163】
有利なことには、カートリッジ組立品のカートリッジの第一の区画にある第一の空気出口と、カートリッジ組立品のカートリッジの第二の区画にある第二の空気出口とは、それぞれ単一の開口部を含みうる。単一の開口部を含む第一の空気出口を備えた第一の区画と、単一の開口部を含む第二の空気出口を備えた第二の区画とを提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0164】
適切な反応化学量論を達成するために必要なニコチンと酸の比は、カートリッジの第一の区画を通る空気流量を、カートリッジの第二の区画を通る空気流量に対して変動させることにより制御されてバランスを取りうる。第一の区画を通る空気流量の、第二の区画を通る空気流量に対する比は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口を形成する開口部の数、寸法、および位置のうちの一つ以上を、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口を形成する開口部の数、寸法、および位置に対して変動させることにより制御されうる。
【0165】
第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積と、同一であっても、または異なってもよい。カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積より大きくてもよい。
【0166】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積を、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積に対して増加させることで、有利なことに、第二の空気出口を通る空気流量が、第一の空気出口を通る空気流量に比べて増加しうる。
【0167】
酸供与源が乳酸を含む実施形態では、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積の比は、約3:4~約1:2であることが好ましい。カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積と、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積の比は、約2:3~約1:2であることがより好ましい。
【0168】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積が、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積よりも大きい実施形態では、第二の空気出口を形成する一つ以上の開口部のサイズを、第一の空気出口を形成する一つ以上の開口部のサイズに対して増加させること、および第二の空気出口を形成する開口部の数を、第一の空気出口を形成する開口部の数に対して増加させることのうちの一方または両方によって、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積が、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積に比べて増加しうる。
【0169】
有利なことには、第二の空気出口を形成する開口部の数を、第一の空気出口を形成する開口部の数に対して増加させることによって、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積が、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積に比べて増加する。
【0170】
カートリッジの第一の区画にある、第一の空気吸込み口および第一の空気出口は、同一または異なる数の開口部を含んでもよい。有利なことには、カートリッジの第一の区画にある、第一の空気吸込み口および第一の空気出口は、同数の開口部を含む。同数の開口部を含む第一の空気吸込み口と第一の空気出口とを備えた第一の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0171】
カートリッジの第二の区画にある、第二の空気吸込み口および第二の空気出口は、同一または異なる数の開口部を含んでもよい。有利なことには、カートリッジの第二の区画にある、第二の空気吸込み口および第二の空気出口は、同数の開口部を含む。同数の開口部を含む第二の空気吸込み口と第二の空気出口とを備えた第二の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積は、約0.1平方ミリメートル~約5平方ミリメートルであることが有利である。
【0172】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積が第一の空気出口を形成する開口部間で不均等に分けられるように、異なる流れ面積を有しうる。
【0173】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部の各々は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口の流れ面積が第一の空気出口を形成する開口部間で等しく分けられるように、同一の流れ面積を有しうる。実質的に同一の流れ面積を有する複数の開口部を含む第一の空気出口を備えた第一の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0174】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口は、適切な任意の断面形状を有する一つ以上の開口部を含みうる。例えば、各開口部の断面形状は、円形、楕円形、正方形、または長方形でありうる。カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、有利なことに、各開口部は、実質的に円形の断面形状を有する。このような実施形態では、有利なことには、各開口部の直径は、約0.2ミリメートル~約0.6ミリメートルである。
【0175】
カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部の寸法は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口を形成する一つ以上の開口部の寸法と同一であっても、または異なってもよい。
【0176】
有利なことには、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部の寸法は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口を形成する一つ以上の開口部の寸法と実質的に同一でありうる。実質的に同一の寸法の一つ以上の開口部を含む、第一の空気吸込み口と第一の空気出口とを備えた第一の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0177】
有利なことには、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口を形成する一つ以上の開口部の寸法は、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部の寸法より大きくしうる。カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口を形成する開口部の寸法を、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口を形成する開口部の寸法に対して増加させることで、有利なことに、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口が、例えばダストによって、塞がれるようになるリスクが減少しうる。
【0178】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の流れ面積は、約0.1平方ミリメートル~約5平方ミリメートルであることが有利である。
【0179】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の全流れ面積が第二の空気出口を形成する開口部間で不均等に分けられるように、異なる流れ面積を有しうる。
【0180】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、開口部の各々は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口の全流れ面積が第二の空気出口を形成する開口部間で等しく分けられるように、同一の流れ面積を有しうる。実質的に同一の流れ面積を有する複数の開口部を含む第二の空気出口を備えた第二の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0181】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口は、適切な任意の断面形状を有する一つ以上の開口部を含みうる。例えば、各開口部の断面形状は、円形、楕円形、正方形、または長方形でありうる。カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口が複数の開口部を含む実施形態では、有利なことに、各開口部は、実質的に円形の断面形状を有する。このような実施形態では、有利なことには、各開口部の直径は、約0.2ミリメートル~約0.6ミリメートルである。
【0182】
カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部の寸法は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口を形成する一つ以上の開口部の寸法と同一であっても、または異なってもよい。
【0183】
有利なことには、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部の寸法は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口を形成する一つ以上の開口部の寸法と実質的に同一でありうる。実質的に同一の寸法の一つ以上の開口部を含む、第二の空気吸込み口と第二の空気出口とを備えた第二の区画を提供することによって、有利なことに、カートリッジの製造が簡略化されうる。
【0184】
有利なことには、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口を形成する一つ以上の開口部の寸法は、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部の寸法より大きくしうる。カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口を形成する開口部の寸法を、カートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口を形成する開口部の寸法に対して増加させることで、有利なことに、カートリッジの第二の区画にある第二の空気出口が、例えばダストによって、塞がれるようになるリスクが減少しうる。
【0185】
有利なことには、第一の区画は、長手方向の第一の空気出口を備え、第二の区画は、長手方向の第二の空気出口を備える。
【0186】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「長手方向の空気出口」という用語は、それを通して空気がカートリッジの構成要素または構成要素の部分から外へ長手方向に引き出されうる一つ以上の開口部を描写するために使用される。
【0187】
有利なことには、カートリッジを初めて使用する前に、第一の区画の第一の空気出口および第二の区画の第二の空気出口のうちの一方または両方が、一つ以上の取り外し可能または壊れやすいバリアで封止されうる。例えば、第一の区画の第一の空気出口および第二の区画の第二の空気出口のうちの一方または両方が、一つ以上の剥ぎ取り式シールまたは貫通可能なシールで封止されてもよい。
【0188】
一つ以上の取り外し可能または壊れやすいバリアは適切な任意の材料で形成されうる。例えば、一つ以上の取り外し可能または壊れやすいバリアは金属の箔またはフィルムで形成されうる。
【0189】
有利なことには、カートリッジを初めて使用する前に、カートリッジの第一の区画にある、第一の空気吸込み口および第一の空気出口、ならびにカートリッジの第二の区画にある、第二の空気吸込み口および第二の空気出口が、一つ以上の取り外し可能または壊れやすいバリアで封止される。
【0190】
カートリッジは、第一の区画および第二の区画の下流にある、ならびに第一の区画の第一の空気出口および第二の区画の第二の空気出口に流体連通した、第三の区画をさらに含みうる。第一の気流内のニコチン蒸気は、第二の気流内の酸蒸気と第三の区画で反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成しうる。
【0191】
カートリッジが第三の区画をさらに備える実施形態では、第三の区画は、一つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、第三の区画は、一つ以上の吸収材、一つ以上の風味剤、一つ以上の化学感覚剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0192】
第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で互いに対して対称的に配置されうる。
【0193】
有利なことには、カートリッジは、細長いカートリッジである。カートリッジが細長いカートリッジであり、基体区画が第一および第二の区画を含む実施形態では、カートリッジの第一の区画と第二の区画とが、カートリッジの長軸方向軸の周りに対称的に配置されうる。
【0194】
カートリッジは、適切な任意の形状を持ちうる。例えば、カートリッジは実質的に円柱状でもよい。カートリッジは、適切な任意の形状の横断断面を持ちうる。例えば、カートリッジの横断断面形状は、円形、半円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、または台形でありうる。
【0195】
カートリッジは、任意の適切なサイズを持ちうる。
【0196】
例えば、カートリッジは、約5ミリメートル~約50ミリメートルの長さを有しうる。有利には、カートリッジは、約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有しうる。
【0197】
例えば、カートリッジは、約4ミリメートル~約10ミリメートルの幅と、約4ミリメートル~約10ミリメートルの高さとを有しうる。有利には、カートリッジは、約6ミリメートル~約8ミリメートルの幅と、約6ミリメートル~約8ミリメートルの高さとを有しうる。
【0198】
本発明によるエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジは、適切な任意の方法により形成されうる。適切な方法には、深絞り図面、射出成形、ブリスタリング、吹込み成形および押し出しが含まれるがこれに限定されない。
【0199】
好ましい実施形態において、カートリッジは実質的に円筒形であり、また第一の区画、第二の区画、および存在する場合には第三の区画は、円筒形カートリッジの向かい合った実質的に平面の端面間を長軸方向に延びる。
【0200】
カートリッジは、第一の区画のニコチンと第二の区画の酸とが涸渇すると、廃棄されるように設計されうる。カートリッジは、再充填可能になるように設計されうる。好ましい実施形態において、カートリッジは消耗品であり、エアロゾル発生装置は再利用可能である。
【0201】
有利なことには、カートリッジは、本体部分と、一つ以上の端部キャップとを含む。
【0202】
カートリッジは、本体部分と、遠位端キャップとを含みうる。
【0203】
カートリッジは、本体部分と、近位端キャップとを含みうる。
【0204】
カートリッジは、本体部分と、遠位端キャップと、近位端キャップとを含みうる。
【0205】
カートリッジが遠位端キャップを含む実施形態では、カートリッジの第一の区画にある第一の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部、およびカートリッジの第二の区画にある第二の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部が、遠位端キャップで提供されうる。
【0206】
カートリッジが近位端キャップを含む実施形態において、カートリッジの第一の区画にある第一の空気出口を形成する一つ以上の開口部、およびカートリッジの第二の区画にある第二の空気出口を形成する一つ以上の開口部が、近位端キャップで提供されうる。
【0207】
カートリッジは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。適切な材料には、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、液晶ポリマー(LCP)、および修飾LCP(黒鉛またはガラス繊維を含むLCPなど)が含まれるがこれらに限定されない。
【0208】
カートリッジが本体部分および一つ以上の端部キャップを含む実施形態において、本体部分および一つ以上の端部キャップは、同一または異なる材料から形成されうる。カートリッジは、耐ニコチン性および耐酸性である一つ以上の材料で形成されうる。
【0209】
カートリッジが、第一の区画および第二の区画に貯蔵されるニコチン供与源および酸供与源などの二つ以上のエアロゾル形成基体を含む場合、カートリッジの第一の区画は一つ以上の耐ニコチン性材料で被覆されてもよく、カートリッジの第二の区画は一つ以上の耐酸性材料で被覆されてもよい。
【0210】
適切な耐ニコチン性材料および耐酸性材料の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
一つ以上の耐ニコチン性材料を使用してカートリッジを形成すること、およびカートリッジの第一の区画の内部を被覆することのうちの一方または両方により、有利なことには、カートリッジの貯蔵寿命が延長しうる。一つ以上の耐酸性材料を使用してカートリッジを形成すること、およびカートリッジの第二の区画の内部を被覆することのうちの一方または両方により、有利なことには、カートリッジの貯蔵寿命が延長しうる。
【0212】
カートリッジは、一つ以上の熱伝導性材料から形成されうる。
【0213】
カートリッジが第一の区画および第二の区画に貯蔵されるニコチン供与源および酸供与源などの一つ以上のエアロゾル形成基体を含む場合、カートリッジの第一の区画およびカートリッジの第二の区画は一つ以上の熱伝導性材料で被覆されてもよい。一つ以上の熱伝導性材料を使用してカートリッジを形成すること、ならびにカートリッジの第一の区画および第二の区画の内部を被覆することのうちの一方または両方により、有利なことには、電気ヒーターからニコチン供与源および酸供与源への熱伝達が増大しうる。
【0214】
適切な熱伝導性材料には、例えば、アルミニウム、クロミウム、銅、金、鉄、ニッケルおよび銀などの金属、黄銅および鋼などの合金、およびその組み合わせが含まれるがこれに限定されない。
【0215】
カートリッジの一方または両方の端は一つ以上の壊れやすいバリアによって封止されてもよい。
【0216】
カートリッジが第一の区画および第二の区画に貯蔵されるニコチン供与源および酸供与源などの一つ以上のエアロゾル形成基体を含む場合、ニコチン供与源を含む第一の区画および酸供与源を含む第二の区画は一つ以上の壊れやすいバリアで封止されうる。
【0217】
一つ以上の壊れやすいバリアは任意の適切な材料で形成されうる。例えば、一つ以上の壊れやすいバリアは金属の箔またはフィルムで形成されうる。こうした実施形態において、エアロゾル発生装置は、一つ以上の壊れやすいバリアを破壊するよう構成されている貫通部材をさらに含むことが好ましい。
【0218】
別の方法として、または追加的に、カートリッジの端の一方または両方は、一つ以上の剥ぎ取り式シールによって封止されうる。カートリッジが、第一の区画および第二の区画に貯蔵されたニコチン供与源および酸供与源などの一つ以上のエアロゾル形成基体を含む場合、ニコチン供与源を含む第一の区画および乳酸供与源を含む第二の区画の一方または両方は、一つ以上の取り外し可能なバリアによって封止されうる。例えば、ニコチン供与源を含む第一の区画および乳酸供与源を含む第二の区画のうち一方または両方は、一つ以上の剥ぎ取り式シールによってシールされうる。
【0219】
一つ以上の取り外し可能なバリアは任意の適切な材料で形成されうる。例えば、一つ以上の取り外し可能なバリアは金属の箔またはフィルムで形成されうる。
【0220】
カートリッジが実質的に円筒形である好ましい実施形態において、カートリッジの向かい合った実質的に平面の端面の一方または両方は、一つ以上の壊れやすいバリアにより封止されうる。
【0221】
エアロゾル発生システムは、マウスピースをさらに備えうる。マウスピースは、エアロゾル形成チャンバーを形成しうる。カートリッジが、第一の区画および第二の区画に貯蔵されたニコチン供与源および酸供与源などの一つ以上のエアロゾル形成基体を含む場合、カートリッジの第一の区画におけるニコチン供与源から放出されたニコチン蒸気とカートリッジの第二の区画における酸供与源から放出された酸蒸気とが、マウスピースにおける気相で相互に反応してニコチン塩粒子のエアロゾルを形成しうる。
【0222】
マウスピースは、カートリッジと係合するように構成されうる。
【0223】
マウスピースがカートリッジと係合するように構成された実施形態において、カートリッジとマウスピースとの組み合わせは、紙巻たばこ、葉巻、または細い葉巻などの可燃性喫煙物品の形状および寸法をまねてもよい。有利なことには、こうした実施形態では、カートリッジとマウスピースとの組み合わせは、紙巻たばこの形状および寸法をまねてもよい。
【0224】
マウスピースは、エアロゾル発生装置のハウジングと係合するように構成されうる。マウスピースは、基体区画内のエアロゾル形成基体が枯渇すると、廃棄されるように設計されてもよい。
【0225】
マウスピースは、再利用可能であるように設計されうる。マウスピースが再利用可能であるように設計された実施形態では、マウスピースは、有利なことに、カートリッジまたはエアロゾル発生装置のハウジングに取り外し可能に取り付けられるように構成されうる。
【0226】
マウスピースはフィルターを備えてもよい。フィルターは、低い粒子濾過効率または非常に低い粒子濾過効率を有する場合がある。あるいは、マウスピースは中空管を備えてもよい。
【0227】
「近位」「遠位」「上流」および「下流」という用語は、本発明に関連して本明細書で使用される時、カートリッジ、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムの、構成要素または構成要素の部分の相対的位置を記述するために使用される。
【0228】
本発明によるエアロゾル発生システムは、使用時にユーザーに送達するために、それを通してニコチン塩粒子のエアロゾルがエアロゾル発生システムを抜け出る近位端を備える。近位端は口側の端と呼ばれることもある。使用時に、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを吸入するために、ユーザーはエアロゾル発生システムの近位端を吸う。エアロゾル発生システムは近位端と向かい合った遠位端を備える。
【0229】
ユーザーがエアロゾル発生システムの近位端で吸い込む時、空気はエアロゾル発生システムに引き出され、カートリッジを通過し、その近位端でエアロゾル発生システムから出る。エアロゾル発生システムの構成要素、または構成要素の部分は、エアロゾル発生システムの近位端と遠位端との間の相対的な位置に基づき、互いに上流または下流にあるものとして描写されうる。
【0230】
本発明に関連して本明細書で使用される時、「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生システム、カートリッジまたはエアロゾル発生装置の近位端とそれに向かい合った遠位端との間の方向を記述するために使用され、また「横断方向」という用語は、長軸方向と直角をなす方向を記述するために使用される。
【0231】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、エアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の遠位端と近位端との間の最大長軸方向寸法を意味する。
【0232】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「高さ」および「幅」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの長手方向軸に対して直角をなす、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの、構成要素または構成要素の部分の最大横断寸法を描写するために使用される。カートリッジまたはエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の高さと幅とが同一ではない場合、「幅」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの長手方向軸に対して直角をなす二つの横断寸法のうちの大きい方を表すために使用される。
【0233】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「細長い」という用語は、その幅および高さよりも大きい長さを有するカートリッジの構成要素または構成要素の部分を描写するために使用される。
【0234】
本発明の第二の態様によれば、基体区画およびヒーターくぼみを画定するカートリッジ本体と基体区画内に位置付けられたエアロゾル形成基体とを含むカートリッジで使用されるエアロゾル発生装置が提供されており、該装置は、カートリッジ本体の少なくとも一部分を受けるための装置くぼみを画定するハウジングと、装置くぼみ内に位置する細長い電気ヒーターと、電気ヒーターがその長さの少なくとも一部に沿って熱伝導性のあるシース内に実質的に封入されるように細長い電気ヒーター上に固定された熱伝導性のあるシースと、を含む。熱伝導性のあるシースおよび電気ヒーターは、カートリッジが装置くぼみに受けられたときにカートリッジのヒーターくぼみ内に延び、その結果、使用時に、カートリッジの基体区画が熱伝導性のあるシースを介して電気ヒーターによって加熱されるように構成される。
【0235】
本発明のさらなる態様によれば、第一の態様によるエアロゾル発生システムまたは第二の態様によるエアロゾル発生装置で使用される熱伝導性のあるシースが提供されている。
【0236】
本発明の第三の態様によれば、エアロゾル発生システム用のキットが提供されており、キットは、エアロゾル発生システム用の一つ以上のカートリッジと、一つ以上の熱伝導性のあるシースとを備え、各カートリッジは、基体区画およびヒーターくぼみを画定するカートリッジ本体を含み、各熱伝導性のあるシースは、一つ以上のカートリッジのヒーターくぼみ内に延び、使用時に、電気ヒーターがその長さの少なくとも一部分に沿って熱伝導性のあるシース内に実質的に封入されるように、および、カートリッジの基体区画が熱伝導性のあるシースを介して電気ヒーターによって加熱されるように、エアロゾル発生の細長い電気ヒーター上に固定されるように構成される。
【0237】
本発明の第四の態様によれば、基体区画およびヒーターくぼみを画定するカートリッジ本体を含むカートリッジ、および基体区画内に位置付けられたエアロゾル形成基体を提供する工程と、カートリッジ本体の少なくとも一部分を受けるための装置くぼみを画定するハウジング、および装置くぼみ内に位置する細長い電気ヒーターを含むエアロゾル発生装置を提供する工程と、ヒーターくぼみの寸法および電気ヒーターの寸法に基づいて熱伝導性のあるシースを選択する工程と、電気ヒーターがその長さの少なくとも一部に沿って熱伝導性のあるシース内に実質的に封入されるように、電気ヒーター上に熱伝導性のあるシースを固定する工程と、熱伝導性のあるシースおよび電気ヒーターがカートリッジのヒーターくぼみ内に延びるように、および熱伝導性のあるシースが電気ヒーターの外表面およびヒーターくぼみの内側表面の両方と接触するように、カートリッジを装置くぼみ内に挿入する工程と、を含む、カートリッジで使用するためにエアロゾル発生装置を適合させる方法が提供されている。
【0238】
本発明の一つの態様に関連して説明した特徴が、本発明の別の態様に適用されてもよいことは明らかである。特に、第一の態様のシステムに関連して説明した特徴は、第二の態様の装置、第三の態様のキット、または第四の態様の方法にも同様に適用されてよく、その逆も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0239】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジを示す。
【
図3】
図3は、
図1のエアロゾル発生システムの長軸方向の断面図であり、カートリッジがエアロゾル発生装置に受けられている。
【
図4】
図4は、シースの第一の実施形態の拡大図を示す。
【
図5】
図5は、カートリッジ内に位置付けられた第一の実施形態のシースを有する、
図1のエアロゾル発生システムの一部切り欠き図を示す。
【
図6】
図6は、シースの第二の実施形態の一部分の拡大図を示す。
【
図7】
図7は、
図6のシースの一部のプロフィールを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0240】
図1は、乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生させるための、本発明によるエアロゾル発生システム10の概略図を示す。エアロゾル発生システム10は、エアロゾル発生装置100およびカートリッジ組立品200、およびマウスピース300を備える。
【0241】
図2は、
図1のエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ組立品200の概略図を示す。カートリッジ200は、細長い本体202、遠位端キャップ204および近位端キャップ206を含み、約15ミリメートルの長さ、約7ミリメートルの幅および約5.2ミリメートルの高さを有する。本体202は、約13ミリメートルの長さ、約7ミリメートルの幅、および約5.2ミリメートルの高さを有する。遠位端キャップ204および近位端キャップ206はそれぞれ、約2ミリメートルの長さ、約7ミリメートルの幅、および約5.2ミリメートルの高さを有する。
【0242】
カートリッジ200は、本体202の近位端から本体202の遠位端まで延びる第一の細長い区画208を含む。第一の区画208は、約10ミリグラムのニコチンと約4ミリグラムのメントールとが含浸された第一の担体材料210を含む、ニコチン供与源を含有する。
【0243】
また、カートリッジ200は、本体202の遠位端から本体202の遠位端まで延びる細長い第二の区画212を含む。第二の区画212は、約20ミリグラムの乳酸が含浸された第二の担体材料214を含む乳酸供与源を含有する。
【0244】
第一の区画208および第二の区画212は、平行に配置される。
【0245】
カートリッジ200はさらに、エアロゾル発生装置の電気ヒーターを受けるためのヒーターくぼみ216を含み、電気ヒーターは、第一の区画208および第二の区画212を加熱するように構成される。くぼみ216は、第一の区画208と第二の区画212との間に位置し、本体202の近位端から本体202の遠位端まで延びる。くぼみ216は、実質的にスタジアム形状の横断断面を有し、約6.3ミリメートルの幅、および約1ミリメートルの高さを有する。
【0246】
遠位端キャップ204は、間隙を介した三つの開口部の列を含む第一の空気吸込み口218と、間隙を介した五つの開口部の列を含む第二の空気吸込み口220とを含む。第一の空気吸込み口218と第二の空気吸込み口220とを形成する開口部の各々は、実質的に円形の横断断面を有し、約0.3ミリメートルの直径を有する。第一の空気吸込み口218の流れ面積は約0.21平方ミリメートルであり、第二の空気吸込み口220の流れ面積は約0.35平方ミリメートルである。第一の空気吸込み口218の流れ面積と、第二の空気吸込み口220の流れ面積の比は、約3:5である。遠位端キャップ204は、第一の空気吸込み口218と第二の空気吸込み口220との間に位置する第三の入口222をさらに含む。第三の入口222は、実質的にスタジアム形状の横断断面を有し、約6.3ミリメートルの幅、および約1ミリメートルの高さを有する。
【0247】
近位端キャップ206は、間隙を介した三つの開口部の列を含む第一の空気出口224と、間隙を介した五つの開口部の列を含む第二の空気出口226とを含む。第一の空気出口224と第二の空気出口226とを形成する開口部の各々は、実質的に円形の横断断面を有し、約0.3ミリメートルの直径を有する。第一の空気出口224の流れ面積は約0.21平方ミリメートルであり、第二の空気出口226の流れ面積は約0.35平方ミリメートルである。第一の空気出口224の流れ面積と、第二の空気出口226の流れ面積の比は、約3:5である。
【0248】
カートリッジ200を形成するために、第一の空気出口224が第一の区画208と整列し、第二の空気出口226が第二の区画212と整列するように、近位端キャップ206が本体202の近位端に挿入される。ニコチンおよびメントールが含浸された第一の担体材料210は第一の区画208に挿入され、乳酸が含浸された第二の担体材料214は第二の区画212に挿入される。遠位端キャップ204は、次いで、第一の空気吸込み口218が第一の区画208と整列し、第二の空気吸込み口220が第二の区画212と整列し、および第三の入口222がヒーターくぼみ216と整列するように、本体202の遠位端に挿入される。
【0249】
第一の区画208および第二の区画212は、実質的に同一の形状およびサイズである。第一の区画208および第二の区画212は、実質的に長方形の横断断面を有し、約11ミリメートルの長さ、約4.3ミリメートルの幅、および約1ミリメートルの高さを有する。第一の担体材料210および第二の担体材料214は、PET/PBTの不織布シートを含み、また実質的に同一の形状およびサイズである。第一の担体材料210および第二の担体材料214の形状およびサイズは、それぞれ、カートリッジ2の第一の区画208および第二の区画212の形状およびサイズと同様である。
【0250】
第一の空気吸込み口218は、第一の空気流が、第一の空気吸込み口218を通してカートリッジ200に入り、第一の区画208を通って、第一の空気出口224を通してカートリッジ200から外へ出ることができるように、第一の空気出口224と流体連通している。第二の空気吸込み口220は、第二の空気流が、第二の空気吸込み口220を通してカートリッジ200に入り、第二の区画212を通って、第二の空気出口226を通してカートリッジ2から外へ出ることができるように、第二の空気出口226と流体連通している。
【0251】
カートリッジ200を初めて使用する前に、第一の空気吸込み口218および第二の空気吸込み口220は、遠位端キャップ204の外部面に貼り付けられた取り外し可能な剥ぎ取り式の箔シールまたは貫通可能な箔シール(図示せず)で封止されうる。同様に、カートリッジ200を初めて使用する前に、第一の空気出口224および第二の空気出口226は、近位端キャップ206の外部面に貼り付けられた取り外し可能な剥ぎ取り式の箔シールまたは貫通可能な箔シール(図示せず)で封止されうる。
【0252】
図3は、
図1のエアロゾル発生システム10の長軸方向の断面の概略図であり、カートリッジ200がエアロゾル発生装置100に受けられている。
図3に示す通り、エアロゾル発生装置100は、カートリッジ200を受けるための装置くぼみ104およびカートリッジ200と係合するマウスピース300の上流部分を画定するハウジング102を含む。エアロゾル発生装置100はさらに、基部107から延びる細長い電気ヒーター106、電力供給源108、および基部107上の電気接点(図示せず)を介して電力供給源108から電気ヒーター106への電力の供給を制御するためのコントローラ110を含む。電気ヒーター106は、装置くぼみ104の中央に位置付けられ、基部107から装置くぼみ104の長軸に沿って延びる。電気ヒーター106は、電気的に絶縁された基体と、電気的に絶縁された基体の上に位置付けられた抵抗発熱体とを含む。電気ヒーター106上に位置付けられるのは、熱伝導性のあるシース112であり、これは、電気ヒーター106用の保護カバーを形成し、使用中に電気ヒーター106とカートリッジ200との間に熱橋を形成する。別の実施形態において(図示せず)、マウスピース300の遠位端は、カートリッジ200ではなくエアロゾル発生装置100のハウジング102の近位端と係合するように構成されうる。
【0253】
使用時に、コントローラ110は、電力供給源108から電気ヒーター106への電力の供給を制御して熱を生成し、次に熱がシース112を介してカートリッジ200に伝達されて、第一の区画208および第二の区画212を約120℃に加熱する。熱伝導性のあるシースは、電気ヒーターからその外表面にわたって熱を拡散させ、シースが存在しない配置に対して、より均質なカートリッジの加熱を確実にする。できるだけ迅速にカートリッジを使用温度にまで上げるために、予熱プロファイルが適用されて発熱体を約30秒間で約200℃に加熱する。予熱後、発熱体の温度は約140℃の実質的に一定の温度にまで下降しうる。
【0254】
ユーザーがマウスピース300の近位端を吸うとき、空気は、エアロゾル発生装置100のハウジング102を通って延びるシステム気流吸込み口を通してエアロゾル発生システム10を通って引き出される。空気は、装置くぼみ104の上流端に向けられ、ここで第一の空気流がカートリッジ200の第一の区画208を通して引き出され、第二の空気流がカートリッジ200の第二の区画212を通して引き出される。第一の空気流が第一の区画208を通って引き出される際に、ニコチン蒸気が第一の担体材料210から第一の空気流へと放出される。第二の空気流が第二の区画212を通って引き出される際に、乳酸蒸気が第二の担体材料214から第二の空気流へと放出される。第一の空気流中のニコチン蒸気と第二の気流中の乳酸蒸気とが、マウスピース300における気相で相互に反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成し、これがマウスピース300の近位端を通してユーザーに送達される。
【0255】
図4は、エアロゾル発生装置100のシース112をより詳細に示す。シース112は、電気ヒーター106よりも幅が広く、シース112が二つの向かい合ったシース壁114を含むように折り曲げ線113に沿ってU字形状に曲げられた、平坦な金属シートから形成される。シース112には、その遠位端にシースマウント116が提供され、これによってシース112が電気ヒーター106上の定位置に保持されうる。この実施例では、シースマウント116は二つのシースマウント部分118を含み、それぞれは、シース壁114の遠位端に提供され、シース壁114、およびそれ故にシースマウント部分118が一緒にされるときにシースマウント116が概してディスク状となるように構成される。シースマウント部分118は、耐高温性を有し、好ましくはPEEKなどの低熱伝導率を有する材料で作製される。本実施例では、それからシース112が形成される金属シートが折り曲げ線113に沿って曲げられるが、折り曲げ線113は、シース112の長軸方向軸に対して横断方向であり、シース112の近位端に位置している。その他の実施例では、折り曲げ線は異なる位置または配向を有してもよい。例えば、金属シートは、シースの長軸方向軸に平行であって、シースの側端に沿って延びる、折り曲げ線に沿って曲げられてもよい。折り曲げ線113は、ばね力を提供して、シース112の遠位端においてシース壁114がわずかに離れるように付勢する。これは、シース112を電気ヒーター106上に位置付ける容易さを改善しうる。それからシース112が作製される金属シートは、適切な任意の厚さを有しうる。本実施例では、金属シートは0.27mmのシート厚さを有する。他の実施例では、所与の構成に対する許容可能なレベルの挿入力および取り外し力と共に、金属シートは、電気ヒーターおよびカートリッジ内のくぼみの寸法に応じて異なる厚さを有しうる。
【0256】
図5は、エアロゾル発生システム10の一部切り欠き図を示しており、図中、シース112は電気ヒーター上かつカートリッジ200のヒーターくぼみ216内に位置付けられている。シース112を装置くぼみ104内に固定するために、シース壁114は、電気ヒーターのいずれかの側に位置付けられ、折り曲げ線113においてばね力に対して一緒に挟まれ、その結果、電気ヒーターはシース壁114によって間に挟まれて被覆される。次に、シース112は装置くぼみ104の遠位端に向かって押されてシースマウント部分118を基部107の周りに延びる隆起したリップ109の内径に対してプレスばねする。このようにして、シースマウント部分118は基部部分107内に確実に保持され、電気ヒーターはシース壁114の間に締め付けられる。次に、カートリッジ200は、電気ヒーター106およびシース112がカートリッジ200のヒーターくぼみ216内に延びるように、マウスピース300と共にくぼみ104に挿入される。シース112は、カートリッジの挿入中に電気ヒーターを保護し、シース壁114がヒーターくぼみ216の内表面と直接接触するような寸法である。従って、熱伝導性のあるシース112は、電気ヒーターとカートリッジとの間の熱橋として機能し、電気ヒーターの形状をカートリッジ200のヒーターくぼみ216に適合させる。
【0257】
図6は、シース412の代替的な実施形態の一部分の拡大図を図示する。第一の実施形態の滑らかで平坦なシースのプロファイルとは違い、シース412は波型プロファイルを有する金属シートから形成される。これは
図7において明瞭に分かり、
図7はシース412の一つのシース壁414のプロファイルを図示する。図示するように、波型形状は、シース412の壁414のそれぞれの外表面上に複数の波型の山417および谷419を形成する。波型形状は、シース壁414を曲げてカートリッジのヒーターくぼみの内表面に適合させることを可能にする。これは、電気ヒーター、シース、およびカートリッジ製造許容差を補正することによって、電気ヒーターとカートリッジとの間の熱的接触の一貫性を改善しうる。これは、異なるカートリッジまたは異なる装置間のより一貫した性能を確保するのに役立ちうる。それらの配向に応じて、波型形状はまた、同じシート厚さを有する平坦なシートに対するシースの慣性モーメントを増大させうる。これは、シースの剛性を増大させ、カートリッジを装置くぼみ内へ挿入する間の電気ヒーターおよびシースの曲がりのリスクを低減しうる。また、所与の剛性または厚さのシースを製造するために必要な材料の量が減少しうる。
図6に示す実施形態において、波型形状は、それぞれの波型形状が二つの異なる方向に延びるように山形に配置される。波型形状を少なくとも二つの異なる方向に延びるように配置することによって、シース412の剛性がすべての方向で維持されうる。これは、それぞれの波型形状がシースの幅または長さ全体にわたって単一の方向に延びる配置とは異なる。こうした配置では、波型形状の方向に平行な軸の周りに曲げモーメントが適用される場合に、シースが曲げの影響を受けやすくなる。
【0258】
上記の特定の実施形態および例は本発明を説明するものであるが、本発明を限定するものではない。当然のことながら、本発明の他の実施形態がなされてもよく、また本明細書で記載した具体的な実施形態および例は網羅的なものでない。