(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】軽量化されたゴム補強材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B60C 9/22 20060101AFI20220823BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20220823BHJP
B60C 9/00 20060101ALI20220823BHJP
B29D 30/46 20060101ALI20220823BHJP
B32B 25/10 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B60C9/22 C
B60C1/00 C
B60C9/00 A
B29D30/46
B32B25/10
(21)【出願番号】P 2019571969
(86)(22)【出願日】2018-06-25
(86)【国際出願番号】 KR2018007136
(87)【国際公開番号】W WO2019004666
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】10-2017-0083785
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0071516
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,オク ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ダ エ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジョン ハ
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043776(JP,A)
【文献】特開平11-115407(JP,A)
【文献】国際公開第2016/038854(WO,A1)
【文献】特開平02-170830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0303337(US,A1)
【文献】特開昭59-109340(JP,A)
【文献】特開平04-082970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00,9/00-9/30
B29D 30/00-30/72
B32B 1/00-43/00
D06M 13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材上にレゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)を含む接着層を形成する段階、および
前記接着層上に10~40重量%の弾性重合組成物および残量の溶媒を含むゴムコンパウンド液を塗布し熱処理してゴムコンパウンド層を形成する段階、を含み、
前記弾性重合組成物は、弾性重合体および添加剤からなり、
前記添加剤は、カーボンブラック、パラフィンオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、および加硫促進剤を含み、
前記ゴムコンパウンド層は、
5μm~30μmの厚さを有する、ゴム補強材の製造方法。
【請求項2】
前記ゴム補強材は、タイヤのキャップフライ、ベルトまたはカーカスに使用される、請求項1に記載のゴム補強材の製造方法。
【請求項3】
前記ゴムコンパウンド液は、12~35重量%の弾性重合組成物および残量の溶媒を含む、請求項1に記載のゴム補強材の製造方法。
【請求項4】
前記溶媒は、トルエン、ナフサ、メタノール、キシレンおよびテトラヒドロフランの中から選択された少なくとも1つを含む、請求項3に記載のゴム補強材の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒は、トルエンとテトラヒドロフランを20:80の重量比に混合した溶媒を含む、請求項4に記載のゴム補強材の製造方法。
【請求項6】
前記弾性重合組成物は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴムおよびネオプレンゴムの中から選択された少なくとも1つのゴム成分を含む、請求項1に記載のゴム補強材の製造方法。
【請求項7】
前記繊維基材上にレゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)を含む接着層を形成する段階は、
前記繊維基材上にレゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)を含む接着コーティング液を塗布し、130~170℃で80~120秒間熱処理する工程を含む、請求項1に記載のゴム補強材の製造方法。
【請求項8】
前記接着層上に10~40重量%の弾性重合組成物を含むゴムコンパウンド液を塗布し熱処理してゴムコンパウンド層を形成する段階は、
前記ゴムコンパウンド液を塗布し80~160℃の温度で30~150秒間熱を印加する段階を含む、請求項1に記載のゴム補強材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの重量を減少させることができる軽量化されたゴム補強材およびその製造方法、並びに該ゴム補強材を含むタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ、ベルトおよびホースなどのゴム構造物に適用されるゴム補強材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル繊維、ナイロンに代表されるポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、およびポリビニルアルコール繊維などの合成繊維を含む繊維状補強材が使用されている。
【0003】
最近、自動車の性能が向上し、道路状況が改善されることによって自動車の走行速度が漸次増加しており、高速走行時にもタイヤの安定性および耐久性を維持できるようにすることが必要である。そのため、タイヤのゴム補強材として使用されるタイヤコードに対する研究が活発に進められている。また、最近ではエネルギー問題、燃料効率および環境問題などを考慮して、軽量でありながら耐久性に優れたタイヤが要求されている。
【0004】
タイヤコードは、使用される部位および役割により区分され、タイヤを全体的に支持するカーカスと、高速走行による荷重を支持し変形を防止するベルトと、ベルトの変形を防止するキャッププライとに大きく分けられる(
図1参照)。特に、最近、自動車の走行速度が増加するのに伴い、タイヤのベルト部分が変形して、乗り心地が低下するなどの問題が発生しており、ベルトの変形を防止するためのキャッププライに対する重要度が増加している。
【0005】
ベルト、カーカスおよびキャッププライの素材としては、例えば、ナイロン、レーヨン、アラミド、および、PETを含むポリエステルなどがある。
【0006】
そのうち、ナイロンは、他の素材に比べて、低い価格、優れた接着性能、および疲労後の接着性能を有するため、多様な規格のタイヤに使用されている。キャッププライの主要機能のうちの1つは、高速でベルトを支持することであるが、ナイロンは、高い収縮応力を有しており、高速でベルトを支持する性能に優れている。しかし、ナイロンは、低いモジュラス値を有し、常温と高温とでの変化が大きいため、タイヤが変形する現象であるフラットスポットなどの現象を誘発するなど、キャッププライとしての弱点を同時に有している。
【0007】
アラミドは、ナイロンに比べて、低い収縮応力、優れたクリープ特性、および、非常に高いモジュラス特性を有する。また、常温と高温とでの、アラミドのモジュラスの変化量が少ないため、アラミドを使用する場合、長時間の駐車でもタイヤにフラットスポットの現象がほとんど発生しない。このようなアラミドは、タイヤの品質が非常に重要視される高級タイヤで、主に使用されているが、高い価格のため、汎用的なタイヤに適用することは困難である。また、アラミドは、高いモジュラスによってタイヤ成形および加硫中の膨張が非常に困難であるため、一般的なタイヤに適用されにくく、低い破断伸度のために長期間の耐久性を確保しにくいという短所を有している。
【0008】
これを補完するために、ナイロンとアラミドとを共に使用するハイブリッド構造の合撚糸が開発されてきた。このような合撚糸を使用する場合、タイヤ製造中の膨張の問題と疲労耐久性の問題を解決することができる。
【0009】
ナイロン、レーヨン、アラミド、PET、ポリエステルまたはハイブリッド合撚糸などの繊維からなるタイヤコードは、ゴムとの接着のために、一般的に、ゴム成分と共に圧延される。つまり、タイヤの製造過程で、圧延工程が随伴する。しかし、タイヤの製造過程でタイヤコードとゴムとの接着のための圧延工程が適用される場合、工程費用が増加し、圧延によりタイヤの密度が必要以上に増加して、タイヤの重量が不必要に増加しうる。
【0010】
タイヤコードにゴムを圧延する工程では、通常、固体状態のゴムが使用される。このようなゴムの圧延によって形成された製品は、200μm以下の薄い薄膜の形態に製作されにくく、このような製品が補強材として使用される場合、タイヤの厚さおよび重量が増加する。
【0011】
一方、最近、タイヤの製造会社では、タイヤの超軽量化および補強材の軽量化のためにゴム層の厚さを減少させようとする。転がり抵抗(Rolling Resistance、R/R)は、タイヤの重量と関連があり、自動車の燃料消費と二酸化炭素の排出に大きな影響を与えている。例えば、転がり抵抗(R/R)が大きいほど、自動車の走行時に必要なエネルギーが増加する。また、自動車の回転、傾斜、加速に対する抵抗は、自動車の重量と密接な関連がある。したがって、タイヤの軽量化によって自動車を軽量化し、その結果、エネルギー消費を減少させるための研究も進められている。
【0012】
したがって、厚さが薄いながらもゴムとの接着力に優れたタイヤコードの開発を必要とするというのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような関連技術の制限および問題点を解消するためのものである。
【0014】
本発明の一実施形態は、優れた粘着性を有し、ゴムに対し優れた接着性を有するゴム補強材を提供しようとするものである。
【0015】
本発明の他の一実施形態は、薄い厚さを有してもタイヤ補強材としての優れた性能を発現できるゴム補強材を提供しようとするものである。
【0016】
本発明のさらに他の一実施形態は、ゴム層の厚さおよびタイヤの軽量化に寄与できるゴム補強材を提供しようとするものである。
【0017】
本発明のさらに他の一実施形態は、固体状態のゴムを使用する圧延工程によっては達成しにくい、薄い厚さのゴムコンパウンド層を有するゴム補強材を提供しようとするものである。
【0018】
本発明のさらに他の一実施形態は、このようなゴム補強材の製造方法および該ゴム補強材を含むタイヤを提供しようとするものである。
【0019】
本発明のさらに他の一実施形態は、軽量化されたタイヤを提供しようとすることである。
【0020】
上記で言及された本発明の観点以外にも、本発明の他の特徴および利点は、以下で説明されるか、または、その説明から、本発明の属する技術分野にて通常の知識を有する者にとり明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するために、本発明の一実施形態は、繊維基材、前記繊維基材上に配置された接着層、および、前記接着層上に配置されたゴムコンパウンド層を含み、前記ゴムコンパウンド層は、5μm~200μmの厚さを有する、ゴム補強材を提供する。
【0022】
前記ゴムコンパウンド層は、5μm~30μmの厚さを有しうる。
【0023】
前記ゴムコンパウンド層は、ゴムコンパウンド液によって形成されたものであり、前記ゴムコンパウンド液は、前記ゴムコンパウンド液の全体の重量に対して、10~40重量%の弾性重合組成物および60~90重量%の溶媒を含む。
【0024】
前記弾性重合組成物は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴムおよびネオプレンゴムの中から選択される少なくとも1つの弾性重合体を含む。
【0025】
前記溶媒は、トルエン、ナフサ、メタノール、キシレンおよびテトラヒドロフランの中から選択される少なくとも1つを含む。
【0026】
前記接着層は、レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)を含む。
【0027】
前記繊維基材は、繊維ヤーンおよびテキスタイル基材のうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
前記テキスタイル基材は、繊維ヤーンを製織してなる織物である。
【0029】
前記ゴム補強材は、3N/inch以上の粘着力を有する。
【0030】
本発明の他の一実施形態は、繊維基材を準備する段階と、前記繊維基材上に接着層を形成する段階と、前記接着層上にゴムコンパウンド液を塗布し熱処理して前記接着層上にゴムコンパウンド層を形成する段階とを含み、前記ゴムコンパウンド液は、前記ゴムコンパウンド液の全体の重量に対して、10~40重量%の弾性重合組成物および60~90重量%の溶媒を含む、ゴム補強材の製造方法を提供する。
【0031】
前記ゴムコンパウンド層は、5μm~200μmの厚さを有する。より具体的には、前記ゴムコンパウンド層は、5μm~30μmの厚さを有することができる。
【0032】
繊維基材を準備する段階は、繊維ヤーン(yarn)を製織してテキスタイル基材を製造する段階を含む。
【0033】
前記ゴム補強材の製造方法は、前記ゴムコンパウンド層を形成する段階の後に、スリットする段階をさらに含む。
【0034】
本発明のさらに他の一実施形態は、前記のゴム補強材を含むタイヤを提供する。
【0035】
前記のゴム補強材は、タイヤのキャッププライ、ベルトおよびカーカスのうちの少なくとも1つに適用される。
【0036】
上記のような本発明に関する一般的な叙述は、本発明を例示または説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲を制限しない。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一実施形態によるゴム補強材は、ゴムに対し優れた接着力を有しているため、タイヤの製造工程で圧延工程を経ずとも、ゴムと強力に接着することができる。本発明によれば、圧延工程を経ずにゴム補強材がゴムに接着するため、タイヤの製造費用が減少し、圧延のために、タイヤの密度が必要以上に増加すること、およびタイヤの重量が不必要に増加することを防止できる。
【0038】
本発明の一実施形態によるゴム補強材が、タイヤのキャッププライ、ベルトまたはカーカスなどに使用される場合、圧延工程が省略されるため、タイヤの製造工程を単純化させることができ、タイヤの厚さおよび全体の重量が減少しうる。また、ゴム補強材の粘着性が大きく増大し、グリーンタイヤの製造時にエアポケット(Air pocket)が減少してタイヤの不良率が減少する。
【0039】
また、本発明の一実施形態によれば、タイヤの超軽量化および補強材の軽量化の目的で、ゴム層の厚さを減少させようとする、タイヤ製造会社の要求を満足させることができる。本発明によれば、薄い厚さを有しかつ優れたゴム補強性能を有するゴム補強材によって、タイヤの重量が減少して転がり抵抗(R/R)が低くなり、自動車の燃費が改善されるだけでなく、二酸化炭素の排出量も低くなりうる。
【0040】
特に、バッテリーを使用する電気自動車の場合、走行距離および燃費の改善のために、車体重量の減少が必要である。本発明の一実施形態による軽量化されたタイヤ補強材が適用される場合、タイヤの軽量化がなされ、電気自動車の燃費の改善および経済性が向上しうる。
【0041】
添付図面は、本発明の理解を助け、本明細書の一部を構成するためのものであり、本発明の実施形態を示しており、発明の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の一実施形態によるタイヤの部分切開図である。
【
図2】本発明の他の一実施形態によるゴム補強材に対する概略的な断面図である。
【
図4】本発明のさらに他の一実施形態によるゴム補強材に対する概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0044】
本発明の技術的な思想および範囲を逸脱しない範囲内で、本発明の多様な変更および変形が可能であることは、当業者にとって自明であろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明、および、その均等物の範囲内に入る変更および変形を全て含む。
【0045】
本発明の実施形態を説明するための図に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものであるから、本発明が、示された事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指し示す。
【0046】
本明細書で言及された‘含む’、‘有する’、‘なる’などが使用される場合は、‘~だけ’が使用されない限り、他の部分が追加されうる。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む。また、構成要素を解釈するに当たり、別途の明示的な記載がなくても誤差の範囲を含むものと解釈する。
【0047】
位置関係に対する説明である場合、例えば、‘~上に’、‘~上部に’、‘~下部に’、‘~隣に’などでもって2つの部分の位置関連が説明される場合、‘すぐに’または‘直接’が使用されない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0048】
時間の関係に対する説明である場合、例えば、‘~後に’、‘~に続いて’、‘~次に’、‘~前に’などでもって時間的前後関係が説明される場合、‘すぐに’、または‘直接’が使用されない限り、連続していない場合を含むこともできる。
【0049】
‘少なくとも1つ’の用語は、1つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されなければならない。
【0050】
本発明の多様な実施形態のそれぞれの特徴が、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動と駆動が可能であり、各実施形態は互いに独立して実施することもでき、連関関係をなすようにして共に実施することもできる。
【0051】
本発明の一実施形態は、ゴム補強材201、301を含むタイヤ101を提供する(
図1および
図2参照)。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態によるタイヤ101の部分切開図である。
【0053】
図1を参照すると、タイヤ101は、トレッド(tread)10、ショルダー(shoulder)20、サイドウォール(side wall)30、ビード(bead)40、ベルト(belt)50、インナーライナ(inner liner)60、カーカス(cacass)70、およびキャッププライ(capply)90を含む。
【0054】
トレッド10は、直接路面と接触する部分である。トレッド10は、キャッププライ90の外側に位置する強力なゴム層で、耐摩耗性に優れたゴムからなる。トレッド10は、自動車の駆動力および制動力を地面に伝達する直接的な役割を果たす。トレッド10の領域には、グルーブ(溝;groove)80が形成されている。
【0055】
ショルダー20は、トレッド10の隅角の部分で、サイドウォール30と連結される部分である。ショルダー20は、サイドウォール30とともに、タイヤの中で最も弱い部分の1つである。
【0056】
サイドウォール30は、トレッド10とビード40とを連結するタイヤ101の側部で、カーカス70を保護し、タイヤに側面安定性を提供する。
【0057】
ビード40は、カーカス70の端部を巻き付ける鋼線が入っている領域であって、鋼線にゴム膜を被覆し、コード地を巻いて包んだ構造からなる。ビード40は、タイヤ101をホイールリム(wheel rim)に装着・固定する役割を果たす。
【0058】
ベルト50は、トレッド10とカーカス70との中間に位置するコード層である。ベルト50は、外部からの衝撃や外的条件による、カーカス70などの内部構成要素の損傷を防止する役割を果たし、トレッド10の形状を偏平に維持して、タイヤ101と路面との接触が最上の状態に維持されるようにする。ベルト50は、本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201、301を含むことができる(
図2および
図4参照)。
【0059】
インナーライナ60は、チューブレス(tubeless)タイヤにてチューブの代わりに使用されるもので、空気透過性がないかまたは非常に少ない特殊ゴムでもって作られる。インナーライナ60は、タイヤ101に充填された空気が漏れないようにする。
【0060】
カーカス70は、強度が強い合成繊維からなるコード地が複数枚重ねられて作られ、タイヤ101の骨格を形成する重要な部分である。カーカス70は、タイヤ101が受ける荷重・衝撃に耐えて、空気圧を維持する役割を果たす。カーカス70は、本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201、301を含むことができる。
【0061】
グルーブ80は、トレッド領域にある太い溝(void)を指称するものである。グルーブ80は、濡れた路面の走行時に、タイヤの排水性を高める機能をする。
【0062】
キャッププライ90は、トレッド10の下の保護層であって、内部の他の構成要素を保護する。キャッププライ90は、高速走行車両に必須的に適用される。特に、自動車の走行速度の増加に伴いタイヤのベルト部分が変形して乗り心地が低下するなどの問題が発生しており、ベルト部分の変形を防止するキャッププライ90の重要性が増加している。キャッププライ90は、本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201、301からなる。
【0063】
本発明の一実施形態によるタイヤ101は、ゴム補強材201、301を含む。ゴム補強材201、301は、キャッププライ90に適用してもよく、ベルト50およびカーカス70のうちの少なくとも1つに適用してもよい。
【0064】
本発明の他の実施形態は、ゴム補強材201、301を提供する。本発明の他の実施形態によるゴム補強材201、301は、繊維基材210、110、繊維基材210、110上に配置された接着層220、および、接着層220上に配置されたゴムコンパウンド層230を含む。
【0065】
繊維基材は、繊維ヤーン(yarn)およびテキスタイル基材210のうちのいずれか1つであってもよい。繊維ヤーンは、合撚糸110を含む。
【0066】
図2は、本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201に対する概略的な断面図である。
【0067】
図2は、ゴム補強材201の繊維基材としてテキスタイル基材210を使用した場合を例示している。しかし、本発明の他の一実施形態はこれに限定されず、繊維基材として繊維ヤーン(yarn)を使用してもよい。
【0068】
テキスタイル基材210として、繊維ヤーン(yarn)を製織してなる織物を用いてもよい。繊維ヤーンとして、例えば、2本以上の下撚り糸111、112が上撚りされてなる合撚糸110を用いてもよい(
図3参照)。繊維ヤーンは、ナイロン、レーヨン、アラミド、および、PETを含むポリエステルのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0069】
本発明の他の一実施形態によれば、ナイロン、レーヨン、アラミド、および、PETを含むポリエステルを使用して製造された織物を、テキスタイル基材210として使用してもよい。例えば、ナイロン、レーヨン、アラミド、および、PETを含むポリエステルの中から選択される下撚り糸111、112が上撚りされてなる合撚糸110の製織によってテキスタイル基材210が作られる。
【0070】
本発明の他の一実施形態によれば、合撚糸110は、互いに同一ではない2本以上の下撚り糸が上撚りされてなるハイブリッド合撚糸を含む。このようなハイブリッド合撚糸は、例えば、ナイロン下撚り糸およびアラミド下撚り糸を含むことができる。
【0071】
【0072】
図3を参照すると、合撚糸110は、第1の下撚り糸111および第2の下撚り糸112を含み、第1の下撚り糸111と第2の下撚り糸112は共に上撚りされている。第1の下撚り糸111は第1の撚り方向を有し、第2の下撚り糸112は第2の撚り方向を有し、第1の下撚り糸111と第2の下撚り糸112は共に第3の撚り方向に上撚りされている。ここで、第2の撚り方向は第1の撚り方向と同じ方向であってもよく、第3の撚り方向は前記第1の撚り方向とは反対の方向であってもよい。しかし、撚り方向は、これに限定されるものではない。
【0073】
第1の撚り数と第2の撚り数とは、同じであるか、または異なってもよい。第1の下撚り糸111と、第2の下撚り糸112とは、例えば、150~500TPM(turns per meter)の撚り数を有することができる。
【0074】
第1の下撚り糸111と第2の下撚り糸112とは、互いに同じであるか、または異なってもよい。例えば、第1の下撚り糸111と第2の下撚り糸112は、それぞれ、ナイロン、レーヨン、アラミドおよびPETを含むポリエステルの中から選択されうる。合撚糸110としては、例えば、第1の下撚り糸111がナイロンであり、第2の下撚り糸112がアラミドであるハイブリッド合撚糸がある。
【0075】
本発明の他の一実施形態によれば、接着層220は、レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックスを含むことができる。例えば、接着層220は、レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)および溶剤を含む、接着コーティング液によって形成することができる。しかし、本発明の一実施形態による接着層220は、これに限定されるものではない。接着層220は、エポキシ化合物の層、および、エポキシ化合物の層の上に配置されたレゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)の層を含むこともできる。
【0076】
レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックスはRFLともいい、接着成分として作用する。レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックスは、特に、繊維基材であるテキスタイル基材210と、ゴム成分との親和性および接着力を向上させて、テキスタイル基材210とゴムコンパウンド層230との接着力を向上させ、ゴム補強材201とゴムとの接着力を向上させる。これによって、テキスタイル基材210と、ゴムコンパウンド層230とが互いに分離せず安定的にくっ付くのであり、タイヤ101の製造過程で不良の発生を防止することができる。また、加硫後、完成したタイヤにて、ゴム補強材201とゴム(例えば、トレッドなど)とが1つのものとして接着されて、優れた接着力を維持できる。
【0077】
ゴムコンパウンド層230は、弾性重合組成物および溶媒を含むゴムコンパウンド液によって形成することができる。ゴムコンパウンド液は、10~40重量%の弾性重合組成物、および、60~90重量%の溶媒を含むことができる。ゴムコンパウンド液に含まれている弾性重合組成物がゴムコンパウンド層230を構成する。
【0078】
より具体的には、ゴムコンパウンド液に含まれている溶媒の揮発を考慮して、製造時の基準に、ゴムコンパウンド液は10~30重量%の弾性重合組成物および70~90重量%の溶媒を含むことができる。この場合、ゴムコンパウンド液の製造後に溶媒が揮発すれば、ゴムコンパウンド液に含まれている弾性重合体の含有量は10~40重量%である。
【0079】
弾性重合組成物は、30~70重量%の弾性重合体および30~70重量%の添加剤を含むことができる。
【0080】
例えば、弾性重合組成物は、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)およびイソブチレンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴムおよびネオプレンゴムの中から選択される少なくとも1つの弾性重合体を含むことができる。
【0081】
添加剤としては、ゴムコンパウンドの形成に使用される添加剤、例えば、カーボンブラック、パラフィンオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤、活性剤、粘着剤、接着剤などがある。
【0082】
弾性重合組成物において、弾性重合体の含有量が30重量%未満の場合、ゴムコンパウンド層230の弾性および接着力が低下し、弾性重合体の含有量が70重量%を超えて添加剤の含有量が30重量%未満の場合、ゴムコンパウンド液を使用してゴムコンパウンド層230を形成する際に加工性が低下する。したがって、弾性重合組成物において、弾性重合体の含有量は30~70重量%の範囲で調整され、添加剤の含有量は30~70重量%の範囲で調整される。
【0083】
溶媒は、弾性重合体を溶解することができる物質であれば、その種類に、特に制限はない。特に、ゴム成分を溶解可能な物質は、本発明の一実施形態による溶媒として使用することができる。例えば、溶媒は、トルエン、ナフサ、メタノール、キシレンおよびテトラヒドロフランの中から選択される、少なくとも1つを含むことができる。トルエン、ナフサ、メタノール、キシレンおよびテトラヒドロフランは、単独で、または混合して使用することができる。
【0084】
ゴムコンパウンド液における弾性重合組成物の濃度が10重量%未満の場合、ゴムコンパウンド層230の厚さが薄くなり、粘着性および接着力が適切に発現できない。これによって、タイヤの製造特性の低下および走行時にタイヤ不良の問題が発生することがある。
【0085】
反面、ゴムコンパウンド液で弾性重合組成物の濃度が40重量%を超える場合、粘度上昇により撹拌性が低下してゴムコンパウンド液の分散性が低くなり、これによってコーティング性の低下、コーティング厚さのばらつきなどの問題をもたらす。
【0086】
このようなゴムコンパウンド層230は、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)およびイソブチレンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴムおよびネオプレンゴムの中から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0087】
ゴムコンパウンド層230は、5μm~200μmの厚さt1を有する。
【0088】
図2に示すように、ゴムコンパウンド層230の厚さt1は、接着層220と接するゴムコンパウンド層230の一面から、接着層220とは反対の側に位置するゴムコンパウンド層230の他面までの距離により測定される。
【0089】
ゴムコンパウンド層230の厚さt1が5μm未満であると、ゴムコンパウンド層230が十分な粘着性および接着力を有さずタイヤの製造特性が低下し、タイヤの耐久性の発現が難しくなり、タイヤの不良が発生することがある。
【0090】
ゴムコンパウンド層230の厚さt1が200μmを超えると、ゴム補強材201の厚さが増加してタイヤの厚さが増加しうる。特に、ゴムコンパウンド層230の厚さt1が200μmを超えると、溶媒が揮発する過程でゴムコンパウンド層230内に気泡が発生してゴム補強材201が均一な厚さを有することが難しく、これをタイヤに適用する場合には、タイヤ内にエアポケット(Air Pocket)が発生して、タイヤの品質が低下しかつ不良率が高くなることがある。また、厚いゴムコンパウンド層230の形成のため、コーティング作業を複数回行わなければならないという短所があり、工程上非効率であり、タイヤの品質低下および不良率をもたらす恐れがある。
【0091】
より具体的には、ゴムコンパウンド層230は、5μm~30μmの厚さt1を有することができる。
【0092】
従来のゴム補強材において、繊維基材210、110上にゴム基材が圧延されて、本発明のゴムコンパウンド層230に対応するゴム層が形成される。ゴム基材は、所定厚さを有しているため、従来の方法により形成されるゴム補強材のゴム層は、通常、1000μm以上の厚さ、少なくとも800μm以上の厚さを有する。
【0093】
反面、本発明の他の一実施形態によるゴムコンパウンド層230は、ゴムコンパウンド液のディッピングまたはコーティングによって形成されるので、200μm以下の薄い厚さt1を有することができる。本発明の一実施形態によれば、ゴムコンパウンド層230が5μm~200μmの薄い厚さt1を有するので、ゴム補強材201の全体の厚さが薄くなる。これにより、このようなゴム補強材201を使用するタイヤの厚さが薄くなりうる。
【0094】
本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201は、優れた粘着性を有する。粘着性は、粘着力で表現される。例えば、本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201は、3N/inch以上の粘着力を有することができる。ここで、粘着力は、Instron Clamp(Grip、CAT.No.2712-041)を用いて、PEEL(剥離)テスト法(Cross Head Speedは125mm/min)で測定した値である。
【0095】
ゴム補強材201の粘着力が3N/inch以上の場合、タイヤの製造の工程でゴム流れの現象なしにゴム補強材がゴムに付着して、タイヤの製造工程を安定的に行うことができる。仮に、ゴム補強材201の粘着力が3N/inch未満の場合、タイヤの製造工程中にゴムの流れ落ちによる不良が発生することがある。また、ゴム補強材201の粘着力が3N/inch未満の場合、グリーンタイヤの製造時にエアポケット(Air pocket)が発生してタイヤの不良率が増加しうる。
【0096】
一方、ゴム補強材201の粘着力が過度に高い場合、過度な粘着性によってゴム補強材201の保管の過程で不具合が発生することがあり、タイヤ製造において、ゴム補強材201間の過度な粘着性により、再巻取り(Rewinding)時に張力が不均一に印加されて、工程性が低下する場合がある。したがって、ゴム補強材201の粘着力は40N/inch以下の範囲に調整でき、より具体的には、17N/inch以下の範囲に調整できる。本発明の他の一実施形態によればゴム補強材201の粘着力は、例えば、4N/inch~17N/inchの範囲で調整できる。または、本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201の粘着力は、5N/inch~17N/inchの範囲で調整できる。
【0097】
本発明の他の一実施形態によるゴム補強材201は、タイヤ101のキャッププライ90、ベルト50またはカーカス70に適用され得る。
【0098】
図4は、本発明のさらに他の一実施形態によるゴム補強材301に対する概略的な断面図である。
【0099】
図4のゴム補強材301は、繊維基材として、合撚糸110を使用した場合を例示している。合撚糸110は既述のとおり、2本以上の下撚り糸111、112が上撚りされてなる。しかし、本発明の一実施形態はこれに限定されず、当業界で公知の他の合撚糸をゴム補強材301の製造に使用することができる。
【0100】
本発明のさらに他の一実施形態によるゴム補強材301は、繊維基材である合撚糸110、合撚糸110上に配置された接着層220、および、接着層220上に配置されたゴムコンパウンド層230を含む。
【0101】
合撚糸110、接着層220およびゴムコンパウンド層230についてはすでに述べているので、重複を避けるため、これらに対する詳細な説明は省略する。
【0102】
以下、本発明のさらに他の一実施形態によるゴム補強材201、301の製造方法を説明する。
【0103】
本発明のさらに他の一実施形態によるゴム補強材201、301の製造方法は、繊維基材210、110を準備する段階と、繊維基材210、110上に接着層220を形成する段階と、接着層220上にゴムコンパウンド液を塗布し熱処理して、接着層220上にゴムコンパウンド層230を形成する段階とを含む。
【0104】
繊維基材210、110は、繊維ヤーン(yarn)およびテキスタイル基材210のうちのいずれか1つであってもよい。繊維ヤーンとして合撚糸110を使用することができる。テキスタイル基材210は、繊維ヤーン(yarn)が製織されて形成される。したがって、繊維基材を準備する段階は、繊維ヤーンを製織してテキスタイル基材210を製造する段階を含むことができる。
【0105】
繊維ヤーンとして使用される合撚糸110は、互いに同一ではない2本以上の下撚り糸が上撚りされてなるハイブリッド合撚糸を使用することができる。
【0106】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、ハイブリッド合撚糸は、ナイロン下撚り糸およびアラミド下撚り糸を含むことができる。ナイロン下撚り糸は、300~2000de(デニール)の纎度を有し、より具体的には1100~1400deの纎度を有する。アラミド下撚り糸は、500~3000deの纎度を有し、より具体的には1300~1700deの纎度を有する。
【0107】
例えば、300~2000deのナイロンフィラメントを第1の下撚り糸111に、500~3000deのアラミドフィラメントを第2の下撚り糸112にして、ケーブルコーダー(Cable Corder)撚糸機を用い、下撚りを反時計方向に、上撚りを時計方向にして、下撚りと上撚りを同時にそれぞれ行い、合撚糸110を製造することができる。合撚糸110は、150~500TPMの撚り数を有することができる。
【0108】
接着層220は、繊維基材210、110上に形成される。
【0109】
接着層220は、レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)および溶剤を含む接着コーティング液によって形成される。接着層220を形成する段階は、繊維基材210、110上に接着コーティング液を塗布し、熱処理する段階を含むことができる。
【0110】
繊維基材210、110上に接着コーティング液を塗布する方法に、特に制限はない。例えば、繊維基材210、110を接着コーティング液に浸漬(dipping)することによって、繊維基材210、110上に接着コーティング液を塗布することができる。例えば、繊維基材210、110が接着コーティング液を通過することによって、浸漬工程が行われる。浸漬工程は、張力、浸漬時間および温度を調節することができる浸漬装置(Dipping Machine)で行われる。
【0111】
浸漬工程だけでなく、ブレードまたはコーターを用いたコーティング、または噴射器を用いた噴射によって、繊維基材210、110上に接着コーティング液を塗布することもできる。
【0112】
接着層220を形成する段階は、繊維基材210、110上に接着コーティング液を塗布し、130~170℃で80~120秒間熱処理する工程をさらに含むことができる。熱処理は、熱処理装置で行われる。熱処理によってレゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)層222が硬化および固定されて接着層220を完成させる。このような熱処理によって接着層220をより安定的に形成することができる。
【0113】
接着層220の形成後、接着層220上にゴムコンパウンド液を塗布し熱処理して、接着層220上にゴムコンパウンド層230を形成する。
【0114】
ゴムコンパウンド液は、弾性重合組成物および溶媒を含む。具体的には、ゴムコンパウンド液は、10~40重量%の弾性重合組成物および70~90重量%の溶媒を含む。ゴムコンパウンド液に含まれている溶媒の揮発を考慮し、製造時を基準にして、ゴムコンパウンド液は、10~30重量%の弾性重合組成物および70~90重量%の溶媒を含むことができる。この場合、ゴムコンパウンド液の製造後に溶媒が揮発すると、ゴムコンパウンド液に含まれている弾性重合体の量は10~40重量%となりうる。
【0115】
ゴムコンパウンド液における弾性重合組成物の濃度が10重量%未満の場合、ゴムコンパウンド層230の厚さt1が薄くなり、粘着性および接着力が適切に発現できない。これによって、タイヤの製造特性の低下および走行時のタイヤ不良の問題が発生することがある。反面、ゴムコンパウンド液における弾性重合組成物の濃度が40重量%を超えると、粘度の上昇により、接着液の撹拌性が低下して、ゴムコンパウンド液の分散性が低くなり、これによってコーティング性の低下、コーティング厚さのばらつきなどの問題がもたらされる。
【0116】
したがって、ゴムコンパウンド液において、弾性重合組成物の濃度は10~40重量%の範囲で調整される。
【0117】
弾性重合組成物は、30~70重量%の弾性重合体および30~70重量%の添加剤を含むことができる。
【0118】
弾性重合組成物は、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)およびイソブチレンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴムおよびネオプレンゴムの中から選択される少なくとも1つの弾性重合体を含むことができる。添加剤としては、カーボンブラック、パラフィンオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤、活性剤、粘着剤、接着剤などがある。
【0119】
溶媒は、トルエン、ナフサ、メタノール、キシレンおよびテトラヒドロフランの中から選択される少なくとも1つを含むことができ、これらは単独でまたは混合して使用することができる。
【0120】
ゴムコンパウンド液を接着層220上に塗布する方法に特に制限はなく、公知のコーティング方法が適用され得る。
【0121】
例えば、ゴムコンパウンド層230の形成のために、接着層220でコーティングされた繊維基材210、110をゴムコンパウンド液に浸漬することができる。このような浸漬により接着層220上にゴムコンパウンド液が塗布される。
【0122】
また、コンマコーター(comm acoater)を用いたコンマコーティング(comma coating)によりゴムコンパウンド液が接着層220上に塗布されうる。この際、コーティングは、80~100℃の温度条件で行われる。このような温度は、溶媒が揮発できる最低温度に該当する。
【0123】
しかし、本発明の他の一実施形態はこれに限定されず、グラビア(Gravure)コーティング法、マイクログラビア(Micro gravure)コーティング法などにより、ゴムコンパウンド液のコーティングが行われうる。
【0124】
ゴムコンパウンド液のコーティングの後、コーティングされたゴムコンパウンド液を熱処理することもできる。つまり、ゴムコンパウンド層230を形成する段階は、接着層220上にゴムコンパウンド液を塗布した後、熱処理する段階を含むことができる。
【0125】
熱処理は、熱処理装置で行われる。熱処理のために、80~160℃の温度で30~150秒間熱を印加する。これにより、接着層220上にゴムコンパウンド層230が形成される。
【0126】
このような工程を経てゴム補強材201、301が製造され、製造されたゴム補強材201、301はワインダーに巻き取られる。
【0127】
この際、ゴムコンパウンド層230は、5μm~200μmの厚さt1を有することができる。ゴムコンパウンド層230の厚さt1が5μm未満の場合、ゴムコンパウンド層230が十分な粘着性および接着力を有さず、タイヤの製造特性が低下し、タイヤに不良が発生することがある。ゴムコンパウンド層230の厚さt1が200μmを超過した場合には、ゴム補強材201の厚さが増加してタイヤの厚さが増加しうる。
【0128】
より具体的には、ゴムコンパウンド層230は、5μm~30μmの厚さt1を有することができる。
【0129】
次に、選択的にスリッティング(slitting)段階を行うこともできる。
【0130】
必要に応じて、または使用目的に適合するように、板状に製作されたゴム補強材201を裁断する段階をさらに含むことができるが、このような裁断をスリッティング(Slitting)という。スリッティング段階は省略されることもありうる。裁断またはスリッティングの方法に特に制限はない。
【0131】
需要者または顧客社の要請により、例えば3mm~50mmの幅または経糸の本数を限定し、通常のカッターナイフ(Cutter Knife)またはヒーティングナイフ(Heating Knife)を用いて、ゴム補強材201を裁断することによってスリッティングを行うことができる。本発明のさらに他の一実施形態によれば、裁断されたゴム補強材201は、3mm~50mmの幅を有することができる。
【0132】
このような過程を経て、本発明の実施形態によるゴム補強材201、301が完成される。
【0133】
このように製造されたゴム補強材201、301は、例えば、タイヤ101のキャッププライ90に使用されうる。
【0134】
本発明の一実施形態によるゴム補強材201は、ゴムに対し優れた接着力を有し、既存の圧延工程なしにもゴムと容易にくっ付きうる。このようなゴム補強材201がキャッププライ90に使用される場合、圧延工程が省略されるため、タイヤの製造工程が単純化されるうる。また、キャッププライ90の粘着性が大きく増大して、グリーンタイヤ(未加硫タイヤ)の製造時にエアポケット(Air pocket)が減少して、タイヤの不良率が減少する。さらに、圧延工程を経ないので、薄く軽いタイヤ101が作られうる。
【0135】
このようなゴム補強材201、301は、ベルトおよびカーカスのうちの少なくとも1つに適用することもできる。
【0136】
以下、本発明の具体的な製造例および比較例により、本発明の作用および効果をより詳細に説明する。ただし、下記の製造例および比較例は例示的なものに過ぎず、本発明の権利範囲がこれによって限定されるものではない。
【0137】
<製造例1>
(1)テキスタイル基材の製造:ナイロン/アラミド合撚糸の織物の製造
1260deのナイロンフィラメント(第1の下撚り糸)と1500deのアラミドフィラメント(第2の下撚り糸)を使用し、ケーブルコーダー(Cable Corder)撚糸機を用い、下撚りを反時計方向、上撚りを時計方向にして、下撚りと上撚りを同時にそれぞれ行い、合撚糸110を製造した。合撚糸110の撚り数は300TPMである。
【0138】
このように製造された合撚糸110を経糸に使用し、綿糸を緯糸に使用して織物を製織して、織物の形態のテキスタイル基材210を製造した。このように製造されたテキスタイル基材210が繊維基材として使用された。
【0139】
(2)接着層の形成
テキスタイル基材210を接着コーティング液にディッピングした後、熱処理して接着層220を完成させた。この際、接着コーティング液は、全体の重量に対して15重量%のレゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス(RFL)および85重量%の溶剤(水、H2O)を含む。また、テキスタイル基材210上に塗布された接着コーティング液は、150℃で100秒間熱処理して乾燥し、さらに240℃で100秒間熱処理した。
【0140】
(3)ゴムコンパウンド層の形成
まず、スチレンブタジエンゴム(SBR)100重量部に対してカーボンブラック60重量部、パラフィンオイル20重量部、酸化亜鉛3重量部、ステアリン酸2重量部、老化防止剤(RUBBER ANTIOXIDANTS、BHT)2重量部、硫黄2重量部および加硫促進剤(vulcanization accelerators、ZnBX)1重量部を含む弾性重合組成物を製造した。
【0141】
次に、トルエンとテトラヒドロフランが20:80の重量比で混合された混合溶媒を製造した。
【0142】
次に、混合溶媒に弾性重合組成物を13%の濃度で分散させて、ゴムコンパウンド液を製造した。
【0143】
コンマコーター(comma coater)を用いて、テキスタイル基材210に形成されたコーティング層230上にゴムコンパウンド液を塗布し、80℃の温度で溶媒を揮発させて、ゴムコンパウンド層230を形成した。ここで、ゴムコンパウンド層230の厚さt1は13μmであった。その結果として、ゴム補強材201が製造された。
【0144】
(4)規格裁断されたキャッププライ用ゴム補強材の製造
このように製造されたゴム補強材201を10mm幅に裁断して、キャッププライ90用ゴム補強材を製造した。裁断のためにカッターナイフ(Cutter Knife)が使用された。
【0145】
(5)タイヤの製造
裁断したゴム補強材をもって205/55R16規格のタイヤを製造した。タイヤ製造のために、1300De/2ply HMLS(High-Modulus Low-Shrinkage)タイヤコードを含むボディプライ、およびスチールコード(Steel Cord)ベルトが使用された。
【0146】
具体的には、インナーライナゴム上にボディプライ用ゴムを積層し、ビードワイヤーおよびベルト部を積層した後、前記製造されたゴム補強材を投入し、トレッド部、ショルダー部およびサイドウォール部の形成のためのゴム層を順次形成して、グリーンタイヤを製造した。このように製造されたグリーンタイヤを加硫金型に入れ、170℃で15分間加硫してタイヤを製造した。
【0147】
<製造例2>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を17%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が20μmであることを除いて、製造例1と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0148】
<製造例3>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を25%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が36μmであることを除いて、製造例1と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0149】
<比較例1>
ゴムコンパウンド液を用いたゴムコンパウンド層230を形成する代わりに、1.6mmの厚さを有するゴムを、テキスタイル基材210上の接着層220に配置し、圧延してゴム補強材を形成したことを除き、製造例1と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0150】
<比較例2>
ゴムコンパウンド層230の形成工程を省略したことを除いて、製造例1と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0151】
<比較例3>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を5%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が4.5μmであることを除いて、製造例1と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0152】
<比較例4>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を45重量%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が210μmであることを除いて、製造例1と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0153】
<製造例4>
(1)テキスタイル基材の製造:ナイロン平織の織物の製造
630deの総纎度を有するナイロンフィラメントを用いて反物生地を製織した。この際、製織密度は経糸密度55th/inch、緯糸密度10th/inchになるようにして織物形態のテキスタイル基材210を製造した。
【0154】
以下、(2)接着層の形成段階、(3)ゴムコンパウンド層の形成段階(ゴムコンパウンド層の厚さ10μm)、(4)規格裁断されたキャッププライ用ゴム補強材の製造段階、および(5)タイヤの製造段階については、製造例1と同様にして、製造例4によるタイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0155】
<製造例5>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を17%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が18μmであることを除いて、製造例4と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0156】
<製造例6>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を25%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が23μmであることを除いて、製造例4と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0157】
<製造例7>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を35%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が30μmであることを除いて、製造例4と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0158】
<比較例5>
ゴムコンパウンド液を用いたゴムコンパウンド層230を形成する代わりに、1.6mmの厚さを有するゴムを、テキスタイル基材210上の接着層220に配置し、圧延してゴム補強材を形成したことを除き、製造例4と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0159】
<比較例6>
ゴムコンパウンド層230の形成工程を省略したことを除いて、製造例4と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0160】
<比較例7>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を5%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造すること、およびゴムコンパウンド層230の厚さt1が4μmであることを除いて、製造例4と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0161】
<比較例8>
ゴムコンパウンド層230の形成において、混合溶媒に弾性重合組成物を40%の濃度で分散させてゴムコンパウンド液を製造したことを除いて、製造例4と同様の方法で、タイヤ補強材210およびタイヤを製造した。
【0162】
<試験例>
(1)厚さ測定
ミツトヨ(Mitutoyo)社のノギス(Vernier Calipers)を用いて、製造例1~7および比較例1~8で製造されたゴムコンパウンド層230の厚さを測定した。
【0163】
(2)粘着力(Tacky)テスト
カーカス層に使用される未加硫ゴム(厚さ1.3mm)に製造例1~3および比較例1~4で製造されたゴム補強材を積層し、ベルト層に使用される未加硫ゴム(厚さ1.3mm)に製造例4~7および比較例5~8で製造されたゴム補強材を積層した。
【0164】
この際、未加硫ゴムとゴム補強材を圧着させるために、5kgf荷重の金属円筒型のおもりを用いて、ゴム補強材を3回、圧し延ばして、粘着層複合体を製造した後、裁断して1インチの幅を有する試片を製造した。次に、製造例1~7および比較例1~8で製造されたゴム補強材の露出面にスコッチテープ(TM)を貼り付けて、試片が延伸されることを防止した後、Instron Clamp(Grip、CAT.No.2712-041)を用いて、剥離(PEEL)テスト法で、製造例1~7および比較例1~8で製造されたゴム補強材の粘着力を測定した。この際、クロスヘッド速度(Cross Head Speed)は、125mm/minを適用した。粘着力を‘N/inch’の単位で表記した。
【0165】
(3)接着力(PEEL)テスト
米国材料試験協会規格ASTM D4393の方法により、タイヤのカーカス層に対する製造例1~7および比較例1~8で製造されたゴム補強材の接着剥離強度を測定した。具体的には、1.6mm厚さのゴムシート、コード地、製造例1~7および比較例1~8で製造されたそれぞれのゴム補強材、1.6mm厚さのゴムシート、コード地、及び1.6mm厚さのゴムシートを、順に積層して試料を製造した後、60kg/cm2の圧力で160℃で20分間加硫した。次に、加硫された試料を裁断して、1インチの幅を有する試片を製造した。このように製造された試片に対して、万能材料試験機(Instron社製)を用いて、25℃で125mm/minの速度で剥離試験をすることで、カーカス層に対する、製造例1~7および比較例1~8で製造されたゴム補強材の接着力を測定した。この際、剥離時に発生する荷重の平均値を接着力から算定した。接着力を‘N/inch’単位で表記した。
【0166】
(4)ゴム補強材の重量指数
製造例1-7および比較例1~8でそれぞれ製造された20個のゴム補強材の重量を測定して平均値を求めた後、比較した。
【0167】
(5)タイヤの重量指数
製造例1~7および比較例1~8でそれぞれ20本のタイヤを製造した。このように製造されたタイヤの重量を測定し、平均を求めた。
【0168】
(6)タイヤの製造不良率
製造例1~7および比較例1~8により製造する過程中における不良発生率を調査した。タイヤの製造過程の特性上、ゴム補強材が一定水準以上の粘着力を保有してこそ、ゴムの流れ落ちの現象なしに、ゴム補強材がゴムに貼り付けられてタイヤの製造工程までつなげることができる。仮に、ゴム補強材が一定水準以上の粘着力を有さなければ、タイヤの製造工程中にゴムの流れ落ちによる不良が発生しうる。また、ゴムコンパウンド層にエアポケット(Air Pocket)が発生する場合、ゴムコンパウンド層内に界面分離が発生して、タイヤ不良が発生しうる。
【0169】
製造例1~7および比較例1~8のそれぞれについて、20本のタイヤを製造し、不良の有無を確認して、以下の式1によりタイヤの製造不良率を求めた。
【0170】
[式1]
タイヤの製造不良率(%)=[(良好なタイヤ数)/(20、タイヤの評価本数)]x100
【0171】
以上、測定された結果を下記表1および表2に示す。
【0172】
【0173】
【0174】
表1を参照すると、本発明による製造例1~3の場合、従来の方法による比較例1に比べて、ゴムコンパウンド層230の厚さが90%以上減少し、ゴムコンパウンド層230の厚さが減少したにもかかわらず、同等水準、または、より優れた粘着力および接着力を有することが分かった。また、製造例1~3によるタイヤの重量は、比較例1によるタイヤよりも0.39kg~0.45kg、より軽いということが確認できた。
【0175】
一方、製造例1~3によるゴム補強材は、比較例2および3のゴム補強材に比べて優れた粘着力を有し、タイヤの製造時における不良率が著しく減少した。また、比較例4に比べて、タイヤの製造時にエアポケット(Air Pocket)の発生が減少して、タイヤの製造不良率が減少するということが確認できた。比較例4の場合、エアポケットの発生により高い不良率を示し、製造例1~3に比べて大きな重量を有する。
【0176】
表2を参照すると、本発明による製造例4~7の場合、従来の方法による比較例5に比べて、ゴムコンパウンド層230の厚さが95%以上減少し、ゴムコンパウンド層230の厚さが減少したにもかかわらず、同等水準の粘着力および接着力を有することが分かった。また、製造例4~7によるタイヤの重量は、比較例5によるタイヤよりも0.39kg~0.41kg、より軽いということが確認できた。
【0177】
一方、製造例4~7によるゴム補強材は、比較例6および7のゴム補強材に比べて優れた粘着力を有し、タイヤの製造時における不良率が著しく減少した。比較例6の場合、ゴムコンパウンド層230が形成されず、低い粘着力を有する。比較例7の場合、低濃度の弾性重合組成物を含むゴムコンパウンド液でもってゴムコンパウンド層230が製造されて、ゴムコンパウンド層230が4μmの薄い厚さを有し、低い粘着力を有する。
【0178】
また、比較例8の場合、高濃度の弾性重合組成物を含むゴムコンパウンド液でもってゴムコンパウンド層230が製造されて、ゴムコンパウンド層の厚さが180~230μmの範囲で不均一であり、製造例4~7で製造された補強材を使用した場合に比べて、タイヤの製造時におけるエアポケット(Air Pocket)の発生が増大し、タイヤの製造不良率が大きく増加するということが確認できた。
【符号の説明】
【0179】
10:トレッド
20:ショルダー
30:サイドウォール
40:ビード
50:ベルト
60:インナーライナ
70:カーカス
80:グルーブ
90:キャッププライ
101:タイヤ
110:合撚糸
111:第1の下撚り糸
112:第2の下撚り糸
201:ゴム補強材
210:テキスタイル基材
220:接着層
230:ゴムコンパウンド層