特許 7128233 オープンシールド機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-08-22

(45)【発行日】2022-08-30

(54)【発明の名称】オープンシールド機

(51)【国際特許分類】

   E21D 9/06 20060101AFI20220823BHJP

【ＦＩ】

E21D9/06 331

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2020102192

(22)【出願日】2020-06-12

(65)【公開番号】P2021195768

(43)【公開日】2021-12-27

【審査請求日】2021-10-22

(73)【特許権者】

【識別番号】000189903

【氏名又は名称】植村 誠

(73)【特許権者】

【識別番号】501200491

【氏名又は名称】植村 賢治郎

(74)【代理人】

【識別番号】100078695

【弁理士】

【氏名又は名称】久保 司

(74)【代理人】

【識別番号】100186864

【弁理士】

【氏名又は名称】尾関 眞里子

(72)【発明者】

【氏名】植村 誠

(72)【発明者】

【氏名】植村 賢治郎

(72)【発明者】

【氏名】日浦 正一

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 元晶

【審査官】彦田 克文

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１９－１９００３１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭６１－１６５４９４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００２－３４９１８９（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭６０－１５４４９８（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ２１Ｄ ９／０６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

フロント部とテール部とを嵌合させ、中折れジャッキを配設して屈曲可能とし、フロント部に対してテール部の牽引設備を設けたオープンシールド機において、牽引設備はジャッキ設置架台に設ける牽引ジャッキとＰＣ鋼より線から成る牽引部材と定着金具設置架台に設ける定着金具からなり、牽引ジャッキのジャッキ設置架台と定着金具の定着金具設置架台はそれぞれ牽引ジャッキ、定着金具が牽引部材の牽引方向で角度を有するように対向させたことを特徴とするオープンシールド機。

【請求項2】

牽引ジャッキ、定着金具はそれぞれを、または、いずれかをジャッキ設置架台、定着金具設置架台に回転可能に設ける請求項１記載のオープンシールド機。

【請求項3】

ジャッキ設置架台、定着金具設置架台はそれぞれを、または、いずれかをオープンシールド機に回転可能に設ける請求項１記載のオープンシールド機。

【請求項4】

ジャッキ設置架台、定着金具設置架台にはボルトまたはピンによる角度固定手段を設けた請求項２ないし請求項３のいずれかに記載のオープンシールド機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、オープンシールド工法に使用するオープンシールド機に関するものである。

【背景技術】

【0002】

周知のごとくオープンシールド工法は、開削工法（オープン工法）とシールド工法の長所を生かした合理性に富む工法であり、このオープンシールド工法に使用するオープンシールド機では、シールド機を前方の機体の後端に後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能としてカーブ施工を可能としたり、方向修正を行えるようにしたものがある。

【0003】

その一例を説明すると図１８、図１９に示すように、オープンシールド機１は基本的には左右の側壁板１ａ，１ｂとこれら側壁板１ａ，１ｂと同程度の長さでその間を連結する底板１ｃとからなる前面、後面及び上面を開口したシールド機である。

【0004】

該オープンシールド機１は機体を前後方向で複数に分割し、フロント部２としての前方の機体の後端にテール部３としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とした。

【0005】

フロント部２は主として掘削を行うもので、前端と上面を開放面としてあり使用する、機体内で後部に後方へ向けて中折ジャッキ４を左右によせて、また上下複数段に配設している。

【0006】

これに対してテール部３はコンクリート函体８の設置を行うもので、機体内で前部に後方へ向けてシールドジャッキ６を左右によせて、また上下複数段に配設したジャッキ部７と、その後方でスペースを確保した函体吊下し部９を構成している。

【0007】

図中１０はフロント部２の前端に設けた可動分割刃口、１０ａは可動分割刃口を動かすスライドジャッキ、１１はテール部３の後端に設けた側方土留板、１２はプレスバー（押角）である。

【0008】

また、牽引ジャッキ１８と牽引ジャッキに連結したPC鋼より線から成る牽引部材２０と定着金具２１からなる牽引設備を設けた。

【0009】

牽引ジャッキ１８はシールド機に設けるジャッキ設置架台１９に、定着金具２１は定着金具設置架台２２に設ける。このような牽引設備は、下記特許文献にも示されている。

【文献】特開昭６１－１６５４９４公報

【文献】特許第３５５３５２４号公報

【0010】

このようなオープンシールド機１を使用するオープンシールド工法は、図２０～図２３に示すように、発進坑と到達坑との間で施工される。発進坑１３内で前記オープンシールド機１を組立て、発進坑１３の前の地盤を地上に設置したシャベル系掘削機１４で掘削し、該オープンシールド機１のシールドジャッキ６を伸長して発進坑１３内の反力壁に反力をとってオープンシールド機１を前進させ、地下構造物を形成する第１番目のコンクリート函体８を上方から吊り降し、オープンシールド機１のテール部３内で縮めたシールドジャッキ６の後方にプレスバー１２をセットする。

【0011】

また、発進坑１３はシートパイル等の土留壁で構成し、オープンシールド機１を発進させるにはこの土留壁を一部鏡切りするが、必要に応じて薬液注入等で発進坑１３の前方部分に地盤改良を施しておくこともある。

【0012】

次いで、同様にショベル系掘削機１４でフロント部２の前面又は上面から土砂を掘削し、かつ排土してオープンシールド機１を前進させ、前記第１番目のコンクリート函体８の前に第２番目のコンクリート函体８をテール部３内に吊り降す。

【0013】

以下、同様の掘進及びコンクリート函体８のセット工程を繰返して、順次コンクリート函体８を縦列に地中に埋設し、後方のコンクリート函体８上にダンプトラック１５で埋戻しを施し、オープンシールド機１が到達坑１６まで達したならばこれを分解・撤去して工事を完了する。図中１７はグラウト機である。

【0014】

ところで、オープンシールド機１の掘進はシールドジャッキ６を伸長してコンクリート函体８に推進反力を取り推進させる。このとき、テール嵌合部に設置してある牽引ジャッキ１８と牽引ジャッキ１８に連結したPC鋼よりせんから成る牽引部材２０は、牽引部材２０の端部がフロント部側に定着金具２１等で連結・緊張されており、テール部を牽引して推進する。

【0015】

また、オープンシールド機１の掘進はシールドジャッキ６を伸張して推進させるだけでなく、このシールドジャッキ６を固定して中折ジャッキ４の伸長でテール部３に対してフロント部２を進めることでも行なわれ、シールドジャッキ６と中折ジャッキ４との２段階で押し進めることもある。

【0016】

カーブ施工時には、中折ジャッキ４のうち、左右いずれかを多く伸長させればフロント部２はその反対側に向きを変え、その方向に曲がる。また、上下いずれかを多く伸長させればフロント部２はその反対側に向きを変え、上向きまたは下向きに曲がる。このようにしたカーブ施工または方向修正が可能である。

【0017】

カーブ施工時は上記のように中折れジャッキ４を使用してオープンシールド機１の嵌合部を屈曲させ掘進するわけであるが、このとき嵌合部を屈曲させる前に牽引ジャッキ１８に連結されている牽引部材２０を一旦緩め、中折れジャッキ４でカーブ曲線に応じて嵌合部を所定の角度で屈曲させた後、牽引部材２０を緊張させテール部３を牽引してオープンシールド機１をカーブ推進させる。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0018】

牽引設備のシールド機に設けるジャッキ設置架台１９や定着金具設置架台２２は固定されており、図２６、図２７に示すように、曲線施工時では、オープンシールド機１のフロント部２の後端にテール部３の前端部が嵌合された箇所で屈曲した状態になり、牽引部材２０は牽引ジャッキ１８の前方端で折れ曲がった状態で曲線推進を行うことになる。

【0019】

曲線施工において曲線半径が大きい場合は、フロント部２の後端にテール部３の前端部が嵌合部された箇所の屈曲角度は小さく、牽引部材２０や牽引ジャッキ１８にかかる負荷は小さいが、曲線半径が小さくなる程、嵌合箇所の屈曲角度は大きくなり、該牽引部材２０や牽引ジャッキ１８にかかる負荷は大きくなり、該牽引部材２０の破断や該牽引ジャッキ１８の損傷が起こるリスクが大きく、曲線推進時に作業員が嵌合部で作業を行う場合もあり、非常に危険である。

【0020】

本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、フロント部とテール部が相互の嵌合部で屈曲させる場合で、中折ジャッキで所定の角度で屈曲し、牽引ジャッキでテール部を牽引する場合に、牽引ジャッキに連結しフロント部に定着した牽引部材が折れ曲がり牽引ジャッキに負荷がかかることや牽引部材の破断のおそれを低減・防止し、曲線施工が安全に施工できるオープンシールド機を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0021】

前記目的を達成するため請求項１記載の本発明は、フロント部とテール部とを嵌合させ、中折れジャッキを配設して屈曲可能とし、フロント部に対してテール部の牽引設備を設けたオープンシールド機において、牽引設備はジャッキ設置架台に設ける牽引ジャッキとＰＣ鋼より線から成る牽引部材と定着金具設置架台に設ける定着金具からなり、牽引ジャッキのジャッキ設置架台と定着金具の定着金具設置架台はそれぞれ牽引ジャッキ、定着金具が牽引部材の牽引方向で角度を有するように対向させたことを要旨とするものである。

【0022】

請求項１記載の本発明によれば、牽引ジャッキのジャッキ設置架台と定着金具の定着金具設置架台はそれぞれ牽引ジャッキ、定着金具が牽引部材の牽引方向で角度を有するように対向させたことで、曲線施工時に、フロント部とジャッキがあるテール部に角度がついた場合にも、牽引部材は真っ直ぐ引っ張ることが出来る。

【0023】

なお、この場合、直線施工においても牽引部材はある角度をもってテール部を引っ張ることになるが、それほど大きな角度でなければ支障はなく、また、曲線施工では、この角度が付いた分だけ、引っ張る抵抗を和らげることが出来る。

【0024】

請求項２記載の本発明は、牽引ジャッキ、定着金具はそれぞれを、または、いずれかをジャッキ設置架台、定着金具設置架台に回転可能に設けることを要旨とするものである。

【0025】

請求項２記載の本発明によれば、牽引ジャッキ、定着金具はそれぞれを、または、いずれかをジャッキ設置架台、定着金具設置架台に回転可能に設けることで、直線施工時のおいても、曲線施工時においてフロント部とジャッキ・テール部に角度がついた場合にも、牽引ジャッキ、定着金具が回転し、牽引部材を真っ直ぐ引っ張ることが出来る。

【0026】

請求項３記載の本発明は、ジャッキ設置架台、定着金具設置架台はそれぞれを、または、いずれかをオープンシールド機に回転可能に設けることを要旨とするものである。

【0027】

請求項３記載の本発明によれば、ジャッキ設置架台、定着金具設置架台はそれぞれを、または、いずれかをオープンシールド機に回転可能に設けることで、牽引ジャッキ、定着金具自体を回転可能に設けることと同じになり、直線施工時のおいても、曲線施工時においてフロント部とジャッキ・テール部に角度がついた場合にも、牽引ジャッキ、定着金具が回転し、牽引部材を真っ直ぐ引っ張ることが出来る。

【0028】

請求項４記載の本発明は、ジャッキ設置架台、定着金具設置架台にはボルトまたはピンによる角度固定手段を設けたことを要旨とするものである。

【0029】

請求項４記載の本発明によれば、曲線施工時以外の場合はジャッキ設置架台が回転しないよう、設置架台をシールド機本体部材とボルトまたはピンにより固定可能な構造としたので、あらゆる曲線においても、設置架台が固定された状態で牽引部材を引っ張ることが出来る。

【発明の効果】

【0030】

以上述べたように本発明のオープンシールド機は、フロント部とテール部が相互の嵌合部で屈曲させる場合で、中折ジャッキで所定の角度で屈曲し、牽引ジャッキでテール部を牽引する場合に、牽引ジャッキに連結しフロント部に定着した牽引部材が折れ曲がり牽引ジャッキに負荷がかかることや牽引部材の破断のおそれを低減・防止し、曲線施工が安全に施工できるものである。

【図面の簡単な説明】

【0031】

【図1】本発明のオープンシールド機の第１実施形態を示す縦断側面図で、直線施工時の図である。

【図2】本発明のオープンシールド機の第１実施形態を示す横断平面図で、直線施工時の図である。

【図3】本発明のオープンシールド機の第１実施形態を示す縦断側面図で、曲線施工時の図である。

【図4】本発明のオープンシールド機の第１実施形態を示す横断平面図で、曲線施工時の図である。

【図5】本発明のオープンシールド機の第２実施形態を示す縦断側面図で、直線施工時の図である。

【図6】本発明のオープンシールド機の第２実施形態を示す横断平面図で、直線施工時の図である。

【図7】本発明のオープンシールド機の第２実施形態を示す縦断側面図で、曲線施工時の図である。

【図8】本発明のオープンシールド機の第２実施形態を示す横断平面図で、曲線施工時の図である。

【図9】本発明のオープンシールド機の第１実施形態を示す要部の平面図である。

【図10】本発明のオープンシールド機の第２実施形態を示す要部の平面図である。

【図11】本発明のオープンシールド機の第２実施形態を示す要部の正面図である。

【図12】本発明のオープンシールド機の第３実施形態を示す要部の平面図で、直線施工時の図である。

【図13】本発明のオープンシールド機の第３実施形態を示す要部の平面図で、曲線施工時の図である。

【図14】本発明のオープンシールド機の第３実施形態を示す要部の正面図である。

【図15】本発明のオープンシールド機の第４実施形態を示す要部の平面図で、直線施工時の図である。

【図16】本発明のオープンシールド機の第４実施形態を示す要部の平面図で、曲線施工時の図である。

【図17】本発明のオープンシールド機の第４実施形態を示す要部の正面図である。

【図18】従来のオープンシールド機の斜視図である。

【図19】オープンシールド機の概要を示す縦断側面図である。

【図20】オープンシールド工法の第１工程を示す側面図である。

【図21】オープンシールド工法の第２工程を示す側面図である。

【図22】オープンシールド工法の第３工程を示す側面図である。

【図23】オープンシールド工法の最終工程を示す側面図である。

【図24】直線施工時の従来のオープンシールド機の横断平面図である。

【図25】図２４のＡ部の拡大図である。

【図26】曲線施工時の従来のオープンシールド機の横断平面図である。

【図27】図２６のＡ部の拡大図である。

【発明を実施するための形態】

【0032】

以下図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図１は本発明のオープンシールド機の第１実施形態を示す縦断側面図、図２は横断平面図で、直線施工時の図である。

【0033】

オープンシールド機の全体については前記従来例で説明した通りであり、オープンシールド機１は基本的には左右の側壁板１ａ，１ｂとこれら側壁板１ａ，１ｂと同程度の長さでその間を連結する底板１ｃとからなる前面、後面及び上面を開口したシールド機である。

【0034】

該オープンシールド機１は機体を前後方向で複数に分割し、フロント部２としての前方の機体の後端にテール部３としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とした。

【0035】

フロント部２は主として掘削を行うもので、前端と上面を開放面としてあり使用する、機体内で後部に後方へ向けて中折ジャッキ４を左右によせて、また上下複数段に配設している。

【0036】

これに対してテール部３はコンクリート函体８の設置を行うもので、機体内で前部に後方へ向けてシールドジャッキ６を左右によせて、また上下複数段に配設したジャッキ部７と、その後方でスペースを確保した函体吊下ろし部９を構成している。

【0037】

図中１０はフロント部２の前端に設けた可動分割刃口、１１はテール部３の後端に設けた側方土留板、１２はプレスバー（押角）である。

【0038】

牽引ジャッキ１８と牽引ジャッキに連結したＰＣ鋼より線から成る牽引部材２０と定着金具２１からなる牽引設備を設けた。

【0039】

牽引ジャッキ１８はセンターホールジャッキであり、定着金具２１はコーンと定着リングのくさびによるものである。

【0040】

第１実施形態として図９に示すように、本発明は牽引ジャッキ１８のジャッキ設置架台１９と定着金具２１の定着金具設置架台２２はそれぞれ牽引ジャッキ１８、定着金具２１が牽引部材（図示せず）の牽引方向で角度を有するように対向させた。

【0041】

図示の例では定着金具２１は定着金具設置架台２２の垂直壁に取付けるが、該垂直壁の向きは従来と同じく、直線施工のオープンシールド機の進行方向に対して直交する向きとしてある。ただ、定着金具２１の取付位置は従来よりも少しオープンシールド機の内側にした。

【0042】

ジャッキ設置架台１９は牽引ジャッキ１８を取付ける垂直壁に直線施工のオープンシールド機の進行方向に対して直交する向きよりも開き気味となるように角度を持たせ、その結果、牽引ジャッキ１８も角度をもって取付けるようにした。

【0043】

これにより、図３、図４に示すように、曲線施工の場合は、フロント部２とジャッキがあるテール部３に角度がついた場合にも、牽引部材は真っ直ぐ引っ張ることが出来る。

【0044】

第２実施形態として図１０に示すように、牽引ジャッキ１８、定着金具２１はそれぞれを、または、いずれかをジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２に回転可能に設けるものとする。

【0045】

ジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２には上下のフランジ間に支軸２３を設け、これに設ける回転体２４に形成する取付け用の側壁に、牽引ジャッキ１８、定着金具２１を設ける。

【0046】

図５～図８はこの第２実施形態を示すもので、図５、図６にあるように直線施工時にはフロント部２とテール部３は角度画付かず、牽引部材２０はオープンシールド機の進行方向に対して並行になるように引っ張られる。

【0047】

図７、図８にあるように曲線施工時には、フロント部２とテール部３に角度がつくが、牽引ジャッキ１８、定着金具２１は回転してその角度を変えるので、牽引部材２０を同じように直線的に引っ張ることができる。

【0048】

なお、回転可能とするのは、牽引ジャッキ１８、定着金具２１の両方ではなく、何れか一方でもある程度の効果は得られる。

【0049】

図１２～図１４は本発明の第３実施形態を示すもので、牽引ジャッキ１８、定着金具２１を回転可能に設けるのではなく、ジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２をオープンシールド機に回転可能に設けるようにした。

【0050】

回転の機構としては前記と同様で、支軸２３と回転体２４によるが、支軸２３はオープンシールド機に設ける上下のブラケット２５間に固定し、これに回転可能に嵌合する回転体２４には牽引ジャッキ１８、定着金具２１を設ける側壁を形成するとともにブラケット２５に接合するフランジ２６を上下に取付けた。

【0051】

さらに、ジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２のフランジ２６にはボルト挿通孔を設け、これが接合するブラケット２５にもボルト挿通孔を設け、両ボルト挿通孔が合致した所でボルトまたはピン２７を差し入れることで角度固定手段とした。

【0052】

前記ボルト挿通孔はフランジ２６かブラケット２５のものを円周に沿うように複数個設け、そのいずれかを選択することで適宜な回転角度で固定可能となる。

【0053】

図１３に示すように、曲線施工時には、フロント部２とテール部３に角度が付き、ジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２は回転して、牽引ジャッキ１８、定着金具２１もその角度を変えるので、牽引部材２０を同じように直線的に引っ張ることができる。

【0054】

この状態はボルトまたはピン２７を差し入れることで固定できる。

【0055】

図１５～図１７は前記角度固定手段の他の実施形態を示すもので、ジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２には間隔を存して、平行に支持壁２８を設け、この支持壁２８にボルト挿通孔を設け、回転角度調整用ボルト・ナット２９を水平に貫通させた。

【0056】

回転角度調整用ボルト・ナット２９は２本が間隔を存して平行に並び、ボルトの先端がジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２に当接することでジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２の回転が固定される。

【0057】

そして、２本並ぶ回転角度調整用ボルト・ナット２９の突出長を違えることで、固定角度を調整できる。なお、回転角度調整用ボルト・ナット２９のナットは支持壁２８に溶接固定しておく。

【0058】

図１６に示すように、曲線施工時には、フロント部２とテール部３に角度が付き、ジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２は回転して、牽引ジャッキ１８、定着金具２１もその角度を変えるが、予め回転角度調整用ボルト・ナット２９のナットは支持壁２８からの突出長を変更しておくことにより、ジャッキ設置架台１９、定着金具設置架台２２の回転角度を固定できる。

【符号の説明】

【0059】

１…オープンシールド機
１ａ，１ｂ…側壁板 １ｃ…底板
２…フロント部 ３…テール部
４…中折ジャッキ
６…シールドジャッキ ７…ジャッキ部
８…コンクリート函体 ９…函体吊り下ろし部
１０…可動分割刃口 １０ａ…スライドジャッキ
１１…側方土留板 １２…プレスバー（押角）
１３…発進坑 １４…ショベル系掘削機
１５…ダンプトラック １６…到達坑
１７…グラウト機 １８…牽引ジャッキ
１９…ジャッキ設置架台 ２０…牽引部材
２１…定着金具 ２２…定着金具設置架台
２３…支軸 ２４…回転体
２５…ブラケット ２６…フランジ
２７…ボルトまたはピン ２８…支持壁
２９…回転角度調整用ボルト・ナット

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】