(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】単一チップ直列接続VCSELアレイ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20220823BHJP
H01S 5/42 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01S5/022
H01S5/42
(21)【出願番号】P 2020504029
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(86)【国際出願番号】 US2018043786
(87)【国際公開番号】W WO2019023401
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-03-23
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516360454
【氏名又は名称】ルメンタム・オペレーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エフ・カーソン
(72)【発明者】
【氏名】ネイン-イー・リィ
(72)【発明者】
【氏名】マイアル・イー・ウォーレン
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-519436(JP,A)
【文献】特開2014-093463(JP,A)
【文献】特表2015-510279(JP,A)
【文献】特開2006-147874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0110140(US,A1)
【文献】特表2014-529199(JP,A)
【文献】特表2008-523637(JP,A)
【文献】特開2005-217147(JP,A)
【文献】特表2013-527484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)アレイにおいて、
半導体基板および導電性カソード層を含む単一の半導体ダイであって、前記導電性カソード層が、一連の隣接する導電性領域を含み、
前記一連の隣接する導電性領域が、第2の導電性領域に隣接する第1の導電性領域を含み、前記第1の導電性領域が、非導電性分離領域によって
前記第2の導電性領域から分離され、前記非導電性分離領域が、前記半導体基板の裏面のエッチングを介して形成され、
前記一連の隣接する導電性領域のうちの、各導電性領域が、アノード接点を有する複数のVCSEL素子と、カソード接点を有する複数の接地メサとを含み、各接地メサが、前記導電性カソード層に直接接続されて共通接地接続を形成する、単一の半導体ダイと、
前記一連の隣接する導電性領域を直列に接続する金属化パターンを含むサブマウントであって、前記金属化パターンは、前記第1の導電性領域の
アノード接点を
前記第2の導電性領域の
カソード接点に
電気的に接続する
とともに、
前記第1の導電性領域の第1の複数のVCSEL素子を、
前記第2の導電性領域の第2の複数のVCSEL素子に直列に接続するように、電流が
前記第1の導電性領域の前記共通接地接続から前記第2の導電性領域の前記アノード接点に流れるように、
前記第1の導電性領域
の前記アノード接点と前記第1の導電性領域の
前記カソード接点との間の電気的分離を維持する
、配線を含む、サブマウントと
を備え
、
前記配線は、前記第1の導電性領域と前記第2の導電性領域との間の前記非導電性分離領域に重ね合わせられている、
VCSELアレイ。
【請求項2】
前記半導体基板が少なくとも半絶縁材料である、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項3】
前記非導電性分離領域が、前記導電性カソード層上のエッチングおよびイオン注入の1つ以上によって形成される、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項4】
前記非導電性分離領域が、開裂または角切りされたエッジを有するエッチングパターンを含む、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項5】
前記金属化パターンが、
前記第2の導電性領域の
前記アノード接点の位置に、
前記第1の導電性領域
の前記アノード接点の位置を一致させる第1の接続パターンと、
前記第1の導電性領域
の前記カソード接点の位置を一致させる第2の接続パターンとを含む、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項6】
前記第1の導電性領域
の前記カソード接点の位置が、
前記第1の導電性領域
の前記アノード接点の位置の少なくとも一部を取り囲むが物理的に分離した領域に配置されるため、前記第1の接続パターンが前記第2の接続パターンに短絡しない、請求項5に記載のVCSELアレイ。
【請求項7】
前記第1の導電性領域の前記アノード接点および
前記第1の導電性領域の前記カソード接点が、前記単一の半導体ダイの同じ側に形成されて、単一のフリップチップ結合ステップを介して全ての電気的接続を促進する、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項8】
前記サブマウントおよび前記単一の半導体ダイが、フリップチップボンディングによって接続されている、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項9】
前記複数のVCSEL素子の中の個々のVCSEL素子が、外部駆動回路の駆動集積回路基板上のマッチング金属接点への直接結合を介して前記外部駆動回路に電気的に接続可能である、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項10】
前記単一の半導体ダイ上の領域内の前記導電性カソード層によって接続された各VCSEL素子の前記アノード接点が、第1の層によって電気的に接続され、前記領域内の前記導電性カソード層によって接続された前記カソード接点が、第2の層によって電気的に接続され、前記第1の層が、前記第2の層に直接接続されない、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項11】
前記サブマウントが、プリント配線板またはパターン化回路である、請求項1に記載のVCSELアレイ。
【請求項12】
垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)アレイを直列に製造する方法において、
半導体基板および導電性カソード層を形成することであって、前記導電性カソード層が、1つ以上の非導電性分離領域によって分離された2つ以上の導電性領域を含み、前記1つ以上の非導電性分離領域が、前記半導体基板の裏面のエッチングを介して形成され、各導電性領域が、複数のVCSEL素子を有するVCSEL領域を含み、複数のVCSEL素子のうちの各VCSEL素子がアノード接点を有し、カソード接点の領域が複数の接地メサを有し、前記導電性カソード層に共通接地接続を形成するために電流が前記アノード接点から前記導電性カソード層に前記複数のVCSEL素子を通って並列接続で流れるように、前記複数の接地メサのうちの各接地メサが前記導電性カソード層に直接接続されている、半導体基板および導電性カソード層を形成すること
を含む単一の半導体ダイを形成することと、
金属化パターンを含むサブマウントを形成することであって、前記金属化パターンは
前記2つ以上の導電性領域のうちの第1の導電性領域を前記2つ以上の導電性領域のうちの第2の導電性領域に直列接続するように構成されるものであり、
前記金属化パターンは、前記第1の導電性領域の第1の複数のVCSEL素子を
前記第1の導電性領域の第2の複数のVCSEL素子に直列に接続するように、電流が
前記第1の導電性領域の前記共通接地接続から
前記第2の導電性領域の
アノード接点に流れるべく、
前記第1の導電性領域の
アノード接点
を前記第2の導電性領域のカソード接点に電気的に接続する
、配線を含む、サブマウントを形成することと
を備え
、
前記配線は、前記第1の導電性領域と前記第2の導電性領域との間の、前記1つ以上の非導電性分離領域のうちの、非導電性分離領域に重ね合わせられている、
方法。
【請求項13】
前記半導体基板が少なくとも半絶縁材料である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の非導電性分離領域が、イオン注入により、または前記導電性カソード層上の開裂または角切りされたエッジを有する1次元もしくは2次元パターンのエッチングにより形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記金属化パターンが、前記導電性カソード層上の前記1次元もしくは2次元パターンのエッチングパターンと一致する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
単一のフリップチップ結合ステップを介して全ての電気的接続を促進するために、前記単一の半導体ダイの同じ側に
、前記第1の導電性領域の前記アノード接点および
前記第1の導電性領域の前記カソード接点
についての、接点を形成することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記サブマウントを前記半導体基板にフリップチップボンディングすることをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)アレイを直列に接続するためのシステムにおいて、
半導体基板上の導電性カソード層内に複数の導電性領域を形成し、前記半導体基板の裏面のエッチングを介して形成される、1つ以上の非導電性分離領域と、
各導電性領域内の複数の直列接続VCSEL素子であって、前記複数の直列接続VCSEL素子のうちの各VCSEL領域が、アノード接点および複数の接地メサを有するカソード接点の領域を含み、前記導電性カソード層に共通接地接続を形成するように電流が前記アノード接点から前記導電性カソード層に前記複数の直列接続VCSEL素子のそれぞれを通って並列接続で流れるように、前記複数の接地メサのうちの各接地メサが前記導電性カソード層に直接接続されている、複数の直列接続VCSEL素子と、
を含む単一の半導体ダイと、
前記半導体基板に接続されたサブマウントであって、前記サブマウントが、
前記複数の導電性領域のうちの前記第1の導電性領域を前記複数の導電性領域のうちの前記第2の導電性領域に直列接続するように構成された金属化パターンを含み、前記金属化パターンは、第1の導電性領域の
アノード接点
を前記
第2の導電性領域の
カソード接点
に電気的に接続するとともに、
前記第1の導電性領域の第1の複数のVCSEL素子を
前記第1の導電性領域の第2の複数のVCSEL素子に直列に接続するように
、電流が
前記第1の導電性領域の前記共通接地接続から
前記第2の導電性領域の
アノード接点に流れる
べく、前記第1の導電性領域
の前記アノード接点と
前記第1の導電性領域の前記カソード接点との間の電気的分離を維持する
、配線を含む、サブマウントと
を備え
、
前記配線は、前記第1の導電性領域と前記第2の導電性領域との間の、前記1つ以上の非導電性分離領域のうちの、非導電性分離領域に重ね合わせられている、
システム。
【請求項19】
前記半導体基板が少なくとも半絶縁材料である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の非導電性分離領域が、イオン注入、および前記導電性カソード層上の開裂または角切りされたエッジを有するエッチングパターンの、1つ以上によって形成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記金属化パターンが、前記導電性カソード層上の前記エッチングパターンと一致する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の導電性領域の前記アノード接点および
前記第1の導電性領域の前記カソード接点についての接点が、単一の半導体ダイの同じ側に形成されて、単一のフリップチップ結合ステップを介して全ての電気的接続を促進する、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記サブマウントおよび前記半導体基板が、フリップチップボンディングによって接続されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
直列接続された垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)アレイにおいて、
半導体基板が除去され、絶縁基板と、1つ以上の非導電性分離領域によって分離された2つ以上の導電性領域を含む導電性カソード層とによって置き換えられた単一の半導体ダイであって、前記1つ以上の非導電性分離領域が、前記半導体基板の裏面のエッチングを介して形成され、各導電性領域が、アノード接点および複数の接地メサを有するカソード接点の領域を有する複数のVCSEL素子を有する領域を含み、前記導電性カソード層への共通接地接続を形成するように電流が前記アノード接点から前記導電性カソード層に複数のVCSEL素子を介して並列接続で流れるように、複数の接地メサのうちの各接地メサが前記導電性カソード層に直接接続されている、単一の半導体ダイと、
前記2つ以上の導電性領域のうちの前記第1の導電性領域を前記2つ以上の導電性領域のうちの前記第2の導電性領域に直列接続するように構成された金属化パターンを含むサブマウントであって、前記金属化パターンは、前記第1の導電性領域の
アノード接点を
前記第
2の導電性領域の
カソード接点
に電気的に接続するとともに、
前記第1の導電性領域の第1の複数のVCSEL素子を
前記第2の導電性領域の第2の複数のVCSEL素子に直列に接続するように
、電流が
前記第1の導電性領域の前記共通接地接続から
前記第2の導電性領域の
アノード接点に流れる
べく、前記第1の導電性領域の前記アノード接点と
前記第1の導電性領域の前記カソード接点との間の電気的分離を維持する
、配線を含む、サブマウントと
を備え
、
前記配線は、前記第1の導電性領域と前記第2の導電性領域との間の、前記1つ以上の非導電性分離領域のうちの、非導電性分離領域に重ね合わせられている、
VCSELアレイ。
【請求項25】
前記1つ以上の非導電性分離領域が、前記導電性カソード層上のエッチングおよびイオン注入の1つ以上によって形成される、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【請求項26】
前記1つ以上の非導電性分離領域が、開裂または角切りされたエッジを有する1次元または2次元のエッチングパターンを含む、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【請求項27】
前記金属化パターンが、前記1次元または2次元のエッチングパターンと一致する、請求項26に記載のVCSELアレイ。
【請求項28】
前記第1の導電性領域の前記アノード接点および
前記第1の導電性領域の前記カソード接点が、単一の半導体ダイの同じ側に形成されて、単一のフリップチップ結合ステップを介して全ての電気的接続を促進する、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【請求項29】
前記サブマウントおよび前記単一の半導体ダイが、フリップチップボンディングによって接続されている、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【請求項30】
前記第1の導電性領域内の前記カソード接点の位置が、前記第1の導電性領域内の前記アノード接点の位置の少なくとも一部を取り囲むが物理的に分離した領域に配置される、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【請求項31】
前記複数のVCSEL素子のうちの個々のVCSEL素子または前記複数のVCSEL素子のうちのVCSEL素子のグループが、外部駆動回路の駆動集積回路基板上のマッチング金属接点への直接結合を通じて外部駆動回路に電気的に接続可能である、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【請求項32】
前記単一の半導体ダイ上の領域内の前記導電性カソード層によって接続された各VCSEL素子の前記アノード接点が、第1の層によって電気的に接続され、前記領域内の前記導電性カソード層によって接続された前記カソード接点が、第2の層によって電気的に接続され、前記第1の層が、前記第2の層に直接接続されない、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【請求項33】
前記サブマウントが、プリント配線板またはパターン化回路である、請求項24に記載のVCSELアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2017年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/536,918号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、直列接続アーキテクチャに関連する垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)アレイ、ならびに装置、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)は、短波長マルチモード光ファイバ通信システムを含む様々な通信技術で使用されている。VCSELはまた、極端な温度および放射環境でも効果的で堅牢であるため、照明器や産業用熱処理などの用途において役立つ。単一のVCSEL装置は、一般に、特に10Gb/s以上のデータレート用に設計されている場合、数ミリワットの光出力パワーで動作する。共通の基板または複数の基板上に同時にアドレス指定されたVCSELのアレイを構築することにより、より大きな光出力パワーが実現されることができる。
【0004】
しかしながら、VCSELは、電流拡散損失およびモード特性の結果として、適度な開口サイズに制限される。VCSELをより高電力にスケーリングするために、通常のアプローチは、共通のダイ上にVCSELのアレイを作成することである。配列された装置は、多くの場合、並列または直列に組み合わされ、低変調帯域幅用に設計されている。並列配置では、単一基板上の複数のVCSELは、通常、ウェーハを介して共通に接続され、レーザは、共通のカソード接続と電気的に並列に接続される。そのような構成は、例えば、米国特許第7,949,024号明細書に見出すことができ、これは、背面放射VCSELアレイの並列構成を説明している。しかしながら、追加のバルク容量は、VCSELの並列動作の制限要因であり、並列配置は、高電流パルス駆動回路との理想的なインピーダンス整合ではない場合がある。R.Carson、M.Warren、P.Dacha、T.Wilcox、J.Maynard、D.Abell、K.Otis、およびJ.Lott、「高出力高速VCSELアレイの進歩」、Proc.SPIE 9766、垂直キャビティ面発光レーザXX、97660B(2016年3月18日)(非特許文献1)は、複数のダイを直列に接続することにより、はるかに高い光パワーが実現されることができることを示している。個々のダイのそれぞれは、並列に接続された複数のVCSELを有するが、ダイがフリップチップボンディングされるサブマウントは、ダイを直列に接続することができる。
【0005】
直列接続されたVCSELアレイは、特に低デューティサイクルのパルス電流源で動作する場合、単一の並列接続されたVCSELアレイに比べて、所定の電流での出力光パワーを大幅に向上させることが示されている。そのような高出力パルス光源は、フラッシュLiDARや短距離NIR照明などの用途に特に役立つ。
【0006】
多くの本直列接続構成では、各VCSELアレイは、単一チップまたはウェーハ上に配置された一連の並列VCSEL素子と、チップ上の導電層に接続する短絡接点によって形成された共通カソード経路を備える。複数チップが共通のサブマウントに接着され、直列接続を形成するように配置される。フリップチップ配置では、各チップのアノードは、サブマウント上の共通電気的接続に接続され、各チップ上の共通カソード接続は、サブマウント配置の次のチップのアノード接続に接続する。そのような構成では、各チップ上で共通カソード配置を使用するため、共通のサブマウントに複数チップを「タイル張り」することが、直列接続構成を実現する唯一の方法であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】R.Carson、M.Warren、P.Dacha、T.Wilcox、J.Maynard、D.Abell、K.Otis、およびJ.Lott、「高出力高速VCSELアレイの進歩」、Proc.SPIE 9766、垂直キャビティ面発光レーザXX、97660B(2016年3月18日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
「タイル張り」のアプローチは、設計の柔軟性の観点から多くの利点を有する。しかしながら、単一チップを使用する方がはるかに有利な構成がある。例えば、マイクロレンズのセグメント化されたグループが使用されるレーザアセンブリでは、タイルチップ間の相対的な角度差が問題となるように、それらのレンズ間の相対的な位置合わせ精度が重要である。他の例は、直列接続に関連する余分な光パワーの恩恵を受ける可能性のある低値電流源がある場合であるが、複数のダイをタイル張りするために必要な余分な半導体ダイ面積がコストおよびパッケージングの問題を引き起こす。
【0009】
タイル張りはまた、余分な実空間を必要とし、複数のチップは、使用すると、コストの増加および梱包の問題につながる可能性がある。したがって、場合によっては、そのようなサイズ、コスト、および製造要因が、直列接続に関連する余分な光パワーの利点を上回る。さらにまた、一致する特性は、同じチップに搭載されたVCSEL素子から得られる可能性が高いため、直列接続で使用されるVCSEL素子がほぼ同一の放射特性を有することが波長制御要件によって規定されている場合、タイル張りは、好ましくない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
直列接続された単一チップの垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)アレイの方法、装置、およびシステムについて説明する。直列接続された設計は、並列に接続された単一アレイによって得られることができるよりも高い所与の電流源からのピーク光パワーを可能にする。単一チップは、半導体基板および導電層を備えることができる。導電層は、導電層上に複数の電気的に分離された領域を形成する、導電層を通るエッチングまたはイオン注入によって形成された1つ以上の非導電性領域を含む。電気的に分離された各領域は、直列に接続されたアノード領域およびカソード領域を含む複数のVCSEL素子を有することができる。チップはまた、金属化パターンによってサブマウントに接続し、これは、導電層上の電気的に分離された領域間の直列接続を可能にする。一実施形態では、金属化パターンは、第1の電気的に分離された領域のカソード領域を第2の電気的に分離された領域のアノード領域に接続する。金属化パターンはまた、同じ電気的に分離された層領域上のアノード領域とカソード領域との間の電気的分離を維持し且つエッチングされた領域と整列するカットを備えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、チップの半導体基板は、半絶縁材料または絶縁材料とすることができる。エッチングされた領域は、開裂または角切りされたエッジを有するエッチングパターンを含むことができ、さらに、1次元または2次元とすることができる。サブマウント金属化パターンはまた、導電層のエッチングされた領域上の1つ以上のエッチングパターンと一致させることもできる。チップおよびサブマウントはまた、フリップチップボンディングまたは同様の方法で接続されることもできる。他の態様では、電気的に分離された各領域のカソード領域は、同じ電気的に分離された領域内のアノード領域の周りに配置される。さらに、各カソード領域は、複数の短絡接点を含む。VCSEL素子は、外部駆動回路に電気的に接続可能であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本明細書で説明される例示的な実施形態を示すために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる、アノード接点およびカソード接点がチップの同じ側にあるように、電流帰還路を提供する短絡VCSEL構造とペアになっている、フリップチップボンディングされた直列VCSELを示す簡略断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる短絡メサ装置、ヒートシンク、ボンディング層、および他の特徴をさらに示している、2つの直列接続されたVCSELアレイの簡略断面図であり、トレンチ分離またはイオン注入領域を介して電気的に分離された領域が形成されている。
【
図3】
図3は、2つの直列接続されたVCSELアレイの代替実施形態であり、基板方法によるイオン注入およびトレンチ分離を介して電気的に分離された領域が形成されている。
【
図4】
図4は、2つの直列接続されたVCSELアレイの代替実施形態であり、導電層を介してエッチングし、半導体基板材料を除去し、絶縁支持基板によって置き換えることによって電気的に分離された領域が形成されている。
【
図5】
図5は、単一チップまたはダイ上に直列に接続された3つのVCSELアレイの例示的なレイアウトの平面図である。
【
図6】
図6は、例示的な金属化パターンによってサブマウントに接続された
図5の直列接続された単一チップアレイを示している。
【
図7】
図7は、単一チップまたはダイ上に直列接続された4つのVCSELアレイの例示的なレイアウトの平面図である。
【
図8】
図8は、例示的な金属化パターンによってサブマウントに接続された
図7の直列接続された単一チップアレイを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、単一チップ上の垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)アレイの複数の直列接続を可能にする装置、システム、および方法について説明する。直列接続されたVCSELアレイは、単一の並列接続されたVCSELアレイと比較して、所与の連続(CW)またはパルス電流源からの出力光パワーを大幅に強化する。強化されたピーク光パワーは、低デューティサイクルのパルス電流源で動作する場合に特に顕著である。そのような高パワーパルス光源は、フラッシュLiDARまたは近赤外照明を含む様々な用途に特に有用である。
【0015】
様々なサイズおよび構成のレーザアレイ領域を単一チップに直列接続する機能は、領域ごとの出力を最大化するために、駆動回路、レーザ構成、出力マイクロオプティクスを最適に一致させることができます。さらに、VCSELアレイ設計の柔軟性および多様性は、光ビーム全体の出力を調整することを可能にする。実施形態は、サブマウント上の特定の「タイル張り」または他の構成に限定されるものではないため、製造および他のコストが削減されることができる。
【0016】
以下に説明する実施形態では、アレイ内のVCSELは、アノードおよびカソードの双方の接点がウェーハの活性側に構成されるように相互接続される。この構成では、装置基板として非導電性(非ドープ)ウェーハを使用することが可能であるため、VCSELを電気的に絶縁するのが容易である。カソード接点およびアノードの接点をウェーハの同じ側に構成する能力は、パッケージングおよび集積にとって大きな利点である。単一のフリップチップボンディングステップが使用され、活性な集積回路を含む様々な基板上に組み立てることができる。ワイヤボンドを使用しない直接相互接続は、寄生インダクタンスを最小限に抑え、短い高電流パルス動作を可能にする。
【0017】
実施形態によれば、
図1は、ダイの同じ側にアノード接点およびカソード接点を有するフリップチップボンディングされたVCSELアレイの簡略化された概略断面図を示している。この図は、単一レーザ103とサブマウント基板200に接触する単一短絡メサ105を備えた単一のレーザダイまたはチップ100を示している。しかしながら、実際には、単一チップは、多くのレーザメサおよび短絡メサを有する。発光レーザは、サブマウント202上のアノード接触パッドに接触するメサである。カソード接触パッド204に接触するメサは、レーザメサと同様に製造されるが、めっき金属層124は、レーザ構造のpおよびnドープ層と接触し、電気的短絡を生じさせるため、電流は、接合部を流れず、光は放射されない。あるいは、めっき金属層124は、誘電体コーティングによってpドープ層から絶縁されることができ、nドープ材料にのみ接触し、サブマウント200上のカソード接点204に電流を直接短絡させることができる。繰り返すが、この実施形態では、接合部に電流は流れず、光は放射されない。
【0018】
本明細書に開示される方法は、発光ダイオード、光検出器、端面発光レーザ、変調器、高電子移動度トランジスタ、共振トンネルダイオード、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、量子ドットレーザなど、他の半導体装置のアレイを製造するために使用されることができることを理解されたい。さらに、実施形態におけるVCSELアレイ装置100の図は、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでは決してないことを理解されたい。
【0019】
実施形態では、VCSELアレイ装置は、ガリウムヒ素(GaAs)を一般に含む基板102を含む。しかしながら、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、シリコン(Si)、エピタキシャル成長材料などの他の材料が使用され、基板102を形成することができる。基板102は、通常、その後に成長する材料層の欠陥を最小限にするように選択された格子定数を含む。また、少なくとも1つの組成の選択およびその後に成長する材料層の厚さが、所望の動作波長を提供することも理解されたい。分子線エピタキシ(MBE)、金属有機化学蒸着(MOCVD)などを使用したエピタキシャル成長により、基板102上に後続の層が蒸着される。
【0020】
いくつかの実施形態では、半導体基板102は、電流帰還路に追加の導電性材料を提供するためにドープされる。この追加の導電性材料は必須ではなく、半導体基板102は、非常に低い導電性を有する非ドープまたは半絶縁性材料とすることができる。そのような場合、カソード接触層104は、アレイ内のレーザ間の重要な電気的接続層である。
【0021】
層104は、基板102全体の横方向伝導を可能にするVCSELの半導体層構造内のドープ層である。金属層122(
図2を参照)は、電流帰還路への電気抵抗を低減するために、レーザメサ103に近い層104に接触する。導電性カソード層104は、短絡メサ105のめっき金属構造124に接続する。実施形態では、層104は、基板102上にエピタキシャル蒸着された格子整合下部分布ブラッグ反射器(DBR)とすることができ、VCSELメサ103の第1の隆起層および短絡回路/短絡/接地メサ105を形成する。下部DBR104は、屈折率が変化する(高低)、または導波路内の有効屈折率の周期的変化をもたらす誘電体導波路の高さなどのいくつかの特性の周期的変化による交互材料の複数の層から形成される。各層の境界は、光波の部分反射を引き起こし、結果として得られる層の組み合わせは、所望の動作波長において高品質の反射体として機能する。したがって、下部DBR104は、2つ以上の材料層を含むが、
図1では、本明細書の説明を簡単且つ容易にするために単一層からなるものとして示されている。下部DBR104の一部はまた、VCSELアレイ装置に対する電気接点(図示せず)が構成されることを可能にするように導電性にすることができる。
【0022】
実施形態では、活性領域は、下部DBR104上にエピタキシャル蒸着されてもよく、活性領域は、クラッド(および/または導波)層、バリア層、および所望の動作波長においてかなりの量の光を放射することができる活性材料を含む。動作波長は、約620nmから約1600nmまで(GaAs基板の場合)適切に与えられる範囲内の波長である。しかしながら、他の波長範囲が望ましい場合があり、用途に依存することを理解されたい。
【0023】
当業者によって理解されるように、放射の波長は、DBRおよび活性領域を形成するために使用される材料の選択にしたがって実質的に決定される。さらに、活性領域は、量子ドット、量子井戸などの様々な発光構造を含むことができる。導電性の上部DBR領域は、活性領域上に配置され、オーミック電気的接続を形成することができる(図示せず)。いくつかの実施形態では、下部DBR104はnドープされ、上部DBRはpドープされるが、これは逆にすることができ、その場合、下部DBR104はpドープされ、上部DBRはnドープされる。他の実施形態では、電気的絶縁性DBRが使用されることができ(図示せず)、これは、キャビティ内接触および活性領域により近い層を利用する。さらに、ドープされた上部ミラー接触層(図示せず)が上部DBR上に配置され、接触層120上に蒸着された金属へのオーミック電気的接続を促進することができる。
【0024】
リソグラフィおよびエッチングが使用され、上述した各メサおよびそれらの構造を画定することができる。これは、ポジ型の厚いレジストのコーティング、露光、および現像などの一般的なフォトリソグラフィステップにより、エピタキシャル成長層をパターニングすることによって実現されることができる。レジストの厚さは、レジストとエピタキシャル層との間のエッチング選択性、および所望のメサ形状に応じて、当該技術分野において知られているように変えることができる。
【0025】
GaAsベースの材料の場合、エッチングは、通常、Cl2:BCl3などの塩素(Cl)ベースのドライエッチングプラズマを使用して行われるが、任意数のガスまたはそれらの混合物が使用されることができる。エッチングはまた、多くのウェットエッチャントによって行われることもできる。イオンミリングまたは反応性イオンビームエッチングなどの他の形態のエッチングも使用可能である。エッチングの深さは、アレイ内のメサの活性領域を分離するのに十分な深さに選択される。エッチングは、Nミラー(下部DBR104)、Nミラーに形成されたエッチング停止/接触層(下部DBR104)、またはNミラー(下部DBR104)のいずれかによって基板102内に停止する。メサを形成するためにエッチングした後、残っているフォトレジストが除去される。これは、ウェットソルベントクリーンもしくはドライ酸素(O2)エッチングまたは双方の組み合わせを使用して実現されることができる。
【0026】
図に示される実施形態では、メササイズ、および光生成VCSELの開口は同じであり、均一な間隔を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、アレイ内の装置の個々のVCSELメササイズは異なることができる。さらにまた、アレイ内のVCSELメサ間隔は異なることができる。いくつかの実施形態では、アレイ100内の光生成VCSELメサの分離は、約20μmから200μmの間である。しかしながら、より大きな間隔と小さな間隔も可能である。VCSELメサおよびカソードメサの双方は、図では円形として示されているが、矩形、細長線または他の任意の形状であってもよい。
【0027】
誘電体蒸着が使用および処理され、接触面の開口を画定することができる。誘電体層114は、アノード接点202からの電流が金属層126、124、および120を流れ、次に光が放射されるように半導体接合部を流れるように、レーザメサ103をめっき金属カバーおよびヒートシンク124から絶縁する。誘電体層114の蒸着は、通常、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によって達成されるが、原子層堆積(ALD)などの他の技術が使用されることができる。実施形態では、誘電体コーティング114は、上面(メサ側壁を含む)上の共形コーティングであり、後続の金属層からのピンホールを通る電流漏れを防ぐように十分に厚い。
【0028】
このフィルムの厚さを選択する際に考慮すべきその他の特性は、めっき金属124(
図2を参照して以下でさらに説明するヒートシンクとして動作する)と基板102(グラウンド)との間に生じる静電容量であり、その場合、誘電体層114は、より厚い方が有益であり、VCSEL103の側壁上の誘電体層114が活性領域からヒートシンク124に熱を伝達する必要性があり、より薄い層が有益である。いくつかの実施形態では、異なる蒸着技術を使用する複数の蒸着が使用され、これらの特性の双方を備えた層を達成することができる。この技術の例としては、Si3N4のEビーム蒸着によるPECVD窒化ケイ素(Si3N4)、または他の誘電体の蒸着に続いて、より指向性の高い蒸着速度を有して蒸着され、それにより、入射面により厚い誘電体材料を配置することとすることができる。誘電体層114が形成されると、フォトリソグラフィプロセスが使用され、各VCSELメサ上の誘電体に、上部ミラー接触層120に接触する開口を画定する。誘電体層114はまた、各VCSELメサ間の基板102上、接地メサを囲む基板102上、および各接地メサの上部および側面上でも除去される。
【0029】
これらの例示的な実施形態では、その後のステップでp金属層120がその中に形成されることができるように、フォトリソグラフィプロセスが使用され、誘電体が開いている上部ミラー上に接点を画定することができる。実施形態では、フォトレジストの開口面積は、誘電体の開口よりも僅かに大きく、典型的には数μm程度広い。他の実施形態では、その直径は、誘電体開口の直径よりも小さくすることができ、または後のステップでめっきされる短絡メサ上のヒートシンク材料の直径と同じ大きさでもよい。この開口は、誘電体コーティングがコンフォーマルでメサ底部のNミラー部分を覆っていない限り、メサを生成する活性光のメサ直径よりも大きくすることはできないかまたはその後の金属はpおよびn電位を短絡させる。
【0030】
フォトレジストの開口領域が画定されると、通常は、p型金属を使用して、開口領域上に金属化が実行されることができる。p金属接触層120は、通常、Eビーム、抵抗蒸発、スパッタ、または任意の他の金属蒸着技術によって蒸着される多層蒸着である。薄いチタン(Ti)層は、次層の接着のために最初に蒸着される。この接着層の厚さは、大きく変化する可能性があるが、Tiフィルムは後続層よりもストレスが多く且つ抵抗が大きいため、一般に、約50Åから約400Åになるように選択される。実施形態では、接着層は、約200Åの厚さである。クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)などの他の接着金属層が、この層に置き換えられることができる。また、この層は、反射体層として機能して、接触ミラーの反射率を高めることができる。
【0031】
次層は、蒸着中に真空を破ることなく、接着層の上に直接蒸着される。多くの場合、この層は、ボンディング段階での過度の加熱のために、金(Au)または他の上部金属が接点(拡散障壁)に拡散しすぎるのを防ぐガードとして機能する。一般に、選択される金属は、Pd、プラチナ(Pt)、Ni、タングステン(W)、またはこの目的のために選択された他の金属もしくはこれらの金属の組み合わせである。選択される厚さは、フリップチッププロセスに必要な特定のボンディング温度に依存する必要がある。この層の厚さは、通常、約1,000Å~約10,000Åである。低温ボンディングプロセスが使用される実施形態、例えば、インジウムボンディングプロセスでは、拡散バリア層は、任意とすることができ、金属接触スタックの一部として蒸着されないことがある。
【0032】
次層は、一般に、Auであるが、Pd、Ptまたは金ベリリウム(AuBe)や金亜鉛(AuZn)などの混合物とすることができる。以下に説明する実施形態では、この層の厚さは、約2,000Åである。しかしながら、フォトレジストの特性および蒸着物の加熱特性に応じて、一般に、広範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、この時点で他の金属も蒸着され、金属の厚さを増やし、この段階で金属ヒートシンクを形成することにより、処理ステップの数を減らすことができるが、この技術は必須ではなく、以下に説明するデモンストレーション装置では利用されなかった。
【0033】
一般に、このフォトリソグラフィプロセスには、一般的なリフトオフ技術が選択されているため、表面に蒸着した金属は、フォトレジスト上の任意の金属が半導体への金属の付着またはその接着に影響を与えることなく除去されるように、フォトレジストによって覆われた表面の領域から容易に分離されることができる。上述したように、フォトリソグラフィプロセスがその後に使用され、基板102の様々な部分と短絡n接触メサ105の上の開口を画定し、誘電体は、前のステップで開かれた。実施形態では、n金属蒸着に対応するフォトレジストの開口領域は、n金属の誘電体開口の開口よりも僅かに大きくなければならない。次に、N金属層122が蒸着され、下部DBR104(nミラーの場合)、エッチング停止および下部DBR104内に一般に高濃度にドープされた接触層のいずれかを介して基板102とともに、または基板102自体に電気回路を形成することができる。n金属層122を形成するプロセスは、p金属層120のプロセスと同様である。金属層は、Ni/Ge/Au、Ge/Au/Ni/Auの組み合わせ、またはそのような多くの組み合わせを含むように選択されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の層または複数層は、基板102のnドープエピタキシャル材料への拡散によって接触抵抗を低減するように選択される。他の実施形態では、多層金属スタックの第1の層はまた、アニールプロセスにおいて、材料の様々な拡散特性のために金属が「凝集」せず且つ分離しないように、Niなどの拡散制限層として選択されることもできる。これらの金属の拡散を均等に分布させることが望まれ、加熱も低減する接触抵抗を下げるために使用されることができる。この多層金属スタックの厚さは、大きく異なることができる。説明される実施形態では、それぞれ400Å/280Å/2,000Åの厚さのNi/Ge/Au金属スタックが使用された。
【0035】
次に、接触抵抗を下げるために、ウェーハに対してラピッドサーマルアニール(RTA)ステップが実行される。記載された実施形態では、プロセス温度は、最大で約400℃まで急速に上昇し、約30秒間保持され、室温まで下降される。RTAステップの温度および時間条件は、金属化に依存し、当業者にとって知られている実験計画法(DOE)を使用して決定されることができる。
【0036】
他の実施形態では、このステップは、プロセスフローの早い段階または遅い段階で実行されることができるが、一般に、はんだまたは接着金属の酸化を低減するためにはんだが蒸着される前に行われる。フォトリソグラフィプロセス(通常は約1μmから3μmのフォトレジストの薄層を使用)は、基板102および短絡N接触メサ105、ならびに活性メサ103上の接触開口を画定するために使用および開発され、ヒートシンク構造がめっきまたは構築される。次のステップは、金属シード層の蒸着であり、通常は、多層蒸着であり、Eビーム、抵抗蒸発、スパッタまたは任意の他の金属蒸着技術によって蒸着される。金属層は、Ti/Au、20Å/600Å、または接着およびエッチングを容易にするために第1の層または複数層が蒸着され、導電性およびエッチングを容易にするために第2の層が蒸着されるような多くのそのような組み合わせなどが選択されることができる。この技術がヒートシンクの構築に使用される場合、シード層は、表面上で連続しており、めっき用の電気的接続を可能にする。
【0037】
実施形態では、その後、厚い金属がめっきによって蒸着され、ヒートシンク124を形成する。しかしながら、他の蒸着方法も使用可能であり、その場合、金属シード層は不要である。めっきの場合、フォトリソグラフィプロセスが使用され、前のシード層レジストによって画定された開口上に開口を画定する。蒸着が起こる領域のフォトレジストが除去される。フォトレジストの厚さは、厚い金属が画定された後に容易にリフトオフするように選択される必要があり、通常、厚さは、約4μmから約12μmの範囲である。O2または水酸化アンモニウム(NH4OH)と組み合わせた水を使用したプラズマクリーニングが実行され、金シード層に残っているレジストを全て除去する。次に、ヒートシンク124の金属が標準的なめっき手順によってめっきされる。記載された実施形態では、銅(Cu)がその熱伝導特性のためにめっき用金属として選択されたが、良好な熱伝導性を提供し且つ装置の信頼性を低下させない界面を提供するAu、Pd、Ptなどの非酸化金属がより適切とすることができる。めっきの厚さは、異なることができる。記載された実施形態では、約3μmの厚さが使用された。
【0038】
次に、ウェーハまたはサンプルが、インジウム(In)めっきなどのはんだめっき溶液に配置され、結合層126を形成する。このステップでは、結合特性のために他の金属が選択されることができる。厚さは、大きく異なることができる。記載された実施形態では、約2μmのめっきされたInがヒートシンク上に蒸着された。しかしながら、金錫(AuSn)合金などの他のはんだも使用可能であり、スパッタリングなどの代替蒸着技術も使用可能である。金属の蒸着が完了した後、前述のように溶剤、プラズマ洗浄、またはその双方を使用してフォトレジストが除去され、Auをエッチングするドライまたはウェットエッチングによってシード層がエッチングされてから、Tiをエッチングおよび/またはTiO2を除去するドライまたはウェットエッチングでエッチングされる。次に、標準のレジスト洗浄方法によってシード層フォトレジストが洗浄される。この時点で、VCSELアレイ基板は完成し、ボンディングの準備ができている。あるいは、レーザダイのメサの代わりに、フリップチップボンディングプロセス用のサブマウント接触面にはんだが蒸着されることができる。
【0039】
厚いヒートシンク材料によってメサを完全に包むことは、実施形態の重要な態様である。メサの活性領域は、厚いヒートシンク材料が形成される縁部に最も近いため、良好な熱伝導性があり、それにより、それらの活性領域によって生成される熱を効率的且つ効果的に除去する実施形態の設計を可能にする。前述のように、これは、ヒートシンク材料をメサの上部に配置する既存のVCSELアレイ装置の熱低減技術とは大きく異なる。これらの既存または従来の設計は、熱伝導性の高い一連の材料(ミラー)または誘電体を通って移動するために熱を必要とし、それにより、熱低減の低い効率および効果をもたらす。
【0040】
いくつかの既存の設計では、ヒートシンク材料の薄層によってメサを取り囲んでいるが、熱を低減する目的で、これらの設計では、得られるヒートシンクの高さを考慮していない。厚いヒートシンク層を使用し、n基板接地電位とヒートシンク基板上のp接触面との間の距離を増やすことにより、本実施形態は、ヒートシンク層の高さが増加するにつれてシステムの寄生容量を減少させる。さらに、熱の低減に加えて、追加の材料の構築は、周波数応答を増加させる。
【0041】
他の実施形態では、誘電体層114は、メサの周りのnミラーまたは基板全体を覆い、ヒートシンク材料がヒートシンクの個々のメサの代わりに全てのメサを完全に包囲して1つの大きなヒートシンク構造を形成することができるように開かれない。この場合、n接点は、短絡回路のメサから基板まで延長するためにのみ必要である。実施形態のヒートシンクはまた、隣接するメサによって生成される熱量を低減することにより、VCSELアレイの動作を改善する。ほとんどの電気装置内の熱抵抗の低減は、各装置の周波数応答を増加させる。本装置のVCSELアレイ装置の熱性能を改善することにより、VCSELアレイ装置の高速性能の大幅な向上が可能にされる。さらにまた、この実施形態では、既存のアレイ回路と比較して構築されるヒートシンクが厚くなるため、メサに与えられた余分な高さが、基板接地面と全ての活性メサを並列に接続する正の接触板との間の距離を増やすことにより、静電容量を減らすことも明らかである。その得られる結果は、アレイ全体の周波数応答も増加させる回路の寄生インピーダンスの低減である。
【0042】
また、活性領域を囲むサブアレイを形成する短絡回路メサ設計は、複数のワイヤボンドを形成せずに、製造されたVCSEL基板からヒートスプレッダの接地面に直接電流を流すことを可能にする。実施形態のこの態様は、製造の複雑さを低減し、また、既存のアレイに示される複数のワイヤボンドからの寄生インダクタンスも低減する。短絡回路のメサ設計は、ヒートスプレッダ基板にフリップチップされたときに、アレイの周波数応答に有益な共面導波路を形成する。この設計特徴はまた、信頼性および位置決めにも影響する、隆起したワイヤボンドを必要としない単純なパッケージング設計を可能にする。
【0043】
層126は、サブマウント基板200への接着を提供するはんだまたは他の導電性結合層である。層126は、様々な方法により、アノードメサおよびカソードメサ上のめっき金属層124の上部に直接蒸着されることができる。代わりに、層126はまた、サブマウント上のアノードおよびカソード接触パッド202および204に適用されることもできる。層120は、VCSEL半導体層の高度にドープされた表面への接点である。レーザメサから短絡メサへの電流は、カソード接点204においてグラウンドへの経路を構成するために、カソード接点層104を通る。
【0044】
そのような直列接続構成の好ましいレイアウトが
図2の断面図に示されている。ここで、レーザアレイのアノード103および短絡カソード105は、
図1に示したように構成されている。1つの相違は、半導体基板102が一般に使用される高度にドープされた導電性半導体材料ではなく、少なくとも半絶縁材料(すなわち、半絶縁性または絶縁性)であるということである。この半絶縁材料は、ほとんどのVCSEL設計の基礎を形成するGaAs基板の低ドープバージョンである。また、共通導電性カソード層104は、エッチング領域128を使用して分離され、チップ上に電気的に分離されたカソード領域を形成する。
【0045】
代替実施形態は、エッチングされたトレンチの代わりに領域128に絶縁インプラントを使用する。図のメサがエッチングされた後にインプラントが実行されるため、レーザ構造全体にインプラントするために必要な注入エネルギは、極端に高くする必要はない。絶縁インプラントは、通常、プロトンを使用して半導体結晶構造を乱し、非導電性にする。当業者にとって公知のそのような電気的分離を行う種およびエネルギをインプラントするための多くのアプローチがある。絶縁インプラントと組み合わされた領域128の浅いエッチングされたトレンチの組み合わせも使用されることができる。
【0046】
図3は、
図2と同様の直列接続構成を示しているが、VCSELアレイ間の分離は、トレンチ分離法によって実現される。この実施形態では、共通の導電性カソード層上に電気的に分離された導電性領域を形成するために、基板が裏面からエッチングされる。領域128のトレンチは、基板102全体を貫通しないが、イオン注入を使用して領域128の残りの材料を非導電性にするのに十分な深さである。トレンチは、ウェーハを機械的に弱めるため、何らかのタイプの支持基板が必要になる場合がある。
【0047】
トレンチは、基板102をエッチングするために、上述したように、リソグラフィ技術を使用して形成されることができる。シリコンの局所酸化(LOCOS)または浅いトレンチ分離と同様の構造を形成するために、ポリマーやスピンオンガラスなどの誘電材料によってトレンチを充填するなどの一般的な分離技術が実装され、VCSEL装置および基板102に使用される材料、および本明細書で説明される様々な実施形態にしたがって、所望のサイジング特性を有するトレンチを形成することができる。
【0048】
トレンチ領域128が確立されると、イオン注入技術が使用され、領域128が非導電性であることを保証することができる。イオン注入では、高エネルギイオン(約10~200KeV)が基板内で加速されて、ターゲット材料内の原子を置換し、構造変化を引き起こし、物理的、化学的、および/または電気的特性の変化を有するターゲット材料をもたらすことができる。ホウ素、窒素、またはリンなどのドーパントイオンがそのような方法において利用されることができるが、所望の基板特性および基板材料に応じて、他のイオンが使用されてもよい。
【0049】
当業者にとって公知の1つの技術では、イオン注入は、所望の元素および不活性ガスを含むイオン化されたビームの形成を通じて実装されることができる。イオン化されたビームは、真空中でターゲット材料に向かって高エネルギで加速され、イオン化された原子は、ターゲット材料内の原子を置換することができる。このプロセスを達成するために、高エネルギ加速器および当業者にとって一般的な他の技術が利用されることができる。チップ上でラピッドサーマルアニール(RTA)ステップが実行され、注入プロセス中にドーパントや不純物によって引き起こされる欠陥や損傷を除去することもできる。
【0050】
領域の電気的特性は、インプラントの深さおよび投与量によって正確に制御されることができるため、イオン注入技術は、非導電性トレンチ領域128を作成するために好ましい場合がある。注入はまた、表面ターゲット材料の硬化と耐腐食性にも寄与し、これは、装置の摩耗やその他の損傷に対する耐性を高める。
【0051】
VCSEL構造の導電性領域(
図2に示す)および部分的に基板(
図3に示す)を通るトレンチエッチングと、領域128の残りの材料への絶縁インプラントとの組み合わせもまた、ドープされた(すなわち、導電性)基板の使用が同じダイ上でVCSELの直列接続を行うことを可能にする。
【0052】
図4は、直列接続のために同じダイ上でVCSELを電気的に絶縁する第3のアプローチを示している。このアプローチでは、基板が除去され、上述したように、研磨作用、選択的化学エッチング、および/またはリソグラフィ法の組み合わせによって元のヒ化ガリウム基板が除去された後、VCSELアレイの露出表面に接合された絶縁基板によってVCSELアレイ構造が支持されるため、基板102のドーピングは無関係である。チップは、基板の除去中にチップのエッチングされたメサ側に接合された一時的なバッキングまたはハンドルウェーハによって機械的に支持される。(接着剤またはその他のチップボンディングプロセスを使用して)絶縁基板が所定の位置に接合されると、一時的なバッキングチップが除去される。そして、VCSELアレイは、互いに電気的に絶縁される。
【0053】
図5は、単一チップまたはダイ上で直列に接続された複数のVCSELアレイの例示的な平面レイアウトを示している。チップは、塗りつぶされた矩形アウトライン500によって表される。この実施形態では、2つの領域128がチップを横切って延在し、チップの共通導電性カソード層上に3つの連続した電気的に分離された導電性領域502a、502b、および502cを形成する。分離領域128は、上述した方法のいずれかを介してエッチングまたはイオン注入されて、領域を非導電性にすることができる。電気的に分離された各導電性領域502は、さらに、アノード領域およびカソード領域を含む。アノード領域は、小さな破線円によって表される複数のアノード接点504を含む。カソード領域はまた、より大きな破線円によって表される複数のカソード接点506も含む。
【0054】
この実施形態では、アノードは、各チップ領域502の中央でともにグループ化される。カソード接点504は、複数のアノード接点504の周りにC形状を形成し、アノード接点の3つの側面を実質的に取り囲む。しかしながら、他のカソードおよびアノード構成が可能であり、本例示的なレイアウトに限定されるものではない。アノード接点504は、同じ電気的に分離された導電性領域内でカソード接点506と電気的に接続されている。チップがサブマウントに接続されると、
図6でさらに説明するように、カソード接点は、チップの底面にあるサブマウントの金属化パターン(図示せず)を介して隣接領域のアノード接点に接続する。
【0055】
チップ500の幅を横切って延びるエッチングされた領域128は、エッチングされた領域128により、各領域のカソードサブマウント層を隣接領域のカソード層から電気的に分離する。エッチングされた領域は、チップ500上に1つ以上の別個の非接続金属層を形成するために、上述したものと同様のフォトリソグラフィプロセスによって達成および画定されることができる。エッチングされた領域は、1次元または2次元のパターン、または本明細書に記載のパターンの任意のバリエーションを含むことができ、イオン注入領域またはエッチングされたトレンチおよびイオン注入領域の組み合わせとすることができる。
【0056】
さらにまた、チップ500は、開示された特徴を可能にすることと一致する任意の形状またはサイズとすることができ、
図5に示された矩形の実施形態に限定されるものではない。チップは、開裂、ダイシング、レーザシンギュレーション、またはそれらのプロセスまたは同様のプロセスの任意の組み合わせによって形成されることができる。同様に、各チップ上に形成される領域の形状、サイズ、および数は、設計のニーズや同様の考慮事項に応じて変更されることができる。
【0057】
説明した接続パターンを実現するために、各領域のカソードおよびアノードの構成が変更されてもよい。複数のカソードはんだバンプ506は、同じ領域上の複数のアノードから分離された層上にある。領域間のカソード層は、領域間接続が1つの領域上の複数のアノードと隣接領域上の複数のカソードとの間に生じるように、電気的に分離されている。各領域内のアノード504は、アノード504およびレーザダイオード接合部(プロセス中に光を放射する)に電流が流れた後、共通カソード層124を介してカソード接点に電流が流れるように、共通カソード接点層である
図1の層124を介して、その同じ領域内の共通カソード接続506に接続されている。
【0058】
図5の例示的なレイアウトの底面図である
図6に、直列接続されたVCSELアレイの設計がさらに示されている。この実施形態では、パターン化されたサブマウントが使用され、電気的に分離された各領域502の直列接続を実装する。具体的には、サブマウントの金属化パターンは、異なるチップ領域のアノードとカソードとの間に導電性の電気経路を提供するが、別個のチップ領域のカソードと同じチップ領域500のカソードおよびアノードとの間の電気的分離を維持する。
【0059】
接続は、フリップチップボンディングによって実現されることができ、レーザダイは、
図2で説明したように、サブマウント基板上にフェースダウンで配置される。サブマウントおよびレーザダイは、所望の電気的接続経路を可能にするために正確に位置合わせされ、領域間の適切な電気的分離を維持する。フリップチップボンディングは、ワイヤボンディング装置と比較して多くの利点を提供する。接続の可能性が大きくなるため、主な利点は、設計の柔軟性である。ワイヤボンディングと比較して、チップ領域ごとにより多くの接続が構成されることができるため、より小さく且つより多様な構成が実現されることができる。また、ワイヤボンディングと比較して、電磁放射が大幅に少なくなる。信号経路を短くし、接続のインダクタンスおよびキャパシタンスを低減すると、高速化を含む、装置の電気的性能の向上につながる。さらに、ヒートシンクは、フリップチップボンディングにおいてチップ(またはダイ)に直接取り付けられるため、熱伝達特性の向上が実現されることができる。これらの改善は、経済的な利点につながることができ、材料、製造、および生産コストの削減につながることができる。
【0060】
フリップチッププロセスでは、チップは、接着のために熱硬化エポキシ層を使用して結合されることができる。接着剤は、設計、間隔、または熱的な考慮事項に応じて、任意数の材料とすることができる。例えば、異方性導電性材料または非導電性材料が接着接合プロセスに使用されてもよい。チップがサブマウントに取り付けられ、金属化パターンが正確に位置合わせされると、金接点を介して電気的接続が実現されることができる。
【0061】
図示の実施形態では、アノード504およびカソード506は、
図5のチップ配列と同一にレイアウトされている。陰影付きのパターン化領域600は、サブマウント金属化パターンを表す。破線で輪郭を描かれたチップ500は、サブマウント600上に取り付けられている。したがって、各領域のカソードおよびアノードのはんだバンプは、それらが電気的に接続されるサブマウントに接触している。サブマウント600は、各領域内のカソードおよびアノードの接続を支援するように機能するとともに、連続領域の電気素子への接続を提供する。
【0062】
図示のように、領域1のアノード504aは、共通のサブマウント層を介して、領域2のカソード506bに接続する。同様に、領域2のアノード504bは、領域3のカソード504cに接続する。上述したように、同じ領域のカソードおよびアノードは、同様にカソード共通接触層124によって接続されるが、前述のように、電流は、アノードメサのレーザダイオード接合部を流れる必要がある。
【0063】
金属化パターン600は、各領域のアノードおよびカソードを分離し、レーザダイ500上のエッチングされた領域128と密接に整列するギャップ602を含む。エッチングされた領域128と同様に、金属化パターンギャップ602は、カソード領域を電気的に分離された状態に保つのに役立つ。そのため、本実施形態では、エッチングされた領域128およびギャップ602の組み合わせは、チップ500上に3つの電気的に分離された領域を形成する。記載された各領域のアノードとカソードとの間の接続は、ダイオードの3つの並列アレイの直列接続をもたらす。これは、
図6の3つのダイオードの直列接続として示されている。
【0064】
本例示的な実施形態では1つのチップが示されているが、複数のチップまたはダイが直列に接続されてもよい。例えば、
図5~
図6で説明したチップと同様のいくつかのチップが接続されてもよい。別個のチップ上のアノードは、共通のサブマウント金属化パターン600を介して、本チップ500に描かれているカソード506aに接続されてもよい。同様に、本チップ上のアノード504cは、別個のチップのカソードに接続されてもよい。さらに、複数のVCSELの個々またはグループは、外部駆動回路に電気的に接続されてもよい。
【0065】
図7は、直列接続されたVCSELアレイの代替実施形態を示している。この例では、2つの側面が電気的に分離された導電性領域に隣接するように、4つの電気的に分離された領域がダイ上に配置される。チップ700は、上述したように、GaAsまたは任意の同様の材料から構成されてもよい。
【0066】
図5~
図6の構成と同様に、アノード702は、より小さい破線円によって表され、ともにグループ化され、各正方形領域の内部に配置されている。より大きな破線円によって表されるカソード704は、各領域の複数のアノード702の周りに配置される。同様に、カソードは、複数のアノードの周りにC形状を形成し、3つの側面でアノードを実質的に囲む。この4直列構成では、領域1および2におけるC形状カソードの向きは、領域3および4における向きと逆になっている。具体的には、複数のカソードの開口部は、チップの反対側に面している。この向きは、
図8で説明した例示的なサブマウント金属化パターンでのフリップチップ配置に有益である。
【0067】
さらに、カソードおよびアノードの接続パターンは
図5と同様である。例えば、領域1上のカソード704は、レーザダイ700のレーザダイオード接合部を介して同じ領域上のアノード702に接続されている。サブマウント(図示せず)を介して、領域1のカソード704は、電気的に分離された領域2上のアノード702に接続する。同様に、領域2上のカソードおよびアノードは、レーザダイオード接合部を介して接続され、領域3上のアノードは、サブマウントを介して領域2上のカソードに接続される。チップ700上の各領域が直列に接続されるように、同様の接続パターンが領域3および4上で実現され、したがって、4直列VCSEL配列を形成する。
【0068】
この実施形態では、各領域を電気的に分離するエッチングされた領域128は、2次元でパターン化される。エッチングされた領域は、4つの領域の各側面がチップ700上の任意の隣接または他の領域から電気的に分離されるように、チップの長さおよび幅、ならびに周囲に沿って延びている。そのような2次元エッチングパターンは、ダイ上の領域が互いに関して任意の配置で配置されることを可能にする。したがって、多くの代替直列接続パターンを形成するために、様々な領域の形状、サイズ、数、および位置が実現されることができる。したがって、示された実施形態は、VCSELアレイの3直列および4直列構成を示しているが、本発明は、そのような例に限定されるものではないことを理解されたい。
【0069】
さらに、各領域上のカソードおよびアノードの配置は、描かれた例示的な配置に限定されるものではない。それらの位置とグループ化は、領域および/またはチップのサイズ、位置、サブマウントの金属化パターン、設計目的、または他の同様の考慮事項に応じて変更されることができる。
【0070】
図8は、
図7で説明した4つのVCSEL直列構成を達成するためのサブマウント800へのチップ700の接続パターンおよびフリップチップボンディングの底面図を示している。サブマウント800上の金属化パターンは、陰影付き領域として示されており、3直列構成について
図6において説明した金属化サブマウントと同様に、各領域における複数のカソードを次の領域における複数のアノードに接続する。
【0071】
金属化パターンは、4つのレーザ領域のそれぞれにおいて複数のアノード702とカソード704との間にギャップ802を含む。さらに、ギャップは、各領域のカソード層が他の領域のカソード層から電気的に分離されたままになるように、エッチングされた領域128と整列する。金属化パターンは、本設計に限定されるものではなく、チップサイズ、形状、または設計、不動産、またはその他の考慮事項に応じて変更されることができる。
【0072】
本実施形態および記載された接続パターンはまた、複数の他の配置に拡張されることもできる。それらは、様々なパルス駆動回路と一致するように直列に接続された追加のレーザ接合部を含むことができ、単一チップアプローチの位置合わせおよび不動産の利点を維持することができる。電気的および機械的接続用のはんだ126は、
図2~
図4のようにレーザメサ上、またはサブマウント金属パターン上のいずれかに配置されることができる。
【0073】
本開示は、いくつかの代替形態に関して本明細書で例示および説明されたが、本明細書で説明された技術は、多数の追加の使用および用途を有することができることを理解されたい。したがって、本開示は、本開示の原理の1つ以上の実施形態、代替形態および応用を単に例示するにすぎない本明細書に含まれる特定の説明、実施形態および様々な図面のみに限定されるべきではない。