(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】固体リチウムベース電池および固体リチウムベース電池を形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20220823BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20220823BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220823BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220823BHJP
H01M 50/141 20210101ALI20220823BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20220823BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/13
H01M50/141
H01M4/525
H01M4/66 A
(21)【出願番号】P 2020506749
(86)(22)【出願日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 IB2018055609
(87)【国際公開番号】W WO2019030599
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-12-22
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユンセオ
(72)【発明者】
【氏名】サダナ、デヴェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】デソーザ、ジョエル、ペレイラ
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-340257(JP,A)
【文献】特開2008-251219(JP,A)
【文献】特開2016-225281(JP,A)
【文献】国際公開第2015/159331(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0106186(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101281985(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/00-4/62
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体リチウムベース電池であって、
底部電極と、
前記底部電極の表面上に配置される電池材料スタックであって、前記電池材料スタックは、リチウム化カソード材料層、前記リチウム化カソード材料層上に配置される高窒素リチウム化カソード材料表面層、前記高窒素リチウム化カソード材料表面層上に配置されるリチウムベース固体電解質層を含む、電池材料スタックと、
前記電池材料スタックの前記リチウムベース固体電解質層上に配置される、頂部電極と、
を備える、固体リチウムベース電池。
【請求項2】
前記リチウムベース固体電解質層と前記頂部電極との間に配置されるアノード材料をさらに備える、請求項1に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項3】
前記アノード材料と前記リチウムベース固体電解質層との間に配置されるリチウム化高窒素界面層をさらに備える、請求項2に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項4】
前記底部電極の物理的に露出された表面上、および前記電池材料スタックの周囲に配置される、空気または湿気あるいはその両方の不浸透性構造をさらに備える、請求項1に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項5】
前記リチウム化カソード材料層、前記高窒素リチウム化カソード材料表面層、および前記リチウムベース固体電解質層は、互いに垂直に位置合わせされた側壁表面を有する、請求項1に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項6】
前記頂部電極は、前記リチウム化カソード材料層、前記高窒素リチウム化カソード材料表面層、および前記リチウムベース固体電解質層の、側壁表面に垂直に位置合わせされた
側壁表面を有する、請求項5に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項7】
前記高窒素リチウム化カソード材料表面層は、前記リチウム化カソード材料層と同じ材料からなる、請求項1に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項8】
前記高窒素リチウム化カソード材料表面層は、0.1
原子百分率から25
原子百分率の窒素含有量を含む、請求項7に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項9】
前記高窒素リチウム化カソード材料表面層および前記リチウム化カソード材料層は、どちらもLiCoO2からなり、前記リチウムベース固体電解質層はLiPONからなる、請求項7に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項10】
前記底部電極はチタン(Ti)、プラチナ(Pt)、およびチタンのスタックからなり、前記頂部電極はニッケル(Ni)および銅(Cu)のスタックからなる、請求項8に記載の固体リチウムベース電池。
【請求項11】
固体リチウムベース電池を形成する方法であって、
底部電極の表面上にパターン化された犠牲材料を形成することであって、前記パターン化された犠牲材料は、前記底部電極の前記表面の一部を物理的に露出する開口を含む、パターン化された犠牲材料を形成すること、
前記パターン化された犠牲材料上、および前記開口内の前記底部電極の前記表面の前記物理的に露出された部分上に、リチウム化カソード材料層を形成することであって、前記リチウム化カソード材料層は高窒素リチウム化カソード材料表面層を含む、リチウム化カソード材料層を形成すること、
前記高窒素リチウム化カソード材料表面層上にリチウムベース固体電解質層を形成すること、
前記リチウムベース固体電解質層上に頂部電極を形成すること、および、
前記底部電極の前記表面の前記物理的に露出された部分上に電池材料スタックを維持しながら、前記パターン化された犠牲材料および前記パターン化された犠牲材料上に形成された材料を前記底部電極から除去するために、リフトオフ・プロセスを実行することであって、前記スタックは、前記リチウム化カソード材料層、前記高窒素リチウム化カソード材料表面層、前記リチウムベース固体電解質層、および前記頂部電極の、各々の残余部分を含む、リフトオフ・プロセスを実行すること、
を含む、固体リチウムベース電池を形成する方法。
【請求項12】
前記固体リチウムベース電池を充電することまたは再充電することをさらに含み、前記充電または再充電の間、前記リチウムベース固体電解質層と前記頂部電極との間にリチウム蓄積層を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記底部電極の物理的に露出された表面上、および前記電池材料スタックの周囲に配置される、空気または湿気あるいはその両方の不浸透性構造を形成することをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記高窒素リチウム化カソード材料表面層を含む前記リチウム化カソード材料層を形成することは、
リチウム化カソード材料を堆積させること、および、
前記リチウム化カソード材料の上部内に窒素を導入すること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記窒素を導入することは、熱プロセス、プラズマ・プロセス、ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセス、イオン・ビーム・プロセス、またはイオン注入プロセスを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記窒素を導入することは、前記リチウム化カソード材料を堆積させるために使用される前駆体源内に窒素を追加することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記高窒素リチウム化カソード材料表面層は、前記リチウム化カソード材料層と同じ材料からなる、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記リチウムベース固体電解質層上にリチウム化高窒素界面層を形成すること、および、
前記リチウム化高窒素界面層上にアノード材料を形成すること、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記リチウム化高窒素界面層を形成することは、前記リチウムベース固体電解質層の上
部内に窒素を導入することを含み、前記導入することは、熱プロセス、プラズマ・プロセス、ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセス、イオン・ビーム・プロセス、またはイオン注入プロセスを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記リチウム化高窒素界面層を形成することは、堆積プロセスを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体薄膜電池およびそれを形成する方法に関する。より具体的には、本発明は、高速の充電速度を呈する固体リチウムベース電池およびかかる薄膜電池を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、たとえばコンピュータ、携帯電話、追跡システム、スキャナ、医療用デバイス、スマート・ウォッチ、およびフィットネス・デバイスなどの、ポータブル電子デバイスに対する需要が増加してきている。ポータブル電子デバイスに伴う欠点の1つは、デバイス自体の内部に電源を含める必要があることである。典型的には、こうしたポータブル電子デバイスの電源として電池が使用される。電池は、少なくともデバイスが使用されている間、ポータブル電子デバイスに電力を供給するのに十分な容量を有していなければならない。十分な電池容量であることにより、結果として電源は、ポータブル電子デバイスの残りの部分に比べてかなりの重さまたは大きさあるいはその両方となる。したがって、十分なエネルギーが貯蔵された、サイズがより小さく重量がより軽い電源が望まれる。こうした電源は、より小さくより軽いポータブル電子デバイスにおいて実装可能である。
【0003】
従来型電池の別の欠点は、いくつかの電池は、漏出する可能性があり、政府の規制を必要とする可能性がある、可燃性材料および潜在的に毒性の材料を含むことである。したがって、安全な、固体の、多くの充電/放電ライフ・サイクルにわたって再充電可能な、電力電源を提供することが望ましい。
【0004】
非毒性材料を含み、多くの充電/放電サイクルにわたって再充電可能な、小型軽量のエネルギー貯蔵デバイスの1つのタイプは、固体リチウムベース電池である。リチウムベース電池は、リチウムを実装する2つの電極を含む、再充電可能電池である。従来型リチウムベース再充電可能電池において、充電速度は典型的には0.8Cから3Cであり、Cは時間当たりの総電池容量である。こうした固体電池において、充電速度は、高抵抗性カソード材料、抵抗性電解質材料、抵抗性界面、または大電圧バイアスの下での金属リチウム樹状突起形成、あるいはそれらの組合せによって、制限される可能性がある。上記の点に鑑み、従来型リチウムベース再充電可能電池よりも高速で充電可能な、リチウムベース再充電可能電池を提供することが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当技術分野において、前述の問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
高速の充電/再充電速度(3C超)を有する固体リチウムベース電池は、リチウム化カソード材料層とリチウムベース固体電解質層との間に、高窒素リチウム化カソード材料表面層を含めることによって提供される。本発明を具体化する固体リチウムベース電池は、小型軽量の薄膜電池である。「薄膜電池」という用語は、本明細書では、厚みが100μmまたはそれ以下の電池を示す。高窒素リチウム化カソード材料表面層は、リチウム化カソード材料内に窒素を導入することによって形成可能である。窒素は、堆積プロセスの最終段階の間に、または、堆積プロセスとは異なる、たとえば熱窒化などの異なるプロセスを利用することによって、導入可能である。
【0007】
本発明の一態様において、固体リチウムベース電池が提供される。一実施形態において、固体リチウムベース電池は底部電極を含むことができる。電池材料スタックが、底部電極の表面上に配置される。電池材料スタックは、リチウム化カソード材料層、リチウム化カソード材料層上に配置される高窒素リチウム化カソード材料表面層、および、高窒素リチウム化カソード材料表面層上に配置されるリチウムベース固体電解質層を、含む。電池材料スタックのリチウムベース固体電解質層上に、頂部電極が配置される。いくつかの実施形態において、および充電/再充電の間に、電池材料スタックのリチウムベース固体電解質層と頂部電極との間に、リチウム蓄積層が形成される。他の実施形態において、リチウムベース固体電解質層と電池材料スタックのアノード材料との間に、リチウム化高窒素界面層が存在可能である。
【0008】
本発明の別の態様において、固体リチウムベース電池を形成する方法が提供される。一実施形態において、方法は、底部電極の表面上にパターン化された犠牲材料を形成することを含むことができ、パターン化された犠牲材料は、底部電極の表面の一部を物理的に露出する開口を含む。次に、パターン化された犠牲材料上、および開口内の底部電極の表面上の物理的に露出された部分上に、リチウム化カソード材料層が形成され、リチウム化カソード材料層は、高窒素リチウム化カソード材料表面層を含む。次いで、高窒素リチウム化カソード材料表面層上にリチウムベース固体電解質層が形成され、その後、リチウムベース固体電解質層上に頂部電極が形成される。次に、底部電極の表面の物理的に露出された部分上に材料スタックを維持しながら、パターン化された犠牲材料およびパターン化された犠牲材料上に形成された材料を底部電極から除去するために、リフトオフ・プロセスが実行される。材料スタックは、リチウム化カソード材料層、高窒素リチウム化カソード材料表面層、リチウムベース固体電解質層、および頂部電極の、各々の残余部分を含む。いくつかの実施形態において、リチウムベース固体電解質層と電池材料スタックのアノード材料との間に、リチウム化高窒素界面層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に従って採用可能な、基板の表面上に配置される底部電極を含む、例示的構造を示す断面図である。
【
図2】底部電極の表面上にパターン化された犠牲材料を形成した後の、
図1の構造を示す断面図であり、パターン化された犠牲材料は、底部電極の表面の一部を物理的に露出する開口を含む。
【
図3】パターン化された犠牲材料上、および、開口内の底部電極の物理的に露出された部分上に、リチウム化カソード材料を形成した後の、
図2の構造を示す断面図である。
【
図4】高窒素リチウム化カソード材料表面層を含むリチウム化カソード材料層を提供するために、リチウム化カソード材料の上部内に窒素を導入した後の、
図3の構造を示す断面図である。
【
図5】高窒素リチウム化カソード材料表面層上にリチウムベース固体電解質層を形成した後の、
図4の構造を示す断面図である。
【
図6】リチウムベース固体電解質層上にアノード材料を形成した後の、
図5の構造を示す断面図である。
【
図7】リチウムベース固体電解質層上に頂部電極を形成した後の、
図5の構造を示す断面図である。
【
図8】アノード材料上に頂部電極を形成した後の、
図6の構造を示す断面図である。
【
図9】底部電極上に材料スタックを維持しながら、パターン化された犠牲材料およびその上に形成されたすべての材料が底部電極から除去される、リフトオフ・プロセスを実行した後の、
図7の構造を示す断面図である。
【
図10】底部電極上に材料スタックを維持しながら、パターン化された犠牲材料およびその上に形成されたすべての材料が底部電極から除去される、リフトオフ・プロセスを実行した後の、
図8の構造を示す断面図である。
【
図11】空気または湿気あるいはその両方の不浸透性構造を形成した後の、
図9の構造を示す断面図である。
【
図12】空気または湿気あるいはその両方の不浸透性構造を形成した後の、
図10の構造を示す断面図である。
【
図13】
図11に示される構造の充電後を示す、断面図である。
【
図14】リチウムベース固体電解質層と電池材料スタックのアノード材料との間に、リチウム化高窒素界面層が存在する、本発明を具体化する別の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、下記の説明および添付の図面を参照することによって、本発明の実施形態をより詳細に説明する。図面は単なる例示目的で提供されており、したがって、図面は一定の縮尺で描画されていないことに留意されたい。同様の要素および対応する要素は、同様の参照番号によって参照されることにも留意されたい。
【0011】
下記の説明において、本発明の様々な実施形態を理解するために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理ステップ、および技法などの、多数の特定の細部が示されている。しかしながら、当業者であれば、本出願の様々な実施形態がこれらの特定の細部なしに実施可能であることを理解されよう。別の例では、本発明を不明瞭にするのを避けるために、周知の構造または処理ステップは詳細に説明されていない。
【0012】
層、領域、または基板などの要素が別の要素「上(on)」または別の要素「の上(over)」にあるものと言及される場合、要素は他の要素直上に存在するか、または介在要素も存在することが可能であることを理解されよう。これに対して、要素が別の要素「直上(directly on)」または別の要素「のすぐ上(directly over)」にあるものと言及される場合、介在要素は存在しない。要素が別の要素「下(beneath)」または別の要素「の下(under)」にあるものと言及される場合、要素は他の要素直下または他の要素の下に存在するか、または介在要素も存在することが可能であることも理解されよう。これに対して、要素が別の要素「直下(directly beneath)」または別の要素「のすぐ下(directly under)」にあるものと言及される場合、介在要素は存在しない。
【0013】
第1に
図1を参照すると、本願を具体化する例示的構造は、基板10の表面上に配置された底部電極12を含む。図に示されるように、底部電極12は、典型的には、基板10全体の上に存在する連続層(意図的に形成されたいずれのギャップまたはブレークもない)である。
【0014】
本発明の実施形態において採用可能な基板10は、固体リチウムベース電池に基板として使用される任意の従来材料を含む。本発明の一実施形態において、基板10は1つまたは複数の半導体材料を含むことができる。「半導体材料」という用語は、本明細書では、半導体特性を有する材料を示すために使用される。
【0015】
基板10として採用することができる半導体材料の例は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン・ゲルマニウム合金(SiGe)、炭化ケイ素(SiC)、炭化シリコン・ゲルマニウム(SiGeC)、III-V族化合物半導体、またはII-VI族化合物半導体を含む。III-V族化合物半導体は、元素周期表のIII族からの少なくとも1つの元素、および元素周期表のV族からの少なくとも1つの元素を含む材料である。II-VI族化合物半導体は、元素周期表のII族からの少なくとも1つの元素、および元素周期表のVI族からの少なくとも1つの元素を含む材料である。
【0016】
本発明の一実施形態において、基板10を提供し得る半導体材料はバルク半導体基板である。「バルク」とは、基板10は、上記で定義したように、全体として少なくとも1つの半導体材料からなることを意味する。一例では、基板10は全体としてシリコンからなることができる。本発明のいくつかの実施形態において、バルク半導体基板は、上記で定義したように、少なくとも2つの異なる半導体材料を含む多層半導体材料スタックを含むことができる。一例では、多層半導体材料スタックは、Siのスタックおよびシリコン・ゲルマニウム合金を任意の順序で含むことができる。
【0017】
本発明の別の実施形態において、基板10は、半導体オン・インシュレータ(SOI)基板の最上半導体材料層からなる。SOI基板は、前述の半導体材料のうちの1つハンドル基板(図示せず)、および、最上半導体材料層の下の埋め込み酸化物などのインシュレータ層も、含むことになる。
【0018】
前述の本発明の実施形態のうちのいずれかにおいて、基板10を提供し得る半導体材料は、単結晶半導体材料とすることができる。基板10を提供し得る半導体材料は、周知の結晶方位のうちのいずれかを含むことができる。たとえば、基板10を提供し得る半導体材料の結晶方位は、{100}、{110}、または{111}とすることができる。具体的に述べたもの以外の他の結晶方位も使用可能である。
【0019】
本発明の別の実施形態において、基板10は、たとえばアルミニウム(Al)、アルミニウム合金、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、またはモリブデン(Mo)などの、金属材料である。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態において、基板10は、たとえば、ドープまたは非ドープのケイ酸塩ガラス、二酸化ケイ素、または窒化ケイ素などの、誘電材料である。本発明のさらなる別の実施形態において、基板10は、たとえば、ポリイミド、ポリエーテル・ケトン(PEEK)、または透明導電ポリエステルなどの、高分子またはフレキシブル基板材料からなる。本発明のさらなる別の実施形態において、基板10は、前述の基板材料のうちの少なくとも2つの多層スタック、たとえばシリコンおよび二酸化ケイ素のスタックからなるものとすることができる。
【0021】
本願で使用可能な基板10は、10μmから5mmまでの厚みを有することができる。基板10には、前述の厚み値よりも小さいかまたは大きい他の厚みも使用可能である。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、基板10は、非テクスチャ加工(平坦または平面)表面を有することができる。「非テクスチャ加工表面」という用語は、平坦であり、形状測定装置によって測定した場合におよそ100nm二乗平均平方根未満の表面粗さを有する、表面を示す。本発明のさらに別の実施形態において、基板10はテクスチャ加工表面を有することができる。こうした実施形態において、テクスチャ加工基板の表面粗さは、同じくまた形状測定装置によって測定した場合に、100nm二乗平均平方根から100μm二乗平均平方根の範囲内とすることができる。テクスチャリングは、非テクスチャ加工基板の表面上に複数の金属マスク(たとえば、スズ・マスク)を形成すること、複数の金属マスクを利用して非テクスチャ加工基板をエッチングすること、および、基板の非テクスチャ加工表面から金属マスクを除去することによって、実行可能である。本発明のいくつかの実施形態において、基板のテクスチャ加工表面は複数の角錐体からなる。本発明のさらに別の実施形態において、基板のテクスチャ加工表面は複数の円錐体からなる。複数の金属マスクは、金属材料の層を堆積させること、およびその後、焼きなましを実行することによって、形成可能である。焼きなましの間、金属材料の層は溶融および丸められ(balls-ups)、基板の表面のディウェッティングが発生することになる。
【0023】
底部電極12は、たとえば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、および窒化チタン(TiN)などの、任意の金属電極材料を含むことができる。一例では、底部電極12は、底面から頂面へ、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、およびチタン(Ti)のスタックを含む。底部電極12は、たとえば、化学気相堆積(CVD)、プラズマ・エンハンス化学気相堆積(PECVD)、蒸着、スパッタリング、またはめっきを含む、堆積プロセスを利用して形成可能である。底部電極12は、10nmから500nmの厚みを有することができる。底部電極12には、前述の厚み値よりも小さいかまたは大きい他の厚みも使用可能である。
【0024】
次に
図2を参照すると、底部電極12の表面上にパターン化された犠牲材料14を形成した後の、
図1の構造が示されており、パターン化された犠牲材料14は、底部電極12の表面の一部を物理的に露出する開口16を含む。開口16は、その後、固体リチウムベース電池が内部に形成されることになるエリアを画定する。単一の開口16が説明および図示されているが、複数の開口16のうちの各開口が、固体リチウムベース電池のその後の形成のためのエリアを内部に画定することが可能な、複数の開口16が形成可能である。
【0025】
底部電極12の物理的に露出された表面に犠牲材料(図示せず)を第1に印加することによって、パターン化された犠牲材料14が形成可能である。本発明の一実施形態において、犠牲材料はフォトレジスト材料である。こうした実施形態において、フォトレジスト材料は、ポジ型フォトレジスト材料、ネガ型フォトレジスト材料、またはハイブリッド型フォトレジスト材料とすることができる。犠牲材料は、たとえば、化学気相堆積(CVD)、プラズマ・エンハンス化学気相堆積(PECVD)、またはスピンオン・コーティングなどの、堆積プロセスを利用して、形成可能である。犠牲材料は、100nmから20μmの厚みを有することができる。犠牲材料には、前述の厚み値よりも小さいかまたは大きい他の厚みも使用可能である。
【0026】
体積された犠牲材料は、次にパターン化される。犠牲材料がフォトレジスト材料である場合、フォトレジスト材料は、フォトレジスト材料を所望のパターンの放射光に晒すことによってパターン化可能であり、その後、晒されたフォトレジスト材料は、パターン化された犠牲材料14を提供するために、従来のレジスト・ディベロッパを利用して現像される。非フォトレジスト犠牲材料が使用される場合、非フォトレジスト犠牲材料はリソグラフィおよびエッチングによってパターン化可能である。
【0027】
本発明の別の実施形態において、パターン化された犠牲材料14を提供する犠牲材料はシャドー・マスクである。こうした実施形態において、シャドー・マスクは、事前パターン化金属材料または事前パターン化高分子材料とすることができる。事前パターン化シャドー・マスク材料は、機械的な力または除去可能接着剤によって、
図1に示される構造に取り付けられる。
【0028】
次に
図3を参照すると、パターン化された犠牲材料14上、および、開口16内の底部電極12の物理的に露出された部分上に、リチウム化カソード材料18を形成した後の、
図2の構造が示されている。
【0029】
本発明の実施形態において採用可能なリチウム化カソード材料18は、リチウムベース混合酸化物を含む。リチウム化カソード材料18として採用可能なリチウムベース混合酸化物の例は、コバルト・リチウム酸化物(LiCoO2)、リチウム・ニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウム・マンガン酸化物(LiMn2O4)、リチウム・バナジウム五酸化物(LiV2O5)、またはリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を含むが、限定されない。
【0030】
リチウム化カソード材料18は、スパッタリングまたはめっきなどの堆積プロセスを利用して形成可能である。本発明の一実施形態において、リチウム化カソード材料18は、任意の従来の前駆体源材料、または前駆体原材料の組合せを利用するスパッタリングによって、形成される。一例では、リチウム・コバルト混合酸化物を形成する際に、リチウム前駆体源材料およびコバルト前駆体源材料が採用される。不活性ガスおよび酸素の混和剤において、スパッタリングを実行することができる。こうした実施形態において、不活性ガス/酸素混和剤の酸素含有量は、0.1原子百分率から70原子百分率とすることが可能であり、混和剤の残りの部分は不活性ガスを含む。使用可能な不活性ガスの例は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0031】
リチウム化カソード材料18は、10nmから2μmの厚みを有することができる。より低い抵抗およびより高速の充電/放電速度を有するために、より小さな厚みが好ましい。リチウム化カソード材料18には、前述の厚み値よりも小さいかまたは大きい他の厚みも使用可能である。
【0032】
次に、
図4を参照すると、高窒素リチウム化カソード材料表面層20を含むリチウム化カソード材料層18Lを提供するために、リチウム化カソード材料18の上部内に窒素を導入した後の、
図3の構造が示されている。本発明の本実施形態において、リチウム化カソード材料層18Lは、リチウム化カソード材料18の残りの非窒化部分からなり、高窒素リチウム化カソード材料表面層20は、リチウム化カソード材料18の窒化上部表面部分からなる。したがって、リチウム化カソード材料層18Lおよび高窒素リチウム化カソード材料表面層20は、各々、同じリチウム化カソード材料、すなわちリチウムベース酸化物からなる。
【0033】
「高窒素リチウム化カソード材料表面層」とは、元のリチウム化カソード材料18よりも高い窒素含有量を有する表面処理済みリチウム化カソード材料を意味する。本発明の一実施形態において、高窒素リチウム化カソード材料表面層20の窒素含有量は、0.1原子百分率から25原子百分率である。高窒素リチウム化カソード材料表面層20について、リチウムベース混合酸化物が残っている限り、他の窒素含有量が可能であり、本願の範囲内にある。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、リチウム化カソード材料18内に窒素を導入することは、第1にリチウム化カソード材料18を堆積させることを含み、次いで、堆積ステップとは異なる別のステップにおいて、リチウム化カソード材料18の上部内に窒素が追加される。こうした実施形態において、リチウム化カソード材料18内に窒素を導入することは、熱プロセス、プラズマ・プロセス、ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセス、イオン・ビーム・プロセス、またはイオン注入プロセスを含むことができる。
【0035】
リチウム化カソード材料18内に窒素を導入するために使用可能な熱プロセスは、リチウム化カソード材料18が窒素を含む環境(すなわち、窒素含有環境)に曝されるため、熱窒化プロセスと呼ぶことができる。熱窒化プロセスは、電気バイアスを含む場合、または含まない場合がある。熱窒化の間に電気バイアスが採用される場合、電気バイアスは0.3W/mm2未満である。
【0036】
熱窒化の間に採用される窒素含有環境は、プラズマの形ではない。採用可能な窒素含有環境は、N2、NH3、NH4、NO、またはNHxを含むが、限定されず、xは0から1の間である。前述の窒素含有環境の混合物も採用可能である。いくつかの実施形態において、窒素含有環境は、正味で、すなわち薄められずに使用される。本発明の他の実施形態において、窒素含有環境は、たとえば水素(H2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、およびそれらの混合などの、不活性ガスで薄めることができる。
【0037】
本発明の熱窒化実施形態において、採用される環境内の窒素(N2)の含有量は、典型的には10%から100%であり、より典型的には環境内の窒素含有量は50%から100%である。本発明の一実施形態において、熱窒化プロセスは50℃から600℃の温度で実行可能である。
【0038】
プラズマ・プロセスが使用される場合、0.3W/mm2よりも大きい電気バイアスが採用可能である。プラズマ・プロセスは、熱窒化プロセスについて上記で述べた(正味または薄められた)窒素含有環境のうちの1つからプラズマを生成することによって実行され、したがって、プラズマ・プロセスはプラズマ窒化プロセスと呼ぶことができる。本発明の一実施形態において、プラズマ窒化プロセスは15℃から600℃の温度で実行可能である。
【0039】
イオン・ビーム・プロセスが採用される場合、前述の窒素含有環境のうちの1つなどのイオン源から生成される窒素(N2)イオンのビームが、リチウム化カソード材料18に衝突する。イオン・ビーム・プロセスは、任意のイオン・ビーム装置を利用して実行可能である。イオン・ビーム・プロセスのエネルギーは、1eVから100eVとすることができる。イオン・ビーム・プロセスは、15℃から600℃の温度で実行可能である。
【0040】
ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセスが採用される場合、前述の窒素含有環境のうちの1つなどのイオン源から生成される窒素(N2)イオンのクラスタが、リチウム化カソード材料18に衝突する。ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセスは、任意のガス・クラスタ・イオン・ビーム装置を利用して実行可能である。ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセスのエネルギーは、10eVから30eVとすることができる。ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセスは、50℃から600℃の温度で実行可能である。
【0041】
イオン注入が採用される場合、前述の窒素含有環境のうちの1つなどのイオン源から生成される窒素(N2)イオンが、パターン化されたドープ金属絶縁体(開口16)に衝突する。イオン注入プロセスは、任意のイオン注入装置を利用して実行可能である。イオン注入プロセスのエネルギーは、10eVから200eVとすることができる。イオン注入プロセスは、15℃から600℃の温度で実行可能である。
【0042】
リチウム化カソード材料層18Lは、リチウム化カソード材料18の厚みよりも少ない厚みを有する。一例では、リチウム化カソード材料層18Lは、10nmから20μmの厚みを有することができる。高窒素リチウム化カソード材料表面層20は、0.1nmから50nmの厚みを有することができる。
【0043】
本明細書では、リチウム化カソード材料を堆積させる際に使用されるプロセスとは異なるプロセス(すなわち、熱プロセス、プラズマ・プロセス、ガス・クラスタ・イオン・ビーム・プロセス、イオン・ビーム・プロセス、またはイオン注入プロセス)を利用して、リチウム化カソード材料の上部内に窒素が導入される、本発明の実施形態が説明および図示されているが、本発明は、最終堆積段階の間に窒素が追加される配置も企図している。こうした実施形態において、リチウム化カソード材料層18Lを提供するために、第1の堆積段階において前駆体源材料が使用され、その後、別の堆積段階の間に前駆体源材料に窒素が追加される。こうした実施形態において、窒素は、1原子百分率から100原子百分率までの量で、不活性ガス/酸素混和剤に追加することができる。酸素含有量は、こうした実施形態の間、一定に維持されるかまたは維持されなくてよい。
【0044】
次に、
図5を参照すると、高窒素リチウム化カソード材料表面層20上にリチウムベース固体電解質層22を形成した後の、
図4の構造が示されている。リチウムベース固体電解質層22は、リチウム・イオンの伝導を可能にする固体材料である。こうした材料は、電気絶縁性またはイオン伝導性とすることができる。リチウムベース固体電解質層22として採用可能な材料の例は、オキシ窒化リン酸リチウム(LiPON)またはオキシ窒化リン酸ケイ素リチウム(LiSiPON)を含むが、限定されない。
【0045】
リチウムベース固体電解質層22は、スパッタリングまたはめっきなどの堆積プロセスを利用して形成可能である。本発明の一実施形態において、リチウムベース固体電解質層22は、任意の従来の前駆体源材料を利用してスパッタリングすることによって形成される。スパッタリングは、高窒素リチウム化カソード材料表面層20の形成において上記で述べた、窒素含有環境のうちの1つを含む任意の窒素含有環境において実行可能である。
【0046】
リチウムベース固体電解質層22は、10nmから10μmの厚みを有することができる。リチウムベース固体電解質層22には、前述の厚み値よりも小さいかまたは大きい他の厚みも使用可能である。
【0047】
次に
図6を参照すると、リチウムベース固体電解質層22上にアノード材料23を形成した後の、
図5の構造が示されている。本発明のいくつかの実施形態において、このステップは省略してよい。アノード材料23が省略される本発明の実施形態では、充電/再充電プロセスの間に、金属リチウム・アノード層、すなわちリチウム蓄積層が形成されることになる。アノード材料23を含む本発明の実施形態では、リチウム蓄積層形成は防止してよい。
【0048】
本発明の実施形態において採用可能なアノード材料23は、リチウム、リチウムベース混合酸化物、リチウム合金、シリコン、または炭素ベース材料を含む。アノード材料23として採用可能なリチウムベース混合酸化物の例は、リチウム・チタン酸化物(Li4Ti5O12)を含むが、限定されない。
【0049】
アノード材料23は、スパッタリング、蒸着、またはめっきなどの堆積プロセスを利用して形成可能である。本発明の一実施形態において、アノード材料23は、任意の従来の前駆体源材料または前駆体源材料の組合せを利用するスパッタリングによって形成される。一例では、リチウム・チタン混合酸化物を形成する際に、リチウム前駆体源材料およびチタン前駆体源材料が採用される。スパッタリングは、不活性ガスおよび酸素の混和剤において実行可能である。こうした実施形態において、不活性ガス/酸素混和物の酸素含有量は、0.1原子百分率から70原子百分率とすることが可能であり、混和剤の残りの部分は不活性ガスを含む。使用可能な不活性ガスの例は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0050】
アノード材料23は、10nmから2μmの厚みを有することができる。アノード材料23には、前述の厚み値よりも小さいかまたは大きい他の厚みも使用可能である。
【0051】
次に
図7を参照すると、リチウムベース固体電解質層22上に頂部電極24を形成した後の、
図5の構造が示されており、
図8は、アノード層23上に頂部電極24を形成した後の、
図6の例示の構造を示す。
【0052】
頂部電極24は、たとえば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、および窒化チタン(TiN)などの、任意の金属電極材料を含むことができる。一例では、頂部電極24は、底面から頂面へ、ニッケル(Ni)および銅(Cu)のスタックを含む。一実施形態において、頂部電極24を提供する金属電極材料は、底部電極12を提供する金属電極材料と同じとすることができる。本発明の別の実施形態において、頂部電極24を提供する金属電極材料は、底部電極12を提供する金属電極材料とは異なってよい。頂部電極24は、底部電極12の形成に関して上記で述べた堆積プロセスのうちの1つを利用して形成可能である。
【0053】
次に
図9を参照すると、底部電極12上に材料スタックを維持しながら、パターン化された犠牲材料14およびその上に形成されたすべての材料(18L、20、22、および24)が底部電極12から除去される、リフトオフ・プロセスを実行した後の、
図7の構造が示されている。材料スタックは、リチウム化カソード材料層18L、高窒素リチウム化カソード材料表面層20、リチウムベース固体電解質層22、および頂部電極24の各々の、残りの部分を含む。材料スタックは、底部電極12の物理的に露出された部分上に配置される。
【0054】
図10は、底部電極12上に材料スタックを維持しながら、パターン化された犠牲材料14およびその上に形成されたすべての材料(18L、20、22、23、および24)が底部電極12から除去される、リフトオフ・プロセスを実行した後の、
図8の構造を示す。材料スタックは、リチウム化カソード材料層18L、高窒素リチウム化カソード材料表面層20、リチウムベース固体電解質層22、アノード材料23、および頂部電極24の各々の、残りの部分を含む。材料スタックは、底部電極12の物理的に露出された部分上に配置される。
【0055】
本発明の一実施形態において、リフトオフ・プロセスは、犠牲材料を除去するために選択される溶剤またはエッチング剤を利用して、パターン化された犠牲材料14を除去することを含む。別の実施形態において、除去することは溶剤の使用を含まないが、代わりに、機械的な力が解除されるか、または、除去可能接着剤からパターン化された犠牲材料14を剥離することによって解除が生じる。
【0056】
図7~
図8に示される例示的構造は、本発明を採用する固体リチウムベース電池を示す。
図7の固体リチウムベース電池は、底部電極12、および、底部電極12の表面の一部上に配置された電池材料スタック(18L、20、22)を含む。
図7の固体リチウムベース電池の電池材料スタック(18L、20、22)は、リチウム化カソード材料層18L、リチウム化カソード材料層18L上に配置された高窒素リチウム化カソード材料表面層20、および、高窒素リチウム化カソード材料表面層20上に配置されたリチウムベース固体電解質層22を含む。頂部電極24が、
図7の固体リチウムベース電池の電池材料スタック(18L、20、22)のリチウムベース固体電解質層22上に配置される。
【0057】
図7に示されるように、固体リチウムベース電池のリチウム化カソード材料層18L、高窒素リチウム化カソード材料表面層20、およびリチウムベース固体電解質層22は、互いに垂直に位置合わせされた側壁表面を有する。
図8でさらに示されるように、固体リチウムベース電池の頂部電極24は、固体リチウムベース電池のリチウム化カソード材料層18L、高窒素リチウム化カソード材料表面層20、およびリチウムベース固体電解質層22の、側壁表面と垂直に位置合わせされた、側壁表面を有する。
【0058】
図7の固体リチウムベース電池の充電/再充電の間に、ならびに、
図11および
図12に示されるように、電池材料スタック(18L、20、22)のリチウムベース固体電解質層22と、頂部電極24との間に、リチウム蓄積層28(すなわち、アノード材料)が形成され、充電/再充電プロセスの間に、最初に形成されたリチウムベース固体電解質層22の厚みを低減することができる。
【0059】
図8の固体リチウムベース電池は、底部電極12と、底部電極12の表面の一部上に配置された電池材料スタック(18L、20、22、23)を含む。
図8の固体リチウムベース電池の電池材料スタック(18L、20、22、23)は、リチウム化カソード材料層18L、リチウム化カソード材料層18L上に配置された高窒素リチウム化カソード材料表面層20、高窒素リチウム化カソード材料表面層20上に配置されたリチウムベース固体電解質層22、および、リチウムベース固体電解質層22上に配置されたアノード材料23を含む。頂部電極24が、
図8の固体リチウムベース電池の電池材料スタック(18L、20、22、23)のアノード材料上に配置される。
【0060】
図8に示されるように、固体リチウムベース電池のリチウム化カソード材料層18L、高窒素リチウム化カソード材料表面層20、リチウムベース固体電解質層22、およびアノード材料23は、互いに垂直に位置合わせされた側壁表面を有する。
図8でさらに示されるように、固体リチウムベース電池の頂部電極24は、固体リチウムベース電池のリチウム化カソード材料層18L、高窒素リチウム化カソード材料表面層20、リチウムベース固体電解質層22、およびアノード材料の、側壁表面と垂直に位置合わせされた、側壁表面を有する。
【0061】
本発明を具体化する固体リチウムベース電池の充電/再充電は、当業者に周知の従来の技法を利用して実行可能である。たとえば、こうした電池は、電池を外部電源に接続することによって、充電/再充電が可能である。本発明の一実施形態において、こうした電池は、リチウム化カソード材料層の厚みが200nmより薄い場合、ほぼ100Cの充電速度が可能である。高窒素リチウム化カソード材料表面層20のない従来の固体リチウムベース電池の場合、充電速度は0.8Cから3Cである。
【0062】
次に、
図11~
図12を参照すると、それぞれ、空気または湿気あるいはその両方の不浸透性構造26を形成した後の、
図9~
図10の構造が示されている。空気または湿気あるいはその両方の不浸透性構造26は、任意の空気または湿気あるいはその両方の不浸透性材料、あるいはこうした材料の多層スタックを含む。本発明の実施形態で採用可能な空気または湿気あるいはその両方の不浸透性材料の例は、パリレン、フッ素重合体、窒化シリコン、または二酸化ケイ素、あるいはそれらの組合せを含むが、限定されない。空気または湿気あるいはその両方の不浸透性構造26は、第1に、空気または湿気あるいはその両方の不浸透性材料を堆積させること、およびその後、空気または湿気あるいはその両方の不浸透性材料をパターン化することによって、形成可能である。本発明の一実施形態において、パターン化することは、リソグラフィおよびエッチングによって実行可能である。
【0063】
次に
図14を参照すると、リチウムベース固体電解質層22と電池材料スタックのアノード材料24との間に、リチウム化高窒素界面層30が存在する、本発明を具体化する別の構造が示されている。本実施形態において、
図5に示される例示的構造が第1に提供され、その後、リチウム化高窒素界面層30が形成される。リチウム化高窒素界面層30が形成された後、
図6において前述したようにアノード材料23が形成され、その後、
図8および
図10に記載されるような処理が実行される。
【0064】
リチウム化高窒素界面層30は、原子LiおよびNを含む。本発明のいくつかの実施形態において、リチウム化高窒素界面層30の窒素含有量は、0.1原子百分率から25原子百分率とすることができる。リチウム化高窒素界面層30について、他の窒素含有量も可能である。本発明の一実施形態において、高窒素界面層30はLiN3からなることが可能である。本発明の別の実施形態において、高窒素界面層30は、窒素が付加されたリチウムベース固体電解質層22を含む元素からなることが可能である。
【0065】
本発明の一実施形態において、リチウム化高窒素界面層30は、高窒素リチウム化カソード材料表面層20を形成する際に前述のプロセスのいずれかを利用して、リチウムベース固体電解質層22の上部表面内に窒素を導入することによって形成可能である。本発明のさらに別の実施形態において、リチウム化高窒素界面層30は、たとえば、化学気相堆積またはスパッタリングなどの、堆積プロセスによって形成可能である。リチウム化高窒素界面層30は、0.1nmから50nmの厚みを有することができるが、リチウム化高窒素界面層30には、他の厚みも可能である。
【0066】
本発明を、特に、その好ましい実施形態に関して図示および説明してきたが、当業者であれば、形および細部における前述の変更および他の変更が、本発明の範囲を逸脱することなく実行可能であることを理解されよう。したがって、本発明は、説明および図示された正確な形および細部に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。