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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】アルコキシル化第二級アルコール
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/28 20060101AFI20220823BHJP
   C08G 65/10 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
C08G65/28
C08G65/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020525935
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 FR2018052761
(87)【国際公開番号】W WO2019092366
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】1760586
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジレ,ジャン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ベイヨン,ティエリー
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-504468(JP,A)
【文献】特開昭53-119809(JP,A)
【文献】特開2009-132920(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0266982(US,A1)
【文献】特表2015-535727(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0217247(US,A1)
【文献】特開2016-164230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/28
C08G 65/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物を調製するための方法であって、
【化1】
[式中、
-R、R並びにR及びRが結合している炭素原子によって形成される基が、2-オクチル基であり
-nが、限界値を含んで、1~100の間、好ましくは2~100の間、より好ましくは3~100の間、特に4~100の間、より具体的には5~100の間、好ましくは6~100の間、より好ましくは7~100の間、好ましくは8~100の間、より好ましくは9~100の間、非常に好ましくは10~100の間の整数であり、
-Aが、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及びブチレンオキシド単位、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の単位の配列を表す]
以下の連続する工程、すなわち、
(a)2-オクタノールを、少なくとも1種の二金属シアニド型の触媒の存在下で、n個のエチレンオキシド(nは前記定義した通り)と反応させる工程、
(b)工程(a)から得られた生成物を、少なくとも1種の二金属シアニド型の触媒の存在下で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド、並びにそれらの混合物から選択される1種以上の酸化物と反応させる工程
を含む方法。
【請求項2】
二金属シアニド型の触媒がヘキサシアノコバルト酸亜鉛であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二金属シアニド型の触媒の含有量が、2-オクタノールの含有量に対して、1~1000ppmの範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
エチレンオキシド/2-オクタノールのモル比が、2~100の範囲であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシル化第二級アルコールの一般分野に関する。
【背景技術】
【0002】
第二級アルコールアルコキシレートは、広範囲な特性を提供する化合物の群である。実際、これらの用途は多様である。それらは、特に溶媒、ヒドロトロープ又は非イオン性界面活性剤として使用することができる。それらはまた、他の化合物、例えばエーテルアミン又はリン酸化又は硫酸化によって得られるアニオン界面活性剤に対する出発物質として作用することができる。したがって、第二級アルコールアルコキシレートは、多くのプレーヤーにとって産業上大きな関心事である種類の化合物を構成する。
【0003】
第二級アルコールアルコキシレートは、例えば水酸化カリウムを用いた塩基性触媒により、慣習的に合成されている。別の種類の触媒、すなわちDMC触媒として知られている二金属シアニド型の触媒も使用することができる。
【0004】
種々の文献が、塩基性触媒及び/又はDMC触媒による、アルコールをはじめとする種々の化合物のアルコキシル化について述べている。
【0005】
例えば、WO2012/071149号は、塩基性触媒及び/又はDMC触媒による多分枝第二級アルコールのエトキシル化を記載している。前記文献において、第二級アルコールは、多数の炭素原子及び主鎖上の多数の分枝を含む。
【0006】
また、WO2009/000852号は、DMC触媒作用による種々の化合物のアルコキシル化のための方法を記載している。プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドは、最初にDMC触媒の存在下で前記化合物と反応し、次いでエチレンオキシドは、最初に存在するDMC触媒を用いて合成されたアルコキシレートにグラフト化される。
【0007】
WO2012/005897号は、DMC触媒の存在下で、プロポキシルブロック、続いてエトキシルブロックによってアルコキシル化されるアルコールを特に開示する。
【0008】
また、低分子量のアルコールがDMC触媒にとって有害なものであることが知られている。
【0009】
これは、DMC触媒の存在下で、工業的プレーヤーが、安定なキレートの生成を避けるために長鎖又は非常に高度に分岐したアルコールのアルコキシル化を好む理由の1つである。
【0010】
また、工業的プレーヤーは、プロピレンオキシドブロック及び/又はブチレンオキシドブロックによるアルコキシル化の第一工程、続いてエチレンオキシドを用いたアルコキシル化の第二工程を好むことに留意すべきである。
【0011】
上記の2つの文献WO2009/000852号及びWO2012/005897号に記載されているアルコキシル化方法は、さらにこの方法に従って実施される。
【0012】
第二級アルコールは第一級アルコールと比較すると反応性が低いことも認識されている。その結果、第二級アルコールをアルコキシル化して得られる生成物の工業化は、決して合理的には想定されていなかった。
【0013】
また、環境課題が本当に重要な時期に、良好な生態毒性プロファイルを有する生物を原料とする試薬又は生分解性試薬を使用することを想定することは興味深い。
【0014】
このように、そのアルコキシル化が低コストの工業的及び商業的開発を可能にする簡単な方法により行われるアルコキシル化された短鎖の第二級アルコールが求められる。また、その出発化合物が生物を原料とする生分解性試薬であるアルコキシル化第二級アルコールを開発することも有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】国際公開第2012/071149号
【文献】国際公開第2009/000852号
【文献】国際公開第2012/005897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の1つの目的は、上記の問題を解決するための解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の主題は、以下の式(I)の化合物である。
【0018】
【化1】
式中、
-基R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに独立して、1~6個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状の飽和又は不飽和炭化水素系基を表し、基R及びRの炭素原子の合計は2~7の範囲であり、基R及びRは、それらを支える炭素原子と共に、6員環、7員環、又は8員環を形成してもよく、
-nは、限界値を含んで、1~100の間、好ましくは2~100の間、より好ましくは3~100の間、特に4~100の間、より具体的には5~100の間、好ましくは6~100の間、より好ましくは7~100の間、好ましくは8~100の間、より好ましくは9~100の間、非常に好ましくは10~100の間の整数であり、
-Aは、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及びブチレンオキシド単位、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の単位の配列を表し、
-R、R並びにR及びRが結合している炭素原子によって形成される基は、0、1又は2に等しい分岐度を有する。
【0019】
本発明の主題はまた、本発明による式(I)の化合物を調製するための方法である。
【0020】
本発明の別の主題は、2-オクタノールのアルコキシル化を行うための二金属シアニド(DMC)型の触媒の使用である。
【0021】
本発明の主題はまた、非イオン性界面活性剤、低発泡界面活性剤、湿潤剤、発泡剤、ヒドロトロープ、洗剤、溶媒、反応性溶媒、コアレッサー、相溶剤、乳化剤、分散剤、化学中間体、腐食抑制剤、粘滑剤、可塑剤、金属イオン封鎖剤、鉱物沈着抑制剤、イオン性液体、安定剤、潤滑剤、ビチューメン添加剤、脱インキ添加剤、油性ゲル化剤、浮遊選鉱コレクタ、プラスチックの製造における加工助剤、帯電防止剤、肥料コーティング添加剤として、植物保護のため、布地の処理のため、原油の二次回収のため、電池用電極及び電解質の製造のための本発明による式(I)の化合物の使用でもある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の他の利点及び特徴は、詳細な記載を検討することでより明確になるであろう。
【0023】
本説明で用いた「~」という表現は、言及された限界値の各々を含むものとして理解されるべきであることが明記される。
【0024】
本発明の目的のために、「エチレンオキシド単位」という用語は、オキシラン環を開環した後にエチレンオキシドから誘導される単位を指す。本発明の目的のために、「プロピレンオキシド単位」という用語は、オキシラン環を開環した後にプロピレンオキシドから誘導される単位を指す。本発明の目的のために、「ブチレンオキシド単位」という用語は、オキシラン環を開環した後にブチレンオキシドから誘導される単位を指す。
【0025】
本発明の化合物は、上記の式(I)のものである。
【0026】
換言すれば、基R及びR、並びにそれらが結合している炭素原子は、C3~C8、好ましくはC4~C8、より具体的にはC5~C8、好ましくはC6~C8の第二級基を示す。
【0027】
好ましくは、基R及びRは同一であっても異なっていてもよく、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、ペンチル又はヘキシルを表す。
【0028】
好ましくは、R、R並びにR及びRが結合している炭素原子によって形成される基は、2-オクチル基及び4-メチル-2-ペンチル基から選択される。より具体的には、R、R並びにR及びRが結合している炭素原子によって形成される基は、2-オクチル基である。
【0029】
有利には、nは、限界値を含んで、1~75の間、好ましくは2~75の間、より好ましくは3~75の間、特に4~75の間、より具体的には5~75の間、好ましくは6~75の間、より好ましくは7~75の間、好ましくは8~75の間、より好ましくは9~75の間、非常に好ましくは10~75の間である。
【0030】
有利には、nは、限界値を含んで、1~50の間、好ましくは2~50の間、より好ましくは3~50の間、特に4~50の間、より具体的には5~50の間、好ましくは6~50の間、より好ましくは7~50の間、好ましくは8~50の間、より好ましくは9~50の間、非常に好ましくは10~50の間である。
【0031】
有利には、nは、限界値を含んで、1~30の間、好ましくは2~30の間、より好ましくは3~30の間、特に4~30の間、より具体的には5~30の間、好ましくは6~30の間、より好ましくは7~30の間、好ましくは8~30の間、より好ましくは9~30の間、非常に好ましくは10~30の間である。好ましくは、nは2~30の範囲である。
【0032】
本発明の目的のために、分岐度は、基R及びRに存在する末端メチル基(-CH)の総数から1を引いたものを意味する。換言すれば、Dで表される分枝度は、基R及びRに存在する末端メチル基(-CH)の合計と1との差に等しい整数である。この式は次のように表すことができる。
D=Σ(R及びR中のMe)-1
【0033】
したがって基R及びRが2つのメチル基を含む場合、分枝度は1である。
D=Σ(R及びR中のMe)-1=2-1=1
【0034】
好ましくは、分枝度は1又は2である。
【0035】
例えば、2-オクチル基の分岐度は1であり、4-メチル-2-ペンチル基の分岐度は2である。
【0036】
式(I)の化合物は、n個のエチレンオキシド単位、並びにエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及びブチレンオキシド単位、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の単位を含む配列を含む。
【0037】
特定の実施形態によれば、式(I)の化合物が前記異なる単位の混合物を含む場合、それらはランダムに、交互に、又はブロック内に分布していてもよい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、n個のエチレンオキシド単位、並びにエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位及びブチレンオキシド単位、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の単位を含み、前記単位は、場合によりランダムに、交互に、又はブロック内に分布しており、少なくとも1つのプロピレンオキシド単位又はブチレンオキシド単位が前記配列中に存在する。
【0039】
別の好ましい実施形態によれば、Aは、交互に、ランダムに、又はブロック内に分布する少なくとも1つのエチレンオキシド単位及び少なくとも1つのプロピレンオキシド単位を含む配列を表す。
【0040】
さらに別の好ましい実施形態によれば、Aは、交互に、ランダムに、又はブロック内に分布する少なくとも1つのエチレンオキシド単位及び少なくとも1つのブチレンオキシド単位を含む配列を表す。
【0041】
さらに別の好ましい実施形態によれば、Aは、交互に、ランダムに、又はブロック内に分布する少なくとも1つのプロピレンオキシド単位及び少なくとも1つのブチレンオキシド単位を含む配列を表す。
【0042】
本発明の主題はまた、前記の式(I)の化合物を調製するための方法であって、次の連続する工程、すなわち、
(a)以下の式(II):RCH(OH)R(II)の第二級アルコール(ただし、R及びRは先に定義した通り)を、少なくとも1種の二金属シアニド型の触媒の存在下で、n個のエチレンオキシド(nは先に定義した通り)と反応させる工程、
(b)工程(a)から得られた生成物を、少なくとも1種の二金属シアニド型の触媒の存在下で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド、並びにそれらの混合物から選択される1種以上の酸化物と反応させる工程
を含む方法である。
【0043】
任意に、工程(a)から得られた生成物を単離することができる。本発明による方法は、良好な安全な条件下で式(I)の化合物を合成する利点があり、これはこの方法を工業規模で実施できることを意味する。具体的には、温度及び圧力の観点からの操作条件は、本発明に従った方法によって制御される。反応の発熱性は著しく制御される。
【0044】
式(II)の第二級アルコールは0、1又は2の分岐度を有する。有利には、式(II)の第二級アルコールは、70~200g/mol、好ましくは80~180g/molの範囲の重量平均モル質量を有する。式(II)の第二級アルコールは、C3~C8アルコールであり、好ましくはC6~C8アルコールである。
【0045】
式(II)の第二級アルコールは、2-オクタノール及びメチルイソブチルカルビノールから選択することができ、好ましくは2-オクタノールであることができる。このアルコールはいくつかの点で特に興味深い。具体的には、式(II)の第二級アルコールは、生物を原料とする生分解性生成物であり、良好な生態毒性学的プロファイルを有する。さらに、2-オクタノールの沸点は高く、その原価は全く妥当である。
【0046】
好ましい実施形態によれば、式(II)の第二級アルコールは、前記アルコール中の水分含有量が200ppm以下、好ましくは100ppm以下であるように、乾燥後に使用される。
【0047】
好ましくは、二金属シアニド型の触媒は、当業者に知られている任意の性質のものであることができる。これらの触媒は特許US6429342号、US6977236号及びPL398518号に記載されている。より具体的には、使用される触媒はヘキサシアノコバルト酸亜鉛であり、これは例えば、Arcol(R)の名称でバイエル社により、又はMEO-DMC(R)の名称でメキセオ社により販売されている。
【0048】
有利には、二金属シアニド型の触媒の含有量は、式(II)の第二級アルコールの含有量に対して、1~1000ppm、好ましくは1~500ppm、好ましくは2~300ppm、より好ましくは5~200ppmの範囲である。
【0049】
好ましい実施形態によれば、エチレンオキシド/式(II)の第二級アルコールのモル比は、1~100、好ましくは2~100、好ましくは3~100、好ましくは4~100、特に5~100、より具体的には6~100、好ましくは7~100、さらにより好ましくは8~100、好ましくは9~100、好ましくは10~100の範囲である。
【0050】
好ましくは、工程(a)中の反応温度は80~200℃、好ましくは100~180℃の範囲である。工程(a)中の反応圧力は、0.01MPa~3MPa、好ましくは0.02MPa~2MPaの範囲であり得る。
【0051】
好ましくは、工程(b)中の反応温度は80~200℃、好ましくは100~180℃の範囲である。工程(b)中の反応圧力は、0.01MPa~3MPa、好ましくは0.02MPa~2MPaの範囲であり得る。
【0052】
工程(a)及び(b)の各々の持続時間は、数分~数時間、典型的には5分~24時間の範囲であり得る。
【0053】
好ましくは、本発明による方法は、本発明による方法の間に使用される、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド、並びにそれらの混合物から選択される残留酸化物を除去する工程を含む。したがって、この工程は工程(a)と工程(b)の間、及びまた工程(b)の後に進行し得る。
【0054】
本発明の目的のために、「残留酸化物」という用語は、反応しなかった酸化物を意味する。好ましくは、残留酸化物を除去する前記工程は、加熱、すなわち、残留酸化物を消費するために、70℃~170℃、好ましくは100℃~160℃の範囲の温度を維持することによって、及び/又は不活性ガス流下でのストリッピング工程によって行われる。あるいは、前記ストリッピング工程を真空下で実施してもよい。
【0055】
好ましくは、前記除去工程後、残留酸化物の質量含有量は、得られた式(I)の化合物の重量に対して、0.1%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下である。
【0056】
好ましくは、本発明による方法は、以下の連続する工程、すなわち、
(a1)反応器内で少なくとも1種の式(II)の第二級アルコール、好ましくは前述のように前もって乾燥させたもの、及び少なくとも1種の二金属シアニド型の触媒を混合する工程、
(a2)式(I)のエトキシル化第二級アルコールを得るためにn個のエチレンオキシドを混合物に徐々に添加する工程、
(a3)圧力が安定するまで反応温度を維持する工程、
(a4)エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド並びにそれらの混合物から選択された1種以上の酸化物を混合物に添加する工程、
(a5)圧力が安定するまで反応温度を維持する工程、
(a6)任意の(しかし好ましい)ストリッピング後に予想される生成物を回収する工程
を含む。
【0057】
好ましくは、本発明による方法は、以下の連続する工程、すなわち、
(a1)反応器内で少なくとも1種の式(II)の第二級アルコール、好ましくは前述のように前もって乾燥させたもの、及び少なくとも1種の二金属シアニド型の触媒を混合する工程、
(a2)式(I)のエトキシル化第二級アルコールを得るためにn個のエチレンオキシドを混合物に徐々に添加する工程、
(a3)圧力が安定するまで反応温度を維持する工程、
(a4)プロピレンオキシド及びブチレンオキシド並びにそれらの混合物から選択された1種以上の酸化物を混合物に添加する工程、
(a5)圧力が安定するまで反応温度を維持する工程、
(a6)エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド並びにそれらの混合物からから選択される1種以上の酸化物を混合物に添加する工程、
(a7)圧力が安定するまで反応温度を維持する工程、
(a8)任意の(しかし好ましい)ストリッピング後に予想される生成物を回収する工程
を含む。
【0058】
また、この方法はバッチ式、半連続的又は連続的に実施することができる。当業者は、配列Aのランダム、交互又はブロック分布に従って、本発明による式(I)の化合物の製造方法をどのように適応させるかを知るであろう。
【0059】
本発明の主題はまた、2-オクタノールのアルコキシル化を行うための二金属シアニド型の触媒の使用である。
【0060】
本発明の主題はまた、非イオン性界面活性剤、低発泡界面活性剤、湿潤剤、発泡剤、ヒドロトロープ、洗剤、溶媒、反応性溶媒、コアレッサー、相溶剤、乳化剤、分散剤、化学中間体、腐食抑制剤、粘滑剤、可塑剤、金属イオン封鎖剤、鉱物沈着抑制剤、イオン性液体、安定剤、潤滑剤、ビチューメン添加剤、脱インキ添加剤、油性ゲル化剤、浮遊選鉱コレクタ、プラスチックの製造における加工助剤、帯電防止剤、肥料コーティング添加剤として、植物保護のため、布地の処理のため、原油の二次回収のため、電池用電極及び電解質の製造のための先に定義された式(I)の化合物の使用である。
【0061】
本発明の主題はまた、先に定義されている少なくとも1種の式(I)の化合物と、1種以上の水性、有機若しくは水性-有機溶媒、例えば水、アルコール、グリコール、ポリオール、鉱油、植物油等を単独で、又はそれらの2種以上の混合物として、全ての割合で含む組成物である。
【0062】
本発明による組成物はまた、当業者に周知の1種以上の添加剤及び充填剤、例えば非限定的な方法で、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性剤、レオロジー改質剤、粘滑剤、沈着抑制剤、発泡防止剤、分散剤、pH制御剤、着色剤、抗酸化剤、保存剤、腐食抑制剤、殺生物剤、及び他の添加剤、例えば硫黄、ホウ素、窒素又はリン酸塩生成物等を含むこともできる。添加剤及び充填剤の性質及び量は、意図された用途の性質に応じて広い割合内で変化し得、当業者によって容易に適合され得る。
【0063】
本発明は以下の実施例によって説明されるが、これらの実施例はいずれにせよ限定的なものではない。
【実施例
【0064】
使用される2-オクタノール(CAS RN 123-96-6)は、アルケマ・フランスが販売する「精製」グレードの2-オクタノールOleris(R)(純度>99%)である。
【0065】
[実施例1:2-オクタノールのエトキシル化]
水が200ppm未満となるよう乾燥させた619g(4.76M)の2-オクタノールを及び0.06g(100ppm)の触媒DMC Arcol(R)を、清潔で乾燥した4Lのオートクレーブに入れる。反応器を閉じて窒素でパージし、圧力下での気密性を検査する。反応器を窒素を用いて20℃で0.269MPaに加圧する。
【0066】
反応媒体を撹拌しながら120℃にする。この120℃という温度で、40gのエチレンオキシドを導入する。反応の開始が観察されたら、残りのエチレンオキシドを導入する。すなわち、140℃~150℃の温度で、計628g(14.27M)を60分かけて導入する。添加終了時、前記温度を30分間維持し、残留エチレンオキシドを窒素でストリッピングする。反応器を60℃に冷却し、3つのエチレンオキシド単位を含むアルコキシル化2-オクタノール1240gを回収する。ヒドロキシル価(OHN)は210mgのKOH/gであり、着色度は26Hzである。
【0067】
[実施例2:メチルイソブチルカルビノール(MIBC)のエトキシル化]
水が200ppm未満となるよう乾燥させた441g(4.32M)のMIBC及び0.044g(100ppm)の触媒DMC Arcol(R)を、清潔で乾燥した4Lのオートクレーブに入れる。反応器を閉じて窒素でパージし、圧力下で気密性を検査する。反応器を窒素を用いて28℃で0.246MPaに加圧する。
【0068】
反応媒体を撹拌しながら120℃にする。この120℃という温度で、40gのエチレンオキシドを導入する。141℃で反応の開始が観察されたら、残りのエチレンオキシドを導入する。すなわち、140℃~150℃の温度で、計380g(8.64M)を40分かけて導入する。添加終了時、前記温度を60分間維持し、残留エチレンオキシドを窒素でストリッピングする。反応器を60℃に冷却し、2つのエチレンオキシド単位を含むアルコキシル化メチルイソブチルカルビノール815gを回収する。(OHN):290mgのKOH/g、着色度:3Hz)。
【0069】
[実施例3:2-オクタノールのエトキシル化-プロポキシル化]
水が200ppm未満となるよう乾燥させた1034g(7.95M)の2-オクタノール及び0.15g(145ppm)の触媒DMC Arcol(R)を、清潔で乾燥した10Lのオートクレーブに入れる。反応器を閉じて窒素でパージし、圧力下で気密性を検査する。反応器を窒素を用いて27℃で0.12MPaに加圧する。
【0070】
反応媒体を撹拌しながら120℃にする。この120℃という温度で、35gのエチレンオキシドを導入する。反応の開始が観察されたら、残りのエチレンオキシドを導入する。すなわち、140℃~150℃の温度で、計2098g(47.68M)を4時間かけて導入する。添加終了時、前記温度を30分間維持し、残留エチレンオキシドを消費する。分析のために取り出した中間生成物の試料は、以下の特徴、すなわち、OHN=136mgのKOH/g及び39Hzの着色度を示す。
【0071】
反応は、プロピレンオキシド、すなわち、計1844g(31.18M)を3時間かけて導入することによって継続する。反応終了時、前記温度を140℃で30分間維持して残留プロピレンオキシドを消費し、次いで系をパージして脱気し、4910gの2-オクタノール-6OE-4POを回収する。OHN=86mgのKOH/g及び44Hzの着色度。