(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】付加製造画像の畳み込みニューラルネットワーク評価、及びこれに基づく付加製造システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20220823BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20220823BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220823BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220823BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220823BHJP
G06N 3/04 20060101ALI20220823BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20220823BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20220823BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/153
B33Y50/02
B33Y10/00
B33Y30/00
G06N3/04
B22F10/28
B22F12/90
(21)【出願番号】P 2020529480
(86)(22)【出願日】2018-12-15
(86)【国際出願番号】 US2018065880
(87)【国際公開番号】W WO2019125970
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-05-29
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507027656
【氏名又は名称】ムーグ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ゲリアー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】バッグス,ジョージ
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0144378(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0156053(US,A1)
【文献】特開2013-006269(JP,A)
【文献】特表2016-533925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/393
B29C 64/153
B33Y 50/02
B33Y 10/00
B33Y 30/00
G06N 3/04
B22F 10/28
B22F 12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造構築プロセスに従って部品を層ごとに構築するための付加製造システムであって、
粉末床及びエネルギー源を含む付加製造機械であって、前記エネルギー源からのエネルギービームが、前記粉末床内の粉末層に対して走査されて、融合によって前記部品の各層を構築する、付加製造機械と、
前記付加製造機械内で前記部品を構築するための初期セットの構築パラメータを記憶する構築パラメータ構成ファイルであって、前記初期セットの構築パラメータが、前記部品の幾何学的モデルに少なくとも部分的に基づく、構築パラメータ構成ファイルと、
プロセス内における前記初期セットの構築パラメータを調整するための閉ループ制御構造であって、学習された人工知能モジュールを有する第1制御ループを含む、閉ループ制御構造と、
プロセス内における前記部品の層の層画像を取得するように配置された構築層画像センサと、を備え、
前記初期セットの構築パラメータ、前記付加製造構築プロセスに対応する調整された構築パラメータの時間ベースのシーケンス、及び前記層画像が、前記学習された人工知能モジュールへの入力として送信され、
前記学習された人工知能モジュールは、プロセス内において取得された層画像を評価するように構成された第1の畳み込みニューラルネットワークと、プロセス後において取得された完成部品の画像を評価するように構成された少なくとも1つの第2の畳み込みニューラルネットワークとからの評価データを使用して
事前に学習され、
前記調整された構築パラメータは、前記閉ループ制御構造が、前記学習された人工知能モジュールからの前記第1制御ループのフィードバックを使用して計算する、
付加製造システム。
【請求項2】
状態機械を有する第2制御ループと、
プロセス内において前記エネルギー源によって形成された溶融プールを表すリアルタイムの溶融プールデータを取得するように配置された溶融プール監視システムと、
を更に備え、
前記溶融プールデータが、前記学習された人工知能モジュールへの入力として、及び前記状態機械への入力として送信され、
前記第2制御ループは、前記第1制御ループよりもコントローラの利得更新期間が短
く、
前記コントローラは、前記付加製造構築プロセスを制御するように構成されており、前記付加製造機械が備える、前記部品の各層を構築するための構成要素に接続されている、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2の畳み込みニューラルネットワークは、切断された部品の2次元画像を評価するように構成された畳み込みニューラルネットワークを含む、請求項1または2に記載の付加製造システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2の畳み込みニューラルネットワークは、部品の3次元画像を評価するように構成された畳み込みニューラルネットワークを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の付加製造システム。
【請求項5】
前記学習された人工知能モジュールが、回帰型人工ニューラルネットワークを有する深層学習モジュールである、請求項1から4のいずれか1項に記載の付加製造システム。
【請求項6】
部品を構築するために付加製造プロセスを実行するように動作可能な付加製造機械の閉ループ制御用の人工知能モジュールを学習させる方法であって、
複数の部品に対応する付加製造構築パラメータ構成ファイルを前記人工知能モジュールに入力するステップと、
前記付加製造機械によってプロセス内において収集された連続時間ベースのパラメータデータを前記人工知能モジュールに入力するステップと、
プロセス内に捕捉された構築層画像を評価するように構成された畳み込みニューラルネットワークによって生成された構築層画像分類データを前記人工知能モジュールに入力するステップと、
プロセス後に捕捉された部品の画像を評価するように構成された少なくとも1つの他の畳み込みニューラルネットワークによって生成されたプロセス後の画像分類データを前記人工知能モジュールに入力するステップと、
前記付加製造構築パラメータ構成ファイル、前記連続時間ベースのパラメータデータ、前記構築層画像分類データ、及び前記プロセス後の画像分類データを前記人工知能モジュールによって評価するステップと、を含
み、
前記評価するステップで得られた評価結果は、前記付加製造機械の前記閉ループ制御に用いられる、方法。
【請求項7】
前記付加製造機械によってプロセス内に収集された溶融プールデータを前記人工知能モジュールに入力するステップと、
前記溶融プールデータを前記人工知能モジュールによって評価するステップと、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、付加製造(additive manufacturing、AM)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]AM機械は、層ごとの構築プロセスに従って完成部品を構築するのに有用である。例えば、レーザ粉末床融合AM機械は、レーザ又は電子ビームのいずれかを使用して、粉末材料を溶融及び融合させる。粉末床融合プロセスは、ローラ又はブレードを使用して前の層の上に粉末材料の薄層を広げることと、レーザ又は電子ビームを粉末層の上で制御された様式で走査して、部品の所望の形状に従って層を形成することとを伴う。部品の幾何学的コンピュータモデルは、AM機械の様々な制御パラメータが、各構築層の走査及び融合操作を制御するために定義されるAM構築パラメータファイルに変換される。
【0003】
[0003]AMは、伝統的な減法的製造によって製造するのが困難かつ/又は時間のかかる部品を製造するための、及びAM機械が存在する遠隔位置における部品を「オンデマンド」に製造するための大きな期待を示しているが、AMによって作製された部品の品質に関する懸念は、重要な産業において、その広範な採用を遅らせている。例えば、AMによって作製された部品は、時には多孔性、空隙、及び不十分な表面仕上げを呈し、したがって、航空宇宙及び医療用途などの安全重視用途のためのAMの受け入れを妨げる。これにより、完成したAM部品の品質管理検査、特に医療用装置及び航空機部品などの安全重視用途を目的とした部品について、追加的な負担を課す。
【0004】
[0004]完成部品の品質を改善するために人工知能をAMに適用することができることは、様々な刊行物で提案されている。しかしながら、これらの刊行物は、完成部品の品質を改善するために人工知能をどのようにAMに適用するかについての有用な詳細又は実用的な説明を欠いている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示は、AM構築プロセスに従ってAM機械内で層ごとに部品を構築するためのAMシステムを提供し、システムは、プロセス内の初期セットの構築パラメータを調整するための閉ループ制御構造を含む。本明細書で使用するとき、用語「プロセス内」は、部品がAM機械内で構築されるプロセスにある期間を指す。用語「プロセス内」は、用語「プロセス後」とは区別され、用語「プロセス後」は、部品がAM機械内で構築された後の期間を指すように本明細書で使用される。
【0006】
[0006]本開示の閉ループ制御構造は、学習された人工知能モジュールを有する低速制御ループを含み、状態機械を有する高速制御ループを更に含んでもよい。本明細書で使用するとき、「低速制御ループ」は、整数秒ほどのコントローラ利得更新期間を有する制御ループを意味し、「高速制御ループ」は、マイクロ秒ほどのコントローラ利得更新期間を有する制御ループを意味する。学習された人工知能モジュールは、回帰型人工ニューラルネットワークを有する深層学習モジュールであってもよい。
【0007】
[0007]一実施形態では、AMシステムは、プロセス内にエネルギー源によって形成された溶融プールを表すリアルタイムの溶融プールデータを取得するように配置された溶融プール監視システムと、プロセス内に部品層の層画像を取得するように配置された構築層画像センサと、を含む。初期セットの構築パラメータ、構築プロセスに対応する調整された構築パラメータの時間軸シーケンス、層画像、及び溶融プールデータは、低速制御ループの学習された人工知能モジュールへの入力として送信される。溶融プールデータは、高速制御ループの状態機械への入力として送信され得る。
【0008】
[0008]本開示によれば、学習された人工知能モジュールは、プロセス内に取得された層画像を評価するように構成された第1の畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network、CNN)と、プロセス後に取得された完成部品の画像を評価するように構成された少なくとも1つの第2のCNNとからの評価データを使用して学習され得る。例えば、CNNは、プロセス後に取得された切断された完成部品の2次元画像を評価するように構成されてもよく、別のCNNは、完成部品のコンピュータ断層撮影(computer tomography、CT)走査によってプロセス後に取得された部品の3次元画像を評価するように構成されてもよい。
【0009】
[0009]本発明の性質及び動作形態はこれから、添付図面を参照して、以下の発明を実施するための形態により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に従って形成されたAMシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すAMシステムのAM機械の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の一態様に係る基本的な閉ループAM制御システムのブロック図であり、層画像は、フィードバックを提供するために畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によって評価される。
【
図4】
図4は、本発明の一態様に係る拡張データ収集アーキテクチャのブロック図であり、完成部品のプロセス後の画像データが、AM機械によってプロセス内に収集されたデータに対応して収集される。
【
図5】
図5は、本発明の一態様に係る人工知能モジュールを学習するのに有用な学習アーキテクチャのブロック図である。
【
図6】
図6は、回帰型ニューラルネットワーク(recurrent neural network、RNN)が有限状態機械(finite state machine、FSM)にどのようにインターフェースすることができるかを表す簡略化された例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0016]本発明の一実施形態に従って形成されたAMシステム10を
図1に示す。AMシステム10は、
図2により詳細に示されるAM機械20を備える。AM機械20は、粉末リザーバ22と、部品Pが構築される粉末床24と、粉末リザーバ22から粉末床24に粉末の新しい層を移送するための粉末スクレーパ26とを含むタイプのレーザ粉末床機械の形態であり得る。粉末リザーバの上昇は、粉末送達アクチュエータ23によって調整され、粉末床24の上昇は、製造アクチュエータ25によって調整される。AM機械20は、レーザ28の形態のエネルギー源と、部品Pを形成するように制御された様式で粉末床24内の粉末の新たな各層の上でエネルギー源28からビーム32を方向転換し走査するためのスキャナシステム30とを更に含む。理解されるように、ビーム30は、粉末床24内の粉末層と相互作用し、部品Pを固化し、部分Pと融合して部品を構築する従動溶融プール33を形成する。上述のタイプのAM機械は、英国のRenishaw plc社から入手可能である。
【0012】
[0017]AM機械20は、プロセス内に溶融プール33を表現するリアルタイムの溶融プールデータ39を取得するように配置された1つ以上の溶融プールセンサ37を有する溶融プール監視システム35を備えてもよい。AM機械20はまた、プロセス内に部品層の層画像を取得するように配置された構築層画像センサ38を備えている。加えて、空間周波数変調撮像(spatial frequency modulated imaging、SPIFI)を利用して、ビーム32を通して直接溶融プール33の状態に関する情報を拾うことができる。例えば、Young、Michael D.らの、Spatial Frequency Modulated Imaging(SPIFI)with amplitude or phase grating from a spatial light modulator、Proceedings of the SPIE、Vol.10069、id.100692P 8 pp.(2017)を参照されたい。AM機械20の様々な構成要素は、構築プロセスを制御するように構成されたマイクロプロセッサベースのコントローラ21に接続される。
【0013】
[0018]AMシステム10は、AM機械20内の部品Pを構築するための初期セットの構築パラメータを生成するようにプログラムされた構築パラメータ構成モジュール40を含んでもよい。初期セットの構築パラメータは、AM機械20の処理及び制御電子機器によってアクセス可能なメモリ内の構築パラメータ構成ファイル41として記憶されてもよい。初期セットの構築パラメータ41は、構築パラメータ構成モジュール40に入力された部品Pの幾何学的モデルに少なくとも部分的に基づいてもよい。非限定的な例として、幾何学的モデルは、部品Pを説明する1つ以上のデジタルCAD/CAMファイルとして提供されてもよい。構築パラメータ構成モジュール40は、CAD/CAMモデル情報を読み取り、レーザ制御設定、スキャナモーション制御コマンド、層厚設定、及び部品Pを構築するようにAM機械20を動作させるための他の制御パラメータを生成するようにプログラムされたコンピュータモジュールであってもよい。構築パラメータ構成モジュール40は、AM機械20の一部であってもよく、又はAM機械20から分離されて、そのAM機械と通信してもよい。CAD/CAMファイルからAM構築パラメータを生成するための市販のソフトウェアの例は、ベルギーのMaterialise N.V.から入手可能なMATERIALISE(登録商標)Magics(商標)データ準備ソフトウェアである。
【0014】
[0019]AMシステム10は、プロセス内に初期セットの構築パラメータ41を調整するための閉ループ制御構造42を備える。
図3に示す基本的な実施形態では、閉ループ制御構造42は、構築層画像センサ38によってプロセス内に取得された部品Pの層画像48を評価するように学習及び構成されたCNN46の形態で、学習された人工知能(artificial intelligence、AI)モジュールを含む。それぞれの捕捉された層画像48が、その層の予想される又は所望の外観に対応する程度を示し得る、CNN46によって提供される評価結果は、プロセス内にAM機械20の調整された構築パラメータを計算するためにブロック50において使用されて、ブロック52において構築プロセスが続く際に後続層の構築に影響を及ぼす。評価結果は、所定のカテゴリ(例えば、非常に良好、良好、適正、不良など)への各構築層画像48の割り当てられた分類の形態であってもよい。
【0015】
[0020]
図1に対応する別の実施形態では、閉ループ制御構造42は、深層学習回帰型AIモジュール56の形態にある学習されたAIモジュールを有する低速制御ループ54と、状態機械60を有する高速制御ループ58と、を含む。
【0016】
[0021]低速制御ループ54では、構築パラメータ構成モジュール40によって生成された初期AM構築パラメータ41は、深層学習回帰型AIモジュール56に入力される。学習されたAIモジュール56への他の入力としては、経時的なAMプロセス変数及びパラメータ(例えば、アルゴン流、温度、音/振動変換器レベル、電圧、電流など)を表す連続的な時間ベースのデータ62、構築層画像センサ38によってプロセス内に取得された構築層画像48、溶融プール監視システム35によってプロセス内に取得された溶融プールデータ39が挙げられ得る。溶融プールデータ39は、深層学習回帰型AIモジュール56への入力前に事前調整器64によって事前調整されてもよい。例えば、事前調整器64は、各構築層又は一組の構築層上に溶融プールデータ39を蓄積及び平均するようにプログラムされてもよい。事前調整は、より短い又はより長いフレームレートを有するように調節可能であってもよい。
【0017】
[0022]深層学習AIモジュール56は、複数のニューラルネットワークの組織集合(comittee)を形成するために、1つ以上のCNNと組み合わされた回帰型ニューラルネットワーク(RNN)構成要素を有してもよい。RNN構成要素は、例えば、いわゆる「消失又は爆発勾配問題」を克服する長短期メモリ(long short-term memory、LSTM)として、又はゲート付き回帰型ユニット(gated recurrent unit、GRU)として実装されてもよく、これは、プロセス状態及び長期メモリ能力を追加して、高速プロセス内更新データと低速プロセス出力データとの間の複雑な、ノイズの多い、非線形関係を学習する大規模の回帰型ネットワークの使用を可能にし、良好な品質の部品を構築するために必要な正確なAM構築パラメータを予測する。GRUは、例えば、Chungらの、Empirical Evaluation of Gated Recurrent Neural Networks on Sequence Modeling、arXiv:1412、3555v1[cs.NE]、2014年12月11日、に説明されている。学習された深層学習AIモジュール56は、強化された低速プロセスフィードバック制御のために、部品品質の低速層間評価を閉じるために使用され得る。AIモジュール56は、AI知能ソフトウェアを実行するコンピュータ又はコンピュータのネットワークとして構成されてもよい。例えば、ソフトウェアは、例として、TensorFlow(登録商標)(https//www.tensorflow.orgにおけるGoogle社のオープンソース人工ニューラルネットワーク(artificial neural network、ANN)ソフトウェアライブラリ)、Theano(http://deeplearning.net/software/theano/index.htmlにおけるUniversity of MontrealのDeep Learning GroupのオープンソースANNソフトウェアライブラリ、又はCNTK(https://www.microsoft.com/en-us/cognitive-toolkit/におけるMicrosoftのCognitive Toolkit)を使用して、Python Software FoundationによってサポートされるPython(商標)プログラミング言語でプログラムされ、人工ニューラルネットワークAIを実際に実装してもよい。代替的に又は追加的に、C及びC++などのより伝統的なプログラミング言語が使用されてもよい。ハードウェアに関しては、AIモジュール56は、推論のみのAIとして実行することができるため、学習されたニューラルネットワークは、固定小数点式の計算又は更により低いビット数(例えば、BNN又はビット単位のニューラルネットワーク、例えば、専用コンピューティングプラットフォーム上の、Kim、Smaragdis、Bitwise Neural Networks、arXiv:1601.06071v1[cs.LG]、2016年1月22日(https://arxiv.org/pdf/1601.06071.pdf))を使用して実行することができ、これにより、AIモジュールの処理スループットを劇的に改善することができる。
【0018】
[0023]高速制御ループ58では、溶融プールデータ39は、深層学習AIモジュール56からの出力と共に状態機械60に入力されてもよい。深層学習AIモジュール56からの状態機械出力は、高速制御ループ58の一部として使用されてもよく、これは、高速プロセス制御利得更新上の別個の状態可変の内側制御ループとして構成されてもよい。例えば、上述のLSTMからの状態機械出力は、状態機械60に入力され、溶融プール制御の高速ループ閉じ込みを容易にするために使用されてもよい。
【0019】
[0024]
図6では、状態機械60の単純な例が、Mealy FSMによって表されるような3つの異なる状態で示されており、各状態からの出力は、現在の状態及びFSMへの入力に依存する。3つの状態は、制御スキームが維持される「保持」、制御スキームが、ビーム32によって粉末床24に入力される特定のエネルギー密度(energy density、ED)を減じることに助力する「低エネルギー密度」(低ED)、及び制御スキームが、ビーム32によって粉末床24に入力される特定のEDを高めることに助力する「高エネルギー密度」(高ED)である。また、この例では、FSMへの入力は、溶融プール33のコンディションを予測する、学習されたRNN56からの出力である。この予測は、
図4の拡張データによってRNN56に付与された
図5の学習に基づく。
【0020】
[0025]
図6の実施例における各状態は、異なる制御スキーム又は変更された制御スキームを表す。これらの制御スキームは、単純な利得制御型フィードバックループとして、又は複雑な確率的最適化コントローラとして実装することができる。当業者であれば、これは単に、高速ループ58制御のための状態機械60が、RNN56からの出力とどのようにインターフェースされ得るかの単純化された例であることと、異なる制御スキーム状態、並びに制御スキーム状態が基礎をなすコントローラの多くの可能な実装を変更する手法を含む、多くの他のより複雑な構成が可能であることとを認識するであろう。
【0021】
[0026]
図1に見られるように、学習された深層学習AIモジュール56からの低速ループフィードバック、及び状態機械60からの高速ループフィードバックを使用して、部品品質を改善する手法でAM機械20を動作させるために、ブロック50において調整されたAM構築パラメータを計算することができる。
【0022】
[0027]ここで、本発明の一実施形態に従って深層学習AIモジュール56を学習するためのアプローチを、
図4及び
図5を参照して説明する。深層学習AIモジュール56を学習するための教師データは、
図4によって表されるデータ拡張モードで部品を構築するように、AM機械20を操作することによって収集され得る。理解され得るように、プロセス内の構築層画像48を評価することの任務を負う基本CNN46は、ブロック70及び80によってそれぞれ示されるように、プロセス後に取得された完成部品の画像を評価するように構成された1つ以上の更なるCNN72及び82によって拡張されてもよい。実際の画像48はまた、構築層画像データベース49内に収集されてもよい。
【0023】
[0028]ブロック70では、AM機械20によって構築された部品Pは、例えば、部品を切断し、既知の層深さで露出した断面を研磨することによって、プロセス後に切断され、次いで、撮像カメラを使用して露出面の2次元(two-dimensional、2D)画像74を捕捉する。次いで、プロセス後に捕捉された2D画像74を評価し、CNN72によって分類することができる。例えば、可能な分類76としては、不十分な溶融、適度、及び過剰な溶融が挙げられ得る。所与の層深さにおけるプロセス後の2D画像は、プロセス内に取得された層の関連する画像48に直接関係し得る。この関係は、
図4のデータ拡張を同期させるようにプログラムされたソフトウェアアプリケーションによって制御され得、RNN56が実際のデータから再構成された仮想部品構築において学習されることを可能にし得る。仮想部品構築の数は、収集のためにどのくらいのデータが利用可能であるかだけに限定されるであろう。
【0024】
[0029]ソフトウェアアプリケーションの仮想部品構築態様は、学習されたRNN56が実際のデータを使用してどのように機能するかのシミュレーションを可能にし、統合計算材料工学(integrated computational materials engineering、ICME)モデルを改善及び/又は検証することを可能にし得る。加えて、より良好な予測モデルは、仮想構築データを使用して、モデル予測制御(model predictive control、MPC)などの高度な制御スキームを、
図6に示す高速58ループ制御スキームに実装することができる。
【0025】
[0030]ブロック80では、AM機械20によって構築された部品Pは、例えば、コンピュータ支援断層撮影(computer-aided tomography、CAT)設備を使用して、プロセス後に走査されて、部分全体の3次元(three-dimensional、3D)画像84を捕捉する。次いで、プロセス後に捕捉された3D画像84を評価し、CNN82によって分類することができる。例えば、分類86は、完成部品の有孔率の度合い、及び/又は完成部品内に空隙が存在する程度を示してもよい。
【0026】
[0031]上述したように、プロセス内の構築層画像48は、構築層画像データベース49内に収集されてもよい。他のプロセス内データもまた、深層学習AIモジュール56の学習に使用するために収集されてもよい。例えば、溶融プール監視システム35によってプロセス内に取得された高速プロセス溶融プールデータ39は、バイナリデータベース67に記憶されてもよく、層が製作されている間にAM機械20によって生成された連続時間ベースのデータ62は、連続時間ベースのパラメータデータベース68に記憶されてもよい。
【0027】
[0032]
図5に示すように、
図4に関連して説明されるように収集されたデータは、深層学習AIモジュール56を学習させるための入力として使用されてもよい。構築層画像48を特徴付けるCNN46の出力は、動作の学習モードにおいて深層学習AIモジュール56に提供される1つの教師入力として機能し得る。同様に、プロセス後の画像72及び82をそれぞれ特徴付けるCNN72及びCNN82からの出力は、動作の学習モードの間に深層学習AIモジュール56に提供される更なる教師入力として機能し得る。高速プロセス溶融プールデータ39は、事前調整器64によって事前調整され、動作の学習モードの間に深層学習AIモジュール56に入力され得る。連続時間ベースのパラメータデータベース68に記憶された連続時間ベースのデータ62もまた、動作の学習モードの間に深層学習AIモジュール56への入力として提供されてもよい。初期AM構築パラメータ41は、動作の学習モードの間に深層学習AIモジュール56への更なる入力として提供されてもよい。
【0028】
[0033]深層学習AIモジュール56への様々な入力は、学習を実行するために正しく同期されるべきであり、学習を有効に行うために十分なデータが利用可能でなければならない。深層学習AIモジュール56のLSTM構成要素からの出力は、動作の学習モードの間に状態機械60に提供されてもよく、その後、AMシステム10が通常の生産モードで動作されるときに、溶融プール制御の高速ループ閉じ込みを容易にすることができる。状態機械60への入力は、高速制御ループ58上の学習されたRNN56の影響を評価するのに役立つ制御シミュレーションに対して(例えば、
図6における)制御スキーム状態の変化を評価することを可能にし得る記録を提供する。
【0029】
[0034]上述のようなプロセス内及びプロセス後の情報を使用するAIモジュール56の学習は、AM部品及び対応するAMプロセスが、良好な製造実施に関連するいくつかの観点から良好であるか否かの信頼性の高い判定を可能にする。部品構築のためのデータの全セットが、生産記録のために捕捉される。第1に、部品を製造するために使用されるAM構成データファイルの完全性(すなわち、「データ完全性」)が実証及び証明されてもよい。第2に、部品を構築するために使用されるAMプロセスの完全性(すなわち、「プロセス完全性」)が実証及び証明されてもよい。第3に、プロセス性能が、高密度を有するか、最小有孔率を有するか又は孔無しであり、及び良好な内部粒構造(すなわち、「性能完全性」)を有する良好な部品を生成することが実証及び証明されてもよい。同様に、AM部品について言及されたプロセス証明は、医療用装置が仕様に正しく機能しているという検証及び妥当性確認証拠を提供するための設計品質(Design Quality、DQ)、取り付け品質(Installation Quality、IQ)、運用品質(Operational Quality、OQ)、及び性能品質(Performance Quality、PQ)メトリクスと同様であり得る。IQ、OQ、及びPQは、それぞれ、データ、プロセス、及び製造完全性に類似する。この場合、正しいAM構築ファイルの取り付けはIQである。プロセス完全性(OQ)が正しいリアルタイム検証、及び製造完全性(PQ)が機械学習AIのプロセス内及びプロセス後の構成要素から生じる準リアルタイム検証。良好性の測定は、機械学習AIモジュール56によって使用されて、どのレベルの良好性を実際に(プロセス内測定値とプロセス後測定値との間の非線形関係の学習された回帰型メモリを通じて)有するかを決定し、次いで、(非線形相関によって間接的に推定される)良好性が最大化されるように、リアルタイムでプロセスに対する自動補正を行う。DQは、設計/構築ファイルに関連付けられたAM設計ルールチェックと同等であり、これは、金属のためのICME又はいくつかの他の物理学に基づく設計プロトコルを統合することができる。
【0030】
[0035]本発明は、AM方法による大規模で複雑な構成要素の製造を進めることを意図する。本発明は、付加製造機械で作製されたより高品質の部品をもたらし、検査負担を低減する。
【0031】
[0036]本発明は例示的な実施形態に関連して説明されてきたが、発明を実施するための形態は、本発明の範囲を記載される特定の形態に限定することを意図しない。本発明は、特許請求の範囲の範囲内に含まれ得るような、記載された実施形態の代替形態、修正形態、及び均等物を包含することを意図している。