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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】多相変換器システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
H02M3/155 W
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020534799
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018048679
(87)【国際公開番号】W WO2019046507
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】62/552,459
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/117,014
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520069903
【氏名又は名称】アクティブ-セミ(ビーブイアイ)・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】トリッチー,ナラシンハン
(72)【発明者】
【氏名】ノガワ,マサシ
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0132508(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0280556(US,A1)
【文献】特開2011-147269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 - 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力相を備える電力変換器を提供することであって、
各電力相が、電力段および対応する制御回路を備え、
前記複数の電力相の出力が、互いに接続され、
各電力段は、トリガー信号に応答して前記対応する制御回路によって生成されるパルス幅変調信号を使用して、一定のオン時間および最小オフ時間の制御方式によって制御される、提供することと、
トークンを前記複数の電力相の間で順次通過させることによって、前記複数の電力相をインターリーブ手法で動作させるように構成することであって、前記トークンが、前記トークンを所有する電力相のハイサイドスイッチをオンにできるようにするイネーブル機能を表前記ハイサイドスイッチの最小オフ時間の後、前記トークンは次の電力相に通過される、構成することと、を含む方法。
【請求項2】
前記複数の電力相が、第1のコントローラおよび第2のコントローラによって制御され、
前記第1のコントローラが、マスターとして構成され、前記第2のコントローラが、スレーブとして構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスターによって制御される前記電力相が、前記スレーブによって制御される前記電力相よりも早くオンになる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスターによって制御される前記電力相が、順次オンになり、
前記スレーブによって制御される前記電力相が、順次オンになる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記トークンが、所定の手法で前記マスターによって制御される異なる相の間で移転され、
前記トークンが、所定の手法で前記スレーブによって制御される異なる相の間で移転される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記マスターが制御する最後の電力相が終了するときに、前記トークンが、前記マスターから前記スレーブにリリースされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各電力相が、ステップダウン電力変換器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の電力相が、単一のコントローラによって制御され、
前記トークンが、カウンタによって異なる相の間で移転される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カウンタが、第1の電力相から最後の電力相までラウンドロビン流儀で前記トークンを手渡すように構成され、前記最後の電力相が終了した後に、このプロセスを繰り返す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
トークンを複数の電力相の間で順次通過させることによって、電力変換器の前記複数の電力相をインターリーブ手法で動作させるように構成することと、
第1の電力相が、前記トークンを所有し、前記第1の電力相の制御回路からトリガー信号を受け取った後に、前記第1の電力相をオンにするために、第1のパルス幅変調信号を生成することと、
前記第1の電力相の所定の最小オフ時間の後に、前記トークンを第2の電力相に通過させて、前記第2の電力相を有効にすることと、
前記第2の電力相の所定の最小オフ時間の後に、前記複数の電力相の最後の電力相が前記トークンを所有するまで、前記トークンを順次通過させることと、
前記最後の電力相が終了した後に、前記トークンを前記第1の電力相に転送することと、を含む方法。
【請求項11】
各電力相が、電力段および対応する制御回路を含み、
前記複数の電力相の出力が、互いに接続される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トークンが、前記トークンを所有する電力相のハイサイドスイッチをオンにできるようにするイネーブル機能を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
各電力相が、一定のオン時間電力変換器を含み、前記一定のオン時間電力変換器が、
入力電源とグランドとの間に直列に接続された第1のスイッチおよび第2のスイッチと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの共通ノードと、前記一定のオン時間電力変換器の出力との間に接続されたインダクタと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の電力相が、第1のコントローラおよび第2のコントローラによって制御され、
前記第1のコントローラが、マスターとして構成され、前記第2のコントローラが、スレーブとして構成され、
記マスターによって制御される前記電力相が、前記スレーブによって制御される前記電力相よりも早くオンになり、
記マスターによって制御される最後の電力相が終了するときに、前記トークンが、前記マスターから前記スレーブにリリースされる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の電力相が、単一のコントローラによって制御され、
前記トークンが、カウンタによって異なる相の間で移転され、
前記カウンタが、前記第1の電力相から前記最後の電力相までラウンドロビン流儀で前記トークンを手渡すように構成され、前記最後の電力相が終了した後に、このプロセスを繰り返す、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
入力電源と出力端子との間に接続された複数の電力相であって、各電力相が、一定のオン時間および最小オフ時間の電力変換器を含む、複数の電力相と、
トリガー信号に応答して前記複数の電力相の一定のオン時間および最小オフ時間のゲート駆動信号を生成するように構成されたコントローラであって、前記複数の電力相が、前記複数の電力相の間でトークンを順次通過させることによって、インターリーブ手法で動作するように構成され、
前記トークンが、前記コントローラによって生成され、前記トークンは前記複数の電力相の間で通過され、
前記トークンが、前記トークンを所有する電力相をオンにすることを許可するためのイネーブル機能を表し、
前記トークンを所有する前記電力相の所定の最小オフ時間の後に、前記トークンは次の電力相に通過される、コントローラと、を備えるシステム。
【請求項17】
前記コントローラが、第1の制御ユニットおよび第2の制御ユニットを備え、
複数の第1の電力相が、前記第1の制御ユニットによって制御され、複数の第2の電力相が、前記第2の制御ユニットによって制御され、
前記第1の制御ユニットが、マスターとして構成され、前記第2の制御ユニットが、スレーブとして構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の電力相が、前記第2の電力相よりも早くオンになる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、カウンタを備え、
前記カウンタが、第1の電力相から最後の電力相までラウンドロビン流儀で前記トークンを手渡すように構成され、前記最後の電力相が終了した後に、このプロセスを繰り返す、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記一定のオン時間および最小オフ時間の電力変換器が、
入力電源とグランドとの間に直列に接続された第1のスイッチおよび第2のスイッチと、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの共通ノードと、出力コンデンサとの間に接続されたインダクタと、を備える、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年8月30日に出願された「Multiphase Converter System and Control Method」という名称の米国非仮出願第16/117,014号、および2017年8月31日に出願された「Multiphase Converter System and Control Method」という名称の米国仮出願第62/552,459号に関連し、それらに対する優先権を主張し、該出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、多相変換器の制御方式に関し、特定の実施形態では、多相変換器のインターリーブ動作制御方式に関する。
【背景技術】
【0003】
技術がさらに進歩するにつれて、携帯電話、タブレットPC、デジタルカメラ、MP3プレーヤーなどの様々な電子デバイスが普及してきている。各電子デバイスは、電子デバイスによって引き出される電流が広範囲にわたって変化する場合でも、指定された許容範囲内で調整され得る、実質的に一定の電圧の直流電力を必要とする。指定された許容範囲内に電圧を維持するために、電子デバイスに結合された電力変換器(例えば、スイッチングDC/DC変換器)は、様々な負荷過渡下で安定した出力電圧を維持しながら、非常に高速な過渡応答を提供する。
【0004】
一定のオン時間方式などのヒステリシスベースの電力変換器制御方式により、電力変換器は高速過渡応答を提供できる。一定のオン時間制御方式を採用する降圧変換器は、エラーアンプを必要としない。実際、単純な一定のオン時間回路は、フィードバック比較器とオンタイマーのみで構成され得る。動作中、電力変換器(例えば、降圧変換器)のフィードバック回路は、dc電圧とリップル電圧の両方を含むフィードバック信号を内部基準と直接比較する。フィードバック信号が内部基準を下回ると、電力変換器のハイサイドスイッチがオンになり、オンタイマーの期間、オンのままになる。ハイサイドスイッチをオンにした結果、電力変換器のインダクタ電流が増加する。電力変換器のハイサイドスイッチは、オンタイマーが切れるとオフになり、フィードバック信号が再び内部基準を下回るまでオンにならない。要するに、一定のオン時間制御方式が電力変換器で採用される場合、電力変換器のハイサイドスイッチのオン時間はオンタイマーによって終了する。電力変換器のハイサイドスイッチのオフ時間は、フィードバック比較器によって終了する。
【0005】
一定のオン時間制御方式を採用している電力変換器は、設計が簡単である。ただし、一定のオン時間制御方式には望ましくない反応がある。例えば、従来の多相変換器のインターリーブ動作は、クロック信号を相シフトすることで簡単に実現できる。一定のオン時間制御方式を採用した多相変換器は、クロック信号に同期していない。そのため、一定のオン時間ベースの多相変換器をインターリーブ手法で動作するように構成することは困難である。
【0006】
インターリーブ手法で動作するように一定のオン時間多相変換器を構成するための制御方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
特定の実施形態では、制御方式は、一定のオン時間制御方式を採用する多相変換器を構成して、インターリーブ手法で動作させることができる。
【0008】
実施形態によれば、方法は、複数の電力相を備える電力変換器を提供することであって、各電力相が、電力段および対応する制御回路を備え、複数の電力相の出力が、互いに接続され、少なくとも1つの電力段が、一定のオン時間制御方式によって制御される、提供することと、トークンを複数の電力相の間で順次通過させることによって、複数の電力相をインターリーブ手法で動作させるように構成することであって、トークンが、トークンを所有する電力相のハイサイドスイッチをオンにできるようにするイネーブル機能を表す、構成することと、を含む。
【0009】
別の実施形態によれば、方法は、トークンを複数の電力相の間で順次通過させることによって、電力変換器の複数の電力相をインターリーブ手法で動作させるように構成することと、第1の電力相が、トークンを所有し、第1の電力相の制御回路からトリガー信号を受け取った後に、第1の電力相をオンにすることと、第1の電力相が終了した後に、トークンを第2の電力相に通過させることと、複数の電力相の最後の電力相がトークンを所有するまで、トークンを順次通過させることと、最後の電力相が終了した後に、トークンを第1の電力相に転送することと、を含む。
【0010】
さらに別の実施形態によれば、システムは、入力電源と出力端子との間に接続された複数の電力相であって、各電力相が、一定のオン時間電力変換器を含む、複数の電力相と、複数の電力相のゲート駆動信号を生成するように構成されたコントローラであって、複数の電力相が、複数の電力相の間でトークンを順次通過させることによって、インターリーブ手法で動作するように構成され、トークンが、コントローラによって生成され、トークンが、トークンを所有する電源相をオンにすることを許可するためのイネーブル機能を表す、コントローラとを備える。
【0011】
本開示の好ましい実施形態の利点は、インターリーブ手法で動作するように一定のオン時間多相変換器を構成することにより、一定のオン時間電力変換器の性能を改善することである。
【0012】
上記は、次の本発明の詳細な記述がよりよく理解され得るように、本発明の特徴および技術的利点をかなり広く概説した。本発明の追加の特徴および利点は、以下に記載され、本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。開示された概念および特定の実施形態は、本発明の同じ目的を成し遂げるための他の構造またはプロセスを改変または設計するための基礎として容易に利用できることを当業者は理解すべきである。また、そのような同等の構造は、添付の特許請求の範囲に述べた本発明の趣旨および範囲から逸脱しないことも当業者によって認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて次の記述を参照する。
【0014】
図1A】本開示の様々な実施形態による、一定のオン時間制御方式を採用する4相変換器の第1の実装形態の概略図を示す。
図1B】本開示の様々な実施形態による、一定のオン時間制御方式を採用する4相変換器の第1の実装形態の概略図を示す。
図2】本開示の様々な実施形態による、図1に示された4相変換器の様々な制御信号およびスイッチングノード波形を示す。
図3】本開示の様々な実施形態による、図1に示された4相変換器の波形を示す。
図4】本開示の様々な実施形態による、図1に示された4相変換器の様々な過渡応答波形を示す。
図5A】本開示の様々な実施形態による、一定のオン時間制御方式を採用する4相変換器の第2の実装形態の概略図を示す。
図5B】本開示の様々な実施形態による、一定のオン時間制御方式を採用する4相変換器の第2の実装形態の概略図を示す。
【0015】
異なる図中の対応する数字および記号は、特に明記しない限り、一般に対応する部分を指す。図は、様々な実施形態の関連する態様を明確に示すために描かれており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
現在好ましい実施形態の作成および使用は、以下で詳細に論じられる。しかし、本発明は、多種多様な特有の状況で具体化できる多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。論じられた特有の実施形態は、本発明を作成および使用する特有の方法の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0017】
本発明は、特有の状況における好ましい実施形態、すなわち、一定のオン時間制御方式を採用する多相変換器のインターリーブ動作を達成するための制御方法に関して説明される。しかしながら、本発明は、様々な電力変換器にも適用され得る。以下、添付図面を参照して、様々な実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本開示の様々な実施形態による、一定のオン時間制御方式を採用する4相変換器の第1の実装形態の概略図を示す。図1には、図1A図1Bが含まれている。記述全体を通じて、図1A図1Bをまとめて図1と呼ぶ。4相変換器100は、入力電源VINと出力VOUTとの間に結合された4つの相を含む。各相は、電力段とその対応する制御回路で構成されている。
【0019】
入力電源VINと電力段との間を低抵抗で接続するために、入力電源VINの出力は、図1に示すように、4つの接続端子VIN_PH1、VIN_PH2、VIN_PH3、およびVIN_PH4に分割されている。これらの4つの接続端子は、それぞれ4つの相の入力に接続されている。
【0020】
図1に示すように、4つの電力段、すなわち、第1の電力段110、第2の電力段120、第3の電力段130、および第4の電力段140があり得る。図1に示すように、4つの電力段は、入力電源VINと出力VOUTとの間に並列に接続されている。特に、4つの電力段の入力は接続端子を介して互いに接続され、さらに入力電源VINに接続される。4つの電力段の出力は、一緒に接続され、さらに負荷および/または下流の電力変換器に接続される。
【0021】
いくつかの実施形態では、各電力段はステップダウン電力変換器(降圧変換器としても知られている)である。図1に示すように、4つの電力段110、120、130、および140は、同じ電力トポロジーを有する。不必要な繰り返しを回避するために、第1の電力段110の電力トポロジーのみを以下で詳細に論じる。
【0022】
第1の電力段110は、第1のスイッチQ1、第2のスイッチQ2、インダクタLoおよび出力コンデンサCoを含む。図1に示すように、第1のスイッチQ1と第2のスイッチQ2は、接続端子VIN_PH1とグランドPGND1との間に直列に接続されている。インダクタLoは、第1のスイッチQ1および第2のスイッチQ2の共通ノードと出力コンデンサCoとの間に接続されている。記述全体を通じて、第1のスイッチQ1および第2のスイッチQ2の共通ノードは、代替的にスイッチングノードSW1と呼ばれる。第1の電力段110は、図1に示すように、スイッチングノードSW1とブートストラップノードVBST_PH1との間に接続されたブートストラップコンデンサをさらに含む。ブートストラップコンデンサの機能はよく知られているため、本明細書では論じない。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチQ1および第2のスイッチQ2は、図1に示すようにn型トランジスタとして実装される。第1のスイッチQ1のゲートおよび第2のスイッチQ2のゲートは、バッファおよびインバータを介して互いに接続され、さらに制御回路の出力に結合されている。
【0024】
異なる用途および設計ニーズに依存して、電流感知回路を採用し、4相変換器100の性能をさらに改善することができる。図1に示すように、第1の電力段110の電流感知回路は、インダクタLoと並列に接続されている。図1に示すように、第1の電流感知回路ISNS1は、スイッチングノードSW1と出力端子VOUTとの間に直列に接続された抵抗器およびコンデンサを含む。第1の電流感知回路は、直流抵抗(DCR)感知回路としても知られ、インダクタ巻線の寄生抵抗を使用して、インダクタを流れる電流を測定する。図1に示すように、電流感知信号はコンデンサの両端で検出される。DCR感知回路の動作原理は周知であり、したがって、繰り返しを避けるために本明細書では論じない。
【0025】
4相変換器100は、2つのコントローラ、すなわち第1のコントローラIC1および第2のコントローラIC2をさらに備える。図1に示すように、4つの電力段は、コントローラIC1およびIC2によって生成されたPWM信号によって制御される。特に、第1のコントローラIC1からの第1のPWM信号PWM1は、第1の電力段110の動作を制御するために採用される。第1のコントローラIC1からの第2のPWM信号PWM2は、第2の電力段120の動作を制御するために採用される。同様に、第2のコントローラIC2からの第1のPWM信号PWM1は、第3の電力段130の動作を制御するために採用される。第2のコントローラIC2からの第2のPWM信号PWM2は、4つの電力段140の動作を制御するために採用される。
【0026】
図1は、コントローラによって制御される2つの電力段を示していることに留意されたい。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を過度に制限するものではない。当業者は、多くの変形、代替、および改変を認識するであろう。例えば、コントローラは、様々な用途および設計ニーズに依存して、任意の数の電力段を制御できる。
【0027】
第1のコントローラIC1および第2のコントローラIC2は、同じ機能ユニットを含む。簡単にするために、本明細書では第1のコントローラIC1の構造のみを詳細に論じる。図1に示すように、第1のコントローラIC1は、第1のフィードバックループユニット112、第2のフィードバックループユニット122、第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114、第2のオン時間および最小オフ時間制御ユニット124、ならびに多相論理ユニット115を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2のフィードバックループユニット122は、第1のフィードバックループユニット112と同じ構造を有する。第2のオン時間および最小オフ時間制御ユニット124は、第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114と同じ構造を有する。簡単にするために、第1のフィードバックループユニット112および第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114の構造のみが本明細書で詳細に論じられる。
【0029】
第1のフィードバックループユニット112および第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114は、図1に示すようにカスケード接続されている。第1のフィードバックループユニット112は、スイッチングノード電圧SW1、出力電圧VOUT1、第1のグランド電圧GND1、フィードバックループ出力信号VCOMPINおよび電流感知信号ISNS1を含む複数の制御信号を受け取るように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、SW1は、第1の電力段110のQ1およびQ2の共通ノードから測定される。VOUT1は、第1の電力段110の出力コンデンサにかかる電圧である。GND1は、第1の電力段110の電力グランド面から測定される。フィードバックループ出力信号VCOMPINは、第1フィードバックループユニット112の比較器の出力信号である。電流感知信号ISNS1は、第1の電力段110の第1の電流感知回路のコンデンサにかかる電圧である。
【0031】
第1のフィードバックループユニット112はまた、多相論理ユニット115から多相動作制御信号ML1を受け取る。多相論理ユニット115はまた、図1に示すように、第2のフィードバックループユニット122のための多相動作制御信号ML2を生成する。
【0032】
第1のフィードバックループユニット112は、出力電圧を監視し、検出された出力電圧が所定の基準を下回るときにハイサイドスイッチQ1をオンにするために使用される。特に、第1のフィードバックループユニット112は、トリガー信号Trig1を生成し、このトリガー信号を第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114に供給する。第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114は、トリガー信号Trig1および多相論理ユニット115からのトークンに基づいてPWM信号PWM1を生成する。第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114は、第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114がトリガー信号Trig1を受け取り、トークンを所有しない限り、ハイサイドスイッチQ1をオンにするPWM信号を生成しない。異なるフェーズ間でのトークン移転制御方式については、多相論理ユニット115に関して詳細に記載する。
【0033】
第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114がトークンを所有し、トリガー信号Trig1を受け取った後、第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114は、ハイサイドスイッチQ1をオンにするためにターンオン信号を生成する。ハイサイドスイッチQ1がオンにされた後、ハイサイドスイッチQ1のターンオン時間は、第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114のオンタイマーによって決定される。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1のフィードバックループユニット112は、出力電圧VOUTに結合された分圧器、誤差増幅器、補償ネットワーク、所定の基準、および比較器を含む。代替実施形態では、第1のフィードバックループユニット112は、性能をさらに改善するためのランプ発生器を備えてもよい。さらに、制御回路のコストを低減するために、第1のフィードバックループユニット112は、誤差増幅器および関連する補償ネットワークを含まなくてもよい。一定のオン時間制御方式を採用する変換器のフィードバックループユニットの動作原理はよく知られているため、本明細書では詳細には論じない。
【0035】
第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114は、オン時間制御装置および最小オフ時間制御装置を含む。オン時間制御装置は、電流源、コンデンサ、スイッチ、所定の基準、および比較器を備えてもよい。電流源はコンデンサの充電に使用される。比較器は、電流源の電圧を所定の基準と比較する。比較器の出力は、ハイサイドスイッチQ1のターンオフをトリガーするために使用される。オン時間は、電流源からの電流を調整するか、所定の基準を調整することによって調整できる。一定のオン時間制御方式を採用する変換器のオン時間制御装置の動作原理は周知であるため、本明細書では詳細に論じない。
【0036】
最小オフ時間制御装置は、ハイサイドスイッチQ1のオフ時間を制御するために採用される。ハイサイドスイッチQ1の最小オフ時間は、入力電圧、出力電圧、相数などの様々な要因によって決定される。最小オフ時間制御により、負荷の高速過渡中にインダクタが飽和するのを防ぐことができる。加えて、最小オフ時間制御は、多相電力変換器の出力電圧/電流リップルの低減に役立つ場合がある。
【0037】
動作中、多相動作制御信号は、他の電力段に適用される他の多相動作制御信号と調整され、インターリーブ動作を達成するために、4つの電力段のハイサイドスイッチに適用されるPWM信号のリーディングエッジが互い違いの間隔で発生するようにする。このようなインターリーブ動作は、最小化された電磁干渉(EMI)で高出力電力を達成するのに役立つ。
【0038】
第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114は、第1のフィードバックループユニット112から出力信号Trig1を受け取るように構成される。加えて、第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114はまた、多相論理ユニット115から2つの信号PH1ONおよびPH12LATCHを受け取る。受け取った信号に基づいて、第1のオン時間および最小オフ時間制御ユニット114は、第1のPWM信号PWM1を生成する。
【0039】
4相変換器100のインターリーブ動作を達成するために、図1に示す4つの電力段がラウンドロビン流儀でオンにされる。言い換えると、一度にオンにできるのは1つの相のみである。このようなラウンドロビン流儀では、インターリーブ動作が結果として生じる。第1のコントローラIC1の多相論理ユニット115および第2のコントローラIC2の多相論理ユニット135は、インターリーブ動作を達成するために4つの相を制御するために使用される。
【0040】
相の間の通信に使用される信号は、MASTER、ENPH12、ENPH34、およびVCOMP1OUTである。MASTER信号は、各コントローラICをマスターまたはスレーブとして構成するために使用される。コントローラICのマスターピンがグランドに固定されている場合、このコントローラICはスレーブとしてふるまう。一方、コントローラICのMASTER信号が浮動のままか、ハイに固定されている場合、このコントローラICはマスターのようにふるまう。
【0041】
図1に示すように、第1のコントローラIC1のMASTERピンは浮動のままである。第2のコントローラIC2のMASTERピンは、抵抗器を通じてグランドに接続されている。その結果、第1のコントローラIC1はマスターとして機能する。第2のコントローラIC2はスレーブとして機能する。動作中、マスターによって制御される相(例えば、IC1)は、スレーブによって制御される相(例えば、IC2)よりも早くオンになる。
【0042】
図1に示されたマスター/スレーブの設定方法は単なる例であり、特許請求の範囲を過度に制限するものではないことに留意されたい。当業者は、多くの変形、代替、および改変を認識するであろう。例えば、第1のコントローラIC1および第2のコントローラIC2のマスター/スレーブ設定は、好適な内部構成を通じて取得することができる。
【0043】
各コントローラICにおいて、第1の相(例えば、IC1により制御される電力段110またはIC2により制御される電力段130)は、マスター相である。第2の相(例えば、IC1により制御される電力段120またはIC2により制御される電力段140)は、スレーブ相である。動作中、各コントローラICのマスター相(例えば、電力段110)は、対応するスレーブ相(例えば、電力段120)の前にオンにされる。図1に示されたシステム構成によれば、第1の電力段110が第1にオンにされる。第1の電力段110のターンオンが終了した後、第2の電力段120、第3の電力段130、および第4の電力段140は、それぞれの制御回路によって順次オンにされる。第4の電力段140のターンオンが終了した後、コントローラIC1およびIC2は上記のプロセスを繰り返す(電力段110~140を順次オンにする)。
【0044】
各コントローラICは、IC内の相ターンオンシーケンスを決定するイネーブル信号を提供するENPH12ピンを有する。例えば、ENPH12入力の立ち上がりエッジを使用してPH12LATCH信号を設定し、ENPH34出力を強制的にローにする。PH12LATCH信号により、コントローラICによって制御される第1の相を第1にオンにすることができる。第1の相がオフになった後、PH12LATCH信号により、コントローラICによって制御される第2の相をオンにすることができる。第2の相のターンオンの終了時に、PH12LATCHはリセットされる。
【0045】
要するに、PH12LATCH信号は、ENPH12信号がローからハイに遷移するときに設定される。PH12LATCH信号は、第2の相が終了するまでハイのままである。このような制御方式は、コントローラICでトークンをキャプチャし、このコントローラIC内の2つの相またはすべての相が一度連続してトリガーされるまでトークンを維持することと同等である。
【0046】
さらに、コントローラICがトークンをキャプチャした後、トークンは、所定の手法でコントローラICにより制御される異なる相の間で移転される。例えば、各コントローラIC内の第1の相が、第1にトークンをキャプチャする。キャプチャされたトークンに応答して、図1に示されたPH1ON信号が設定され、それに応じて第1の相がオンになる。第1の相のターンオンが終了した後、トークンは、第1の所定の最小オフ時間(TOFFMIN1)の後に第2の相にリリースされる。第1の相から第2の相に移転されたトークンに応答して、PH1ONがリセットされ、PH2ONが設定され、第1コントローラIC1は第2の相をオンにできる。
【0047】
第2の相の終了後、第2の所定の最小オフ時間(TOFFMIN2)を待って、トークンは次のIC(例えば、第2のコントローラIC2)にリリースされる。このトークンのリリースに応答して、ENPH34出力はハイに設定され、PH12LATCHおよびPH2ON信号は両方とも第2の相の終了時にリセットされる。
【0048】
ENPH12信号の立ち上がりエッジは、第1のコントローラIC1によってトークンをキャプチャするために使用される。このIC内のすべての相は、所定の手法で順番にオンにすることができる。いくつかの実施形態では、トークンをキャプチャした後、第1のコントローラIC1は第1の相をオンにし、次に第2の相をオンにする。第1のコントローラIC1内ですべての相がトリガーされた後、トークンは、第2コントローラIC2のENPH12入力ピンに接続される、第1のコントローラIC1のENPH34出力をハイに設定することにより、第2のコントローラIC2に通される。第2のコントローラIC2がENPH12ピンがハイになることを検出すると、内部信号PH12LOCKをロックし、ENPH34出力を強制的にローにし、これは、第1のコントローラIC1によって検出され、この時点で第2のコントローラIC2は、第1のコントローラIC1によってリリースされていたトークンをキャプチャする。
【0049】
第2のコントローラIC2におけるトークンの移転は、第1のコントローラIC1におけるトークンの移転と同様であり、したがって、本明細書では論じない。上記のトークン移転制御方式により、4つの相を順次起動できる。4つの相のターンオン時間は、ラウンドロビン流儀で発生する。その結果、4相変換器100は、インターリーブ動作を達成することができる。
【0050】
図2は、本開示の様々な実施形態による、図1に示された4相変換器の様々な制御信号およびスイッチングノード波形を示す。図2の横軸は時間間隔を表している。横軸の単位はミリ秒である。9つの縦軸があり得る。
【0051】
第1の縦軸Y1は、ENINPH12信号(第1のコントローラIC1のイネーブル信号)を表す。第2の縦軸Y2は、PH4ON信号(第4の相のイネーブル信号)を表す。第3の縦軸Y3はPH3ON信号(第3の相のイネーブル信号)を表す。第4の縦軸Y4は、EN34LATCH信号(第3の相と第4の相のイネーブル信号)を表す。第5の縦軸Y5は、ENINPH34信号(第2のコントローラIC2のイネーブル信号)を表す。第6の縦軸Y6は、PH2ON信号(第2の相のイネーブル信号)を表す。第7の縦軸Y7は、PH1ON信号(第1の相のイネーブル信号)を表す。第8の縦軸Y8は、EN12LATCH信号(第1の相と第2の相のイネーブル信号)を表す。第9の縦軸Y9は、4つの相のスイッチングノード電圧を表す。
【0052】
t1で、ENINPH12信号は論理ローから論理ハイに遷移する。ENINPH12信号の立ち上がりエッジに応答して、第1のコントローラIC1はトークンを受け取り、EN12LATCH信号が図2に示すように設定される。
【0053】
トークンが第1の相に通され、その制御回路によって第1の相をオンにできる。t2で、第1の相の制御回路はトリガーイベントを生成する。第1の電力段(第1の相の電力段)のハイサイドスイッチは、トリガーイベント(例えば、図1に示すTrig1)に応答して、t2でオンになる。第1の相のスイッチングノード電圧は、第1の電力段のハイサイドスイッチがt2からt3までオンのままであることを示している。第1の電力段のハイサイドスイッチは、t3でオフになる。t3で、トークンが第1の相から第2の相に通される。t3で、第2の相はその制御回路によってオンにできる。
【0054】
t4で、第2の相の制御回路はトリガーイベントを生成する。第2の電力段(第2の相の電力段)のハイサイドスイッチは、トリガーイベントに応答してt4でオンになる。第2の相のスイッチングノード電圧は、第2の電力段のハイサイドスイッチがt4からt5までオンのままであることを示している。第2の電力段のハイサイドスイッチは、t5でオフになる。第1のコントローラによって制御される両方の相がオフにされた後、トークンは、t5で第1のコントローラIC1から第2のコントローラIC2に通される。
【0055】
t5で、第2のコントローラIC2は、第1のコントローラIC1からトークンを受け取る。ENINPH34信号は論理ローから論理ハイに遷移する。ENINPH34信号の立ち上がりエッジに応答して、EN34LATCH信号が図2に示すように設定される。t5で、第3の相はその制御回路によってオンにできる。
【0056】
t6で、第3の相の制御回路はトリガーイベントを生成する。第3の電力段(第3の相の電力段)のハイサイドスイッチは、トリガーイベントに応答してt6でオンになる。第3の相のスイッチングノード電圧は、第3の電力段のハイサイドスイッチがt6からt7までオンのままであることを示している。第3の電力段のハイサイドスイッチは、t7でオフになる。t7で、トークンは第3の相から第4の相に通され、その制御回路によって第4の相をオンにすることができる。
【0057】
t8で、第2の相の制御回路がトリガーイベントを生成する。第4の電力段(第4の相の電力段)のハイサイドスイッチは、トリガーイベントに応答してt8でオンになる。第4の相のスイッチングノード電圧は、第4の電力段のハイサイドスイッチがt8からt9までオンのままであることを示している。第4の電力段のハイサイドスイッチは、t9でオフになる。第2のコントローラによって制御される両方の相がオフにされた後、トークンは、t9で第2のコントローラIC2から第1のコントローラIC1に返される。
【0058】
図2に示すように、トリガーイベントの後、相のハイサイドスイッチは、オンになり、相の制御ループ(オンタイマーなど)がハイサイドスイッチをオフにするまでオンのままになる。ハイサイドスイッチがオフになった後、トークンはリリースされ、所定の最小オフ時間TOFFMIN後に次の相に手渡される。いくつかの実施形態では、所定の最小オフ時間TOFFMINはゼロであり得る。次の相はトークンを受け取り、次に、そのハイサイドスイッチをオンにすることができる。
【0059】
トークンをキャプチャした後、相が有効になる(PHxON/PHxEN=1)。相を有効にしてから、トリガリングイベントが発生した後(TRIGx=1)、相のハイサイドスイッチがオンになる。いくつかの実施形態では、トリガーイベントは、相の比較器によって設定される。特に、比較器は、出力電圧またはフィードバック信号を所定の基準と比較する。代替実施形態では、スイッチングノード信号をフィルタ処理して等価の擬似インダクタ電流情報を導出することにより、トリガリングイベントが設定される。次に、フィルタ処理された信号は、AC結合またはハイパスフィルタ処理され、フィードバック信号に加算されて基準電圧と比較され、各相のトリガー時間を設定する。
【0060】
いくつかの実施形態では、各相は、その相電流を検出するか、ノード情報を切り替えてこれをフィードバック/出力電圧に追加し、それをマスター相からの固定誤差電圧と比較することにより、独立したトリガーイベントを有することができる。代替的に、相電流とフィードバック電圧との組み合わせが、固定されているが共通の基準電圧と比較される。マスター相からの単一誤差または基準電圧と比較すると、出力電圧調整、ならびにすべての相の間の相電流バランスのためのより良い精度を確実にする。
【0061】
図1に戻ると、すべての相に共通の誤差電圧は、マスター相からの出力信号であり、図1でVCOMP1OUTと名付けられている。第1の相の制御ループは、アナログ制御ループで誤差電圧を生成し、この出力をVCOMP1OUTピンを介して他の相に送信する。言い換えると、VCOMP1OUT信号は、図1に示されている多相電力変換器の一部として構成されている他のすべての相で共有される。
【0062】
図2に示されている波形から、4つの相の連続したラウンドロビン動作が達成されている。図2に示されたトークン通過制御方式を有する利点の1つは、多相電力変換器を有する利点を完全に実現するのに役立つ4つの相のインターリーブ動作である。利点には、より低いスイッチング損失、より高い効率、より低い出力リップル電圧、より良い過渡性能、および入力コンデンサのより低いリップル電流定格要件などが含まれる。
【0063】
図3は、本開示の様々な実施形態による、図1に示された4相変換器の波形を示す。図3の横軸は時間間隔を表している。横軸の単位はミリ秒である。2つの縦軸があり得る。第1の縦軸Y1は、4つの相のインダクタを通じて流れる電流を表す。第2の縦軸Y2は、4相変換器の出力電圧を表す。
【0064】
図3は、4相変換器の負荷電流が4つの相に均等に分割されることを示している。加えて、インターリーブ動作により、出力リップル電流が減少することになる。特に、図2に示された4つの相のターンオン時間インスタンスを相シフトすることにより、電力段のインダクタリップル電流は互いに相殺し合う傾向がある。インダクタのリップル電流を相殺すると、出力コンデンサに流れるリップル電流が小さくなることになる。これは、多相変換器のインターリーブ動作により、単相変換器と比較して出力コンデンサのリップル電圧が減少することになる。
【0065】
図4は、本開示の様々な実施形態による、図1に示された4相変換器の様々な過渡応答波形を示す。図4の横軸は時間間隔を表している。横軸の単位はミリ秒である。
【0066】
3つの縦軸があり得る。第1の縦軸Y1は、4相変換器の負荷電流を表し、その電流は4つの相のインダクタを通じて流れる。第2の縦軸Y2は、4つの相のハイサイドスイッチを通じて流れる電流を表す。第3の縦軸Y3は、4相変換器の出力電圧を表す。
【0067】
t1からt2まで、4相変換器の負荷電流は約1Aから約10Aにジャンプする。図4に示すように、負荷過渡に応答して、4相変換器の出力電圧は約7mV低下する。電流波形は、4つの電力段が順番にオンになることを示している。言い換えると、4つの相はインターリーブ手法で動作するため、リップルを低減し、4相電力変換器の過渡応答性能を改善する。
【0068】
図5は、本開示の様々な実施形態による、一定のオン時間制御方式を採用する4相変換器の第2の実装形態の概略図を示す。図5には、図5A図5Bが含まれている。記述全体を通じて、図5A図5Bをまとめて図5と呼ぶ。
【0069】
図5に示す4相変換器は、4つの相の制御回路が単一のコントローラIC1に実装されていることを除いて、図1に示されたものと類似している。さらに、図5に示す制御回路には、2つのIC間で移転されるトークンがない。図1~2に関して上述したトークン移転制御方式を満たすために、単純なカウンタが使用される。
【0070】
図5は、トークン通過カウンタと4つのオン時間および最小オフ時間制御ユニットとを備えたコントローラIC1を示している。トークン通過カウンタは、4つの相のPWM信号(PWM1、PWM2、PWM3、およびPWM4)を受け取り、それぞれ4つの相のトークン(PH1ON、PH2ON、PH3ON、およびPH4ON)を生成する。
【0071】
4つのオン時間および最小オフ時間制御ユニットを採用して、それぞれ4相のPWM信号(PWM1、PWM2、PWM3およびPWM4)を生成する。4つのオン時間および最小オフ時間制御ユニットの動作原理は、図1に示したものと同様であるため、ここでは詳細には論じない。
【0072】
図5に示す各相には、フィードバック制御ユニットが含まれている。簡潔にするため、第1の相(電力段1)のフィードバック制御ユニットのみを以下で詳細に記載する。図5に示すように、第1の相のフィードバック制御ユニットは、電流検出信号Isns1を生成する電流検出アンプを備えている。電流検出信号Isns1は、第1の相のインダクタを流れる電流に比例する。図5に示すように、電流検出アンプの入力は、それぞれスイッチングノードSW1と出力電圧VOUT1に接続されている。
【0073】
フィードバック制御ユニットは、3つの比較器をさらに備える。第1の比較器を使用して、VOUT1とグランド信号GND1を比較する。第2の比較器は、第1の比較器の出力信号と基準信号を比較するために使用される。第2の比較器は、制御信号VCOMP1を生成する。図5に示すように、VCOMP1は4つの相で共有される。第3の比較器を使用して、VCOMP1を、電流検出信号Isns1と出力電圧VOUT1を組み合わせた信号と比較する。第3の比較器の出力は、トリガー信号Trig1として機能する。トリガー信号Trig1は、トークンが第1の相に与えられた後、第1の相のハイサイドスイッチをオンにするために使用される。
【0074】
いくつかの実施形態では、カウンタが開始した後、カウンタはトークンを第1の相(電力段1)に与える。第1の相がトークンを受け取った後、その制御回路によって生成されたトリガーイベントは、第1の相のハイサイドスイッチをオンにする。第1の相のハイサイドスイッチがオフになった後、カウンタはトークンを第1の相から第2の相(電力段2)へ処理する。
【0075】
要するに、カウンタはトークンを第1の相から第4の相までラウンドロビン流儀で手渡す。第4の相の終了時に、カウンタはこのプロセスを繰り返す。
【0076】
相がトークンを受け取ると、その相のトリガーイベントが許可され、トリガーイベントに応答してこの相のハイサイドスイッチがオンになることに留意されたい。一方、トークンが所有されていないときに発生するトリガリングイベントは無視される。
【0077】
一定のオン時間または(オン時間がVout/Vinに比例する)アクティブなオン時間アーキテクチャでは、トリガリングイベントが発生し、トークンがこの相に所有されるたびに、固定オン時間の間、相がオンになる。図5のトリガリングイベントは、誤差電圧VCOMP/VERRを、各相でスイッチングノード信号をフィルタ処理し、これをフィードバック信号(または分圧せずに直接に出力電圧)に加算して取得されるフィルタ処理されたリップル信号の合計と比較する比較器によって設定することもできる。
【0078】
本発明の実施形態およびその利点を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換および改造を行うことができることを理解されたい。
【0079】
さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者が本発明の開示から容易に理解するように、現在存在するかまたは今後開発される、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する、または実質的に同じ結果を達成する、プロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップが本発明に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップをその範囲内に含むことを意図している。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B