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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】高吸収性樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/24 20060101AFI20220823BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20220823BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
C08J3/24 Z CEY
C08L33/02
B01J20/26 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020571554
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2018092326
(87)【国際公開番号】W WO2019241986
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】520496279
【氏名又は名称】山東昊月新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG HAOYUE NEW MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Bucun Sub-district, Zhangqiu District Jinan, Shandong 250215 ,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】楊 志亮
(72)【発明者】
【氏名】楊 昊
(72)【発明者】
【氏名】馬 廷玉
(72)【発明者】
【氏名】楊 陽
(72)【発明者】
【氏名】張 香
(72)【発明者】
【氏名】姚 美芹
(72)【発明者】
【氏名】姚 金水
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103131028(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107501580(CN,A)
【文献】特開2008-247949(JP,A)
【文献】特開2002-035580(JP,A)
【文献】特開2018-021133(JP,A)
【文献】特表2014-507541(JP,A)
【文献】特表2009-522387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0012486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08J 3/00 - 3/28
C08J 99/00
C08C 19/00 - 19/44
C08F 6/00 - 246/00
C08F 301/00
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
A61F 13/15 - 13/84
A61L 15/16
A61L 15/18
A61L 15/20
A61L 15/22
A61L 15/24
A61L 15/26
A61L 15/28
A61L 15/30
A61L 15/32
A61L 15/34
A61L 15/36
A61L 15/38
A61L 15/40
A61L 15/42
A61L 15/44
A61L 15/46
A61L 15/48
A61L 15/50
A61L 15/52
A61L 15/54
A61L 15/56
A61L 15/58
A61L 15/60
A61L 15/62
A61L 15/64
B01J 20/00 - 20/28
B01J 20/30 - 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸収性樹脂の製造方法であって、
表面分散剤であるメタノール、エタノール又はアセトンを秤量するステップ(1)と、
多価金属塩、好ましくはアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩又は亜鉛塩、より好ましくはアルミニウム塩を秤量し、溶液Aを調製するステップ(2)と、
エポキシ基含有化合物を秤量し、溶液Bを調製するステップ(3)と、
表面分散剤、溶液A、溶液B及びポリアクリル酸ナトリウム樹脂を混合するステップ(4)と、
架橋反応を行い、漸次的に変化する層構造を有する表面改質されたポリアクリル酸ナトリウム高吸収性樹脂を得るステップ(5)と、
を含み、
ステップ(4)において、
表面分散剤及び溶液Bをポリアクリル酸ナトリウム樹脂と均一に混合した後、溶液Aを得られた混合物と均一に混合する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の粒径は120μm-830μm、より好ましくは150μm-380μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面分散剤は、メタノール又はエタノールであり、
表面分散剤とポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は(1-15):100、好ましくは(1-10):100、より好ましくは(1-5):100である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溶液Aのアルミニウム塩は、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム及びミョウバンから選択され、好ましくは硫酸アルミニウム又は硫酸アルミニウムアンモニウムであり、
溶液Aの溶媒は、水、アセトン及びポリオールから選択され、好ましくは水及び/又はグリセロールであり、グリセロールと水との質量比は(0-0.7):1であり、
溶液Aにおけるアルミニウム塩の質量濃度は3%-25%、好ましくは10%-25%、より好ましくは10%-20%であり、
アルミニウム塩とポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は(0.010-0.050):1、好ましくは(0.025-0.030):1である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
溶液Bのエポキシ基含有化合物は、エポキシ樹脂、エピクロロヒドリン、プロピレンオキシド、グリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル及びエチレングリコールジグリシジルエーテルから選択され、好ましくはエピクロロヒドリン、グリシジルエーテル又はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルであり、
溶液Bの溶媒は、アルコール及びケトンから選択され、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はブタノン、より好ましくはエタノール又はメタノールであり、
溶液Bにおけるエポキシ基含有化合物の質量濃度は10%-25%であり、
エポキシ基含有化合物とポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は、(0.001-0.006):1、好ましくは(0.002-0.004):1、より好ましくは0.003:1である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
まず、表面分散剤と溶液Bを混合し、室温でポリアクリル酸ナトリウム樹脂と均一に混合し、混合物を得、
次に、溶液Aを60-100℃、好ましくは60-80℃に加熱し、前記温度で前記のように得られた混合物と均一に混合する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(5)において、架橋反応の温度は50-200℃、好ましくは80-185℃、より好ましくは120-140℃であり、時間は20-210min、好ましくは25mim-120min、より好ましくは30-90minである、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
検出媒体としてヒト血液を使用する場合、ISO 19699-1:2017(E)に準拠して測定したヒト血液吸収量は≧8.0g/g、好ましくは≧8.3g/g、より好ましくは≧8.6g/gであり、ヒト血液吸収速度は≦45s、好ましくは≦40s、より好ましくは≦35s、最も好ましくは≦25sである、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
検出媒体として模擬血液を使用する場合、ISO 19699-1:2017(E)に準拠して測定した模擬血液吸収量は≧18.0g/g、好ましくは≧18.5g/gであり、模擬血液吸収速度は≦45s、好ましくは≦40s、より好ましくは≦38sである、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アクリル酸換算で、モノマー残留量は≦1000mg/kg、好ましくは≦800mg/kgであり、
揮発性物質の含有量は≦10.0%であり、
pH値は5.0-8.0であり、
粒度分布では、粒径が<150μmの試料の含有量は≦5wt%であり、粒径が<106μmの試料の含有量は1wt%であり、
嵩密度は0.65g/cm-0.80g/cmであり、及び/又は
GB/T22427.6-2008に準拠して測定した白色度は≧70%である、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
求項1から10のいずれか1項に記載の方法により製造された吸収性樹脂を吸収性製品に使用する方法
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法により製造された高吸収性樹脂をナプキン及び/又は医療用血液吸収製品に使用する方法
【請求項13】
血液吸収における請求項1から10のいずれか1項に記載の方法により製造された高吸収性樹脂の使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高吸収性樹脂及びその製造方法に関する。具体的には、漸次的に変化する層構造を有する血液吸収用高吸収性樹脂に関し、特に、ポリアクリル酸ナトリウム高吸収性樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸収性樹脂、特にポリアクリル酸ナトリウム高吸収性樹脂は、その優れた吸水性及び吸液性により、衛生用品、例えば、ナプキン、おむつに幅広く使用されており、また、農業、工業、建設、医学、軽工業、化学工業などの分野においても広く使用されている。
【0003】
高吸収性樹脂は、一般的に体液などと接触するときに比較的高い吸収率、優れた吸収速度、液体浸透性及びゲル強度を有することが要求されている。従来の粒状吸水性樹脂は、水溶液に接触した後、表面がブロッキングしやすいので粒状ポリマーがブロックになることがあり、「フィッシュアイ」が形成されやすい。即ち、いわゆるゲルブロッキング効果が発生することで、水分子のさらなる浸入が阻害され、樹脂が吸水性能を発揮するのに不利であり、その吸水率及び吸水速度などに影響を与える。上記の粒状吸水性樹脂は、そのゲル強度が不十分で、使用のニーズを満たすことができないという欠点も有する。上記の問題を解決するために、表面架橋技術を含む様々な方法を採用して吸水性樹脂の性能を改善している。このような方法では、吸水性樹脂の表面を化学処理することで吸水速度を向上させ、ゲル強度が低いなどの欠点を克服することにより、その使用価値を向上させている。
【0004】
例えば、米国特許US4051086には、アルコール系物質を分散剤とし、グリオキサールを架橋剤として表面処理することにより、樹脂の吸水速度及びゲル強度を明らかに向上できることが開示されている。しかし、アルデヒド系物質は環境に優しくなく、特に人間の衛生製品に適用することは困難である。欧州特許EP91302895.7には、吸水性樹脂を高速撹拌機に入れ、ポリオール系架橋剤で調製した処理液を吸水性樹脂の表面にスプレーし、撹拌した後、オーブンに入れて加熱して架橋反応を行うことが開示されている。この方法では、吸水速度は大幅に向上するが、高価な設備が必要である。日本特許JP7242709には、後処理液を親水性溶媒に溶解し、熱気流となるように加熱し、熱気流を加熱状態の樹脂粉末を通過させてその表面と反応させることが開示されている。この方法では、吸水率は著しく向上するが、処理プロセスが複雑で、操作しにくい。さらに、上記の特許文献に開示された技術では、いずれも単一の架橋成分を含む処理液により表面架橋を行う方法が採用されるため、形成された架橋層は単一であり、上記の問題を効果的に解決するのは困難である。
【0005】
さらに、中国特許CN1696181Aには、ポリオール又はエポキシ系化合物により化学架橋を行い、多価金属塩により配位架橋を行うことによりポリアクリル酸ナトリウム樹脂を処理することが開示されている。この方法では、比較的高い効果が得られるが、この2種類の架橋方法には適合性の問題がある。その結果、この2種類の架橋方法は単に物理的に組み合わせるだけで、必要な構造設計が行われていないため、総合的な性能が十分ではなく、ゲル強度、吸水率及び吸水速度などの性能指標が同時に改善されることを保証するのは困難である。
【0006】
最も重要なのは、上記のような高吸収性樹脂は通常比較的高い吸水性能を有するだけで、これらの樹脂が、例えば、ナプキン、手術中の血液吸収などの血液を吸収する必要がある場合に使用するときに、吸収速度や吸収量の点で血液吸収性能に対する要件を満たすことができないことである。その理由は、上記樹脂が血液中の水分しか効果的に吸収できないためである。血液中の水分が吸収された後、他の物質が凝固しやすいことにより、快適性などの体験が大幅に低下し、吸収速度、吸収量なども血液吸収性能に対する要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【0007】
上記の技術的問題を解決するために、本発明者らは、有機架橋と無機架橋とを組み合わせて表面改質を行うことにより、上記樹脂が漸次的に変化する層構造を有し、優れた血液吸収性能が達成されるとともに、高いゲル強度などの性能を有する新しい高吸収性樹脂を開発した。
【0008】
第1態様では、本発明によれば、検出媒体として模擬血液を使用する場合、ISO19699-1:2017(E)に準拠して測定した模擬血液吸収量が≧18.0g/g、好ましくは≧18.5g/gであり、模擬血液吸収速度が≦45s、好ましくは≦40s、より好ましくは≦38sである吸収性樹脂が提供される。
【0009】
検出媒体としてヒト血液を使用する場合、ISO 19699-1:2017(E)に準拠して測定したヒト血液吸収量が≧8.0g/g、好ましくは≧8.3g/g、より好ましくは≧8.6g/gであり、ヒト血液吸収速度が≦45s、好ましくは≦40s、より好ましくは≦35s、最も好ましくは≦25sである。
【0010】
上記の第1態様に対して、好ましい実施形態において、上記の高吸収性樹脂は、アクリル酸換算で、モノマー残留量が≦1000mg/kgであり、揮発性物質の含有量が≦10.0%であり、pH値が5.0-8.0であり、粒度分布では粒径が<150μmの試料の含有量が≦5wt%であり、粒径が<106μmの試料の含有量が≦1wt%であり、嵩密度が0.65g/cm-0.80g/cmであり、及び/又は白色度が≧70%である。
【0011】
好ましい実施形態において、上記の高吸収性樹脂は、表面改質されたポリアクリル酸ナトリウム樹脂である。
【0012】
第2態様では、本発明によれば、
表面分散剤を秤量するステップ(1)と、
多価金属塩、好ましくはアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩又は亜鉛塩、より好ましくはアルミニウム塩を秤量し、溶液Aを調製するステップ(2)と、
【0013】
エポキシ基含有化合物を秤量し、溶液Bを調製するステップ(3)と、
表面分散剤、溶液A、溶液B及びポリアクリル酸ナトリウム樹脂を混合するステップ(4)と、
架橋反応を行い、漸次的に変化する層構造を有する表面改質されたポリアクリル酸ナトリウム高吸収性樹脂を得るステップ(5)と、を含む高吸収性樹脂の製造方法が提供される。
【0014】
ポリアクリル酸ナトリウム樹脂は、表面改質されておらず、内部架橋構造を有する吸収性樹脂である。ポリアクリル酸ナトリウム高吸収性樹脂は、本発明の表面改質(表面架橋)された高吸収性樹脂である。本発明で使用されるポリアクリル酸ナトリウム樹脂は、粒径が好ましくは120μm-830μm、より好ましくは150μm-380μmである。
【0015】
好ましい実施形態において、表面分散剤は、メタノール、エタノール、アセトン又はヒュームドシリカから選択され、好ましくはメタノール又はエタノールである。表面分散剤とポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は(1-15):100、好ましくは(1-10):100、より好ましくは(1-5):100である。
【0016】
好ましい実施形態において、溶液Aのアルミニウム塩は、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム及びミョウバンから選択され、好ましくは硫酸アルミニウム又は硫酸アルミニウムアンモニウムである。溶液Aの溶媒は、水、アセトン及びポリオールから選択される。好ましくは、水及び/又はグリセロールから選択され、グリセロールと水との質量比は(0-0.7):1である。溶液A中のアルミニウム塩の質量濃度は3%-25%、好ましくは8%-25%、より好ましくは10%-20%である。アルミニウム塩とポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は(0.010-0.050):1、好ましくは(0.025-0.030):1である。
【0017】
アルミニウム塩の作用は、樹脂の表面に配位架橋を形成することである。用量が少なすぎると、架橋層が緩くなりすぎるので、架橋改質の効果が達成されない。用量が多すぎると、架橋層が緻密になりすぎ、孔径が小さくなるので、吸収量が低下し、吸収速度が遅くなる。
【0018】
好ましい実施形態において、溶液Bのエポキシ基含有化合物は、エポキシ樹脂、エピクロロヒドリン、プロピレンオキシド、グリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル及びエチレングリコールジグリシジルエーテルから選択され、好ましくはエピクロロヒドリン、グリシジルエーテル又はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルである。溶液Bの溶媒は、アルコール及びケトンから選択され、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はブタノンであり、より好ましくはエタノール又はメタノールである。溶液B中のエポキシ基含有化合物の質量濃度は10%-25%である。エポキシ基含有化合物とポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は(0.001-0.006):1、好ましくは(0.002-0.004):1、より好ましくは0.003:1である。
【0019】
溶液B中のエポキシ基含有化合物の含有量は、樹脂高密度架橋層の含有量及び孔径のサイズを決定する。含有量が少なすぎると、架橋層が緩く、ゲル強度が保証されない。用量が多すぎると、架橋層は緻密になりすぎ、ゲル強度が向上するが、収量及び吸収速度が大幅に低下する。
【0020】
溶液A中のアルミニウム塩と、溶液Bエポキシ基含有化合物と、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は、溶液A中のアルミニウム塩の質量濃度、溶液B中のエポキシ基含有化合物の質量濃度と同様に重要であり、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の表面に架橋密度が適切で漸次的に変化する層構造を形成し、樹脂が優れた総合的な性能を有することを保証するためのものである。
【0021】
好ましい実施形態において、ステップ(4)では、表面分散剤、溶液A及び溶液Bを均一に混合した後、さらにポリアクリル酸ナトリウム樹脂と混合し、又は表面分散剤、溶液A及び溶液Bをこの順でポリアクリル酸ナトリウム樹脂と混合し、又は表面分散剤、溶液B及び溶液Aをこの順でポリアクリル酸ナトリウム樹脂と混合し、又は表面分散剤及び溶液Bをポリアクリル酸ナトリウム樹脂と均一に混合した後、溶液Aを得られた混合物と均一に混合する。好ましくは、まず、表面分散剤と溶液Bとを混合し、室温でポリアクリル酸ナトリウム樹脂と均一に混合し、次に、溶液Aを60-100℃、好ましくは60-80℃に加熱し、上記温度で上記のように得られた混合物と均一に混合する。
【0022】
好ましい実施形態において、ステップ(5)における架橋反応の温度は50-200℃、好ましくは80-185℃、より好ましくは120-140℃であり、時間は20-210min、好ましくは25mim-120min、より好ましくは30-90minである。なお、手動で加熱設備へ材料を出し入れする場合、この操作時間は上記の時間範囲に含まれない。連続自動化生産設備で加熱する場合、加熱設備への材料の自動投入及び排出の時間は上記の時間範囲に含まれない。
【0023】
第3態様では、本発明によれば、本発明の高吸収性樹脂を含む高吸収性製品が提供される。
【0024】
好ましい実施形態において、上記製品は、例えば、ナプキン、医療用血液吸収製品などである。
【0025】
第4態様では、本発明によれば、血液吸収における上記製品の使用が提供される。
【0026】
本発明では、高吸水性樹脂の表面が改質された有機架橋と無機架橋とを組み合わせるが、この組み合わせは単なる物理的組み合わせではなく、新規な「有機的」組み合わせである。本発明では、A処理液とB処理液の2種類の改質液を順に高吸水性樹脂にスプレーする。A改質液は主に無機配位架橋を引き起こす。この架橋の密度は比較的小さいので、比較的「柔らかい」架橋層を形成することができる。一方、B改質液は化学的架橋を引き起こしやすいエポキシ化合物であり、このような架橋により架橋密度が比較的高く、比較的「硬い」架橋層を形成することができる。A処理液とB処理液をそれぞれスプレーした後、2つの架橋反応が完全に進行するように一緒に一定時間の熱処理を行う。このような材料供給プロセス及び後処理プロセスの巧妙な設計により、この2種類の架橋層には内側と外側の順序があり、即ち、比較的緻密な架橋層がコア層であることにより、樹脂のゲル強度が保証され、比較的緩い架橋層がシェル層であることにより、吸水チャンネルが保証され、また、吸水速度も保証される。また、多段階処理プロセスを採用することにより、この2層の分布は、拡散作用により完全に独立した2層構造ではなく漸次的に変化する層構造となることによって、吸水速度とゲル強度の完璧な組み合わせが達成される。同時に、このような漸次的に変化する層構造の形成により、血液中のタンパク質などの高分子はそのミクロなチャンネルを通過して水分及び他の低分子と共に樹脂内部に浸入することによって、優れた血液吸収性能が保証される。吸収速度が速く、ゲル強度及び粘稠液体に対する吸収率が非常に高い。
【0027】
以上のことから、本発明は従来技術の利点を組み合わせたものであり、プロセスがより簡単で、操作しやすく、特殊な処理設備は必要ないのでコストが大幅に削減される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例をさらに説明する。各実施例は、本発明を説明するための例示的及び/又は好適な実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。当業者は、本発明の思想及び本質から逸脱しない限り、本明細書の説明及び以下の実施例の内容に基づいて様々な改良及び変形を行うことができる。従って、本発明の範囲は、各請求項の保護範囲のみにより限定される。
【0029】
実施例1
(1)メタノールとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比が1:20であるようにメタノールを秤量した。
【0030】
(2)硫酸アルミニウムを秤量し、質量濃度が25%の水溶液Aを調製した。溶液A中の硫酸アルミニウムとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は0.025:1であった。
【0031】
(3)ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを秤量し、質量濃度が20%のエタノール溶液Bを調製した。溶液B中のポリエチレングリコールジグリシジルエーテルとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比は0.0030:1であった。
【0032】
(4)まず、メタノールと溶液Bとを均一に混合し、次に、室温でポリアクリル酸ナトリウム樹脂と均一に混合し、さらに溶液Aを60℃に加熱し、60℃で上記の混合物と均一に混合した。
【0033】
(5)ステップ(4)で処理した樹脂をトレイに入れ、オーブンに入れ、反応温度120℃、反応時間90分間の条件下で架橋反応させ、本発明の表面改質された高吸収性樹脂を得た。
【0034】
実施例2
実施例1の溶液Aの濃度を20%、溶液Bの濃度を25%に変更した以外、実施例1と同様である。
【0035】
実施例3
実施例1の溶液Aを質量濃度が25%のアンモニウムミョウバン(硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物)水溶液に変更し、反応温度140℃、反応時間60分間の条件下でオーブンにおいて架橋反応させた以外、実施例1と同様である。
【0036】
実施例4
実施例2の溶液Aを質量濃度が20%のアンモニウムミョウバン(硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物)水溶液に変更し、反応温度140℃、反応時間60分間の条件下でオーブンにおいて架橋反応させた以外、実施例2と同様である。
【0037】
実施例5
実施例4の溶液Aをアンモニウムミョウバン(硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物)が水及びグリセロールに溶解した溶液(質量濃度は11%、グリセロールと水との質量比は1:6)変更し、反応温度140℃、反応時間50分間の条件下でオーブンにおいて架橋反応させた以外、実施例4と同様である。
【0038】
実施例6
実施例1のメタノールとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比を1:50に変更し、溶液Bをエピクロロヒドリン質量濃度が25%のエタノール溶液に変更し、溶液Aの溶媒をグリセロール及び水(質量比は3:5)に変更した以外、実施例1と同様である。
【0039】
実施例7
実施例6の溶液Aをアンモニウムミョウバン(硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物)がグリセロールに溶解した溶液(質量濃度は11%、グリセロールと水との質量比は1:6)に変更し、反応温度140℃、反応時間50分間の条件下でオーブンにおいて架橋反応させた以外、実施例6と同様である。
【0040】
実施例8
実施例7の界面活性剤をエタノールに変更し、エタノールとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比を3:100に変更した以外、実施例7と同様である。
【0041】
実施例9
実施例1におけるメタノール、溶液A、溶液Bを混合した後、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と混合して均一に撹拌し、溶液Aをミョウバン水溶液に変更し、メタノールとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比を1:10に変更した以外、実施例1と同様である。
【0042】
実施例10
実施例1におけるメタノール、溶液B、溶液Aをこの順でポリアクリル酸ナトリウム樹脂と混合して均一に撹拌し、溶液Aを硝酸アルミニウムの水溶液に変更した以外、実施例1と同様である。
【0043】
実施例11
実施例3におけるメタノール、溶液A、溶液Bを混合した後、さらにポリアクリル酸ナトリウム樹脂と混合して均一に撹拌し、溶液Bのエポキシ基含有化合物をグリシジルエーテルに変更し、グリシジルエーテルとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比を0.0060:1に変更した以外、実施例3と同様である。
【0044】
実施例12
実施例3におけるメタノール、溶液B、溶液Aをこの順でポリアクリル酸ナトリウム樹脂と混合して均一に撹拌した以外、実施例3と同様である。
【0045】
実施例13
実施例1におけるメタノールとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比を3:20に変更し、反応温度を185℃に変更し、反応時間を20分間に変更し、溶液Bをエピクロロヒドリンのメタノール溶液に変更し、質量濃度を10%に変更し、プロピレンオキシドとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との比を0.0010:1に変更した以外、実施例1と同様である。
【0046】
実施例14
実施例1の溶液Aの硫酸アルミニウム質量濃度を10%に変更し、硫酸アルミニウムとポリアクリル酸ナトリウム樹脂との質量比を0.010:1に変更した以外、実施例1と同様である。
【0047】
実施例15
実施例3の溶液Aのアンモニウムミョウバン質量濃度を3%に変更し、アンモニウムミョウバンとポリアクリル酸樹脂との質量比を0.045:1に変更した以外、実施例3と同様である。
【0048】
実施例16
実施例1の溶液Aの加熱温度を80℃に変更し、ステップ(5)の加熱温度を80℃に変更し、時間を180分間に変更した以外、実施例1と同様である。
【0049】
比較例1
具体的なプロセスは、CN1696181Aに従って行った。手順は以下の通りである。
【0050】
1)処理液Aの調製
アセトンを分散剤、エピクロロヒドリンを架橋剤、DMP-30を架橋促進剤とし、分散剤、架橋剤、架橋促進剤をガラス容器に入れて撹拌し、処理液Aを調製した。エピクロロヒドリンの質量濃度は12%であった。
【0051】
2)処理液Bの調製
脱イオン水をガラス容器に入れ、90℃に加熱し、硫酸アルミニウム塩及び第2架橋剤であるグリセリンを秤量し、上記の脱イオン水に加えて撹拌し、処理液Bを調製した。硫酸アルミニウムの質量濃度は15%であった。
【0052】
3)処理液による樹脂の処理
60kgポリアクリル酸ナトリウム樹脂を秤量し、300rpm撹拌器に入れ、撹拌しながら処理液A、処理液Bを順に吸水性樹脂の表面にスプレーし、その後、樹脂をトレイに入れ、オーブンに入れ、反応温度120℃、反応時間100分間の条件下で加熱して架橋反応させ、ポリアクリル酸ナトリウム樹脂の表面改質を完了させた。
【0053】
以下、実施例1-16で調製した本発明の高吸収性樹脂及び比較例1で調製したポリアクリル酸ナトリウム樹脂の諸性能/指標及び測定方法を詳しく説明する。
【0054】
1、血液吸収量、血液吸収速度及びゲル強度
検出媒体として、それぞれヒト血液及び模擬血液を使用して本発明の高吸収性樹脂の血液吸収量及び血液吸収速度を測定した。
【0055】
ヒト血液は病院から購入した。ISO 19699-1:2017(E)に記載の測定方法によりその血液吸収量及び血液吸収速度を測定した(ISO 19699-1:2017(E)に記載の測定方法における模擬血液をヒト血液に変更して測定した)。具体的な方法は以下の通りである。
【0056】
模擬血液は、ISO 19699-1:2017(E)に記載の方法に従って調製し、ISO 19699-1:2017(E)に記載の血液吸収量、血液吸収速度の測定方法により測定した。具体的な方法は以下の通りである。
【0057】
ヒト血液の物理的特性
測定した結果、本発明で使用されるヒト血液のパラメータは以下の通りである。
【0058】
【0059】
模擬血液の調製方法
A.1原理
この模擬血液は、ヒト血液の主な物理的特性に従って調製し、ヒト血液と類似の流動及び粘度特性を有し、ヒト血液の特性を良好に模擬することができる。
【0060】
A.2処方
特に指定しない限り、以下の試薬は、化学的に純粋であるとマークされた試薬のみを使用できる。模擬血液の化学成分は以下の物質を含む。
【0061】
【0062】
A.3模擬血液の物理的特性
(23±1)℃で、模擬血液は下表の要件を満たす。
【0063】
【0064】
A.4調製方法
A.4.1 分析天びんで10.00gの塩化ナトリウム、40.00gの炭酸ナトリウム、1.00gの安息香酸ナトリウム、5.00gのカルボキシメチルセルロースナトリウムを秤量し、順に2000mLのビーカーに入れた。
A.4.2 250mlのメスシリンダーで140.00mlのグリセロールを秤量してA.4.1のビーカーに入れ、分析天びんで860gの脱イオン水を秤量してA.4.1のビーカーに入れ、均一に撹拌した。
A.4.3 500mlのメスシリンダーで毎回300mlのA.4.2の混合液を秤量し、撹拌器に入れ、スイッチオンすると同時にストップウォッチで計時を開始し、7min撹拌した後、スイッチオフし、この混合液を注ぎ出し、この方法で残りの混合液を撹拌した。
A.4.4 A.4.3で撹拌した混合液をA.4.3の方法で再度撹拌器で1回撹拌し、その後、撹拌後の液体に、
標準媒体10.0ml及び青色色素0.05mlを加え、均一に撹拌し、24h静置した後、使用可能となった。
【0065】
模擬血液吸収量の測定方法
B.1一般原則
模擬血液を用いて重量法により血液吸収用高吸収性樹脂の特定時間内の吸液量を測定した。
【0066】
B.2試薬
B.2.1模擬血液
模擬血液は、上記の方法により調製した。
【0067】
B.3機器
B.3.1分析天びん:秤量範囲100g、最小表示0.0001g。
B.3.2ナイロンティーバッグ:サイズ100mm×150mm、孔径が300メッシュのナイロン濾布で作製されたバッグ、基本重量58g/m
B.3.3ガラスビーカー:容量2000ml。
B.3.4タイマー:タイミング範囲60min、精度0.1s。
B.3.5クリップワイヤ、クリップ付きの乾燥ラック。
B.3.6温度計:測定範囲100℃。
【0068】
B.4サンプリング
大きな包装袋又は大きな容器から採取したサンプルが代表的であることを確実にするために、最上層(約20cm)を除去する必要がある。スプーンで試料を500g採取し、採取後3min以内に適切な密閉容器に入れた。
【0069】
サンプルを測定する前に、サンプルを密閉容器に入れ、実験室の環境温度と平衡に到達させる。推奨試験条件は、ISO291を参照されたい。上記の条件を満たさない場合、温度及び相対湿度を記録する必要がある。
【0070】
B.5測定手順
B.5.1 0.0001gの精度で(1.000±0.005)gの試料を秤量し、この試料の質量をmとし、全ての試料をティーバッグ(4.8.3.2)に注ぎ、ティーバッグの底部に広げ(ティーバッグの内側に付着した試料も全てティーバッグの底部に注ぐ必要がある)、ティーバッグの開口縁に沿って約3-5cm熱縫合した。
B.5.2 ガラスビーカー(4.8.3.3)に1800mLの模擬血液(4.8.2.1)を入れ、液体がティーバッグを浸漬して2.0cm超えるように、ティーバッグを番号順に模擬血液が入ったビーカーに入れると同時に、ストップウォッチを押して時間を計った。(各ビーカーには多くとも2群、即ち4つのティーバッグを入れる)。
B.5.3 30min後、ティーバッグの番号順に取り出し、ティーバッグの左上隅を下へ約1/2折り、クリップで約45°傾斜するように乾燥ラックに引っ掛けた。
B.5.4 10min引っ掛けた後、引っ掛けの順で取り外して重量を計り、質量をmとした。複数のサンプルを同時に測定するときに、互いに接触させてはならない。
B.5.5 上記の方法に従って、試料を入れずに、上記使用されたティーバッグに対してブランク値を測定し、ブランクティーバッグが液体を吸収した後の質量をmとした。
【0071】
B.6測定結果
模擬血液吸収量は式(4)に従って計算する。
【0072】
式中、
m:サンプルの模擬血液吸収量(単位はグラム/グラム(g/g)である)
:試料が入ったティーバッグの液体吸収後の質量(単位はグラム(g)である)
:ブランク試験のティーバッグの質量(単位はグラム(g)である)
:秤量された試料の質量(単位はグラム(g)である)
2回の測定を同時に行い、算術平均値を測定結果とし、結果を小数点以下1桁に丸めた。
【0073】
模擬血液吸収速度の測定方法:
C.1一般原則
模擬血液において、液体非流動法により模擬血液を吸収する速度、1gのポリアクリル酸ナトリウム樹脂が5.0mlの模擬血液を吸収するのに必要な時間を測定した。
【0074】
C.2試薬
C.2.1模擬血液:上述の方法に従って調製した。
【0075】
C.3機器
C.3.1分析天びん:秤量範囲100g、精度0.0001g。
C.3.2ガラスビーカー:容量100mL。
C.3.3ガラスメスシリンダー:容量5.0mLのA型又はB型(実験室ガラス製品)(精度0.1ml)。
C.3.4タイマー:タイミング範囲60min、精度0.1s。
【0076】
C.4サンプリング
10gを超えるサンプルを取り扱う場合は、適切な防護用品、例えば、防塵マスク又はヒュームフードを使用しなければならない。
【0077】
大きな包装袋又は大きな容器から採取したサンプルが代表的であることを確実にするために、最上層(約20cm)を除去する必要がある。スプーンで試料を1000g採取し、採取後3min以内に適切な密閉容器に入れた。
【0078】
サンプルを測定する前に、サンプルを密閉容器に入れ、実験室の環境温度と平衡に到達させる。推奨試験条件は、温度(23±1)℃、相対湿度(50±10)%(ISO 291,classII)である。
【0079】
C.5測定手順
以下のプロセスに従って少なくとも2回測定した。
C.5.1 分析天びん(C.3.1)を用いて0.001gの精度で(1.000±0.005)gの試料を秤量し、ビーカー(C.3.2)に入れた。
C.5.2 試料がビーカーの底部に均一に広がるようにビーカーを手で振るか又は軽く叩いた。
C.5.3 メスシリンダー(C.3.3)用いて(23±1)℃の模擬血液(C.2.1)を5.0mL取った。(C.5.2)のビーカーの底部中心に入れる(入れるときに液体がビーカーの内壁に飛び散らないように速度を制御する)と同時に、計時を開始した。
C.5.4 ビーカー内の液体が流動性を失ったときに、ストップウォッチを停止させ、経過時間tを記録した。
【0080】
完全吸収を判断する方法の一つは、ビーカーを僅かに傾斜させ、液体が流動するか否かを観察することである。
【0081】
C.6結果
模擬血液の吸収速度の測定値に基づいて算術平均値を計算し、秒で表される整数に丸める。
【0082】
模擬血液の吸収速度は、1gSAPで5.0mlの模擬血液を完全に吸収するのに経過時間で計算されたものである。
【0083】
ゲル強度は、朱友良らによって発表された文献(朱友良、吾国強、シェル/コア構造を有する吸水性樹脂の合成、プラスチック、2005,34(1):23-26)に記載の方法に従って測定したものである。測定結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1のデータから明らかなように、本発明の高吸収性樹脂は、検出媒体として模擬血液又はヒト血液を使用して測定するいずれの場合においても、優れた吸収性能及びゲル強度を有する。血液吸収量は比較例よりも明らかに高く、血液吸収速度は比較例よりも遥かに速い。
【0086】
2、モノマー残留量
GB/T20405.2-2006に準拠して測定した結果、本発明の実施例1-8の高吸収性樹脂のモノマー残留量(アクリル酸換算)は≦800mg/kgであり、本発明の実施例9-16の高吸収性樹脂のモノマー残留量(アクリル酸換算)は≦1000mg/kgであった。
【0087】
3、揮発性物質の含有量
GB/T20405.4-2006に準拠して測定した結果、本発明の実施例1-16の高吸収性樹脂の揮発性物質の含有量は≦10.0%であった。
【0088】
4、pH値
GB/T20405.1-2006に準拠して測定した結果、本発明の実施例1-16の高吸収性樹脂のpH値は≧5.0かつ≦8.0であった。
【0089】
5、粒度分布
測定方法は以下の通りである。
【0090】
5.1総則
一連の標準篩により、定量の高吸収性樹脂を複数の特定の粒径成分に分ける。各成分を秤量し、総量に対する百分率で報告する。
【0091】
5.2機器
5.2.1 分析天びん:秤量範囲1000g、精度0.01g。
5.2.2 ビーカー:ガラス又はプラスチック製、容量250mL。
5.2.3 振動篩機:Retsch VE1000型及び同等型。3つの直径が200mmの標準篩が搭載可能であり、底部収集盤及び上蓋を備え、静電気を防ぐために接地する。
5.2.4 標準篩:直径φ200mmのステンレス鋼篩;孔径45μm、106μm、150μm;底部収集盤及び上蓋を備える。
5.2.5 ブラシ:キャメルヘア製。標準篩を清掃するためのものである。
5.2.6 ストップウォッチ:測定範囲60min、精度0.1s。
【0092】
5.3サンプリング
警告:10gを超えるサンプルを取り扱う場合は、適切な防護用品、例えば、防塵マスク又はヒュームフードを使用しなければならない。
【0093】
大きな包装袋又は大きな容器から採取したサンプルが代表的であることを確実にするために、最上層(約20cm)を除去する必要がある。スプーンで試料を取り、採取後3min以内に適切な密閉容器に入れた。
【0094】
サンプルを測定する前に、サンプルを密閉容器に入れ、実験室の環境温度と平衡に到達させる。推奨試験条件は、温度(23±2)℃、相対湿度(50±10)%である。上記の条件を満たさない場合、温度及び相対湿度を記録する必要がある。
【0095】
試料を容器から取り出して測定する前に、試料が均一となるように容器を3~5回振って、次に、5min静置した後、蓋を開けて試料を取り出した。
【0096】
5.4手順
5.4.1 篩が乾いていること確認する。光照射により各篩に対して破損しているか及び清潔であるか検査する。篩が損傷している場合、交換する。ブラシで篩上の残留粒子を除去する。
5.4.2 底板と篩を標準振動機に、底板から、45μm、106μm、150μmの下から上順に置いた。
5.4.3 (100±0.01)gの高吸収性樹脂の試料を秤量し、mと記録し、ビーカーに入れた。
5.4.4 5.4.3のビーカー中の試料を全て上部篩に入れた。
5.4.5 上蓋をした後、標準振動篩機の説明書に従って密封した。
5.4.6 静電気を防ぐために、機器が接地されていることを確認した。
5.4.7 以下の条件で振動篩機を設定した。
強度:(70±2)%(Retsch VE1000型)。
振幅:1.0mm。
震盪時間:10min。
【0097】
5.4.8 振動篩機を起動した。10min震盪した後、106μm篩に残留した試料の質量を計り、mと記録し、45μm篩に残留した試料の質量を計り、mと記録し、底板に残留した試料の質量を計り、mと記録した。
【0098】
5.5計算
各部分の百分率は下式に従って計算する。
150μm篩以下の試料の含有量:X=[(m+m+m)/m]*100%
106μm篩以下の試料の含有量:X=[(m+m)/m]*100%
45μm篩以下の試料の含有量:X=[m/m]*100%
式中、
:150μm篩以下の試料の含有量(%で表される)。
:106μm篩に残留した試料の質量(gで表される)。
:45μm篩に残留した試料の質量(gで表される)。
:底板に残留した試料の質量(gで表される)。
:試料の総質量(gで表される)。
:06μm篩以下の試料の含有量(%で表される)。
:45μm篩以下の試料の含有量(%で表される)。
【0099】
2回の測定を同時に行い、算術平均値を測定結果とし、結果を小数点以下1桁に丸めた。
【0100】
測定した結果、本発明の実施例1-16の高吸収性樹脂の粒度分布は≦5%(粒径<150μmの試料の含有量)、かつ≦1%(粒径<106μmの試料の含有量)であった。
【0101】
6、嵩密度
ISO17190-9に準拠して測定した結果、本発明の実施例1-16の高吸収性樹脂の嵩密度は≧0.65g/cmかつ≦0.80g/cmであった。
【0102】
7、白色度
GB/T22427.6-2008に準拠して測定した結果、本発明の実施例1-16の高吸収性樹脂の白色度は≧70%であった。
【0103】
上記の実施例は明確に説明するためのものに過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者は、上記の説明に基づいて他の変化又は変更を行うことができる。ここでは、全ての実施形態を例示する必要はない。本明細書の内容から派生した自明な変化又は変更は本発明の保護範囲に含まれる。