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特許7128333多軸加工機および多軸加工機の回転中心測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】多軸加工機および多軸加工機の回転中心測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20220823BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G01B5/00 F
B23Q17/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021136285
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2022-03-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 通久
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-44802(JP,A)
【文献】特開2000-74606(JP,A)
【文献】特表2010-530532(JP,A)
【文献】特開2011-214931(JP,A)
【文献】特開2012-107900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
B23Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸加工機の回転中心測定方法であって、
前記多軸加工機は、回転軸を有し、加工ヘッドとテーブルが相対回転可能に構成されており、
前記回転中心測定方法は、
基準球と、測定子を有しかつ前記基準球を前記測定子と接触させたときの前記測定子の移動量を測定値として計測する測定器とを用い、
前記加工ヘッドまたは前記テーブルの一方に取り付けられた前記基準球と他方に取り付けられた前記測定器の前記測定子を接触させた状態で前記基準球と前記測定子の相対位置を変化させながら前記測定値を監視し、前記測定値の最大値を、回転中心を演算するための測定値とする測定点探索工程と、
前記基準球と前記測定器の前記測定子を接触させた状態で前記回転軸を回転させて前記測定値を計測する測定工程と、
前記測定値と前記回転軸の回転角度と前記基準球の中心の位置から前記回転軸の回転中心を演算する回転中心演算工程を有することを特徴とする多軸加工機の回転中心測定方法。
【請求項2】
前記測定工程では、前記測定値の取得方法を複数種類から選択されることを特徴とする請求項記載の多軸加工機の回転中心測定方法。
【請求項3】
前記測定工程は、前記加工ヘッド、前記回転軸および前記テーブルを一時停止させた状態で前記測定器により前記測定値を取得することを特徴とする請求項1または2記載の多軸加工機の回転中心測定方法。
【請求項4】
前記測定工程は、前記加工ヘッド、前記回転軸および前記テーブルを一時停止させずに連続して移動させながら前記測定器により前記測定値を取得することを特徴とする請求項1または2記載の多軸加工機の回転中心測定方法。
【請求項5】
前記回転中心測定方法は、加工プログラムを解析し、解析した結果に基づいて回転中心測定を行うための測定位置または前記測定値の取得方法を算出する加工プログラム解析工程を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の多軸加工機の回転中心測定方法。
【請求項6】
前記測定器は、ダイヤルゲージであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の多軸加工機の回転中心測定方法。
【請求項7】
回転軸および制御部を有し、加工ヘッドとテーブルが前記回転軸により相対回転可能に構成された多軸加工機であって、
前記制御部は、
基準球と、測定子を有しかつ前記基準球を前記測定子と接触させたときの前記測定子の移動量を測定値として計測する測定器とを用い、
前記加工ヘッドまたは前記テーブルの一方に取り付けられた前記基準球と他方に取り付けられた前記測定器の前記測定子を接触させた状態で前記基準球と前記測定子の相対位置を変化させながら前記測定値を監視し、前記測定値の最大値を、回転中心を演算するための測定値とする測定点探索工程と、
前記基準球と前記測定器の前記測定子を接触させた状態で前記回転軸を回転させて前記測定値を計測する測定工程と、
前記測定値と前記回転軸の回転角度と前記基準球の中心の位置から前記回転軸の回転中心を演算する回転中心演算工程を実行することを特徴とする多軸加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の幾何学的誤差を正確に測定することが可能な多軸加工機および多軸加工機の回転中心測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工物(以下、ワーク)に対して複数の角度から工具を近づけて複雑な形状の加工を行う多軸工作機械が知られている。例えば、直進3軸と回転2軸から構成されるマシニングセンタ等の5軸加工機は、A軸周りおよびC軸周りに回転するテーブルと、X軸Y軸Z軸にスライド移動する工具を備え、テーブル上にワークを載置して、ワークをA軸およびC軸周りに回転移動させながら工具をスライド移動して多様な形状の加工を行う。
このように構成される5軸加工機においては、組立時に生じる誤差、ワークや回転軸そのものの重さによる撓み、回転軸の熱による変位等の要因により、回転軸の回転中心の位置に幾何学的な誤差(幾何偏差)が生じる。さらに軸数が多いことに伴って軸同士の幾何偏差の数が増大し、ワークの加工精度に大きな影響を与えてしまう。
【0003】
よって、上述のワークの加工精度の問題を解消するため、加工を行う前に作業者が回転中心の位置を求める調整作業を手動にて行っていた。
具体的には、図14に示すように基準球8を加工ヘッド2の取付部21に取り付け、ダイヤルゲージ510を旋回テーブル62上に設置する。そしてA軸周りにチルトテーブル63を回転させて予め決められた角度でチルトテーブル63を停止させ、その都度ダイヤルゲージ510の測定子511に基準球8を当接させて作業者がダイヤルゲージの目盛を目視して測定値を記録する。同様の作業をC軸においても行う。最後に作業者は、記録した測定値を芯出し用ソフトウェアに入力し、芯出し用ソフトウェアにて得られた回転中心の位置を5軸加工機に設定することで調整作業が完了する。
また、回転中心の位置を求める調整作業は、ダイヤルゲージ510を使用した方法だけでなく、タッチプローブを基準球に接触させる方法(特許文献1)や、ボールバーを使用する方法(特許文献2)等が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5686578号公報
【文献】特開2011-38902号公報
【文献】特願2020-072646号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転軸の熱変形により回転中心の位置に差異が生じるため、調整作業は例えば回転軸の熱変形が飽和した状態となる仕上げ加工直前に行うことが望ましい。さらに回転中心の位置は、実際に加工を行う位置によって異なり、また加工時のテーブル上の質量によっても異なるため、実際に加工を行う加工条件と同様の条件で調整作業を行うことが望ましい。
しかしながら、1回の加工ごとに加工条件に合った調整作業を作業者が手動で行うことは、作業時間が長くなり、効率が悪くなるという問題が生じていた。
【0006】
本願発明者らは上記事情に鑑み、回転中心の位置の調整作業を行う場合に加工プログラムを参照し、実加工で使用される回転角度で回転中心の位置を測定する方法を発明し、出願を行った(特許文献3)。
本発明はさらなる改良を加えたものであって、本発明の目的は、より正確な回転軸の回転中心を簡単かつ短時間で算出し、ワークの加工精度を向上した多軸加工機および多軸加工機の回転中心測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多軸加工機の回転中心測定方法であって、前記多軸加工機は、回転軸を有し、加工ヘッドとテーブルが相対回転可能に構成されており、前記回転中心測定方法は、基準球と、測定子を有しかつ前記基準球を前記測定子と接触させたときの前記測定子の移動量を測定値として計測する測定器とを用い、前記加工ヘッドまたは前記テーブルの一方に取り付けられた前記基準球と他方に取り付けられた前記測定器の前記測定子を接触させた状態で前記回転軸を回転させて前記測定値を計測する測定工程と、前記測定値と前記回転軸の回転角度と前記基準球の中心の位置から前記回転軸の回転中心を演算する回転中心演算工程を有することを特徴とする。
また本発明は、回転軸および制御部を有し、加工ヘッドとテーブルが前記回転軸により相対回転可能に構成された多軸加工機であって、前記制御部は、基準球と、測定子を有しかつ前記基準球を前記測定子と接触させたときの前記測定子の移動量を測定値として計測する測定器とを用い、前記加工ヘッドまたは前記テーブルの一方に取り付けられた前記基準球と他方に取り付けられた前記測定器の前記測定子を接触させた状態で前記回転軸を回転させて前記測定値を計測する測定工程と、前記測定値と前記回転軸の回転角度と前記基準球の中心の位置から前記回転軸の回転中心を演算する回転中心演算工程を実行することを特徴とする。
【0008】
ここで、「テーブル」とは、本実施形態のチルトテーブルおよび旋回テーブルの総称である。
本発明によれば、作業者が基準球と測定器を多軸加工機に取り付けるだけで自動的に多軸加工機を駆動して検出値を取得し回転中心を演算するため、短時間で簡単に回転中心の位置を求める調整作業を行うことができる。
【0009】
また本発明の回転中心測定方法は、測定工程の前に基準球と測定子を接触させた状態で基準球および測定子の相対位置を変化させながら測定値を監視し、測定値の最大値を、回転中心を演算するための測定値とする測定点探索工程を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、測定点探索工程において測定子の中心線の延長線上に基準球の中心が位置するように基準球と測定器の相対位置を変化させて最適な測定点を求めることが可能であるため、ブレのない測定値を使用して回転中心を求めることができる。
【0011】
本発明の回転中心測定方法は、測定工程において測定値の取得方法を複数種類から選択可能であり、加工ヘッド、回転軸およびテーブルを一時停止させた状態で測定器により測定値を取得するか、加工ヘッド、回転軸およびテーブルを一時停止させずに連続して移動させながら測定器により測定値を取得するかの選択が可能であることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、実際の加工に近い状態で回転中心を求めることが可能であるため、精度の高い回転中心の位置を求めることができる。
【0013】
本発明の回転中心測定方法は、加工プログラムを解析し、解析した結果に基づいて回転中心測定を行うための測定位置または測定値の取得方法を算出する加工プログラム解析工程を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、実際にワークを加工する際に使用する加工プログラムを解析し、加工プログラム内の工具姿勢の指令角度から回転中心測定を行うための測定位置を導出している。よって、正確な回転中心の位置を算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、精度の高い回転軸の回転中心を算出し、ワークの加工精度を向上した多軸加工機および多軸加工機の回転中心測定方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る5軸加工機100の概略図である。
図2】上記実施形態に係る5軸加工機100の内部の構造を示す模式図である。
図3】上記実施形態に係る5軸加工機100に測定器7と基準球8を取り付けた状態を示す模式図である。
図4】上記実施形態に係る5軸加工機100のブロック図である。
図5】上記実施形態に係る5軸加工機100の測定用プログラム401の概要を示す模式図である。
図6】上記実施形態に係る5軸加工機100の回転中心演算工程を説明する説明図である。
図7】上記実施形態に係る5軸加工機100の回転中心測定の手順を示す全体フロー図である。
図8】上記実施形態に係る5軸加工機100の回転中心測定工程(停止モード)を示すフロー図である。
図9】上記実施形態に係る5軸加工機100の回転中心測定工程(連続モード)を示すフロー図である。
図10】上記実施形態に係る5軸加工機100の測定点探索工程を説明する説明図1である。
図11】上記実施形態に係る5軸加工機100の測定点探索工程を説明する説明図2である。
図12】上記実施形態に係る5軸加工機100の測定点探索工程を説明する説明図3である。
図13】上記実施形態に係る回転中心測定工程においてA軸周りにチルトテーブル63を回転した状態を説明する模式図である。
図14】従来の回転中心の位置の算出方法を説明する説明図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る5軸加工機200のブロック図である。
図16】上記実施形態に係る5軸加工機200の回転中心測定の手順を示す全体フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の多軸加工機および多軸加工機の回転中心測定方法の実施形態として、5軸加工機100について説明する。
【0018】
<1.第1の実施形態>
(1.1.5軸加工機100の全体構成)
【0019】
図1図2および図3を参照して、5軸加工機100の構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る5軸加工機100の概略図であり、図2は5軸加工機100の内部の構造を示す模式図である。
5軸加工機100は、X軸、Y軸、Z軸の直線軸3軸と、回転軸2軸の5軸制御を行う加工機であり、ワークをチルトテーブル63とともに旋回させるテーブル旋回型である。5軸加工機100には、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が設定されており、X軸に平行に延びる軸心周りの回転軸としてA軸が、Z軸に平行に延びる軸心周りの回転軸としてC軸が設定されている。
【0020】
5軸加工機100は、基台1と、加工ヘッド2と、Y軸移動テーブル3と、Y軸移動テーブル3の上に載置されてA軸周りに回転可能に構成されたチルトテーブル63と、チルトテーブル63の上に載置されてC軸周りに回転可能に構成された旋回テーブル62と、制御部50とを備える。
基台1、加工ヘッド2、Y軸移動テーブル3、チルトテーブル63、旋回テーブル62を含む加工エリアKは、5軸加工機100の筐体9内に設けられている。
【0021】
加工ヘッド2は、基台1に対して、X軸方向およびZ軸方向に移動可能に構成されている。加工ヘッド2には工具61を取り付けるための取付部21が設けられており、取付部21が回転することにより、工具61を回転させて切削加工を行うことができる。
【0022】
Y軸移動テーブル3は、基台1に対して、Y軸方向に移動可能に構成されている。Y軸移動テーブル3上には、チルトテーブル63が載置されている。チルトテーブル63の上には旋回テーブル62がさらに載置されている。作業者は、旋回テーブル62上にワークを載置することで、工具61によってワークを加工することができる。
【0023】
チルトテーブル63は、回転軸としてのA軸周りに回転可能に構成されており、A軸とX軸とが平行となるようにY軸移動テーブル3上に載置される。
【0024】
旋回テーブル62は、回転軸としてのC軸周りに回転可能に構成されており、A軸の回転角度が0°の場合に、C軸とZ軸とが平行となるようにチルトテーブル63上に載置される。チルトテーブル63及び旋回テーブル62をA軸およびC軸回りに任意の角度に回転させることで、旋回テーブル62上に載置されたワークの工具61に対する姿勢を変更して加工することができる。
【0025】
図3は5軸加工機100に測定器7と基準球8を取り付けた状態を示す模式図である。
チルトテーブル63のA軸の回転中心の位置や、旋回テーブル62のC軸の回転中心の位置は常に一定であることが望ましいが、実際には各テーブルの取付誤差やワークや回転軸そのものの重さによる撓み、回転軸の熱による変位等の要因により、回転中心の位置に誤差が生じる。
そこで本実施形態においては、基準球8および測定器7を用いて調整作業を行い実際のA軸およびC軸の回転中心の位置を測定して、その後の加工処理に使用している。ここでA軸およびC軸の「回転中心の位置」とはA軸およびC軸の回転軸の中心座標である。具体的な調整作業の方法に関しては後述する。
【0026】
基準球8は、5軸加工機の精度測定等に利用する基準ボールであり、既知のものを利用することできる。基準球8は、5軸加工機100の加工ヘッド2の取付部21に取り付けて使用する。
【0027】
測定器7は、先端に測定子71を有し、基準球8に測定子71が接触した際に測定子71の移動量を測定値72として計測するセンサであり、ダイヤルゲージを使用することができる。測定器7は、例えば中空状のステム74と、ステム74の内部を通ってステム74の内部を移動可能なスピンドル73と、スピンドル73の先端に設けられた測定子71を備え、測定子71が基準球8に接触した場合におけるスピンドル73の移動量を測定値72として計測する。測定器7は、測定値72を有線もしくは無線により制御部50へ送信する機能を有する。一方、制御部50は、測定器7から受信した測定値72を、入力部20を介して記憶部40に格納する。
測定器7は、旋回テーブル62上に治具等を介して取り付けて使用する。A軸の回転中心の位置を調整する場合には測定子71の向きをZ軸方向と一致するように取り付け、C軸の回転中心の位置を調整する場合には測定子71の向きをY軸方向と一致するように取り付ける。
測定器7は実際に加工を行うワークを設置する位置に配置することが望ましい。実加工に近い位置で計測することで、より正確な回転軸の回転中心の位置を演算することが可能となる。
【0028】
(1.2.5軸加工機100の機能構成)
【0029】
図4は5軸加工機100のブロック図である。図4に示すように5軸加工機100は、入力部20、操作部30、記憶部40、制御部50、サーボモータ60を含む。
5軸加工機100は、回転軸の回転中心測定用の測定用プログラム401に基づいてY軸移動テーブル3、チルトテーブル63、旋回テーブル62、加工ヘッドに設けられた各サーボモータ60を駆動し、測定器7から取得した測定値72を取得して、A軸およびC軸の回転中心位置を演算する。
【0030】
入力部20は、測定器7と5軸加工機100との間の有線または無線回線等のデータ伝送管理を行うインターフェースであり、測定器7が計測した測定値72を取得し、各種の信号処理を行い制御部50に送信する機能を有する。
【0031】
操作部30は、表示部31および手入力部32を含み、手入力部32としてキーボードやタッチパネル等が使用される。作業者は表示部31に表示される内容に従って手入力部32により5軸加工機100の各種設定を行うことができる。
具体的には、表示部31には、回転軸の回転中心の測定を行うための設定画面が表示され、作業者は手入力部32により5軸加工機100に対して回転軸の選択、回転中心測定の開始指示、測定値72の取得方法の選択等の設定を行うことできる。
【0032】
記憶部40は、例えば、RAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されており、制御部50による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。また記憶部40は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、又はSSD(Solid State Drive)を備えており、制御部50の処理に利用される測定用プログラム401、測定点探索用プログラム402、設定値等のデータを格納する。さらに記憶部40は、回転中心の測定の際に出力される測定値72等の各種測定データを格納する。
【0033】
図5は、5軸加工機100の測定用プログラム401の内容を示す模式図である。
測定用プログラム401は、測定工程を実行するためのプログラムであり、回転軸を駆動させるためのコード等が含まれる。具体的に測定用プログラム401は複数の加工ブロックによって構成されており(図5)、加工ブロックには基準球8の位置および姿勢の指令角度、工具先端点制御を指示するGコードや、測定器7に対する基準球8の相対速度を指令するFコード等が記述されている。ここで「姿勢」とは、測定器7と基準球8の相対的な姿勢を指し、姿勢の指令角度は、加工ブロックごとに回転軸(A軸、C軸)の回転角度として指定されている。
全体制御部51は、回転軸の回転中心を測定する場合に測定用プログラム401に基づいてY軸移動テーブル3、チルトテーブル63、旋回テーブル62、加工ヘッド2に設けられた各サーボモータ60を駆動する。
測定用プログラム401は、A軸、C軸ごとに複数のプログラムが記憶部40に格納されている。具体的には、作業者は測定値72の取得方法を複数種類から選択することができ、それらの方法を実行するためのプログラムが格納されている。複数種類の測定値72の取得方法とは、例えば、測定値72を取得する測定位置ごとにY軸移動テーブル3、チルトテーブル63、旋回テーブル62、加工ヘッド2が停止した状態で測定器7によって測定値72を取得する停止モード、各サーボモータ60を駆動させた状態で連続して測定値72を取得する連続モード等が挙げられる。実加工において回転軸を回転させながら加工を行う場合は連続モードで回転中心の測定を行い、実加工において回転軸を停止させた状態で加工を行う場合は停止モードで測定を行うことが望ましい。実際の加工に近い状態で回転中心を求めることが可能となる。
【0034】
測定点探索用プログラム402は、測定点探索工程を実行するためのプログラムであり、加工ヘッド2やY軸移動テーブル3を駆動させるためのGコード、Fコード等が含まれる。
【0035】
サーボモータ60は、Y軸移動テーブル3、チルトテーブル63、旋回テーブル62、加工ヘッド2にそれぞれ設けられている。全体制御部51の指令により各サーボモータ60を駆動させることで、各構成部品を回転または移動させることができる。
【0036】
(1.3.制御部50の機能構成)
【0037】
制御部50は、全体制御部51と、回転中心演算部52から構成される。
【0038】
全体制御部51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等で構成され、5軸加工機100の全体の動作を制御し、各サーボモータ60を駆動するものである。
また全体制御部51は、測定用プログラム401および測定点探索用プログラム402を実行する。
【0039】
回転中心演算部52は、測定器7により測定された測定値72、基準球8の中心CSの位置および回転軸の角度から最小二乗法により、A軸およびC軸の回転中心の位置を演算し、求められた回転中心の位置を記憶部40に格納する。
全体制御部51は、回転中心演算部52により求められた回転中心の位置をその後の加工処理における回転軸の回転中心の位置として使用する。
【0040】
(1.4.回転中心測定方法の説明)
【0041】
図7は、5軸加工機100の回転中心測定方法の手順を示す全体フロー図である。
作業者は、仕上げ加工前等の回転軸の回転中心を測定する場合に以下の手順で作業を行う。
作業者は、加工ヘッド2の取付部21に基準球8を取り付け、旋回テーブル62上に測定器7を設置する(S101、図3図7)。測定器7は、実際に加工を行う場合にワークを設置する実加工位置に設置するのが望ましい。
そして作業者は、手入力部32を介して加工ヘッド2およびY軸移動テーブル3を操作して、測定器7の測定子71と接触する位置まで基準球8を移動させる(S102)。
次に作業者が手入力部32を操作して、設定画面上に表示された回転中心測定の設定を行う。例えば回転中心測定の設定としては、回転軸の選択や測定値72の取得方法の選択等が挙げられる。その後、作業者が測定を実施するための開始ボタン等を押下すると、回転中心の測定が開始される(S103:回転中心測定工程)。
【0042】
図8は、5軸加工機100の回転中心測定工程(停止モード)を示すフロー図であり、図10図11および図12は、5軸加工機100の測定点探索工程を説明する説明図である。以下、A軸の回転中心の位置を測定する場合を例に挙げて説明を行うが、C軸の回転中心の位置を測定する場合も同様である。
回転中心測定工程が開始されると、全体制御部51は、回転軸を測定する際の測定点P0を探索する測定点探索工程を実行する(S201:測定点探索工程)。ここで測定点とは、基準球8と測定器7の測定子71が接触する接触点であり、測定点において測定子71の移動量である測定値72を取得する。測定子71の中心線CL(図10図12)が基準球8の中心CSに向けられた状態で測定子71を基準球8に接触させて測定値72を取得しないと測定子71が基準球8上で移動してしまい測定値72が不安定となる(図10)。よって、測定点探索工程では、測定子71の中心線CLの延長線上に基準球8の中心CSが位置するように基準球8と測定器7の相対位置を変化させて最適な測定点P0を求める。
具体的には、全体制御部51は測定点探索用プログラム402を取得し、測定点探索用プログラム402に沿って、基準球8と測定子71を接触させた状態で加工ヘッド2をX軸方向に移動させ、またY軸移動テーブル3をY軸方向に移動させる(図10図11)。全体制御部51は、基準球8と測定器7の相対位置をX軸方向およびY軸方向に変化させながら測定器7の測定値72を監視する。測定器7の測定値72が最大となる測定点P0を最適な測定位置とし(図12)、その測定位置での測定値72をA軸の回転角度および基準球8の中心CSの位置とともに記憶部40に格納する。
【0043】
図13は、回転中心測定工程においてA軸周りにチルトテーブル63を回転した状態を説明する模式図である。
全体制御部51は、測定点探索工程が終了した後、測定工程(S202―S205)を実行する。具体的には、設定画面により停止モードが選択されている場合、全体制御部51は、記憶部40から停止モード用の測定用プログラム401を取得し、基準球8と測定器7の測定子71が接触した状態で測定用プログラム401に沿ってA軸まわりにチルトテーブル63を回転させるとともに先端点制御を行い加工ヘッド2およびY軸移動テーブル3をチルトテーブル63の回転に追従して移動させる(S202)。全体制御部51は、指定された測定位置で加工ヘッド2、Y軸移動テーブル3およびチルトテーブル63を一定時間停止させる(S203、図13)。
そして、全体制御部51は、各構成部品が停止している間に入力部20を介して測定器7から測定値72を取得し、A軸の回転角度および基準球8の中心CSの位置とともに記憶部40に格納する(S204:測定工程)。全体制御部51は、全ての測定位置において測定用プログラム401に沿って、S202からS204を繰り返す(S205)。
【0044】
図6は、5軸加工機100の回転中心演算工程を説明する説明図である。
回転中心演算部52は、測定工程が終了した後にA軸の回転中心を演算する(S206:回転中心演算工程)。
回転軸の回転中心の演算方法について、図6の例に沿って以下説明を行う。
図6の例では、測定点P0,P1,P2でそれぞれ測定値H0,H1,H2が取得され、A軸の回転角度および基準球8の中心CSの位置とともに記憶部40に格納されているとする。
測定点P0,P1,P2での測定値H0,H1,H2は、調整作業前の回転中心の位置を使用してチルトテーブル63を回転させて取得したものであるため、同一とはならず誤差を含む。よって、測定点探索工程で取得した測定点P0での測定値H0を基準として、測定値H1,H2、A軸の回転角度および基準球8の中心CSの位置から、測定値H1,H2の値が測定値H0と同一となる推定測定点SP1,SP2の位置を演算で求める。その後、測定点P0および推定測定点SP1,SP2の位置から最小二乗法によりA軸の回転中心の位置を求める。
ここで算出されたA軸の回転軸の中心座標のうち、X座標に関しては測定器7が配置された座標となる。よって、C軸の調整作業により求められたC軸の回転中心のX座標を使用する。同様にC軸の回転中心のZ座標に関しても、A軸の回転中心のZ座標を使用する。
回転中心演算部52は、求められた回転中心の位置を記憶部40に格納する。
【0045】
測定値72の取得方法として停止モードが選択されている場合、加工ヘッド2およびチルトテーブル63等の構成部品を停止させた状態で測定値72を取得するため、測定の際に構成部品の振動の影響を最小限にすることができるうえ、実加工に近い状態で回転中心を算出することができる。
【0046】
図9は、上記実施形態に係る5軸加工機100の回転中心測定工程(連続モード)を示すフロー図である。
設定画面により連続モードが選択されている場合、全体制御部51は測定点探索工程を実行(S201)した後、記憶部40から連続モード用の測定用プログラム401を取得し、測定用プログラム401に沿ってA軸まわりにチルトテーブル63を回転させるとともに先端点制御を行い加工ヘッド2およびY軸移動テーブル3をチルトテーブル63の回転に追従して移動させる(S302:測定工程)。全体制御部51は、加工ヘッド2、Y軸移動テーブル3およびチルトテーブル63を一時停止させずに移動させながら指定された測定位置で測定器7から測定値72を取得し、A軸の回転角度および基準球8の中心CSの位置とともに記憶部40に格納する(S303:測定工程)。全体制御部51は、加工ヘッド2およびチルトテーブル63を移動終了位置まで移動させて停止させる(S304:測定工程)。
その後、回転中心演算部52はA軸の回転中心を演算する(S206:回転中心演算工程)。
【0047】
上述の通り、測定値72の取得方法として連続モードが選択されている場合、加工ヘッド2およびチルトテーブル63等の構成部品を一時停止させずに移動させながら測定値72を取得するため、測定時間を短縮することができるうえ、実加工に近い状態で回転中心を算出することができ、回転中心誤差を最小限に抑えることが可能となる。
【0048】
<2.第2の実施形態>
(2.1.5軸加工機200の構成)
図15は、本発明の第2の実施形態に係る5軸加工機200のブロック図である。本発明の第2の実施形態の5軸加工機200は、入力部20を介してCAD/CAM装置300と接続されており、CAD/CAM装置300から取得した加工プログラム301を利用して回転中心の測定を行うものである。尚、各図面及び明細書記載の実施形態において、第1の実施形態の5軸加工機100と同様の構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。
【0049】
5軸加工機200は、CAD/CAM装置300と接続され、入力部20を介してCAD/CAM装置300から加工プログラム301を取得し、記憶部40に格納する。また制御部50は加工プログラム301に基づいて、Y軸移動テーブル3、チルトテーブル63、旋回テーブル62、工具61に設けられた各サーボモータ60を駆動し、実加工を行う。
【0050】
CAD/CAM装置300は、加工プログラム301を作成する装置であり、ワークの加工形状を作成し、ワークの加工形状に基づいて各機械を動作させるための加工プログラム301を作成する。
加工プログラム301は、複数の加工ブロックによって構成されており、加工ブロックには、工具61の先端点の指令位置および工具姿勢の指令角度を指定するGコードや、ワークに対する工具61の先端点の相対速度を指令するFコード、Mコード等が記述されている。ここで「工具姿勢」とは、工具とワークの相対的な姿勢を指し、工具姿勢の指令角度は、加工ブロックごとに回転軸(A軸、C軸)の回転角度として指定されている。
【0051】
入力部20には、CAD/CAM装置300から加工プログラム301が入力される。加工プログラム301はCAD/CAM装置300からだけでなく、作業者により記憶媒体を介して入力部20に入力されてもよい。
【0052】
制御部250は、全体制御部51と、回転中心演算部52と、加工プログラム解析部53から構成される。
【0053】
加工プログラム解析部53は、加工プログラム301から工具姿勢の指令角度を読み出して解析し、解析した結果に基づいて回転中心測定を行うための測定位置または前記測定値の取得方法を算出する。
具体的には、加工プログラム解析部53は加工プログラム301を記憶部40から取得し、加工プログラム301を解析して加工プログラム301の中の加工ブロックごとにおけるA軸の指令角度θn、およびC軸の指令角度φn(nは加工ブロックのインデックスであり、n=1,2,・・・,Nである。Nは加工ブロック数とする。)を参照する。そして、参照した指令角度θn,φnから回転軸の回転中心を測定する場合の測定位置を演算し、記憶部40に格納する。
測定位置は、A軸の測定角度λ_θmまたはC軸の測定角度λ_φm(m=1,2,・・・,M Mは測定角度の数)で規定することができる。例えば、回転軸の指令角度θn,φnから加工プログラム301中の度数分布を演算し、出現頻度が高い指令角度θn,φnの複数の点を測定角度λ_θm,λ_φmとする。
【0054】
加工プログラム解析部53はさらに加工プログラム301を参照し、回転軸を停止させた状態で加工を行うプログラムであるか、または回転軸を動作させながら加工を行うプログラムであるかの解析を行う。回転軸を停止させた状態で加工を行うプログラムである場合には、測定値72の取得方法を停止モードとして記憶部40に格納し、回転軸を動作させながら加工を行うプログラムである場合には連続モードとして記憶部40に格納する。
【0055】
全体制御部51は、回転中心を測定する場合に加工プログラム解析部53において算出された測定位置で回転軸を回転させて測定器7から測定値72を取得し、回転軸の回転角度、基準球8の中心CSの位置とともに記憶部40に格納する。
【0056】
(2.2.回転中心測定方法の説明)
【0057】
図16は、上記実施形態に係る5軸加工機200の回転中心測定の手順を示す全体フロー図である。
作業者はワークを加工する前に5軸加工機200の回転中心測定を以下の通り、行う。
作業者はCAD/CAM装置300等により加工プログラム301を作成し、入力部20を介して記憶部40に加工プログラム301を保存する。
次に、作業者が加工ヘッド2の取付部21に基準球8を取り付け、旋回テーブル62上に測定器7を設置する(S101)。そして作業者は、手入力部32を介して加工ヘッド2およびY軸移動テーブル3を操作して、測定器7の測定子71と接触する位置まで基準球8を移動させる(S102)。
その後、作業者は手入力部32を介して表示部31に表示された設定画面を操作して、設定画面に加工プログラム301を表示させ、作業者が表示部31に表示された加工プログラム301を選択し、回転中心測定を実施するための開始ボタンを押下する。
【0058】
加工プログラム解析部53は、加工プログラム301を記憶部40から取得し、加工プログラム301を解析して加工プログラム301の中の回転軸の指令角度θn,φnから回転軸の回転中心を測定する場合の測定位置を演算し、記憶部40に格納する(S403:加工プログラム解析工程)。さらに加工プログラム解析部53は、加工プログラム301を解析して、回転中心の測定を行うための測定値72の取得方法を算出し、停止モードであるか連続モードであるかを記憶部40に格納する。
【0059】
そして、全体制御部51は、加工プログラム解析部53にて演算された最初の測定位置にて測定点探索工程を実行(S201:測定点探索工程)し、測定工程を実行する(S404)。具体的には、測定点探索工程が終了した後、全体制御部51は、基準球8と測定器7の測定子71が接触した状態で回転軸まわりにチルトテーブル63または旋回テーブル62を回転させるとともに先端点制御を行い加工ヘッド2およびY軸移動テーブル3を回転軸の回転に追従して移動させる。全体制御部51は、記憶部40に格納された測定位置で測定器7から測定値72を取得し、回転軸の回転角度および基準球8の中心CSの位置とともに記憶部40に格納する。全体制御部51は、全ての測定位置において測定値72の取得を行う。
全体制御部51は、記憶部40に格納されている測定値72の取得方法を参照し、停止モードである場合は、測定位置において加工ヘッド2およびチルトテーブル63等の構成部品を停止させた状態で測定値72を取得する。一方、連続モードである場合は構成部品を一時停止させずに移動させながら測定値72を取得する。
【0060】
その後、回転中心演算部52は回転軸の回転中心を演算する(S206:回転中心演算工程)。
【0061】
上記の説明では、加工プログラム解析部53が解析することにより測定値72の取得方法を選択したが、作業者が設定画面により手動で選択してもよい。
このようにワークを加工する際に使用する加工プログラムを使用して測定位置を算出し、回転軸の回転中心の位置の演算を行うため、より実加工に近い状態で回転中心の位置を求めることができる。
【0062】
<3.その他の実施形態>
以上、本発明における実施形態について説明したが、本開示の適用は上述の内容に限定されるものではない。
【0063】
例えば、チルトテーブル63および旋回テーブル62のようなテーブル側に回転軸2軸が設けられていたが、この形態に限定されることはない。たとえば、テーブル側および工具側に1軸ずつ設けられている形態や、工具側に2軸設けられている5軸制御加工機に対しても、本発明を適用することができる。
【0064】
また、本発明の実施形態においては、X、Y、Z軸の直線軸3軸と、A軸とC軸の回転軸2軸の5軸制御加工機に関して説明を行ったが、この形態に限定されることはない。たとえば、A軸の代わりにB軸(すなわち、Y軸に平行な回転軸)の回転で制御してもよいし、X、Y、Z軸の直線軸3軸と、A軸、B軸、C軸の回転軸3軸の6軸制御の工作機械に対しても多軸加工機として本発明を適用することができる。
【0065】
さらに、本発明の実施形態においては、基準球8が5軸加工機100の加工ヘッド2の取付部21に取り付けられ、測定器7が旋回テーブル62上に取り付けられていたが、測定器7が加工ヘッド2に取り付けられ、基準球8が旋回テーブル62上に取り付けられていてもよい。基準球8と測定器7の測定子71が接触した状態で回転軸を移動できれば本発明を適用することができる。
【0066】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 基台
2 加工ヘッド
21 取付部
3 Y軸移動テーブル
20 入力部
30 操作部
31 表示部
32 手入力部
40 記憶部
50,250 制御部
60 サーボモータ
62 旋回テーブル
63 チルトテーブル
7 測定器
71 測定子
72 測定値
8 基準球
100,200 5軸加工機
401 測定用プログラム
402 測定点探索用プログラム
K 加工エリア
【要約】      (修正有)
【課題】より正確な回転軸の回転中心を簡単かつ短時間で算出し、ワークの加工精度を向上した多軸加工機および多軸加工機の回転中心測定方法を提供すること。
【解決手段】多軸加工機の回転中心測定方法であって、基準球8と、測定子71を有しかつ基準球8を測定子71と接触させたときの測定子71の移動量を測定値として計測する測定器7とを用い、加工ヘッド2またはテーブル62,63の一方に取り付けられた基準球8と他方に取り付けられた測定器7の測定子71を接触させた状態で回転軸を回転させて測定値を計測する測定工程と、測定値と回転軸の回転角度と基準球8の中心の位置から回転軸の回転中心を演算する回転中心演算工程を有することを特徴とする。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16