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特許7128357硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びこれを含む光学半導体用反射材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びこれを含む光学半導体用反射材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20220823BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20220823BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
C08L83/04
C08L83/07
C08L83/05
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021530757
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2019007610
(87)【国際公開番号】W WO2020036305
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0096333
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521060187
【氏名又は名称】ケーシーシーシリコーンコーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KCC Silicone Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】チェ, テフン
(72)【発明者】
【氏名】カン, スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】アン, ジョンモ
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528829(JP,A)
【文献】特開2008-291124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合オルガノポリシロキサン100重量部;
顔料20から50重量部;及び
シルセスキオキサン5から15重量部;を含み、
全アリール基の含量は、全有機基の15モル%以下である、硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、
前記混合オルガノポリシロキサンは、
下記化学式1で表される第1オルガノポリシロキサン;
下記化学式2で表される直鎖の第2オルガノポリシロキサン;及び
下記化学式3で表される第3オルガノポリシロキサン;
[化学式1]
(R SiO 1/2 (R SiO 1/2 (SiO
前記化学式1において、R 及びR は、それぞれ独立してC からC のアルキル基またはC からC のアルケニル基であり、R のうち少なくとも一つはC からC のアルケニル基であり、aは0.05から0.25の数であり、bは0.1から0.5の数であり、cは0.4から0.6の数であり;
[化学式2]
(R SiO 1/2 (R SiO) (R SiO)
前記化学式2において、R は、それぞれ独立してC からC のアルキル基、C からC のアルケニル基またはC からC 12 のアリール基であり、R は、それぞれ独立してC からC のアルキル基またはC からC 12 のアリール基であり、d及びeは、それぞれ独立して0または1以上の整数であり、10≦d+e≦10,000であり、0≦d/(d+e)≦0.1であり;及び
[化学式3]
SiO (4-f-g)/2
前記化学式3において、R は、それぞれ独立してC からC のアルキル基またはC からC 12 のアリール基であり、fは0.001から2の数であり、gは0.7から2の数であり、0.8≦f+g≦3の数である、
を含む、硬化性オルガノポリシロキサン組成物
【請求項2】
前記混合オルガノポリシロキサンの全重量を基準に、30から50重量%の第1オルガノポリシロキサン;40から60重量%の第2オルガノポリシロキサン;及び残部の第3オルガノポリシロキサン;を含む、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
前記第3オルガノポリシロキサンは、前記混合オルガノポリシロキサン内の全アルケニル基のモル数に対する水素のモル数が0.5から5になる含量で添加される、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
前記シルセスキオキサンは、下記化学式4で表される、請求項1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
[化学式4]
(RSiO3/2
(前記化学式4において、nは4から1,000の数であり、Rは、それぞれ独立してCからCのアルキル基、CからCのアルケニル基またはCからC12のアリール基である。)
【請求項5】
25℃で液相であり、6Pa.s未満の粘度を有する、請求項1に記載の硬化性オルガノ
ポリシロキサン組成物。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いて形成される硬化物を含む光学半導体用反射材料。
【請求項7】
前記光学半導体は、液晶ディスプレー用バックライトモジュール、モバイル携帯電話のフラッシュモジュールまたは車両用照明モジュールである、請求項に記載の光学半導体用反射材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びこれを含む光学半導体用反射材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表面実装型(surface mount technology、SMT)方式の光半導体(LED)パッケージ(Package、PKG)は、一般にチップの上端部の電極とPKGの下端部の電極をワイヤでボンディングする方式で構成されており、これを保護するためにケース及びフレームとして反射率の高い材料を用いて反射板の役割を担うようにした。このようなSMT方式の光半導体パッケージのための材料としてポリフタルアミド樹脂(Polyphtalamide resin、PPA resin)、縮合型樹脂などが使用されているが、これらは変色、切断時にバリ(burr)の発生、ボイド(Void)の発生、高温で使用する際に亀裂の発生などの問題を有する。
【0003】
一方、最近、光半導体PKGの小型薄膜化の要求に応じてチップの下端部にのみ電極がある構造のフリップチップが常用化されるに伴い、フレームが省略されるか、チップ間の間隔が狭くて高密度化が可能なチップスケールパッケージ(Chip Scale Package、CPS)の要求が増加している。また、チップ間の間隔を反射率の高いシリコーン(silicone)でディスペンシングまたはモールディング方式で硬化した後、単一チップに切断してPKGを製造する方式に変化している。よって、CPS工程に使用するための多様な液相のシリコーンが開発されているが、これらを用いて形成した硬化物の硬度の確保が不十分でありポットライフが短いため、成形性が足りないという問題、シリコーン組成物に含まれるフェニル基が高温条件で変色し、反射率が低下するという問題を依然として有している実情である。
【0004】
したがって、精巧な成形加工、薄膜状態で可視光領域での反射率が高く、耐熱性に優れた材料に対する要求が依然として増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2,656,336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、常温で液相に存在して薄膜の反射材料を成形するのに容易であり、薄膜での反射率が高く、硬化物の硬度が高いため、切断時にバリ(burr)の発生が少なく、耐熱性に優れた硬化性オルガノポリシロキサンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の一側面は、混合オルガノポリシロキサン、顔料及び充填剤としてシルセスキオキサン(Silsesquioxane)を含み、前記混合オルガノポリシロキサン100重量部を基準に前記顔料20から50重量部及び前記シルセスキオキサン5から15重量部を含み、全アリール基の含量は全有機基の15モル%以下で含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【0008】
また、前記課題を解決するために、本発明の他の側面は、前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いて形成される硬化物を含む光学半導体用反射材料を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、常温で低粘度の液相を具現して成形性及び精密定量の吐出性などに優れる。
【0010】
それだけでなく、組成物内に過量のアリール基を含まなくとも、本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いて形成される硬化物は、十分な硬度とモジュラスを示すことになる。また、耐熱性に優れるため、高温条件でも亀裂及び変色による反射率低下の問題を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0012】
1.硬化性オルガノポリシロキサン組成物
本発明の一側面は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【0013】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、混合オルガノポリシロキサン、顔料及びシルセスキオキサンを含み、より具体的に、前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、前記混合オルガノポリシロキサン100重量部を基準に、前記顔料20から50重量部及び前記シルセスキオキサン5から15重量部を含む。
【0014】
混合オルガノポリシロキサン
本発明において、混合オルガノポリシロキサンは、第1オルガノポリシロキサン、第2オルガノポリシロキサン及び第3オルガノポリシロキサンを含む。
【0015】
具体的に、前記第1オルガノポリシロキサンは、一分子内に少なくとも一つのアルケニル基、好ましくは2つ以上のアルケニル基を含み、少なくとも一つ以上のSiO単位を含み、一例として下記化学式1で表されたものを含んでよい。
[化学式1]
(R SiO1/2(R SiO1/2(SiO
前記化学式1において、R及びRは、それぞれ独立してCからCのアルキル基またはCからCのアルケニル基であり、Rのうち少なくとも一つはCからCのアルケニル基である。前記RまたはRのアルキル基またはアルケニル基は、それぞれ直鎖または分岐鎖であってよく、鎖状または環状であってよい。
【0016】
前記「CからCのアルキル基」は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基からなる群から選択されてよく、特に、前記R及びRは、それぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基などの鎖状アルキル基であってよく、特にメチル基であってよい。
【0017】
前記「CからCのアルケニル基」は、ビニル基、ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基からなる群から選択されてよく、特にビニル基であってよい。
【0018】
前記化学式1において、全ケイ素(Si)に対してSiO単位が40重量%以上、例えば50から80重量%で含まれるのが好ましいが、SiO単位が40重量%以上含まれると、分子構造内にアリール基が含まれなくとも常温で高硬度の硬化物を形成することができ、高温で長時間使用しても変色による反射率の低下が少ないため、優れた耐熱性を確保することができる。また、高硬度の硬化物の形成が可能なので、無気質充填剤を過量使用しなくとも常温で液相である硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することができ、それにより作業性に優れるという効果がある。もし、SiO単位の含量が40重量%未満であれば、硬化性オルガノポリシロキサンの粘度が低くなるので、作業性が悪くなり得る。
【0019】
詳細には、前記化学式1においてa+b+c=1であり、前記aは、0.05から0.25の数、例えば0.1から0.2であってよく、前記aが0.05未満であれば、前記第1オルガノポリシロキサンの架橋密度が低くなり、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化反応性が低下するという問題が現われ得、0.25超過であれば、架橋密度が高いため形成される硬化物の硬度が高く、経時変化によるクラックが発生し得る。前記bは、0.1から0.5の数、例えば0.25から0.45であってよく、前記bが0.1未満であれば、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の粘度が高いので、流れ性が悪くなり、ディスペンシング作業などの成形性が低下するという問題が現われ得、0.5超過であれば、架橋密度が低くなるため形成される硬化物の硬度が不良になり得る。前記cは、0.4から0.6の数、例えば0.45から0.55であってよく、前記cが0.4未満であれば、硬化物の十分な硬度の確保が難しく、cが0.6超過であれば、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の粘度が高くなるため流れ性が低く、ディスペンシング作業などの成形性が低下するという問題が現われ得る。
【0020】
例えば、前記第1オルガノポリシロキサンは、両末端がそれぞれビニルジメチルシロキシ基及びトリメチルシロキシ基であるシリケートレジン、または、両末端がそれぞれジビニルメチルシロキシ基及びトリメチルシロキシ基であるシリケートレジンであってよい。前記両末端がそれぞれビニルジメチルシロキシ基及びトリメチルシロキシ基であるシリケートレジンは、(ViMeSiO1/20.15(MeSiO1/20.35(SiO0.5、(ViMeSiO1/20.10(MeSiO1/20.40(SiO0.5、(ViMeSiO1/20.2(MeSiO1/20.3(SiO0.5、(ViMeSiO1/20.15(MeSiO1/20.45(SiO0.4、(ViMeSiO1/20.10(MeSiO1/20.50(SiO0.4、(ViMeSiO1/20.2(MeSiO1/20.4(SiO0.4、(ViMeSiO1/20.125(MeSiO1/20.375(SiO0.5または(ViMeSiO1/20.2(MeSiO1/20.2(SiO0.6であってよく、末端がジビニルメチルシロキシ基及びトリメチルシロキシ基であるシリケートレジンは、(ViMeSiO1/20.15(MeSiO1/20.35(SiO0.5、(ViMeSiO1/20.10(MeSiO1/20.40(SiO0.5、(ViMeSiO1/20.2(MeSiO1/20.3(SiO0.5、(ViMeSiO1/20.15(MeSiO1/20.45(SiO0.4、(ViMeSiO1/20.1(MeSiO1/20.5(SiO0.4、(ViMeSiO1/20.2(MeSiO1/20.4(SiO0.4または(ViMeSiO1/20.2(MeSiO1/20.2(SiO0.6であってよい。
【0021】
前記第2オルガノポリシロキサンは、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の粘度を調節して流れ性を付与し、モジュラスを調節する直鎖状のオルガノポリシロキサン成分であって、一分子内に少なくとも一つのアルケニル基、好ましくは2つ以上のアルケニル基を含み、下記化学式2で表されたものを含んでよい。
[化学式2]
(R SiO1/2(RSiO)(R SiO)
前記化学式2において、Rは、それぞれ独立してCからCのアルキル基、CからCのアルケニル基またはCからC12のアリール基であり、Rは、それぞれ独立してCからCのアルキル基またはCからC12のアリール基であり、前記Rのうち少なくとも一つ以上はCからCのアルケニル基である。
【0022】
前記アルキル基及びアルケニル基は、前記で定義した通りであり、前記Rは、CからCのアルキル基としてメチル基であるのが好ましく、CからCのアルケニル基としてビニル基であるのが好ましい。前記「CからC12のアリール基」は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビスフェニレン基などを挙げることができ、特にフェニル基であるのが好ましい。
【0023】
前記化学式2において、前記d及びeは、それぞれ独立して0または1以上の整数であり、10≦d+e≦10,000であり、0≦d/(d+e)≦0.1である。前記d+eが10未満であれば、硬化性オルガノポリシロキサン組成物が硬化中の組成物の揮発により反射材料の厚さが低くなり、これによって色座標の変化が発生し得る。前記d+eが10,000超過であれば、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の流れ性が低くなり、組成物内の顔料分散性の低下及び顔料配合量の減少の問題を引き起こし、結果として薄膜での反射率低下の問題が現れ得る。前記d/(d+e)が0.1超過であれば、前記第2オルガノポリシロキサンの反応性が低下し、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の密度が高くなるので、硬化物硬度の経時変化によるクラックが発生し得る。
【0024】
例えば、前記第2オルガノポリシロキサンは、ビニルジメチルシロキシ基末端ジメチルシロキサンポリマー、ビニルジメチルシロキシ基末端メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマー、トリメチルシロキシ基末端メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマー、ビニルジメチルシロキシ基末端メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマーまたはビニルジメチルシロキシ基末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマーなどであってよい。
【0025】
前記ビニルジメチルシロキシ基末端ジメチルシロキサンポリマーは、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)n1(ViMeSiO1/2)であってよい。具体的に、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)60(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)120(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)150(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)225(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)500(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)1000(ViMeSiO1/2)または(ViMeSiO1/2)(MeSiO)1250(ViMeSiO1/2)であってよい。
【0026】
前記ビニルジメチルシロキシ基末端メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマーは、(ViMeSiO1/2)(ViMeSiO)n2(MeSiO)n3(ViMeSiO1/2)であってよい。具体的に、(ViMeSiO1/2)(ViMeSiO)(MeSiO)59(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(ViMeSiO)10(MeSiO)95(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(ViMeSiO)30(MeSiO)400(ViMeSiO1/2)または(ViMeSiO1/2)(ViMeSiO)50(MeSiO)1000(ViMeSiO1/2)であってよい。
【0027】
前記トリメチルシロキシ基末端メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマーは、(MeSiO1/2)(ViMeSiO)n4(MeSiO)n5(MeSiO1/2)であってよい。具体的に、(MeSiO1/2)(ViMeSiO)30(MeSiO)400(MeSiO1/2)、(MeSiO1/2)(ViMeSiO)(MeSiO)540(MeSiO1/2)、(MeSiO1/2)(ViMeSiO)50(MeSiO)1000(MeSiO1/2)または(MeSiO1/2)(ViMeSiO)(MeSiO)60(MeSiO1/2)であってよい。
【0028】
前記ビニルジメチルシロキシ基末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンブロックポリマーは、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)n6(MePhSiO)n7(ViMeSiO1/2)であってよい。具体的に、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)20(MePhSiO)(ViMeSiO1/2)、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)40(MePhSiO)(ViMeSiO1/2)または(ViMeSiO1/2)(MeSiO)125(MePhSiO)10(ViMeSiO1/2)であってよい。
【0029】
前記ビニルジメチルシロキシ基末端ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサンブロックポリマーは、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)n8(PhSiO)n9(ViMeSiO1/2)であってよい。具体的に、(ViMeSiO1/2)(MeSiO)40(PhSiO)(ViMeSiO1/2)または(ViMeSiO1/2)(MeSiO)225(PhSiO)10(ViMeSiO1/2)であってよい。
【0030】
好ましくは、前記第2オルガノポリシロキサンの粘度は25℃で0.1から100Pa.s、例えば0.3から80Pa.s、0.5から70Pa.sであるものを用いてよい。前記第2オルガノポリシロキサンの粘度が前記範囲内である場合、硬化性オルガノポリシロキサンの流れ性、モジュラスなどの特性改善の側面で好ましく、前記範囲未満または超過である場合、流れ性、モジュラスなどの特性が不良になるという問題が現われ得る。一実施形態において、前記第2オルガノポリシロキサンの粘度は、Anton Paar社で製作したレオメータMCRシリーズとしてASTM D4283-98(2015)の方法を用いて測定した。
【0031】
前記第3オルガノポリシロキサンは、主成分である前記第1オルガノポリシロキサン及び粘度調節成分である前記第2オルガノポリシロキサンの架橋の役割を担って硬化物を形成させる成分であって、一分子内に少なくとも一つのケイ素に直接結合された水素基を含み、下記化学式3で表されたものを含んでよい。
[化学式3]
SiO(4-f-g)/2
前記化学式3において、Rは、それぞれ独立してCからCのアルキル基またはCからC12のアリール基であり、前記アルキル基及びアリール基は前記で定義された通りである。特に、前記Rは、アルキル基としてメチル基であるのが好ましく、アリール基としてフェニル基であるのが好ましく、CからCのアルキル基、例えばメチル基であるのが最も好ましい。
【0032】
前記化学式3において、前記fは、0.001から2の数、例えば2未満の数、0.01から1の数であり、前記fが2よりも大きければ、架橋密度が高くなるので硬化物に容易にクラックが発生し、硬化中に水素ガスが発生し、これにより硬化物の表面にボイド(Void)が発生することにより、前記硬化物を光学反射材料として使用する時にLEDパッケージの収率を低下させ得る。前記gは、0.7から2の数、例えば0.8から2の数、1.2から2の数であり、前記gが0.7未満であれば、架橋密度が高くなるので硬化物に容易にクラックが発生し、水素ガスが発生することにより、硬化物の表面にボイドが発生してLEDパッケージの収率を低下させ得る。
【0033】
前記gが2超過であれば、反応性が低くなるだけでなく、分子量が小さく容易に揮発されて厚さが低くなり、色座標の変化が発生し得る。前記f+gは、0.8≦f+g≦3の数、例えば1≦f+g≦2.7の数、1.8≦f+g≦2.4の数である。前記f+gが0.8未満であれば、オルガノポリシロキサン組成物の流れ性が不良になるので、ディスペンシング作業性などの成形性が不良になり得、f+gが3超過であれば、反応性が低くなるので硬化が遅く、分子量が小さく容易に揮発されて厚さが低くなり、色座標の変化が発生し得る。
【0034】
例えば、前記第3オルガノポリシロキサンは、ヒドロゲンジメチルシロキシ基末端ジメチルシロキサンポリマー、トリメチルシロキシ基末端メチルヒドロゲンシロキサンポリマー、トリメチルシロキシ基末端メチルヒドロゲンシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマー、ヒドロゲンジメチルシロキシ基末端ジメチルシロキサン-ヒドロゲンメチルシロキサンブロックポリマー、両末端がそれぞれヒドロゲンジメチルシロキシ基及びトリメチルシロキシ基末端であるシリケートレジンであってよく、アリール基含有オリゴマー類をさらに含んでよい。
【0035】
前記ヒドロゲンジメチルシロキシ基末端ジメチルシロキサンポリマーは、(HMeSiO1/2)(MeSiO)n10(HMeSiO1/2)であってよい。具体的に、(HMeSiO1/2)(MeSiO)25(HMeSiO1/2)、(HMeSiO1/2)(MeSiO)45(HMeSiO1/2)または(HMeSiO1/2)(MeSiO)125(HMeSiO1/2)であってよい。
【0036】
前記トリメチルシロキシ基末端メチルヒドロゲンシロキサンポリマーは、(MeSiO1/2)(HMeSiO)n11(MeSiO1/2)であってよい。具体的に、(MeSiO1/2)(HMeSiO)20(MeSiO1/2)または(MeSiO1/2)(HMeSiO)40(MeSiO1/2)であってよい。
【0037】
前記トリメチルシロキシ基末端メチルヒドロゲンシロキサン-ジメチルシロキサンブロックポリマーは、(MeSiO1/2)(MeSiO)n12(HMeSiO)n13(MeSiO1/2)であってよい。具体的に、(MeSiO1/2)(MeSiO)20(HMeSiO)20(MeSiO1/2)、(MeSiO1/2)(MeSiO)25(HMeSiO)12(MeSiO1/2)、(MeSiO1/2)(MeSiO)19(HMeSiO)21(MeSiO1/2)、(MeSiO1/2)(MeSiO)46(HMeSiO)20(MeSiO1/2)、(MeSiO1/2)(MeSiO)100(HMeSiO)10(MeSiO1/2)または(MeSiO1/2)(MeSiO)(HMeSiO)(MeSiO1/2)であってよい。
【0038】
前記ヒドロゲンジメチルシロキシ基及びトリメチルシロキシ基末端シリケートレジンは、(HMeSiO1/2n14(MeSiO1/2n15(SiOn16であってよい。例えば、(HMeSiO1/20.6(MeSiO1/20.1(SiO0.2または(HMeSiO1/20.5(MeSiO1/20.2(SiO0.3であってよい。
【0039】
前記アリール基含有オリゴマー類は、(HMeSiO1/2(PhSiO1.5)または(HMeSiO1/2(PhSiO)であってよい。
【0040】
前記第3オルガノポリシロキサンは、25℃での粘度が0.005~0.15Pa.sであってよい。前記第3オルガノポリシロキサンの25℃での粘度が前記数値範囲を外れる場合には、モールド作業性が顕著に不良になるという問題がある。
【0041】
前記混合オルガノポリシロキサンの全重量を基準に、30から50重量%、例えば、40重量%の第1オルガノポリシロキサン、40から60重量%、例えば、50重量%の第2オルガノポリシロキサン及び残部、例えば、10重量%の第3オルガノポリシロキサンを含んでよい。
【0042】
より具体的に、前記第3オルガノポリシロキサンは、前記混合オルガノポリシロキサン内の全アルケニル基のモル数に対する水素のモル数が0.5から5、例えば、0.8から3になる含量で含まれるのが好ましい。
【0043】
前記第1オルガノポリシロキサンが30重量%未満であれば、硬度が低くなるためソーイング(sawing)作業性が落ち、50重量%を超過すれば、常温で流れ性がなくなるので作業性が落ちる。前記第2オルガノポリシロキサンが40重量%未満であれば、架橋密度が高くなるので熱衝撃により硬化物に容易にクラックが発生し、60重量%を超過すれば、硬度が低くなり得る。
【0044】
また、前記第3オルガノポリシロキサンによる水素のモル数が全アルケニル基のモル数に比べて0.5未満であれば、十分な硬化物を形成できないため硬度が低くなり、ソーイングの作業時に多量のバリ(burr)が発生して光半導体パッケージ(LED PKG)の収率が低下することがあり、5超過であれば、架橋密度が高くなるので硬化物に容易にクラックが発生して水素ガスが発生し、これにより硬化物の表面にボイド(Void)が発生して光半導体パッケージ(LED PKG)の収率を低下させ得る。
【0045】
顔料
本発明において、前記顔料は、硬化物の透過率を下げ、白色を具現して可視光領域で反射率を具現する成分であって、白色顔料であるのが好ましい。例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム及び硫酸亜鉛からなる群から選択されてよく、好ましくは二酸化チタンであってよい。
【0046】
また、前記顔料は、0.05から10μmの粒子大きさ、例えば、0.1から1μmの粒子大きさを有することが好ましく、前記粒子大きさが0.05μm未満である場合、分散性が悪くなるので組成物の粘度が容易に増加し、10μm超過である場合、ディスペンサーなどに使用できるノズルの種類に制約が生じるだけでなく、ノズル詰まり(clogging)を引き起こして作業性を低下させ得る。
【0047】
前記顔料は、前記混合オルガノポリシロキサンとの相溶性の増進及び組成物内の分散性の増進のために、シランカップリング剤、シリカ、アルミナなどの表面処理剤を用いて表面を処理したものを用いてよい。
【0048】
前記顔料は、前記混合オルガノポリシロキサン100重量部を基準に20から50重量部、例えば、25から45重量部の含量で含まれてよい。前記顔料の含量が20重量部未満であれば、250μm未満の薄膜で光透過率が低下するので反射率が低下することがあり、50重量部超過であれば、チクソ指数が高くなるので組成物の粘度が高くなり、ディスペンシングなどの作業性が不良になり得る。
【0049】
一実施形態において、前記顔料が前記表面処理剤として表面処理されたものを用いる場合、前記顔料の表面処理重量は、表面処理された顔料の全重量を基準に5重量%未満であってよく、前記顔料の含量は、表面処理された顔料の重量を示し得る。
【0050】
充填剤
本発明において、補強性充填剤としてシルセスキオキサンを含むことにより、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の加工性を向上させ、硬化物のモジュラスを高め、CTE(coefficient of thermal expansion、熱膨張係数)を下げるだけでなく、硬度を高めることができる。本発明において、前記シルセスキオキサンを含むことにより、顔料、特に白色顔料の含量を下げ、組成物の経時安定性を確保しながらも反射率を顕著に改善することができる。
【0051】
また、前記シルセスキオキサンは、T単位及びQ単位の単独からなるか、またはこれらの混合された形態からなってよいが、これを含む組成物の低いチクソ指数を示すためにQ単位からなるものよりT単位からなるものを用いるのが好まく、前記シルセスキオキサンは下記化学式4で表されてよい。
[化学式4]
(RSiO3/2
前記化学式4において、nは4から1,000の数であり、Rは、それぞれ独立して水素、CからCのアルキル基、CからCのアルケニル基またはCからC12のアリール基であってよく、好ましくはCからCのアルキル基、さらに好ましくはメチル基であってよい。具体的に、前記シルセスキオキサン は、補強性充填剤として硬化物のモジュラスを向上させ、硬度を高めて加工性を向上させるために、Rがメチル基からなるメチルシルセスキオキサンであることが好ましい。
【0052】
また、前記シルセスキオキサンは、分散性及び流れ性を向上させるために0.5から20μm、例えば、2から10μmの平均粒径を有する球形粒子であることが好ましい。前記平均粒径が0.5μm未満であれば、比表面積が広いため分散が容易でなく、組成物の粘度が増加することがあり、20μmを超過すれば、ディスペンサーなどに使用するノズルに制約が生じることになり、詰まり現象を引き起こして作業性を低下させ得る。
【0053】
前記シルセスキオキサンは、前記混合オルガノポリシロキサン100重量部を基準に5から15重量部、例えば、7から13重量部の含量で含まれてよく、前記含量が5重量部未満である場合、補強性充填剤としての役割を十分に担うことができず、15重量部を超過すれば、形成される硬化物のモジュラス、CTE、硬度の改善などに寄与できず、経済的にも効用が落ち、チクソ指数が高くなって粘度が高くなるに伴い作業性が低下し得る。
【0054】
また、本発明に係る硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、ヒドロシリル化触媒を含む。前記ヒドロシリル化触媒は、第1オルガノポリシロキサン、第2オルガノポリシロキサンのアルケニル基及び第3オルガノポリシロキサンのケイ素に結合された水素基のヒドロキシ基の間のヒドロシリル化反応を促進する反応触媒成分である。前記ヒドロシリル化触媒は、例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒及びパラジウム系触媒のうち選択された1つ以上を用いてよく、好ましくは白金系触媒を用いてよい。前記白金系触媒は、白金微粉末(finely divided powder)、クロロ白金酸、米国公開特許第3,220,972号公報に開示されたアルコール溶液内のクロロ白金酸、白金-アルケニルシロキサン錯体、白金-オレフィン錯体、白金-カルボニル錯体などを用いてよく、好ましくは白金-アルケニルシロキサン錯体を用いてよい。
【0055】
前記触媒として白金系触媒を用いる場合、前記白金系触媒は、前記混合オルガノポリシロキサンの全重量を基準に0.01から100ppm、例えば、0.1から50ppmの重さで白金原子が含まれる含量で用いられるのが好ましく、0.01ppm未満であれば、反応速度が遅くなるか十分に反応できず、100ppmを超過すれば、変色により反射率が低下し得る。
【0056】
添加剤
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、オルガノポリシロキサン組成物に通常含まれる添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲内でさらに含んでよく、かかる添加剤としては、例えば、接着促進剤、無機質充填剤、シリコン粉末、樹脂粉末、耐熱剤、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、光安定剤、難燃性付加剤、シリコーン系希釈剤及び遅延剤などを挙げることができる。本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、前記添加剤のうち選択される少なくとも一つをさらに含んでよい。
【0057】
このような本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、常温、例えば25℃で液相であるのが好ましく、常温で液相を示すことによりディスペンシング、射出モールディングなどの成形時の取り扱いが容易であり、複雑な成形物の製作が可能である。また、本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、常温、例えば25℃温度で6Pa.s未満、例えば2.7から5.5Pa.sの粘度を示すのが好ましく、前記粘度が6Pa.s以上であれば、極微量の定量吐出が困難となり、チップ間、電極間の間隔を容易に埋めることができないので、硬化時に硬化物の表面にボイド(Void)が発生し得る。また、前記粘度が2.7Pa.s未満であれば、チップ間、電極間の初期粘着力が低下して揺れなどによりチップ表面の汚染を引き起こすという問題が現れ得る。
【0058】
また、前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、アリール基、例えば、フェニル基が全有機基の15モル%以下で含まれるのが好ましく、もしアリール基が全有機基の15モル%を超過して含まれる場合、高温条件でアリール基の酸化反応による変色により耐熱反射率が低下し得る。
【0059】
したがって、本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、補強性充填剤としてシルセスキオキサンを含むため、全有機基中でアリール基を含有しないか、または全有機基の15モル%以下で含んでも、硬化物が優れた硬度(hardness)を有するだけでなく、アリール基の含量が低いため、高温条件でアリール基の酸化反応が低減するので変色(黄変)を防止することができ、これにより、熱による反射率の低下を減少させるので、耐熱反射率低下の問題を改善することができる。
【0060】
本発明において、前記アリール基の含量は、例えば、1H-NMRを用いて測定することができ、具体的に1H-NMRで測定した全有機基のモル数に対するアリール基のモル数により、その含量を決定することができる。
【0061】
2.光学半導体用反射材料
本発明の他の側面は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いて形成される硬化物を含む光学半導体用反射材料を提供する。
【0062】
前記硬化物は、前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させて形成される。前記硬化物の形状は特に制限されず、例えば、シート状、フィルム状、凸レンズ状、凹レンズ状、フレネルレンズ状、円錐台状または四角錐台状などの形態であってよい。前記硬化物は、単独で取り扱われるか、またはこれが光半導体素子などを覆ったり、密封したり、接着したりする状態で取り扱われ得る。
【0063】
前記硬化物のショア硬度は、ShoreA 85以上であるのが好ましく、硬化物の硬度がShoreA 85未満であれば、成形された材料を切断する際にバリが発生しやすく、作業性が低下し得る。
【0064】
前記硬化物の厚さは、200から1,000μmであるのが好ましく、前記数値範囲以内で450nmの可視光透過率が3%以下であってよい。
【0065】
また、前記硬化物は、高温、例えば250℃で12時間保管後、薄膜反射率、ディスペンシング作業性、ソーイング作業性などを優秀に維持しながらも、5%未満の反射率の低下率を示し得る。
【0066】
前記硬化物を含む光学半導体用反射材料は、その用途が特に制限されておらず、前記光学半導体は、例えば、液晶ディスプレー用バックライトモジュール、モバイル携帯電話のフラッシュモジュール及び車両用照明モジュールなどであってよい。
【0067】
以下、本発明の理解を助けるたけに実施形態を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明に係る実施形態はいくつか異なる形態に変形されてよく、本発明の範囲が下記の実施形態に限定されるものに解釈されてはならない。本発明の実施形態は、本発明が属する分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0068】
実施例及び比較例
下記表1に記載された組成により硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造した。
【0069】
混合物の製造方法は特に制限されず、当業界に公知の分散機、例えば、プラネタリーミキサーなどを用いて製造することができる。
【0070】
【表1】
【0071】
・(A)第1オルガノポリシロキサン:Si中のSiO単位が50wt%であり、全有機基の含量が20.8mmol/gであり、ビニル基の含量が1.5mmol/gであり、25℃でパウダー(Powder)相であるシリコーンレジン((ViMeSiO1/20.125(MeSiO1/20.375(SiO0.5、CAS No.68584-83-8)
・(B-1)第2オルガノポリシロキサン:両末端がジメチルビニルシロキシ基からなっており、全有機基の含量が27mmol/gであり、ビニル基の含量が0.12mmol/gであり、25℃での粘度が1Pa.sであるポリジメチルシロキサン((ViMeSiO1/2)(MeSiO)225(ViMeSiO1/2)、CAS No.68083-19-2)
・(B-2)第2オルガノポリシロキサン:両末端がジメチルビニルシロキシ基からなっており、全有機基の含量が16.1mmol/gであり、フェニル基の含量が6.73mmol/g、ビニル基の含量が0.9mmol/gであり、25℃での粘度が1Pa.sであるポリメチルフェニルシロキサン((ViMeSiO1/2)(MeSiO)40(MePhSiO)(ViMeSiO1/2)、CAS No.156206-81-4)
・(C-1)第3オルガノポリシロキサン:両末端がトリメチルシロキシ基からなっており、全有機基の含量が30.32mmol/gであり、水素基含量が7.3mmol/gであり、25℃での粘度が0.04Pa.sであるポリジメチルメチルヒドロゲンシロキサン((MeSiO1/2)(MeSiO)19(HMeSiO)21(MeSiO1/2)、CAS No.68037-59-2)
・(C-2)第3オルガノポリシロキサン:3-[(ジメチルシリル)オキシ]-1,1,5,5,-テトラメチル-3-フェニルトリシロキサン(トリスジメチルシロキシフェニルシラン)((HMeSiO1/2(PhSiO1.5)、CAS No.18027-45-7)
・(D)顔料:平均1次粒子大きさが0.25μmであり、TiO含量が95%であり、Al、ZrO及びTMPで表面処理された酸化チタン(CAS No.13463-67-7)
・(E)シルセスキオキサン:平均1次粒子大きさが4μmであるポリメチルシルセスキオキサン(CAS No.68554-70-1)
・(F)ヒドロシリル化触媒:白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン溶液(白金含有量:1重量%)(CAS No.68478-92-2)
・(G-1):(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(CAS No.2530-83-8)
・(G-2):1-エテニル-1-シクロヘキサノール(CAS No.78-27-3)
・(G-3):平均1次粒子大きさが4μmであり、HMDZで表面処理されたシリカ(CAS No.67762-90-7)
【0072】
実験例
・粘度(mPa.s)、チクソ:Anton Paar社で製作したレオメータ(Rheometer、モデル名MCR301、MCR302)を用いて、25℃でShear rate 1/s値と10/s値を測定した。10/s値を粘度で表記しており、チクソ指数は次の数式によって求めた。
チクソ指数=(1/s粘度)/(10/s粘度)
【0073】
・硬度(Shore A):組成物を6mm厚さの試片を成形できるモールドで150℃、2時間硬化した後、Shore A型硬度計で25℃での硬度を測定した。
【0074】
・反射率(%):組成物を脱泡した後、四角のアプリケータを用いて250μmの塗膜を形成させ、150℃、2時間硬化して得た試片をPerkin Elmer社で製作したUV-Vis Spectrometer(モデル名Lambda 950)を用いて測定した。Baseは、測定装備の製造社で提供する硫酸バリウム標準試片である。
【0075】
・耐熱反射率(%):初期反射率を測定した試片を250℃、12時間熱貯蔵した後、反射率を測定して反射率が低下した値を数式によって示した。
耐熱反射率(%)=250℃で12時間貯蔵後の反射率-初期反射率
【0076】
・ディスペンシング作業性:組成物をVermes社製の圧電方式200μm Nozzleのロボットディスペンサーを用いて1回吐出量0.3mgを設定した後、20回の累積吐出量を1セットとし、100セットの値に対する変動係数(coef.var)値が0.5以下である場合を「pass」、0.5超過である場合を「fail」と表記した。
【0077】
・ソーイング(sawing)作業性:組成物を150℃で2時間硬化して250μm厚さのシート状の硬化物を製作した。製作した硬化物をDisco社製の200μm Blade dicing sawを用いて3,000個の矩形状の加工物に製作し、電子顕微鏡で切断面におけるバリ発生の有無を確認し、バリ発生の個数が10個未満である場合を「pass」、10個以上である場合を「fail」と表記した。
【0078】
【表2】
【0079】
前記表1及び表2を参考にすれば、フェニル基が多量含有される比較例1の場合、実施例1~5に比べ、フェニル基による変色により耐熱反射率が不良になったことが確認でき、顔料をそれぞれ、本発明によらずに少なく(比較例2)または多く(比較例3)含有する場合、薄膜反射率、または粘度、チクソ指数及び作業性などが低下することが確認できた。また、シルセスキオキサンをそれぞれ、本発明によらずに少なく(比較例4)または多く(比較例5)含有する場合、硬度及びソーイング作業性または粘度、チクソ指数及びディスペンシング作業性などが不良になることが確認できた。それだけでなく、補強性充填剤としてシルセスキオキサンを用いずにシリカを用いる比較例6の物性もやはり低下することが確認できた。