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特許7128387レーザ加工システム、及びレーザ加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】レーザ加工システム、及びレーザ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20220823BHJP
【FI】
B23K26/00 Q
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022532692
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2022009809
【審査請求日】2022-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】和泉 貴士
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-038010(JP,A)
【文献】特開平07-237165(JP,A)
【文献】特開平03-019789(JP,A)
【文献】特開2006-150418(JP,A)
【文献】特開昭59-156687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをレーザ加工するレーザ加工システムであって、
レーザ発振器が生成したレーザ光を出射するレーザ出射装置と、
前記レーザ出射装置が着脱可能に装着され、該レーザ出射装置を前記ワークに対して相対的に移動させるロボットと、
前記レーザ出射装置の前記ロボットへの着脱を検出する着脱検出センサと、
前記レーザ発振器を動作させて前記レーザ出射装置からレーザ光を出射するレーザ光出射動作、及び、前記ロボットを動作させて前記レーザ出射装置を前記ワークに対して移動させる移動動作を制御する制御装置と、
前記レーザ加工の運転モードを選択するモード選択スイッチと、を備え、
前記制御装置は、前記モード選択スイッチによって、前記運転モードとして、加工プログラムに従って前記レーザ光出射動作及び前記移動動作を自動で実行する自動運転モードが選択され、且つ、前記着脱検出センサが前記レーザ出射装置の前記ロボットへの装着を検出した場合に、該自動運転モードとして該レーザ光出射動作及び該移動動作を実行する、レーザ加工システム。
【請求項2】
前記制御装置に前記自動運転モードを開始させる自動運転開始指令の入力を受け付ける第1の入力部をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1の入力部へ前記入力がされたとき、前記モード選択スイッチによって前記自動運転モードが非選択となっているか、又は、前記着脱検出センサが前記レーザ出射装置の前記ロボットからの脱離を検出した場合は、前記自動運転モードとして前記レーザ光出射動作及び前記移動動作の少なくとも一方を開始しない、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の入力部に前記入力がされたときに、前記モード選択スイッチによって前記自動運転モードが非選択となっているか、又は、前記着脱検出センサが前記脱離を検出した場合、警告信号を生成する、請求項2に記載のレーザ加工システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記自動運転モードとして前記レーザ光出射動作及び前記移動動作を実行しているときに、前記モード選択スイッチが操作されて前記自動運転モードが非選択となるか、又は、前記着脱検出センサが前記レーザ出射装置の前記ロボットからの脱離を検出した場合、該レーザ光出射動作及び該移動動作のうちの少なくとも一方を停止する、請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記ロボット又は前記レーザ出射装置に加えられた外力を検出する力センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記自動運転モードとして前記レーザ光出射動作及び前記移動動作を実行しているときに前記力センサが検出した前記外力が所定の閾値を超えた場合、該レーザ光出射動作及び該移動動作の少なくとも一方を停止する、請求項1~4のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項6】
前記レーザ出射装置の姿勢を検出する姿勢検出センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記自動運転モードとして前記レーザ光出射動作及び前記移動動作を実行しているときに前記姿勢検出センサが検出した前記姿勢が、前記加工プログラムに規定された目標姿勢から逸脱した場合、該レーザ光出射動作及び該移動動作の少なくとも一方を停止する、請求項1~5のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項7】
前記制御装置に前記レーザ光出射動作を実行させる手動出射指令の入力を受け付ける第2の入力部をさらに備え、
前記モード選択スイッチは、前記運転モードを、前記自動運転モードと、前記制御装置が前記手動出射指令に応じて前記レーザ光出射動作を実行する手動運転モードとの間で切り替え可能に構成され、
前記制御装置は、前記モード選択スイッチによって前記手動運転モードが選択されているときに前記第2の入力部を通して受け付けた前記手動出射指令に応じて、該手動運転モードとして前記レーザ光出射動作を実行する、請求項1~6のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項8】
前記手動運転モードでの前記ワークの加工条件と、該手動運転モードの前記レーザ光出射動作で出射されるレーザ光の出力条件とを互いに関連付けて格納したデータテーブルをさらに備え、
前記制御装置は、前記データテーブルに基づいて、前記手動運転モードでの前記出力条件を設定する、請求項7に記載のレーザ加工システム。
【請求項9】
前記レーザ出射装置は、片手で把持可能な把持部を有し、
前記第2の入力部は、前記把持部を把持した前記片手で入力操作可能となるように、前記把持部に隣接して前記レーザ出射装置に設けられる、請求項7又は8に記載のレーザ加工システム。
【請求項10】
前記着脱検出センサは、
前記レーザ出射装置が前記ロボットに装着されたときに導通する一方、前記レーザ出射装置が前記ロボットから脱離したときに非導通となることで前記着脱を検出する接触式センサ、又は、
前記レーザ出射装置及び前記ロボットの一方から他方へ向けて電磁波を発信する発信部、及び該発信部からの前記電磁波を受信する受信部を有し、該受信部が受信した該電磁波に応じて前記着脱を検出する非接触式センサ、を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のレーザ加工システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のレーザ加工システムを用いてレーザ加工する方法であって、
プロセッサが、
前記モード選択スイッチによって前記自動運転モードが選択されたか否かを判定し、
前記着脱検出センサによって前記レーザ出射装置の前記ロボットへの装着が検出されたか否かを判定し、
前記モード選択スイッチによって前記自動運転モードが選択され、且つ、前記レーザ出射装置の前記ロボットへの装着が検出された場合に、該自動運転モードとして前記レーザ光出射動作及び前記移動動作を実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工システム、及びレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークをレーザ加工するレーザ加工システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-167974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ加工システムにおいて、ロボット及びレーザ発振器を加工プログラムに従って自動運転する自動運転モードでレーザ加工を実行する場合がある。この場合において、オペレータの安全を確保することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、ワークをレーザ加工するレーザ加工システムは、レーザ発振器が生成したレーザ光を出射するレーザ出射装置と、レーザ出射装置が着脱可能に装着され、該レーザ出射装置をワークに対して相対的に移動させるロボットと、レーザ出射装置のロボットへの着脱を検出する着脱検出センサと、レーザ発振器を動作させてレーザ出射装置からレーザ光を出射するレーザ光出射動作、及び、ロボットを動作させてレーザ出射装置をワークに対して移動させる移動動作を制御する制御装置と、レーザ加工の運転モードを選択するモード選択スイッチとを備える。
【0006】
制御装置は、モード選択スイッチによって、運転モードとして、加工プログラムに従ってレーザ光出射動作及び移動動作を自動で実行する自動運転モードが選択され、且つ、着脱検出センサがレーザ出射装置のロボットへの装着を検出した場合に、該自動運転モードとして該レーザ光出射動作及び該移動動作を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レーザ加工システムの自動運転を安全に実行することができるので、自動運転に対してオペレータの安全を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るレーザ加工システムの概略図である。
図2】一実施形態に係るレーザ加工システムのブロック図である。
図3】一実施形態に係るモード選択スイッチを示す。
図4】接触式センサとしての着脱検出センサを示す。
図5図4に示す着脱検出センサにおいて、レーザ出射装置がロボットから脱離した状態を示す。
図6】非接触式センサとしての着脱検出センサを示す。
図7図2に示すレーザ加工システムが実行するレーザ加工方法の一例を示すフローチャートである。
図8図7中のステップS2の一例を示すフローチャートである。
図9図7中のステップS3の一例を示すフローチャートである。
図10】他の実施形態に係るレーザ加工システムのブロック図である。
図11図10に示すレーザ加工システムが実行する図7中のステップS2の一例を示すフローチャートである。
図12】さらに他の実施形態に係るレーザ加工システムの概略図である。
図13図12に示すレーザ加工システムのブロック図である。
図14図13に示すレーザ加工システムが実行する図7中のステップS2の一例を示すフローチャートである。
図15】モード選択スイッチ画像の一例を示す。
図16】さらに他の実施形態に係るレーザ加工システムの概略図である。
図17図16に示すレーザ加工システムのブロック図である。
図18】さらに他の実施形態に係るレーザ加工システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。まず、図1及び図2を参照して、一実施形態に係るレーザ加工システム10について説明する。レーザ加工システム10は、オペレータと協働でワーク(図示せず)に対するレーザ加工(レーザ溶接、レーザ切断等)を実行できるシステムである。
【0010】
具体的には、レーザ加工システム10は、ロボット12、レーザ出射装置14、レーザ発振器16、及び制御装置18を備える。ロボット12は、レーザ出射装置14をワークに対して相対的に移動させる。本実施形態においては、ロボット12は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース20、旋回胴22、下腕部24、上腕部26、及び手首部28を有する。
【0011】
ロボットベース20は、作業セルの床の上に固定されている。旋回胴22は、鉛直軸周りに旋回可能となるように、ロボットベース20に設けられている。下腕部24は、旋回胴22に水平軸周りに回動可能に設けられている。上腕部26は、下腕部24の先端部に回動可能に設けられている。手首部28は、互いに直交する2つの軸周りに回動可能となるように上腕部26の先端部に設けられた手首ベース28aと、該手首ベース28aに回動可能に設けられた手首フランジ28bとを有する。
【0012】
ロボット12の各コンポーネント(つまり、ロボットベース20、旋回胴22、下腕部24、上腕部26、及び手首部28)には、複数のサーボモータ30(図2)がそれぞれ設けられている。これらサーボモータ30は、制御装置18からの指令に応じて、ロボット12の各可動コンポーネント(つまり、旋回胴22、下腕部24、上腕部26、手首部28、手首フランジ28b)を駆動軸周りに回動させる。これにより、ロボット12は、レーザ出射装置14をワークに対して移動させる。
【0013】
レーザ出射装置14は、ロボット12の手首フランジ28bに着脱可能に装着され、レーザ発振器16が生成したレーザ光LBを出射する。本実施形態においては、レーザ出射装置14は、レーザ加工ヘッドであって、ヘッド本体32、ノズル34、及び把持部36を備える。ヘッド本体32は、中空であって、その内部に、光学レンズ(コリメートレンズ、フォーカスレンズ等)、及び、制御装置18からの指令に応じて該光学レンズを変位させるレンズ駆動部(例えば、サーボモータ)等の光学系コンポーネントを収容している。
【0014】
ノズル34は、中空であって、ヘッド本体32の先端部に設けられている。ノズル34は、その基端部から先端部へ向かうにつれて断面積が小さくなるような円錐台状の外形を有し、その先端部に出射口34aが形成されている。ノズル34及びヘッド本体32の内部には、空洞のチャンバが形成され、該チャンバ内に、外部に設けられたアシストガス供給装置(図示せず)からアシストガスが供給される。レーザ発振器16が生成したレーザ光LBは、該チャンバ内を伝搬し、アシストガスとともに出射口34aから出射される。
【0015】
把持部36は、オペレータが片手で把持可能となるように、ヘッド本体32の基端部に設けられている。把持部36は、オペレータが片手で把持し易くするために、該片手の指に対応する凹部を有してもよい。オペレータは、該把持部36を把持してレーザ出射装置14を手首フランジ28bから取り外すことで、レーザ出射装置14を持ち運ぶことができる。
【0016】
レーザ発振器16は、制御装置18からの指令CM1(レーザパワー指令等)に応じて内部でレーザ発振し、レーザ光LBを生成する。レーザ発振器16は、ファイバレーザ発振器、COレーザ発振器、又は固体レーザ(YAGレーザ)発振器等、如何なるタイプのものであってもよい。レーザ発振器16は、生成したレーザ光LBを、導光路38を介してレーザ出射装置14に供給する。導光路38は、光ファイバ、空洞、水晶等の導光材、反射鏡、又は光学レンズ等によって構成される。
【0017】
制御装置18は、レーザ発振器16を動作させてレーザ出射装置14からレーザ光LBを出射するレーザ光出射動作LO、及び、ロボット12を動作させてレーザ出射装置14をワークに対して移動させる移動動作MOを制御する。具体的には、制御装置18は、プロセッサ40、メモリ42、及びI/Oインターフェース44を有するコンピュータである。
【0018】
プロセッサ40は、CPU又はGPU等を有し、メモリ42及びI/Oインターフェース44とバス46を介して通信可能に接続され、これらコンポーネントと通信しつつ、後述するレーザ加工を実行するための各種演算処理を行う。メモリ42は、RAM又はROM等を有し、プロセッサ40で実行される演算処理で利用される各種データ、及び演算処理の途中で生成される各種データを、一時的又は恒久的に記憶する。
【0019】
I/Oインターフェース44は、例えば、イーサネット(登録商標)ポート、USBポート、光ファイバコネクタ、又はHDMI(登録商標)端子を有し、プロセッサ40からの指令の下、外部機器との間でデータを有線又は無線で通信する。ロボット12(サーボモータ30)、レーザ出射装置14(レンズ駆動部)、及びレーザ発振器16は、I/Oインターフェース44に通信可能に接続されている。
【0020】
図1に示すように、ロボット12には、ロボット座標系C1が設定されている。ロボット座標系C1は、ロボット12の各可動コンポーネントの動作を自動制御するための座標系である。本実施形態においては、ロボット座標系C1は、その原点がロボットベース20の中心に配置され、そのz軸が旋回胴22の旋回軸(すなわち、鉛直方向)と平行となるように、ロボットベース20に対して固定して設定される。
【0021】
一方、レーザ出射装置14には、ツール座標系C2が設定されている。ツール座標系C2は、ロボット座標系C1におけるレーザ出射装置14の位置を自動制御するための座標系であって、ロボット座標系C1におけるレーザ出射装置14の位置を規定する。なお、本稿において、「位置」とは、位置及び姿勢を意味する場合がある。
【0022】
本実施形態においては、ツール座標系C2は、その原点(いわゆる、TCP)が、レーザ出射装置14の出射口34aの中心に配置され、そのz軸が、出射されるレーザ光LBの光軸と平行となる(具体的には、一致する)ように、レーザ出射装置14に対して設定されている。レーザ出射装置14の位置は、ロボット座標系C1におけるツール座標系C2の座標Q(X,Y,Z,W,P,R)として表される。
【0023】
座標Qのうち、座標(X,Y,Z)は、ロボット座標系C1におけるレーザ出射装置14(つまり、ツール座標系C2の原点)の位置を示し、座標(W,P,R)は、ロボット座標系C1におけるレーザ出射装置14の姿勢OR(つまり、ツール座標系C2の各軸の方向)を示す(いわゆる、ヨー、ピッチ、ロール)。
【0024】
レーザ出射装置14を移動させるとき、制御装置18は、ロボット座標系C1においてツール座標系C2を設定し、設定したツール座標系C2によって表される位置にレーザ出射装置14を位置決めするように、ロボット12の各サーボモータ30への指令CM2(位置指令、速度指令、トルク指令等)を生成する。こうして、制御装置18は、ロボット12を動作させて、レーザ出射装置14をロボット座標系C1の任意の位置へ位置決めできる。
【0025】
本実施形態においては、制御装置18に、モード選択スイッチ48が設けられている。モード選択スイッチ48は、制御装置18が実行するレーザ加工の運転モードDMを選択するためのものである。図3に示すように、本実施形態においては、モード選択スイッチ48は、運転モードDMを、「AUTO」として表される自動運転モードDM1と、「MANUAL」として表される手動運転モードDM2との間で切り替え可能に構成されている。
【0026】
自動運転モードDM1は、制御装置18が、予め作成された加工プログラムPGに従ってレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを自動で実行する運転モードDMである。この自動運転モードDM1においては、制御装置18は、加工プログラムPGに従って、レーザ発振器16への指令CM1と、ロボット12(サーボモータ30)への指令CM2を順次生成し、該指令CM1及びCM2に従って、レーザ発振器16及びロボット12を自動運転する。なお、加工プログラムPGは、レーザ発振器16の動作を規定する第1の加工プログラムPG1と、ロボット12の動作を規定する第2の加工プログラムPG2とを有してもよい。加工プログラムPG(PG1、PG2)は、メモリ42に予め格納される。
【0027】
一方、手動運転モードDM2は、オペレータがレーザ出射装置14を手で把持して持ち運び、制御装置18にレーザ光出射動作LOを手動で実行させて、レーザ出射装置14から出射されるレーザ光LBでワークを手動でレーザ加工する運転モードDMである。この手動運転モードDM2においては、オペレータは、後述する手動出射指令CM3を制御装置18に手動で与え、制御装置18は、該手動出射指令CM3に応じて、レーザ光出射動作LOを実行する。
【0028】
オペレータは、モード選択スイッチ48を操作することによって、運転モードDMを、自動運転モードDM1と手動運転モードDM2との間で切り替えることができる。なお、図3は、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1(「AUTO」)が選択されている状態を示している。
【0029】
モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が選択されると、モード選択スイッチ48は、自動運転モード移行指令CM4を制御装置18へ供給する。一方、モード選択スイッチ48によって手動運転モードDM2が選択されると、モード選択スイッチ48は、手動運転モード移行指令CM5を制御装置18へ供給する。なお、自動運転モード移行指令CM4及び手動運転モード移行指令CM5は、ON/OFF信号(例えば、自動運転モード移行指令CM4:ON信号、手動運転モード移行指令CM5:OFF信号)であってもよい。
【0030】
図2に示すように、制御装置18には、入力装置50及び表示装置52がさらに設けられている。入力装置50は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等を有し、オペレータからデータ入力を受け付ける。表示装置52は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を有し、各種データを表示する。
【0031】
入力装置50及び表示装置52は、I/Oインターフェース44に、有線又は無線で通信可能に接続されている。なお、入力装置50及び表示装置52は、制御装置18の筐体に一体に組み込まれてもよいし、又は、例えば1つのコンピュータ(PC等)として、制御装置18の筐体とは別体として設けられてもよい。
【0032】
レーザ加工システム10は、着脱検出センサ54、及び力センサ56をさらに備える。着脱検出センサ54は、レーザ出射装置14の、ロボット12への着脱を検出する。一例として、着脱検出センサ54は、レーザ出射装置14が手首フランジ28bに装着されたときに導通する一方、レーザ出射装置14が手首フランジ28bから脱離したときに非導通となることで、レーザ出射装置14の手首フランジ28bへの着脱を検出する接触式センサを含む。
【0033】
このような接触式センサとしての着脱検出センサ54の一例を、図4及び図5に示す。図4及び図5に示す例では、着脱検出センサ54は、ヘッド本体32の外壁に内蔵されており、一対の端子58及び60、抵抗検出センサ62、並びに、端子58及び60と抵抗検出センサ62とを電気的に接続する導線64を有する。
【0034】
端子58及び60は、導電性材料(鉄、銅等)から構成され、ヘッド本体32の外壁に形成された穴32aの内部に画定された空間に露出するように、互いに対向して配置されている。抵抗検出センサ62は、制御装置18のI/Oインターフェース44に接続され、端子58及び60の間に電圧を印加することで該端子58及び60の間の抵抗Rを検出する。
【0035】
一方、手首フランジ28bには、該手首フランジ28bの外面から外方へ突出する突起部28cが設けられている。突起部28cは、導電性材料(鉄、銅等)から構成される。図4に示すようにレーザ出射装置14が手首フランジ28bに適切に装着されているとき、突起部28cは、穴32aに挿入され、端子58及び60と接触する。その結果、端子58及び60が、突起部28cを介して導通する。
【0036】
一方、図5に示すように、レーザ出射装置14が手首フランジ28bから脱離すると、端子58及び60が非導通となり、端子58及び60の間の抵抗Rが顕著に増大する(R≒∞)。抵抗検出センサ62は、レーザ出射装置14の手首フランジ28bへの着脱に応じて変化する抵抗Rを検出し、該抵抗Rによって、レーザ出射装置14の手首フランジ28bへの着脱を検出する。
【0037】
例えば、抵抗検出センサ62は、検出した抵抗Rが所定の閾値Rthを超えた(R>Rth)ときに、レーザ出射装置14が手首フランジ28bから脱離したことを示す脱離信号Sd(例えば、OFF又は「0」信号)を制御装置18に送信する。代替的には、抵抗検出センサ62は、抵抗Rの検出データDrを制御装置18に送信し、制御装置18のプロセッサ40が、R>Rthとなったか否かを判定することで、レーザ出射装置14の脱離を検出してもよい。
【0038】
こうして、図4及び図5に示す接触式の着脱検出センサ54は、ロボット12の部材としての突起部28cと接触することで、レーザ出射装置14の手首フランジ28bへの着脱を検出する。このような接触式センサによれば、レーザ出射装置14の手首フランジ28bからの脱離を、より確実に検知できる。
【0039】
なお、一対の端子58及び60は、穴32aの開口部32bよりも底部32cに近い位置に設けられてもよい。この構成によれば、着脱検出センサ54は、レーザ出射装置14の手首フランジ28bからの僅かな脱離(ずれ)も検出できる。また、着脱検出センサ54は、手首フランジ28bに内蔵されてもよい。この場合、手首フランジ28bに穴32aが形成される一方、ヘッド本体32の外壁に突起部28cが形成される。
【0040】
他の例として、着脱検出センサ54は、レーザ出射装置14の手首フランジ28bへの着脱を非接触で検出する非接触式センサを有してもよい。このような非接触式センサとしての着脱検出センサ54の一例を、図6に示す。図6に示す例では、着脱検出センサ54は、ヘッド本体32の外壁に内蔵されており、発信部66、及び受信部68を有する。発信部66は、手首フランジ28bへ向けて電磁波EW(例えば、赤外線)を発信する。
【0041】
レーザ出射装置14が手首フランジ28bに適切に装着されている場合、発信部66から発信された電磁波EWは、手首フランジ28bの外面で反射する。受信部68は、手首フランジ28bで反射した電磁波EWを受信する。図6に示す着脱検出センサ54は、受信部68が受信した電磁波EWに応じて、レーザ出射装置14の手首フランジ28bへの着脱を非接触で検出する。
【0042】
例えば、受信部68は、反射した電磁波EWを検出していないとき、レーザ出射装置14が手首フランジ28bから脱離したことを示す脱離信号Sdを制御装置18に送信する。代替的には、受信部68は、電磁波EWの検出データDeを制御装置18に送信し、制御装置18のプロセッサ40が、検出データDeに基づいて、レーザ出射装置14の脱離を検出してもよい。
【0043】
このような非接触式センサによれば、レーザ出射装置14の手首フランジ28bからの脱離を、迅速に非接触で検出できる。なお、着脱検出センサ54の発信部66が、手首フランジ28b及びヘッド本体32の一方に設けられ、受信部68が、手首フランジ28b及びヘッド本体32の他方に設けられてもよい。
【0044】
再度、図1及び図2を参照して、力センサ56は、ロボット12又はレーザ出射装置14に加えられた外力Fを検出する。一例として、力センサ56は、ロボット12の各サーボモータ30に内蔵され、該サーボモータ30の出力軸に掛かるトルクを検出するトルクセンサを有する。
【0045】
制御装置18のプロセッサ40は、各々のトルクセンサの検出データDτから、ロボット12(例えば、上腕部26又は手首部28)、又はレーザ出射装置14に加えられた外力Fの大きさ及び方向と、該外力Fが加えられた部位(例えば、上腕部26、手首部28、又はレーザ出射装置14)を検出できる。
【0046】
他の例として、力センサ56は、6軸力覚センサを有する。6軸力覚センサは、ロボット12のコンポーネント(例えば、ロボットベース20、又は手首部28)に内蔵され、円筒状の本体部と、該本体部に設けられた複数の歪ゲージとを有する。制御装置18は、各々の歪ゲージの検出データDfから、ロボット12又はレーザ出射装置14に加えられた外力Fの大きさ及び方向と、該外力Fが加えられた部位を検出できる。
【0047】
さらに他の例として、力センサ56は、各サーボモータ30からのフィードバック電流を検出する電流センサを有する。このフィードバック電流は、サーボモータ30に掛かるトルクに応じて変化するので、制御装置18は、上述のトルクセンサと同様に、各々の電流センサの検出データDi(つまり、フィードバック電流)から外力Fを検出できる。
【0048】
次に、図7図9を参照して、レーザ加工システム10が実行するレーザ加工方法について、説明する。図7のフローは、例えば、制御装置18のプロセッサ40が、オペレータ、コンピュータプログラム、又は上位コントローラから動作開始指令(例えば、電源ON指令)を受け付けたときに、開始される。
【0049】
ステップS1において、プロセッサ40は、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が選択されたか否かを判定する。具体的には、プロセッサ40は、モード選択スイッチ48から自動運転モード移行指令CM4を受け付けたか、又は手動運転モード移行指令CM5を受け付けたかを判定する。プロセッサ40は、自動運転モード移行指令CM4を受け付けた場合はYESと判定し、ステップS2へ進む一方、手動運転モード移行指令CM5を受け付けた場合はNOと判定し、ステップS3へ進む。
【0050】
ステップS2において、プロセッサ40は、動作モードDMを、自動運転モードDM1へ移行する。以下、図8を参照して、ステップS2の自動運転モードDM1での動作フローについて説明する。自動運転モードDM1へ移行後、ステップS11において、プロセッサ40は、制御装置18に自動運転モードDM1での自動運転を開始させる自動運転開始指令CM6を受け付けたか否かを判定する。
【0051】
具体的には、プロセッサ40は、自動運転を開始するためのボタン画像が表示された自動運転開始画像(図示せず)を生成し、表示装置52に表示する。オペレータは、入力装置50を操作して、自動運転開始画像に表示されたボタン画像を画像上でクリックすることで、自動運転開始指令CM6を制御装置18へ与えるための入力をすることができる。
【0052】
このように、本実施形態においては、入力装置50は、制御装置18に自動運転モードDM1を開始させる自動運転開始指令CM6の入力を受け付ける第1の入力部70(図1)として機能する。プロセッサ40は、自動運転開始指令CM6を受け付けたときはYESと判定し、ステップS14へ進む一方、NOと判定したときはステップS12へ進む。
【0053】
ステップS12において、プロセッサ40は、動作終了指令CM7(例えば、シャットダウン指令)を受け付けたか否かを判定する。例えば、オペレータは、入力装置50を操作して、動作終了指令CM7を入力する。プロセッサ40は、動作終了指令CM7を受け付けたときはYESと判定し、図8に示すステップS2のフローを終了し、以って、図7に示すフローを終了する。一方、プロセッサ40は、NOと判定した場合、ステップS13へ進む。
【0054】
ステップS13において、プロセッサ40は、モード選択スイッチ48によって依然として自動運転モードDM1が選択されているか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS11へ戻る一方、NOと判定した(つまり、モード選択スイッチ48が手動運転モードDM2に切り替えられた)場合は、図7のステップS3へ進む。
【0055】
ステップS14において、プロセッサ40は、ステップS13と同様に、モード選択スイッチ48によって依然として自動運転モードDM1が選択されているか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS15へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS24へ進む。
【0056】
ステップS15において、プロセッサ40は、レーザ出射装置14がロボット12(具体的には、手首フランジ28b)から脱離しているか否かを判定する。具体的には、プロセッサ40は、上述の脱離信号Sd、又は、検出データDr若しくはDeに基づいて、着脱検出センサ54によってレーザ出射装置14のロボット12からの脱離が検出されたか否かを判定する。プロセッサ40は、レーザ出射装置14のロボット12からの脱離が検出された場合はYESと判定し、ステップS22へ進む一方、レーザ出射装置14のロボット12への装着が検出された場合はNOと判定し、ステップS16へ進む。
【0057】
ステップS16において、プロセッサ40は、自動運転を開始する。具体的には、プロセッサ40は、加工プログラムPGに従って、レーザ発振器16への指令CM1と、ロボット12への指令CM2とを順次生成し、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOを自動で実行する自動運転を開始する。
【0058】
ステップS17において、プロセッサ40は、上述のステップS14と同様に、モード選択スイッチ48によって依然として自動運転モードDM1が選択されているか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS18へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS23へ進む。
【0059】
ステップS18において、プロセッサ40は、上述のステップS15と同様に、レーザ出射装置14がロボット12から脱離しているか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS21へ進む一方、NOと判定した場合はステップS19へ進む。
【0060】
ステップS19において、プロセッサ40は、力センサ56によって検出された外力Fが所定の閾値Fthを超えた(F>Fth)か否かを判定する。プロセッサ40は、F>Fthとなった場合はYESと判定し、ステップS21へ進む一方、NOと判定した場合はステップS20へ進む。
【0061】
なお、プロセッサ40は、力センサ56の検出データDτ、Df又はDiに基づいて、ロボット12及びレーザ出射装置14の特定の部位(例えば、手首部28、又はレーザ出射装置14)に加えられた外力F1を監視し、該外力F1が閾値F1thを超えた(F1>F1th)場合にYESと判定してもよい。
【0062】
ステップS20において、プロセッサ40は、自動運転が終了したか否かを判定する。例えば、プロセッサ40は、実行する加工プログラムPGから、該加工プログラムPGに規定されているレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを全て完了したか否かを判定できる。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS12へ進む一方、NOと判定した場合はステップS17へ戻る。こうして、プロセッサ40は、ステップS18、S19又はS20でYESと判定するまで、ステップS17~S20のループを繰り返し実行し、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを実行する。
【0063】
一方、ステップS18又はS19でYESと判定した場合、ステップS21において、プロセッサ40は、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方を停止する。一例として、プロセッサ40は、このステップS21において、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの双方を停止してもよい。
【0064】
具体的には、プロセッサ40は、ロボット12の各サーボモータ30への指令(トルク指令等)を停止することで該サーボモータ30の動作を停止し、以って、移動動作MOを停止する。代替的には、各サーボモータ30の出力軸を制動するブレーキ機構が設けられている場合において、プロセッサ40は、各ブレーキ機構を作動することで各サーボモータ30の動作を強制的に停止させ、以って、移動動作MOを停止してもよい。
【0065】
また、プロセッサ40は、レーザ発振器16のレーザ光生成動作を停止させることで、レーザ光出射動作LOを停止する。代替的には、レーザ発振器16に、レーザ光LBの光路を自動で開閉するシャッタが設けられている場合において、プロセッサ40は、該シャッタによってレーザ光LBを遮蔽することで、レーザ光出射動作LOを停止してもよい。
【0066】
他の例として、プロセッサ40は、ステップS18でYESと判定した後のステップS21では、レーザ光出射動作LOを停止する一方で移動動作MOを継続し、ステップS19でYESと判定した後のステップS21では、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの双方を停止してもよい。
【0067】
このように、本実施形態においては、ロボット12は、力センサ56が検出した外力Fに応じて動作を停止可能な協働ロボットである。このように停止可能な協働ロボットの場合、ステップS18でYESと判定したとしても、レーザ光出射動作LOだけを停止させれば、オペレータの安全を確保でき得る。
【0068】
さらに他の例として、プロセッサ40は、ステップS18でYESと判定した後のステップS21では、レーザ光出射動作LOを停止する一方で移動動作MOを継続し、ステップS19でYESと判定した後のステップS21では、移動動作MOを停止する一方、レーザ光出射動作LOを継続してもよい。仮に、ステップS19でYESと判定しても、レーザ出射装置14の姿勢OR(つまり、レーザ光LBの出射方向)が大きく変化しなければ、オペレータの安全を確保でき得る。
【0069】
ステップS22において、プロセッサ40は、警告信号ALを生成する。例えば、ステップS15又はS18でYESと判定した後のステップS22において、プロセッサ40は、「レーザ出射装置がロボットから脱離した可能性があります。レーザ出射装置が正しく装着されているか確認してください」という画像又は音声の警告信号AL1を生成する。
【0070】
一方、ステップS19でYESと判定した後のステップS22において、プロセッサ40は、例えば、「ロボットが環境物と干渉した可能性があります。ロボットの周囲を確認してください」という画像又は音声の警告信号AL2を生成する。プロセッサ40は、生成した警告信号AL1又はAL2を、表示装置52に画像として表示するか、又は、制御装置18に設けられたスピーカ(図示せず)から音声として出力してもよい。ステップS22の後、プロセッサ40は、ステップS12へ戻る。
【0071】
一方、ステップS17でNOと判定した場合、ステップS23において、プロセッサ40は、上述のステップS21と同様に、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方を停止する。例えば、プロセッサ40は、このステップS23において、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの双方を停止する。
【0072】
ステップS24において、プロセッサ40は、警告信号ALを生成する。例えば、プロセッサ40は、「運転モードが変更されたため自動運転を実行できません」という画像又は音声の警告信号AL3を生成する。プロセッサ40は、生成した警告信号AL3を、表示装置52に画像として表示するか、又はスピーカから音声として出力してもよい。ステップS24の後、プロセッサ40は、図7のステップS3へ進む。
【0073】
再度、図7を参照して、ステップS1でNOと判定(つまり、モード選択スイッチ48によって手動運転モードDM2が選択)された場合、プロセッサ40は、ステップS3において、動作モードDMを、手動運転モードDM2へ移行する。以下、図9を参照して、ステップS3の手動運転モードDM2での動作フローについて説明する。
【0074】
手動運転モードDM2へ移行後、ステップS31において、プロセッサ40は、手動出射指令CM3を受け付けたか否かを判定する。ここで、レーザ加工システム10は、手動出射指令CM3の入力を受け付ける第2の入力部72(図1図2)をさらに備える。第2の入力部72は、押しボタン、スイッチ、又はタッチパネル等を有し、制御装置18のI/Oインターフェース44に通信可能に接続されている。
【0075】
本実施形態においては、第2の入力部72は、レーザ出射装置14の把持部36を把持したオペレータの片手で入力操作可能となるように、該把持部36に隣接してレーザ出射装置14に設けられている。オペレータは、把持部36を把持した片手の指で第2の入力部72を操作することで、手動出射指令CM3を制御装置18に手動で発信するための入力をすることができる。
【0076】
オペレータによる入力操作に応じて、第2の入力部72は、手動出射指令CM3(例えば、ON又は「1」信号)を制御装置18に送信する。このステップS31において、プロセッサ40は、第2の入力部72から手動出射指令CM3を受け付けた場合はYESと判定し、ステップS32へ進む一方、NOと判定した場合はステップS35へ進む。
【0077】
ステップS32において、プロセッサ40は、第2の入力部72を通して受け付けた手動出射指令CM3に応じて、手動運転モードDM2としてレーザ光出射動作LOを実行する。ここで、本実施形態においては、手動運転モードDM2でのワークの加工条件Cと、該手動運転モードDM2のレーザ光出射動作LOで出射されるレーザ光LBの出力条件Cとを互いに関連付けて格納したデータテーブル74(図2)が、メモリ42に予め格納される。
【0078】
加工条件Cは、例えば、ワークの材質(SUS、アルミ等)、厚さ[mm]、及び融点[℃]を含む。一方、出力条件Cは、例えば、レーザ光LBのレーザパワー[kW]、デューティ比[%]、及びパルス発振周波数[Hz]を含む。データテーブル74は、複数の加工条件C(材質、厚さ、融点)毎に、出力条件C(レーザパワー、デューティ比、パルス発振周波数)を関連付けて格納している。
【0079】
プロセッサ40は、データテーブル74に基づいて、手動運転モードDM2での出力条件Cを予め設定する。一例として、オペレータは、加工対象とするワークの加工条件C(例えば、材質及び厚さ)に対応する出力条件Cを、データテーブル74の中から手動で選択してもよい。この場合において、プロセッサ40は、データテーブル74の画像を生成し、表示装置52に表示する。
【0080】
オペレータは、データテーブル74の画像を視認しつつ、入力装置50を操作して、加工対象とするワークの加工条件Cに対応する出力条件Cを、データテーブル74から検索して選択する。プロセッサ40は、入力装置50を通してオペレータの入力を受け付けて、データテーブル74から選択された出力条件Cを、手動運転モードDM2での出力条件として設定する。
【0081】
他の例として、オペレータは、入力装置50を操作して、加工対象とするワークの加工条件Cを入力してもよい。この場合、プロセッサ40は、入力装置50を通してオペレータによって入力された加工条件Cに対応する出力条件Cを、データテーブル74から自動で検索し、検索した出力条件Cを、手動運転モードDM2での出力条件として設定する。こうして、プロセッサ40は、データテーブル74に基づいて、手動運転モードDM2での出力条件Cを予め設定する。
【0082】
このステップS32において、プロセッサ40は、手動出射指令CM3に応じて、予め設定した出力条件Cに従ってレーザ発振器16への指令CM1を生成し、出力条件Cに規定されたレーザパワー、デューティ比、及びパルス発振周波数を有するレーザ光LBを生成するように、レーザ光生成動作LOを実行する。その結果、オペレータは、片手で把持したレーザ出射装置14から、所望の出力条件Cのレーザ光LBを出射して、ワークを手動でレーザ加工することができる。
【0083】
ステップS33において、プロセッサ40は、第2の入力部72から手動出射指令CM3を継続して受信している(例えば、継続して手動出射指令CM3の信号がON又は「1」である)か否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定している間はステップS33をループする一方、NOと判定した場合(つまり、手動出射指令CM3の信号がOFF又は「0」となった場合)は、ステップS34へ進む。こうして、プロセッサ40は、ステップS33でNOと判定するまで、手動運転モードDM2でのレーザ光生成動作LOを継続する。
【0084】
ステップS34において、プロセッサ40は、レーザ光生成動作LOを停止する。例えば、プロセッサ40は、レーザ発振器16のレーザ光生成動作を停止させるか、又は、上述のシャッタによってレーザ光LBを遮蔽することで、レーザ光出射動作LOを停止してもよい。
【0085】
ステップS35において、プロセッサ40は、上述のステップS12と同様に、動作終了指令CM7を受け付けたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合は、図9に示すステップS3のフローを終了し、以って、図7に示すフローを終了する。一方、プロセッサ40は、NOと判定した場合は、ステップS36へ進む。
【0086】
ステップS36において、プロセッサ40は、上述のステップS13と同様に、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が選択されたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合は、図8のステップS2へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS31へ戻る。
【0087】
以上のように、本実施形態においては、制御装置18(具体的には、プロセッサ40)は、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が選択され(ステップS14及びS17でYESと判定)、且つ、着脱検出センサ54がレーザ出射装置14のロボット12への装着を検出(ステップS15及びS18でNOと判定)した場合に、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを実行している。
【0088】
すなわち、本実施形態においては、制御装置18は、モード選択スイッチ48による自動運転モードDM1の選択と、レーザ出射装置14のロボット12への装着という2つの条件を満たすときにのみ、自動運転モードDM1でのレーザ光出射動作LO及び移動動作MOの自動運転を実行している。この構成によれば、レーザ加工システム10の自動運転を安全に実行することができるので、自動運転に対してオペレータの安全を確保できる。
【0089】
また、本実施形態においては、制御装置18は、第1の入力部70(具体的には、入力装置50)へ自動運転開始指令CM6の入力がされたとき、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が非選択となっている(ステップS14でNOと判定)か、又は、着脱検出センサ54がレーザ出射装置14のロボット12からの脱離を検出(ステップS15でYESと判定)した場合は、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを開始しない。この構成によれば、自動運転を開始するときのオペレータの安全を、確実に確保できる。
【0090】
なお、プロセッサ40は、自動運転開始指令CM6の入力がされたとき、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が非選択となっているか、又は着脱検出センサ54がレーザ出射装置14のロボット12からの脱離を検出した場合でも、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LO又は移動動作MOを開始してもよい。
【0091】
具体的には、ロボット12が停止可能な協働ロボットである場合、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が非選択となっているか、又は着脱検出センサ54がレーザ出射装置14のロボット12からの脱離を検出した場合でも、自動運転モードDM1として移動動作MOを開始したとしても、オペレータの安全を確保でき得る。また、仮に、オペレータが後述の安全柵の外側に居る場合は、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LOを開始したとしても、オペレータの安全を確保でき得る。
【0092】
また、本実施形態においては、制御装置18は、第1の入力部70に自動運転開始指令CM6の入力がされたときに、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が非選択となっているか、又は着脱検出センサ54がレーザ出射装置14の脱離を検出した場合、警告信号ALを生成している(ステップS22、S24)。この構成によれば、オペレータは、自動運転モードDM1の非選択、又はレーザ出射装置14の脱離を、直感的且つ確実に認識できる。
【0093】
また、本実施形態においては、制御装置18は、自動運転モードDMとしてレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを実行しているときに、モード選択スイッチ48が操作されて自動運転モードDM1が非選択となる(ステップS17でNOと判定)か、又は、着脱検出センサ54がレーザ出射装置14の脱離を検出(ステップS18でYESと判定)した場合、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOのうちの少なくとも一方を停止している(ステップS21)。この構成によれば、自動運転中のオペレータの安全を、確実に確保できる。
【0094】
また、本実施形態においては、制御装置18は、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを実行しているときに力センサ56が検出した外力Fが所定の閾値Fthを超えた場合(ステップS19でYESと判定)、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方を停止している(ステップS21)。この構成によれば、仮に自動運転中にロボット12が周囲の環境物と干渉することでレーザ出射装置14の姿勢ORが変化し、又は、ロボット12又はレーザ出射装置14がオペレータと衝突した場合等においても、オペレータの安全を確実に確保できる。
【0095】
また、本実施形態においては、制御装置18は、モード選択スイッチ48によって手動運転モードDM2が選択されているときに第2の入力部72を通して受け付けた手動出射指令CM3に応じて、該手動運転モードDM2としてレーザ光出射動作LOを実行する(ステップS32)。この構成によれば、オペレータは、必要に応じて、レーザ加工(例えば、レーザ溶接)の一部を手動で実行できるようになる。これにより、オペレータとロボット12とが協働してレーザ加工を遂行できるので、作業効率を向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態においては、制御装置18は、データテーブル74に基づいて、手動運転モードDM2での出力条件Cを設定している。この構成によれば、オペレータは、ワークの加工条件C(ワークの材質、厚さ、融点等)に応じて、手動運転モードDM2での出力条件Cを最適化できる。しかしながら、データテーブル74を用いることなく、手動運転モードDM2での出力条件Cが、所定の所要値として、オペレータによって予め定められてもよい。この場合、レーザ加工システム10からデータテーブル74を省略できる。
【0097】
また、本実施形態においては、レーザ出射装置14は、オペレータが片手で把持可能な把持部36を有し、第2の入力部72は、把持部36を把持した該片手で入力操作可能となるように、把持部36に隣接してレーザ出射装置14に設けられている。この構成によれば、オペレータは、レーザ出射装置14の把持と、第2の入力部72の入力操作を片手で実行できるので、手動のレーザ加工を容易に実行できる。
【0098】
なお、モード選択スイッチ48によって手動運転モードDM2が選択(ステップS13、S14又はS17でNOと判定)されたとき、制御装置18のプロセッサ40は、オペレータによる手動レーザ加工を補助するための協働動作をロボット12に実行させる協働動作プログラムPG’を実行してもよい。
【0099】
この協働動作プログラムPG’は、例えば、オペレータが手動でレーザ加工を実行している間に、ワークを保持して移動(例えば、回転)させるか、又は、ワークを治具にローディングする協働動作をロボット12に実行させるように構成されてもよい。この場合において、ロボット12の手首部28に、レーザ出射装置14に加えて(又は、代わりに)、ワークを保持可能なロボットハンドが取り付けられてもよい。この構成によれば、オペレータは、手動のレーザ加工を、ロボット12と協働して効果的に実行することができる。
【0100】
なお、図9のステップS31又はS33でYESと判定したときに、プロセッサ40は、上述のステップS15を実行し、レーザ出射装置14がロボット12から脱離しているか否かを判定してもよい。そして、レーザ出射装置14がロボット12に装着されている(つまり、NO)と判定した場合に、プロセッサ40は、手動運転モードDM2としてのレーザ光出射動作LO、及び、上述したロボット12の協働動作の少なくとも一方を停止し、上述のステップS22と同様に警告信号ALを生成してもよい。
【0101】
この場合において、プロセッサ40は、手動運転モードDM2としてレーザ光出射動作LOを停止するか否か、協働動作を停止するか否か、及び、警告信号を生成するか否かを、設定データとして、入力装置50を通してオペレータから予め受け付けてもよい。この構成によれば、オペレータは、手動運転モードDM2でのロボット12及びレーザ発振器16の動作を任意に設計できる。
【0102】
なお、上述の実施形態においては、着脱検出センサ54が、接触式センサ又は非接触式センサから構成される場合について述べた。しかしながら、これに限らず、着脱検出センサ54は、例えば、上述のトルクセンサ、6軸力覚センサ、又は電流センサから構成されてもよい。
【0103】
制御装置18は、トルクセンサの検出データDτ、6軸力覚センサの検出データDf、又は、電流センサの検出データDiから、レーザ出射装置14がロボット12に装着されているか否かを検出できる。この場合において、トルクセンサ、6軸力覚センサ、又は電流センサは、外力Fを検出する力センサ56の機能と、レーザ出射装置14のロボット12への着脱を検出する着脱検出センサ54の機能とを兼備してもよい。すなわち、この場合、トルクセンサ、6軸力覚センサ、又は電流センサは、力センサ56及び着脱検出センサ54として機能することになる。
【0104】
次に、図1及び図10を参照して、他の実施形態に係るレーザ加工システム80について説明する。レーザ加工システム80は、上述のレーザ加工システム10と、姿勢検出センサ82をさらに備える点で相違する。姿勢検出センサ82は、レーザ出射装置14の姿勢ORを検出する。この姿勢ORは、例えば、ロボット座標系C1におけるツール座標系C1の各軸の方向を示す座標(W,P,R)として表され得る。
【0105】
一例として、姿勢検出センサ82は、ロボット12の各サーボモータ30に内蔵され、該サーボモータ30の回転(例えば、回転角度又は回転位置)を検出するエンコーダ(又は、ホール素子)を有する。制御装置18のプロセッサ40は、各々のエンコーダの検出データDcから、レーザ出射装置14の姿勢ORを求めることができる。
【0106】
他の例として、姿勢検出センサ82は、レーザ出射装置14(又は、手首フランジ28b)に設けられたジャイロセンサを有してもよい。プロセッサ40は、ジャイロセンサの検出データDgから、レーザ出射装置14の姿勢ORを求めることができる。姿勢検出センサ82は、制御装置18のI/Oインターフェース44に接続され、プロセッサ40は、I/Oインターフェース44を通して、姿勢検出センサ82の検出データDc又はDgを取得し、該検出データDc又はDgに基づいて、ロボット座標系C1における姿勢ORの座標(W,P,R)を演算により求める。
【0107】
次に、図7及び図11を参照して、レーザ加工システム80が実行するレーザ加工方法について説明する。レーザ加工システム80においては、制御装置18のプロセッサ40は、図7に示す動作フローを実行する。ここで、レーザ加工システム80の動作フローは、上述のレーザ加工システム10のフローと、ステップS2において相違する。レーザ加工システム80が実行するステップS2を、図11に示す。なお、図11に示すフローにおいて、図8に示すフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。
【0108】
図11に示すステップS2においては、ステップS15でNOと判定したとき、ステップS41において、プロセッサ40は、姿勢検出センサ82が検出した姿勢ORが、加工プログラムPGに規定された目標姿勢ORから逸脱したか否かを判定する。具体的には、プロセッサ40は、姿勢検出センサ82によって直近に検出されたレーザ出射装置14の姿勢ORを示す座標Q(W,P,R)を取得し、該座標Q(W,P,R)を、3×3の行列Mとして表す。
【0109】
この行列Mにおいては、第1列目の3つのパラメータで表されるベクトルV1は、ツール座標系C2のx軸周りの回転成分を示す単位ベクトルであり、第2列目の3つのパラメータで表されるベクトルV2は、ツール座標系C2のy軸周りの回転成分を示す単位ベクトルであり、第3列目の3つのパラメータで表されるベクトルV3は、ツール座標系C2のz軸周りの回転成分を示す単位ベクトルである。
【0110】
一方、プロセッサ40は、加工プログラムPGから、この時点での目標姿勢ORの座標Q(W,P,R)を取得し、該座標Q(W,P,R)を、3×3の行列Mとして表す。そして、プロセッサ40は、行列Mの第1列目のベクトルV1と、行列Mの第1列目のベクトルV1との内積IP1を求める。この内積IP1は、ベクトルV1とベクトルV1との間の角度φ1(具体的には、cosφ1)、すなわち、ツール座標系C2のx軸周りの方向における、姿勢ORの目標姿勢ORからのずれを表す。
【0111】
また、プロセッサ40は、行列Mの第3列目のベクトルV3(又は、第2列目のベクトルV2)と、行列Mの第3列目のベクトルV3(又は、第2列目のベクトルV2)との内積IP3を求める。この内積IP3は、ベクトルV3とベクトルV3との間の角度φ3(具体的には、cosφ3)、すなわち、ツール座標系C2のz軸周りの方向における、姿勢ORの目標姿勢ORからのずれを表す。
【0112】
そして、プロセッサ40は、求めた内積IP1が、予め定めた閾値IP1th以下(IP1≦IP1th)であるか否かを判定するとともに、求めた内積IP3が、予め定めた閾値IP3th以下(IP3≦IP3th)であるか否かを判定する。プロセッサ40は、IP1≦IP1th、又は、IP3≦IP3thである場合は、この時点でのレーザ出射装置14の姿勢ORが目標姿勢ORから逸脱している(すなわち、YES)と判定する。
【0113】
一方、プロセッサ40は、IP1>IP1th、且つ、IP3>IP3thである場合は、この時点でのレーザ出射装置14の姿勢ORが、目標姿勢ORに実質一致している(すなわち、NO)と判定する。プロセッサ40は、ステップS41でYESと判定した場合はステップS22へ進む一方、NOと判定した場合はステップS16へ進む。
【0114】
ステップS19でNOと判定したとき、ステップS42において、プロセッサ40は、上述のステップS41と同様に、姿勢検出センサ82が直近に検出した姿勢ORが目標姿勢ORから逸脱したか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS21へ進む一方、NOと判定した場合はステップS20へ進む。
【0115】
このように、本実施形態においては、制御装置18(プロセッサ40)は、自動運転モードDM2としてレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを実行しているときに姿勢検出センサ82が検出した姿勢ORが目標姿勢ORから逸脱(つまり、ステップS42でYESと判定)した場合、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方を停止している(ステップS21)。この構成によれば、例えばロボット12又はレーザ出射装置14が環境物等と干渉することで姿勢ORが大きく変動した場合において、オペレータの安全を確実に確保できる。
【0116】
また、本実施形態においては、制御装置18は、自動運転開始指令CM6の入力がされたときに姿勢検出センサ82が検出した姿勢ORが目標姿勢ORから逸脱(ステップS41でYESと判定)した場合、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方(具体的には、双方)を開始しない。この構成によれば、自動運転を開始するときのオペレータの安全を、確実に確保できる。なお、プロセッサ40は、ステップS41でYESと判定した場合でも、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LO又は移動動作MOを開始してもよい。
【0117】
次に、図12及び図13を参照して、さらに他のレーザ加工システム90について説明する。レーザ加工システム90は、上述のレーザ加工システム80と、安全柵92、及び進入検出センサ94をさらに備える点で相違する。安全柵92は、ロボット12を取り囲むように配置され、その内部にロボット12の作業領域ARを画定する。ロボット12の可動領域は、作業領域ARに包含される。
【0118】
一例として、安全柵92は、入口を有する物理フェンスと、該物理フェンスの該入口を自動又は手動で開閉する扉とを有する。他の例として、安全柵92は、複数の電磁波出射装置を含み、該複数の電磁波出射装置が出射する電磁波(例えば、赤外線)によって作業領域ARを画定してもよい。
【0119】
進入検出センサ94は、作業領域ARへのオペレータの進入を検知する。一例として、安全柵92が物理フェンス及び扉を有する場合、進入検出センサ94は、該扉の開閉を検出する扉センサを有する。扉センサは、扉の開閉を検知することで、作業領域ARへのオペレータの進入を検知できる。
【0120】
他の例として、安全柵92が電磁波出射装置を有する場合、進入検出センサ94は、電磁波出射装置が出射した電磁波を受信する電磁波センサを有する。電磁波センサは、物体(例えばオペレータの身体)が電磁波と交差したときに、電磁波出射装置が出射した電磁波が遮蔽されることを検出し、以って、作業領域ARへのオペレータの進入を検知できる。進入検出センサ94は、制御装置18のI/Oインターフェース44に接続され、作業領域ARへのオペレータの進入を示す進入検出信号Seを制御装置18へ送信する。
【0121】
次に、図7及び図14を参照して、レーザ加工システム90が実行するレーザ加工方法について、説明する。レーザ加工システム90においては、制御装置18のプロセッサ40は、図7に示す動作フローを実行する。ここで、レーザ加工システム90の動作フローは、上述のレーザ加工システム80のフローと、ステップS2において相違する。レーザ加工システム90が実行するステップS2を、図14に示す。なお、図14に示すフローにおいて、図11に示すフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。
【0122】
図14に示すステップS2においては、ステップS41でNOと判定したとき、ステップS51において、プロセッサ40は、作業領域ARにオペレータが進入したか否かを判定する。具体的には、プロセッサ40は、進入検出センサ94から受信した進入検出信号Seに基づいて、作業領域ARにオペレータが進入したか否かを判定する。プロセッサ40は、進入検出センサ94によって作業領域ARへのオペレータの進入が検知された場合はYESと判定し、ステップS22へ進む一方、NOと判定した場合はステップS16へ進む。
【0123】
ステップS42でNOと判定したとき、ステップS52において、プロセッサ40は、上述のステップS51と同様に、作業領域ARにオペレータが進入したか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS21へ進む一方、NOと判定した場合はステップS20へ進む。
【0124】
このように、本実施形態においては、制御装置18(プロセッサ40)は、自動運転モードDM2としてレーザ光出射動作LO及び移動動作MOを実行しているときに進入検出センサ94によって作業領域ARへのオペレータの進入を検知(ステップS52でYESと判定)した場合、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方を停止している(ステップS21)。この構成によれば、自動運転実行時のオペレータの安全を、より確実に確保できる。
【0125】
また、本実施形態においては、制御装置18は、自動運転開始指令CM6の入力がされたときに、進入検出センサ94によって作業領域ARへのオペレータの進入を検知(ステップS51でYESと判定)した場合、レーザ光出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方(具体的には、双方)を開始しない。この構成によれば、自動運転開始時のオペレータの安全を、確実に確保することができる。なお、プロセッサ40は、ステップS51でYESと判定した場合でも、自動運転モードDM1としてレーザ光出射動作LO又は移動動作MOを開始してもよい。
【0126】
なお、上述のモード選択スイッチ48は、制御装置18に限らず、如何なるコンポーネントに設けられてもよい。例えば、モード選択スイッチ48は、制御装置18とは別体として設けられた、オペレータが持ち運び可能な携帯スイッチとして構成されてもよい。代替的には、モード選択スイッチ48は、制御装置18に通信可能に接続され、ロボット12及びレーザ発振器16に動作を教示するための教示装置(ティーチングペンダント、タブレット型端末装置等)に設けられてもよい。
【0127】
なお、上述の実施形態においては、モード選択スイッチ48が、物理スイッチとして制御装置18に設けられている場合について述べた。しかしながら、モード選択スイッチ48は、ソフトウェアのスイッチ(又は、仮想スイッチ)として、制御装置18に実装されてもよい。
【0128】
例えば、制御装置18のプロセッサ40は、運転モードDMを選択するためのモード選択スイッチ画像100を生成し、表示装置52に表示する。図15に、モード選択スイッチ画像100の一例を示す。モード選択スイッチ画像100は、オペレータに運転モードDMを選択可能とするためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)であって、自動運転ボタン画像102、及び手動運転ボタン画像104を含む。
【0129】
「AUTO」として表される自動運転ボタン画像102は、自動運転モードDM1に対応し、「MANUAL」として表される手動運転ボタン画像104は、手動運転モードDM2に対応している。オペレータは、表示装置52に表示されたモード選択スイッチ画像100を視認しつつ、入力装置50を操作して、自動運転ボタン画像102又は手動運転ボタン画像104を画像上でクリックすることで、自動運転モードDM1又は手動運転モードDM2を選択可能になっている。
【0130】
プロセッサ40は、入力装置50を通してオペレータから自動運転ボタン画像102を選択する入力(つまり、自動運転モード移行指令CM4)を受け付けると、運転モードDMを、自動運転モードDM1(上述のステップS2)へ移行する。一方、プロセッサ40は、入力装置50を通してオペレータから手動運転ボタン画像104を選択する入力(つまり、手動運転モード移行指令CM5)を受け付けると、運転モードDMを、手動運転モードDM2(上述のステップS3)へ移行する。
【0131】
このように、自動運転ボタン画像102、及び手動運転ボタン画像104は、ソフトウェアとしてのモード選択スイッチ48を構成し、オペレータは、該モード選択スイッチ48を画像上で操作することにより、運転モードDMを、自動運転モードDM1と手動運転モードDM2との間で切り替え可能になっている。なお、ソフトウェアとしてのモード選択スイッチ48は、制御装置18に限らず、上述の教示装置、又は、制御装置18に通信可能に接続された他の如何なる通信機器(PC、タブレット端末)に実装されてもよい。
【0132】
なお、上述の実施形態においては、運転モードDMとして、自動運転モードDM1と手動運転モードDM2とを例示した。しかしながら、運転モードDMは、これに限らず、例えば、ロボット12及びレーザ発振器16に動作を教示するための教示運転モードDM3等、他の如何なる運転モードDMを含んでもよい。
【0133】
例えば、教示運転モードDM3においては、オペレータは、教示装置を操作することで、制御装置18を介して、ロボット12をジョグ動作させるとともに、レーザ発振器16にガイドレーザLBgを生成させることができる。このガイドレーザLBgは、実際のレーザ加工で用いるレーザ光LBよりも低いレーザパワーを有するとともに、オペレータが視認可能な可視光の波長を有するレーザ光である。
【0134】
この教示運転モードDM3において、オペレータは、教示装置を操作して、レーザ加工においてロボット12によってレーザ出射装置14を位置決めする教示点TPを教示し、レーザ発振器16にガイドレーザLBgを生成させてレーザ出射装置14から出射させることで、レーザ加工でレーザ光LBを出射するタイミングTM、レーザ光LBの照射位置RP、及び、レーザ光LBの焦点位置FP等を教示する。教示装置のプロセッサは、教示された教示点TP、タイミングTM、照射位置RP、及び焦点位置FPに基づいて、これらパラメータが規定された加工プログラムPGを作成する。
【0135】
また、教示運転モードDM3において、オペレータは、教示装置を操作して、教示の途中で生成された未完の加工プログラムPG’を試験的に実行することで、教示した動作(つまり、加工プログラムPG’の適否)を確認する半自動運転を実行してもよい。この半自動運転では、制御装置18は、加工プログラムPG’に従って、レーザ発振器16にガイドレーザLBgを生成させるとともに、ロボット12を、実際のレーザ加工よりも低い速度で動作させてもよい。
【0136】
モード選択スイッチ48は、運転モードDMとして、例えば、上述の自動運転モードDM1、手動運転モードDM2、及び教示運転モードDM3の間で切り替え可能に構成されてもよい。モード選択スイッチ48によって教示運転モードDM3が選択されると、モード選択スイッチ48は、教示運転モード移行指令CM8を制御装置18へ供給する。教示運転モード移行指令CM8を受け付けると、制御装置18は、運転モードDMを教示運転モードDM3へ移行させ、上述のジョグ動作、ガイドレーザLBgの生成、及び半自動運転の指令を教示装置から受け付け可能な状態となる。
【0137】
なお、上述の実施形態においては、第2の入力部72が、レーザ出射装置14に設けられている場合について述べた。しかしながら、これに限らず、第2の入力部72は、レーザ出射装置14とは別体として設けられた、オペレータが持ち運び可能な携帯ボタン装置として構成されてもよい。
【0138】
また、上述の実施形態から、力センサ56及び姿勢検出センサ82の少なくとも1つを省略することができる。例えば、図2に示すレーザ加工システム10から力センサ56を省略してもよい。この場合、図8に示すステップS2のフローから、ステップS19が省略され、ステップS18でNOと判定したときに、ステップS20へ進む。
【0139】
また、図7図9図11図14に示すフローは、レーザ加工システム10、80又は90が実行するレーザ加工方法の一例であって、実行するプロセスの順序を変更してもよいし、他の如何なるプロセスを追加してもよい。例えば、図14に示すフローにおいて、ステップS14でYESと判定した後にステップS51を実行し、その後にステップS15及びS41を実行してもよい。又は、ステップS17でYESと判定した後にステップS52を実行し、その後に、ステップS18、S19及びS42を実行してもよい。
【0140】
また、図9に示すフローにおいて、プロセッサ40は、ステップS31又はS33でYESと判定した後に、上述のステップS11を実行し、YESと判定した(つまり、モード選択スイッチ48によって自動運転モードDM1が選択された)場合は、ステップS2を開始する一方、NOと判定した場合は、ステップS32又はS33へ進んでもよい。このように、図7図9図11図14に示すフローに、種々の変更を加えることが可能である。
【0141】
また、レーザ加工システム10、80又は90から第1の入力部70を省略し、該第1の入力部70の機能を、レーザ加工システム10、80又は90の外部機器に実装することができる。例えば、制御装置18に指令を与える上位コントローラが、通信ネットワーク(LAN、インターネット等)を介して、該制御装置18に接続されてもよい。そして、上位コントローラの入力装置が、第1の入力部70として機能してもよい。この場合、制御装置18のプロセッサ40は、上位コントローラの入力装置を通して入力された自動運転開始指令CM6を、通信ネットワークを介して取得する。
【0142】
また、運転モードDMとして、自動運転モードDM1のみが設定され、モード選択スイッチ48は、自動運転モードDM1と、いずれの運転モードDMも選択しないOFFモードとを選択可能に構成されてもよい。この場合、レーザ加工システム10、80又は90から第2の入力部72を省略できる。そして、図7のフローからステップS3が省略される。この場合においても、自動運転に対してオペレータの安全を確保できる。
【0143】
また、上述の実施形態においては、制御装置18が、ロボット12とレーザ発振器16とを制御する場合について述べた。しかしながら、制御装置18は、ロボット12を制御する第1の制御装置18Aと、レーザ発振器16を制御する第2の制御装置18Bとを有してもよい。このような形態を、図16及び図17に示す。
【0144】
図16及び図17に示すレーザ加工システム110は、上述のレーザ加工システム80と、制御装置18において相違する。具体的には、制御装置18は、ロボット12の移動動作MOを制御する第1の制御装置18Aと、レーザ発振器16のレーザ光出射動作LOを制御する第2の制御装置18Bとを有する。
【0145】
第1の制御装置18Aは、プロセッサ40A、メモリ42A、I/Oインターフェース44A、及びバス46Aを有するコンピュータである。第1の制御装置18AのI/Oインターフェース44Aには、ロボット12(サーボモータ30)、レーザ出射装置14(レンズ駆動部)、第1の入力部70として機能する入力装置50A、表示装置52A、着脱検出センサ54、力センサ56、及び姿勢検出センサ82が通信可能に接続されている。また、上述のモード選択スイッチ48は、第1の制御装置18Aに設けられている。
【0146】
第2の制御装置18Bは、プロセッサ40B、メモリ42B、I/Oインターフェース44B、及びバス46Bを有するコンピュータである。第2の制御装置18BのI/Oインターフェース44Bには、入力装置50B、表示装置52B、レーザ発振器16、第2の入力部72、及び第1の制御装置18AのI/Oインターフェース44Aが、通信可能に接続されている。
【0147】
また、メモリ42Bには、上述のデータテーブル74が格納されている。なお、レーザ発振器16、第2の制御装置18B、入力装置50B、及び表示装置52Bは、共通の筐体に一体に組み込むことでユニット化し、単体のレーザ発振装置112(図16図17)を構成してもよい。
【0148】
本実施形態においては、第1の制御装置18A及び第2の制御装置18Bは、互いに通信しつつ、図7図9及び図11に示すフローを実行する。ここで、図9に示すステップS3(手動運転モードDM2)において、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aが、ステップS36を実行する一方、第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bが、ステップS31~S35を実行してもよい。
【0149】
ここで、本実施形態においては、第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bは、上述の実施形態と同様に、データテーブル74に基づいて、手動運転モードDM2での出力条件Cを予め設定する。そして、ステップS32において、プロセッサ40Bは、第2の入力部72からの手動出射指令CM3に応じて、予め設定した出力条件Cに従ってレーザ発振器16への指令CM1_1を生成し、該出力条件Cに規定されたレーザパワー、デューティ比、及びパルス発振周波数を有するレーザ光LBを生成するように、レーザ光生成動作LOを実行する。
【0150】
一方、図11に示すステップS2(自動運転モードDM1)において、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aが、ステップS11~S15、S41、S17~S19、S42、S20~S24を実行する一方、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aと第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bとが、ステップS16の自動運転を協働で実行してもよい。
【0151】
ステップS16の一例として、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aは、加工プログラムPG(例えば、第1の加工プログラムPG1)を実行し、該加工プログラムPGに規定された自動運転用の出力条件C’(具体的には、レーザパワー、デューティ比、パルス発振周波数)の指令CM1_2を、第2の制御装置18Bに送信する。
【0152】
この指令CM1_2に従って、第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bは、出力条件C’に規定されたレーザパワー、デューティ比、及びパルス発振周波数を有するレーザ光LBを生成させるための指令CM1_3をレーザ発振器16に与え、該指令CM1_3に従ってレーザ光生成動作LOを実行させる。これとともに、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aは、自動運転として指令CM2をロボット12に与えて、該ロボット12に移動動作MOを実行させる。
【0153】
ステップS16の他の例として、第2の制御装置18Bのメモリ42Bに、自動運転用の出力条件C’を、ワークの加工条件Cと関連付けて格納したデータテーブル74’が予め格納されてもよい。この場合、このステップS16において、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aは、データテーブル74’内の出力条件C’を指定する指令CM1_4(例えば、データテーブル74’内の出力条件C’の識別番号)を、第2の制御装置18Bに与える。この指令CM1_4は、加工プログラムPG(例えば、第1の加工プログラムPG1)に規定されてもよい。なお、上述の第2の入力部72は、手動出射指令CM3に加えて、出力条件C’を指定する指令CM1_4の入力をさらに受付可能に構成されてもよい。
【0154】
第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bは、第1の制御装置18Aからの指令CM1_4によって指定された出力条件C’をデータテーブル74’から取得し、該出力条件C’に規定されたレーザパワー、デューティ比、及びパルス発振周波数を有するレーザ光LBを生成させるための指令CM1_5をレーザ発振器16に与え、該指令CM1_5に従ってレーザ光生成動作LOを実行させる。これとともに、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aは、自動運転として指令CM2をロボット12に与えて、該ロボット12に移動動作MOを実行させる。
【0155】
なお、上述のレーザ加工システム110においては、第2の入力部72が、第2の制御装置18Bに接続され、該第2の制御装置18Bに手動出射指令CM3を与える場合について述べた。しかしながら、これに限らず、第2の入力部72は、第1の制御装置18Aに接続されてもよい。このような形態を、図16及び図18に示す。
【0156】
図16及び図18に示すレーザ加工システム110’においては、第2の入力部72は、第1の制御装置18AのI/Oインターフェース44Aに接続され、該第1の制御装置18Aに手動出射指令CM3を与える。また、上述のデータテーブル74は、第2の制御装置18Bのメモリ42Bに格納されている。
【0157】
このレーザ加工システム110’においても、第1の制御装置18A及び第2の制御装置18Bは、互いに通信しつつ、図7図9及び図11に示すフローを実行する。具体的には、上述のレーザ加工システム110と同様に、第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bは、データテーブル74に基づいて、手動運転モードDM2での出力条件Cを予め設定する。
【0158】
そして、図9中のステップS32において、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aは、第2の入力部72からの手動出射指令CM3に応じて、データテーブル74内の出力条件Cを指定する指令CM1_6(例えば、データテーブル74内の出力条件Cの識別番号)を、第2の制御装置18Bに与える。この指令CM1_6は、加工プログラムPG(例えば、第1の加工プログラムPG1)に規定されてもよい。なお、第2の入力部72は、手動出射指令CM3に加えて、出力条件Cを指定する指令CM1_6の入力をさらに受付可能に構成されてもよい。
【0159】
第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bは、第1の制御装置18Aからの指令CM1_6によって指定された出力条件Cをデータテーブル74から取得し、該出力条件Cに規定されたレーザパワー、デューティ比、及びパルス発振周波数を有するレーザ光LBを生成させるための指令CM1_7をレーザ発振器16に与え、該指令CM1_7に従ってレーザ光生成動作LOを実行させる。また、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aと、第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bとは、上述のレーザ加工システム110と同様に、図11中のステップS16(自動運転)を協働して実行する。
【0160】
なお、ロボットシステム110又は110’において、データテーブル74(及び、データテーブル74’)が、第1の制御装置18Aのメモリ42Aに格納されてもよい。この場合、第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aは、ステップS32又はS16において、データテーブル74又は74’に規定された出力条件C又はC’のレーザ光LBを生成するための指令CM1(レーザパワー指令等)を、第2の制御装置18Bを介してレーザ発振器16に与えてもよい。また、レーザ加工システム110又は110’に、上述の安全柵92及び進入検出センサ94を設けて、第1の制御装置18A及び第2の制御装置18Bは、図7図9、及び図14のフローを協働して実行してもよい。
【0161】
なお、上述の実施形態においては、レーザ出射装置14がレーザ加工ヘッドである場合について述べた。しかしながら、これに限らず、レーザ出射装置14は、例えばレーザスキャナ(又は、ガルバノスキャナ)等、如何なるタイプの装置であってもよい。レーザスキャナは、レーザ発振器16から供給されたレーザ光LBを各々反射する複数のミラーと、該複数のミラーを個別に駆動する複数のミラー駆動部と、該ミラーによって反射されたレーザ光を集光する光学レンズ等を有する。レーザスキャナは、複数のミラーの向きをミラー駆動部によって変化させることで、ワークに照射されるレーザ光の照射点を、ロボット座標系C1のx-y平面内で高速移動させることができる。
【0162】
なお、ロボット12は、垂直多関節型ロボットに限らず、例えば、水平多関節型ロボット、又はパラレルリンク型ロボットであってもよいし、ワークをロボット座標系C1のx-y平面内で移動させる第1及び第2のボールねじ機構と、レーザ出射装置14をロボット座標系C1のz軸方向へ移動させる第3のボールねじ機構とを有するように構成されてもよい。以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0163】
10,80,90,110,110’ レーザ加工システム
12 ロボット
14 レーザ出射装置
16 レーザ発振器
18,18A,18B 制御装置
36 把持部
40 プロセッサ
48 モード選択スイッチ
54 着脱検出センサ
56 力センサ
70 第1の入力部
72 第2の入力部
82 姿勢検出センサ
【要約】
ロボット及びレーザ発振器を自動運転する自動運転モードでレーザ加工を実行する場合において、オペレータの安全を確保することが求められる。
レーザ加工システム10は、レーザ出射装置14と、レーザ出射装置14が着脱され、該レーザ出射装置14を移動させるロボット12と、レーザ出射装置14のロボット12への着脱を検出する着脱検出センサ54と、レーザ発振器16によるレーザ光出射動作、及びロボット12による移動動作を制御する制御装置18と、レーザ加工の運転モードを選択するモード選択スイッチ48とを備える。制御装置18は、モード選択スイッチ48によって自動運転モードが選択され、且つ、着脱検出センサ54がレーザ出射装置14のロボット12への装着を検出した場合に、該自動運転モードとしてレーザ光出射動作及び移動動作を実行する。
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