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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】空き缶型円筒研削砥石
(51)【国際特許分類】
   B24D 5/00 20060101AFI20220824BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20220824BHJP
   B24D 3/22 20060101ALI20220824BHJP
   B24D 3/28 20060101ALI20220824BHJP
   B24D 3/06 20060101ALI20220824BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20220824BHJP
   B24D 5/10 20060101ALI20220824BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B24D5/00 P
B24D3/00 340
B24D3/22
B24D3/28
B24D3/06 B
B24B55/02 A
B24D5/10
B24B49/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019094847
(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2020179493
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】509153364
【氏名又は名称】伊藤 幸男
(72)【発明者】
【氏名】松原 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】松原 成希
(72)【発明者】
【氏名】松原 光作
(72)【発明者】
【氏名】日下部 篤史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸男
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-013156(JP,U)
【文献】特開2014-046368(JP,A)
【文献】特開2011-161520(JP,A)
【文献】特開平10-034542(JP,A)
【文献】登録実用新案第3034101(JP,U)
【文献】特開昭51-002095(JP,A)
【文献】特開昭61-219576(JP,A)
【文献】特開昭60-062469(JP,A)
【文献】特開昭60-044259(JP,A)
【文献】実開昭56-171163(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 5/00
B24D 3/00
B24D 3/22
B24D 3/28
B24D 3/06
B24B 55/02
B24D 5/10
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
円筒体を薄肉で閉塞した空き缶状円筒体となし、上記空き缶状円筒体の片側面と反対側の側壁の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の片側面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋るセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し加工点へ到達させる空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかを編み込んだ不織布を内張したことを特徴とする空き缶型円筒研削砥石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒を台金となる円筒体の外周面に付着させた超砥粒研削砥石に関するも、特に円筒体を薄肉で形成した空き缶状の円筒体とし、この外周面や側面に多数の孔を開けるとともに超砥粒を円筒体の内側壁面である内周面に特定して固着させた空き缶型円筒研削砥石と、この砥石を装着使用する研削装置及び空き缶型円筒体の製造法を提供するものに係わる。
【背景技術】
【0002】
近年、金属製の台金にΦ0.5mm程度の細孔が回転中心から放射状に約1,000ヶ所以上ある砥石内から研削液を通過させる研削砥石が開発されている。
また、同じく金属製の台金外周に0.3mm幅の溝が120ヶ所に渡り設けた砥石内の各溝から研削液を加工点に到達させて通過させる研削砥石が開発されている。
上記の細孔又は溝を微細加工した台金に、超砥粒を電着加工した後に、マスク除去が必須で高い製作費と長い製作時間が必須であるから、研削砥石として普及しないままの現状にある。
【0003】
また、別の研削砥石は、研削工具において、砥粒の保持力を高め、耐用寿命を増大し、且つ切削屑の排除を良好にし、高精度の加工を高速度に行えるよう改良したものがある。より具体的には、炭素、ガラス、セラミックス、熱硬化性樹脂、金属等の繊維を、織、編、もしくは不織により多層に多孔質に形成したチューブ1に、多孔質の穴の中から表面にかけて砥粒2を固着する。固着は電気メッキ、無電解メッキとか、PVD、CVDの気相メッキ、レーザー溶着による。この砥粒2を固着したチューブ1より成る研削部材をシャンク3に固定して取付け、シャンク3には中心軸に冷却液の供給孔3aとチューブ1の嵌合部分に開口3bが形成され、多孔質チューブの穴1aから冷却液の噴出ができるようにして成るものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-208371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特開平5-208371号公報における研削工具は、炭素、ガラス、セラミックス、熱硬化性樹脂、金属等の繊維を、織、編、もしくは不織により多層に多孔質に形成したチューブ1に、多孔質の穴の中から表面にかけて砥粒2を固着する。これにより、砥粒2を固着したチューブ1より成る研削部材をシャンク3に固定して取付け、シャンク3には中心軸に冷却液の供給孔3aとチューブ1の嵌合部分に開口3bが形成され、多孔質チューブの穴1aから冷却液の噴出ができる。然し乍ら、砥石外周面は多孔質の穴の中から表面にかけて砥粒2が固着されているから狭い隙間の穴となり、短期間の間に穴の目詰まりを起こしてしまい、初期の冷却液の噴出が維持できなくなると言う、問題点が指摘される。
【0007】
また、上記金属製の台金にΦ0.5mm程度の細孔が回転中心から放射状に約1,000ヶ所以上ある砥石内から研削液を加工点に到達させる研削砥石や、金属製の台金外周に0.3mm幅の溝が120ヶ所に渡り設けた砥石内の各溝から研削液を加工点に到達させる研削砥石においは、台金の重量が重く、しかも高剛性であるから、被研削ワークの研削面に対して高い剛性体である台金の超砥粒で強制的に擦り付ける可能性があるから、研削面に歪みや面粗さが現れ、精度不足の欠陥商品となる問題が出る。
【0008】
本願発明者は、上記の如く台金にΦ0.5mm程度の細孔が回転中心から放射状に約1,000ヶ所以上ある砥石内から研削液(以下、クーラント液とも言う)を加工点に到着させる研削砥石や、金属製の台金外周に0.3mm幅の溝が120ヶ所に渡り設けた砥石内の各溝から研削液を通過させる研削砥石。更に、多孔質の環状砥石等々が持つ問題点に鑑みて研削砥石の新規開発を試みた。
そこで、特に被研削ワークの研削面に対して高い剛性体である台金の超砥粒で強制的に擦り付ける研削砥石では、研削面に歪みや面粗さとして現れてしまう欠点に着目し、台金となる円筒体を薄肉で片側面が開放した空き缶状の円筒体とし、この外周面に多数の小孔を開けるとともに超砥粒を電着させた空き缶型円筒研削砥石とこの研削装置及び空き缶型円筒体の製造法を精鋭開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する請求項1の空き缶型円筒研削砥石は、円筒体を薄肉で片側面が閉塞した空き缶状円筒体となし、上記空き缶状円筒体の片側面と反対側の側壁の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の外周面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋るセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し加工点へ到達させる空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材が内張りされ、上記ゴム製薄膜材の表面にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかが固着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の空き缶型円筒研削砥石は、円筒体を薄肉で片側面が閉塞した空き缶状円筒体となし、上記空き缶状円筒体の片側面と反対側の側壁の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の外周面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋るセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し加工点へ到達させる空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材が内張りされ、上記ゴム製薄膜材にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかが混練含有されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の空き缶型円筒研削砥石は、円筒体を薄肉で片側面が閉塞した空き缶状円筒体となし、上記空き缶状円筒体の片側面と反対側の側壁の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の外周面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋るセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し加工点へ到達させる空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかを編み込んだ不織布を内張したことを特徴とする。
【0015】
請求項4の空き缶型円筒研削砥石は、円筒体を薄肉で閉塞した空き缶状円筒体となし、上記空き缶状円筒体の片側面と反対側の側壁の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の片側面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋るセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し加工点へ到達させる空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材が内張りされ、上記ゴム製薄膜材の表面にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかを固着されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の空き缶型円筒研削砥石は、円筒体を薄肉で閉塞した空き缶状円筒体となし、上記空き缶状円筒体の片側面と反対側の側壁の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の片側面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋るセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し加工点へ到達させる空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材が内張りされ、上記ゴム製薄膜材にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかを混練含有されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6の空き缶型円筒研削砥石は、円筒体を薄肉で閉塞した空き缶状円筒体となし、上記空き缶状円筒体の片側面と反対側の側壁の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の外側面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋るセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し加工点へ到達させる空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかを編み込んだ不織布を内張したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の空き缶型円筒研削砥石によると、台金となる空き缶状円筒体の重量は非常に軽く、被研削ワークの研削面に対して缶状円筒体の外周面がしなやかに軽く触れ合い、更に、空き缶状円筒体の閉塞内に研削液が圧入されると、空き缶状円筒体の外周面の小孔又はスリット孔の内側壁面に内張りしたゴム製薄膜材は、空き缶状円筒体内に流入するセンタースルからのクーラント液の加圧により外周面に開けた多数の小孔又はスリット孔から外径側に膨出し、この膨出したゴム製薄膜材の外周面の超砥粒により研削面を軽く研削できる。これにより、バルーン砥石の如く、研削面に歪みや面粗さを生じることなく高精度な研削・研磨面が得られる。
【0027】
請求項2の空き缶型円筒研削砥石によると、上記請求項1の空き缶型円筒研削砥石において、上記空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材が内張りされ、上記ゴム製薄膜材にダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかが混練含有させているから、空き缶状円筒体の外周面の小孔又はスリット孔の内側壁面に内張りしたゴム製薄膜材は、空き缶状円筒体内に流入するセンタースルからのクーラント液の加圧により外周面の小孔又はスリット孔からバルーン砥石の如く、研削面に突出して触れ歪みや面粗さを生じることなく高精度な研削面が得られる。更に、ゴム製薄膜材が摩耗しても内部から砥粒が露出して研削・研磨性能が維持される。
【0028】
請求項3の空き缶型円筒研削砥石によると、上記請求項1の空き缶型円筒研削砥石において、空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材に替えて、ダイヤ砥粒又はCBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかを編み込んだ不織布を内張したから、クーラント液の水圧で不織布の網目及び穴から飛び出しポリシング加工、ラッピング加工が可能で飛躍的に研削・研磨面の面粗さが向上する。
【0030】
請求項4の空き缶型円筒研削砥石は、上記空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材が内張りされ、上記ゴム製薄膜材にダイヤ砥粒,CBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかがが固着されているから、空き缶状円筒体内に流入するセンタースルからのクーラント液の加圧により外周面の小孔又はスリット孔からバルーン砥石の如く、研削面に突出して触れ歪みや面粗さを生じることなく高精度な研削面が得られる。
更に、請求項5の空き缶型円筒研削砥石は、ゴム製薄膜材にダイヤ砥粒,CBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかが混練含有されているから、ゴム製薄膜材が摩耗しても内部から砥粒が逐次露出して研磨性能が長期間に渡り維持される。これにより、バルーン砥石の如く、研削面に歪みや面粗さを生じることなく高精度な研削・研磨面が得られる。
【0031】
請求項6の空き缶型円筒研削砥石は、上記空き缶状円筒体の内側壁面にダイヤ砥粒,CBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかを編み込んだ不織布を内張したから、クーラント液がこの水圧で不織布の網目及び穴から飛び出しポリシング加工、ラッピング加工が可能で飛躍的に研削・研磨面の面粗さが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】 本発明の第1実施の形態を示し、側面が開口・閉口の空き缶状円筒体の製造工程図である。
図2】 本発明の第2実施の形態を示し、側面が開口の空き缶状円筒体の斜視図である。
図3】 本発明の第3実施の形態を示し、側面が開口し外周面に小孔付きの各空き缶状円筒体の斜視図である。
図4】 本発明の第4実施の形態を示し、側面が閉口し外周面に小孔付きの各空き缶状円筒体の斜視図である。
図5】 本発明の第5実施の形態を示し、空き缶状円筒体内にゴム製薄膜材他を内蔵した斜視図である。
図6】 本発明の第6実施の形態を示し、閉口した片側面に小孔付空き缶状円筒体砥石の斜視図である。
図7】 本発明の第7実施の形態を示し、側面が開口した空き缶状円筒体砥石の砥石軸取付図である。
図8】 本発明の実施例を示し、空き缶状円筒体内にセンサーユニットを内蔵の断面図である。
図9】 本発明の実施例を示し、ブレード研磨加工に適用の空き缶状円筒体研削砥石の斜視図である。
図10】 本発明の実施例を示し、脈動圧及び無脈動圧液体を発生するクーラント供給装置の機能図である。
図11】 本発明の実施例を示し、クーラント供給装置からの脈動圧及び無脈動圧液体による各砥石の研削作用断面図である。
図12】 本発明の実施例を示し、面が閉口し外周面及び側面に小孔付きの各空き缶状円筒体の具体的な実装断面図である。
図13】 本発明の実施例を示し、側面が開口し外周面に小孔付きの空き缶状円筒体の具体的な実装断面図である。
図14】 本発明の実施例を示し、側面が閉口し外周面に小孔付き空き缶状円筒体にゴム製薄膜材他を内蔵した具体的な実装断面図である。
図15】 本発明の実施例を示し、側面が閉口し外周面に小孔付き空き缶状円筒体にゴム製薄膜材他を内蔵した具体的な実装断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図1図15において、本発明の実施例は円筒体を薄肉で形成した空き缶状の円筒体を主体に、この外周面や側面に多数の孔を開けるとともに各種砥粒を円筒体の外周面又は内周面に固着させた各形態の空き缶型円筒研削砥石を開示する。更に、上記各空き缶型円筒研削砥石を研削装置に装備する他、各空き缶型円筒研削砥石の製造法の実施態様を順次説明する。
【実施例
【0039】
先ず、図1図2において、本発明の第1実施形態となる片側面が開口の空き缶状円筒体10の製造工程図と、第2実施形態の片側面が閉口の空き缶状円筒体20の製造工程図で、空き缶状円筒体の製造法の製作手順を説明する。
図1において、空き缶状円筒体10は、雄型となる割型1の回転中心Oの側方に薄板2を付設する工程Aと、上記割型の回転時にヘラ棒3で薄板を絞る絞り工程Bと、絞り成型された空き缶体10の開放工程Cと、開放された空き缶体10の外周面10Aへの小孔h又はスリットL及び主軸Sとの取付穴S1を空き缶体10の側壁10Bに開ける孔明け工程Dと、マスク工程Eと、電着槽4での空き缶体10の外周面10Aへの超砥粒11を固着させる超砥粒電着工程Fと、マスクMの剥がし工程Gにより完成工程Hと、から製造される。
【0040】
図2図3は、空き缶状円筒体10の完成した斜視図である。この空き缶状円筒体10は、片側面10Cが開口されたオープンタイプである。続いて、空き缶状円筒体20は、側面20Cが閉口されたクローズタイプである。その製造工程は図1図4において、細かく分解可能な雄型の割型1の回転中心の側方に薄板2を付設する工程Aと、上記割型の回転時にヘラ棒3で薄板を絞ることにより薄板の外周縁20Aを取付穴S1と成す絞り工程Bと、成型された空き缶体20内の割型1を粉砕する工程Cと、開放された空き缶体20の外周面20Aへの小孔h又はスリットLの孔明け工程Dと、マスク工程Eと、電着槽4での空き缶体20の外周面20Aへの超砥粒13を固着させる超砥粒電着工程Fと、マスクMの剥がし工程Gにより完成工程Hと、から製造される。
【0041】
上記空き缶状円筒体10,20は、古典的なへら絞り法により製造されるも、その製造工程A~Gにおいて、従来の円筒体の絞りによる製作工程A~C,の他、新規工程D~Gを介して製造される。上記絞りによる製造法は、切削加工法やプレス加工法によっても製造可能であるが、しかしながら、薄肉で任意形状となる空き缶状円筒体10,20他の製造が高い生産性の基に実行される。
【0042】
続いて、図3において、第3実施形態と第4実施形態となる空き缶状円筒体10,11について説明する。空き缶状円筒体10の構成は、図3(a)において、円筒体を剛性の低い薄肉で片側面10Cが開放した空き缶状円筒体10となし、上記空き缶状円筒体の反対側の側壁10Bに回転軸Sとの取付穴S1を有し、上記空き缶状円筒体の外周面10Aには多数の小孔hが設けられ、更に、上記空き缶状円筒体の外周面に、ダイヤ,CBN電着砥粒又はWA、GC砥粒の超砥粒13を固着させた空き缶型円筒研削砥石K1が構成されている。
【0043】
また、図3(b)に示す空き缶状円筒体11は、上記図3(a)の空き缶状円筒体10において、外周面10Aに明けた小孔hに替えて、空き缶状円筒体11の外周面11Aに無数のスリット孔Lを設けた実施態様である。即ち、円筒体を剛性の低い薄肉で片側面11Cが開放した空き缶状円筒体11となし、上記空き缶状円筒体の反対側の側壁11Bに回転軸Sとの取付穴S1を有し、上記空き缶状円筒体の外周面11Aには無数のスリット孔Lが設けられ、更に、上記空き缶状円筒体の外周面11Aに、ダイヤ砥粒,CBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の超砥粒13を固着させた空き缶型円筒研削砥石K2が構成されている。上記のように各空き缶状円筒体10,11は、外周面10A,11Aに超砥粒が電着、圧着、溶着等(総称して固着と言う)の手段で固着されており、側壁10B,11Bの取付穴S1とは反対側の側壁面10C,11Cが開口したオープンタイプである。
【0044】
続いて、第5実施形態と第6実施形態となる図4(a),図4(b)に示す空き缶状円筒体20,21について説明する。その構成は側壁面20C,21Cが閉口したクローズタイプである。上記空き缶型円筒研削砥石K3,K4は、円筒体を剛性の低い薄肉で片側面20C,21Cが閉塞した空き缶状円筒体20,21となし、上記空き缶状円筒体の反対側の側壁20B,21Bに回転軸Sとの取付穴S1,S1を有し、上記空き缶状円筒体の外周面20A,21Aには無数の小孔h又はスリット孔Lが設けられ、更に、上記空き缶状円筒体の外周面に超砥粒13が電着、圧着、溶着等(総称して固着と言う)の手段で固着されている。以上の構成により、空き缶型円筒研削砥石K3と空き缶型円筒研削砥石K4を構成している。
【0045】
更に、第7実施形態と第8実施形態となる図5(a),(b)において、空き缶型円筒研削砥石K5と空き缶型円筒研削砥石K6の構成を説明する。この実施例は、上記空き缶状円筒体20,21の内側壁面にゴム製薄膜材Gが内張りされ、上記ゴム製薄膜材の表面にダイヤ砥粒,CBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかの砥粒13を固着させたものである。更に、設計変更で、上記空き缶状円筒体20,21の内側壁面にゴム製薄膜材Gが内張りされ、上記ゴム製薄膜材の内部にダイヤ,CBN電着砥粒又はWA又はGC砥粒の何れかの超砥粒13を固着するか、内部に混練含有させても良い。尚、上記ゴム製薄膜材には、クーラント液CKをつうかさせられる小穴h1が多数開けられている。更に、空き缶状円筒体20,21の内側壁面に貼るのはゴム製薄膜材Gに限らず、図5(c)の第9実施形態に示すように、ゴム製薄膜材Gに替えてダイヤ砥粒他を付着して編み込んだ不織布Wとしても良い。この不織布Wによる空き缶型円筒研削砥石K7は、クーラント液CKがこの水圧で不織布Wを通過し、穴h又はスリットLから飛び出し、ラッピング加工も可能で飛躍的に研削面の面粗さが向上する。
【0046】
そして、第10実施形態となる図6(a)は、平面を呈するワークの研削面の加工を行うダイヤフラム型の空き缶状円筒体30とした空き缶型円筒研削砥石K8である。上記空き缶状円筒体30は、剛性の低い薄肉からなり、側壁面30Bが閉塞し、反対側の側壁30Cに回転軸Sとの取付穴S1を有する。上記側壁面30Bには無数の小孔h(又はスリット孔L)が設けられ、更に、側壁面30Bの外側面にダイヤ砥粒,CBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒の何れかの超砥粒13が固着されている。
【0047】
勿論、空き缶状円筒体30の内側壁面には、図6(b)の第11実施形態において、上記ゴム製薄膜材Gを内張りした空き缶型円筒研削砥石K9とし、図6(c)の第12実施形態において、ゴム製薄膜材Gに替えてダイヤ砥粒他を編み込んだ不織布Wを採用した空き缶型円筒研削砥石K10としても良い。このゴム製薄膜材Gや不織布Wによると、クーラント液CKがこの水圧で小穴h1や織目穴から飛び出しポリシング加工、ラッピング加工に至る磨きが可能で飛躍的に研削面の面粗さが向上する。
【0048】
上記各空き缶型円筒研削砥石K1~K10を研削盤100の主軸となる回転軸Sに取付けた研削装置100(詳細な図示なし)による加工例を続いて説明する。図7において、センタースルータイプの回転軸Sに対する各研削砥石K1~K10の取付と、外部ノズルNの回転軸S1に対する各研削砥石K1,K2の取付状態を説明する。図7(a)は、センタースルータイプの回転軸Sに空き缶型円筒研削砥石K1~K10を装着する状態を示し、K1,K2の開放した片側面10C,11Cを外側にして取付けた状態。
図7(b)は、外部ノズルNの回転軸S3に空き缶型円筒研削砥石K1,K2の開放した片側面10C,11Cを内側にして取付けた状態。図7(c)は、センタースルータイプの回転軸Sに空き缶型円筒研削砥石K3~K10の取付穴S1を内側にして取付けた状態を示している。
【0049】
上記図7(a)に示す外部ノズルNの回転軸S3に空き缶型円筒研削砥石K1,K2の開放した片側面10C,11Cを内側にして取付けたオープンタイプの実装装置は、図13に示す。即ち、センタースルーの工具ホルダH0に回転軸Sを締め付け、空き缶型円筒研削砥石K1,K2内にクーラント液CKが供給され、小穴h又はスリットLから飛び出し研削面KMに向けて噴射される。尚、補助的にサイドノズルNが設置される。
【0050】
しかして、片側面10C,11Cを開放した空き缶型円筒研削砥石K1,K2は、図7(a)におけるセンタースルータイプの回転軸Sへの取付けと、図7(b)に示すように、サイドノズルNの回転軸S3への取付けとなる。上記回転軸SやサイドノズルNへの研削液CKの供給は、図10に示すクーラント供給装置50からの脈動圧乃至無脈動圧のクーラント液CKを各空き缶型円筒研削砥石[K1~K10]に供給するものである。上記クーラント供給装置50は、駆動源のモーターMOによりタンクT内のクーラント液CKを供給する2気筒プランジャーポンプP(単筒AC、BC)と、該プランジャーポンプPから吐出する脈動圧のクーラント液CKを多種多様に切替える逆止弁V1~V5を備えている。上記逆止弁V1~V5の切り替えで、4種類のクーラント液CKを各空き缶型円筒研削砥石K1~K10まで配管・供給する経路を形成している。尚、吐出されるクーラント液CKは、NC制御装置60からのNC制御プログラムPGにより、単筒ACの圧力P1、単筒BCの圧力P2、両方の合成圧力(P1+P2)P3と、該合成圧力(P1+P2)P3をアキュームレーターAQに入れて一定圧P0とする4種類に切替えられる。
【0051】
しかして、図3図4図7(a)に示すように、に示すように、外周面10A,11A,20A,21Aに超砥粒13を固着した空き缶型円筒研削砥石K1~K4においては、図10のクーラント供給装置50からの単筒Aの圧力P1、単筒Bの圧力P2、両方の合成圧力P3又はアキュームレーターAQによる一定圧P0の何れかが供給されると、外周面の無数の小h孔又はスリット孔Lから研削液(クーラント液とも言う)CKが研削面KMに噴射されながら超砥粒13で軽快に研削される。即ち、外周面10A,11A,20A,21Aの超砥粒13で研削面を研削時に静圧又は脈動する研削液CKで剥がれた研削塵や砥粒を洗い流して研削される基本的な研削作用が遂行される。そして、台金となる空き缶状円筒体10,11,20,21の重量は非常に軽く、被研削ワークの研削面KMに対して空き缶状円筒体の外周面10A,11A,20A,21Aがしなやかに軽く触れ合い、研削面が発熱せずに歪みや面粗さを生じることなく研削液CKの流れで高精度な研削面や磨き面が得られる。
【0052】
また、図7(b)に示すように、空き缶状円筒体K1,K2の開放した側方から研削液CKがノズルNから内部に噴射されると、外周面の無数の小h孔又はスリット孔Lから研削液CKが研削面KMに均等に噴射されながら超砥粒で軽く研削できる。即ち、クーラント供給装置50からの単筒Aの圧力P1、単筒Bの圧力P2、両方の合成圧力P3又はアキュームレーターAQによる一定圧P0の何れかが供給されると、外周面の無数の小h孔又はスリット孔Lから研削液CKが研削面KMに噴射されながら超砥粒13で軽快に研削される。これにより、研削面が発熱せずに歪みや面粗さを生じることなく研削液の流れで高精度な研削面や磨き面が得られる。
【0053】
また図4図5の空き缶状円筒体20,21からなる空き缶型円筒研削砥石K3~K10は、図7(c)及び図11(a)のように、センタースルータイプの回転軸Sへの取付けとなる。そして、クーラント供給装置50から吐出されるクーラント液CKは、単筒Aの圧力P1、単筒Bの圧力P2、両方の合成圧力P3、アキュームレーターAQによる一定圧P0等が選択されて切替えられ、空き缶状円筒体内へ脈動圧P1,P2,P3乃至無脈動圧P0のクーラント液CKが噴射される。これで、外周面の無数の小h孔又はスリット孔Lから研削液CKが研削面KMに均等に噴射されながら超砥粒13で軽く研削される。しかして、研削面KMは、発熱せずに歪みや面粗さを生じることなく研削液CKの流れで高精度な研削面や磨きが得られる。
【0054】
上記図7(c)に示す実装装置は、図12に示す。即ち、センタースルーの工具ホルダH0に回転軸Sを締め付け、空き缶型円筒研削砥石K3~K10内にクーラント液CKが供給され、小穴h又はスリットLから飛び出し研削面KMに向けて噴射される。
また、図5(a)(b)(c)や図11(b)(c)における実装装置は、図14図15に示す。即ち、センタースルーの工具ホルダH0に回転軸Sを締め付け、空き缶型円筒研削砥石K3~K7内にクーラント液CKが供給され、ゴム製薄膜材G又は不織布Wの小穴から飛び出し研削面KMに向けて噴射される。
【0055】
ところで、図11(b)に示すように、空き缶型円筒研削砥石K3~K7の内側壁面にゴム製薄膜材Gが内張りされ、このゴム製薄膜材の表面にダイヤ,CBN電着砥粒又はWA、GC砥粒11の何れかを固着されていると、クーラント供給装置50から吐出されるクーラント液CKは、単筒ACの圧力P1、単筒BCの圧力P2、両方の合成圧力P3、アキュームレーターAQによる一定圧P0のいずれかに切替えられる。しかして、ゴム製薄膜材Gを内蔵しているときは、単筒ACの圧力P1、単筒BCの圧力P2、両方の合成圧力P3、アキュームレーターAQによる一定圧P0の何れかの選択でゴム製薄膜材Gを膨張させる。これで、図11(b)に示すように、ゴム製薄膜材Gは、空缶状円筒体内に流入するクーラント液CKの例えば、加圧P0により外周面に開けた無数の小孔又はスリット孔から外径側に膨出し、この膨出したゴム製薄膜材Gの外周面の超砥粒13により研削面を軽く研削する。これにより、バルーン砥石の如く、研削面KMに歪みや面粗さを生じることなく高精度な研削面が得られる。また、ゴム製薄膜材Gに明けた多数の小孔h1から内部に溜まるクーラント液CKの一部が膨出した個所から噴出し、研削面を軽く潤滑する。この時、単筒ACの圧力P1、単筒BCの圧力P2、両方の合成圧力P3の何れかによると、ゴム製薄膜材Gは小孔h又はスリット孔Lから外径側への膨出量と小孔h1からからのクーラント液の噴射量が変動・脈動し、より滑らかな磨き作用が得られる。
【0056】
即ち、クーラント供給装置50から吐出するクーラント液CKを、単筒Aの圧力P1、単筒Bの圧力P2、両方の合成圧力P3に選択されると、バルーン砥石の如く小孔h又はスリット孔Lからゴム製薄膜材Gの一部が外径側に膨出するとともに、その膨出量が脈動する高精度な研削面が得られるから、外部ノズルNからクーラント液CKが噴射されて研削面KMが発熱せず、歪みや面粗さを生じることなく研削液の流れで高精度な研削面や磨き面が得られる。
【0057】
従って、上記各空き缶型円筒研削砥石K3~K7において、小孔h又はスリットLだけからなる時は、上記各種の吐出圧のクーラント液CKが小孔h又はスリットLから吐出し、研削面KMに噴射される。この時、脈動圧乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給すると、砥石とワークの研削面KMとに滞留する砥粒が、脈動圧乃至無脈動圧のクーラント液により積極的に洗い流される。これにより、研削面に砥粒13による擦傷が皆無となり、効率良く高精度な研削面からホーニング面、ポリシング面が得られる。即ち、砥粒で研磨される研削面の冷却と、剥離した砥粒の排出、研削面および砥粒の冷却効果が得られる。
【0058】
また、空き缶状円筒体K3~K7の内側壁面に内張りしたゴム製薄膜材Gによる時は、空き缶状円筒体の閉塞内にクーラント液CKが圧入されると、空き缶状円筒体の外周面の小孔h又はスリット孔Lの内側壁面に内張りしたゴム製薄膜材Gは、空き缶状円筒体内に流入するクーラント液CKの加圧により外周面に開けた無数の小孔又はスリット孔から外径側に膨出し、この膨出したゴム製薄膜材の外周面の超砥粒13により研削面KMを軽く撫ぜるように研削できる。しかして、バルーン砥石の如く、研削面に歪みや面粗さを生じることなく高精度な研削からホーニング面、ポリシング面が得られる。尚、ゴム製薄膜材の内部に砥粒を混練含有させた時は、砥粒が摩耗脱落しても新たな砥粒がゴム製薄膜材の内部から露出し、研磨力が維持される。
【0059】
更に、ゴム製薄膜材Gに限らず、図11(c)の如く、ダイヤ砥粒他を編み込んだ不織布Wとすれば、クーラント液CKがこの水圧で網目又は穴から飛び出しポリシング加工、ラッピング加工が可能で飛躍的に研削面の面粗さが向上する。この時、上記クーラント液は、NC制御装置60からのNC制御プログラムPGにより、単筒ACの圧力P1、単筒BCの圧力P2、両方の合成圧力P3、アキュームレーターAQによる一定圧P0に切替えられるから、研削面KMが要求する研削からポリシング迄、多種多様な繊細な研削磨き面が得られる。
【0060】
図6(a)(b)(c)に示すように、上記空き缶型円筒研削砥石K8を、側面30Bに砥粒13を備え、更に、内部にゴム製薄膜材Gを備えた砥石K9、ダイヤ砥粒他を編み込んだ不織布Wを採用する砥石K10においても、上記作用が同様に得られる。例えば、クーラント供給装置50から吐出するクーラント液CKを、単筒Aの圧力P1、単筒Bの圧力P2、両方の合成圧力P3に選択されると、図11(b)に見るバルーン砥石の如く小孔又はスリット孔からゴム製薄膜材Gの一部が外径側に小孔h1も膨出するとともに、その膨出量が脈動する高精度な研削面からポリシング面が得られる。また、不織布Wとすれば、クーラント液CKがこの水圧で網目又は穴から飛び出しポリシング加工、ラッピング加工が可能で飛躍的に研削面の面粗さが向上する。
【0061】
更に、空き缶型円筒研削砥石K1,K2は、図8に示すように、空き缶状円筒体の側壁に設けた取付穴S1に回転軸S3を嵌着するとともに、上記空き缶状円筒体10,11内の回転軸Sにリング状のセンサーユニットSUが嵌着される。上記センサーユニットSUは、熱センサHS、振動センサSS、メモリM、受発信器R、電源Pと演算CPUを備えた自立型環状体から成る。しかして、空き缶型円筒研削砥石K1,K2による研削状況がダイレクトに外部の監視装置MUに伝達され、最適な研削作用と研削結果が研削加工を進行させながら効率良く得られる。
【0062】
更に、空き缶型円筒研削砥石K1,K2は、図9に示すように、例えば、タービンブレードTBの湾曲面を研磨する時において、泡状クーラント液CKによる研削方法と研削装置にも採用される。これは、3次元自由曲面加工と言わるもので、冷風(泡)研削により湾曲面を超高精度に研磨が可能である。その手段は、空き缶状円筒体の側壁に設けた取付穴S1に回転軸S3を嵌着するとともに、空き缶状円筒体の開放した片側面外にクーラントノズルNを配置し、該クーラントノズルから空き缶状円筒体内にクーラント供給装置50からの脈動圧乃至無脈動圧のクーラント液CKを噴射可能に供給する。更には、クーラント液を泡状クーラント液とするとともに大気中の空気を0℃以下の冷風とする冷却器から供給させる。
【0063】
以上のごとく、各空き缶型円筒研削砥石は、空き缶状円筒体の片側面の中心位置に回転軸との取付穴を有し、上記空き缶状円筒体の外周面や片側面には多数の小孔又はスリット孔が設けられ、上記回転軸にはセンタースルークーラント液を空き缶状円筒体内に繋がるセンター孔が開けられ、クーラント供給装置からの脈動乃至無脈動圧のクーラント液を空き缶状円筒体内に供給し、ここから加工点へ到達させる構成である。上記空き缶型円筒研削砥石K1~K9とこの研削装置100及び空き缶型円筒体K1~K10の製造法によると、下記の効果が発揮される。
(1)先ず、空き缶型円筒研削砥石K1~K10によると、台金となる空き缶状円筒体の重量は非常に軽く、被研削ワークの研削面に対して缶状円筒体の外周面がしなやかに軽く触れ合い、更に、空き缶状円筒体の開放した側方から研削液が内部に噴射され、外周面の無数の小孔又はスリット孔から研削液が研削面に均等に噴射されながら超砥粒で軽く研削できる。これで、研削面が発熱せずに歪みや面粗さを生じることなく研削液の流れで高精度な研削・研磨面が得られる。
(2)また、空き缶型円筒研削砥石K1~K10によると、空き缶状円筒体の内側壁面にゴム製薄膜材が内張りされ、上記ゴム製薄膜材の表面に小穴h1とダイヤ砥粒,CBN砥粒又はWA砥粒又はGC砥粒を固着し又は混練含有する。更に、ゴム製薄膜材Gに替えてダイヤ砥粒他を編み込んだ不織布Wを採用することで、クーラント液の水圧でバルーン砥石の様に穴から飛び出して膨出しポリシング加工やラッピング加工が可能で、飛躍的に研削面の面粗さが向上する。これで、バルーン砥石の如く、研削面に歪みや面粗さを生じることなく高精度な研削・研磨面が得られる。
(3)そして、空き缶型円筒研削砥石K1~K10を駆動する研削装置100に採用すると、上記優れた研削、研磨、ポリシングが正確無比に容易に実施できる。
(4)更に、クーラント供給装置50によると、該クーラント供給装置50からの脈動圧乃至無脈動圧のクーラント液を各空き缶型円筒研削砥石K1~K10に、NC制御装置60からのNC制御プログラムPGにより供給するから、単筒ACの圧力P1、単筒BCの圧力P2、両方の合成圧力P3の他に、アキュームレーターAQによる一定圧P0に切替えられ、研削面が要求する研削からポリシング迄、多種多様な繊細な研削・磨き面が得られる。
(5)更に、空き缶型円筒体K1~K10の製造法によると、古典的なへら絞り法により製造されるも、その製造工程A~Gにおいて、従来の円筒体の絞りによる製作工程A~C,C1には見られない新規工程D~Gを介して製造される。上記絞り法には、切削加工法やプレス加工法によっては得られない薄肉で任意形状となる空き缶状円筒体10,20他の製作が高い生産性の基に実行される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、上記空き缶型円筒研削砥石K1~K10において、多種多様な研削装置やこれによる研削からラッピングまでに適用可能である。また、空き缶型円筒研削砥石K1~K10の研削装置100及び空き缶型円筒体の製造法において、図示する各実施形態に限定されない。更に、設計変更となる細部の構成に係わる変更や用途変更等の広範囲にわたる実施形態に適用される。
【符号の説明】
【0065】
10 空き缶状円筒体
10A 外周面
10B 側壁
13 超砥粒
20,21 空き缶状円筒体
20A,21A 外周面
20C,21C 側壁面
20B,21B 側壁
50 クーラント供給装置
60 NC制御装置
100 研削装置
M0 モーター
T タンク
P 2気筒プランジャーポンプ
AC 単筒
P1 圧力
BC 単筒
P2 圧力
P3 合成圧力
AQ アキュームレーター
PG NC制御プログラム
P0 一定圧
S 回転軸
S3 回転軸
S1 取付穴,
SS 振動センサ
h 小孔
h1 ゴム製薄膜材の小孔
L スリット孔
K1~K10 空き缶型円筒研削砥石
SU センサーユニット
HS 熱センサ
M メモリ
R 受発信器
CK クーラント液
P プランジャーポンプ
AQ アキュームレーター
G ゴム製薄膜材
V1~V5 逆止弁
V6,V7 切換弁
W 不織布
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15