(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ファッションスタイル診断システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220824BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020179233
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】517403581
【氏名又は名称】株式会社galdy.
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大友 和子
(72)【発明者】
【氏名】矢部 陽子
(72)【発明者】
【氏名】栄田 真有子
(72)【発明者】
【氏名】染 麻美
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-166454(JP,A)
【文献】特開2003-085270(JP,A)
【文献】特開2001-224430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファッションスタイルを複数のカテゴリーに分類したスタイル分類表データ、顧客がなりたいとイメージしたなりたいイメージ診断結果と顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージ診断結果とのギャップを想定した複数のギャップパターン及び当該ギャップパターンに対応するファッションスタイルのカテゴリーを対応付け格納したテーブルデータ、各スタイル要素に係るファッションスタイルイメージ情報を格納したテーブルデータを有する記憶部と、
画像提示部に提示されたファッションスタイルに係る視覚的情報である複数のコラージュ画像の中から一つのコラージュ画像を顧客の選択により取得する、
なりたいイメージ情報取得部と、
前記なりたいイメージ情報取得部が取得したなりたいイメージであるコラージュ画像に基づいて、顧客がなりたいとイメージするファッションスタイルを、前記記憶部から読み出した、ファッションスタイルを複数のカテゴリーに分類したスタイル分類表データに照らし合わせて、顧客が選択したコラージュ画像からこの顧客のなりたいファッションスタイルに係るイメージが前記スタイル分類表データのどのカテゴリーに分類されるかを判定して顧客がなりたいとイメージするファッションスタイルのイメージを取得する、
なりたいイメージ診断部と、
顧客の顔の画像に基づいて複数ポイントを計測して顧客の顔形状データを算出すると共に、顧客の顔の長さ比率がゴールデンバランスであるか、またはゴールデンバランスより長いかの何れかに分類し、前記顧客の顔形状データに加えて顧客の顔の長さに係る情報を、顧客の顔立ち情報として取得する、
顔立ち情報取得部と、
前記顔立ち情報取得部により得られた顧客の顔立ち情報を、前記記憶部から読み出したファッションスタイルを複数のカテゴリーに分類したスタイル分類表データタに照らし合わせて、前記顧客の顔立ち情報から顧客の顔立ちに係るイメージが前記スタイル分類表データのどのカテゴリーに分類されるかを判定して顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージを取得する、フェイスイメージ診断部と、
前記なりたいイメージ診断部における診断結果と、フェイスイメージ診断部における診断結果とに基づいて
最適なファッションスタイルに係るイメージを分析し、なりたいイメージ診断部における診断結果と、フェイスイメージ診断部における診断結果とにギャップが生じている場合において、前記記憶部に格納された、顧客がなりたいとイメージしたなりたいイメージ診断結果と顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージ診断結果とのギャップを想定した複数のギャップパターン及び、当該ギャップパターンに対応するファッションスタイルのカテゴリーを対応付けたテーブルデータに基づいて、前記診断結果のギャップパターンに対応する顧客にとって最適なファッションスタイルイメージを取得する、フィッテイング分析部と、
前記フィッテイング分析部において取得した顧客にとって最適なファッションスタイルイメージに基づいて、
テーブルデータとして前記記憶部に格納されている各スタイル要素に係るファッションスタイルイメージ情報から、ファッションに係る複数の要素のうち顧客が選択したスタイル要素に関して当該顧客にとって最適なファッションスタイルイメージ情報を取得する、最適イメージ情報生成部と、
前記最適イメージ情報生成部において取得した、顧客が選択したスタイル要素における最適なイメージ情報を提供する、情報提供部と、
を具備することを特徴とするファッションスタイル診断システム。
【請求項2】
前記記憶部に格納されている各スタイル要素は、ヘアスタイル、顔のメイク、アイブロウ、アパレルスタイル、ネイルスタイルであることを特徴とする請求項1に記載のファッションスタイル診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファッションスタイルに関して顧客が自らなりたいと望むイメージと、顧客の実際の顔立ちに係る情報とに基づいて、当該顧客にとって最適なファッションスタイルを分析し提供するファッションスタイル診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、服装、装い等のいわゆるアパレルスタイルに限らず、広くファッションに係るスタイル、例えば、ヘアスタイル、顔の化粧(メイク)等のファッションスタイルについては、歴史的にみても洋の東西を問わず古来より人々の関心を集めてきたことは論を待たない。現代に至るまでのファッション史の変遷については様々な研究成果に譲るとしてここでの説明は割愛するが、人々のファッションに関する情報の取得という面においては、近年は大きく様変わりしているといえる。例えば、近年では、ファッション情報誌等の紙の媒体に留まらず、ネット上にはファッションスタイルに関する夥しい数の情報が溢れており、人々がこれらの情報に接する機会も従前に比べ飛躍的に増大している。
【0003】
一方で、近年は、個人の嗜好性の拡がりと共にファッションスタイルも益々多様化してきており、個々人が身近に接する情報の多さと相俟って、人々が自ら「なりたい」と望むスタイルもまた多様化しつつある。
【0004】
しかしながら、個々人が「なりたい」と望んだとしても必ずしもそのファッションスタイルを実現できるとは限らない。ここで、ヘアスタイル、顔のメイクは言うに及ばず、アパレルスタイルに対しても、少なからずその個人の「顔立ち」の影響を受けることは、古来より広く知られている。歴史的にみても人類が本来的に好む比率、例えば、黄金比と称される比率に代表される比率が存在することは周知の事象である。この観点に沿うと、ファッションスタイルは人の感性に基づくものであることから、人の「顔立ち」がファッションスタイルに対して影響を及ぼすこともまた理解できることである。
【0005】
このように、人の「顔立ち」はファッションスタイルに影響を与えるものであるが、どのように影響が及ぶかについて認識することは、多くの個人にとって困難であると考えられる。裏を返せば、自らの「顔立ち」の特徴を把握することができれば、その「顔立ち」に対してより「似合う」と思われるスタイルを認識することができ、実現できるファッションスタイルの幅も広がることになる。
【0006】
しかしながら、現状では、まず、自らが「なりたい」ファッションスタイルが果てしてどうようなカテゴリとして分類されるかを認識することは困難である。また、上述したように、自らの「顔立ち」の特徴を客観的に把握することが難しいことから、本来的に「似合う」と思われるスタイルを認識することもまた困難である。そして、「なりたい」ファッションスタイルと「似合う」ファッションスタイルとのギャップを認識することはさらに困難であり、加えて、このギャップが分かったとしても、その対応策、すなわち、今の自分によって最適なファッションスタイルが何かを知ることも極めて困難である。
【0007】
ここで、日本国特許第3529954号公報(特許文献1)にはメーキャップの演出に使用するための顔立ちマップに関する技術が、日本国特許第3614783号公報(特許文献2)には顔立ち分類法に関する技術が、日本国特許第3611007号公報(特許文献3)にはヘアスタイルイメージマップに関する技術が、日本国特許第3927569号公報(特許文献4)にはヘアスタイルの評価方法に関する技術がそれぞれ示されている。さらに、日本国特許第4809056号公報(特許文献5)には、ほおの形態的特徴別に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法に関する技術が示されている。
【0008】
また、日本国特開2001-211933号公報(特許文献6)には、ヘアカウンセリング方法に関する技術が開示され、日本国特開平7-82604号公報(特許文献7)には、簡単に服飾を提案する服飾情報選択支援装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第3529954号公報
【文献】特許第3614783号公報
【文献】特許第3611007号公報
【文献】特許第3927569号公報
【文献】特許第4809056号公報
【文献】特開2001-211933号公報
【文献】特開平7-82604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1-5に記載の技術は、いずれも顧客の顔タイプ診断に関する技術であるが、顧客が望むファッションスタイルの把握については何等開示されておらず、まして、顔タイプ診断結果とこの顧客が望むファッションスタイルの情報から、当該顧客にとって最適なファッションスタイルを提供することについても何等示唆するものでない。
【0011】
さらに、特許文献6に記載の技術についても、顧客が望むファッションスタイルの情報と把握した顧客情報から当該顧客にとって最適なファッションスタイルを提供することについて何等示唆するものでない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、顧客が希望する「なりたい」とイメージするファションスタイルを取得し、顧客の顔立ちに係る情報から当該顧客の顔立ちに「似合う」ファッションスタイルを取得して、取得した顧客が希望する「なりたい」ファションスタイルと、取得した顧客の顔立ちに「似合う」ファッションスタイルとにギャップが生じた場合、ギャップパターンに対応する最適なファションスタイルのカテゴリーを対応付けた記憶部に記憶されているテーブルデータに基づいて当該ギャップパターンに対応する顧客にとって最適なファッションスタイルイメージを取得し、かつ取得した最適なファッションスタイルイメージに基づいて、テーブルデータとして記憶部に格納されているヘアスタイル、顔のメイク、アイブロウ、アパレルスタイルなどのスタイル要素に係る最適なファッションスタイルイメージ情報のうち顧客が選択したスタイル要素に関するファッションスタイルイメージ情報を取得して顧客に提供することを可能とするファションスタイル診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によるファッションスタイル診断システムは、ファッションスタイルを複数のカテゴリーに分類したスタイル分類表データ、顧客がなりたいとイメージしたなりたいイメージ診断結果と顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージ診断結果とのギャップを想定した複数のギャップパターン及び当該ギャップパターンに対応するファッションスタイルのカテゴリーを対応付け格納したテーブルデータ、各スタイル要素に係るファッションスタイルイメージ情報を格納したテーブルデータを有する記憶部と、画像提示部に提示されたファッションスタイルに係る視覚的情報である複数のコラージュ画像の中から一つのコラージュ画像を顧客の選択により取得する、なりたいイメージ情報取得部と、 前記なりたいイメージ情報取得部が取得したなりたいイメージであるコラージュ画像に基づいて、顧客がなりたいとイメージするファッションスタイルを、前記記憶部から読み出した、ファッションスタイルを複数のカテゴリーに分類したスタイル分類表データに照らし合わせて、顧客が選択したコラージュ画像からこの顧客のなりたいファッションスタイルに係るイメージが前記スタイル分類表データのどのカテゴリーに分類されるかを判定して顧客がなりたいとイメージするファッションスタイルのイメージを取得する、なりたいイメージ診断部と、顧客の顔の画像に基づいて複数ポイントを計測して顧客の顔形状データを算出すると共に、顧客の顔の長さ比率がゴールデンバランスであるか、またはゴールデンバランスより長いかの何れかに分類し、前記顧客の顔形状データに加えて顧客の顔の長さに係る情報を、顧客の顔立ち情報として取得する、顔立ち情報取得部と、前記顔立ち情報取得部により得られた顧客の顔立ち情報を、前記記憶部から読み出したファッションスタイルを複数のカテゴリーに分類したスタイル分類表データタに照らし合わせて、前記顧客の顔立ち情報から顧客の顔立ちに係るイメージが前記スタイル分類表データのどのカテゴリーに分類されるかを判定して顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージを取得する、フェイスイメージ診断部と、前記なりたいイメージ診断部における診断結果と、フェイスイメージ診断部における診断結果とに基づいて最適なファッションスタイルに係るイメージを分析し、なりたいイメージ診断部における診断結果と、フェイスイメージ診断部における診断結果とにギャップが生じている場合において、前記記憶部に格納された、顧客がなりたいとイメージしたなりたいイメージ診断結果と顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージ診断結果とのギャップを想定した複数のギャップパターン及び、当該ギャップパターンに対応するファッションスタイルのカテゴリーを対応付けたテーブルデータに基づいて、前記診断結果のギャップパターンに対応する顧客にとって最適なファッションスタイルイメージを取得する、フィッテイング分析部と、 前記フィッテイング分析部において取得した顧客にとって最適なファッションスタイルイメージに基づいて、テーブルデータとして前記記憶部に格納されている各スタイル要素に係るファッションスタイルイメージ情報から、ファッションに係る複数の要素のうち顧客が選択したスタイル要素に関して当該顧客にとって最適なファッションスタイルイメージ情報を取得する、最適イメージ情報生成部と、前記最適イメージ情報生成部において取得した、顧客が選択したスタイル要素における最適なイメージ情報を提供する、情報提供部と、を具備する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、顧客が希望する「なりたい」とイメージするファションスタイルを取得し、顧客の顔立ちに係る情報から当該顧客の顔立ちに「似合う」ファッションスタイルを取得して、取得した顧客が希望する「なりたい」ファションスタイルと、取得した顧客の顔立ちに「似合う」ファッションスタイルとにギャップが生じた場合、ギャップパターンに対応する最適なファションスタイルのカテゴリーを対応付けた記憶部に記憶されているテーブルデータに基づいて当該ギャップパターンに対応する顧客にとって最適なファッションスタイルイメージを取得し、かつ取得した最適なファッションスタイルイメージに基づいて、テーブルデータとして記憶部に格納されているヘアスタイル、顔のメイク、アイブロウ、アパレルスタイルなどのスタイル要素に係る最適なファッションスタイルイメージ情報のうち顧客が選択したスタイル要素に関するファッションスタイルイメージ情報を取得して顧客に提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける診断装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける顔立ち情報取得部の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおけるカウンセリングの流れを示したフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける診断用マトリクスの一例を示した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおいて、顧客が「なりたいイメージ」に係るヘアスタイルの一例を示した図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおいて、顧客に「似合うイメージ」に係るヘアスタイルの一例を示した図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおいて顧客にとって最適なヘアスタイルの一例を示した図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおいて、顧客が「なりたいイメージ」に係るアイブロウスタイルの一例を示した図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおいて、顧客に「似合うイメージ」に係るアイブロウスタイルの一例を示した図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおいて、顧客にとって最適なアイブロウスタイルの一例を示した図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける「なりたいイメージ診断」カウンセリングの流れを示したフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の第3の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける「フェイスイメージ診断」カウンセリングのうち、顔形状を計測する場合を示したフローチャートである。
【
図14】
図14は、本発明の第3の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける「フェイスイメージ診断」カウンセリングのうち、顔形状を計測しない場合を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムの構成を示す図であり、
図2は、第1の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける診断装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態のファッションスタイル診断システム1は、システムを利用するユーザ用の端末装置である診断装置2と、この診断装置2に対して公衆通信網であるインターネット3を介して接続されるサーバ4とを備えている。
【0019】
インターネット3は、通信回線を介して端末装置である診断装置2およびサーバ4が接続される、いわゆるインターネット網と称される公衆通信網である。なお、この診断装置2を一定の狭いエリア内で運用する場合には、インターネット3に代えて、例えば、LAN等で構成してもよい。また、このインターネット3に対しては、いわゆる光ファイバ通信網等の有線通信にて接続してもよく、また、無線通信網で接続してもよい。
【0020】
本実施形態において診断装置2は、いわゆるタブレット型端末装置を想定し、この種の装置が通常備える機能は備えるものとし、所定のプログラムにより稼働し、上述したインターネット3に接続可能であり、また所定の記憶部を備えるものとする。
【0021】
なお、本実施形態においては、診断装置2はタブレット型端末装置を想定するが、これに限らず、例えば、スマートフォン、他の種類のウェアラブル端末、ノート型のパーソナルコンピュータ(PC)等で構成されてもよい。少なくともユーザ(顧客および/または店員)の操作に基づいて稼働し、また、インターネット3を介してサーバ4等に通信可能なデバイスである。
【0022】
また、診断装置2は、ユーザが携帯可能とすることにより常時持ち運びを可能とするデバイスであるが、これに限定されるものではなく、据え置き型のPC等、あらゆる電子機器を含む概念である。
【0023】
なお、この診断装置2は、インターネット3を介して所定のプログラムをダウンロードしてもよく、また、例えば、店頭で販売されているパッケージソフト等をインストールするようにしてもよい。この場合には、インターネット3を介した通信を行わない機器であってもよい。
【0024】
図2に示すように、診断装置2は、なりたいイメージ情報取得部21、なりたいイメージ診断部22、顔立ち情報取得部23、フェイスイメージ診断部24、フィッティング分析部25、ビューティーフィッターイメージ情報生成部26、情報提供部27を有する。
【0025】
なお、上述した各構成要素は、当該診断装置2において全て包含するものに限らず、その一部の機能を他の外部の装置にて実施するように構成されてもよい。この場合、当該一部の機能を有する外部装置と当該診断装置2とは、例えば、インターネット3を介して協働するように構成されてもよい。
【0026】
なりたいイメージ情報取得部21は、顧客が「なりたい」と所望するファッションスタイルイメージに係る情報を取得する。
【0027】
具体的には、なりたいイメージ情報取得部21は、予め設定されたファッションスタイルに係る複数の視覚的情報のうちの一を選択することにより、顧客がなりたいと望むファッションスタイルに係るイメージに係る情報を取得する。
【0028】
より具体的に本実施形態における「なりたいイメージ情報取得部21」は、画像の集合体であるコラージュ画像を複数種類呈示するコラージュ画像呈示部を有し、当該コラージュ画像を顧客に呈示する。ここで、このコラージュ画像は、複数の互いに異なる形態を現す画像でありつつ見る人に同種のファッションスタイルであると連想させる画像の集合体と意味する。なりたいイメージ情報取得部21は、顧客が選択したコラージュ画像の情報を、後段のなりたいイメージ診断部22に送出する。
【0029】
なりたいイメージ診断部22は、前記なりたいイメージ情報取得部21において取得した当該なりたいイメージと、予め設定されたスタイル分類指標である診断用マトリクス表(ビューティーフィッターマトリクス、以下、BFマトリクスと称す;
図5参照)と、に基づいて、当該顧客が「なりたい」と所望するファッションスタイルに係るイメージ(または、顧客が潜在的になりたいと所望するファッションスタイルに係るイメージ)を診断する。
【0030】
なお、当該BFマトリクスは、
図5に示すように、ファッションスタイルのイメージを複数の指標軸に沿ってマトリクス状に複数のカテゴリに分類した指標であり、そのデータは予め所定の記憶部に記憶されている。このBFマトリクスを記憶する記憶部は、診断装置2に有するものであってもよく、また、診断装置2に接続可能な所定の記憶媒体として構成されてもよい。または、インターネット3を介して他の装置、たとえばサーバ4に記憶するように構成しても良い。
【0031】
本実施形態においては、BFマトリクスとして、例えば、3つの指標軸に沿ってファッションスタイルイメージを8つのカテゴリに分類した表を採用する。この分類は、いずれもファッションスタイルイメージを表す複数のカテゴリ、例えば、「エレガント」、「クール」、等の要素を本出願人が考案する独自の理論により別々のカテゴリにふるい分けたものである。
図5に示す例は、ファッションスタイルイメージの一例である「エレガント」と「クール」とが、所定の指標軸に沿って対極のイメージをなす位置に配置されたマトリクス表を示している。
【0032】
なお、この分類は、8つのカテゴリの分類に限らず、より多くのイメージ要素の分類であってもよく、また、指標軸もこれより多くまたは少なくてもよい。また、
図5においては"1つの領域"として分類される部分(例えば、
図5においては「エレガント」に分類される領域)を、さらに別の指標に基づいて細かく分類しても良い(この場合、当該「エレガント」に対してさらに別の指標に基づく「ソフトエレガント」を小分類として追加してもよい)。
【0033】
上述したように当該なりたいイメージ診断部22における上記診断は、なりたいイメージ情報取得部21の取得結果に基づいて診断する。例えば、今、コラージュ画像呈示部が提示する複数のコラージュ画像のから顧客があるコラージュ画像を選択したとする。なりたいイメージ診断部22は、この選択されたコラージュ画像に基づいて、当該顧客がなりたいとイメージするスタイルを前記BFマトリクスに照らし合わせて特定する。例えば、顧客が選択したコラージュ画像から、この顧客のなりたいファッションスタイルに係るイメージが、例えば「エレガント」に分類されるカテゴリであると判定する。
【0034】
また、顔立ち情報取得部23は、顧客の顔形状に係る情報を取得し(この顔形状に係る情報の具体例については、後述する)、当該顧客における実際の顔立ち情報を取得する。
【0035】
ここで、本実施形態における顔立ち情報取得部23は、
図3に示すように、顔形状計測部31、顔形状データ算出部32、顔立ち情報出力部33と共に、顔特徴要素分類部34を有する。
【0036】
顔形状計測部31は、顧客の顔における複数ポイントについて計測して当該顧客の顔形状を測定する。具体的には、例えば、診断装置2に内蔵するカメラ等により撮像した顧客の顔に係る撮像画像を取得し、当該撮像画像に基づいて、顧客に係る複数ポイントを計測することにより、顧客の顔形状に係るデータを得る。
【0037】
また顔形状計測部31は、当該顧客自らの顔を撮像した撮像画像データの提供を受け、この撮像画像に基づいて、顧客に係る複数ポイントを計測し顔形状に係るデータを得てもよい。なお、この顧客から提供される撮像画像データは、インターネット3を介して提供されるものであってもよく、または、所定の記憶媒体を介したものでもよい。
【0038】
顔形状データ算出部32は、前記顔形状計測部31において計測した計測結果に基づいて当該顧客に係る顔形状データを算出する。この顔形状に係るデータの算出手法は、公知の算出手法を用いて実施する。この算出機能は、本実施形態においては当該診断装置2に備えるが、これに限らず、インターネット3を介して他の算出装置において算出された結果を入手する形態を採っても良い。
【0039】
顔立ち情報出力部33は、前記顔形状データ算出部32において算出した当該顧客に係る顔形状データに基づく当該顧客の顔立ち情報を後段のフェイスイメージ診断部24に対して出力する。
【0040】
一方、本実施形態の顔立ち情報取得部23は、顔特徴要素分類部34を備える。この顔特徴要素分類部34は、顧客の顔における複数個所のそれぞれについて特徴要素を分類する。
【0041】
具体的には、例えば、「顧客の顔の長さの比率」という特徴要素について、店舗における店員が顧客の顔を視認により判定し、当該判定結果を顔特徴要素分類部34に対して入力する。より具体的には、店舗において店員が顧客の顔を視認し、当該「顧客の顔の長さの比率」がゴールデンバランスであるか、または、当該バランス比率より長いかのいずれに分類できるについて判定し、その判定結果をタブレット端末である当該診断装置2上のタッチパネル操作により入力する。この操作により、顔立ち情報取得部23における顔特徴要素分類部34は、当該判定結果を取得することになる。
【0042】
そして顔立ち情報出力部33は、前記顔形状データ算出部32において算出した当該顧客に係る顔形状データに加え、顔特徴要素分類部34において取得した、分類された当該顔特徴要素(この場合、顧客の顔の長さに係る情報)を、当該顧客の顔立ち情報としてフェイスイメージ診断部24に向けて出力するようになっている。
【0043】
フェイスイメージ診断部24は、前記顔立ち情報取得部23において取得した当該顧客の顔立ち情報と、予め設定されたスタイル分類指標である上述した診断用マトリクス表(BFマトリクス;
図5参照)と同様の診断用マトリクス表に基づいて、顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージを診断する。
【0044】
なお、当該BFマトリクスも上記同様に、ファッションスタイルを複数の指標軸に沿ってマトリクス状に分類した指標であり、そのデータは予め所定の記憶部に記憶されている。そしてこの記憶部も上記同様に、診断装置2に有するものであってもよく、また、診断装置2に接続可能な所定の記憶媒体であってもよい。さらには、インターネット3を介して他の装置、たとえばサーバ4に記憶するように構成しても良い。
【0045】
具体的には、顔立ち情報取得部23の取得結果から、例えば、顧客の顔形状に係るデータを得たとする。フェイスイメージ診断部24は、この得られた顧客の顔形状に係るデータから、当該顧客の顔立ちをBFマトリクス(
図5参照)に照らし合わせて特定する。例えば、顧客の顔形状に係るデータから、この顧客の顔立ちに係るイメージは「クール」に分類されるカテゴリであると判定する。
【0046】
なお、本実施形態においては、上記BFマトリクスは、なりたいイメージ診断部22とフェイスイメージ診断部24とで同様な診断用マトリクス表を用いるものとしたが、これに限らず、なりたいイメージ診断部22とフェイスイメージ診断部24とで異なる診断用マトリクス表を設定するようにしてもよい。
【0047】
フィッティング分析部25は、前記なりたいイメージ診断部22における診断結果と、フェイスイメージ診断部24における診断結果と、に基づいて、ファッションスタイルに関する、顧客にとって最適なファッションスタイルに係るイメージを分析する。
【0048】
具体的には、なりたいイメージ診断部22において診断した結果が、上述したように、「エレガント」に分類されるカテゴリであり(
図5参照)、一方、フェイスイメージ診断部24において診断した結果が、上述したように、「クール」に分類されるカテゴリであったとする。この場合、フィッティング分析部25は、このギャップ、すなわち「エレガント」と「クール」というギャップが生じていることを把握すると共に、このパターンのギャップが生じている場合において当該顧客にとって最適なファッションスタイルイメージが何かを分析する。
【0049】
より具体的には、フィッティング分析部25は、様々なギャップパターンと、当該ギャップパターンに対応する最適なカテゴリとを対応付けて記憶したテーブルデータを格納する記憶部を有する。そして、フィッティング分析部25は、当該記憶部に格納された当該テーブルデータに基づいて、当該ギャップパターン(今の場合、「エレガント」と「クール」とギャップ)に対応する最適なカテゴリ、すなわち、顧客にとって最適なファッションスタイルイメージを求める。
【0050】
なお、このテーブルデータを格納する記憶部は、診断装置2に有するものであってもよく、また、診断装置2に接続可能な所定の記憶媒体として構成されてもよい。または、インターネット3を介して他の装置、たとえばサーバ4に記憶するように構成しても良い。
【0051】
ビューティーフィッターイメージ情報生成部26は、前記フィッティング分析部25において求めた顧客にとって最適なファッションスタイルイメージに基づいて、ファッションに係る複数のスタイル要素、例えば、ヘアスタイル、顔のメイク、アイブロウ、アパレルスタイル、ネイルスタイル等のうち顧客が選択したスタイル要素に関して当該顧客にとって最適なファッションスタイルイメージ情報を生成する。
【0052】
この各スタイル要素に係る最適なファッションスタイルイメージ情報は、本実施形態においては、予め定めたテーブルデータとして診断装置2における所定の記憶部に格納されている。なお、このテーブルデータを格納する記憶部は、上記同様、診断装置2に有するものであってもよく、また、診断装置2に接続可能な所定の記憶媒体として構成されてもよい。または、インターネット3を介して他の装置、たとえばサーバ4に記憶するように構成しても良い。
【0053】
以下、ファッションスタイル要素としてヘアスタイルおよびアイブロウを例に挙げてこのビューティーフィッターイメージ情報生成部26の機能を具体的に説明する。
【0054】
<ヘアスタイルが選択された場合>
診断を求めるファッションスタイル要素として、いま、顧客がヘアスタイルを選択したとする。また、当該顧客のなりたいヘアスタイルに係るイメージが「エレガント」に分類されるカテゴリであり(
図6参照)、また、当該顧客に似合うヘアスタイルに係るイメージが「クール」に分類されるカテゴリである(
図7参照)とする。
【0055】
このときビューティーフィッターイメージ情報生成部26は、フィッティング分析部25において分析した結果である「当該顧客にとって最適なファッションスタイルイメージ」、今の場合、「エレガント」と「クール」とのギャップに対応する最適なファッションスタイルイメージに係る情報に基づいて、この最適なファッションスタイルイメージをヘアスタイルに適用した際の具体的なヘアスタイルデータを、上述したテーブルデータから求める。
【0056】
図8は、本実施形態のファッションスタイル診断システムにおいて顧客にとって最適なヘアスタイルの一例を示した図である。すなわち、本実施形態のファッションスタイル診断システムは、顧客がなりたいイメージの「エレガント」と、当該顧客に似合うイメージの「クール」とのギャップに対応する最適なヘアスタイルイメージとして、
図8に示す如きイメージを求め、顧客に提案する。
【0057】
情報提供部27は、前記ビューティーフィッターイメージ情報生成部26において生成した、当該顧客が選択したスタイル要素(いまの場合、ヘアスタイル)に関する最適なファッションスタイルイメージ情報を当該顧客に対して提供する。
【0058】
<アイブロウが選択された場合>
一方で、診断を求めるファッションスタイル要素として、次に顧客がアイブロウスタイルを選択したとする。また、当該顧客のなりたいアイブロウに係るイメージが「エレガント」に分類されるカテゴリであり(
図9参照)、また、当該顧客に似合うアイブロウに係るイメージが「クール」に分類されるカテゴリである(
図10参照)とする。
【0059】
このときビューティーフィッターイメージ情報生成部26は、上述したヘアスタイルのときと同様に、フィッティング分析部25において分析した結果である「当該顧客にとって最適なファッションスタイルイメージ」、今の場合、「エレガント」と「クール」とのギャップに対応する最適なファッションスタイルイメージに係る情報に基づいて、この最適なファッションスタイルイメージをアイブロウスタイルに適用した際の具体的なアイブロウデータを、上述したテーブルデータから求める。
【0060】
図11は、本実施形態のファッションスタイル診断システムにおいて顧客にとって最適なアイブロウスタイルの一例を示した図である。すなわち、本実施形態のファッションスタイル診断システムは、顧客がなりたいイメージの「エレガント」と、当該顧客に似合うイメージの「クール」とのギャップに対応する最適なアイブロウスタイルイメージとして、
図11に示す如きイメージを求め、顧客に提案する。
【0061】
情報提供部27は、前記ビューティーフィッターイメージ情報生成部26において生成した、当該顧客が選択したスタイル要素(いまの場合、アイブロウスタイル)に関する最適なファッションスタイルイメージ情報を当該顧客に対して提供する。
【0062】
このような構成を成す当該診断装置2を含むファッションスタイル診断システム1の作用について
図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0063】
図12に示すように、まず、タブレット端末装置である診断装置2を店舗の店員が操作することにより、本実施形態のファッションスタイル診断システムにおけるビューティーフィッターカウンセリング("ビューティーフィッター"は、株式会社galdy.社の登録商標)が開始される。
【0064】
まず、診断装置2におけるなりたいイメージ情報取得部21は、例えば、上述した如きコラージュ画像が選択されることにより、顧客が「なりたい」と所望するファッションスタイルイメージに係る情報を取得する(ステップS101)。
【0065】
次に、なりたいイメージ診断部22は、なりたいイメージ情報取得部21において取得した当該なりたいイメージとBFマトリクス(ビューティーフィッターマトリクス)とに基づいて、当該顧客が潜在的に「なりたい」と所望するファッションスタイルに係るイメージを診断する(ステップS102)。
【0066】
その後、顔立ち情報取得部23は、顧客の顔形状に係る情報を取得し(ステップS103)、次いで、フェイスイメージ診断部24は、顔立ち情報取得部23において取得した当該顧客の顔立ち情報と、予め設定されたスタイル分類指標であるBFマトリクスと、に基づいて、顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージを診断する(ステップS104)。
【0067】
ここで、本実施形態においては、顧客に対して、なりたいイメージ診断部22における診断結果と、フェイスイメージ診断部24における診断結果とを、個別に顧客に対して提供する(ステップS105)。
【0068】
次にフィッティング分析部25は、前記なりたいイメージ診断部22における診断結果と、フェイスイメージ診断部24における診断結果と、に基づいて、上述の如く顧客にとって最適なファッションスタイルイメージを分析し求める(ステップS106)。
【0069】
その後ビューティーフィッターイメージ情報生成部26は、フィッティング分析部25において求めた顧客にとって最適なファッションスタイルイメージに基づいて、ファッションに係る複数のスタイル要素、例えば、ヘアスタイル、顔のメイク、アイブロウ、アパレルスタイル、ネイルスタイル等のうち顧客が選択したスタイル要素に関して当該顧客にとって最適なファッションスタイルイメージ情報を生成し、次いで情報提供部27は、前記ビューティーフィッターイメージ情報生成部26において生成した、当該顧客が選択したスタイル要素(例えば、ヘアスタイル)に関する最適なファッションスタイルイメージ情報を当該顧客に対して提供する(ステップS107)。
【0070】
以上説明したように、本第1の実施形態におけるファッションスタイル診断システムによると、顧客が所望する「なりたい」ファッションスタイルを客観的に把握し、また、顧客の顔立ちに係る情報を取得して当該顧客に「似合う」ファッションスタイルを客観的に把握し、かつ、当該顧客が所望する「なりたい」ファッションスタイルと、当該顧客に「似合う」ファッションスタイルとの客観的な情報に基づいて、当該顧客にとって最適なファッションスタイルを分析し、その結果を顧客に提供することを可能とするファッションスタイル診断システムを提供することができる。
【0071】
なお、なりたいイメージの診断は、それ自体、以下に示す如き効果を奏する。すなわち、この「なりたいイメージの診断」は、顧客がファッションスタイルイメージについて自分がなりたいと望むイメージについて見える化するものであり、その際、顧客が自分でも気づいていない潜在的な"なりたいイメージ"を顕在化することができ、顧客にとって有用な情報を提供するものである。
【0072】
一方、フェイスイメージ診断、すなわち、当該顧客に似合うイメージの診断についても、以下に示す効果を奏する。すなわち、「フェイスイメージ診断」は、当該顧客の実際の顔立ちにおける「似合うイメージ」を見える化するものであり、その際、顧客が自ら認識することが難しい自分にとって"似合うイメージ"を顕在化することができ、顧客にとって有用な情報を提供することができる。
【0073】
また、上述したように、本第1の実施形態のファッションスタイル診断システムは、「なりたいイメージの診断」、「似合うイメージの診断(フェイスイメージ診断)」および「顧客にとって最適なファッションスタイルの分析」等の処理を、診断装置2内における各要素のみにおいて(または一部を他の装置において代行することによって)実施するものとしたが、本発明の技術思想はこれに限られない。すなわち、本発明の技術は、上述した処理の一部を外部の「Webアプリケーション」を利用する形態を採ってもよい。例えば、いわゆる「WebAPI」を介して外部の「Webアプリケーション」が提供する情報またはサービスを利用するものであってもよい。
【0074】
さらに本発明の技術は、上述した「なりたいイメージの診断」、「似合うイメージの診断(フェイスイメージ診断)」および「顧客にとって最適なファッションスタイルの分析」等の処理を、例えば、タブレット端末等で構成された診断装置2にインストールされた、いわゆる「アプリ」と称されるアプリケーションソフトを稼働することで実現する形態を採っても良い。
【0075】
<第2、第3の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態および第3の実施形態について説明する。
【0076】
上述した第1の実施形態は、
図4に示すように、なりたいイメージ診断部22による顧客のなりたいイメージの診断(ステップS102)と、フェイスイメージ診断部24による顧客のフェイスイメージの診断(ステップS104)と、を実施し、この両方の診断結果に基づいて、顧客にとって最適なファッションスタイルイメージを分析し、提供する(ステップS106、S107)ものであるが、上述した、なりたいイメージの診断(ステップS102)、および、フェイスイメージ診断部24による顧客のフェイスイメージの診断(ステップS104)は、個別に診断し、その結果を顧客に提供しても良い。
【0077】
第2の実施形態のファッションスタイル診断システムは、この「なりたいイメージ診断」カウンセリングに特化した実施形態であり、第3の実施形態のファッションスタイル診断システムは、「フェイスイメージ診断」カウンセリングに特化した実施形態である。
【0078】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施の形態のファッションスタイル診断システムは、その構成は第1の実施形態のファッションスタイル診断システムと同様であり、
図2に示す如き診断装置2を備えるが、上述した「なりたいイメージ診断」カウンセリングに特化したものである。
【0079】
図12は、第2の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける「なりたいイメージ診断」カウンセリングの流れを示したフローチャートである。
【0080】
図12に示すように、第2の実施形態のファッションスタイル診断システムは、第1の実施形態と同様にまず、診断装置2におけるなりたいイメージ情報取得部21は、上述した如きコラージュ画像が選択されることにより、顧客が「なりたい」と所望するファッションスタイルイメージに係る情報を取得する(ステップS201)。
【0081】
次に、なりたいイメージ診断部22は、なりたいイメージ情報取得部21において取得した当該なりたいイメージとBFマトリクス(ビューティーフィッターマトリクス)とに基づいて、当該顧客が潜在的に「なりたい」と所望するファッションスタイルに係るイメージを診断する(ステップS202)。
【0082】
その後、第2の実施形態における診断装置2は、顧客に対して、当該なりたいイメージ診断部22における診断結果と顧客に対して提供する(ステップS203)。
【0083】
このように、第2の実施形態のファッションスタイル診断システムは、なりたいイメージの診断のみについて実施することを可能とし、その診断結果を顧客に提供することができる。このなりたいイメージの診断は、第1の実施形態のファッションスタイル診断システムにも共通することであるが、顧客がファッションスタイルイメージについて自分がなりたいと望むイメージについて見える化するものであり、その際、顧客が自分でも気づいていない潜在的な"なりたいイメージ"を顕在化することができ、顧客にとって有用な情報を提供することができる。
【0084】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施の形態のファッションスタイル診断システムは、その構成は第1の実施形態のファッションスタイル診断システムと同様であり、
図2に示す如き診断装置2を備えるが、上述した「フェイスイメージ診断」カウンセリングに特化したものである。
【0085】
図13は、第3の実施の形態のファッションスタイル診断システムにおける「フェイスイメージ診断」カウンセリングのうち、顔形状を計測する場合を示したフローチャートであり、
図14は、「フェイスイメージ診断」カウンセリングのうち、顔形状を計測しない場合を示したフローチャートである。
【0086】
まず、顔形状を計測する場合について説明する。
「フェイスイメージ診断」カウンセリングが開始されると、診断装置2における顔立ち情報取得部23は、まず、
図3に示す顔形状計測部31において、顧客の顔における複数ポイントについて計測して当該顧客の顔形状を測定する(ステップS301)。具体的には、診断装置2に内蔵するカメラ等により撮像した顧客の顔に係る撮像画像を取得し、当該撮像画像に基づいて、顧客に係る複数ポイントを計測することにより、顧客の顔形状に係るデータを得る。
【0087】
次に、顔立ち情報取得部23における顔形状データ算出部32によって、前記顔形状計測部31において計測した計測結果に基づいて当該顧客に係る顔形状データを算出する(ステップS302)。この顔形状に係るデータの算出手法は、公知の算出手法を用いて実施する。この算出機能は、当該顔形状データ算出部32において実施してもよく、また、インターネット3を介して他の算出装置において算出された結果を入手する形態を採っても良い。
【0088】
この後、顔立ち情報出力部33は、前記顔形状データ算出部32において算出した当該顧客に係る顔形状データに基づく当該顧客の顔立ち情報を後段のフェイスイメージ診断部24に対して出力する。
【0089】
フェイスイメージ診断部24は、前記顔立ち情報取得部23において取得した当該顧客の顔立ち情報(顧客の顔形状に係るデータに基づく顔立ち情報)と、予め設定されたビューティーフィッターマトリクス(BFマトリクス;
図9参照)と、に基づいて、顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージを診断する(ステップS303)。
【0090】
具体的には、フェイスイメージ診断部24は、得られた顧客の顔形状に係るデータから、当該顧客の顔立ちをビューティーフィッターマトリクスに照らし合わせて、その結果に基づいて当該顧客の顔立ちに係るイメージ、すなわち当該顧客に「似合うイメージ」が、例えば「クール」に分類されるカテゴリであると判定する。
【0091】
この後、診断装置2は、このフェイスイメージ診断部24の診断結果、例えば、上記の場合、顧客の顔立ち情報から当該顧客に似合うイメージが「クール」に分類されるものであるという診断結果を当該顧客に提供する(ステップS304)。
【0092】
さらに、本実施形態においては、この顧客の似合うイメージに基づくバリエーション情報を提供する(ステップS305)。例えば、当該顧客に似合うイメージが「クール」に分類されるものである場合、この「クール」のイメージを保ったまま、さらに幅を持たせた範囲にあるイメージについて、その具体的なイメージと共に顧客に提供する。
【0093】
次に、顔形状を計測しない場合について説明する。
「フェイスイメージ診断」カウンセリングが開始されると、顔立ち情報取得部23における顔特徴要素分類部34は、顧客の顔における複数個所のそれぞれについて特徴要素を分類する(ステップS401)。
【0094】
具体的には、例えば、顧客の顔の長さに関して長い、普通、短いに分類できるとして、店舗における店員の判断により、当該顧客の顔を視認によりいずれに分類できるかを判定し、顔特徴要素分類部34はその判定結果をタブレット端末である当該診断装置2上のタッチパネル操作によって取得する。
【0095】
そして前記顔立ち情報出力部33は、顔特徴要素分類部34において取得した、分類された当該顔特徴要素(今の場合、顧客の顔の長さに係る情報)を、当該顧客の顔立ち情報としてフェイスイメージ診断部24に向けて出力する。なお、顔立ち情報出力部33は、上述した顔形状の測定した場合は、この測定した顔形状のデータと併せて当該顔特徴要素に係る情報をフェイスイメージ診断部24に向けて出力する。この後のフェイスイメージ診断部24における診断は、上記同様である。
【0096】
フェイスイメージ診断部24は、顔立ち情報取得部23において取得した当該顧客の顔立ち情報(顧客の顔の特徴要素の分類に基づく顔立ち情報、または、これに上述した顔形状データを加えた情報)と、予め設定されたビューティーフィッターマトリクス(BFマトリクス;
図5参照)と、に基づいて、上記同様に、顧客の顔立ちに似合うフェイスイメージを診断する(ステップS402)。
【0097】
具体的には、フェイスイメージ診断部24は、得られた顧客の顔の特徴要素の分類に基づく顔立ち情報、または、これに上述した顔形状データを加えた情報から、当該顧客の顔立ちをビューティーフィッターマトリクスに照らし合わせて、その結果に基づいて当該顧客の顔立ちに係るイメージ、すなわち当該顧客に「似合うイメージ」が、例えば「クール」に分類されるカテゴリであると判定する。
【0098】
この後、診断装置2は、このフェイスイメージ診断部24の診断結果、例えば、上記の場合、顧客の顔立ち情報から当該顧客に似合うイメージが「クール」に分類されるものであるという診断結果を当該顧客に提供する(ステップS403)。
【0099】
さらに、この顔形状を計測しない場合であっても本実施形態においては、この顧客の似合うイメージに基づくバリエーション情報を提供する(ステップS404)。
【0100】
このように、第3の実施形態のファッションスタイル診断システムは、顧客の顔形状の計測データまたは顧客の顔に係る特徴要素の分類情報に基づいて、顧客のフェイスイメージを特定することにより、当該顧客の「似合うイメージ」を診断し、その診断結果を顧客に提供することができる。
【0101】
このフェイスイメージ、すなわち、当該顧客に似合うイメージの診断は、第1の実施形態のファッションスタイル診断システムにも共通することであるが、当該顧客の実際の顔立ちにおける「似合うイメージ」を見える化するものであり、その際、顧客が自ら認識することが難しい自分にとって"似合うイメージ"を顕在化することができ、顧客にとって有用な情報を提供することができる。
【0102】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1:ファッションスタイル診断システム
2:診断装置
3:インターネット
4:サーバ
21:なりたいイメージ情報取得部
22:なりたいイメージ診断部
23:顔立ち情報取得部
24:フェイスイメージ診断部
25:フィッティング分析部
26:ビューティーフィッターイメージ情報生成部
27:情報提供部
31:顔形状計測部
32:顔形状データ算出部
33:顔立ち情報出力部
34:顔特徴要素分類部