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  • 特許-電子制御装置用ブラケット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】電子制御装置用ブラケット
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
B60R16/02 610J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021522319
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2020020367
(87)【国際公開番号】W WO2020241510
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2019099154
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕輔
(72)【発明者】
【氏名】蒲地 誠
(72)【発明者】
【氏名】大坂 保
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘和
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-088059(JP,U)
【文献】実開平05-026662(JP,U)
【文献】国際公開第2005/028259(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の構造部材に第1の電子制御装置を取り付けるブラケットであって、
前記第1の電子制御装置を覆う天板と、
前記天板から前記構造部材側に延設され、前記構造部材に固定される固定面を有する第1脚部と、
前記第1の電子制御装置の側面に固定されたL字金具と、
前記天板から前記構造部材の表面へ向けて延設され前記構造部材の表面側の先端部に形成されると共に前記構造部材の表面から離れた位置で前記L字金具を保持する保持面有する第2脚部とを備え、
前記第1の電子制御装置が、前記第2脚部及び前記L字金具により、前記天板と前記第1の電子制御装置との間及び前記構造部材の表面と前記第1の電子制御装置との間にそれぞれ空間を形成して、前記天板に保持される
ことを特徴とする電子制御装置用ブラケット。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、
前記第2脚部を複数備え、同複数の第2脚部のうち一部の第2脚部の前記保持面が、曲折する曲折部を介して前記構造部材に固定されている
ことを特徴とする電子制御装置用ブラケット。
【請求項3】
請求項2に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、
前記曲折部を介して前記構造部材に固定されている前記保持面は、前記曲折部を介して前記構造部材に固定されていない前記保持面よりも、前記車両のエンジン側に配置される
ことを特徴とする電子制御装置用ブラケット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、
前記第1の電子制御装置の上方に第2の電子制御装置を積み重ねる場合、前記第2の電子制御装置は、前記第1の電子制御装置と前記天板との間に形成された前記空間から前記第2の電子制御装置に向けて締結する第1締結部材により、前記天板の上面に取り付けられる
ことを特徴とする電子制御装置用ブラケット。
【請求項5】
請求項4に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、
前記第2の電子制御装置の上方に第3の電子制御装置を更に積み重ねる場合、前記天板の上面に保持部材を設け、前記第3の電子制御装置は、第2締結部材により、前記保持部材に取り付けられる
ことを特徴とする電子制御装置用ブラケット。
【請求項6】
請求項5に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、
前記第1の電子制御装置と前記第2の電子制御装置及び前記第3の電子制御装置とは、コネクタポートを有する側面が互いに異なる方向を向くように配置される
ことを特徴とする電子制御装置用ブラケット。
【請求項7】
請求項6に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、
前記第1の電子制御装置は、コネクタポートを有する側面が鉛直下方を向くように配置され、
前記第2の電子制御装置及び前記第3の電子制御装置は、コネクタポートを有する側面が斜め下方を向くように配置される
ことを特徴とする電子制御装置用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電子制御装置用のブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両制御の高度化のために電子制御装置(Electronic Control Unit;以降、ECU)が用いられており、例えば、下記の特許文献1では、駆動力分配用ECUが駆動力伝達装置に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-132141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、安全技術などの高度化に伴って、エンジンフード内にも多種多様なECUが設けられている。例えば、自動ブレーキなどに用いるカメラのカメラ用ECU、駐車支援などに用いるコーナーセンサのコーナーセンサ用ECUなどがエンジンフード内に設けられている。このようなECUに対して、エンジンなどの振動の影響を受けないように配置することが望まれている。
【0005】
また、エンジンフード内には、元々、多種多様な装置が配置されており、上述したECUを配置する際には、他の装置や他のECU及びブラケットと干渉するおそれがある。そのため、他の装置や他のECU及びブラケットと干渉せずに、複数のECUをまとめて配置することが望まれている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、振動の影響を抑えた配置にすることができる電子制御装置用ブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する第1の発明に係る電子制御装置用ブラケットは、車両の構造部材に第1の電子制御装置を取り付けるブラケットであって、前記第1の電子制御装置を覆う天板と、前記天板から前記構造部材側に延設され、前記構造部材に固定される固定面を有する第1脚部と、前記第1の電子制御装置の側面に固定されたL字金具と、前記天板から前記構造部材の表面へ向けて延設され、前記構造部材の表面側の先端部に形成されると共に前記構造部材の表面から離れた位置で前記L字金具を保持する保持面を有する第2脚部とを備え、前記第1の電子制御装置が、前記第2脚部及び前記L字金具により、前記天板と前記第1の電子制御装置との間及び前記構造部材の表面と前記第1の電子制御装置との間にそれぞれ空間を形成して、前記天板に保持されることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第2の発明に係る電子制御装置用ブラケットは、上記第1の発明に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、前記第2脚部を複数備え、同複数の第2脚部のうち一部の第2脚部の前記保持面は、曲折する曲折部を介して前記構造部材に固定されていることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第3の発明に係る電子制御装置用ブラケットは、上記第2の発明に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、前記曲折部を介して前記構造部材に固定されている前記保持面は、前記構造部材に固定されていない前記保持面よりも前記車両のエンジン側に配置されることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第4の発明に係る電子制御装置用ブラケットは、上記第1~第3のいずれか1つの発明に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、前記第1の電子制御装置の上方に第2の電子制御装置を積み重ねる場合、前記第2の電子制御装置は、前記第1の電子制御装置と前記天板との間に形成された前記空間から前記第2の電子制御装置に向けて締結する第1締結部材により、前記天板の上面に取り付けられることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第5の発明に係る電子制御装置用ブラケットは、上記第4の発明に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、前記第2の電子制御装置の上方に第3の電子制御装置を更に積み重ねる場合、前記天板の上面に保持部材を設け、前記第3の電子制御装置は、第2締結部材により、前記保持部材に取り付けられることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第6の発明に係る電子制御装置用ブラケットは、上記第5の発明に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、前記第1の電子制御装置と前記第2の電子制御装置及び前記第3の電子制御装置とは、コネクタポートを有する側面が互いに異なる方向を向くように配置されることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第7の発明に係る電子制御装置用ブラケットは、上記第6の発明に記載の電子制御装置用ブラケットにおいて、前記第1の電子制御装置は、コネクタポートを有する側面が鉛直下方を向くように配置され、前記第2の電子制御装置及び前記第3の電子制御装置は、コネクタポートを有する側面が斜め下方を向くように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、振動の影響を抑えて電子制御装置を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電子制御装置用ブラケットと共に電子制御装置を示す図であって、車両中心側から見た図である。
図2図1に示した電子制御装置用ブラケット及び電子制御装置を示す図であって、車両後方下側から見た図である。
図3図1に示した電子制御装置用ブラケット及び電子制御装置を示す図であって、車両前方下側から見た図である。
図4図1に示した電子制御装置用ブラケット及び電子制御装置を示す図であって、車両下側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図4を参照して、本発明に係る電子制御装置(ECU)用ブラケットの実施形態を説明する。
【0017】
[実施例1]
図1は、本実施例のECU用ブラケットと共にECUを示す図であって、車両中心側から見た図である。また、図2図4は、ECU用ブラケット及びECUを、それぞれ、車両後方下側、車両前方下側、車両下側から見た図である。
【0018】
本実施例のECU用ブラケット20は、ECUを取り付けるブラケットであり、エンジンルーム内又は車室内に設けられている。ここでは、一例として、エンジンルーム内の車両の構造部材であるAピラー11に取り付けられている。なお、ECU用ブラケット20は、エンジンルーム内又は車室内であれば、他の構造部材や装置に取り付けても良い。
【0019】
このECU用ブラケット20は、詳細な構成は後述するが、少なくともECU60(第1の電子制御装置)を取り付ける構成であり、更には、複数のECU60(第1の電子制御装置)、70(第2の電子制御装置)、80(第3の電子制御装置)を積み重ねて取り付ける構成である。ここで、ECU60、70、80としては、どのようなものでも使用可能である。例えば、エンジン用ECU、EV(Electric Vehicle)用ECU、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)用ECU、カメラ用ECU、コーナーセンサ用ECUなどが使用可能である。
【0020】
ECU用ブラケット20は、天板21と側板22と複数の脚部23、24、25、26を有している。天板21には、クリップ挿入孔21a、21bが設けられている(図1図3)。そして、図4に示すように、ハーネス91、92を保持するクリップ93、94をクリップ挿入孔21a、21bに挿入することで、ハーネス91、92を天板21に固定している。
【0021】
上述したハーネス91は、ECU70、80と他の装置(例えば、カメラやコーナセンサなど)との間を電気的に接続するものであり、また、ハーネス92は、ECU60と他の装置(例えば、エンジンやモータなど)との間を電気的に接続するものである。なお、ECUの種類によっては、ECU60とECU70、80との間を電気的に接続するようにしても良い。この場合には、ハーネスの配置及び接続が容易になる。
【0022】
天板21は、ECU60を覆うものである。そして、天板21の車両後方側の側面には、天板21(天板21の下面)から延設するように側板22が設けられている(図2参照)。そして、側板22の下端からAピラー11の表面へ斜め下方側に延設するように、脚部23が設けられている(図2図3参照)。この脚部23の先端部には、固定面23aが設けられている(図1図3参照)。この固定面23aは、その貫通孔に挿通したボルト31により、Aピラー11(Aピラー11の表面)に固定されており、これにより、天板21をAピラー11に固定している(図1図3参照)。この固定面23aは、例えば、脚部23の先端部を90度外側に折り曲げることで形成すれば良い。
【0023】
また、側板22の脚部23より車両上方側には、側板22からAピラー11の表面へ水平方向に延設するように、脚部24が設けられている(図2参照)。この脚部24の先端部には、保持面24aが設けられている(図1図2参照)。この保持面24aは、後述するボルト32a、33aを含めて、ECU60がAピラー11の表面に接触しない(Aピラー11の表面とECU60との間に空間S1を形成する)位置に配置されており、また、クリップ93、94及び後述するネジ38、39を含めて、ECU60が天板21に接触しない(天板21とECU60との間に空間S2を形成する)位置に配置されており、これにより、ECU60を天板21に保持している(図4参照)。なお、図4では、保持面24a周辺の構成を図示するため、その手前側にある固定面23a周辺の構成は図示していない。
【0024】
保持面24aの下には、ECU60の側面に設けたL字金具61が重ね合わされており、それらの貫通孔に挿通したボルト32a、33aとナット32b、33bにより、L字金具61を保持面24aに固定している(図2図4参照)。この保持面24aも、例えば、脚部24の先端部を90度外側に折り曲げることで形成すれば良い。
【0025】
このように、保持面24aは、Aピラー11の表面に固定されるものではなく、Aピラー11の表面から離れた位置でL字金具61を保持するものである。ECU60を確実に保持するため、保持面24a及びL字金具61の車両上下方向の長さを長くし、複数のボルト32a、33a及びナット32b、33bを用いて、保持面24aとL字金具61とを固定している。
【0026】
天板21の車両上方側には、天板21(天板21の下面)からAピラー11の表面へ水平方向に延設するように、脚部25が設けられている(図1図3参照)。この脚部25の先端部には、固定面25aが設けられている(図1図3参照)。この固定面25aには、貫通孔ではなく、切欠部25bが形成されて、固定面25aがC字形状となっている。この切欠部25bには、Aピラー11に立設されたボルト12が挿通されており、このボルト12にナット34を締結することにより、固定面25aがAピラー11(Aピラー11の表面)に固定されており、これにより、天板21をAピラー11に固定している(図1図3参照)。この固定面25aも、例えば、脚部25の先端部を90度外側に折り曲げることで形成すれば良い。
【0027】
このように、ECU用ブラケット20の車両上方側の脚部25においては、その固定面25aに切欠部25bを形成しているので、ECU用ブラケット20をAピラー11に取り付ける際には、切欠部25bにボルト12を引っ掛けることで、ECU用ブラケット20をAピラー11に容易に位置決めすることができ、その後の取り付け作業も容易に行うことができる。
【0028】
天板21の車両前方側には、天板21(天板21の下面)からAピラー11の表面へ水平方向に延設するように、脚部26が設けられている(図3参照)。この脚部26の先端部には、固定面26a及び保持面26bが設けられている(図1図3参照)。この固定面26aの貫通孔には、Aピラー11に立設されたボルト13が挿通されており、このボルト13にナット35を締結することにより、固定面26aがAピラー11(Aピラー11の表面)に固定されており、これにより、天板21をAピラー11に固定している(図1図3参照)。また、固定面26aと保持面26bとの間には、これらを曲折して接続する曲折部26cが設けられており、これにより、曲折部26cを介して、隣接する固定面26aと保持面26bとを接続して一体としている(図1図3参照)。
【0029】
保持面26bは、後述するボルト36a、37aを含めて、ECU60がAピラー11の表面に接触しない(上記の空間S1を形成する)位置に配置されており、また、クリップ93、94及び後述するネジ38、39を含めて、ECU60が天板21に接触しない(上記の空間S2を形成する)位置に配置されており、これにより、ECU60を天板21に保持している(図4参照)。なお、図4では、保持面26b周辺の構成を図示するため、その手前側にある固定面26a周辺の構成は図示していない。
【0030】
保持面26bの下には、ECU60の側面に設けたL字金具62が重ね合わされており、それらの貫通孔に挿通したボルト36a、37aとナット36b、37bにより、L字金具62を保持面26bに固定している(図3図4参照)。固定面26a及び保持面26bも、例えば、脚部26の先端部を90度外側に折り曲げることで形成すれば良く、更には、固定面26aと保持面26bとの間をクランク状に折り曲げることで曲折部26cを形成すれば良い。
【0031】
このように、保持面26bも、Aピラー11の表面に固定されるものではなく、Aピラー11の表面から離れた位置でL字金具62を保持するものである。ECU60を確実に保持するため、保持面26b及びL字金具62の車両上下方向の長さも長くし、複数のボルト36a、37a及びナット36b、37bを用いて、保持面26bとL字金具62とを固定している。
【0032】
また、脚部26側では、固定面26aと保持面26bとを曲折部26cを介して一体としているが、これは、脚部26がエンジンに近い側に配置されるためであり、一体とすることにより、保持面26bと共に固定面26aをAピラー11の表面にリジッドに(硬く)固定している。一方、脚部23、24側では、固定面23aと保持面24aを一体とせず、互いに独立して設けると共に、車両下方側の脚部23は斜め下方に延設しており、これにより、エンジンに遠い側では、振動を柔らかく受け流して、Aピラー11側からECU60側に入力される振動(例えば、エンジンによる振動)を緩和すると共に、ECU70、80側に入力される振動も緩和するようにしている。
【0033】
以上説明したように、保持面24aがECU用ブラケット20の車両後方側に設けられると共に、保持面26bがECU用ブラケット20の車両前方側に設けられており、L字金具61及びL字金具62を介して、ECU60の対向する2つの側面側からECU60を保持している。これにより、図4に示すように、Aピラー11の表面と天板21から離れた位置でECU60を保持している。このような構成とすることにより、Aピラー11の表面とECU60との間に空間S1を形成することができ、また、天板21とECU60との間に空間S2を形成することができる。
【0034】
言い換えると、ECU60を車両の前後両方側から支持して、天板21の裏側に吊り下げた構成としている。このような構成とすることにより、Aピラー11側からECU60側に直接振動が伝わらないようにして、ECU60側に入力される振動を緩和することができ、また、ECU70、80側に入力される振動も緩和することができる。
【0035】
上述した空間S2は、クリップ93、94の下部が挿入される空間にもなる。また、ECU70を積み重ねる場合、ECU60の上方に配置されるECU70は天板21の上面に、同天板21を貫通するネジ38、39(締結部材)により取り付けられるが、このECU70は、天板21の裏側、即ち、空間S2側から締結したネジ38、39が配置される空間にもなる(図4参照)。この空間S2により、クリップ93、94の下部やネジ38、39のねじ頭がECU60と干渉しないようにしている。
【0036】
このように、ECU70は、天板21の上面に直接取り付けられて積み重ねられているが、更に、最も上方に配置されるECU80を積み重ねる場合には、少なくとも2つのクランク状の保持部材41、42を天板21に設けている。ここでは、2つの保持部材41、42が、ECU70の対向する側面に沿って設けられており、例えば、スポット溶接により、天板21の上面に取り付ければ良い。
【0037】
ECU80の側面には、L字金具81、82が設けられており、L字金具81、82のクリップ挿入孔を通して、保持部材41、42のクリップ挿入孔にクリップ43、44(締結部材)を挿入することで、L字金具81、82を保持部材41、42に固定している。これにより、ECU80をECU70の上に積み重ねるように配置している。この際、ECU70とECU80との間に空間S3が形成されるように、保持部材41、42を形成している。
【0038】
一番上に積み重ねるECU80は、例えば、コーナーセンサ用ECUなどであり、このようなECUは、車両の艤装時に取り付ける必要があるが、クリップ43、44により取り付け可能な構成としているので、艤装時に簡便に取り付けることができる。
【0039】
以上のようにして、ECU用ブラケット20を用いて、ECU60、70、80を積み重ね、これらを一箇所にまとめて配置することができる。この際、一番重要なECU60は、ECU用ブラケット20により、コネクタポート63が配置された面が鉛直下方側を向くようにしている。これは、ハーネス92などから水が伝わってくるのを防ぐためである。
【0040】
また、ECU70、80も、コネクタポート71、83が配置された面が鉛直下方側を向くようにすることが望ましいが、ECU60のコネクタポート63に接続されたハーネス92と干渉するおそれがあるため、鉛直下方側ではなく、斜め下方側を向くようにしている。このようにして、ハーネス91などから水が伝わってくるのを防ぐと共に、ECU60とは、コネクタポートを有する側面が異なる方向を向くようにして、ハーネス92との干渉も回避している。
【0041】
なお、ここでは、合計4つの脚部23、24、25、26のうち、3つの脚部23、25、26に固定面23a、25a、26aを設け、2つの脚部24、26に保持面24a、26bを設け、脚部26では、固定面26aと保持面26bとを一体としているが、これらの数は適宜に変更可能である。但し、固定面を有する脚部は少なくとも3つ必要であり、また、保持面を有する脚部は少なくとも2つ必要であり、保持面を有する脚部は互いに対向する位置にあることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、車両の電子制御装置を固定するブラケットとして好適なものである。
【符号の説明】
【0043】
11 Aピラー
20 ECU用ブラケット
21 天板
22 側板
23、24、25、26 脚部
23a、25a、26a 固定面
24a、26b 保持面
26c 曲折部
41、42 保持部材
60、70、80 ECU
63、71、83 コネクタポート

図1
図2
図3
図4