(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】食器回収装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/06 20060101AFI20220824BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20220824BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20220824BHJP
B65G 47/57 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B65G1/06 511K
B65G1/00 501F
B65G47/52 B
B65G47/57 B
(21)【出願番号】P 2018023112
(22)【出願日】2018-02-13
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】本岡 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 茂
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-020672(JP,U)
【文献】登録実用新案第3063186(JP,U)
【文献】実開昭50-104388(JP,U)
【文献】特開昭64-081704(JP,A)
【文献】特開平11-130240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
B65G 1/14-1/20
B65G 47/52
B65G 47/57
A47G 21/00-23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの食器を載せたトレイが置かれるコンベアと、
前記コンベアの終端側において該コンベアに延設される搬送路を形成するローラ群と、
前記ローラ群が有する複数のローラの隙間から上方へ向かって出し入れされる押し上げ装置と、を備え
、
前記押し上げ装置は、前記複数のローラの隙間の部分に収まる形態を有し、上下動されても前記複数のローラに干渉しないように、前記複数のローラを通す部分を切り欠くように形作られた板材であって、前記板材に載るトレイを前記板材の縁の一部が側方から囲うように形成されている押し上げ板を有する、
食器回収装置。
【請求項2】
前記ローラ群は、前記搬送路の中心線を挟んで左右に分割されており、左右で互いに独立して回転自在に構成されたローラを有する、
請求項
1に記載の食器回収装置。
【請求項3】
前記押し上げ装置の上方に設けられており、前記押し上げ装置によって押し上げられたトレイを該トレイの両側から一対の爪で支持する昇降装置を更に備える、
請求項1
又は2に記載の食器回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は労働者の確保が社会的に困難となってきており、飲食店においても、例えば、使用済みの食器を客席から厨房へ搬送する搬送機器等の自動機が普及している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、労働人口の減少に伴い、飲食店における作業の自動化が望まれている。飲食店において自動化が望まれている作業内容としては、例えば、客席に残る使用済みの食器を回収する作業が挙げられる。飲食店において使用済みの食器を客席から回収する場合、例えば、多数の食器を投入可能なバケットを使って作業者が食器を運ぶ。これを自動化する方法としては、例えば、客席と厨房を繋ぐコンベアに使用済みの食器を載せることが考えられる。
【0005】
ところで、飲食店では、飲食物の提供を効率的に行うために、複数の食器を載せることが可能なトレイが用いられる。よって、このようなトレイを使用する飲食店において、客席と厨房を繋ぐコンベアを使って使用済みの食器を運ぶ場合、当該コンベアには使用済みの食器を載せたトレイが載ることになる。したがって、当該コンベアによって運ばれたトレイがコンベア上から取り除かれない場合、次のトレイを当該コンベアで運ぶことができない。
【0006】
そこで、当該コンベアには、コンベアに載っているトレイをコンベアの搬送路の終端でコンベアから自動的に取り除く機構を併設することが望まれる。物品を上げる場合、当該物品を上側から掴む方法と、当該物品を下側から押し上げる方法の2つが考えられる。しかし、例えば、ベルトタイプのコンベアでは、シート状のベルトに物品を載せる形態を不可避的に採るため、ベルトに載っている物品を下側から押し上げることは難しい。ところが、食器を載せるトレイには複数の食器が様々な状態で載せられるため、食器を載せたトレイを上側から機械で掴むことも難しい。
【0007】
そこで、本願は、コンベアを使った搬送路において搬送される食器用のトレイを自動で上げることを可能にする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、コンベアの終端側において該コンベアに延設される搬送路をローラ群で形成し、複数のローラの隙間から上方へ向かって出し入れされる押し上げ装置でトレイを押し上げることにした。
【0009】
詳細には、本発明は、食器回収装置であって、使用済みの食器を載せたトレイが置かれるコンベアと、コンベアの終端側において該コンベアに延設される搬送路を形成するローラ群と、ローラ群が有する複数のローラの隙間から上方へ向かって出し入れされる押し上
げ装置と、を備える。
【0010】
このような食器回収装置であれば、コンベアに延設される搬送路がローラ群で形成されており、ローラの隙間から上方へ出し入れされる押し上げ装置でトレイが押し上げられる。押し上げ装置は、ローラの隙間から出し入れされるので、ローラに干渉しない。よって、使用済の食器を載せたトレイが置かれるコンベアが、例えば、ベルトコンベアやクレセントチェーンコンベアといった如何なる形態のコンベアであっても、当該コンベアによって搬送されるトレイを押し上げ可能である。
【0011】
なお、押し上げ装置は、複数のローラの隙間の部分に収まる形態を有し、上下動されても複数のローラに干渉しないように形作られた押し上げ部材を有するものであってもよい。押し上げ装置がこのような部材でトレイを押し上げれば、トレイを押し上げ部材で安定的に押し上げることができる。
【0012】
また、ローラ群は、搬送路の中心線を挟んで左右に分割されており、左右で互いに独立して回転自在に構成されたローラを有するものであってもよい。ローラ群がこのような形態であれば、例えば、搬送路がカーブしている場合であっても、トレイが搬送路をスムーズに移動することができる。
【0013】
また、上記の食器回収装置は、押し上げ装置の上方に設けられており、押し上げ装置によって押し上げられたトレイを該トレイの両側から一対の爪で支持する昇降装置を更に備えるものであってもよい。上記の食器回収装置にこのような昇降装置が備わっていれば、押し上げ装置で押し上げられたトレイを昇降装置でストックすることが可能である。
【発明の効果】
【0014】
上記の食器回収装置であれば、コンベアを使った搬送路において搬送される食器用のトレイを自動で上げることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る食器回収装置の全体構成図である。
【
図2】
図2は、注文飲食物搬送装置の筐体内の構造を示した図である。
【
図3】
図3は、ストッカの内部構造を示した図である。
【
図4】
図4は、押し上げ板がローラよりも上に位置する状態を示した図である。
【
図5】
図5は、食器回収装置の動作内容を示したフローチャートである。
【
図6】
図6は、食器回収装置において実現される食器トレイの動きを示した第1の図である。
【
図7】
図7は、食器回収装置において実現される食器トレイの動きを示した第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。下記に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、ラーメンやうどんといった丼物、から揚げや天ぷらといった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0017】
図1は、実施形態に係る食器回収装置1(本願でいう「食器回収装置」の一例である)の全体構成図である。食器回収装置1は、使用済みの食器が載ったトレイ(以下、「食器トレイ」という)を飲食店の客席から厨房へ搬送する下げ搬送装置3と、下げ搬送装置3が搬送した食器トレイを一時的に保管するストッカ4と、下げ搬送装置3やストッカ4を制御する図示しない制御装置とを備える。下げ搬送装置3は、厨房から客席エリアへ飲食
物を搬送する注文飲食物搬送装置2の筐体に内蔵されている。
【0018】
注文飲食物搬送装置2は、厨房から客席エリアへ至る搬送路を形成しており、客の注文を受けて厨房で用意された飲食物を客席エリアへ搬送する。客席エリアには、例えば、
図1に示すように、注文飲食物搬送装置2が形成する搬送路沿いに設けられたカウンター席のテーブル6と、テーブル6沿いに並ぶ客席7と、テーブル6に設置された注文端末9とが備わっている。注文飲食物搬送装置2は、何れかの客席7に座る客の注文を注文端末9で受けて厨房で用意された飲食物を、当該注文を行った客が座る客席7へ搬送する。なお、注文飲食物搬送装置2は、カウンター席等の無い立食形式の店舗に設置することもできる。
【0019】
注文飲食物搬送装置2の筐体には、注文飲食物搬送装置2の筐体に内蔵されている下げ搬送装置3へ食器トレイを投入するための食器投入口5が設けられている。食器投入口5は、テーブル6から下げ搬送装置3へ移しやすいよう、テーブル6の天面付近に設けられている。また、食器投入口5は、各客席7に座る客が食器トレイをテーブル6から下げ搬送装置3へ移しやすいよう、各客席7に対応する位置にそれぞれ設けられている。食器投入口5には、手動或いはボタン操作により自動で開閉可能な扉が設けられている。
【0020】
図2は、注文飲食物搬送装置2の筐体内の構造を示した図である。下げ搬送装置3は、注文飲食物搬送装置2の筐体の内部において、客席エリアから厨房へ食器トレイを搬送するベルトコンベアの搬送路を形成する。客席エリアから厨房へ食器トレイを搬送する下げ搬送装置3のベルトコンベアは、上面視略長方形の食器トレイの短手方向の長さと同等かそれよりも幅広のベルトが循環するコンベアである。下げ搬送装置3のベルトコンベアの厨房側の終端には、連絡経路8が延設されている。連絡経路8は、複数のローラを備え、下げ搬送装置3の終端からストッカ4へ向かって右カーブの搬送路を形成する。
【0021】
なお、
図1及び
図2では、カウンタータイプのテーブル6が注文飲食物搬送装置2の搬送路沿いに設けられている様子が図示されているが、食器回収装置1が適用される飲食店は、このような形態に限定されるものではない。注文飲食物搬送装置2の搬送路沿いには、例えば、いわゆるボックス席が設けられていてもよいし、カウンター席とボックス席とが混在する状態で設けられていてもよい。また、
図1では、注文飲食物搬送装置2が直線状の搬送路を形成しており、下げ搬送装置3も注文飲食物搬送装置2と同様に直線状の搬送路を形成しているが、注文飲食物搬送装置2と下げ搬送装置3は、例えば、複数のベルトコンベアを組み合わせることにより、コーナー部分を有する搬送路を形成するようにしてもよい。また、注文飲食物搬送装置2が形成する搬送路の側方にストッカ4が配置されているため、下げ搬送装置3の終端からストッカ4へ向かって右カーブの搬送路を形成する連絡経路8が備わっていたが、例えば、ストッカ4が注文飲食物搬送装置2の終端に配置されており、下げ搬送装置3の終端からストッカ4へ向かって搬送路を形成する連絡経路8が直線状であってもよい。
【0022】
図3は、ストッカ4の内部構造を示した図である。ストッカ4は、
図3に示されるように、食器トレイを上下方向に昇降させる昇降装置41と、昇降装置41の下部に連絡経路8から繰り出された食器トレイを上方向に押し上げる押し上げ装置50とを備える。昇降装置41の下部には、連絡経路8から繰り出される食器トレイを下側から支持するローラ57F,57Rが設けられている。ローラ57F,57Rや連絡経路8のローラ81L,81Rが形成する搬送路は、下げ搬送装置3の終端から昇降装置41の下部へ向かって徐々に下がる下り勾配となっている。そして、昇降装置41の下部の連絡経路8とは反対側の部位には、連絡経路8から繰り出されてローラ57F,57R上をスライドする食器トレイの移動を停止させるストッパ58F,58Rが設けられている。そして、連絡経路8の傾斜は、食器トレイがストッパ58F,58Rに接触して停止しても食器が転倒しない
よう、極めて緩慢な傾斜角となっている。よって、所定の曲率のカーブを形成する連絡経路8のローラ81L,81R上をスライドして昇降装置41の下部へ移動してきた食器トレイは、ストッパ58F,58Rに接触することにより、連絡経路8の下部で停止しても、食器が転倒しない。
【0023】
連絡経路8は、進路の中心線の左側に並ぶローラ81Lと、進路の中心線の右側に並ぶローラ81Rとにより構成されている。各ローラ81L,81Rは、互いに独立して回転自在である。よって、連絡経路8は、進路の中心線を挟んで左右に分割されており、且つ、左右で互いに独立して回転自在に構成されたローラ81L,81Rで構成されている。したがって、連絡経路8では食器トレイが以下のように動く。
【0024】
すなわち、下げ搬送装置3の終端から下り勾配の連絡経路8へ乗り移った食器トレイは、ローラ81L,81Rの各ローラを自重で転がしながら連絡経路8を下り始める。連絡経路8のカーブを形成している各ローラ81L,81Rが互いに独立して回転自在に構成されており、また、各ローラ81L,81Rの回転軸が連絡経路8の経路の中心線に対し直角であるため、食器トレイの視点で見ると、食器トレイが各ローラ81L,81Rの上を順に進んでいくに従い、食器トレイに接している各ローラ81L,81Rの回転方向の角度が徐々にコーナーの内側へ向かう方向に変化することになる。食器トレイは、基本的に食器トレイに接しているローラ81L,81Rの回転方向に沿うように進むため、食器トレイに接しているローラ81L,81Rの回転方向の角度が変化すれば、食器トレイの進路もこれに従うことになる。この結果、食器トレイは、コーナーの外側へ向かうことなく、連絡経路8の経路の中心線に寄るよう、コーナーの内側寄りに軌道修正される。その結果、食器トレイは、連絡経路8の傾斜をスムーズに下ってゆき、昇降装置41の下部へ到達することになる。
【0025】
昇降装置41の下部にある押し上げ装置50は、ローラ57F,57Rの隙間の部分に収まる形態を有し、上下動されてもローラ57F,57Rに干渉しないように形作られた押し上げ板51と、押し上げ板51を下側から支持するロッド52、ロッド52の下端にクランク53を介して連結されたプーリ54、駆動ベルト55を介してプーリ54を回転させる押し上げモータ56を備える。クランク53の下端は、プーリ54の中心から偏心する位置でプーリ54に連結されている。また、ロッド52は、上下方向に摺動可能なリニアガイドに取り付けられている。よって、プーリ54が押し上げモータ56によって回転されると、ロッド52の上端に固定された押し上げ板51が上下に動く。そして、クランク動作を行うクランク53の上死点において押し上げ板51がローラ57F,57Rよりも上になり、クランク53の下死点において押し上げ板51がローラ57F,57Rよりも下になるよう、ロッド52の長さやクランク53の偏心量が設計されている。したがって、押し上げ板51がローラ57F,57Rよりも下に位置する状態においては、連絡経路8から昇降装置41の下部へ移動する食器トレイの進行を押し上げ板51が妨げることはない。そして、食器トレイがローラ57F,57Rに支持された状態で押し上げモータ56が作動し、押し上げ板51がローラ57F,57Rよりも上へ上昇すると、ローラ57F,57Rに支持されていた食器トレイを押し上げ板51が押し上げることになる。なお、本実施形態では、クランク53がプーリー54を介してモータ56に動かされているが、ロッド52はこのような形態の駆動方式に限定されるものではない。本実施形態は、プーリ54や駆動ベルト55を省略した形態、例えば、クランク53が直交軸モータにより直接動かされる形態であってもよい。
【0026】
また、昇降装置41は、食器トレイを左側で支持する昇降機構41Lと、食器トレイを右側で支持する昇降機構41Rとを備える。昇降機構41Lは、食器トレイを支持するための爪46Lが等間隔で取り付けられている昇降ベルト43L,44Lを備える。昇降ベルト43Lは、昇降装置41の上部と下部にそれぞれ配置された2つのプーリ42Lに掛
け渡されており、適度な張力が付与されている。昇降ベルト44Lも昇降ベルト43Lと同様、昇降装置41の上部と下部にそれぞれ配置された2つのプーリ45Lに掛け渡されており、適度な張力が付与されている。そして、昇降装置41の下部にあるプーリ42Lとプーリ45Lは、同一の回転軸で互いに連結されており、昇降モータ47からプーリ48を介して伝達される動力で回転する駆動ベルト49Aにより回転駆動される。よって、昇降モータ47が作動してプーリ42L,45Lが回転すると、昇降ベルト43L,44Lに取り付けられている爪46Lが上下動する。
【0027】
昇降機構41Rも昇降機構41Lと同様であり、昇降機構41Rは、食器トレイを支持するための爪46Rが等間隔で取り付けられている昇降ベルト43R,44Rを備える。昇降ベルト43Rは2つのプーリ42Rに掛け渡され、昇降ベルト44Lは2つのプーリ45Rに掛け渡されている。そして、昇降装置41の下部にあるプーリ42Rとプーリ45Rは、同一の回転軸で互いに連結されており、昇降機構41Lから駆動ベルト49Bを介して伝達される昇降モータ47の動力で回転駆動される。よって、昇降モータ47が作動してプーリ42R,45Rが回転すると、昇降ベルト43R,44Rに取り付けられている爪46Rが上下動する。
【0028】
昇降機構41Lと昇降機構41Rは、互いに向かい合う昇降ベルト43Lと昇降ベルト43Rのベルト面、及び、互いに向かい合う昇降ベルト44Lと昇降ベルト44Rのベルト面が、何れも上方向へ移動するように作動する。そして、互いに向かい合う昇降ベルト43Lと昇降ベルト43Rのベルト面、及び、互いに向かい合う昇降ベルト44Lと昇降ベルト44Rのベルト面に取り付いている爪46Lと爪46Rは、対向する爪46L,46R同士が同じ高さとなるように、昇降機構41Lと昇降機構41Rが同期して作動する。
【0029】
図4は、押し上げ板51がローラ57F,57Rよりも上に位置する状態を示した図である。昇降機構41Lと昇降機構41Rが作動すると、
図4において矢印で示すように、対向する爪46L,46R同士が同じ高さを保ったまま上へ動く。また、押し上げ装置50が作動すると、押し上げ板51がローラ57F、57Rより上へ移動したり、押し上げ板51がローラ57F、57Rより下へ移動したりする。そして、
図3と
図4とを見比べると判るように、押し上げ板51の上昇と、爪46L,46Rの昇降は同期している。すなわち、ストッカ4では、押し上げ板51が上昇してクランク53の上死点に達したタイミングで、昇降装置41の下部にあるプーリ42L,45Lのところで爪46Lが昇降機構41R側へ向かうように旋回し、昇降装置41の下部にあるプーリ42R,45Rのところで爪46Rが昇降機構41L側へ向かうように旋回する。よって、食器トレイが押し上げ板51に載っている場合、押し上げ板51が上昇してクランク53の上死点に達すると、押し上げ板51に載っている食器トレイが、昇降装置41の下部で互いに向かい合う方向に旋回する爪46L,46Rに支持されて上へ持ち上げられることになる。
【0030】
以下、食器回収装置1の動作について説明する。
図5は、食器回収装置1の動作内容を示したフローチャートである。食器回収装置1の動作について、
図5に示すフローチャートに沿って説明する。
【0031】
客席7の客が使用した使用済の食器が載った食器トレイが食器投入口5に投入されて食器投入口5の蓋が閉じられると、食器回収装置1の制御装置は、下げ搬送装置3のモータを起動して下げ搬送装置3を作動させる(S101)。そして、食器回収装置1の制御装置は、下げ搬送装置3に載っている食器トレイが下げ搬送装置3の終端に接近したことを検知すると(S102)、下げ搬送装置3のモータの回転速度を下げて下げ搬送装置3を減速させる(S103)。下げ搬送装置3に載っている食器トレイの下げ搬送装置3の終端への接近は、例えば、下げ搬送装置3の終端付近に設置された光学式センサ等で検知で
きる。食器回収装置1の制御装置は、下げ搬送装置3に載っている食器トレイが下げ搬送装置3の終端に到着したことを検知すると(S104)、下げ搬送装置3のモータへの電力の供給を遮断して下げ搬送装置3を停止させる(S105)。
【0032】
次に、食器回収装置1の制御装置は、ストッカ4において爪46L,46Rが複数段に渡って形成する食器トレイの収納スペースのうちの最上段の収納スペースに空きがあるか否かの判定を行う(S106)。ストッカ4に複数段ある収納スペースのうちの最上段の収納スペースに空きがあるか否かの判定は、例えば、昇降装置41の上部付近に設けられた光学式センサ等で検知できる。ストッカ4に複数段ある収納スペースのうちの最上段の収納スペースに空きがあると判定され且つストッカ4が動作中でない場合、食器回収装置1の制御装置は、下げ搬送装置3のモータを一定時間だけ起動して下げ搬送装置3を一時的に作動させ、下げ搬送装置3の終端にある食器トレイを下げ搬送装置3から連絡経路8へ移動する(S107)。下げ搬送装置3の終端にあった食器トレイが下げ搬送装置3から連絡経路8へ移ると、連絡経路8が形成する傾斜に沿って食器トレイが自重で昇降装置41の下部へ移動する。食器回収装置1の制御装置は、食器トレイが昇降装置41の下部へ移動したことを検知すると(S108)、押し上げ板51が1往復だけ昇降動作するように押し上げモータ56を作動させると共に、互いに対向する爪46L,46Rが1段分だけ上へ移動するように昇降モータ47を一定時間だけ作動させる(S109)。食器回収装置1の制御装置が押し上げモータ56と昇降モータ47をこのように作動させることにより、昇降装置41の下部にあった食器トレイが、ストッカ4に複数段ある収納スペースのうちの最下段の収納スペースへ移動する。
【0033】
図6は、食器回収装置1において実現される食器トレイの動きを示した第1の図である。
図6(A)に示されるように、客席7の客が使用した使用済の食器が載った食器トレイTが食器投入口5に投入されてボタン操作が行われると、食器回収装置1の制御装置は、下げ搬送装置3のモータを起動して下げ搬送装置3を作動させる。そして、食器回収装置1の制御装置は、下げ搬送装置3に載っている食器トレイTが下げ搬送装置3の終端に到着したことをセンサ3Sで検知すると、
図6(B)に示されるように、下げ搬送装置3を停止させる。そして、食器回収装置1の制御装置は、下げ搬送装置3を一時的に作動させ、
図6(C)に示されるように、下げ搬送装置3の終端にある食器トレイTを下げ搬送装置3から連絡経路8へ移動する。下げ搬送装置3の終端にあった食器トレイTは、連絡経路8に載ると、
図6(D)に示されるように、食器トレイTの自重でストッカ4へ移動する。
【0034】
図7は、食器回収装置1において実現される食器トレイの動きを示した第2の図である。下げ搬送装置3の終端にあった食器トレイTは、連絡経路8に載ると、
図7(A)に示されるように、食器トレイTの自重で連絡経路8上をスライドする。そして、食器トレイTは、昇降装置41の下部へ移動すると、
図7(B)に示されるように、ストッパ58F,58Rに接触して止まる。食器トレイTが昇降装置41の下部に到着すると、食器回収装置1の制御装置は、押し上げ板51が1往復だけ昇降動作するように押し上げモータ56を作動させると共に、互いに対向する爪46L,46Rが1段分だけ上へ移動するように昇降モータ47を一定時間だけ作動させる。すると、押し上げ板51に載っていた食器トレイTは、
図7(C)に示されるように、押し上げ板51によって押し上げられる。そして、押し上げ板51に載っていた食器トレイTは、
図7(D)に示されるように、爪46L,46Rに左右両側から支持された状態で持ち上げられ、互いに対向する爪46L,46R同士がストッカ4に形成する複数段の収納スペースのうちの最下段の収納スペースに配置される。
【0035】
上記実施形態の食器回収装置1であれば、下げ搬送装置3を使って搬送される食器トレイTをストッカ4の押し上げ装置50が自動で上げることができる。よって、食器回収装
置1であれば、下げ搬送装置3を使って搬送される食器トレイTを昇降装置41で複数段積み重ねた状態でストックできる。したがって、飲食店のスタッフは、客席7に座る客が食事を終える度にテーブル6から食器トレイTを回収しなくても、ストッカ4にストックされた複数の食器トレイTを一度にまとめて処理することができる。
【0036】
また、上記実施形態の食器回収装置1では、上面視略長方形の食器トレイTを食器トレイTの両短辺側から一対の爪46L,46Rで支持している。よって、食器トレイTを、例えば、食器トレイTの四隅或いは食器トレイTの両長辺側から一対の爪で支持する場合に比べると、食器トレイTに接触する部分の範囲を抑制することができる。その理由は、例えば、食器トレイTの四隅に設けた爪で食器トレイTを支持する形態において、大小様々な大きさの食器トレイTに対応可能にする場合、食器トレイTの四隅に設けられる爪は、食器トレイTの長辺の長さのバリエーションと短辺の長さのバリエーションの両方に対応する必要があり、爪をある程度大きいものにする必要がある。また、例えば、食器トレイTの両長辺側から一対の爪で支持する形態においては、食器トレイTに載る食器の状態によって変動する食器トレイTの様々な重心位置に対応するため、食器トレイTの長辺の中心から比較的広い範囲を爪で支持する必要がある。この点、上記実施形態の食器回収装置1のように、食器トレイTの両短辺から一対の爪46L,46Rで食器トレイTを支持する形態であれば、食器トレイTの短辺方向沿いにおける重心位置の変動範囲が、食器トレイTの長辺方向沿いにおける重心位置の変動範囲に比べて狭いため、食器トレイTを支持する爪46L,46Rの接触部分の範囲は、食器トレイTの四隅或いは食器トレイTの両長辺側から一対の爪で支持する場合よりも小さくすることができる。食器トレイTを支持する爪46L,46Rが小さくなれば、ストッカ4全体の構成もより簡略化可能となる。但し、本願で開示する食器回収装置は、このように食器トレイTを食器トレイTの両短辺側から一対の爪46L,46Rで支持する形態に限定されるものでなく、例えば、食器トレイTを食器トレイTの両長辺側から一対の爪で支持することも可能である。
【0037】
また、上記実施形態の食器回収装置1では、昇降装置41の下部への食器トレイTの移送は下げ搬送装置3が担うのではなく、連絡経路8が担っている。そして、下げ搬送装置3では、下げ搬送装置3に搬送される食器トレイTが下げ搬送装置3の終端に近づくと、下げ搬送装置3が減速した後に停止する。そして、ストッカ4が動作中、下げ搬送装置3は食器トレイTを連絡経路8へ移さない。よって、例えば、連絡経路8の途中に昇降装置41の下部への食器トレイTの進入を阻むストッパ等を設ける形態に比べると、食器トレイTに載っている食器を転倒させる可能性が低い。
【0038】
なお、上記実施形態の食器回収装置1では、ストッカ4が1台だけであったが、例えば、ストッカ4が複数台設けられていてもよい。この場合、ストッカ4は、連絡経路8が形成する1つの進路上に直列に並んでいてもよいし、或いは、連絡経路8が形成する複数の分岐経路に各々設けられていてもよい。
【0039】
また、上記実施形態の食器回収装置1では、下げ搬送装置3が1台だけであったが、例えば、下げ搬送装置3が並列に複数設けられており、各下げ搬送装置3から繰り出される食器トレイTが各下げ搬送装置3で共用のストッカ4へ搬送される形態であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態のストッカ4では、爪46L,46Rが昇降ベルト43L,43R,44L,44Rで動いていたが、爪46L,46Rは、ベルト以外の機械要素を使って動いてもよい。ベルト以外の機械要素としては、例えば、ワイヤ、チェーン、ボールねじ、その他各種のものが挙げられる。
【符号の説明】
【0041】
T・・食器トレイ
1・・食器回収装置
2・・注文飲食物搬送装置
3・・下げ搬送装置
3S・・センサ
4・・ストッカ
5・・食器投入口
6・・テーブル
7・・客席
8・・連絡経路
9・・注文端末
41・・昇降装置
41L,41R・・昇降機構
42L,42R,45L,45R,48,54・・プーリ
43L,43R,44L,44R・・昇降ベルト
46L,46R・・爪
47・・昇降モータ
49A,49B,55・・駆動ベルト
50・・押し上げ装置
51・・押し上げ板
52・・ロッド
53・・クランク
56・・押し上げモータ
57F,57R,81L,81R・・ローラ
58F,58R・・ストッパ