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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】農業用ハウスの窓穴開閉機構
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20220824BHJP
   A01G 13/10 20060101ALI20220824BHJP
   A01M 29/34 20110101ALI20220824BHJP
【FI】
A01G9/24 C
A01G13/10 Z
A01M29/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017172514
(22)【出願日】2017-09-07
(65)【公開番号】P2018042553
(43)【公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2016175908
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595102178
【氏名又は名称】沖縄県
(73)【特許権者】
【識別番号】506164394
【氏名又は名称】沖阪産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076082
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 康文
(72)【発明者】
【氏名】玉城 麿
(72)【発明者】
【氏名】宮城 健次
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-052533(JP,U)
【文献】実開昭59-167187(JP,U)
【文献】実開昭56-174319(JP,U)
【文献】特開平10-030297(JP,A)
【文献】実開昭56-077268(JP,U)
【文献】特開2003-278428(JP,A)
【文献】実公昭36-005958(JP,Y1)
【文献】実開昭64-049569(JP,U)
【文献】登録実用新案第3124050(JP,U)
【文献】特開2007-111041(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00378868(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 - 9/26
A01G 13/10
A01M 29/34
E04D 13/03 - 13/035
E05F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天窓を押し開けるU字状の押し上げアームの両上端を天窓の左右の枠に軸支してあり、一方前記押し上げアームの下端のU字状中間部に操作用のロープを連結してあり、しかも前記押し上げアームの高さ寸法より短い引っ張りコイルバネがハウス側の天井と前記押し上げアーム下端又は下端寄りとの間に張設してあることを特徴とする農業用ハウスの窓穴開閉機構。
【請求項2】
前記の操作ロープの所定の位置をハウス側に固定する構造としたことを特徴とする請求項1に記載の農業用ハウスの窓穴開閉機構。
【請求項3】
前記の押し上げアームの下端と前記操作ロープとの間に緩衝用の引っ張りコイルバネを介在させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農業用ハウスの窓穴開閉機構。
【請求項4】
前記の天窓の開口を閉じる防虫ネットをV字状に二つ折りにして、その折り目を天窓の開閉支点側にバネで引っ張る構造としたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の農業用ハウスの窓穴開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用ハウスの天窓や壁窓の開閉を引っ張りコイルバネ等のバネ力を利用して
安価に提供する。
【背景技術】
【0002】
農業用ハウスの天窓をモータの力で開閉可能とした省力型が有るが問題が多く、この問題を解消すべく特許文献1のような構成が提案されている。すなわち、特許文献1の構造は、ビニールハウスに取付けたパイプに、曲げたアームの一端を差し込み、前記アームの他端にモータ取付け台を吊るし、このモータ取付け台にモータを取付ける。そして、モータシャフトにユニバーサルジョイントと巻き上げパイプを取付けてある。このような構造にすると、アームの先端が首振りしてモータを適当な位置に運ぶと共に、アームに支持されたモータが首振り可能なため、ユニバーサルジョイントに無理な力を加えることがない、という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
実公平6-47253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような構造では、依然として構造が複雑に成るほか、モータを用いるため、高価な窓穴開閉機構となる。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、モータを使用しないでも天窓や側窓をバネ圧で開閉可能とし、かつ安価な構造で窓穴を開閉可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、天窓を押し開けるU字状の押し上げアームの両上端を天窓の左右の枠に軸支してあり、一方前記押し上げアームの下端のU字状中間部に操作用のロープを連結してあり、しかも前記押し上げアームの高さ寸法より短い引っ張りコイルバネがハウス側の天井と前記押し上げアーム下端又は下端寄りとの間に張設してあることを特徴とする農業用ハウスの窓穴開閉機構である。
【0006】
請求項2は、前記の操作ロープの所定の位置をハウス側に固定する構造としたことを特徴
とする請求項1に記載の農業用ハウスの窓穴開閉機構である。
【0007】
請求項3は、前記の押し上げアームの下端と前記操作ロープとの間に緩衝用の引っ張りコ
イルバネを介在させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農業用ハウスの窓
穴開閉機構である。
【0008】
請求項4は、前記の天窓の開口を閉じる防虫ネットをV字状に二つ折りにして、その折り
目を天窓の開閉支点側にバネで引っ張る構造としたことを特徴とする請求項1から請求項
3までのいずれかに記載の農業用ハウスの窓穴開閉機構である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のように、天窓を押し開けるU字状の押し上げアームの両上端を天窓の左右の枠に軸支してあるので、押し上げアームの両上端を上下することで、天窓を開閉できる。一方、前記押し上げアームの下端のU字状中間部に操作用のロープを連結してあるので、この操作用ロープを引くと、天窓が引き下げられて閉じられる。しかも前記押し上げアームの高さ寸法より短い引張りコイルバネSがハウス側の天井と前記押し上げアーム下端又は下端寄りとの間に張設してあるので、前記の短い引っ張りコイルバネのバネ力で天窓が開かれる。
天窓を押し開ける押し上げアームが操作ロープから開放されて、押し上げアームが自由な場合に限る。この操作ロープを引くと、前記の引っ張りコイルバネの下端も前記の押し上げアームの下端と共に操作ロープで引き下げられるので、天窓が閉じられると共に引っ張りコイルバネは伸びた状態となる。
【0010】
前記の操作ロープを下方に引っ張っても、手を離すと、引っ張りコイルバネの縮もうとす
るバネ力で天窓は引き開けられ、引っ張りコイルバネも元に戻って縮む。しかし、請求項
2のように、前記の操作ロープを引き下げてハウス側に固定すると、操作ロープを下方に
引っ張った状態となり、天窓を閉じた状態となる。
【0011】
請求項3のように、前記の押し上げアームの下端と前記操作ロープとの間に緩衝用の引っ
張りコイルバネを介在させたので、操作ロープを下方に引っ張って天窓を完全に閉鎖して
も、バッタンと衝撃的に閉じられることは無く、しかも緩衝用の引っ張りコイルバネの作
用で弾圧され、衝撃が緩和されると共に常時確実にバネ力で弾圧閉鎖される。
【0012】
請求項4のように、前記の天窓の開口を閉じる防虫ネットを虫避けにしているが、天窓を
閉じる際に、前記防虫ネットをV字状に二つ折りにして内側に引っ込める構造にしている
が、前記V字状折り目を天窓の開閉支点側にバネで引っ張る構造としたので、天窓を閉じ
た際に前記防虫ネットが雨で濡れたり、雨水がハウス内に入るのも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】天窓を閉じた状態の断面図である。
図2】天窓を開けた状態の断面図である。
図3】天窓を開けた状態の正面図である。
図4】緩衝バネを押し上げアームと開閉テープとの間に介在させた断面図である。
図5】緩衝バネ付きの天窓が開いた状態の断面図である。
図6】天窓とアーチパイプ又は下枠との間に介在させた捩じりバネに抗して天窓を 閉じた状態の断面図である。
図7】天窓とアーチパイプ又は下枠との間に介在させた捩じりバネで天窓を開けた 状態の断面図である。
図8】圧縮コイルバネに抗して天窓を閉じた状態の断面図である。
図9】圧縮コイルバネで天窓を開けた状態の断面図である。
図10】1本のテープで天窓を開閉状態に保持した正面図である。
図11】ハウス側に固定した天窓下枠の水滴浸入防止構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明による農業用ハウスの天窓開閉機構が実際上どのように具体化されるか実施
形態を説明する。図1は天窓Cを閉じた状態の断面図、図2は天窓Cを開けた状態の断面
図、図3は天窓Cを開けた状態の正面図である。この天窓Cの外周が入る下枠1をハウス
天井部のアーチパイプP上に古設してあり、天窓Cを開けた際に虫が入らないように、防
虫ネットNで開口を閉じてある。この防虫ネットNはV字状に二つ折りにすると共に折り
目2に紐3を接続し、紐3をコイルバネ4で引っ張って、二つ折りの防虫ネットNが天窓
Cの下側に収納される構造になっている。
【0015】
U字状の押し上げアーム5の両上端を、天窓Cの左右の枠に軸支してあり、下端に引っ張
りコイルバネSの下端を連結してある。この引っ張りコイルバネSの上端は、ハウスの天
井部のアーチパイプPに直接に又はこのアーチパイプPとクロスさせた梁材に取付けてあ
る。そして、押し上げアーム5の連結下端に閉ロープRcを取付けて、この閉ロープRc
を下方に引くと、天窓Cが引き下げられて閉じると共に引っ張りコイルバネSの下端も引
き下げられて伸びる。引っ張りコイルバネSのハネ力で閉ロープRcが引き上げられない
ようにバックル式ストッパー6B で保持されている。開ロープRoを引いて前記閉ロープ
Rcをバックル式ストッパー6B から外すと、引っ張りコイルバネSが縮んで、天窓Cが
押し上げられて開く。なお、バックル式のストッパー6B は、ハウス側に取付けらている
【0016】
図4のように、引っ張りコイルバネから成る緩衝バネBを前記押し上げアーム5と開閉テ
ープtとの間に介在させてある。従って、開閉テープtを引き下げて、天窓Cが下枠1に
当たるまで閉じても、緩衝バネBのバネ力で緩衝されると共に常時確実にバネ力で弾圧閉
鎖される。なお、この緩衝バネBのバネ力は、天窓開放コイルバネSより強い。図5は、
天窓Cが開いた状態である。
【0017】
図6図7は、引っ張りコイルバネSに代えて、捩じりバネ7を天窓CとアーチパイプP
又は下枠1との間に介在させてある。すなわち、捩じりバネ7の一端71は天窓Cの下面
に当接させ、他端72はハウス天井部のアーチパイプP又は下枠1と連結したバネ受け11
に当接させてある。なお、上下両端の間は圧縮バネの作用をする。従って、閉ロープRc
を引き下げると、捩じりバネ7の圧縮バネ圧に抗して、天窓Cが図6のように閉じられる
。開ロープRoを引き下げてバックル式ストッパー6B を解除すると、捩じりバネ7が開
いて天窓Cが開く。
【0018】
図8図9は、引っ張りコイルバネSに代えて、圧縮コイルバネ8を用いている。すなわ
ち、圧縮コイルバネ8の上端を天窓Cに取付け、下端を下枠1のバネ受け11又はアーチパ
イプP側に取付けてあり、前記捩じりバネ7と同様な作用となる。なお、圧縮力を有する
バネであれば、前記捩じりバネ7や圧縮コイルバネ8以外を用いてもよい。
【0019】
図10は、閉ロープRcと開ロープRoを1本で兼用できる構成であり、1本の開閉テープ
tを用いている。すなわち、開閉テープtには間欠的に穴h…を開けてあり、この穴h…
に、図4のような、ピン状又はボルト状のストッパー6I を挿入すると、所望の位置に保
持される。従って、ストッパーの入る穴hを選択することで、天窓Cを閉鎖位置に保持し
たり、開放位置に保持できる。なお、前記ストッパー6I は、ハウス側に取付けらている
【0020】
図11の断面図は、ハウスのアーチパイプP上に固定された天窓下枠1の水滴浸入防止構造
を示したもので、天窓下枠1の内側の板状内縁1eを、ゴムや軟質合成樹脂などの弾性材か
ら成る水滴浸入防止材Gに形成した溝に嵌入固定してある。この板状内縁1eは、図のよう
に先端を折り曲げて二重にした形状も含むものとする。外周に形成した末広がりの公知の
溝1gにはビニールシートなどの被覆膜の外周縁が挿入固定される。
図10のように、天窓下枠1の左右の板状内縁1e・1eも、ゴムや軟質合成樹脂などの
弾性材から成る水滴浸入防止材Gに形成した溝に嵌入固定してある。従って、図11と同じ
構造である。その結果、天窓を閉じた状態で雨滴などが浸入することは無く、ハウス内部
が濡れることも無い。また、天窓を閉じた時の金属同士の衝撃音も解消される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように、操作ロープを引き下げることで、天窓を開けたり、閉鎖状態に保持でき、
また引っ張りバネや圧縮バネによって、天窓Cを開放状態に保持できる。さらに、天窓を
開放した際の開口を閉じる防虫ネットの二つ折りした折り目を引っ張りコイルバネで常時
引っ張ることで、防虫ネットをハウスの内側に収納できる。
【符号の説明】
【0022】
C 天窓
1 天窓の下枠
1e 板状内縁
1g 溝
N 防虫ネット
2 折り目
3 紐
4 引っ張りコイルバネ
5 押し上げアーム
S 引っ張りコイルバネ
Rc 閉ロープ
6B バックル式ストッパー
6I ピン状又はボルト状のストッパー
Ro 開ロープ
B 緩衝バネ
7 捩じりバネ
71 一端
72 他端
11 バネ受け
8 圧縮コイルバネ
t 開閉テープ
h 穴
G 水滴浸入防止材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11