(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】グネチンC高含有メリンジョエキス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20220824BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20220824BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20220824BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220824BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220824BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220824BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20220824BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220824BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220824BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220824BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220824BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20220824BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220824BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L19/00 A
A61K31/343
A61P37/02
A61P35/02
A61P35/00
A61P19/06
A61P17/00
A61P1/02
A61P3/00
A61P3/10
A61K8/33
A61K8/49
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2018088178
(22)【出願日】2018-05-01
(62)【分割の表示】P 2017563362の分割
【原出願日】2017-07-28
【審査請求日】2020-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391012040
【氏名又は名称】株式会社ホソダSHC
(73)【特許権者】
【識別番号】517421541
【氏名又は名称】パルクンプラン メリンジョ インドネシア
【氏名又は名称原語表記】PERKUMPULAN MELINJO INDONESIA
【住所又は居所原語表記】Jalan Kliwonan, Desa Sidorejo, Kecamatan Godean, Yogyakarta Indonesia
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 榮信
(72)【発明者】
【氏名】細田 真也
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/030771(WO,A1)
【文献】特開2009-247254(JP,A)
【文献】特開2013-193997(JP,A)
【文献】特開2011-079797(JP,A)
【文献】特開2017-081891(JP,A)
【文献】特開平02-249475(JP,A)
【文献】特開2010-184886(JP,A)
【文献】J. Agric. Food Chem., 2009年,Vol.57,p.2544-2549
【文献】J. Plant Biochem. Biotechnol., 2011年,Vol.20, No.2,p.234-240
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 31/00-33/29
A23L 19/00-19/20
A61K 31/343
A61P 37/02
A61P 35/02
A61P 35/00
A61P 19/06
A61P 17/00
A61P 1/02
A61P 3/00
A61P 3/10
A61K 8/33
A61K 8/49
A61Q 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は水及び有機溶媒に環状デキストリン、
並びに酸を配合してなる混合溶剤、
若しくは水及び有機溶媒に酸を配合してな
る混合溶剤を抽剤として、メリンジョ果実からエキスを抽出する抽出工程を備える、
メリンジョエキスの製造方法。
【請求項2】
前記メリンジョ果実がメリンジョ内乳であることを特徴とする、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記有機溶媒がエタノール、酢酸エチル、アセトンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記酸が酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、塩酸、りん酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1~
3の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
抽出時における抽剤の温度が10~70℃であることを特徴とする、請求項1~
4の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか一項に記載の製造方法により得たメリンジョエキスを添加する工程を備える、メリンジョエキス含有組成物の製造方法。
【請求項7】
さらに、炭水化物を添加する工程を備え、前記メリンジョエキス含有組成物が粉状であることを特徴とする、請求項
6に記載の製造方法。
【請求項8】
さらに、油脂を添加する工程を備え、前記メリンジョエキス含有組成物が油状乃至ワックス状であることを特徴とする、請求項
6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記メリンジョエキス含有組成物が、飲食物、医薬品又は化粧品であることを特徴とする、請求項
6~8の何れか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記式(1)で表されるグネチンCを多く含むメリンジョエキス及びその製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
メリンジョ成分は、種々の生物作用を有することが開示されている。特許文献1、特許文献2及び非特許文献1には、グネチンCの抗酸化作用、抗菌作用、リパーゼ阻害作用及びアミラーゼ阻害作用、非特許文献2にはグネチンCの血管新生抑制作用及び抗腫瘍作用、非特許文献3にはグネチンCの抗腫瘍作用,非特許文献4にはヒト白血病細胞におけるグネチンCのアポトーシス誘導作用、特許文献3及び非特許文献5にはメリンジョエキスの免疫賦活作用、非特許文献6にはメリンジョエキスの抗菌作用、特許文献4、非特許文献7及び非特許文献8にはメリンジョエキスの抗肥満・糖尿病改善作用、特許文献5及び非特許文献9にはグネチンCのチロシナーゼ阻害作用及びメラニン生合成阻害作用、非特許文献10にはメリンジョエキスの血管老化抑制作用、特許文献6にはグネチンCのサーチュイン活性化作用による抗老化、特許文献7にはメリンジョエキスのアンジオテンシン変換酵素阻害作用、非特許文献11にはメリンジョエキスの血清尿酸値低下作用、非特許文献12にはメリンジョエキスの歯周病悪化防止作用、非特許文献13には皮膚委縮抑制作用、非特許文献14にはメリンジョエキスの免疫調節作用並びに非特許文献15には果糖過剰摂取妊娠ラットの新生雌仔の肝臓におけるメリンジョエキスのAMPKリン酸化上昇作用が開示されている。さらに、メリンジョエキスは、ラットでの毒性試験(非特許文献16)及びヒトでの安全性試験(非特許文献17)において異常を示さずに高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール増加作用及び尿酸値低下作用を示し、また肝代謝酵素チトクロームP-450及びワルファリンの抗凝集活性に無影響(非特許文献18)であることから安全性も確認されている。また、グネチンCが患者の白血病細胞に対して医薬品以上の増殖抑制効果を示すことが報告されている(非特許文献19)。
【0004】
メリンジョ種子の内乳に含まれる主たる成分は、下記式(2)で表されるグネチンCの配糖体のグネモノシドAであるが、上記の各作用を示す成分は、上記式(1)で表されるアグリコンのグネチンCであることが既に開示されている。特許文献1においては常温~70℃で熟成させるグネツムエキスの製造方法が開示されており、熟成中の酵素反応によるグネチンC生成を利用した方法であるが、グネツムエキス中のグネチンCの含有量が15%未満であり、上述した種々の効果を得るためには、摂取量が多くなる傾向にある。また、前記文献のいずれにも熟成における酵素反応の促進について、開示は勿論、示唆もされていない。また、生成状態を調べる方法は紫外吸収スペクトル及び薄層クロマトグラム(TLC)による定性試験のみである。
【0005】
【化2】
(式中R
1およびR
2がグルコピラノシル基のときグネモノシドA,R
1がグルコピラノシル基であってR
2が水素のときグネモノシドC,R
1が水素であってR
2がグルコピラノシル基のときグネモノシドDである。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許4744447号(米国特許8067036、欧州特許1790239、中国特許892494)
【文献】特開2009-13123号公報
【文献】特開2009-46446号公報
【文献】特開2009-249320号公報
【文献】特許4975069号
【文献】特開2011-79797号公報
【文献】特開2013-82701号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】JOUNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY、2009、57、2544-2549
【文献】MOLECULAR NUTRITION FOOD RESEARCH、2011、55、1730-1734
【文献】CANCER MEDICIN 2015、4、1767-1780
【文献】BIOLOGICAL AND PHARMACEUTICAL BULLETIN、2006、29、1490-1492
【文献】PLANTA MEDICA、2011、77、1027-1034
【文献】MICROBIOLOGY INDONESIA、2011、5、103-112、
【文献】FOOD STYLE、2012、16、20-22
【文献】BIOSCIENCE、BIOTECHNOLOGY、AND BIOCHEMISTRY、2015、79、2044-2049
【文献】BIOLOGICAL AND PHARMACEUTICAL BULLETIN、2012、35、993-996
【文献】JOUNAL OF NATURAL PRODUCTS、2013、76、1242-1247
【文献】EVIDENCE-BASED COMPLEMENTARY AND ALTERNATIVE MEDICINE VOLUME 2013、ARTICLE ID 589169、9PAGES
【文献】FREE RADICAL BIOLOGY AND MEDICINE、2014、75、222-229
【文献】OXIDATIVE MEDICINE AND CELLULAR LONGEVITY、VOLUME 2015、ARTICLE ID 391075、8PAGES
【文献】INTEGRATIVE MOLECULAR MEDICINE、2015、2、405-413
【文献】REPRODUCTIVE BIOLOGY、2016、16、165-173
【文献】FOOD AND CHEMICAL TOXICOLOGY、2014、6、230-235
【文献】JOURNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY、2014、62、1999-2007
【文献】JOURNAL OF ATHEROSCLEROSIS AND THROMBOSIS、2016、23、1099-1110
【文献】CANCER LETTERS、2017、400、127-136
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みて種々の生物作用を示すグネチンCの含有率を高めることにより、摂取・服用量又は使用量を減らすことができてメタボリック症候群、糖尿病、高血圧症、痛風、癌、膠原病、歯周病及び白血病などの疾患の予防及び/又は治療、さらには肌の美容及び/又は保護に有用なグネチンCの含量が豊富なグネチンC高含有メリンジョエキスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、水又は水及び有機溶媒に環状デキストリンを、水及び有機溶媒に酸を共存させ、抽剤として用いることにより、グネチンCの配糖体の加溶媒分解反応が促進され、グネチンCの含有量が増大したメリンジョエキスを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
上記課題を解決する本発明は、水又は水及び有機溶媒に環状デキストリンを配合してなる混合溶剤、若しくは水及び有機溶媒に酸を配合してなる混合溶剤を抽剤として、メリンジョ果実からエキスを抽出する抽出工程を備える、メリンジョエキスの製造方法である。
抽剤として、水又は水及び有機溶媒に、環状デキストリン、若しくは水及び有機溶媒に酸を配合してなる混合溶剤を用いることによって、内乳中に含まれるグルコシダーゼが作用して主成分であるグネモノシドA(化学式2中、R1及びR2がグルコピラノシル基)からグルコースが1個外れてグネモノシドC(式2中、R1がグルコピラノシル基であってR2が水素)及びグネモノシドD(化学式2中、R1が水素であってR2がグルコピラノシル基)が生成し、次いでグルコースがもう1個外れてグネチンCに変化する過程において、加溶媒分解反応が促進し、グネチンC含量が格段に高いメリンジョエキスを製造することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記抽剤が、水又は水及び有機溶媒に環状デキストリン、並びに酸を配合してなる混合溶剤である。
このような形態とすることで、よりグネチンCの含量が高いメリンジョエキスを製造することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記メリンジョ果実がメリンジョ内乳である。
メリンジョ内乳を用いることで、よりグネチンCの含量が高いメリンジョエキスを製造することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記有機溶媒がエタノール、酢酸エチル、アセトンから選ばれる1種又は2種以上である。
有機溶媒として上記のものを用いることによって、よりグネチンCの含量が高いメリンジョエキスを製造することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記酸が酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、塩酸、りん酸から選ばれる1種又は2種以上である。
酸として上記のものを用いることによって、よりグネチンCの含量が高いメリンジョエキスを製造することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、抽出時における抽剤の温度が10~70℃である。
前記温度の範囲内で抽出を行うことで、よりグネチンCの含量が高いメリンジョエキスを製造することができる。
【0016】
また上記課題を解決する本発明は、上述したメリンジョエキスの製造方法により製造されたメリンジョエキスである。
本発明のメリンジョエキスは、グネチンCの含量が格段に高く、摂取・服用量又は使用量が少なくとも、メタボリック症候群、糖尿病、高血圧症、痛風、癌、膠原病、歯周病などの疾患の予防及び/又は治療、さらには肌の美容及び/又は保護に有用である。
【0017】
また、上記課題を解決する本発明は、前記メリンジョエキスを添加する工程を備える、メリンジョエキス含有組成物の製造方法である。
【0018】
本発明の好ましい形態では、さらに、炭水化物を添加する工程を備え、前記メリンジョエキス含有組成物が粉状である。
【0019】
本発明の好ましい形態では、さらに、油脂を添加する工程を備え、前記メリンジョエキス含有組成物が油状乃至ワックス状である。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記メリンジョエキス含有組成物が、飲食物、医薬品又は化粧品である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、グルコシド結合の加溶媒分解を触媒するグルコシダーゼの働きを助けて加溶媒反応速度を高めて配糖体であるグネモノシドA、グネモノシドC及びグネモノシドDからアグリコンのグネチンCに変換してグネチンC高含有メリンジョエキスを製造することができ、メリンジョエキスの使用量が減少して製剤の用途が広がり、抗酸化作用、抗菌作用、リパーゼ阻害作用、アミラーゼ阻害作用、血管新生抑制作用、抗腫瘍作用、ヒト白血病細胞のアポトーシス誘導作用、免疫賦活作用、免疫調節作用、抗肥満・糖尿病改善作用、チロシナーゼ阻害作用、メラニン生合成阻害作用、血管老化抑制作用、サーチュイン活性化作用、高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール増加作用、尿酸値低下作用、歯周病悪化防止作用、皮膚委縮抑制作用などの種々の作用により、老化、癌、白血病,悪性黒色腫、歯周病、花粉症、メタボリックシンドローム、糖尿病、心疾患、脳疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎、高尿酸血症、通風などの予防及び/又は治療に広く貢献できる。
【0022】
このように、東南アジアでよく食されて安全なグネツム科のメリンジョを原料とし、グネチンCの含有率を高めたグネチンC高含有メリンジョエキスは、日常生活の中で各種疾患の予防或いは治療に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】比較例1で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図2】比較例2で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図3】比較例3で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図4】実施例1で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図5】実施例2で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図6】実施例4で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図7】実施例5で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図8】実施例7で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図9】実施例9で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図10】実施例11で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図11】実施例14で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図12】実施例15で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図13】実施例16で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【
図14】実施例17で得られた黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを50%エタノールに溶解した液のHPLCクロマトグラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
【0025】
本発明におけるグネチンCは下記式(1)で表される。
【0026】
【0027】
グネモノシドA、C及びDは下記式(2)で表される。
【0028】
【化4】
(式中R
1及びR
2がグルコピラノシル基のときグネモノシドA,R
1がグルコピラノシル基であってR
2が水素のときグネモノシドC,R
1が水素であってR
2がグルコピラノシル基のときグネモノシドDである。)
【0029】
グネチンLは下記式(3)で表される。
【0030】
【0031】
本発明で言うメリンジョは、インドネシア名Melinjoの日本語読みであって、学名がGnetum gnemon L.(英名Gnemon tree)であり、日本ではグネツム及びグネモンの木と呼ばれ、グネツム科の植物である。メリンジョは東南アジアで広く栽培されており、その未熟果実、若葉及び花は野菜としてスープやシチューに使用され、熟した果実の種子は加熱後に種皮を剥がして潰した後、乾燥してウンピンとし、油で揚げて食されている。
【0032】
本発明のメリンジョエキスの製造方法においては、メリンジョ果実を使用することができる。前記メリンジョ果実は、果皮(外果皮)及び種子からなり、前記種子は、種皮(内果皮)、薄皮(種皮)、内乳(胚、胚乳)からなる。これらのいずれの部位も用いることができるが、グルコシダーゼを含有する内乳を使用することが好ましい。また、前記メリンジョ果実及びメリンジョ種子に茎及び根を共存させて使用してもよい。
前記メリンジョ果実としては、未熟のもの及び完熟したもののいずれも利用できるが、熟したものが好ましい。また、前記メリンジョ果実としては、生(未乾燥)及び天日干し又は乾燥機(70℃以内)で乾燥させた乾燥物のいずれを用いてもよい。
ウンピン及びその製造時に加熱(70℃以上)したものも、非加熱メリンジョ果実、種子及び内乳の少なくとも1つと共に使用することができる。
メリンジョ果実は、スライス及び破砕・粉末状のいずれの形態でも使用できる。
【0033】
本発明のメリンジョエキスの製造方法は、水又は水及び有機溶媒に環状デキストリンを配合してなる混合溶剤、若しくは水及び有機溶媒に酸を混合してなる混合溶媒を抽剤として用いる。
環状デキストリン又は酸を混合することで、グルコシターゼによる加溶媒反応を促進することができ、グネチンCの含量が多いメリンジョエキスを製造することができる。
ここで、本明細書において、メリンジョエキスとは、メリンジョの抽出液又はその濃縮物のことをいう。
【0034】
有機溶剤としては親水性溶媒及び疎水性溶媒のいずれを用いてもよく、
親水性溶媒としては、
アルコール類:メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロールなど
エーテル類:ジエチルエーテル、セロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフランなど
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、セロソルブアセテートなど
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトンなど
アミン類:2-アミノエタノール、ピリジン、モノメタノールアミンなど
アミド類:ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなど
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド
ニトリル類:アセトニトリル
等が挙げられる。
【0035】
疎水性溶媒としては、
炭化水素類:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど
ハロゲン化炭化水素:塩化メチレン、クロロホルム、1、2-ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレンなど
等が挙げられる。
上述した各有機溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0036】
有機溶剤としては、エタノール、酢酸エチル、アセトンから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
上記特定の有機溶剤を用いることで、より加溶媒反応を促進することができる。
【0037】
本発明で使用する環状デキストリンは環状オリゴ糖でもあり、α‐、β‐及びγ‐シクロデキストリン、分岐シクロデキストリン、シクロアミロースなどの包接剤及び高度分岐環状デキストリンなどが挙げられ、必要に応じてそれらを混合して使用することができる。環状デキストリンの配合量は抽料の乾燥重量1部に対して、好ましくは0.003~0.5部、より好ましくは0.005~0.3部である。
上記範囲内とすることで、加溶媒反応をより促進し、グネチンCの含有量が多いメリンジョエキスを製造することができる。
【0038】
本発明の製造方法において、使用する酸は有機酸及び無機酸のいずれでもよく
有機酸類としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アジピン酸、トリフロロ酢酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、さらに酢酸の代わりの米酢、穀物酢、リンゴ酢など
無機酸としては、塩酸、硫酸、りん酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体など
等が挙げられ、必要に応じて上記酸の2種以上を混合した混合酸を使用することができ、弱酸性域のpH3~6.5で抽出を行うのが好ましい。
上記pH範囲内で抽出を行うことで、グルコシターゼによる加溶媒反応をより促進し、グネチンCの含有量が多いメリンジョエキスを製造することができる。
【0039】
本発明の製造方法においては、抽剤にさらに乳化剤を配合することができる。乳化剤はいわゆる界面活性剤であり、合成系及び天然系のいずれを用いてもよい。
合成系としては
グリセリン脂肪酸エステル:グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジオレート、グリセリンジステアレ-トなど
ポリグリセリン脂肪酸エステル:ジグリセリンオレイン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、テトラグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンカプリル酸エステル、デカグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンミリスチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンベヘニン酸エステルなど
ショ糖脂肪酸エステル:ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖オレイン酸パルミチン酸ステアリン酸エステルなど
ソルビタン脂肪酸エステル:ソルビタンカプリレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレートなど
プロピレングリコール脂肪酸エステル:プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールモノベヘネートなど
脂肪酸ナトリウム:ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなど
その他:オキシエチレン脂肪酸アルコール、モルホリン脂肪酸塩など
等が挙げられる。
【0040】
天然系としては、レシチン類の大豆レシチン、卵黄レシチン、リゾレシチン及びクリルオイルなどのリン脂質、カゼインナトリウム、キラヤサポニンなどが挙げられる。
【0041】
また、上記乳化剤から選ばれる2種以上を混合した混合物を使用することができる。
本発明における乳化剤として、抽剤中でミセルを形成する乳化剤を含むことが好ましい。
本発明における乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆レシチン、ステアリン酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
これらの乳化剤を用いることで、よりグネチンCの含有量が多いメリンジョエキスを製造することができる。
【0042】
乳化剤の配合量は、抽料の乾燥重量1部に対して、好ましくは0.002~0.2部、より好ましくは0.005~0.1部である。
上記範囲内とすることで、加溶媒反応をより促進し、グネチンCの含有量が多いメリンジョエキスを製造することができる。
【0043】
本発明のメリンジョエキスは、次のようにして製造することができる。
上述した、環状デキストリン及び/又は酸を配合してなる混合溶剤を抽剤として、メリンジョ果実からエキスを抽出する。前記メリンジョ果実は、前記抽剤に浸漬させることが好ましい。メリンジョ果実を抽剤に浸漬させる場合には、必要に応じてかき混ぜながら、必要に応じて加温(70℃前後まで)して内乳中のグルコシダーゼによる加溶媒分解反応を促進させてグネチンCを生成させる。加温は望む温度に調節できるセンサー付き加熱装置を使用して行われ、電気、ガス、スチームなどの熱源が利用できる。
抽出温度は、好ましくは10~70℃であり、より好ましくは、30~60℃である。
抽出温度を30~60℃とすることで、グルコシターゼの働きをより活性化することができる。
また、グルコシターゼは、メリンジョに含まれるグルコシターゼと同様の働きをするグルコシターゼ及びそれを含有する微生物及び動植物組織を添加してもよいが、メリンジョ果実に元来含まれるグルコシターゼを用いることが好ましい。
メリンジョ果実に元来含まれるグルコシターゼを用いることで、メリンジョエキス製造の手間及びコストを削減することができる。
【0044】
加溶媒分解反応が進んだ浸漬液を濾過して不溶物を除去し、濾液を常圧又は減圧濃縮により溶媒を溜去してシロップ状又は樹脂状の濃縮物として本発明のメリンジョエキスを得ることができる。また、濾液を酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出した後、有機層を常圧又は減圧濃縮によりグネチンC含量の高い樹脂状の本発明のメリンジョエキスを得ることができる。或いは濾液を凍結乾燥又はスプレードライすることによっても、本発明のメリンジョエキスを得ることができる。さらに、必要であれば、濃縮物をポリスチレン吸着樹脂、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィー又はゲル濾過クロマトグラフィーなどにより精製して高純度のグネチンCを得ることができる。
【0045】
グネチンCの生成状況は、高速液体クロマトグラフ法(以下HPLCと略す)を用いることにより、調べることができる。
HPLCの分析条件は、以下に示す通りであり、グネモノシドA、グネモノシドD、グネモノシドC、グネチンC及びグネチンLの保持時間はそれぞれ8.5分、22.5分、24分、32.5分及び33.8分付近である。
カラム:オクタデシルシリル(ODS)
移動相:1%酢酸水溶液(A液)、1%酢酸含有アセトニトリル(B液)
B液を20から22%に1次勾配で10分間、22から30%に1次勾配で10分間、37%で15分間
流量:0.8mL/分
分析時間:45分
検出波長:320nm
【0046】
本発明のメリンジョエキスは、HPLCにより測定して得られるクロマトグラムにおけるGCAの割合が、好ましくはGCAとGGAの総和TGAに対して35%以上であり、より好ましくは40%以上であり、より好ましくは45%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。
また、本発明のメリンジョエキスは、好ましくはGLA/GCAが0.13以下であり、より好ましくは0.12以下であり、さらに好ましくは0.11以下である。
なお、本明細書において、GCA、GGA、TGA、GLA等の語は、以下のように定義する。
GCA=グネチンCのピーク面積
GGA=グネモノシドAのピーク面積+グネモノシドCのピーク面積+グネモノシドDのピーク面積
TGA=GCA+GGA
GLA=グネチンLのピーク面積
TGAに対するGCAの割合(%)=100GCA/TGA
GCAに対するGLAの面積比=GLA/GCA
【0047】
上述したメリンジョエキスに、目的とする剤形に応じて、添加物を添加することができる。
例えば、メリンジョエキスに炭水化物を添加し、粉状のメリンジョエキス含有組成物とすることができる。
添加可能な炭水化物としては、ブドウ糖及びソルビトール等の単糖類、乳糖及びラクチトール、トレハロース等の二糖類、デキストリン及びポリデキストロース等のオリゴ糖、α‐、β‐及びγ‐シクロデキストリン、分岐シクロデキストリン及びシクロアミロース等の環状糖、澱粉類、微結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース等の置換セルロース等が挙げられる。
【0048】
また、メリンジョエキスに、油脂を添加し、油状乃至ワックス状のメリンジョエキス含有組成物とすることができる。
添加可能な油脂としては、オリーブ油、ココナッツオイル、大豆油、亜麻仁油、荏胡麻油等の植物油、魚油、動物油、ロウ類及びセタノール並びにオレイルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0049】
このようにして得られるメリンジョエキス及びメリンジョエキス含有組成物は、従来の内乳内酵素を利用した熟成と共に抽出する方法に比べてグネチンC割合100GCA/TGAが格段に高く、GLA/GCAが低い。
このようにグネチンCの含有量が高いメリンジョエキス又はメリンジョエキス含有組成物は、使用量を減らすことができるので、前記の如く種々の疾患の予防及び/又は治療のための飲食品、健康食品、予防剤及び治療剤としての用途が広がる。
【0050】
配糖体の加溶媒反応を促進させると、グネチンCではなくグネチンLの生成を優位に促進してしまう可能性もある。しかし、本発明の製造方法は、グネチンLの生成を優位に促進するようなことはなく、有用な成分であるグネチンCが高含有のメリンジョエキスを製造することができる。言い換えれば、本発明の製造方法によれば、GLA/GCAが低いメリンジョエキスを製造することができる。
【0051】
本発明の製造方法により得られたメリンジョエキス含有組成物は、飲食物(飲食品)とすることができる。
前記飲食物は、健康食品、更には特定保健用食品とすることもでき、必要に応じて従来食品に使用されている各種成分と共に配合することにより製造される。
【0052】
飲食物の形態としては、粉状(顆粒を含む)食品、固形食品、クリームやジャム状の半流動食品、ゲル状食品及び飲料等のあらゆる飲食物形態とすることができる。特に、粉状食品が取扱い性、携帯性に優れて望ましい。例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、ドリンク剤などの製剤;常用されている任意の基材を配合する粉末清涼飲料、清涼飲料水、ジュース、コーヒー、紅茶、リキュール、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト等の液状物;飴(キャンデー)、キャラメル、チューインガム、チョコレート、グミ、アイスクリーム、プディング、卵製品、羊羹、水羊羹、おかき、餅、団子、煎餅、クレープ、お好み焼き、パン、クッキー、麺類、ハンバーグ、水練製品、てんぷら、発酵食品、ふりかけなどの固形物が挙げられる。
【0053】
これらの形態の飲食物には、アシタバ、イチョウ葉、カモミール、クワ、クコ、ショウガ、センブリ、ギムネマ等の生薬・健康茶・ハーブの抽出物(エキスを含む。)等を添加することができる。
また、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖及びデキストリン等を混合して調製してもよい。
【0054】
本発明の製造方法により得られたメリンジョエキス含有組成物を、メタボリック症候群、糖尿病、高血圧症、高尿酸血症、癌、白血病、悪性黒色腫、膠原病、歯周病,花粉症などの改善あるいは予防のための飲食品として用いるにあたり、飲食品としての風味や色調を考慮すると、本発明のメリンジョエキスの配合量は、乾燥重量換算で0.01~90%の範囲、好ましくは、0.05~80%の範囲とする。
【0055】
前記飲食物は、製品の種類に応じて、下記例示の甘味料(1)、酸味料(2)、酸化防止剤(3)、品質改良剤(4)、糊料(増粘剤、安定剤、ゲル化剤)(5)、栄養強化剤(6)、調味料(7)を添加することができる。その他カルシウム塩類、乳化剤、着色料、膨張剤、着香料、保存料など、一般的飲食品原料として使用されているものを適宜添加して組成物とすることができる。
(1)ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、グリチルリチン、アスパルテーム、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖
(2)クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸
(3)L-アスコルビン酸、DL-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム
(4)グリセリン、プロピレングリコール
(5)アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、コンニャク粉、グルコマンナン、澱粉
(6)ビタミン類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)
(7)アミノ酸類、イノシン酸類
【0056】
本発明の製造方法により得られたメリンジョエキス含有組成物は、予防剤及び治療剤とすることができる。ここで、前記予防剤及び前記治療剤とは、必要に応じて任意の助剤、賦形剤などを配合して固形剤化、或いは水または有機溶媒などを適宜配合して液剤化した製剤のことである。
【0057】
本発明の製造方法により得られたメリンジョエキス含有組成物を、神経性疾患などの改善及び予防或いは治療のために経口剤として用いる場合の服用(投与)量は、服用の目的や服用者の状況(性別、年齢、体重、肥満度、総合的健康度合いなど)により異なる。通常、1日の服用量として、グネチンC高含有メリンジョエキスを重量換算で、1~200mg/体重kgの範囲で服用することができる。原料のメリンジョは常食にされているので200mg/体重kgを超える服用も何ら問題はない。
メリンジョエキス含有組成物は経口剤だけでなく皮膚用剤としても使用可能である。
【0058】
本発明の製造方法により得られたメリンジョエキス含有組成物は、日焼けによるメラニン生成及び炎症を抑える美白作用化粧品、養毛及び抜け毛防止剤、創傷の治癒促進などの衛生品、消臭生理用品などへの利用が可能である。
【0059】
また、動物飼料とする場合は、前記各種成分を適宜配合して粉状(顆粒を含む。)、ペースト、カプセル、シロップ、固形状、ゲル状、液状(溶液、懸濁液、乳濁液)などの形態とすることができる。動物飼料とは、家畜用飼料やキャットフード、ドッグフードやウサギ用フードなどのペットフードを含むものである。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0061】
試験例1(メリンジョエキスの調製)
乾燥メリンジョ種子の内乳1kgを粉砕機で破砕したメリンジョ粉末1部を表1に示す通り、環状デキストリン、酸及び/又は乳化剤を溶解した抽剤に浸漬し、規定の温度で規定日数撹拌後、遠心分離により固形分を除去して浸漬液を得た。これらの浸漬液を減圧濃縮して黄褐色の樹脂状物のメリンジョエキス(比較例1~3、実施例1~17)を得た。これらのメリンジョエキスを、50v/v%エタノールに溶かしてHPLC分析を行い、クロマトグラムを得た。当該クロマトグラムから算出したGCA、GGA、TGA及びGLAを基に、100GCA/TGA及びGLA/GCAを求めた。結果を表2に示す。また、比較例1~3、実施例1、2、4、5、7、9、11、14、15、16及び17のHPLCクロマトグラムを、
図1~14に示す。
なお、室温とは成り行き温度であり、13~25℃であった。
【0062】
【表1】
*1:ショ糖ラウリン酸エステル(HLB16、リョートーシュガーエステルL-1695、三菱化学フーズ製)
*2:デカグリセリンモノラウレート(HLB15.5、ポエムJ-0021、理研ビタミン製)及びグリセリンモノオレート(HLB4.3、エマルジーOL-100H、理研ビタミン製)混合物
*3:デカグリセリンモノステアレート(HLB12、ポエムJ-0081HV、理研ビタミン製)
*4:デカグリセリンモノラウレート
*5:ポリオキシエチレンソルビタンオレート(HLB15、エマゾールO-120V、花王製)
*6:グリセリンモノオレート
*7:イソエリートP(塩水港製)
*8:ショ糖ステアリン酸エステル(HLB15、リョートーシュガーエステルL-1570、三菱化学フーズ製)
【0063】
【0064】
従来の抽出方法、即ち特許文献1に記載の方法で抽出した比較例1~3のメリンジョエキスは、GLA/GCAが0.082~0.136であったが、100GCA/TGAが31%未満であった。
一方で、実施例1~16のメリンジョエキスは、GCA/TGAが37%以上であり、かつGLA/GCAが0.105以下であった。
【0065】
比較例1~3のクロマトグラム(
図1~3)から、従来のメリンジョエキスの抽出方法では、グネモノシドAのピーク面積に対するグネチンCのピーク面積の比は、0.16~1.4程度(比較例1:面積0.61、比較例2:面積比1.4、比較例3:面積比0.16)であることがわかる。
【0066】
一方で、実施例1、2、4、5、7、9、11、14~16のクロマトグラム(
図4~13)から、本発明の製造方法により製造したメリンジョエキスは、グネモノシドAのピーク面積に対するグネチンCのピーク面積の比は、少なくとも6.6以上であることがわかり、実施例2及び9に至っては、グネモノシドAを検出することができなかった。
このことから、本発明の製造方法によれば、グネモノシドAの含有量が低下し、グネチンCの含有量が増大することで、従来の抽出方法と比してグネチンCの含有量が多いメリンジョエキスを製造できることがわかった。
【0067】
実施例1~3の結果は、抽剤に酸を共存させることで、内乳中に含まれるグルコシダーゼによるグネモノシドAの加溶媒反応が促進され、グネチンCを多く含むメリンジョエキスを製造することができたことを示している。
また、実施例1~3の結果は、グルコシターゼによるグネモノシドC及びDの加溶媒反応は律速であるが、酸を添加することで増加した水素イオンによるグネモノシドC及びDの加溶媒反応が促進したことで、グネチンCを多く含むメリンジョエキスを製造することができたことを示している。
【0068】
さらに、水及びアルコール系で働くグルコシダーゼは、水に溶け易いグネモノシドA並びに水及びアルコールに可溶であるグネモノシドC及びDを加溶媒分解して、水に難溶性のグネチンCを遊離させる。そこに、非プロトン性の有機溶媒を抽剤に共存させることによって、その有機溶媒がグネチンCの周囲を取り囲んでグルコシダーゼの活性点から取り除くために加溶媒反応が促進され、グネチンCを多く含むメリンジョエキスを製造することができたと推察される。
【0069】
実施例4~6の結果から、乳化剤を抽剤に共存させた場合は反応系内でミセルを形成し、そのミセルが生成したグネチンCを中に取り込むことにより、グネチンCをグルコシダーゼの活性点から取り除いて加溶媒反応を促進させたことで、グネチンCを多く含むメリンジョエキスを製造することができたと推察される。
環状デキストリンを共存させた場合も同様にグネチンCを包接化することにより加溶媒反応を促進させたものと推察される。
実施例7~17の結果は、抽剤に酸、有機溶媒、乳化剤及び環状オリゴ糖を組み合わせた場合、それらが協働して、グネチンCの含有量を上昇させることを示している。
【0070】
特に実施例8及び9では、抽剤としてアルコールを含んでいないにも関わらず、難溶性のグネチンCが効率よく生成されていることから、これら実施例のメリンジョエキスは、ハラールによりアルコールの摂取が禁じられているイスラム教信者であっても、摂取・服用・塗布が可能である。
【0071】
実施例18(エキスの製造)
試験例1で調製したメリンジョ粉末50gを、クエン酸0.2gを含む水250mLに加えて60℃で2日間撹拌した後、濾過した。濾液を試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが2609114、GGAが3138350、TGAが5747464、100GCA/TGAが45.4%、GLAが187489、GLA/GCAが0.072であった。
この濾液を減圧濃縮し、得られた濃縮物にエタノール50mLを加えて濾過し、濾液を減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.9g得た。グネチンC含量は25.2%であった。
【0072】
実施例19(エキスの製造)
試験例1で調製したメリンジョ粉末30gを、アジピン酸0.1g、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB15、リョートーシュガーエステルS-1570、三菱化学フーズ製)1g及びプロピレングリコールモノパルミテート(HLB3.8、リケマールPP-100、理研ビタミン製)0.2gを含む水150mLに加えて50℃で2日間撹拌した後、濾過した。濾液を試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが2295142、GGAが1001508、TGAが3296650、100GCA/TGAが69.6%、GLAが216987、GLA/GCAが0.095であった。
この濾液を減圧濃縮し、濃縮物にアセトン30mLを加えて濾過し、濾液を減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.7g得た。グネチンC含量は72.8%であった。
【0073】
実施例20(エキスの製造)
試験例1で調製したメリンジョ粉末70gを、0.1w/v%硫酸300mL、プロピレングリコール40mL、塩化メチレン30mL及び2-アミノエタノール0.3mLの混合溶剤に加えて60℃で2日間撹拌した後、濾布濾過した。この濾液を試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが311326、GGAが443912、TGAが755238、100GCA/TGAが41.2%、GLAが31935、GLA/GCAが0.103であった。
同濾液を酢酸エチル200mLで2回抽出し、酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム乾燥後、減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.6g得た。グネチンC含量は47.8%であった。
【0074】
実施例21(エキスの製造)
試験例1で調製したメリンジョ粉末50gをメタンスルホン酸0.1g、水120mL及びセロソルブアセテート130mLの混合溶剤に加えて50℃で3日間撹拌した後、濾布濾過した。濾液に水250mLを加えた後、ポリスチレン吸着樹脂(ダイヤイオン、セパビーズ、三菱化学製)に吸着させた。水洗後、メタノールで脱着させ、減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.3g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが1497851、GGAが0、TGAが1497851、100GCA/TGAが100%、GLAが143699、GLA/GCAが0.096であり、メリンジョエキス中のグネチンC含量は93.5%であった。
【0075】
実施例22(エキスの製造)
試験例1で調製したメリンジョ粉末30gを、トリフロロ酢酸0.1mL、ショ糖ラウリン酸エステル(リョートーシュガーエステルL-1695、三菱化学フーズ製)0.9g、ソルビタンカプリレート(HLB10.5、ポエムC-250、理研ビタミン製)0.3g、水120mL、グリセロール30mL及びシクロヘキサン30mLの混合溶剤に加えて50℃で3日間撹拌した後、濾布濾過した。濾液を酢酸エチル100mLで抽出し、有機層を減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.4g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが2449550、GGAが226117、TGAが2675667、100GCA/TGAが91.5%、GLAが268768、GLA/GCAが0.110であり、メリンジョエキス中のグネチンC含量は68.6%であった。
得られたエキスをシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン・メタノール系)により精製して純度98.8%のグネチンCを0.2g得た。
【0076】
実施例23(エキスの製造)
試験例1で調製したメリンジョ粉末30gを、ラウリン酸ナトリウム(ルナックL-98、花王製)0.5g、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(HLB15.0、エマゾールO-120V、花王製)0・5g、水90mL、ジメチルスルホキシド10mL及び酢酸エチル50mLの混合溶剤に加えて室温で2日間撹拌した後、濾布濾過して、濾液を得た。得られた濾液に1w/v%塩酸1mL及び酢酸エチル200mLを加えて抽出した。有機層を減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.4g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが1221938、GGAが1463346、TGAが2685284、100GCA/TGAが45.5%、GLAが97441、GLA/GCAが0.080であり、メリンジョエキス中のグネチンC含量は30.7%であった。
【0077】
実施例24(エキスの製造)
乾燥メリンジョ果実100gを破砕して、デカグリセリンモノラウレート(HLB15.5、ポエムJ-0021、理研ビタミン製)1g及び大豆レシチン(ベイシスLP-20B、日清オイリオ製)0.3g、メチルセロソルブ20mL、メチルエチルケトン30mL及び水500mLの混合溶剤に加えて40℃で2日間撹拌した後、遠心分離した。上清を分取し、沈殿物に水300mLを加えて、よく撹拌した後、遠心分離した。上清を先の上清と合わせた後、酢酸エチル300mLを加えて抽出した。有機層を減圧濃縮して赤色を帯びた淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを1.2g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが2188861、GGAが202423、TGAが2391284、100GCA/TGAが91.5%、GLAが196693、GLA/GCAが0.090であり、メリンジョエキス中のグネチンC含量は41.7%であった。
【0078】
実施例25(エキスの製造)
乾燥メリンジョ果実50gを破砕して、デカグリセリンモノステアレート(HLB12、ポエムJ-0081HV、理研ビタミン製)0.5g、ジオキサン30mL、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.05mL及び水200mLの混合溶剤に加えて60℃で30時間撹拌した後、遠心分離した。上清を分取し、沈殿物に水150mLを加えて、よく撹拌した後、遠心分離した。上清を先の上清と合わし、水500mLを加えてポリスチレン吸着樹脂(ダイヤイオン、セパビーズ、三菱化学製)に吸着させた。水洗後、エタノールで脱着させ、減圧濃縮して赤色を帯びた淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.6g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが1555812、GGAが123689、100TGAが1679501、GCA/TGAが92.6%、GLAが137847、GLA/GCAが0.089であり、メリンジョエキス中のグネチンC含量は61.3%であった。
【0079】
実施例26(エキスの製造)
未乾燥のメリンジョ果実100gを細断して、乳酸0.25mL、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB16、リョートーシュガーエステルS-16、三菱化学フーズ製)1.0g及びテトラグリセリンステアリン酸エステル(HLB5.6、ポエムJ-4081V、理研ビタミン製)0.1gを含む水170mLの溶剤に加えて50℃で24時間撹拌した後、遠心分離した。上清を分取し、沈殿物に水150mLを加えてよく撹拌後、遠心分離した。上清を先の上清と合わし、同量の水を加えてポリスチレン吸着樹脂(ダイヤイオン、セパビーズ、三菱化学製)に吸着させた。水洗後、エタノールで脱着させ、減圧濃縮して赤色を帯びた淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキスを0.3g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが2582781、GGAが126005、TGAが2708786、100GCA/TGAが95.3%、GLAが265565、GLA/GCAが0.103であり、メリンジョエキス中のグネチンC含有量は79.4%であった。
【0080】
実施例27(エキスの製造)
未乾燥の生の種子70gを細断して酢酸0.4mLを含むエタノール170mLの溶剤に加えて50℃で3日間撹拌した後、濾布濾過し、濾液を減圧濃縮して淡褐色樹脂状物のメリンジョエキスを0.5g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが1221938、GGAが2074243、TGAが3296181、100GCA/TGAが37.1%と実施例1の条件1Cより3倍高く、GLAが97441、GLA/GCAが0.080であり、グネチンC高含有メリンジョエキス中のグネチンC含量は26.1%であった。
【0081】
実施例28(エキスの製造)
種子を加熱後に種皮を剥がすと共に潰し、乾燥して製造したウンピン50g及び前記実施例21で濾布濾過したときの濾布内残留内乳の乾燥物を、デカグリセリンモノラウレート(HLB15.5、ポエムJ-0021、理研ビタミン製)1.5g及び酢酸0.2mLを含む水400mLの溶剤に加えて40℃で3日間撹拌した後、濾布濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮物にエタノール50mLを加えて濾過し、濾液を減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のメリンジョエキスを2.3g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが2346693、GGAが163610、TGAが2510303、100GCA/TGAが93.5%、GLAが226002、GLA/GCAが0.096であり、メリンジョエキス中のグネチンC高含有グネチンC含量は32.5%であった。
【0082】
実施例29(エキスの製造)
乾燥メリンジョ種子の内乳の破砕物2kgを、酢酸0.8g及びデカグリセリンモノラウレート20gを含む水8Lに加えて50℃で2日間撹拌した後、濾布濾過し、濾液を減圧濃縮してシロップ状物を得た。このシロップ状物にアセトン2Lを加えて不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮して淡黄褐色樹脂状物のグネチンC高含有メリンジョエキス44.8g得た。このエキスを試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが500069、GGAが0、TGAが500069、GCA/TGAが100%、GLAが196693、GLA/GCAが0.047であり、メリンジョエキス中のグネチンC含量は42.6%であった。
【0083】
実施例30(粉状のメリンジョエキス含有組成物の製造)
乾燥メリンジョ種子の内乳の破砕物50gを、アジピン酸0.03g及び高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリン、グリコ栄養食品製)6gを含む水250mLに加えて50℃で2日間撹拌した後、高速遠心し、上清を凍結乾燥してグネチンC高含有メリンジョエキス粉末11.1g得た。この粉末を試験例1と同様にHPLC分析した結果、GCAが14731790、GGAが810026、TGAが15541816、GCA/TGAが94.8%、GLAが1247201、GLA/GCAが0.085であり、メリンジョエキス中のグネチンC含量は5.3%であった。
【0084】
実施例31(粉状のメリンジョエキス含有組成物の製造)
前記実施例29で調製したメリンジョエキス10gを水80mLに溶かした液にデキストリン10gを加えて混合後、凍結乾燥してエキス粉末19.4gを得た。この粉末は、賦形剤及び結合剤を配合して顆粒剤を、賦形剤及び滑沢剤などを配合してハードカプセル剤を、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤などを配合して錠剤を製造できる。また、この粉末は、任意の基材を配合する粉末清涼飲料、清涼飲料水、ジュース、コーヒー、紅茶、リキュール、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト等の液状物;飴(キャンデー)、キャラメル、チューインガム、チョコレート、グミ、アイスクリーム、プディング、卵製品、羊羹、水羊羹、おかき、餅、団子、煎餅、クレープ、お好み焼き、パン、クッキー、麺類、ハンバーグ、水練製品、てんぷら、発酵食品、ふりかけなどの固形物に配合することができ、さらにペットフード及び家畜飼料に配合することもできる。
【0085】
実施例32(ペースト状のメリンジョエキス含有組成物の製造)
前記実施例29で調製したグネチンC高含有メリンジョエキス10g、大豆レシチン3g及びオリーブ油7gを加熱混合してエキスペースト20gを得た。このペーストを充填してソフトカプセル剤を製造することができる。また、本ペーストはEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサン酸)含有油脂と混合してソフトカプセル剤を製造することができ、さらにペットフード及び家畜飼料に配合することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によると、抗酸化作用、抗菌作用、リパーゼ阻害作用、アミラーゼ阻害作用、血管新生抑制作用、抗腫瘍作用、ヒト白血病細胞のアポトーシス誘導作用、免疫賦活作用、免疫調節作用、抗肥満・糖尿病改善作用、チロシナーゼ阻害作用、メラニン生合成阻害作用、血管老化抑制作用、サーチュイン活性化作用、高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール増加作用、尿酸値低下作用、歯周病悪化防止作用、皮膚委縮抑制作用などの種々の作用を発揮するグネチンCの含有率を高めたメリンジョエキスを製造することができる。本発明のグネチンC高含有メリンジョエキスは、老化、癌、白血病,悪性黒色腫、歯周病、花粉症、メタボリックシンドローム、糖尿病、心疾患、脳疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎、高尿酸血症、通風などの予防及び治療に有用である。また、メリンジョは東南アジアでよく食されているものであり、上記のような種々疾患の予防及び治療剤として、日常生活の中で通常の食事形態をとりながら、安心して摂取又は服用することができる。
【0087】
また、本発明のグネチンCの含有率を高めたグネチンC高含有メリンジョエキス含有組成物をペットや家畜などの動物の飼料として使用することより、近年ペットのメタボリックシンドロームの増加傾向にあるペットに対しても、飼育者の負担を余り増大させずに対処可能となる。
【符号の説明】
【0088】
100 グネチンCのピーク
101 グネチンLのピーク
102 グネモノシドAのピーク
103 グネモノシドDのピーク
104 グネモノシドCのピーク