(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20220824BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20220824BHJP
C11D 7/20 20060101ALI20220824BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D7/26
C11D7/20
C11D7/22
(21)【出願番号】P 2021185321
(22)【出願日】2021-11-14
【審査請求日】2022-03-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519123180
【氏名又は名称】株式会社赤玉化学
(74)【代理人】
【識別番号】100195970
【氏名又は名称】本夛 伸介
(72)【発明者】
【氏名】赤司 宗朗
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-292415(JP,A)
【文献】特開2009-234967(JP,A)
【文献】特表2016-521199(JP,A)
【文献】特開2001-261550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一工程として予め精製水1に対し、重量比で0.3乃至0.5のクエン酸を添加したクエン酸ジェルの水溶性の連続層を形成し、第二工程として、該クエン酸ジェルの水溶性連続相に、別に調製した2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖の混和物を添加撹拌し、均一層を形成した後、第三工程として、2乃至20重量%の(c)ナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素を添加撹拌してなる界面活性剤を含有しない外観透明なマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項2】
多価アルコールがプロピレングリコール及び/又はグリセリンである請求項1に記載の
界面活性剤を含有しない外観透明なマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物
の製造方法。
【請求項3】
増粘多糖がキサンタンガム及び/又はグァーガムである請求項1乃 至2いずれかに記載の
界面活性剤を含有しない外観透明なマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄効果と殺菌効果を併せ持ち、経時的安定性にすぐれた特定組成のジェル状の洗浄剤組成物の製造方法に関するものである。
さらに詳細には、クエン酸を含有する水溶性の連続相において、2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖を添加し、均一層を形成した後、2乃至20重量%のナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素(c)を添加してなる油落としと研磨性のバランス機能及び経時的安定性にすぐれ、抗菌力を兼ね備えた界面活性剤不使用の外観透明なマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルスの出現によって感染拡大を招き、世界が一変してしまった。経済活動のバランスが崩れ、ライフスタイルも様変わりしている。ヒトは、未曾有の人類危機に瀕したコロナ禍の今、いまだに実効性のある打開策が見いだせないまま、いわゆるニューノーマルという着地点の見えない世界で喘いでいる。
【0003】
しかしながら、命がある限り、日々の感染対策と予防を行いながらも、経済活動と社会生活は不可避であり、コロナと一定の距離を置きつつ社会生活を続けるなかで「ウィズコロナ」というキーワードすら生まれた。
【0004】
そんな中、当然ではあるが、ウィルスを寄せ付けないという公共衛生の観点から、いわゆる抗菌ビジネスが最も脚光を浴びている。マスクの着用は日常の常識的な行為になり、うがいや手洗いの励行も日々のライフサイクルにほぼ定着した。加えて、抗菌剤の使用も屋外のみならず、家庭で広く行われている。
【0005】
さらに、個々人の衛生観念は生活様式の細部にまで及び、例えば、生活用品や備品、その他フローリングや家具の素材にも十分な抗菌メンテナンスが求められているところである。
【0006】
昨今のコロナ禍においては、家庭内感染が急増して大きな社会問題となり、日常の衛生管理が継続して重要であることは言うまでもないが、パーソナルケアでは、個別のハンドケア、マウスケア及びフットケア等を中心にしたライフスタイル全体のトータルケアの重要度が増しており、一連の抗菌・抗ウィルス対策が今後も大変重要な課題である。
【0007】
新型コロナ感染の原因は様々であるが、未だ特定されず解明されていないことも多い。しかしながら、抜本的な対策は、日常の洗浄・殺菌効果の維持であることが疑う余地のない経験的事実である。
【0008】
この点、出願人は、自己の蓄積技術に基づく洗浄剤の開発を試みて発明をなし、その知見について特許を取得した(特許第6752479号;特許文献1)。
当該特許文献1に係る技術は、衛生事業の実施においてかなりの成果をあげたが、処方設計の途上、採択する配合組成によっては、界面活性剤を高濃度でするケースがあり、SDGsにおける環境対策上の観点から、さらなる改良の必要性が生じた。
また、上記家庭内感染の予防上、抗菌ケアの観点からも、機能性の拡充を図る必要性が生じた。
【0009】
ここで、特許文献1に係る技術はいわゆるクリームクレンザータイプのものであり、洗浄力維持のために、二酸化ケイ素は必須の機能性成分である。
洗浄力を維持しつつ、抗菌力を付加するためには公知の抗菌剤を添加することが便宜ではあるが、処方構成中、界面活性剤を含有するため、抗菌剤がこれに抱合または吸着される結果、抗菌効果が十分に発揮しづらい問題がある。この問題は、界面活性剤を使用する限り直面するものであり、処方設計上の理想は、界面活性剤を使用しないことが開発条件の一つである。
【0010】
もう一つの大事な開発条件が、使用する二酸化ケイ素の均一性保持である。無機物質であることから、特に界面活性剤不使用の場合、基剤の構成によっては沈殿が生じ、洗浄効果に支障が生じる。この問題は、処方中に水の配合量が多い場合に顕著である。
【0011】
したがって、これらのバランス考量と実効性のある最適な洗浄剤組成の選択が極めて重要であるが、従来技術によれば、この点に着目した有用な洗浄剤組成物の提供はなされていないのが実情である。
【0012】
特許文献2には、皮膚刺激が少ない特定の成分を選択した安定性と殺菌力に優れた透明ゲル状洗浄剤が開示されているが、界面活性剤の成分種を変えただけであり、環境上の問題は解消されていない。また、用途も汎用性に乏しい。
【0013】
特許文献3には、殺菌効果と洗浄効果の両方の効果を併せ持ったハンドリング性良好のゲル状手指殺菌洗浄剤組成物が開示され、用途の面では改良されているが、多量の界面活性剤を配合する組成物であり、環境面の配慮がされていない点で、上記特許文献2に係る技術と相違がない。
【0014】
特許文献4には、光触媒及びアパタイト及び二酸化ケイ素、若しくは光触媒とアパタイトの複合体粒子及び二酸化ケイ素、若しくは光触媒と二酸化ケイ素 の複合体粒子と、シクロデキストリン粒子と、を含有する粉末であることを特徴とする洗浄剤組成物とその機能性が開示されているが、当該技術によれば、多用途へ使用ができる機能性素材として一定の効果を上げているが、光触媒の実効性に着目したものであり、処方設計上は、粉体の沈殿や均一性に問題がある。特に、水溶系基剤との相互作用により凝集が生じやすく、配合上の制限が多い。
機能性粉体の安定性が損なわれると、結果的に目的とする洗浄効果と殺菌除菌等の効果が安定に発揮できないのは当然の結果である。
【0015】
このように、環境面を考慮しつつ、一定の洗浄効果と抗菌効果を備えながら経時的分離等のない安定性良好な構成をとる洗浄剤組成物の提供は未だ実現されていない。特にクリームクレンザーの流れをくむ製剤開発の改良については、主だった検討がされていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特許第6752479号公報
【文献】特開昭59-232194号公報
【文献】特開2001-2615550号公報
【文献】特開2010-95676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の未達の問題に鑑みてなされたものであり、環境面を考慮しつつ原料を選択し、特に安定した洗浄力と抗菌力を発揮するために不可欠な、製剤の経時的安定性にすぐれた洗浄剤組成物とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、洗浄力を落とさず、かつ、抗菌力を併せ持つ素材の選択によって経時的安定性が良好な成分のバランス調整を行ったところ、特定の成分組成で構成される洗浄剤組成物が所望の効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。具体的には以下のとおりである。
【0019】
本発明者らは、環境面と汎用性の配慮から、天然物由来でもあり、洗浄効果及び抗菌効果を見込める素材を探索した結果、クエン酸に着目するに至った。
また、特許文献1に係る技術改良という観点では、二酸化ケイ素を使用するが、界面活性剤を使用しないため、製剤中における安定な分散性と均一性を担保すべく、ジェル製剤の採択をするに至った。
【0020】
ここで、二酸化ケイ素は、その分散性向上のために、微細化処理をしたものを使用するが、経時的な安定性のために、特定の多価アルコールと増粘多糖を併用することが効果的であることが判明し、本発明での必須成分として選択した。
多価アルコールとしては、プロピレングリコール及び/又はグリセリンが最適であり、増粘多糖類としては、キサンタンガム及び/又はグァーガムが最適である。
【0021】
すなわち、本発明によれば、クエン酸を含有する水溶性の連続相において、2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖を添加し、均一層を形成した後、2乃至20重量%の(c)ナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素を添加してなるマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物の製造方法が提供されるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の洗浄剤組成物は、上記のとおり、クエン酸を含有する水溶性の連続相において特定量の(a)多価アルコール及び(b)増粘多糖を添加し、均一層を形成した後、特定量の微細二酸化ケイ素(c)を添加してなるマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物を提供するものであり、これらの特定の成分種と量の組合せによって、強固な油汚れに対しても十分な洗浄力と抗菌力を発揮し、長期間に安定な洗浄効果を奏し得るものである。
【0023】
そして、本発明の洗浄剤組成物は、その製造方法にも注目すべき特徴がある。
すなわち、本発明の洗浄剤組成物の製造方法は、第一工程として予め精製水1に対し、重量比で0.3乃至0.5のクエン酸を添加したクエン酸ジェルの連続層を形成し、第二工程として、該クエン酸ジェルの連続相に、別に調製した2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖の混和物を添加撹拌し、均一層を形成した後、第三工程として、2乃至20重量%の(c)ナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素を添加撹拌することによって、課題解決に最適な所望の界面活性剤不使用の外観透明なマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物を提供するものである。当該界面活性剤不使用の外観透明なマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物は熱力学的に安定な連続層を形成することから、長期間保存によっても常に安定な洗浄力と抗菌力が期待できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前述のとおり、本発明は、特定の成分構成・配合組成によって、あらゆる生活シーンに適応可能な洗浄力と抗菌力を発揮し、かつ、長期間に渡って安定な均一製剤化の実現により、洗浄と抗菌の双方の効果を安定に奏し得る洗浄剤組成物とその製造方法を提供するものである。
【0025】
すなわち、本発明によれば、第一に、クエン酸を含有する水溶性の連続相において、好適には2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖を添加し、均一層を形成した後、2乃至20重量%の(c)ナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素を添加してなる界面活性剤不使用の外観透明なマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物に係る製造方法が提供され、第二に、好適には第一工程として予め精製水1に対し、重量比で0.3乃至0.5のクエン酸を添加したクエン酸ジェルの連続層を形成し、第二工程として、該クエン酸ジェルの連続相に、別に調製した2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖の混和物を添加撹拌し、均一層を形成した後、第三工程として、2乃至20重量%の(c)ナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素を添加撹拌することによって、課題解決に最適な界面活性剤不使用の澄明で安定な所望のマイクロエマルション型のジェル状洗浄剤組成物を製造する方法が提供される。
【0026】
本発明におけるクエン酸(citric acid)は、柑橘類などに含まれる有機化合物で、ヒドロキシ酸のひとつであり、代表的には、レモンジュース、トマトピューレ、ルビー種のグレープフルーツジュースやオレンジジュース、梅干しなどに多く含まれる。爽やかな酸味を持つことから加工食品の食味調整素材として多用される。柑橘類の酸味の原因はクエン酸の味に因るものが多い。
用途としては、炭酸カルシウムを容易に溶かすことから、便器の尿石・浴室・電気ポット・加湿器内部に溜まった水垢の洗浄にも用いられ、濃度調整にもよるが、新型コロナ対策の一環として、除菌用商品への利用が拡大している。
上記のとおり、主として天然物由来のものを用いることから環境の面からも広く許容される有用な素材である。
本発明においては、好適には、精製水1に対し、重量比で0.3乃至0.5を配合する。
【0027】
基本構成(a)の多価アルコールは、被洗浄物への浸透性が良いことから、本発明の組成物においては洗浄素材の洗浄効果を高める一方、本発明では界面活性剤を使用しないことから、微細二酸化ケイ素の分散安定性を高める助剤としての役割が大きい。配合成分種としては、クエン酸との相溶性の点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、1―3-ブチレングリコール及びグリセリンがあげられるが、最も好ましいものは、プロピレングリコール、グリセリンであり、配合量としては2乃至10重量%が好ましい。
【0028】
基本構成(b)の増粘剤は、本発明のクエン酸を含有する水溶性連続相におけるジェル形成上の基剤としての役割が大きく、多価アルコールとの相溶性も重要である。この点、機能面でみると、上記界面活性剤を使用しない中で、多価アルコールの役割を包摂可能な増粘剤であれば選択可能であるが、キサンタンガム及び/又はグァーガムが好適に使用できる。通常の配合量は、0.1乃至10重量%、本発明の洗浄剤を構成する各成分との相溶性と製剤全体の安定性を維持する上で好適には0.5乃至5重量%が使用される。
【0029】
基本構成(c)の微細二酸化ケイ素は、公知の方法でナノサイズに微粒子化した粉体物とし、用途に応じて製造する完成品に対し、2乃至20重量%の範囲で添加して使用する。
【0030】
精製水は、上記(a)、(b)及び(c)の配合量に対する範囲でバランス調製される。特に本発明の製剤的特徴は、熱力学的に安定なマイクロエマルションを構成する点にあり、減圧下でホモジナイズする等の煩雑な工程を経ずに、常温で簡便な混合撹拌によって調製可能であるが、経時的により安定な連続層を得るためには、最終攪拌の時間は少なくとも3時間が必要であり、それ以下の時間であると、マイクロエマルションの経時的安定性が損なわれる場合がある。
【0031】
また、本発明のマイクロエマルションは、外観的にも経時的にも安定な性状を維持するためには、好適な添加・撹拌の順序がある。
プレミックス原料として調製する(a)多価アルコールと(b)増粘剤の混和においては、水分を混入させないことも製造工程上の必須条件である。
【0032】
すなわち、本発明によれば、好適には第一工程として予め精製水1に対し、重量比で0.3乃至0.5のクエン酸を添加したクエン酸ジェルの連続層を形成し、第二工程として、該クエン酸ジェルの連続相に、別に調製した2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖の混和物を添加撹拌し、均一層を形成した後、第三工程として、2乃至20重量%の(c)微細二酸化ケイ素を添加撹拌することによって、所望の効果を発揮し得るマイクロエマルション製剤を得ることができる。
特に第三工程においては、(c)を一度に添加混合、あるいは、短時間で添加混合すると、連続層にナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素が分散できず凝集が起こり、半透明あるいは懸濁が発生するので、注意が必要である。
【0033】
ここで、マイクロエマルション(英語:Microemulsion)とは、一般に、エマルションに類似した分散系の一種であるが、ミセルの直径が100ナノメートル程度以下と小さく、熱力学的にも安定であり、また強い撹拌を要せず容易に形成されるものを指す。形成するミセルが小さいので可視光の散乱が少なく、目視的にも透明または半透明に見えるのが特徴である。
【0034】
マイクロエマルションの応用面としては、上記のとおり透明な外観を呈し、分離することがないことに加え、親水性成分や疎水性成分のいずれにも親和性のある物質をも溶解しやすい特性があることから、多用途に利用されている。
【0035】
本発明において、マイクロエマルション型の製剤を使用するメリットは、詳細は定かではないものの、およそ次の洗浄機能性の理論に基づいている。
【0036】
すなわち、多価アルコール及び増粘剤に混和したクエン酸が被洗浄物に素早く浸透する結果、油汚れに親和して汚れを除去し、その後、マイクロエマルション系の組成バランスが崩れ、均一に分散しているナノサイズに処理された二酸化ケイ素が物理的な摩擦・研磨によって二次的洗浄が始まる。先のクエン酸との洗浄作用の協奏効果によって、汚れが落ちを加速させると推察される。
【0037】
多価アルコール及び増粘剤は、洗浄過程においては、クエン酸の被洗浄物への親和性を向上させるとともに、クエン酸の併せ持つ抗菌力が洗浄後の被洗浄物表面をコートするものである。
【0038】
このように、仕上がり後は被洗浄物に浸透し吸着したクエン酸の効果が続き、抗菌性をも付与し得ることから、例えばコロナ禍における環境対策の洗浄剤として大変有意義な所望の製剤を提供しうるものである。
【0039】
なお、被洗浄物への表面コート力を強化するために、本発明の効果を損なわない範囲で、コーティング剤を微量配合することは任意である。
【0040】
その他、本発明の洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、保湿剤、柔軟仕上げ剤、溶剤、抗菌剤および香料等を添加することができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は当該実施例に限定されるものではない。
【0042】
<試験例1> 経時的安定性試験
(試験方法)
表1の組成物を広口規格ビンに充填し、蓋をして、-5 ℃ ~40 ℃ のサイクル恒温槽に1年間保存し、3ヶ月毎に製剤の外観を目視評価した。
また、同時に1年間経過時点での洗浄効果面の評価を行った。
評価項目は、被洗浄物の汚れ落ちと表面(性状)の状態の比較、使用性の3つである。
被洗浄物の汚れ落ちと表面(性状)は、正常な状態への原状回復の度合いを評価し、使用性は、表面ぬれ性と汚れ落としの負荷度合いを指標として官能的に評価した。
なお、表1の組成物(供試試料)は、いずれも本発明によって見出した以下の製造方法によって得たものである。
すなわち、第一工程として予め精製水1に対し、重量比で0.3乃至0.5のクエン酸を添加したクエン酸ジェルの連続層を形成し、第二工程として、該クエン酸ジェルの連続相に、別に調製した2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖の混和物を添加撹拌し、均一層を形成した後、第三工程として、2乃至20重量%の(c)ナノサイズに処理された微細二酸化ケイ素を添加撹拌することによって得たものである。
【0043】
(結果と考察)
以下に示した通り、本発明品は、経時的な変化がなく、機能性も維持されていた。また、被洗浄物表面の汚れ落ちと仕上がり性及び使用性も良好であり、本発明で特定された成分で構成されたマイクロエマルション組成物は優れた商品価値を有するものであることが明らかである。
【表1】
【0044】
表2は、すべて本発明のマイクロエマルション型準拠の組成物であり、上記と同様の製造方法で得た安定性試験を行って、所望の効果を有するものであること示したものである。
【表2】
【要約】
【課題】本発明は、安定した洗浄力と抗菌力を兼ね備え、組成物の経時的安定性にすぐれた洗浄剤組成物およびその製造方法を提供することを目的とする
【解決手段】本発明によれば、
クエン酸を含有する水溶性の連続相において、2乃至10重量%の(a)多価アルコール及び0.5乃至5重量%の(b)増粘多糖を添加し、均一層を形成した後、2乃至20重量%の(c)微細二酸化ケイ素を添加してなるマイクロ分散型のジェル状洗浄剤組成物とその最適な製造方法が提供され、強固な汚れに対する優れた洗浄力と抗菌力長期間分離がない安定性を有するものである。
【選択図】なし