IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本圧着端子製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-シールドコネクタ 図1
  • 特許-シールドコネクタ 図2
  • 特許-シールドコネクタ 図3
  • 特許-シールドコネクタ 図4
  • 特許-シールドコネクタ 図5
  • 特許-シールドコネクタ 図6
  • 特許-シールドコネクタ 図7
  • 特許-シールドコネクタ 図8
  • 特許-シールドコネクタ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
H01R13/648
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018094230
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019200898
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】西本 憲一
(72)【発明者】
【氏名】和田 光司
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-030367(JP,U)
【文献】特開平04-209472(JP,A)
【文献】実開平06-054242(JP,U)
【文献】実開平03-080982(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 - 12/91
H01R 13/56 - 13/72
H01R 24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線を絶縁被覆した一つ以上の電線、この電線を覆う編組線、及び、前記編組線を被覆する絶縁シースを備えるシールドケーブルの端末に取り付けできるシールドコネクタであって、
前記芯線を結線するコンタクトと、
これらのコンタクトを実装する円柱状のインナーハウジングと、
このインナーハウジングの周囲を覆う円筒状のシェルと、を備え、
前記インナーハウジングは、その外周から窪んだ一つ以上の窪み部を有し、
前記シェルは、その外周から内周側に突出し、前記窪み部に嵌合できる一つ以上の突部を有し、
前記突部が前記窪み部に嵌合することで、前記シェルに対して、前記インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定でき、
前記突部を含むシェルの外周は、前記シェルの外周から電磁波が漏洩することを阻止すべく密閉している、シールドコネクタ。
【請求項2】
前記インナーハウジングは、対向配置された一対の前記窪み部を有している、請求項1記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記シールドケーブルは、芯線を絶縁被覆した複数の電線、これらの電線を束ねた状態で覆う編組線、及び、編組線を被覆する絶縁シースからなり、
前記芯線を結線する複数のコンタクトを備えている、請求項1又は2記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記シェルは、
前記編組線を圧着する円筒状の第1圧着部と、
前記第1圧着部と軸方向に連続すると共に外周が連続し、前記絶縁シースを圧着する第2圧着部と、を基端部側に有している、請求項1から3のいずれかに記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。特に、芯線を絶縁被覆した一つ以上の電線、電線を覆う編組線、及び、編組線を被覆する絶縁シースを備えるシールドケーブルの端末に取り付けできるシールドコネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド線は、導線を伝送する電気信号を不要な電磁波から遮断できる。このようなシールド線の代表的なものとしては、シールドケーブルの一種である同軸ケーブルが知られている。同軸ケーブルは、一般に、芯線(導線)、芯線を囲う絶縁体の一種である誘電体、誘電体を覆う編組線、及び、編組線を被覆する絶縁シースで構成している。
【0003】
近年、自動車に実装された電気機器などに電気信号を伝送するワイヤハーネスには、ノイズの影響を受け難く、高周波信号を伝送可能なことから、シールドケーブルの端末に取り付けたシールドコネクタがよく使用されている。
【0004】
例えば、このようなシールドコネクタは、芯線を結線するコンタクト、コンタクトを内部に実装した円柱状のインナーハウジング、及び、インナーハウジングの周囲を覆う円筒状のシェルで構成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-27881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8は、従来技術によるシールドコネクタに備わるシェルの構成を示す縦断面図であり、シェルの圧着部を圧着する前の状態図である。
【0007】
図9は、従来技術によるシールドコネクタの構成を示す縦断面図であり、シェルの圧着部を圧着した状態図である。なお、本願の図8図9は、特許文献1の図1図4に相当している。
【0008】
図9を参照すると、従来技術によるシールドコネクタ9は、シールドケーブルCbの端末に取り付けられている。シールドケーブルCbは、単線又は撚線からなる円形の芯線Wc、芯線Wcの周囲を囲う絶縁体の一種である誘電体Di、誘電体Diの周囲を囲う編組線Wb、及び、編組線Wbを被覆保護する絶縁シースWiで構成している。図9を参照して、シールドケーブルCbは、各構成部材がそれらの端末から所定の剥離長で予め剥離されている。つまり、シールドケーブルCbは、端末処理されている。
【0009】
図8又は図9を参照すると、シールドコネクタ9は、コンタクト91、円柱状のインナーハウジング92、及び、円筒状のシェル93を備えている。コンタクト91は、芯線Wcを固定している。コンタクト91は、圧着部91aを基端部側に有し、接続部91bを先端部側に有している。圧着部91aは、コンダクタバレルで構成している。コンダクタバレルは、芯線Wcを圧着することで、コンタクト91と芯線Wcを電気的に接続可能に結線できる。
【0010】
図9を参照すると、コンタクト91の接続部91bは、円筒状に形成している。接続部91bには、図示しない相手側コネクタに配置したピン状の雄コンタクトを接続部91bの前面開口から相対的に導入できる。そして、図示しない相手側コネクタの雄コンタクトとコンタクト91を電気的に接続できる。図9では、コンタクト91を雌コンタクトとして開示しているが、コンタクト91は、ピン状の雄コンタクトで構成することもできる。
【0011】
図9を参照すると、インナーハウジング92は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、円筒形状のインナーハウジング92を得ることができる。
【0012】
図9を参照すると、インナーハウジング92は、コンタクト収容穴92hを内部に形成している。コンタクト収容穴92hの前部側からは、図示しない相手側コンタクトを導入できる。コンタクト収容穴92hの後部側からは、芯線Wcを結線した状態で、コンタクト91を導入できる。
【0013】
図9を参照すると、コンタクト91をコンタクト収容穴92hに収容した状態では、接続部91bは、コンタクト収容穴92hの前面開口に臨んで配置されている。これにより、図示しない相手側コンタクトをコンタクト91に導入できる。
【0014】
又、図9を参照すると、インナーハウジング92は、後述するシェル93の円筒部93bに保持されている。そして、インナーハウジング92は、コンタクト91とシェル93を電気的に絶縁している。
【0015】
図8又は図9を参照すると、シェル93は、導電性を有する金属製の展開板を成形している。そして、シェル93は、圧着部93aと円筒部93bを有している。円筒部93bは、内部に空洞を有する円筒状に形成している。円筒部93bは、その前面開口からインナーハウジング92を導入できる。そして、インナーハウジング92を円筒部93bに導入した状態では、インナーハウジング92の周囲を円筒部93bでシールド可能に覆うことができる(図9参照)。
【0016】
図8又は図9を参照すると、圧着部93aは、コンダクタバレル931とインシュレーションバレル932を含んでいる。コンダクタバレル931は、編組線Wbを圧着することで、編組線Wbとシェル93を電気的に接続できる。インシュレーションバレル932は、絶縁シースWiを圧着することで、シールドコネクタ9をシールドケーブルCbの端末に固定できる。
【0017】
図8又は図9を参照すると、シェル93は、円筒部93bの内部に向って屈曲したランス93rを有している。円筒部93bの前面開口からインナーハウジング92を導入すると、インナーハウジング92の外周に押されて、ランス93rを弾性変形できる。インナーハウジング92が円筒部93bの奥部に到達すると、ランス93rが弾性復帰して、インナーハウジング92の凹部92dに係合することで、インナーハウジング92をシェル93の内部に保持できる。又、シェル93に対して、インナーハウジング92の軸方向の位置決めを規定できる。
【0018】
しかし、シールドケーブルの内部に配置された芯線又は電線に伝送する信号が高周波になると、ランスを介して、電磁波が漏洩する心配がある。又、ランスを介して、不要な電磁波が電線に侵入する心配がある。このように、従来技術によるシールドコネクタは、シェルの外周の開口したランスを有しているので、EMC(電磁界適合性)の性能に影響を与える心配があった。
【0019】
シェルの外周から電磁波が漏洩又は進入する心配がなく、シェルに対して、インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定できる、シールドコネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、シェルの外周から電磁波が漏洩又は進入する心配がなく、シェルに対して、インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定できる、丸形のシールドコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、芯線を絶縁被覆した電線に接続した一つ以上のコンタクトが実装された円柱状のインナーハウジングと、インナーハウジングの周囲を覆う円筒状のシェルでシールドコネクタを構成し、インナーハウジングには、その外周から窪んだ一つ以上の窪み部を設け、シェルには、その外周から内周側に突出した一つ以上の突部を設け、インナーハウジングをシェルの内部に挿入すると、突部が窪み部に嵌合することで、シェルに対して、インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定できると共に、シェルの外周から電磁波が漏洩又は浸入する心配が無くなると考え、これに基づいて以下のような新たなシールドコネクタを発明するに至った。
【0022】
(1)本発明によるシールドコネクタは、芯線を絶縁被覆した一つ以上の電線、この電線を覆う編組線、及び、前記編組線を被覆する絶縁シースを備えるシールドケーブルの端末に取り付けできるシールドコネクタであって、前記芯線を結線するコンタクトと、これらのコンタクトを実装する円柱状のインナーハウジングと、このインナーハウジングの周囲を覆う円筒状のシェルと、を備え、前記インナーハウジングは、その外周から窪んだ一つ以上の窪み部を有し、前記シェルは、その外周から内周側に突出し、前記窪み部に嵌合できる一つ以上の突部を有し、前記突部が前記窪み部に嵌合することで、前記シェルに対して、前記インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定できる。
【0023】
(2)前記インナーハウジングは、対向配置された一対の前記窪み部を有していることが好ましい。
【0024】
(3)前記シールドケーブルは、芯線を絶縁被覆した複数の電線、これらの電線を束ねた状態で覆う編組線、及び、編組線を被覆する絶縁シースからなり、前記芯線を結線する複数のコンタクトを備えていてもよい。
【0025】
(4)前記インナーハウジングは、その軸方向に沿って、前面から後面に向けて切り欠いたキー溝を有し、前記シェルは、その内周から中心部に向って突出し、前記キー溝に噛み合うことで、前記シェルに対して、前記インナーハウジングの軸回りの位置を規定するキーを有していることが好ましい。
【0026】
(5)前記シェルは、前記編組線を圧着する第1圧着部と、前記第1圧着部に連続し、前記絶縁シースを圧着する第2圧着部と、を基端部側に有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるシールドコネクタは、電線を接続した一つ以上のコンタクトが実装された円柱状のインナーハウジングと、インナーハウジングの周囲を覆う円筒状のシェルを備え、インナーハウジングには、その外周から窪んだ一つ以上の窪み部を設け、シェルには、その外周から内周側に突出した一つ以上の突部を設け、インナーハウジングをシェルの内部に挿入すると、突部が窪み部に嵌合することで、シェルに対して、インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定できると共に、シェルの外周から電磁波が漏洩又は浸入する心配が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるシールドコネクタの構成を示す斜視図である。
図2】前記実施形態によるシールドコネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図3】前記実施形態によるシールドコネクタの構成を示す斜視図であり、シールドコネクタに備わるシェルを組み込む前の状態図である。
図4】前記実施形態によるシールドコネクタの構成を示す図であり、図4(A)は、シールドコネクタの正面図、図4(B)は、シールドコネクタの右側面図、図4(C)は、図4(A)のA-A矢視断面である。
図5】前記実施形態によるシールドコネクタに備わるシェルの構成を示す図であり、図5(A)は、シェルの正面図、図5(B)は、シェルの右側面図、図5(C)は、シェルの平面図、図5(D)は、シェルの下面図である。
図6】前記実施形態によるシールドコネクタに備わるインナーハウジングの構成を示す図であり、図6(A)は、インナーハウジングの正面図、図6(B)は、インナーハウジングの右側面図、図6(C)は、インナーハウジングの背面図、図6(D)は、インナーハウジングの平面図、図6(E)は、インナーハウジングの下面図、図6(F)は、インナーハウジングの斜視図である。
図7】前記実施形態によるシールドコネクタの組立工程を示す図であり、図7(A)は、シールドケーブルを端末処理する前の状態図、図7(B)は、絶縁シースを端面から所定の長さで剥離した後に、編組線の外周にフェルールを巻き付けた状態図、図7(C)は、編組線の外周にフェルールを圧着した状態図、図7(D)は、フェルールの外周に編組線を折り返した状態図、図7(E)は、電線の被覆を電線の端面から所定の長さで剥離した状態図、図7(F)は、コンタクトの圧着部を芯線に圧着する前の状態図、図7(G)は、コンタクトの圧着部を芯線に圧着した状態図、図7(H)は、複数のコンタクトをインナーハウジングに実装し、シェルの後部からインナーハウジングを挿入した状態図、図7(J)は、一連の組立工程が完了した状態図である。
図8】従来技術によるシールドコネクタに備わるシェルの構成を示す縦断面図であり、シェルの圧着部を圧着する前の状態図である。
図9】従来技術によるシールドコネクタの構成を示す縦断面図であり、シェルの圧着部を圧着した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[シールドコネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態によるシールドコネクタの構成を説明する。
【0030】
(全体構成)
図1から図4を参照すると、本発明の一実施形態によるシールドコネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、シールドケーブル1の端末に取り付けできる。シールドケーブル1は、複数の電線1w、編組線1b、及び、絶縁シース1cを備えている。電線1wは、芯線1aを絶縁被覆している。編組線1bは、複数の電線1wを束ねた状態で覆っている。絶縁シース1cは、編組線1bを被覆している。(図2から図4を参照)。
【0031】
図1から図6を参照すると、コネクタ10は、複数のコンタクト11、円柱状のインナーハウジング2、及び、円筒状のシェル3を備えている。コンタクト11は、芯線1aを結線している(図2又は図7(G)参照)。インナーハウジング2は、複数のコンタクト11を内部に実装している(図3又は図7(H)参照)。シェル3は、インナーハウジング2の周囲を覆っている(図1又は図3(C)参照)。
【0032】
図2又は図3及び図6を参照すると、インナーハウジング2は、その外周から窪んだ一対の窪み部2d・2dを形成している。一対の窪み部2d・2dは、対向配置されている。シェル3は、その外周から内周側に突出した一対の突部3b・3bを有している(図1又は図4及び図5(C)参照)。
【0033】
図3に示した状態から、インナーハウジング2をシェル3の内部に挿入すると、突部3bが窪み部2dに嵌合することで、シェル3に対して、インナーハウジング2の軸方向の位置決めを規定できる(図4(C)参照)。
【0034】
図1から図6を参照すると、実施形態によるコネクタ10は、シェル3に対して、インナーハウジング2の軸方向の位置決め規定する突部3bがシェル3の外周を密閉しているので、シェル3の外周から電磁波が漏洩又は進入する心配が無い。
【0035】
(コンタクトの構成)
次に、実施形態によるコンタクト11の構成を説明する。図3を参照すると、コンタクト11は、電線1wの端末に固定されている。コンタクト11は、圧着部11aを基端部側に有し、接続部11bを先端部側に有している。圧着部11aは、コンダクタバレルで構成している。コンダクタバレルは、芯線1aを圧着することで、コンタクト11と電線1wを電気的に接続可能に結線できる。
【0036】
図3を参照すると、接続部11bは、円筒状に形成している。接続部11bには、図示しない相手側コネクタに配置されたピン状の雄コンタクトを接続部11bの前面開口から相対的に導入できる。そして、図示しない相手側コネクタの雄コンタクトとコンタクト11を電気的に接続できる。図3では、コンタクト11を雌コンタクトとして開示しているが、コンタクト11は、ピン状の雄コンタクトで構成することもできる。
【0037】
図3を参照すると、コンタクト11は、導電性を有する金属板からなり、導電性を有する金属性の展開板を成形して、円筒状のコンタクトを得ることができる。コンタクト11は、導電性を有する金属棒を加工して、円筒状のコンタクトを得ることもできる。
【0038】
(インナーハウジングの構成)
次に、実施形態によるインナーハウジング2の構成を説明する。図2又は図3及び図4(C)又は図6を参照すると、インナーハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、所望の形状のインナーハウジング2を得ることができる。
【0039】
図2又は図3及び図6を参照すると、インナーハウジング2は、四つのコンタクト収容穴2hを開口している。コンタクト収容穴2hの前部側からは、図示しない相手側コンタクトを導入できる。コンタクト収容穴2hの後部側からは、電線1wを結線した状態で、コンタクト11を導入できる。
【0040】
図3を参照して、コンタクト11をコンタクト収容穴2hに収容した状態では、接続部11bは、コンタクト収容穴2hの前面開口に臨んで配置されている。又、コンタクト収容穴2hは、インナーハウジング2の外周側に一部を除いて、開口している。これにより、インナーハウジング2に対してコンタクト11の収容状態を確認できる。
【0041】
図2又は図3及び図6を参照すると、インナーハウジング2は、方形のキー溝2kを外周に形成している。キー溝2kは、インナーハウジング2の軸方向に沿って、前面から後面に向けて切り欠いている。
【0042】
一方、図4(A)を参照すると、シェル3は、その内周から中心部に向って突出したキー3kを有している。図2又は図3を参照して、インナーハウジング2をシェル3の後部からシェル3の内部に挿入すると、キー3kがキー溝2kに噛み合うことで、シェル3に対して、インナーハウジング2の軸回りの位置を規定できる。これにより、コネクタ10を図示しない相手側コネクタと正しく接続できる。
【0043】
(シェルの構成)
次に、実施形態によるシェル3の構成を説明する。図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、シェル3は、導電性を有する金属板からなり、導電性を有する金属製の展開板を成形して筒状に形成している。
【0044】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、シェル3は、接続部31、一組の輪帯32・32、及び、圧着部33を連続して形成している。接続部31は、シェル3の先端部側に形成している。接続部31は、図示しない相手側コネクタの筒状シェルと接続できる。接続部31は、一つ以上の切り込みを外周に切り欠いたオープンエントリで構成しているが、接続部31は、外周が連続したクローズドエントリで構成とすることもできる。
【0045】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、一組の輪帯32・32は、シェル3の中間部に形成している。輪帯32は、シェル3の外周方向に突出している。図示しない外部ハウジングの内部に、シェル3を挿入し、先端部側にU字状のスロットを形成した平板状の位置決め保証部材(図示せず)を図示しない外部ハウジングから挿入し、位置決め保証部材(図示せず)の先端部側を一組の輪帯32・32の間に挿入することで、図示しない外部ハウジングに対して、シェル3の軸方向の位置決めを保証できる。
【0046】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、圧着部33は、シェル3の基端部側に形成している。圧着部33は、第1圧着部331と第2圧着部332に区分することができる。第2圧着部332は、第1圧着部331に連続している。なお、図2図5は、圧着部33を圧着前の状態を示し、図1図4は、圧着部33を圧着後の状態を示している。
【0047】
図4(C)を参照すると、第1圧着部331は、編組線1bを圧着している。これにより、シェル3と編組線1bを電気的に接続できる。第2圧着部332は、絶縁シース1cを圧着している。これによりコネクタ10をシールドケーブル1の端末に固定できる。
【0048】
(シールドコネクタの組立方法)
次に、実施形態によるコネクタ10の組立方法を説明する。最初に、図7(A)に示したシールドケーブル1を端末処理する。図7(B)を参照して、シールドケーブル1の端面から絶縁シース1cを所定の長さで剥離すると共に、編組線1bの上から帯状の金属スリーブ12を巻き付ける。次に、図7(C)を参照して、編組線1bの上から金属スリーブ12を圧着する。
【0049】
次に、図7(D)を参照して、編組線1bを金属スリーブ12の外周に折り返す。次に、図7(E)を参照して、電線1wの端面から被覆を所定の長さで剥離し、芯線1aを露出する。以上でシールドケーブル1の端末処理を終了する。次に、図7(F)を参照して、芯線1aをコンタクト11の圧着部11aに挿通する。次に、図7(G)を参照して、圧着部11aを芯線1aに圧着する。
【0050】
次に、図7(H)を参照して、複数のコンタクト11をインナーハウジング2に実装する。次に、図7(H)に示した状態から、インナーハウジング2をシェル3の内部に挿入した後に、圧着部33をシールドケーブル1の端末に圧着する(図7(G)参照)。そして、一連の組立工程を終了する。
【0051】
[シールドコネクタの作用]
次に、実施形態によるコネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0052】
図4(C)を参照して、インナーハウジング2をシェル3の内部に挿入すると、突部3bが窪み部2dに嵌合することで、シェル3に対して、インナーハウジング2の軸方向の位置決めを容易に規定できる。
【0053】
図1から図6を参照すると、実施形態によるコネクタ10は、シェル3に対して、インナーハウジング2の軸方向の位置決めの規定する窪み部2dがシェル3の外周を密閉しているので、シェル3の外周から電磁波が漏洩又は進入する心配が無い。
【0054】
図2又は図3を参照して、インナーハウジング2をシェル3の後部からシェル3の内部に挿入すると、キー3kがキー溝2kに噛み合うことで、シェル3に対して、インナーハウジング2の軸回りの位置を規定できる。これにより、コネクタ10を図示しない相手側コネクタと正しく接続できる。
【0055】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、シェル3は、シールドケーブル1の端末を圧着する圧着部33を基端部側に形成しているので、コネクタ10は、シールドケーブル1の端末を確実に固定できる。
【0056】
本発明によるシールドコネクタは、外周から窪んだ窪み部をインナーハウジングに設け、外周を閉塞し、外周から内周側に突出した突部をシェルに設け、突部が窪み部に嵌合することで、シェルに対して、インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定できる実施形態を開示したが、外周から突出した突部をインナーハウジングに設け、外周を閉塞し、内周から外周に向けて窪んだ窪み部をシェルに設け、突部が窪み部に嵌合することで、シェルに対して、インナーハウジングの軸方向の位置決めを規定してもよい。
【0057】
本発明によるシールドコネクタは、複数の電線を束ねた多芯のシールドケーブルの端末に取り付ける実施形態を開示したが、本発明によるシールドコネクタは、同軸ケーブルなどの単線のシールドケーブルにも適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 シールドケーブル
1a 芯線
1b 編組線
1c 絶縁シース
1w 電線
2 インナーハウジング
2d 窪み部
3 シェル
3b 突部
10 コネクタ(シールドコネクタ)
11 コンタクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9