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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ペニシリンGアシラーゼ
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/84 20060101AFI20220824BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20220824BHJP
   C12N 15/70 20060101ALI20220824BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220824BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C12N9/84 ZNA
C12N15/55
C12N15/70 Z
C12N1/21
C12P21/02 E
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2018557402
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 US2017031342
(87)【国際公開番号】W WO2017193022
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】62/332,103
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502427921
【氏名又は名称】コデクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ネイザー, ジョヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル, ヴェスナ
(72)【発明者】
【氏名】エルガート, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】レクサ, カトリーナ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】デラス, ニッキ
(72)【発明者】
【氏名】オア, ロバート ケビン
(72)【発明者】
【氏名】アルビゾ, オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア, ラヴィ デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドゥヤ, ジュディ ヴィクトリア アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】モフェット, コートニー ダイアン
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0264606(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0270282(US,A1)
【文献】Biol.Chem.Hoppe-Seyler,1994年,Vol.375, p.373-378
【文献】Biopolymers,1986年,Vol.25, S109-S114
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/55
C12N 9/84
C12N 15/70
C12N 1/21
C12P 21/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1036と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を有し、N2L変異を含み、ここで、前記位置は、配列番号1036を基準としてナンバリングされている、操作されたペニシリンGアシラーゼ。
【請求項2】
前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、12、103、131、233、444、467、494および/または646から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換をさらに含み、ここで、前記位置は、配列番号1036を基準としてナンバリングされている、請求項1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
【請求項3】
前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、アミノ酸位置12、103、131、233、444、467、494および646に置換をさらに含み、ここで、前記位置は、配列番号1036を基準としてナンバリングされている、請求項1または2に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
【請求項4】
前記ペニシリンGアシラーゼが、表10.1に示される少なくとも1つの配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
【請求項5】
前記ペニシリンGアシラーゼが、表10.1に示されるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
【請求項6】
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号1193と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
【請求項7】
前記ペニシリンGアシラーゼが、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成することができる、請求項1~6のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼをコードする、操作されたポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項10】
請求項9に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項11】
前記宿主細胞が、原核細胞または真核細胞である、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項12】
前記原核宿主細胞が、大腸菌である、請求項11に記載の宿主細胞。
【請求項13】
請求項1~7のいずれかに提供されている少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼを含む、組成物。
【請求項14】
請求項1~7のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼを生成するための方法であって、請求項11および/または請求項12に記載の宿主細胞を、前記操作されたペニシリンGアシラーゼが生成されるような条件下で培養する工程を含む、方法。
【請求項15】
フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法であって、i)請求項1~7のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または請求項13に記載の組成物、ならびにA1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を含むインスリンを提供する工程;およびii)前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、前記A1、B1および/またはB29トリ-フェニルアセテート保護基を前記インスリンから除去することによって、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼを、A1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を含む前記インスリンに曝露する工程を含む、方法。
【請求項16】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB1トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB29トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1、B1およびB29トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法であって、i)請求項1~7のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または請求項13に記載の組成物、ならびに遊離インスリンを提供する工程;およびii)前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、A1、B1および/またはB29位をアシル化することによって、一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼを前記インスリンに曝露する工程を含む、方法。
【請求項21】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1位をアシル化する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB1位をアシル化する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB29位をアシル化する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1、B1およびB29位をアシル化する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法であって、i)請求項1~7のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または請求項13に記載の組成物、ならびにインスリンを提供する工程;およびii)前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、A1、B1および/またはB29トリ-フェニルアセテート保護基を前記インスリンに付加することによって、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼを前記インスリンに曝露する工程を含む、方法。
【請求項26】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB1トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB29トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1、B1およびB29トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年5月5日に出願された米国仮出願第62/332,103の優先権を主張し、本明細書において、その全体が全ての目的について参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、操作されたペニシリンGアシラーゼ(PGA)酵素、それらの酵素をコードするポリヌクレオチド、それらの酵素を含む組成物、およびそれらの操作されたPGA酵素を使用する方法を提供する。
【0003】
配列表、表またはコンピュータプログラムに対する言及
配列表の公式の写しは、ファイル名が「CX2-154WO1_ST25.txt」であり、作成日が2017年5月5日であり、サイズが8,962キロバイトである、ASCII形式のテキストファイルとして、EFS-Webを介して本明細書と同時に提出される。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ペニシリンGアシラーゼ(PGA)(ペニシリンアミダーゼ、EC3.5.1.11)は、ペニシリンG(ベンジルペニシリン)側鎖のアミド結合の切断を触媒する。この酵素は、6-アミノ-ペニシラン酸(6-APA)およびフェニル-酢酸(PAA)の製造において商業的に使用されている。6-APAは、アモキシシリン、アンピシリンおよびセファレキシンなどの半合成β-ラクタム抗生物質の工業生産において重要な化合物である。天然に存在するPGA酵素は、商業的プロセスにおいて不安定性を示すことから、商業的応用のためには、固体基材上への固定化が必要である。PGAは、様々な支持体に共有結合的に結合されており、PGA固定化システムは、純粋な光学異性体を合成するための有用なツールと報告されている。しかしながら、固体表面に付着することにより、酵素特性が損なわれ、例えば、活性および/または選択性が低下し、溶質への接近が制限される。さらに、固体基材への付着によって、酵素の捕捉、およびさらなる処理サイクルにおける再利用が可能になるが、その酵素の安定性は、そのような用途が制限される恐れがあるほどである。ペニシリンGから6-APAへのPGAによる酵素触媒は、位置特異的(それはラクタムアミド結合を切断しない)かつ立体特異的である。6-APAの生成は、おそらく、医薬品の製造における酵素触媒の中で最も利用される。フェナセチル部分に関連するPGAの酵素活性は、第1級アミンならびにアルコールの数多くの様々なフェナセチル誘導体の立体特異的加水分解を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、操作されたペニシリンGアシラーゼ(PGA)酵素、それらの酵素をコードするポリヌクレオチド、それらの酵素を含む組成物、およびそれらの操作されたPGA酵素を使用する方法を提供する。
【0006】
本発明は、遊離インスリンのA1、B1またはB29位に保護基を付加するかまたはA1/B1/B29三保護インスリンから保護基を除去することによって、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成することができる操作されたペニシリンGアシラーゼを提供する。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288と少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはそれを超えて同一である。いくつかの実施形態において、本発明は、インスリンからA1、B1またはB29トリ-フェニルアセテート保護基を除去して、フェニルアセテートで二保護されたインスリンを生成することができる操作されたペニシリンGアシラーゼを提供し、ここで、そのペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのA1トリ-フェニルアセテート保護基を除去するが、いくつかのさらなる実施形態では、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのB1トリ-フェニルアセテート保護基を除去し、なおもさらなる実施形態では、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのB29トリ-フェニルアセテート保護基を除去する。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのA1、B1およびB29トリ-フェニルアセテート保護基を除去する。いくつかのさらなる実施形態において、操作されたペニシリンGアシラーゼは、配列番号2のポリペプチドによるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンの生成と比べて、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える、またはそれを超えて多い、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成する。
【0007】
いくつかのさらなる実施形態において、本発明は、インスリンからA1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を除去して、遊離インスリンを生成することができる操作されたペニシリンGアシラーゼを提供し、ここで、そのペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288を含む。いくつかのさらなる実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、表5.1、6.1、7.1、8.1、8.2、9,1、10.1、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6および/または12.7に提供されているようにペニシリンGバリアントに少なくとも1つの変異を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、表5.1、6.1、7.1、8.1、8.2、9,1、10.1、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6および/または12.7に示される少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一の配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼを提供する。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、表5.1、6.1、7.1、8.1、8.2、9,1、10.1、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6および/または12.7に提供されているバリアントを含む。
【0008】
本発明は、配列番号8と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、27、27;28;71;74;547、27;71;74;484;547;584;697、71;74、129、253、254、256、348、352、372、373、374、380、380;457、386;390、386;390、386、387;390、451、457、467、470、474、616、623、704、706および708から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号8を基準としてナンバリングされている。
【0009】
本発明は、配列番号14と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、9、9;103;119;131;233;312;324;432;444;494、9;103;119;131;324;432;494;646、9;103;119;131;233;269;304;444;494;646、9;103;119;131;304;324;432;444;494;646、9;103;119;233;646、9;103;119;494、9;103;233;312;646、9;103;233;432;646、9;103;233;494、9;103;269;304;324;494;646、9;103;304;432;444;646、9;119;131;233、9;119;131;233;304;444;646、9;119;131;233;494;646、9;119;131;233;494;661、9;119;131;312;444;646、9;119;131;432;444;646、9;119;233;269;273;304;312;432;444;646、9;119;233;494;646、9;119;304;444;494;646、9;131;233;269;273;312;432;444;646、9;233;273;304;494;646、9;233;304;494;646、9;233;312;432;646、9;233;494;646、9;312;444;646、9;432;444;494;646、9;494;646、28;374;380、103;119;131;233;273;304;324;432;444;494;646、103;119;131;233;304;312;432;494;646;661、103;119;131;269;312;494;646、103;119;233、103;119;233;273;432、103;119;233;304;646、103;119;233;312;646、103;119;494;646;661、103;119;646、103;131;233;304;324;444;646、103;131;269;273;444;646、103;233;273;312;324;432;444;646、103;233;273;312;432;444;646、103;269;273;444;646、103;273;304;324;444;494、103;312;444;646、103;444;494;646、119;131;444;646;661、119;131;494、119;131;646、119;131;304;432;444;646;661、119;131;444、119;233;304;312;324;432;444;646、119;233;304;646、119;233;312、119;233;646、119;269;273;312;324;494;646、119;269;273;312;432;444;646、119;273;324;444;494;646、119;312;444;646、119;432;444;646、129;254;348;457;704、129;348、129;348;467;470;704;708、129;348;470;623;704;706、129;348;470;623;704;706;708、129;380;470、129;457;470;474、129;470、129;623、131;233;273;646、131;233;304;444、131;233;432;646、131;273;432;444;494;646、185、233;269;304;312;324;432;444;646、253、253;256、253;256;352;373;374;616、253;256;352;374;380;451、253;256;374;451、253;256;380;451;616、253;352;374;616、253;352;451;616、253;373;451、253;374;451、253;374;451;623、253;451、253;451;457、253;254;352;374;380、253;256、253;256;352;374;451、253;256;352;380;451;616、253;256;352;451、253;256;352;374;380;451、253;256;352;380、253;256;373、253;256;374;616、253;256;380、253;256;380;451;546;616、253;352;373;374;451、253;352;373;374;451;616、253;352;374;616、253;352;623、253;373;374;451;616、253;380、254;255;352、254;256;352;451、254;256;373;374;380;451、254;256;374、254;256;374;451、254;256;451、254;352;380、254;256;380;451;616、254;352;380;451、254;352;451、254;373;374;380;451、254;373;374;451、254;374、254;374;380、254;380、254;451、254;616、256;352;374、256;352;380;451;616、256;374;380;451;616、256;374;616、273;312;444;646、304;312;444;646、312;444;646、312;646、348、348;372;470;623;708、348;704;708、352、352;373;374;451、352;373;380;451、352;373;380;451;616、352;373;451、352;374、352;374;380、352;374;380;451;616、352;374;451、352;374;616、352;380、352;380;451、352;380;451;616、352;380;451;623、352;380;616、352;451、352;451;616、352;616、372;457;470;623、373;374、373;374;451、373;451、373;616、374、374;380、374;380;451、374;380;451;623、374;451、374;451;616、374;616、374;623、380、380;451、380;451;616、380;451;623、380;616、380;616;623、380;623、415、443、444、444;494、444;646、451、451;616、451;623、457、457;470、457;704;708、470;708、492;493、517、560、616、623、723および748から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号14を基準としてナンバリングされている。
【0010】
本発明は、配列番号300と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、9;61;444、9;168;185;517;560;748、9;185;415、9;185;415;443;444;517;723;748、9;185;415;443;444;517;560、9;185;415;443;444;517;748、9;185;415;444;517;723;748、9;185;415;444;517;748、9;185;415;444;517;560、9;185;415;444;517;560;723;748、9;185;415;444、9;185;415;444;560、9;185;415;444;723;748、9;185;415;444;517;560;723;748、9;185;415;517;560、9;185;415;517;723、9;185;415;517;748、9;185;415;748、9;185;443;444;517;560、9;185;443;444;723、9;185;443;444;560;723、9;185;443;444;517、9;185;444、9;185;444;517;560、9;185;444;560;723、9;185;444;560;748、9;185;444;517;560、9;185;444;517;560;723、9;185;444;517;560;748、9;185;444;517;723;748、9;185;444;560、9;185;444;723、9;185;444;517;560;723、9;185;517、9;185;517;560;723;748、9;185;748、9;415;443;444;517;560、9;415;443;444;517;748、9;415;443;444;560;723;748、9;415;443;444;517;560、9;415;443;444;517;560;723、9;415;443;444;517;748、9;415;443;560、9;415;443;560;723;748、9;415;444、9;415;444;517;560;748、9;415;444;517、9;415;444;517;560;723;748、9;415;444;560;723;748、9;415;444;723;748、9;415;444;517、9;415;444;517;560;723;748、9;415;444;560;723、9;415;444;517、9;415;444;517;560;748、9;415;444;517、9;415;444;560、9;415;444;560、9;415;444;517;560;723、9;415;444;560、9;415;444;560;665;723;748、9;415;444;723;748、9;415;517、9;415;517;560;723;748、9;415;517;560;723;748、9;415;517;560;748、9;415;560、9;415;748、9;443;444;517;560;723、9;443;444;560、9;443;444;560;723;748、9;443;444;517、9;443;444;560;723、9;443;444;517、9;443;444;517;560、9;443;444;517;748、9;443;517;748、9;443;723、9;444;517;560、9;444;560;723、9;444;748、9;444;517;560;723;748、9;444;560、9;444;560;723、9;444;560;748、9;444;560;748、9;444;748、9;444;517;560;723;748、9;444;517、9;444;517;560;723、9;444;517;723、9;444;560;748、9;444;723、9;444、9;444;517;560、9;517、9;517;560;723、9;517;560;748、9;517;560;748、9;517;723、9;517;748、9;560;723;748、9;723、103、103;119、103;119;129;254;256;348;494;646、103;119;129;444;494、103;119;254;348、103;119;254;348;444、103;119;254;444、103;119;256;348;444;494;646、103;119;256;494、103;119;348、103;119;348;457、103;119;348;457;494、103;119;457、103;119;494、103;119;494;646、103;129、103;129;254;444;457;494、103;129;256;348、103;129;348;646、103;254、103;254;256;348;444;494、103;254;646、103;254;348、103;254;348;494、103;256、103;256;444、103;256;457、103;256;494、103;348、103;348;444、103;348;494、103;444、103;494、103;494;646、119;129;254;348;494、119;129;254;457;494、119;129;256;348;457、119;254;348;457、119;256;348119;256;348;494、119;256;444、119;348、119;348;494、185;415;443;444;517;560、185;415;443;444;517、185;415;444;517;560;748、185;415;444;517;748、185;415;444;560、185;415;560、185;415;560;723、185;415;723;748、185;443;444;560、185;444;446;517;560、185;444;517;560、185;444;517;560;723;748、185;444;517;723、185;444;560、185;517;560;723、185;560、185;560;723、185;560;748、254;457、256;348、256;494、348、348;444、348;444;646、348;457、348;494、415、415;443;444;517;748、415;443;444;560、415;443;517;560;723、415;443;517;723、415;444;723、415;444;517、415;444;517;560;723;748、415;444;517;560;748、415;444;560;723、415;444;517;560;723、415;444;517;723;748415;517;560;723;748、415;444;560、415;444;560;748、415;444、415;517、415;517;560、415;517;560;748、415;560;723、415;723;748、415;723;748、415;748、443;444;517;560;723;748、443;444;517;748、443;444、443;444;560、443;444;723、443;517、444、444;517;560、444;517;748、444;748、444;517;560;723;748、444;560;723、444;560、444;560;723、444;517、444;517;560、444;517;723;748、444;560;748、444;723、444;517;560、444;560;723、517;560、517;560;748、517;723、517;748、517;748、560、723および723;748から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号300を基準としてナンバリングされている。
【0011】
本発明は、配列番号1262と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、24、24;27;28;701;729、24;28;56;308;379;701、24;28;56;701、24;28;71;701、24;28;321;701、24;28;457;701、24;31;56;386;701、24;31、24;31;56;697、24;31;56;701、24;31;56;264;701;750、24;31;71;701、24;56;154;270;697、24;56;697;701、24;56;701、24;71;701、24;225;701、24;484;701、24;28、28;31、31;56;701、56;71;701、56;119;146;701、56;154;701、56;322;697;701、56;658;701、56;697;701、56;701、56;701;711、697、697;701、71;74、71;701、129;511;701、154;754、177、410;697;701、423;701、431、697および701から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号1262を基準としてナンバリングされている。
【0012】
本発明は、配列番号1288と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGシラーゼも提供し、22、31、31;56;264;308;379;484;547;711;750、32、50、57、69;74、71、71;74、71;74;129、71;74;145、71;74;248、71;74;470、71;149、75、141および394から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号1288を基準としてナンバリングされている。
【0013】
本発明は、配列番号1036と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、2、47、176、253、255、384、460、467、536および623から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号1036を基準としてナンバリングされている。
【0014】
本発明は、配列番号1194と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、12;103;119;131;233;384;444;494;S646、12;103;119;131;233;444;494;S646、12;103;119;233;384;444;494;S646、12;103;119;233;444;467;494;S646、12;103;119;233;444;494;536;S646、12;103;119;233;444;494;S646、12;103;131;233;444;467;494;S646、12;103;131;233;444;494;S646、12;103;233;444;494;S646、12;119;233;384;444;494;S646、28;264;384;467;484;536;547、103;119;131;233;384;444;494;S646、103;119;233;444;494;S646、103;233;444;494;S646、264;384;467;484;536;547、384;467;484;536;547および668から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号1194を基準としてナンバリングされている。
【0015】
本発明は、配列番号1288と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、20;709、27、27;74;253;254、27;74;253;254;255;348;369;370;381、27;74;253;254;255;348;370;384、27;74;253;254;255;369;370、27;74;253;254;255;370、27;74;253;254;255;370;381;384、27;74;253;254;255;381、27;74;253;254;348、27;74;253;254;384、27;74;253;255、27;74;253;255;348;370;384、27;74;253;255;348;381、27;74;253;255;348;384、27;74;253;348;369;370、27;74;253;348;369;370;381、27;74;253;348;369;370;381;384、27;74;253;348;370、27;74;253;381;384、27;74;253;384、27;74;254;255;348、27;74;254;255;348;369;370;381、27;74;254;255;348;370、27;74;254;255;348;381、27;74;254;255;381、27;74;254;348;381;384、27;74;254;369;370、27;74;255;348、27;74;255;348;369;370、27;74;255;348;369;381;384、27;74;255;370、27;74;348、27;74;369;370、27;74;107;255;348;369;370、27;74;253、27;74;253;254;255、27;74;253;254;255;348;370、27;74;253;254;348;369;370;381、27;74;253;254;348;369;384、27;74;253;254;348;370、27;74;253;254;348;370;381、27;74;253;254;369、27;74;253;254;370;381、27;74;253;255;348;369;370、27;74;253;255;370、27;74;253;348、27;74;253;348;370;381;384、27;74;253;369;381;384、27;74;254、27;74;254;255;348;369;381、27;74;254;255;348;370;381、27;74;254;255;369、27;74;254;348、27;74;254;348;369;381;384、27;74;254;348;370、27;74;254;348;370;381、27;74;254;384、27;74;255;348;370、27;74;348;384、27;74;253;254;255;348;369;370、27;74;253;254;348;369、27;74;253;254;348;369;370、27;74;253;254;348;370;381;384、27;74;253;254;348;381;384、27;74;253;370、27;74;254;255;348;369;370、27;74;254;255;348;381;384、27;74;370、27;74;253;254;255;348、27;74;253;255;348;370;381、27;74;253;255;384、27;74;253;348;369;370;384、27;74;253;348;381、27;74;254;255;348;369;384、27;74;254;255;348;370;381;384、27;74;254;255;370、27;74;254;348;381、27;74;254;369;384、27;74;255、27;74;255;348;369;381、27;74;348;370、27;74;369;370;381;384、27;253、27;253;254、27;253;254;255、27;253;254;255;260;348;381;384、27;253;254;255;348、27;253;254;255;348;369;370;381;384、27;253;254;255;348;369;384、27;253;254;255;348;370、27;253;254;255;348;370;384、27;253;254;255;348;381;384、27;253;254;348、27;253;254;348;370;381、27;253;254;348;370;384、27;253;254;348;381、27;253;254;348;381;384、27;253;254;348;384、27;253;254;381、27;253;254;381;384、27;253;254;384、27;253;255;348、27;253;255;348;369;370、27;253;255;348;381、27;253;255;348;384、27;253;255;370、27;253;255;370;381;384、27;253;348、27;253;348;370;381;384、27;253;348;370;384、27;253;348;381;384、27;253;369;370、27;253;381;384、27;254;255、27;254;255;348、27;254;255;348;369;370、27;254;255;348;370、27;254;255;348;370;381、27;254;255;348;370;381;384、27;254;255;348;370;384、27;254;255;369;370;381;384、27;254;255;370、27;254;255;381;384、27;254;255;384、27;254;348;369;370;381;384、27;254;348;370、27;254;348;381;384、27;254;348;384、27;254;369;381;384、27;254;449、27;254;470、27;255;348、27;255;348;370、27;255;348;370;381;384、27;255;348;381;384、27;255;370、27;348、27;348;369;370;381;384、27;348;381、27;348;384、69、74;253;254;369;370、74;254;255;348;384、84、128、131、132、133、134、253、253;348;370、254、255、255;348;370、256、317;380、348;467、370、373、377、381、381;672、383、384、388、453、457、467、472、615、616、618、619、620、623、627、701、705、706、708および709から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号1288を基準としてナンバリングされている。
【0016】
本発明は、配列番号1262と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼも提供し、24;31;56;701、24;31;56;701、24;31;71;701、24;56;701および71;74から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、これらの位置は、配列番号1262を基準としてナンバリングされている。
【0017】
本発明は、配列番号3~1901の奇数番号の配列に提供されている少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一の配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼを提供する。
【0018】
本発明はさらに、本明細書中に提供される少なくとも1つのペニシリンGアシラーゼを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、それらの組成物は、少なくとも1つの固定化されたペニシリンGアシラーゼを含む。
【0019】
本発明は、配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および/または1287から選択される配列に対して少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはそれを超える配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされるペニシリンGアシラーゼも提供する。いくつかの実施形態において、ペニシリンGアシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および/または1287から選択される配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、そのポリヌクレオチド配列は、配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および/または1287から選択される。いくつかの実施形態において、操作されたポリヌクレオチド配列は、配列番号3~1901の奇数番号の配列に提供されている少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一の配列を含む。
【0020】
本発明は、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列(例えば、配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および/または1287)を含むベクターも提供する。本発明は、本明細書中に提供されるベクター(例えば、配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および/または1287のポリヌクレオチド配列を含むベクター)を含む宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態において、それらのベクターは、配列番号3~1901の奇数番号の配列に提供されている少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一の配列を含む少なくとも1つの操作されたポリヌクレオチド配列を含む。
【0021】
本発明は、本明細書中に提供されるベクターを含む宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、原核細胞または真核細胞である。いくつかのさらなる実施形態において、宿主細胞は、細菌細胞である。いくつかのさらなる実施形態において、宿主細胞は、大腸菌である。
【0022】
本発明はさらに、本明細書中に提供される少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼを含む組成物を提供する。さらに、本発明は、本明細書中に提供される操作されたペニシリンGアシラーゼを生成するための方法を提供し、その方法は、本明細書中に提供される宿主細胞を、操作されたペニシリンGアシラーゼが産生されるような条件下で培養する工程を含む。いくつかの実施形態において、それらの方法は、産生された操作されたペニシリンGアシラーゼを回収する工程をさらに含む。
【0023】
本発明は、フェニルアセテートで保護されたインスリンを生成するための方法も提供し、その方法は、i)本明細書中に提供される少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または本明細書中に提供される少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼを含む組成物、ならびにA1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を含むインスリンまたは遊離インスリンを提供する工程;およびii)操作されたペニシリンGアシラーゼがA1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を除去し、かつ遊離インスリン、二保護されたインスリンまたは一保護されたインスリンが生成されるような条件下で、操作されたペニシリンGアシラーゼを、A1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を含むインスリンに曝露する工程;iii)操作されたペニシリンGアシラーゼがフェニルアセテート保護基を付加し、かつ三保護されたインスリン、二保護されたインスリンまたは一保護されたインスリンが生成されるような条件下で、操作されたペニシリンGアシラーゼをインスリンに曝露する工程を含む。それらの方法のいくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288と少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはそれを超えて同一である。それらの方法のいくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である。それらの方法のいくつかのさらなる実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288を含む。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4~1902に提供されている少なくとも1つの偶数番号の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である。いくつかの実施形態において、操作されたペニシリンGアシラーゼは、野生型ペニシリンGアシラーゼよりも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える、またはそれを超えて多い遊離インスリンを生成する。本発明は、本発明の方法を用いて生成される遊離インスリンを含む組成物も提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中に提供されるいずれかの方法に従って生成されるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを含む組成物を提供する。
【0024】
本発明は、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法も提供し、その方法は、i)少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または本明細書中に提供される少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼを含む組成物、ならびに遊離インスリンを提供する工程;およびii)操作されたペニシリンGアシラーゼが、A1、B1および/またはB29位をアシル化することによって、一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、操作されたペニシリンGアシラーゼをインスリンに曝露する工程を含む。いくつかの実施形態において、ペニシリン(pencillin)Gアシラーゼは、インスリンのA1位をアシル化し、他のいくつかの実施形態では、ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのB1位をアシル化し、なおもさらなる実施形態では、ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのB29位をアシル化する。いくつかの実施形態において、ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのA1、B1およびB29位をアシル化する。いくつかのさらなる実施形態において、操作されたペニシリンGアシラーゼは、配列番号2のポリペプチドによるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンの生成と比べて、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える、またはそれを超えて多い、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成する。いくつかのさらなる実施形態において、A1、B1および/またはB29をアシル化するために使用されるペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4~1902に提供されている少なくとも1つの偶数番号の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である。
【0025】
上記方法のいくつかのさらなる実施形態において、ペニシリンGアシラーゼは、表5.1、6.1、7.1、8.1、8.2、9,1、10.1、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6および/または12.7における少なくとも1つの配列に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有する配列を含む。上記方法のなおもさらなる実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、表5.1、6.1、7.1、8.1、8.2、9,1、10.1、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6および/または12.7のいずれかに示されている配列を含む。
【0026】
本発明は、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法も提供し、その方法は、i)請求項1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよびインスリンを提供する工程;およびii)操作されたペニシリンGアシラーゼが、A1、B1および/またはB29トリ-フェニルアセテート保護基をインスリンに付加することによって、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、操作されたペニシリンGアシラーゼをインスリンに曝露する工程を含む。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのA1トリ-フェニルアセテート保護基を付加し、いくつかのさらなる実施形態では、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのB1トリ-フェニルアセテート保護基を付加し、なおもさらなる実施形態では、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのB29トリ-フェニルアセテート保護基を付加する。いくつかのさらなる実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、インスリンのA1、B1およびB29トリ-フェニルアセテート保護基を付加する。いくつかの実施形態において、操作されたペニシリンGアシラーゼは、配列番号2のポリペプチドによるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンの生成と比べて、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える、またはそれを超えて多い、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成する。いくつかのさらなる実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、本ペニシリンGアシラーゼは、配列番号4~1902に提供されている少なくとも1つの偶数番号の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である。
【0027】
本発明は、本明細書中に提供される方法のいずれかに従って生成されるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを含む組成物も提供する。
【0028】
本発明はさらに、ペニシリンGアシラーゼが配列番号837、897、1219または1859を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、インスリンを定量するために用いられた分析方法のクロマトグラムおよびアシル化産物の溶出順を提供している。
【0030】
図2A図2は、実施例11に記載される実験の結果を提供している。
図2B】同上。
図2C】同上。
図2D】同上。
図2E】同上。
図2F】同上。
図2G】同上。
図2H】同上。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の説明
本発明は、ペニシリンをフェニル酢酸および6-アミノペニシラン酸(6-APA)(6-APAは、多種多様のβ-ラクタム抗生物質の合成における重要な中間体である)に切断することができる操作されたペニシリンGアシラーゼ(PGA)を提供する。特に、本発明は、遊離インスリンのA1、B1またはB29位に保護基を付加することによって、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成することができるか、またはA1/B1/B29で三保護されたインスリンから保護基を除去するかもしくはA1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を除去することにより遊離インスリンを放出することができる、操作されたPGAを提供する。
【0032】
一般に、天然に存在するPGAは、アルファサブユニットおよびベータサブユニットから構成されるヘテロ二量体の酵素である。野生型PGAは、周辺質への移行を媒介するN末端のシグナルペプチド、およびアルファサブユニットのC末端をベータサブユニットのN末端に接続するリンカー領域を含むプレプロPGAポリペプチドとして天然に合成される。タンパク分解性プロセシングによって、成熟したヘテロ二量体の酵素となる。分子間のリンカー領域は、この酵素の適切な折り畳みの促進においても機能し得る。本明細書中に提供されるPGAは、Kluyvera citrophila由来のPGAに基づき、これには、下記で詳細に説明されるような改善された酵素特性をもたらすように様々な改変が導入されている。
【0033】
本明細書中に提供される説明に対して、別段具体的に述べられていない限り、単数形の使用は、複数を含む(逆の場合も同じである)。例えば、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」および「含む(including」は、相互交換可能であり、限定することを意図していない。様々な実施形態の説明が、用語「含む」を使用する場合、当業者であれば、いくつかの具体的な場合において、実施形態が「~から本質的になる」または「~からなる」という言語を用いて代わりに説明され得ると理解するだろうとさらに理解されるべきである。
【0034】
図面を含む前述の全般的な説明と以下の詳細な説明は両方とも、単に例示的かつ説明的であって、本開示を限定しない。さらに、本明細書中で使用される項の見出しは、単に構成上の目的であって、説明される主題の限定として解釈されるべきでない。
【0035】
定義
本明細書中で使用されるとき、以下の用語は、以下の意味を有すると意図されている。
【0036】
本開示に関して、本明細書中の説明において使用される専門用語および科学用語は、別段明確に定義されない限り、当業者が通常理解している意味を有する。したがって、以下の用語は、以下の意味を有すると意図されている。本明細書中で言及されるすべての特許および刊行物は、そのような特許および刊行物内に開示されているすべての配列を含めて、参照により明確に援用される。別段示されない限り、本発明の実施は、分子生物学、発酵、微生物学および関連分野において通常使用される、当業者に公知の従来の手法を伴う。別段本明細書中で定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または等価な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が記載される。実際に、本明細書中に記載される特定の方法、プロトコルおよび試薬は、それらが使用されている文脈に応じて変化し得るので、本発明は、これらに限定されないと意図されている。本明細書中に提供される見出しは、本発明の様々な態様または実施形態の限定ではない。
【0037】
それにもかかわらず、本発明の理解を促すために、いくつかの用語が下記で定義される。数値範囲は、その範囲を定義している数字を含む。したがって、本明細書中に開示されるすべての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭い数値範囲がすべて、本明細書中に明確に記載されたかのように、そのようなより狭いすべての数値範囲を包含すると意図されている。本明細書中に開示されるすべての最大(または最小)の数値限界は、そのようなより低い(またはより高い)数値限界が本明細書中に明確に記載されたかのように、すべてのより低い(またはより高い)数値限界を含むことも意図されている。
【0038】
本明細書中で使用されるとき、用語「含む(comprising)」およびその同族言語は、それらの包括的意味で使用される(すなわち、用語「含む(including)」およびその対応する同族言語と等価である)。
【0039】
本明細書中および添付の請求項で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「宿主細胞」(a “host cell”)に対する言及は、複数のそのような宿主細胞を含む。
【0040】
別段示されない限り、核酸は、左から右に5’から3’の向きで記載され、アミノ酸配列は、左から右にアミノからカルボキシの向きで記載される。
【0041】
本明細書中に提供される見出しは、本明細書を全体として参照することによって有され得る本発明の様々な態様または実施形態の限定ではない。したがって、下記で定義される用語は、本明細書を全体として参照することによって、より完全に定義される。
【0042】
本明細書中で使用されるとき、用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリストイル化(myristilation)、ユビキチン化など)を問わず、アミド結合によって共有結合的に連結された少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを表すために本明細書中で交換可能に使用される。D-アミノ酸およびL-アミノ酸、ならびにD-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物が、この定義に含められる。
【0043】
本明細書中で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」および「核酸」とは、共に共有結合的に連結された2つまたはそれを超えるヌクレオシドのことを指す。ポリヌクレオチドは、全体的にリボヌクレオシドを含み得る(すなわち、RNA)か、全体的に2’デオキシリボヌクレオチドを含み得る(すなわち、DNA)か、またはリボヌクレオシドと2’デオキシリボヌクレオシドとの混合物を含み得る。ヌクレオシドは、通常、標準的なホスホジエステル結合を介して共に連結されるが、ポリヌクレオチドは、1つまたはそれを超える非標準の結合を含み得る。ポリヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または一本鎖領域と二本鎖領域の両方を含み得る。さらに、ポリヌクレオチドは、通常、天然に存在するコード核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミンおよびシトシン)から構成されるが、1つまたはそれを超える改変されたかつ/または合成の核酸塩基(例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなど)を含み得る。好ましくは、そのような改変されたまたは合成の核酸塩基は、コード核酸塩基であり得る。
【0044】
本明細書中で使用されるとき、「ハイブリダイゼーションストリンジェンシー」は、核酸のハイブリダイゼーションにおける洗浄条件などのハイブリダイゼーション条件に関する。一般に、ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシーの条件下で行われた後、様々なより高いストリンジェンシーの洗浄を行う。用語「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」とは、標的DNAが、標的DNAに対して約60%の同一性、好ましくは、約75%の同一性、約85%の同一性;標的ポリヌクレオチドに対して約90%超の同一性を有する相補的な核酸に結合できるようにする条件のことを指す。例示的な中程度にストリンジェントな条件は、42℃の50%ホルムアミド、5×Denhart’s溶液、5×SSPE、0.2%SDSにおけるハイブリダイゼーションの後、42℃の0.2×SSPE、0.2%SDSで洗浄するのと等価な条件である。「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」とは、規定のポリヌクレオチド配列に対して溶液条件下で測定されたとき、熱融解温度Tから約10℃またはそれより低い条件のことを広く指す。いくつかの実施形態において、高ストリンジェンシー条件とは、65℃の0.018M NaCl中で安定なハイブリッドを形成するそれらの核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件のことを指す(すなわち、ハイブリッドが、65℃の0.018M NaCl中において安定でない場合、それは、本明細書中で企図されるとき、高ストリンジェンシー条件下で安定でない)。高ストリンジェンシー条件は、例えば、42℃の50%ホルムアミド、5×Denhart’s溶液、5×SSPE、0.2%SDSと等価な条件におけるハイブリダイゼーションの後、65℃の0.1×SSPEおよび0.1%SDSでの洗浄によって提供され得る。別の高ストリンジェンシー条件は、65℃の0.1%(w:v)SDSを含む5×SSC中でのハイブリダイズおよび65℃の0.1%SDSを含む0.1×SSC中での洗浄と等価な条件におけるハイブリダイズである。他の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、ならびに中程度にストリンジェントな条件は、当業者に公知である。
【0045】
本明細書中で使用されるとき、「コード配列」とは、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の一部のことを指す。
【0046】
本明細書中で使用されるとき、「コドン最適化」とは、コードされるタンパク質が、特定の生物において効率的に発現されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンをその目的の生物において優先的に使用されるコドンに変更することを指す。いくつかの実施形態において、PGA酵素をコードするポリヌクレオチドは、発現のために選択された宿主生物から最適に生成されるようにコドン最適化され得る。遺伝暗号は、ほとんどのアミノ酸が、「同義語」コドンまたは「同義」コドンと呼ばれるいくつかのコドンによって表されるという点において縮重しているが、特定の生物によるコドン使用頻度は、ランダムではなく、特定のコドントリプレットに偏っていることが周知である。このコドン使用頻度の偏りは、低コピー数のタンパク質、およびある生物のゲノムのタンパク質コード領域が集まっている領域と比較して、所与の遺伝子、共通の機能または先祖起源の遺伝子、高度に発現されるタンパク質に関して、より高いことがある。いくつかの実施形態において、PGA酵素をコードするポリヌクレオチドは、発現のために選択された宿主生物から最適に生成されるようにコドン最適化され得る。
【0047】
本明細書中で使用されるとき、「好ましい最適な高コドン使用頻度バイアスコドン」とは、タンパク質コード領域において、同じアミノ酸をコードする他のコドンよりも高頻度で使用されるコドンのことを交換可能に指す。好ましいコドンは、単一の遺伝子、共通の機能または起源の遺伝子セット、高度に発現される遺伝子におけるコドン使用頻度、全生物のタンパク質コード領域が集まっている領域におけるコドン頻度、関連する生物のタンパク質コード領域が集まっている領域におけるコドン頻度、またはそれらの組み合わせに関して決定され得る。遺伝子の発現レベルとともに頻度が上昇するコドンは、通常、発現にとって最適なコドンである。特定の生物においてコドン頻度(例えば、コドン使用頻度、相対的な同義コドン使用頻度)およびコドン優先度を測定するための種々の方法が知られており、それらとしては、多変量解析、例えば、クラスター解析または対応分析を用いる多変量解析が挙げられ、また、遺伝子において使用されるコドンの有効な数を測定するための種々の方法も知られている(例えば、GCG CodonPreference,Genetics Computer Group Wisconsin Package;CodonW,John Peden,University of Nottingham;McInerney,Bioinform.,14:372-73[1998];Stenicoら、Nucleic Acids Res.,222:437-46[1994];およびWright,Gene 87:23-29[1990]を参照のこと)。コドン使用頻度表は、広がりつつある生物一覧で入手可能である(例えば、Wadaら、Nucleic Acids Res.,20:2111-2118[1992];Nakamuraら、Nucl.Acids Res.,28:292[2000];Duretら、前出;Henaut and Danchin,“Escherichia coli and Salmonella,”Neidhardtら(編),ASM Press,Washington D.C.,[1996],p.2047-2066を参照のこと。コドン使用頻度を得るためのデータソースは、タンパク質をコードすることができる任意の利用可能なヌクレオチド配列に依存している場合がある。これらのデータセットは、発現されるタンパク質をコードすると実際に判明している核酸配列(例えば、完全なタンパク質コード配列-CDS)、発現配列タグ(ESTS)、またはゲノム配列の予測されるコード領域を含む(例えば、Uberbacher,Meth.Enzymol.,266:259-281[1996];Tiwariら、Comput.Appl.Biosci.,13:263-270[1997]を参照のこと)。
【0048】
本明細書中で使用されるとき、「調節配列」は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現に必要または有益であるすべての構成要素を含むと本明細書中で定義される。各調節配列は、目的のポリヌクレオチドにとって天然または外来のものであり得る。そのような調節配列としては、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列および転写ターミネーターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
本明細書中で使用されるとき、「作動可能に連結された」は、調節配列が、目的のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を指示または制御するように、その調節配列が、目的のポリヌクレオチドを基準としたある位置に適切に(すなわち、機能的な関係性で)置かれる配置として本明細書中で定義される。
【0050】
本明細書中で使用されるとき、「プロモーター配列」とは、コード配列などの目的のポリヌクレオチドの発現のために、宿主細胞によって認識される核酸配列のことを指す。調節配列は、適切なプロモーター配列を含み得る。プロモーター配列は、目的のポリヌクレオチドの発現を媒介する転写調節配列を含む。プロモーターは、変異プロモーター、切断型プロモーターおよびハイブリッドプロモーターをはじめとした、選ばれた宿主細胞において転写活性を示す任意の核酸配列であってよく、宿主細胞に対して相同または異種の細胞外または細胞内のポリペプチドをコードする遺伝子から得てよい。
【0051】
本明細書中で使用されるとき、「天然に存在する」または「野生型」とは、天然で見られる形態のことを指す。例えば、天然に存在するまたは野生型のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然における起源から単離することができ、ヒトの操作によって意図的に改変されていない、生物の中に存在する配列である。
【0052】
本明細書中で使用されるとき、「天然に存在しない」、「操作された」および「組換え」は、(例えば、細胞、核酸またはポリペプチド)に関して本開示において使用されるとき、天然では存在しない様式で改変された材料、またはその材料の天然(natural)もしく天然(native)の形態に対応する材料のことを指す。いくつかの実施形態において、その材料は、天然に存在する材料と同一であるが、合成の材料から生成されるかもしくは合成の材料に由来し、かつ/または組換え手法を用いる操作によって生成されるかもしくは組換え手法に由来する。非限定的な例としては、とりわけ、天然(非組換え)の形態の細胞では見られない遺伝子を発現する組換え細胞、または異なるレベルで別途発現される天然の遺伝子を発現する組換え細胞が挙げられる。
【0053】
本明細書中で使用されるとき、「配列同一性のパーセンテージ」、「同一性パーセント」および「同一パーセント」は、ポリヌクレオチド配列間またはポリペプチド配列間の比較のことを指し、最適にアラインメントされた2つの配列を比較ウィンドウにわたって比較することによって測定され、ここで、その比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、それらの2つの配列を最適にアラインメントするために、参照配列と比べて付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数、または核酸塩基もしくはアミノ酸残基がギャップとアラインメントされた位置の数を測定して、マッチした位置の数を得て、そのマッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、その結果に100を乗算することにより、配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。最適なアラインメントおよび配列同一性パーセントの測定は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズム(例えば、Altschulら、J.Mol.Biol.215:403-410[1990];およびAltschulら、Nucl.Acids Res.3389-3402[1977]を参照のこと)を用いて行われる。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを通じて公的に入手可能である。
【0054】
簡潔には、BLAST解析は、まず、データベース配列における長さWのワードとアラインメントされたとき、正値の閾値スコアTにマッチするかまたはそれを満たす、クエリー配列内の同じ長さの短いワードを特定することによって、高スコア配列対(high scoring sequence pairs)(HSP)を特定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値(Altschulら、前出)と称される。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして働く。次いで、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、それらのワードヒットを、各配列に沿って両方向に伸長する。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(マッチする残基対に対する報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチの残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列の場合、スコア行列を用いて、累積スコアが計算される。各方向におけるワードヒットの伸長は、累積アラインメントスコアが、達成された最大値から量Xだけ低下したとき;累積スコアが、1つまたはそれを超える負のスコアの残基アラインメントの蓄積に起因して0またはそれ未満になったとき;またはいずれかの配列の末端に到達したとき、停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、11というワード長(W)、10という期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、3というワード長(W)、10という期待値(E)およびBLOSUM62スコア行列(例えば、Henikoff and Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915[1989]を参照のこと)をデフォルトとして使用する。
【0055】
2つの配列に対する同一性パーセントを提供する際にBLASTと同様に機能する数多くの他のアルゴリズムも利用可能であり、当該分野で公知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、当該分野で公知の任意の好適な方法(例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482[1981]のローカルホモロジーアルゴリズム;Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443[1970]のホモロジーアラインメントアルゴリズム;Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444[1988]の類似性検索法;および/またはこれらのアルゴリズム[GCG WisconsinソフトウェアパッケージにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA]のコンピュータによる実行)を用いて、または当該分野で一般に公知の方法を用いる目視検査によって、行われ得る。さらに、配列アラインメントおよび配列同一性パーセントの測定は、GCG Wisconsinソフトウェアパッケージ(Accelrys,Madison WI)におけるBESTFITまたはGAPプログラムを、提供されているデフォルトのパラメータを使用して用いることができる。
【0056】
本明細書中で使用されるとき、「実質的な同一性」とは、少なくとも20残基位置の比較ウィンドウにわたって、頻繁には、少なくとも30~50残基のウィンドウにわたって参照配列と比べて、少なくとも80パーセントの配列同一性、少なくとも85パーセントの同一性および89~95パーセントの配列同一性、より一般的には、少なくとも99パーセントの配列同一性を有するポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のことを指し、ここで、その配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウにわたって欠失または付加が総計で参照配列の20パーセントまたはそれ未満となる欠失または付加を含む配列と参照配列を比較することによって計算される。ポリペプチドに適用される特定の実施形態において、用語「実質的な同一性」は、2つのポリペプチド配列が、デフォルトのギャップウェイトを用いるプログラムGAPまたはBESTFITなどによって最適にアラインメントされたとき、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは、少なくとも89パーセントの配列同一性、少なくとも95パーセントの配列同一性またはそれを超える配列同一性(例えば、99パーセントの配列同一性)を共有することを意味する。いくつかの好ましい実施形態において、同一でない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0057】
本明細書中で使用されるとき、「参照配列」とは、別の配列と比較される規定の配列のことを指す。参照配列は、より大きな配列のサブセット、例えば、完全長の遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントであり得る。一般に、参照配列は、少なくとも20ヌクレオチド長またはアミノ酸残基長、少なくとも25残基長、少なくとも50残基長、または完全長の核酸もしくはポリペプチドである。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、各々、(1)それらの2つの配列の間で類似の配列(すなわち、完全な配列の一部)を含み得、(2)それらの2つの配列の間で互いに異なる配列をさらに含み得るので、2つ(またはそれを超える)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列比較は、通常、それらの2つのポリヌクレオチドの配列を比較ウィンドウにわたって比較して、配列が類似する局所領域を特定し、比較することによって行われる。用語「参照配列」は、野生型配列に限定されないと意図されており、操作または変更された配列を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、「参照配列」は、予め操作または変更されたアミノ酸配列であり得る。
【0058】
本明細書中で使用されるとき、「比較ウィンドウ」とは、少なくとも約20個連続したヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念的なセグメントのことを指し、ここで、ある配列が、少なくとも20個連続したヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較され得、その比較ウィンドウ内のその配列の一部は、それらの2つの配列を最適にアラインメントするために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比べて20パーセントまたはそれ未満の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較ウィンドウは、20個連続した残基より長い場合があり、必要に応じて、30、40、50、100またはそれより長いウィンドウを含む。
【0059】
本明細書中で使用されるとき、「~に対応する」、「~を基準として」および「~に対する」は、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列のナンバリングの文脈において使用されるとき、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を参照配列と比較したときの、特定の参照配列の残基のナンバリングのことを指す。換言すれば、所与のポリマーの残基番号または残基位置は、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列における残基の実際の数値的な位置ではなく、参照配列を基準にして指摘される。例えば、所与のアミノ酸配列(例えば、操作されたPGAのアミノ酸配列)は、その所与のアミノ酸配列と参照配列との間の残基のマッチを最適化するためにギャップを導入することによって、参照配列とアラインメントされ得る。これらの場合、ギャップが存在するが、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列における残基のナンバリングは、アラインメントされた参照配列を基準にして行われる。本明細書中で使用されるとき、下記でさらに説明されるように、「Xn」などの残基位置に対する言及は、別段明確に述べられない限り、「~に対応する残基」に対して言及していると解釈されるべきである。したがって、例えば、「X94」とは、ポリペプチド配列における94位の任意のアミノ酸のことを指す。
【0060】
本明細書中で使用されるとき、「改善された酵素特性」とは、参照PGAと比べて、任意の酵素特性に改善を示すPGAのことを指す。本明細書中に記載される操作されたPGAポリペプチドの場合、比較は、通常、野生型PGA酵素に対して行われるが、いくつかの実施形態において、参照PGAは、別の改善された操作されたPGAであり得る。改善が望ましい酵素特性としては、酵素活性(特定の量のPGAを用いたときの特定の反応時間における基質の変換パーセントに関して表現され得る)、化学選択性、熱安定性、溶媒安定性、pH活性プロファイル、補因子の必要性、阻害剤(例えば、生成物阻害)に対する不応性、立体特異性および立体選択性(エナンチオ選択性を含む)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
本明細書中で使用されるとき、「増加した酵素活性」とは、参照PGA酵素と比べたときの、特定の活性(例えば、生成される生成物/時間/タンパク質重量)の増加または基質から生成物への変換パーセントの上昇(例えば、特定の量のPGAを用いたときの特定の時間における、出発量の基質から生成物への変換パーセント)によって表され得る、操作されたPGAポリペプチドの改善された特性のことを指す。酵素活性を測定する例示的な方法は、実施例に提供される。K、Vmaxまたはkcatといった従来の酵素特性(その変化は酵素活性の増加をもたらし得る)をはじめとした、酵素活性に関する任意の特性が影響を受け得る。酵素活性の改善は、天然に存在するPGA、または本PGAポリペプチドが由来した別の操作されたPGAよりも、対応する野生型PGA酵素の酵素活性の約1.5倍から、2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍またはそれを超えて高い酵素活性であり得る。特定の実施形態において、操作されたPGA酵素は、親PGA酵素よりも1.5~50倍、1.5~100倍高いという範囲の改善された酵素活性を示す。任意の酵素の活性は、触媒代謝回転速度が、任意の必要とされる補因子を含む基質の拡散速度を超えることができないような限定的な拡散であることが、当業者によって理解される。拡散限界、すなわちkcat/Kの理論上の最大値は、通常、約10~10(M-1-1)である。ゆえに、PGAの酵素活性の任意の改善が、PGA酵素が作用する基質の拡散速度に関する上限を有する。PGA活性は、ペニシリンGの切断時のフェニル酢酸の放出を計測するために用いられる標準的なアッセイ(例えば、滴定)のいずれか1つによって計測され得る(例えば、Simons and Gibson,Biotechnol.Tech.,13:365-367[1999]を参照のこと)。いくつかの実施形態において、PGA活性は、切断産物である5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸が分光光度的に検出可能である(λmax=405nm)6-ニトロフェニルアセトアミド安息香酸(NIPAB)を使用することによって計測され得る。酵素活性の比較は、本明細書中で詳細にさらに説明されるように、規定の酵素調製物、あるセット条件下での規定のアッセイおよび1つまたはそれを超える規定の基質を用いて行われる。通常、溶解産物が比較されるとき、宿主細胞によって産生される酵素の量および溶解産物中に存在する酵素の量のばらつきを最小限にするために、アッセイされる細胞の数およびタンパク質の量が、決定され、ならびに同一の発現系および同一の宿主細胞が使用される。
【0062】
本明細書中で使用されるとき、「増加した酵素活性」および「増加した活性」とは、本明細書中に記載されるような参照酵素と比べたときの、特定の活性(例えば、生成される生成物/時間/タンパク質重量)の増加または基質から生成物への変換パーセントの上昇(例えば、特定の量のPGAを用いたときの特定の時間における、出発量の基質から生成物への変換パーセント)によって表され得る、操作された酵素の改善された特性のことを指す。K、Vmaxまたはkcatといった従来の酵素特性(その変化は酵素活性の増加をもたらし得る)をはじめとした、酵素活性に関する任意の特性が影響を受け得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されるPGA酵素は、インスリンの特定の残基からトリ-フェニルアセテート保護基を除去することによって、インスリンを遊離する。酵素活性の比較は、本明細書中で詳細にさらに説明されるように、規定の酵素調製物、あるセット条件下での規定のアッセイおよび1つまたはそれを超える規定の基質を用いて行われる。通常、細胞溶解産物中の酵素が比較されるとき、宿主細胞によって産生される酵素の量および溶解産物中に存在する酵素の量のばらつきを最小限にするために、アッセイされる細胞の数およびタンパク質の量が決定され、ならびに同一の発現系および同一の宿主細胞が使用される。
【0063】
本明細書中で使用されるとき、「変換」とは、基質から対応する生成物への酵素による変換のことを指す。
【0064】
本明細書中で使用されるとき、「変換パーセント」とは、特定の条件下においてある時間内に生成物に変換される基質のパーセントのことを指す。したがって、例えば、PGAポリペプチドの「酵素活性」または「活性」は、基質から生成物への「変換パーセント」として表現され得る。
【0065】
本明細書中で使用されるとき、「化学選択性」とは、化学反応または酵素反応において、1つの生成物が別の生成物よりも優先的に形成されることを指す。
【0066】
本明細書中で使用されるとき、「熱安定性」および「耐熱性」は、ある時間(例えば、0.5~24時間)にわたって一連の温度条件(例えば、40~80℃)に曝露されたとき、無処理の酵素と比べて不活性化に対して抵抗性であるがゆえに、高温に曝露された後にある特定のレベルの残留活性(例えば、60%超から80%)を保持するポリペプチドのことを指すために交換可能に使用される。
【0067】
本明細書中で使用されるとき、「溶媒安定性」とは、ある時間(例えば、0.5~24時間)にわたって様々な濃度(例えば、5~99%)の溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、メチルtert-ブチルエーテルなど)に曝露された後、無処理の酵素と比べて同様の活性(例えば、60%~80%を超える)をポリペプチドが維持する能力のことを指す。
【0068】
本明細書中で使用されるとき、「pH安定性」とは、ある時間(例えば、0.5~24時間)にわたって高いまたは低いpH(例えば、4.5~6または8~12)に曝露された後、無処理の酵素と比べて同様の活性(例えば、60%~80%を超える)を維持するPGAポリペプチドのことを指す。
【0069】
本明細書中で使用されるとき、「熱および溶媒安定性」とは、熱安定性と溶媒安定性の両方であるPGAポリペプチドのことを指す。
【0070】
本明細書中で使用されるとき、「親水性アミノ酸または残基」とは、Eisenbergらの正規化されたコンセンサス疎水性スケール(Eisenbergら、J.Mol.Biol.,179:125-142[1984])によるところの0未満の疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基のことを指す。遺伝的にコードされる親水性アミノ酸としては、L-Thr(T)、L-Ser(S)、L-His(H)、L-Glu(E)、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Asp(D)、L-Lys(K)およびL-Arg(R)が挙げられる。
【0071】
本明細書中で使用されるとき、「酸性アミノ酸または残基」とは、そのアミノ酸がペプチドまたはポリペプチドの中に含められているとき約6未満のpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基のことを指す。酸性アミノ酸は、代表的には、水素イオンの喪失に起因して、生理学的pHにおいて負に帯電した側鎖を有する。遺伝的にコードされる酸性アミノ酸としては、L-Glu(E)およびL-Asp(D)が挙げられる。
【0072】
本明細書中で使用されるとき、「塩基性アミノ酸または残基」とは、そのアミノ酸がペプチドまたはポリペプチドの中に含められているとき約6を超えるpK値を示す側鎖を有する親水性アミノ酸または残基のことを指す。塩基性アミノ酸は、代表的には、ヒドロニウムイオンとの会合に起因して、生理学的pHにおいて正に帯電した側鎖を有する。遺伝的にコードされる塩基性アミノ酸としては、L-Arg(R)およびL-Lys(K)が挙げられる。
【0073】
本明細書中で使用されるとき、「極性アミノ酸または残基」とは、生理学的pHにおいて無電荷である側鎖を有するが、2つの原子が共通して共有する電子対がそれらの原子のうちの一方によってより密接に保持されている少なくとも1つの結合を有する、親水性アミノ酸または残基のことを指す。遺伝的にコードされる極性アミノ酸としては、L-Asn(N)、L-Gln(Q)、L-Ser(S)およびL-Thr(T)が挙げられる。
【0074】
本明細書中で使用されるとき、「疎水性アミノ酸または残基」とは、Eisenbergらの正規化されたコンセンサス疎水性スケール(Eisenbergら、J.Mol.Biol.,179:125-142[1984])によるところの0を超える疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基のことを指す。遺伝的にコードされる疎水性アミノ酸としては、L-Pro(P)、L-Ile(I)、L-Phe(F)、L-Val(V)、L-Leu(L)、L-Trp(W)、L-Met(M)、L-Ala(A)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
【0075】
本明細書中で使用されるとき、「芳香族アミノ酸または残基」とは、少なくとも1つの芳香族環または芳香族複素環を含む側鎖を有する親水性または疎水性のアミノ酸または残基のことを指す。遺伝的にコードされる芳香族アミノ酸としては、L-Phe(F)、L-Tyr(Y)およびL-Trp(W)が挙げられる。L-His(H)は、その複素環式芳香族窒素原子のpKaのせいで、時折、塩基性残基として分類されるか、またはその側鎖が芳香族複素環を含むので芳香族残基として分類されるが、本明細書中のヒスチジンは、親水性残基または「拘束(constrained)残基」(下記を参照のこと)として分類される。
【0076】
本明細書中で使用されるとき、「拘束アミノ酸または残基」とは、拘束された配置を有するアミノ酸または残基のことを指す。本明細書中において、拘束残基としては、L-Pro(P)およびL-His(H)が挙げられる。ヒスチジンは、比較的小さいイミダゾール環を有するので、拘束された配置を有する。また、プロリンは、5員環を有するので、拘束された配置を有する。
【0077】
本明細書中で使用されるとき、「非極性アミノ酸または残基」とは、生理学的pHにおいて無電荷であり、2つの原子が共通して共有する電子対が通常それらの2つの原子の各々によって等しく保持されている結合を有する側鎖を有する(すなわち側鎖が極性でない)疎水性アミノ酸または残基のことを指す。遺伝的にコードされる非極性アミノ酸としては、L-Gly(G)、L-Leu(L)、L-Val(V)、L-Ile(I)、L-Met(M)およびL-Ala(A)が挙げられる。
【0078】
本明細書中で使用されるとき、「脂肪族アミノ酸または残基」とは、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸または残基のことを指す。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Leu(L)およびL-Ile(I)が挙げられる。
【0079】
システイン(または「L-Cys」もしくは「[C]」)は、他のL-Cys(C)アミノ酸または他のスルファニル含有アミノ酸もしくはスルフヒドリル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成し得るという点において普通でないことに注意する。「システイン様残基」には、システイン、およびジスルフィド架橋の形成に利用可能なスルフヒドリル部分を含む他のアミノ酸が含まれる。L-Cys(C)(および-SH含有側鎖を有する他のアミノ酸)が、還元された遊離-SHまたは酸化されたジスルフィド架橋型のいずれかとしてペプチドの中に存在できることは、L-Cys(C)が、ペプチドに対して正味の疎水性または親水性の特質を付与するか否かに影響する。L-Cys(C)が、Eisenbergの正規化されたコンセンサススケール(Eisenbergら、1984,前出)によるところの0.29という疎水性を示す場合、本開示の目的で、L-Cys(C)は、それ自体のユニークな群にカテゴリー化されると理解されるべきである。
【0080】
本明細書中で使用されるとき、「小さいアミノ酸または残基」とは、合計3つまたはそれより少ない炭素および/またはヘテロ原子(α-炭素および水素を除く)から構成される側鎖を有するアミノ酸または残基のことを指す。小さいアミノ酸または残基は、上記の定義に従って、脂肪族、非極性、極性または酸性の小さいアミノ酸または残基としてさらにカテゴリー化され得る。遺伝的にコードされる小さいアミノ酸としては、L-Ala(A)、L-Val(V)、L-Cys(C)、L-Asn(N)、L-Ser(S)、L-Thr(T)およびL-Asp(D)が挙げられる。
【0081】
本明細書中で使用されるとき、「ヒドロキシル含有アミノ酸または残基」とは、ヒドロキシル(-OH)部分を含むアミノ酸のことを指す。遺伝的にコードされるヒドロキシル含有アミノ酸としては、L-Ser(S)L-Thr(T)およびL-Tyr(Y)が挙げられる。
【0082】
本明細書中で使用されるとき、「アミノ酸相違」および「残基相違」とは、参照配列中の対応する位置におけるアミノ酸残基と比べたときの、あるポリペプチド配列のある位置におけるアミノ酸残基の相違のことを指す。アミノ酸相違の位置は、通常、「Xn」(ここで、nは、その残基相違が基づく参照配列中の対応する位置のことを指す)として本明細書中で称される。例えば、「配列番号2と比べたときのX40位における残基相違」とは、配列番号2の40位に対応するポリペプチド位置におけるアミノ酸残基の相違のことを指す。したがって、配列番号2の参照ポリペプチドが、40位にヒスチジンを有する場合、「配列番号2と比べたときのX40位における残基相違」とは、配列番号2の40位に対応するポリペプチドの位置におけるヒスチジン以外の任意の残基のアミノ酸置換のことを指す。本明細書中のほとんどの場合において、ある位置における特定のアミノ酸残基相違は、「XnY」(ここで、「Xn」は、上に記載されたように対応する位置を特定し、「Y」は、操作されたポリペプチドに見られるアミノ酸の一文字識別子(すなわち、参照ポリペプチドと異なる残基)である)として示される。いくつかの場合において、本開示は、従来の表示法「AnB」(ここで、Aは、参照配列における当該残基の一文字識別子であり、「n」は、参照配列における当該残基の位置の番号であり、Bは、操作されたポリペプチドの配列における残基置換の一文字識別子である)によって表される特定のアミノ酸相違も提供する。いくつかの場合、本開示のポリペプチドは、参照配列と比べて残基相違が存在する特定の位置のリストによって示される、参照配列と比べて1つまたはそれを超えるアミノ酸残基相違を含み得る。いくつかの実施形態において、1種より多いアミノ酸が、あるポリペプチドの特定の残基位置において使用され得る場合、使用され得る様々なアミノ酸残基は、「/」によって区切られる(例えば、X192A/G)。いくつかの実施形態において、置換セットにおける置換は、セミコロン(「;」)またはスラッシュ(「/」)によって区切られる(例えば、以下の置換セットを有するバリアントPGAの場合--配列番号8と比べてY27T;G71H;D74G;D484N;Q547K;Y584F;M697L)。本開示は、保存的アミノ酸置換および非保存的アミノ酸置換のいずれか/または両方を含む1つまたはそれを超えるアミノ酸相違を含む操作されたポリペプチド配列を含む。本開示の配列表に含まれる特定の組換え炭酸脱水酵素ポリペプチドのアミノ酸配列は、開始メチオニン(M)残基を含む(すなわち、Mは、1位の残基である)。しかしながら、当業者は、この開始メチオニン残基が、生物学的プロセシング機構(例えば、宿主細胞またはインビトロ翻訳系において)によって除去されて、開始メチオニン残基を欠く成熟タンパク質を生成し得るが、その酵素の特性を保持することを理解する。その結果として、用語「配列番号2と比べたときのXn位におけるアミノ酸残基相違」は、本明細書中で使用されるとき、開始メチオニンを欠くようにプロセシングされた参照配列における「Xn」位または対応する位置(例えば、(X-1)n位)のことを指し得る。
【0083】
本明細書中で使用されるとき、句「保存的アミノ酸置換」とは、同様の側鎖を有する残基の互換性のことを指し、ゆえに、代表的には、同じまたは同様の定義されたクラスのアミノ酸内のアミノ酸によるポリペプチド中のアミノ酸の置換を含む。例としてであって、限定されないが、いくつかの実施形態において、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン)で置換され;ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セリンおよびトレオニン)で置換され;芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびヒスチジン)で置換され;塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、リジンおよびアルギニン)で置換され;酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)で置換され;かつ/または疎水性アミノ酸もしくは親水性アミノ酸は、それぞれ別の疎水性アミノ酸もしくは親水性アミノ酸で置換される。例示的な保存的置換を表1に提供する。
【表1】
【0084】
本明細書中で使用されるとき、句「非保存的置換」とは、有意に異なる側鎖特性を有するアミノ酸によるポリペプチド中のアミノ酸の置換のことを指す。非保存的置換は、定義された群の中のアミノ酸ではなく、定義された群の間のアミノ酸を使用し得、(a)その置換の領域におけるペプチド骨格の構造(例えば、グリシンの場合、プロリン)(b)電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさ高さに影響する。例としてであって、限定されないが、例示的な非保存的置換は、塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸で置換された酸性アミノ酸;小さいアミノ酸で置換された芳香族アミノ酸;および疎水性アミノ酸で置換された親水性アミノ酸であり得る。
【0085】
本明細書中で使用されるとき、「欠失」とは、参照ポリペプチドから1つまたはそれを超えるアミノ酸を除去することによるポリペプチドの改変のことを指す。欠失は、操作された酵素の酵素活性を保持しつつかつ/または改善された特性を保持しつつ、1つもしくはそれを超えるアミノ酸、2つもしくはそれを超えるアミノ酸、5つもしくはそれを超えるアミノ酸、10個もしくはそれを超えるアミノ酸、15個もしくはそれを超えるアミノ酸または20個もしくはそれを超えるアミノ酸、ポリペプチドを構成しているアミノ酸の総数の10%までまたはアミノ酸の総数の20%までの除去を含み得る。欠失は、ポリペプチドの内部の部分および/または末端の部分を対象とし得る。様々な実施形態において、欠失は、連続したセグメントを含み得るか、または不連続であり得る。
【0086】
本明細書中で使用されるとき、「挿入」とは、参照ポリペプチドに1つまたはそれを超えるアミノ酸を付加することによるポリペプチドの改変のことを指す。いくつかの実施形態において、改善された操作されたPGA酵素は、天然に存在するPGAポリペプチドへの1つまたはそれを超えるアミノ酸の挿入、ならびに操作されたPGAポリペプチドへの1つまたはそれを超えるアミノ酸の挿入を含む。挿入は、ポリペプチドの内部の部分に存在し得るか、またはカルボキシ末端もしくはアミノ末端に存在し得る。本明細書中で使用される挿入は、当該分野で公知であるような融合タンパク質を含む。挿入は、天然に存在するポリペプチドにおいて、アミノ酸の連続したセグメントであり得るか、または1つもしくはそれを超えるアミノ酸によって分断され得る。
【0087】
用語「アミノ酸置換セット」または「置換セット」とは、参照配列と比べたときの、ポリペプチド配列におけるアミノ酸置換の群のことを指す。置換セットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれを超えるアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態において、置換セットとは、実施例に提供されている表に列挙されているバリアントPGAのいずれかに存在するアミノ酸の置換セットのことを指す。
【0088】
本明細書中で使用されるとき、「フラグメント」とは、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するが、残りのアミノ酸配列がその配列における対応する位置と同一である、ポリペプチドのことを指す。フラグメントは、代表的には、完全長PGAポリペプチド、例えば、配列番号2のポリペプチドの約80%、約90%、約95%、約98%または約99%を有し得る。いくつかの実施形態において、フラグメントは、「生物学的に活性」である(すなわち、フラグメントは、完全長配列と同じ酵素活性を示す)。
【0089】
本明細書中で使用されるとき、「単離されたポリペプチド」とは、天然ではそれとともに存在する他の夾雑物、例えば、タンパク質、脂質およびポリヌクレオチドから実質的に分離されたポリペプチドのことを指す。この用語は、天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞またはインビトロ合成)から取り出されたまたは精製されたポリペプチドを包含する。改善されたPGA酵素は、細胞内に存在し得るか、細胞培養液中に存在し得るか、または様々な形態(例えば、溶解産物または単離された調製物)で調製され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本開示の操作されたPGAポリペプチドは、単離されたポリペプチドであり得る。
【0090】
本明細書中で使用されるとき、「実質的に純粋なポリペプチド」とは、そのポリペプチド種が、存在する優勢な種である(すなわち、モルベースまたは重量ベースで、その組成物中の他の任意の個別の高分子種よりも豊富である)組成物のことを指し、一般に、対象の種がモル基準または%重量基準で、存在する高分子種の少なくとも約50パーセントを構成するとき、実質的に精製された組成物である。通常、実質的に純粋な操作されたPGAポリペプチド組成物は、モル基準または%重量基準で、組成物中のすべての高分子種の約60%もしくはそれを超えて、約70%もしくはそれを超えて、約80%もしくはそれを超えて、約90%もしくはそれを超えて、約91%もしくはそれを超えて、約92%もしくはそれを超えて、約93%もしくはそれを超えて、約94%もしくはそれを超えて、約95%もしくはそれを超えて、約96%もしくはそれを超えて、約97%もしくはそれを超えて、約98%もしくはそれを超えて、または約99%を構成する。溶媒種、小分子(<500ダルトン)および元素イオン種は、高分子種とみなされない。いくつかの実施形態において、単離された改善されたPGAポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
【0091】
本明細書中で使用されるとき、核酸またはポリペプチドに関連して使用されるとき、用語「異種」とは、通常は生物(例えば、野生型生物)によって発現されず、分泌されない配列のことを指す。いくつかの実施形態において、この用語は、天然で通常見られるのと同じ互いに対する関係では見られない2つまたはそれを超える部分配列を含む配列を包含するか、あるいはその発現レベルまたは細胞内の他の核酸もしくは他の分子との物理的関係または構造が、天然では通常見られないように組換え的に操作された配列を包含する。例えば、異種核酸は、代表的には、組換え的に作製され、天然には見られない様式で配置された無関係の遺伝子の2つまたはそれを超える配列を有する(例えば、本発明の核酸オープンリーディングフレーム(ORF)は、ベクターなどの発現カセットに挿入されたプロモーター配列に作動可能に連結されている)。いくつかの実施形態において、「異種ポリヌクレオチド」とは、研究室の手法によって宿主細胞に導入された任意のポリヌクレオチドのことを指し、宿主細胞から取り出され、研究室の操作に供され、次いで、宿主細胞に再導入されたポリヌクレオチドを含む。
【0092】
本明細書中で使用されるとき、「好適な反応条件」とは、本開示のPGAポリペプチドがトリ-フェニルアセテート保護基を除去することによって遊離インスリンを放出することができる、生体触媒反応溶液中の条件(例えば、酵素負荷量、基質負荷量、補因子負荷量の範囲、温度、pH、緩衝液、共溶媒など)のことを指す。例示的な「好適な反応条件」は、本開示に提供され、実施例によって例証される。
【0093】
本明細書中で使用されるとき、「化合物負荷量」、「酵素負荷量」または「補因子負荷量」などにおける「負荷量」とは、反応の開始時の反応混合物中の構成要素の濃度または量のことを指す。
【0094】
本明細書中で使用されるとき、生体触媒によって媒介されるプロセスの文脈における「基質」とは、その生体触媒によって作用される化合物または分子のことを指す。
【0095】
本明細書中で使用されるとき、生体触媒によって媒介されるプロセスの文脈における「生成物」とは、生体触媒の作用から生じる化合物または分子のことを指す。
【0096】
本明細書中で使用されるとき、本明細書中で使用される「平衡化」とは、化学反応または酵素反応の順方向速度定数および逆方向速度定数によって測定したとき、立体異性体の相互変換を含む、化学反応または酵素反応(例えば、2つの種AおよびBの相互変換)において化学種の定常状態濃度をもたらすプロセスのことを指す。
【0097】
本明細書中で使用されるとき、「アシラーゼ」および「アシルトランスフェラーゼ」は、アシル基をドナーからアクセプターに移してエステルまたはアミドを形成することができる酵素のことを指すために交換可能に使用される。アシラーゼによって媒介される逆反応は、エステルまたはアミドの加水分解をもたらす。
【0098】
本明細書中で使用されるとき、「ペニシリンG」および「ベンジルペニシリン」とは、(2S,5R,6R)-3,3-ジメチル-7-オキソ-6-(2-フェニルアセトアミド)-4-チア-1-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-2-カルボン酸(C1618S)としても知られる抗生物質のことを指す。それは、主に、グラム陽性生物に対して有効であるが、一部のグラム陰性生物もこれの影響を受けやすい。
【0099】
本明細書中で使用されるとき、「ペニシリンGアシラーゼ」および「PGA」は、ペニシリンG(ベンジルペニシリン)からフェニル酢酸(PHA)および6-アミノペニシラン酸(6-APA)への切断を媒介する能力を有する酵素のことを指すために交換可能に使用される。いくつかの実施形態において、PGA活性は、モデル基質の切断、例えば、6-ニトロ-3-(フェニルアセトアミド)安息香酸からフェニル酢酸および5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸への切断に基づき得る。PGAは、アシルドナーのアシル基をアシルアクセプターに移す逆反応を行うこともできる。本明細書中で使用されるPGAは、天然に存在する(野生型)PGA、ならびにヒトの操作によって作製された1つまたはそれを超える操作されたポリペプチドを含む天然に存在しないPGA酵素を含む。野生型PGA遺伝子は、54アミノ酸のスペーサー領域によって連結されたアルファサブユニット(23.8KDa)およびベータサブユニット(62.2KDa)からなるヘテロ二量体である。スペーサー領域が存在することに起因して、活性なタンパク質を形成するために、自己プロセシング工程が必要である。
【0100】
本明細書中で使用されるとき、「アシルドナー」とは、アシルアクセプターにアシル基を供与してエステルまたはアミドを形成するアシラーゼ基質の一部のことを指す。
【0101】
本明細書中で使用されるとき、「アシルアクセプター」とは、アシルドナーのアシル基を受け取ってエステルまたはアミドを形成するアシラーゼ基質の一部のことを指す。
【0102】
本明細書中で使用されるとき、「α鎖配列」とは、配列番号2の27~235位の残基に対応する(例えば、それらの残基に対して少なくとも85%の同一性を有する)アミノ酸配列のことを指す。本明細書中で使用されるとき、一本鎖ポリペプチドは、「α鎖配列」およびさらなる配列を含み得る。
【0103】
本明細書中で使用されるとき、「β鎖配列」とは、配列番号2の290~846位の残基に対応する(例えば、それらの残基に対して少なくとも85%の同一性を有する)アミノ酸配列のことを指す。本明細書中で使用されるとき、一本鎖ポリペプチドは、「β鎖配列」およびさらなる配列を含み得る。
【0104】
本明細書中で使用されるとき、「~に由来する」は、操作されたPGA酵素の文脈において使用されるとき、その操作が基づく、起源であるPGA酵素および/またはそのようなPGA酵素をコードする遺伝子を特定する。例えば、配列番号60の操作されたPGA酵素は、配列番号2のK.citrophila PGAのアルファ鎖配列およびベータ鎖配列をコードする遺伝子を複数世代にわたって人工的に進化させることによって得られた。したがって、この操作されたPGA酵素は、配列番号2の天然に存在するまたは野生型PGA「に由来する」。
【0105】
本明細書中で使用されるとき、「インスリン」とは、正常な個体における膵臓のベータ細胞によって産生されるポリペプチドホルモンのことを指す。インスリンは、血糖値を低下させることによって炭水化物の代謝を制御するために必要である。インスリンの全身欠乏(Systematic deficiency)は、糖尿病をもたらす。インスリンは、51アミノ酸を含み、およそ5800ダルトンの分子量を有する。インスリンは、2つのペプチド鎖(「A」および「B」と命名された)を含み、1つのサブユニット内ジスルフィド結合および2つのサブユニット間ジスルフィド結合を含む。A鎖は、21アミノ酸から構成され、B鎖は、30アミノ酸から構成される。それらの2つの鎖は、A鎖とB鎖の両方にいくつかのアルファヘリックス領域を含む高度に規則正しい構造を形成する。単離された鎖は、不活性である。溶液中では、インスリンは、単量体、二量体または六量体である。インスリンは、皮下注射に使用される高度に濃縮された調製物中では六量体であるが、体液で希釈されると単量体になる。この定義は、一次構造の立体配座の一部または全部および天然に存在するインスリンの生物学的特性の少なくとも1つを有する、プロインスリンおよび任意の精製、単離されたポリペプチドを包含すると意図されている。この定義はさらに、グリコフォームならびにアナログ(例えば、欠失、挿入および/または置換を有するポリペプチド)を含む、天然のインスリンおよび合成由来のインスリンを包含すると意図されている。
【0106】
インスリンは、フェニルアセテートドナーと潜在的に反応でき、PGAによって脱保護され得る、3つの求核性アミンを含む。これらの残基としては、B鎖の29位(B29)におけるLysおよび2つのN末端遊離アミン、A鎖の1位(A1)におけるGlyおよびB鎖の1位(B1)におけるPheが挙げられる。三保護されたインスリン(ヒトインスリン上のA1、B1、B29残基にフェニルアセテートが化学的に付着されている)が、本明細書中に提供される。PGAは、以前に、N-フェニルアセテートで保護されたペプチドおよびインスリンの加水分解を、フェニルアセテートアミド結合に対して排他選択的に触媒して、そのタンパク質の残りのペプチド結合はインタクトなまま残すと報告された(Brtnikら、Coll.Czech.Chem.Commun.,46(8),1983-1989[1981];およびWangら、Biopolym.,25(Suppl.),S109-S114[1986])。
【0107】
本明細書中で使用されるとき、「トリ-フェニルアセテート保護基」とは、フェニルアシル基で保護されたB1、B29およびA1位に3つの第1級アミンを有するインスリン分子のことを指す。
【0108】
本明細書中で使用されるとき、「ジ-フェニルアセテート保護基」とは、フェニルアシル基で保護されたB1、B29および/またはA1位に2つの第1級アミンを有するインスリン分子のことを指す。
【0109】
本明細書中で使用されるとき、「ジ-フェニルアセテート保護基」とは、フェニルアシル基で保護されたB1、B29またはA1位に1つの第1級アミンを有するインスリン分子のことを指す。
【0110】
ペニシリンGアシラーゼ
ペニシリンアシラーゼは、Penicillium chrysogenum Wisc.Q176由来のものがSakaguchiおよびMuraoによって初めて報告された(Sakaguchi and Murao,J.Agr.Chem.Soc.Jpn.,23:411[1950])。ペニシリンGアシラーゼは、ペニシリンG、セファロスポリンGおよび関連する抗生物質の側鎖に対して作用して、β-ラクタム系抗生物質の中間体である6-アミノペニシラン酸および7-アミノデス-アセトキシセファロスポラニン酸を、一般的な副産物としてのフェニル酢酸とともに生成する加水分解酵素である。これらの抗生物質の中間体は、半合成抗生物質(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、クロキサシリン、セファレキシンおよびセフォタキシム(cefatoxime))の潜在的な基本単位である。
【0111】
上で示されたように、ペニシリンGアシラーゼ(PGA)は、スキーム1:
【化1】
に示されているように、構造式(I)の共役塩基を有するペニシリンGから、構造式(II)の共役塩基を有する6-アミノペニシラン酸および構造式(III)のフェニル酢酸に至る、加水分解性切断を触媒する能力を特徴とする。
【0112】
理論に拘束されるものではないが、疎水性フェニル基の認識に関連する基質特異性が見られる一方で、いくつかのPGAではベータ鎖のN末端におけるセリン残基である求核剤が、ベータ-ラクタムおよび他の種々の基(例えば、ベータ-アミノ酸)のアクセプターとして作用する。PGAは、スキーム2:
【化2】
に示されているように、ペニシリンGに類似のモデル基質を切断する能力、例えば、構造式(IV)の6-ニトロ-3-(フェニルアセトアミド)安息香酸(NIPAB)から構造式(III)のフェニル酢酸および構造式(V)の5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸への切断も特徴とし得る(例えば、Alkemaら、Anal.Biochem.,275:47-53[1999]を参照のこと)。5-アミノ-2-ニトロ-安息香酸は、色素生産性であるので、式(IV)の基質は、PGA活性を計測する簡便な方法を提供する。前述の反応に加えて、PGAは、光学的に純粋なtertロイシンを調製するためのDL-tertロイシンの速度論的分割においても使用され得る(例えば、Liuら、Prep.Biochem.Biotechnol.,36:235-41[2006]を参照のこと)。
【0113】
本開示のPGAは、生物Kluyvera citrophila(K.citrophila)から得られる酵素に基づく。他の生物由来のPGAと同様に、K.citrophilaのPGAは、プレプロPGAポリペプチドのタンパク分解性プロセシングによって生成される、アルファ-サブユニットおよびベータ-サブユニットを含むヘテロ二量体酵素である。シグナルペプチドおよびスペーサーペプチドが除去されると、成熟したヘテロ二量体が生成される(例えば、Barberoら、Gene 49:69-80[1986]を参照のこと)。K.citrophilaの天然に存在するプレプロPGAポリペプチドのアミノ酸配列は、公的に入手可能であり(例えば、Genbankアクセッション番号P07941、[gi:129551]を参照のこと)、本明細書中で配列番号2として提供される。天然に存在するK.citrophila PGAのアルファ鎖配列は、配列番号2の残基27~235に対応する。天然に存在するK.citrophila PGAのベータ鎖配列は、配列番号2の残基290~846に対応する。配列番号2の残基1~26は、シグナルペプチドに対応し、配列番号2の残基236~289は、連結プロペプチドに対応し、これらの両方が除去されることにより、α鎖サブユニットおよびβ鎖サブユニットを含むヘテロ二量体である天然に存在する成熟したPGA酵素が生成される。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を有する操作されたPGAポリペプチドを提供する。
【0115】
本発明は、工業規模での使用に適したインスリン特異的脱アシル化生体触媒を提供する。定向進化を用いることにより、A1/B1/B29-トリ-フェニルアセテート保護基を除去することができるかまたはその保護基をインスリンに付加することができる効率的なアシラーゼバリアントを開発した。本明細書中に提供されるPGAバリアントは、広範囲のアシル基を受け取ることができ、野生型PGAと比べて、高い溶媒安定性および改善された熱安定性を示す。本明細書中に提供されるバリアントPGAは、スペーサー領域を欠く。したがって、活性な酵素を生成するために、自己プロセシング工程は必要ない。
【0116】
本発明は、操作されたPGAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供する。いくつかの実施形態において、それらのポリヌクレオチドは、そのポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを生成するために、遺伝子発現を調節する1つまたはそれを超える異種制御配列に作動可能に連結されている。操作されたPGAポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む発現構築物は、適切な宿主細胞に導入されることにより、対応するPGAポリペプチドを発現することができる。
【0117】
様々なアミノ酸に対応するコドンの知識を理由に、タンパク質配列が入手可能であると、対象物をコードすることができるすべてのポリヌクレオチドが説明される。同じアミノ酸が代替コドンまたは同義コドンによってコードされる遺伝暗号の縮重により、極端に多数の核酸が生成されることが可能になり、それらの核酸のすべてが、本明細書中に開示される改善されたPGA酵素をコードする。したがって、特定のアミノ酸配列が特定されると、当業者は、当該タンパク質のアミノ酸配列を変化させないように1つまたはそれを超えるコドンの配列を単純に改変することによって、任意の数の異なる核酸を作製することができる。この点において、本開示は、考えられるコドン選択に基づいて組み合わせを選択することによって生成され得るポリヌクレオチドの考えられるバリエーションの各々およびすべてを明確に企図し、そのようなバリエーションのすべてが、実施例5および6における表に示されているアミノ酸配列を含む、本明細書中に開示される任意のポリペプチドのために明確に開示されているとみなされるべきである。
【0118】
様々な実施形態において、コドンは、好ましくは、タンパク質が生成される宿主細胞に適合するように選択される。例えば、細菌において用いられている好ましいコドンが、細菌において遺伝子を発現させるために使用され;酵母において用いられている好ましいコドンが、酵母における発現のために使用され;哺乳動物において用いられている好ましいコドンが、哺乳動物細胞における発現のために使用される。
【0119】
ある特定の実施形態において、天然配列は、好ましいコドンを含んでおり、かつ好ましいコドンの使用が、すべてのアミノ酸残基にとって必要であるわけではない可能性があるので、PGAポリペプチドのコドン使用頻度を最適化するために、すべてのコドンが置換される必要はない。その結果として、PGA酵素をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドは、完全長コード領域の約40%、50%、60%、70%、80%、または90%超のコドン位置に、好ましいコドンを含み得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載される参照の操作されたPGAポリペプチドのいずれかのアルファ鎖および/またはベータ鎖に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を有するPGAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。したがって、いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288に基づく参照アルファ鎖配列および参照ベータ鎖配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288のアルファ鎖および/またはベータ鎖アミノ酸配列をコードする。
【0121】
いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および1288に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸配列を有するPGAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。したがって、いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および1287と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のアミノ酸配列をコードする。
【0122】
いくつかの実施形態において、改善されたPGAポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを、そのポリペプチドの改善された活性および/または発現を提供するために、種々の方法で操作した。ベクターに挿入する前に、単離されたポリヌクレオチドを操作することが、発現ベクターに応じて望ましい場合があるかまたは必要であり得る。組換えDNA法を利用してポリヌクレオチドおよび核酸配列を改変するための手法が、当該分野で周知である。
【0123】
例えば、突然変異誘発および定向進化法を、ポリヌクレオチドに容易に適用することにより、発現され、スクリーニングされ、アッセイされ得るバリアントライブラリーを作製することができる。突然変異誘発および定向進化法は、当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,605,793、5,811,238、5,830,721、5,834,252、5,837,458、5,928,905、6,096,548、6,117,679、6,132,970、6,165,793、6,180,406、6,251,674、6,265,201、6,277,638、6,287,861、6,287,862、6,291,242、6,297,053、6,303,344、6,309,883、6,319,713、6,319,714、6,323,030、6,326,204、6,335,160、6,335,198、6,344,356、6,352,859、6,355,484、6,358,740、6,358,742、6,365,377、6,365,408、6,368,861、6,372,497、6,337,186、6,376,246、6,379,964、6,387,702、6,391,552、6,391,640、6,395,547、6,406,855、6,406,910、6,413,745、6,413,774、6,420,175、6,423,542、6,426,224、6,436,675、6,444,468、6,455,253、6,479,652、6,482,647、6,483,011、6,484,105、6,489,146、6,500,617、6,500,639、6,506,602、6,506,603、6,518,065、6,519,065、6,521,453、6,528,311、6,537,746、6,573,098、6,576,467、6,579,678、6,586,182、6,602,986、6,605,430、6,613,514、6,653,072、6,686,515、6,703,240、6,716,631、6,825,001、6,902,922、6,917,882、6,946,296、6,961,664、6,995,017、7,024,312、7,058,515、7,105,297、7,148,054、7,220,566、7,288,375、7,384,387、7,421,347、7,430,477、7,462,469、7,534,564、7,620,500、7,620,502、7,629,170、7,702,464、7,747,391、7,747,393、7,751,986、7,776,598、7,783,428、7,795,030、7,853,410、7,868,138、7,783,428、7,873,477、7,873,499、7,904,249、7,957,912、7,981,614、8,014,961、8,029,988、8,048,674、8,058,001、8,076,138、8,108,150、8,170,806、8,224,580、8,377,681、8,383,346、8,457,903、8,504,498、8,589,085、8,762,066、8,768,871、9,593,326号、ならびに関連するすべてのPCTおよび米国以外の対応物;Lingら、Anal.Biochem.,254(2):157-78[1997];Daleら、Meth.Mol.Biol.,57:369-74[1996];Smith,Ann.Rev.Genet.,19:423-462[1985];Botsteinら、Science,229:1193-1201[1985];Carter,Biochem.J.,237:1-7[1986];Kramerら、Cell,38:879-887[1984];Wellsら、Gene,34:315-323[1985];Minshullら、Curr.Op.Chem.Biol.,3:284-290[1999];Christiansら、Nat.Biotechnol.,17:259-264[1999];Crameriら、Nature,391:288-291[1998];Crameriら、Nat.Biotechnol.,15:436-438[1997];Zhangら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,94:4504-4509[1997];Crameriら、Nat.Biotechnol.,14:315-319[1996];Stemmer,Nature,370:389-391[1994];Stemmer,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,91:10747-10751[1994];WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767;およびWO2009/152336(これらのすべてが参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。
【0124】
いくつかの実施形態において、本発明のバリアントPGAアシラーゼは、その酵素のコードされる活性を変化させないさらなる配列をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、バリアントPGAアシラーゼは、エピトープタグまたは精製において有用な別の配列に連結される。
【0125】
いくつかの実施形態において、本発明のバリアントPGAアシラーゼポリペプチドは、それらが発現される宿主細胞(例えば、酵母または糸状菌宿主細胞)、およびシグナルペプチド(すなわち、ポリペプチドのアミノ末端に連結され、かつコードされたポリペプチドを細胞分泌経路に向かわせる、アミノ酸配列)を含むプレタンパク質として発現される宿主細胞から分泌される。
【0126】
いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、内在性のK.citrophila PGAアシラーゼシグナルペプチドである。他のいくつかの実施形態において、他のK.citrophila分泌タンパク質由来のシグナルペプチドが使用される。いくつかの実施形態において、他のシグナルペプチドが、宿主細胞および他の因子に応じて使用される。糸状菌宿主細胞に有効なシグナルペプチドコード領域としては、Aspergillus oryzaeTAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼ、Humicola lanuginosaリパーゼおよびT.reeseiセロビオヒドロラーゼ(cellobiohydrolase)IIから得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられるがこれらに限定されない。細菌宿主細胞のためのシグナルペプチドコード領域としては、Bacillus NClB11837マルトース生成アミラーゼ、Bacillus stearothermophilusアルファ-アミラーゼ、Bacillus licheniformisサブチリシン、Bacillus licheniformisβ-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)および枯草菌prsAに対する遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかのさらなる実施形態において、他のシグナルペプチドが、本発明において使用される(例えば、Simonen and Palva,Microbiol.Rev.,57:109-137[1993](参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。酵母宿主細胞のためのさらなる有用なシグナルペプチドとしては、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子、Saccharomyces cerevisiaeSUC2インベルターゼに対する遺伝子由来のシグナルペプチドが挙げられる(例えば、Taussig and Carlson,Nucl.Acids Res.,11:1943-54[1983];SwissProt Accession No.P00724;およびRomanosら、Yeast 8:423-488[1992]を参照のこと)。いくつかの実施形態において、これらのシグナルペプチドおよび他のシグナルペプチドのバリアントが使用される。実際に、当該分野で公知の任意の好適なシグナルペプチドが本発明において使用されるので、本発明は、任意の特定のシグナルペプチドに限定されると意図されていない。
【0127】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるような、バリアントPGAアシラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはその生物学的に活性なフラグメントを提供する。いくつかの実施形態において、そのポリヌクレオチドは、遺伝子発現を調節する1つまたはそれを超える異種制御配列または異種調節配列に作動可能に連結されることにより、ポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドが作製される。いくつかの実施形態において、バリアントPGAアシラーゼをコードする異種ポリヌクレオチドを含む発現構築物が、適切な宿主細胞に導入されることにより、バリアントPGAアシラーゼが発現される。
【0128】
当業者は、遺伝暗号の縮重に起因して、本発明のバリアントPGAアシラーゼポリペプチドをコードする数多くのヌクレオチド配列が存在することを理解する。例えば、コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGGおよびCGUはすべて、アミノ酸アルギニンをコードする。したがって、あるコドンによってアルギニンが特定される本発明の核酸におけるすべての位置において、そのコドンは、コードされるポリペプチドを変化させずに、上に記載された対応するコドンのいずれかに変更され得る。RNA配列における「U」は、DNA配列における「T」に対応すると理解されている。本発明は、考えられるコドン選択に基づいて組み合わせを選択することによって作製され得る、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列の各々およびすべての考えられるバリエーションを企図し、提供する。
【0129】
上で示されたように、PGAをコードするDNA配列は、高コドン使用頻度バイアスコドン(タンパク質コード領域において、同じアミノ酸をコードする他のコドンより高い頻度で使用されるコドン)に対してもデザインされ得る。好ましいコドンは、単一の遺伝子、共通の機能または起源の遺伝子セット、高度に発現される遺伝子におけるコドン使用頻度、全生物のタンパク質コード領域が集まっている領域におけるコドン頻度、関連する生物のタンパク質コード領域が集まっている領域におけるコドン頻度、またはそれらの組み合わせに関して決定され得る。遺伝子発現レベルとともに頻度が上昇するコドンは、通常、発現にとって最適なコドンである。特に、特定の宿主生物における発現に対してDNA配列が最適化され得る。特定の生物においてコドン頻度(例えば、コドン使用頻度、相対的な同義コドン使用頻度)およびコドン優先度を測定するための種々の方法が当該分野で周知であり、それらとしては、多変量解析(例えば、クラスター解析または対応分析を用いる多変量解析)が挙げられ、また、遺伝子において使用されるコドンの有効な数を測定するための種々の方法も当該分野で周知である。コドン使用頻度を得るためのデータソースは、タンパク質をコードすることができる任意の利用可能なヌクレオチド配列に依存している場合がある。当該分野で周知であるように、これらのデータセットは、発現されるタンパク質をコードすると実際に判明している核酸配列(例えば、完全なタンパク質コード配列-CDS)、発現配列タグ(EST)、またはゲノム配列の予測されるコード領域を含む。バリアントPGAをコードするポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の好適な方法を用いて調製され得る。代表的には、オリゴヌクレオチドが、個別に合成され、次いで、つなぎ合わされる(例えば、酵素的もしくは化学的ライゲーション方法、またはポリメラーゼによって媒介される方法によって)ことにより、本質的に任意の所望の連続した配列が形成される。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の好適な方法(自動化された合成法を含むがこれに限定されない)を用いる化学合成によって調製される。例えば、ホスホルアミダイト法では、オリゴヌクレオチドが、合成され(例えば、自動DNA合成装置において)、精製され、アニールされ、ライゲートされ、適切なベクターにクローニングされる。いくつかの実施形態において、次いで、相補鎖を合成し、それらの鎖を適切な条件下において共にアニーリングすることによって、または適切なプライマー配列とともにDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付加することによって、二本鎖DNAフラグメントが得られる。当業者に周知の本発明において有用な方法を提供している数多くの一般的および標準的な教科書がある。
【0130】
操作されたPGAは、上で論じられたように、天然に存在するPGAをコードするポリヌクレオチドを突然変異誘発および/または定向進化法に供することによって得ることができる。突然変異誘発は、ランダム突然変異誘発および部位特異的突然変異誘発を含む当該分野で公知の手法のいずれかに従って行われ得る。定向進化は、シャフリングを含む、改善されたバリアントをスクリーニングするための当該分野で公知の手法のいずれかを用いて行われ得る。使用される他の定向進化手順としては、付着伸長プロセス(StEP)、インビトロ組換え、突然変異誘発PCR、カセット突然変異誘発、オーバーラップ伸長によるスプライシング(SOEing)、ProSARTM定向進化法など、ならびに他の任意の好適な方法が挙げられるがこれらに限定されない。
【0131】
突然変異誘発処理の後に得られたクローンは、所望の改善された酵素特性を有する操作されたPGAを求めてスクリーニングされる。発現ライブラリーからの酵素活性の計測は、生成物の形成速度をモニタリングする標準的な生化学的手法を用いて行われ得る。所望の改善された酵素特性が、熱安定性である場合、酵素活性は、酵素調製物を規定の温度に曝露し、熱処理後に残っている酵素活性の量を計測した後に、計測され得る。次いで、PGAをコードするポリヌクレオチドを含むクローンが、単離され、配列決定されることにより、ヌクレオチド配列の変化(もしあれば)が特定され、そのクローンを用いて、その酵素が宿主細胞において発現される。
【0132】
操作されたポリペプチドの配列が既知であるとき、上記酵素をコードするポリヌクレオチドは、公知の合成法に従って標準的な固相法によって調製され得る。いくつかの実施形態において、最大約100塩基のフラグメントが、個別に合成され、次いで、つなぎ合わされる(例えば、酵素的もしくは化学的ライゲーション法、またはポリメラーゼによって媒介される方法によって)ことにより、任意の所望の連続した配列が形成され得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、化学合成によって(例えば、Beaucageら、Tet.Lett.,22:1859-69[1981]によって報告された従来のホスホルアミダイト法を用いて、またはMatthesら、EMBO J.,3:801-05[1984]によって報告された方法を用いて(通常、自動化された合成法において実施されるので))調製され得る。ホスホルアミダイト法によると、オリゴヌクレオチドが、合成され(例えば、自動DNA合成装置において)、精製され、アニールされ、ライゲートされ、適切なベクターにクローニングされる。さらに、本質的に任意の核酸を、種々の商業的供給源(例えば、The Midland Certified Reagent Company,Midland,TX、The Great American Gene Company,Ramona,CA、ExpressGen Inc.Chicago,IL、Operon Technologies Inc.,Alameda,CAおよび他の多くの商業的供給源)のいずれかから入手することができる。
【0133】
本発明は、本明細書中に提供されるような、少なくとも1つのバリアントPGAをコードする配列を含む組換え構築物も提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結されたバリアントPGAポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。いくつかの実施形態において、本発明の発現ベクターを用いることにより、適切な宿主細胞が形質転換されて、その宿主細胞がバリアントPGAタンパク質を発現できるようになる。真菌および他の生物におけるタンパク質の組換え発現のための方法は、当該分野で周知であり、いくつかの発現ベクターが、利用可能であるか、または通例の方法を用いて構築され得る。いくつかの実施形態において、本発明の核酸構築物は、本発明の核酸配列が挿入されたベクター(例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)など)を含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、バリアントPGAポリペプチドの発現に適した種々の発現ベクターのいずれか1つに組み込まれる。好適なベクターとしては、染色体DNA配列、非染色体DNA配列および合成DNA配列(例えば、SV40の誘導体)、ならびに細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組み合わせに由来するベクター、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス)および他の多くのベクターが挙げられるがこれらに限定されない。遺伝物質を細胞に形質導入する任意の好適なベクター、および複製が所望である場合、関連する宿主において複製可能かつ存続可能な任意の好適なベクターが、本発明において使用される。いくつかの実施形態において、その構築物は、タンパク質をコードする配列に作動可能に連結される制御配列(プロモーターを含むがこれに限定されない)をさらに含む。多数の好適なベクターおよびプロモーターが、当業者に公知である。実際に、いくつかの実施形態において、特定の宿主において高レベルの発現を得るために、異種プロモーターの支配下において本発明のバリアントPGAを発現させることが有用であることが多い。いくつかの実施形態において、プロモーター配列は、当該分野で公知の任意の好適な方法を用いて、バリアントPGAをコードする配列の5’領域に作動可能に連結される。バリアントPGAの発現に有用なプロモーターの例としては、真菌由来のプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、真菌株においてPGA遺伝子以外の遺伝子の発現を駆動するプロモーター配列が、使用される。非限定的な例として、エンドグルカナーゼをコードする遺伝子の真菌プロモーターが使用され得る。いくつかの実施形態において、PGAが由来した真菌株以外の真菌株においてPGA遺伝子の発現を駆動するプロモーター配列が、使用される。糸状菌宿主細胞において本発明のヌクレオチド構築物の転写を指示するために有用な他の好適なプロモーターの例としては、Aspergillus oryzaeTAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus niger酸安定性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリプロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼおよびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ(例えば、WO96/00787(参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)に対する遺伝子から得られるプロモーター、ならびにNA2-tpiプロモーター(Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼおよびAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼに対する遺伝子のプロモーターのハイブリッド)、cbh1、cbh2、egl1、egl2、pepA、hfb1、hfb2、xyn1、amyおよびglaAなどのプロモーター(例えば、Nunbergら、Mol.Cell Biol.,4:2306-2315[1984];Boelら、EMBO J.,3:1581-85[1984];および欧州特許出願137280(これらのすべてが参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)、ならびにそれらの変異プロモーター、切断型プロモーターおよびハイブリッドプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0134】
酵母宿主細胞において、有用なプロモーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(eno-1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(gal1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)およびS.cerevisiae3-ホスホグリセリン酸キナーゼに対する遺伝子のプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞にとって有用なさらなる有用なプロモーターは、当該分野で公知である(例えば、Romanosら、Yeast 8:423-488[1992](参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。さらに、真菌におけるキチナーゼ産生に関連するプロモーターも本発明において使用される(例えば、Blaiseau and Lafay,Gene 120243-248[1992];およびLimonら、Curr.Genet.,28:478-83[1995](これらの両方が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。
【0135】
細菌宿主細胞の場合、本開示の核酸構築物の転写を指示するのに適したプロモーターとしては、大腸菌lacオペロン、大腸菌trpオペロン、バクテリオファージλ、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、枯草菌レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、枯草菌xylAおよびxylB遺伝子ならびに原核生物のベータ-ラクタマーゼ遺伝子(例えば、Villa-Kamaroffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3727-3731[1978]を参照のこと)から得られるプロモーター、ならびにtacプロモーター(例えば、DeBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21-25[1983]を参照のこと)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明のクローニングされたバリアントPGAは、転写を終結するために宿主細胞によって認識される配列である好適な転写ターミネーター配列も有する。ターミネーター配列は、そのポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動可能に連結される。選ばれた宿主細胞において機能的な任意のターミネーターが、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞に対する例示的な転写ターミネーターとしては、Aspergillus oryzaeTAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Aspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼおよびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られる転写ターミネーターが挙げられるがこれらに限定されない(米国特許第7,399,627号(参照により本明細書中に援用される)も参照のこと)。いくつかの実施形態において、酵母宿主細胞に対する例示的なターミネーターとしては、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeシトクロムC(CYCl)およびSaccharomyces cerevisiaeグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子から得られるターミネーターが挙げられる。酵母宿主細胞に対する他の有用なターミネーターは、当業者に周知である(例えば、Romanosら、Yeast 8:423-88[1992]を参照のこと)。
【0137】
いくつかの実施形態において、好適なリーダー配列は、宿主細胞による翻訳にとって重要なmRNAの非翻訳領域である、クローニングされたバリアントPGA配列の一部である。リーダー配列は、そのポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動可能に連結される。選ばれた宿主細胞において機能的な任意のリーダー配列が、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞に対する例示的なリーダーとしては、Aspergillus oryzaeTAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼに対する遺伝子から得られるリーダーが挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞に対する好適なリーダーとしては、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiae3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子およびSaccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)に対する遺伝子から得られるリーダーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0138】
いくつかの実施形態において、本発明の配列は、核酸配列の3’末端に作動可能に連結された配列であって、転写されると、宿主細胞によってシグナルとして認識されて、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加する、ポリアデニル化配列も含む。選ばれた宿主細胞において機能的な任意のポリアデニル化配列が、本発明において使用される。糸状菌宿主細胞に対する例示的なポリアデニル化配列としては、Aspergillus oryzaeTAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼおよびAspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼに対する遺伝子から得られるポリアデニル化配列が挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞に対する有用なポリアデニル化配列は、当該分野で公知である(例えば、Guo and Sherman,Mol.Cell.Biol.,l5:5983-5990[1995]を参照のこと)。
【0139】
いくつかの実施形態において、調節配列は、ポリペプチドのアミノ末端に連結されたアミノ酸配列をコードするシグナルペプチドコード領域を含み、コードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に向かわせる。核酸配列のコード配列の5’末端は、分泌ポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み枠で天然に連結されているシグナルペプチドコード領域を本質的に含み得る。あるいは、コード配列の5’末端は、コード配列にとって外来のシグナルペプチドコード領域を含み得る。その外来のシグナルペプチドコード領域は、そのコード配列がシグナルペプチドコード領域を天然には含まない場合に必要とされる。
【0140】
あるいは、外来のシグナルペプチドコード領域は、ポリペプチドの分泌を増加させるために、単に、天然のシグナルペプチドコード領域に取って代わることがある。しかしながら、発現されたポリペプチドを、選ばれた宿主細胞の分泌経路に向かわせる任意のシグナルペプチドコード領域を、本発明において使用してよい。
【0141】
細菌宿主細胞にとって有効なシグナルペプチドコード領域としては、Bacillus NClB11837マルトース生成アミラーゼ、Bacillus stearothermophilusアルファ-アミラーゼ、Bacillus licheniformisサブチリシン、Bacillus licheniformisベータ-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)および枯草菌prsAに対する遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられるがこれらに限定されない。さらなるシグナルペプチドが、当該分野で公知である(例えば、Simonen and Palva,Microbiol.Rev.,57:109-137[1993]を参照のこと)。
【0142】
糸状菌宿主細胞にとって有効なシグナルペプチドコード領域としては、Aspergillus oryzaeTAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼおよびHumicola lanuginosaリパーゼに対する遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられるがこれらに限定されない。
【0143】
酵母宿主細胞にとって有用なシグナルペプチドとしては、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子およびSaccharomyces cerevisiaeインベルターゼに対する遺伝子が挙げられるがこれらに限定されない。他の有用なシグナルペプチドコード領域が当該分野で公知である(例えば、Romanosら、[1992]、前出を参照のこと)。
【0144】
いくつかの実施形態において、調節配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域を含む。得られるポリペプチドは、プロ酵素またはプロポリペプチド(またはいくつかの場合ではチモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは、一般に、不活性であり、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的切断または自己触媒的切断によって、成熟した活性なPGAポリペプチドに変換され得る。プロペプチドコード領域は、枯草菌アルカリプロテアーゼ(aprE)、枯草菌中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼおよびMyceliophthora thermophilaラクターゼに対する遺伝子から得られ得る(例えば、WO95/33836を参照のこと)。
【0145】
シグナルペプチド領域とプロペプチド領域の両方が、ポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の隣に位置し、シグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の隣に位置する。
【0146】
いくつかの実施形態において、制御配列を用いることにより、宿主細胞の成長に対してポリペプチドの発現の制御も可能になる。制御系の例は、制御性化合物の存在を含む化学的刺激または物理的刺激に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにする制御系である。原核生物宿主細胞において、好適な制御配列としては、lac、tacおよびtrpオペレーター系が挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞において、好適な制御系としては、例として、ADH2系またはGAL1系が挙げられる。糸状菌において、好適な制御配列としては、TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーターおよびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが挙げられる。
【0147】
制御配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にする制御配列である。真核生物系において、これらとしては、メトトレキサートの存在下において増幅されるジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、および重金属を用いて増幅されるメタロチオネイン遺伝子が挙げられる。これらの場合、本発明のPGAポリペプチドをコードする核酸配列は、制御配列と作動可能に連結され得る。
【0148】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、操作されたPGAポリペプチドまたはそのバリアントをコードするポリヌクレオチド、および1つまたはそれを超える発現制御領域(例えば、プロモーターおよびターミネーター)、複製開始点などを、それらが導入される宿主タイプに応じて含む、組換え発現ベクターを提供する。いくつかの実施形態において、上に記載された様々な核酸配列および調節配列がつなぎ合わされることにより、ポリペプチドをコードする核酸配列を限酵素認識部位において挿入または置換できるようにする1つまたはそれを超える好都合な制限酵素認識部位を含み得る組換え発現ベクターが作製される。あるいは、いくつかの実施形態において、それらの核酸配列は、核酸配列またはその配列を含む核酸構築物を、発現にとって適切なベクターに挿入することによって、発現される。発現ベクターを作製する際、コード配列は、そのコード配列が発現にとって適切な調節配列と作動可能に連結されるように、ベクターに配置される。
【0149】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に都合よく供することおよびポリヌクレオチド配列を発現させることができる任意の好適なベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)を含む。ベクターの選択は、通常、そのベクターが導入される宿主細胞とそのベクターとの適合性に依存する。いくつかの実施形態において、ベクターは、直鎖状または閉環状のプラスミドである。
【0150】
いくつかの実施形態において、発現ベクターは、自己複製ベクター(すなわち、染色体外の実体として存在するベクターであって、その複製は、染色体の複製と無関係であり、例えば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体または人工染色体)である。いくつかの実施形態において、ベクターは、自己複製を保証するための任意の手段を含む。あるいは、他のいくつかの実施形態では、ベクターは、宿主細胞に導入される際、ゲノムにインテグレートされ、インテグレートされた染色体とともに複製される。さらに、さらなる実施形態において、単一のベクターもしくはプラスミド、または2つもしくはそれを超えるベクターもしくはプラスミド(それらが全体として、宿主細胞のゲノムに導入される全DNAを含む)、またはトランスポゾンが、使用される。
【0151】
いくつかの実施形態において、本発明の発現ベクターは、1つまたはそれを超える選択可能マーカーを含み、それにより、形質転換された細胞が容易に選択される。「選択可能マーカー」は、ある遺伝子であり、その遺伝子の生成物は、殺生物剤抵抗性またはウイルス抵抗性、抗菌剤または重金属に対する抵抗性、栄養要求体に対する原栄養性などを提供する。糸状菌宿主細胞において使用するための任意の好適な選択可能マーカーが、本発明において使用され、それらとしては、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびにそれらの等価物が挙げられるがこれらに限定されない。Aspergillusなどの宿主細胞において有用なさらなるマーカーとしては、Aspergillus nidulansまたはAspergillus oryzaeのamdSおよびpyrG遺伝子、ならびにStreptomyces hygroscopicusのbar遺伝子が挙げられるがこれらに限定されない。酵母宿主細胞に対する好適なマーカーとしては、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1およびURA3が挙げられるがこれらに限定されない。細菌の選択可能マーカーの例としては、枯草菌もしくはBacillus licheniformisのdal遺伝子、または抗生物質耐性(例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールおよびまたはテトラサイクリン抵抗性)を付与するマーカーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0152】
いくつかの実施形態において、本発明の発現ベクターは、宿主細胞のゲノムへのベクターのインテグレーションを可能にするエレメント、またはそのゲノムと無関係な細胞においてベクターの自己複製を可能にするエレメントを含む。宿主細胞ゲノムへのインテグレーションを含むいくつかの実施形態において、ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列、または相同組換えもしくは非相同組換えによってゲノムにベクターをインテグレーションするための他の任意のベクターエレメントに依存する。
【0153】
いくつかの代替の実施形態において、発現ベクターは、宿主細胞のゲノムへの相同組換えによるインテグレーションを指示するためのさらなる核酸配列を含む。それらのさらなる核酸配列は、ベクターが染色体内の正確な位置において宿主細胞ゲノムにインテグレートされるのを可能にする。正確な位置におけるインテグレーションの可能性を高めるために、インテグレーションエレメントは、好ましくは、対応する標的配列と高度に相同な十分な数のヌクレオチド(例えば、100~10,000塩基対、好ましくは、400~10,000塩基対、最も好ましくは、800~10,000塩基対)を含み、それにより、相同組換えの確率が高まる。インテグレーションエレメントは、宿主細胞のゲノムにおける標的配列と相同な任意の配列であり得る。さらに、インテグレーションエレメントは、非コード核酸配列であってもよいし、コード核酸配列であってもよい。他方、ベクターは、非相同組換えによって宿主細胞のゲノムにインテグレートされ得る。
【0154】
自己複製のために、ベクターは、ベクターが当該宿主細胞において自律的に複製するのを可能にする複製開始点をさらに含み得る。細菌の複製開始点の例は、P15A ori、または大腸菌における複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19、pACYCl77(このプラスミドはP15A oriを有する)もしくはpACYC184、およびBacillusにおける複製を可能にするpUB110、pE194、pTA1060またはpAMβ1の複製開始点である。酵母宿主細胞において使用するための複製開始点の例は、2ミクロン複製開始点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組み合わせおよびARS4とCEN6との組み合わせである。複製開始点は、宿主細胞において機能する温度感受性にする変異を有する複製開始点であり得る(例えば、Ehrlich,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1433[1978]を参照のこと)。
【0155】
いくつかの実施形態において、遺伝子産物の生成を増加させるために、1コピーを超える本発明の核酸配列が宿主細胞に挿入される。核酸配列のコピー数の増加は、さらなる少なくとも1コピーの配列を宿主細胞ゲノムにインテグレートすることによって、または増幅可能な選択可能マーカー遺伝子を核酸配列とともに含めることによって、得ることができ、それにより、さらなるコピーの核酸配列が得ることができ、ここで、増幅されたコピーの選択可能マーカー遺伝子を含む細胞は、適切な選択可能な作用物質の存在下において細胞を培養することによって選択され得る。
【0156】
本発明において使用するための発現ベクターの多くが、商業的に入手可能である。好適な市販の発現ベクターとしては、p3xFLAGTMTM発現ベクター(Sigma-Aldrich Chemicals)(これは、哺乳動物宿主細胞における発現のためにCMVプロモーターおよびhGHポリアデニル化部位、ならびに大腸菌における増幅のためにpBR322複製開始点およびアンピシリン抵抗性マーカーを含む)が挙げられるがこれに限定されない。他の好適な発現ベクターとしては、pBluescriptII SK(-)およびpBK-CMV(Stratagene)、ならびにpBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)またはpPoly(例えば、Latheら、Gene 57:193-201[1987]を参照のこと)に由来するプラスミドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0157】
したがって、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバリアントPGAをコードする配列を含むベクターは、ベクターの増殖およびバリアントPGAの発現を可能にするために、宿主細胞に形質転換される。いくつかの実施形態において、バリアントPGAは、シグナルペプチドが除去されるように翻訳後修飾され、いくつかの場合では、分泌後に切断され得る。いくつかの実施形態において、上に記載された形質転換された宿主細胞は、バリアントPGAの発現を可能にする条件下において、好適な栄養培地中で培養される。宿主細胞の培養に有用な任意の好適な培地が、本発明において使用され、それらとしては、適切な補充物を含む最少培地または複合培地が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、HTP培地中で生育される。好適な培地は、様々な商業的供給業者から入手可能であるか、または公開されている処方(例えば、American Type Culture Collectionのカタログにおけるもの)に従って調製され得る。
【0158】
別の態様において、本発明は、本明細書中に提供される改善されたPGAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、このポリヌクレオチドは、宿主細胞においてPGA酵素を発現させるための1つまたはそれを超える調節配列に作動可能に連結されている。本発明の発現ベクターによってコードされるPGAポリペプチドを発現させる際に使用するための宿主細胞は、当該分野で周知であり、それらとしては、細菌細胞(例えば、大腸菌、Bacillus megaterium、Lactobacillus kefir、StreptomycesおよびSalmonella typhimurium細胞);真菌細胞(例えば、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCCアクセッション番号201178)));昆虫細胞(例えば、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、CHO、COS、BHK、293およびBowesメラノーマ細胞);および植物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。上に記載された宿主細胞に対する適切な培養液条件および成長条件は、当該分野で周知である。
【0159】
PGAの発現のためのポリヌクレオチドは、当該分野で公知の様々な方法によって細胞に導入され得る。手法としては、とりわけ、エレクトロポレーション、遺伝子銃(biolistic particle bombardment)、リポソーム媒介性トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクションおよびプロトプラスト融合が挙げられる。ポリヌクレオチドを細胞に導入するための様々な方法が、当業者に公知である。
【0160】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真核細胞である。好適な真核生物宿主細胞としては、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞および植物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。好適な真菌宿主細胞としては、Ascomycota、Basidiomycota、Deuteromycota、Zygomycota、不完全菌類が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、真菌宿主細胞は、酵母細胞および糸状菌細胞である。本発明の糸状菌宿主細胞は、EumycotinaおよびOomycota亜門のすべての糸状型を含む。糸状菌は、キチン、セルロースおよび他の複合多糖から構成される細胞壁を有する栄養菌糸を特徴とする。本発明の糸状菌宿主細胞は、酵母と形態学的に異なる。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態において、糸状菌宿主細胞は、任意の好適な属および種であり、それらとしては、Achlya、Acremonium、Aspergillus、Aureobasidium、Bjerkandera、Ceriporiopsis、Cephalosporium、Chrysosporium、Cochliobolus、Corynascus、Cryphonectria、Cryptococcus、Coprinus、Coriolus、Diplodia、Endothis、Fusarium、Gibberella、Gliocladium、Humicola、Hypocrea、Myceliophthora、Mucor、Neurospora、Penicillium、Podospora、Phlebia、Piromyces、Pyricularia、Rhizomucor、Rhizopus、Schizophyllum、Scytalidium、Sporotrichum、Talaromyces、Thermoascus、Thielavia、Trametes、Tolypocladium、Trichoderma、Verticilliumおよび/もしくはVolvariella属、ならびに/またはそれらの有性世代もしくは無性世代、ならびにそれらのシノニム、バシオニム(basionyms)または分類学的等価物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態において、宿主細胞は、Candida、Hansenula、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Pichia、KluyveromycesまたはYarrowia属の種の細胞を含むがこれらに限定されない酵母細胞である。本発明のいくつかの実施形態において、酵母細胞は、Hansenula polymorpha、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces norbensis、Saccharomyces kluyveri、Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia kodamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia quercuum、Pichia pijperi、Pichia stipitis、Pichia methanolica、Pichia angusta、Kluyveromyces lactis、Candida albicansまたはYarrowia lipolyticaである。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態において、宿主細胞は、Chlamydomonas属(例えば、C.reinhardtii)およびPhormidium属(P.sp.ATCC29409)などの藻類細胞である。
【0164】
他のいくつかの実施形態において、宿主細胞は、原核細胞である。好適な原核細胞としては、グラム陽性、グラム陰性およびグラム不定細菌細胞が挙げられるがこれらに限定されない。任意の好適な細菌生物が、本発明において使用され、それらとしては、Agrobacterium、Alicyclobacillus、Anabaena、Anacystis、Acinetobacter、Acidothermus、Arthrobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Brevibacterium、Butyrivibrio、Buchnera、Campestris、Camplyobacter、Clostridium、Corynebacterium、Chromatium、Coprococcus、Escherichia、Enterococcus、Enterobacter、Erwinia、Fusobacterium、Faecalibacterium、Francisella、Flavobacterium、Geobacillus、Haemophilus、Helicobacter、Klebsiella、Lactobacillus、Lactococcus、Ilyobacter、Micrococcus、Microbacterium、Mesorhizobium、Methylobacterium、Methylobacterium、Mycobacterium、Neisseria、Pantoea、Pseudomonas、Prochlorococcus、Rhodobacter、Rhodopseudomonas、Rhodopseudomonas、Roseburia、Rhodospirillum、Rhodococcus、Scenedesmus、Streptomyces、Streptococcus、Synecoccus、Saccharomonospora、Staphylococcus、Serratia、Salmonella、Shigella、Thermoanaerobacterium、Tropheryma、Tularensis、Temecula、Thermosynechococcus、Thermococcus、Ureaplasma、Xanthomonas、Xylella、YersiniaおよびZymomonas属が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、Agrobacterium、Acinetobacter、Azobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Buchnera、Geobacillus、Campylobacter、Clostridium、Corynebacterium、Escherichia、Enterococcus、Erwinia、Flavobacterium、Lactobacillus、Lactococcus、Pantoea、Pseudomonas、Staphylococcus、Salmonella、Streptococcus、StreptomycesまたはZymomonas属の種である。いくつかの実施形態において、細菌宿主株は、ヒトに対して病原性でない。いくつかの実施形態において、細菌宿主株は、工業用株である。数多くの工業用細菌株が公知であり、本発明において適している。本発明のいくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Agrobacterium属の種(例えば、A.radiobacter、A.rhizogenesおよびA.rubi)である。本発明のいくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Arthrobacter属の種(例えば、A.aurescens、A.citreus、A.globiformis、A.hydrocarboglutamicus、A.mysorens、A.nicotianae、A.paraffineus、A.protophonniae、A.roseoparqffinus、A.sulfureusおよびA.ureafaciens)である。本発明のいくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Bacillus属の種(例えば、B.thuringensis、B.anthracis、B.megaterium、B.subtilis、B.lentus、B.circulans、B.pumilus、B.lautus、B.coagulans、B.brevis、B.firmus、B.alkaophius、B.licheniformis、B.clausii、B.stearothermophilus、B.haloduransおよびB.amyloliquefaciens)である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、B.subtilis、B.pumilus、B.licheniformis、B.megaterium、B.clausii、B.stearothermophilusまたはB.amyloliquefaciensを含むがこれらに限定されない工業用Bacillus属株である。いくつかの実施形態において、Bacillus属宿主細胞は、B.subtilis、B.licheniformis、B.megaterium、B.stearothermophilusおよび/またはB.amyloliquefaciensである。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Clostridium属の種(例えば、C.acetobutylicum、C.tetani E88、C.lituseburense、C.saccharobutylicum、C.perfringensおよびC.beijerinckii)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Corynebacterium属の種(例えば、C.glutamicumおよびC.acetoacidophilum)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Escherichia属の種(例えば、大腸菌)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Erwinia属の種(例えば、E.uredovora、E.carotovora、E.ananas、E.herbicola、E.punctataおよびE.terreus)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Pantoea属の種(例えば、P.citreaおよびP.agglomerans)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Pseudomonas属の種(例えば、P.putida、P.aeruginosa、P.mevaloniiおよびP.sp.D-0l 10)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Streptococcus属の種(例えば、S.equisimiles、S.pyogenesおよびS.uberis)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Streptomyces属の種(例えば、S.ambofaciens、S.achromogenes、S.avermitilis、S.coelicolor、S.aureofaciens、S.aureus、S.fungicidicus、S.griseusおよびS.lividans)である。いくつかの実施形態において、細菌宿主細胞は、Zymomonas属の種(例えば、Z.mobilisおよびZ.lipolytica)である。
【0165】
例示的な宿主細胞は、大腸菌W3110である。lacIリプレッサーの支配下のlacプロモーターに作動可能に連結されたプラスミドpCK110900に、改善されたPGAをコードするポリヌクレオチドを作動可能に連結することによって、発現ベクターを作製した。この発現ベクターは、P15a複製開始点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子も含んだ。大腸菌W3110において主題のポリヌクレオチドを含む細胞をクロラムフェニコール選択に供することによって、その細胞を単離した。
【0166】
本発明において使用される多くの原核生物株および真核生物株が、いくつかの菌株保存機関(culture collections)(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection、Northern Regional Research Center(NRRL))から一般大衆に向けて容易に入手可能である。
【0167】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、タンパク質の分泌、タンパク質の安定性、ならびに/またはタンパク質の発現および/もしくは分泌にとって望ましい他の特性を改善する特色を有するように遺伝的に改変される。遺伝的改変は、遺伝子操作法および/または従来の微生物学的手法(例えば、化学的突然変異誘発またはUV突然変異誘発およびその後の選択)によって達成され得る。実際に、いくつかの実施形態において、組換え改変と従来の選択法の組み合わせを用いて、宿主細胞が作製される。宿主細胞内および/または培養液中のPGAバリアントの収量を増加させるように、組換え技術を用いて、核酸分子が導入され得るか、欠失され得るか、阻害され得るか、または改変され得る。例えば、Alp1機能のノックアウトによって、プロテアーゼ欠損の細胞がもたらされ、pyr5機能のノックアウトによって、ピリミジン欠損の表現型を有する細胞がもたらされる。1つの遺伝子操作アプローチでは、相同組換えを用いることにより、インビボにおいて遺伝子を特異的に標的化して、コードされるタンパク質の発現を抑制することによって、標的化された遺伝子改変が誘導される。代替のアプローチでは、siRNA、アンチセンスおよび/またはリボザイム技術が、遺伝子発現の阻害において使用される。細胞におけるタンパク質の発現を減少させるための種々の方法が当該分野で公知であり、それらとしては、タンパク質をコードする遺伝子の全部または一部の欠失、および遺伝子産物の発現または活性を妨害する部位特異的突然変異誘発が挙げられるがこれらに限定されない(例えば、Chaverocheら、Nucl.Acids Res.,28:22 e97[2000];Choら、Molec.Plant Microbe Interact.,19:7-15[2006];Maruyama and Kitamoto,Biotechnol Lett.,30:1811-1817[2008];Takahashiら、Mol.Gen.Genom.,272:344-352[2004];およびYouら、Arch.Micriobiol.,191:615-622[2009](これらのすべてが参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。ランダム突然変異誘発の後の、所望の変異に対するスクリーニングも使用される(例えば、Combierら、FEMS Microbiol.Lett.,220:141-8[2003];およびFironら、Eukary.Cell 2:247-55[2003](これらの両方が参照により援用される)を参照のこと)。
【0168】
ベクターまたはDNA構築物を宿主細胞に導入することは、当該分野で公知の任意の好適な方法を用いて達成することができ、それらの方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、PEG媒介性形質転換、エレクトロポレーション、または当該分野で公知の他の一般的な手法が挙げられるがこれらに限定されない。
【0169】
いくつかの実施形態において、本発明の操作された宿主細胞(すなわち、「組換え宿主細胞」)は、プロモーターを活性化するため、形質転換体を選択するため、またはPGAポリヌクレオチドを増幅するために必要に応じて改変された従来の栄養培地中で培養される。培養条件(例えば、温度、pHなど)は、発現のために選択された宿主細胞とともに以前に用いられたものであり、当業者に周知である。述べたように、細菌、植物、動物(特に、哺乳動物の)および古細菌起源の細胞を含む多くの細胞の培養および作製のための多くの標準的な参考文献および教科書が利用可能である。
【0170】
いくつかの実施形態において、本発明のバリアントPGAポリペプチドを発現する細胞は、回分発酵または連続発酵の条件下で生育される。従来の「回分発酵」は、閉鎖系であり、ここで、培地の組成は、発酵の開始時に設定され、発酵中に人為的な変更(alternations)が行われない。回分系の1つのバリエーションは、「流加発酵」であり、これも本発明において使用される。このバリエーションでは、発酵が進むにつれて、基質を徐々に加える。カタボライトリプレッションが細胞の代謝を阻害する可能性があるとき、および限られた量の基質を培地中に有することが望ましい場合に、流加系は有用である。回分発酵および流加発酵は、当該分野で一般的であり、周知である。「連続発酵」は、開放系であり、規定の発酵培地がバイオリアクターに連続的に加えられ、等量の培養上清が同時にプロセシングのために取り出される。連続発酵は、一般に、細胞が主に対数期増殖にある、一定の高い密度で培養物を維持する。連続発酵系は、定常状態の増殖条件を維持することを目指す。連続発酵プロセスのために栄養分および成長因子を調節するための方法、ならびに生成物の形成速度を最大にするための手法は、工業微生物学の分野で周知である。
【0171】
本発明のいくつかの実施形態において、無細胞転写/翻訳系が、バリアントPGAを生成する際に使用される。いくつかの系が、商業的に入手可能であり、それらの方法は、当業者に周知である。
【0172】
本発明は、バリアントPGAポリペプチドまたはその生物学的に活性なフラグメントを作製する方法を提供する。いくつかの実施形態において、その方法は、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288に対して少なくとも約70%(または少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%)の配列同一性を含みかつ本明細書中に提供されるような少なくとも1つの変異を含むアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞を提供する工程;その形質転換された宿主細胞が、コードされるバリアントPGAポリペプチドを発現する条件下において、それらの宿主細胞を培養液中で培養する工程;ならびに必要に応じて、発現されたバリアントPGAポリペプチドを回収もしくは単離する工程および/または発現されたバリアントPGAポリペプチドを含む培養液を回収もしくは単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、その方法は、必要に応じて、コードされたPGAポリペプチドを発現した後に、形質転換された宿主細胞を溶解する工程、ならびに必要に応じて、発現されたバリアントPGAポリペプチドを細胞溶解産物から回収および/または単離する工程をさらに提供する。本発明はさらに、バリアントPGAポリペプチドを作製する方法を提供し、その方法は、バリアントPGAポリペプチドで形質転換された宿主細胞をバリアントPGAポリペプチドの生成に適した条件下において培養する工程およびそのバリアントPGAポリペプチドを回収する工程を含む。代表的には、PGAポリペプチドの回収または単離は、本明細書中に記載される手法を含む当該分野で周知のタンパク質回収法を用いた、宿主細胞の培養液、宿主細胞またはその両方からの回収または単離である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、遠心分離によって収集され、物理的手段または化学的手段によって破壊され、得られた粗抽出物が、さらなる精製のために保持される。タンパク質の発現において使用される微生物細胞は、任意の好都合な方法によって破壊され得、それらの方法としては、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊および/または細胞溶解剤の使用、ならびに当業者に周知の他の好適な多くの方法が挙げられるがこれらに限定されない。
【0173】
宿主細胞において発現された操作されたPGA酵素は、タンパク質精製のための周知の手法のいずれか1つまたはそれを超える手法(とりわけ、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心分離およびクロマトグラフィーを含む)を用いて、細胞および/または培養液から回収され得る。タンパク質の溶解および大腸菌などの細菌からの高効率抽出にとって好適な溶液は、商品名CelLytic BTM(Sigma-Aldrich)として商業的に入手可能である。したがって、いくつかの実施形態において、得られたポリペプチドは、回収/単離され、必要に応じて、当該分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって精製される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性相互作用、クロマトフォーカシングおよびサイズ排除)または沈殿を含むがこれらに限定されない従来の手順によって栄養培地から単離される。いくつかの実施形態において、所望であれば、成熟タンパク質の配置を完成させる際に、タンパク質リフォールディング工程が用いられる。さらに、いくつかの実施形態において、最後の精製工程において、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が用いられる。例えば、いくつかの実施形態において、当該分野で公知の方法が本発明において使用される(例えば、Parryら、Biochem.J.,353:117[2001];およびHongら、Appl.Microbiol.Biotechnol.,73:1331[2007](これらの両方が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。実際に、当該分野で公知の任意の好適な精製方法が、本発明において使用される。
【0174】
PGAポリペプチドを単離するためのクロマトグラフィー法としては、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動およびアフィニティークロマトグラフィーが挙げられるがこれらに限定されない。特定の酵素を精製するための条件は、当業者に公知の因子(例えば、正味の電荷、疎水性、親水性、分子量、分子の形状など)に部分的に依存する。
【0175】
いくつかの実施形態において、アフィニティー法が、改善されたPGA酵素の単離において使用される。アフィニティークロマトグラフィー精製の場合、PGAポリペプチドに特異的に結合する任意の抗体が使用され得る。抗体を作製する場合、ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない様々な宿主動物にPGAを注射によって免疫し得る。PGAポリペプチドは、側鎖官能基、または側鎖官能基に付着されたリンカーを用いて、BSAなどの好適なキャリアに付着され得る。免疫学的応答を高めるために様々なアジュバントが宿主の種に応じて使用され得、それらのアジュバントとしては、フロイント(完全および不完全)、無機物ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールおよび潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(Bacillus Calmette Guerin)およびCorynebacterium parvum)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0176】
いくつかの実施形態において、PGAバリアントは、その酵素を発現している細胞の形態で、粗抽出物として、または単離もしくは精製された調製物として、調製され、使用される。いくつかの実施形態において、PGAバリアントは、凍結乾燥物として、粉末の形態(例えば、アセトン粉末)で、または酵素溶液として、調製される。いくつかの実施形態において、PGAバリアントは、実質的に純粋な調製物の形態である。
【0177】
いくつかの実施形態において、PGAポリペプチドは、任意の好適な固体基材に付着される。固体基材としては、固相、表面および/または膜が挙げられるがこれらに限定されない。固体支持体としては、有機ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシおよびポリアクリルアミド)ならびにそれらのコポリマーおよびグラフトが挙げられるがこれらに限定されない。固体支持体は、無機でもあり得る(例えば、ガラス、シリカ、コントロールドポアガラス(controlled pore glass)(CPG)、逆相シリカまたは金属(例えば、金または白金))。基材の形状は、ビーズ、球体、粒子、顆粒、ゲル、膜または表面の形態であり得る。表面は、平面、実質的に平面または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または非多孔性であり得、膨張性または非膨張性の特色を有し得る。固体支持体は、ウェル、くぼみ、または他の容器、うつわの形態、特徴もしくは区域の形状をしていることがある。複数の支持体が、ロボットによる試薬送達のためにアドレス可能な、または検出方法および/もしくは検出機器によってアドレス可能な、様々な区域のアレイの形状をしていることがある。
【0178】
いくつかの実施形態において、免疫学的方法を用いて、PGAバリアントが精製される。1つのアプローチでは、従来の方法を用いてバリアントPGAポリペプチド(例えば、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/もしくは1288のいずれかを含むポリペプチドならびに/またはその免疫原性フラグメント)に対して産生された抗体をビーズ上に固定化し、バリアントPGAが結合する条件下において細胞培養液と混合し、沈殿させる。関連するアプローチでは、イムノクロマトグラフィーが使用される。
【0179】
いくつかの実施形態において、バリアントPGAは、非酵素部分を含む融合タンパク質として発現される。いくつかの実施形態において、バリアントPGA配列は、精製促進ドメインに融合される。本明細書中で使用されるとき、用語「精製促進ドメイン」とは、それに融合しているポリペプチドの精製を媒介するドメインのことを指す。好適な精製ドメインとしては、金属キレートペプチド、固定化された金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュール、グルタチオン(例えば、GST)に結合する配列、赤血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する;例えば、Wilsonら、Cell 37:767[1984]を参照のこと)、マルトース結合タンパク質配列、FLAGS伸長/親和性精製システム(例えば、Immunex Corpから入手可能なシステム)において利用されるFLAGエピトープなどが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中に記載される組成物および方法において使用するために企図される1つの発現ベクターは、エンテロキナーゼ切断部位によって分断されたポリヒスチジン領域に融合された本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現を提供する。そのヒスチジン残基は、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー;例えば、Porathら、Prot.Exp.Purif.,3:263-281[1992]を参照のこと)上での精製を促進し、エンテロキナーゼ切断部位は、その融合タンパク質からバリアントPGAポリペプチドを分離するための手段を提供する。pGEXベクター(Promega)を使用して、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させてもよい。一般に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、リガンド-アガロースビーズ(例えば、GST融合物の場合、グルタチオン-アガロース)への吸着に続く遊離リガンドの存在下での溶出によって、溶解された細胞から容易に精製され得る。
【実施例
【0180】
実験
本開示の様々な特徴および実施形態は、以下の代表的な実施例において例証されるが、それらの実施例は、例証的であると意図されているのであって、限定すると意図されているのではない。
【0181】
下記の実験の開示では、以下の省略形が適用される:ppm(百万分率);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度)、uMおよびμM(マイクロモル濃度);nM(ナノモル濃度);mol(モル);gmおよびg(グラム);mg(ミリグラム);ugおよびμg(マイクログラム);Lおよびl(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);umおよびμm(マイクロメートル);sec.(秒);min(s)(分);h(s)およびhr(s)(時間);U(単位);MW(分子量);rpm(毎分回転数);℃(摂氏温度);RT(室温);CDS(コード配列);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);TB(Terrificブロス;12g/Lバクト-トリプトン、24g/L酵母エキス、4mL/Lグリセロール、65mMリン酸カリウム,pH7.0、1mM MgSO);CAM(クロラムフェニコール);PMBS(硫酸ポリミキシンB);IPTG(イソプロピルチオガラクトシド);TFA(トリフルオロ酢酸);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);FIOPC(ポジティブコントロールに対する改善倍率);HTP(ハイスループット);LB(Luriaブロス);Codexis(Codexis,Inc.,Redwood City,CA);Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO);Millipore(Millipore,Corp.,Billerica MA);Difco(Difco Laboratories,BD Diagnostic Systems,Detroit,MI);Daicel(Daicel,West Chester,PA);Genetix(Genetix USA,Inc.,Beaverton,OR);Molecular Devices(Molecular Devices,LLC,Sunnyvale,CA);Applied Biosystems(Applied Biosystems,Life Technologies,Corp.の一部,Grand Island,NY)、Agilent(Agilent Technologies,Inc.,Santa Clara,CA);Thermo Scientific(Thermo Fisher Scientificの一部,Waltham,MA);(Infors;Infors-HT,Bottmingen/Basel,Switzerland);Corning(Corning,Inc.,Palo Alto,CA);およびBio-Rad(Bio-Rad Laboratories,Hercules,CA);Microfluidics(Microfluidics Corp.,Newton,MA,United States of America)。
【0182】
実施例1
組換えPGA遺伝子を含む大腸菌発現宿主
本発明のバリアントを生成するために使用された最初のPGA酵素は、Codex(登録商標)Acylase Panel(Codexis)または共同所有の米国特許仮出願第62/158,118に開示されているバリアントから得た。PGAパネルプレートは、Kluyvera citrophilaの野生型PGAと比べて改善された特性を有する操作されたPGAポリペプチドのコレクションを含む。野生型PGA遺伝子は、54aaスペーサー領域によって連結されたアルファサブユニット(23.8KDa)およびベータサブユニット(62.2KDa)からなるヘテロ二量体である。スペーサー領域が存在するので、活性なタンパク質を形成するためには、自己プロセシング工程が必要である。スペーサー領域を除去するように野生型遺伝子を改変したので、自己プロセシング工程は不要になった。Codex(登録商標)Acylase Panel(Codexis)は、スペーサー領域を欠くPGAバリアントを含む(例えば、米国特許出願公開第2010/0143968A1を参照のこと)。PGAをコードする遺伝子を、laclリプレッサーの支配下のlacプロモーターに作動可能に連結された発現ベクターpCK110900(米国特許出願公開第2006/0195947の図3を参照のこと)にクローニングした。その発現ベクターは、P15a複製開始点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子も含む。得られたプラスミドを、当該分野で公知の標準的な方法を用いて大腸菌W3110に形質転換した。当該分野で公知であるように(例えば、米国特許第8,383,346号およびWO2010/144103を参照のこと)、それらの細胞をクロラムフェニコール選択に供することによって、形質転換体を単離した。
【0183】
実施例2
HTP PGAを含む湿った細胞ペレットの調製
モノクローナルコロニー由来の組換えPGAをコードする遺伝子を含む大腸菌細胞を、96ウェル浅ウェルマイクロタイタープレートのウェル内の、1%グルコースおよび30μg/mLクロラムフェニコールを含む180μlのLBに接種した。それらのプレートをO透過性シールで密封し、培養物を30℃、200rpm、85%湿度で一晩生育した。次いで、10μlの各細胞培養物を、390mLのTBおよび30μg/mLのCAMを含む96ウェル深ウェルプレートのウェルに移した。その深ウェルプレートをO透過性シールで密封し、OD600が0.6~0.8に達するまで、30℃、250rpmおよび85%湿度でインキュベートした。次いで、それらの細胞培養物を、1mMという最終濃度のIPTGによって誘導し、最初に用いた条件と同じ条件下で一晩インキュベートした。次いで、それらの細胞を、10分間の4000rpmの遠心分離を用いてペレットにした。上清を廃棄し、ペレットを、溶解する前に-80℃で凍結した。
【0184】
実施例3
HTP PGA含有細胞溶解産物の調製
まず、10mM Tris-HCl緩衝液,pH7.5、1mg/mLリゾチームおよび0.5mg/mL PMBSを含む200μlの溶解緩衝液を、実施例2に記載したように生成された各ウェル内の細胞ペーストに加えた。それらの細胞を、卓上振盪機上で振盪しながら、室温で2時間溶解した。次いで、プレートを4000rpm、4℃において15分間遠心した。透明の上清を生体触媒反応において使用して、活性レベルを測定した。
【0185】
実施例4
振盪フラスコ(SF)培養物からの凍結乾燥された溶解産物の調製
上に記載されたように生育された選択されたHTP培養物を、1%グルコースおよび30μg/ml CAMを含むLB寒天プレート上にプレーティングし、37℃で一晩生育した。各培養物からのシングルコロニーを、1%グルコースおよび30μg/ml CAMを含む6mlのLBに移した。それらの培養物を30℃、250rpmにおいて18時間生育し、最終的なOD600が0.05になるまで、30μg/ml CAMを含む250mlのTBにおよそ1:50で継代培養した。それらの培養物を、30℃、250rpmにおいておよそ195分間、OD600が0.6~0.8になるまで生育し、1mM IPTGで誘導した。次いで、それらの培養物を30℃、250rpmにおいて20時間生育した。それらの培養物を4000rpm×20分間遠心した。上清を廃棄し、ペレットを30mlの20mM TRIS-HCl,pH7.5に再懸濁した。それらの細胞をペレットにし(4000rpm×20分)、-80℃で120分間凍結した。凍結したペレットを30mlの20mM TRIS-HCl pH7.5に再懸濁し、マイクロフルダイザーシステム(Microfluidics)を18,000psiで使用して溶解した。それらの溶解産物をペレットにし(10,000rpm×60分)、上清を凍結し、凍結乾燥して、振盪フラスコ(shake flake)(SF)酵素を生成した。
【0186】
実施例5
三保護インスリンのB29位での脱アシル化における配列番号8を超える改善
B29脱アシル化産物を生成するために、米国特許仮出願第62/158,118に開示されているバリアントのスクリーニングの後、親酵素として配列番号8を選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された手法(例えば、飽和突然変異誘発、予め特定された有益な変異の組換え)を用いて作製した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。各バリアントを、5g/L A1/B1/B29トリ-フェニルアセテートインスリン、200mM Tris緩衝液pH=8.3および40μLの粗溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において3時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、100rpmのThermotron(登録商標)振盪機においてインキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルまたはジメチルアセトアミドでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、水で2倍希釈し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0187】
配列番号8と比べたときの活性(活性FIOP)を、配列番号8によってもたらされた変換パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の変換パーセントとして計算し、表5.1に示した。この変換パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【表5-1】
【0188】
実施例6
三保護インスリンのB29位での脱アシル化における配列番号14を超える改善
実施例5に記載されたバリアントのスクリーニングの後、親酵素として配列番号14を選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された手法(例えば、飽和突然変異誘発、予め特定された有益な変異の組換え)を用いて作製した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。
【0189】
各バリアントを、10g/L A1/B1/B29トリ-フェニルアセテートインスリン、200mM Tris緩衝液pH=8.3および20μLの粗溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において24時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、100rpmのthermotron振盪機においてインキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルまたはジメチルアセトアミドでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、水で2倍希釈し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0190】
配列番号14と比べたときの活性(活性FIOP)を、配列番号14によってもたらされた変換パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の変換パーセントとして計算し、表6.1に示した。この変換パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【表6-1-1】
【表6-1-2】
【表6-1-3】
【表6-1-4】
【表6-1-5】
【表6-1-6】
【0191】
実施例7
三保護インスリンのB29位での脱アシル化における配列番号300を超える改善
実施例6に記載されたバリアントのスクリーニングの後、親酵素として配列番号300を選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された手法(例えば、飽和突然変異誘発、予め特定された有益な変異の組換え)を用いて作製した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。
【0192】
各バリアントを、50g/L A1/B1/B29トリ-フェニルアセテートインスリン、200mM Tris緩衝液pH=8.3および2.5μLの粗溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において24時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、100rpmのthermotron振盪機においてインキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルまたはジメチルアセトアミドでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、水で2倍希釈し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0193】
配列番号300と比べたときの活性(活性FIOP)を、配列番号300によってもたらされた変換パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の変換パーセントとして計算し、表7.1に示した。この変換パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【表7-1-1】
【表7-1-2】
【表7-1-3】
【表7-1-4】
【表7-1-5】
【表7-1-6】
【0194】
実施例8
三保護インスリンのA1位での脱アシル化における配列番号1262または1288を超える改善
Codex(登録商標)Acylase Panel(Codexis)からのバリアントおよび米国特許仮出願第62/158,118に開示されているバリアントをスクリーニングすることにより、配列番号1262および1288バリアントが、A1/B1/B29トリ-フェニルアセテートインスリンからA1位の保護基を除去する最善の酵素として特定された。三保護されたインスリンをA1位において脱アシル化するための、改善された活性および化学選択性を標的化するライブラリーに対する親酵素として、配列番号1262を含むバリアントを選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された手法(例えば、飽和突然変異誘発、予め特定された有益な変異の組換え)を用いて作製した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。各バリアントを、5g/L A1/B1/B29トリ-フェニルアセテートインスリン、0.1M Tris-HCl緩衝液pH=8.0、17g/Lフェニル酢酸メチルおよび80μLの可溶性溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において5時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、100rpmのThermotron(登録商標)振盪機においてインキュベートした。それらの反応物を、300μlのアセトニトリルでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0195】
配列番号1262または1288と比べたときの変換パーセント(変換パーセントFIOP)を、配列番号1262または1288によってもたらされた変換パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の変換パーセントとして計算し、表8.1および8.2に示した。この変換パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【0196】
配列番号1262または1288と比べたときの選択性パーセント(選択性パーセントFIOP)を、配列番号1262または1288によってもたらされた選択性パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の選択性パーセントとして計算し、表8.1および8.2に示した。この選択性パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【表8-1-1】
【表8-1-2】
【表8-2-1】
【表8-2-2】
【0197】
実施例9
三保護インスリンのA1位での脱アシル化における配列番号1036を超える改善
実施例8に記載されたバリアントのスクリーニングの後、親酵素として配列番号1036を選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された手法(例えば、飽和突然変異誘発、予め特定された有益な変異の組換え)を用いて作製した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。
【0198】
各バリアントを、5g/L A1/B1/B29トリ-フェニルアセテートインスリン、200mM Tris緩衝液pH=8.0および10μLの可溶性溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において5時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、100rpmのThermotron(登録商標)振盪機においてインキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルまたはジメチルアセトアミドでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、水で2倍希釈し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0199】
配列番号1036と比べたときの変換パーセント(変換パーセントFIOP)を、配列番号1036によってもたらされた変換パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の変換パーセントとして計算し、表9.1に示した。この変換パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、定量された。
【0200】
配列番号1036と比べたときの選択性パーセント(選択性パーセントFIOP)を、配列番号1036によってもたらされた選択性パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の選択性パーセントとして計算し、表9.1に示した。この選択性パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、定量された。
【表9-1-1】
【表9-1-2】
【0201】
実施例10
三保護インスリンのA1位での脱アシル化における配列番号1194を超える改善
実施例9に記載されたバリアントのスクリーニングの後、親酵素として配列番号1194を選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された手法(例えば、飽和突然変異誘発、予め特定された有益な変異の組換え)を用いて作製した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。
【0202】
各バリアントを、15g/L A1/B1/B29トリ-フェニルアセテートインスリン、200mM Tris緩衝液pH=8.0および10μLの可溶性溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において5時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、100rpmのthermotronにおいてインキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルまたはジメチルアセトアミドでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、水で2倍希釈し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0203】
配列番号1194と比べたときの変換パーセント(変換パーセントFIOP)を、配列番号1194によってもたらされた変換パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の変換パーセントとして計算し、表10.1に示した。この変換パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【0204】
配列番号1194と比べたときの選択性パーセント(選択性パーセントFIOP)を、配列番号1194によってもたらされた選択性パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の選択性パーセントとして計算し、表10.1に示した。この選択性パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【表10-1-1】
【表10-1-2】
【0205】
実施例11
A1、B1およびB29位でのインスリンのアシル化の改善
Codex(登録商標)Acylase Panel(Codexis)におけるバリアントおよび米国特許仮出願第62/158,118に開示されているバリアントから選んだものを、A1、B1およびB29位においてインスリンをアシル化する能力についてスクリーニングした。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。
【0206】
各バリアントを、10g/Lインスリン、0.1M CHES緩衝液pH=10、17g/Lフェニル酢酸メチルおよび20μLの可溶性溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において20時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、300rpmのThermothron(登録商標)振盪機においてインキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0207】
変換パーセント(%変換)は、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって計算された。選択性パーセント(%選択性)は、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって計算された。結果は、図2に提供されている。
【0208】
実施例12
配列番号1288と比べたときの、A1、B1およびB29位におけるインスリンのアシル化の改善
実施例11に記載されたバリアントをスクリーニングし、インスリンをB29位においてアシル化する際の最善の酵素を特定した後に、親酵素として配列番号1288を選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立された手法(例えば、飽和突然変異誘発、予め特定された有益な変異の組換え)を用いて作製した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで作製し、可溶性の溶解産物を、実施例3に記載したように生成した。
【0209】
各バリアントを、10g/Lインスリン、0.1M TRIS緩衝液pH=9.25、20%アセトニトリル、17g/Lフェニル酢酸メチルおよび10μLの浄化された溶解産物を含む200μLの反応物中で30℃において5時間スクリーニングした。96ウェルプレートをヒートシールし、100rpmのThermotron(登録商標)振盪機においてインキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0210】
配列番号1288に対する変換パーセント(変換パーセントFIOP)を、配列番号1288によってもたらされた変換パーセントに対する、バリアントによって形成された生成物の変換パーセントとして計算し、表12.1、12、2、12,3、12.4、12.5、12.6および12.7に示した。この変換パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、基質、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【0211】
配列番号1288に対する選択性パーセント(選択性パーセントFIOP)を、配列番号1288によってもたらされた選択性パーセントに対する、バリアントによって形成される生成物の選択性パーセントとして計算し、表12.1、12、2、12,3、12.4、12.5、12.6および12.7に示した。この選択性パーセントは、HPLC解析によって観察された、生成物ピークの面積を、生成物および不純物/副生成物ピークの面積の合計で除算することによって、計算された。
【表12-1-1】
【表12-1-2】
【表12-2-1】
【表12-2-2】
【表12-2-3】
【表12-3-1】
【表12-3-2】
【表12-3-3】
【表12-3-4】
【表12-3-5】
【表12-4-1】
【表12-4-2】
【表12-4-3】
【表12-5-1】
【表12-5-2】
【表12-5-3】
【表12-5-4】
【表12-5-5】
【表12-5-6】
【表12-6-1】
【表12-6-2】
【表12-6-3】
【表12-7-1】
【表12-7-2】
【表12-7-3】
【表12-7-4】
【表12-7-5】
【0212】
実施例13
代替アシルドナーによるインスリンのアシル化
フェニル酢酸メチルに対する代替物として(メチル2-(4-ヒドロキシフェニル)アセテートまたは2-(4-ヒドロキシフェニル)アセトアミド)を用いて、表13.1に列挙される5つのバリアントのアシル化を評価した。振盪フラスコ粉末を、実施例4に記載したように生成した。96ウェル深ウェルプレート(各々が、0.1M CHES,pH10、5%アセトニトリル、15g/Lインスリン、26g/Lアシルドナー(メチル2-(4-ヒドロキシフェニル)アセテートまたは2-(4-ヒドロキシフェニル)アセトアミド)および1g/Lの凍結乾燥された酵素粉末を含む200μLを含む)において反応を行った。HTPプレートを、ヒートシールし、30℃、300rpmのThermotron(登録商標)振盪機(3mm距離,モデル#AJ185,Infors)において2時間インキュベートした。それらの反応物を、200μlのアセトニトリルでクエンチし、卓上振盪機を用いて5分間混合した。次いで、プレートを4000rpmで5分間遠心し、解析のためにHPLCにローディングした。
【0213】
各バリアントの活性を、HPLC解析によって測定された、すべての生成物ピークの面積を、基質および様々なインスリン生成物の面積の合計で除算することによって定量された変換パーセントとして計算する。
【表13-1】
【0214】
実施例14
インスリンおよびそのアシル化産物の分析的検出
実施例5~12に記載されたデータは、表14.1、14.2、14.3、14.4および14.5における分析方法を用いて収集された。本明細書中に提供される方法はすべて、本発明を用いて生成されたバリアントを解析する際に使用される。図1に示されている結果は、これらの方法に対する化合物の溶出順に対応する。
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【表14-4】
【表14-5】
【0215】
本願において引用されたすべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、各個別の刊行物、特許、特許出願または他の文書があらゆる目的のために参照により援用されると個別に示されたのと同程度に、それらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0216】
様々な具体的な実施形態を例証し、説明してきたが、本発明の真意および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが認識されるだろう。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または1288と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を有する、操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目2)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号4、8、14、300、1036、1194、1262および/または12884を含む、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目3)
前記ペニシリンGアシラーゼが、表5.1、6.1、7.1、8.1、8.2、9,1、10.1、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6および/または12.7に示される少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目4)
前記ペニシリンGアシラーゼが、表5.1、6.1、7.1、8.1、8.2、9,1、10.1、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6および/または12.7に示されるポリペプチド配列を含む、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目5)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号8と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、27、27;28;71;74;547、27;71;74;484;547;584;697、71;74、129、253、254、256、348、352、372、373、374、380、380;457、386;390、386;390、386、387;390、451、457、467、470、474、616、623、704、706および708から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号8を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目6)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号14と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、9、9;103;119;131;233;312;324;432;444;494、9;103;119;131;324;432;494;646、9;103;119;131;233;269;304;444;494;646、9;103;119;131;304;324;432;444;494;646、9;103;119;233;646、9;103;119;494、9;103;233;312;646、9;103;233;432;646、9;103;233;494、9;103;269;304;324;494;646、9;103;304;432;444;646、9;119;131;233、9;119;131;233;304;444;646、9;119;131;233;494;646、9;119;131;233;494;661、9;119;131;312;444;646、9;119;131;432;444;646、9;119;233;269;273;304;312;432;444;646、9;119;233;494;646、9;119;304;444;494;646、9;131;233;269;273;312;432;444;646、9;233;273;304;494;646、9;233;304;494;646、9;233;312;432;646、9;233;494;646、9;312;444;646、9;432;444;494;646、9;494;646、28;374;380、103;119;131;233;273;304;324;432;444;494;646、103;119;131;233;304;312;432;494;646;661、103;119;131;269;312;494;646、103;119;233、103;119;233;273;432、103;119;233;304;646、103;119;233;312;646、103;119;494;646;661、103;119;646、103;131;233;304;324;444;646、103;131;269;273;444;646、103;233;273;312;324;432;444;646、103;233;273;312;432;444;646、103;269;273;444;646、103;273;304;324;444;494、103;312;444;646、103;444;494;646、119;131;444;646;661、119;131;494、119;131;646、119;131;304;432;444;646;661、119;131;444、119;233;304;312;324;432;444;646、119;233;304;646、119;233;312、119;233;646、119;269;273;312;324;494;646、119;269;273;312;432;444;646、119;273;324;444;494;646、119;312;444;646、119;432;444;646、129;254;348;457;704、129;348、129;348;467;470;704;708、129;348;470;623;704;706、129;348;470;623;704;706;708、129;380;470、129;457;470;474、129;470、129;623、131;233;273;646、131;233;304;444、131;233;432;646、131;273;432;444;494;646、185、233;269;304;312;324;432;444;646、253、253;256、253;256;352;373;374;616、253;256;352;374;380;451、253;256;374;451、253;256;380;451;616、253;352;374;616、253;352;451;616、253;373;451、253;374;451、253;374;451;623、253;451、253;451;457、253;254;352;374;380、253;256、253;256;352;374;451、253;256;352;380;451;616、253;256;352;451、253;256;352;374;380;451、253;256;352;380、253;256;373、253;256;374;616、253;256;380、253;256;380;451;546;616、253;352;373;374;451、253;352;373;374;451;616、253;352;374;616、253;352;623、253;373;374;451;616、253;380、254;255;352、254;256;352;451、254;256;373;374;380;451、254;256;374、254;256;374;451、254;256;451、254;352;380、254;256;380;451;616、254;352;380;451、254;352;451、254;373;374;380;451、254;373;374;451、254;374、254;374;380、254;380、254;451、254;616、256;352;374、256;352;380;451;616、256;374;380;451;616、256;374;616、273;312;444;646、304;312;444;646、312;444;646、312;646、348、348;372;470;623;708、348;704;708、352、352;373;374;451、352;373;380;451、352;373;380;451;616、352;373;451、352;374、352;374;380、352;374;380;451;616、352;374;451、352;374;616、352;380、352;380;451、352;380;451;616、352;380;451;623、352;380;616、352;451、352;451;616、352;616、372;457;470;623、373;374、373;374;451、373;451、373;616、374、374;380、374;380;451、374;380;451;623、374;451、374;451;616、374;616、374;623、380、380;451、380;451;616、380;451;623、380;616、380;616;623、380;623、415、443、444、444;494、444;646、451、451;616、451;623、457、457;470、457;704;708、470;708、492;493、517、560、616、623、723および748から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号14を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目7)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号300と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、9;61;444、9;168;185;517;560;748、9;185;415、9;185;415;443;444;517;723;748、9;185;415;443;444;517;560、9;185;415;443;444;517;748、9;185;415;444;517;723;748、9;185;415;444;517;748、9;185;415;444;517;560、9;185;415;444;517;560;723;748、9;185;415;444、9;185;415;444;560、9;185;415;444;723;748、9;185;415;444;517;560;723;748、9;185;415;517;560、9;185;415;517;723、9;185;415;517;748、9;185;415;748、9;185;443;444;517;560、9;185;443;444;723、9;185;443;444;560;723、9;185;443;444;517、9;185;444、9;185;444;517;560、9;185;444;560;723、9;185;444;560;748、9;185;444;517;560、9;185;444;517;560;723、9;185;444;517;560;748、9;185;444;517;723;748、9;185;444;560、9;185;444;723、9;185;444;517;560;723、9;185;517、9;185;517;560;723;748、9;185;748、9;415;443;444;517;560、9;415;443;444;517;748、9;415;443;444;560;723;748、9;415;443;444;517;560、9;415;443;444;517;560;723、9;415;443;444;517;748、9;415;443;560、9;415;443;560;723;748、9;415;444、9;415;444;517;560;748、9;415;444;517、9;415;444;517;560;723;748、9;415;444;560;723;748、9;415;444;723;748、9;415;444;517、9;415;444;517;560;723;748、9;415;444;560;723、9;415;444;517、9;415;444;517;560;748、9;415;444;517、9;415;444;560、9;415;444;560、9;415;444;517;560;723、9;415;444;560、9;415;444;560;665;723;748、9;415;444;723;748、9;415;517、9;415;517;560;723;748、9;415;517;560;723;748、9;415;517;560;748、9;415;560、9;415;748、9;443;444;517;560;723、9;443;444;560、9;443;444;560;723;748、9;443;444;517、9;443;444;560;723、9;443;444;517、9;443;444;517;560、9;443;444;517;748、9;443;517;748、9;443;723、9;444;517;560、9;444;560;723、9;444;748、9;444;517;560;723;748、9;444;560、9;444;560;723、9;444;560;748、9;444;560;748、9;444;748、9;444;517;560;723;748、9;444;517、9;444;517;560;723、9;444;517;723、9;444;560;748、9;444;723、9;444、9;444;517;560、9;517、9;517;560;723、9;517;560;748、9;517;560;748、9;517;723、9;517;748、9;560;723;748、9;723、103、103;119、103;119;129;254;256;348;494;646、103;119;129;444;494、103;119;254;348、103;119;254;348;444、103;119;254;444、103;119;256;348;444;494;646、103;119;256;494、103;119;348、103;119;348;457、103;119;348;457;494、103;119;457、103;119;494、103;119;494;646、103;129、103;129;254;444;457;494、103;129;256;348、103;129;348;646、103;254、103;254;256;348;444;494、103;254;646、103;254;348、103;254;348;494、103;256、103;256;444、103;256;457、103;256;494、103;348、103;348;444、103;348;494、103;444、103;494、103;494;646、119;129;254;348;494、119;129;254;457;494、119;129;256;348;457、119;254;348;457、119;256;348、119;256;348;494、119;256;444、119;348、119;348;494、185;415;443;444;517;560、185;415;443;444;517、185;415;444;517;560;748、185;415;444;517;748、185;415;444;560、185;415;560、185;415;560;723、185;415;723;748、185;443;444;560、185;444;446;517;560、185;444;517;560、185;444;517;560;723;748、185;444;517;723、185;444;560、185;517;560;723、185;560、185;560;723、185;560;748、254;457、256;348、256;494、348、348;444、348;444;646、348;457、348;494、415、415;443;444;517;748、415;443;444;560、415;443;517;560;723、415;443;517;723、415;444;723、415;444;517、415;444;517;560;723;748、415;444;517;560;748、415;444;560;723、415;444;517;560;723、415;444;517;723;748、415;517;560;723;748、415;444;560、415;444;560;748、415;444、415;517、415;517;560、415;517;560;748、415;560;723、415;723;748、415;723;748、415;748、443;444;517;560;723;748、443;444;517;748、443;444、443;444;560、443;444;723、443;517、444、444;517;560、444;517;748、444;748、444;517;560;723;748、444;560;723、444;560、444;560;723、444;517、444;517;560、444;517;723;748、444;560;748、444;723、444;517;560、444;560;723、517;560、517;560;748、517;723、517;748、517;748、560、723および723;748から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号300を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目8)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号1262と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、24、24;27;28;701;729、24;28;56;308;379;701、24;28;56;701、24;28;71;701、24;28;321;701、24;28;457;701、24;31;56;386;701、24;31、24;31;56;697、24;31;56;701、24;31;56;264;701;750、24;31;71;701、24;56;154;270;697、24;56;697;701、24;56;701、24;71;701、24;225;701、24;484;701、24;28、28;31、31;56;701、56;71;701、56;119;146;701、56;154;701、56;322;697;701、56;658;701、56;697;701、56;701、56;701;711、697、697;701、71;74、71;701、129;511;701、154;754、177、410;697;701、423;701、431、697および701から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号1262を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目9)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号1288と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、22、31、31;56;264;308;379;484;547;711;750、32、50、57、69;74、71、71;74、71;74;129、71;74;145、71;74;248、71;74;470、71;149、75、141および394から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号1288を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目10)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号1036と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、2、47、176、253、255、384、460、467、536および623から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号1036を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目11)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号1194と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、12;103;119;131;233;384;444;494;S646、12;103;119;131;233;444;494;S646、12;103;119;233;384;444;494;S646、12;103;119;233;444;467;494;S646、12;103;119;233;444;494;536;S646、12;103;119;233;444;494;S646、12;103;131;233;444;467;494;S646、12;103;131;233;444;494;S646、12;103;233;444;494;S646、12;119;233;384;444;494;S646、28;264;384;467;484;536;547、103;119;131;233;384;444;494;S646、103;119;233;444;494;S646、103;233;444;494;S646、264;384;467;484;536;547、384;467;484;536;547および668から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号1194を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目12)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号1288と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、20;709、27、27;74;253;254、27;74;253;254;255;348;369;370;381、27;74;253;254;255;348;370;384、27;74;253;254;255;369;370、27;74;253;254;255;370、27;74;253;254;255;370;381;384、27;74;253;254;255;381、27;74;253;254;348、27;74;253;254;384、27;74;253;255、27;74;253;255;348;370;384、27;74;253;255;348;381、27;74;253;255;348;384、27;74;253;348;369;370、27;74;253;348;369;370;381、27;74;253;348;369;370;381;384、27;74;253;348;370、27;74;253;381;384、27;74;253;384、27;74;254;255;348、27;74;254;255;348;369;370;381、27;74;254;255;348;370、27;74;254;255;348;381、27;74;254;255;381、27;74;254;348;381;384、27;74;254;369;370、27;74;255;348、27;74;255;348;369;370、27;74;255;348;369;381;384、27;74;255;370、27;74;348、27;74;369;370、27;74;107;255;348;369;370、27;74;253、27;74;253;254;255、27;74;253;254;255;348;370、27;74;253;254;348;369;370;381、27;74;253;254;348;369;384、27;74;253;254;348;370、27;74;253;254;348;370;381、27;74;253;254;369、27;74;253;254;370;381、27;74;253;255;348;369;370、27;74;253;255;370、27;74;253;348、27;74;253;348;370;381;384、27;74;253;369;381;384、27;74;254、27;74;254;255;348;369;381、27;74;254;255;348;370;381、27;74;254;255;369、27;74;254;348、27;74;254;348;369;381;384、27;74;254;348;370、27;74;254;348;370;381、27;74;254;384、27;74;255;348;370、27;74;348;384、27;74;253;254;255;348;369;370、27;74;253;254;348;369、27;74;253;254;348;369;370、27;74;253;254;348;370;381;384、27;74;253;254;348;381;384、27;74;253;370、27;74;254;255;348;369;370、27;74;254;255;348;381;384、27;74;370、27;74;253;254;255;348、27;74;253;255;348;370;381、27;74;253;255;384、27;74;253;348;369;370;384、27;74;253;348;381、27;74;254;255;348;369;384、27;74;254;255;348;370;381;384、27;74;254;255;370、27;74;254;348;381、27;74;254;369;384、27;74;255、27;74;255;348;369;381、27;74;348;370、27;74;369;370;381;384、27;253、27;253;254、27;253;254;255、27;253;254;255;260;348;381;384、27;253;254;255;348、27;253;254;255;348;369;370;381;384、27;253;254;255;348;369;384、27;253;254;255;348;370、27;253;254;255;348;370;384、27;253;254;255;348;381;384、27;253;254;348、27;253;254;348;370;381、27;253;254;348;370;384、27;253;254;348;381、27;253;254;348;381;384、27;253;254;348;384、27;253;254;381、27;253;254;381;384、27;253;254;384、27;253;255;348、27;253;255;348;369;370、27;253;255;348;381、27;253;255;348;384、27;253;255;370、27;253;255;370;381;384、27;253;348、27;253;348;370;381;384、27;253;348;370;384、27;253;348;381;384、27;253;369;370、27;253;381;384、27;254;255、27;254;255;348、27;254;255;348;369;370、27;254;255;348;370、27;254;255;348;370;381、27;254;255;348;370;381;384、27;254;255;348;370;384、27;254;255;369;370;381;384、27;254;255;370、27;254;255;381;384、27;254;255;384、27;254;348;369;370;381;384、27;254;348;370、27;254;348;381;384、27;254;348;384、27;254;369;381;384、27;254;449、27;254;470、27;255;348、27;255;348;370、27;255;348;370;381;384、27;255;348;381;384、27;255;370、27;348、27;348;369;370;381;384、27;348;381、27;348;384、69、74;253;254;369;370、74;254;255;348;384、84、128、131、132、133、134、253、253;348;370、254、255、255;348;370、256、317;380、348;467、370、373、377、381、381;672、383、384、388、453、457、467、472、615、616、618、619、620、623、627、701、705、706、708および709から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号1288を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目13)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号1262と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含み、24;31;56;701、24;31;56;701、24;31;71;701、24;56;701および71;74から選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換または置換セットを含み、ここで、前記位置は、配列番号1262を基準としてナンバリングされている、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目14)
前記ペニシリンGアシラーゼが、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成することができる、項目1~14のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目15)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号4~1902の偶数番号の配列に提供されている少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目16)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および/または1287と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリヌクレオチド配列によってコードされる、項目1に記載の操作されたペニシリンGアシラーゼ。
(項目17)
項目1~16のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼをコードする、操作されたポリヌクレオチド配列。
(項目18)
操作されたペニシリンGアシラーゼをコードする、操作されたポリヌクレオチド配列であって、前記操作されたポリヌクレオチド配列は、配列番号3~1901の奇数番号の配列に提供されている少なくとも1つの配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一である、操作されたポリヌクレオチド配列。
(項目19)
配列番号3、7、13、299、1035、1193、1261および/または1287と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一のポリペプチド配列を含む操作されたペニシリンGアシラーゼをコードする、操作されたポリヌクレオチド配列。
(項目20)
項目17~19のいずれかに記載のポリヌクレオチド配列を含む、ベクター。
(項目21)
項目11に記載のベクターを含む、宿主細胞。
(項目22)
前記宿主細胞が、原核細胞または真核細胞である、項目12に記載の宿主細胞。
(項目23)
前記原核宿主細胞が、大腸菌である、項目13に記載の宿主細胞。
(項目24)
項目1~16のいずれかに提供されている少なくとも1つの操作されたペニシリンGアシラーゼを含む、組成物。
(項目25)
項目1~16のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼを生成するための方法であって、項目22および/または項目23に記載の宿主細胞を、前記操作されたペニシリンGアシラーゼが生成されるような条件下で培養する工程を含む、方法。
(項目26)
フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法であって、i)項目1~16のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または項目24に記載の組成物、ならびにA1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を含むインスリンを提供する工程;およびii)前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、前記A1、B1および/またはB29トリ-フェニルアセテート保護基を前記インスリンから除去することによって、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼを、A1/B1/B29トリ-フェニルアセテート保護基を含む前記インスリンに曝露する工程を含む、方法。
(項目27)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB1トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB29トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、項目26に記載の方法。
(項目30)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1、B1およびB29トリ-フェニルアセテート保護基を除去する、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、配列番号2のポリペプチドによるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンの生成と比べて、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える、またはそれを超えて多い、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成する、項目26~29のいずれかに記載の方法。
(項目32)
項目26~31のいずれかに記載の方法に従って生成された、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを含む、組成物。
(項目33)
フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法であって、i)項目1~16のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または項目24に記載の組成物、ならびに遊離インスリンを提供する工程;およびii)前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、A1、B1および/またはB29位をアシル化することによって、一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼを前記インスリンに曝露する工程を含む、方法。
(項目34)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1位をアシル化する、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB1位をアシル化する、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB29位をアシル化する、項目33に記載の方法。
(項目37)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1、B1およびB29位をアシル化する、項目33に記載の方法。
(項目38)
前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、配列番号2のポリペプチドによるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンの生成と比べて、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える、またはそれを超えて多い、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成する、項目32に記載の方法。
(項目39)
項目33~38のいずれかに記載の方法に従って生成された、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを含む、組成物。
(項目40)
フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するための方法であって、i)項目1~16のいずれかに記載の操作されたペニシリンGアシラーゼおよび/または項目24に記載の組成物、ならびにインスリンを提供する工程;およびii)前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、A1、B1および/またはB29トリ-フェニルアセテート保護基を前記インスリンに付加することによって、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成するような条件下で、前記操作されたペニシリンGアシラーゼを前記インスリンに曝露する工程を含む、方法。
(項目41)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB1トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのB29トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、項目40に記載の方法。
(項目44)
前記ペニシリンGアシラーゼが、前記インスリンのA1、B1およびB29トリ-フェニルアセテート保護基を付加する、項目40に記載の方法。
(項目45)
前記操作されたペニシリンGアシラーゼが、配列番号2のポリペプチドによるフェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンの生成と比べて、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える、またはそれを超えて多い、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを生成する、項目40~44のいずれかに記載の方法。
(項目46)
項目40~45のいずれかに記載の方法に従って生成された、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを含む、組成物。
(項目47)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号837または1219を含む、項目26~31、33~38および/または40~45のいずれかに記載の方法。
(項目48)
前記ペニシリンGアシラーゼが、配列番号897または1859を含む、項目26~31、33~38および/または40~45のいずれかに記載の方法。
(項目49)
項目26~31、33~38および/または40~45のいずれかに記載の少なくとも1つの方法に従って生成された、フェニルアセテートで一保護または二保護されたインスリンを含む、組成物。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
【配列表】
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