(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】カードシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 1/02 20060101AFI20220824BHJP
A63F 1/06 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A63F1/02 A
A63F1/06 Z
(21)【出願番号】P 2019227395
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】511037632
【氏名又は名称】学校法人実践女子学園
(74)【代理人】
【識別番号】100142136
【氏名又は名称】深澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】須賀 由紀子
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3221161(JP,U)
【文献】登録実用新案第3147318(JP,U)
【文献】実開昭53-023365(JP,U)
【文献】実開平02-030379(JP,U)
【文献】登録実用新案第3116079(JP,U)
【文献】特開2007-226163(JP,A)
【文献】登録実用新案第3153275(JP,U)
【文献】実開平3-111373(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/00- 1/18
B42D15/00-15/08
G09B19/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一語句が表面に記載された第一カードと、
第二語句が表面に記載された第二カードと、
を備えるカード群を複数備え、
コミュニティに関連するテーマに対して設定された複数のカテゴリーに対し、各カテゴリーが各々複数のキーワードを有し、
これらキーワードの意味の理解のために前記キーワード毎に作成された語句が分割されて前記第一語句及び前記第二語句を構成するカードシステム。
【請求項2】
前記カテゴリーに属する前記カード群の表面に、前記カテゴリー別に色分けされた色部が配された請求項1に記載のカードシステム。
【請求項3】
前記キーワードに関連する識別標識が前記カード群の表面にそれぞれ配された請求項1又は2に記載のカードシステム。
【請求項4】
一の前記第一語句及び前記第二語句が、一の前記キーワードとともに記載された対応表 を備える請求項1から3の何れか一つに記載のカードシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様性を有する地域や組織内のコミュニケーションを向上させるツールとしてのカードシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の日本では、家族構成の変化、住まい方の変化などから、かつてあった近隣の助け合いや人とのつながりが希薄になっている。また、少子高齢化が急速にすすむにつれ、地域の人々がつながり合うコミュニティとしての町会・自治会の加入率は低迷し、もはや地域コミュニティの要とはなりえていない。そこで、地域の中で、子どもから高齢者まで、誰もが安心して過ごし、つながり共感できる場を意識的に作り出していくためには、コミュニティカフェ(サロン)など、多様な地域の居場所を増やすことが重要となっている。そのため、コミュニティカフェ(サロン)などでは、交流も生まれやすく、人が集まるきっかけになる交流イベント等のプログラムを実施していくことが多い(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ご近所SNS「マチマチ」、「各地域の「コミュニティカフェ」から学ぶ、"拠点"を通じて地域住民をつなげる取り組み」、[online]、平成29年5月1日、ご近所未来ラボbyご近所SNSマチマチ、[令和1年12月16日検索]、インターネット <URL:http://lab.machimachi.com/entry/cafe>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コミュニティカフェ(サロン)などを立ち上げたとしても、利用者の固定化や運営(主宰)者自身の高齢化、運営内容の硬直化などを理由として、そうした場でのイベントやプログラムの継続性が難しくなってしまう。また、本来は、サービスする(主宰者)側・サービスされる(利用者)側の関係なく、その場を楽しむフラットな関係であることが望まれるが、いつの間にか、利用者側は常に遇される立場になり、主宰者側の負担感が増してしまう。さらに、こうした状況が、地域の居場所の運営を持続的・継続的に行うことを妨げている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、多様性を有する集団内における場づくりやコミュニケーションを円滑かつ活発化させることができるカードシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係るカードシステムは、第一語句が表面に記載された第一カードと、第二語句が表面に記載された第二カードと、を備えるカード群を複数備え、コミュニティに関連するテーマに対して設定された複数のカテゴリーに対し、各カテゴリーが各々複数のキーワードを有し、これらキーワードの意味の理解のために前記キーワード毎に作成された語句が分割されて前記第一語句及び前記第二語句を構成する。
【0007】
また、本発明に係るカードシステムは、さらに、前記カテゴリーに属する前記カード群の表面に、前記カテゴリー別に色分けされた色部が配されている。
【0008】
また、本発明に係るカードシステムは、さらに、前記キーワードに関連する識別標識が前記カード群の表面にそれぞれ配されている。
【0009】
また、本発明に係るカードシステムは、さらに、一の前記第一語句及び前記第二語句が、一の前記キーワードとともに記載された対応表 を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多様性を有する集団内における場づくりやコミュニケーションを円滑かつ活発化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカードシステムのカード群を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るカードシステムの対応表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る一実施形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。
本実施形態に係るカードシステム10は、複数のカード群11と、対応表12と、を備える。
【0013】
各カード群11は、矩形薄板状の合成樹脂製又は紙製の台紙13の表面に上の句(第一語句)15が記載された上の句カード(第一カード)16と、同じく台紙13の表面に下の句(第二語句)17が記載された下の句カード(第二カード)18と、を備える。ここで上の句15及び下の句17は、例えば、多世代の多様なコミュニケーションを促進するコミュニティに関連するテーマを構成する複数のカテゴリー20に対し、これらカテゴリー20が各々複数のキーワード21を有して、各キーワード21毎に作成された語句22が2つに分割された内容となっている。
【0014】
各上の句15及び下の句17は、台紙13の大きさの制約から数文字程度の文字で構成される。各キーワード21には、そのキーワード21に対応するピクトグラム(識別標識)23が関連付けられる。各キーワード21は、複数のカテゴリー20毎にグループ分けされている。
【0015】
対応表12には、カテゴリー20毎に関連する複数のキーワード21と対応する上の句15及び下の句17とが記載されている。各カテゴリー20は色分けされており、キーワード21と上の句15及び下の句17との関係や、関連するピクトグラム23やカテゴリー20が一目でわかるように構成されている。一のカード群11を構成する上の句カード16及び下の句カード18の表面には、対応するピクトグラム23とともに、所属するカテゴリー20を表す色部25が配されている。
【0016】
対応表12は、さらに各カテゴリー20やキーワード21等の意味やコミュニケーションのきっかけとなるグループワークやプログラム等の記載欄26を備えていてもよい。
【0017】
カード群11の裏面は、上の句カード16同士及び下の句カード18同士でそれぞれ別の同一の色等が配されて識別されている。ただし、すべての裏面に同一の模様や図柄が配されていてもよい。
【0018】
ここで、例えば、コミュニティカフェ(サロン)にて交流の場づくりに本カードシステム10を利用する場合、コミュニティカフェ(サロン)には老若男女が集うこと、現代の家庭科教育では地域とのつながりが重視され、地域社会とのつながりの中で家庭生活に関わることを習得させていく時代を迎えていることから、テーマとして家庭科に着目して、カテゴリー20やキーワード21が構成される。この場合、
図2に示すように、カテゴリー20は必要に応じてさらに大カテゴリー27と小カテゴリー28とに分けられても構わない。
【0019】
ここでは、大カテゴリー20としては、例えば、「家族・地域生活」「衣食住生活」「環境・消費生活」とし、小カテゴリー20としては、例えば、「子どもの育ち」「地域の居場所」「食の基本」「感性・五感」「伝統の生活文化」「食生活と持続可能社会」「衣住生活と持続可能社会」「循環型社会」「消費生活(賢い消費者)」とされる。この場合、小カテゴリー20毎に複数のキーワード21及びピクトグラム23が設定される。
【0020】
なお、キーワード21毎に関連するコミュニケーションのための生活の知恵や知識を交流するグループワークやプログラムが予め設定され、記載欄26や不図示の別紙に記載されていても構わない。
【0021】
次に、本実施形態に係るカードシステム10を用いてコミュニケーションのきっかけ作りのためのゲームを行う例について説明する。
まず、各カード群11を裏面が見える状態で互いに重ならないように参加者の前にランダムに配置する。
【0022】
そして、参加者が色により識別される上の句カード16の一群及び下の句カード18の一群からそれぞれ1枚ずつ2回に分けてカードをめくって表面を表側にする。このとき、めくった2枚に記載された上の句15及下の句17が一のキーワード21に関連する一対の上の句15及び下の句17となった場合、当該参加者がそのカード群11を獲得する。
【0023】
めくった2枚に記載された語句が、一のカテゴリー20における一対の上の句15及び下の句17を構成するかどうかは、表面に記載されたピクトグラム23が同一か否か、であったり、一対の上の句15及び下の句17として対応表12に記載されているか否か、であったりによって判断される。
【0024】
一対の上の句15及び下の句17を構成する場合には、そのキーワード21を話題のきっかけとして多様性を有する集団間のコミュニケーションを図っていくこととなる。一方、一対の上の句15及び下の句17を構成しない場合には、次の参加者が同様にカードをめくっていく。ここで、一対の上の句15及び下の句17を構成しない場合であっても、組み合わせた語句から連想されるものに対してコミュニケーションを図ってもよい。
【0025】
別の使い方として、かるた遊びのように、下の句カード18又は上の句カード16のみ表面が見える状態で参加者の前にランダムに配置し、参加者の一人が読み手となって上の句15又は下の句17を声に出し、対応する下の句17又は上の句15が記載されたカードを探すものであってもよい。
【0026】
この場合、一対の上の句15及び下の句17がきっかけとなってそのキーワード21に関連する話題をもってコミュニケーションを図っていくこととなる。
【0027】
このカードシステム10によれば、上の句15及び下の句17が、多世代の多様なコミュニケーションを促進するコミュニティに関連するテーマに関連する語句であるから、当該コミュニティにおける話題として語句に応じて参加者同士のコミュニケーションを活性化することができる。
【0028】
特に、色部25が配されることにより、表示された上の句15及び下の句17がどのカテゴリー20に属するものかをすぐに判別することができ、同一のカテゴリー20に属するカードのみを取り出して使うことも容易である。また、各カードにはピクトグラム23が配されていることから、一のカテゴリー20における一対の上の句15及び下の句17を構成するかどうかを一目で判別することができる。
【0029】
さらに、対応表12を参照することによって、様々なカテゴリー20やキーワード21が存在することを知ることができ、様々な言葉遊びを楽しむことができる。
【0030】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、表面にピクトグラム23が配されているとしているが、ピクトグラム23に限らず、キーワード21同士を識別する記号やその他の図柄であっても構わない。
【0031】
また、色部25は上の句カード16及び下の句カード18の周囲に配されているとしているが、これに限らず、カード表面全体や中央部のみ等の一部であっても構わない。さらに、各カード群11は上の句カード16と下の句カード18とを備えているとしているが、これに限らず、例えば一の語句22を3つ以上に分割してそれぞれのカードに記載したもので一のカード群を構成させても構わない。
【符号の説明】
【0032】
10 カードシステム
11 カード群
12 対応表
15 上の句(第一語句)
16 上の句カード(第一カード)
17 下の句(第二語句)
18 下の句カード(第二カード)
20 カテゴリー
21 キーワード
22 語句
23 図(識別標識)
25 色部