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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】石膏系建材製造装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220824BHJP
   B28B 13/04 20060101ALI20220824BHJP
   B28B 11/14 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G01N1/04 E
B28B13/04
B28B11/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019513581
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(86)【国際出願番号】 JP2018015279
(87)【国際公開番号】W WO2018193942
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2017081565
(32)【優先日】2017-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000160359
【氏名又は名称】吉野石膏株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山里 隆秀
(72)【発明者】
【氏名】端倉 研一
(72)【発明者】
【氏名】染野 浩之
【審査官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-146812(JP,A)
【文献】特公平02-046276(JP,B2)
【文献】特開2006-272819(JP,A)
【文献】特開平05-277539(JP,A)
【文献】特許第4758128(JP,B2)
【文献】米国特許第06557692(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
B28B 11/00 -19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送されている板体片を、前記板体片の搬送経路よりも下方側から、前記搬送経路よりも上方側に押し上げる押し上げ手段と、
前記押し上げ手段により押し上げられた前記板体片を保持する保持手段と、
板体を切断し、前記板体片とする切断手段と、
前記板体を搬送し、前記切断手段に供給する上流側搬送手段と、を有し、
前記搬送手段は、前記切断手段よりも前記板体片の搬送方向の下流側に配置され、
前記保持手段は、前記押し上げ手段よりも前記板体片の搬送方向の下流側に配置されているサンプリング装置を備えた石膏系建材製造装置。
【請求項2】
前記板体と、前記切断手段により切断することで得られた前記板体片との間の距離、または得られた前記板体片同士の間の距離を拡げる離間手段をさらに備える請求項1に記載の石膏系建材製造装置。
【請求項3】
前記搬送手段における、前記押し上げ手段よりも、前記板体片の搬送方向上流側の少なくとも一部を含む領域において、前記板体片の搬送速度を調整する速度調整手段をさらに備える請求項1または2に記載の石膏系建材製造装置。
【請求項4】
前記搬送手段がローラーコンベアである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の石膏系建材製造装置。
【請求項5】
前記押し上げ手段は、
複数の棒状体と、
前記複数の棒状体を移動させる棒状体移動手段と、を有し、
前記棒状体移動手段は、前記複数の棒状体を、前記搬送経路よりも下方側の位置と、前記搬送経路よりも上方側の位置との間で移動させることができ、
前記複数の棒状体は、前記搬送経路よりも下方側の位置に配置されている場合、前記ローラーコンベアのローラー間に、前記ローラーと平行に配置されている請求項4に記載の石膏系建材製造装置。
【請求項6】
前記複数の棒状体のうち、前記板体片の搬送方向の上流側に配置された棒状体が丸棒である請求項5に記載の石膏系建材製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング装置、板部材の製造装置、石膏系建材製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック、金属等の無機材料や、樹脂等の有機、高分子材料を原料に含む板状の製品は、例えば原料を連続した帯状に成形後、成形物を搬送しながら、必要に応じて切断、乾燥等の各種操作が施され、連続的に製造されている。
【0003】
そして、任意のタイミング、もしくは予め決めておいたタイミングで、搬送されている半製品や、製品の一部を例えば作業者がサンプリングし、規格に沿った半製品等が製造できているかを評価することが行われている。このように製造工程において半製品等の一部をサンプリングし、評価を行うことで、製造工程に問題等が発生した場合に早期に発見することができ、不良品の発生を抑制することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半製品等は通常、連続して搬送されているため、半製品等の搬送速度や、サイズ、重量等によっては、作業者が手作業によりサンプリングするには熟練の技能を要する場合があった。
【0005】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の一側面では、搬送されている板体片を容易にサンプリングできるサンプリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の一形態によれば、搬送手段により搬送されている板体片を、前記板体片の搬送経路よりも下方側から、前記搬送経路よりも上方側に押し上げる押し上げ手段と、
前記押し上げ手段により押し上げられた前記板体片を保持する保持手段とを有するサンプリング装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一形態によれば、搬送されている板体片を容易にサンプリングできるサンプリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の実施形態に係るサンプリング装置の説明図。
図1B】本発明の実施形態に係るサンプリング装置の説明図。
図1C】本発明の実施形態に係るサンプリング装置の説明図。
図2】本発明の実施形態に係る板部材の製造装置の説明図。
図3A】本発明に係る実施例1における下流側装置の説明図。
図3B】本発明に係る実施例1における下流側装置の説明図。
図4A】本発明に係る実施例2における下流側装置の説明図。
図4B】本発明に係る実施例2における下流側装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[サンプリング装置]
本実施形態のサンプリング装置の一構成例について説明する。
【0010】
本実施形態のサンプリング装置は、搬送手段により搬送されている板体片を、板体片の搬送経路よりも下方側から、搬送経路よりも上方側に押し上げる押し上げ手段と、押し上げ手段により押し上げられた板体片を保持する保持手段とを有することができる。
【0011】
以下に図1A図1Cを用いて、本実施形態のサンプリング装置の一構成例を説明する。
【0012】
図1Aは、本実施形態のサンプリング装置の上面図を示しており、図1Bは、図1Aのa-a´線における断面図を示している。そして、図1Cは後述するように、押し上げ手段13により板体片12Bを押し上げた後、すなわちサンプリングした後における図1Aのa-a´線における断面図を示している。
【0013】
なお、図1A図1Cでは、搬送手段11により、図中に示したブロック矢印の方向に、すなわちX軸方向に沿って図中右側から左側に向かって、シート状の被搬送物である板体片12A~12Cを搬送している。そして、搬送されている板体片12A~12Cのうち、サンプリングの対象となる板体片12Bをサンプリングした例を示している。図1A図1CにおけるX軸方向、すなわち図中の左右方向が上述のように板体片12A~12Cの搬送方向であり、板体片12A~12Cの長さ方向にも当たる。また、図中のY軸方向が板体片12A~12Cの幅方向となる。X軸方向、Y軸方向は水平方向ともいえる。また、Z軸方向は高さ方向、すなわち垂直方向となり、板体片12A~12Cの厚さ方向にも当たる。
【0014】
図1A図1Cでは、同じ部材には同じ番号を付し、各図について重複する説明を一部省略する。
【0015】
図1A図1C中に示した各部材について説明する。
【0016】
既述のように、搬送されている板状の半製品や製品である板体片12Bを手作業によりサンプリングするには熟練の技能を要する場合があり、困難であった。そこで、サンプリングを行う際に、サンプリングを行う板体片12Bを含む板体片12A~12Cの搬送手段11による搬送を停止する方法も考えられるが、板状の半製品や、製品の製造も停止する必要が生じ、生産性の観点から好ましくない。このため、本発明の発明者らは、板状の半製品や、製品の製造を停止することなく、搬送されている板体片を容易にサンプリングできるサンプリング装置について鋭意検討を行った。
【0017】
その結果、搬送手段11により搬送されている板体片12Bを、該板体片12Bの搬送経路121よりも下方側から、搬送経路121よりも上方側に押し上げる押し上げ手段13、及び保持手段14を有するサンプリング装置とすることで、搬送されている板体片を容易にサンプリングできることを見出し、本発明を完成させた。
【0018】
図1A図1C中に示した各部材について説明する。
【0019】
搬送手段11は、板体片12A~12C、すなわち板状の半製品や、製品を搬送でき、押し上げ手段13を配置できる手段であれば良く特に限定されないが、板体片12A~12Cを水平方向に搬送できる手段としてもよい。搬送手段11としては、特に限定されないが、押し上げ手段を動作させた際に、押し上げ手段と、搬送手段11の可動部分、具体的には板体片を搬送するために駆動する部分とが干渉しない手段を用いてもよい。搬送手段11としては、例えばローラーコンベア、またはチェーンコンベアを用いてもよい。搬送手段としては、ローラーコンベアを好ましく用いることができる。
【0020】
チェーンコンベアとは、複数のローラー間に少なくとも2列のチェーンを巻回し、ローラーを回転させることでチェーンを回転させ、該チェーンにより板体片を搬送するコンベアを意味する。
【0021】
ローラーコンベアは、図1A図1Cに示したように、複数のローラー111を配列し、該ローラー111により板体片を支持し、該ローラー111を回転させることで板体片を搬送するコンベアを意味する。
【0022】
なお、押し上げ手段13を設置する部分と、それ以外の部分とで搬送手段の構成が異なっていても良い。例えば押し上げ手段13を設置する場所のみローラーコンベアとして、その前後の搬送手段はベルトコンベアにより構成することもできる。
【0023】
板体片12A~12Cは、板状であれば良く特に限定されない。板体片12A~12Cとしては、例えばセラミック、金属等の無機材料や、樹脂等の有機、高分子材料を原料に含む板状の半製品や、製品が挙げられ、より具体的には、例えば後述の石膏系建材等が挙げられる。
【0024】
板体片12A~12Cのサイズ等についても特に限定されるものではない。図1A図1Cにおいては、同じサイズの板体片12A~12Cを示しているが、係る形態に限定されず、例えばサンプリングを行う板体片12Bのみが他の板体片12A、12Cと異なるサイズを有していてもよい。
【0025】
板体片12A~12Cの幅や長さのサイズは、その半製品や製品の種類や物性等に応じて適宜決定できる。例えば製品が建材の場合においては、板体片の幅は450mm以上1600mm以下としてもよく、長さは3500mm以上22500mm以下としてもよい。板体片12A~12Cの厚さについても特に限定されないが、過度に薄い場合、もしくは過度に厚い場合に、搬送手段11により搬送することが困難になる場合があるため、例えば1mm以上50mm以下としてもよい。
【0026】
なお、上述のようにサンプリングを行う板体片12Bのみ、その他のサンプリングを行わない板体片12A、12Cとサイズを変更する場合、サンプリングを行う板体片12Bは、例えば長さのみをサンプリングを行わない板体片の1/30以上4/5以下とすることができる。この場合、サンプリングを行わない板体片12A、12Cのサイズを例えば既述の範囲とすることができる。
【0027】
板体片12A~12Cは、搬送手段11により搬送されており、搬送されている板体片12A~12Cの下面と、上面と、幅方向の両端部とで囲まれた領域が搬送経路121となる。搬送経路121のうち、特に搬送されている板体片12A~12Cの下面で形成される面、すなわち搬送手段11と接する面を搬送経路の下面121Aともいう(図1B図1Cを参照)。また、搬送されている板体片12A~12Cの上面で形成される面を搬送経路の上面121Bともいう(図1B図1Cを参照)。
【0028】
押し上げ手段13は、搬送手段11の近傍に設けることができる。そして、押し上げ手段13は、搬送手段11により搬送されている板体片12Bを、該板体片12Bの搬送経路121よりも下方側から、より具体的には搬送経路の下面121A側から押圧、支持し、押し上げることができる。
【0029】
この際、押し上げ手段13は、板体片12B全体を、例えば、板体片12A~12Cの搬送経路121よりも上方側に、より具体的には搬送経路の上面121Bよりも上方側に押し上げられるように構成してもよい。このように構成することで、後続の板体片12Aと干渉しないように構成することができる。特に、図1Cに示したように、押し上げ手段13についても後続の板体片12Aと干渉しないように、搬送経路121の上方から見た場合に押し上げ手段13のうち搬送経路121と重複する部分について、後述する棒状体移動手段133を除く押し上げ手段13全体が、板体片12A~12Cの搬送経路121よりも上方側に、より具体的には搬送経路の上面121Bよりも上方側に押し上げられるように構成してもよい。
【0030】
押し上げ手段13は、搬送手段11と干渉せずに、板体片12Bを押し上げることができるように構成されていればよく、具体的な構成は特に限定されない。
【0031】
図1A図1Cに示したように、搬送手段11がローラーコンベアである場合の押し上げ手段13の構成例について説明する。
【0032】
この場合、押し上げ手段13は、複数の棒状体131A~131Cを有することができる。複数の棒状体131A~131Cは、サンプリングを行う板体片12Bを押し上げられるように構成されていればよく、その配置は特に限定されない。複数の棒状体131A~131Cは、例えば図1Aに示したように、サンプリングを行う板体片12Bの幅方向、すなわち図中のY軸方向に平行に配置することができる。なお、複数の棒状体131A~131Cの数については特に限定されるものではなく、サンプリングを行う板体片12Bのサイズや、搬送手段11のローラーの数等に応じて任意に選択できる。また、棒状体131A~131Cの形状については特に限定されるものではなく、丸棒(円柱)や、角棒(四角柱)等の任意の形状とすることができるが、サンプリングする板体片12Bにキズ等を与えないように、複数の棒状体のうち、板体片12A~12Cの搬送方向の上流側に配置された棒状体は丸棒としてもよい。例えば、図1A図1Cに示した押し上げ手段13の場合、板体片12A~12Cの搬送方向の上流側に配置された棒状体131Aは丸棒としてもよい。なお、図1B図1Cに示すように全ての複数の棒状体131A~131Cが丸棒であってもよい。
【0033】
複数の棒状体131A~131Cは、それをまとめて支持できるように、例えば複数の棒状体131A~131Cの端部を支持部材132により固定した構成を有することもできる。なお、図1Aでは、複数の棒状体131A~131Cの一方の端部のみを支持部材132により固定した例を示しているが、もう一方の端部である他方の端部についても支持部材により固定しても良い。
【0034】
そして、図1A図1Cに示した押し上げ手段13は、複数の棒状体131A~131Cを移動させる、棒状体移動手段133を有することができる。
【0035】
棒状体移動手段133により複数の棒状体131A~131Cを移動させる際の具体的な動作は特に限定しないが、例えば以下のように移動させることができる。
【0036】
棒状体移動手段133は、図1Bに示すように、複数の棒状体131A~131Cを、搬送経路121よりも下方側の位置と、搬送経路121よりも上方側の位置との間でA方向、及びA方向の逆方向に移動させるように構成できる。具体的には、棒状体移動手段133は、複数の棒状体131A~131Cを、搬送経路121の下面121Aよりも下方側の位置と、搬送経路121の上面121Bよりも上方側の位置との間でA方向及びA方向の逆方向に上下に移動させるように構成できる。
【0037】
なお、搬送手段11がローラーコンベアであって、複数の棒状体131A~131Cが、搬送経路121よりも下方側の位置に配置されている場合、複数の棒状体131A~131Cは、ローラーコンベアのローラー111間に、ローラー111と平行に配置してもよい。
【0038】
具体的には、サンプリングを行う際、棒状体移動手段133は、複数の棒状体131A~131CをA方向に、すなわちZ軸方向に、図1Bに示した搬送経路121よりも下方側の位置から、図1Cに示した搬送経路121よりも上方側の位置に移動させるように構成できる。そして、サンプリングを行った板体片12Bは、図1Cに示すように押し上げ手段13の複数の棒状体131A~131C上から、保持手段14へと慣性で移動することになる。このように構成することで容易に、搬送されている板体片12Bをサンプリングすることができる。
【0039】
また、サンプリングを行い、板体片12Bが保持手段14へと移動した後、棒状体移動手段133は、図1Bに示すように、複数の棒状体131A~131CをA方向と逆方向に、搬送経路121よりも下方側に移動させることができる。これにより、ローラーコンベアのローラー111間に、ローラー111と平行に複数の棒状体131A~131Cを挿入できる。
【0040】
なお、複数の棒状体131A~131Cを棒状体移動手段133により移動させる際、複数の棒状体131A~131Cが支持部材132により固定され、一体化している場合には、棒状体移動手段133は、該支持部材132を移動させることで、複数の棒状体131A~131Cを移動させることもできる。
【0041】
棒状体移動手段133の構成は特に限定されないが、例えば電動モータや、油圧もしくは空気圧のジャッキ等から選択された1種類以上を含む駆動部、及び該駆動部からの動力を複数の棒状体、もしくは支持部材に伝達するアーム等を有することができる。
【0042】
なお、既述のように、押し上げ手段13は、搬送手段11と干渉せずに、板体片12Bをサンプリングできるように搬送手段11の種類等に応じて構成することができ、その構成は上記複数の棒状体を備えた構成例に限定されるものではない。
【0043】
次に、保持手段14の構成例について説明する。保持手段14は、押し上げ手段13よりも、板体片12A~12Cの搬送方向の下流側であって、かつ板体片12A~12Cの搬送経路121の上方側に配置しておくことができる。なお、搬送されている板体片12A、12Cと干渉しない位置に配置してもよい。
【0044】
搬送手段11により搬送されている板体片12Bを、押し上げ手段13によって該板体片12Bの搬送経路121よりも下方側から、搬送経路121よりも上方側に押し上げた際、該板体片12Bは慣性により保持手段14へと移動する。そして、保持手段14により該板体片12Bを保持できる。
【0045】
このため、保持手段14は、押し上げ手段13により、板体片12Bを押し上げた際に、保持手段14へと該板体片12Bが慣性により移動できる位置に配置してもよい。具体的には、例えば保持手段14の保持面14Aと、押し上げ手段13により、板体片12Bを押し上げた際の、押し上げ手段13の保持面13A(図1Cを参照)とが同一面となるように保持手段14の配置や、押し上げ手段13の押し上げ高さを調整してもよい。ここで、保持手段14の保持面14Aとは、保持手段14の板体片12Bを保持する面であり、例えば保持手段14上に板体片12Bを配置した場合の該板体片12Bの下面と同じ面になる。また、押し上げ手段13の保持面13Aとは、押し上げ手段13の板体片12Bを保持する面であり、例えば押し上げ手段13上に板体片12Bを配置した場合の該板体片12Bの下面と同じ面になる。
【0046】
なお、図1Cでは、押し上げ手段13の保持面13Aと、保持手段14の保持面14Aとが傾斜のない1つの水平面となっている例を示しているが、係る形態に限定されない。保持面13Aと、保持面14Aとで形成する面は、例えば保持手段14の方向に向かって、すなわちX軸方向に沿って高くなる、もしくは低くなる傾斜面とすることもできる。押し上げ手段13の保持面13Aと、保持手段14の保持面14Aとの配置や、傾き等を調整することで、押し上げ手段13は板体片12Bを保持手段14に搬送するための搬送手段を有さない構成とすることができる。
【0047】
保持手段14は、板体片12Bを保持できるように構成されていればよく、その構成は特に限定されないが、例えば図1A図1Cに示したように、押し上げ手段13の場合と同様に複数の棒状体(保持手段用棒状体)141A~141Cを有することができる。複数の棒状体141A~141Cは、サンプリングを行う板体片12Bを保持できるように構成されていればよく、その配置は特に限定されない。複数の棒状体141A~141Cは、例えば図1Aに示したように、サンプリングを行う板体片12Bの幅方向、すなわち図中のY軸方向に配置することができる。なお、複数の棒状体141A~141Cの数については特に限定されるものではなく、サンプリングを行う板体片12Bのサイズ等に応じて任意に選択できる。また、複数の棒状体141A~141Cの形状については特に限定されるものではなく、丸棒(円柱)や、角棒(四角柱)等の任意の形状とすることができるが、サンプリングする板体片12Bにキズ等を与えないように、複数の棒状体のうち、押し上げ手段13側に配置された棒状体は丸棒としてもよい。例えば、図1A図1Cに示した保持手段14の場合、押し上げ手段13側に配置された棒状体141Aは丸棒としてもよい。なお、図1B図1Cに示すように全ての複数の棒状体141A~141Cが丸棒であってもよい。
【0048】
複数の棒状体141A~141Cは、例えば図1Aに示したように一方の端部を支持部材142により固定し、一体化しておくことができる。図1Aでは、複数の棒状体141A~141Cの一方の端部のみを支持部材142により固定した例を示しているが、複数の棒状体のもう一方の端部である他方の端部についても支持部材により固定しても良い。
【0049】
なお、保持手段14は、板体片12Bを保持できるように構成されていればいいことから、複数の棒状体141A~141Cに替えて、板体片12Bの下面を支持できる板状体等を有する構成であってもよい。この場合、以下の保持手段用移動手段は、複数の棒状体に替えて、係る板状体等を以下に説明するように移動させるように構成することができる。
【0050】
保持手段14は、複数の棒状体141A~141Cを移動させる、保持手段用移動手段143を有することもできる(図1Aを参照)。
【0051】
保持手段用移動手段143は、例えば複数の棒状体141A~141Cを搬送経路121上の領域外に移動させるように構成することができる。保持手段用移動手段143は、具体的には例えば、複数の棒状体141A~141Cを、図1A中B方向に、すなわちY軸方向に沿って移動させることができる。複数の棒状体141A~141Cを、搬送経路121上の領域外に移動させるように構成することで、サンプリングした板体片12Bを搬送経路121上の領域外に搬出し、降ろすことができる。
【0052】
サンプリングした板体片12Bを降ろした後、保持手段用移動手段143は、B方向と逆方向に、すなわち上述の場合とは逆の向きに複数の棒状体141A~141Cを移動させ、図1Aに示した位置に配置することもできる。
【0053】
なお、複数の棒状体141A~141Cを搬送経路121上の領域外に移動させる場合の移動方向は上述の形態に限定されるものではない。例えば図1Aにおいて、紙面と垂直であって、支持部材142に固定された回転軸を設け、該回転軸により、複数の棒状体141A~141Cを水平面に沿って回転させることで複数の棒状体141A~141Cを搬送経路121上の領域外に移動させることもできる。
【0054】
複数の棒状体141A~141Cを保持手段用移動手段143により移動させる際、複数の棒状体141A~141Cが支持部材142により固定され、一体化している場合には、保持手段用移動手段143は、該支持部材142を移動させることで、複数の棒状体141A~141Cを移動させることもできる。
【0055】
本実施形態のサンプリング装置は、上述の押し上げ手段13、及び保持手段14のみから構成することもできるが、上述の搬送手段11と、押し上げ手段13、保持手段14とを含めてサンプリング装置とすることもできる。
【0056】
また、本実施形態のサンプリング装置は、必要に応じて他の部材をさらに有することもできる。
【0057】
例えば、本実施形態のサンプリング装置は、既述の搬送手段を含む場合において、該搬送手段よりも上流に切断手段や、上流側搬送手段を有することもできる。
【0058】
具体的には、板体を切断し、板体片とする切断手段と、板体を搬送し、切断手段に供給する上流側搬送手段と、をさらに有することができる。この場合、上述のように、搬送手段は、切断手段よりも板体片の搬送方向の下流側に配置することができる。既述の搬送手段を上流側搬送手段と特に区別する場合には、既述の搬送手段を下流側搬送手段と呼ぶこともできる。
【0059】
なお、板体とは、例えば原料を成形することで得られた、帯状の半製品、または製品であり、切断し、板体片とする前の切断前被搬送物である。板体を切断することで、板体の一部を板体片として分離することができる。また、板体を複数回切断することで、複数の板体片を形成できる。
【0060】
板体を切断する際の切断線の形状は特に限定されないが、例えば板体の幅方向の切断線、すなわち該板体の搬送方向と垂直な切断線とすることができる。このため、板体は、切断後の既述の板体片よりも搬送方向に長い形状、例えば上述の様に帯状を有することができる。
【0061】
切断手段の構成については特に限定されないが、例えば搬送されている板体について、板体の幅方向の切断線に沿って切断できる切断手段を用いることができる。具体的には例えばロータリーカッターや、回転鋸等を用いることができる。
【0062】
なお、切断線は、例えば板体の搬送方向の切断線や、任意の形状の切断線であっても良い。このため、切断手段は上述の形態に限定されるものではなく、例えば板体を、板体の搬送方向の切断線や、任意の形状の切断線に沿って切断できる切断手段を用いても良い。
【0063】
押し上げ手段は切断手段と連動するように構成することもできる。例えば切断手段で所定の回数切断を行った際に押し上げ手段によりサンプリングを行うように構成することもできる。
【0064】
上流側搬送手段についても、板体を搬送し、切断手段に供給できる手段であれば良く、その構成は特に限定されない。例えばローラーコンベアや、ベルトコンベア、チェーンコンベア等から選択された1種類以上を用いることができる。なお、既述の搬送手段と、上流側搬送手段とは、同じ搬送手段であっても良く、異なる搬送手段であってもよい。
【0065】
また、本実施形態のサンプリング装置が、上述の切断手段を有する場合、例えば板体と、切断手段により切断することで得られた板体片との間の距離、または得られた板体片同士の間の距離を拡げる離間手段をさらに有することもできる。
【0066】
切断手段により板体を切断し、板体片とした場合に、切断により得られた連続して搬送される板体片の間の距離は切断手段の直後ではほとんどなく、近接している。このため、搬送手段により板体片を搬送する際の搬送速度等によっては、押し上げ手段により板体片をサンプリングする際に、後続する板体片と接触しないように、押し上げ手段の押し上げ速度(移動速度)を速くする必要が生じる場合がある。
【0067】
これに対して、上述のように板体と、切断手段により切断することで得られた板体片との間の距離、または切断手段により切断し、得られた板体片同士の間の距離を拡げる離間手段をさらに有することで、押し上げ手段の押し上げ速度を過度に速くする必要が無く、特に容易にサンプリングを行える。
【0068】
離間手段の具体的な構成は特に限定されないが、離間手段は、例えば搬送手段の少なくとも一部について、搬送手段による板体片の搬送速度を制御する離間手段用制御手段を有することができる。
【0069】
離間手段用制御手段は、搬送手段の少なくとも一部について、板体片の搬送速度が、該離間手段用制御手段が制御する搬送手段よりも、板体片の搬送方向上流側の領域、例えば直前の領域よりも速くなるように、すなわち加速するように制御してもよい。例えば搬送手段がローラーコンベアの場合、離間手段用制御手段は、搬送手段のローラーコンベアを構成する少なくとも一部のローラーについて、搬送速度を加速するように制御できる。
【0070】
離間手段は、例えば上述のように切断手段により切断された板体片間の距離を拡げることができる。このため、離間手段用制御手段は、例えば切断手段よりも上流側に配置された上流側搬送手段による板体の搬送速度よりも、離間手段用制御手段が制御する一部の搬送手段による板体片の搬送速度が速くなるように制御してもよい。
【0071】
離間手段用制御手段をこのように構成することで、切断手段を通過した板体片が搬送手段に供給された後、次に搬送手段に板体片が供給されるまでの間に、先に搬送手段に供給された板体片を相当程度先に搬送しておける。このため、搬送手段によって既に搬送されていた板体片について、切断手段により切断して得られた板体片との間の距離を特に十分に拡げることができるからである。また、この場合、板体と板体片との間の距離を拡げることもできる。
【0072】
そこで、離間手段用制御手段は、例えば切断手段と、押し上げ手段との間に設けられた搬送手段の少なくとも一部について、その搬送速度を制御してもよい。離間手段用制御手段は、特に切断手段の直後に配置された領域の搬送手段についてその搬送速度を制御してもよい。
【0073】
ただし、離間手段用制御手段が制御する搬送手段は上記範囲に限定されない。例えば押し上げ手段の直後の領域等のように、板体片の搬送速度が速くなっても操作に影響を与えず、さらに板体片間の距離を拡げることが要求される領域の搬送手段について制御を行うこともできる。
【0074】
また、搬送手段11における、押し上げ手段13よりも、板体片の搬送方向上流側の少なくとも一部を含む領域において、板体片の搬送速度を調整する速度調整手段をさらに有することもできる。
【0075】
既述のように、本実施形態のサンプリング装置では、押し上げ手段により、搬送している板体片をその搬送経路上方に押し上げ、保持手段により保持することで、板体片をサンプリングすることができる。ただし、板体片の搬送速度によっては、押し上げ手段により該板体片を押し上げ、保持手段により保持した際に、搬送されていた板体片の慣性により、該板体片が保持手段内で大きく動く可能性がある。また、板体片の搬送速度によっては、押し上げ手段により該板体片を押し上げた際に、該板体片が保持手段上に完全に移動しない場合もある。
【0076】
そこで、本実施形態のサンプリング装置は、押し上げ手段よりも板体片の搬送方向上流側の少なくとも一部を含む領域において、板体片の搬送速度を調整する速度調整手段を有していてもよい。速度調整手段を有することで、押し上げ手段により押し上げた際の板体片の速度は加速又は減速されているため、保持手段において、板体片が搬送動力なしに慣性で保持手段に到達し、かつ、保持手段上における板体片の停止位置が大きく動くことを抑制できる。
【0077】
速度調整手段の具体的な構成は特に限定されないが、速度調整手段は、押し上げ手段よりも、板体片の搬送方向上流側の少なくとも一部を含む領域の搬送手段による板体片の搬送速度を調整する速度調整手段用制御手段を有することができる。
【0078】
速度調整手段用制御手段の制御対象は、押し上げ手段よりも上流側の一部の領域の搬送手段のみに限定されず、例えば押し上げ手段を配置した領域の搬送手段についても板体片の搬送速度を調整するように構成することもできる。
【0079】
速度調整手段により、板体片の搬送速度を加速又は減速する程度は特に限定されるものではなく、例えば板体片が慣性で保持手段に到達するように、また、保持手段上において、板体片の停止位置が大きく動くことを抑制できる程度に加速又は減速してもよい。
【0080】
本実施形態のサンプリング装置が、既述の離間手段と共に速度調整手段を有する場合には、例えば切断手段直後の搬送手段の少なくとも一部の区間を離間区間とし、離間手段は、離間区間における搬送手段による板体片の搬送速度を制御する離間手段用制御手段を有することができる。また、該離間区間と、押し上げ手段との間の搬送手段の少なくとも一部を含む区間を速度調整区間とし、速度調整手段は、係る速度調整区間における搬送手段による板体片の搬送速度を加速又は減速する速度調整手段用制御手段を有することができる。例えば、搬送手段がローラーコンベアの場合、速度調整手段は速度調整区間における搬送手段のローラーコンベアを構成する少なくとも一部のローラーの搬送速度を加速又は減速するように、言い換えれば、該ローラーの回転速度を速く又は遅くするように制御する速度調整手段用制御手段を有することができる。
【0081】
本実施形態のサンプリング装置はさらに、サンプリングした板体片について評価する評価手段を有することもできる。評価手段の構成は特に限定されないが、例えばサンプリングした板体片について、そのサイズを測定する手段、その重量を測定する手段、その角部の角度を測定する手段、その比重を測定する手段、その表面性状や、色を測定する手段等から選択された1種類以上を有することができる。評価手段は、具体的には例えば測長計や、重量計、角度計、比重計、表面粗さ計、測色計等から選択された1種類以上を有することができる。
【0082】
ここまでに説明した本実施形態のサンプリング装置によれば、搬送されている板体片を容易にサンプリングすることが可能になる。このため、任意のタイミング、または予め決めていたタイミングで確実に板体片をサンプリングでき、評価を行えるため、製造工程における不良等を検出し、不良率の低減に資することができる。
【0083】
また、本実施形態のサンプリング装置によれば、製造し、搬送している板体片について、幅方向全体に渡ってサンプリングすることもできる。このため、サンプリングした板体片について、同様に搬送されている半製品、もしくは製品と同じ幅全体について評価を行うことができ、特に製造工程における不良等をより確実に検出し、不良率の低減に資することができる。
[板部材の製造装置、石膏系建材製造装置]
次に、本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置の一構成例について説明する。
【0084】
本実施形態の板部材の製造装置は、既述のサンプリング装置を備えた構成とすることができる。
【0085】
また、板部材として、例えば石膏系建材を製造することもでき、この場合、上記板部材の製造装置は、石膏系建材製造装置とすることもできる。このため、本実施形態の石膏系建材製造装置についても同様に、既述のサンプリング装置を備えた構成とすることができる。
【0086】
本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材製造装置は、既述のサンプリング装置に加えて、板部材を製造するために必要な各種手段を有することができる。
【0087】
例えば、原料を混合する必要がある場合には、本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置は、原料を混合する混合手段(ミキサー)を有することができる。また、本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置は、原料や、上記混合手段で調製した原料混合物、原料スラリー等を所望の形状、サイズに成形、加工する成形装置等を有することができる。
【0088】
以下に、本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置の一構成例として、板部材、及び石膏系建材である石膏ボードを製造する場合を例に装置の構成について説明する。
【0089】
図2に示した石膏系建材製造装置20は、原料を混合する混合手段であるミキサー21と、ミキサー21で調製した原料スラリー、図2に示した例であれば石膏スラリーを成形する成形装置22と、サンプリング装置27とを有している。以下に装置の構成例を具体的に説明する。
【0090】
まず、ミキサー21について説明する。
【0091】
ミキサー21は、後述する表面カバー原紙等の搬送ラインと関連する所定の位置、例えば、搬送ラインの上方側または横に配置することができる。そして、単一のミキサー21において、石膏スラリーの原料である焼石膏と、水と、場合によってはさらに、各種添加剤とを混練し、石膏スラリーを調製することができる。
【0092】
ここで、焼石膏は硫酸カルシウム・1/2水和物ともいい、水硬性を有する無機組成物である。焼石膏としては、天然石膏、副産石膏及び排煙脱硫石膏等のいずれか単独若しくはいずれかの組み合わせを混合した石膏を大気中で焼成して得られるβ型、又は水中(蒸気中を含む)で焼成して得られるα型焼石膏のいずれか単独、若しくは両者の混合品を使用することができる。
【0093】
石膏ボード等の石膏系建材を製造する場合、原料に用いる焼石膏はβ型焼石膏を含むこともでき、石膏系建材の原料に用いる焼石膏の主成分が、β型焼石膏であることが好ましい。なお、石膏系建材の原料に用いる焼石膏の主成分がβ型焼石膏とは、石膏系建材の原料に用いる焼石膏のうちβ型焼石膏が質量比率で50%より多く占めていることを意味している。石膏系建材の製造に当たっては原料に用いる焼石膏がβ型焼石膏のみから構成されていてもよい。
【0094】
α型焼石膏は天然石膏等の二水石膏をオートクレーブを用い、水中又は水蒸気中で加圧焼成する必要がある。これに対して、β型焼石膏は天然石膏等の二水石膏を大気中で常圧焼成することにより製造でき、β型焼石膏の方がα型焼石膏よりも生産性良く製造できる。
【0095】
添加剤としては例えば、澱粉やポリビニルアルコール等の石膏硬化体(石膏スラリーを硬化させたもの)と石膏ボード用原紙(以下、表面カバー原紙、または裏面カバー原紙という)との接着性を向上させる接着性向上剤、ガラス繊維等の無機繊維及び軽量骨材、バーミキュライト等の耐火材、凝結遅延剤、凝結促進剤、減水剤、スルホコハク酸塩型界面活性剤等の泡径調整剤、シリコーンやパラフィン等の撥水剤、有機カルボン酸および/または有機カルボン酸塩等から選択された1種、または2種類以上が挙げられる。
【0096】
なお、焼石膏と、一部の添加剤、例えば固体の添加剤は予め混合撹拌して混合物である石膏組成物としてからミキサー21に供給することもできる。
【0097】
また、泡を石膏スラリーの分取口211a、211b、211cのうち選択された1箇所以上で添加し、泡の添加量を調整することにより任意の密度の石膏スラリーとすることもできる。例えば分取口211a、211bからは泡を添加しない、または泡を少量添加し、高密度の石膏スラリー25を調製できる。そして、分取口211cからは高密度の石膏スラリーよりも多く泡を添加し、低密度の石膏スラリー26を調製することもできる。
【0098】
このように、石膏系建材製造装置20のミキサー21では、原料となる焼石膏及び水と、必要に応じて各種添加剤及び泡と、を混練して2種の石膏スラリー25、26を製造する石膏スラリー製造工程を実施できる。
【0099】
分取口211a、211b、211cには、調製した石膏スラリーを成形装置22へと供給するための送出管212a、212bや、管路212cを設置しておくことができる。
【0100】
図2では1台のミキサー21により低密度の石膏スラリーと、高密度の石膏スラリーと、を製造した例を示したが、ミキサーを2台設け、各ミキサーで高密度の石膏スラリーと、低密度の石膏スラリーと、を製造してもよい。
【0101】
次に、成形装置22の構成例について説明する。
【0102】
成形装置は、例えば表面カバー原紙23、及び裏面カバー原紙24上に石膏スラリーを延展するローラーコーター221a、221bや、成形機223等を有することができる。
【0103】
図2中では、右側から左側へと表面材である表面カバー原紙23が、生産ラインに沿って搬送されている。
【0104】
ミキサー21で得られた高密度の石膏スラリー25を、送出管212a、212bを通じて、ローラーコーター221a、221bの搬送方向における上流側で表面カバー原紙23及び裏面カバー原紙24上に供給する。
【0105】
表面カバー原紙23及び裏面カバー原紙24上に供給された高密度の石膏スラリー25は、それぞれ、ローラーコーター221a、221bの延展部に至り、延展部で延展される。なお、ローラーコーター221a、221bは、それぞれ塗布ローラー2211a、2211b、受けローラー2212a、2212b、及び粕取りローラー2213a、2213bを有することができる。そして、塗布ローラー2211a、2211bと、受けローラー2212a、2212bとの間をカバー原紙が通過する際に、表面カバー原紙23及び裏面カバー原紙24上に石膏スラリー25を延展することができる。
【0106】
このようにして、表面カバー原紙23には石膏スラリー25の薄層が形成される。その後、表面カバー原紙23は折り曲げられてその両側縁部分は上側に延びてから内側に延びる。裏面カバー原紙24上にも薄層が形成されるが、表面カバー原紙23とは異なり、裏面カバー原紙24は折り曲げられない。なお、図2ではローラーコーター221a、221bを用いて石膏スラリー25を表面カバー原紙23及び裏面カバー原紙24に塗布する例を示しているが、係る形態に限定されるものではない。例えば、ローラーコーター221a、221bのいずれかを用いて石膏スラリー25を表面カバー原紙23、または裏面カバー原紙24のいずれか一方のみに塗布してもよい。また、石膏スラリー25を表面カバー原紙23の側端部のみに配置することもできる。
【0107】
表面カバー原紙23は、そのまま搬送され、裏面カバー原紙24は、転向ローラ222によって表面カバー原紙23の搬送ライン方向に転向される。そして、表面カバー原紙23及び裏面カバー原紙24の両方は同方向に搬送されて成形機223に達する。ここで、表面カバー原紙23、裏面カバー原紙24の上に形成された薄層の間に、ミキサー21から管路212cを通じて低密度の石膏スラリー26が供給される。このため、表面カバー原紙23と、裏面カバー原紙24との間に、高密度の石膏スラリー25により形成された層と、低密度の石膏スラリー26により形成された層と、高密度の石膏スラリー25により形成された層とがその順で積層された連続的な積層体を形成できる。次いで、石膏ボードの厚みを決定する成形機223を通過させて成形する。以上の手順により石膏ボードを成形することができる。
【0108】
なお、高密度の石膏スラリーと、低密度の石膏スラリーと、を用いる形態に限定されるものではなく、例えば一種類の密度の石膏スラリーを製造し、これを石膏ボード用原紙上に供給する形態であっても良い。
【0109】
具体的には例えば、連続して搬送される表面カバー原紙上に所定の密度とした石膏スラリーを供給、堆積する。そして、表面カバー原紙の両側縁部分は所定の刻線に沿って折り込まれて上側に延びてから内側に延びることによって、石膏スラリーの堆積層を部分的に巻き込むことができる。この後、表面カバー原紙によって部分的に巻き込まれた石膏スラリーの堆積層の上に同速で搬送される裏面カバー原紙を重ねることができる。次いで、石膏ボードの厚みと幅とを決定する成形機を通過させて成形する。以上の手順により石膏ボードを成形することもできる。この場合、表面カバー原紙と、裏面カバー原紙との間には、一種の密度の石膏スラリーによる層が形成されることになる。
【0110】
このように、石膏系建材製造装置20の成形装置22では、石膏スラリーを成形する成形工程を実施できる。
【0111】
成形装置22の下流側には、既述のサンプリング装置27を有することができる。サンプリング装置27では、必要に応じて、搬送されている板体片をサンプリングすることができる。なお、サンプリングを行わなかった板体片についは、搬送手段により搬送され、必要に応じてさらに所定の加工、処理がなされ板部材、例えば石膏系建材となる。
【0112】
既述のように、本実施形態のサンプリング装置27は、搬送手段や、切断手段等も含むこともできる。そこで、サンプリング装置27では例えば、成形装置で形成した板体である成形体を図示しない切断手段により任意のサイズに切断し、板体片とすることができる。そして、搬送手段により搬送されている板体片、例えば石膏系建材の半製品について、サンプリングし、評価することができる。
【0113】
焼石膏(半水石膏)は水和反応により二水石膏の針状結晶が生じて凝結、凝固し、硬化する。このため、サンプリング装置が切断手段を備えており、成形装置22において成形体を作製後、該切断手段で切断する場合、該切断手段で切断する前に、焼石膏の水和反応が進行し、成形体が切断手段により切断するのに適した硬さとなるよう、成形装置22と、切断手段との間の距離(搬送距離)を選択してもよい。
【0114】
このように、図2に示した石膏系建材製造装置20の成形装置22と図示しない切断手段との間では、成形工程で得られた成形体を硬化させる硬化工程を実施でき、切断手段では、硬化体を任意のサイズに切断する切断工程を実施できる。なお、切断手段は、サンプリング装置27とは別に設けることもできる。
【0115】
サンプリング装置27の構成については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0116】
なお、ここでは、板部材、及び石膏系建材として、石膏ボードを製造する場合を例に用いて説明したが、係る形態に限定されない。例えば、表面材である石膏ボード用原紙をガラス繊維不織布(ガラスティッシュ)や、ガラスマット等に変更し、これを表面に、若しくは表面近くに埋没させるように配置するなどすることで、各種石膏系建材、例えば、ガラスマット石膏ボード、ガラス繊維不織布入石膏板等を製造することもできる。
【0117】
また、石膏系建材以外の各種板部材、例えば電子部品用の部材や、各種構造材料等の他のセラミックス製品や、樹脂製品等を製造することもできる。
【0118】
板部材として、上述の石膏系建材ではなく、他のセラミックス製品(スラグ石膏板やセメントボード等)や、樹脂製品等を製造する場合に、混合手段や、成形装置について、上述の構成に限定されるものではなく、原料や、製造する物にあわせて、適した構成の混合手段や、成形装置を用いることができる。
【0119】
また、本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置は上述の混合手段、例えばミキサーや、成形装置、サンプリング装置のみに限定されるものではなく、必要に応じて各種装置、手段を有することができる。
【0120】
例えば、本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置は、搬送している成形体の表裏面を反転させる反転手段や、減速手段、成形体等を乾燥させる乾燥手段、焼成する焼成手段、既述の(第1)切断手段により切断された被切断物をさらに製品の寸法等にあわせて切断する(第2)切断手段等を有することもできる。減速手段は、例えば板部材の製造装置が反転手段を有する場合に、反転手段上に板体片がより確実に停止できるように搬送手段による板体片の搬送速度を減速する減速手段用制御手段として設けることができる。減速手段は、例えば減速に特化した点以外は既述の速度調整手段と同様の構成を有することができる。
【0121】
また、本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置が有するサンプリング装置27の数は1つに限定されるものではなく、該製造装置のライン上のサンプリングや、評価を要する箇所に任意の数設けることができる。
【0122】
以上に説明した本実施形態の板部材の製造装置、及び石膏系建材の製造装置によれば、既述のサンプリング装置を備えている。従って、搬送されている板体片を容易にサンプリングすることが可能になる。このため、任意のタイミング、または予め決めていたタイミングで確実に板体片をサンプリングでき、評価を行えるため、製造工程における不良等を検出し、不良率の低減に資することができる。
【0123】
また、サンプリングした板体片について、幅方向全体に渡って評価することもできる。このため、サンプリングした板体片について、同様に搬送されている半製品、もしくは製品と同じ幅全体について評価を行うことができ、特に製造工程における不良等をより確実に検出し、不良率の低減に資することができる。
【実施例
【0124】
以下、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例においては、図2に示した石膏系建材製造装置20を用いて、石膏系建材である石膏ボードの製造、及び製造した石膏ボードの半製品のサンプリングを行った。
【0125】
図2に示した石膏系建材製造装置20は、図2を用いて既に説明したように、焼石膏を含む原料を混合する混合手段であるミキサー21と、ミキサー21で調製した石膏スラリーを成形する成形装置22と、サンプリング装置27とを有している。なお、各手段/装置については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0126】
そして、本実施例の石膏系建材製造装置における、成形装置22よりも下流に配置したサンプリング装置及びその付帯設備(以下、単に「下流側装置」とも記載する)の構成について、図3A図3Bを用いて説明する。
【0127】
図3Aは、下流側装置30の上面図を示しており、図3Bは、図3Aのb-b´線における断面図を模式的に示している。
【0128】
そして、既述の成形装置22で成形された、板体31である連続した帯状の石膏ボードの半製品は、図3A図3Bにおいて上流側搬送手段342により図中のX軸方向に沿って搬送され、切断手段32において、粗切断される。
【0129】
切断手段32としては、本実施例ではロータリーカッターを用いた。ロータリーカッターは図3A図3Bに示したように、Y軸と平行な回転軸321の表面に、刃部322が配置されたユニット32aと、ユニット32aと同じ構造を有するユニット32bとを有することができる。そして、一対のユニット32a、32bを、図3B中に示したX1方向、X2方向に回転させ、両ユニットの刃部322が対向する位置に達した際に、刃部322により板体31を挟み込むようにして切断することができる。
【0130】
切断後の石膏ボードの半製品である板体片33A、33Bは搬送手段34によりX軸方向に搬送されている。なお、搬送手段34としては、図中に示したように複数のローラー34A~34Oから構成されるローラーコンベアを用いた。また、板体片33Aについてはサンプリングした後の状態を示している。
【0131】
ただし、切断手段32直後の板体片間の距離が短いことから、後述する押し上げ手段37、及び保持手段38によりサンプリングをし易くするため、また反転手段39により反転するための時間を確保するために、離間手段35を設けた(図3Bを参照)。本実施例において離間手段35は、板体片33A、33Bを搬送する搬送手段34の一部について、その搬送速度を、上流側搬送手段342よりも速くなるように制御する離間手段用制御手段として構成した。
【0132】
離間手段35は、具体的には、切断手段32よりも下流側であって、後述する押し上げ手段37、及び保持手段38を配置した領域の搬送手段34、具体的にはローラー34A~34Hによる、板体片33A、33Bの搬送速度を制御する離間手段用制御手段として構成した。
【0133】
離間手段35を設けることで、切断手段32により切断後の板体片を早く下流側に搬送し、続いて切断されて得られる板体片との間の距離を十分に確保することができる。
【0134】
また、下流側装置30にはさらに、後述する反転手段39により反転がし易いように、減速手段36を設けた(図3Bを参照)。
【0135】
本実施例において、減速手段36は、サンプリングを行わなかった板体片33Bを搬送する搬送手段34の一部についてその搬送速度を、他の部分における搬送手段34による搬送速度よりも遅くなるように、すなわち減速するように制御する減速手段用制御手段として構成した。
【0136】
減速手段36は、具体的には反転手段39の配置された領域、及びその直前の領域の、搬送手段34のローラー34I~34Mによる、板体片33Bの搬送速度を制御する減速手段用制御手段として構成した。
【0137】
減速手段36を設けることで、反転手段39により板体片33Bを反転する際に、反転手段39上に、板体片33Bをより確実に停止させることができる。
【0138】
そして、搬送手段34のローラー34B~34Eの間に押し上げ手段37の要素を配置した。
【0139】
押し上げ手段37は、上記要素としての複数の棒状体371A~371Cを有し、いずれも丸棒(円柱)とした。また、複数の棒状体371A~371Cは支持部材372により固定された構成を有する。さらに、押し上げ手段37は、複数の棒状体371A~371Cを移動させる、棒状体移動手段373を有する。
【0140】
棒状体移動手段373は、支持部材372を移動させることで、複数の棒状体371A~371Cを移動するように構成されており、図中に詳細な構成は示していないが、棒状体移動手段373は、支持部材372を移動させるアームと、該アームを駆動する油圧部とを備えている。
【0141】
棒状体移動手段373は、複数の棒状体371A~371Cを図中のZ軸方向に沿って移動させることができるように構成した。具体的な動作例について以下に説明する。
【0142】
最初に複数の棒状体371A~371Cを、板体片33A、33Bの搬送経路331の下面331A(図3Bを参照)よりも低い位置であって、搬送手段34であるローラーコンベアのローラー間に、ローラーと平行に配置しておく。
【0143】
そして、棒状体移動手段373は、複数の棒状体371A~371Cを、A方向に(図3Bを参照)搬送経路331の下面331Aよりも下方側の位置から、搬送経路331の上面331Bよりも上方側の位置に移動させるように構成している。このように構成することで容易に、板体片が押し上げ手段37の上部に搬送されてきた際に、該板体片をサンプリングすることができる。
【0144】
サンプリングを終えた後、棒状体移動手段373は、複数の棒状体371A~371CをA方向の逆方向に移動させ、サンプリング前の状態にするように構成している。具体的には、複数の棒状体371A~371Cを板体片33A、33Bの搬送経路331の下面331Aよりも低い位置であって、搬送手段34であるローラーコンベアのローラー間に、ローラーと平行になるようにA方向の逆方向に移動できるように構成した。図3A図3Bではサンプリング後、複数の棒状体371A~371Cをサンプリング前の位置に戻した状態を示している。
【0145】
そして、押し上げ手段37よりも、板体片の搬送経路の下流側であって、搬送手段34のローラー34E~34Hを配置した領域の上方側には、保持手段38を配置した。押し上げ手段37によりサンプリングした板体片33Aは慣性により保持手段38へと移動し、図3A図3Bに示すように、保持手段38により該板体片33Aを保持できる。
【0146】
保持手段38は、複数の棒状体(保持手段用棒状体)381A~381Cを有し、いずれも丸棒(円柱)とした。また、複数の棒状体381A~381Cは支持部材382により固定された構成を有する。さらに、保持手段38は、複数の棒状体381A~381Cを移動させる、保持手段用移動手段383を有する(図3Aを参照)。
【0147】
保持手段用移動手段383は、支持部材382を移動させることで、複数の棒状体381A~381Cを移動するように構成されており、図中に詳細な構成は示していないが、保持手段用移動手段383は、アームと、該アームを駆動する油圧部とを備えている。
【0148】
保持手段用移動手段383は、複数の棒状体381A~381Cを図中のY軸方向に沿って移動させることができるように構成した。具体的な動作例について以下に説明する。
【0149】
保持手段用移動手段383は、複数の棒状体381A~381C上に板体片33Aを保持した後、棒状体381A~381CをB方向(図3A参照)に移動し、搬送経路331上の領域の外に移動させるように構成した。複数の棒状体381A~381Cを、搬送経路331上の領域の外に移動させるように構成することで、サンプリングした板体片33Aを搬送経路331上の領域外に搬出し、降ろすことができる。
【0150】
なお、保持手段用移動手段383は、サンプリングした板体片33Aを搬送経路331上の領域外に搬出し、降ろした後は、棒状体381A~381CをB方向と逆方向に移動し、図3A図3Bに示した、搬送経路331上の領域に配置するように構成した。
【0151】
保持手段38よりも、板体片の搬送方向下流側には、反転手段39を設けた。
【0152】
反転手段39は、複数の棒状体(反転手段用棒状体)391A~391Cを備えた受入側部材391と、同様に複数の棒状体(反転手段用棒状体)392A~392Cを備えた送出側部材392とを有しており、それぞれ図中の点線c、点線c´を回転軸として、回転可能に構成されている。
【0153】
なお、搬送手段34のローラー34L、34Mは受入側部材391の棒状体391A~391Cの間に配置され、搬送手段34のローラー34N、34Oは送出側部材392の棒状体392A~392Cの間に配置される。
【0154】
そして、板体片33Bを乗せた受入側部材391と、送出側部材392とを上記点線c、c´を回転軸として逆方向に回転させることで、受入側部材391と送出側部材392とを板体片33Bを挟んで対向させ、板体片33Bを送出側部材392と接触させる。その後、板体片33Bを乗せた送出側部材392を、受入側部材391が回転してきた方向と同一方向に回転させる。その結果、送出側部材392は回転前の略水平位置に戻るので、受入側部材391から送出側部材392上に、表裏面を反転させた状態の板体片33Bが移動することになる。また、受入側部材391についても回転前の略水平位置に戻すことで次の板体片を受け入れることが可能になる。
【0155】
なお、複数の棒状体391A~391C、392A~392Cは、いずれも平板とした。
【0156】
送出側部材392上に移動した板体片は、図示しない搬送手段により乾燥機に搬送され乾燥を行った後、所望のサイズの複数の石膏ボードに切断される。
【0157】
以上の石膏系建材製造装置を用いて、連続して石膏ボードの製造を行い、任意のタイミングで石膏ボードの半製品である、全ての意図した板体片をサンプリングすることができる。
[実施例2]
下流側装置において切断手段と、押し上げ手段との間の搬送手段のローラーの数を変更した点、複数の離間手段451、452、及び速度調整手段を設け、制御する対象の搬送手段のローラーを変更した点以外は、実施例1と同様の構成を有する石膏系建材製造装置20を用いて、石膏系建材である石膏ボードの製造、及び製造した石膏ボードの半製品のサンプリングを行った。
【0158】
本実施例の石膏系建材製造装置における、成形装置22よりも下流に配置したサンプリング装置及びその付帯設備の構成について、図4A図4Bを用いて説明する。
【0159】
図4Aは、下流側装置40の上面図を示しており、図4Bは、図4Aのd-d´線における断面図を模式的に示している。なお、実施例1で説明した下流側装置30と同じ部材には同じ番号を付け、一部説明を省略している。
【0160】
既述の成形装置22で成形された、板体31である連続した帯状の石膏ボードの半製品は、図4A図4Bにおいて上流側搬送手段442により図中のX軸方向に沿って搬送され、切断手段32において、粗切断される。
【0161】
切断手段32としては、実施例1と同様にロータリーカッターを用いた。ロータリーカッターの構成については既述のため、ここでは説明を省略する。
【0162】
切断後の石膏ボードの半製品である板体片33A、33Bは搬送手段44によりX軸方向に沿って搬送されている。なお、搬送手段44としては、図中に示したように複数のローラー44A~44Qから構成されるローラーコンベアを用いた。
【0163】
そして、押し上げ手段37の棒状体371A~371Cを、搬送手段44のローラー44D~44G間に配置した。保持手段38は、搬送手段44のローラー44G~44Jの上方側の領域に配置した。また、反転手段39は、搬送手段44のローラー44M~44Qの近傍に配置した。これらの各手段は、配置を変更した点以外は、実施例1の場合と同様に構成しているため、ここでは説明を省略する。
【0164】
そして、切断手段32により切断後の石膏ボードの半製品である板体片間の距離を十分に広くするため、第1離間手段451を設けた(図4Bを参照)。本実施例において第1離間手段451は、板体片33A、33Bを搬送する搬送手段44の一部について、その搬送速度を、切断手段32よりも上流側に配置された上流側搬送手段442よりも速くなるように制御する離間手段用制御手段として構成した。
【0165】
第1離間手段451は、具体的には、切断手段32よりも下流側の直後のローラー44A、44Bによる板体片33A、33Bの搬送速度を、上流側搬送手段442による板体の搬送速度よりも速くなるように制御する第1離間手段用制御手段として構成した。
【0166】
第1離間手段451を設けることで、切断手段32により切断後の板体片を早く下流側に搬送し、続いて切断されて得られる板体片との間の距離を十分に確保することができる。
【0167】
下流側装置40にはさらに、押し上げ手段37、及び保持手段38によりサンプリングをし易くするため、速度調整手段47を設けた(図4Bを参照)。
【0168】
本実施例において、速度調整手段47は、押し上げ手段37の配置された領域、及びその直前の領域の、搬送手段44のローラー44C~44Fによる、板体片33A、33Bの搬送速度を制御する速度調整手段用制御手段として構成した。具体的には、速度調整手段47は、板体片33A、33Bを搬送する搬送手段44のローラー44C~44Fについて、板体片の搬送速度を、搬送手段44のローラー44A、44Bによる搬送速度よりも遅くなるように制御する速度調整手段用制御手段として構成した。
【0169】
速度調整手段47を設けることで、板体片33Aを予め減速させることにより、押し上げ手段37により板体片を押し上げ、保持手段38で保持する際に、保持手段38上に、板体片33Aをより確実に停止させて保持させることができる。
【0170】
また、押し上げ手段37、保持手段38でサンプリングを行わなかった板体片間の距離を十分に拡げるため、第2離間手段452を設けた(図4Bを参照)。具体的には、第2離間手段452は、押し上げ手段37よりも下流側であって、押し上げ手段37の直後の搬送手段44のローラー44G~44Jについて、板体片の搬送速度を、搬送手段44の直前のローラー44C~44Fによる搬送速度よりも速くなるように制御する第2離間手段用制御手段として構成した。
【0171】
第2離間手段452を設けることで、押し上げ手段37によりサンプリングされなかった板体片を早く下流側に搬送し、続いて搬送されている板体片との間の距離を十分に確保することができる。
【0172】
下流側装置40にはさらに、反転手段39により反転がし易いように、減速手段46を設けた(図4Bを参照)。減速手段46は、反転手段39の配置された領域、及びその直前領域である搬送手段44のローラー44K~44Oについて、サンプリングを行わなかった板体片33Bの搬送速度を、搬送手段44の直前のローラー44G~44Jによる搬送速度よりも遅くなるように制御する減速手段用制御手段として構成した。
【0173】
なお、本実施例では、係る減速手段用制御手段は、ローラー44K~44Oについて、搬送手段44の他の部分におけるローラー44A~44Jによる板体片の搬送速度よりも遅くなるように制御した。
【0174】
減速手段46を設けることで、反転手段39により板体片33Bを反転する際に、反転手段39上に、板体片33Bをより確実に停止させることができる。
【0175】
以上の石膏系建材製造装置を用いて、連続して石膏ボードの製造を行い、任意のタイミングで石膏ボードをサンプリングしたところ、全て意図した石膏ボードをサンプリングできた。
【0176】
以上にサンプリング装置、板部材の製造装置、石膏系建材製造装置を、実施形態等で説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0177】
本出願は、2017年4月17日に日本国特許庁に出願された特願2017-081565号に基づく優先権を主張するものであり、特願2017-081565号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0178】
11、34、44 搬送手段
111、34A~34O、44A~44Q ローラー
12A、12B、12C、33A、33B 板体片
121 搬送経路
13、37 押し上げ手段
14、38 保持手段
133、373 棒状体移動手段
131A~131C、371A~371C 棒状体
27 サンプリング装置
20 石膏系建材製造装置
31 板体
32 切断手段
342、442 上流側搬送手段
35 離間手段
451 第1離間手段
452 第2離間手段
47 速度調整手段
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B