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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】アンダーカット処理機構、成形用金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/44 20060101AFI20220824BHJP
   B29C 45/33 20060101ALI20220824BHJP
   B29C 45/44 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B29C33/44
B29C45/33
B29C45/44
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021501460
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2019007593
(87)【国際公開番号】W WO2020174615
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】302067947
【氏名又は名称】株式会社テクノクラーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】反本 正典
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-176047(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193502(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンダーカット部のある成形品を成形する、前記成形品を突き出すエジェクタ機構を備える成形用金型の固定型又は可動型に取付け使用されるアンダーカット処理機構であって、
前記アンダーカット部を成形する成形コアを備え、保持駒に連係し進退する摺動駒と、
前記固定型又は前記可動型に固定され又は前記固定型又は前記可動型に一体的に設けられ、前記成形コアがアンダーカット部から外れるように前記摺動駒を案内するガイド手段を備えるホルダーと、
前記ホルダーにガイドされ前記エジェクタ機構に連係し進退する保持駒と、
前記保持駒と前記摺動駒とを摺動自在に連結する連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、前記摺動駒が規定された位置まで移動すると、前記保持駒と前記摺動駒との連結を解く離脱機構を備えることを特徴とするアンダーカット処理機構。
【請求項2】
前記保持駒は、本体の先端に進退方向と交差する方向に伸びる、爪が係止可能な凸条を有し、
前記凸条の一部は、前記本体の側面から突出した突出部であり、
前記保持駒の本体と前記凸条との間に前記爪が摺動自在に嵌り込む蟻溝が設けられ、
前記摺動駒は、前記爪を有し、前記爪の上方は開口し、
前記凸条の突出部は、前記爪の上方に移動可能でかつ前記爪の下方に移動不能であり、
前記連結手段が、前記凸条と前記蟻溝と前記爪とで構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項3】
さらに前記保持駒との連結が解かれた前記摺動駒の位置、その姿勢を保持する1以上の位置姿勢保持手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項4】
前記位置姿勢保持手段は、前記摺動駒に設けられた2つの当接面を備え、
第1の当接面は、前記ホルダーの側面内壁に当接する該側面内壁に平行な面であり、
第2の当接面は、前記保持駒の本体側面に当接する該本体側面に平行な面であり、
前記第1の当接面が前記ホルダーの側面内壁に当接し、前記第2の当接面が前記保持駒の本体側面に当接し、
前記摺動駒の位置、その姿勢を保持することを特徴とする請求項3に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項5】
前記位置姿勢保持手段は、前記摺動駒、前記ホルダー、前記保持駒のうち1以上に設けられ、前記保持駒との連結が解かれた前記摺動駒を前記ホルダー、又は前記保持駒、又は前記ホルダーと前記保持駒とに着脱自在に係止させる係止手段であることを特徴とする請求項3に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項6】
前記係止手段が、ボールプランジャ、又は板ばね、又は凹部に着脱自在に嵌り込む凸部を有する弾性体であることを特徴とする請求項5に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項7】
さらに前記ホルダーに対する前記保持駒の姿勢を保持する姿勢保持手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項8】
前記姿勢保持手段は、凸条と前記凸条が摺動自在に嵌り込む溝とで構成され、
前記ホルダーの内壁面及び前記保持駒それぞれに前記凸条及び溝のいずれか一方が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項9】
前記ホルダーに少なくとも前記保持駒と前記摺動駒とが組み込まれユニット化されてなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項10】
前記保持駒の本体の上面と側面との角部のうち少なくとも前記保持駒との連結が解かれた前記摺動駒と対向する角部、及び前記摺動駒の本体の底面と側面との角部のうち少なくとも前記摺動駒との連結が解かれた前記保持駒と対向する角部には、互いの噛みつきを防ぐ面取りが施されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構を1以上備える可動型又は固定型。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構を1以上備える成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーカット部を有する成形品を成形する成形用金型に取付け使用されるアンダーカット処理機構、成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
アンダーカット部を有する成形品を成形する成形用金型において、アンダーカット部を含む成形品の形態により、1段の突き出し操作で成形用金型から成形品を取り外すことができない場合には、突き出し工程を2段で行う2段突き出し機構が用いられる。
【0003】
例えば、アンダーカット部を抜く方向の先に突出した部位がある成形品を、ホルダー、保持駒、摺動駒及び成形駒がユニット化されたアンダーカット処理機構を備える成形用金型で成形する場合、1回の突き出し操作では、アンダーカットの抜き方向にスライドした成形駒が突出した部位に衝突し、成形用金型から成形品をうまく取り外すことができない。このような成形品の成形には、特許文献1で示されるようなアンダーカット処理機構及び2段突出し機構を備える成形用金型が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-97628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2段突き出し機構は、1段の突出し機構に比較して部品数も多く構造も複雑であり、必然的に成形用金型が大きくなる。今日、成形用金型のコンパクト化、軽量化に対する要求は強く、アンダーカット部を抜く方向の先に突出した部位を有する成形品においても1段の突き出し操作で成形できる成形用金型の開発が待たれている。
【0006】
本発明の目的は、アンダーカット部を抜く方向の先に突出した部位を有するような成形品であっても容易に型抜きすることができるコンパクトなアンダーカット処理機構、成形用金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アンダーカット部のある成形品を成形する、前記成形品を突き出すエジェクタ機構を備える成形用金型の固定型又は可動型に取付け使用されるアンダーカット処理機構であって、前記アンダーカット部を成形する成形コアを備え、保持駒に連係し進退する摺動駒と、前記固定型又は前記可動型に固定され又は前記固定型又は前記可動型に一体的に設けられ、前記成形コアがアンダーカット部から外れるように前記摺動駒を案内するガイド手段を備えるホルダーと、前記ホルダーにガイドされ前記エジェクタ機構に連係し進退する保持駒と、前記保持駒と前記摺動駒とを摺動自在に連結する連結手段と、を備え、前記連結手段は、前記摺動駒が規定された位置まで移動すると、前記保持駒と前記摺動駒との連結を解く離脱機構を備えることを特徴とするアンダーカット処理機構である。
【0008】
本発明のアンダーカット処理機構において、前記保持駒は、本体の先端に進退方向と交差する方向に伸びる、爪が係止可能な凸条を有し、前記凸条の一部は、前記本体の側面から突出した突出部であり、前記保持駒の本体と前記凸条との間に前記爪が摺動自在に嵌り込む蟻溝が設けられ、前記摺動駒は、前記爪を有し、前記爪の上方は開口し、前記凸条の突出部は、前記爪の上方に移動可能でかつ前記爪の下方に移動不能であり、前記連結手段が、前記凸条と前記蟻溝と前記爪とで構成されてなることを特徴とする。
【0009】
本発明のアンダーカット処理機構は、さらに前記保持駒との連結が解かれた前記摺動駒の位置、その姿勢を保持する1以上の位置姿勢保持手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のアンダーカット処理機構において、前記位置姿勢保持手段は、前記摺動駒に設けられた2つの当接面を備え、第1の当接面は、前記ホルダーの側面内壁に当接する該側面内壁に平行な面であり、第2の当接面は、前記保持駒の本体側面に当接する該本体側面に平行な面であり、前記第1の当接面が前記ホルダーの側面内壁に当接し、前記第2の当接面が前記保持駒の本体側面に当接し、前記摺動駒の位置、その姿勢を保持することを特徴とする。
【0011】
本発明のアンダーカット処理機構において、前記位置姿勢保持手段は、前記摺動駒、前記ホルダー、前記保持駒のうち1以上に設けられ、前記保持駒との連結が解かれた前記摺動駒を前記ホルダー、又は前記保持駒、又は前記ホルダーと前記保持駒とに着脱自在に係止させる係止手段であることを特徴とする。
【0012】
本発明のアンダーカット処理機構において、前記係止手段が、ボールプランジャ、又は板ばね、又は凹部に着脱自在に嵌り込む凸部を有する弾性体であることを特徴とする。
【0013】
本発明のアンダーカット処理機構は、さらに前記ホルダーに対する前記保持駒の姿勢を保持する姿勢保持手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のアンダーカット処理機構において、前記姿勢保持手段は、凸条と前記凸条が摺動自在に嵌り込む溝とで構成され、前記ホルダーの内壁面及び前記保持駒それぞれに前記凸条及び溝のいずれか一方が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明のアンダーカット処理機構は、前記ホルダーに少なくとも前記保持駒と前記摺動駒とが組み込まれユニット化されてなることを特徴とする。
【0016】
本発明のアンダーカット処理機構において、前記保持駒の本体の上面と側面との角部のうち少なくとも前記保持駒との連結が解かれた前記摺動駒と対向する角部、及び前記摺動駒の本体の底面と側面との角部のうち少なくとも前記摺動駒との連結が解かれた前記保持駒と対向する角部には、互いの噛みつきを防ぐ面取りが施されていることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記アンダーカット処理機構を1以上備える可動型又は固定型である。
【0018】
また本発明は、前記アンダーカット処理機構を1以上備える成形用金型である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、アンダーカット部を抜く方向の先に突出した部位を有するような成形品であっても容易に型抜きすることができるコンパクトなアンダーカット処理機構、成形用金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態の成形用金型1の全体構成を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態の成形用金型1のホルダー20、保持駒30、摺動駒50の外観図である。
図3】本発明の第1実施形態の成形用金型1のホルダー20に保持駒30、摺動駒50を組み込んだ状態を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態の成形用金型1の成形品Pのアンダーカット処理機構11の動作を説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態の成形用金型1の成形品Pの突き出し動作途中の断面図である。
図6】本発明の第1実施形態の成形用金型1の成形品Pの突き出し動作途中の断面図である。
図7】本発明の第1実施形態の成形用金型1の成形品Pの突き出し後の断面図である。
図8】本発明の第1実施形態の成形用金型1の型締め途中の断面図である。
図9】本発明の第1実施形態の成形用金型1の型締め時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態の成形用金型1の全体構成を示す断面図、図2は、成形用金型1のホルダー20、保持駒30、摺動駒50の外観図、図3は、成形用金型1のホルダー20に保持駒30、摺動駒50を組み込んだ状態を示す図である。図4は、成形用金型1の成形品Pのアンダーカット処理機構11の動作を説明するための図であり、(A)は型締め時、(B)は保持駒30と摺動駒50との連結が外れた時、(C)は成形品Pの突き出し時である。図5及び図6は、成形用金型1の成形品Pの突き出し動作途中の断面図である。図7から図9は、それぞれ成形用金型1の成形品Pの突き出し後の断面図、型締め途中の断面図、型締め時の断面図である。
【0023】
本発明の第1実施形態の成形用金型1において、図2から図9では固定型の記載を省略し、図2から図4は、他の図とは見る方向(裏表)が異なっている。また図4を除きボールプランジャ90及び凹部65の記載を省略している。
【0024】
本発明の第1実施形態の成形用金型1は、公知の射出成形用金型と同様、成形品Pの外面側を成形する固定型101と、成形品Pの内面側を成形する可動型151と、さらにアンダーカット処理機構11とを備える。便宜上、図1の固定型101側を上、可動型151側を下として説明する。また以下の説明において特に説明がない限り、左側とは図1における左側をいい、右側とはその反対側をいう。
【0025】
固定型101は、成形品Pの外面側を成形するキャビティ106を有する。可動型151は、成形品Pの内面側を成形するコア162を有する可動側型板161、可動側取付板180、スペーサーブロック181、2枚のエジェクタ台板191、エジェクタピン192、リターンピン195、スプリング197、エジェクタロッド198を備え、エジェクタ台板191、エジェクタピン192及びエジェクタロッド198等でエジェクタ機構190が構成される。このエジェクタ機構190は、一段の突き出し機構である。
【0026】
成形用金型1は、成形工程、冷却工程を経て型開きを行い、エジェクタ台板191が成形品Pの型抜き方向(図1の上方向,Y方向)である可動側型板161に近づくように移動することでエジェクタピン192によって成形品Pの突き出し動作を行う。なお上記の構成部品及び動作は、公知の射出成形用金型と同様であるため説明を省略する。
【0027】
本実施形態においてアンダーカット部P1は、成形品Pの端部から成形品Pの内側に突出した突出部P1であり、成形品Pの型抜き方向(Y方向)に対して交差している。また本実施形態に示す成形品Pは、アンダーカット部P1を抜く方向(X方向)の先端に成形品Pの内側に突出した突出部P2を有する。成形品P、突出部P1及び突出部P2の形状は特に限定されるものではなく、成形品Pの素材もプラスチック等の合成樹脂に限らず、鉄や銅、アルミニウム等の金属でも良い。
【0028】
アンダーカット処理機構11は、成形品Pの成形時にアンダーカット部P1を成形し、エジェクタ機構190と同期し、成形品Pの突き出し時にアンダーカット部P1から外れることで、成形品Pを成形用金型1から型抜き可能とするものである。
【0029】
アンダーカット処理機構11は、可動側型板161に埋設、固定されたホルダー20と、成形品Pのアンダーカット部P1を成形する成形コア80と、成形コア80を支持固定する摺動駒50と、摺動駒50を摺動可能に保持する保持駒30とを備える。
【0030】
ホルダー20は、可動側型板161内の底面163に臨むように設けられた凹部164に嵌め込まれ、固定板165を介して可動側型板161に埋設、固定される。ホルダー20は、摺動駒50及び保持駒30を収容し、摺動駒50及び保持駒30の移動方向を規制する。
【0031】
ホルダー20は、断面がコ字状の2つの片割ホルダー部材21を組合せてなり、上面及び下面が開口した箱形形状を有し、保持駒30及び摺動駒50を収容可能な内部空間を備える(図2図3参照)。ホルダー20は、複数の部材に分割して形成されていてもよく、可動側型板161に一体的に形成されていてもよい。
【0032】
ホルダー20は、X軸Y軸を含む面に平行な対向する2つの内壁面22、23に、保持駒30をガイドする縦溝27と、摺動駒50をガイドする斜溝28とを有する。また内壁面25の上部は、斜溝28に沿うようにまた斜溝28と平行な傾斜面26が設けられている。
【0033】
縦溝27は、成形用金型1の型開き方向(Y方向)に平行に設けられ、後述する保持駒30に設けられた凸条38が摺動自在に嵌合する。縦溝27は、エジェクタ機構190と同期して進退する保持駒30を成形品Pの突き出し方向に案内するガイド手段である。また縦溝27は、保持駒30に設けられた凸条38と協働して保持駒30の姿勢を保持する姿勢保持手段としても機能する。この点は後述する。本実施形態では、縦溝27は、対向する2つの内壁面22、23にそれぞれ設けられているが、Y軸Z軸を含む面に平行な内壁面24に設けてもよい。この場合には、保持駒30の凸条38を側面35に設ければよい。
【0034】
斜溝28は、成形用金型1の型開き方向(Y方向)に対して傾斜して設けられ、後述する摺動駒50に設けられた凸条59が摺動自在に嵌合する。斜溝28は、エジェクタ機構190と同期して、摺動駒50に連結する成形コア80がアンダーカット部P1から外れる方向(X方向)に摺動駒50の移動方向を規制する。ここで成形コア80がアンダーカット部P1から外れる方向とは、アンダーカット部P1を変形及び損傷させることなく成形コア80がアンダーカット部P1から外れる方向である。
【0035】
ホルダー20の斜溝28は、成形品Pのアンダーカット部P1の形状、特に、アンダーカット部P1のX方向への突出量と、突き出しピン200のストロークとに応じて、成形品Pの突き出し時に成形コア80が成形品Pのアンダーカット部P1から外れるように決められる。
【0036】
ホルダー20の形状は、特定の形状に限定されるものではなく、成形コア80が成形品Pの成形時にアンダーカット部P1を成形し、成形品Pの突き出し時に成形コア80がアンダーカット部P1から外れるように摺動駒50及び保持駒30の移動方向を規制可能であればよい。さらにホルダー20は、本実施形態のアンダーカット処理機構11のように摺動駒50の位置・姿勢及び保持駒30の姿勢を保持可能な機能を備えるものが好ましい。
【0037】
保持駒30は、略直方体の本体31を有し、本体31の上面32に凸条40が設けられてなる。図2において、本体31の正面側の壁面33の左端及び背面側の壁面の左端には、ホルダー20に設けられた縦溝27に摺動自在に嵌り込む凸条38が設けられている。本体31の幅(X方向)は、ホルダー20の内部空間の幅(X方向)よりも小さい(図3参照)。本体31の上面32と側面36とが交差する角部C1には、摺動駒50との噛みつきを防止するための面取りが施されている。
【0038】
凸条40は、X方向に伸びる、摺動駒50に設けられた爪60が摺動自在に係止する部材である。凸条40の長さは、ホルダー20の内部空間の幅と同一であり、保持駒30がホルダー20に組み込まれた状態で、凸条40の一端はホルダー20の内壁面24に、凸条40の他端44は、ホルダー20の内壁面25にそれぞれ摺動自在に接する。凸条40の長さは、本体31の幅に比較して長いので、凸条の一部は、本体31から突出した突出部45となっている(図3参照)。
【0039】
凸条40の横断面は、下部41に比較して上部42が幅広でありT字形状を有する。凸条40の下部の幅(Z方向)は、本体31の上面32の厚さ(Z方向)に比較して小さいため本体31と凸条40との間に蟻溝46が形成される。この蟻溝46に摺動駒50に設けられた爪60が摺動自在に係止する。
【0040】
保持駒30は、底面37にエジェクタ台板191に固定された突き出しピン200が連結し、ホルダー20内に収容される。保持駒30は、凸条38をホルダー20の縦溝27に摺動自在に嵌め入れ、突き出しピン200に突き出され型抜き方向(Y方向)に進退する。
【0041】
摺動駒50は、横断面が略矩形で直線状の棒部材からなる本体51を有し、本体51の上面52には成形コア80を取付けるための取付部68が設けられている。本体51の横断面は、矩形に限定されるものではなく、後述の凸条59、爪60、開口部62さらには当接面58、72を設けることができれば他の形状であってもよい。
【0042】
本体51は、上面52と底面53とが平行であり、上面52を水平にしたときX軸Y軸を含む平面に平行な側面54、55は傾斜している(図2参照)。また側面54に直交する面である傾斜面56、57のうち、傾斜面56の下部には当接面58が設けられている。当接面58は、後述のストッパ70に設けられた当接面72とで第1の位置姿勢保持手段を構成する。
【0043】
当接面58は、Y軸Z軸を含む平面に平行な面であり(図2参照)、摺動駒50及び保持駒30がホルダー20に組み込まれた状態で、保持駒30の側面36に平行である。当接面58は、保持駒30と摺動駒50との連結が解かれ、保持駒30が上昇すると保持駒30の側面36に当接し、摺動駒50の位置・姿勢を保持するように機能する(図4(C)参照)。本実施形態において保持駒30と摺動駒50との連結が解かれるとは、摺動駒50が移動し、図4(B)、図4(C)に示すように摺動駒50の爪60が蟻溝46から完全に外れた状態をいう。当接面58と底面53とが交差する角部C2には、保持駒30との噛みつきを防止するための面取りが施されている。
【0044】
本実施形態において摺動駒50の爪60が蟻溝46に嵌り込んでいるときは、摺動駒50は、保持駒30と摺動自在に連結された状態にあり、保持駒30と一体的に移動する。一方、摺動駒50の爪60が蟻溝46から完全に外れ、爪60が凸条40の突出部45に位置するときには、摺動駒50と保持駒30とは離脱状態にあり、保持駒30が上昇しても摺動駒50は上昇しない。
【0045】
また本体51の側面54及び側面55はそれぞれ、傾斜面57側に凸条59を備える。この凸条59は、ホルダー20に設けられた斜溝28に摺動自在に嵌り込む。
【0046】
摺動駒50の下端には、図2の前後方向(Z方向)に間隔をあけて一対の爪60が設けられている。一対の爪60は、傾斜面56の下部に底面53及び当接面58に繋がる開口部62を設けることで形成されている。開口部62は、底面53に繋がる第1開口部63と第1開口部63の上に位置し第1開口部63に繋がる第2開口部64とからなる。第1開口部63の幅(Z方向)に比較して第2開口部64の幅(Z方向)を広くし、第1開口部63と第2開口部64との境界に段差を設け、一対の爪60が形成されている。
【0047】
第1開口部63の高さ(Y方向)が爪60の高さとなり、この高さは、保持駒30に設けられた蟻溝46に摺動自在に嵌り込む高さとなっている。また第1開口部63の幅(Z方向)が一対の爪60の間隔(隙間)となり、この幅は、保持駒30に設けられた凸条40の下部41の幅(Z方向)と略同一であり、一対の爪60が前後の蟻溝46に摺動自在に嵌り込む。一対の爪60の間隔は、保持駒30の上面32の幅(Z方向)及び第2開口部64の幅(Z方向)よりも狭くなっている。
【0048】
第2開口部64は、図2において左側(-X方向)が当接面58に、また右側の下端が第1開口部63の右端(傾斜面57側)に、上面が傾斜面56に繋がるように設けられている。第2開口部64の幅(Z方向)は、凸条40の上部42の幅(Z方向)よりも大きく設定され、凸条40は、第2開口部64を通過することができる。第2開口部64は、凸条40の突出部45が摺動駒50に衝突することを防ぐ回避溝ということができる。
【0049】
一対の爪60の形態は、上記実施形態に限定されるものではない。爪60は、保持駒30の蟻溝46に摺動自在に嵌り込み、爪60が凸条40の突出部45に移動すると、保持駒30は上方に移動可能でかつ下方に移動不能であればよい。例えば図2において爪60の一部が-X方向に突出していてもよく、また第2開口部64の幅(Z方向)が、傾斜面56の幅(Z方向)と同じであってもよい。
【0050】
摺動駒50は、下端の爪60を保持駒30の蟻溝46に嵌め入れ、ホルダー20の斜溝28に凸条59を嵌め込んだ状態でホルダー20内に収容され、保持駒30のY方向への移動に連動してホルダー20の斜溝28に沿って移動する。
【0051】
また摺動駒50の傾斜面57の下端には、ストッパ70が設けられている。ストッパ70は、当接面72を有する(図4参照)。当接面72は、Y軸Z軸を含む平面に平行な面であり、摺動駒50及び保持駒30がホルダー20に組み込まれた状態で、ホルダー20の内壁面25に平行である。当接面72は、摺動駒50が移動し保持駒30との連結が解かれたとき及びその後にホルダー20の内壁面25に当接し、摺動駒50の位置・姿勢を保持する(図4(B)参照)。また保持駒30と摺動駒50との連結が解かれ、保持駒30が上昇すると、当接面72は、摺動駒50の下部を当接面58とで挟み込み摺動駒50の位置・姿勢を保持する。
【0052】
成形コア80は、アンダーカット部P1を含む成形品Pの一部に沿った形状のブロック部材であり、摺動駒50の取付部68に固定されている。成形コア80の形状は、成形品Pの形状に応じて決められる。なお成形コア80は、摺動駒50に一体的に形成されていてもよい。
【0053】
さらに本実施形態のアンダーカット処理機構11には、ホルダー20に装着されたボールプランジャ90とボールプラジャ90のボール91が嵌り込む凹部65とで構成される第2の位置姿勢保持手段を備える。第2の位置姿勢保持手段は、保持駒30と摺動駒50との連結が解かれたとき及びその後、摺動駒50の位置・姿勢を保持する部材である。
【0054】
ボールプランジャ90は、傾斜面26にボール91が傾斜面26から突出するように装着されている。凹部65は、摺動駒50の本体51の傾斜面57であって、摺動駒50が移動し、保持駒30との連結が解かれたときボールプランジャ90のボール91が嵌り込む位置に設けられている(図4(B)参照)。
【0055】
ここで使用するボールプランジャ90は、有底筒状の本体、本体の先端から抜けないように本体内に配置されたボール91、本体内に配置されボール91を先端方向に付勢する圧縮コイルバネで構成される公知のボールプランジャであり、ボール91が凹部65に嵌ることで摺動駒50の位置・姿勢を保持する。
【0056】
本実施形態では、ボールプランジャ90をホルダー20の傾斜面26に取付けているが、ボールプランジャ90の取付け位置は、特に限定されるものではない。保持駒30の側面36にボールプランジャ90を取付け、ボール91を摺動駒50の当接面58に係止させるようにしてもよい。ボールプランジャ90の装着個数も1個に限定されるものではなく、2個以上取付けてもよい。
【0057】
本実施形態では、位置姿勢保持手段を構成する、摺動駒50をホルダー20に係止させる係止手段にボールプランジャ90を使用するが、ボールプランジャ90に代えて、凹部65に着脱自在に嵌り込む板ばね、凹部65に着脱自在に嵌り込む凸部を有する弾性体を用いてもよい。
【0058】
要すれば第2の位置姿勢保持手段は、摺動駒50、ホルダー20、保持駒30のうち1以上に設けられ、保持駒30と摺動駒50との連結が解かれたとき及びその後に摺動駒50をホルダー20、又は保持駒30、又はホルダー20と保持駒30とに着脱自在に係止させ、保持駒30との連結が解かれた摺動駒50の位置・姿勢を保持することができればよい。
【0059】
本実施形態のアンダーカット処理機構11は、摺動駒50の下部を前後から挟むことが可能な2つの当接面58、72で構成される第1の位置姿勢保持手段を備えるため第2の位置姿勢保持手段を省略することも可能である。一方で、第1の位置姿勢保持手段と異なる構造の第2の位置姿勢保持手段を設けることで、保持駒30との連結が解かれた摺動駒50の位置・姿勢をより確実に保持することができる。
【0060】
次に、成形用金型1において成形品Pを射出成形によって成形する場合を例として、本実施形態の成形用金型1の動作、作用を説明する。成形品Pの成形時には、摺動駒50が可動側型板161に内設されたホルダー20内に収容され、成形コア80が成形品Pのアンダーカット部P1を成形するように位置する(図1図4(A)参照)。
【0061】
成形用金型1は、固定型101と可動型151とのパーティング面(PL面)が合わされ、溶融材料が射出され成形品Pの成形が行われる。溶融材料の射出、冷却の各工程が終了すると、型開きが行われ、成形品Pの取り出し工程に移行する。取り出し工程における成形用金型1の動作は次の通りである。
【0062】
型開き後、図示を省略した突き出し装置を介してエジェクタロッド198が押し出され、エジェクタ台板191が上方(Y方向)に移動する(図5参照)。これに伴いエジェクタ台板191上に立設したエジェクタピン192が成形品PをY方向に突き出す。
【0063】
同時にホルダー20内に収容された保持駒30が突き出しピン200に突き出されエジェクタピン192と同量Y方向へ移動する。保持駒30のY方向への移動に伴って、保持駒30の蟻溝46に爪60を係止させる摺動駒50は、図1に示す成形位置からホルダー20にある斜溝28に沿って移動する。これにより成形コア80は、Y方向及びX方向へ同時に移動しアンダーカット部P1から遠ざかる(図5参照)。
【0064】
エジェクタ台板191が上昇し地点H1(図示省略)に達すると、成形コア80がアンダーカット部P1から完全に外れる。この時点で、成形品Pは固定型151に対して取り出し可能な位置まで達していない。このためエジェクタ台板191は、引き続き上昇し、エジェクタピン192は、成形品Pの内側に接した状態で引き続き成形品Pを突き出す。同時に保持駒30及び摺動駒50もエジェクタ台板191の上昇に伴い上昇する。
【0065】
エジェクタ台板191が上昇し地点H2に達すると、摺動駒50は、爪60が保持駒30の凸条40の突出部45に位置する。この位置では、摺動駒50の爪60は、保持駒30の蟻溝46から外れているので摺動駒50と保持駒30との連結が解かれる。この位置は、成形コア80が成形品Pの突起部P2に衝突するよりも前の位置である(図4(B)、図5参照)。
【0066】
エジェクタ台板191が地点H2に達すると、同時に摺動駒50のストッパ70の当接面72が、ホルダー20の内壁面25に当接する。さらにボールプランジャ90のボール91が、摺動駒50の凹部65に嵌り込む(図4(B)、図5参照)。これにより摺動駒50と保持駒30の連結が解かれるものの、当接面72の内壁面25への当接、及びボールプランジャ90による摺動駒50とホルダー20との連結により、摺動駒50の位置・姿勢が保持される。なおこの時点で摺動駒50の当接面58は、保持駒30の側面36に接していない。
【0067】
さらにエジェクタ台板191は上昇し、エジェクタピン192は、成形品Pの内側に接した状態で引き続き成形品Pを突き出す。また保持駒30は、突出部45が摺動駒50の第2開口部64を通過できるのでエジェクタ台板191と一体的に上昇する。一方、摺動駒50は、エジェクタ台板191が地点H2に達した時点で、保持駒30との連結が解かれているのでこれ以上上昇できず、保持駒30がさらに上昇しても成形コア80が成形品Pの突起部P2に衝突することはない。
【0068】
保持駒30は、エジェクタ台板191が地点H2を超えてさらに上昇する過程で、保持駒30の側面36が摺動駒50の当接面58に接し、以降互いの面を摺動させた状態で保持駒30は上昇する。このとき摺動駒50は、当接面72がホルダー20の内壁面25に当接し、さらにボールプランジャ90のボール91が、摺動駒50の凹部65に嵌り込んでいるので摺動50の位置・姿勢をより確実に保持することができる。
【0069】
保持駒30の側面36と摺動駒50の当接面58との接し始めにおいて、互いの角部C1、C2の噛みつきが懸念されるが、本実施形態のアンダーカット処理機構においては、角部C1、C2に噛みつき防止用の面取りがされているので、保持駒30の側面36が摺動駒50の当接面58にスムーズに接し、摺動する。
【0070】
エジェクタ台板191が地点H3に達した時点で、成形品が取出し可能に突き出され突き出し操作が完了する(図6図7参照)。
【0071】
成形品Pの取り出し後、次の成形品Pを成形すべく、再度、成形用金型1の型締めが行われる。型締め時には、可動型151全体が固定型101に近づくように移動するとともに、エジェクタ台板191が可動側型板161から遠ざかるように移動する。アンダーカット処理機構11は、エジェクタ台板191の移動に連動して、保持駒50が先とは逆向きに移動する。
【0072】
エジェクタ台板191が降下し地点H2に達すると、保持駒30の凸条40の突出部45が、保持駒50の爪60に接する。突出部45は、上部42の幅が一対の爪60の間隔よりも広いためエジュクタ台板191がさらに降下すると、突起部45が爪60に係止し、摺動駒50は、突起部45により押し下げられる。これにより爪60が蟻溝46に入り込み、摺動駒50は、さらに斜溝28に沿って下降し、最終的に成形コア80の上面81が可動側型板161上面と面一になる(図9参照)。
【0073】
型締めが完了すると、成形材料が射出され次の成形品Pが成形される。成形用金型1の型開き状態から型締めへの基本動作は、従来のアンダーカット処理機構を備える成形用金型と同じである。
【0074】
以上のように、第1実施形態の成形用金型1、アンダーカット処理機構11によれば、エジェクタ機構190の動きに連動して保持駒30がホルダー20内を摺動しながら上昇し、摺動駒50がホルダー20にガイドされ成形コア80がアンダーカット部P1から外れるように移動するので、コンパクトかつ簡素に構成可能でありながら容易にまた確実にアンダーカット部P1を抜くことができる。
【0075】
さらに第1実施形態の成形用金型1、アンダーカット処理機構11は、摺動駒50が規定された位置まで移動すると、保持駒30と摺動駒50との連結を解く離脱機構を備えるので、規定された位置をアンダーカット部P1が外れる位置とすれば、アンダーカット部P1が外れるように成形コア80を移動させた後に、摺動駒50と保持駒30とを切り離すことができる。よってアンダーカット部P1を外した先に突出部P2を有するような成形品Pであっても、一段の突き出し操作で容易にまた確実に型抜きすることができる。また摺動駒50と保持駒30とを切り離すことでエジェクタ機構190の突き上げ量を大きく設定することができる。
【0076】
アンダーカット処理機構11において、摺動駒50と保持駒30との連結が解かれると摺動駒50、保持駒30それぞれの位置・姿勢の保持が問題となる。摺動駒50は、保持駒30との連結が解かれると基本的にはフリーとなるので、摺動駒50が落下するようなケースもあり得る。また保持駒30は、摺動駒50との連結が解かれると、拘束される箇所が減るため姿勢の保持が難しくなる。これに対して第1実施形態の成形用金型1、アンダーカット処理機構11では、摺動駒50の位置・姿勢保持手段、さらに保持駒30の姿勢保持手段を備えるので、摺動駒50、保持駒30それぞれの位置・姿勢を拘束し、位置・姿勢を確実に保持することができる。
【0077】
また第1実施形態のアンダーカット処理機構11は、摺動駒50及び保持駒30をホルダー20内に収納した状態で成形用金型1に組込むことができるので、コンパクトに構成可能であるとともに、成形用金型1への取付けが容易である。特にホルダー20、保持駒30、摺動駒50及び成形コア80を1つのユニットとすれば、成形用金型1への取付けがより容易となる。
【0078】
以上、第1実施形態の成形用金型1を用いて、本発明のアンダーカット処理機構、成形用金型及び成形品を説明したが、本発明のアンダーカット処理機構、成形用金型及び成形品は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形して使用することができる。上記実施形態では、成形コア80がアンダーカットP1から外れる位置H1と、摺動駒50と保持駒30との連結が解かれる位置H2とを異ならせているが、この位置が同じであってもよい。
【0079】
また第1実施形態において保持駒30に凸条38を、ホルダー20に縦溝27を設けているが、保持駒30に縦溝を、ホルダー20に凸条を設けてもよい。これらはホルダー20の斜溝28と摺動駒50の凸条59についても同様である。また本発明のアンダーカット処理機構は、可動型151に代えて固定型101に組み込むことも可能である。
【0080】
また本発明のアンダーカット処理機構において、互いに嵌合又は係合する縦溝27、斜溝28、凸条38、59、嵌合部又は係合部の断面形状は、図に示した矩形であるものに限定されるものではなく断面が円形、三角形等であってもよい。また本発明のアンダーカット処理機構において、ホルダー20、保持駒30及び摺動駒50のそれぞれの移動を規制するガイド手段は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、リニアガイド等を用いてもよい。
【0081】
第1実施形態では、角部C1、C2に噛みつき防止用の面取りが施されているが、本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型において、各構成部材の角及び側稜にR面取りやC面取り等が施されていてもよい。
【0082】
本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型に使用される各構成部材の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、公知のアンダーカット処理機構及び成形用金型に使用される部材の材質と同様のものを適宜用いればよい。ただし各構成部材における摺動面は、摺動性の良好な材質又は摺動性の良好な表面処理が施された材料を用いることが好ましい。なお各摺動面は、面接触であるものに限定されるものではなく、線接触や点接触であってもよい。
【0083】
また本発明のアンダーカット処理機構は、水平、垂直又はその他の方向に開閉する成形用金型に適用可能である。本発明のアンダーカット処理機構は、成形用金型に1つ組み込まれていても、2つ、3つ以上組み込まれていてもよい。本発明のアンダーカット処理機構を2つ以上備える成形用金型であってもエジェクタ機構は1つでよく、また一段の突き出し操作で成形品を突き出すことができる。
【0084】
また本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型は、射出成形金型以外にダイカスト金型のようなモールド金型、モールドプレス成形金型などに好適に使用することができる。
【0085】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0086】
1 成形用金型
11 アンダーカット処理機構
20 ホルダー
25 内壁面
27 縦溝
28 斜溝
30 保持駒
31 本体
38 凸条
40 凸条
45 突出部
46 蟻溝
50 摺動駒
51 本体
58 当接面
59 凸条
60 爪
65 凹部
70 ストッパ
72 当接面
80 成形コア
90 ボールプランジャ
101 固定型
151 可動型
190 エジェクタ機構
191 エジェクタ台板
192 エジェクタピン
200 突き出しピン
P 成形品
P1 アンダーカット部
P2 突出部
C1、C2 角部
H1、H2、H3 地点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9