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特許7128565発信元端末、通信システム、通信方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】発信元端末、通信システム、通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/104 20220101AFI20220824BHJP
   H04L 45/243 20220101ALI20220824BHJP
   H04L 41/28 20220101ALI20220824BHJP
【FI】
H04L67/104
H04L45/243
H04L41/28
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022522009
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2021025226
(87)【国際公開番号】W WO2022004894
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2020116017
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522145764
【氏名又は名称】株式会社ポリテック
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(72)【発明者】
【氏名】白水 重明
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/026288(WO,A1)
【文献】小俣 栄治 外5名,異種ネットワーク環境でのP2Pストリーミング ,情報処理学会論文誌 第47巻 第2号 IPSJ Journal,日本,社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,pp.334~345
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04L 45/00
H04L 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)であって、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記発信先端末(2-2)との接続を該ネットワーク(N)を介して要求することにより、該中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する、
ことを特徴とする発信元端末(2-1)。
【請求項2】
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記支援端末(2-11)に前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援を前記ネットワーク(N)を介して要求することにより、該第2接続経路(R4~R6)を確立する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発信元端末(2-1)。
【請求項3】
前記第1接続経路(R0)の確立後、該第1接続経路(R0)を介して接続された前記通信端末(2-m)が前記発信先端末(2-2)であることの信頼度を算出し、
前記信頼度が所定の閾値未満であることを条件に、前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発信元端末(2-1)。
【請求項4】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)であって、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立し、
前記発信先端末(2-2)との接続を要求する接続要求であって、該接続要求を特定するための第1接続要求識別情報を含む該接続要求を前記ネットワーク(N)を介して前記支援端末(2-11)に送信し、
前記発信先端末(2-2)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記第1接続要求識別情報と、該発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報と、を受信したことに応答して、該発信先端末(2-2)から受信した第1接続要求識別情報が前記支援端末(2-11)に送信した第1接続要求識別情報に合致することを条件に、該発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と該ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第1接続経路(R0)を確立する、
ことを特徴とする発信元端末(2-1)。
【請求項5】
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記第1接続要求識別情報とは異なる第2接続要求識別情報を含む前記接続要求を該ネットワーク(N)を介して送信することにより、該第2接続経路(R4~R6)を確立する、
ことを特徴とする請求項4に記載の発信元端末(2-1)。
【請求項6】
前記発信先端末(2-2)と接続するための権利と、前記支援端末(2-11)が発行した支援端末発行情報と、から前記第1接続要求識別情報を生成し、
前記権利と、前記中継端末(2-12,2-13)が発行した中継端末発行情報と、から前記第2接続要求識別情報を生成する、
ことを特徴とする請求項5に記載の発信元端末(2-1)。
【請求項7】
前記第1接続要求識別情報を登録する接続要求テーブル(5)の処分権者として該発信元端末(2-1)のユーザを登録し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記接続要求テーブル(5)の処分権者を前記支援端末(2-11)のユーザに変更することにより、該接続要求テーブル(5)の処分権を、該支援端末(2-11)のユーザに移転する、
ことを特徴とする請求項4に記載の発信元端末(2-1)。
【請求項8】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)を具備する通信システム(1)であって、
前記複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)は、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記発信先端末(2-2)との接続を該ネットワーク(N)を介して要求することにより、該中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する、
ことを特徴とする通信システム(1)。
【請求項9】
前記発信元端末(2-1)は、
前記発信先端末(2-2)から前記ネットワーク(N)を介して送信される該発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報を受信し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記発信先端末(2-2)の接続情報を登録する接続情報テーブル(6)を生成し、
前記支援端末(2-11)に前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援を前記ネットワーク(N)を介して要求し、
前記発信先端末(2-2)と前記中継端末(2-4~2-6)とが前記ネットワーク(N)を介して接続された後、前記支援端末(2-11)から該ネットワーク(N)を介して送信される該中継端末(2-4~2-6)との接続に必要な接続情報を用いて、該中継端末(2-4~2-6)と該ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第2接続経路(R4~R6)を確立し、
前記支援端末(2-11)は、
前記中継端末(2-4~2-6)の前記接続情報を記憶する第1記憶部(22-11)を含み、
前記発信元端末(2-1)から前記ネットワーク(N)を介して前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援が要求されたことに応答して、前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-4~2-6)に該ネットワーク(N)を介して要求し、
前記発信先端末(2-2)と前記中継端末(2-4~2-6)とが前記ネットワーク(N)を介して接続された後、該中継端末(2-4~2-6)の接続情報を前記ネットワーク(N)を介して前記発信元端末(2-1)に送信し、
前記中継端末(2-4~2-6)は、
前記支援端末(2-11)から前記ネットワーク(N)を介して前記発信先端末(2-2)との接続が要求されたことに応答して、前記発信先端末(2-2)の接続情報を前記接続情報テーブル(6)から取得し、
前記発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と前記ネットワーク(N)を介して接続する、
ことを特徴とする請求項8に記載の通信システム(1)。
【請求項10】
前記発信元端末(2-1)は、
前記発信元端末(2-1)を特定するための発信元識別情報と、前記発信先端末(2-2)を特定するための発信先識別情報と、を記憶する第2記憶部(22-1)を含み、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、前記発信先端末(2-2)の接続情報と、を対応付けて登録する前記接続情報テーブル(6)を生成し、
前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、を前記ネットワーク(N)を介して前記支援端末(2-11)に送信することにより、該支援端末(2-11)に前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援を要求し、
前記支援端末(2-11)は、
前記発信元端末(2-1)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、を受信したことに応答して、該発信元識別情報と、該発信先識別情報と、を前記ネットワーク(N)を介して前記中継端末(2-4~2-6)に送信することにより、前記発信先端末(2-2)との接続を該中継端末(2-4~2-6)に要求し、
前記中継端末(2-4~2-6)は、
前記支援端末(2-11)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、を受信したことに応答して、該受信した該発信元識別情報と、該発信先識別情報と、がそれぞれ前記接続情報テーブル(6)に登録されている前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、に合致することを条件に、前記発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と前記ネットワーク(N)を介して接続する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信システム(1)。
【請求項11】
前記発信元端末(2-1)は、
前記中継端末(2-12,2-13)との接続に必要な接続情報を記憶する第2記憶部(22-1)を含み、
前記中継端末(2-12,2-13)の接続情報を用いて、該中継端末(2-12,2-13)と前記ネットワーク(N)を介して接続し、
前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求し、
前記中継端末(2-12,2-13)は、
前記発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報を記憶する第4記憶部(2-12,2-13)を含み、
前記発信元端末(2-1)から前記ネットワーク(N)を介して前記発信先端末(2-2)との接続が要求されたことに応答して、前記発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と前記ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第2接続経路(R12,R13)を確立する、
ことを特徴とする請求項8に記載の通信システム(1)。
【請求項12】
前記発信元端末(2-1)は、
前記第1接続経路(R0)の確立後、該第1接続経路(R0)を介して接続された前記通信端末(2-m)が前記発信先端末(2-2)であることの信頼度を算出し、
前記信頼度が所定の閾値未満であることを条件に、前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求する、
ことを特徴とする請求項11に記載の通信システム(1)。
【請求項13】
前記中継端末(2-12,2-13)は、
第1中継端末(2-12)と、
第2中継端末(2-13)と、
を含み、
前記発信元端末(2-1)は、
前記第1中継端末(2-12)を経由して前記発信先端末(2-2)と接続する第2接続経路(R12)の確立後、前記第1接続経路(R0)及び該第2接続経路(R12)を介して接続された前記通信端末(2-m)が前記発信先端末(2-2)であることの信頼度を算出し、
前記信頼度が前記所定の閾値未満であることを条件に、該発信先端末(2-2)との接続を前記第2中継端末(2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求する、
ことを特徴とする請求項12に記載の通信システム(1)。
【請求項14】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)を具備する通信システム(1)であって、
前記複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)は、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立し、
前記発信先端末(2-2)との接続を要求する接続要求であって、該接続要求を特定するための第1接続要求識別情報を含む該接続要求を前記ネットワーク(N)を介して前記支援端末(2-11)に送信し、
前記発信先端末(2-2)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記第1接続要求識別情報と、該発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報と、を受信したことに応答して、該発信先端末(2-2)から受信した第1接続要求識別情報が前記支援端末(2-11)に送信した第1接続要求識別情報に合致することを条件に、該発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と該ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第1接続経路(R0)を確立する、
ことを特徴とする通信システム(1)。
【請求項15】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)による通信方法であって、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記発信先端末(2-2)との接続を該ネットワーク(N)を介して要求することにより、該中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項16】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)による通信方法であって、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立し、
前記発信先端末(2-2)との接続を要求する接続要求であって、該接続要求を特定するための第1接続要求識別情報を含む該接続要求を前記ネットワーク(N)を介して前記支援端末(2-11)に送信し、
前記発信先端末(2-2)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記第1接続要求識別情報と、該発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報と、を受信したことに応答して、該発信先端末(2-2)から受信した第1接続要求識別情報が前記支援端末(2-11)に送信した第1接続要求識別情報に合致することを条件に、該発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と該ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第1接続経路(R0)を確立する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項17】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)のコンピュータに、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立する手順と、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記発信先端末(2-2)との接続を該ネットワーク(N)を介して要求することにより、該中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)のコンピュータに、
前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立する手順と、
前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する手順と、
前記発信先端末(2-2)との接続を要求する接続要求であって、該接続要求を特定するための第1接続要求識別情報を含む該接続要求を前記ネットワーク(N)を介して前記支援端末(2-11)に送信する手順と、
前記発信先端末(2-2)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記第1接続要求識別情報と、該発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報と、を受信したことに応答して、該発信先端末(2-2)から受信した第1接続要求識別情報が前記支援端末(2-11)に送信した第1接続要求識別情報に合致することを条件に、該発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と該ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第1接続経路(R0)を確立する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信元端末、通信システム、通信方法、及びプログラムに関し、特に効率的な通信を実現可能な発信元端末、通信システム、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のサーバコンピュータではなく、通信可能に接続された対等な状態の複数の通信装置(ピア)のうちのいずれかが、アクセスポイントとして動作するグループオーナーとなることで、グループ内の通信装置(ピア)同士の通信を可能にするピア・ツウ・ピアという通信方式が知られている(例えば特許文献1参照)。なお、本明細書中に特許文献1の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参考として取り込むものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-100419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ピア・ツウ・ピアにおいて、グループ内の通信装置(ピア)同士の接続経路を複数確立して多重化を行う場合、ハードウェアの依存度が高く、経路によって、メディアアクセスや物理層の位相が拮抗しているとき等にアプリケーション層が意図する多重化にならず、コスト等の問題も生じるため、接続経路の多重化を簡便に行うことができず、効率的に通信を行うことが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、効率的な通信を実現可能な発信元端末、通信システム、通信方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発信元端末(2-1)は、ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)であって、前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する、ことを特徴とする。
【0007】
上記の発信元端末(2-1)は、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記支援端末(2-11)に前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援を前記ネットワーク(N)を介して要求することにより、該第2接続経路(R4~R6)を確立する、ようにしてもよい。
【0008】
上記の発信元端末(2-1)は、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記発信先端末(2-2)との接続を該ネットワーク(N)を介して要求することにより、前記第2接続経路(R4~R6)を確立する、ようにしてもよい。
【0009】
上記の発信元端末(2-1)は、前記第1接続経路(R0)の確立後、該第1接続経路(R0)を介して接続された前記通信端末(2-m)が前記発信先端末(2-2)であることの信頼度を算出し、前記信頼度が所定の閾値未満であることを条件に、前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求する、ようにしてもよい。
【0010】
上記の発信元端末(2-1)は、前記発信先端末(2-2)との接続を要求する接続要求であって、該接続要求を特定するための第1接続要求識別情報を含む該接続要求を前記ネットワーク(N)を介して前記支援端末(2-11)に送信し、前記発信先端末(2-2)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記第1接続要求識別情報と、該発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報と、を受信したことに応答して、該発信先端末(2-2)から受信した第1接続要求識別情報が前記支援端末(2-11)に送信した第1接続要求識別情報に合致することを条件に、該発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と該ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第1接続経路(R0)を確立する、ようにしてもよい。
【0011】
上記の発信元端末(2-1)は、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記第1接続要求識別情報とは異なる第2接続要求識別情報を含む前記接続要求を該ネットワーク(N)を介して送信することにより、該第2接続経路(R4~R6)を確立する、ようにしてもよい。
【0012】
上記の発信元端末(2-1)は、前記発信先端末(2-2)と接続するための権利と、前記支援端末(2-11)が発行した支援端末発行情報と、から前記第1接続要求識別情報を生成し、前記権利と、前記中継端末(2-12,2-13)が発行した中継端末発行情報と、から前記第2接続要求識別情報を生成する、ようにしてもよい。
【0013】
上記の発信元端末(2-1)は、前記第1接続要求識別情報を登録する接続要求テーブル(5)の処分権者として該発信元端末(2-1)のユーザを登録し、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記接続要求テーブル(5)の処分権者を前記支援端末(2-11)のユーザに変更することにより、該接続要求テーブル(5)の処分権を、該支援端末(2-11)のユーザに移転する、ようにしてもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る通信システム(1)は、ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)を具備する通信システム(1)であって、前記複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)は、前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する、ことを特徴とする。
【0015】
上記の通信システム(1)において、前記発信元端末(2-1)は、前記発信先端末(2-2)から前記ネットワーク(N)を介して送信される該発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報を受信し、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記発信先端末(2-2)の接続情報を登録する接続情報テーブル(6)を生成し、前記支援端末(2-11)に前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援を前記ネットワーク(N)を介して要求し、前記発信先端末(2-2)と前記中継端末(2-4~2-6)とが前記ネットワーク(N)を介して接続された後、前記支援端末(2-11)から該ネットワーク(N)を介して送信される該中継端末(2-4~2-6)との接続に必要な接続情報を用いて、該中継端末(2-4~2-6)と該ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第2接続経路(R4~R6)を確立し、前記支援端末(2-11)は、前記中継端末(2-4~2-6)の前記接続情報を記憶する第1記憶部(22-11)を含み、前記発信元端末(2-1)から前記ネットワーク(N)を介して前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援が要求されたことに応答して、前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-4~2-6)に該ネットワーク(N)を介して要求し、前記発信先端末(2-2)と前記中継端末(2-4~2-6)とが前記ネットワーク(N)を介して接続された後、該中継端末(2-4~2-6)の接続情報を前記ネットワーク(N)を介して前記発信元端末(2-1)に送信し、前記中継端末(2-4~2-6)は、前記支援端末(2-11)から前記ネットワーク(N)を介して前記発信先端末(2-2)との接続が要求されたことに応答して、前記発信先端末(2-2)の接続情報を前記接続情報テーブル(6)から取得し、前記発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と前記ネットワーク(N)を介して接続する、ようにしてもよい。
【0016】
上記の通信システム(1)において、前記発信元端末(2-1)は、前記発信元端末(2-1)を特定するための発信元識別情報と、前記発信先端末(2-2)を特定するための発信先識別情報と、を記憶する第2記憶部(22-1)を含み、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、前記発信先端末(2-2)の接続情報と、を対応付けて登録する前記接続情報テーブル(6)を生成し、前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、を前記ネットワーク(N)を介して前記支援端末(2-11)に送信することにより、該支援端末(2-11)に前記第2接続経路(R4~R6)の確立の支援を要求し、前記支援端末(2-11)は、前記発信元端末(2-1)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、を受信したことに応答して、該発信元識別情報と、該発信先識別情報と、を前記ネットワーク(N)を介して前記中継端末(2-4~2-6)に送信することにより、前記発信先端末(2-2)との接続を該中継端末(2-4~2-6)に要求し、前記中継端末(2-4~2-6)は、前記支援端末(2-11)から前記ネットワーク(N)を介して送信される前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、を受信したことに応答して、該受信した該発信元識別情報と、該発信先識別情報と、がそれぞれ前記接続情報テーブル(6)に登録されている前記発信元識別情報と、前記発信先識別情報と、に合致することを条件に、前記発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と前記ネットワーク(N)を介して接続する、ようにしてもよい。
【0017】
上記の通信システム(1)において、前記発信元端末(2-1)は、前記中継端末(2-12,2-13)との接続に必要な接続情報を記憶する第2記憶部(22-1)を含み、前記中継端末(2-12,2-13)の接続情報を用いて、該中継端末(2-12,2-13)と前記ネットワーク(N)を介して接続し、前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求し、前記中継端末(2-12,2-13)は、前記発信先端末(2-2)との接続に必要な接続情報を記憶する第4記憶部(2-12,2-13)を含み、前記発信元端末(2-1)から前記ネットワーク(N)を介して前記発信先端末(2-2)との接続が要求されたことに応答して、前記発信先端末(2-2)の接続情報を用いて、該発信先端末(2-2)と前記ネットワーク(N)を介して接続することにより、前記第2接続経路(R12,R13)を確立する、ようにしてもよい。
【0018】
上記の通信システム(1)において、前記発信元端末(2-1)は、前記第1接続経路(R0)の確立後、該第1接続経路(R0)を介して接続された前記通信端末(2-m)が前記発信先端末(2-2)であることの信頼度を算出し、前記信頼度が所定の閾値未満であることを条件に、前記発信先端末(2-2)との接続を前記中継端末(2-12,2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求する、ようにしてもよい。
【0019】
上記の通信システム(1)において、前記中継端末(2-12,2-13)は、第1中継端末(2-12)と、第2中継端末(2-13)と、を含み、前記発信元端末(2-1)は、前記第1中継端末(2-12)を経由して前記発信先端末(2-2)と接続する第2接続経路(R12)の確立後、前記第1接続経路(R0)及び該第2接続経路(R12)を介して接続された前記通信端末(2-m)が前記発信先端末(2-2)であることの信頼度を算出し、前記信頼度が前記所定の閾値未満であることを条件に、該発信先端末(2-2)との接続を前記第2中継端末(2-13)に前記ネットワーク(N)を介して要求する、ようにしてもよい。
【0020】
本発明の第3の観点に係る通信方法は、ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)による通信方法であって、前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立し、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する、ことを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、ネットワーク(N)を介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(2-m)のうちのデータの発信元となる発信元端末(2-1)のコンピュータに、前記通信端末(2-m)間に接続経路を確立することを支援する該通信端末(2-m)である支援端末(2-11)の支援によって、前記データの発信先となる該通信端末(2-m)である発信先端末(2-2)と直接接続する該接続経路である第1接続経路(R0)を確立する手順と、前記第1接続経路(R0)の確立後、前記通信端末(2-m)のうち、前記支援端末(2-11)とは異なる中継端末(2-4~2-6,2-12,2-13)を経由して該発信先端末(2-2)と接続する該接続経路である第2接続経路(R4~R6,R12,R13)を確立する手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率的な通信を実現可能な発信元端末、通信システム、通信方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る三点認証システムの構成例を示す図である。
図2】通信端末の構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るP2P型ネットワークの概念図である。
図4】シードテーブルの構成例を示す図である。
図5】(a)は、トークン使用前のトークンテーブルの構成例を示す図であり、(b)は、本実施形態に係るトークン使用後のトークンテーブルの構成例を示す図である。
図6】多重化テーブルの構成例を示す図である。
図7】シード発行処理の詳細を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る三点認証処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図10】三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図11】三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図12】三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図13】三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図14】三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図15】変形例に係るP2P型ネットワークの概念図である。
図16】変形例に係る三点認証処理の詳細を示すフローチャートである。
図17】変形例に係る三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図18】変形例に係る三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図19】変形例に係る三点認証処理の続きを示すフローチャートである。
図20】変形例に係るトークン使用後のトークンテーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0025】
本発明は、以下の技術的思想の基に発明された。
【0026】
本発明者は、ピア・ツウ・ピア方式において、論理レイヤが存在するオーバーレイネットワーク上に論理的に複数の接続経路を確立する通信システムを発明した。かかる通信システムを実現するためには、LTE(Long Term Evolution)やWi-Fi(Wireless Fidelity)等といった数多くのレイヤ2(データリンク層)以下の通信規格が存在する中で、ピア・ツウ・ピア(P2P)型ネットワークを構成する通信端末(ピア)の認証、接続、及びルーティングを、ハードウェアに依存することなく、ソフトウェアにより軽量的に行う必要が生じた。そこで、本発明者は、かかる課題を解決して、効率的な通信を実現するため、本発明に係る多重因子三点認証ルーティングシステムを発明した。
【0027】
まず、本発明の実施形態に係る三点認証システム(通信システム)の構成について図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る三点認証システムの構成例を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、三点認証システム1は、複数の通信端末2-m(mは自然数)を具備する。複数の通信端末2-mは、インターネット等のネットワークNを介して相互に通信可能に接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う。共通の手続で通信をする通信端末は、ピアと呼ばれる。本発明の手続を理解する通信端末2-mは、ピアであり、複数の通信端末2-m(ピア)は、ピア・ツウ・ピア(P2P)型ネットワークを構成する。また、三点認証システム1は、ネットワークN上の複数の通信端末(ピア)2-mから構成されるブロックチェーンや分散ハッシュテーブル(Distributed Hash Table, DHT)等による分散台帳技術を用いてデータを分散管理する共有台帳20を具備する。
【0030】
通信端末(ピア)2-mは、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、汎用のサーバコンピュータ、若しくはタブレットコンピュータ、スマートフォン、及びデジタル家庭電化製品等のIP(Internet Protocol)通信機能を持つCPU(Central Processing Unit)を備えたスマートデバイス等から構成される。
【0031】
図2は、通信端末の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、通信端末(ピア)2-mは、それぞれ、通信部21-mと、記憶部22-mと、制御部23-mと、を備え、これらはバス等を介して接続される。
【0033】
通信部21-mは、例えば無線通信装置等から構成される。通信部21-mは、P2P通信方式で他の通信端末(ピア)2-mとネットワークNを介したデータの送受信を行う。
【0034】
記憶部22-mは、例えば汎用のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等から構成される。記憶部22-mは、通信端末(ピア)2-mのユーザを特定するためのユーザID(Identification)を保持(記憶)する。ユーザIDは、例えば32バイトのバイナリデータから構成される。
【0035】
制御部23-mは、例えばCPU、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成される。CPUは、RAMをワークメモリとして用い、ROM及び記憶部22に記憶されているプログラム等を適宜実行することによって、通信端末(ピア)2-mの各種動作を制御する。
【0036】
図3は、本実施形態に係るP2P型ネットワークの概念図である。
【0037】
図3に示すように、通信端末(ピア)2-mには、データの発信元となる通信端末(以下、「発信元ピア(発信元端末)」という。)2-1と、データの発信先となる通信端末(以下、「発信先ピア(発信先端末)」という。)2-2と、発信先端末2-2と接続するための権利であるシードを発行するシード発行ピア(以下、「シード発行ピア」という。)2-3と、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との認証機能、接続機能、及びルーティング機能を有する通信端末(以下、「認証ピア(支援端末)」という。)2-11と、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2とのデータの通信を中継する3つの通信端末(以下、「中継ピア(中継端末)」という。)2-4~2-6と、が含まれる。なお、中継ピアの数は、“3”に限定されるものではなく、任意である。
【0038】
発信元ピア2-1は、発信元ピア2-1のユーザID(発信元ピア2-1を特定するための発信元識別情報)及び発信先ピア2-2のユーザID(発信先ピア2-2を特定するための発信先識別情報)、並びに発信元ピア2-1との接続に必要なIPアドレス等の接続情報、及び後述する自己が所属する接続グループの親(グループオーナ)に当たる認証ピア2-11との接続に必要な接続情報を記憶部(第2記憶部)22-1に保持(記憶)する。その一方で、発信元ピア2-1は、発信先ピア2-2の接続情報を記憶部22-1に保持していない。本実施形態において、発信元ピア2-1は、シード発行ピア2-3より購入して発行されたシードから、発信先ピア2-2の認証、並びに発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との接続及びルーティングの正当性及び効率化の向上を図るためのトークン(第1及び第2接続要求識別情報)を生成する。ここで、本発明に係る「第1及び第2接続要求識別情報」は、トークンそれ自体に限定されるものではなく、通信端末2-mの認証、並びに通信端末2-m間の接続経路の確立及び多重化に使用可能なデジタルデータであれば任意であり、例えばトークンのハッシュ値等であってもよい。発信元ピア2-1は、トークンを使用して、発信先ピア2-2を認証するとともに、発信先ピア2-2との接続経路を複数確立して多重化することにより、発信先ピア2-2とデータの通信を効率的に行うことができる。
【0039】
発信先ピア2-2は、発信元ピア2-1及び発信先ピア2-2のユーザID、並びに発信先ピア2-2との接続に必要なIPアドレス等の接続情報及び自己が所属する接続グループの親(グループオーナ)に当たる認証ピア2-11との接続に必要な接続情報を記憶部(第3記憶部)22-2に保持(記憶)する。その一方で、発信先ピア2-2は、発信元ピア2-1の接続情報を記憶部22-2に保持していない。
【0040】
シード発行ピア2-3は、シード発行ピア2-3が発行したシードに関する情報を登録するためのシードテーブルを記憶部23-2に備える。
【0041】
図4は、シードテーブルの構成例を示す図である。
【0042】
図4に示すように、シードテーブル4は、シード発行ピア2-3が発行したシード毎に、シードのハッシュ値と、専用の暗号鍵(以下、「シード専用鍵」という。)を用いて暗号化されたシード(以下、「暗号化シード」という。)と、シードの有効期限と、を対応付けて登録する。
【0043】
図3に示す認証ピア2-11は、発信元ピア2-1、発信先ピア2-2、及び中継ピア2-4~2-6等の通信端末(ピア)2-mが所属する接続グループを形成するもので、この接続グループの親(グループオーナ)に当たる。認証ピア2-11は、自己の接続グループに所属する通信端末(ピア)2-mの認証を行って、通信端末(ピア)2-m間に接続経路を確立することを支援する。認証ピア2-11は、自己の接続グループに所属する通信端末(ピア)2-mのユーザIDと、接続情報と、を対応付けて登録(記憶)するグラフデータベースを記憶部(第1記憶部)2-11に備える。認証ピア2-11の制御部23-11は、自己の接続グループに所属する通信端末(ピア)2-mに時折ハートビートを送るなどして、自己の接続グループに所属する通信端末(ピア)2-mのユーザID及び接続情報を取得してグラフデータベースに登録する。このようなグラフデータベースによって、認証ピア2-11は、通信端末(ピア)2-mが認証ピア2-11の接続グループに所属しているというグラフ関係を維持管理する。また、グラフデータベースは、認証ピア2-11の接続グループに所属している通信端末(ピア)2-mの信頼性や接続性の評価等を記憶する。本実施形態において、発信元ピア2-1、発信先ピア2-2、及び中継ピア2-4~2-6は、いずれも認証ピア2-11の接続グループに所属している。したがって、認証ピア2-11は、(1)発信元ピア2-1が認証ピア2-11の接続グループに所属していること、(2)発信先ピア2-2が認証ピア2-11の接続グループに所属していること、及び(3)中継ピア2-4~2-6が認証ピア2-11の接続グループに所属していることというグラフ関係を維持管理する。具体的に、本実施形態に係る記憶部(第1記憶部)2-11が備えるグラフデータベースは、発信元ピア2-1、発信先ピア2-2、及び中継ピア2-4~2-6のユーザIDと接続情報とを対応付けて登録(記憶)する。
【0044】
中継ピア2-4~2-6は、それぞれ自己のユーザID、及び自らが属する接続グループの親(グループオーナ)に当たる認証ピア2-11との接続に必要な接続情報を記憶部22-4~22-6に保持(記憶)する。その一方で、中継ピア2-4~2-6は、発信元ピア2-1及び発信先ピア2-2の接続情報を記憶部22-4~22-6に保持していない。
【0045】
図1に示す共有台帳20は、シードが適切な発信元ピア2-1又はユーザに発行されたものである真贋を証明する仕組であって、単純に一つのサーバコンピュータから構成されるものよりも、事故に対する耐性を有する。共有台帳20は、発信元ピア2-1が生成したトークンに関する情報を登録するためのトークンテーブル(接続要求テーブル)と、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との経路を多重化する際に用いられる接続情報テーブルと、を備える。
【0046】
図5(a)は、トークン使用前のトークンテーブルの構成例を示す図であり、(b)は、本実施形態に係るトークン使用後のトークンテーブルの構成例を示す図である。
【0047】
図5(a)及び(b)に示すように、トークンテーブル5は、トークンと、トークンを生成する際にベースとされたシードのハッシュ値と、シードの有効期限と、トークンの発行者のユーザID(本実施形態では「発信元ピア2-1のユーザID」)と、トークンテーブル5の現在の処分権者のユーザIDと、を対応付けて登録する。ここで、トークンテーブル5の処分権とは、トークンテーブル5のデータを編集したり、消去したりする権利をいう。
【0048】
図5(a)に示すように、発信元ピア2-1がトークンを使用して、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2とを直接接続する図3に示す直接経路(第1接続経路)R0の確立する前は、トークンテーブル5の処分権者のユーザIDとして、トークンの発行者である発信元ピア2-1のユーザIDがトークンテーブル5に登録されている。
【0049】
図5(b)に示すように、発信元ピア2-1がトークンを使用して、直接経路R0の確立した後は、トークンテーブル5の処分権者のユーザIDとして、直接経路R0の確立に貢献した認証ピア2-11のユーザIDがトークンテーブル5に登録されている。
【0050】
図6は、接続情報テーブルの構成例を示す図である。
【0051】
図6に示すように、接続情報テーブル6は、トークンと、データの発信元となる通信端末(ピア)2-m(本実施形態では「発信元ピア2-1」)のユーザIDと、データの発信先となる通信端末(ピア)2-m(本実施形態では「発信先ピア2-2」)のユーザID及び接続情報と、を対応付けて登録する。
【0052】
次に、上記構成を備える三点認証システム1が実行する各種処理について図面を参照して説明する。
【0053】
発信元ピア2-1において、ユーザがシードの発行を要求したことに応答して、三点認証システム1は、シード発行処理を実行する。
【0054】
図7は、シード発行処理の詳細を示すフローチャートである。
【0055】
図7に示すシード発行処理において、まず、発信元ピア2-1の制御部23-1は、シードの発行を要求するシード発行要求を、通信部21-1からネットワークNを介してシード発行ピア2-3に送信する(ステップS701)。シード発行要求には、発信元ピア2-1のユーザID等が含まれる。
【0056】
シード発行ピア2-3の制御部23-3は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して送信されるシード発行要求を通信部21-3で受信したことに応答して(ステップS702)、シード及びシード専用鍵を発行する(ステップS703)。
【0057】
次に、シード発行ピア2-3の制御部23-3は、シードのハッシュ値を算出する(ステップS704)。
【0058】
続いて、シード発行ピア2-3の制御部23-3は、シード専用鍵を用いて、シードを暗号化して暗号化シードを生成する(ステップS705)。
【0059】
そして、シード発行ピア2-3の制御部23-3は、シードのハッシュ値と、暗号化シードと、を対応付けて登録するシードテーブル4を記憶部22-3に生成する(ステップS706)。
【0060】
また、シード発行ピア2-3の制御部23-3は、シードのハッシュ値及びシード専用鍵を通信部21-3からネットワークNを介して発信元ピア2-1に送信する(ステップS707)。
【0061】
発信元ピア2-1の制御部23-1は、シード発行ピア2-3からネットワークNを介して送信されるシードのハッシュ値及びシード専用鍵を通信部21-1で受信して(ステップS708)、記憶部22-1に保存してから(ステップS709)、シード発行処理を終了する。
【0062】
また、発信元ピア2-1において、ユーザが発信先ピア2-2とのデータの通信を要求したことに応答して、三点認証システム1は、三点認証処理(通信方法)を実行する。
【0063】
図8図14は、本実施形態に係る三点認証処理の詳細を示すフローチャートである。
【0064】
図8図14に示す三点認証処理において、まず、発信元ピア2-1の制御部23-1は、記憶部22-1に記憶される認証ピア2-11の接続情報を用いて、認証ピア2-11とネットワークNを介して通信可能に接続する(図8に示すステップS801)。
【0065】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、発信先ピア2-2との接続が可能か否かを問い合わせる第1接続問合せを、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-11に送信する(ステップS802)。第1接続問合せには、発信元ピア2-1及び発信先ピア2-2のユーザID等が含まれる。
【0066】
認証ピア2-11の制御部23-11は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して送信される第1接続問合せを通信部21-11で受信したことに応答して(ステップS803)、第1接続問合せに含まれる発信先ピア2-2のユーザIDがグラフデータベースに登録されているか否かにより、発信先ピア2-2の認証が可能か否かを判別する(ステップS804)。
【0067】
認証ピア2-11の制御部23-11は、発信先ピア2-2のユーザIDがグラフデータベースに登録されておらず、発信先ピア2-2の認証が不能であると判別した場合(ステップS804;No)、第1接続問合せを通信部21-11からネットワークNを介して他の認証ピアに送信することより、発信先ピア2-2の認証を他の認証ピアに委託する(ステップS805)。他の認証ピアは、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される認証問合せを通信部で受信したことに応答して、認証ピア2-11と同様の処理を行う。
【0068】
一方、認証ピア2-11の制御部23-11は、発信先ピア2-2のユーザIDがグラフデータベースに登録されており、発信先ピア2-2の認証が可能であると判別した場合(ステップS804;Yes)、認証シリアルID(支援端末発行情報)を発行する(ステップS806)。
【0069】
そして、認証ピア2-11の制御部23-11は、発信元ピア2-1との接続が可能か否かを問い合わせる第2接続問合せを通信部21-11からネットワークNを介して、ユーザIDから特定される発信先ピア2-2に送信する(図9に示すステップS807)。第2接続問合せには、認証シリアルID等が含まれる。
【0070】
発信先ピア2-2の制御部23-2は、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される第2接続問合せを通信部21-2で受信したことに応答して(ステップS808)、発信元ピア2-1との接続が可能か否かの回答(以下、「第2接続可否回答」という。)を、通信部21-2からネットワークNを介して認証ピア2-11に送信する(ステップS809)。発信元ピア2-1との接続が可能か否かの回答には、認証シリアルID等が含まれる。
【0071】
認証ピア2-11の制御部23-11は、発信先ピア2-2からネットワークNを介して送信される発信元ピア2-1との接続が可能との第2接続回答を通信部21-11で受信したことに応答して(ステップS810)、発信先ピア2-2との接続が可能か否かの回答(以下、「第1接続回答」という。)として、発信先ピア2-2との接続が可能との第1接続回答を、通信部21-11からネットワークNを介して発信元ピア2-1に送信する(ステップS811)。第1接続回答には、認証シリアルID等が含まれる。
【0072】
発信元ピア2-1の制御部23-1は、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される発信先ピア2-2との接続が可能との第1接続回答を通信部21-1で受信したことに応答して(ステップS812)、記憶部22-1に保存されているシードのハッシュ値に対応する暗号化シード及びシードの有効期限を、通信部21-1からネットワークNを介してシード発行ピア2-3のシードテーブル4より取得する(ステップS813)。
【0073】
続いて、発信元ピア2-1の制御部23-1は、シード専用鍵を用いて、シード発行ピア2-3から取得した暗号化シードから、シード発行ピア2-3が発行したシードを復号する(図10に示すステップS814)。
【0074】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、シードと認証シリアルIDとから、シードと認証シリアルIDとのハッシュ値からなるトークンを発行(生成)する(ステップS815)。トークンは、認証ピア2-11に対してデータを通信する際の通信パケットに添付される。
【0075】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、トークンと、トークンを生成する際にベースとされたシードのハッシュ値と、トークンの発行者として発信元ピア2-1のユーザIDと、シードの有効期限と、トークンテーブル5の処分権者として発信元ピア2-1のユーザIDと、を対応付けて登録する図5(a)に示すトークンテーブル5を、通信部21-1からネットワークNを介して共有台帳20に生成する(ステップS816)。
【0076】
また、発信元ピア2-1の制御部23-1は、発信先ピア2-2との接続を要求する接続要求を、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-11に送信する(ステップS817)。接続要求には、トークン及びシードのハッシュ値等が含まれる。接続要求に含まれるトークンは、接続要求を特定するための接続要求識別情報となる。このようにして、発信元ピア2-1は、認証ピア2-11に、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2とを直接接続する図3に示す直接経路(第1接続経路)R0の確立の支援をネットワークNを介して要求する。
【0077】
認証ピア2-11の制御部23-11は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して送信される接続要求を通信部21-11で受信したことに応答して(ステップS818)、接続要求に含まれるシードのハッシュ値に対応するトークンの発行者のユーザID及びシードの有効期限を、通信部21-11からネットワークNを介して共有台帳20のトークンテーブル5より取得する(ステップS819)。
【0078】
そして、認証ピア2-11の制御部23-11は、トークンの発行者のユーザIDが認証問合せに含まれる発信元ピア2-1のユーザIDに合致するか否かや、シードの有効期限内か否かを判別することにより、接続要求に含まれるトークンの真正性を確認する(ステップS820)。
【0079】
真正性の確認後、認証ピア2-11の制御部23-11は、記憶部22-11に記憶される発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信先ピア2-2とネットワークNを介して通信可能に接続することにより、認証ピア2-11を経由する図3に示す代替経路(副経路)R11を確立する(ステップS821)。
【0080】
そして、認証ピア2-11の制御部23-11は、トークン及び発信元ピア2-1の接続情報を通信部21-11からネットワークNを介して発信元ピア2-2に送信する(図11に示すステップS822)。
【0081】
発信先ピア2-2の制御部23-2は、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信されるトークン及び発信元ピア2-1の接続情報を通信部21-2で受信したことに応答して(ステップS823)、発信元ピア2-1の接続情報を用いて、トークン及び発信先ピア2-2の接続情報を通信部21-2からネットワークNを介して発信元ピア2-1に送信する(ステップS824)。
【0082】
発信元ピア2-1の制御部23-1は、発信先ピア2-2からネットワークNを介して送信される発信先ピア2-2の接続情報及びトークンを通信部21-1で受信したことに応答して(ステップS825)、発信先ピア2-2から受信したトークンが、自己が生成して認証ピア2-11に送信したトークンに合致するか否かを判別することにより、トークンの真正性を確認する(ステップS826)。このようにして、発信元ピア2-1は、トークンを使用して、代替経路(副経路)R11を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの認証を行う。
【0083】
真正性の確認後、即ち発信先ピア2-2から受信したトークンが認証ピア2-11に送信したトークンに合致することを条件に、発信元ピア2-1の制御部23-1は、発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2とを直接接続する図3に示す直接経路R0を確立する(ステップS827)。これにより、トークンを使用した発信元ピア2-1による発信先ピア2-2の認証、及び発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との直接接続は、実現する。
【0084】
続いて、発信元ピア2-1の制御部23-1は、図5(b)に示すように、通信部21-1からネットワークNを介してトークンテーブル5の処分権者のユーザIDを、発信元ピア2-1のユーザIDから、認証ピア2-11のユーザIDに書き換える電子署名を行うことにより、トークンテーブル5の処分権を、発信元ピア2-1のユーザから認証ピア2-11のユーザに移転する(図12に示すステップS828)。トークンテーブル5の処分権を取得した認証ピア2-11のユーザは、トークンテーブル5のデータを編集したり、消去したりすることができる。また、トークンテーブル5の処分権を取得した認証ピア2-11のユーザは、ネットワークNの外部システムを介して、トークンテーブル5のデータと引き換えに、シード発行ピア2-3から新たなシード等を取得することができる。なお、トークンテーブル5のデータと引き換えに取得できるものは、ネットワークNの外部システムであるため、シードに限定されるものではなく、何等かのネットワークサービスを享受することに利用できるものであれば任意である。
【0085】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、トークンテーブル5の処分権の移転が完了したことを、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-11に報告する(ステップS829)。
【0086】
また、発信元ピア2-1の制御部23-1は、トークンと、データの発信元となる通信端末(ピア)2-mとして発信元ピア2-1のユーザIDと、データの発信先となる通信端末(ピア)2-mとして発信先ピア2-2のユーザID及び接続情報と、を対応付けて登録する接続情報テーブル6を、通信部21-1からネットワークNを介して共有台帳20に生成する(ステップS830)。
【0087】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、発信先ピア2-2との接続経路の多重化を要求する多重化要求を、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-11に送信する(ステップS831)。多重化要求には、トークン、並びに発信元ピア2-1及び発信先ピア2-2のユーザID等が含まれる。このようにして、発信元ピア2-1は、認証ピア2-11に、中継ピア2-4~2-6を経由して発信元ピア2-1と発信先ピア2-2とを接続する図3に示す代替経路(副経路)(第2接続経路)R4~R6の確立の支援を要求する。
【0088】
認証ピア2-11の制御部23-11は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して送信される多重化要求を通信部21-11で受信したことに応答して(ステップS832)、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2とのデータの通信の中継を要求する中継要求を、通信部21-11からネットワークNを介して中継ピア2-4~2-6に送信する(ステップS833)。中継要求には、トークン、並びに発信元ピア2-1及び発信先ピア2-2のユーザID等が含まれる。
【0089】
中継ピア2-4~2-6の制御部23-4~23-6は、それぞれ認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される中継要求を通信部21-4~21-6で受信したことに応答して(ステップS834)、中継要求に含まれるトークンに対応するデータの発信元となる通信端末(ピア)2-mのユーザIDと、データの発信先となる通信端末(ピア)2-mのユーザID及び接続情報と、を通信部21-4~21-6からネットワークNを介して共有台帳20の接続情報テーブル6より取得する(図13に示すステップS835)。
【0090】
中継ピア2-4~2-6の制御部23-4~23-6は、それぞれ中継要求に含まれる発信元ピア2-1のユーザIDが接続情報テーブル6から取得したデータの発信元となる通信端末(ピア)2-mのユーザIDに合致するか否かや、発信先ピア2-2のユーザIDがデータの発信先となる通信端末(ピア)2-mのユーザIDに合致するか否かを判別することにより、トークンの真正性を確認する(ステップS836)。
【0091】
真正性の確認後、即ち認証ピア2-11から受信した発信元ピア2-1のユーザIDと発信先ピア2-2のユーザIDとが、それぞれ接続情報テーブル6から取得したデータの発信元となる通信端末(ピア)2-mのユーザIDとデータの発信先となる通信端末(ピア)2-mのユーザIDとに合致することを条件に、中継ピア2-4~2-6の制御部23-4~23-6は、それぞれ発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信先ピア2-2とネットワークNを介して通信可能に接続する(ステップS837)。
【0092】
そして、中継ピア2-4~2-6は、それぞれ発信先ピア2-2との接続が完了したことを報告する接続完了報告を、通信部21-4~21-6からネットワークNを介して認証ピア2-11に送信する(ステップS838)。
【0093】
認証ピア2-11の制御部23-11は、中継ピア2-4~2-6からネットワークNを介して、それぞれ送信される接続完了報告を通信部21-11で受信したことに応答して(ステップS839)、中継ピア2-4~2-6へデータを送信することを要求するデータ送信要求を、通信部21-11からネットワークNを介して発信元ピア2-1に送信する(ステップS840)。データ送信要求には、中継ピア2-4~2-6のユーザID及び接続情報等が含まれる。
【0094】
発信元ピア2-1の制御部23-1は、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信されるデータ送信要求を通信部21-1で受信したことに応答して(ステップS841)、データ送信要求に含まれる中継ピア2-4~2-6の接続情報を用いて、中継ピア2-4~2-6とネットワークNを介して通信可能に接続することにより、中継ピア2-4~2-6を経由する図3に示す代替経路(副経路)R4~R6を確立する(図14に示すステップS842)。これにより、トークンを使用した発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との接続経路の多重化は、実現する。
【0095】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、通信部21-1から直接経路R0、代替経路(副経路)R4~R6及びR11を介して発信先ピア2-2とのデータの通信を開始してから(ステップS843)、三点認証処理を終了する。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る三点認証システム1は、ネットワークNを介して接続され、ピア・ツウ・ピア方式で通信を行う複数の通信端末(ピア)2-mを具備する。複数の通信端末(ピア)2-mは、データの発信元となる発信元ピア2-1と、データの発信先となる発信先ピア2-2と、通信端末(ピア)2-m間に接続経路を確立することを支援する認証ピア2-11と、を備える。発信元ピア2-1は、発信元ピア2-1を特定するための発信元識別情報である発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2を特定するための発信先識別情報である発信先ピア2-2のユーザIDと、を記憶する第2記憶部22-1を含む。発信先ピア2-2は、発信先ピア2-2との接続に必要な接続情報を記憶する記憶部22-2を含む。認証ピア2-11は、発信元ピア2-1との接続に必要な接続情報、及び中継ピア2-4~2-6との接続に必要な接続情報を記憶する記憶部22-11を含む。
【0097】
本実施形態において、発信元ピア2-1は、認証ピア2-11の支援によって、発信先ピア2-2と直接接続する接続経路である直接経路R0を確立し、直接経路R0の確立後、認証ピア2-11に、認証ピア2-11とは異なる中継ピア2-4~2-6を経由して発信先ピア2-2と接続する接続経路である代替経路(副経路)R4~R6の確立の支援をネットワークNを介して要求することにより、代替経路(副経路)R4~R6を確立する。
【0098】
具体的に、発信元ピア2-1は、発信先端末2-2と接続するための権利であるシードと、認証ピア2-11が発行した認証シリアルIDと、から、接続要求を特定するためのトークンを生成する。次に、発信元ピア2-1は、トークンを登録するトークンテーブル5の処分権者として発信元ピア2-1のユーザを登録する。続いて、発信元ピア2-1は、発信先ピア2-2との接続を要求する接続要求であって、トークンを含む接続要求をネットワークNを介して認証ピア2-11に送信する。さらに、発信元ピア2-1は、発信先ピア2-2からネットワークNを介して送信されるトークンと、発信先ピア2-2との接続に必要な接続情報と、を受信したことに応答して、発信先ピア2-2から受信したトークンが認証ピア2-11に送信したトークンに合致することを条件に、発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信先ピア2-2とネットワークNを介して接続することにより、直接経路R0を確立する。そして、発信元ピア2-1は、直接経路R0の確立後、トークンテーブル5の処分権者を認証ピア2-11のユーザに変更することにより、トークンテーブル5の処分権を、認証ピア2-11のユーザに移転する。
【0099】
また、発信元ピア2-1は、直接経路R0の確立後、発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2のユーザIDと、発信先ピア2-2の接続情報と、を対応付けて登録する接続情報テーブル6を生成する。そして、発信元ピア2-1は、発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2のユーザIDと、をネットワークNを介して認証ピア2-11に送信することにより、認証ピア2-11に代替経路(副経路)R4~R6の確立の支援をネットワークNを介して要求する。
【0100】
認証ピア2-11は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して送信される発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2のユーザIDと、を受信して、代替経路(副経路)R4~R6の確立の支援が要求されたことに応答して、発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2のユーザIDと、をネットワークNを介して中継ピア2-4~2-6に送信することにより、発信先ピア2-2との接続を中継ピア2-4~2-6にネットワークNを介して要求する。
【0101】
中継ピア2-4~2-6は、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2のユーザIDと、を受信して、発信先ピア2-2との接続が要求されたことに応答して、発信先ピア2-2の接続情報を接続情報テーブル6から取得する。そして、中継ピア2-4~2-6は、受信した発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2のユーザIDと、がそれぞれ接続情報テーブル6に登録されている発信元ピア2-1のユーザIDと、発信先ピア2-2のユーザIDと、に合致することを条件に、発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信先端末2-2とネットワークNを介して接続する。
【0102】
認証ピア2-11は、発信先ピア2-2と中継ピア2-4~2-6とがネットワークNを介して接続された後、中継端末2-4~2-6の接続情報をネットワークNを介して発信元ピア2-1に送信する。
【0103】
発信元ピア2-1は、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される中継ピア2-4~2-6との接続に必要な接続情報を用いて、中継ピア2-4~2-6とネットワークNを介して接続することにより、代替経路(副経路)R4~R6を確立する。
【0104】
このように、本実施形態に係る三点認証システム1は、トークンを使用して、論理的に接続経路するために発信先ピア2-2の認証を行うことで、認証ピア2-11の計算量を低減し、発信先ピア2-2の認証を高速化及び高効率化することができる。そして、三点認証システム1は、従来のようにハードウェアに依存することなく、ソフトウェアにより論理的に接続経路(論理経路)を多重化することができるため、コスト等の問題を解決することができる。さらに、認証ピア2-11は、トークンを使用して、中継ピア2-4~2-6にルーティングを委託することができるため、三点認証システム1は、ルーティング作業の負荷を、認証ピア2-11及び中継ピア2-4~2-6等の複数の通信端末2-mに分散させることができる。
【0105】
また、三点認証システム1は、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との接続経路を多重化し、秘密分散等のアルゴリズムを使用してデータを分割し、重複しない通信パケットを配信することで、いずれかの接続経路がハッキングされてもデータ全体が漏洩することを防止して、データの内容を秘匿することができる。さらに、三点認証システム1は、接続経路を細分化したり、排他的論理和(XOR)で秘匿化したデータを送信したりすることで、データの漏洩を事実上ほぼ防止することができる。また、三点認証システム1は、データを接続経路の数に応じて分割し、シリアル番号を付加して配信することで、データを高効率に伝送できるため、データの通信速度を高速化することができる。
【0106】
一方、三点認証システム1は、複数の接続経路に同一の通信パケットを配信することで、特定の接続経路によるボトルネックを回避することができる。また、三点認証システム1は、複数の接続経路に同一の通信パケットを配信して、発信元ピア2-1と発信元ピア2-2との接続可用性を向上させることで、いずれかの接続経路に障害が生じても別の接続経路で再送できるようになるため、堅牢である。
【0107】
この結果、本実施形態に係る三点認証システム1は、効率的な通信を実現できる。
【0108】
また、共有台帳20のトークンテーブル5に記録されるトークンの履歴は、ビッグデータ(個人情報を含まないが属性情報を含む)として活用できる。さらに、多重化による接続経路の分割は、分散ストレージとして応用できる。通信端末(ピア)2-m同士の通信によって、グラフデータベースを形成することができる。
【0109】
さらに、三点認証システム1は、トークンを使用することで、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との認証、接続、及びルーティングを効率化することができる。また、三点認証システム1は、トークンテーブル5の処分権をインセンティブに使用することで、認証ピア2-11及び中継ピア2-4~2-6によるネットワークへの貢献を定量化して評価し、インセンティブを発生させ、参加意識を高めることができる。そして、三点認証システム1は、多数の通信端末(ピア)2-mの参加により、ピア密度を高めて維持することで、ネットワーク性能を向上させ、可用性を高めることができる。
【0110】
さらに、従来、サーバコンピュータによって実装されていた発信元ピア2-1と発信元ピア2-2との接続機能及びルーティング機能が、トークンによって効率化され、通信端末(ピア)2-mによって代替えすることができるようになったため、接続経路の多重化によりエンドツーエンドでのセキュリティや配信効率を飛躍的に向上させることができる。
【0111】
この結果、本実施形態に係る三点認証システム1は、効率的な通信を実現できる。
【0112】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施形態の変形態様について、説明する。
【0113】
上記の実施形態では、発信元ピア2-1が、発信先ピア2-2との接続経路の多重化を認証ピア2-11に要求し、認証ピア2-11が、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2とのデータの通信の中継を中継ピア2-4~2-6に要求することにより、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との接続経路を多重化するものとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、発信元ピア2-1が、発信先ピア2-2との接続が可能か否かを問い合わせる第1接続問合せを、複数の認証ピアに送信することにより、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との接続経路を多重化してもよい。
【0114】
図15は、本変形例に係るP2P型ネットワークの概念図である。なお、上記の実施形態に係る三点認証システム1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
図15に示すように、通信端末(ピア)2-mには、発信元ピア2-1、発信先ピア2-2、シード発行ピア2-3、及び認証ピア2-11~2-13等の複数の認証ピア2-(10+n)(nは自然数)が含まれる。本変形例では、認証ピア2-12及び2-13等の認証ピア2-(10+n)(n≧2)を上記の実施形態における中継ピア(本発明における「中継端末」)として機能させる。
【0116】
本変形例において、発信元ピア2-1は、発信元ピア2-1及び発信先ピア2-2のユーザIDを記憶部22-1に保持(記憶)する。また、発信元ピア2-1は、複数の接続グループに属し、複数の認証ピア(支援端末及び中継端末)2-(10+n)との接続に必要な接続情報を記憶部22-1に保持(記憶)する。発信元ピア2-1の制御部23-1は、代替経路(副経路)R(10+n)の確立後、下記の数1に示す数式に従って、直接経路R0及び代替経路(副経路)R(10+n)を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの信頼度についての定量的評価値fi(iは多重因子の深さ(代替経路(副経路)R(10+n)の数))を求める。
【0117】
【数1】

【0118】
ここで、Cnは、認証ピア2-(10+n)の信頼性について第三者(P2Pネットワーク)が評価して定量化した定数(信頼定数)である。Dnは、認証ピア2-(10+n)の発信先ピア2-2に対する信頼定数である。これらの信頼定数Cn及びDnは、“0”~“1”の数値で表され、数値が大きい程、信頼度が高くなる。定量的評価値fiは、代替経路(副経路)R(10+n)(n≧2)を追加し、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との接続経路を多重化することによって向上する。
【0119】
認証ピア2-(10+n)は、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との認証機能、接続機能、及びルーティング機能を有する。認証ピア2-(10+n)は、それぞれ発信元ピア2-1及び発信先ピア2-2のユーザIDと接続情報とを対応付けて登録するグラフデータベースを記憶部2-(10+n)(第4記憶部)に備える。認証ピア2-(10+n)は、信頼定数Cn及びDnを記憶部2-(10+n)に保持(記憶)する。信頼定数Cn及びDnは、通信部21-(10+n)からネットワークNを介して発信元ピア2-1に通知される。なお、予め算出した信頼定数Cnと信頼定数Dnとの積が、発信元ピア2-1に通知されてもよい。
【0120】
図16図19は、本変形例に係る三点認証処理の詳細を示すフローチャートである。
【0121】
図16図19に示す三点認証処理において、上記の実施形態に係るステップS801~S829の処理を実行した後、発信元ピア2-1の制御部23-1は、認証ピア2-(10+n)の信頼定数Cn及び信頼定数Dn(又は信頼定数Cnと信頼定数Dnとの積)を、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-(10+n)より取得する(図16に示すステップS1601)。
【0122】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、下記の数1に示す数式に従って、定量的評価値fiを算出する(ステップS1602)。
【0123】
続いて、発信元ピア2-1の制御部23-1は、定量的評価値fiが所定の閾値以上であるか否かを判別する(ステップS1603)。
【0124】
発信元ピア2-1の制御部23-1は、定量的評価値fiが所定の閾値未満であると判別した場合(ステップS1603;No)、直接経路R0及び代替経路(副経路)R(10+n)を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの信頼度(セキュリティ)が不十分であるものとして、代替経路(副経路)R(10+n)(n≧2)を追加して、信頼度を高めるべく、記憶部22-1に記憶される認証ピア2-(10+n)(n≧2)の接続情報を用いて、認証ピア2-(10+n)(n≧2)とネットワークNを介して通信可能に接続する(ステップS1604)。
【0125】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、第1接続問合せを、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-(10+n)(n≧2)に送信する(ステップS1605)。
【0126】
認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して送信される第1接続問合せを通信部21-(10+n)(n≧2)で受信したことに応答して(図17に示すステップS1606)、第1接続問合せに含まれる発信先ピア2-2のユーザIDがグラフデータベースに登録されているか否かにより、発信先ピア2-2の認証が可能か否かを判別する(ステップS1607)。
【0127】
認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、発信先ピア2-2のユーザIDがグラフデータベースに登録されておらず、発信先ピア2-2の認証が不能であると判別した場合(ステップS1607;No)、第1接続問合せを通信部21-(10+n)(n≧2)からネットワークNを介して他の認証ピアに送信することより、発信先ピア2-2の認証を他の認証ピアに委託する(ステップS1608)。他の認証ピアは、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される認証問合せを通信部で受信したことに応答して、認証ピア2-(10+n)(n≧2)と同様の処理を行う。
【0128】
一方、認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、発信先ピア2-2のユーザIDがグラフデータベースに登録されており、発信先ピア2-2の認証が可能であると判別した場合(ステップS1607;Yes)、認証シリアルID(中継端末発行情報)を発行する(ステップS1609)。認証ピア2-(10+n)(n≧2)が発行する認証シリアルID(中継端末発行情報)は、認証ピア2-11が発行する認証シリアルID(支援端末発行情報)とは異なるものとなっている。また、認証ピア2-(10+n)(n≧2)が発行する認証シリアルID(中継端末発行情報)も、認証ピア2-11毎に異なるものとなっている。
【0129】
そして、認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、発信先ピア2-2との接続が可能との第1接続回答を、通信部21-(10+n)(n≧2)からネットワークNを介して発信元ピア2-1に送信する(ステップS1610)。
【0130】
発信元ピア2-1の制御部23-1は、認証ピア2-(10+n)(n≧2)からネットワークNを介して送信される発信先ピア2-2との接続が可能との第1接続回答を通信部21-1で受信したことに応答して(ステップS1611)、シードと認証シリアルIDとから、シードと認証シリアルIDとのハッシュ値からなるトークンを発行(生成)する(図18に示すステップS1612)。トークンを発行する際、シードは、認証ピア2-11及び認証ピア2-(10+n)(n≧2)で同一のものが使用される一方で、認証シリアルIDは、認証ピア2-11及び認証ピア2-(10+n)(n≧2)毎に異なるものが使用される。このため、トークンは、認証ピア2-11及び認証ピア2-(10+n)(n≧2)毎に異なるものが発行される。トークンは、認証ピア2-(10+n)(n≧2)に対してデータを通信する際の通信パケットに添付される。
【0131】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、図5(a)に示すトークンテーブル5を、通信部21-1からネットワークNを介して共有台帳20に生成する(ステップS1613)。トークンは、認証ピア2-11及び認証ピア2-(10+n)(n≧2)毎に異なるものが発行されることから、トークンテーブル5も、認証ピア2-11及び認証ピア2-(10+n)(n≧2)毎に異なるものが生成される。
【0132】
また、発信元ピア2-1の制御部23-1は、接続要求を、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-(10+n)(n≧2)に送信する(ステップS1614)。
【0133】
認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して送信される接続要求を通信部21-(10+n)(n≧2)で受信したことに応答して(ステップS1615)、接続要求に含まれるシードのハッシュ値に対応するトークンの発行者のユーザID及びシードの有効期限を、通信部21-(10+n)(n≧2)からネットワークNを介して共有台帳20のトークンテーブル5より取得する(ステップS1616)。
【0134】
そして、認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、トークンの発行者のユーザIDが認証問合せに含まれる発信元ピア2-1のユーザIDに合致するか否かや、シードの有効期限内か否かを判別することにより、接続要求に含まれるトークンの真正性を確認する(ステップS1617)。
【0135】
真正性の確認後、認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、記憶部22-(10+n)(n≧2)に記憶される発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信先ピア2-2とネットワークNを介して通信可能に接続することにより、認証ピア2-(10+n)(n≧2)を経由する図15に示す代替経路(副経路)R(10+n)(n≧2)を確立する(ステップS1618)。
【0136】
そして、認証ピア2-(10+n)(n≧2)の制御部23-(10+n)(n≧2)は、代替経路(副経路)R(10+n)(n≧2)の確立が完了したことを報告する代替経路確立報告を、通信部21-(10+n)(n≧2)からネットワークNを介して認証ピア2-(10+n)(n≧2)に送信する(ステップS1619)。
【0137】
発信元ピア2-1の制御部23-1は、認証ピア2-(10+n)(n≧2)からネットワークNを介して送信される代替経路確立報告を通信部21-1で受信したことに応答して(図19に示すステップS1620)、図20に示すように、通信部21-1からネットワークNを介してトークンテーブル5の処分権者のユーザIDを、発信元ピア2-1のユーザIDから、認証ピア2-(10+n)(n≧2)のユーザIDに書き換える電子署名を行うことにより、トークンテーブル5の処分権を、発信元ピア2-1のユーザから認証ピア2-(10+n)(n≧2)のユーザに移転する(ステップS1621)。
【0138】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、トークンテーブル5の処分権の移転が完了したことを、通信部21-1からネットワークNを介して認証ピア2-(10+n)(n≧2)に報告してから(ステップS1622)、代替経路(副経路)R(10+n)の追加後の信頼度についての定量的評価値fiを再度算出すべく、ステップS1601の処理へとリターンする。
【0139】
そして、発信元ピア2-1の制御部23-1は、定量的評価値fiが所定の閾値以上であると判別した場合(ステップS1603;Yes)、直接経路R0及び代替経路(副経路)R(10+n)を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの信頼度が十分高くなったとして、通信部21-1から直接経路R0及び代替経路(副経路)R11~R13を介して発信先ピア2-2とのデータの通信を開始してから(ステップS1623)、三点認証処理を終了する。なお、発信元ピア2-1の制御部23-1は、信頼定数Cnと信頼定数Dnとの積が“1”となる認証ピア2-(10+n)が検出された場合、定量的評価値fiが必ず“1”となって所定の閾値以上となることから、その時点で接続経路の多重化を終了してもよい。また、信頼定数Cnと信頼定数Dnとの積が“0”となる認証ピア2-(10+n)を経由する代替経路(副経路)は、定量的評価値fiの向上に何等寄与しないことから、追加されないようにしてもよい。
【0140】
以上説明したように、本変形例に係る三点認証システム1は、直接経路R0を確立した後、直接経路R0を介いて接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの信頼度を算出する。そして、三点認証システム1は、信頼度が所定の閾値未満であることを条件に、認証ピア2-12及び2-13にネットワークNを介して接続し、発信先ピア2-2との接続をネットワークNを介して要求することにより、代替経路(副経路)R4~R6を確立する。
【0141】
具体的に、発信元ピア2-1は、認証ピア2-12及び2-13等との接続に必要な接続情報を記憶する記憶部22-1を含む。また、認証ピア2-12及び2-13は、それぞれ発信先ピア2-2との接続に必要な接続情報を記憶する記憶部2-12及び2-13を含む。
【0142】
発信元ピア2-1は、直接経路R0を確立した後、直接経路R0を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの信頼度を算出する。発信元ピア2-1は、信頼度が所定の閾値未満であることを条件に、認証ピア2-12の接続情報を用いて、認証ピア2-12とネットワークNを介して接続する。次に、発信元ピア2-1は、発信先端末2-2と接続するための権利であるシードと、認証ピア2-12が発行した認証シリアルIDと、から、接続要求を特定するためのトークンを生成する。そして、発信元ピア2-1は、トークンを含む接続要求をネットワークNを介して送信することにより、発信先ピア2-2との接続を認証ピア2-12にネットワークNを介して要求する。
【0143】
認証ピア2-12は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して発信先ピア2-2との接続が要求されたことに応答して、発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信先ピア2-2とネットワークNを介して接続することにより、代替経路(副経路)R12を確立する。
【0144】
発信元ピア2-1は、認証ピア2-12を経由して発信先ピア2-2と接続する代替経路(副経路)R12の確立後、直接経路R0及び代替経路(副
経路)R12を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの信頼度を算出する。そして、発信元ピア2-1は、信頼度が所定の閾値未満であることを条件に、発信先ピア2-2との接続を認証ピア2-13にネットワークNを介して要求する。
【0145】
認証ピア2-13は、発信元ピア2-1からネットワークNを介して発信先ピア2-2との接続が要求されたことに応答して、発信先ピア2-2の接続情報を用いて、発信先ピア2-2とネットワークNを介して接続することにより、代替経路(副経路)R13を確立する。
【0146】
これにより、本変形例に係る三点認証システム1においても、上記の実施形態に係る三点認証システム1と同様の効果を奏することができる。また、本変形例に係る三点認証システム1は、トークンを使用して、直接経路R0及び代替経路(副経路)R(10+n)を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの認証を根拠に、発信元ピア2-1と発信先ピア2-2との接続経路を多重化することができる。さらに、本変形例に係る三点認証システム1は、直接経路R0及び代替経路(副経路)R(10+n)を介して接続された通信端末2-mが発信先ピア2-2であることの信頼度を、定量的に評価することができる。
【0147】
この結果、本変形例に係る三点認証システム1は、効率的な通信を実現できる。
【0148】
上記の実施形態において、認証ピア2-11の制御部23-11は、発信先ピア2-2のユーザIDがグラフデータベースに登録されており、発信先ピア2-2の認証が可能であると判別した場合、認証シリアルIDを発行するものとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、認証ピア2-11の制御部23-11は、発信先ピア2-2の認証が可能である場合でも、発信先ピア2-2の認証を自己の接続グループに所属する通信端末(ピア)2-mに委託してもよい。
【0149】
具体的に、認証ピア2-11の制御部23-11は、第1接続問合せを通信部21-11からネットワークNを介して、中継ピア2-4~2-6等の自己の接続グループに所属する通信端末(ピア)2-mに送信することより、発信先ピア2-2の認証を自己の接続グループに所属する通信端末(ピア)2-mに委託する。
【0150】
発信先ピア2-2の認証の委託を受けた通信端末(ピア)2-mは、認証ピア2-11からネットワークNを介して送信される第1接続問合せを通信部21-mで受信したことに応答して、第1接続問合せに含まれる発信先ピア2-2のユーザIDに対応する接続情報を、通信部21-mからネットワークNを介してグラフデータベースより取得する。そして、発信先ピア2-2の認証の委託を受けた通信端末(ピア)2-mは、認証ピア2-11と同様の処理を行えばよい。
【0151】
これにより、認証ピア2-11は、発信先ピア2-2の認証の委託を実現できるようになるため、発信先ピア2-2の認証作業の負荷を分散することができる。
【0152】
上記の実施形態において、制御部23-mのCPUが実行するプログラムは、予めROM等に記憶されていた。しかしながら、本発明は、これに限定されず、上述の処理を実行させるためのプログラムを、既存の汎用コンピュータに適用することで、上記の実施形態に係る通信端末(ピア)2-mとして機能させてもよい。
【0153】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えばコンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等)に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
【0154】
また、上記の処理をOSとアプリケーションプログラムとの分担、又はOSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体やストレージに格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0155】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0156】
本出願は、2020年7月3日に出願された日本国特許出願2020-116017に基づく。本明細書中に日本国特許出願2020-116017の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0157】
1 三点認証システム(通信システム)
2-m 通信端末(ピア)
2-1 発信元ピア(発信元端末)
2-2 発信先ピア(発信先端末)
2-3 シード発行ピア
2-4~2-6 中継ピア(中継端末)
2-(10+n) 認証ピア
2-11 認証ピア(支援端末)
2-12,2-13 認証ピア(中継端末)
4 シードテーブル
5 トークンテーブル(接続要求テーブル)
6 接続情報テーブル
21-m 通信部
22-m 記憶部
22-1 記憶部(第2記憶部)
22-2 記憶部(第3記憶部)
22-11 記憶部(第1記憶部)
22-12,22-13 記憶部(第4記憶部)
23-m 制御部
図1
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