(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ハンガー
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20220824BHJP
A47G 25/28 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
D06F57/00 340
A47G25/28 Z
D06F57/00 380
(21)【出願番号】P 2022022474
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2022-01-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522061006
【氏名又は名称】安 達
(74)【代理人】
【識別番号】100090538
【氏名又は名称】西山 恵三
(72)【発明者】
【氏名】安 達
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-005578(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
A47G 25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部と両端部を備えるハンガーであって、
前記両端部が、前記中央部に対し、第1の姿勢として前記中央部の長手方向に配置されるように接続される第1の接続部と、
前記両端部が、前記中央部に対し、第2の姿勢として前記長手方向と交差する方向であって、前記中央部の手前側および奥側に配置されるように接続される第2の接続部と、
を有
し、
前記第1の接続部は、前記中央部の両端部側に前記中央部と一体的に設けられる接続部材における前記中央部の長手方向に設けられる第1の差し込み部であり、
前記第2の接続部は、前記接続部材における前記中央部の手前側および奥側に設けられる第2の差し込み部であることを特徴とするハンガー。
【請求項2】
前記両端部は、それぞれの端部において2枚の部材を備え、
前記第1の姿勢では、前記2枚の部材が互いに重ね合わされて設けられ、
前記第2の姿勢では、前記2枚の部材の一方が前記長手方向と交差する方向であって、
前記中央部の手前側に設けられ、前記2枚の部材の他方が前記長手方向と交差する方向であって、前記中央部の奥側に設けられることを特徴とする請求項1に記載のハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類の乾燥時間を短縮できるハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
社会経済の発展と科学技術の進歩に伴い、人々の家事をより便利にさせる洗濯機など多くの日常製品が生まれた。しかし、内閣府の住宅・生活環境調査によると、自分の家は日あたりが悪いと回答した人は全体回答者の9.2%程度を占め、日当たりに問題を感じる層は一定数存在するものと判断できる。日立市天気相談所のデータによると、雨と曇りの日は年間の約55%を占めている。産経新聞の記事によると、雨や曇りの日、ならびに、湿度が高い冬には,衣類が十分に乾かないことが大変な問題となる.そのため人々は,洗濯物を干すという必要不可欠な家事を達成させるために、実用的な速乾ハンガーを必要としている。衣類の乾燥は、人々の生活と切っても切れない問題である。人々は必ず自分の服を洗い、乾燥させる必要があるが、乾燥機の価格は手頃とは言い難い。
【0003】
このような状況で、衣類乾燥のためのハンガーが知られる(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-224494号公報
【文献】実開平6-5578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、衣類乾燥のため多数の穴を備えた板を中央部および両端部に別部材として用意する必要があり、低コストで乾燥時間を短縮できるハンガーとはなっていない。
【0006】
また、特許文献2は、衣類の背面がハンガー中央部に沿って接触する構成のため、衣類の前面背面の間にハンガー中央部に接触しない空間が作られず、衣類の乾燥時間を短縮できない。
【0007】
本発明の目的は、低コストで衣類の乾燥時間を短縮できるハンガーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を他生するため、本発明に係るハンガーは、中央部と両端部を備えるハンガーであって、前記両端部が、前記中央部に対し、第1の姿勢として前記中央部の長手方向に配置されるように接続される第1の接続部と、前記両端部が、前記中央部に対し、第2の姿勢として前記長手方向と交差する方向であって、前記中央部の手前側および奥側に配置されるように接続される第2の接続部と、を有し、前記第1の接続部は、前記中央部の両端部側に前記中央部と一体的に設けられる接続部材における前記中央部の長手方向に設けられる第1の差し込み部であり、前記第2の接続部は、前記接続部材における前記中央部の手前側および奥側に設けられる第2の差し込み部であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、前記両端部は、それぞれの端部において2枚の部材を備え、前記第1の姿勢では、前記2枚の部材が互いに重ね合わされて設けられ、前記第2の姿勢では、前記2枚の部材の一方が前記長手方向と交差する方向であって、前記中央部の手前側に設けられ、前記2枚の部材の他方が前記長手方向と交差する方向であって、前記中央部の奥側に設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、衣類の前面背面の間に空間が作られる構成であるため、衣類の乾燥時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】第1の実施形態に係るハンガーが第1の姿勢で配置される場合を示す図
【
図3】第1の実施形態に係るハンガーのフックを説明する図
【
図4】第1の実施形態に係るハンガーのフックと接続部が接続されることを示す図
【
図5】第1の実施形態に係るハンガーが第1の姿勢から第2の姿勢に切り替えられることを示す図
【
図6】第1の実施形態に係るハンガーが第2の姿勢で配置される場合を示す図
【
図7】第1の実施形態に係るハンガーが第2の姿勢で配置されて衣類がハンガーにかけられた状態を下方から覗いた図
【
図9】第2の実施形態に係るハンガーが第1の姿勢で配置される場合を示す図
【
図10】第2の実施形態に係るハンガーが第2の姿勢で配置される場合を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に関し、図面を用いて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
(全体構成)
本実施形態のハンガーは、
図1に示すように、中央部の主体1と、主体1の長手方向の両端部にそれぞれ設けられる接続部材2と、接続部材2の一方の端部側(
図1の左側)にフック3a、3b、他方の他端側(
図1の右側)にフック3c、3dを備える。そして、
図2に示すように、主体1とフック3a、3b、フック3c、3dは、接続部材2(2a、2b、2c、2d)を介して接続あるいは分離される。
【0015】
接続部材2は、主体1と一体化(材質がプラスチックの場合の一体成型や、材質がステンレスなど金属の場合の溶接接合など)されていて、主体1の長手方向の両端部において、上下(天地方向)に1つづつ設けられる(
図4)。
【0016】
本実施形態では、
図3に示すように、フック3a、3b(あるいは3c、3d)は同一形状で、フック3a、3b(あるいは3c、3d)の2枚が重ね合わされて用いられる場合(第1の接続部である第1の差し込み部を介した第1の姿勢)と、フック3a、3b(あるいは3c、3d)が別々に用いられる場合(第2の接続部である第2の差し込み部を介した第2の姿勢)がある。
【0017】
フック3の先端および接続部3の切り口の先端は、
図5に示すように矢印形状となっており、フック3は接続部材2に対し上方から挿入され、上方から取り出される。フック3が接続部2に対し上方から挿入され矢印形状に沿って押し込まれると、フック3と接続部2の配置関係が安定化される。フック3が情報から取り出される場合も、フック3を上方に持ち上げるだけで容易に取り出せる。
【0018】
主体1に対するフック3のサイズ比としては、主体1の長手方向サイズを100%とするとき、フック3のサイズは例えば25%である。
【0019】
(第1の姿勢)
通常のハンガーとして用いる場合、
図2に示すように、主体1の長手方向で一方の端部側にフック3a、3bが接続され、他方の端部側にフック3c、3dが接続される(第1の姿勢)。
【0020】
(第2の姿勢)
ハンガーにかける衣服を早く乾かしたい場合、
図6に示すように、主体1に対し長手方向と直交する方向であって主体1の手前側に、フック3a(フック3c)、主体1の奥側にフック3b(フック3d)が接続される(第2の姿勢)。
【0021】
本実施形態のハンガーが、第1の姿勢から第2の姿勢に切り替えられることを
図5に示す。主体1と一体化されている接続部材には第1の姿勢用の切り口と、第2の姿勢用の切り口が設けられ、フック3は接続部2に対し上方から挿入され、上方から取り出される。第1の姿勢で2枚が重ね合わせて配置されていたフック3a、3b(あるいは3c、3d)は、第2の姿勢では別々に配置される。
【0022】
図7に、本実施形態に係るハンガーが第2の姿勢で配置されて衣類がハンガーにかけられた状態を下方から覗いた状態を示す。第2の状態(姿勢)では、衣類の前面背面の間に空間が作られるため、両端部と中央部において全体的に風通しが良くなり,通常より早く衣類を乾かすことができる。
【0023】
本実施形態では、フック3を接続部材2の切り口に挿入する2種類の方向によって、2種類の姿勢を形成することができる。第1の姿勢では、普通のハンガーとして使える。そして、第2の姿勢では、通常より早く衣類を乾かすことができる。
【0024】
(第2の実施形態)
(全体構成)
本実施形態のハンガーは、
図8に示すように、中央部の主体11と、主体11の長手方向の両端部(一方の端部、他方の端部)にそれぞれ第1フック12および第2フック13の組を備える。第1フック12の長手方向の長さは、第2フック13の長手方向の長さより短くしているが、同じ長さとしても良い。
【0025】
主体11には接続部材14a、14b、14cが設けられ、第1フック12には接続部材15a、15bが設けられる。主体11と第1フック12は、接続部材14a、14bを介して接続あるいは分離される。また、第1フック12と第2フック13は、接続部材15a、15bを介して接続あるいは分離される。また、主体11と第2フック13は、接続部材14c、14bを介して接続あるいは分離される。
【0026】
ここで、接続部材14aは、第1フック12を主体11に対し第1の姿勢として接続するための先端が矢印形状(第1の実施形態と同様)の切り口と、第1フック12を主体11に対し第2の姿勢として接続するための先端が矢印形状の切り口(第1の実施形態と同様)を備える。
【0027】
また、接続部材14bは、第1フック12を主体11に対し第1の姿勢として接続するための先端が矢印形状の切り口(第1の実施形態と同様)と、第1フック12を主体11に対し第2の姿勢として接続するための先端が矢印形状の切り口(第1の実施形態と同様)と、第2フック13を主体11に対し第2の姿勢として接続するための先端が矢印形状の切り口(第1の実施形態と同様)を備える。
【0028】
また、接続部材14cは、第2フック13を主体11に対し第2の姿勢として接続するための先端が矢印形状の切り口(第1の実施形態と同様)を備える。
【0029】
また、接続部材15a、15bは、第2フック13を第1フック12および主体11に対し第1の姿勢として接続するための先端が矢印形状の切り口(第1の実施形態と同様)を備える。
【0030】
(第1の姿勢)
通常のハンガーとして用いる場合、
図9に示すように、主体11と第1フック12は接続部材14a、14bを介して接続される。また、第1フック12と第2フックは、接続部材15a、15bを介して接続される。
【0031】
両端部に設けられる第1フック12および第2フック13は、中央部の主体11に対し、第1の姿勢として第1の接続部である第1の差し込み部(接続部材14a、14b、15a、15b)を介して中央部の長手方向に配置されるように接続される。
【0032】
第2フック13の先端および接続部材15a、15bの切り口の先端は、
図5に示したように矢印形状となっており、第2フック13は接続部材15a、15bに対し上方から挿入され、上方から取り出される。第2フック13が接続部材15a、145に対し上方から挿入され矢印形状に沿って押し込まれると、第2フック13と接続部材15a、15bの配置関係が安定化される。
【0033】
同様に、第1フック12の先端および接続部材14a、14bの切り口の先端は、
図5に示したように矢印形状となっており、第1フック12は接続部材14a、14bに対し上方から挿入され、上方から取り出される。第1フック12が接続部材14a、14bに対し上方から挿入され矢印形状に沿って押し込まれると、第1フック12と接続部材14a、14bの配置関係が安定化される。
【0034】
(第2の姿勢)
ハンガーにかける衣服を早く乾かしたい場合、
図10に示すように、主体1に対し長手方向と直交する方向であって主体1の手前側に、第2フック13、主体1の奥側に第1フック12が接続される(第2の姿勢)。
【0035】
すなわち、第1の姿勢で両端部に設けられていた第1フック12および第2フック13は、中央部の主体11に対し、第2の姿勢として長手方向と直交する方向であって、中央部の主体11の手前側および奥側に第2の接続部である第2の差し込み部(手前側に関して接続部材14c、14b、奥側に関して14a、14b)を介して配置されるように接続される。
【0036】
本実施形態のハンガーが、第1の姿勢から第2の姿勢に切り替えられることは第1の実施形態で示したものと同様である。すなわち、第2フック13の先端および接続部材14c、14bの切り口の先端は、
図5に示したように矢印形状となっており、第2フック13は接続部材14c、14bに対し上方から挿入され、上方から取り出される。第2フック13が接続部材14c、14bに対し上方から挿入され矢印形状に沿って押し込まれると、第2フック13と接続部材14c、14bの配置関係が安定化される。第2フック13が上方から取り出される場合も、第2フック13を上方に持ち上げるだけで容易に取り出せる。
【0037】
同様に、第1フック12の先端および接続部材14a、14bの切り口の先端は、
図5に示したように矢印形状となっており、第1フック12は接続部材14a、14bに対し上方から挿入され、上方から取り出される。第1フック12が接続部材14a、14bに対し上方から挿入され矢印形状に沿って押し込まれると、第1フック12と接続部材14a、14bの配置関係が安定化される。第1フック12が上方から取り出される場合も、第1フック12を上方に持ち上げるだけで容易に取り出せる。
【0038】
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0039】
両端部が、中央部に対し、第2の姿勢として長手方向と直交する方向であって、中央部の手前側および奥側に配置されるように接続されることを示したが、第2の姿勢として長手方向と交差する方向(長手方向と鋭角もしくは鈍角の方向)に配置されるように接続されても良い。
【0040】
更に、第2の姿勢として手前側が鋭角(もしくは鈍角)、奥側が鈍角(もしくは鋭角)としても良いし、第2の姿勢として手前側および奥側が鋭角(もしくは鈍角)としても良い。
【0041】
また、第1の接続部、第2の接続部に関し、先端が矢印形状の差し込み部として説明したが、本発明はこれに限定されない、例えば、矢印形状以外の任意の形状としても良い。また、第1の接続部、第2の接続部に関し、矢印形状を含む突起と矢印形状を含む切り口(溝部)を上方から接続する実施例を説明したが、本発明はこれに限定されず、突起と穴を側方から接続するようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
1・・主体、2、2a、2b、2c、2d・・接続部材、33a、3b、3c、3d・・フック、11・・主体、12:第1フック、13・・第2フック、14a、14b、14c、15a、15b・・接続部材
【要約】
【課題】低コストで衣類の乾燥時間を短縮できるハンガーを提供する。
【解決手段】中央部と両端部を備えるハンガーであって、前記両端部が、前記中央部に対し、第1の姿勢として前記中央部の長手方向に配置されるように接続される第1の接続部と、前記両端部が、前記中央部に対し、第2の姿勢として前記長手方向と交差する方向であって、前記中央部の手前側および奥側に配置されるように接続される第2の接続部と、を有する。
【選択図】
図6