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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ストッカ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220824BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20220824BHJP
   A47G 29/12 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q10/08
A47G29/12 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017177520
(22)【出願日】2017-09-15
(65)【公開番号】P2019053544
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣内 宏樹
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-048236(JP,A)
【文献】特開2017-156863(JP,A)
【文献】特開平11-151154(JP,A)
【文献】特開2004-284708(JP,A)
【文献】特開2005-285040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A47G 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
納品庫を有するストッカと、前記ストッカを管理する管理装置とを備えたストッカシステムに用いられるストッカであって、
前記管理装置とグローバルネットワークを介して通信可能に接続され、前記納品庫への納品に関連する処理を含む各種処理を行うメインコンピュータと、
前記管理装置と前記グローバルネットワークを介して通信可能に接続されると共に前記メインコンピュータと、前記グローバルネットワークとは異なるローカルネットワークを介して接続され、前記メインコンピュータの作動状況が正常か異常かを監視する死活監視を行うための確認コマンドを前記メインコンピュータに送信し、前記確認コマンドに対する正常な応答コマンドを受信したか否かを判定することにより、前記死活監視における前記メインコンピュータの作動状況が前回の死活監視における前記メインコンピュータの作動状況から変化したか否かを判定し、変化したと判定すると前記メインコンピュータの作動異常に関するログ情報を作成し、該ログ情報を前記グローバルネットワークを介して前記管理装置に送信し、送信対象のログ情報がない場合には、その旨を前記管理装置に送信するサブコンピュータと、
を備えるストッカ。
【請求項2】
請求項1に記載のストッカであって、
前記サブコンピュータは、前記グローバルネットワークと前記ローカルネットワークとを接続するルータの温度を取得し前記ルータの温度が所定温度範囲内であるか否かを判定することにより、前記ルータの状況を監視する
ストッカ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のストッカであって、
前記サブコンピュータは、前記メインコンピュータと前記管理装置との通信が行われていない場合に、前記ログ情報を前記管理装置に送信する
ストッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ストッカを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配達者が配達した宅配物を納入可能な複数の納品庫(ボックス)と、各納品庫への納品に関する各種処理を行うコンピュータ(制御装置)とを備えるストッカ(ロッカ)が知られている。例えば、特許文献1のストッカのコンピュータは、配達者が操作する端末装置から納品庫の予約を受け付ける処理をしたり、受け付けた予約納品庫の番号に配達者の識別情報を対応付けて予約データを登録する処理をしたり、配達者が宅配物を納入する際に相手を識別して納品庫を解錠する処理をしたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-151154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したストッカにおいて、コンピュータに何らかの不具合が生じると宅配物の納入などに支障が生じるため、そのような支障が生じないようにコンピュータの作動状況などのストッカのローカル環境を監視して把握しておくことが求められる。しかしながら、ローカル環境の監視は、各種処理と並行して継続的な処理が必要となり処理負荷が高いものとなる。各種処理を行うコンピュータは、処理負荷が高くなっており、監視により処理負荷がさらに増えると却って不具合に繋がるおそれがある。
【0005】
本開示は、納品庫への納品に関連する処理を行うコンピュータの処理負荷を増やすことなく、ストッカのローカル環境を監視することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のストッカは、納品庫を有するストッカと、前記ストッカを管理する管理装置とを備えたストッカシステムに用いられるストッカであって、前記管理装置とグローバルネットワークを介して通信可能に接続され、前記納品庫への納品に関連する処理を含む各種処理を行うメインコンピュータと、前記管理装置と前記グローバルネットワークを介して通信可能に接続されると共に前記メインコンピュータとローカルネットワークを介して接続され、前記ストッカのローカル環境を監視するサブコンピュータと、を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示のストッカは、管理装置とグローバルネットワークを介して通信可能に接続されると共にメインコンピュータとローカルネットワークを介して接続され、ストッカのローカル環境を監視するサブコンピュータを備える。このため、ストッカは、各種処理を行うメインコンピュータの処理負荷を増やすことなく、サブコンピュータによりローカル環境を監視することができる。また、管理装置は、サブコンピュータとの通信によりストッカのローカル環境の把握が可能となる。
【0009】
本開示のストッカにおいて、前記サブコンピュータは、前記ローカル環境として前記メインコンピュータの状況を監視するものとしてもよい。こうすれば、管理装置は、メインコンピュータの処理負荷を増やすことなく、メインコンピュータの状況を把握することができる。
【0010】
本開示のストッカにおいて、前記サブコンピュータは、前記ローカル環境として、前記グローバルネットワークと前記ローカルネットワークとを接続するルータの状況を監視するものとしてもよい。こうすれば、管理装置は、メインコンピュータの処理負荷を増やすことなく、ルータの状況を把握することができる。
【0011】
本開示のストッカにおいて、前記サブコンピュータは、前記ローカル環境に関するログ情報を作成し、該ログ情報を前記グローバルネットワークを介して前記管理装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、管理装置の管理者等は、ローカル環境において不具合が生じた場合に、不具合の原因解析や対策検討にログ情報を用いることができる。
【0012】
本開示のストッカにおいて、前記サブコンピュータは、前記メインコンピュータと前記管理装置との通信が行われていない場合に、前記ログ情報を前記管理装置に送信するものとしてもよい。こうすれば、サブコンピュータは、メインコンピュータの通信や処理に影響を及ぼすことなく、ログ情報を管理装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ストッカシステム1の構成の概略を示す構成図。
図2】ストッカ10の電気的構成の概略を示す構成図。
図3】サブコンピュータ基本処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図4】メインコンピュータ状況監視処理の一例を示すフローチャート。
図5】作動異常ログ情報の一例を示す説明図。
図6】ルータ状況監視処理の一例を示すフローチャート。
図7】温度異常ログ情報の一例を示す説明図。
図8】ログ情報送信処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態を図面を用いて説明する。図1はストッカシステム1の構成の概略を示す構成図であり、図2はストッカ10の電気的構成の概略を示す構成図である。
【0015】
ストッカシステム1は、図1に示すように、複数のストッカ10と、ストッカ10を管理する管理装置50とを備える。複数のストッカ10と管理装置50は、3GやLTEなどの通信ネットワーク5に接続されている。なお、通信ネットワーク5は、インターネットなどの他のネットワークとしてもよい。
【0016】
ストッカ10は、図1図2に示すように、それぞれ、物品を納入可能な箱状の複数の納品庫20と、各納品庫20への納品に関する各種処理を行う制御ユニット30とを備える。このストッカ10は、オフィスやコンビニエンスストア、駅、学校、マンション、ショッピングセンタなど様々な場所に設置され、屋内だけでなく屋外に設置されることもある。また、ストッカ10は、いずれかの納品庫20を配達先として配達者(納入者)により物品が納入された後に、受取者が当該納品庫20から物品を取り出して物品を受け取ることで、配達者により配達される物品の受け渡しに用いられる。
【0017】
納品庫20は、扉を開いて庫内に物品を出し入れ可能となっている。各納品庫20は、図2に示すように、扉を施錠する錠装置24と、扉の開閉状態を検出する開閉センサ26と、庫内の物品の有無を検出する物品センサ28とを備える。
【0018】
制御ユニット30は、図1に示すように、操作表示パネル34と、読取器36と、カメラモジュール38とがユニット前面に設けられている。操作表示パネル34は、タッチパネル式の画面を有し、物品の納入や取り出しに関する操作案内などを表示したり、物品の納入や取り出しに関する入力操作などを受け付けたりする。読取器36は、物品の配達者や受取者の識別情報などが登録された各種カードなどを読み取るカードリーダとして構成されたり、物品の配達者や受取者の識別情報などを示す各種コードなどを読み取るコードリーダとして構成されたりする。カメラモジュール38は、ストッカ10の前方の所定範囲を撮像可能に配置されており、配達者や受取者などの被写体を含む画像を撮像する。
【0019】
また、制御ユニット30は、図2に示すように、メインコンピュータ41と、ルータ43と、サブコンピュータ45とを備える。
【0020】
メインコンピュータ41は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)などを含む。このメインコンピュータ41は、各納品庫20の錠装置24の解錠や施錠を含む各納品庫20への納品に関連する処理を含む各種処理を行う。メインコンピュータ41は、操作表示パネル34への表示信号や各ストッカ20の錠装置24への解錠信号や施錠信号などを出力する。また、メインコンピュータ41は、操作表示パネル34により受け付けられた操作指示や読取器36により読み取られた情報、各ストッカ20の開閉センサ26からの検出信号、各ストッカ20の物品センサ28からの検出信号などを入力する。
【0021】
ルータ43は、メインコンピュータ41とサブコンピュータ45とが接続された有線LAN47と、通信ネットワーク5とに接続されており、有線LAN47と通信ネットワーク5との間でルーティングを行う。なお、ルータ43は、メインコンピュータ41やサブコンピュータ45に無線LANを介して接続されていてもよい。また、ルータ43には、ルータ43内の温度を検出する温度センサ43aが内蔵されている。
【0022】
サブコンピュータ45は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)などを含む。このサブコンピュータ45は、カメラモジュール38の制御およびメインコンピュータ41やルータ43などのストッカ10のローカル環境の監視処理を行う。サブコンピュータ45は、カメラモジュール38への撮像信号を出力する。また、サブコンピュータ45は、カメラモジュール38により撮像された撮像画像を入力し、入力した撮像画像をルータ43経由で通信ネットワーク5を介して管理装置50に送信する。なお、サブコンピュータ45が行う監視処理の詳細は後述する。
【0023】
管理装置50は、通信ネットワーク5を介してルータ43経由で各ストッカ10のメインコンピュータ41やサブコンピュータ45と通信を行う。管理装置50は、メインコンピュータ41から送信される納品庫20の使用状況を受信したり、サブコンピュータ45から送信されるカメラモジュール38の撮像画像や後述するログ情報を受信したりする。また、管理装置50は、メインコンピュータ41やサブコンピュータ45に各種指令や情報などを送信する。なお、管理装置50の図示しない記憶部には、各ストッカ10の識別番号や配置場所、各ストッカ10の作動状況や各納品庫20の使用状況などの各種情報が記憶されている。また、管理装置50は、各種画面を表示する液晶ディスプレイとして構成された表示部52と、管理者が各種指示を入力するマウスやキーボードなどで構成された入力部54とを備える。管理者は、表示部52に各種画面が表示されることで、納品庫20の使用状況やストッカ10の周囲の状況などを把握することができる。また、管理者は、入力部54を介して入力操作を行うことで、メインコンピュータ41やサブコンピュータ45に各種指示を行うことができる。
【0024】
こうして構成されたストッカシステム1では、管理装置50は、受取者の受取希望やストッカ10の使用状況から納品先のストッカ10および納品庫20を決定し、配達者および当該ストッカ10のメインコンピュータ41に送信する。なお、管理装置50は、ストッカ10のメインコンピュータ41に配達者の認証情報なども送信する。配達者は、配送先のストッカ10まで物品を配送し、操作表示パネル34への入力操作や読取器36への読み取り操作などを行う。ストッカ10のメインコンピュータ41は、配達者の認証を行うと、該当する納品庫20の錠装置24を解錠する。これにより、配達者は、解錠された納品庫20の扉を開けて物品を納入することができる。物品が納入されると、メインコンピュータ41は、納品庫20の錠装置24を施錠する。また、管理装置50は、納品先のストッカ10を特定する情報を受取者に送信する。なお、管理装置50は、ストッカ10のメインコンピュータ41に受取者の認証情報なども送信する。そして、受取者は、受取先のストッカ10に出向いて、操作表示パネル34への入力操作や読取器36への読み取り操作などを行う。ストッカ10のメインコンピュータ41は、受取者の認証を行うと、該当する納品庫20の錠装置24を解錠制御する。これにより、受取者は、解錠された納品庫20の扉を開けて物品を取り出すことができる。このように、ストッカ10のメインコンピュータ41は、管理装置50と通信しながら、納品庫20への納品に関連する各種処理を行う。
【0025】
こうして構成されたストッカ10の動作について説明する。図3は、サブコンピュータ45により実行されるサブコンピュータ基本処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、サブコンピュータ45の電源がオンされて所定の初期化処理が実行された後に実行される。サブコンピュータ基本処理ルーチンでは、メインコンピュータ状況監視処理(S10)と、ルータ状況監視処理(S20)と、ログ情報送信処理(S30)とが繰り返し実行される。なお、サブコンピュータ45は、これらの処理の他に、カメラモジュール38の撮像画像を、所定の送信タイミングで管理装置50に送信する撮像画像送信処理を行う。
【0026】
S10のメインコンピュータ状況監視処理は、図4に示すフローチャートに基づいて実行される。このメインコンピュータ状況監視処理では、サブコンピュータ45は、まず、メインコンピュータ41の状況監視として作動状況が正常か異常かを監視する死活監視を行うための確認コマンドをメインコンピュータ41へ送信し(S100)、確認コマンドに対する正常な応答コマンドを受信したか否かを判定する(S110)。ここで、確認コマンドとしては、例えば、ICMP(Internet Control Message Protocol)におけるPING(Packed Internet Gopher)コマンドを用いることができる他、SNMP(Simple Network Management Protocol)などの他のプロトコルにおけるコマンドを用いるものとしてもよい。なお、この確認コマンドは、死活監視の頻度に応じた所定時間毎のタイミングで送信するものなどとしてもよい。そして、サブコンピュータ45は、S110で正常な応答コマンドを受信したと判定すると、作動状況が正常の旨を現在の日時情報に対応付けてRAMなどに記録する(S120)。また、サブコンピュータ45は、S110で正常な応答コマンドを受信しなかったと判定すると、作動状況が異常の旨を現在の日時情報に対応付けてRAMなどに記録する(S130)。これらの処理により、サブコンピュータ45は、メインコンピュータ41の作動状況が正常の旨または異常の旨を、時系列に沿って順次記録していくことになる。
【0027】
次に、サブコンピュータ45は、今回の死活監視における作動状況が前回の死活監視における作動状況から変化したか否かを判定し(S140)、変化していないと判定するとそのままメインコンピュータ状況監視処理を終了する。一方、サブコンピュータ45は、今回の死活監視における作動状況が前回の死活監視における作動状況から変化したと判定すると、作動異常ログ情報を作成して(S150)、メインコンピュータ状況監視処理を終了する。なお、以前に実行されたメインコンピュータ状況監視処理で記録された作動状況は、S140,S150の処理が終われば適宜クリアするものなどとしてもよい。サブコンピュータ45は、前回の作動状況が正常で今回の作動状況が異常である場合にS140で作動状況が変化したと判定し、S150で作動異常の発生日時を記録して作動異常ログ情報を作成する。また、サブコンピュータ45は、前回の作動状況が異常で今回の作動状況が正常である場合にS140で作動状況が変化したと判定し、S150で作動異常の復帰(終了)日時と発生から復帰までの作動異常時間とを記録して作動異常ログ情報を作成する。ここで、図5は作動異常ログ情報の一例を示す説明図である。図示するように、作動異常ログ情報は、作動異常の内容(ここではメインコンピュータ41の作動異常)と、作動異常の発生日時と復帰日時、発生から復帰までの作動異常時間とを含んで作成される。
【0028】
S20のルータ状況監視処理は、図6に示すフローチャートに基づいて実行される。このルータ状況監視処理では、サブコンピュータ45は、まず、ルータ43の状況監視としてルータ温度Trの監視(温度監視)を行うために温度センサ43aにより検出されたルータ温度Trを取得する(S200)。次に、サブコンピュータ45は、ルータ温度Trがルータ43の作動に推奨される所定温度範囲の下限温度Tlow以上であるか否か(S210)、ルータ温度Trが所定温度範囲の上限温度Thigh以下であるか否か(S220)、をそれぞれ判定する。サブコンピュータ45は、S210,S220でルータ温度Trが下限温度Tlow以上で上限温度Thigh以下即ち所定温度範囲内であると判定すると、温度状況が正常の旨を現在の日時情報に対応付けて記録する(S230)。一方、サブコンピュータ45は、S210でルータ温度Trが下限温度Tlow以上でなく下限温度Tlow未満であると判定すると、温度状況が低温異常の旨を現在の日時情報に対応付けてRAMなどに記録する(S240)。また、サブコンピュータ45は、S220でルータ温度Trが上限温度Thigh以下でなく上限温度Thigh超過であると判定すると、温度状況が高温異常の旨を現在の日時情報に対応付けてRAMなどに記録する(S250)。これらの処理により、サブコンピュータ45は、ルータ43の温度状況が正常の旨、低温異常の旨または高温異常の旨を、時系列に沿って順次記録していくことになる。
【0029】
次に、サブコンピュータ45は、今回の温度監視における温度状況が前回の温度監視における温度状況から変化したか否かを判定し(S260)、変化していないと判定するとそのままルータ状況監視処理を終了する。一方、サブコンピュータ45は、今回の温度状況が前回の温度状況から変化したと判定すると、温度異常ログ情報を作成して(S270)、ルータ状況監視処理を終了する。なお、以前に実行されたルータ状況監視処理で記録された温度状況は、S260,S270の処理が終われば適宜クリアするものなどとしてもよい。サブコンピュータ45は、前回の温度状況が正常で今回の温度状況が低温異常または高温異常である場合にS260で温度状況が変化したと判定し、S270で温度異常の発生日時と低温または高温の異常種別を記録して温度異常ログ情報を作成する。また、サブコンピュータ45は、前回の温度状況が低温異常または高温異常で今回の温度状況が正常である場合にS260で温度状況が変化したと判定し、S270で温度異常の復帰(終了)日時と発生から復帰までの温度異常時間とを記録して温度異常ログ情報を作成する。ここで、図7は温度異常ログ情報の一例を示す説明図である。図示するように、温度異常ログ情報は、温度異常の内容(ここではルータ43の温度異常)と、温度異常の発生日時と復帰日時、低温か高温かの異常種別、発生から復帰までの温度異常時間とを含んで作成される。なお、図5の作動異常ログ情報と図7の温度異常ログ情報とを別々のログ情報とするものを例示したが、これに限られず、一まとめにしたログ情報を作成してもよい。
【0030】
S30のログ情報送信処理は、図8に示すフローチャートに基づいて実行される。このログ情報送信処理では、サブコンピュータ45は、まず、ログ情報の送信タイミングであるか否かを判定する(S300)。ここで、ログ情報の送信タイミングは、例えば、毎月1回到来する定期的なタイミングとする。また、送信タイミングが設定される時間帯は、ストッカ10が使用される頻度の少ない時間帯(例えば夜中の時間帯)などとする。サブコンピュータ45は、S300でログ情報の送信タイミングでないと判定すると、そのままログ情報送信処理を終了する。一方、サブコンピュータ45は、S300でログ情報の送信タイミングであると判定すると、メインコンピュータ41やルータ43の状況を確認する(S310)。S310では、サブコンピュータ45は、S10(図4)のメインコンピュータ状況監視処理のようにメインコンピュータ41の作動状況を確認したり、S20(図6)のルータ状況監視処理のようにルータ43の温度状況を確認したりする。また、メインコンピュータ状況監視処理で説明した確認コマンドおよび応答コマンドをルータ43とやり取りすることなどにより、ルータ43の各ポートの状況や送受信されている情報量などの通信状況を確認したりする。そして、サブコンピュータ45は、S310の確認結果に基づいて、メインコンピュータ41およびルータ43の状況に問題がないかか否か(S320)、メインコンピュータ41がルータ43経由で管理装置50と通信中でないか否か(S330)、をそれぞれ判定する。サブコンピュータ45は、メインコンピュータ41の作動異常やルータ43の温度異常などによりS320でメインコンピュータ41やルータ43の状況に問題があると判定したり、S330でメインコンピュータ41が管理装置50と通信中であると判定したりすると、S310に戻り処理を繰り返す。
【0031】
また、サブコンピュータ45は、S320,S330で、メインコンピュータ41およびルータ43の状況に問題がなく且つメインコンピュータ41が管理装置50と通信中でないと判定すると、作動異常ログ情報と温度異常ログ情報(各ログ情報)をルータ43経由で通信ネットワーク5を介して管理装置50へ送信する(S340)。このため、サブコンピュータ45は、メインコンピュータ41と管理装置50との通信に影響を及ぼすことなく、作動異常ログ情報や温度異常ログ情報を管理装置50に送信してアップロードすることができる。また、サブコンピュータ45は、メインコンピュータ41やルータ43の状況に問題がある場合には、問題がなくなるのを待って送信するから、各ログ情報の送信よりも問題の対処を優先させてメインコンピュータ41の処理に影響を及ぼさないものとすることができる。また、管理装置50が作動異常ログ情報や温度異常ログ情報を表示部52に表示することで、管理者は作動状況や温度状況を把握することができる。このため、管理者は、作動異常の原因解析や対策検討に作動異常ログ情報や温度異常ログ情報を用いることができる。例えば、メインコンピュータ41と管理装置50との間のやり取りに何らかの不具合があった場合の原因解析などに作動異常ログ情報を用いることができる。また、温度異常ログ情報から、ルータ43の高温異常が頻発していれば制御ユニット30に空冷ファンの設置や換気孔の追加などの対策を検討したり、ルータ43の低温異常が頻発していれば制御ユニット30に加熱ヒータの設置や保温材の追加などの対策を検討したりすることができる。そして、サブコンピュータ45は、送信した作動異常ログ情報と温度異常ログ情報をクリアして(S350)、ログ情報送信処理を終了する。なお、サブコンピュータ45は、送信対象のログ情報がない場合には、その旨を管理装置50へ送信するものなどとしてもよい。
【0032】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のストッカ10が本開示のストッカに相当し、管理装置50が管理装置に相当し、ストッカシステム1がストッカシステムに相当し、通信ネットワーク5がグローバルネットワークに相当し、メインコンピュータ41がメインコンピュータに相当し、有線LAN47がローカルネットワークに相当し、サブコンピュータ45がサブコンピュータに相当する。また、ルータ43がルータに相当する。
【0033】
以上説明した本実施形態のストッカ10は、管理装置50と通信ネットワーク5を介して通信可能に接続されると共にメインコンピュータ41と有線LAN47を介して接続され、ストッカ10のローカル環境としてメインコンピュータ41やルータ43の状況を監視するサブコンピュータ45を備える。このため、ストッカ10は、メインコンピュータ41の処理負荷を増やすことなく、サブコンピュータ45によりストッカ10のローカル環境を監視することができる。また、管理装置50は、サブコンピュータ45と通信することによりローカル環境を把握することができる。
【0034】
また、ストッカ10では、サブコンピュータ45がメインコンピュータ41の死活監視を行うから、管理装置50は、メインコンピュータ41が正常作動しているか否かを把握することができる。また、ストッカ10は、サブコンピュータ45がルータ43の温度監視を行うから、管理装置50は、ルータ43が正常温度であるか否かを把握することができる。
【0035】
また、ストッカ10では、サブコンピュータ45がメインコンピュータ41の作動異常ログ情報やルータ43の温度異常ログ情報を作成して管理装置50に送信する。このため、管理者は、メインコンピュータ41で不具合が生じた場合に、作動異常ログ情報を不具合の原因解析や対策検討に用いることができる。また、管理者は、ルータ43で不具合が生じた場合に、温度異常ログ情報を不具合の原因解析や対策検討に用いることができる。
【0036】
また、ストッカ10は、メインコンピュータ41およびルータ43の状況に問題がなく且つメインコンピュータ41が管理装置50と通信中でない場合に、サブコンピュータ45が作動異常ログ情報や温度異常ログ情報を管理装置50に送信する。このため、ストッカ10は、メインコンピュータ41と管理装置50との通信に影響を及ぼすことなく、作動異常ログ情報や温度異常ログ情報を管理装置50に送信することができる。また、メインコンピュータ41やルータ43の状況に問題がある場合には、問題がなくなるのを待って作動異常ログ情報や温度異常ログ情報を送信するから、ログ情報の送信よりも問題の対処を優先させることになる。このため、ストッカ10は、メインコンピュータ41の処理に影響を及ぼすことなく、作動異常ログ情報や温度異常ログ情報を管理装置50に送信することができる。
【0037】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
上述した実施形態では、メインコンピュータ41およびルータ43の状況に問題がなく且つメインコンピュータ41が管理装置50と通信中でない場合に、サブコンピュータ45がログ情報を管理装置50に送信するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、メインコンピュータ41やルータ43の状況に拘わらずメインコンピュータ41が管理装置50と通信中でない場合に、サブコンピュータ45がログ情報を送信するものとしてもよい。また、メインコンピュータ41が管理装置50と通信中であるか否かに拘わらずメインコンピュータ41およびルータ43の状況に問題がない場合に、サブコンピュータ45がログ情報を送信するものとしてもよい。あるいは、メインコンピュータ41およびルータ43の状況やメインコンピュータ41が管理装置50と通信中か否かを確認することなく、サブコンピュータ45がログ情報を送信するものとしてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、サブコンピュータ45がログ情報を作成して管理装置50に送信するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、サブコンピュータ45は、作動異常の発生や作動異常からの復帰など作動状況の変化がある度にその旨を管理装置50に送信したり、温度異常の発生や温度異常からの復帰など温度状況の変化がある度にその旨を管理装置50に送信したりするものとしてもよい。このようにする場合、図5図7のログ情報を、サブコンピュータ45ではなく管理装置50が作成するものとしてもよい。このように、サブコンピュータ45は、ログ情報を管理装置50に送信するものに限られず、メインコンピュータ41やルータ43などストッカ10のローカル環境の監視を行うものであればよい。
【0040】
上述した実施形態では、ストッカ10のローカル環境の監視としてメインコンピュータ41の状況とルータ43の状況とを監視するものを例示したが、これに限られず、メインコンピュータ41の状況とルータ43の状況とのうちいずれか一方を監視するものなどとして、図3のS10またはS20のいずれかの処理を省略するものとしてもよい。また、サブコンピュータ45は、ストッカ10のローカル環境に含まれる他の機器を監視するものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、サブコンピュータ45がメインコンピュータ41の状況として死活監視を行いルータ43の状況として温度監視を行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、メインコンピュータ41が温度センサを備え、サブコンピュータ45がメインコンピュータ41の温度監視を行うものとしてもよい。なお、サブコンピュータ45は、メインコンピュータ41の死活監視と温度監視とを行うものとしてもよいし、死活監視を行うことなく温度監視を行うものとしてもよい。同様に、サブコンピュータ45は、ルータ43の状況としてルータ43の死活監視と温度監視とを行うものとしてもよいし、温度監視を行うことなく死活監視を行うものとしてもよい。また、サブコンピュータ45は、これら以外にも、例えばルータ43の無線電波状況や通信量などの通信状況の監視を行うものなどとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、一例としてサブコンピュータ45が毎月1回(1月に1回)ログ情報を管理装置50へ送信するものとしたが、これに限られず、毎月複数回などのより高い頻度でログ情報を管理装置50に送信するものとしてもよいし、複数月に1回などのより低い頻度でログ情報を管理装置50に送信するものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、サブコンピュータ45が主にストッカ10のローカル環境を監視するものを説明したが、これに加えて以下の処理を行うものとしてもよい。即ち、サブコンピュータ45は、管理装置50からメインコンピュータ41の再起動指示を受信したことに基づいてメインコンピュータ41を再起動させる処理を行うものなどとしてもよい。このようにすれば、メインコンピュータ41に不具合が生じた場合、管理者はストッカ10に出向くことなく、メインコンピュータ41を再起動させてリセットさせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、商品をストッカに配送する商品流通システムの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ストッカシステム、5 通信ネットワーク、10 ストッカ、20 納品庫、24 錠装置、26 開閉センサ、28 物品センサ、30 制御ユニット、34 操作表示パネル、36 読取器、38 カメラモジュール、41 メインコンピュータ、43 ルータ、43a 温度センサ、45 サブコンピュータ、47 有線LAN、50 管理装置、52 表示部、54 入力部。
図1
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図8