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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】油圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/10 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
B60K17/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018072648
(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公開番号】P2019182070
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508150337
【氏名又は名称】イワフジ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勇
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-76657(JP,U)
【文献】特開平11-218073(JP,A)
【文献】特開平10-257815(JP,A)
【文献】特開2001-165102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された圧油のエネルギーを回転動力へ変換し、この回転動力により回転軸線に沿って回転する出力軸を備えた本体部と、
前記本体部の前記出力軸の延伸方向に配置されるとともに、前記本体部に前記圧油を供給する油路を有する油圧ブロックと、
前記油圧ブロックに少なくとも一部が配置され、前記出力軸の回転を検出する回転センサと、を備え
前記出力軸の前記延伸方向に関し、前記本体部は前記油圧ブロックの一方側に配置され、前記回転センサは前記油圧ブロックの他方側に配置され、
前記油圧ブロックの前記他方側の端部は凹部を有し、
前記回転センサの少なくとも一部は前記凹部に配置される、油圧駆動装置。
【請求項2】
前記回転センサは、回転部と、当該回転部の回転速度を測定する検出部とを有し、
前記回転部は、前記出力軸に連結され、前記出力軸とともに軸回転し、
前記回転センサは、前記検出部に前記回転部の回転速度を測定させることで、前記出力軸の回転速度を計測する請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項3】
前記出力軸に対する前記回転部の連結部は、前記油圧ブロックの凹部に配置される請求項に記載の油圧駆動装置。
【請求項4】
少なくとも一部が前記油圧ブロックの凹部に配置され、前記油圧ブロックに固定される介在部材を更に備え、
前記検出部は、前記介在部材を介して前記油圧ブロックに対して固定される請求項又はに記載の油圧駆動装置。
【請求項5】
前記出力軸は、相互に連結した第1連結軸及び第2連結軸を有し、
前記第2連結軸は、前記第1連結軸よりも前記本体部から離間して配置され、
前記回転部は、前記第2連結軸に連結される請求項のいずれか一項に記載の油圧駆動装置。
【請求項6】
前記出力軸の一方の端部は前記油圧ブロックの凹部に配置される請求項1~のいずれか一項に記載の油圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧駆動装置に係り、特にモータ出力軸の回転速度を計測することができる回転センサを備える油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用機械等の走行駆動装置として、油圧モータの回転速度(すなわち回転数)を検出する回転センサを備えた油圧駆動装置が知られている。
【0003】
特許文献1は、草刈機の車速検出装置を開示する。この車速検出装置では、油圧モータの出力軸の一端側に、出力軸の回転を検出する回転検出機構が設けられている。出力軸に連結された回転軸は、油圧ブロックを貫通して設けられている。回転軸のうち油圧ブロックから突出した部分には、回転検出機構の検出用ギアが取り付けられている。油圧ブロックのうち油圧モータが設けられる側と反対側には、カバーケースを介して電磁ピックアップ機構が取り付けられている。この電磁ピックアップ機構によって、出力軸及び回転軸と一体的に回転する検出用ギアの回転が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-257815号公報
【文献】特開2015-215006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油圧駆動装置においてモータ出力軸の回転速度を検出する回転センサを設置する場合、駆動装置全体の軸方向長さが長くならないようにすることが、装置設計上重要である。
【0006】
しかしながら上述の特許文献1の車速検出装置では、回転検出機構の検出用ギア及び電磁ピックアップ機構が、軸方向に関して油圧ブロックから大きく突出するように、油圧ブロックの側面に取り付けられている。そのため、駆動装置全体として軸方向長さが長くなってしまう。
【0007】
なお、油圧モータに作動油を供給するための油路が形成された油圧ブロックは、軸方向に関して油圧モータに隣接するように設ける必要がある。また、油圧ブロックの径方向側の側面には様々な配管及び弁が接続される。そのため、装置構成上、軸方向に関して油圧モータとは反対側の油圧ブロックの側面部に回転センサを設けることが好ましい。
【0008】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、軸方向の長さが長くならないように構成された油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、供給された圧油のエネルギーを回転動力へ変換し、この回転動力により回転軸線に沿って回転する出力軸を備えた本体部と、本体部の出力軸の延伸方向に配置されるとともに、本体部に圧油を供給する油路を有する油圧ブロックと、油圧ブロックに少なくとも一部が配置され、出力軸の回転を検出する回転センサと、を備える油圧駆動装置に関する。
【0010】
出力軸の延伸方向に関し、本体部は油圧ブロックの一方側に配置され、回転センサは油圧ブロックの他方側に配置され、油圧ブロックの他方側の端部は凹部を有し、回転センサの少なくとも一部は凹部に配置されてもよい。
【0011】
回転センサは、回転部と、当該回転部の回転速度を測定する検出部とを有し、回転部は、出力軸に連結され、出力軸とともに軸回転し、回転センサは、検出部に回転部の回転速度を測定させることで、出力軸の回転速度を計測してもよい。
【0012】
出力軸に対する回転部の連結部は、油圧ブロックの凹部に配置されてもよい。
【0013】
油圧駆動装置は、少なくとも一部が油圧ブロックの凹部に配置され、油圧ブロックに固定される介在部材を更に備え、検出部は、介在部材を介して油圧ブロックに対して固定されてもよい。
【0014】
出力軸は、相互に連結した第1連結軸及び第2連結軸を有し、第2連結軸は、第1連結軸よりも本体部から離間して配置され、回転部は、第2連結軸に連結されてもよい。
【0015】
出力軸の一方の端部は油圧ブロックの凹部に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、軸方向の長さが長くならないように構成された油圧駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、油圧駆動装置の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示す油圧ブロックのうち回転センサが配置される側の端部の一部の内部構成を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、油圧駆動装置10の一例を示す図である。なお理解を容易にするため、図1には、本体ケース41及び回転ケース42の外観状態が示されるとともに、油圧ブロック20内の装置構成が図示されている。
【0020】
油圧駆動装置10は、油圧モータ12、油圧ブロック20及び回転センサ30を備える。すなわち油圧駆動装置10は、供給された圧油のエネルギーを回転動力へ変換し、この回転動力により回転軸線Axに沿って回転する出力軸14を備えた本体部13と、本体部13の出力軸14の延伸方向に配置されるとともに、本体部13に圧油を供給する油路21を有する油圧ブロック20と、油圧ブロック20に少なくとも一部が配置され、出力軸14の回転を検出する回転センサ30と、を備える。
【0021】
油圧モータ12は、図示しない油圧源から供給される作動油(すなわち圧油)により駆動され、回転出力を生み出す任意の構成を採用することができる。典型的には、歯車モータ、ベーンモータ或いはプランジャモータを油圧モータ12として使用することが可能である。本実施形態の油圧モータ12は、アキシャル型のプランジャモータによって構成され、特開平10-257815号公報が開示する油圧モータと同様の構成としうる。
【0022】
この油圧モータ12は、本体ケース41及び回転ケース42の各々の内側に配置された本体部13と、本体部13から回転軸線方向D1に突出して軸回転する出力軸14とを有する。本体部13は、供給された作動油のエネルギーを回転動力(すなわちトルク)へ変換する。すなわち本体部13は、作動油を受け入れて回転動力を生み出す。出力軸14は、回転軸線Axを中心に軸回転し、本体部13から伝達される回転動力を出力する。
【0023】
油圧モータ12の本体部13は、回転軸線Axが延びる方向である回転軸線方向D1(すなわち出力軸14の延伸方向)に関し、油圧ブロック20の一方側S1(図1の右側)に配置される。回転センサ30は、回転軸線方向D1に関し、油圧ブロック20の他方側S2(図1の左側)に配置される。油圧モータ12の本体部13の全体は本体ケース41及び回転ケース42の内側に配置されており、図1には本体部13の一部のみが図示されている。
【0024】
油圧モータ12の出力軸14は、第1連結軸15及び第2連結軸16を有する。第1連結軸15及び第2連結軸16は、相互に連結し、回転軸線Axを中心に一体的に軸回転する。第2連結軸16は、第1連結軸15よりも油圧モータ12の本体部13から離間して配置されており、油圧ブロック20を貫通するように設けられている。
【0025】
なお、油圧モータ12は、図1に示す出力軸14(以下「第1の出力軸」とも称する)とは異なる出力軸(以下「第2の出力軸」とも称する;図示省略)を更に有する。この第2の出力軸は、回転ケース42の内側に配置されている。第1の出力軸及び第2の出力軸は、共に回転軸線方向D1へ延在し、相互に連結され、共通の回転軸線Axを中心に一体的に軸回転可能に設けられている。ただし、第1の出力軸及び第2の出力軸は、回転軸線方向D1に関して相互に反対の方向に向かって本体部13から突出しており、第1の出力軸(すなわち出力軸14)は図1の左側に向かって本体部13から突出するのに対し、第2の出力軸は図1の右側に向かって本体部13から突出している。第2の出力軸の回転出力は、回転ケース42内に設けられる減速機(図示省略)を介して回転ケース42に伝えられる。これにより、回転ケース42は回転軸線Axを中心に軸回転する。回転ケース42は外部連結部42aにおいてスプロケット(図示省略)により無限軌道のクローラに連結され、当該クローラは回転ケース42の軸回転によって回転駆動される。ただし、油圧モータ12は、上述の第1の出力軸及び第2の出力軸の代わりに、単一の出力軸を備えていてもよい。
【0026】
本体ケース41は、外部連結部41aを介して走行機の枠組み等の固定部材(例えばトラックフレーム)に連結され、回転ケース42とは分離して設けられており、軸回転しない。この本体ケース41には油圧モータ12の本体部13及び油圧ブロック20が連結されており、本体ケース41は、油圧モータ12の本体部13及び油圧ブロック20を固定的に支持する。
【0027】
油圧ブロック20には、油圧モータ12に接続される複数の油路21が形成されている。これらの油路21には、油圧モータ12の駆動のための作動油が流される。すなわち、油圧ブロック20に形成された油路21を介し、油圧モータ12の本体部13に作動油が供給され、また当該本体部13から作動油が排出される。このように、油圧源(図示省略)からの作動油を油圧モータ12に供給するための油路21や油圧モータ12からの作動油を排出するための油路21が、油圧ブロック20に形成されている。なお油圧ブロック20の径方向D2の側面には作動油の供給及び排出を行うための配管62が適宜接続され、また油圧ブロック20内の油路21には、必要に応じて、作動油の流れを制御及び遮断するための要素(典型的にはリリーフ弁やシャトル弁等の弁体)が配置される。なお図1に示す油圧駆動装置10では、油圧ブロック20の径方向D2の側面に対して配管62が継手部材61(例えばスプリットフランジ金具(特許文献2参照)等)を介して固定されており、配管62と油路21との間における比較的高圧の作動油の供給及び排出が適切に行われる。また例えば、図1において符号「21a」で示される油路にリリーフ弁(図示省略)を配置してもよいし、符号「21b」で示される油路にシャトル弁(図示省略)を配置してもよい。このように油路21において各種の弁等の要素を配置することによって、油路21における作動油の圧力を調整したり、油路21における作動油の流れを調整したりすることができる。
【0028】
回転センサ30は、出力軸14の回転速度を計測する。上述のように、出力軸14の回転は油圧駆動装置10(本実施形態では回転ケース42)に連結されるクローラの回転と連動している。そのため、回転センサ30は、出力軸14の回転速度を計測することによって、クローラの回転速度を検知することができ、当該クローラを具備する作業用機械等の走行機の走行速度の計測センサとして機能する。本実施形態の回転センサ30の少なくとも一部は、油圧ブロック20の他方側(図1の左側)の端部に設けられた凹部に配置されている。
【0029】
図2は、図1に示す油圧ブロック20のうち回転センサ30が配置される側の端部の一部の内部構成を拡大して示す図である。
【0030】
回転センサ30は、回転部32と、当該回転部32の回転速度を測定する検出部31とを有する。回転部32は、第2連結軸16(出力軸14)に連結され、第2連結軸16とともに軸回転する。検出部31は、配線部55を介してコントローラ(図示省略)に接続されており、測定結果をコントローラに送信する。なお、検出部31による回転部32の回転速度の測定手法は特に限定されない。例えば特開平10-257815号公報に記載のように、回転部32の外周面に形成された複数の歯部を電磁ピックアップ機構によって構成される検出部31によって順次検出することによって、回転部32の回転速度を測定することが可能である。回転センサ30は、検出部31に回転部32の回転速度を測定させることで、第2連結軸16(出力軸14)の回転速度を計測する。
【0031】
回転部32及び検出部31は、回転軸線方向D1に並んで配置されている。回転部32は油圧ブロック20に形成された凹部22に配置され、検出部31は当該凹部22から回転軸線方向D1に突出するように設けられている。
【0032】
すなわち、油圧ブロック20の他方側(図2の左側)の端部は凹部22を有する。この凹部22は、油圧ブロック20の他方側端部の一部が他方側から一方側(すなわち図2の左側から右側)に向かって窪むことで形成されており、円柱状のスペースによって凹部22が構成されている。図示の凹部22は、第2連結軸16が延在する油圧ブロック20の貫通孔45に連通するようにして設けられており、凹部22の中心を回転軸線Axが通過する。回転軸線Axと垂直な方向である径方向D2に関し、凹部22は貫通孔45よりも大きい。ただし、凹部22の径方向D2の大きさは特に限定されない。凹部22の径方向D2の大きさは、貫通孔45の径方向D2の大きさと同じであってもよいし、貫通孔45の径方向D2の大きさよりも大きくてもよい。
【0033】
なお検出部31及び回転部32の両者又は回転部32は、図1に示す継手部材61と、径方向D2に関する投影が、少なくとも部分的に重なるように配置されることが好ましい。この場合、油圧駆動装置10(特に油圧ブロック20)の回転軸線方向D1の長さを抑えることができる。
【0034】
図2に示す油圧駆動装置10の凹部22には、回転部32の他に、リング部材40、ベアリング50及び第2連結軸16の一方の端部が配置されている。
【0035】
すなわち、第2連結軸16は、貫通孔45及び凹部22にわたって延在し、ベアリング50によって軸回転可能に保持されている。凹部22に配置される第2連結軸16の一方の端部は、ネジ等の第3固定具53を介し、回転部32のセンサ連結部33に連結されている。このように、第2連結軸16(出力軸14)と回転部32とを連結するための回転部32の連結部33は、凹部22内に配置されている。
【0036】
リング部材40は、環状の介在部材であり、径方向D2に関して回転部32を取り囲むように配置され、検出部31を油圧ブロック20に対して固定するための中間部材を構成する。図2に示すリング部材40は、第1固定具51によって検出部31が固定されるとともに、第2固定具52によって油圧ブロック20に固定されている。すなわち、検出部31のうち径方向D2に突出する環状のフランジ部分が、回転軸線方向D1に延在する第1固定具51によって、リング部材40に固定されている。また、回転軸線方向D1に延在する第2固定具52によって、リング部材40が油圧ブロック20に固定されている。これにより、検出部31は、リング部材40を介して油圧ブロック20に固定される。
【0037】
なお図2に示す油圧駆動装置10では、検出部31の配置調整に、第2連結軸16(すなわち出力軸14)を取り囲むようにして設けられるベアリング50の配置が利用されており、リング部材40を介して検出部31の配置を精度良く所望位置に調整することができる。すなわち、図2に示すリング部材40は、内側に配置される部材に応じて、回転軸線方向D1に関する異なる位置において複数の異なる内径を有する。具体的には、リング部材40のうち、ベアリング50が内側に配置される箇所(一方側S1の嵌合部;図2の符合「40a」参照)は、ベアリング50の外径とほぼ同じ内径を有し、内側に配置されるベアリング50と接触する。またリング部材40のうち、検出部31が内側に配置される箇所(他方側S2の嵌合部;図2の符合「40c」参照)は、内側に配置される検出部31の外径とほぼ同じ内径を有し、内側に配置される検出部31と接触する。またリング部材40のうち、回転部32が内側に配置される箇所(図2の符合「40b」参照)は、回転部32の外径よりも大きい内径を有し、回転部32の回転を阻害しないように回転部32から離されて設けられている。これにより、ベアリング50が配置される箇所40aと検出部31が配置される箇所40cとの間の相対的な位置関係を、リング部材40を介して精度良く調整でき、検出部31及び回転部32の芯を、簡単且つ高精度に、回転軸線Axに合わせることができる。なお、リング部材40の上述の複数の内径を形成するための孔部は予め定められた条件下で一度に形成されることが好ましく、上述の各箇所40a、40b、40cを同時に加工して、各箇所40a、40b、40c間で所望の相対位置関係が保たれることが好ましい。
【0038】
本実施形態のリング部材40は、油圧ブロック20に対して着脱可能に設けられている。リング部材40が油圧ブロック20に取り付けられていない場合には、回転部32の径方向D2外側に空間が形成される。当該空間を利用することで、第3固定具53を使った回転部32(すなわちセンサ連結部33)及び第2連結軸16(すなわち出力軸14)の連結の作業を容易に行うことができる。
【0039】
なおリング部材40の形状や大きさは特に限定されない。ただしリング部材40は、第2連結軸16及び回転部32の軸回転を阻害せず、且つ、検出部31及び油圧ブロック20に連結される形状及びサイズを有する。したがってリング部材40は、凹部22において、径方向D2に関し、第2連結軸16及び回転部32よりも外側に配置され、第2連結軸16及び回転部32から離間して設けられることが好ましい。また回転軸線方向D1に関する検出部31の投影像とリング部材40の投影像とが、少なくとも一部で重なることが好ましい。また回転軸線方向D1に関するリング部材40の投影像と油圧ブロック20の投影像とが、少なくとも一部で重なることが好ましい。
【0040】
また上述の第1固定具51、第2固定具52及び第3固定具53の具体的な構成も特に限定されないが、典型的にはネジによって構成可能である。また第1固定具51、第2固定具52及び第3固定具53の各々の設置数及び設置位置も特に限定されない。
【0041】
以上説明したように本実施形態の油圧駆動装置10によれば、油圧ブロック20の凹部22に回転センサ30の少なくとも一部が配置されるため、油圧駆動装置10全体の回転軸線方向D1の長さを低減することができる。なお図1及び図2に示す油圧駆動装置10では、検出部31及び回転部32の一部が凹部22内に配置されているが、検出部31及び回転部32の一方又は両方の全部が凹部22内に配置されてもよい。凹部22における検出部31及び回転部32の配置割合を大きくすることで、油圧ブロック20からの回転センサ30の突出量を抑えることができる。
【0042】
またリング部材40を設置することによって、検出部31を油圧ブロック20に対して直接的に固定することが難しい場合であっても、リング部材40を介して検出部31を油圧ブロック20に適切に固定することができる。このようなリング部材40(介在部材)を用いることによって、既存の油圧駆動装置10に対する回転センサ30の適用が簡単になり、駆動装置全体の回転軸線方向D1の長さを抑えることもできる。またリング部材40を利用することによって、例えば予め形状及びサイズが決められている市販の回転センサ(すなわち検出部及び回転部)を本実施形態の油圧駆動装置10に用いることができ、製造コストを抑えることができるだけではなく、様々なタイプの回転センサを油圧駆動装置10に適用することが可能になる。
【0043】
なお図1及び図2に示す油圧駆動装置10では、リング部材40の全部が凹部22内に配置されているが、リング部材40の一部のみが凹部22内に配置されていてもよい。また図1及び図2では環状のリング部材40が検出部31と油圧ブロック20との間の介在部材として設けられているが、環状以外の形状を持つ部材が当該介在部材として設けられていてもよい。
【0044】
本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形が加えられた各種態様も含みうるものであり、本発明によって奏される効果も上述の事項に限定されない。したがって、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲及び明細書に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0045】
例えば、上述の図1及び図2に示す油圧駆動装置10では、第1固定具51、第2固定具52及び検出部31の各々の一部が、油圧ブロック20の他方側端部(図1及び図2の左側端部)から突出しているが、これらの部材の全てを凹部22に配置してもよい。その場合、油圧ブロック20の他方側端部からの出っ張りを小さくすることができる。また検出部31から延びる配線部55を、油圧ブロック20の他方側端部から突出しないように配置することで、油圧ブロック20の他方側端部からの出っ張りを低減又はなくすことができる。例えば、油圧ブロック20の他方側端面に溝部(すなわち上述の凹部22とは別個の凹部)を形成し、或いは油圧ブロック20の他方側端部に孔部を形成し、この溝部又は孔部に配線部55を配置することで、配線部55を、油圧ブロック20の他方側端部から突出しないように配置することができる。
【0046】
また図1及び図2に示す油圧駆動装置10ではリング部材40が設けられているが、検出部31が、油圧ブロック20に対して直接的に連結可能な形状及びサイズを有する場合には、リング部材40が設けられなくてもよい。
【0047】
なお油圧駆動装置10は、上述の実施形態以外の構成を採用してもよい。例えば、本体部13、出力軸14、油路21、油圧ブロック20及び回転センサ30の配置、形状及び構成要素は特に限定されない。また、出力軸14の回転を検出する回転センサ30が計測する具体的な対象も限定されない。
【符号の説明】
【0048】
10 油圧駆動装置
12 油圧モータ
13 本体部
14 出力軸
15 第1連結軸
16 第2連結軸
20 油圧ブロック
21 油路
22 凹部
30 回転センサ
31 検出部
32 回転部
33 センサ連結部
40 リング部材
41 本体ケース
41a 外部連結部
42 回転ケース
42a 外部連結部
45 貫通孔
50 ベアリング
51 第1固定具
52 第2固定具
53 第3固定具
55 配線部
61 継手部材
62 配管
Ax 回転軸線
D1 回転軸線方向
D2 径方向
S1 一方側
S2 他方側
図1
図2