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特許7128722胴部分割用ミシン目入り段ボール箱、および段ボール分割用のミシン目形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】胴部分割用ミシン目入り段ボール箱、および段ボール分割用のミシン目形成方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20220824BHJP
   B31F 1/24 20060101ALI20220824BHJP
   B31B 50/20 20170101ALI20220824BHJP
【FI】
B65D5/54 301L
B65D5/54 Z
B31F1/24 Z
B65D5/54 F
B31B50/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018204798
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2019094124
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2017221808
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】村上 達哉
(72)【発明者】
【氏名】山口 喬史
(72)【発明者】
【氏名】梶塚 孝士
(72)【発明者】
【氏名】大谷 昌義
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】張 政
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-150723(JP,U)
【文献】特開2016-094247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0054676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B31F 1/24
B31B 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(32)と、
前記底板(32)から上方に延びる筒状の胴部(31)とを有し、
前記胴部(31)は、胴部(31)の外周面を構成する表ライナ(1)と、胴部(31)の内周面を構成する裏ライナ(2)と、前記表ライナ(1)と前記裏ライナ(2)の間に挟まれた波形の中しん(3)とをもつ段ボールで形成され、
前記胴部(31)に、胴部(31)を上下に分割する胴部分割用のミシン目(23)が形成された段ボール箱において、
前記ミシン目(23)は、前記裏ライナ(2)側と前記表ライナ(1)側の間を貫通する多数の切れ目(26)が胴部(31)の周方向にまっすぐ直線状に並んで、ブランクの状態で段ボールの段目に垂直な方向にブランクの一端から他端まで縦断して延びる構成のものであり、
前記ミシン目(23)は、ミシン目(23)に沿った領域の段ボールの厚み(T)と、それ以外の領域での段ボールの最大厚みとの差が1mmを下回るように前記中しん(3)を潰さずに形成されている、
ことを特徴とする胴部分割用ミシン目入り段ボール箱。
【請求項2】
前記ミシン目(23)は、ミシン目(23)の延びる方向に沿った前記各切れ目(26)の表ライナ(1)側の長さ寸法(L)が、ミシン目(23)の延びる方向に沿った前記各切れ目(26)の裏ライナ(2)側の長さ寸法(L)よりも小さくなるように形成されている請求項1に記載の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱。
【請求項3】
前記ミシン目(23)は、ミシン目(23)の延びる方向に直交する方向に沿った前記各切れ目(26)の表ライナ(1)側の幅寸法(W)が、ミシン目(23)の延びる方向に直交する方向に沿った前記各切れ目(26)の裏ライナ(2)側の幅寸法(W)よりも小さくなるように形成されている請求項1または2に記載の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱。
【請求項4】
段ボールを製造するコルゲートマシンにおいて、波形の中しん(3)と裏ライナ(2)とからなる片面段ボールに表ライナ(1)を貼り合わせることで、進行方向に途切れずに連続する段ボール(S)を形成するダブルフェーサ(40)と、
前記ダブルフェーサ(40)の下流側に配置され、前記段ボール(S)を進行方向に直交する方向に沿って切断して枚葉とするカットオフ(45)と、
前記ダブルフェーサ(40)よりも下流側かつ前記カットオフ(45)よりも上流側に配置され、半径方向外方に突出した形状の複数の刃部(68)が外周に一定間隔に設けられた円盤状のミシン目ナイフ(43)をもつミシン目形成装置(44)と、を使用し、
前記ミシン目ナイフ(43)で、前記裏ライナ(2)側と前記表ライナ(1)側の間を貫通する多数の切れ目(26)が進行方向、すなわち段ボールの段目に垂直な方向にまっすぐ直線状に並んだ構成の胴部分割用ミシン目(23)を、ミシン目(23)に沿った領域の段ボール(S)の厚み(T)と、それ以外の領域での段ボール(S)の最大厚みとの差が1mmを下回るように前記中しん(3)を潰さずに形成する、
段ボール分割用のミシン目形成方法。
【請求項5】
前記ミシン目ナイフ(43)として、前記裏ライナ(2)の側から前記段ボール(S)に切り込むように配置したものを使用する請求項4に記載の段ボール分割用のミシン目形成方法。
【請求項6】
前記ミシン目ナイフ(43)の外周の前記各刃部(68)には、半径方向外側の縁の切れ刃(69)と、回転方向前側の縁の切れ刃(70)と、回転方向後側の縁の切れ刃(71)とが形成されている請求項4または5に記載の段ボール分割用のミシン目形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、胴部分割用ミシン目入り段ボール箱、および段ボール分割用のミシン目形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、段ボール箱は、底板と、底板から上方に延びる筒状の胴部とを有する。ここで、段ボール箱の胴部に、胴部の周方向に延びるミシン目を形成し、そのミシン目に沿って段ボールを破断することで、胴部を上下に分割して開封することができるようにした段ボール箱が知られている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-254821号公報
【文献】特開2008-247476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の段ボール箱は、段ボールを構成する表ライナ、中しん、裏ライナのうち、裏ライナにのみミシン目が形成されている。このようなミシン目をもつ枚葉の段ボールは、一般に、まず、裏ライナにミシン目を形成し、次に、シングルフェーサで、裏ライナを波形の中しんに貼り合わせて片面段ボールを形成し、その後、ダブルフェーサで、片面段ボールに表ライナを貼り合わせて進行方向に途切れずに連続する両面段ボールを形成し、その後、カットオフで、両面段ボールを進行方向に直交する方向に沿って切断することで形成される。
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、裏ライナにのみミシン目を入れた段ボール箱では、次のような問題がある。すなわち、裏ライナのミシン目は、コルゲートマシンの最も上流部(シングルフェーサの上流側)で入れるので、コルゲートマシンを走行する段ボールの蛇行などにより、段ボール箱におけるミシン目の位置に誤差が生じやすいという問題がある。また、裏ライナにのみミシン目が形成され、表ライナと中しんにはミシン目が形成されていないので、ミシン目に沿って段ボールを破断するときに、破断位置がミシン目からずれやすく、箱の開封性が低いという問題もある。
【0006】
そこで、この問題を解消するために、特許文献2の段ボール箱が提案されている。特許文献2の段ボール箱は、胴部分割用のミシン目が、裏ライナ側から段ボールの厚みの途中まで切り込む半切部と、裏ライナ側から中しんを通って表ライナ側まで貫通する全切部とが交互に並ぶ構成とされている。このミシン目は、枚葉の段ボールに加工を施す製函工程で、特許文献2の図2のように、平坦板に刃物を植え付けた抜き型で枚葉の段ボールを挟み込むことで形成される。特許文献2の段ボール箱は、段ボールを枚葉にした後にミシン目を形成するので、ミシン目の位置に誤差が生じにくい。
【0007】
しかしながら、特許文献2のように、抜き型で枚葉の段ボールを挟み込むことでミシン目を形成するのでは、次のような問題がある。すなわち、抜き型で枚葉の段ボールを挟み込むことでミシン目を形成する場合、抜き型の刃物を枚葉の段ボールに切り込ませた後、抜き型から段ボールを分離させるために、特許文献2の図4のように、刃物に隣接してコルクを設ける必要があり、そのコルクの押圧によって、ミシン目の領域の段ボールの中しんが潰れ、箱の圧縮強度が低下するという問題がある。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、箱の開封性に優れ、かつ、箱の圧縮強度が高い胴部分割用ミシン目入り段ボール箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の発明者らは、段ボール箱の胴部分割用ミシン目を、裏ライナ側と表ライナ側の間を貫通する多数の切れ目からなるものとすることで箱の開封性を高めることを検討した。そして、そのようなミシン目を形成するに際し、進行方向に途切れずに連続する段ボールを形成するダブルフェーサと、段ボールを進行方向に直交する方向に沿って切断して枚葉とするカットオフとの間に配置した円盤状のミシン目ナイフを使用することで、箱の圧縮強度を低下させずに胴部分割用ミシン目を形成することが可能となるという知見を得た。
【0010】
かかる知見に基づき、本願では、上記課題を解決するための手段として、以下の構成の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱を提供する。
具体的には、底板と、
前記底板から上方に延びる筒状の胴部とを有し、
前記胴部は、胴部の外周面を構成する表ライナと、胴部の内周面を構成する裏ライナと、前記表ライナと前記裏ライナの間に挟まれた波形の中しんとをもつ段ボールで形成され、
前記胴部に、胴部を上下に分割する胴部分割用のミシン目が形成された段ボール箱において、
前記ミシン目は、前記裏ライナ側と前記表ライナ側の間を貫通する多数の切れ目が胴部の周方向にまっすぐ直線状に並んだ構成のものであり、
前記ミシン目は、ミシン目に沿った領域の段ボールの厚みと、それ以外の領域での段ボールの最大厚みとの差が1mmを下回るように前記中しんを潰さずに形成されている、
ことを特徴とする胴部分割用ミシン目入り段ボール箱を提供する。
【0011】
このようにすると、裏ライナ側と表ライナ側の間を貫通する多数の切れ目からなるミシン目を採用しているので、ミシン目に沿って段ボールを破断するときに、破断位置がミシン目からずれにくく、箱の開封性に優れる。また、胴部分割用のミシン目に沿った領域の段ボールの厚みと、それ以外の領域での段ボールの最大厚みとの差が1mmを下回るように中しんを潰さずに形成されているので、箱の圧縮強度が高い。
【0012】
前記ミシン目は、ミシン目の延びる方向に沿った前記各切れ目の表ライナ側の長さ寸法が、ミシン目の延びる方向に沿った前記各切れ目の裏ライナ側の長さ寸法よりも小さくなるように形成すると好ましい。
【0013】
このようにすると、胴部の内周面を構成する裏ライナの側よりも、胴部の外周面を構成する表ライナの側で、ミシン目を構成する各切れ目の長さが短いので、外部からの衝撃等により隣り合う切れ目の間のつなぎ部分が破れるのを防止することができる。
【0014】
また、前記ミシン目は、ミシン目の延びる方向に直交する方向に沿った前記各切れ目の表ライナ側の幅寸法が、ミシン目の延びる方向に直交する方向に沿った前記各切れ目の裏ライナ側の幅寸法よりも小さくなるように形成すると好ましい。
【0015】
このようにすると、胴部の内周面を構成する裏ライナの側よりも、胴部の外周面を構成する表ライナの側で、ミシン目を構成する各切れ目の幅寸法が小さいので、外部からの衝撃等により隣り合う切れ目の間のつなぎ部分が破れるのを防止することができる。
【0016】
またこの発明では、上記の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱の製造に好適な段ボール分割用のミシン目形成方法として、以下の構成のミシン目形成方法を提供する。
具体的には、波形の中しんと裏ライナとからなる片面段ボールに表ライナを貼り合わせることで、進行方向に途切れずに連続する段ボールを形成するダブルフェーサと、
前記ダブルフェーサの下流側に配置され、前記段ボールを進行方向に直交する方向に沿って切断して枚葉とするカットオフと、
前記ダブルフェーサよりも下流側かつ前記カットオフよりも上流側に配置され、半径方向外方に突出した形状の複数の刃部が外周に一定間隔に設けられた円盤状のミシン目ナイフをもつミシン目形成装置と、を使用し、
前記ミシン目ナイフは、前記裏ライナ側と前記表ライナ側の間を貫通する多数の切れ目が進行方向にまっすぐ直線状に並んだ構成の段ボール分割用ミシン目を、ミシン目に沿った領域の段ボールの厚みと、それ以外の領域での段ボールの最大厚みとの差が1mmを下回るように前記中しんを潰さずに形成する、
段ボール分割用のミシン目形成方法を提供する。
【0017】
このようにすると、進行方向に途切れずに連続する段ボール(すなわちカットオフで枚葉とされる前の段ボール)に、円盤状のミシン目ナイフでミシン目を形成するので、段ボールの中しんを潰さずに、裏ライナ側と表ライナ側の間を貫通する多数の切れ目からなる段ボール分割用ミシン目を形成することが可能となる。
【0018】
前記ミシン目ナイフとして、前記裏ライナの側から前記段ボールに切り込むように配置したものを使用すると好ましい。
【0019】
このようにすると、ミシン目の延びる方向に沿った各切れ目の表ライナ側の長さ寸法が、ミシン目の延びる方向に沿った各切れ目の裏ライナ側の長さ寸法よりも小さいミシン目や、ミシン目の延びる方向に直交する方向に沿った各切れ目の表ライナ側の幅寸法が、ミシン目の延びる方向に直交する方向に沿った各切れ目の裏ライナ側の幅寸法よりも小さいミシン目を形成することができる。
【0020】
前記ミシン目ナイフの外周の前記各刃部に、半径方向外側の縁の切れ刃と、回転方向前側の縁の切れ刃と、回転方向後側の縁の切れ刃とを形成すると好ましい。
【0021】
このようにすると、各刃部の回転方向前側の縁に形成された切れ刃によって、ミシン目ナイフの各刃部が段ボールに切り込むときの抵抗を効果的に減らすことができるので、ミシン目ナイフの各刃部が段ボールに切り込むときの抵抗で、段ボールの中しんが潰れるのを効果的に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱は、裏ライナ側と表ライナ側の間を貫通する多数の切れ目からなるミシン目を採用しているので、ミシン目に沿って段ボールを破断するときに、破断位置がミシン目からずれにくく、箱の開封性に優れる。また、胴部分割用のミシン目に沿った領域の段ボールの厚みと、それ以外の領域での段ボールの最大厚みとの差が1mmを下回るように中しんを潰さずに形成されているので、箱の圧縮強度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の第1実施形態の段ボール箱のブランクを表ライナの側から見た図
図2】(A)は図1に示すブランクのミシン目の近傍を裏ライナ側から見た拡大図であり、(B)の左側面図に対応する図、(B)は図1のIIB-IIB線に沿った拡大断面図、(C)は図1に示すブランクのミシン目の近傍を表ライナ側から見た拡大図であり、(B)の右側面図に対応する図
図3図1に示すブランクのミシン目に沿った拡大断面図
図4図1に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱を示す斜視図
図5図4に示す段ボール箱の胴部をミシン目に沿って破断して上下に分割した状態を示す斜視図
図6図4に示す段ボール箱を製造するコルゲートマシンのダブルフェーサ以降の部分を模式的に示す図
図7図6のミシン目形成装置の近傍を示す拡大断面図
図8図7に示すミシン目形成装置のミシン目ナイフの近傍の拡大断面図
図9図8に示すミシン目ナイフの刃部の拡大図
図10図9のX-X線に沿った断面図
図11】(a)は、図9のミシン目ナイフでミシン目を形成した段ボールのサンプルを、ミシン目の隣り合う切れ目の間のつなぎ部分の位置で切断した断面を撮影した写真、(b)は、図9のミシン目ナイフでミシン目を形成した段ボールのサンプルを、ミシン目を構成する切れ目の位置で切断した断面を撮影した写真
図12】(a)は、抜き型で枚葉の段ボールを挟み込むことでミシン目を形成した段ボールのサンプルを、ミシン目の隣り合う切れ目の間のつなぎ部分の位置で切断した断面を撮影した写真、(b)は、抜き型で枚葉の段ボールを挟み込むことでミシン目を形成した段ボールのサンプルを、ミシン目を構成する切れ目の位置で切断した断面を撮影した写真
図13図9図10に示すミシン目ナイフで段ボールに形成したミシン目を裏ライナの側から撮影した写真
図14】ミシン目ナイフの外周の各刃部の回転方向前後の縁に切れ刃をもたないミシン目ナイフで段ボールに形成したミシン目を裏ライナの側から撮影した写真
図15】平板に刃物を植え付けた抜き型で段ボールを挟み込むことで形成したミシン目を裏ライナの側から撮影した写真
図16】この発明の第2実施形態の段ボール箱のブランクを表ライナの側から見た図
図17図16に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱の開封状態の一例を示す斜視図
図18】この発明の第3実施形態の段ボール箱のブランクを表ライナの側から見た図
図19図18に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱の開封状態の一例を示す斜視図
図20】この発明の第4実施形態の段ボール箱のブランクを表ライナの側から見た図
図21図20に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱の開封状態の一例を示す斜視図
図22】この発明の第5実施形態の段ボール箱のブランクを表ライナの側から見た図
図23図22に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱の開封状態の一例を示す斜視図
図24】この発明の第6実施形態の段ボール箱のブランクを表ライナの側から見た図
図25図24に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱を示す斜視図
図26図25に示す段ボール箱の開封状態の一例を示す斜視図
図27】この発明の第7実施形態の段ボール箱のブランクを表ライナの側から見た図
図28図27に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱の開封状態の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に、この発明の第1実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱のブランクを示す。ブランクは、表ライナ1と、裏ライナ2と、表ライナ1と裏ライナ2の間に挟まれた波形の中しん3とをもつ段ボールで形成されている。このブランクは、罫線4を介して順に連設された方形の側板5,6,7,8を有する。罫線4は、段ボールの段目に平行な方向に延びている。端に位置する側板8の側縁には、罫線9を介して継ぎ代10が連設されている。側板5,6,7,8は、図4に示すように、段ボール箱30を組み立てたときに胴部31を構成する部分であり、このとき、表ライナ1は、段ボール箱30の胴部31の外周面を構成し、裏ライナ2は、段ボール箱30の胴部31の内周面を構成する。
【0025】
図1に示すように、各側板5,6,7,8の上縁には、それぞれ罫線11を介して上フラップ12,13,14,15が連設されている。罫線11は、段ボールの段目に垂直な方向に延びている。隣り合う上フラップ12,13,14,15の間には段目に平行な切り込み溝16が設けられ、この切り込み溝16を介して上フラップ12,13,14,15同士が切り離された状態となっている。
【0026】
各側板5,6,7,8の下縁には、それぞれ罫線17を介して下フラップ18,19,20,21が連設されている。罫線17は、段ボールの段目に垂直な方向に延びている。隣り合う下フラップ18,19,20,21の間には段目に平行な切り込み溝22が設けられ、この切り込み溝22を介して下フラップ18,19,20,21同士が切り離された状態となっている。
【0027】
ブランクには、段ボールの段目に垂直な方向にブランクを縦断して延びるミシン目23が形成されている。ミシン目23は、各側板5,6,7,8および継ぎ代10を上下に分割するように、各側板5,6,7,8および継ぎ代10を通過している。ミシン目23は、図5に示すように、段ボール箱30を組み立てたときに、ミシン目23に沿って段ボールを破断することで、胴部31を上下に分割するための胴部分割用ミシン目である。
【0028】
図1に示すように、側板5には、ミシン目23に対して間隔をおいた位置をミシン目23と平行に延びる折目線24と、その折目線24の両端とミシン目23との間を接続するように延びる一対の破断線25とが形成されている。他の側板6,7,8にも、同様の折目線24と破断線25とが形成されている。
【0029】
図2(A),(B),(C)に示すように、ミシン目23は、裏ライナ2の側と表ライナ1の側の間を貫通する多数の切れ目26が、まっすぐ直線状に並んだ構成とされている。各切れ目26は、段ボールの段目に垂直な方向に直線状に延びるスリット状に形成され、これらの切れ目26が、段ボールの段目に垂直な一直線上に並ぶように配置されている。
【0030】
図3に示すように、ミシン目23は、ミシン目23の延びる方向に沿った各切れ目26の表ライナ1の側の長さ寸法Lが、ミシン目23の延びる方向に沿った各切れ目26の裏ライナ2の側の長さ寸法Lよりも小さくなるように形成されている。表ライナ1の側の隣り合う切れ目26の間のつなぎ部分の長さLは、2.5mm以上4.5mm以下(好ましくは3.0mm以上、4.0mm以下)とされている。また、裏ライナ2の側の隣り合う切れ目26の間のつなぎ部分の長さLは、2mm以上4mm以下(好ましくは2.5mm以上、3.5mm以下)とされている。
【0031】
ミシン目23は、ミシン目23に沿った領域の段ボールの厚みT(図2(B)参照)と、それ以外の領域での段ボールの最大厚み(例えば、図1に示す側板5の罫線11とミシン目23との中間部分における段ボールの厚み)との差が1mmを下回るように、中しん3(図3参照)を潰さずに形成されている。
【0032】
図2(A),(C)に示すように、ミシン目23は、ミシン目23の延びる方向に直交する方向に沿った各切れ目26の表ライナ1の側の幅寸法Wが、ミシン目23の延びる方向に直交する方向に沿った各切れ目26の裏ライナ2の側の幅寸法Wよりも小さくなるように形成されている。
【0033】
図1に示すブランクは、例えば、以下のようにして組み立てることができる。
【0034】
側板5,6,7,8を罫線4に沿って裏ライナ2が内側になるように筒状に折り曲げ、一端の側板8に連設された継ぎ代10を他端の側板5の内面に接着し、それらの側板5,6,7,8で胴部31(図4参照)を形成する。次に、側板5,7の下端に連設された下フラップ18,20を、罫線17に沿って胴部31の内側に折り曲げ、続いて側板6,8の下端に連設された下フラップ19,21を罫線17に沿って胴部31の内側に折り曲げ、それらの下フラップ18,19,20,21で胴部31の下端開口を閉じる底板32(図4参照)を形成し、商品33(図5参照)を箱詰めする。その後、側板5,7の上端に連設された上フラップ12,14を罫線11に沿って胴部31の内側に折り曲げ、続いて側板6,8の上端に連設された上フラップ13,15を罫線11に沿って胴部31の内側に折り曲げ、それらの上フラップ12,13,14,15で胴部31の上端開口を閉じる天板34(図4参照)を形成する。このとき、天板34の下方に底板32が対向し、その天板34と底板32の間が筒状の胴部31で接続され、その胴部31に胴部分割用のミシン目23が形成された状態となる。ミシン目23を構成する各切れ目26は、胴部31の周方向にまっすぐ直線状に並んで配置されている。
【0035】
この段ボール箱30は、図5に示すように、ミシン目23に沿って段ボールを破断し、段ボール箱30の胴部31を上下に分割することで開封することができる。このとき、破断線25を破断し、破断線25と折目線24とミシン目23とで囲まれる部分に指を入れ、胴部31のミシン目23よりも上側部分を上方に引き上げるようにすると、胴部31の分割を円滑に行なうことができる。
【0036】
上述のように、この段ボール箱30は、裏ライナ2側と表ライナ1側の間を貫通する多数の切れ目26が胴部31の周方向にまっすぐ直線状に並んだ構成のミシン目23を採用しているので、ミシン目23に沿って段ボールを破断するときに、破断位置がミシン目23からずれにくく、箱の開封性に優れる。また、胴部分割用のミシン目23に沿った領域の段ボールの厚みTと、それ以外の領域での段ボールの最大厚みとの差が1mmを下回るように中しん3を潰さずに形成されているので、箱の圧縮強度が高い。
【0037】
また、この段ボール箱30は、胴部31の内周面を構成する裏ライナ2の側よりも、胴部31の外周面を構成する表ライナ1の側で、ミシン目23を構成する各切れ目26の長さが短いので、外部からの衝撃等により隣り合う切れ目26の間のつなぎ部分が破れるのを防止することができる。
【0038】
また、この段ボール箱30は、胴部31の内周面を構成する裏ライナ2の側よりも、胴部31の外周面を構成する表ライナ1の側で、ミシン目23を構成する各切れ目26の幅寸法が小さいので、外部からの衝撃等により隣り合う切れ目26の間のつなぎ部分が破れるのを防止することができる。
【0039】
次に、上記実施形態の段ボール箱30の製造に好適な段ボール分割用のミシン目形成方法を説明する。
【0040】
図6は、段ボールを製造するコルゲートマシンのダブルフェーサ以降の部分を模式的に示す図である。コルゲートマシンは、上流側から下流側に向かって順に、裏ライナ2を波形の中しん3に貼り合わせて片面段ボールを形成するシングルフェーサ(図示せず)、片面段ボールに表ライナ1を貼り合わせて進行方向に途切れずに連続する両面段ボールSを形成するダブルフェーサ40、進行方向に途切れずに連続する両面段ボールSを進行方向(すなわち段目に直角な方向)に沿って複数条に切断するスリッタナイフ41をもつスリッタスコアラ42、円盤状のミシン目ナイフ43をもつミシン目形成装置44、段ボールSを進行方向に直交する方向に沿って切断して枚葉とするカットオフ45、カットオフ45で枚葉とされた段ボールSを積み上げてシート山にするシートスタッカ46を有する。ミシン目形成装置44は、ダブルフェーサ40よりも下流側(この実施形態ではスリッタスコアラ42の下流側)かつカットオフ45よりも上流側に配置されている。このコルゲートマシンにおいて、段ボールSは、表ライナ1が下側、裏ライナ2が上側となる向きで走行する。
【0041】
図7に示すように、スリッタスコアラ42は、段ボールSの上下に配置された回転軸47,48と、上側の回転軸47に固定されたナイフ受け49と、下側の回転軸48に固定されたスリッタナイフ41と、回転軸47,48と平行に配置された上下の回転軸50,51と、上側の回転軸50に固定された罫線リング52と、下側の回転軸51に固定された罫線リング53とを有する。スリッタナイフ41の外周には全周にわたって円周方向に連続する切れ刃が形成されている。上下の罫線リング52,53は、段ボールSを挟み込むことで、段ボールの段目に垂直な方向の罫線11,17(図1参照)を形成する。
【0042】
スリッタスコアラ42は、上側の回転軸47,50と下側の回転軸48,51とを支持するフレーム54と、床面Fに固定されたベース部材55と、フレーム54とベース部材55の間に設けられたリニヤガイド56とを有する。リニヤガイド56は、段ボールSの進行方向に対して直交する水平方向に移動可能にフレーム54を支持している。また、スリッタスコアラ42を通過する段ボールSの位置が進行方向に直交する方向に変化したときに、その段ボールSの位置の変化に追従してフレーム54を移動させるフレーム移動装置57がフレーム54に取り付けられている。
【0043】
ミシン目形成装置44は、段ボールSの上下に配置された回転軸60,61と、上側の回転軸60に固定された円盤状のミシン目ナイフ43と、下側の回転軸61に固定されたナイフ受け62とを有する。ミシン目ナイフ43は、上側(すなわち裏ライナ2の側)から下側(すなわち表ライナ1の側)に向けて段ボールSに切り込み、段ボールSにミシン目23(図1参照)を形成する回転刃である。
【0044】
ミシン目形成装置44は、回転軸60,61を支持するフレーム63と、床面Fに固定されたベース部材64と、フレーム63とベース部材64の間に設けられたリニヤガイド65とを有する。リニヤガイド65は、段ボールSの進行方向に対して直交する水平方向に移動可能にフレーム63を支持している。フレーム63には、スリッタスコアラ42のフレーム54に連結される連結ブラケット66が設けられている。この連結ブラケット66を介してフレーム63とフレーム54を互いに連結することにより、フレーム移動装置57がスリッタスコアラ42のフレーム54を移動させたときに、そのフレーム54と一体にミシン目形成装置44のフレーム63も移動するようになっている。
【0045】
また、ミシン目形成装置44は、ミシン目ナイフ43の昇降駆動装置67を有する。段ボールSにミシン目23を形成しないときは、昇降駆動装置67がミシン目ナイフ43を上昇させ、段ボールSにミシン目23を形成するときは、昇降駆動装置67がミシン目ナイフ43を下降させる。
【0046】
図8に示すように、ミシン目ナイフ43の外周には、半径方向外方に突出した形状の複数の刃部68が円周方向に等間隔に設けられている。各刃部68の半径方向外側の縁は、回転軸60の中心と同じ位置に中心をもつ円弧状とされている。
【0047】
図9図10に示すように、刃部68は、半径方向外側の縁の切れ刃69と、回転方向前側の縁の切れ刃70と、回転方向後側の縁の切れ刃71とを有する。各切れ刃69,70,71は、刃部68の両側面が鋭角に交わる稜線である。
【0048】
このコルゲートマシンで段ボールSを製造するに際し、ミシン目ナイフ43で胴部分割用ミシン目23を形成すると、進行方向に途切れずに連続する段ボールS(すなわちカットオフ45で枚葉とされる前の段ボールS)に、円盤状のミシン目ナイフ43でミシン目23を形成するので、段ボールSの中しん3を潰さずに、裏ライナ2側と表ライナ1側の間を貫通する多数の切れ目26からなる胴部分割用ミシン目23を形成することが可能となる。具体的には、裏ライナ2側と表ライナ1側の間を貫通する多数の切れ目26が進行方向にまっすぐ直線状に並んだ構成の胴部分割用ミシン目23を、ミシン目23に沿った領域の段ボールSの厚みTと、それ以外の領域での段ボールSの最大厚みとの差が1mmを下回るように中しん3を潰さずに形成することができる。
【0049】
また、ミシン目ナイフ43が、裏ライナ2の側から表ライナ1の側に向けて段ボールSに切り込むので、図3に示すように、ミシン目23は、ミシン目23の延びる方向に沿った各切れ目26の表ライナ1の側の長さ寸法Lが、ミシン目23の延びる方向に沿った各切れ目26の裏ライナ2の側の長さ寸法Lよりも小さいものとなる。また、図2(A),(C)に示すように、ミシン目23は、ミシン目23の延びる方向に直交する方向に沿った各切れ目26の表ライナ1の側の幅寸法Wが、ミシン目23の延びる方向に直交する方向に沿った各切れ目26の裏ライナ2の側の幅寸法Wよりも小さいものとなる。
【0050】
また、図9図10に示すように、各刃部68の回転方向前側の縁に切れ刃70が形成されているので、ミシン目ナイフ43の各刃部68が段ボールSに切り込むときの抵抗を効果的に減らすことが可能である。そのため、ミシン目ナイフ43の各刃部68が段ボールSに切り込むときの抵抗で、段ボールSの中しん3が潰れるのを効果的に防止することができる。すなわち、刃部68として、半径方向外側の縁のみに切れ刃69があり、回転方向前後の縁には切れ刃70,71がない構成のものを採用することも可能であるが、このようにすると、刃部68が段ボールSに切り込むときの抵抗が大きくなるため、段ボールSにミシン目23を形成したときに、段ボールSの厚みが1mm以上減少するような中しん3の潰れが発生するおそれがあるのに対し、図9図10に示すように、刃部68として、回転方向前側の縁の切れ刃70と、回転方向後側の縁の切れ刃71とを有するものを採用すると、刃部68が段ボールSに切り込むときの抵抗を効果的に減らすことができ、その結果、段ボールSにミシン目23を形成したときに、ミシン目23に沿った領域で段ボールSの厚みが1mm以上減少するような中しん3の潰れが発生するのを防止することが可能となる。
【0051】
また、図9図10に示すように、刃部68の回転方向前側の縁と、回転方向後側の縁とに、それぞれ切れ刃70,71が形成されているので、ミシン目ナイフ43でミシン目23を形成したときに、ミシン目23を構成する各切れ目26の両端が、ミシン目23の延びる方向にまっすぐに切れ上がった形状となり、これにより、ミシン目23に沿って箱の胴部31を破断するときに、胴部31の破断がきわめて円滑となる。
【0052】
すなわち、仮に、刃部68に回転方向前後の縁に切れ刃70,71を設けず、半径方向外側の縁の切れ刃69のみを設けたミシン目ナイフ(つまり回転方向に沿って刃部68の厚みが変化せず一定となるように各刃部68を形成したもの)を用いてミシン目23を形成すると、図14に示すように、ミシン目23を構成する各切れ目26の両端が、ミシン目23の延びる方向に対して直交する方向に広がった形状(セリフ体の「I」字状)となる。
【0053】
これに対し、図9図10に示すように、刃部68の回転方向前側の縁と、回転方向後側の縁とに、それぞれ切れ刃70,71を設け、刃部68の回転方向に直交する方向の厚みが、回転方向前側の縁の切れ刃70と回転方向後側の縁の切れ刃71とに向かって次第に薄くなるように各刃部68を形成したミシン目ナイフ43を用いてミシン目23を形成すると、図13に示すように、ミシン目23を構成する各切れ目26の両端が、ミシン目23の延びる方向にまっすぐに切れ上がった形状となる。そのため、ミシン目23に沿って箱の胴部31を破断するときに、胴部31の破断がきわめて円滑となる。
【0054】
なお、図15は、枚葉の段ボールに加工を施す製函工程において、平板に刃物を植え付けた抜き型で段ボールSを挟み込むことで形成したミシン目23を示す。このミシン目23も、図14のものと同様に、ミシン目23を構成する各切れ目26の両端が、ミシン目23の延びる方向に対して直交する方向に広がった形状(セリフ体の「I」字状)となる。
【0055】
上記実施形態のミシン目ナイフ43でミシン目23を形成したときに、ミシン目23に沿った領域における中しん3の潰れが防止されることを確認するため、上記実施形態のミシン目ナイフ43でミシン目23を形成した段ボールのサンプルと、特開2008-247476号公報(特許文献2)のように、抜き型で枚葉の段ボールを挟み込むことでミシン目23を形成した段ボールのサンプルとを製作した。そして、その各サンプルを、ミシン目23の隣り合う切れ目26の間のつなぎ部分の位置で切断したときの断面(図11(a)、図12(a)参照)と、ミシン目23の切れ目26の位置で切断したときの断面(図11(b)、図12(b)参照)とを観察した。その結果、図11(a)、(b)に示すように、上記実施形態のミシン目ナイフ43でミシン目23を形成したサンプルは、ミシン目23に沿った領域で段ボールの厚みが1mm以上減少するような中しん3の潰れが発生していないのに対し、図12(a)、(b)に示すように、抜き型で枚葉の段ボールを挟み込むことでミシン目23を形成した段ボールのサンプルは、中しん3の潰れによりミシン目23に沿った領域で段ボールの厚みが1mm以上(図では1.8mm程度)減少していることが分かる。
【0056】
上記実施形態では、罫線4を介して順に連設された側板5,6,7,8を筒状に折り曲げて胴部31を形成し、各側板5,6,7,8の上縁に罫線11を介して連設された各上フラップ12,13,14,15で天板34を形成し、各側板5,6,7,8の下縁に罫線17を介して連設された各下フラップ18,19,20,21で底板32を形成する段ボール箱30(いわゆるA式の段ボール箱)を例に挙げて説明したが、この発明は、底板と、底板から上方に延びる筒状の胴部とを有するものであれば、他の形式の段ボール箱にも適用することができ、例えば、各上フラップ12,13,14,15で形成される天板34がなく、各下フラップ18,19,20,21で形成される底板32と、底板32から上方に延びる筒状の胴部31のみからなる、いわゆる半A式の段ボール箱にも適用することが可能である。また、特開2008-247476号公報(特許文献2)の図7のように、天板と、筒状の胴部の4つの側板のうち第1の側板と、底板と、第1の側板に対向する第2の側板とが罫線を介して順に連設されたラップアラウンドケースにも適用することが可能である。ラップアラウンドケースに適用する場合、胴部分割用のミシン目は、第1の側板と、第1の側板の両側に罫線を介して連設された内フラップと、第2の側板と、第2の側板の両側に罫線を介して連設された内フラップとに形成することができる。さらに、筒状の胴部の4つの側板のうち第1の側板と、底板と、第1の側板に対向する第2の側板とが罫線を介して順に連設され、別体の天板で閉鎖する、複数ピースからなる包装箱(いわゆるトレイリッダー等)にも適用することが可能である。
【0057】
図16図17に、第2実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱のブランクと、そのブランクを組み立てて得られる段ボール箱30の開封状態とを示す。第1実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
各側板5,6,7,8は、段ボール箱30を組み立てたときに幅面(幅の短い面)を構成する側板5,7と、長さ面(幅の長い面)を構成する側板6,8とからなる。
【0059】
図16に示すように、幅面を構成する側板5,7には、ミシン目23を弦とするように両端がミシン目23に接続した円弧状に延びる第1の破断線72と、第1の破断線72の中央から上フラップ12、14に向けて延びて罫線11に至る第2の破断線73とが形成されている。長さ面を構成する側板6,8にも、ミシン目23を弦とするように両端がミシン目23に接続した円弧状に延びる第3の破断線74が形成されている。
【0060】
図16に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱30は、図17に示すように、長さ面を構成する側板6、8のうち一方をミシン目23に沿って上下に分割し、さらに、幅面を構成する側板5、7を、ミシン目23と第1の破断線72の半分と第2の破断線73とに沿って破断することで、ミシン目23と第1の破断線72と第2の破断線73とに沿って分割された胴部31の上側部分を天板34の中央位置(上フラップ13,15の突き合わせ位置)に沿って上方に揺動可能とし、段ボール箱30の内部の商品を一部だけ取り出して再封緘することが可能な片側オープンの状態にすることができる。ここで、第1の破断線72が円弧状となっているので、ミシン目23に沿って分割された側板5、7の上側部分を上側に揺動させるときに、ミシン目23に沿って分割された側板5、7の上側部分の下縁が、ミシン目23に沿って分割された側板5、7の下側部分の上縁に干渉するのを防止することが可能となっている。
【0061】
図18図19に、第3実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱のブランクと、そのブランクを組み立てて得られる段ボール箱30の開封状態とを示す。第1実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図18に示すように、罫線4の、ミシン目23と罫線11の間の部分には、隣り合う側板5,6,7,8の間を切り離すための破断線75が形成されている。また、罫線9の、ミシン目23と罫線11の間の部分にも、側板8と継ぎ代10を切り離すための破断線76が形成されている。各側板5,6,7,8のミシン目23の中央位置には、指先を挿入するための破断線25が形成されている。図では、破断線75、76は、箱の圧縮強度を確保するため、表ライナ1と裏ライナ2の間を貫通する2つの切れ目で構成しているが、表ライナ1と裏ライナ2の間を貫通する多数の切れ目からなるミシン目で構成することも可能である。
【0063】
図18に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱30は、図19に示すように、ミシン目23に沿って段ボール箱30の胴部31を上下に分割するときに、破断線75と罫線4に沿って隣り合う側板5,6,7,8の間を切り離すとともに、破断線76と罫線9に沿って側板8と継ぎ代10を切り離すことで、胴部31の天板34側の部分を平らに折り畳むことが可能である。すなわち、段ボール箱30の開封作業と、胴部31の天板34側の部分の解体作業とを同時に行なうことができるので、商品33の陳列の作業性に優れる。また、第1実施形態の図5のように、胴部31の天板34側の部分を筒状に保ったまま除去する場合と比較して、胴部31の天板34側の部分を外側に開きながら除去することができるので、胴部31を商品33に干渉させずに除去することができ、開封の作業性に優れる。
【0064】
図20図21に、第4実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱のブランクと、そのブランクを組み立てて得られる段ボール箱30の開封状態とを示す。第1実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図20に示すように、側板5には、ミシン目23と罫線11の間をつなぐように上下に延び、かつ、左右に対向する一対の第1の破断線77と、各第1の破断線77の上端から罫線11に沿って両側に延びて側板5の側縁に至る一対の第2の破断線78とが形成されている。他の側板6,7,8も同様に、第1の破断線77と第2の破断線78とが形成されている。
【0066】
図20に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱30は、図21に示すように、第1の破断線77と第2の破断線78とミシン目23とに沿って各側板5,6,7,8を破断することで、側板5,6,7,8同士の間の折り曲げ部分を、上下に延びる柱状に残して開封することが可能である。そのため、図21のように、段ボール箱30を開封して商品33が露出した状態のまま、段ボール箱30を上下に積み上げることが可能である。また、第3実施形態と同様に、段ボール箱30を開封したときに、段ボール箱30の開封作業と、胴部31の天板34側の部分の解体作業とを同時に行なうことができるので、商品33の陳列の作業性に優れる。
【0067】
図22図23に、第5実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱のブランクと、そのブランクを組み立てて得られる段ボール箱30の開封状態とを示す。第1実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
各側板5,6,7,8は、段ボール箱30を組み立てたときに幅面(幅の短い面)を構成する側板5,7と、長さ面(幅の長い面)を構成する側板6,8とからなる。
【0069】
図22に示すように、長さ面を構成する側板6には、ミシン目23と罫線11の間をつなぐように上下に延び、左右に対向する一対の第1の破断線79が形成され、側板6の上縁に連設された上フラップ13には、一対の第1の破断線79の上端同士を連結するようにコ字状に延びる第2の破断線80が形成されている。同様に、長さ面を構成する他方の側板8と、その側板8の上縁に連設された上フラップ15にも、第1の破断線79と第2の破断線80が形成されている。
【0070】
幅面を構成する側板5,7の上縁に連設された上フラップ12,14の両側の側縁は、図23のように段ボール箱30を組み立てたときに、上フラップ13,15の第2の破断線80で囲まれた領域が上フラップ12,14に重ならないようにL字状に切り欠かれている。幅面を構成する側板5,7には、粘着テープ82(図23参照)の取り外し用のC状に延びる破断線81が形成されている。図23において、上フラップ13,15の先端同士は粘着テープ82で連結され、その粘着テープ82の両端が側板5,7に貼り付けられている。
【0071】
図22に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱30は、図23に示すように、側板8をミシン目23と第1の破断線79に沿って破断するとともに、側板8の上縁に連設された上フラップ15をコ字状の第2の破断線80に沿って破断することで、商品取り出し用の窓を開口させることができる。そして、その商品取り出し用の窓を開口させて商品を露出させた状態のまま、段ボール箱30を上下に積み上げることが可能である。同様に、側板6をミシン目23と第1の破断線79に沿って破断するとともに、側板6の上縁に連設された上フラップ13をコ字状の第2の破断線80に沿って破断することで、商品取り出し用の窓を開口させることも可能である。
【0072】
図24図26に第6実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱のブランクと、そのブランクを組み立てて得られる段ボール箱30と、段ボール箱30の開封状態とを示す。この第6実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱は、いわゆるラップアラウンドケースである。第1実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図24に示すように、ブランクは、天板34と、側板83と、底板32と、側板84とが罫線85を介して順に連設されている。罫線85は、段ボールの段目に垂直な方向に延びる折目線である。側板84には、罫線86を介して継ぎ代87が連設されている。天板34、側板83、底板32、側板84の両側には、それぞれ罫線88を介して端フラップ89が連設されている。天板34に連設された端フラップ89、側板83に連設された端フラップ89、底板32に連設された端フラップ89、側板84に連設された端フラップ89は、いずれも同じ長さを有し、各端フラップ89の先端縁が同一直線上に位置している。側板83、側板84、端フラップ89は、図25に示すように、段ボール箱30を組み立てたときに胴部31を構成する。
【0074】
図24に示すブランクには、段ボールの段目に垂直な方向にブランクを縦断して延びる平行な2本のミシン目23が形成されている。2本のミシン目23のうち一方のミシン目23は、側板83と、側板83の左右に連設された端フラップ89とを上下に分割するように側板83および端フラップ89を通過して延び、他方のミシン目23は、側板84と、側板84の左右に連設された端フラップ89とを上下に分割するように側板84および端フラップ89を通過して延びている。側板83のミシン目23は、側板83の上下方向の中央位置に配置されている。側板84のミシン目23も、側板84の上下方向の中央位置に配置されている。この2本のミシン目23は、図25に示すように、段ボール箱30を組み立てたときに、ミシン目23に沿って段ボールを破断することで、胴部31を上下に分割するための胴部分割用ミシン目である。図24に示すように、各側板83,84のミシン目23の中央位置には、箱の胴部31を分割するときに指先を挿入するための破断線25が形成されている。
【0075】
図24に示すブランクは、例えば、以下のようにして組み立てることができる。
【0076】
裏ライナ2が上面となるようにブランクを配置し、底板32の上に商品33(図26参照)を載せる。そして、その商品33を、底板32に対して上方に折り曲げた側板83,84と、側板83の上縁に沿って水平に折り曲げた天板34とで包み込み、その天板34を継ぎ代87に接着して筒体を形成する。その後、筒体の両端を各端フラップ89で閉じて接着すると、図25に示すように、商品33を収容した状態の段ボール箱30が得られる。このとき、側板83,84と端フラップ89は、段ボール箱30の底板32から上方に延びる筒状の胴部31を構成し、その胴部31を上下に分割するようにミシン目23が形成されている。また、側板83,84に連設された端フラップ89は、内フラップを構成し、底板32と天板34に連設された端フラップ89は、外フラップを構成している。
【0077】
この段ボール箱30は、図26に示すように、ミシン目23に沿って段ボールを破断し、段ボール箱30の胴部31を上下に分割することで開封することができる。このとき、破断線25を破断し、破断線25の部分に指を入れ、胴部31のミシン目23よりも上側部分を上方に引き上げるようにすると、胴部31の分割を円滑に行なうことができる。
【0078】
図27図28に第7実施形態の胴部分割用ミシン目入り段ボール箱のブランクと、そのブランクを組み立てて得られる段ボール箱30の開封状態とを示す。第6実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図27に示すように、側板83のミシン目23は、側板83の上下方向の中央よりも底板32に近い位置に配置されている。側板84のミシン目23も、側板84の上下方向の中央よりも底板32に近い位置に配置されている。側板83に連設された端フラップ89には、その端フラップ89を上下に分割する破断線90が形成されている。この破断線90は、側板83に連設された端フラップ89の上下方向の中央位置を通って端フラップ89を左右に縦断している。側板83に連設された端フラップ89には、端フラップ89の先端縁と破断線90とが交差する位置に、破断線90に向かって凹んだV字状の切り欠き91が形成されている。
【0080】
同様に、側板84に連設された端フラップ89にも、その端フラップ89を上下に分割する破断線90が形成されている。この破断線90は、側板84に連設された端フラップ89の上下方向の中央位置を通って端フラップ89を左右に縦断している。側板84に連設された端フラップ89には、端フラップ89の先端縁と破断線90とが交差する位置に、破断線90に向かって凹んだV字状の切り欠き91が形成されている。
【0081】
罫線88は、側板83と天板34の間の罫線85と、ミシン目23の間の部分に、端フラップ89と側板83を切り離すための破断線92が形成されている。また、罫線88は、側板84と継ぎ代87の間の罫線86と、ミシン目23の間の部分にも、端フラップ89と側板84を切り離すための破断線92が形成されている。
【0082】
図27に示すブランクを組み立てて得られる段ボール箱30は、図28に示すように、ミシン目23に沿って段ボール箱30の胴部31を上下に分割して開封することができる。この開封作業は、例えば、次のようにして行なうことができる。まず、破断線25の部分に指を入れて側板83、84のミシン目23よりも上側部分を上方に引き上げ、側板83と側板83に連設された端フラップ89とを、破断線92と罫線88に沿って切り離すとともに、側板84と側板84に連設された端フラップ89も、破断線92と罫線88に沿って切り離し、側板83、84のミシン目23よりも上側部分を、罫線85に沿って外側に開く。次に、端フラップ(内フラップ)89の先端縁の切り欠き91から破断線90に沿って端フラップ89を破断して上下に分割し、天板34に連設された端フラップ(外フラップ)89を罫線88に沿って外側に開くと、図28に示すように、段ボール箱30の胴部31を上下に分割して開封した状態となる。
【0083】
この開封状態において、胴部31の天板34側の部分は、平らな状態となっている。すなわち、段ボール箱30の開封作業と、胴部31の天板34側の部分の解体作業とを同時に行なうことができるので、商品33の陳列の作業性に優れる。また、第6実施形態の図26のように、胴部31の天板34側の部分を筒状に保ったまま除去する場合と比較して、胴部31の天板34側の部分を外側に開きながら除去することができるので、胴部31を商品33に干渉させずに除去することができ、開封の作業性に優れる。
【0084】
また、この実施形態の段ボール箱30は、側板83のミシン目23を、側板83の上下方向の中央よりも底板32に近い位置に配置するとともに、側板84のミシン目23も、側板84の上下方向の中央よりも底板32に近い位置に配置しているので、図28に示すように箱を開封したとき、商品33の露出する面積が大きく、買い物客に対する訴求力に優れる。
【符号の説明】
【0085】
1 表ライナ
2 裏ライナ
3 中しん
23 ミシン目
26 切れ目
31 胴部
32 底板
34 天板
40 ダブルフェーサ
43 ミシン目ナイフ
44 ミシン目形成装置
45 カットオフ
68 刃部
69 切れ刃
70 切れ刃
71 切れ刃
T 厚み
長さ寸法
長さ寸法
幅寸法
幅寸法
S 段ボール
図1
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図28