(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A63F7/02 316A
(21)【出願番号】P 2018213970
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-080178(JP,A)
【文献】特開2012-045149(JP,A)
【文献】特開2010-046150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技が可能な遊技機であって、
遊技媒体が移動可能な遊技媒体通路における遊技媒体の移動方向に対して交差する方向に動作可能
であって前記遊技媒体通路に向けて突出した第1状態と突出していない第2状態とに変化可能な可変部材を有し、該可変部材が動作
して前記第1状態に変化することで遊技媒体が特定領域に進入可能な進入可能状態となる可変手段を備え、
前記進入可能状態において遊技媒体は前記可変部材上を一方側に移動することにより前記特定領域へ進入可能となり、
前記可変部材は、
水平面に対し第1角度にて前記一方側に向けて下方に傾斜する第1面部と、
前記第1面部に対し前記一方側と反対の他方側に配置される第2面部と、
を有し、
前記第2面部は、前記第1面部よりも遊技媒体が前記一方側に向けて移動し難くなるように
水平面に対し前記第1角度と異なる第2角度で前記一方側に向けて下方に傾斜しているとともに前記第1面部に対し傾斜して
おり、
前記第1面部における遊技媒体が移動可能な領域は、前記第2面部における遊技媒体が移動可能な領域よりも広い、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技が可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例であるパチンコ遊技機において、遊技媒体の移動方向に対して交差する方向に進退可能な可動部材を有し、該可動部材が遊技領域側に進出する進出状態となることにより遊技媒体が進入可能となり、可動部材が遊技盤側に退避する退避状態となることにより遊技媒体が進入不能または進入困難となる可変装置を備えた遊技機等がある。
【0003】
この種の遊技機として、例えば、可動部材が進出状態(進入可能状態)となることにより該可動部材の側方に配置された入賞口へ遊技媒体が進入可能となる可変装置(可変手段)を備えたもの等があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の遊技機では、遊技媒体の滞留による不具合の対策が不十分であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、遊技媒体の滞留による不具合の発生を抑制することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
手段Aの遊技機は、遊技が可能な遊技機であって、
遊技媒体が移動可能な遊技媒体通路における遊技媒体の移動方向に対して交差する方向に動作可能であって前記遊技媒体通路に向けて突出した第1状態と突出していない第2状態とに変化可能な可変部材を有し、該可変部材が動作して前記第1状態に変化することで遊技媒体が特定領域に進入可能な進入可能状態となる可変手段を備え、
前記進入可能状態において遊技媒体は前記可変部材上を一方側に移動することにより前記特定領域へ進入可能となり、
前記可変部材は、
水平面に対し第1角度にて前記一方側に向けて下方に傾斜する第1面部と、
前記第1面部に対し前記一方側と反対の他方側に配置される第2面部と、
を有し、
前記第2面部は、前記第1面部よりも遊技媒体が前記一方側に向けて移動し難くなるように水平面に対し前記第1角度と異なる第2角度で前記一方側に向けて下方に傾斜しているとともに前記第1面部に対し傾斜しており、
前記第1面部における遊技媒体が移動可能な領域は、前記第2面部における遊技媒体が移動可能な領域よりも広い、
ことを特徴とする。
さらに、手段1の遊技機は、
遊技が可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)であって、
遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動方向(上下方向)に対して交差する方向(前後方向)に動作可能な可変部材(例えば、スライド部材704)を有し、該可変部材が動作することで遊技媒体が特定領域(例えば、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D))に進入可能な進入可能状態(例えば、第2状態)となる可変手段(例えば、可変入賞球装置6B)を備え、
前記進入可能状態において遊技媒体は前記可変部材上を一方側(例えば、右側方)に移動することにより前記特定領域へ進入可能となり(
図24参照)、
前記可変部材は、
前記一方側に向けて下方に傾斜する第1面部(例えば、第1傾斜面部802A)と、
前記第1面部に対し前記一方側と反対の他方側に配置される第2面部(例えば、第2傾斜面部802B)と、
を有し、
前記第2面部は、前記第1面部よりも遊技媒体が前記一方側に向けて移動し難くなるように前記第1面部に対し傾斜している(例えば、第2傾斜面部802Bは第1傾斜面部802Aよりも遊技球Pが右側方に向けて移動し難くなるように第1傾斜面部802Aに対し傾斜していることで、第1傾斜面部802A上の遊技球Pは、第2傾斜面部802B上の遊技球Pよりも速い速度で普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に向けて流下する。
図23、
図24参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2面部上の遊技媒体に後続の遊技媒体の圧が作用したときに、第1面部上よりも他方側に移動しやすいことで、一方側に移動しようとする力と後続の遊技媒体からの力とが釣り合って遊技媒体が滞留することによる不具合の発生を抑制できる。
【0008】
手段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記可変手段(例えば、可変入賞球装置6B)が前記進入可能状態(例えば、第2状態)であるときに前記可変部材(例えば、スライド部材704)へ向けて遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動を案内するための案内部(例えば、案内通路形成部804)を備え、
前記案内部は、遊技媒体を前記第1面部上に落下可能に案内する(例えば、案内通路形成部804は、遊技球Pを普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)へ誘導可能なスライド部材704の上面802Hに遊技球Pが安定して落下するように流下を案内する。
図23参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2面部上に遊技媒体が滞留してしまうことを抑制できる。
【0009】
手段3の遊技機は、手段1または2に記載の遊技機であって、
前記第2面部(例えば、第2傾斜面部802B)における遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動方向の長さ寸法は、前記第1面部における遊技媒体の移動方向の長さ寸法よりも短い(例えば、スライド部材704の左側辺における第2傾斜面部802Bに対応する位置には切欠部807が形成されていることにより、第2傾斜面部802Bの左右寸法L12は、第1傾斜面部802Aにおいて第2傾斜面部802Bの右側に配置される部分の左右寸法L11よりも短寸とされている(L12<L11)。
図22(B)参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2面部上に遊技媒体が滞留してしまうことを抑制できる。
【0010】
手段4の遊技機は、手段1~3のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可変部材(例えば、スライド部材704)は、前記進入可能状態において遊技盤面と前記第2面部との間に配置され、前記第1面部と面一の第3面部(例えば、第1傾斜面部802Aにおいて第2傾斜面部802Bの後ろ側に配置される部分。
図22(A)参照)を有する
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可変部材の一部を切欠くことで第2面部を容易に形成できるとともに、第3面部を第1面部と同じ板厚に維持できるので、強度低下を抑制できる。
【0011】
手段5の遊技機は、手段1~4のいずれかに記載の遊技機であって、
前記第1面部は、水平面に対し第1角度で下方に傾斜し、
前記第2面部は、水平面に対し前記第1角度よりも小さい第2角度で下方に傾斜する(例えば、第1傾斜面部802Aの水平面に対する下り傾斜角度θ11は約8度とされ、第2傾斜面部802Bの水平面に対する下り傾斜角度θ12は約5度とされている。
図23(A)(B)参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2面部上の遊技媒体を一方側へ移動可能としつつ、他方側へ逃げ易くすることができる。
【0012】
手段6の遊技機は、手段1~5のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可変手段(例えば、可変入賞球装置6B)が前記進入可能状態(例えば、第2状態)であるときに前記可変部材(例えば、スライド部材704)へ向けて遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動を案内するための案内部(例えば、案内通路形成部804)を備え、
前記案内部と前記進入可能状態における前記可変部材との間には、遊技媒体が通過可能な間隙が設けられている(例えば、スライド部材704が進出位置まで移動した進入可能状態において、スライド部材704と側壁841Lの下端との間に第1間隙851Aが設けられている。
図25参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、遊技媒体の滞留による不具合の発生を抑制することができる。
【0013】
尚、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであっても良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図である。
【
図2】遊技盤及び賞球ユニットの分解斜視図である。
【
図3】遊技盤及び賞球ユニットの分解斜視図である。
【
図6】(A)は第1誘導状態の振分部材を示す図であり、(B)は第2誘導状態の振分部材を示す図である。
【
図9】パチンコ遊技機に搭載された各種の制御基板などを示す構成図である。
【
図10】(A)は非電動可変入賞球装置を斜め前から見た状態を示す斜視図、(B)は非電動可変入賞球装置を斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。
【
図11】(A)は閉鎖状態の非電動可変入賞球装置を示す正面図及び右側面図、(B)は開放状態の非電動可変入賞球装置を示す正面図及び右側面図である。
【
図12】(A)は開放状態の非電動可変入賞球装置に遊技球が進入したときの状態を示す正面図及び右側面図、(B)は(A)の状態から遊技球が流下したときの状態を示す正面図及び右側面図である。
【
図13】第1リンク機構及び第2リンク機構を被覆する被覆部材を斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。
【
図14】(A)は第1作動経路、(B)は第2作動経路の内部を示す縦断面図である。
【
図15】(A)は第1作動経路及び第2作動経路の下部を示す斜視図、(B)は第1リンク部材を示す斜視図、(C)は第1リンク部材を示す右側面図である。
【
図16】(A)~(C)は、第1作動経路を遊技球が流下する動作例を示す説明図である。
【
図17】(A)~(C)は、第2作動経路を遊技球が流下する動作例を示す説明図である。
【
図18】(A)~(C)は、第1作動口と第1始動入賞口Bとに遊技球が近いタイミングで入賞した場合の第1リンク機構の動作例を示す説明図である。
【
図19】可変入賞球装置の内部構造を示す縦断面図である。
【
図20】(A)は進入困難状態、(B)は進入可能状態であるときの可変入賞球装置を示す横断面図である。
【
図21】(A)は
図20(A)のC-C断面図、(B)は
図20(B)のC’-C’断面図である。
【
図22】(A)は可変板を示す斜視図、(B)は可変板を示す平面図である。
【
図24】(A)~(C)は遊技球が普電入賞口に入賞する流れを示す説明図である。
【
図25】(A)~(C)は遊技球の釣り合いによる滞留を示す説明図である。
【
図26】(A)は変形例1としてのスライド部材、(B)は変形例2としてのスライド部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る遊技機を実施するための形態を図面に基づいて以下に説明すると、
図1は、パチンコ遊技機1の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、遊技領域Yが形成され、この遊技領域Yには、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
【0016】
遊技盤2の所定位置には、複数種類の特別識別情報としての特別図柄(特図ともいう)の可変表示(特図ゲームともいう)を行う第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4Bが設けられている。これらは、それぞれ、7セグメントのLEDなどからなる。特別図柄は、「0」~「9」を示す数字や「-」などの点灯パターンなどにより表される。特別図柄には、LEDを全て消灯したパターンが含まれてもよい。
【0017】
なお、特別図柄の「可変表示」とは、例えば、複数種類の特別図柄を変動可能に表示することである(後述の他の図柄についても同じ)。変動としては、複数の図柄の更新表示、複数の図柄のスクロール表示、1以上の図柄の変形、1以上の図柄の拡大/縮小などがある。特別図柄や後述の普通図柄の変動では、複数種類の特別図柄又は普通図柄が更新表示される。後述の飾り図柄の変動では、複数種類の飾り図柄がスクロール表示又は更新表示されたり、1以上の飾り図柄が変形や拡大/縮小されたりする。なお、変動には、ある図柄を点滅表示する態様も含まれる。可変表示の最後には、表示結果として所定の特別図柄が停止表示(導出又は導出表示などともいう)される(後述の他の図柄の可変表示についても同じ)。なお、可変表示を変動表示、変動と表現する場合がある。
【0018】
なお、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。また、第1特図を用いた特図ゲームを「第1特図ゲーム」といい、第2特図を用いた特図ゲームを「第2特図ゲーム」ともいう。なお、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置は1種類であってもよい。
【0019】
遊技盤2における遊技領域Yの中央付近には画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)や有機EL(Electro Luminescence)等から構成され、各種の演出画像を表示する。画像表示装置5は、プロジェクタ及びスクリーンから構成されていてもよい。画像表示装置5には、各種の演出画像が表示される。
【0020】
例えば、画像表示装置5の画面上では、第1特図ゲームや第2特図ゲームと同期して、特別図柄とは異なる複数種類の装飾識別情報としての飾り図柄(数字などを示す図柄など)の可変表示が行われる。ここでは、第1特図ゲーム又は第2特図ゲームに同期して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄が可変表示(例えば上下方向のスクロール表示や更新表示)される。なお、同期して実行される特図ゲーム及び飾り図柄の可変表示を総称して単に可変表示ともいう。
【0021】
画像表示装置5の画面上には、実行が保留されている可変表示に対応する保留表示や、実行中の可変表示に対応するアクティブ表示を表示するための表示エリアが設けられていてもよい。保留表示及びアクティブ表示を総称して可変表示に対応する可変表示対応表示ともいう。
【0022】
保留されている可変表示の数は保留記憶数ともいう。第1特図ゲームに対応する保留記憶数を第1保留記憶数、第2特図ゲームに対応する保留記憶数を第2保留記憶数ともいう。また、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計を合計保留記憶数ともいう。
【0023】
また、遊技盤2の所定位置には、複数のLEDを含んで構成された第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられ、第1保留表示器25Aは、LEDの点灯個数によって、第1保留記憶数を表示し、第2保留表示器25Bは、LEDの点灯個数によって、第2保留記憶数を表示する。
【0024】
画像表示装置5の下方には、入賞球装置6Aが設けられている。入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に遊技球が進入可能な一定の開放状態に保たれる第1始動入賞口Aを形成する。第1始動入賞口Aに遊技球が進入したときには、所定個(例えば3個)の賞球が払い出されるとともに、第1特図ゲームが開始され得る。
【0025】
遊技盤2の所定位置(
図1に示す例では、遊技領域Yの左右下方4箇所)には、所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる一般入賞口10が設けられる。この場合には、一般入賞口10のいずれかに進入したときには、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0026】
入賞球装置6Aの右側方には、大入賞口を有する特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、ソレノイド82(
図9参照)によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
【0027】
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用(特別電動役物用)のソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口に進入(通過)できなくなる。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口に進入しやすくなる。
【0028】
大入賞口に遊技球が進入したときには、所定個数(例えば14個)の遊技球が賞球として払い出される。大入賞口に遊技球が進入したときには、例えば第1始動入賞口A、後述する第1始動入賞口Bや第2始動入賞口及び一般入賞口10に遊技球が進入したときよりも多くの賞球が払い出される。
【0029】
一般入賞口10を含む各入賞口に遊技球が進入することを「入賞」ともいう。特に、始動口(第1始動入賞口A,B、第2始動入賞口始動口)への入賞を始動入賞ともいう。
【0030】
遊技盤2の所定位置には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、7セグメントのLEDなどからなり、特別図柄とは異なる複数種類の普通識別情報としての普通図柄の可変表示を行う。普通図柄は、「0」~「9」を示す数字や「-」などの点灯パターンなどにより表される。普通図柄には、LEDを全て消灯したパターンが含まれてもよい。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲームともいう。
【0031】
画像表示装置5の右方には、遊技球が通過可能な通過ゲート41が設けられている。遊技球が通過ゲート41を通過したことに基づき、普図ゲームが実行される。
【0032】
普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、実行が保留されている普図ゲームの数である普図保留記憶数をLEDの点灯個数により表示する。
【0033】
遊技盤2の所定位置(例えば、遊技領域Yの左方位置)には、上記した第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普通図柄表示器20、普図保留表示器25C等が纏めて配置されている遊技情報表示部200が設けられている。また、遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。遊技領域Yの最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
【0034】
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域Y周辺部には、遊技効果用の遊技効果ランプ9が設けられている。遊技効果ランプ9は、LEDを含んで構成されている。
【0035】
遊技機用枠3の右下部位置には、遊技球を打球発射装置により遊技領域Yに向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)30が設けられている。
【0036】
遊技領域Yの下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する打球供給皿(上皿)が設けられている。上皿の下方には、上皿満タン時に賞球が払い出される打球供給皿(下皿)が設けられている。
【0037】
遊技領域Yの下方における遊技機用枠3の所定位置には、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取り付けられている。スティックコントローラ31Aには、遊技者が押下操作可能なトリガボタンが設けられている。スティックコントローラ31Aに対する操作は、コントローラセンサユニット35A(
図9参照)により検出される。
【0038】
遊技領域Yの下方における遊技機用枠3の所定位置には、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bに対する操作は、プッシュセンサ35B(
図9参照)により検出される。
【0039】
パチンコ遊技機1では、遊技者の動作(操作等)を検出する検出手段として、スティックコントローラ31Aやプッシュボタン31Bが設けられるが、これら以外の検出手段が設けられていてもよい。
【0040】
(遊技の進行の概略)
パチンコ遊技機1が備える打球操作ハンドル30への遊技者による回転操作により、遊技球が遊技領域Yに向けて発射される。遊技球が通過ゲート41を通過すると、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。なお、前回の普図ゲームの実行中の期間等に遊技球が通過ゲート41を通過した場合(遊技球が通過ゲート41を通過したが当該通過に基づく普図ゲームを直ちに実行できない場合)には、当該通過に基づく普図ゲームは所定の上限数(例えば4)まで保留される。
【0041】
この普図ゲームでは、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、普図当り図柄以外の普通図柄(普図ハズレ図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図ハズレ」となる。「普図当り」となると、後述する第3分岐路711fに遊技球が進入可能となる。
【0042】
入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口Aまたは後述する第1始動入賞口Bに遊技球が進入すると、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームが開始される。
【0043】
第2始動入賞口に遊技球が進入すると、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームが開始される。
【0044】
なお、特図ゲームの実行中の期間や、後述する大当り遊技状態や小当り遊技状態に制御されている期間に、遊技球が始動入賞口へ進入(入賞)した場合(始動入賞が発生したが当該始動入賞に基づく特図ゲームを直ちに実行できない場合)には、当該進入に基づく特図ゲームは所定の上限数(例えば4)までその実行が保留される。
【0045】
特図ゲームにおいて、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄、例えば「7」、後述の大当り種別に応じて実際の図柄は異なる。)が停止表示されれば、「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄、例えば「2」)が停止表示されれば、「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なる特別図柄(ハズレ図柄、例えば「-」)が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0046】
特図ゲームでの表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。特図ゲームでの表示結果が「小当り」になった後には、小当り遊技状態に制御される。
【0047】
大当り遊技状態においては、遊技者は、遊技球を大入賞口に進入させることで、賞球を得ることができる。従って、大当り遊技状態は、遊技者にとって有利な状態である。大当り遊技状態におけるラウンド数が多い程、また、開放上限期間が長い程遊技者にとって有利となる。
【0048】
なお、「大当り」には、大当り種別が設定されている。例えば、大入賞口の開放態様(ラウンド数や開放上限期間)や、大当り遊技状態後の遊技状態(後述の、通常状態、時短状態、確変状態など)を複数種類用意し、これらに応じて大当り種別が設定されている。大当り種別として、多くの賞球を得ることができる大当り種別や、賞球の少ない又はほとんど賞球を得ることができない大当り種別が設けられていてもよい。
【0049】
小当り遊技状態では、特別可変入賞球装置7により形成される大入賞口が所定の開放態様で開放状態となる。例えば、小当り遊技状態では、一部の大当り種別のときの大当り遊技状態と同様の開放態様(大入賞口の開放回数が上記ラウンド数と同じであり、かつ、大入賞口の閉鎖タイミングも同じ等)で大入賞口が開放状態となる。なお、大当り種別と同様に、「小当り」にも小当り種別を設けてもよい。
【0050】
大当り遊技状態が終了した後は、上記大当り種別に応じて、時短状態や確変状態に制御されることがある。
【0051】
時短状態では、平均的な特図変動時間(特図を変動させる期間)を通常状態よりも短縮させる制御(時短制御)が実行される。時短状態では、平均的な普図変動時間(普図を変動させる期間)を通常状態よりも短縮させたり、普図ゲームで「普図当り」となる確率を通常状態よりも向上させる等により、第2始動入賞口に遊技球が進入しやすくなる制御(高開放制御、高ベース制御)も実行される。時短状態は、特別図柄(特に第2特別図柄)の変動効率が向上する状態であるので、遊技者にとって有利な状態である。
【0052】
確変状態(確率変動状態)では、時短制御に加えて、表示結果が「大当り」となる確率が通常状態よりも高くなる確変制御が実行される。確変状態は、特別図柄の変動効率が向上することに加えて「大当り」となりやすい状態であるので、遊技者にとってさらに有利な状態である。
【0053】
時短状態や確変状態は、所定回数の特図ゲームが実行されたことと、次回の大当り遊技状態が開始されたこと等といった、いずれか1つの終了条件が先に成立するまで継続する。所定回数の特図ゲームが実行されたことが終了条件となるものを、回数切り(回数切り時短、回数切り確変等)ともいう。
【0054】
通常状態とは、遊技者にとって有利な大当り遊技状態等の有利状態、時短状態、確変状態等の特別状態以外の遊技状態のことであり、普図ゲームにおける表示結果が「普図当り」となる確率及び特図ゲームにおける表示結果が「大当り」となる確率などのパチンコ遊技機1が、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に所定の復帰処理を実行しなかったとき)と同一に制御される状態である。
【0055】
確変制御が実行されている状態を高確状態、確変制御が実行されていない状態を低確状態ともいう。時短制御が実行されている状態を高ベース状態、時短制御が実行されていない状態を低ベース状態ともいう。これらを組み合わせて、時短状態は低確高ベース状態、確変状態は高確高ベース状態、通常状態は低確低ベース状態などともいわれる。高確状態かつ低ベース状態は高確低ベース状態ともいう。
【0056】
小当り遊技状態が終了した後は、遊技状態の変更が行われず、特図ゲームの表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御される(但し、「小当り」発生時の特図ゲームが、上記回数切りにおける上記所定回数目の特図ゲームである場合には、当然遊技状態が変更される)。なお、特図ゲームの表示結果として「小当り」がなくてもよい。
【0057】
なお、遊技状態は、大当り遊技状態中に遊技球が特定領域(例えば、大入賞口内の特定領域)を通過したことに基づいて、変化してもよい。例えば、遊技球が特定領域を通過したとき、その大当り遊技状態後に確変状態に制御してもよい。
【0058】
(演出の進行など)
パチンコ遊技機1では、遊技の進行に応じて種々の演出(遊技の進行状況を報知したり、遊技を盛り上げたりする演出)が実行される。当該演出について以下説明する。なお、当該演出は、画像表示装置5に各種の演出画像を表示することによって行われるが、当該表示に加えて又は代えて、スピーカ8L、8Rからの音声出力、及び/又は、遊技効果ランプ9の点等/消灯、演出用可動体の動作等により行われてもよい。
【0059】
遊技の進行に応じて実行される演出として、画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、第1特図ゲーム又は第2特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示が開始される。第1特図ゲームや第2特図ゲームにおいて表示結果(確定特別図柄ともいう。)が停止表示されるタイミングでは、飾り図柄の可変表示の表示結果となる確定飾り図柄(3つの飾り図柄の組合せ)も停止表示(導出)される。
【0060】
飾り図柄の可変表示が開始されてから終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示の態様が所定のリーチ態様となる(リーチが成立する)ことがある。ここで、リーチ態様とは、画像表示装置5の画面上にて停止表示された飾り図柄が後述の大当り組み合わせの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄については可変表示が継続している態様などのことである。
【0061】
また、飾り図柄の可変表示中に上記リーチ態様となったことに対応してリーチ演出が実行される。パチンコ遊技機1では、演出態様に応じて表示結果(特図ゲームの表示結果や飾り図柄の可変表示の表示結果)が「大当り」となる割合(大当り信頼度、大当り期待度とも呼ばれる。)が異なる複数種類のリーチ演出が実行される。リーチ演出には、例えば、ノーマルリーチと、ノーマルリーチよりも大当り信頼度の高いスーパーリーチと、がある。
【0062】
特図ゲームの表示結果が「大当り」となるときには、画像表示装置5の画面上において、飾り図柄の可変表示の表示結果として、予め定められた大当り組み合わせとなる確定飾り図柄が導出される(飾り図柄の可変表示の表示結果が「大当り」となる)。一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける所定の有効ライン上に同一の飾り図柄(例えば、「7」等)が揃って停止表示される。
【0063】
大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御される「確変大当り」である場合には、奇数の飾り図柄(例えば、「7」等)が揃って停止表示され、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御されない「非確変大当り(通常大当り)」である場合には、偶数の飾り図柄(例えば、「6」等)が揃って停止表示されるようにしてもよい。この場合、奇数の飾り図柄を確変図柄、偶数の飾り図柄を非確変図柄(通常図柄)ともいう。非確変図柄でリーチ態様となった後に、最終的に「確変大当り」となる昇格演出を実行するようにしてもよい。
【0064】
特図ゲームの表示結果が「小当り」となるときには、画像表示装置5の画面上において、飾り図柄の可変表示の表示結果として、予め定められた小当り組み合わせとなる確定飾り図柄(例えば、「1 3 5」等)が導出される(飾り図柄の可変表示の表示結果が「小当り」となる)。一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける所定の有効ライン上にチャンス目を構成する飾り図柄が停止表示される。なお、特図ゲームの表示結果が、一部の大当り種別(小当り遊技状態と同様の態様の大当り遊技状態の大当り種別)の「大当り」となるときと、「小当り」となるときとで、共通の確定飾り図柄が導出表示されてもよい。
【0065】
特図ゲームの表示結果が「ハズレ」となる場合には、飾り図柄の可変表示の態様がリーチ態様とならずに、飾り図柄の可変表示の表示結果として、非リーチ組み合わせの確定飾り図柄(「非リーチハズレ」ともいう。)が停止表示される(飾り図柄の可変表示の表示結果が「非リーチハズレ」となる)ことがある。また、表示結果が「ハズレ」となる場合には、飾り図柄の可変表示の態様がリーチ態様となった後に、飾り図柄の可変表示の表示結果として、大当り組み合わせでない所定のリーチ組み合わせ(「リーチハズレ」ともいう)の確定飾り図柄が停止表示される(飾り図柄の可変表示の表示結果が「リーチハズレ」となる)こともある。
【0066】
パチンコ遊技機1が実行可能な演出には、上記の可変表示対応表示(保留表示やアクティブ表示)を表示することも含まれる。また、他の演出として、例えば、大当り信頼度を予告する予告演出等が飾り図柄の可変表示中に実行される。予告演出には、実行中の可変表示における大当り信頼度を予告する予告演出や、実行前の可変表示(実行が保留されている可変表示)における大当り信頼度を予告する先読み予告演出がある。先読み予告演出として、可変表示対応表示(保留表示やアクティブ表示)の表示態様を通常とは異なる態様に変化させる演出が実行されるようにしてもよい。
【0067】
また、画像表示装置5において、飾り図柄の可変表示中に飾り図柄を一旦仮停止させた後に可変表示を再開させることで、1回の可変表示を擬似的に複数回の可変表示のように見せる擬似連演出を実行するようにしてもよい。
【0068】
大当り遊技状態中にも、大当り遊技状態を報知する大当り中演出が実行される。大当り中演出としては、ラウンド数を報知する演出や、大当り遊技状態の価値が向上することを示す昇格演出が実行されてもよい。また、小当り遊技状態中にも、小当り遊技状態を報知する小当り中演出が実行される。なお、小当り遊技状態中と、一部の大当り種別(小当り遊技状態と同様の態様の大当り遊技状態の大当り種別で、例えばその後の遊技状態を高確状態とする大当り種別)での大当り遊技状態とで、共通の演出を実行することで、現在が小当り遊技状態中であるか、大当り遊技状態中であるかを遊技者に分からないようにしてもよい。そのような場合であれば、小当り遊技状態の終了後と大当り遊技状態の終了後とで共通の演出を実行することで、高確状態であるか低確状態であるかを識別できないようにしてもよい。
【0069】
また、例えば特図ゲーム等が実行されていないときには、画像表示装置5にデモ(デモンストレーション)画像が表示される(客待ちデモ演出が実行される)。
【0070】
(基板構成)
パチンコ遊技機1には、例えば
図9に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14、中継基板15などが搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1の背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、電源基板などといった、各種の基板が配置されている。
【0071】
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における上記遊技の進行(特図ゲームの実行(保留の管理を含む)、普図ゲームの実行(保留の管理を含む)、大当り遊技状態、小当り遊技状態、遊技状態など)を制御する機能を有する。主基板11は、遊技制御用マイクロコンピュータ100、スイッチ回路110、ソレノイド回路111などを有する。スイッチ回路110には、前述したゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第1始動口スイッチ22B、第2始動口スイッチ22C、第1カウントスイッチ23A、第2カウントスイッチ23B、第3カウントスイッチ23C、第4カウントスイッチ23D、第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23F、第7カウントスイッチ23G、第1アウトスイッチ41A、第2アウトスイッチ41B、第3アウトスイッチ41Cが接続されている。また、ソレノイド回路111には、前述したソレノイド82、ソレノイド81、ソレノイド86がそれぞれ接続されている。
【0072】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、ROM(Read Only Memory)101と、RAM(Random Access Memory)102と、CPU(Central Processing Unit)103と、乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105と、を備える。
【0073】
CPU103は、ROM101に記憶されたプログラムを実行することにより、遊技の進行を制御する処理(主基板11の機能を実現する処理)を行う。このとき、ROM101が記憶する各種データ(後述の変動パターン、後述の演出制御コマンド、後述の各種決定を行う際に参照される各種テーブルなどのデータ)が用いられ、RAM102がメインメモリとして使用される。RAM102は、その一部または全部がパチンコ遊技機1に対する電力供給が停止しても、所定期間記憶内容が保存されるバックアップRAMとなっている。なお、ROM101に記憶されたプログラムの全部又は一部をRAM102に展開して、RAM102上で実行するようにしてもよい。
【0074】
乱数回路104は、遊技の進行を制御するときに使用される各種の乱数値(遊技用乱数)を示す数値データを更新可能にカウントする。遊技用乱数は、CPU103が所定のコンピュータプログラムを実行することで更新されるもの(ソフトウェアで更新されるもの)であってもよい。
【0075】
I/O105は、例えば各種信号(後述の検出信号)が入力される入力ポートと、各種信号(第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどを制御(駆動)する信号、ソレノイド駆動信号)を伝送するための出力ポートとを含んで構成される。
【0076】
スイッチ回路110は、遊技球検出用の各種スイッチ(ゲートスイッチ21、始動口スイッチ(第1始動口スイッチ22A、第1始動口スイッチ22Bおよび第2始動口スイッチ22C)、カウントスイッチ23)からの検出信号(遊技球が通過又は進入してスイッチがオンになったことを示す検出信号など)を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送する。検出信号の伝送により、遊技球の通過又は進入が検出されたことになる。
【0077】
ソレノイド回路111は、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号(例えば、ソレノイド81やソレノイド82をオンする信号など)を、普通電動役物用のソレノイド81や大入賞口扉用のソレノイド82に伝送する。
【0078】
主基板11(遊技制御用マイクロコンピュータ100)は、遊技の進行の制御の一部として、遊技の進行に応じて演出制御コマンド(遊技の進行状況等を指定(通知)するコマンド)を演出制御基板12に供給する。主基板11から出力された演出制御コマンドは、中継基板15により中継され、演出制御基板12に供給される。当該演出制御コマンドには、例えば主基板11における各種の決定結果(例えば、特図ゲームの表示結果(大当り種別を含む。)、特図ゲームを実行する際に使用される変動パターン(詳しくは後述))、遊技の状況(例えば、可変表示の開始や終了、大入賞口の開放状況、入賞の発生、保留記憶数、遊技状態)、エラーの発生等を指定するコマンド等が含まれる。
【0079】
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、演出制御コマンドを受信し、受信した演出制御コマンドに基づいて演出(遊技の進行に応じた種々の演出であり、演出用可動体の駆動、エラー報知、電断復旧の報知等の各種報知を含む)を実行する機能を有する。
【0080】
演出制御基板12には、演出制御用CPU120と、ROM121と、RAM122と、表示制御部123と、乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
【0081】
演出制御用CPU120は、ROM121に記憶されたプログラムを実行することにより、表示制御部123とともに演出を実行するための処理(演出制御基板12の上記機能を実現するための処理であり、実行する演出の決定等を含む)を行う。このとき、ROM121が記憶する各種データ(各種テーブルなどのデータ)が用いられ、RAM122がメインメモリとして使用される。
【0082】
演出制御用CPU120は、コントローラセンサユニット35Aやプッシュセンサ35Bからの検出信号(遊技者による操作を検出したときに出力される信号であり、操作内容を適宜示す信号)に基づいて演出の実行を表示制御部123に指示することもある。
【0083】
表示制御部123は、VDP(Video Display Processor)、CGROM(Character Generator ROM)、VRAM(Video RAM)などを備え、演出制御用CPU120からの演出の実行指示に基づき、演出を実行する。
【0084】
表示制御部123は、演出制御用CPU120からの演出の実行指示に基づき、実行する演出に応じた映像信号を画像表示装置5に供給することで、演出画像を画像表示装置5に表示させる。表示制御部123は、さらに、演出画像の表示に同期した音声出力や、遊技効果ランプ9の点灯/消灯を行うため、音指定信号(出力する音声を指定する信号)を音声制御基板13に供給したり、ランプ信号(ランプの点灯/消灯態様を指定する信号)をランプ制御基板14に供給したりする。
【0085】
音声制御基板13は、スピーカ8L、8Rを駆動する各種回路を搭載しており、当該音指定信号に基づきスピーカ8L、8Rを駆動し、当該音指定信号が指定する音声をスピーカ8L、8Rから出力させる。
【0086】
ランプ制御基板14は、遊技効果ランプ9を駆動する各種回路を搭載しており、当該ランプ信号に基づき遊技効果ランプ9を駆動し、当該ランプ信号が指定する態様で遊技効果ランプ9を点灯/消灯する。このようにして、表示制御部123は、音声出力、ランプの点灯/消灯を制御する。
【0087】
なお、音声出力、ランプの点灯/消灯の制御(音指定信号やランプ信号の供給等)、演出用可動体を動作させる信号の供給等は、演出制御用CPU120が実行するようにしてもよい。
【0088】
乱数回路124は、各種演出を実行するために使用される各種の乱数値(演出用乱数)を示す数値データを更新可能にカウントする。演出用乱数は、演出制御用CPU120が所定のコンピュータプログラムを実行することで更新されるもの(ソフトウェアで更新されるもの)であってもよい。
【0089】
演出制御基板12に搭載されたI/O125は、例えば主基板11などから伝送された演出制御コマンドを取り込むための入力ポートと、各種信号(映像信号、音指定信号、ランプ信号)を伝送するための出力ポートとを含んで構成される。
【0090】
演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、主基板11以外の基板をサブ基板ともいう。パチンコ遊技機1のようにサブ基板が機能別に複数設けられていてもよいし、1のサブ基板が複数の機能を有するように構成してもよい。
【0091】
(動作)
次に、パチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。
【0092】
(主基板11の主要な動作)
次に、本実施の形態におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
【0093】
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
【0094】
特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
【0095】
また、CPU103は、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPU103は、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
【0096】
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
【0097】
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
【0098】
演出制御プロセス処理では、画像表示装置5の第1保留記憶表示エリア及び第2保留記憶表示エリアでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、飾り図柄の変動が開始されるように制御する飾り図柄変動開始処理、飾り図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、画像表示装置5の表示制御、スピーカ8L,8Rからの音出力、遊技効果ランプ9の発光及び演出用可動体の駆動制御等を行う飾り図柄変動中処理、飾り図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う飾り図柄変動停止処理を行う。
【0099】
当り表示処理においては、変動時間の終了後、画像表示装置5に当り(大当りや小当り)の発生を報知するための画面を表示する制御を行う。当り遊技中処理においては、大当り遊技中の制御を行う。当り終了演出処理においては、画像表示装置5において、当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。
【0100】
このように演出制御用CPU120は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンド(制御情報)に基づいて、飾り図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている。
【0101】
尚、演出制御用CPU120が飾り図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、例えば、大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、変動表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。
【0102】
本実施の形態では、以下に説明する可動体ユニットによる演出や、可動体ユニット、スピーカ8L,8R、及び遊技効果ランプ9等による複合演出や、遊技者がスティックコントローラ31Aまたはプッシュボタン31Bを操作したことを条件に実行される操作演出といった各種演出が各種予告として実行可能とされている。
【0103】
(遊技領域Yに関する説明)
本実施の形態のパチンコ遊技機1の遊技領域Yは、該遊技領域Yの略中央位置に配設された画像表示装置5の周囲を囲うセンター飾り枠の左側の左遊技領域2Lと右側の右遊技領域2Rとに分かれており、打球操作ハンドルにて弱めに打ち出された(左打ち)遊技球は左遊技領域2L(第1流下経路)を流下し、打球操作ハンドルにより強めに打ち出された(右打ち)遊技球はセンター飾り枠の上方に形成された上方経路2Cを通過して右遊技領域2R(第2流下経路)を流下するようになっている。
【0104】
また、左遊技領域2Lには、一般入賞口10と入賞球装置6Aとが配置されており、右遊技領域2Rには、遊技球が内部を通過可能な入賞ユニット700が配置されている。このため、遊技球は、左遊技領域2Lを流下することによって一般入賞口10と入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口Aに入賞可能となっており、右遊技領域2Rを流下することによって入賞ユニット700内に設けられた第1始動入賞口B、第2始動入賞口、大入賞口、通過ゲート、普電入賞口等(いずれも詳細は後述)に入賞可能となっている。尚、本実施の形態において第1始動入賞口Aに入賞した遊技球は、第1始動口スイッチ22A(
図9参照)にて検出された後に遊技盤2の背面側に誘導されて排出される。一般入賞口10に入賞した遊技球は、第7カウントスイッチ23G(
図9参照)にて検出された後に遊技盤2の背面側に誘導されて排出される。そして、該第1始動口スイッチ22Aにおいて遊技球が検出されたことにもとづいて第1特別図柄の可変表示が実行されるようになっている。
【0105】
尚、本実施の形態における入賞球装置6Aの下方には左遊技領域2Lや右遊技領域2Rを流下してきた遊技球が進入する第1アウト口が形成されており、該第1アウト口に進入した遊技球は、第1アウトスイッチ41Aにて検出された後に遊技盤2の背面側に誘導されて排出される。
【0106】
図2~
図5に示すように、入賞ユニット700は、遊技盤2に対して前方から取り付けられる前部ユニット700Aと、遊技盤2に対して後方から取り付けられる後部ユニット700Bと、から主に構成されている。入賞ユニット700の上端部には開口部700aが形成されており、該開口部700aから遊技球が入賞ユニット700内に進入可能となっている。そして、入賞ユニット700内には、開口部700aから該入賞ユニット700内に進入した遊技球が流下可能な第1遊技球流路711及び第2遊技球流路712が形成されている。
【0107】
第1遊技球流路711の上流部には、該第1遊技球流路711から第1分岐路711bが分岐する第1分岐部711aが設けられており、第1遊技球流路711の中流部には、該第1遊技球流路711から第2分岐路711dが分岐する第2分岐部711cが設けられている。更に、第1遊技球流路711の下流部には、該第1遊技球流路711から第3分岐路711fが分岐する第3分岐部711eが設けられている。
【0108】
入賞ユニット700の下部には、特別可変入賞球装置7が設けられている。該特別可変入賞球装置7は、ソレノイド82(
図9参照)の駆動によって開閉駆動させる大入賞口扉を備え、該大入賞口によって開放状態と閉鎖状態とに変化する大入賞口を形成する。大入賞口は、入賞ユニット700の下部において、上向きに開放するように形成されている。尚、大入賞口扉は、ソレノイド82の駆動によって大入賞口を閉鎖する閉鎖位置と、大入賞口を開放する開放位置との間で前後方向にスライド移動可能となっている。
【0109】
特別可変入賞球装置7では、ソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)し易くする。その一方で、ソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。このように大入賞口は、遊技球が通過(進入)し易い遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。尚、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)し難い一部開放状態を設けてもよい。
【0110】
尚、前述した第1遊技球流路711や第2遊技球流路712を特別可変入賞球装置7まで流下してきた遊技球は、大入賞口が開放状態であれば該大入賞口を通過し、大入賞口が閉鎖状態であれば大入賞口扉上を第1アウト口に向けて流下する。大入賞口を通過(進入)した遊技球は、大入賞口内に設けられた第1カウントスイッチ23Aを通過することで、該第1カウントスイッチ23Aによって検出される。第1カウントスイッチ23Aを通過した遊技球は、第2カウントスイッチ23Bまたは第3カウントスイッチ23Cにて検出された後に遊技盤2の背面側に誘導されて排出されるようになっている。
【0111】
また、
図5に示すように、第4カウントスイッチ23Dにて構成される普電入賞口の下方には、第1遊技球流路711側とアウト用流路714側とに連通する連通口が形成されており、第1遊技球流路711を流下する遊技球の一部は、該連通口を通過してアウト用流路714に向けて流下するようになっている。
【0112】
尚、本実施の形態における遊技盤2の背面側(後部ユニット700B)には、後述する第1リンク機構720及び第2リンク機構730が設けられており、遊技盤の背面側にはアウト用流路714を形成するための十分なスペースが存在しない。このため、本実施の形態におけるアウト用流路714は遊技盤2の前方側(前部ユニット700A)に形成されている。
【0113】
第1分岐部711aには、後述する第1リンク機構720の作動によって第1分岐路711bに遊技球が進入不能なように閉鎖する閉鎖位置と第1分岐路711bに遊技球が進入可能なように開放する開放位置との間で揺動可能な球受部材602が設けられている。尚、球受部材602における閉鎖位置とは、第1遊技球流路711を流下する遊技球を阻害しないよう第1遊技球流路711上から退避する位置であり、球受部材602における開放位置とは、第1遊技球流路711を流下する遊技球を受けて該遊技球を第1分岐路711bに向けて誘導可能なように第1遊技球流路711上に突出する位置である。
【0114】
また、第2分岐部711cには、後述する第2リンク機構730の駆動によって第2分岐路711dに遊技球が進入不能なように閉鎖する閉鎖位置と第2分岐路711dに遊技球が進入可能なように開放する開放位置との間で揺動可能な球受部材703が設けられている。尚、球受部材703における閉鎖位置とは、第1遊技球流路711を流下する遊技球を阻害しないよう第1遊技球流路711上から退避する位置であり、球受部材703における開放位置とは、第1遊技球流路711を流下する遊技球を受けて該遊技球を第2分岐路711dに向けて誘導可能なように第1遊技球流路711上に突出する位置である。
【0115】
更に、第3分岐部711eには、可変入賞球装置6B(普通電動役物)としての板状のスライド部材704が設けられている。該スライド部材704は、ソレノイド81(
図11参照)の駆動によって第1遊技球流路711に突出することで遊技球を受けて該遊技球を第3分岐路711fに誘導する突出位置と、第1遊技球流路711から退避することで遊技球の第1遊技球流路711での流下を阻害しない退避位置と、の間で前後方向にスライド可能に設けられている。つまり、第3分岐路711fは、スライド部材704が退避位置に位置しているときには遊技球が進入不能または進入困難な状態であり、スライド部材704が突出位置に位置しているときには遊技球が進入可能または進入容易な状態である。
【0116】
このように、本実施の形態において第1遊技球流路711を流下する遊技球は、該第1遊技球流路711から第1分岐路711b、第2分岐路711d、第3分岐路711fのいずれかに進入可能となっている。このうち第1分岐路711bに進入した遊技球は、該第1分岐路711bが形成する第1始動入賞口Bに入賞し、該第1分岐路711bに設けられている第1始動口スイッチ22Bにて検出される。第2分岐路711dに進入した遊技球は、該第2分岐路711dが形成する第2始動入賞口に入賞し、該第2分岐路711dに設けられている第2始動口スイッチ22Cにて検出される。
【0117】
尚、本実施の形態における可変入賞球装置6Bとして、ソレノイド81(駆動源)により退避位置と突出位置とで前後方向にスライド移動するスライド部材704を有する電動式の可変入賞球装置を適用した形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、可変入賞球装置6Bとしては、第1状態(例えば、スライド部材704が退避位置に位置している状態)と第2状態(例えば、スライド部材704が突出位置に位置している状態)とで第3分岐路711fを遊技球が進入困難な状態と進入容易な状態とに変化させることが可能な形態であれば、例えば、第3分岐路711fをスライド移動によって開閉可能な蓋体や、揺動することで第3分岐路711fを遊技球が進入困難な状態と進入容易な状態とに変化可能な部材(所謂電動チューリップ)等であってもよい。
【0118】
第1始動口スイッチ22Bや第2始動口スイッチ22Cにて検出された後の遊技球は、
図5に示すように、入賞ユニット700の右部に設けられたアウト用流路714を流下する。そして、第1遊技球流路711から流入してきた遊技球を含むアウト用流路714を流下する遊技球は、入賞ユニット700の下端部(アウト用流路714の最下流部)に形成された第2アウト口に進入することで第2アウトスイッチ41Bによって検出された後に遊技盤2の背面側に向けて排出される。尚、本実施の形態における第2アウト口は、
図5に示すように、入賞ユニット700内に設けられているため、右遊技領域2Rを流下する遊技球(入賞ユニット700内を流下する遊技球)のみが進入可能なアウト口である。
【0119】
つまり、第2アウトスイッチ41Bは、第1始動入賞口Bや第2始動入賞口に入賞した後にアウト用流路714を流下する遊技球を検出可能である一方で、第1始動入賞口Aに入賞した遊技球については検出不能となっている。
【0120】
また、第3分岐路711fに進入した遊技球は、該第3分岐路711fが形成する普電入賞口に入賞し、該普電入賞口を構成する第4カウントスイッチ23Dにて検出される。第4カウントスイッチ23Dにて検出された後の遊技球は、第3分岐路711fを介して遊技盤2の背面側に進入する。
【0121】
尚、第3分岐路711fを介して進入可能な遊技盤2の背面側には、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、遊技球を検出可能な第5カウントスイッチ23Eと第6カウントスイッチ23Fとが左右に並設されているとともに、振分部材25が設けられている。振分部材25は、ソレノイド86(
図9参照)の駆動によって左右に移動することによって、遊技球の第6カウントスイッチ23Fへの進入(第6カウントスイッチ23Fによる遊技球の検出)を規制するとともに第5カウントスイッチ23Eへの進入(第5カウントスイッチ23Eによる遊技球の検出)を誘導する第1誘導状態と、遊技球の第5カウントスイッチ23Eへの進入(第5カウントスイッチ23Eによる遊技球の検出)を規制するとともに第6カウントスイッチ23Fへの進入(第6カウントスイッチ23Fによる遊技球の検出)を誘導する第2誘導状態と、に変化可能となっている。
【0122】
尚、第3分岐路711fから第5カウントスイッチ23Eに進入した(第5カウントスイッチ23Eによって検出された)遊技球は、第1リンク機構720(
図7参照)を作動状態に変化させることによって球受部材602を閉鎖位置から開放位置に移動させる。尚、第1リンク機構720を作動状態に変化させた後の遊技球は遊技盤2の背面側を流下することで排出され、該遊技球が流下したことにもとづいて第1リンク機構720が非作動状態(初期状態)に変化する。
【0123】
具体的には、
図7(A)及び
図7(B)に示すように、第1リンク機構720は、後部ユニット700Bに内蔵された機構であり、主に第1リンク部材721、第2リンク部材722、第3リンク部材723、作動部材604、回転軸部材603から構成されている。
【0124】
このうち第1リンク部材721は、第5カウントスイッチ23Eの下方に配置されているとともに、前方側の一端が遊技球を受け止め可能な形状に形成されており、後方側の他端が第2リンク部材722の下端部に連動可能に接続されている。また、第1リンク部材721は、図示しない左右方向を向く枢軸によって上下方向に揺動可能となっている。
【0125】
第2リンク部材722は、上下方向に長寸である棒状の部材であり、上下方向にスライド移動可能に設けられている。そして、第2リンク部材722の上端部には第3リンク部材723の後方側の一端が連動可能に接続されており、第3リンク部材723の前方側の他端には作動部材604の後方側の一端、作動部材604の前方側の他端には回転軸部材603がそれぞれ連動可能に接続されている。
【0126】
このため、
図7(A)及び
図7(B)に示すように第1リンク部材721が一端で第5カウントスイッチ23Eを通過した遊技球を受け止めることで揺動する(他端が上方に向けて移動する)ことによって第2リンク部材722が上方に向けてスライド移動すると、該第2リンク部材722の上方へのスライド移動に連動して第3リンク部材723、作動部材604、回転軸部材603が動作し、該回転軸部材603の動作によって球受部材602が閉鎖位置から開放位置に移動する。
【0127】
尚、第1リンク部材721の一端から遊技球が流下すると、第2リンク部材722の荷重G1によって後部ユニット700Bと第2リンク部材722間に設けられているバネ726の復元力に抗して該第2リンク部材722が下方に向けてスライド移動する。このとき、該第2リンク部材722の下方へのスライド移動に連動して第3リンク部材723、作動部材604が動作して非作動状態に戻る。一方、球受部材602が開放位置に位置している状態で第1分岐路711bに進入した遊技球により球受部材602が開放位置から閉鎖位置まで回動するとともに回転軸部材603が回動する。
【0128】
また、第3分岐路711fから第6カウントスイッチ23Fに進入した(第6カウントスイッチ23Fによって検出された)遊技球は、第2リンク機構730を駆動させることによって球受部材703を閉鎖位置から開放位置に移動させる。尚、第2リンク機構730を駆動させた後の遊技球は、遊技盤2の背面側を流下することで排出され、該遊技球が流下したことにもとづいて第2リンク機構730が球受部材703を開放位置から閉鎖位置に移動させるようになっている。
【0129】
具体的には、
図8(A)及び
図8(B)に示すように、第2リンク機構730は、後部ユニット700Bに内蔵された機構であり、主に第1リンク部材731、第2リンク部材732、第3リンク部材733、作動部材734、回転軸部材735から構成されている。
【0130】
このうち第1リンク部材731は、第5カウントスイッチ23Eの下方に配置されているとともに、前方側の一端が遊技球を受け止め可能な形状に形成されており、後方側の他端が第2リンク部材732の下端部に連動可能に接続されている。また、第1リンク部材731は、図示しない左右方向を向く枢軸によって上下方向に揺動可能となっている。
【0131】
第2リンク部材732は、上下方向に長寸である棒状の部材であり、上下方向にスライド移動可能に設けられている。そして、第2リンク部材732の上端部には第3リンク部材733の後方側の一端が連動可能に接続されており、第3リンク部材733の前方側の他端には作動部材734の後方側の一端、作動部材734の前方側の他端には回転軸部材735がそれぞれ連動可能に接続されている。
【0132】
このため、
図8(A)及び
図8(B)に示すように第1リンク部材731が一端で第5カウントスイッチ23Eを通過した遊技球を受け止めることで揺動する(他端が上方に向けて移動する)ことによって第2リンク部材732が上方に向けてスライド移動すると、該第2リンク部材732の上方へのスライド移動に連動して第3リンク部材733、作動部材604、回転軸部材735が動作し、該回転軸部材735の動作によって球受部材703が閉鎖位置から開放位置に移動する。
【0133】
尚、第1リンク部材731の一端から遊技球が流下すると、第2リンク部材732の荷重によって後部ユニット700Bと第2リンク部材732間に設けられているバネ736の復元力に抗して該第2リンク部材732が下方に向けてスライド移動する。このとき、該第2リンク部材732の下方へのスライド移動に連動して第3リンク部材733、作動部材734が動作して非作動状態に戻る。一方、球受部材703が開放位置に位置している状態で第2分岐路711dに進入した遊技球により球受部材703が開放位置から閉鎖位置まで回動するとともに回転軸部材735が回動する。
【0134】
このように、第1リンク機構720及び第2リンク機構730は、第3分岐路711fに進入した遊技球が第1リンク部材721,731に作用(接触)することにより非作動状態から作動状態に変化することにより、非電動可変入賞球装置600A,600Bを後述する第1状態(閉鎖状態)から第2状態(開放状態)に変化させる。
【0135】
図5に戻り、第1遊技球流路711における第2分岐部711cと第3分岐部711eとの間には、遊技球を検出可能なゲートスイッチ21が設けられている。尚、本実施の形態において遊技球がゲートスイッチ21にて検出された場合、CPU103は普通図柄の可変表示を実行可能となっており、普通図柄の可変表示結果が当りの組み合わせで導出表示されたことにもとづいて前述したスライド部材704が複数の動作パターンのいずれかにて動作するとともに、振分部材25が特定の動作パターンにて動作するようになっている。
【0136】
具体的には、スライド部材704は、普通図柄の可変表示結果が当りとなったことにもとづいて、ソレノイド81の駆動により動作パターンA~動作パターンEのいずれかにて動作する。尚、本実施の形態におけるスライド部材704は、普通図柄の可変表示結果が当りとなったことにもとづいて動作する場合以外では、退避位置に配置されている。
【0137】
一方、振分部材25は、普通図柄の可変表示結果が当りとなったことにもとづいて、4msに亘って第1誘導状態(
図6(A)参照)を維持した後に16msに亘って第2誘導状態、4996msに亘って第1誘導状態、5000msに亘って第2誘導状態をそれぞれ維持し、第1誘導状態となる。
【0138】
尚、
図5に示すように、突出位置に配置されているスライド部材704によって第3分岐路711fに進入した遊技球は、所定距離を流下した後に振分部材25によって振り分けられるようになっているので、スライド部材の動作パターンが動作パターンA~動作パターンDである場合には、遊技球は第1誘導状態である振分部材25に到達することによって第5カウントスイッチ23E(第1作動口)を通過するように振り分けられる。一方で、スライド部材704の動作パターンが動作パターンEである場合には、遊技球は第2誘導状態である振分部材25に到達することによって第6カウントスイッチ23F(第2作動口)を通過するように振り分けられる。
【0139】
前述したように、第5カウントスイッチ23Eを通過した遊技球は、第1リンク機構720を動作させることによって球受部材602を閉鎖位置から開放位置に移動させ、第6カウントスイッチ23Fを通過した遊技球は、第2リンク機構730を動作させることによって球受部材703を閉鎖位置から開放位置に移動させるので、振分部材25が4996msに亘って第1誘導状態であるときに遊技球が振分部材25に到達することによって第1始動入賞口Bに遊技球が入賞可能となり、振分部材25が5000msに亘って第2誘導状態であるときに遊技球が振分部材25に到達することによって第2始動入賞口に遊技球が入賞可能となる。
【0140】
尚、本実施の形態では、スライド部材704の動作パターンA~動作パターンEの決定割合は、普通図柄の可変表示結果が当りとなったときの遊技状態に応じて異なっている。具体的には、本実施の形態における遊技状態としては、大当り遊技状態や小当り遊技状態を除き、低ベース状態と、時短制御を伴う第1高ベース状態及び第2高ベース状態が設けられている。このうち第1高ベース状態と第2高ベース状態とは、本実施の形態における高ベース状態であるが、スライド部材704の動作パターンA~動作パターンEの決定割合が異なっている。
【0141】
具体的には、遊技状態が低ベース状態(通常状態)である場合は、スライド部材704の動作パターンとして、100%の割合で動作パターンAが決定され、0%の割合で動作パターンBが決定され、0%の割合で動作パターンCが決定され、0%の割合で動作パターンDが決定され、0%の割合で動作パターンEが決定される。遊技状態が第1高ベース状態である場合は、スライド部材704の動作パターンとして、0%の割合で動作パターンAが決定され、50%の割合で動作パターンBが決定され、20%の割合で動作パターンCが決定され、20%の割合で動作パターンDが決定され、10%の割合で動作パターンEが決定される。遊技状態が第2高ベース状態である場合は、スライド部材704の動作パターンとして、0%の割合で動作パターンAが決定され、0%の割合で動作パターンBが決定され、0%の割合で動作パターンCが決定され、0%の割合で動作パターンDが決定され、100%の割合で動作パターンEが決定される。
【0142】
つまり、本実施の形態における低ベース状態とは、遊技球を左遊技領域2Lに打ち出すことによって第1始動入賞口Aと一般入賞口とに入賞可能な遊技状態であり、第1高ベース状態とは、遊技球を右遊技領域2Rに打ち出すことによって第1始動入賞口Bと普電入賞口に入賞可能な遊技状態であり、第2高ベース状態とは、遊技球を右遊技領域2Rに打ち出すことによって第1始動入賞口B、第2始動入賞口及び普電入賞口に入賞可能な遊技状態である。
【0143】
尚、本実施の形態では、
図7(B)に示すように、遊技状態が低ベース状態である場合は、スライド部材704の動作パターンとして動作パターンEが決定されない、すなわち、低ベース状態において普図当りが発生した場合については遊技球が普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に入賞しても第1始動入賞口Bのみが開放されるため、該第1始動入賞口Bへの始動入賞にもとづく可変表示結果が小当りとなる確率が極めて低い。
【0144】
図5に示すように、入賞ユニット700の左部には、第1遊技球流路711や第2遊技球流路712に進入した遊技球が流下する第3遊技球流路713が形成されている。該第3遊技球流路713を流下する遊技球は、前述した第1始動入賞口Bや第2始動入賞口、普電入賞口、大入賞口等に入賞することなく第3アウト口に進入し、第3アウトスイッチ41Cに検出された後に遊技盤2の背面側に誘導され排出されるようになっている。
【0145】
以上のように、本実施の形態におけるパチンコ遊技機1では、第1始動入賞口Aに入賞する遊技球は第1始動口スイッチ22Aにてのみ検出されるようになっており、第1始動入賞口Bに入賞する遊技球は第1始動口スイッチ22Bにて検出された後に第2アウトスイッチ41Bにて検出されるようになっている。また、第2始動入賞口に入賞する遊技球は第2始動口スイッチ22Cにて検出された後に第2アウトスイッチ41Bにて検出されるようになっている。
【0146】
更に、大入賞口に入賞する遊技球は、第1カウントスイッチ23Aにて検出された後に第2カウントスイッチ23Bまたは第3カウントスイッチ23Cにて検出されるようになっており、普電入賞口に入賞する遊技球は、第4カウントスイッチ23Dにて検出された後に第5カウントスイッチ23Eまたは第6カウントスイッチ23Fにて検出されるようになっており、一般入賞口10に入賞する遊技球は、第7カウントスイッチ23Gにて検出されるようになっている。
【0147】
尚、本実施の形態における特別可変入賞球装置7内には、図示しないソレノイドの駆動によって第1カウントスイッチ23Aにて検出された遊技球を第2カウントスイッチ23Bと第3カウントスイッチ23Cとに振り分ける振分部材が設けられている。該振分部材は、小当り遊技中の特定の期間のみ遊技球を第2カウントスイッチ23Bに向けて振り分けるように動作する。このため、本実施の形態における小当り遊技中は、遊技球が大入賞口に入賞したとしても必ずしもこれら遊技球が第2カウントスイッチ23Bにて検出されるわけでは無いようになっている。
【0148】
そして、第1アウト口に進入する遊技球は、第1アウトスイッチ41Aにて検出されるようになっており、第2アウト口に進入する遊技球は、第2アウトスイッチ41Bにて検出されるようになっており、第3アウト口に進入する遊技球は、第3アウトスイッチ41Cにて検出されるようになっている。
【0149】
本実施の形態では、大当り種別として、大当り遊技状態の終了後において遊技状態が低ベース状態に移行する大当りAと、大当り遊技状態の終了後において遊技状態が第1高ベース状態に移行する大当りB、大当り遊技状態の終了後において遊技状態が第2高ベース状態に移行する大当りC~大当りFが設けられている。
【0150】
これら大当りA~大当りFのうち、大当りA~大当りCは、大入賞口を遊技者にとって有利な第2状態に変化させるラウンドが4回(いわゆる4ラウンド)、繰返し実行される大当りである。大当りDは、大入賞口を遊技者にとって有利な第2状態に変化させるラウンドが15回(いわゆる15ラウンド)、繰返し実行される大当りであり、大当りEは、大入賞口を遊技者にとって有利な第2状態に変化させるラウンドが9回(いわゆる9ラウンド)、繰返し実行される大当りであり、大当りFは、大入賞口を遊技者にとって有利な第2状態に変化させるラウンドが14回(いわゆる14ラウンド)、繰返し実行される大当りである。
【0151】
また、大当りBの大当り遊技終了後に移行する第1高ベース状態は、第1特別図柄の可変表示と第2特別図柄の可変表示が合計で100回実行されるまで、或いは、第1特別図柄の可変表示と第2特別図柄の可変表示が合計で100回実行される前に大当りが発生するまで時短制御が実行される。そして、大当りC~大当りFの大当り遊技終了後に移行する第2高ベース状態は、第1特別図柄の可変表示が100回実行されるまで、第2特別図柄の可変表示が10回実行されるまで、第1特別図柄の可変表示と第2特別図柄の可変表示が合計で100回実行されるまで、或いは、第1特別図柄の可変表示が100回実行されるまで、第2特別図柄の可変表示が10回実行されるまで、第1特別図柄の可変表示と第2特別図柄の可変表示が合計で100回実行されるまでのいずれかの条件が成立する前に大当りが発生するまで時短制御が実行される。
【0152】
尚、大当りBの大当り遊技終了時、CPU103は、大当り終了処理において時短フラグとともに遊技状態が第1高ベース状態であることを示す第1高ベース状態フラグをセットする。また、大当りC~大当りFの大当り遊技終了時、CPU103は、大当り終了処理(117)において時短フラグとともに遊技状態が第2高ベース状態であることを示す第2高ベース状態フラグをセットする。このようにすることで、CPU103は、普図当り時のスライド部材704の動作パターンを、低ベース状態、第1高ベース状態、第2高ベース状態の3つの遊技状態において異なる割合で決定することが可能となっている。
【0153】
前述したように、第1高ベース状態とは、遊技球を右遊技領域2Rに打ち出すことによって第1始動入賞口Bと普電入賞口に入賞可能な遊技状態であり、第2高ベース状態とは、遊技球を右遊技領域2Rに打ち出すことによって第1始動入賞口B、第2始動入賞口及び普電入賞口に入賞可能な遊技状態である。
【0154】
尚、高ベース状態においては、「普図当り」となる確率が上昇することで通常状態(低ベース状態)よりもスライド部材704が退避位置から突出位置に突出し易くなることで、普電入賞口に入賞した遊技球によって第1始動入賞口Bや第2始動入賞口が開放され、遊技球これら第1始動入賞口Bや第2始動入賞口に入賞し易くなる。特に第2高ベース状態においては、第2始動入賞口が頻繁に開放されることにより第2特別図柄の可変表示結果が第1特別図柄の可変表示結果よりも高い割合で小当りとなる。このため、第2高ベース状態においては、小当り遊技中に遊技球がV入賞することにより大当りが発生することで、大当り遊技状態が通常状態を介すること無く連続的に発生し易い所謂連荘状態となる。尚、本実施の形態では、大当り種別として大当りA~大当りFの6種類が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、設ける大当り種別は7種類以上や5種類以下であってもよい。
【0155】
また、入賞ユニット700内には、大入賞口に入賞した遊技球を検出可能な第2カウントスイッチ23Bが設けられており、小当り遊技中に遊技球が第2カウントスイッチ23Bによって検出される(小当り遊技中に遊技球が第2カウントスイッチ23Bを通過する)ことによって大当り遊技状態に制御されるようになっているので、小当り遊技中に遊技球が第2カウントスイッチ23Bを通過するか否かに遊技者を注目させることができ、遊技興趣を向上できる。
【0156】
本実施の形態では、第2高ベース状態は、大当りが発生することを除けば、第1特別図柄の可変表示が100回実行されること、第2特別図柄の可変表示が10回実行されること、第1特別図柄の可変表示と第2特別図柄の可変表示が合計で100回実行されることのいずれかが成立することにもとづいて終了する(遊技状態が低ベース状態に移行する)形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2高ベース状態については、例えば、第2特別図柄の可変表示が100回実行されることにもとづいて低ベース状態に移行する、つまり、実質次の大当り(小当り経由の大当りを含む)が発生するまで第2高ベース状態が継続するようにしてもよい。
【0157】
また本実施の形態では、遊技状態が第1高ベース状態や第2高ベース状態である場合は、特別図柄の可変表示回数を条件に遊技状態が低ベース状態に移行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技状態が第1高ベース状態や第2高ベース状態である場合は、可変表示結果が小当りとなった回数が所定回数(例えば、10回)に達したことを条件に遊技状態が低ベース状態に移行してもよい。
【0158】
このように本実施の形態では、遊技状態に応じてスライド部材704の動作パターンが異なることで、遊技状態が低ベース状態や第1高ベース状態である場合には、普図当りにより第3分岐路711fに進入した遊技球が作用することにより非電動可変入賞球装置600Bが第2状態に変化するよりも高い割合で非電動可変入賞球装置600Aが第2状態に変化する、つまり、第2始動入賞よりも高い割合で第1始動入賞が発生するので、小当りの発生確率が低い一方で、第2高ベース状態である場合には、普図当りにより第3分岐路711fに進入した遊技球により非電動可変入賞球装置600Aが第2状態に変化するよりも高い割合で非電動可変入賞球装置600Bが第2状態に変化する、つまり、第1始動入賞よりも高い割合で第2始動入賞が発生するので、小当りを経由した大当りが発生する確率が高まるようになっている。
【0159】
(非電動可変入賞球装置600A,600B)
次に、非電動可変入賞球装置600A,600Bの構造について、
図10~
図13に基づいて説明する。
図10は、(A)は非電動可変入賞球装置を斜め前から見た状態を示す斜視図、(B)は非電動可変入賞球装置を斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。
図11は、(A)は閉鎖状態の非電動可変入賞球装置を示す正面図及び右側面図、(B)は開放状態の非電動可変入賞球装置を示す正面図及び右側面図である。
図12は、(A)は開放状態の非電動可変入賞球装置に遊技球が進入したときの状態を示す正面図及び右側面図、(B)は(A)の状態から遊技球が流下したときの状態を示す正面図及び右側面図である。
図13は、第1リンク機構及び第2リンク機構を被覆する被覆部材を斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。
【0160】
非電動可変入賞球装置600Aは、前述した第1リンク機構720や球受部材602等を含み、遊技球が第1遊技球流路711から第1分岐路711bに進入不能(進入困難)な第1状態(進入困難状態、閉鎖状態)と、進入可能な第2状態(進入可能状態、開放状態)と、に変化させることに関わる装置全体を指す(
図5参照)。また、非電動可変入賞球装置600Bは、前述した第2リンク機構730や球受部材703等を含み、遊技球が第1遊技球流路711から第2分岐路711dに進入不能(進入困難)な第1状態(進入困難状態、閉鎖状態)と、進入可能な第2状態(進入可能状態、開放状態)と、に変化させることに関わる装置全体を指す(
図5参照)。尚、非電動可変入賞球装置600A,600B(非電動可変手段)は、1個の遊技球が進入したときに閉鎖状態になり、基本構成はほぼ同一であるため、以下においては上段の非電動可変入賞球装置600Aについて説明し、下段の非電動可変入賞球装置600Bについての詳細な説明は省略する。
【0161】
図10~
図12に示すように、非電動可変入賞球装置600Aは、遊技球が進入可能な第1始動入賞口B(特定進入領域)と、第1始動入賞口Bを閉鎖状態(第1状態)と開放状態(第2状態)とに変化させるための球受部材602(可動部材)と、左右方向を向く軸心を中心として回転可能に設けられた回転軸部材603(作動部材、特定作動部材)と、回転軸部材603に対し後側から接触可能に設けられ、第5カウントスイッチ23E(第1作動口)に進入した遊技球が接触することにより作動して第1始動入賞口Bを開放状態に変化させるための作動部材604(作動部材、特定作動部材)と、回転軸部材603の回転規制が可能な規制部材605(阻止手段)と、第1始動入賞口Bから進入した遊技球を検出可能な第1始動口スイッチ22Aと、球受部材602が原点位置に位置していることを検出する原点位置検出スイッチ(図示略)と、を主に備える。
【0162】
球受部材602は、前部ユニット700Aのベース部材(
図5参照)に形成された前後方向を向く回動軸610に下端部が回動可能に軸支されており、前板220F(遊技盤面)に対し垂直な垂直面からなる球受部611が起立して第1始動入賞口Bを閉鎖する閉鎖位置(
図11(A)参照)と、球受部611の上部が右側に傾倒して第1始動入賞口Bを開放する開放位置(
図11(B)参照)との間で回動軸610を中心として回動可能とされている。また、球受部611の先端側には、回動軸610側に向けて凹状に湾曲する湾曲面614が形成されており、球受部611の先端に落下した遊技球Pを回動軸610側に誘導しやすくなっている。尚、球受部材602は、閉鎖位置において回動軸610よりも右側に重心位置がある。
【0163】
球受部611には、開放位置において前部ユニット700Aの前面に突設された球受片(図示略)に対応する部分に切欠部612が形成されており、開放位置において前記球受片(図示略)が球受部611の一部を構成するようになっている。
【0164】
前板220Fには、第1始動入賞口Bから進入した遊技球を背面側に誘導するための進入口613が形成されており、前板220Fの背面側における進入口613の上部付近には、回転軸部材603、規制部材605及び作動部材604が、各々左右方向を向く軸心を中心として回転可能に設けられている。
【0165】
回転軸部材603は、前部ユニット700Aのベース部材に回転可能に支持された左右方向を向く軸部621と、軸部621の周面に突設され、球受部材602を閉鎖位置に保持するための保持片622と、軸部621の周面における保持片622の右側に突設され、第1始動入賞口Bに進入した遊技球に接触可能な接触軸623A,623Bと、軸部621の周面における接触軸623A,623Bの右側に複数(本例では4個)形成され、規制部材605が係合可能な凹部624と、軸部621の周面における凹部624の右側に作動部材604に接触可能に突設された連動軸625と、軸部621の周面における保持片622の左側に突設され、球受部材602が原点位置に位置しているときに原点位置検出スイッチ(図示略)により検出される被検出片627と、を有する。
【0166】
作動部材604は、回転軸部材603の後側に設けられ、前部ユニット700Aのベース部材に回転可能に支持された左右方向を向く軸部631と、軸部631よりも後方側に配設され、第3リンク部材723に接触可能に設けられる被作用軸部632と、軸部631における被作用軸部632の反対側(前方側)に連動軸625に接触可能に設けられる作動部635と、作動部材604を右側面視において反時計回りに付勢するトーションバネ637(阻止手段)と、を有する。
【0167】
作動部材604は、被作用軸部632が軸部631よりも上方に配置される待機位置(
図11(A)参照)と、待機位置よりも右側面視時計回りに回動し、被作用軸部632が軸部631よりも下方に配置される作動位置(
図11(B)参照)と、の間で回動可能とされている。また、トーションバネ637は、該トーションバネ637の付勢力F1を上回る第3リンク部材723(作動部材、特定作動部材)の作動力が被作用軸部632に働いたときに圧縮方向に屈曲して作動部材604を作動位置側に回動させるとともに、作動位置まで回動して第3リンク部材723が被作用軸部632から離れたときに、作動部材604を付勢力F1にて待機位置に復帰させる。尚、作動部材604の待機位置にあっては、所定の規制手段(図示略)により作動部材604がトーションバネ637の付勢力F1によりそれ以上回動しないように規制されている。
【0168】
規制部材605は、作動部材604の上方に設けられ、前部ユニット700Aのベース部材に回転可能に支持された左右方向を向く軸部641と、軸部641の周面に突設され、回転軸部材603の各凹部624に選択的に係止可能な係止部642と、規制部材605を右側面視において反時計回りに付勢するトーションバネ647(阻止手段)と、を有する。また、トーションバネ647は、係止部642が回転軸部材603の凹部624に係止されている状態において、所定以上の力が作用したときに係止部642が凹部624から逸脱する付勢力F4にて付勢する。
【0169】
図11(A)に示すように、非電動可変入賞球装置600Aが閉鎖状態であるとき、球受部材602は閉鎖位置に位置する。このとき、回転軸部材603の保持片622は、球受部材602の球受部611の下部に当接することで、球受部材602は閉鎖位置に保持する。また、回転軸部材603の接触軸623A,623Bは遊技球に接触不可な位置となる。一方、作動部材604の被作用軸部632は待機位置に保持され、作動部635は連動軸625の下方に近接している。尚、このとき、第3リンク部材723は、被作用軸部632から若干離間している(接触していない)。
【0170】
また、規制部材605の係止部642は凹部624に係止されているため、例えば、パチンコ遊技機1を製造メーカら遊技場等に輸送する際など搬送する際に生じる振動や、パチンコ遊技機1による遊技に伴い発生する振動(例えば、演出用可動体などが動作したときに生じる振動)や、パチンコ遊技機1に外力が加えられることにより生じる振動等により、回転軸部材603が回転することが防止されている。具体的には、規制部材605の係止部642はトーションバネ647の付勢力F4により付勢されているため、トーションバネ647の付勢力F4以下の外力により回転軸部材603が回転することが防止されている。さらに、作動部材604は、トーションバネ637の付勢力F1により待機位置に復帰しているので、トーションバネ637の付勢力F1以下の外力により作動部材604が回転軸部材603を回転させる(作動させる)ことが防止されている。
【0171】
次いで、
図11(B)に示すように、第1リンク部材721が遊技球を受け止める(
図7(B)参照)ことで第2リンク部材722を押し上げ、第3リンク部材723が右側面視反時計回りに回動し、該第3リンク部材723が被作用軸部632に接触し押し下げる。これにより作動部材604が待機位置から作動位置まで回動し、これに応じて作動部635が連動軸625に対し下方から接触して連動軸625を押し上げることで、回転軸部材603が右側面視時計回りに約90度回転する。そして、係止部642が凹部624から逸脱して隣の凹部624に係止される。
【0172】
すなわち、作動部材604には、遊技球Pの荷重G2から荷重G3(荷重G1から付勢力F2分が相殺された荷重)を相殺した分の力F10が伝わる(F10=G2-G3)。この力F10は、トーションバネ637の付勢力F1に抗して作動部材604を回動させることから、付勢力F1よりも大きくなっている(F10>F1)。言い換えれば、トーションバネ637の付勢力F1以下の力では、作動部材604が回動しないようになっている。
【0173】
また、回転軸部材603には、力F10からトーションバネ637の付勢力F1を相殺した分の力F11が伝わる(F11=F10-F1)。この力F11は、トーションバネ647の付勢力F4に抗して規制部材605を回動させることから、付勢力F4よりも大きくなっている(F11>F4)。言い換えれば、トーションバネ647の付勢力F4以下の力では、規制部材605が回動し凹部624から逸脱しないようになっている。
【0174】
また、回転軸部材603及び作動部材604は、所定の規制手段に当接することで回転が停止される。尚、回転軸部材603及び作動部材604の所定の規制手段は、回転軸部材603及び作動部材604にそれぞれ設けられた規制手段が相互に作用して互いの回動を規制するようなものであってもよいし、回転軸部材603及び作動部材604に接触する別々の規制手段がそれぞれ設けられていてもよい。
【0175】
上記した回転軸部材603の回転により、回転軸部材603の保持片622が球受部611から逸脱するので、回動軸610よりも左側に重心位置がある球受部材602は、自重により閉鎖位置から開放位置まで回動する。一方、遊技球Pとの接触軸623Aが前方に移動して、第1始動入賞口Bに進入した遊技球Pに接触可能な位置に保持される。また、第1リンク部材721から遊技球が流下することにより、第2リンク部材722が自重により下方へ移動し、第3リンク部材723が被作用軸部632から離間するとともに、作動部材604は、トーションバネ637の付勢力により待機位置に復帰する。
【0176】
このように、非電動可変入賞球装置600Aは、閉鎖状態において第5カウントスイッチ23Eを通過してきた遊技球Pにより動作する第1リンク部材721~第3リンク部材723が作動部材604の被作用軸部632に接触(作用)することにより、作動部材604が回動(動作)して回転軸部材603を回動(連動)させることで、球受部材602が閉鎖位置から開放位置まで開放する。つまり、非電動可変入賞球装置600Aは、駆動源により開閉可能な電動式の可変装置ではなく、駆動源に依らず連動機構を介して開閉可能な非電動式の可変装置である。
【0177】
次に、
図12(A)に示すように、非電動可変入賞球装置600Aが開放状態であるときに第1遊技球流路711から第1分岐路711bに進入した遊技球Pは、開放位置に位置する球受部材602の球受部611の先端から右斜め下方に誘導され、第1始動入賞口Bに進入(入賞)する。そして、回動軸610よりも右側まで誘導されると、遊技球Pの自重により球受部材602の回動軸610よりも右側の基部が下方に押圧されることにより、球受部材602が回動軸610を中心として閉鎖位置側に回動されるとともに、遊技球Pが接触軸623Aに接触する。
【0178】
図12(B)に示すように、遊技球Pは、前部ユニット700Aのベース部材の前面側を覆うように設けられ透光性を有するカバー部材により形成された誘導壁606により、軸部621の周面に沿うように背面側に向けて誘導されることで、接触軸623Aを軸部621周りに回動するように押しながら流下する。そして、進入口613から前板220Fの背面側に誘導された辺りで接触軸623Aから離れるように誘導された後、第1始動口スイッチ22Aにより検出される。
【0179】
このように、1個の遊技球Pが第1始動入賞口Bに入賞することで、回転軸部材603が約90度回転する。保持片622は軸部621の周面に対して略180度対向する位置に2つ設けられているので、回転軸部材603の回転が終了した状態において、待機位置で球受部611に接触する保持片622とは別の保持片622と接触し、閉鎖位置側まで回動した球受部材602は、閉鎖位置の状態が維持される。
【0180】
上記したように、非電動可変入賞球装置600Aは、閉鎖状態において第1リンク部材721~第3リンク部材723の動作により開放状態に変化した後、1個の遊技球Pが入賞することで閉鎖状態に復帰するように構成されている。具体的には、非電動可変入賞球装置600Aは、閉鎖状態であるときに第1リンク部材721~第3リンク部材723及び作動部材604の動作により回転軸部材603が約90度回転し、1個の遊技球Pが第1始動入賞口Bに進入することでの回転軸部材603が約90度回転して閉鎖状態に復帰するように構成されている。つまり、回転軸部材603の周面の0~180度の範囲に一の連動軸、接触軸及び保持片が設けられ、181~360度の範囲に連動軸、接触軸及び保持片が設けられている。
【0181】
尚、本実施の形態では、非電動可変入賞球装置600Aは、閉鎖状態において第1リンク部材721~第3リンク部材723の動作により開放状態(第2状態)に変化した後、1個の遊技球Pが入賞することで閉鎖状態(第1状態)に復帰するように構成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2個以上の遊技球Pが入賞することで閉鎖状態に復帰するものでもよい。
【0182】
また、
図13に示すように、後部ユニット700B(
図2及び
図3参照)は、第2リンク部材722を被覆する第1カバー体650と、第2リンク部材732を被覆する第2カバー体660と、を備えている。
【0183】
第1カバー体650は、断面コ字状を成す左右に分割された分割部材651,652から構成されており、一方の分割部材651の背面側の側板部651aには、他方の分割部材652側に開放する切欠部653が上下方向に複数(本実施の形態では2つ)離間して形成されており、分割部材651,652を組合わせた状態において、背面視縦長矩形状の窓部が形成される。また、分割部材651における分割部材652とは反対側の側板部651bには、左右方向に貫通する孔部654が形成されている。2つの切欠部653のうち、上側の切欠部653には、第2リンク部材722から突出する突出片655が挿通されており、第2リンク部材722の上下方向の動作がガイドされるようになっている。また、2つの切欠部653のうち、下側の切欠部653及び孔部654は、第2リンク部材722と第1カバー体650との間に設けられるバネ726の近傍に設けられている。
【0184】
また、第2カバー体660は、断面コ字状を成す左右に分割された分割部材661,662から構成されており、一方の分割部材661の背面側の側板部661aには、他方の分割部材662側に開放する切欠部663が上下方向に複数(本実施の形態では2つ)離間して形成されており、分割部材661,662を組合せた状態において、背面視縦長矩形状の窓部が形成される。また、分割部材661における分割部材662とは反対側の側板部661bには、左右方向に貫通する孔部664が形成されている。2つの切欠部663のうち、上側の切欠部663には、第2リンク部材732から突出する突出片665が挿通されており、第2リンク部材732の上下方向の動作がガイドされるようになっている。また、2つの切欠部663のうち、下側の切欠部663及び孔部664は、第2リンク部材732と第2カバー体660との間に設けられるバネ736の近傍に設けられている。
【0185】
第2リンク部材722及び第2リンク部材732の作動に不具合が生じた際には、第1カバー体650及び第2カバー体660を分解しなくても下側の切欠部653及び孔部654や、下側の切欠部663及び孔部664を通して第2リンク部材722及び第2リンク部材732の周辺を確認できる。さらに、バネ726及びバネ736に捩じれや外れ等が生じた際には、下側の切欠部653及び孔部654や、下側の切欠部663及び孔部664に、例えば工具等を差し込んでバネ726及びバネ736の調整を行うことができる。さらに、不具合部分の位置や周辺の部材の状況等に応じて、背面側の切欠部653,663または側面側の孔部654,664を選択できるので、第2リンク部材722及び第2リンク部材732の確認やバネ726及びバネ736の調整等を簡便に行うことができる。
【0186】
(第1作動口及び第2作動口)
次に、第1作動口及び第2作動口の構造について、
図14~
図17に基づいて説明する。
図14は、(A)は第1作動経路、(B)は第2作動経路の内部を示す縦断面図である。
図15は、(A)は第1作動経路及び第2作動経路の下部を示す斜視図、(B)は第1リンク部材を示す斜視図、(C)は第1リンク部材を示す右側面図である。
図16は、(A)~(C)は、第1作動経路を遊技球が流下する動作例を示す説明図である。
図17は、(A)~(C)は、第2作動経路を遊技球が流下する動作例を示す説明図である。
図18は、(A)~(C)は、第1作動口と第1始動入賞口Bとに遊技球が近いタイミングで入賞した場合の第1リンク機構の動作例を示す説明図である。
【0187】
図5及び
図6にて説明したように、第3分岐路711fに進入して普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に入賞した遊技球Pは、遊技盤2の背面側に設けられた分岐部において、振分部材25により左側の第1作動経路741aと右側の第2作動経路741bのいずれかに振り分けられ、第1作動経路741aに振り分けられた遊技球Pは第5カウントスイッチ23Eを通過し、第2作動経路741bに振り分けられた遊技球Pは第6カウントスイッチ23Fを通過する。
【0188】
そして、
図14及び
図15に示すように、分岐部において振分部材25により第5カウントスイッチ23E側に振り分けられた遊技球Pは、第1作動経路741aを流下して第1リンク部材721に誘導され、第6カウントスイッチ23F側に振り分けられた遊技球Pは、第2作動経路741bを流下して第1リンク部材731に誘導される。
【0189】
第1作動経路741a及び第2作動経路741bは、それぞれ前壁750A、後壁750B、左側壁750C、右側壁750Dにより四角筒状に形成され、下方に向けて遊技球が1個ずつ落下可能とされている。第1作動経路741aにおける第5カウントスイッチ23Eの下方近傍の後壁750Bは、第5カウントスイッチ23Eの上方近傍の後壁750Bよりも後側に位置している。また、第2作動経路741bにおける第6カウントスイッチ23Fの下方近傍の後壁750Bは、第6カウントスイッチ23Fの上方近傍の後壁750Bよりも後側に位置している。
【0190】
第5カウントスイッチ23E及び第6カウントスイッチ23Fの下方の後壁750Bには開口752が形成されており、後壁750Bの背面側に配置されている第2リンク部材722,732の下端に枢支された第1リンク部材721,731の前側部分が、開口752を介して第1作動経路741a、第2作動経路741b側に突出するように設けられている。
【0191】
また、第1作動経路741aの前壁750Aにおける第1リンク部材721の上方位置には、第5カウントスイッチ23Eを通過した遊技球Pが後下方にある第1リンク部材721に落下するように案内する案内部751Aが形成されている。案内部751Aは、前壁750A内面に突設され、下方に向けて後側に傾斜するように側面視湾曲状に形成されている。前壁750Aの内面から案内部751Aの先端までの突出長さ寸法L1は短いため、第1リンク部材721の先端部763Eまでの離間寸法L3は、遊技球の直径2Rよりも長寸とされている。
【0192】
一方、第2作動経路741bの前壁750Aにおける第1リンク部材731の上方位置には、第6カウントスイッチ23Fを通過した遊技球Pが後下方にある第1リンク部材731に落下するように案内する案内部751Bが形成されている。案内部751Bは、前壁750A内面に突設され、下方に向けて後側に傾斜するように側面視湾曲状に形成されている。前壁750Aの内面から案内部751Aの先端までの突出長さ寸法L2は、突出長さ寸法L1よりも長いため、第1リンク部材731の先端部までの離間寸法L4は、遊技球Pの直径2Rよりも短寸とされている。
【0193】
このように、案内部751A,751Bは、第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23Fを通過した遊技球を1個ずつ、後下方の第1リンク部材721,731に接触可能に案内するため、第1作動経路741a、第2作動経路741bは、第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23Fの下方において前後に蛇行している。
【0194】
図15(B)(C)に示すように、第1リンク部材721,731は、左側壁750C、右側壁750Dに回転可能に軸支される左右方向を向く軸支部としての回転軸部761と、第2リンク部材722,732の下端に形成された左右方向を向く長孔722A,732Aに挿入される連結軸762と、回転軸部761から回転軸心に対し略直交する方向に延設され第1作動経路741a、第2作動経路741bを流下する遊技球Pに接触可能な作用部763と、から主に構成されており、作用部763が略水平をなすように前方を向く水平位置(
図15(A)に示す第1リンク部材721の位置)と、作用部763が前下方を向く傾斜位置(
図15(A)に示す第1リンク部材731)と、の間で回動(揺動)可能とされている。
【0195】
作用部763の上面には、前方に向けて下方に傾斜する第1傾斜面部763A,763Bと、第1傾斜面部763A,763Bの前側に配置され前方に向けて上方に傾斜する第2傾斜面部763Cと、を有している。尚、第1傾斜面部763Aは、第1傾斜面部763Bよりも下り傾斜角度が大とされている。第1傾斜面部763A,763Bは、受止めた遊技球Pを前方に向けて誘導可能な誘導面部を構成している一方で、第2傾斜面部763Cは、受止めた遊技球の作用部763の先端部763Eからの落下を抑制する機能を有している。
【0196】
次に、第1リンク部材721,731の動作例について、
図16及び
図17に基づいて説明する。
【0197】
図16(A)及び
図17(A)に示すように、第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23Fを通過した遊技球Pは、案内部751A,751Bにより後下方に案内されることにより、第1リンク部材721,731の作用部763にて受け止められる。ここで、遊技球Pは、案内部751A,751Bにより第1リンク部材721,731の作用部763の前方から後方に向けて案内されることで、遊技球Pが作用部763の先端部763E側から回転軸部761側に近づくように落下する。つまり、作用部763の上面に安定して遊技球Pが落下するようになるため、作用部763に遊技球Pの荷重Gが安定して作用するようになる。
【0198】
また、本実施の形態では、第1作動経路741a、第2作動経路741bを流下する遊技球Pが案内部751A,751Bにより第1リンク部材721,731の作用部763の前方から後方に向けて案内されることで、遊技球Pは、第1リンク部材721,731の作用部763の上面に対し斜め前上方から回転軸部761側に向けて落下する。これにより、遊技球Pが第1リンク部材721,731の作用部763の上面に対し略鉛直上方から落下する場合に比べて、遊技球Pの流下速度が抑制されるため、作用部763の上面に落下したときの衝撃が小さくなり、作用部763を含めて第1リンク機構720や第2リンク機構730に瞬間的に大きな衝撃が加わることがないので、第1リンク機構720や第2リンク機構730を構成する各部材や非電動可変入賞球装置600A,600Bが破損することが防止される。
【0199】
また、案内部751A,751Bにより、遊技球Pは作用部763の上面における先端部763Eよりも回転軸部761側に落下するように案内されることで、先端部763E側に落下した場合に比べて遊技球Pが作用部763の先端部763Eから落下するまでの時間が長くなるため、遊技球Pの荷重Gにより作用部763を水平位置から傾斜位置まで確実に回動させることができるとともに、回転軸部761側に落下した場合、先端部763E側に落下した場合よりも落下した衝撃により作用部763が回動し難くなるので、この衝撃により球受部材602,703が微動することを防止できる。
【0200】
また、第1傾斜面部763A,763Bは前側に向けて下り傾斜しているとともに、第1傾斜面部763A,763Bの傾斜上位部には後壁750Bの下端が近接していることで、遊技球Pの後方への移動が第1傾斜面部763A,763B及び後壁750Bにより規制されるため、遊技球Pが回転軸部761に近づきすぎて荷重Gが作用部763に作用し難くなることが防止される。
【0201】
次いで、
図16(B)及び
図17(B)に示すように、水平位置にある作用部763の上面に遊技球Pが落下(接触)して作用することにより、遊技球Pの荷重Gにより作用部763が回転軸部761を中心として先端部763Eが下方の傾斜位置に向けて回動を開始する。つまり、進入領域としての第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23Fを通過した遊技球Pが接触により作用部763に作用(接触)して該作用部763が該遊技球の荷重Gにより回動することで第1リンク部材721,731が作動する。また、第1傾斜面部763A,763Bは前側に向けて下り傾斜していることにより遊技球Pを前側に誘導することで、遊技球Pが回転軸部761から離れる、つまり、回転軸部761側から作用部763側に誘導されるので、遊技球Pの荷重Gにより作用部763が回動しやすくなる。
【0202】
そして、遊技球Pの荷重Gにより作用部763が回動して下り傾斜になるにつれて、遊技球Pは先端部763E側に誘導されるが、第1リンク部材721,731が
図16(C)及び
図17(C)に示す傾斜位置まで移動する前に遊技球Pが先端部763Eから落下してしまうと、第1リンク部材721,731が傾斜位置まで回動する前に第2リンク部材722,732の自重により水平位置に復帰してしまい、第1リンク部材721,731の作動力が非電動可変入賞球装置600A,600Bに上手く伝達されず非電動可変入賞球装置600A,600Bが閉鎖位置から開放状態に変化しない虞がある。
【0203】
そこで、第2傾斜面部763Cが前方に向けて上り傾斜で傾斜していることで、第1リンク部材721,731が傾斜位置まで回動するまで、遊技球Pが落下しないように第1リンク部材721,731に遊技球Pの荷重Gが作用した状態を維持したまま、第1リンク部材721,731を傾斜位置まで回動させることが可能となる。また、作用部763が水平位置から傾斜位置まで回動する間、遊技球Pは前壁806に接触することがないので、遊技球Pが前壁806と接触することにより遊技球Pの荷重Gが作用部763に作用する力が減衰されることがない。
【0204】
そして、
図16(C)及び
図17(C)に示すように、第1リンク部材721,731が水平位置から約45度回動して傾斜位置に到達すると、作用部763の上面から遊技球Pが先端部763E側から落下するとともに、第1リンク部材721,731の作動力により、非電動可変入賞球装置600A,600Bが閉鎖位置から開放状態に変化する。
【0205】
尚、特に図示しないが、作用部763の上面から遊技球Pが落下すると、作用部763に遊技球Pの荷重Gが作用しなくなることで、第2リンク部材722,732が自重により落下し、これにより第1リンク部材721,731が傾斜位置から水平位置まで回動し、第1リンク機構720、第2リンク機構730が作動状態から非作動状態に復帰する。
【0206】
次に、第1作動口(第5カウントスイッチ23E)と第1始動入賞口Bに遊技球Pが近いタイミングで進入した場合について説明する。
【0207】
例えば、
図18(A)に示すように、非電動可変入賞球装置600Aが開放状態である場合において、遊技球P1が第1作動口(第5カウントスイッチ23E)を通過して作用部763の上面に落下し、この落下した遊技球Pの荷重Gにより第1リンク部材721が回動して第2リンク部材722が上方へ移動すると、この第2リンク部材722の上昇に伴い第3リンク部材723を介して作動部635が回動を開始する。一方、開放している球受部材602により第1分岐路711bに進入した遊技球P2が第1始動入賞口Bに向けて案内されると、遊技球P2が接触軸623Aに接触して回転軸部材603が回転することで、連動軸625が回転を開始する。
【0208】
つまり、第1リンク機構720の一部を構成する回転軸部材603は、第1リンク部材721から第2リンク部材722、第3リンク部材723、作動部材604を介して作動力が伝達されることにより回動するだけでなく、第1分岐路711bに進入した遊技球P2によっても回動する部材であるため、作動部635と連動軸625とがほぼ同じタイミングで互いに近づく方向に回動する場合、
図18(B)に示すように、作動部635と連動軸625とが接触してそれぞれの回動が阻害される可能性がある。
【0209】
よって、作動部635の回動が規制されることに応じて第1リンク部材721の回動も規制されるので、遊技球P1が作用部763により水平位置に滞留してしまうとともに、連動軸625の回動が規制されることに応じて回転軸部材603の回動も規制されるので、遊技球P2が誘導壁606における第1始動口スイッチ22Aの上流側で滞留してしまう。つまり、遊技球P1の荷重と遊技球P2の荷重とが釣り合ってしまうことで、双方の遊技球P1,P2が滞留してしまう。
【0210】
ここで、
図18(C)に示すように、作用部763の先端部763Eと案内部751Aとの間の離間寸法L3は遊技球の直径2Rよりも長寸とされていることで、作用部763の上面に落下し遊技球P1は、第1傾斜面部763A,763Bにより前方に向けて誘導されることで第2傾斜面部763Cを乗り越え、作用部763の先端部763Eと前壁750Aとの間に落下することができる。
【0211】
これにより、作用部763に遊技球P1の荷重Gが作用しなくなることで、第2リンク部材722が自重により落下して作動部635が元の位置まで戻ることで、作動部635と連動軸625との接触状態が解除されるため、遊技球P2の荷重Gにより回転軸部材603が回動可能となる。よって、遊技球P1,P2双方の滞留が解除される。
【0212】
尚、第2作動経路741bでは、作用部763の先端部763Eと案内部751Bとの間の離間寸法L4は遊技球の直径2Rよりも短寸とされているため、
図18(B)の状態になったときに遊技球P1は作用部763の先端部763Eと前壁750Aとの間に落下することができないが、振分部材25の動作制御により、第2作動口(第6カウントスイッチ23F)と第2始動入賞口に遊技球が近いタイミングで進入することがない遊技性とされているため、案内部751Bの突出長さ寸法L2を案内部751Aの突出長さ寸法L1よりも大寸として、遊技球P1を安定して作用部763の上面に案内されるようにしているが、案内部751Bの突出長さ寸法L2を案内部751Aの突出長さ寸法L1と同様にして、遊技球P1,P2の釣り合いを防止するようにしてもよい。
【0213】
(可変入賞球装置6B)
次に、可変入賞球装置6Bの詳細について、
図19~
図26に基づいて説明する。
図19は、可変入賞球装置の内部構造を示す縦断面図である。
図20は、(A)は進入困難状態、(B)は進入可能状態であるときの可変入賞球装置を示す横断面図である。
図21は、(A)は
図20(A)のC-C断面図、(B)は
図20(B)のC’-C’断面図である。
図22は、(A)は可変板を示す斜視図、(B)は可変板を示す平面図である。
図23は、(A)は
図22(A)のD-D断面図、(B)は
図22(A)のE-E断面図である。
図24は、(A)~(C)は遊技球が普電入賞口に入賞する流れを示す説明図である。
図25は、(A)~(C)は遊技球の釣り合いによる滞留を示す説明図である。
図26は、(A)は変形例1としての可変板、(B)は変形例2としての可変板を示す断面図である。
【0214】
図19~
図21に示すように、可変入賞球装置6Bは、遊技盤2の遊技盤面(前面)に取付けられるベース板801と、ベース板801の背面側に組付けられるソレノイド81と、ソレノイド81により前後方向に略水平移動するスライド部材704(可変板)と、ベース板801の前面におけるスライド部材704の右側に形成され第3分岐路711fを形成する入賞通路形成部803と、ベース板801の前面におけるスライド部材704の上方に形成される案内通路形成部804と、入賞通路形成部803と案内通路形成部804の前面の一部とを構成する前壁806と、を有している。
【0215】
前壁806は、透過性を有する合成樹脂材にて構成されており、前壁806を透して、入賞通路形成部803や案内通路形成部804の遊技球を視認可能とされている。また、ベース板801との間に遊技球Pが通過可能な空間が形成されるようにベース板801に対し前方に配置されている。
【0216】
入賞通路形成部803は、左側方に開口するように形成され、該開口には遊技球Pが通過可能な通過領域である普電入賞口を形成する第4カウントスイッチ23Dが配設されるとともに、開口から右側方に向けて、第4カウントスイッチ23Dを通過した遊技球Pを振分部に向けて右側に誘導する第3分岐路711fを形成する。
【0217】
スライド部材704は、ベース板801に形成された貫通孔812を介して前後方向にスライド移動可能に設けられ、ソレノイド81のプランジャ81Aとリンク部材81Bを介して連結されており、ソレノイド81がオフ状態であるときに遊技盤2側に退避する退避位置(
図20(A)参照)と、ソレノイド81がオン状態であるときに遊技領域Y側に進出する進出位置(
図20(B)参照)と、の間で前後方向にスライド移動可能とされている。
【0218】
図22に示すように、スライド部材704は、平面視略縦長長方形状をなす板状部材からなり、上面802Hが右側に向けて下方に傾斜するように設けられている。スライド部材704の左右側辺後部には、ガイド軸813L,813Rが側方に向けて突設されており、これらガイド軸813L,813Rは、ソレノイド81等を被覆するカバー部材815に形成された前後方向を向くガイド孔814L,814Rに挿入されている。また、下面には、前後方向を向くガイド壁816A,816Bが突設されており、これらガイド軸813L,813Rとガイド壁816A,816Bにより、スライド部材704は前後方向に移動可能に案内される。尚、ガイド軸813Rはリンク部材81Bと連結するための連結軸を兼ねている。
【0219】
スライド部材704の前辺802Fは、平面視で右側から左側に向けて後方に傾斜する傾斜辺とされているとともに、下側に向けて後方に傾斜する傾斜面を有する。また、前辺802Fの左端部には、所定の左右幅寸法を有する突出片820が前方に向けて突設されており、該突出片820の上面には、遊技球Pの普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)への通過を規制するための突出部821が上方に向けて突設されている。尚、突出部821の左側面には、右側から左側に向けて下方に傾斜する末広がりの傾斜面821Aが形成されている。
【0220】
このように構成される突出部821は、
図20(A)及び
図21(A)に示すように、スライド部材704が退避位置に位置している状態において、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)の右側方後部に対応するように位置することで、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)への遊技球Pの進入を不可能(または困難)とする。一方、
図20(B)及び
図21(B)に示すように、スライド部材704が進出位置に位置している状態において、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)の左側方前部に位置することで、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)への遊技球Pの進入を可能とする。
【0221】
このように、可変入賞球装置6Bは、遊技球Pの移動方向(上下)に対して交差する方向(前後方向)に動作可能な可変部材としてのスライド部材704を有し、該スライド部材704が動作することで遊技球Pが特定領域である普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に進入可能な進入可能状態と、進入が困難となる進入困難状態と、に変化可能とされている。
【0222】
尚、
図20(B)及び
図21(B)に示すように、スライド部材704が進出位置に位置している状態において、突出片820及び突出部821の一部が、前壁806に形成された凹部817に収容されることで、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に対応する位置から退避できるようになっている。
【0223】
図22に示すように、スライド部材704の上面802Hは、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)側に向けて下方に傾斜する第1傾斜面部802Aと、上面802Hの前左部、つまり、第1傾斜面部802Aの前部に対し普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)と反対側に形成される第2傾斜面部802Bと、から構成されている。第1傾斜面部802Aの水平面に対する下り傾斜角度θ11は約8度とされ、第2傾斜面部802Bの水平面に対する下り傾斜角度θ12は約5度とされている。つまり、第2傾斜面部802Bの水平面に対する下り傾斜角度θ12は、第1傾斜面部802Aの水平面に対する下り傾斜角度θ11よりも小さく設定されている(θ12<θ11)。よって、第2傾斜面部802Bは第1傾斜面部802Aよりも遊技球Pが右側方に向けて移動し難くなるように第1傾斜面部802Aに対し傾斜していることで、第1傾斜面部802A上の遊技球Pは、第2傾斜面部802B上の遊技球Pよりも速い速度で普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に向けて流下する。
【0224】
また、
図22(B)に示すように、スライド部材704が進出位置に位置している状態において、第2傾斜面部802B及び第1傾斜面部802Aにおける第2傾斜面部802Bの右側の部分が、ベース板801と前壁806との間に形成される空間における前後方向の略中央に位置するようになっている。
【0225】
また、スライド部材704の左側辺における第2傾斜面部802Bに対応する位置には切欠部807が形成されていることにより、第2傾斜面部802Bの左右寸法L12は、第1傾斜面部802Aにおいて第2傾斜面部802Bの右側に配置される部分の左右寸法L11よりも短寸とされている(L12<L11)。
【0226】
また、第2傾斜面部802Bの前後寸法L13は、スライド部材704が進出位置に位置している状態において、第1傾斜面部802Aにおけるベース板801から第2傾斜面部802Bまでの部分の前後寸法L14よりも長寸とされている(L13>L14)。
【0227】
また、第2傾斜面部802Bの前後寸法L13は、スライド部材704の後端から第2傾斜面部802Bまでの部分の前後寸法L15よりも短寸とされている(L13<L15)。
【0228】
図19に示すように、案内通路形成部804は、ベース板801、前壁806及び左右の側壁841L,841Rを有し、遊技領域Yにおける可変入賞球装置6Bの上方から流下してくる遊技球Pの進入が可能となるように上向きに開口する進入口を形成する通過ゲート41と、通過ゲート41を通過した遊技球Pを1個ずつ普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)の左側方近傍の第3分岐部711eに向けて下方に案内する第1遊技球流路711の一部と、を形成する。第1遊技球流路711における通過ゲート41の下方近傍位置にはゲートスイッチ21が設けられ、通過ゲート41を通過した遊技球Pが検出されるようになっている。
【0229】
左側の側壁841Lは、スライド部材704の左端部の鉛直上方において、案内通路形成部804との間に遊技球Pが通過可能な第1間隙851Aが形成されるとともに、さらにその上方に第1間隙851Bが形成されるように上下方向に向けて延設され、遊技球Pを下方に向けて流下可能に案内する。一方、右側の側壁841Rは、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)の鉛直上方において、案内通路形成部804の上壁との間に遊技球Pが通過可能な第2間隙852が形成されるように上下方向に向けて延設されている。尚、第1間隙851Aの上下寸法L5及び第2間隙852の上下寸法L6はほぼ同じ長さとされており、遊技球Pの直径2Rよりも長寸で、かつ、遊技球Pの直径2Rの2倍の長さよりも短寸とされている(L5=L6/2R<L5,L6<2R×2)。第1間隙851Bの上下寸法L7は、第1間隙851Aの上下寸法L5よりも若干長寸とされている。
【0230】
尚、
図21に示すように、ベース板801の前面及び前壁806の背面におけるスライド部材704の上方には、遊技球Pを前壁806側に誘導する凸部844が交互に設けられていることで、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)の手前で遊技球Pが前壁806側に誘導されるため、スライド部材704が退避位置に位置しているときに遊技球Pがベース板801よりを流下してスライド部材704や突出部821に接触して破損することが抑制される。
【0231】
また、ゲートスイッチ21は、案内通路形成部804の上流側に設けられていることで、ゲートスイッチ21を通過した遊技球Pはほぼスライド部材704の上面802H上に落下するようになっている。尚、遊技球Pがゲートスイッチ21を通過してからスライド部材704の上面802H上に落下するまでに要する時間は約0.5秒以上とされている。
【0232】
第1間隙851A,851Bは左側方に開口し、第2間隙852は右側方に開口するように形成されているため、通過ゲート41を通過して第1遊技球流路711を鉛直下方に流下する遊技球Pの大半は第1間隙851A,851Bや第2間隙852から流出することなくスライド部材704に到達するが、後述するように遊技球Pが第1遊技球流路711にて滞留することなどにより第1間隙851A,851Bまたは第2間隙852から流出することがある。
【0233】
図19に示すように、通過ゲート41を通過して第1遊技球流路711を流下する遊技球Pは、案内通路形成部804により下方に向けて案内され、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)の左側方近傍位置に到達する。そして、スライド部材704が退避位置に位置して可変入賞球装置6Bが進入困難状態である場合、遊技球Pは普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に進入せずに、そのまま左側方近傍位置を通過して下方に落下する。また、スライド部材704の突出部821等に接触してから落下することもある。
【0234】
図24(A)(C)に示すように、スライド部材704が進出位置に位置して可変入賞球装置6Bが進入可能状態である場合、案内通路形成部804により下方に向けて案内された遊技球P1は、スライド部材704の上面802H上に落下する。
【0235】
特に
図22(B)に示すように、スライド部材704が進出位置に位置している状態において、スライド部材704の左側辺よりやや右側上方に左側の側壁841Lが位置し、スライド部材704の右側辺よりやや右側上方に右側の側壁841Rが位置するため、左右の側壁841L,841Rにより下方に向けて案内された遊技球Pは、スライド部材704の上面802Hにおける第1傾斜面部802A上に落下することが多いが、側壁841L,841Rの下端とスライド部材704までの間の離間寸法は遊技球Pの直径2Rより長寸であるため、遊技球Pの落下点POは、
図22(B)に示された位置から前後左右にずれることはある。また、遊技球Pは、落下したときの勢いや後続の遊技球に押されるなどして、落下してから前後左右にずれることもある。
【0236】
つまり、遊技球Pは、スライド部材704の上面802Hにおける第1傾斜面部802Aと第2傾斜面部802Bのいずれにも落下可能であり、また、第1傾斜面部802Aまたは第2傾斜面部802Bに位置したときに、ベース板801(遊技盤面)と前壁806との間で前後にずれたとしても、第1傾斜面部802Aまたは第2傾斜面部802Bにより右方に向けて流下可能に案内される。
【0237】
遊技球P1が上面802Hにおける第1傾斜面部802A上に位置した場合は、比較的高速で普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に向けて流下案内されるが、遊技球P1が上面802Hにおける第2傾斜面部802B上に位置した場合は、比較的低速で普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に向けて流下した後、第1傾斜面部802Aにより比較的高速で普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に向けて流下する。
【0238】
次いで、
図24(B)に示すように、遊技球P1の後に後続の遊技球P2が通過ゲート41を通過した場合において、遊技球P2が上面802H上に落下するときに遊技球P1が既に普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に進入していれば、遊技球P1,P2は各々個別に普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に誘導される。
【0239】
図25(A)に示すように、スライド部材704が進出位置に位置して可変入賞球装置6Bが進入可能状態である場合において、遊技球P1がスライド部材704の上面802H上における第2傾斜面部802B上に落下した場合や、第1傾斜面部802A上に落下したが左側の第2傾斜面部802B上に移動した場合において、後続の遊技球P2が遊技球P1上に落下する場合がある。あるいは、第1傾斜面部802A上に落下したが後続の遊技球P2が遊技球P1上に落下することで遊技球P1が第2傾斜面部802B上に移動する場合がある。
【0240】
このような場合、遊技球P1が第2傾斜面部802B上に位置し、かつ、遊技球P2が入賞通路形成部803の上壁と遊技球P1の上部左側との3点で接触した状態になり、遊技球P1が第1傾斜面部802Aまたは第2傾斜面部802Bにより普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)側へ流下しようとする力と、遊技球P2が自重により遊技球P1を普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)と反対側へ押し出そうとする力とが均衡すると、遊技球P1,P2が動かなくなり釣り合いによる滞留(球詰り)が発生する虞がある。また、複数の遊技球Pの荷重Gがスライド部材704に付与されるので、スライド部材704を退避位置まで移動させることができなくなることもある。
【0241】
ここで、遊技球P1が第2傾斜面部802B上に位置していると、第1傾斜面部802A上に位置している場合に比べて、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)側へ流下しようとする力が小さいので、遊技球P2が遊技球P1を普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)と反対側(右側)へ押し出そうとする力が、遊技球P1が普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)側へ流下しようとする力を上回り易くなる。
【0242】
また、
図25(B)(D)に示すように、スライド部材704が進出位置まで移動した進入可能状態において、スライド部材704と側壁841Lの下端との間に第1間隙851Aが設けられることで、上面802H上にある遊技球P1の左側への移動が側壁841Lにより阻害されることがない。よって、遊技球P1が普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)と反対側へ押し出されて遊技球P2が上面802H上に落下可能となるため、遊技球P1,P2による釣り合いによる滞留(球詰り)が発生し難くなる。
【0243】
一方、遊技球P1が第2傾斜面部802B上に位置したときに、後続の遊技球P2が遊技球P1上に落下しない場合は、第2傾斜面部802Bにより普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)側に誘導されるため、第2傾斜面部802Bにより入賞し難くなることを回避できる。
【0244】
このように、スライド部材704は、上面802Hが普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に向けて下方に傾斜するように設けられていることにより、上面802Hに落下した遊技球Pは普電入賞口がある右側に自然流下するが、遊技球P1が上面802Hに落下した後、後続の遊技球P2が遊技球P1の傾斜下位側に衝突した場合、遊技球P1は傾斜上位側に押し出されるが、遊技球P1は右側に流下しようとする力により上面802H側に留まり、かつ、流下が遊技球P2により阻害されることで滞留してしまう。よって、第1傾斜面部802Aよりも傾斜上位側に第1傾斜面部802Aよりも右側への下り傾斜角度が小さい第2傾斜面部802Bが設けられていることにより、遊技球P1は左側に移動しやすくなるため、釣り合いによる滞留が発生し難くなる。
【0245】
尚、特に図示しないが、スライド部材704が退避位置から進出位置に移動する途中において、遊技球P1が進出してきたスライド部材704の先端部763Eと前壁806との間に挟まってしまう球噛みが発生することによって、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)側、下側、第1間隙851A側のいずれの方向にも動けなくなった場合、その上方に後続の遊技球P2、P3・・・が滞留してしまう虞がある。
【0246】
ここで、スライド部材704の複数の遊技球Pが上方に積み重なった場合、後続の遊技球Pは下方への移動が阻害されるものの、第1間隙851Bや第2間隙852側に誘導されて入賞通路形成部803の上方へ排出されるため、遊技球P1の球噛みにより遊技球Pが次々と滞留して球詰りが発生することを抑制できる。
【0247】
また、複数の遊技球Pが滞留している状態において、後続の遊技球Pが下方の遊技球Pに接触したときにその衝撃が最下の遊技球Pに伝達されることで、遊技球Pは球詰りが解消されて下方に落下し、これに伴いスライド部材704が進出位置まで移動するため、スライド部材704の上方にある遊技球Pや後続の遊技球Pは上面802Hにより普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)へ向けて誘導される。
【0248】
このように、遊技球Pを普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)へ誘導可能なスライド部材704の上面802Hに遊技球Pが安定して落下するように流下を案内する案内通路形成部804を設けることで、通過ゲート41を通過した遊技球Pを、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に遊技球Pを誘導可能なスライド部材704に向けて安定して誘導できるようになる一方で、案内通路形成部804があるが故に、釣り合いによる滞留や球噛みによる滞留といった球詰りが発生しやすくなる。このような構成において、第2傾斜面部802Bや、第1間隙851A,851B、第2間隙852を設けることにより、球詰りの発生を好適に抑制することができる。
【0249】
尚、本実施の形態では、案内通路形成部804は、通過ゲート41を通過した遊技球Pを1個ずつ普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)へ誘導可能なスライド部材704の上面802Hに向けて略鉛直下方に案内する第1遊技球流路711を形成する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1遊技球流路711は、通過ゲート41を通過した遊技球Pを略鉛直下方に向けて流下案内するものでなくてもよく、斜め下方に案内するもの等であってもよい。
【0250】
(第1発明)
以上説明したように、本実施の形態には、以下に示す第1発明が含まれている。つまり、遊技媒体の移動方向に対して交差する方向に進退可能な可動部材を有し、該可動部材が遊技領域側に進出する進出状態となることにより遊技媒体が進入可能となり、可動部材が遊技盤側に退避する退避状態となることにより遊技媒体が進入不能または進入困難となる可変装置を備えた遊技機において、例えば、特開2015-77235号公報等に記載されたもののように、可動部材が進出状態(進入可能状態)となることにより該可動部材の側方に配置された入賞口へ遊技媒体が進入可能となる可変装置(可変手段)を備えたもの等があった。しかし、遊技媒体の滞留による不具合の対策が不十分であるという問題があったため、遊技媒体の滞留による不具合の発生を抑制することができる遊技機を提供することを目的として、
第1発明の手段1の遊技機は、
遊技が可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)であって、
遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動方向(上下方向)に対して交差する方向(前後方向)に動作可能な可変部材(例えば、スライド部材704)を有し、該可変部材が動作することで遊技媒体が特定領域(例えば、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D))に進入可能な進入可能状態(例えば、第2状態)となる可変手段(例えば、可変入賞球装置6B)と、
を備え、
前記進入可能状態において遊技媒体は前記可変部材上を一方側(例えば、右側方)に移動することにより前記特定領域へ進入可能となり(
図24参照)、
前記可変部材は、
前記一方側に向けて下方に傾斜する第1面部(例えば、第1傾斜面部802A)と、
前記第1面部に対し前記一方側と反対の他方側に配置される第2面部(例えば、第2傾斜面部802B)と、
を有し、
前記第2面部は、前記第1面部よりも遊技媒体が前記一方側に向けて移動し難くなるように前記第1面部に対し傾斜している(例えば、第2傾斜面部802Bは第1傾斜面部802Aよりも遊技球Pが右側方に向けて移動し難くなるように第1傾斜面部802Aに対し傾斜していることで、第1傾斜面部802A上の遊技球Pは、第2傾斜面部802B上の遊技球Pよりも速い速度で普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に向けて流下する。
図23、
図24参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2傾斜面部802B上の遊技球Pに後続の遊技球Pの圧が作用したときに、第1傾斜面部802A上よりも普電入賞口と反対側に移動しやすいことで、普電入賞口側に移動しようとする力と後続の遊技球Pからの力とが釣り合って遊技球Pが滞留することによる不具合の発生を抑制できる。
【0251】
第1発明の手段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記可変手段(例えば、可変入賞球装置6B)が前記進入可能状態(例えば、第2状態)であるときに前記可変部材(例えば、スライド部材704)へ向けて遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動を案内するための案内部(例えば、案内通路形成部804)を備え、
前記案内部は、遊技媒体を前記第1面部上に落下可能に案内する(例えば、案内通路形成部804は、遊技球Pを普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)へ誘導可能なスライド部材704の上面802Hに遊技球Pが安定して落下するように流下を案内する。
図23参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2傾斜面部802B上に遊技球Pが滞留してしまうことを抑制できる。
詳しくは、基本的には第1傾斜面部802A上に遊技球Pが落下するので、スライド部材704上に落下した遊技球Pを素早く普電入賞口に入賞可能に誘導することができる。
【0252】
第1発明の手段3の遊技機は、手段1または2に記載の遊技機であって、
前記第2面部(例えば、第2傾斜面部802B)における遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動方向の長さ寸法は、前記第1面部における遊技媒体の移動方向の長さ寸法よりも短い(例えば、スライド部材704の左側辺における第2傾斜面部802Bに対応する位置には切欠部807が形成されていることにより、第2傾斜面部802Bの左右寸法L12は、第1傾斜面部802Aにおいて第2傾斜面部802Bの右側に配置される部分の左右寸法L11よりも短寸とされている(L12<L11)。
図22(B)参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2傾斜面部802B上に遊技球Pが滞留してしまうことを抑制できる。
詳しくは、第2傾斜面部802B上に遊技球Pが押し出された場合に、スライド部材704から落下しやすくなるので、釣り合いによる滞留が解消されやすくなる。
【0253】
第1発明の手段4の遊技機は、手段1~3のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可変部材(例えば、スライド部材704)は、前記進入可能状態において遊技盤面と前記第2面部との間に配置され、前記第1面部と面一の第3面部(例えば、第1傾斜面部802Aにおいて第2傾斜面部802Bの後ろ側に配置される部分。
図22(A)参照)を有する
ことを特徴としている。
この特徴によれば、スライド部材704の一部を切欠くことで第2傾斜面部802Bを容易に形成できるとともに、第3面部を第1面部と同じ板厚に維持できるので、強度低下を抑制できる。
また、第1傾斜面部802Aにおける第2傾斜面部802Bの後側にも第3面部に相当する第1傾斜面部802Aが形成されることで、第2傾斜面部802Bの形成によりスライド部材704の板厚が短くなる部分を極力少なくすることができるので、強度低下を防止できる。
【0254】
第1発明の手段5の遊技機は、手段1~4のいずれかに記載の遊技機であって、
前記第1面部は、水平面に対し第1角度で下方に傾斜し、
前記第2面部は、水平面に対し前記第1角度よりも小さい第2角度で下方に傾斜する(例えば、第1傾斜面部802Aの水平面に対する下り傾斜角度θ11は約8度とされ、第2傾斜面部802Bの水平面に対する下り傾斜角度θ12は約5度とされている。
図23(A)(B)参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2傾斜面部802B上の遊技球P1を普電入賞口側へ移動可能としつつ、普電入賞口と反対側へ逃げ易くすることができる。
詳しくは、遊技球P1が第2傾斜面部802B側に押し出されることで後続の遊技球P2との釣り合いが解消した後に、遊技球P1も普電入賞口側に誘導できるので、スライド部材704の上面802Hに遊技球Pが落下したにもかかわらず、第2傾斜面部802Bによりスライド部材704から落下しやすくなって入賞し難くなってしまうことを回避できる。
【0255】
第1発明の手段6の遊技機は、手段1~5のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可変手段(例えば、可変入賞球装置6B)が前記進入可能状態(例えば、第2状態)であるときに前記可変部材(例えば、スライド部材704)へ向けて遊技媒体(例えば、遊技球P)の移動を案内するための案内部(例えば、案内通路形成部804)を備え、
前記案内部と前記進入可能状態における前記可変部材との間には、遊技媒体が通過可能な間隙が設けられている(例えば、スライド部材704が進出位置まで移動した進入可能状態において、スライド部材704と側壁841Lの下端との間に第1間隙851Aが設けられている。
図25参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、遊技球Pの滞留による不具合の発生を抑制することができる。
詳しくは、スライド部材704の左側に壁部等が設けられていると、第2傾斜面部802Bにより左側に誘導された遊技球Pがスライド部材704から落下することができなくなり、後続の遊技球P2による釣り合いが発生しやすくなることを抑制できる。
【0256】
(変形例1)
次に、第1発明の変形例1及び変形例2について説明する。
図26は、(A)は変形例1としてのスライド部材、(B)は変形例2としてのスライド部材を示す断面図である。
【0257】
前記実施の形態では、第1傾斜面部802Aの水平面に対する下り傾斜角度θ11は約8度とされ、第2傾斜面部802Bの水平面に対する下り傾斜角度θ12は約5度とされた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、θ11、θ12の傾斜角度は上記角度に限定されるものではなく、θ11がθ12よりも大きければ、上記以外の角度としてもよい。
【0258】
また、前記実施の形態では、第1傾斜面部802A及び第2傾斜面部802Bの双方が、右側の普電入賞口に向けて下方に傾斜する傾斜面である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2面部は第1面部に対し傾斜していれば、
図26(A)に示す変形例1としてのスライド部材704Aに示すように、第2傾斜面部802BZは、第1傾斜面部802Aに対し逆側、つまり、特定領域である普電入賞口とは反対側(左側)に向けて下方に傾斜していてもよい。尚、この場合の水平面Hに対しする傾斜角度θ13は、傾斜角度θ11よりも小さい角度(例えば、約5度など)とすることが好ましい。
【0259】
また、第2面部は第1面部に対し傾斜していれば、
図26(B)に示す変形例2としてのスライド部材704Bに示すように、第2傾斜面部802BHは水平面Hと面一をなすように略水平に設けられていてもよい。
【0260】
さらに、特に図示はしないが、第2面部は第1面部に対し傾斜していれば、水平面Hに対する傾斜角度が第1面部における水平面Hに対する傾斜角度よりも大きい下り傾斜角度とされていてもよい。このようにすることで、第2面部上の遊技球Pが普電入賞口側に流下しようとする力がより大きくなるので、釣り合いが発生し難くなる。
【0261】
また、本実施の形態及び変形例1,2では、可変部材としてのスライド部材704において、第1面部(第1傾斜面部802A)に対し右側の普電入賞口(特定領域)と反対の左側に配置される第2面部としての第2傾斜面部802Bは、第1傾斜面部802Aに対し傾斜角度を異ならせることにより、第1面部よりも遊技媒体が一方側に向けて移動し難くなるようにした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第2面部の傾斜角度を第1面部の傾斜角度と略同一であっても、第2面部の上面に第1面部よりも遊技球Pが流下し難くなるような加工(例えば、凹凸面や高摩擦面等)を施した面等を形成することなどによって、第1面部よりも遊技媒体が一方側に向けて移動し難くなるようにしてもよい。
【0262】
(第2発明)
以上説明したように、本実施の形態には、以下に示す第2発明が含まれている。つまり、遊技球が進入不能または進入困難な第1状態と進入し易い第2状態とに変化可能な可変手段を備えた遊技機において、例えば、特開2017-18255号公報等に記載されたもののように、所定の作動口に進入した遊技球により作用部材が遊技球の自重により回動することにより第1状態から第2状態に変化する非電動可変手段を備えているもの等があった。しかし、遊技球の自重により作用部材が好適に回動せず、非電動手段が第2状態に変化しないことがあるという問題があったため、作動手段を遊技媒体の自重により好適に作動させることができる遊技機を提供することを目的として、
第2発明の手段1の遊技機は、
遊技が可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)であって、
遊技媒体(例えば、遊技球P)が進入可能な進入領域{例えば、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)、第3分岐路711f、第1作動口(第5カウントスイッチ23E)、第2作動口(第6カウントスイッチ23F)等}と、
遊技媒体が進入不能または進入困難な第1状態(例えば、閉鎖状態(
図11(A)参照))と進入し易い第2状態(例えば、開放状態(
図11(B)参照))とに変化可能な非電動可変手段(例えば、非電動可変入賞球装置600A,600B)と、
前記進入領域に進入した遊技媒体が作用することにより作動して、前記非電動可変手段を前記第1状態から前記第2状態に変化させる作動手段(例えば、第1リンク機構720や第2リンク機構730)と、
を備え、
前記作動手段は、
回動可能に軸支された軸支部(例えば、回転軸部761)と、
前記軸支部から延設され該軸支部を中心として回動可能な延設部(例えば、第1リンク部材721,731の作用部763)と、
を有し、
前記進入領域に進入した遊技媒体が接触により前記延設部に作用して該延設部が該遊技媒体の自重(荷重G)により回動することにより作動し(
図16参照)、
前記遊技機は、遊技媒体を前記延設部へ誘導可能な誘導手段(例えば、第1傾斜面部763A,763B、案内部751A,751Bなど)をさらに備える(例えば、第1傾斜面部763A,763Bは前側に向けて下り傾斜していることにより遊技球Pを前側に誘導することで、遊技球Pが回転軸部761から離れる、つまり、回転軸部761側から作用部763側に誘導されるので、遊技球Pの荷重Gにより作用部763が回動しやすくなる。また、案内部751A,751Bにより、遊技球Pは作用部763の上面における先端部763Eよりも回転軸部761側に落下するように案内される。
図14~
図17参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、作動手段を遊技媒体の自重により好適に作動させることができる。
【0263】
手段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記延設部(例えば、作用部763)は、前記進入領域に進入し上方から落下する遊技媒体を下方から受止め可能であり、
前記誘導手段は、前記延設部に設けられ受止めた遊技媒体を該延設部の先端部側に誘導可能な誘導傾斜部(例えば、第1傾斜面部763A,763B)を含む
ことを特徴としている。
この特徴によれば、受止めた遊技媒体を軸支部から離れる方向に誘導できるので、延設部が遊技球の自重により好適に回動するようになる。
【0264】
手段3の遊技機は、手段1または2に記載の遊技機であって、
前記延設部(例えば、作用部763)に接触した遊技媒体が前記軸支部側(例えば、回転軸部761側)へ移動することを規制する規制手段(例えば、後壁750Bにおける第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23Fの下方部分など)を有する
ことを特徴としている。
この特徴によれば、遊技媒体の自重が延設部の回動軸側に作用して該延設部が回動し難くなることを抑制できる。
【0265】
手段4の遊技機は、手段1~3のいずれかに記載の遊技機であって、
遊技媒体を前記延設部(例えば、作用部763)に接触可能に案内する案内部を有し、
前記案内部(例えば、案内部751A,751B)は、複数の遊技媒体が前記延設部に一度に接触しないように案内する(例えば、案内部751A,751Bは、第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23Fを通過した遊技球を1個ずつ、後下方の第1リンク部材721,731に接触可能に案内する。
図16及び
図17参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、延設部を好適に回動させることができる。
【0266】
手段5の遊技機は、手段1~4のいずれかに記載の遊技機であって、
遊技媒体を前記延設部(例えば、作用部763)に接触可能に案内する案内部(例えば、案内部751A,751B)を備え、
前記案内部は、前記作用部に対し遊技媒体を斜め上方から前記軸支部に近づくように案内する(例えば、第1作動経路741a、第2作動経路741bを流下する遊技球Pが案内部751A,751Bにより第1リンク部材721,731の作用部763の前方から後方に向けて案内されることで、遊技球Pは、第1リンク部材721,731の作用部763の上面に対し斜め前上方から回転軸部761側に向けて落下する。
図16(A)及び
図17(A)参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、作用部の破損等を抑制することができる。
【0267】
(第3発明)
以上説明したように、本実施の形態には、以下に示す第3発明が含まれている。つまり、遊技機の一例であるパチンコ遊技機にあっては、遊技球が進入不能または進入困難な第1状態と進入し易い第2状態とに変化可能な可変手段を備え、所定の入賞口に遊技球が入賞することで可変手段を第1状態から第2状態に変化させることにより遊技性の向上を図る遊技機において、例えば、特開2008-272066号公報等に記載されたもののように、この種の可変手段を備えたパチンコ遊技機として、例えば、所定の入賞口に進入した遊技球が物理的に作用することで、第1状態から第2状態に変化する非電動可変手段を備えているもの等があった。非電動可変手段に遊技球が物理的に作用することで第1状態から第2状態に変化する構造であるので、搬送する際に生じる振動や、遊技に伴い発生する振動等により、意図せずに非電動可変手段が第2状態に変化する虞があった。そこで、意図せずに非電動可変手段が第2状態に変化することを抑制できる遊技機を提供することを目的として、
第3発明の手段1の遊技機は、
遊技領域Yに遊技媒体(例えば、遊技球P等)を発射することにより遊技が可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1等)であって、前記遊技領域Yは、遊技媒体が進入可能な進入領域(例えば、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)、第3分岐路711f、第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23F等)と、遊技媒体が進入不能または進入困難な第1状態(例えば、閉鎖状態(
図11(A)参照))と進入し易い第2状態(例えば、開放状態(
図11(B)参照))とに変化可能な非電動可変手段(例えば、非電動可変入賞球装置600A,600B等)と、を有し、前記非電動可変手段は、前記進入領域に進入した遊技媒体が作動部材(例えば、第1リンク部材721~第3リンク部材723(第1リンク部材731~第3リンク部材733)、作動部材604、回転軸部材603等)に作用して該作動部材が作動することにより前記第1状態から前記第2状態に変化(
図7(B)、
図11(B)参照)し、外力(例えば、パチンコ遊技機1を製造メーカら遊技場等に輸送する際など搬送する際に生じる振動や、パチンコ遊技機1による遊技に伴い発生する振動や、パチンコ遊技機1に外力が加えられることにより発生する振動等)により前記作動部材が作動することにより前記第1状態から前記第2状態に変化することを阻止する阻止手段(例えば、第2リンク部材722の荷重G3、規制部材605、トーションバネ647、トーションバネ637/圧縮ばね等)を備える。
これによれば、作動部材により非電動可変手段の配置自由度が向上するとともに、意図せずに非電動可変手段が第2状態に変化することを抑制できる。
【0268】
具体的には、非電動可変入賞球装置600A,600Bの球受部材602,703と、非電動可変入賞球装置600A,600Bの第1状態及び第2状態を切り替える作動部材(第1リンク機構720及び第2リンク機構730)と、を別々に設けたので、非電動可変入賞球装置600A,600Bの球受部材602,703を、非電動可変入賞球装置600A,600Bを第1状態から第2状態に変化させるための遊技球が通過可能な所定領域である第3分岐路711f(第5カウントスイッチ23E、第6カウントスイッチ23F)に対して自由な位置に配置することができる。すなわち、作動部材は、遊技球が作用したときに非電動可変手段を第1状態から第2状態に変化させることができればよく、非電動可変手段の球受部材602,703の背面側に配置されることに限られず、例えば、非電動可変手段の周辺の部材等の配置状況に応じて、該非電動可変手段の球受部材602,703から前後左右上下にずれて配置することができるので、設計自由度が高い。
【0269】
また、第2リンク部材722は、バネ726の付勢力F2により上方に付勢された状態で保持されているので、第2リンク部材722の荷重G1からバネ726の付勢力F2分が相殺された荷重G3(以下、第2リンク部材722の荷重G3ということもある)以下の外力が働いたとしても、第2リンク部材722が上昇することがなく、意図せずに非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化して意図しない入賞が発生することを抑制できるとともに、第2リンク部材722に荷重G3以上の外力が働いたときには、迅速に第2リンク部材722を上昇させて第3リンク部材723を回動させることができる。また、第2リンク部材722に荷重G3以下の意図しない外力が働いたとしても、第3リンク部材723は、待機位置において被作用軸部632から若干離間しているため、第3リンク部材723が被作用軸部632に接触するまでは作動部材604が作動せず、意図せずに非電動可変入賞球装置600Aが第2状態に変化することを抑制できる。
【0270】
また、作動部材604は、トーションバネ637の付勢力F1により待機位置には保持されているので、作動部材604に付勢力F1以下の外力が働いたとしても回動しないようになっており、意図せずに非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化することを抑制できる。特に、第2リンク部材722に意図しない外力が働いたときには、該外力が第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637の付勢力F1により減衰されるので意図せずに非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化することを効果的に抑制できる。
【0271】
また、規制部材605は、トーションバネ647の付勢力F4により回転軸部材603が回動しないように押さえているので、規制部材605に付勢力F4以下の外力が働いたとしても規制部材605が回動し凹部624から逸脱しないようになっており、回転軸部材603が回動しないように押さえられた状態が維持される。特に、第2リンク部材722に意図しない外力が働いたときには、該外力が第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637の付勢力F1、トーションバネ647の付勢力F4により減衰されるので意図せずに非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化することを効果的に抑制できる。
【0272】
第3発明の手段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記非電動可変手段は、
遊技媒体が進入可能な特定進入領域(例えば、第1始動入賞口B,第2始動入賞口等)を開閉する可動部材(例えば、球受部材602,703等)を備え、
前記第1状態において前記作動部材が作動することにより前記可動部材が前記特定進入領域を開放することで前記第2状態に変化し、
前記阻止手段は、遊技媒体が前記作動部材に作用することによらず外力により前記作動部材が作動することを阻止する(例えば、第2リンク部材722の荷重G1からバネ726の付勢力F2分が相殺された荷重G3以下の外力が働いたとしても、第2リンク部材722が上昇することがない。トーションバネ637の付勢力F1以下の力では、作動部材604が回動しないようになっている。トーションバネ647の付勢力F4以下の力では、規制部材605が回動し凹部624から逸脱しないようになっている等)
ことを特徴としている。
これによれば、遊技媒体によらずに非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化することを抑制できる。
【0273】
具体的には、第2リンク部材722の荷重G3が第3リンク部材723の阻止手段として機能しており、トーションバネ637の付勢力F1が作動部材604の阻止手段として機能しており、トーションバネ647の付勢力F4が規制部材605の阻止手段として機能している。第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637の付勢力F1、トーションバネ647の付勢力F4は、第1リンク部材721が遊技球を受け止めたか否かに関わらず、第3リンク部材723、作動部材604、規制部材605に対して常に働いているため、非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化することを好適に抑制できる。
【0274】
第3発明の手段3の遊技機は、手段1または2に記載の遊技機であって、
前記非電動可変手段は、
遊技媒体が進入可能な特定進入領域(例えば、第1始動入賞口B,第2始動入賞口等)を開閉する可動部材(例えば、球受部材602,703等)を備え、
前記第1状態において前記作動部材(例えば、回転軸部材603,735等)が作動することにより前記可動部材が前記特定進入領域を開放して前記第2状態に変化し、
前記阻止手段はバネ部材(例えば、トーションバネ637,647等)であり、
前記バネ部材は、前記可動部材により前記特定進入領域を開放するときに前記作動部材が作動する作動方向と反対側に向けて付勢する(例えば、トーションバネ637は、作動部材604を右側面視において反時計回りに付勢する。トーションバネ647は、規制部材605を右側面視において反時計回りに付勢する等)
ことを特徴としている。
これによれば、簡素な構造にて、遊技媒体によらずに非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化することを抑制できる。
【0275】
具体的には、作動部材604は、右側面視において時計回りに回動することによって回転軸部材603を作動させるようになっており、トーションバネ637は、作動部材604の回動方向とは反対方向の右側面視において反時計回りに付勢している。また、規制部材605は、右側面視において時計回りに回動することによって回転軸部材603が作動可能な状態(規制解除状態)にするようになっており、トーションバネ647は、規制部材605が回転軸部材603の規制を解除する方向とは反対方向の右側面視において反時計回り(規制する方向)に付勢している。このように、例えば、電気や磁力、または摩擦力等を用いた複雑な構造の装置に比べて、簡素な構造であるトーションバネ637及びトーションバネ647を用いて回転軸部材603が作動しない方向に作動部材604及び規制部材605を付勢して、遊技球によらず非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態に変化することを抑制できるので、安価に構成でき且つ故障等も少なく、動作信頼性も高い。
【0276】
第3発明の手段4の遊技機は、手段1~3のいずれかに記載の遊技機であって、
前記作動部材(例えば、第2リンク部材722、第2リンク部材732等)を被覆する被覆部材(例えば、第1カバー体650、第2カバー体660等)を備え、
前記被覆部材には窓部(例えば、切欠部653、孔部654、切欠部663、孔部664等)が設けられ、該窓部を通して前記作動部材を動作可能である
ことを特徴としている。
これによれば、作動部材に外力が加わることを防止しつつ、作動部材の不具合を被覆部材により被覆された状態で確認することが可能となる。
【0277】
第3発明の手段5の遊技機は、手段1~4のいずれかに記載の遊技機であって、
前記非電動可変手段は、
遊技媒体が進入可能な特定進入領域(例えば、第1始動入賞口B,第2始動入賞口等)を開閉する可動部材(例えば、球受部材602,703等)を備え、
前記第1状態において前記作動部材が作動することにより前記可動部材が前記特定進入領域を開放して前記第2状態に変化し、
前記作動部材は、特定作動部材(例えば、第3リンク部材723(第3リンク部材733)、回転軸部材603,735、作動部材604,734等)を含む複数の作動部材を有し、
前記特定作動部材は、作動していないときに前記可動部材と該特定作動部材より前記可動部材側の作動部材(例えば、回転軸部材603,735、作動部材604,734等)と該特定作動部材より前記可動部材と反対側の作動部材(例えば、第3リンク部材723(第3リンク部材733)、作動部材604,734等)とのうち少なくともいずれかに対し非接触状態であり(例えば、
図11(A)参照)、
前記阻止手段(例えば、トーションバネ637、第2リンク部材722(第2リンク部材732)の荷重G3、規制部材605及びトーションバネ647等)は、外力により前記特定作動部材が作動することを阻止する
ことを特徴としている。
これによれば、特定作動部材より可動部材と反対側の作動部材が外力により作動しても、可動部材側に動作が伝達されることを阻止できるとともに、特定作動部材が意図せずに作動することを好適に抑制できる。
【0278】
具体的には、作動部材604は、球受部材602の閉鎖状態(作動していない状態)において、球受部材602側の回転軸部材603と非接触状態であるとともに、球受部材602側と反対側の第3リンク部材723と非接触状態であるため、作動部材604が外力により作動しても回転軸部材603に作動部材604の動作が伝達されにくく、第3リンク部材723が外力により作動しても作動部材604に第3リンク部材723の動作が伝達されにくい。さらに、作動部材604は、トーションバネ637により回転軸部材603に接触する方向とは反対方向に付勢されているので、作動部材604が意図せずに回転軸部材603に接触する方向に作動することを好適に抑制できる。
【0279】
また、第3リンク部材723は、球受部材602の閉鎖状態(作動していない状態)において、第3リンク部材723よりも球受部材602側の作動部材604と非接触状態であるため、第3リンク部材723が外力により作動しても、作動部材604に第3リンク部材723の動作が伝達されにくい。さらに、第3リンク部材723には、第2リンク部材722の荷重G3により作動部材604に接触する方向とは反対方向に力が働いているので、第3リンク部材723が意図せずに作動部材604に接触する方向に作動することを好適に抑制できる。
【0280】
また、回転軸部材603は、球受部材602の閉鎖状態(作動していない状態)において、球受部材602側とは反対側の作動部材604と非接触状態であるため、作動部材604が外力により作動しても回転軸部材603が作動部材604の動作を受けにくい。また、回転軸部材603は、規制部材605及びトーションバネ647により回動が規制されているため、回転軸部材603が意図せずに球受部材602に作用する方向に作動することを好適に抑制できる。つまり、小さな振動により、球受部材602が開放位置まで回動しないまでも開放方向に回動してしまうことを抑制できる。
【0281】
また、特定作動部材である第3リンク部材723、作動部材604、回転軸部材603が連動して球受部材602を作動させる構成であり、各特定作動部材には、それぞれ阻止手段として第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637、規制部材605及びトーションバネ647が設けられているため、回転軸部材603よりも後方側の特定作動部材、特に第3リンク部材723は、外力により意図せずに作動しても、第2リンク部材722の荷重G3に加え、トーションバネ637の付勢力F1及びトーションバネ647の付勢力F4により減衰されるため、意図せずに球受部材602が作動することを防止できる。
【0282】
第3発明の手段6の遊技機は、手段5に記載の遊技機であって、
前記特定作動部材は複数の特定作動部材(例えば、第3リンク部材723(第3リンク部材733)、回転軸部材603,735、作動部材604,734等)を含み、
前記阻止手段は、前記複数の特定作動部材のうち少なくとも前記可動部材に最も近い特定作動部材が作動することを阻止する(例えば、規制部材605の係止部642はトーションバネ647の付勢力F4により付勢されているため、トーションバネ647の付勢力F4以下の外力(輸送時の振動や遊技に伴い発生する振動やパチンコ遊技機1に外力が加えられることにより発生する振動等)により回転軸部材603が回転することが防止されている。)
ことを特徴としている。
これによれば、最低限の阻止手段で、意図せずに可動部材が開放されることを好適に抑制できる。
【0283】
このように、本実施の形態では、複数の特定作動部材である第3リンク部材723、作動部材604、回転軸部材603にそれぞれ阻止手段として第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637、規制部材605及びトーションバネ647が設けられている形態を例示したが、阻止手段として第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637、規制部材605及びトーションバネ647のうち少なくとも1つ設けられればよく、この場合、簡素な構造で、球受部材602に最も近い回転軸部材603が意図せずに作動することを抑制できる。尚、この場合、阻止手段が遊技球Pの荷重G2よりも小さい力で特定作動部材に作用すればよい。
【0284】
尚、本実施の形態では、第1リンク部材721~第3リンク部材723、作動部材604、回転軸部材603等の複数の作動部材を備える形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、作動部材が作動することにより非電動可変手段を第1状態から第2状態に変化させることができれば、例えば、作動部材が1つであってもよい。このようにすることで、最低限の構成で非電動可変手段を第1状態から第2状態に変化させることができる。
【0285】
また、本実施の形態では、作動部材が可動部材と別部材である形態を例示したが、本発明はこれに限られず、可動部材の一部に被作動部が設けられていてもよい。例えば、遊技球が進入可能な特定進入領域を開閉する可動部材を回動可能に軸支し、該可動部材の軸支部からずれた位置に遊技球が接触する被作動部を設け、被作動部に遊技球が接触することにより可動部材が回動するようになっていてもよい。このようにすることで、部品点数を減らして簡素な構造とすることができる。
【0286】
また、本実施の形態では、阻止手段として、第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637の付勢力F1、トーションバネ647の付勢力F4を例に挙げ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球の荷重G2以下の外力で作動部材が作動することを阻止できればよく、例えば、磁力や、作動部材との摩擦力等を用いた阻止手段であってもよい。
【0287】
また、本実施の形態では、阻止手段(第2リンク部材722の荷重G3、トーションバネ637の付勢力F1、トーションバネ647の付勢力F4)が常に作動部材が作動しないように作動部材に作用する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、作動部材が作動したときに該作動部材に干渉し、所定以下の力(意図しない外力)で作動する作動部材を停止または減衰させるようになっていてもよい。具体的には、作動部材が待機位置から作動位置に移動する途中に、作動部材に摺接する摩擦部材を設け、作動部材が遊技球の荷重G2以下の力(意図しない外力)で作動したときには、摩擦部材の摩擦力により作動部材が停止され、作動部材が遊技球の荷重G2以上の力で作動したときには、摩擦部材の摩擦力に抗して作動部材が作動位置に移動するようになっていてもよい。
【0288】
尚、本実施の形態では、バネ726が引きバネであり、遊技球が作用したときに第2リンク部材722が迅速に動作できるようになっている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、バネ726を圧縮バネとしてもよい。これによれば、第2リンク部材722の荷重に加えて、バネ726及びバネ736の付勢力が第2リンク部材722を作動方向と反対側に向けて付勢するため、第2リンク部材722に連動する第3リンク部材723が意図しない外力により作動しにくくすることができる。
【0289】
また、本実施の形態では、特定作動部材は、作動していないときに、該特定作動部材より前記可動部材側の作動部材、または該特定作動部材より前記可動部材と反対側の作動部材と接触しない形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特定作動部材が可動部材側の作動部材、または前記可動部材と反対側の作動部材と接触していてもよい。これによれば、作動部材に遊技球が作用したときの可動部材の反応速度を向上させることができる。
【0290】
また、本実施の形態では、作動部材である第1リンク機構720及び第2リンク機構730が遊技者から視認不能または視認困難となっている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、作動部材を遊技者から視認可能として、作動部材に遊技球が作用するか否かに興味を持たせたり、作動部材に遊技球が作用したときの作動部材の動作を視認させることにより、興趣を向上させるようにしてもよい。
【0291】
(変形および応用に関する説明)
以上、本発明の実施の形態を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0292】
例えば、遊技媒体の移動方向に対して交差する方向に動作可能な可変部材を有し、該可変部材が動作することで遊技媒体が特定領域に進入可能な進入可能状態となる可変手段として、スライド部材704が動作することで遊技球Pが普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)に進入可能な進入可能状態となる可変入賞球装置6Bを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、大入賞口扉(可変部材)が動作することで遊技媒体が大入賞口(特定領域)に進入可能な進入可能状態となる特別可変入賞球装置7に適用してもよいし、特定領域としての第1始動入賞口、第2始動入賞口、作動口などの入賞口や、通過ゲートや演出用の通過領域などに遊技媒体が進入可能な進入可能状態に変化可能な可変入賞球装置の可変部材等に適用してもよい。
【0293】
また、前記実施の形態では、スライド部材704は右側の普電入賞口(特定領域)に向けて上面802H上の遊技球Pを流下可能に傾斜する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スライド部材704の一方側に向けて遊技球Pを移動可能とされていれば、左側や後側に向けて遊技球Pを流下可能とされていてもよい。また、特定領域とは異なる方向に遊技球Pを流下可能であってもよい。
【0294】
また、前記実施の形態では、スライド部材704は遊技球Pの移動方向(上下方向)に対して交差する方向(前後方向)に動作可能とされた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スライド部材704は左方向や右方向に移動可能であってもよい。あるいは、可変部材は、前記実施の形態のようにスライド移動可能なものだけでなく、球受部材602,703のように前後方向を向く回動軸を中心として回動可能であってもよいし、左右方向を向く回動軸を中心として回動可能であってもよい。
【0295】
また、前記実施の形態では、スライド部材704が進出位置まで移動した進入可能状態において、スライド部材704と側壁841Lの下端との間に第1間隙851Aが形成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必ずしも第1間隙851Aが形成されるようにしなくても、遊技球P1が第2傾斜面部802B側に移動できる空間部が形成されていればよい。
【0296】
また、前記実施の形態では、スライド部材704の左側辺における第2傾斜面部802Bに対応する位置には切欠部807が形成されていることにより、第2傾斜面部802Bの左右寸法L12は、第1傾斜面部802Aにおいて第2傾斜面部802Bの右側に配置される部分の左右寸法L11よりも短寸とされている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、切欠部807が形成されていなくてもよい。
【0297】
また、前記実施の形態では、遊技球Pが進入可能な第1作動口(第5カウントスイッチ23E)や第2作動口(第6カウントスイッチ23F)に進入した遊技球Pが作用することにより作動して、非電動可変入賞球装置600A,600Bを閉鎖状態から開放状態に変化させる作動手段として、第1リンク機構720や第2リンク機構730を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球Pが進入可能な進入領域は上記第1作動口(第5カウントスイッチ23E)や第2作動口(第6カウントスイッチ23F)以外に、普電入賞口(第4カウントスイッチ23D)や第3分岐路711fであってもよいし、第1始動入賞口、第2始動入賞口、大入賞口や、通過ゲートや演出用の通過領域などを適用してもよい。
【0298】
また、前記実施の形態では、第1リンク機構720や第2リンク機構730の第1リンク部材721,731の作用部763は、第1作動経路741a、第2作動経路741bを上方から下方に流下する遊技球Pに接触可能に、左右方向を向く回転軸部761を中心として回動可能に設けられた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球Pが作用することにより作動するようになっていれば、遊技球Pの流下方向や作用部763の回動方向、回動角度(範囲)等は種々に変更可能である。
【0299】
また、非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態となったときに、非電動可変入賞球装置600A,600Bが第2状態となったことを発光、音声、画像、役物等を用いた演出により報知可能とすることで、興趣を向上させるようにしてもよい。
【0300】
また、前記実施の形態では、始動入賞口に非電動可変入賞球装置600A,600Bを設けた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、始動入賞口以外の入賞口などに非電動可変入賞球装置600A,600Bを設けてもよい。また、非電動可変入賞球装置600A,600Bの他に、各種入賞口にソレノイドなどの駆動源によって閉鎖状態と開放状態とに変化する電動式の可変入賞球装置を別途設けてもよい。
【0301】
前記実施の形態では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。尚、これら封入式遊技機においては遊技球ではなく得点やポイントが遊技者に付与されるので、これら付与される得点やポイントが遊技価値に該当する。
【0302】
また、前記実施の形態では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な変動表示装置に変動表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該変動表示装置に導出された変動表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。
【0303】
また、前記実施の形態では、遊技媒体の一例として、球状の遊技球(パチンコ球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えば、メダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0304】
1 パチンコ遊技機
6B 可変入賞球装置
600A,600B 非電動可変入賞球装置
720 第1リンク機構
730 第2リンク機構
704 スライド部材
751A,751B 案内部
763 作用部
763A,763B 第1傾斜面部
802A 第1傾斜面部
802B 第2傾斜面部
802H 上面
804 案内通路形成部
851A,851B 第1間隙
852 第2間隙