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特許7128740複数相送達組成物及びそのような組成物を組み込んだ製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】複数相送達組成物及びそのような組成物を組み込んだ製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/465 20060101AFI20220824BHJP
   A24B 13/00 20060101ALI20220824BHJP
   A24B 15/10 20060101ALI20220824BHJP
   A24D 3/06 20060101ALI20220824BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20220824BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220824BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 9/68 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20220824BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20220824BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20220824BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20220824BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61K31/465
A24B13/00
A24B15/10
A24D3/06
A24D3/04
A24D1/02
A61K47/44
A61K9/107
A61K9/68
A61K36/81
A61K9/72
A61P25/34
A61P43/00 121
A61K9/20
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/70
A61M15/06
A61K9/50
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2018528752
(86)(22)【出願日】2016-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2016057274
(87)【国際公開番号】W WO2017093941
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】14/958,555
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512278283
【氏名又は名称】モドラル・ブランズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ,ジェームズ・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,パーシー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】タラスキー,カレン・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】シアーズ,スティーブン・ベンソン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア,エルシリア・へルナンデス
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/044436(WO,A1)
【文献】特表2012-526553(JP,A)
【文献】特開2013-153755(JP,A)
【文献】特表2005-508648(JP,A)
【文献】国際公開第2014/095701(WO,A1)
【文献】特表平06-502622(JP,A)
【文献】特表2014-509645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/465
A24B 13/00
A24B 15/00
A24D 3/00
A24D 1/00
A61K 47/00
A61K 9/00
A61K 36/81
A61M 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固体担体;並びに
(b)外部相及び内部相で形成される流体圧駆動性カプセル化物(hydraulic encapsulation)
を含む送達組成物であって、内部相が、親水性であり、液体であり、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物、水及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、外部相が、疎水性であり、脂質を含み、擬塑性及び折り畳み不可能であり、かつ、内部相を実質的に包囲する壁の構造を形成している、送達組成物。
【請求項2】
流体圧駆動性カプセル化物が、生体接着性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記担体が、口内条件下で溶解性である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記担体が、ガム又はドロップ剤である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記担体が、口腔用薄膜である、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
第1の薄膜、第2の薄膜を備える層状構造物であり、流体圧駆動性カプセル化物が、第1の薄膜と第2の薄膜との間に位置する、又は第1の薄膜及び第2の薄膜の少なくとも一方に分散している、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
第1の薄膜及び第2の薄膜の一方が、口内条件下で溶解性であり、他方が、口内条件下で実質的に非溶解性である、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
第1の薄膜と第2の薄膜の両方が、口内条件下で溶解性であり、同じ口内条件下で、第1の薄膜及び第2の薄膜の一方が、約10%以上の割合だけ他方よりも速い速度で溶解する、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
流体圧駆動性カプセル化物が、口腔用薄膜内に分散している、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
担体が、無煙タバコ材料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
無煙タバコ材料が、フリース内に封入されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
担体が、無煙タバコ代替品である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
内部相材料が、カプセル化層内にカプセル化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
流体圧駆動性カプセル化物が、内部相と送達部位との間の浸透圧差に基づく外部相からの内部相の制御放出用に構成されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
浸透圧差が、内部相と使用者の口内の唾液との間の浸透圧差である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
3カ月の保存期間後に、組成物からのニコチンの放出速度が約5%以下だけ変化するように安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
送達要素;並びに
外部相及び内部相で形成される流体圧駆動性カプセル化物(hydraulic encapsulation)を保持する担体要素
を備える物品であって、内部相が、親水性であり、液体であり、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、外部相が、疎水性であり、脂質を含み、擬塑性及び折り畳み不可能であり、かつ、内部相を実質的に包囲する壁の構造の形態を形成している、物品。
【請求項18】
噴霧送達システムであり;送達要素が、それに含有される液体を噴霧するように構成された容器であり;担体が、容器内に収容された噴霧可能な液体担体であり;流体圧駆動性カプセル化物が、噴霧可能な液体担体と混合されている、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
空気入口;
空気入口の下流側に位置する口金;
口金の上流側に位置する熱源;及び
熱源と口金との間の空気流ストリーム
を備える、エアロゾル送達デバイスであり、
流体圧駆動性カプセル化物を保持する担体要素が、熱源と口金との間の空気流ストリーム内に位置する、請求項17に記載の物品。
【請求項20】
熱源が、電気加熱器である、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
エアロゾル前駆体組成物、及び電気加熱器へのエアロゾル前駆体組成物の輸送用に構成された液体輸送要素をさらに備える、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
熱源が、燃料要素である、請求項19に記載の物品。
【請求項23】
担体要素が、タバコ材料を含む、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
タバコロッド及びタバコロッドに接続されたフィルタ要素を備える巻きタバコの形態であり;以下の条件:
タバコロッドが、流体圧駆動性カプセル化物を保持する担体要素として構成されている;
フィルタ要素が、流体圧駆動性カプセル化物を保持する担体要素として構成されている;
担体が、流体圧駆動性カプセル化物がカプセル内に提供された破壊可能なカプセルである;
担体が、流体圧駆動性カプセル化物が帯の形態で提供された巻きタバコの外側表面である
の1つ以上が適用される、請求項17に記載の物品。
【請求項25】
タバコ製品用の包装の形態であり、包装が、内側表面を有する少なくとも1つの壁を有する容器を備え、容器が、タバコ製品を含有するように構成されており;
少なくとも1つの壁の内側表面の少なくとも一部が、流体圧駆動性カプセル化物がその上にコーティングされた担体であり、又は、担体が、その中に流体圧駆動性カプセル化物を有する、若しくはその上に流体圧駆動性カプセル化物がコーティングされた基材であり、基材が、容器内に含まれる、請求項17に記載の物品。
【請求項26】
容器が、巻きタバコ容器である、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
容器が、無煙タバコ容器である、請求項25に記載の物品。
【請求項28】
基材が、少なくとも1つの壁の内側表面に取り付けられている、請求項25に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部相脂質材料内に存在する内部相の一部としての1種以上の材料の送達用に構成され得る組成物に関する。組成物は、特に、内部相材料の制御放出を提供することができ、これに限定されないが、ニコチン代替製品を含む様々な分野において用いることができる。
【背景技術】
【0002】
1種以上の所望される材料の送達における使用のため、多くの異なる組成物が提案されている。例えば、ニコチン代替製品の分野において、特に喫煙者が喫煙をやめるのを助けることを目指して(すなわち禁煙補助薬として)、様々な様式のニコチン送達のために多くの組成物が提案されている。例えば、ニコチンは、様々な種類のいわゆる「ニコチン代替治療」すなわち「NRT」製品の活性成分であった。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、共にBrinkleyらに対する米国特許出願第12/769,335号及び国際出願第PCT/US2011/033928号を参照されたい。
【0003】
いくつかの例示的な用途において、経皮パッチを使用してニコチンのような活性薬剤を投与することが提案されている。ニコチン含有経皮パッチ製品の代表的な種類は、「Habitrol」、「Nicoderm」、「Nicorette」、「Nicorette CQ」、「Nicotinell」及び「Pro Step」の商品名で市販されている。例えば、Etscomへの米国特許第4,597,961号;Bannonらへの米国特許第5,298,257号;Wongらへの米国特許第5,603,947号;Roseらへの米国特許第5,834,011号;Osborneらへの米国特許第6,165,497号及びAndersonらへの米国特許第6,676,959号を参照されたい。また、ニコチンの経皮投与は、他の種類のニコチン含有製品の摂取により補助又は代替され得ることが示唆されている。例えば、Bakerらへの米国特許第5,593,684号;Gondaへの米国特許出願公開第2009/0004249号;及びFagerstrom、Health Values、18:15(1994年)を参照されたい。
【0004】
ニコチンの経口投与を提供するための1つの特に良く知られている手法は、ニコチン含有ガムの使用によるものである。ニコチン含有ガム製品は、「Nicorette」、「Nicotinell」及び「Zonnic」の商品名で市販されている。ニコチンの経口投与を提供するために使用されている別の手法は、ニコチン含有ドロップ剤又は錠剤型製品の使用によるものである。ニコチン含有ドロップ剤、小型ドロップ剤、錠剤及びマイクロタブ(microtab)型の製品は、「Commit」、「Nicorette」、「Nicotinell」及び「NiQuitin」の商品名で市販されている。ニコチンはまた、鼻腔又は口腔用噴霧剤の形態で投与されている。ニコチン含有噴霧剤は、「Nicotrol NS」、「Quit」及び「Zonnic」の商品名で市販されている。
【0005】
治療効果を提供することを目的としてニコチンを投与するための様々な他の手法が提案されている。例えば、ニコチンは、口腔内で溶解するフィルム(例えば、Zerbeらへの米国特許第6,709,671号);口腔内浸透圧デバイス(例えば、Placeらへの米国特許第5,147,654号);ガムパッド(例えば、Yatesへの米国特許第6,319,510号);口腔内パッチ(例えば、Houzeらに対する米国特許出願公開第2006/0240087号);パウチ又は小袋内の嗅ぎタバコ形態(例えば、Rayらに対する米国特許第4,907,605号及びAxelssonらに対する米国特許出願公開第2009/0293895号);リップクリーム(例えば、Rollingに対する米国特許第7,105,173号)並びに飲料(例えば、Thompsonに対する米国特許第6,268,386号;Stillmanに対する米国特許第7,115,297号及びKnightに対する米国特許第7,435,749号)内に組み込まれてもよいことが示唆されている。また、ニコチンは、様々な種類の吸入デバイス及び蒸気送達システムを使用して送達され得ることが示唆されている。例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、Robinsonらに対する米国特許第7,726,320号、Griffith Jr.らに対する米国特許出願公開第2013/0255702号及びSearsらに対する米国特許出願公開第2014/0096781号に記載の背景技術において説明されている、様々な喫煙代替品、エアロゾル送達デバイス及び発熱源を参照されたい。
【0006】
上記は具体的にニコチンの送達に関連しているが、同様の様式で、これら及び他の手段は、他の香味材料のような他の材料の送達に利用されている。しかしながら、特に制御された様式での、また様々な用途における、材料の送達のためのさらなる手段が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願第12/769,335号
【文献】国際出願第PCT/US2011/033928号
【文献】米国特許第4,597,961号明細書
【文献】米国特許第5,298,257号明細書
【文献】米国特許第5,603,947号明細書
【文献】米国特許第5,834,011号明細書
【文献】米国特許第6,165,497号明細書
【文献】米国特許第6,676,959号明細書
【文献】米国特許第5,593,684号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0004249号明細書
【文献】米国特許第6,709,671号明細書
【文献】米国特許第5,147,654号明細書
【文献】米国特許第6,319,510号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0240087号明細書
【文献】米国特許第4,907,605号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0293895号明細書
【文献】米国特許第7,105,173号明細書
【文献】米国特許第6,268,386号明細書
【文献】米国特許第7,115,297号明細書
【文献】米国特許第7,435,749号明細書
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】Fagerstrom、Health Values、18:15(1994年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(発明の要旨)
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、材料の送達に好適な組成物及びシステムに関する。送達は、消費者に対するものであってもよい。送達は、材料の遅延放出に関連してもよい。送達組成物及びシステムは、特に、カプセル化層内の放出用材料の懸濁液を含んでもよい。より具体的には、送達用材料は、外部相材料により実質的に完全に包囲された内部相であってもよい。好ましくは、内部相は、実質的に親水性であってもよく、外部相は、実質的に疎水性であってもよい。したがって、内部相材料の放出は、内部相材料と周囲環境との間の浸透圧差により実質的に駆動され得る。
【0011】
ある特定の態様において、本開示は、送達組成物を提供し得る。いくつかの実施形態において、送達組成物は、担体、並びに脂質を含む外部相及び実質的に親水性の材料を含む内部相を有する懸濁液を含んでもよい。特に、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物、水及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、送達組成物は、以下の記述の1つ以上によりさらに定義され得るが、その任意の数が任意の所望の組合せで利用され得る。
【0012】
内部相材料は、液体であってもよい。
【0013】
懸濁液は、生体接着性であってもよい。
【0014】
担体は、液体であってもよい。
【0015】
担体は、固体であってもよい。
【0016】
固体担体は、口内条件下で溶解性であってもよい。
【0017】
固体担体は、ガム又はドロップ剤であってもよい。
【0018】
固体担体は、口腔用薄膜(oral thin film)であってもよい。
【0019】
口腔用薄膜は、第1の薄膜、第2の薄膜、及び第1の薄膜と第2の薄膜との間に位置する懸濁液を備える層状構造物であってもよい。
【0020】
層状構造物において、第1の薄膜及び第2の薄膜の一方は、口内条件下で溶解性であってもよく、他方は、口内条件下で実質的に非溶解性であってもよい。
【0021】
層状構造物において、第1の薄膜と第2の薄膜の両方が、口内条件下で溶解性であってもよく、同じ口内条件下で、第1の薄膜及び第2の薄膜の一方は、約10%以上の割合だけ他方よりも速い速度で溶解してもよい。
【0022】
懸濁液は、口腔用薄膜内に分散していてもよい。
【0023】
担体は、噴霧可能又はポンピング可能な液体であってもよく、懸濁液は、噴霧可能又はポンピング可能な液体と混合され、噴霧又はポンプデバイス内に収容されていてもよい。
【0024】
担体は、無煙タバコ材料であってもよい。
【0025】
無煙タバコ材料は、フリース内に封入されていてもよい。
【0026】
担体は、無煙タバコ代替品であってもよい。
【0027】
内部相材料は、カプセル化層内にカプセル化されていてもよい。
【0028】
懸濁液は、内部相と送達部位との間の浸透圧差に基づく外部相からの内部相の制御放出用に構成されてもよい。
【0029】
浸透圧差は、内部相と使用者の口内の唾液との間の浸透圧差であってもよい。
【0030】
組成物は、3カ月の保存期間後に、組成物からのニコチンの放出速度が約5%以下だけ変化するように安定であってもよい。
【0031】
ある特定の態様において、本開示は、口腔ストリップを提供し得る。いくつかの実施形態において、口腔ストリップは、少なくとも第1の薄膜、並びに脂質を含む外部相及び実質的に親水性の材料を含む内部相を有する懸濁液を含んでもよい。特に、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、懸濁液は、少なくとも1つの第1の薄膜内に分散していてもよい。いくつかの実施形態において、口腔ストリップは、第1の薄膜及び第2の薄膜を備えてもよく、懸濁液は、第1の薄膜と第2の薄膜との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、懸濁液は、第2の薄膜内に位置してもよい。
【0032】
ある特定の態様において、本開示は、噴霧送達システムを提供し得る。いくつかの実施形態において、噴霧送達システムは、それに含有される液体を噴霧するように構成された容器;容器内に収容された噴霧可能な液体担体;及び噴霧可能な液体担体と混合された懸濁液を備えてもよく、懸濁液は、脂質を含む外部相、及び実質的に親水性の材料を含む内部相を含む。特に、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0033】
ある特定の態様において、本開示は、無煙タバコ製品を提供し得る。いくつかの実施形態において、無煙タバコ製品は、無煙タバコ材料、並びに脂質を含む外部相及び実質的に親水性の材料を含む内部相を有する懸濁液であるドレッシング材料(dressing material)を備えてもよい。特に、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物、水及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、無煙タバコ材料は、天然タバコ材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、無煙タバコ材料は、無煙タバコ代替品を含んでもよい。天然タバコ及び/又はタバコ代替品は、微粒子形態(例えば、寸断、粉砕、粉末化されたもの等)であってもよい。
【0034】
ある特定の態様において、本開示は、エアロゾル送達デバイスを提供し得る。いくつかの実施形態において、エアロゾル送達デバイスは、空気入口;空気入口の下流側に位置する口金(mouthend);口金(mouth end)の上流側に位置する熱源:熱源と口金との間の空気流ストリーム;及び熱源と口金との間の空気流ストリーム内に位置する担体要素を備えてもよく、担体要素は、脂質を含む外部相及び実質的に親水性の材料を含む内部相を有する懸濁液を保持する。特に、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物、水及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、熱源は、電気加熱器であってもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル送達デバイスは、エアロゾル前駆体組成物、及び電気加熱器へのエアロゾル前駆体組成物の輸送用に構成された液体輸送要素をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態において、熱源は、燃料要素であってもよい。いくつかの実施形態において、担体要素は、タバコ材料を含んでもよい。
【0035】
ある特定の態様において、本開示は、喫煙用品、例えば巻きタバコを提供し得る。いくつかの実施形態において、巻きタバコは、タバコロッド、タバコロッドに接続されたフィルタ要素、並びに脂質を含む外部相及び実質的に親水性の材料を含む内部相を有する懸濁液を備えてもよい。特に、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物、水及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、懸濁液は、タバコロッド内に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、懸濁液は、フィルタ要素内に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、懸濁液は、破壊可能なカプセル内に提供されてもよい。
【0036】
ある特定の態様において、本開示は、包装に関連する要素を提供し得る。特に、包装は、タバコ製品用であってもよい。いくつかの実施形態において、タバコ製品用の包装は、内側表面を有する少なくとも1つの壁を有する容器であって、タバコ製品を含有するように構成された容器、並びに脂質を含む外部相及び実質的に親水性の材料を含む内部相を有する懸濁液を備えてもよい。特に、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物、水及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。特に、懸濁液は、容器内に存在する。様々な実施形態において、包装は、以下の記述の1つ以上によりさらに定義され得るが、その任意の数が任意の所望の組合せで利用され得る。
【0037】
容器は、巻きタバコ容器であってもよい。
【0038】
容器は、無煙タバコ容器であってもよい。
【0039】
容器は、内側表面を有する少なくとも1つの壁を備えてもよい。
【0040】
懸濁液は、少なくとも1つの壁の内側表面の少なくとも一部にコーティングされていてもよい。
【0041】
懸濁液は、担体内又は担体上に維持されてもよい。
【0042】
担体は、少なくとも1つの壁の内側表面に取り付けられていてもよい。
【0043】
1つ以上の実施形態において、本開示は、懸濁液の保持及び/又は送達用に構成され得る物品に関連し得る。例えば、本明細書に記載の物品は、送達要素、並びに脂質を含む外部相と、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相とを有する懸濁液を保持する担体要素を備えてもよい。
【0044】
さらなる実施形態において、物品は、噴霧送達システムであってもよい。特に、送達要素は、それに含有される液体を噴霧するように構成された容器であってもよく;担体は、容器内に収容された噴霧可能な液体担体であってもよく;懸濁液は、噴霧可能な液体担体と混合されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、物品は、エアロゾル送達デバイスであってもよい。例えば、デバイスは、空気入口;空気入口の下流側に位置する口金;口金の上流側に位置する熱源;及び熱源と口金との間の空気流ストリームを備えてもよい。さらに、デバイスは、熱源と口金との間の空気流ストリーム内に位置する懸濁液を保持する担体要素を備えてもよい。特に、熱源は、電気加熱器であってもよい。さらに、物品は、エアロゾル前駆体組成物、及び電気加熱器へのエアロゾル前駆体組成物の輸送用に構成された液体輸送要素を備えてもよい。いくつかの実施形態において、熱源は、燃料要素であってもよい。いくつかの実施形態において、担体要素は、タバコ材料を含んでもよい。
【0046】
ある特定の実施形態において、物品は、タバコロッド及びタバコロッドに接続されたフィルタ要素を備える巻きタバコの形態であってもよい。さらに、以下の条件:タバコロッドは、懸濁液を保持する担体要素として構成され得る;フィルタ要素は、懸濁液を保持する担体要素として構成され得る;担体は、懸濁液がカプセル内に提供された破壊可能なカプセルであってもよい;担体は、懸濁液が帯の形態で提供された巻きタバコの外側表面であってもよい、の1つ以上が適用される。
【0047】
さらなる実施形態において、物品は、タバコ製品用の包装の形態であってもよい。例えば、包装は、内側表面を有する少なくとも1つの壁を有する容器を備えてもよく、容器は、タバコ製品を含有するように構成され;少なくとも1つの壁の内側表面の少なくとも一部は、懸濁液がその上にコーティングされた担体であってもよく、又は、担体は、その中に懸濁液を有する、若しくはその上に懸濁液がコーティングされた基材であってもよく、基材は、容器内に含まれる。特に、容器は、巻きタバコ容器であってもよく、又は、容器は、無煙タバコ容器であってもよい。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも1つの壁の内側表面に取り付けられていてもよい。
【0048】
本発明は、限定されることなく、以下の実施形態を含む。
【0049】
実施形態1:(a)担体;並びに(b)脂質を含む外部相と、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物、水及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相とを有する懸濁液を含む、送達組成物。
【0050】
実施形態2:内部相材料が、液体である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0051】
実施形態3:懸濁液が、生体接着性である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0052】
実施形態4:担体が、液体である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0053】
実施形態5:担体が、固体である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0054】
実施形態6:固体担体が、口内条件下で溶解性である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0055】
実施形態7:固体担体が、ガム又はドロップ剤である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0056】
実施形態8:固体担体が、口腔用薄膜である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0057】
実施形態9:第1の薄膜、第2の薄膜、及び第1の薄膜と第2の薄膜との間に位置する懸濁液を備える層状構造物である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0058】
実施形態10:第1の薄膜及び第2の薄膜の一方が、口内条件下で溶解性であり、他方が、口内条件下で実質的に非溶解性である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0059】
実施形態11:第1の薄膜と第2の薄膜の両方が、口内条件下で溶解性であり、同じ口内条件下で、第1の薄膜及び第2の薄膜の一方が、約10%以上の割合だけ他方よりも速い速度で溶解する、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0060】
実施形態12:懸濁液が、口腔用薄膜内に分散している、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0061】
実施形態13:担体が、噴霧可能な液体であり、懸濁液が、噴霧可能な液体と混合されており、噴霧デバイス内に収容されている、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0062】
実施形態14:担体が、無煙タバコ材料である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0063】
実施形態15:無煙タバコ材料が、フリース内に封入されている、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0064】
実施形態16:担体が、無煙タバコ代替品である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0065】
実施形態17:内部相材料が、カプセル化層内にカプセル化されている、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0066】
実施形態18:懸濁液が、内部相と送達部位との間の浸透圧差に基づく外部相からの内部相の制御放出用に構成された、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0067】
実施形態19:浸透圧差が、内部相と使用者の口内の唾液との間の浸透圧差である、任意の前述又は後述の実施形態の組成物。
【0068】
実施形態20:3カ月の保存期間後に、組成物からのニコチンの放出速度が約5%以下だけ変化するように安定である、任意の前述の実施形態の組成物。
【0069】
実施形態21:少なくとも第1の薄膜;並びに脂質を含む外部相と、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相とを有する懸濁液を含む、口腔ストリップ。
【0070】
実施形態22:懸濁液が、少なくとも1つの第1の薄膜内に分散している、任意の前述又は後述の実施形態の口腔ストリップ。
【0071】
実施形態23:第1の薄膜及び第2の薄膜を備え、懸濁液が、第1の薄膜と第2の薄膜との間に位置する、任意の前述の実施形態の口腔ストリップ。
【0072】
実施形態24:容器に含有される液体を噴霧するように構成された容器;容器内に収容された噴霧可能な液体担体;及び噴霧可能な液体担体と混合された懸濁液を備える、噴霧送達システムであって、懸濁液が、脂質を含む外部相、並びにニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相を有する、噴霧送達システム。
【0073】
実施形態25:無煙タバコ材料;並びに脂質を含む外部相と、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相とを有する懸濁液であるドレッシング材料を備える、無煙タバコ製品。
【0074】
実施形態26:無煙タバコ材料が天然タバコ材料である、任意の前述又は後述の実施形態の無煙タバコ製品。
【0075】
実施形態27:無煙タバコ材料が無煙タバコ代替品である、任意の前述の実施形態の無煙タバコ製品。
【0076】
実施形態28:空気入口;空気入口の下流側に位置する口金;口金の上流側に位置する熱源:熱源と口金との間の空気流ストリーム;及び熱源と口金との間の空気流ストリーム内に位置する担体要素を備えるエアロゾル送達デバイスであって、担体要素が、脂質を含む外部相、並びにニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相を有する懸濁液を保持する、エアロゾル送達デバイス。
【0077】
実施形態29:熱源が、電気加熱器である、任意の前述又は後述の実施形態のエアロゾル送達デバイス。
【0078】
実施形態30:エアロゾル前駆体組成物、及び電気加熱器へのエアロゾル前駆体組成物の輸送用に構成された液体輸送要素をさらに備える、任意の前述又は後述の実施形態のエアロゾル送達デバイス。
【0079】
実施形態31:熱源が、燃料要素である、任意の前述又は後述の実施形態のエアロゾル送達デバイス。
【0080】
実施形態32:担体要素が、タバコ材料を含む、任意の前述の実施形態のエアロゾル送達デバイス。
【0081】
実施形態33:タバコロッド;タバコロッドに接続されたフィルタ要素;並びに脂質を含む外部相と、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相とを有する懸濁液を備える、巻きタバコ。
【0082】
実施形態34:懸濁液が、タバコロッド内に組み込まれている、任意の前述又は後述の実施形態の巻きタバコ。
【0083】
実施形態35:懸濁液が、フィルタ要素内に組み込まれている、任意の前述又は後述の実施形態の巻きタバコ。
【0084】
実施形態36:懸濁液が、破壊可能なカプセル内に提供されている、任意の前述又は後述の実施形態の巻きタバコ。
【0085】
実施形態37:懸濁液が、実質的に巻きタバコの一部の周りの帯の形態である、任意の前述の実施形態の巻きタバコ。
【0086】
実施形態38:タバコ製品用の包装であって、内側表面を有する少なくとも1つの壁を有する容器であり、タバコ製品を含有するように構成された容器;並びに脂質を含む外部相と、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相とを有する懸濁液を備え、懸濁液が、容器内に存在する、包装。
【0087】
実施形態39:容器が、巻きタバコ容器である、任意の前述又は後述の実施形態の包装。
【0088】
実施形態40:容器が、無煙タバコ容器である、任意の前述又は後述の実施形態の包装。
【0089】
実施形態41:容器が、内側表面を有する少なくとも1つの壁を備える、任意の前述又は後述の実施形態の包装。
【0090】
実施形態42:懸濁液が、少なくとも1つの壁の内側表面の少なくとも一部にコーティングされている、任意の前述又は後述の実施形態の包装。
【0091】
実施形態43:懸濁液が、担体内又は担体上に維持される、任意の前述又は後述の実施形態の包装。
【0092】
実施形態44:担体が、少なくとも1つの壁の内側表面に取り付けられている、任意の前述の実施形態の包装。
【0093】
本開示のこれらの、及び他の特徴、態様及び利点は、以下で簡単に説明される添付の図面と共に以下の詳細な説明を読むことにより明らかとなる。本発明は、上記実施形態の2つ、3つ、4つ又はそれ以上の任意の組合せ、及び本開示に記載された任意の2つ、3つ、4つ又はそれ以上の特徴又は要素の組合せを、そのような特徴又は要素が本明細書に記載の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているかどうかとは無関係に含む。本開示は、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素が、その様々な態様及び実施形態のいずれにおいても、文脈上そうではないと明示されていない限り組み合わせ可能であることを意図するものとして解釈されるべきであるように、総合的に読まれることを意図する。
【0094】
このように、上記の一般的な用語で本開示を説明したが、ここで、必ずしも縮尺通りには描かれていない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】本開示の例示的実施形態による懸濁液を含む薄膜を示す図であり、薄膜は、口腔ストリップとしての使用に好適である。
図2】本開示の例示的実施形態による懸濁液を有する2つの薄膜の組合せを示す図であり、薄膜の組合せは、口腔ストリップとしての使用に好適である。
図3】本開示の例示的実施形態による噴霧可能な液体担体及び懸濁液を含む噴霧ボトルを示す図であり、要素の組合せは、懸濁液の噴霧送達に好適な噴霧システムを形成する。
図4】タバコ材料又はタバコ代替材料が提供されたパウチ材料であって、本開示の例示的実施形態による懸濁液を含み、要素の組合せが、無煙タバコ製品としての使用に好適である、パウチ材料。
図5】本開示の例示的実施形態による懸濁液を含むエアロゾル送達デバイスを示す図であり、要素の組合せは、懸濁液の少なくとも一部を中に組み込んだエアロゾルの提供における使用に好適である。
図6】本開示の例示的実施形態による懸濁液を含む巻きタバコ包装を示す図であり、懸濁液は、包装の壁の内側表面上に含まれている。
図7】本開示の例示的実施形態による懸濁液を含む無煙タバコ容器を示す図であり、懸濁液は、容器の壁の内側表面上に含まれている。
図8】本開示の例示的実施形態による懸濁液を含む喫煙用品を示す図であり、懸濁液は、喫煙用品のフィルタ部分上に含まれている。
図9】懸濁液の調製後、及び室温で3カ月の保存後の、本開示の例示的実施形態による懸濁液からのニコチンの放出速度の比較を示すグラフである。
図10】懸濁液の調製後、及び室温で3カ月の保存後の、本開示の例示的実施形態による懸濁液からのニコチンの放出速度の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本開示は、様々な材料の送達において利用され得る組成物に関する。そのような送達組成物は、タバコ製品に関連して、及び/又は、これに限定されないがニコチンを含むタバコ関連材料の送達のために特に利用され得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、送達組成物は、特に、外部相材料中に実質的に懸濁された内部相として送達用材料が提供され得る懸濁液を含んでもよい。好ましくは、内部相材料は、親水性材料である。特定の実施形態において、内部相材料は、ニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及び水の1つ以上を含んでもよい。
【0098】
本明細書において使用される場合、「ニコチン」は、植物材料から解放された天然又は合成のニコチンを示し得るが、これは、化合物が少なくとも部分的に精製されており、タバコ葉のような植物構造内に含有されていないことを意味する。最も好ましくは、ニコチンは、天然のものであり、ニコチアナ(Nicotiana)属種(例えばタバコ)からの抽出物として得られる。タバコの例示的種類及びタバコを処理する様式は、参照により本明細書に組み込まれる、Byrdらに対する米国特許出願第13/095,277号に記載されている。
【0099】
ニコチンは、鏡像異性体形態S(-)-ニコチン、R(+)-ニコチン又はS(-)-ニコチン及びR(+)-ニコチンの混合物を有し得る。最も好ましくは、ニコチンは、S(-)-ニコチンの形態(例えば事実上全てS(-)-ニコチンである形態)又は主として若しくは大部分がS(-)-ニコチンで構成されるラセミ混合物(例えば約95重量部のS(-)-ニコチン及び約5重量部のR(+)-ニコチンで構成される混合物)である。最も好ましくは、ニコチンは、事実上純粋な形態で、又は本質的に純粋な形態で使用される。使用される極めて好ましいニコチンは、重量基準で約95パーセント超、より好ましくは約98パーセント超、最も好ましくは約99パーセント超の純度を有する。ニコチンは、ニコチアナ属種から抽出され得るという事実にもかかわらず、いくつかの実施形態において、ニコチン(及び本発明に従って生成される組成物及び生成物)は、タバコの他の成分を事実上、本質的に、又は実質的に含まないことが可能である。
【0100】
ニコチンがニコチアナ属種の植物から得られる実施形態において、植物又はその部位は、ニコチンを提供するために、様々な種類の処理条件に供され得る。例えば、成分は、互いに分離され得る、又はそうでない場合には個々の化合物の化学クラス又は混合物に分画され得る。典型的な分離プロセスは、1つ以上のプロセスステップ(例えば、極性溶媒、有機溶媒若しくは超臨界流体を使用した溶媒抽出)、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶及び/又は溶媒-溶媒分配を含み得る。例示的な抽出及び分離溶媒又は担体は、水、アルコール(例えば、メタノール又はエタノール)、炭化水素(例えば、ヘプタン及びヘキサン)、ジエチルエーテルメチレンクロリド並びに超臨界二酸化炭素を含む。ニコチアナ属種から成分を抽出するのに有用な例示的技術は、全て参照により本明細書に組み込まれる、Fioreに対する米国特許第4,144,895号;Osborne, Jr.らに対する米国特許第4,150,677号;Reidに対する米国特許第4,267,847号;Wildmanらに対する米国特許第4,289,147号;Brummerらに対する米国特許第4,351,346号;Brummerらに対する米国特許第4,359,059号;Mullerに対する米国特許第4,506,682号;Keritsisに対する米国特許第4,589,428号;Sogaらに対する米国特許第4,605,016号;Pouloseらに対する米国特許第4,716,911号;Niven, Jr.らに対する米国特許第4,727,889号;Bernasekらに対する米国特許第4,887,618号;Clappらに対する米国特許第4,941,484号;Faggらに対する米国特許第4,967,771号;Robertsらに対する米国特許第4,986,286号;Faggらに対する米国特許第5,005,593号;Grubbsらに対する米国特許第5,018,540号;Whiteらに対する米国特許第5,060,669号;Faggに対する米国特許第5,065,775号;Whiteらに対する米国特許第5,074,319号;Whiteらに対する米国特許第5,099,862号;Whiteらに対する米国特許第5,121,757号;Faggに対する米国特許第5,131,414号;Munozらに対する米国特許第5,131,415号;Faggに対する米国特許第5,148,819号;Kramerに対する米国特許第5,197,494号;Smithらに対する米国特許第5,230,354号;Faggに対する米国特許第5,234,008号;Smithに対する米国特許第5,243,999号;Raymondらに対する米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらに対する米国特許第5,318,050号;Teagueに対する米国特許第5,343,879号;Newtonに対する米国特許第5,360,022号;Clappらに対する米国特許第5,435,325号;Brinkleyらに対する米国特許第5,445,169号;Lauterbachに対する米国特許第6,131,584号;Kierulffらに対する米国特許第6,298,859号;Muaらに対する米国特許第6,772,767号;及びThompsonに対する米国特許第7,337,782号に記載されている。また、参照により本明細書に組み込まれる、Brandtら、LC-GC Europe、p.2~5(2002年3月)及びWellings、A Practical Handbook of Preparative HPLC(2006年)に記載の分離技術の種類も参照されたい。さらに、植物又はその部位は、全て参照により本明細書に組み込まれる、Ishikawaら、Chem, Pharm, Bull.、50、501~507(2002年);Tienpontら、Anal. Bioanal. Chem.、373、46~55(2002年);Ochiai、Gerstel Solutions Worldwide、6、17~19(2006年);Coleman, IIIら、J. Sci. Food and Agric.、84、1223~1228(2004年);Coleman, IIIら、J. Sci. Food and Agric.、85、2645~2654(2005年);Pawliszyn編、Applications of Solid Phase Microextraction、RSC Chromatography Monographs、(Royal Society of Chemistry、UK)(1999年);Sahraouiら、J. Chrom.、1210、229~233(2008年);及びRaymondらに対する米国特許第5,301,694号に記載の種類の処理に供されてもよい。
【0101】
本開示に従って利用されるニコチンは、遊離塩基形態の、塩形態の、複合体としての、又は溶媒和物としてのニコチンを含み得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Hanssonに対する米国特許出願公開第2004/0191322号における遊離塩基形態のニコチンに関する議論を参照されたい。ニコチンの少なくとも一部は、ニコチンポラクリレックス(nicotine polacrilex)のようなニコチンがイオン交換樹脂内で結合したニコチンの樹脂複合体の形態で使用されてもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Lichtneckertらに対する米国特許第3,901,248号を参照されたい。ニコチンの少なくとも一部は、塩の形態で使用されてもよい。ニコチンの塩は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Coxらへの米国特許第2,033,909号及びPerfetti、Beitrage Tabakforschung Int.、12、43~54(1983年)に記載の種類の成分及び技術を使用して提供され得る。さらに、ニコチンの塩は、Pfaltz and Bauer, Inc.及びK&K Laboratories、Division of ICN Biochemicals, Inc.のような供給源から入手可能である。例示的な薬学的に許容されるニコチン塩は、酒石酸塩(例えば、ニコチン酒石酸塩及びニコチン重酒石酸塩)、塩化物(例えばニコチン塩酸塩及びニコチン二塩酸塩)、硫酸塩、過塩素酸塩、アスコルビン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、サリチル酸塩、トシル酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩等のニコチン塩;ニコチン塩水和物(例えばニコチン塩化亜鉛一水和物)等を含む。ある特定の実施形態において、ニコチンの少なくとも一部は、これらに限定されないが、参照により本明細書に組み込まれる、共にBrinkleyらに対する米国特許出願第12/769,335号及び国際出願第PCT/US2011/033928号において議論されているようなレブリン酸を含む有機酸部分を有する塩の形態であってもよい。
【0102】
本明細書において使用される場合、「香味剤」は、懸濁液からの放出後に官能特性を提供するのに好適な任意の材料を示し得る。香味材料により変更され得る例示的な官能特性は、味、食感、湿り気、冷たさ/熱及び/又は香り/芳香を含む。いくつかの実施形態において、香味剤は、具体的にはタバコ由来材料を除外してもよい。
【0103】
香味剤は、天然又は合成であってもよく、香味剤の特徴は、限定されることなく、新鮮、甘い、ハーブ、菓子、花、フルーツ、スパイス又はそれらの組合せとして説明され得る。使用され得る香味剤の限定されない例は、バニラ、コーヒー、茶、チョコレート、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、蜂蜜、メープル、ジャスミン、ショウガ、アニス、セージ、カンゾウ、レモン、オレンジ、リンゴ、モモ、ライム、サクランボ、イチゴ及びそれらの組合せを含む。開示される製品において利用される香味剤はまた、ユーカリのような湿潤剤、冷却剤又は滑らかにする薬剤とみなされる成分を含んでもよい。香味剤は、未加工で(すなわち単独で)、又は複合物(例えば、スペアミント及びメントール又はオレンジ及びシナモン)として提供され得る。いくつかの実施形態において、香味剤は、噴霧乾燥形態で提供され得る。
【0104】
香味剤は、天然若しくは人工の形態で、又は人工及び天然甘味料の組合せとして使用され得る甘味料を含み得る。いくつかの実施形態において、シロップ(例えばコーンシロップ)、スクラロース、スクロース、フルクトース、サッカリン、アセスルファムK、アスパルテーム、イソマルト、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール又はそれらの組合せが、主要な甘味料成分として使用され得る。
【0105】
本開示による使用に好適となり得る香味材料の他の例に関しては、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Williamsに対する米国特許出願公開第2002/0162562号;Williamsに対する同第2002/0162563号;Atchleyらに対する同第2003/0070687号;Williamsに対する同第2004/0020503号、Breslinらに対する同第2005/0178398号;Stricklandらに対する同第2006/0191548号;Holton, Jr.らに対する同第2007/0062549号;Holton, Jr.らに対する同第2007/0186941号;Stricklandらに対する同第2007/0186942号;Dubeらに対する同第2008/0029110号;Robinsonらに対する同第2008/0029116号;Muaらに対する同第2008/0029117号;Robinsonらに対する同第2008/0173317号;及びNeilsenらに対する同第2008/0209586号を参照されたい。
【0106】
本明細書において使用される場合、「湿潤剤」は、湿度を提供及び/又は維持するように構成された材料を示し得る。湿潤剤は、特に、吸湿性材料であってもよい。湿潤剤は、1つ以上の親水基、特にヒドロキシル基を有する化合物であってもよい。本開示による湿潤剤として利用され得る材料の限定されない例は、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール)、トリアセチン(三酢酸グリセリン又は1,2,3-トリアセトキシプロパンとしても知られる)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトール)、α-ヒドロキシ酸(例えば乳酸)、蜂蜜及びそれらの組合せを含む。
【0107】
本明細書において使用される場合、「タバコ抽出物」は、乾燥された寸断タバコ葉のようなタバコ植物材料から誘導されるが、それ自体はそれを含まない材料を示し得る。タバコ抽出物は、任意のニコチアナ属種から抽出され得る。タバコ抽出物は、液体形態で、及び/又は実質的に固体の形態(例えば、ペレット、粒子、顆粒、フレーク、ビーズ等)で提供され得る。抽出物を得るために使用されるニコチアナ種は、その中に存在する様々な化合物の含量に関して選択され得る。例えば、タバコ抽出物が本開示の物品において使用される場合、植物は、それらの植物が、それらから単離されることが望まれる比較的高い量の1種以上の化合物を生成するという点に基づいて選択され得る。ある特定の実施形態において、ニコチアナ属種の植物(例えば、ガルパオ・コムン(Galpao commun)タバコ)が、その豊富な葉表面の化合物のため、特に栽培される。タバコ植物は、グリーンハウス、栽培箱若しくは屋外の畑で栽培されてもよく、又は水耕栽培されてもよい。タバコ抽出物は、タバコ抽出処理条件及び技術を使用してタバコから分離、除去又は誘導される任意の成分を含んでもよい。タバコ又は他の植物の精製抽出物が特に使用され得る。典型的には、タバコ抽出物は、水性の性質を有する溶媒(例えば水)又は有機溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール若しくはヘキサンのようなアルカン)のような溶媒を使用して得られる。したがって、抽出されたタバコ成分は、タバコから除去され、未抽出タバコ成分から分離され、溶媒中に存在する抽出されたタバコ成分に関して、(i)溶媒は、抽出されたタバコ成分から除去され得る、又は(ii)抽出されたタバコ成分及び溶媒の混合物は、そのまま使用され得る。タバコ抽出物、タバコエッセンス、溶媒、タバコ抽出処理条件及び技術、並びにタバコ抽出物収集及び単離手順の例示的な種類は、Schachnerに対するオーストラリア特許第276,250号;Meriroに対する米国特許第2,805,669号;Greenらに対する米国特許第3,316,919号;Tughanに対する米国特許第3,398,754号;Rookerに対する米国特許第3,424,171号;Luttichに対する米国特許第3,476,118号;Osborneに対する米国特許第4,150,677号;Kiteに対する米国特許第4,131,117号;Mullerに対する米国特許第4,506,682号;Robertsらに対する米国特許第4,986,286号;Faggに対する米国特許第5,005,593号;Faggに対する米国特許第5,065,775号;Whiteらに対する米国特許第5,060,669号;Whiteらに対する米国特許第5,074,319号;Whiteらに対する米国特許第5,099,862号;Whiteらに対する米国特許第5,121,757号;Munozらに対する米国特許第5,131,415号;Smithらに対する米国特許第5,230,354号;Sensabaughに対する米国特許第5,235,992号;Smithに対する米国特許第5,243,999号;Raymondに対する米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらに対する米国特許第5,318,050号;Clappらに対する米国特許第5,435,325号;及びBrinkleyらに対する米国特許第5,445,169号に記載されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0108】
外部相材料は、擬塑性及び折り畳み不可能である実質的に壁状の構造を形成するように構成されてもよい。内部相材料(実質的に親水性の性質である)は、好ましくは実質的に疎水性の性質である外部相材料内に実質的に懸濁されている。特に、外部相材料は、脂質を含んでもよい。外部相材料は、ワックス、バター、油等のような石油ベース及び/又は食品ベース材料であってもよい。外部相材料は、好ましくは、約80℃以上、約90℃以上又は約100℃以上の融点を有する脂質材料である。いくつかの実施形態において、脂質材料の融点は、約90℃~約160℃であってもよい。本開示による懸濁液の外部相において使用され得る脂質材料の限定されない例は、タロウ、水素化タロウ、水素化植物油、アーモンド油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、軽質流動ワセリン、重質流動ワセリン、オレイン、オリーブ油、パーム油、落花生油、杏仁油、ゴマ油、大豆油及びベニバナ油を含む。いくつかの実施形態において、ステアリンが外部相材料において使用されてもよい。いくつかの実施形態において、脂質材料は、特に、1種以上のハードバター、すなわち、ココアバターの固形脂肪指数(温度に対する固形脂肪パーセント)と同様の固形脂肪指数を有するように処理又は再結合された、水素化、圧縮分画(press fractionated)又は他の処理油を含んでもよい。外部相材料における使用に好適な他の材料、及び本開示による使用に好適な懸濁液を形成する方法は、参照によりそれらの両方が本明細書に組み込まれる、共にKershmanらに対する米国特許第6,340,471号及び米国特許出願公開第2004/0096498号に記載されている。
【0109】
本開示による懸濁液の内部相は、固体、液体又はそれらの組合せであってもよい。いくつかの実施形態において、内部相は、特に、懸濁液が実質的に液体中液体マイクロカプセル化(liquid-in-liquid microencapsulation)プロセスから生じる流体圧駆動性カプセル化(hydraulic encapsulation)として特徴付けられ得るように、液体であってもよい。このようにして、最大98重量%の水溶液(懸濁液の総重量を基準として)のカプセル化が達成され得る一方で、懸濁液は、壁の構造の脂質特性に起因して外部環境に対して全体的に疎水性の性質を維持する。したがって、懸濁液自体は、所望により溶液中に組み込まれ得るが、そのような条件下では、懸濁液は、実質的には連続ラメラで包囲された個々のマイクロカプセルの凝集体の形態である。この構造に起因して、懸濁液は、実質的に生体接着性となり得る。この意味では、生体接着性は、少なくとも一方が生物学的性質を有する2種の材料が界面張力により長期間互いに保持される状態を意味するものとして理解される。本開示による懸濁液は、(追加的な接着要素を必要とせずに)ヒト又は動物組織への取付け用に構成されているという点で、生体接着性となり得る。特に、本開示の懸濁液は、上皮組織及び/又は組織表面上の粘液コーティングへの生体接着(すなわち粘液接着)用に構成され得る。特定の実施形態において、本発明の懸濁液は、口腔、鼻腔及び/又は食道組織への生体接着(又は具体的には粘液接着)用に構成され得る。
【0110】
様々な実施形態において、懸濁液は、約50重量%~約98重量%、約60重量%~約98重量%又は約75重量%~約98重量%の内部相材料を含んでもよい。他の実施形態において、懸濁液は、約1重量%~約98重量%、約5重量%~約95重量%又は約10重量%~約90重量%の内部相材料を含んでもよい。
【0111】
上述のように、内部相及び外部相の組合せは、「流体圧駆動性カプセル化」又は「流体圧駆動性懸濁(hydraulic suspension)」として特徴付けられ得る。これは、内部相液体と外部環境との間に圧力差が存在するように、液体内部相材料が外部相材料内に閉じ込められることを意味する。したがって、内部相材料の放出は、特に内部相と外部相との間の浸透圧差により駆動され得る。したがって、本開示によれば、その浸透濃縮に基づいて内部相材料の放出を調整することが可能である。放出は、懸濁液の送達後実質的に即時的となるように構成されてもよく、又は、遅延及び/若しくは持続されてもよい。実質的に即時的な送達とは、懸濁液の送達後約5秒~約60秒の期間内に内部相材料の少なくとも50重量%を放出することを意味し得る。持続的放出とは、懸濁液の送達後少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間又は少なくとも24時間の期間、内部相材料を実質的に継続的に放出することを意味し得る。遅延放出とは、懸濁液の送達後約10分、約30分、約1時間、約2時間、約6時間又は約12時間まで、約10重量%以下の内部相材料が放出されることを意味し得る。
【0112】
所望により、放出は、外部相内に1種以上の膨張性材料を含めることにより促進され得る。膨張性材料は、例えば、材料の著しい膨張をもたらす、流体(例えば、経口送達される場合は唾液)の取込み用に構成された親水性材料であってもよい。外部相材料は半透膜を形成し得るため、膨張させる流体はそれを通過して膨張性材料により取り込まれ得る。膨張は、外部相の破裂及び内部相材料の放出をもたらし得る、又はそれをもたらすのを補助し得る。膨張性材料の例は、これらに限定されないが、ポリサッカリド、デンプン及び炭水化物を含む。好ましい実施形態において、膨潤性材料は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、高分子量ポリエチレングリコール、高分子量プロピレングリコール、ゼラチン、ドキュセート、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール及び高分子量糖であってもよい。そのような材料は、懸濁液の浸透圧差の変化により内部相材料の放出を促進するのに有用となり得る。膨潤性材料の使用による膜破裂のための材料及び方法、並びに/又は浸透圧の改変に好適な材料は、参照により本明細書に組み込まれる、Staasらに対する米国特許第6,312,731号に記載されている。
【0113】
いくつかの実施形態において、内部相材料は、毎分約0.25重量%~毎分約5重量%、毎分約0.25重量%~毎分約3重量%又は毎分約0.5重量%~毎分約1.5重量%の速度で放出され得る。放出は、実質的に一定であってもよく、又は示された範囲内で変動してもよい。
【0114】
本開示による懸濁液は、いくつかの実施形態において、懸濁液が長期間安定性を維持することを特徴とし得る。安定性とは、保存後の内部相材料の放出速度が、懸濁液の形成直後の内部相材料の放出速度と実質的に同じとなり得ることを意味し得る。保存条件は、実質的に周囲温度及び周囲湿度であってもよい。いくつかの実施形態において、懸濁液は、1年までの期間の保存後、放出速度が約20%以下だけ変化するという点で安定となり得る。他の実施形態において、懸濁液は、6カ月までの保存期間後、放出速度が約10%以下だけ変化するという点で安定性を維持し得る。さらなる実施形態において、懸濁液は、3カ月までの保存期間後、放出速度が約5%以下だけ変化するという点で安定性を維持し得る。
【0115】
内部相材料は、いくつかの実施形態において、脂質材料と組み合わされて懸濁液を形成する場合、カプセル化層内にカプセル化されてもよい。したがって、内部相材料は、事前にカプセル化されていることを特徴とし得る。内部相材料のカプセル化は、任意の好適な技術を使用して行われてもよい。例えば、溶媒蒸発、溶媒抽出、有機相分離、界面重合、単純及び複合コアセルベーション、in-situ重合、リポソームカプセル化及びナノカプセル化のような様々な化学的カプセル化技術のいずれかを使用して、マイクロカプセルが形成され得る。代替として、噴霧コーティング、パンコーティング、流動床コーティング、環状噴流コーティング、回転ディスク微粒化、噴霧冷却、噴霧乾燥、噴霧低温化、固定ノズル共押出、遠心ヘッド共押出又は浸漬ノズル共押出のような物理的なカプセル化の方法が使用されてもよい。
【0116】
使用されるカプセル化方法に関わらず、カプセルを形成するために使用される外側壁又はシェル材料及び溶媒は様々であり得る。壁又はシェル材料として典型的に使用される材料のクラスは、タンパク質、ポリサッカリド、デンプン、ワックス、脂肪、天然及び合成ポリマー及び樹脂を含む。マイクロカプセルを形成するために使用されるマイクロカプセル化プロセスにおける使用のための例示的材料は、ゼラチン、アカシア(アラビアガム)、ポリ酢酸ビニル、アルギン酸カリウム、イナゴマメガム、クエン酸カリウム、カラギーナン、ポリメタリン酸カリウム、クエン酸、トリポリリン酸カリウム、デキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーン、精製パラフィンワックス、エチルセルロース、漂白シェラック、食品用加工デンプン、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、ナトリウム、クエン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フェロシアン化ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、メチルセルロース、トリメタリン酸ナトリウム、メチルエチルセルロース、トリポリリン酸ナトリウム、微結晶性ワックス、タンニン酸、石油ワックス、テルペン樹脂、トラガカント、ポリエチレン、キサンタンガム及びポリエチレングリコールを含む。
【0117】
マイクロカプセルは、市販されており、マイクロカプセル技術の例示的な種類は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Gutcho、Microcapsules and Microencapsulation Techniques(1976年);Gutcho、Microcapsules and Other Capsules Advances Since 1975(1979年);Kondo、Microcapsule Processing and Technology(1979年);Iwamotoら、AAPS Pharm. Sci. Tech. 2002 3(3):記事25;Cherukuriらに対する米国特許第5,004,595号;Bonnerに対する同第5,690,990号;Wamplerらに対する同第5,759,599号;Soperらに対する同第6,039,901号;Soperらに対する同第6,045,835号;Lewに対する同第6,056,992号;Soperらに対する同第6,106,875号;Takadaらに対する同第6,117,455号;DeRoosらに対する同第6,482,433号;及びBouwmeestersらに対する同第6,929,814号に記載の種類である。
【0118】
本明細書に記載の懸濁液は、様々な送達物品及び/又は送達デバイスを形成するために、様々な材料と組み合わされ得る。いくつかの実施形態において、懸濁液と担体との組合せは、送達物品全体を実質的に形成し得る。他の実施形態において、懸濁液及び担体の組合せは、懸濁液の送達を補助するために、さらなる要素内又は要素上に提供されてもよい。したがって、本開示は、懸濁液の送達に好適な複数の物品を提供し得る。限定されない例において、本開示による物品は、送達要素、及び本明細書に記載の懸濁液を保持する担体要素を備えてもよい。以下でさらに開示されるように、本明細書に記載の懸濁液の送達用に構成された本開示による物品は、以下のような様々な形態をとり得る。
【0119】
自給式送達システム:このようなシステムは、本明細書に記載の担体及び懸濁液を備えてもよい。担体は、人間による消費に安全な材料の薄いストリップのような単一要素であってもよく、又は、担体は、同じである若しくは異なる材料の第1のストリップ及び第2のストリップのような複数の要素であってもよい。溶解性ストリップは、自給式送達システムの例である。無煙タバコ製品は、自給式送達システムの別の例である。(すなわち、懸濁液は無煙タバコ製品により保持される。)
【0120】
噴霧送達システム:このようなシステムは、容器に含有される液体を噴霧するように構成された容器の形態の送達要素を備えてもよい。担体は、容器内に収容された噴霧可能な液体担体を含んでもよい。懸濁液は、噴霧可能な液体担体と混合されてもよい。
【0121】
エアロゾル送達デバイス:このようなデバイスは、空気入口、空気入口の下流側に位置する口金、口金の上流側に位置する熱源、及び熱源と口金との間の空気流ストリームを備えてもよい。懸濁液を保持する担体要素は、熱源と口金との間の空気流ストリーム内に位置してもよい。
【0122】
巻きタバコ:このような巻きタバコは、タバコロッド及びタバコロッドに接続されたフィルタ要素を備えてもよい。様々な構成が、担体の性質を規定し得る。例えば、以下の構成の任意の1つ以上が包含される:タバコロッドは、懸濁液を保持する担体要素として構成され得る;フィルタ要素は、懸濁液を保持する担体要素として構成され得る;担体は、懸濁液がカプセル内に提供された破壊可能なカプセルであってもよい;及び/又は、担体は、懸濁液が帯の形態で提供された巻きタバコの外側表面であってもよい。
【0123】
タバコ製品パッケージ:このようなパッケージは、内側表面を有する少なくとも1つの壁を有する容器を備えてもよく、容器は、タバコ製品を含有するように構成されている。容器の壁の内側表面の少なくとも一部は、担体であってもよく、懸濁液がその上にコーティングされる。代替として(又は組み合わせて)、担体は、その中に懸濁液を含有する、又はその上に懸濁液がコーティングされた基材であってもよく、基材は、容器内に含まれてもよい。
【0124】
上記に加えて、懸濁液が組み合わされ得る担体は、様々な異なる形態をとり得る。特に、上記で明らかなように、担体は、固体材料であってもよく、又は液体材料であってもよい。例えば、懸濁液は、固体担体上に実質的にコーティングされてもよい。いくつかの実施形態において、多孔質担体が使用され得る場合、懸濁液は、固体担体の細孔内に実質的に吸収され得る。固体担体は、口内条件下で溶解性であってもよい。口内条件という用語は、使用者の口内における品目の存在に関連した(任意の組合せでの)1つ以上の特徴を包含し得る。例えば、口内条件は、人間の口内で典型的に見られる温度、湿度及びpH、並びに咀嚼中に歯により印加され得るせん断、圧縮及び他の機械的な力の任意の組合せを含んでもよい。口内条件は、特に、唾液との接触に関連し得る。口内条件は、材料が唾液に実質的に類似した溶媒中に可溶化される条件を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、口内条件は、水性溶媒との接触に関連し得る。
【0125】
本開示による使用のための固体担体は、人間又は動物における使用に好適である広範な材料を含み得る。例えば、担体は、ドロップ剤、錠剤、トローチ又は経口用途に構成された同様の単位であってもよい。本開示による経口担体としての使用に好適な組成物及びその製造方法は、例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、Acharyaに対する米国特許第5,110,605号;Damに対する米国特許第5,733,574号;Santusに対する米国特許第6,280,761号;Anderssonらに対する米国特許第6,676,959号及びWilhelmsenに対する米国特許第6,248,760号;Hanssonらに対する米国特許第8,741,348号、Wilhelmsenに対する米国特許出願公開第2001/0016593号、Axelssonらに対する米国特許出願公開第2010/0004294号並びにDugginsらに対する米国特許出願公開第2013/0209540号に記載されている。
【0126】
いくつかの実施形態において、固体担体は、実質的に薄膜又はストリップの形態であってもよい。本明細書においてさらに説明されるように、薄膜又はストリップは、単一層又は複数の層を備えてもよく、薄膜上に実質的にコーティングされた、薄膜の少なくとも一部に分散された、薄膜内に吸収若しくは薄膜上に吸着された、及び/又は2つ以上の薄膜の間に挟まれた(本開示による懸濁液のような)活性成分を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、本開示による組成物は、第1の薄膜、第2の薄膜、及び第1の薄膜と第2の薄膜との間に位置する本明細書に記載の懸濁液を備える層状構造物であってもよい。
【0127】
薄膜を形成するための材料は、口内条件下で実質的に溶解性であってもよく、急速溶解、遅延溶解及び/又は長期間にわたる持続溶解用に構成され得る。いくつかの実施形態において、複数の薄膜が組み合わされてもよく、1つの薄膜は、第1の溶解プロファイルを有し、第2の薄膜は、第1の溶解プロファイルとは異なる第2の溶解プロファイルを有する。例えば、同じ条件下において、第1の薄膜及び第2の薄膜の一方は、約10%以上、約20%以上又は約50%以上の割合だけ他方よりも速い(例えば、約10%~約500%、約20%~約250%又は約30%~約200%だけ高い)速度で溶解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1の薄膜及び第2の薄膜の一方は、口内条件下で溶解性であってもよく、他方は、口内条件下で実質的に非溶解性であってもよい。本開示による薄膜担体としての使用に好適な組成物及びその製造方法は、例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、Zerbeに対する米国特許第5,948,430号、Mooneyらに対する米国特許第6,072,100号、Repkaらに対する米国特許第6,375,963号、Leungらに対する米国特許第6,596,298号、Zerbeらに対する米国特許第6,709,671号、Leungらに対する米国特許第6,923,981号、Leungらに対する米国特許第7,025,983号、Leungらに対する米国特許第7,491,406号、Schiraldiらに対する米国特許第RE33,093号、Yangらに対する米国特許出願公開第2003/0107149号及び同第2005/0037055号、Chanらに対する米国特許出願公開第2006/0198873号、Bessらに対する米国特許出願公開第2006/0204559号、Frankhauserらに対する米国特許出願公開第2007/0202057号並びにFuiszに対する米国特許出願公開第2009/0095313号に記載されている。
【0128】
さらなる実施形態において、固体担体は、ガムの形態であってもよく、それにより本明細書に記載の懸濁材料は、ガム基材の咀嚼中にそこから放出され得る。本開示によるガム担体としての使用に好適な組成物及びその製造方法は、例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、Fernoらに対する米国特許第3,845,217号、Lichtneckertらに対する米国特許第3,877,468号、Lichtneckertらに対する米国特許第3,901,248号、Cherukuriらに対する米国特許第6,344,222号、Pinneyらに対する米国特許第6,358,060号、Reamらに対する米国特許第6,773,716号、Pinneyらに対する米国特許第6,893,654号及びHanssonに対する米国特許出願公開第2004/0191322号に記載されている。
【0129】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の懸濁液のための固体担体は、天然タバコ材料であってもよい。タバコ材料は、実質的に、例えば、溶解性タバコ製品(例えば、ストリップ、スティック、球及びドロップ剤のような固体単位に圧縮又は別様に成形された微粉末タバコ)、噛みタバコ(例えば、ルーズリーフ、プラグ又はねじり形態)、乾燥嗅ぎタバコ、湿性嗅ぎタバコ、パウチ(すなわち、小袋又はフリース内に含有される微粉タバコ)並びにスヌースのような、使用に好適であることが知られている任意の固体形態であってもよい。
【0130】
天然タバコは、本明細書において使用される場合、ニコチアナ属種の植物のいくつかの形態を意味し得る。ニコチアナ属種からの植物の選択は様々となり得、特に、タバコ(複数種可)の種類は様々となり得る。使用され得るタバコは、熱風乾燥又はバージニア(例えばK326)、バーレー、日干し乾燥(例えば、カテリーニ、プレリップ、コモティニ、シャンティ及びヤンボルタバコを含むインディアンカルヌール及びオリエンタルタバコ)、メリーランド、暗所、暗所火力乾燥(dark-fired)、暗所自然乾燥(dark air cured)(例えば、パサンダ、キューバノ、ジャテン及びブズーキタバコ)、明所自然乾燥(light air cured)(例えば、ノースウィスコンシン及びガルパオタバコ)、インディアン自然乾燥(Indian air cured)、レッドロシアン及びラスティカ(Rustica)タバコ、並びに様々な他の希少又は特殊なタバコを含む。様々な種類のタバコ、栽培作業及び収穫作業に関する説明は、参照により本明細書に組み込まれる、Tobacco Production, Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。ニコチアナ属種は、遺伝子組み換え又は交雑育種を使用して得ることができる。(例えば、タバコ植物は、ある特定の成分、特徴又は属性の生成を増加若しくは減少させるため、又は別様に変化させるために、遺伝子操作又は交雑育種され得る)。本発明における使用に好適なニコチアナ属種の種類に関する追加的な情報は、参照により本明細書に組み込まれる、Dubeらに対する米国特許出願公開第2012/0192880号において見出すことができる。タバコ植物は、グリーンハウス、栽培箱若しくは屋外の畑で栽培されてもよく、又は水耕栽培されてもよい。
【0131】
本発明に従って使用されるニコチアナ属種の植物の部位(複数可)は、様々となり得る。例えば、植物の事実上全て(例えば植物全体)が収穫され、そのまま使用され得る。代替として、植物の様々な部分又は片が収穫され、又は収穫後にさらなる使用のために分離され得る。例えば、葉、柄、茎、根、葉身、花、種並びにそれらの様々な部位及び組合せが、さらなる使用又は処理のために単離され得る。したがって、植物材料は、ニコチアナ属種の植物全体又は植物の任意の部位を含み得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Coleman, IIIらに対する米国特許出願公開第2011/0174323号及びDubeらに対する同第2012/0192880号に記載のタバコ植物の部位を参照されたい。
【0132】
ニコチアナ種の植物は、参照により本明細書に組み込まれる、Dubeらに対する米国特許出願公開第2012/0192880号に記載のように、未成熟又は成熟形態のいずれでも使用することができ、また生の形態又は乾燥した形態のいずれでも使用することができる。
【0133】
タバコ材料は、冷蔵、冷凍、乾燥(例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥)、放射線照射、黄化、加熱、熱処理(例えば焙煎、揚げ若しくは煮沸)、発酵、漂白のような様々な処理プロセスに供されてもよく、又は別様に、後の使用のための保存若しくは処理に供されてもよい。例示的な処理技術は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Brinkleyらに対する米国特許出願公開第2009/0025739号及びColeman, IIIらに対する同第2011/0174323号に記載されている。
【0134】
タバコ材料は、参照により本明細書に組み込まれる、2012年4月11日に出願されたMarshallらに対する米国特許出願第13/444,272号及び2012年7月19日に出願されたMoldoveanuに対する米国特許出願第13/553,222号において議論されているように、収穫前又は収穫後に、酵素及び/又はプロバイオティクスで処理されてもよい。タバコ材料は、放射線照射、殺菌又は別様に制御加熱処理に供されてもよい。代表的なプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる、Muaらに対する米国特許出願公開第2009/0025738号;Brinkleyらに対する同第2009/0025739号;及びBeesonらに対する同第2011/0247640号に記載されている。タバコ材料は、例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、Bhattacharyyaらに対する米国特許出願公開第2007/0186940号;Reesらに対する同第2011/0041859号;Jonssonらに対する同第2011/0159160号;及びByrdらに対する同第2012/0291793号に記載のように、インプリントポリマー又は非インプリントポリマーとの接触に供されてもよい。
【0135】
ニコチアナ属種の植物の収穫された部位(複数可)は、物理的に処理されてもよい。植物の部位(複数可)は、個々の部分又は片に分離されてもよい。(例えば、根が茎から除去されてもよく、柄が茎から除去されてもよく、葉が茎及び/又は柄から除去されてもよく、花弁が花の残りの部分から除去されてもよい。)植物の収穫された部位(複数可)は、部分又は片にさらに細分化されてもよい。(例えば、充填剤型の片、細粒、微粒子又は微粉末として特徴付けられ得る片又は部分まで寸断、切断、砕片化、細粉化、製粉又は粉砕されてもよい。)植物の収穫された部位(複数可)は、外力又は圧力に供されてもよい(例えば、圧縮される、又は圧延処理に供されることにより)。そのような処理条件を実行する場合、植物の収穫された部位(複数可)は、自然の含水量(例えば、収穫直後のその含水量)に近い含水量、植物の収穫された部位(複数可)に水分を加えることにより達成される含水量、又は植物の収穫された部位(複数可)の乾燥から得られる含水量を有してもよい。
【0136】
ある特定の実施形態において、タバコ材料は、微粒子として説明され得る形態(すなわち、寸断、粉砕、細粒化又は粉末形態)で使用される。微細粒又は粉末型の形態でタバコ材料が提供される様式は、様々となり得る。好ましくは、植物の部分又は片は、粉砕、製粉又は同様の処理の機器及び技術を使用して、微粒子まで砕片化、粉砕又は細粉化される。最も好ましくは、植物材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミル(air control mill)又は同様の機械のような機器を使用した粉砕又は製粉の間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコの一部又は片は、その含水量が約15重量パーセント未満又は約5重量パーセント未満である場合、粉砕又は製粉され得る。最も好ましくは、タバコ材料は、約50ミクロン未満の平均粒子サイズを有する一部又は片の形態で使用される。一実施形態において、タバコ粒子の平均粒子サイズは、約25ミクロン以下であってもよい。いくつかの場合において、タバコ粒子は、篩目を通過するようなサイズであってもよい。所望により、所望のサイズ又はサイズ範囲の小サイズタバコ粒子が確実に収集され得るように、空気分級機器が使用されてもよい。所望により、細粒化タバコの異なるサイズの片が、互いに混合されてもよい。微細製粉タバコ粒子(又は他の微細サイズ植物成分)の使用は、使用者が使用後の製品廃棄を低減又は排除したい場合には有利となり得る。
【0137】
固体担体は、いくつかの実施形態において、タバコ代替品としての使用に好適な1種以上の材料を含んでもよい。本明細書において使用される場合、タバコ代替品は、小片、粉末等のようなタバコの形態と実質的に同様であり、本明細書に記載の懸濁液用の担体として好適である形態で提供され得る任意の材料であってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、タバコ代替品は、カルシウムポリカルボフィル、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ビートパルプ繊維、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム及びそれらの組合せを含んでもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、固体担体は、パウチ(フリースと呼ぶこともできる)の形態であってもよい布地を含んでもよい。そのような形態において、本明細書に記載の懸濁液は、布地により保持されてもよく、並びに/又は、パウチ形態の布地内に含まれるさらなる材料(例えば、タバコ材料及び/若しくはタバコ代替品)により保持されてもよい。パウチは、好ましくは、透湿性であってもよい。例えば、本開示による使用に好適となり得る無煙タバコ製品の製造に使用される種類の好適な小包、パウチ又は容器は、CatchDry、Ettan、General、Granit、Goteborgs Rape、Grovsnus White、Metropol Kaktus、Mocca Anis、Mocca Mint、Mocca Wintergreen、Kicks、Probe、Prince、Skruf及びTreAnkrareの商品名で入手可能である。本開示により有用となり得るパウチ製品の様々な実施形態と同様の形状及び形態のパウチ型の製品は、ZONNIC(Niconovum ABにより供給されている)として市販されている。さらに、本開示により有用な実施形態と概して同様の形状及び形態のパウチ型製品は、参照により本明細書に組み込まれるAxelssonらに対するPCT WO2007/104573の実施例1において、嗅ぎタバコ袋組成物EからJとして記載されており、これらは、本明細書に記載のパウチ製品を製造するために使用され得る賦形剤成分及び処理条件を使用して生成される。
【0139】
本明細書に記載の担体及び懸濁液を含む組成物を収容するためのパウチとして有用な透水性布地は、不織ウェブを含み得る。使用中、使用者は、組成物を含有する1つのパウチ製品を、人間対象/使用者の口内に入れることができる。口内条件、特に唾液との接触により、懸濁液の少なくとも一部が組成物から放出され、及び/又は、内部相材料の少なくとも一部が懸濁液から放出され得る。パウチは、好ましくは嚥下されない。パウチは、咀嚼に供されてもよいが、好ましくは、パウチを実質的に引裂く又は別様に穴を開け、組成物を口内に漏れ出させるように咀嚼されない。好適な時間(例えば約30秒~約60分、約1分~約45分又は約2分~約30分)後、パウチは、人間対象の口から取り出されて廃棄され得る。
【0140】
パウチは、人間の口内での使用に好適であり、特に唾液と接触した際にそれに含有される組成物からの放出可能成分の移動を可能とするように、十分に透湿性、液体透過性及び/又は透水性である任意の材料で形成され得る。本明細書において使用される場合、「透水性」という用語は、唾液透過性を含む。
【0141】
パウチ材料は、ティーバッグの構造に使用されるメッシュ様の種類の材料と同様の特徴であるとみなすことができる種類のものであってもよい。懸濁液及び/又は懸濁液の内部相材料は、パウチを通して使用者の口内に(又は、パウチ製品が設置され得る流体のような周囲環境内、例えば、実施形態において、パウチ製品がティーバッグ又は同様のものであってもよい環境内に)容易に拡散することができる。パウチに好ましい布地材料は、通常の使用条件下において、パウチがその物理的完全性を失う時点の前に、大量の懸濁液及び/又は内部相材料がパウチを通して透過し得るように設計及び製造され得る。
【0142】
他の実施形態において、懸濁液は、液体担体と混合されてもよい。そのような液体担体は、実質的に親水性又は実質的に疎水性の性質であってもよい。いくつかの実施形態において、液体担体中の懸濁液の実質的に均質な混合物を提供するために有用な乳化剤又は他の添加剤が含まれてもよい。
【0143】
懸濁液が液体担体中に提供される組成物は、鼻腔用噴霧剤、口腔用噴霧剤又は同様のもののような噴霧剤としての使用に特に適合され得る。ニコチンを鼻腔用噴霧剤の形態で投与する様々な例示的手法は、参照により本明細書に組み込まれる、Fernoらに対する米国特許第4,579,858号、Jonesに対する米国特許第5,656,255号及びJonesに対する米国特許第6,596,740号に記載されている。ニコチンを口腔用噴霧剤の(すなわち口腔内投与に好適な)形態で投与する様々な例示的手法は、全て参照により本明細書に組み込まれる、Von Wiellighに対する米国特許第6,024,097号;Lindellらに対する米国特許出願公開第2003/0159702号;Lindellらに対する米国特許出願公開第2007/0163610号、Axelssonに対する米国特許出願公開第2009/0023819号、Lindellらに対するEP1458388及びAxelssonらに対するPCT特許出願公開第WO2008/037470号に記載されている。
【0144】
本明細書に記載の組成物は、広範な製品の形成に有用となり得る。特に、組成物は、ニコチン、香味剤、湿潤剤及びタバコ抽出物の1つ以上の送達を提供することが望ましい任意の製品において有用となり得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、ニコチン代替治療製品における使用に好適となり得る。したがって、懸濁液は、内部相材料としてニコチンを含んでもよい。同じ懸濁液に追加的な材料が含まれてもよい。代替として、製品に第1の懸濁液が含まれてもよく、第1の懸濁液は、内部相材料としてニコチンを含み、製品に第2の懸濁液が含まれてもよく、第2の懸濁液は、内部相材料として1種以上のさらなる材料(例えば、香味剤、湿潤剤又はタバコ抽出物)を含む。
【0146】
いくつかの態様において、本開示は、口腔ストリップに関連し得る。いくつかの実施形態において、口腔ストリップは、薄膜及び薄膜により保持される本明細書において別段に説明される懸濁液を備えてもよい。特に、懸濁液は、脂質で形成される外部相、並びにニコチン、香味剤、湿潤剤、タバコ抽出物及びそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む内部相を含んでもよい。
【0147】
本開示によるストリップの例示的実施形態を図1に示す。図1に見られるように、ストリップ100は、薄膜120及びそれにより保持される懸濁液130で形成される。示された実施形態において、懸濁液は、薄膜上にコーティングされる。他の実施形態において、懸濁液は、実質的に薄膜内に分散してもよい。
【0148】
ストリップは、図2に示されるように、複数の薄膜を備えてもよい。図2に見られるように、第1の薄膜220及び第2の薄膜225が組み合わされて、ストリップ200を形成する。懸濁液230は、第1の薄膜220と第2の薄膜225との間に位置するように、第1の薄膜に塗布される。代替として、懸濁液230は、第2の薄膜225に塗布されてもよく、第1の薄膜220と第2の薄膜の両方に塗布されてもよく、又は薄膜の間に物理的に捕捉されてもよく、これは薄膜の一方又は両方に形成される空隙又はウェル内に位置することを含む。そのような構成において、第1の薄膜220と第2の薄膜225の両方は、懸濁液230を放出するように口内条件下で実質的に溶解性であってもよい。好ましい実施形態において、懸濁液230は、内部相材料が外部相から放出され得るように、懸濁液の放出後に材料が口腔内の組織の少なくとも一部に実質的に接着し得るような生体接着用に構成されてもよい。いくつかの実施形態において、限定されない例として、第1の薄膜220は、口内条件下で実質的に非溶解性であってもよく、又は、急速に若しくは第1の薄膜よりも急速に溶解するように構成され得る第2の薄膜225に比べて、ゆっくりと溶解してもよい。第1の薄膜220及び第2の薄膜225は、第2の薄膜が溶解して懸濁液230を放出し得る一方で、第1の薄膜220が送達部位で懸濁を維持し、嚥下等による懸濁液の損失を実質的に防止するために少なくとも最小限の時間実質的に無傷のままであるように、第2の薄膜225が口腔組織と直接接触し得るべく消費者がストリップ200を口腔内に挿入できるように区別可能であってもよい(例えば、異なる色、異なる質感又は同様の様式で)。第1の薄膜及び第2の薄膜の相対的溶解性は、そのような実施形態において反対であってもよいことが理解される。3つ以上の薄膜が組み合わされてもよい。例えば、3つの薄膜が積層され、懸濁液が底部層と中間層との間及び中間層と上部層との間にあってもよい。各場所において同じ懸濁液が使用されてもよく、又は異なる懸濁液が使用されてもよい。さらに、薄膜は、懸濁液の一方が他の懸濁液の前に放出され得るように、相対的な溶解性を有するように構成されてもよい。このように、徐放により様々な効果及び感覚が提供され得る。
【0149】
いくつかの態様において、本開示は、噴霧システムに関連し得る。噴霧システムは、液体組成物の収容及び噴霧用に構成され得る。「噴霧」という単語が使用されるが、液体の送達は、ストリーム、液滴、ミスト又は同様の形態の提供のように、液体がシステムから送達される任意の形態をとり得ることが理解される。さらに、「噴霧」システムは、液体が噴霧により(例えば、添加された噴射剤又は同様のものの使用により)、及びポンピング又は液体が機械的手段により容器から送達される任意の同様の様式で送達されるシステムを包含することが理解される。したがって、最低でも、本システムは、噴霧システム、ポンプシステム又は液体送達システムとして特徴付けられ得る。
【0150】
本開示による噴霧送達システム300の例示的実施形態を図3に示す。図3に見られるように、噴霧送達システム300は、液体を含有するように構成された容器310を備えてもよい。示された実施形態において、容器は、中の液体が見えるように部分的に断面図となっている。特に、噴霧可能な液体担体315が容器内に含まれ、懸濁液330は噴霧可能な液体担体と混合されている。使用中、消費者は、容器310の噴霧ノズル312を送達場所に(例えば口腔内に)向け、ノズルを作動させて噴霧可能な液体担体と混合された懸濁液を噴霧し得る。噴霧組成物又は他の液体組成物の送達用に構成された容器のさらなる例は、参照により本明細書に組み込まれる、Axelssonらに対する米国特許出願公開第2010/0108059号に記載されている。
【0151】
いくつかの態様において、本開示は、無煙タバコ製品に関連し得る。特に、無煙タバコ材料は、それと組み合わされたドレッシング材料を有してもよく、ドレッシング材料は、本明細書に記載の懸濁液を含んでもよい。例えば、無煙タバコ材料は、経口用途に典型的に認識される任意の形態の固体タバコを含んでもよい。無煙タバコ製品400の例示的実施形態を図4に示すが、無煙タバコ材料440は、布地パウチ445内に維持される。本開示による懸濁液は、無煙タバコ材料440及び布地パウチ400の一方又は両方により保持され得る。両方により保持される場合、無煙タバコ材料及び布地パウチに対して異なる懸濁液が使用されてもよい。(又は両方と併せて同じ懸濁液が使用されてもよい。)
【0152】
限定されない例として、微粉末の形態の無煙タバコ材料は、一般にスヌースと呼ぶことができ、材料は、キャニスタ若しくは他の包装内に遊離状態で提供されてもよく、又はパウチ内に提供されてもよい(図4において示されるように)。スヌースは、典型的には実質的に乾燥しているが、いくつかの実施形態において、本開示の懸濁液は、内部相として湿潤剤又はタバコ由来抽出物を特に含んでもよい。湿潤剤又はタバコ由来抽出物の添加は、典型的には乾燥した微細なタバコを、湿性嗅ぎタバコに実質的に類似した外観にし得る。この目的のために、ニコチン、香味剤及び/又は選択的に濾過されたタバコ抽出物は、同様に懸濁液の内部相として提供され得る。
【0153】
いくつかの実施形態において、無煙タバコ材料は、無煙タバコ代替品を含んでもよい、又はそれで置き換えられてもよい。天然タバコ材料の外見、感触及び/又は質感を提供するのに好適な任意の材料が、タバコ代替品として使用され得る。所望により、無煙タバコ代替品により保持される懸濁液は、天然タバコ材料と実質的に同じ外観、認識及び/又は感覚を達成するのに好適な内部相材料を含んでもよい。
【0154】
いくつかの態様において、本開示は、エアロゾル送達デバイスに関連し得る。そのようなデバイスは、当技術分野において一般に知られており、本開示は、巻きタバコ、葉巻又はパイプ喫煙に関連した感覚を提供するが、タバコの燃焼から生じる大量の不完全燃焼及び熱分解生成物を送達しないように意図的に設計されているそのようなデバイスのいずれにも適用され得る。この目的のために、揮発性材料を気化若しくは加熱するように構成された、又はタバコを相当な程度まで燃焼させることなく巻きタバコ、葉巻若しくはパイプ喫煙の感覚を提供しようとする、数多くの喫煙製品、香り発生器及び医療用吸入器が提案されている。本明細書に記載のエアロゾル送達デバイスは、電動のデバイス、いわゆる「電子たばこ」、及びいわゆる「非燃焼加熱式(heat-not-burn)」デバイスのような燃料要素により加熱されるデバイス又は同様のものを含んでもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Robinsonらに対する米国特許第7,726,320号及びCollettらに対する同第8,881,737号に記載の背景技術において説明されている様々な代替の喫煙用品、エアゾル送達デバイス及び加熱源を参照されたい。また、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Blessらに対する米国特許出願公開第2015/0216232号において商品名及び商業的供給源により参照される、様々な種類の喫煙用具、エアロゾル送達デバイス及び電動加熱源を参照されたい。様々な種類の電動エアロゾル及び蒸気送達デバイス、そのような装置の形成に有用な材料及び成分、そのようなデバイスを製造する方法、並びにそのようなデバイスを利用したエアロゾル生成方法の限定されない例は、全て参照により本明細書に組み込まれる、Searsらに対する米国特許出願公開第2014/0096781号及びMinskoffらに対する同第2014/0283859号並びに2014年5月20日に出願されたSearsらに対する米国特許出願第14/282,768号;2014年5月23日に出願されたBrinkleyらに対する同第14/286,552号;2014年7月10日出願されたAmpoliniらに対する同第14/327,776号;及び2014年8月21日に出願されたWormらに対する同第14/465,167号に記載されている。非燃焼加熱式デバイスの形成に有用な材料及び成分は、参照により本明細書に組み込まれる、Clearmanらに対する米国特許第4,989,619号、Perfettiらに対する米国特許第5,137,034号、Riggsらに対する米国特許第5,178,167号、Clearmanらに対する米国特許第5,345,955号、Riggsらに対する米国特許第5,551,451号、Farrierらに対する米国特許第5,593,792号、Bevenらに対する米国特許第6,095,152号、Cantrellらに対する米国特許第7,647,932号に記載されている。
【0155】
エアロゾル送達デバイス500の例示的実施形態を図5に示す。図5に見られるように、エアロゾル送達デバイスは、空気入口551、及び空気入口の下流側に位置し、エアロゾル出口553を含む口金552を有する、筐体550を備える。熱源565は、デバイスの口金552の上流側に位置する。貯蔵部560は、同様にデバイスの口金552の上流側に位置し、エアロゾル前駆体組成物を保持するように構成されている。示されるように、貯蔵部560は、熱源565の上流側に位置しているが、熱源が、貯蔵部の上流側に位置してもよいことが理解される。いくつかの実施形態において、貯蔵部560は、繊維性材料であってもよく、又は、実質的に容器として構成されてもよい。いくつかの実施形態において、貯蔵部560は、エアロゾル形成材料が組み合わされていてもよいタバコ材料であってもよい。いくつかの実施形態において、熱源565は、電気加熱器であってもよい。いくつかの実施形態において、熱源565は、燃料要素であってもよい。図5において、少なくとも1つの液体輸送要素563が貯蔵部560と熱源565との間に延在しているが、そのような液体輸送要素は、熱源が、それに保存された任意のエアロゾル前駆体組成物を少なくとも部分的に気化させるのに十分貯蔵部に近接している場合のようないくつかの実施形態においては、存在しなくてもよい。エアロゾル送達デバイス500は、空気流ストリーム557が筐体550を少なくとも部分的に通過するように構成されている。好ましくは、空気流ストリーム557は、デバイスの熱源と口金552との間を少なくとも通過する。示されるように、空気流ストリーム557は、空気入口551で進入し、貯蔵部560の周りを、及び/又はそれを通って通過し、熱源565を横切って通過し、デバイスの口金552へと進む。使用中、熱源565は、蒸気が空気流ストリーム557中の空気と混合して、吸入可能なエアロゾルを形成するように、貯蔵部560内に保持されたエアロゾル前駆体組成物を気化させるように機能し、吸入可能なエアロゾルは、エアロゾル出口553を通ってデバイスから出る。所望により、空気入口551は、筐体550上の別の場所に位置してもよい。エアロゾル送達デバイス500は、デバイスの熱源565と口金552との間の空気流ストリーム557内に位置する担体要素567をさらに含む。担体要素567は、本明細書において別段に説明される懸濁液を、懸濁液及び/又は懸濁液中に保持される内部相材料の少なくとも一部が、空気流ストリーム557を通過するエアロゾルにより同伴され得るような様式で維持するのに好適な任意の材料であってもよい。例えば、担体は、布地、繊維、粒子、ビーズ、セラミック等であってもよい。
【0156】
エアロゾル送達デバイスに関連する実施形態において、それに使用されるエアロゾル前駆体組成物は、いかなる香味料及び/又はニコチンも含まなくてもよい。むしろ、エアロゾル前駆体組成物は、実質的に無味又は汎用的となるように、本質的にポリオールのような湿潤剤からなってもよい。所望の香味料及び/又はニコチンが、懸濁液中に提供されてもよい(所望により追加の湿潤剤及び/又はタバコ抽出物と共に)。
【0157】
いくつかの態様において、本開示は、包装に関連し得る。例えば、様々な種類の製品用の包装が、その中の様々な材料の放出用に構成されていることが望ましくなり得る。例えば、本明細書に記載の懸濁液に包装が提供されてもよく、香味剤又は芳香材料が懸濁液の内部相として使用され得る。内部相は、包装内の製品に香味を提供するため、及び/又は製品に所望の芳香を提供するために、外部相を通して放出するように構成されてもよい。同様に、包装内の湿度レベルを制御するため、及び/又は包装内の製品に湿度を提供するために、湿潤剤が懸濁液の内部相として提供されてもよい。
【0158】
いくつかの実施形態において、本開示は、タバコ製品用の包装に関連し得る。包装は、巻きタバコパック若しくはカートン;無煙タバコキャニスタ、パック若しくは缶;エアロゾル送達デバイスを保持するための包装;又は同様の包装のような壁付きの容器であってもよい。懸濁液は、包装内に存在してもよい。例えば、懸濁液は、容器の少なくとも1つの壁の内側表面上にコーティングされてもよい。懸濁液は、容器内に提供された担体上又は担体内に提供されてもよい(例えば、パウチ内に保持される粒子、繊維又は同様のものにコーティング又は別様に提供され得る懸濁液を保持するパウチ又はフリース)。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Ashcraftらに対する米国特許第5,249,676号を参照されたい。
【0159】
本開示による巻きタバコ包装の実施形態を図6に示す。図6に見られるように、巻きタバコ包装600は、本体671及び本体にヒンジ結合された蓋673を備える。本体は、前壁671a、後壁671b、第1の側壁671c、第2の側壁671d及び底壁671eを備える。各壁はそれぞれ、内側表面及び外側表面を有する。示されるように、本開示による懸濁液630は、後壁671bの内側表面の一部に提供される。懸濁液630は、1つの壁若しくは複数の壁上に存在してもよく、及び/又は蓋673の内側表面上に存在してもよいことが理解される。懸濁液は、図4に示されるパウチと同様のパウチ内に提供されてもよい。そのようなパウチは、懸濁液が提供される担体を含んでもよい。本明細書に記載の懸濁液を含み得る巻きタバコ包装は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Fockeらに対する米国特許第4,895,251号、Fockeらに対する米国特許第4,949,841号、Rigbyに対する米国特許第6,276,600号、Fockeらに対する米国特許第7,455,176号及びCadieux, Jr.らに対する米国特許第D651,073号等において実質的に説明されるような構造を有してもよい。
【0160】
本開示による無煙タバコ容器の実施形態を図7に示す。図7に見られるように、容器700は、容器の蓋780及び容器本体785を備える。容器の蓋780は、蓋の壁781及びスカート783で形成される。容器本体785は、基部壁786、基部壁に取り付けられた第1の外周壁787、及び第1の外周壁に取り付けられ嵌め込まれた第2の外周壁788で形成される。容器の蓋780は、蓋のスカート783が第2の外周壁788上を摺動するように、容器本体785に係合するように構成されている。示されるように、本開示による懸濁液730は、第1の外周壁787の内側表面の一部に提供される。懸濁液は、1つの壁若しくは複数の壁上に存在してもよく、及び/又は容器の蓋780の内側表面上に存在してもよいことが理解される。懸濁液は、図4に示されるパウチと同様のパウチ内に提供されてもよい。そのようなパウチは、懸濁液が提供される担体を含んでもよい。所望により、そのようなパウチは、実質的に容器本体785若しくはその一部、又は容器の蓋780若しくはその一部に付着し得る。本明細書に記載の懸濁液を含み得る無煙タバコ製品用の容器は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Pipesらに対する米国特許第8,910,781号、Bellamahらに対する米国特許第D694,102号、Gibsonらに対する米国特許出願公開第2011/0303566号、Berggrenに対する米国特許出願公開第2012/0168329号、Patelらに対する米国特許出願公開第2012/0193265号及びBailyらに対する米国特許出願公開第2012/0285125号において実質的に説明されるような構造を有し得る。
【0161】
いくつかの態様において、本開示は、従来の喫煙用品、すなわち巻きタバコ、葉巻又は同様のものに関連し得る。喫煙用品は、タバコロッド、タバコロッドに接続されたフィルタ要素及び本明細書において別段に説明される懸濁液を備えてもよい。懸濁液は、タバコロッド、フィルタ要素又はその両方に組み込まれてもよい。例えば、懸濁液は、タバコロッド内で使用されるタバコ材料に塗布されてもよい。いくつかの実施形態において、懸濁液は、例えばフィルタ要素に挿入され得る破壊可能なカプセル内に提供されてもよい。カプセルは、それを通過する煙内に実質的に同伴されるように懸濁液をフィルタ内に放出させることが望ましい場合、破裂されてもよい。喫煙用品の形成に利用され得る例示的材料は、参照により本明細書に組み込まれる、Thomasらに対する米国特許第7,565,818号、Dubeらに対する米国特許第7,793,665号及びDealに対する米国特許第8,512,213号に記載されている。本開示の喫煙用具に組み込まれ得る様々な代表的なタバコの種類、処理されたタバコの種類、タバコブレンドの種類、喫煙用具部品及び喫煙用具構成は、参照により本明細書に組み込まれる、Lawsonらに対する米国特許第4,836,224号;Perfettiらに対する米国特許第4,924,888号;Brownらに対する米国特許第5,056,537号;Brinkleyらに対する米国特許第5,159,942号;Gentryらに対する米国特許第5,220,930号;Blakleyらに対する米国特許第5,360,023号;Shaferらに対する米国特許第6,701,936号;Liらに対する米国特許第7,011,096号;Liらに対する米国特許第7,017,585号;Lawsonらに対する米国特許第7,025,066号;Perfettiらに対する米国特許出願公開第2004-0255965号、Beremanに対するPCT WO02/37990号;及びBombickら、Fund. Appl. Toxicol.、39、11~17頁(1997年)に記載されている。
【0162】
本開示による巻きタバコの例示的実施形態を図8に示す。特に、巻きタバコ800は、タバコロッド890及びフィルタ895を備える。示された実施形態において、懸濁液897は、フィルタ895の外側表面上に提供される。他の実施形態において、懸濁液は、タバコロッド890内、及び/又はフィルタ895の内側部分内、及び/又は包装紙若しくはチップ紙(tipping paper)(共に図8には示されていない)内に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、懸濁液は、破壊可能なカプセル内に組み込まれてもよい。(カプセル890は、図8において、フィルタ895内に位置付け可能であるように示されている。)その中に破壊可能なカプセルを有するフィルタ要素を製造する方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Dubeらに対する米国特許第7,836,895号に記載されている。
【0163】
いくつかの実施形態において、懸濁液は、タバコロッドの一部の周りに、及び/又は巻きタバコのフィルタの少なくとも一部の周りに、1つの帯又は複数の帯を実質的に形成してもよい。例えば、火災基準適合(Fire Standard Compliant、FSC)巻きタバコは、放置された巻きタバコが自然に消火するように、燃焼を抑制するように機能する追加的な包装紙及び/又はポリマー材料で形成された1つ以上の帯を含むことが知られている。本明細書に記載の懸濁液も同様に、巻きタバコの周りに帯状となってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の懸濁液は、FSC帯と組み合わされてもよい。懸濁液は、芳香を高めることができる内部相材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の懸濁液の帯は、単独で使用されてFSC帯を形成し得る。所望により、懸濁液は、放置された場合に巻きタバコを消火するように機能し得る材料(例えば、水及び/又は湿潤剤)を内部相内に含んでもよい。
【実施例
【0164】
保存安定性ニコチン送達製品を提供する本発明の組成物の能力を評価するために、組成物の総重量を基準として0.8重量%又は1.6重量%の濃度でニコチンを懸濁した2つの異なる外部相材料(59-80A及び59-87Bと標示)からなる、4つの異なる製剤に対して溶解試験を行った。
【0165】
ニコチン放出を評価するために、50mgの組成物(すなわちニコチン内部相材料と組み合わされた外部相材料)を、5mLのヘプタンに溶解させた。混合後、5mLの脱イオン水(pH3.0)を添加した。溶液をLC-UV試験に供した。溶解試験は、懸濁液からのニコチンの放出を示し、また製剤の調製から約24時間後に第1の組の試験を実行することにより、及び調製から約3カ月後に第2の組の試験を実行することにより、保存安定性もまた評価したが、これらの期間中、製剤は室温及び室内湿度で保存された。図9のグラフは、0.8重量%のニコチン懸濁液に対する試験結果を示し、図10のグラフは、1.6重量%のニコチン懸濁液に対する試験結果を示す(それぞれ約10%の許容誤差を有する)。グラフに見られるように(X軸上の1は100%の放出を示す。)、0.8重量%のニコチン及び1.6重量%のニコチンに対する放出速度曲線は、実質的に同様である。同様に、各製剤の放出速度は、3カ月の保存期間後も実質的に同様のままであった。
【0166】
本明細書に記載の組成物、方法、プロセス及び用途に対する好適な修正及び適合が、その任意の実施形態又は態様の範囲から逸脱せずに行われてもよいことが、関連技術における当業者には容易に明らかとなる。ここで、請求される発明の様々な実施形態及び態様を詳細に説明してきたが、例示のみを目的とし、限定を目的としない以下の例を参照することにより、同じことがより明確に理解される。本明細書において提供される開示の範囲は、本明細書に記載の実施形態、態様、例及び優先性の全ての実際の又は潜在的な組合せを含む。本明細書において引用される全ての特許及び出版物は、その特定の教示に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
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図10