(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】超音波手術器具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A61B17/32 510
(21)【出願番号】P 2018558162
(86)(22)【出願日】2017-04-24
(86)【国際出願番号】 US2017029124
(87)【国際公開番号】W WO2017192288
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-22
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502167588
【氏名又は名称】ミソニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイク, ダン
(72)【発明者】
【氏名】イソラ, スコット
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-522034(JP,A)
【文献】特表2004-512855(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024550(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/3209 - A61B 17/3211
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形のシャフトと、ブレードと、電気機械変換装置に取り付けるように構成されたコネクタ部分とを含み、
前記シャフトは、縦軸と、円筒形の外面と、該シャフトの遠位端又は自由端での端面とを有し、前記シャフトは、前記端面での出口まで縦方向に延びる流路又は孔を有し、
前記ブレードは、前記シャフトの前記遠位端又は自由端と前記端面で隣接し、前記ブレードは、接合部が介在することなく前記シャフトと一体であって連続しており、
前記シャフトは、近位端での前記コネクタ部分から前記シャフトの前記遠位端又は自由端での前記ブレードまで、直線又は直線状の構成で延び、
前記ブレードは、前記縦軸に対して偏心して配置された近位端を有する扁平な又は平面的なブレード本体を含み、該ブレード本体は前記縦軸に対して角度をなして延び、前記近位端から前記ブレード本体の遠位端まで直線状であり、前記シャフトの前記円筒形の外面と同軸かつ同一の円筒形である円筒形の延長仮想面上及びその内部でのみ延びる、超音波外科用器具。
【請求項2】
前記ブレード本体は、前記縦軸に面した主側面を有し、前記ブレード本体は、前記主側面に前記流路又は孔と前記出口で連続する溝を備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記ブレード本体は貫通スロット又は貫通穴を備え、前記溝は、前記出口から前記貫通スロット又は貫通穴の近位側まで延びる、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記ブレード本体は、前記シャフトとの反対側にある遠位端に、前記縦軸に対して傾いた傾斜面を備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記ブレード本体は、弓状の遠位先端を備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ブレード本体は、前記縦軸と交差する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記ブレード本体は、互いに反対方向を向いた平らな第1の主側面と平らな第2の主側面とを有し、前記ブレード本体は、前記第1の主側面に前記流路又は孔と前記出口で連続する溝を備え、前記ブレード本体は、前記端面及び前記出口との反対側にある前記溝の端部に貫通穴を更に備え、前記溝は前記出口から前記貫通穴まで延び、前記第2の主側面には、前記貫通穴に繋がる追加の溝が形成される、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記追加の溝は、前記第2の主側面において前記貫通穴での幅広い端部から閉じた狭い端部へ次第に細くなる、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記ブレード本体は、前記シャフトの円筒形の外面と連続する終端のない周面又は外周面を有し、前記周面又は外周面は前記シャフトの前記外面と同軸の円筒形の一部である、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記ブレード本体は、前記シャフトの円筒形の外面と連続する同軸の円筒形の一部である少なくとも1つの端面を有する、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項11】
シャフト部分と、該シャフト部分の遠位端又は自由端にあるブレード部分とを有し、該ブレードは接合部が介在することなく前記シャフトと一体であって連続している一体の超音波外科用器具の製造方法であって、該方法は、一端でのコネクタ部分と反対端での円筒形のシャフトとを含む未完成の道具を提供することと、ここで前記コネクタ部分は電気機械変換装置に取り付けるように構成されており、前記円筒形のシャフトは、円筒形の外面と、縦軸と、縦方向に延びる流路又は孔を有し、
前記シャフトの遠位端部の反対向きの両側面を機械加工して、前記円筒形のシャフトから前記シャフト部分を形成して、前記シャフト部分の遠位端に端面を備えた前記シャフト部分を与え、前記端面に出口を備えた前記縦方向に延びる流路又は孔を与え、2つの反対向きの平面を作り出し、それにより接合部が介在することなく前記シャフト部分と一体であって連続した平面的なシャフト延長部又は端部として前記ブレード部分を形成し、前記ブレード部分は、前記縦軸に対して偏心して配置された近位端を有し、前記縦軸に対して角度をなして延び、かつ前記近位端から前記ブレード部分の遠位端まで直線状であり、前記ブレード部分は、前記シャフトの前記円筒形の外面と同軸かつ同一の円筒形である円筒形の延長仮想面上及びその内部でのみ延びることを含む、方法。
【請求項12】
前記シャフトの前記遠位端部の前記反対向きの両側面の機械加工は、前記シャフト部分の円筒形の外面と連続する同軸の円筒形の一部である少なくとも1つの端面を有するように前記ブレード部分を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記円筒形のシャフトの前記遠位端部の機械加工は、少なくとも1つの前記平面と平行に延びる回転軸を中心に切削工具を回転させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記円筒形のシャフトの前記遠位端部の機械加工は、前記回転軸に平行な軸を有する円筒形の一部としての前記シャフト部分の端面と、前記少なくとも1つの前記平面とを形成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
縦軸を有する円筒形のシャフトと、該シャフトの遠位端又は自由端に扁平な又は平面的なブレード本体を備えたブレードとを含み、前記ブレードは、接合部が介在することなく前記シャフトと一体であって連続しており、前記ブレードは前記縦軸に対して偏心して配置された近位端を有し、前記ブレードは前記縦軸に対して角度をなして延びて前記縦軸と交差し、前記近位端から前記ブレードの遠位端まで直線状であり、前記ブレードは、前記シャフトの円筒形の外面と連続かつ同軸である、終端のない円筒形の一部又は周面の形態で少なくとも1つの縁又は周面を有する、超音波外科用器具。
【請求項16】
前記シャフトは、前記ブレードの前記近位端に隣接する端面を有し、前記シャフトは、前記端面に出口を備えた流路又は孔を有する、請求項15に記載の外科用器具。
【請求項17】
前記ブレード本体は、前記縦軸に面した主側面を有し、前記ブレード本体は、縦方向に延びる先細の溝を前記主側面に有し、該溝は、深さ及び断面のそれぞれが前記溝に沿った距離と共に変化し、前記溝は前記流路又は孔と同軸である、請求項16記載の外科用器具。
【請求項18】
前記ブレード本体は、前記溝と繋がって連続する貫通スロット又は貫通穴を備え、該貫通スロット又は貫通穴は、前記ブレード本体の一方の側面から反対側の側面へ、前記ブレード本体に対して側方に延びる、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項19】
前記ブレード本体は、弓状の遠位先端を備える、請求項15に記載の外科用器具。
【請求項20】
前記シャフトは、前記ブレード本体の前記近位端に隣接する端面を有し、前記シャフトは、前記端面に出口を備えた流路又は孔を有し、前記ブレード本体は、互いに反対方向を向いた平らな第1の主側面と平らな第2の主側面とを有し、前記ブレード本体は縦方向に延びる溝を前記第1の主側面に備え、前記ブレード本体は前記溝の端部に貫通穴を更に備え、該貫通穴は前記平らな第1の主側面から前記平らな第2の主側面まで延びる、請求項15に記載の外科用器具。
【請求項21】
前記第2の主側面には、前記貫通穴に繋がる追加の溝が形成される、請求項20に記載の外科用器具。
【請求項22】
前記追加の溝は、前記第2の主側面において、前記貫通穴での幅広い端部及び閉じた狭い端部を有する、請求項21に記載の外科用器具。
【請求項23】
前記ブレード本体は、前記出口を通じて前記流路又は孔と繋がる貫通穴を有する、請求項16に記載の外科用器具。
【請求項24】
円筒形のシャフトと、ブレードとを含み、
前記シャフトは、縦軸と、円筒形の外面と、該シャフトの遠位端又は自由端での端面とを有し、
前記ブレードは、該シャフトの遠位端又は自由端と前記端面で隣接し、
前記ブレードは、接合部が介在することなく前記シャフトと一体であり、
前記ブレードは、前記縦軸に対して偏心して配置された近位端を有する扁平な又は平面的なブレード本体を含み、該ブレード本体は前記縦軸に対して角度をなして延び、前記近位端から前記ブレード本体の遠位端まで直線状であり、
前記シャフトは、前記端面に出口を備えた流路又は孔を有し、
前記シャフトは、前記流路又は孔を定める円筒形の内面を有し、
前記ブレード本体は、前記内面と同一の円筒形である第1の円筒を横切って延び、
前記ブレード本体の遠位端部は、前記第1の円筒と、前記外面と同一の円筒形である第2の円筒との間に全体が位置し、前記遠位端部は途切れや中断なしに連続している、超音波外科用器具。
【請求項25】
縦軸を有する円筒形のシャフトと、該シャフトの
遠位端又は自由端でのブレードとを含み、前記ブレードは、接合部が介在することなく前記シャフトと一体であって連続しており、前記ブレードは、前記縦軸に対して偏心して配置された近位端を有する扁平な又は平面的なブレード本体を含み、該ブレード本体は前記縦軸に対して角度をなして延び、前記近位端から前記ブレード本体の遠位端まで直線状であり、前記シャフトは前記ブレード本体の近位端と隣接する端面を有し、前記シャフトは前記端面に出口を備えた流路又は孔を有し、前記ブレード本体は前記縦軸に面した主側面を有し、前記ブレード本体は、縦方向に延びる先細の溝を前記主側面に有し、該溝は、深さ及び断面のそれぞれが前記溝に沿った距離と共に変化する、超音波外科用器具。
【請求項26】
前記ブレード本体は、前記溝と繋がって連続する貫通スロット又は貫通穴を備える、請求項25に記載の外科用器具。
【請求項27】
前記ブレード本体は、弓状の遠位先端を備える、請求項25に記載の外科用器具。
【請求項28】
前記ブレード本体は前記縦軸と交差する、請求項25に記載の外科用器具。
【請求項29】
前記ブレード本体は、前記出口を通じて前記流路又は孔と繋がる貫通穴を有する、請求項25に記載の外科用器具。
【請求項30】
縦軸を有する円筒形のシャフトと、該シャフトの
遠位端又は自由端でのブレードとを含み、前記ブレードは、接合部が介在することなく前記シャフトと一体であって連続しており、前記ブレードは、前記縦軸に対して偏心して配置された近位端を有する扁平な又は平面的なブレード本体を含み、該ブレード本体は、前記縦軸に対して角度をなして延び、前記近位端から前記ブレード本体の遠位端まで直線状であり、前記ブレード本体は前記縦軸と交差し、前記シャフトは前記ブレード本体の近位端と隣接する端面を有し、前記シャフトは前記端面に出口を備えた流路又は孔を有し、前記ブレード本体は、互いに反対方向を向いた平らな第1の主側面と平らな第2の主側面とを有し、前記ブレード本体は縦方向に延びる溝を前記第1の主側面に備え、前記ブレード本体は前記溝の端部に貫通穴を更に備える、超音波外科用器具。
【請求項31】
前記第2の主側面には、前記貫通穴に繋がる追加の溝が形成される、請求項30に記載の外科用器具。
【請求項32】
前記追加の溝は、前記第2の主側面において前記貫通穴での幅広い端部から閉じた狭い端部へ次第に細くなる、請求項31に記載の外科用器具。
【請求項33】
円筒形のシャフトと、ブレードとを含み、前記シャフトは、縦軸と、前記シャフトの遠位端又は自由端での端面とを有し、前記ブレードは、前記シャフトの前記遠位端又は自由端と前記端面で隣接し、前記ブレードは、接合部が介在することなく前記シャフトと一体であって連続しており、前記ブレードは、前記縦軸に対して偏心して配置された近位端を有する扁平な又は平面的なブレード本体を含み、該ブレード本体は前記縦軸に対して角度をなして延び、前記近位端から前記ブレード本体の遠位端まで直線状であり、前記シャフトは、前記端面に出口を備えた流路又は孔を有し、前記ブレード本体は、一対の主側面を有し、両方の該主側面の間を延びる貫通穴を備え、前記ブレード本体は、前記貫通穴と繋がりかつ連続する溝を前記主側面の一方に備え、前記溝は、前記貫通穴に対する、前記出口及び前記シャフトの前記遠位端又は自由端との反対側に配置され、前記溝は前記ブレード本体の遠位先端から離れた遠位端を有して、前記遠位先端は途切れや中断なしに閉じて連続している、超音波外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波手術道具又は器具に関する。本発明はまた、その道具又は器具を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、特に骨組織を切断するための超音波外科用ブレードを開示しており、それは滑らかな連続した切断刃を有するブレード本体と、一端でブレード本体に接続され、反対端で超音波振動源に動作可能に接続可能なシャンクとを有する。シャンクは、冷却液を切断刃に輸送するための軸方向に延びる孔を備え、ブレード本体は、一端でその孔と繋がる軸方向に延びる貫通スロットを備える。ブレード本体は、好ましくは、上記スロットから切断刃に向かって流体を分散させるために、シャンクとの反対側の端部に孔と繋がる凹部を備える。凹部は、好ましくは切断刃の少なくとも一部と平行な形状を有する。例えば、切断刃が円形であり、ブレード本体が流体分散のガイド面と切断刃との間に平面を有する場合、凹部は、平らなブレード面に対して傾斜して円弧で広がる流体分散面を有する。
【0003】
そのような骨切断器具の製造において、ブレード本体は別に作られ、その後に管状のシャフトの端に固定される。したがって、器具のシャフト又はホーンとブレードとの間に接合部が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、接合部が排除されなくても低減される、改善された超音波道具又は器具、特に骨切断ブレードを提供することを目的とする。本発明はまた、製造が容易であり、製造費が既存の器具よりも安い、そのような道具又は器具を提供することを目的とする。本発明はまた、超音波骨切断器具又は道具の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波外科用器具は、円筒形のシャフトと、そのシャフトの遠位端又は自由端にあるブレードとを含み、ブレードは、接合部が介在することなくシャフトと一体であって連続している。以下に記載されるように、この器具の製造は、未完成の道具の遠位端、特にそのシャフトの遠位端部を機械加工することを伴う。
【0007】
外科用器具は、典型的には、ブレードとの反対側にあるシャフトの近位端に、半径方向又は横方向に拡大された近位端部を更に含む。拡大された近位端部は、器具のハンドピース内部に収容された圧電スタックのような電気機械変換装置に取り付けられるように構成される。
【0008】
本発明の更なる特徴によれば、シャフトは縦軸を有し、ブレードは、そのシャフトの軸に対して偏心して配置された近位端部を備える扁平な又は平面的なブレード本体を含む。したがって、ブレード本体又は少なくともブレード本体の近位端部は、シャフトに対して偏心して配置される。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、ブレード本体は、シャフトの円筒形の外面と連続する同軸の円筒形の一部である少なくとも1つの縁又は周面を有する。
【0010】
本発明の一実施形態では、ブレード本体は、シャフトの軸に平行な平面内を延びる。
【0011】
シャフトは、ブレード本体の近位端に隣接する端面を有し、その端面に出口を備えた流路又は孔もまた有する。
【0012】
本発明の別の態様によれば、ブレード本体はシャフトの軸に面した主側面を有する場合、ブレード本体はその主側面に、流路又は孔とその出口で連続する溝を備える。溝は、ブレード本体の長さに亘ってブレード本体の遠位端まで延びてもよい。あるいは、ブレードが貫通スロット又は貫通穴を備える場合、溝は、流路又は孔の出口から貫通スロット又は貫通穴の近位側まで延びる。
【0013】
ブレード本体は、シャフトとの反対側にある遠位端に、シャフトの軸に対して傾いた傾斜面を備えてもよい。これに代えて又は加えて、ブレード本体は、弓状の遠位先端を備えて形成されてもよく、その場合に遠位先端は、シャフトの軸に対して垂直な方向の軸を備えた円形又は円筒形の面を有する。
【0014】
本発明の第2の実施形態では、ブレード本体は、シャフトの軸に対して角度をなして延びて、その軸と交差する。シャフトが、ブレード本体の近位端に隣接する端面を有し、更にその端面に出口を備えた流路又は孔を有する場合、ブレード本体は、互いに反対方向を向いた平らな第1の主側面と平らな第2の主側面とを有する。
【0015】
本発明の別の特徴によれば、ブレード本体は、第1の主側面に、流路又は孔とその出口で連続する溝を備える。ブレード本体は、上記端面及び出口との反対側にある溝の端部に貫通穴を更に備えてもよく、その溝は上記出口から貫通穴まで延びる。第2の主側面は、貫通穴に繋がる追加の溝が形成されてもよい。追加の溝は、好ましくは、第2の主側面において、貫通穴での幅広い端部から閉じた狭い端部へ次第に細くなる。第2の主側面は、貫通穴及び追加の溝によって形成された楕円形の中央の縁を有する環状の楕円形の面の形態であってもよい。
【0016】
この第2の実施形態のブレード本体は、シャフトの円筒形の外面と連続する終端のない周面又は外周面を有し、その周面又は外周面はシャフトの外面と同軸の円筒形の一部であってもよい。
【0017】
本発明はまた、シャフト部分と、シャフトの自由端の遠位にあるブレード部分とを有し、ブレードは接合部が介在することなくシャフトと一体であって連続している一体の超音波外科用器具の製造方法も対象とする。この方法は、一端での拡大されたコネクタ部分と反対端での円筒形のシャフトとを含む未完成の道具を提供することと、円筒形のシャフトの遠位端部の反対向きの両側面を機械加工して、円筒形のシャフトからシャフト部分を形成して、2つの反対向きの平面を作り出すこととを含む。両平面の形成は、シャフト部分の円筒形の外面と連続する同軸の円筒形の一部である少なくとも1つの端面を有する平面的なシャフト延長部又は端部としてブレード部分を実現し得る。
【0018】
円筒形のシャフトの遠位端部の機械加工は、好ましくは、少なくとも1つのその平面と平行に延びる回転軸を中心に切削工具を回転させることを含む。
【0019】
円筒形のシャフトの遠位端部の機械加工は、典型的には、その回転軸に平行な軸を有する円筒形の一部としてのシャフト部分の端面と、一方又は両方の平面とを形成することを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、より容易に製造されかつより厳密な又はより一貫した仕様を有することができる超音波器具、特に切除又は骨切断器具を提供する。したがって、品質管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の超音波外科用器具又はプローブの等角図である。
【
図2】
図1の器具又はプローブの遠位端部のより大きな縮尺での等角図である。
【
図6】本発明での
図1~5の器具又はプローブの製造方法における、上側及び下側の切削工具経路の2つの包絡線を概略的に示す、管状の未完成の道具の縦断面図である。
【
図7】本発明の別の超音波外科用器具又はプローブの遠位端部の等角図である。
【
図9】本発明の更なる超音波外科用器具又はプローブの遠位端部の等角図である。
【
図11】本発明の更なる超音波外科用器具又はプローブの遠位端部の等角図である。
【
図13】本発明の更に別の超音波外科用器具又はプローブの遠位端部の等角図である。
【
図15】本発明の更に別の超音波外科用器具又はプローブの遠位端部の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面に示される超音波外科用器具の実施形態はそれぞれ、円筒形のシャフトと、シャフトの自由端の遠位にあるブレードとを含み、ブレードは、接合部が介在することなくシャフトと一体であって連続している。これらの器具の製造は、未完成の道具の遠位端部、特にその管状のシャフトの遠位端部を機械加工することを伴う。
【0023】
図1に示されるように、外科用器具20は、円筒形のシャフト22と、そのシャフトの遠位端又は自由端にあるブレード24とを含み、ブレードは、接合部が介在することなくシャフトと一体であって連続している。器具20(及び本明細書に開示されるすべての器具)は、典型的には、ブレード24との反対側にあるシャフト22の近位端に、半径方向又は横方向に拡大された近位端部26を更に含む。近位端部26は、器具のハンドピース(図示せず)内部に収容された圧電スタックのような電気機械変換装置(図示せず)に取り付けられるように構成される。
【0024】
シャフト22は縦軸28を有し、ブレード24は、シャフトの軸28に対して偏心して配置された近位端部32を備えた扁平な又は平面的なブレード本体30を含む。したがって、ブレード本体30又は少なくともブレード本体30の近位端部は、シャフト28に対して偏心して配置される。
【0025】
本明細書で開示される超音波外科用器具の各実施形態において、ブレードは、シャフトの軸に対して偏心して配置された近位端を備えた扁平な又は平面的なブレード本体を含む。したがって、ブレード本体又は少なくともブレード本体の近位端部は、器具のシャフトに対して偏心して配置される。
【0026】
図2~4に示されるように、ブレード本体30は、シャフト22の円筒形の外面36と連続する同軸の終端のない円筒形の一部又は周面である、少なくとも1つの縁又は周面34を有する。
【0027】
本明細書に開示された超音波外科用器具の各実施形態は、器具のシャフトでの円筒形の外面と連続する同軸の円筒形の一部の形態である、少なくとも1つの縁又は周面を備えたブレード本体を有する。
【0028】
図6に示されるように、外科用器具20を製造する方法は、一端での拡大されたコネクタ部分26(
図1)と、反対端での円筒形のシャフト40とを含む未完成の道具38を提供することと、円筒形のシャフトの遠位端部42の反対向きの両側面(図面で特定されない)を機械加工して、未完成の道具38の円筒形のシャフト40から器具20のシャフト部分22(
図1)を形成して、2つの反対向きの平面又は主ブレード面44、46を作り出すこととを含む。平面44、46の形成は、縁若しくは周面34を有する平面的なシャフト延長部又は端部としてブレード部分24(
図1~
図5)を実現する。
【0029】
図3に示されるように、ブレード本体30は、シャフトの軸28に対して角度a1で延びて、シャフトの軸と交差する。シャフト22は、ブレード本体30の近位端32と連続する端面48を有し、更に端面48に出口52を備えた流路又は孔50を有する。平面44、46は、互いに反対方向を向く平らな第1の主側面と平らな第2の主側面である。
【0030】
未完成の道具38の遠位端部42(
図6)から平面44、46を切削するために回転切削工具(49で概略的に示される)が使用されることが特に言及される。回転切削工具は、
図6に示されるように、扁平な円の切削包絡線54を示すようにして第1の直線経路51(
図6)に沿って動かされる円形又は円筒形の切削面(図面で別に特定されない)を有する。シャフトの端面48は、同じ切削動作によって平面44の近位端部の形成と同時に形成され、従って円筒形の一部の形態となる。当然ながら、端面48を追加の工程で別に更に機械加工して、その端面を平面形状にしてもよい。
【0031】
図6に示されるように、別の扁平な円の切削包絡線56によって概略的に示されるように、同じ回転切削工具49を使用して下側の平面46を形成してもよい。
【0032】
図2及び4に示されるように、ブレード24は平面又は主側面44に設けられ、水路又は孔50と出口52で連続する溝150を備える。ブレード24は更に、端面48及び出口52との反対側にある溝150の端部に貫通穴152を備えるようにして形成される。溝150は、出口52から貫通穴152まで延びる。
図5に示されるように、平面又は主側面46には、貫通穴152と繋がる追加の溝154が形成されている。溝154は、平面又は主側面46において、貫通穴152での幅広い端部から閉じた狭い端部156へ次第に細くなる。平面46は、貫通穴152及び溝154によって形成された楕円形の中央の縁158を有する環状の楕円形の面の形態である。
【0033】
図7~16の各実施形態では、ブレードは、細長い直線的な器具のシャフトの軸に平行に、その軸の一つの側方で延びる。したがって、各ブレード本体は、シャフトに対して偏心した、すなわちシャフトの軸から離れた位置でシャフトの遠位端と一体となる近位端を必然的に有する。種々のブレードが、管状の棒の形である未完成の道具を、円形の刃又は円筒形の刃面を有する切削工具を用い、その切削工具をシャフトの軸に平行な経路に沿って移動させて機械加工することによって製造される。シャフトの遠位端面は、円形又は円筒形の切削工具により形成される円筒状に窪んだ面を有してもよい。または、図示のように平らであってもよく、その形状は更なる機械加工によって与えられ、例えば、シャフトの軸と角度をなす直線経路に沿って円形又は円筒形の切断面を動かすことによって与えられる。
【0034】
図7及び8に示されるように、外科用器具60は、円筒形のシャフト62と、そのシャフトの遠位端又は自由端にあるブレード64とを含み、ブレードは、接合部が介在することなくシャフトと一体であって連続している。器具60は、ブレード64との反対側にある又は器具ハンドピース(不図示)内に収容された圧電スタックのような電気機械変換装置(不図示)に結合するシャフト62の近位端に、半径方向又は横方向に拡大された近位端部26(
図1)を更に含む。
【0035】
ブレード64は、器具のシャフト62の軸68に面した平らな上側の主面66と、軸68から離れる反対方向に面した平らな下側の主面70とを有する。面66、70は、互いに及び軸68に平行である。ブレード64は、そのようにして軸68から離れて配置され、上側の面66に溝は形成されていない。シャフト62の水路又は管腔72は、面66の近位端の上方に出口74を有し、それにより圧力を受けて流路又は流路を通って流れる潅注液が面66上に流れ出る。ブレード64は、平面であってシャフトの軸68に対して垂直方向に向けられた遠位端面76を有する。ブレード64は、シャフト62の外面(図面で別に特定されない)と連続する同軸の円筒形の一部である一対の側部周縁面78を有する。
【0036】
図9及び10に示されるように、外科用器具80は、円筒形のシャフト82と、そのシャフトの遠位端又は自由端にあるブレード84とを含み、ブレードは、接合部が介在することなくシャフトと一体であって連続している。器具80は、ブレード84との反対側となる又は器具ハンドピース(不図示)内に収容された圧電スタックのような電気機械変換装置(不図示)に結合するシャフト82の近位端に、半径方向又は横方向に拡大された近位端部26(
図1)を更に含む。
【0037】
ブレード84は、器具のシャフト82の軸88に面した平らな上側の主面86と、軸88から離れる反対方向に面した平らな下側の主面90とを有する。面86、90は、互いに及び軸88に平行である。ブレード84は、そのようにして軸68から離れて配置され、上側の面86には細長い溝91が形成される。溝91は、シャフト82の流路又は管腔92の円筒形の面(別個に示されていない)と連続かつ同軸であり、流路又は管腔とその出口94を介して繋がる。器具80の使用中に、潅注液は圧力を受けて流路又は管腔92を通って流れ、溝91に流れ出て、そこから潅注液は面86上に分散される。ブレード84は傾斜した遠位端面96を有し、それは平面であって直線状の末端縁93及び丸められた角95を備え、シャフトの軸88に対して角度が付いた向きにされる。溝91は、傾斜した遠位端面96で終わる。ブレード84は、シャフト82の外面(図面で別に特定されない)と連続する同軸の円筒形の一部である一対の側部周縁面98を有する。
【0038】
図11及び12は、ブレード84に貫通スロット102を備えること以外は器具80と同一である外科用器具100を示す。
図11及び12での参照番号は、外科用器具80での同様の特徴又は要素を示すものと同じである。スロット102は、溝91内に、本質的にその長さに沿って中間に形成され、溝を近位の溝部分104と遠位の溝部分106とに分割する。溝102は、溝91又は溝部分104から下面90への潅注液の流れを促進する。
【0039】
図13及び14に示されるように、外科用器具110は、円筒形のシャフト112と、そのシャフトの遠位端又は自由端にあるブレード114とを含み、ブレードは、接合部が介在することなくシャフトと一体であって連続している。器具110は、ブレード114との反対側となる又は器具ハンドピース(不図示)内に収容された圧電スタックのような電気機械変換装置(不図示)に結合するシャフト112の近位端に、半径方向又は横方向に拡大された近位端部26(
図1)を更に含む。
【0040】
ブレード114は、器具のシャフト112の軸118に面した平らな上側の主面116と、軸118から離れる反対方向に面した平らな下側の主面120とを有する。面116、120は、互いに及び軸118に平行である。ブレード114は、そのようにして軸118から離れて配置され、上面116に短い溝部分121が形成され、その溝部分は、シャフト112の流路又は管腔122の円筒形の面(別個に示されていない)と連続かつ同軸であり、流路又は管腔とその出口124を介して繋がる。ブレード114はまた、シャフトの軸118に平行に延びる細長い貫通スロット126を備える。ブレード114は、貫通スロット126の遠位端に、一方の側のスロット126から反対側の円形の縁又は円筒状の端面130まで延びる遠位の溝部分128を有する。ブレード114は、シャフト112の外面(図面で別に特定されない)と連続する同軸の円筒形の一部である一対の側部周縁面132を有する。
【0041】
器具110の使用中に、潅注液は圧力を受けて流路又は管腔122を通って近位の溝部分121に流れ、次にスロット126に流れ、そこから潅注液は両方の主ブレード面116、120、そして円形の縁又は円筒状の端面130に流れ得る。
【0042】
図15及び16は、器具の遠位端が傾斜していること以外は器具110と同一である外科用器具140を示す。
図15及び16での参照番号は、
図13及び14での外科用器具110での同様の特徴又は要素を示すものと同じである。器具140は、傾斜した端面142を有する。遠位の溝部分128は、傾斜した端面142の形成によって切り取られ、スロット126からの斜面した端面142上での潅注液の分散を容易にするテーパーを備える。
【0043】
本明細書に開示されたそれぞれの器具の実施形態において、器具のシャフト22、62、82、112は、ブレード25、64、84、114の近位端に隣接する端面48、144、146、148を有し、またその端面に出口52、74、94、114を有する流路又は孔50、72、92、122を有することが明白である。ブレード25、64、84、114は、流路又は孔50、92、122とその出口52、94、114で連続する溝91、104、121を備えた主側面又は平面44、86、116に備えられることができる。溝91は、ブレードの遠位端までブレードの長さに亘って延びることができる。あるいは、ブレード24、84、114に貫通スロット又は貫通穴102、126を備える場合、溝は、シャフトの流路又は孔92、112の出口94、124から貫通スロット又は貫通穴102、126の近位側まで延びる部分104、121を含む。ブレード84、140は、シャフト82、112との反対側にある遠位端に、軸88、143に対して傾いた傾斜面96、142を備えてもよい(
図16)。これに代えて又は加えて、ブレード24、114は、弓状の遠位先端を備えて形成されてもよく、その場合に遠位先端は、シャフトの軸に対して垂直な方向の軸を備えた円形又は円筒形の面を有する。
【0044】
図6を参照して上述したように、シャフト部分22、62、82、112と、シャフトの自由端の遠位端にブレード部分24、64、84、114とを有する一体の超音波外科用器具を製造する方法は、一端での拡大されたコネクタ部分26と反対端での円筒形のシャフト40とを含む未完成の道具38を提供することと、円筒形のシャフトの遠位端部42の反対向きの両側面を機械加工して、円筒形のシャフトからシャフト部分22、62、82、112を形成して、2つの反対向きの平面44、66、86、116及び46、70、90、120を作り出すこととを含む。平面44、66、86、116及び46、70、90、120の形成は、平面的なシャフト延長部又は端部としてブレード部分24、64、84、114を実現し、ブレード部分はシャフト部分22、62、82、112の円筒形の外面と連続する同軸の円筒形の一部である少なくとも1つの端面34、78、98、132を有することができる。未完成の道具38の円筒形のシャフト40の遠位端部42の機械加工は、典型的には、少なくとも1つの平面44、66、86、116と平行(
図6の紙面に垂直)に延びる回転軸を中心に回転切削工具49を回転させることを含む。未完成の道具38での円筒形のシャフト40の遠位端部42は、例えばブレード部分24、64、84、114をその自由端の幅を狭くして先細にするために、端面34、78、98、132に沿って更に機械加工されてもよい。
【0045】
円筒形のシャフト40の遠位端部42の機械加工は、典型的には、工具49の回転軸に平行な軸を有する円筒形の一部(図示せず)としてのシャフト部分22、62、82、112の端面48、144、146、148と、平面44、66、86、116及び46、70、90、120の一方又は両方とを形成することを含む。シャフトの端面48、144、146、148をシャフトの軸28、68、88、118に対して傾いた平坦又は平らな面として形成するために、工具49又は異なる工具での更なる機械加工がされることができる。
【符号の説明】
【0046】
20 外科用器具
22 シャフト(シャフト部分)
24 ブレード(ブレード部分)
26 シャフトの近位端部(コネクタ部分)
28 シャフトの軸
30 ブレード本体
32 ブレード本体の近位端部
34 ブレード本体の周面
36 シャフトの円筒形の外面
38 未完成の道具
40 未完成の道具のシャフト
42 未完成の道具のシャフトの遠位端部
44 平面又は主ブレード面
46 平面又は主ブレード面
48 シャフトの端面
49 回転切削工具
50 流路又は孔
51 回転切削工具の直線経路
52 流路又は孔の出口
54 切削包絡線
56 切削包絡線
60 外科用器具
62 シャフト
64 ブレード
66 上側の主面
68 シャフトの軸
70 下側の主面
72 水路又は管腔
74 流路又は孔の出口
76 ブレードの遠位端面
78 ブレードの側部周縁面
80 外科用器具
82 シャフト
84 ブレード
86 上側の主面
88 シャフトの軸
90 下側の主面
91 溝
92 水路又は管腔
93 ブレードの末端縁
94 流路又は孔の出口
96 ブレードの遠位端面(傾斜面)
98 ブレードの側部周縁面
100 外科用器具
102 貫通スロット又は貫通穴
104 近位の溝部分
106 遠位の溝部分
110 外科用器具
112 シャフト
114 ブレード
116 上側の主面(上面)
118 シャフトの軸
120 下側の主面
121 短い溝部分
122 流路又は孔
124 流路又は孔の出口
126 貫通スロット又は貫通穴
128 遠位の溝部分
130 円形の縁又は円筒状の端面
132 側部周縁面
140 外科用器具
142 傾斜した端面(傾斜面)
143 シャフトの軸
144 シャフトの端面
146 シャフトの端面
148 シャフトの端面
150 溝
152 貫通穴
154 溝
158 中央の縁
a1 シャフトの軸に対する角度