(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】柱体成形用型枠および組立式コンクリート柱用の柱体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B28B 21/82 20060101AFI20220824BHJP
B28B 21/80 20060101ALI20220824BHJP
B28B 21/60 20060101ALI20220824BHJP
E04C 5/08 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B28B21/82
B28B21/80
B28B21/60
E04C5/08
(21)【出願番号】P 2019216886
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000228660
【氏名又は名称】日本コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】岩田 隆雄
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153598(JP,A)
【文献】特開2012-057443(JP,A)
【文献】特開2013-067024(JP,A)
【文献】特開2002-052525(JP,A)
【文献】特開2019-019525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0361633(US,A1)
【文献】特開2020-147991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 21/56 - 21/84
E04C 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状のコンクリート部と、このコンクリート部の端部に一体的に配置された
円筒状の継手用鋼管と、この継手用鋼管の内方にこの継手用鋼管と一体的に設けられた座板と、この座板に端部が固定されて前記コンクリート部に配置された緊張材と、を備える組立式コンクリート柱用の柱体を製造するための柱体成形用型枠であって、
円筒状に形成され前記コンクリート部の一部を成形する第一の型枠部本体と、この第一の型枠部本体の端部に形成された第一のフランジ部と、を有する第一の型枠部と、
前記継手用鋼管が内部に配置される円筒状の第二の型枠部本体と、この第二の型枠部本体の端部に形成され前記第一のフランジ部に突き当てられる第二のフランジ部と、を有する第二の型枠部と、
前記第一の型枠部と前記第二の型枠部との間に設けられ、
前記継手用鋼管の外径寸法よりも小さい内径寸法を有するリング状のプレート部材により形成されて、前記第二の型枠部本体の内部に配置された前記継手用鋼管の端部と当接する支持部と、
円筒状に形成され、前記第二の型枠部本体の内部に配置された前記継手用鋼管の端部が嵌合されることで前記継手用鋼管を位置決めする位置決め部と、を備えた
ことを特徴とする柱体成形用型枠
。
【請求項2】
柱状のコンクリート部と、このコンクリート部の端部に配置された
円筒状の継手用鋼管と、この継手用鋼管の内方にこの継手用鋼管と一体的に設けられた座板と、前記コンクリート部に配置された緊張材と、を備える組立式コンクリート柱用の柱体の製造方法であって、
請求項
1記載の柱体成形用型枠を用い、前記柱体成形用型枠の第二の型枠部
の第二の型枠部本体内に前記継手用鋼管を、前記柱体成形用型枠の支持部に端部が当接
するとともに前記柱体成形用型枠の位置決め部に嵌合するように配置し
て位置決めし、
前記座板に前記緊張材の
一端部を固定し
他端部を前記支持部から前記柱体成形用型枠の第一の型枠部側に
挿通して緊張した状態で前記第一の型枠部
の第一の型枠部本体内にコンクリートを注入し、前記コンクリート部を前記継手用鋼管と一体化するように遠心成形する
ことを特徴とする組立式コンクリート柱用の柱体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座板に端部が固定されてコンクリート部に配置された緊張材を備える組立式コンクリート柱用の柱体を成形するための柱体成形用型枠および組立式コンクリート柱用の柱体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組立式コンクリート柱は、複数の柱体を長手方向に接続して構成される。例えば、一の柱体である上柱の下端部に、他の柱体である下柱が接続されて構成される組立式コンクリート柱の場合、上柱には、柱状のコンクリート部の下端部に、下柱を接続するための継手用鋼管が配置されている。
【0003】
継手用鋼管には、上柱のコンクリート部に一体化される一体成形部と、下柱が嵌合される嵌合部とが設定される。一体成形部と嵌合部との間には、コンクリート部に埋設される緊張材であるPC鋼材の一端部を固定するための座板が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載された構成の場合、座板が継手用鋼管の内部にあるため、型枠に係止されることで緊張力を負担するためのアンカープレート(反力プレート)を座板に固定しにくく、座板とアンカープレートとを接合するための治具が必要となる。
【0006】
そのため、PC鋼材を緊張する際に容易に座板および継手用鋼管を定着できて、上柱の製造の手間をより軽減できるようにすることが望まれている。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、柱体の製造の手間を軽減できる柱体成形用型枠および組立式コンクリート柱用の柱体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の柱体成形用型枠は、柱状のコンクリート部と、このコンクリート部の端部に一体的に配置された円筒状の継手用鋼管と、この継手用鋼管の内方にこの継手用鋼管と一体的に設けられた座板と、この座板に端部が固定されて前記コンクリート部に配置された緊張材と、を備える組立式コンクリート柱用の柱体を製造するための柱体成形用型枠であって、円筒状に形成され前記コンクリート部の一部を成形する第一の型枠部本体と、この第一の型枠部本体の端部に形成された第一のフランジ部と、を有する第一の型枠部と、前記継手用鋼管が内部に配置される円筒状の第二の型枠部本体と、この第二の型枠部本体の端部に形成され前記第一のフランジ部に突き当てられる第二のフランジ部と、を有する第二の型枠部と、前記第一の型枠部と前記第二の型枠部との間に設けられ、前記継手用鋼管の外径寸法よりも小さい内径寸法を有するリング状のプレート部材により形成されて、前記第二の型枠部本体の内部に配置された前記継手用鋼管の端部と当接する支持部と、円筒状に形成され、前記第二の型枠部本体の内部に配置された前記継手用鋼管の端部が嵌合されることで前記継手用鋼管を位置決めする位置決め部と、を備えたものである。
【0009】
請求項2記載の組立式コンクリート柱用の柱体の製造方法は、柱状のコンクリート部と、このコンクリート部の端部に配置された円筒状の継手用鋼管と、この継手用鋼管の内方にこの継手用鋼管と一体的に設けられた座板と、前記コンクリート部に配置された緊張材と、を備える組立式コンクリート柱用の柱体の製造方法であって、請求項1記載の柱体成形用型枠を用い、前記柱体成形用型枠の第二の型枠部の第二の型枠部本体内に前記継手用鋼管を、前記柱体成形用型枠の支持部に端部が当接するとともに前記柱体成形用型枠の位置決め部に嵌合するように配置して位置決めし、前記座板に前記緊張材の一端部を固定し他端部を前記支持部から前記柱体成形用型枠の第一の型枠部側に挿通して緊張した状態で前記第一の型枠部の第一の型枠部本体内にコンクリートを注入し、前記コンクリート部を前記継手用鋼管と一体化するように遠心成形するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、柱体成形用型枠の第二の型枠部の第二の型枠部本体内に継手用鋼管を、支持部に端部が当接し位置決め部に嵌合するように配置して位置決めし、座板に緊張材の一端部を固定し他端部を支持部から第一の型枠部側に挿通して緊張することによって、座板に固定された緊張材の緊張力が、支持部と継手用鋼管との当接によって受けられるため、製造の手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態の柱体成形用型枠の一部を示す断面図である。
【
図2】同上柱体成形用型枠を用いて成形された柱体の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図2において、1は組立式コンクリート柱を構成する(一の)柱体としての上柱である。上柱1は、図示されない(他の)柱体としての下柱と接続されて組立式コンクリート柱を構成する。上柱1は、柱状のコンクリート部4と、このコンクリート部4の軸方向の一方側の端部(下端部)に配置されて一体化された継手用鋼管5と、継手用鋼管5に配置された座板6と、座板6からコンクリート部4に亘り配置された緊張材7と、を備えている。
【0014】
コンクリート部4は、円筒状に形成されており、軸方向に沿って緊張材7が埋設されて緊張力(プレストレス)が付与されている。本実施の形態において、コンクリート部4は、軸方向の一方側の端部である下端部から軸方向の他方側の端部である上端部へと径寸法(内径寸法および外径寸法)が徐々に縮小されるテーパ状に形成されているものとするが、これに限られず、両端部に亘り一定または略一定の径寸法(内径寸法および外径寸法)を有する直管状に形成されていてもよい。
【0015】
継手用鋼管5は、コンクリート部4に一体化された円筒状の一体成形部10と、この一体成形部10の軸方向の一方側である下側に配置され下柱が嵌合可能な円筒状の嵌合部11と、を有している。本実施の形態において、継手用鋼管5は、軸方向の一方側の端部である下端部から軸方向の他方側の端部である上端部に亘り、一定または略一定の厚みを有している。なお、継手用鋼管5は、本実施の形態において、下端部から上端部に亘り、径寸法(内径寸法および外径寸法)が徐々に縮小されるテーパ状に形成されているものとするが、これに限られず、両端部に亘り一定または略一定の径寸法(内径寸法および外径寸法)を有する直管状に形成されていてもよい。
【0016】
一体成形部10は、継手用鋼管5の軸方向の他方側の端部である上端部を構成する。一体成形部10の外周面は、一体化されたコンクリート部4の外周面と略連続する面を形成する。
【0017】
嵌合部11は、継手用鋼管5の軸方向の一方側の端部である下端部を構成する。嵌合部11は、下柱が内挿されて嵌合される。つまり、嵌合部11は、内部にコンクリート部分を有しない中空部分である。
【0018】
座板6は、緊張材7の一端部である下端部が固定されるものである。座板6は、例えば金属により円板状に形成されている。座板6は、継手用鋼管5の内部に一体的に取り付けられている。座板6は、一体成形部10と嵌合部11との間の内周面に例えば溶接等によって外周部が一体化され、継手用鋼管5の軸方向に対して直交または略直交する方向に沿って位置している。本実施の形態において、座板6は、継手用鋼管5の軸方向の中央部よりもコンクリート部4寄り、つまり上端部寄りの位置に配置されている。
【0019】
また、座板6の中央部には、コンクリート部4を成形するコンクリートを注入するための開口部13が形成されている。開口部13は、座板6を厚み方向に貫通して形成されている。さらに、座板6には、開口部13の周囲に、緊張材7の下端部を保持するための固定孔14が形成されている。固定孔14は、座板6を厚み方向に貫通して形成されている。本実施の形態において、固定孔14は、開口部13の周囲に、座板6の周方向に複数配置されている。図示される例では、固定孔14は、開口部13の周囲に、座板6の周方向に等間隔または略等間隔に配置されている。
【0020】
緊張材7は、上柱1のコンクリート部4に対し軸方向に圧縮する緊張力を付与するものである。緊張材7としては、PC鋼材などの高強度線状体が好適に用いられる。緊張材7は、本実施の形態において、複数配置されている。緊張材7の一端部は、座板6の固定孔14に固定され、他端部は、上柱1の軸方向の他方側の端部(上端部)に配置される図示されない座板の固定孔に固定されている。
【0021】
そして、上柱1は、
図1に示される柱体成形用型枠16(以下、単に型枠16という)を用いて成形される。
【0022】
型枠16は、少なくとも第一の型枠部20と、第二の型枠部21と、支持部22と、を有して構成されている。第一の型枠部20と第二の型枠部21とは、一体でも別体でもよいが、本実施の形態において、第一の型枠部20と第二の型枠部21とは別体で形成され、互いに組み付けられて一体的となっている。なお、
図1においては、説明を明確にするために、型枠16によって成形される上柱1(
図2)の上側を左側、下側を右側とした状態で示している。
【0023】
第一の型枠部20は、上柱1のコンクリート部4(
図2)を成形する部分である。第一の型枠部20は、円筒状に形成された第一の型枠部本体25と、第一の型枠部本体25の端部に形成された第一のフランジ部26と、を一体的に備えている。
【0024】
第一の型枠部本体25は、内部にコンクリートが注入される部分である。第一の型枠部本体25の内径寸法は、継手用鋼管5の内径寸法より大きく、かつ、継手用鋼管5の外径寸法より小さく設定されている。本実施の形態において、第一の型枠部本体25は、第二の型枠部21側の端部から、その反対側の端部へと、徐々に縮径されるテーパ状に形成されている。したがって、第一の型枠部本体25の最大の内径寸法となる第二の型枠部21側の端部の内径寸法は、継手用鋼管5の最小の内径寸法となる第一の型枠部20側の端部の内径寸法より大きく、かつ、継手用鋼管5の最小の外径寸法となる第一の型枠部20側の端部の外径寸法より小さく設定されている。これに限られず、第一の型枠部本体25は、両端部に亘り一定または略一定の径寸法(内径寸法および外径寸法)を有する直管状に形成されていてもよい。
【0025】
第一のフランジ部26は、第一の型枠部本体25の第二の型枠部21側の端部の外周に径方向に突設されている。本実施の形態において、第一のフランジ部26の第二の型枠部21に対向する端面の内径寄りの位置、図示される例では第一のフランジ部26の第二の型枠部21に対向する端面の内径から所定の径範囲に支持部22が形成されている。すなわち、本実施の形態において、支持部22は、第一の型枠部20の第二の型枠部21側の端部に配置されている。
【0026】
第二の型枠部21は、継手用鋼管5が挿入されて配置される部分である。第二の型枠部21の軸方向の長さは、継手用鋼管5の軸方向の長さよりも長く形成されている。第二の型枠部21は、円筒状に形成された第二の型枠部本体30と、第二の型枠部本体30の端部に形成された第二のフランジ部31と、を一体的に備えている。また、本実施の形態において、第二の型枠部21の内部には、内部に挿入された継手用鋼管5を抜け止めする位置決め部32が配置されている。
【0027】
第二の型枠部本体30は、内径寸法が、継手用鋼管5の外径寸法、および、第一の型枠部本体25の内径寸法よりも大きい。そのため、第二の型枠部本体30の内周面は、第二の型枠部21内に挿入された継手用鋼管5の外周面に対して離れて位置する。また、第二の型枠部本体30の内径寸法は、第一の型枠部本体25の外径寸法よりも大きい。本実施の形態において、第一の型枠部本体25は第二の型枠部21側が最大径となっているため、第二の型枠部本体30の内径寸法は、第一の型枠部本体25の最大外径および最大内径よりも大きい。また、本実施の形態において、第二の型枠部本体30は、両端部に亘り一定または略一定の径寸法(内径寸法および外径寸法)を有する直管状に形成されている。
【0028】
第二のフランジ部31は、第二の型枠部本体30の第一の型枠部20側の端部の外周に径方向に突設されている。本実施の形態において、第二のフランジ部31の第一の型枠部20に対向する端面が、第一のフランジ部26に突き当てられる平面状の突き当て部35となっている。突き当て部35の一部が支持部22に対して突き当てられている。
【0029】
位置決め部32は、円筒状に形成されている。位置決め部32は、第二の型枠部21の内方にて第一の型枠部20側の端部に位置している。位置決め部32の外周部は、第二の型枠部本体30の内面に密着している。本実施の形態において、位置決め部32の内周部は、第一の型枠部20側に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成され、継手用鋼管5の軸方向の他方側の端部が嵌合されることで、継手用鋼管5を軸方向および径方向に位置決めする機能を有している。また、位置決め部32の第一の型枠部20側の端部は、突き当て部35と面一、または、略面一に配置され、支持部22に対して突き当てられている。
【0030】
そして、支持部22は、顎部とも呼び得るもので、上柱1(
図2)の成形時に継手用鋼管5の軸方向の他方側の端部と当接して、緊張材7の緊張力を受ける部分である。支持部22は、第一の型枠部20と第二の型枠部21との境界部に設けられている。支持部22は、第一の型枠部20と第二の型枠部21とのいずれか一方に設けられている。本実施の形態において、支持部22は、第一の型枠部20に設けられている。本実施の形態において、支持部22は、第一のフランジ部26に形成された凹部38に対し取り付けられた反力プレート39により構成されている。
【0031】
凹部38は、第一のフランジ部26において、内径側の縁部に凹設されている。凹部38は、第二の型枠部21の第二のフランジ部31および位置決め部32の端部に対向する位置に設けられている。
【0032】
反力プレート39は、内径寸法が、対向する継手用鋼管5の端部の内径寸法よりも大きく、かつ、外径寸法よりも小さい円環状に形成されたリング状のプレート部材である。すなわち、本実施の形態において、反力プレート39の内径寸法は、継手用鋼管5の最小の内径寸法より大きく最小の外径寸法よりも小さく設定されている。反力プレート39は、凹部38に着脱可能に嵌合されている。凹部38に取り付けられた状態で、反力プレート39の外周面は凹部38の内周面と密着され、反力プレート39の内周面は第一の型枠部本体25の内周面と連続する面、または、略連続する面を構成している。また、反力プレート39の継手用鋼管5の端部と対向する端面は、平面状に形成されている。本実施の形態において、反力プレート39は、第一の型枠部20および第二の型枠部21の各部よりも硬質の、例えば硬質の炭素鋼(JIS G 4051)、合金鋼(JIS G 4053)等の部材により形成されており、継手用鋼管5の突き当たりによる摩耗や圧潰を防止している。
【0033】
そして、上柱1を成形する際には、型枠16を用い、まず、第二の型枠部21内に継手用鋼管5を設置する。このとき、継手用鋼管5は、端部を位置決め部32に内挿することで第二の型枠部21に対し軸方向および径方向に位置決めする。
【0034】
次いで、継手用鋼管5の内部にて嵌合部11の部分に、コンクリートの付着を防止するための筒状の付着防止手段(図示せず)を挿入して固定するとともに、第一の型枠部20と第二の型枠部21とを軸方向に組み付けて固定することで、継手用鋼管5の端部を、支持部22を構成する反力プレート39に突き当てる。継手用鋼管5は、支持部22(反力プレート39)に対し、端部の肉厚の半分程度が突き当てられて支持される。
【0035】
さらに、緊張材7を継手用鋼管5の内部の座板6の固定孔14に第一の型枠部20とは反対側から挿入して一端部を座板6に固定し、他端部を第一の型枠部20側に通して、第一の型枠部20内に配置された図示されない座板の固定孔に挿通した状態で、緊張材7の他端部をジャッキ等の緊張手段を用いて第一の型枠部20側つまり上柱1(
図2)の上端部側に引っ張って、緊張力Fを与える。このとき、座板6とともに引っ張られる継手用鋼管5の端部が支持部22(反力プレート39)に突き当たって支持されることで、緊張材7の緊張力Fが定着される。
【0036】
この状態で、第一の型枠部20内に第二の型枠部21側からコンクリートを注入し、所定量充填した後、図示されない閉塞手段により座板6の開口部13を閉塞する。
【0037】
そして、型枠16を遠心成形機に設置し、型枠16を回転させて、その遠心力を利用した遠心締め固めにより、
図2に示すコンクリート部4を継手用鋼管5と一体化させた上柱1を成形する。
【0038】
成形完了後、閉塞手段を取り外して座板6の開口部13を開き、かつ、付着防止手段を取り外して、第一の型枠部20内に生じている未固化のコンクリートいわゆるノロを排出する。
【0039】
その後、型枠16を養生槽に入れ、常圧蒸気養生を行った後、上柱1を型枠16から取り出す。
【0040】
上述したように、一実施の形態によれば、コンクリート部4を成形する第一の型枠部20と、継手用鋼管5が配置される第二の型枠部21との間に、継手用鋼管5の端部と当接する支持部22を設けることで、型枠16の第二の型枠部21に継手用鋼管5を、支持部22に端部が当接するように配置し、座板6に緊張材7の端部を固定して型枠16の第一の型枠部20側に緊張することによって、座板6に固定された緊張材7の緊張力が、支持部22と継手用鋼管5との当接によって受けられるため、第二の型枠部21に係止されて緊張力を定着させるための別途のアンカープレートを座板6と接合するための治具等が不要となるとともに、この治具等を用いてアンカープレートと座板6とを接合する工程等も不要となり、製造の手間を軽減でき、製造時間を短縮できる。そのため、上柱1を安価に製造できる。
【0041】
また、支持部22を、継手用鋼管5の端部の外径寸法よりも小さい内径寸法を有するリング状の反力プレート39により構成することで、反力プレート39の材質を選択することにより、型枠16を繰り返し使用した場合等の継手用鋼管5の突き当たりによる支持部22の摩耗を抑制できるとともに、仮に支持部22(反力プレート39)が摩耗したとしても、反力プレート39を新たなものに交換して型枠16をさらに使用することができる。
【0042】
なお、一実施の形態において、支持部22は、第二の型枠部21に形成されていてもよい。その場合、反力プレート39は、第二の型枠部21に着脱可能となっていてよい。
【符号の説明】
【0043】
1 柱体としての上柱
4 コンクリート部
5 継手用鋼管
6 座板
7 緊張材
16 柱体成形用型枠
20 第一の型枠部
21 第二の型枠部
22 支持部
25 第一の型枠部本体
26 第一のフランジ部
30 第二の型枠部本体
31 第二のフランジ部
32 位置決め部
39 プレート部材である反力プレート