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特許7128802改良された触媒系による、テトラメチルシクロブタンジオール及びエチレングリコールを含むポリエステル組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】改良された触媒系による、テトラメチルシクロブタンジオール及びエチレングリコールを含むポリエステル組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20220824BHJP
   C08G 63/199 20060101ALI20220824BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C08L67/00
C08G63/199
C08J5/18 CFD
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019507937
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017047367
(87)【国際公開番号】W WO2018035337
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-12
(31)【優先権主張番号】62/520,211
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/546,185
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/376,557
(32)【優先日】2016-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】クローフォード,エミット・ダッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,ジェームズ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コギンズ,マイケル・キース
(72)【発明者】
【氏名】キャリコ,ダグラス・ウェルドン,ジュニア
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0142511(US,A1)
【文献】特表2010-507717(JP,A)
【文献】特表平08-509764(JP,A)
【文献】米国特許第05385773(US,A)
【文献】特表2008-518083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63、C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル組成物であって、
(a)(i)90~100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)0~10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)30~42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)58~70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の合計モル%は100モル%である少なくとも1種類のポリエステルを含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして
前記ポリエステルに関するL色彩値は、以下のパラメーター:(1)D65光源、(2)10°の観測角、(3)正反射角を含めた反射モード、(4)大面積視野、(5)1”のポートサイズ;を用いたHunter Lab Ultrascan XE分光光度計からの測定値を用い、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90以上であり、この測定は1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施したものであり、
前記ポリエステル組成物は、ポリマー重量を基準として10~200ppmの範囲のリン原子を含む安定剤成分を更に含み、
前記ポリエステル組成物は、(i)ポリマー重量を基準として10~60ppmの範囲のチタン原子、及び(ii)ポリマー重量を基準として10~100ppmの範囲のマンガン原子を含む触媒を更に含む、上記ポリエステル組成物。
【請求項2】
前記触媒/安定剤成分が、ポリマー重量を基準として0~20ppmの範囲のスズ原子を含む、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
前記触媒/安定剤成分が意図的に加えられたスズ原子を含まない、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールが32~38モル%の量で存在する、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項5】
前記2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基が、55~65モル%のシス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基及び35~45モル%のトランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を含む混合物である、請求項1~のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
前記ポリエステルのインヘレント粘度が0.54~0.65dL/gである、請求項1~のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
前記ポリエステルが102~108℃のTを有する、請求項1~のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
Pと全触媒との重量比が0.15:1~1.0:1である、請求項1~のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
TiとMnとの重量比が0.8:1~1.9:1である、請求項1~のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
前記触媒/安定剤成分が、ポリマー重量を基準として10~100ppmの範囲のリン原子を含む、請求項1~のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
トリアリールホスフェート、アルキルジアリールホスフェート、及び混合アルキルアリールホスフェートの少なくとも1つから選択される少なくとも1種類のリン化合物を含む、請求項1~10のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項12】
前記ポリエステルの曲げ弾性率が2000MPa(290,000psi)以上である、請求項1~11のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項13】
前記ポリエステルが、実施例11にしたがって測定して271℃(520°F)の温度において30.5cm(12インチ)より長いスパイラルフロー長さを有する、請求項1~12のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項14】
前記ポリエステルが、293℃(560°F)の温度で2分間保持した後に5%未満のインヘレント粘度の損失を有する、請求項1~13のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項15】
前記ポリエステルが、ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において少なくとも30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する、請求項1~14のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項16】
前記ポリエステルが、TA2100熱分析装置によって20℃/分の走査速度において測定して100~110℃のT;ASTM-D790によって規定して2200MPa(319,000psi)~2600MPa(377,100psi)の23℃における曲げ弾性率;ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)~80J/m(1.50フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ;及び実施例11にしたがって測定して、271℃(520°F)の温度において30.5cm(12インチ)より長いスパイラルフロー長さ;から選択される特性の2以上を有する、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項17】
本発明において有用な前記ポリエステルに関するb色彩値が、L表色系によって求めて-12乃至10未満である、請求項1~16のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項18】
成形物品であって、
(a)(i)90~100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)0~10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)30~42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)58~70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の合計モル%は100モル%である少なくとも1種類のポリエステルを含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして
前記ポリエステルに関するL色彩値は、以下のパラメーター:(1)D65光源、(2)10°の観測角、(3)正反射角を含めた反射モード、(4)大面積視野、(5)1”のポートサイズ;を用いたHunter Lab Ultrascan XE分光光度計からの測定値を用い、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90以上であり、この測定は1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施したものであり、
前記成形物品は、ポリマー重量を基準として10~200ppmの範囲のリン原子を含む安定剤成分を更に含み、
前記成形物品は、(i)ポリマー重量を基準として10~60ppmの範囲のチタン原子、及び(ii)ポリマー重量を基準として10~100ppmの範囲のマンガン原子を含む触媒を更に含む、上記成形物品。
【請求項19】
前記物品が熱成形フィルム又はシートである、請求項18に記載の成形物品。
【請求項20】
前記ポリエステル組成物が、着色剤、離型剤、請求項1に記載したもの以外のリン化合物、可塑剤、成核剤、UV安定剤、ガラス繊維、炭素繊維、フィラー、耐衝撃性改良剤、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種類の添加剤を含む、請求項18に記載の成形物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、テレフタル酸、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)、及びエチレングリコール(EG)から製造され、広範囲の組成範囲にわたって、良好なTMCD取込率(incorporation)、良好な色、及び所望のインヘレント粘度(IV)を有するポリエステル組成物に関する。本ポリエステル組成物は、チタン又はチタンとマンガンの混合物を含む独特の触媒系によって触媒することができ、リン化合物によって安定化されて、上記の組成範囲にわたって良好なTMCD取込率、改良された色、及び所望のIVを達成するための反応性が与えられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]スズベースの触媒は、通常はTMCDをポリエステル中に取り込むのに最も効率的である(Caldwellら, CA-740050、及びKelseyら, Macromolecules 2000, 33, 581)。しかしながら、スズベースの触媒は、通常は、EGの存在下で黄色乃至琥珀色のコポリエステルを生成させる(Kelsey, 米国特許5,705,575:実施例2を参照;Morrisら, 米国特許5,955,565:「琥珀色」ポリマーと呼ぶ実施例を参照)。
【0003】
[0003]チタンベースの触媒は、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)をポリエステル中に取り込むのに有効ではないと報告されている(Caldwellら, CA-740050、Kelseyら, Macromolecules 2000, 33, 5810)。
【0004】
[0004]チタンとリンのみは、所望の特質を有する比較的低いTMCDレベルを有する幾つかのコポリエステルを製造するのに有用である可能性があるが、かかる触媒系は、同じ製造条件においてより高いレベルのTMCDを含む材料を製造するために用いることはできない。更に、リンを併用するSnベースの触媒はより高いTMCDレベルで良好なTMCD取込率を達成することができるが、この材料は、通常は、同じ製造条件においてより多い着色を起こし、IVを構築(build)するのがより遅速である。
【0005】
[0005]米国特許出願2007/0142511においては、チタンベースの触媒を用いて、TMCD及びEG、並びに場合によってはCHDMを含むグリコール成分を有するポリエステルを製造することができることが開示されている。これは、チタンベースの触媒に加えてスズベースの触媒を用いることによって、TMCDの取込を更に向上させることができることを示している。これは更に、特定レベルのリン含有化合物を加えてこれらのコポリエステルの色を改良することができることを示している。この公報は、(i)約1~約90モル%のTMCD残基;及び(ii)約99~約10モル%のEG残基を含むグリコール成分を伴う広い組成範囲を開示している。しかしながら、比較的高いレベルのEGが存在していた場合、例えばTMCDとEGのみによるポリマーの場合には常に、触媒系はTiと比べて相当量のSnを含んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】CA-740050
【文献】米国特許5,705,575
【文献】米国特許5,955,565
【文献】米国特許出願2007/0142511
【非特許文献】
【0007】
【文献】Kelseyら, Macromolecules 2000, 33, 581
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0006]特定のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(T)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度、及び良好な色の2以上の組合せなどの、それを熱可塑性用途のために理想的なものにする複数の特性の組合せを有するポリマー材料に対する商業的な必要性が存在する。
【0009】
[0007]更に、特定のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、特定のガラス転移温度(T)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度、及び良好な色の3以上の組合せなどの、それを熱可塑性用途のために望ましいものにする複数の特性の組合せを有するポリマー材料に対する商業的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0008]DMT、EG、及びTMCDを、マンガン触媒と組み合わせたチタン触媒で触媒すると、相当量のTMCDをポリマー中に取り込むことができることが見出された。また、DMT、EG、及びTMCDを、少量、例えば最終ポリマー中で測定して25ppm未満又は20ppm未満のスズ触媒と組み合わせたチタン触媒で触媒すると、相当量のTMCDをポリマー中に取り込むことができることも見出された。更に、マンガンをチタン触媒と共に用いて、DMT、TMCD、及びEGをベースとし、25モル%より多く、又は30モル%より多く、或いは35モル%より多いTMCDを含む、非常に良好な色及び機械特性を有するポリエステルを製造することができることが見出された。
【0011】
[0009]本発明の幾つかの態様においては、TMCD及びEGを含むコポリエステルは、良好なTMCD取込率及び良好な色を与える量の、Sn、Ti、Mn、Co、Sb、Ge、又はこれらの組合せから選択される触媒を用いて製造することができる。幾つかの態様においては、TMCD及びEGを含むコポリエステルは、チタンベースの触媒、マンガンベースの触媒、及びリンベースの化合物の組み合わせによって製造して、所望の組成範囲全体にわたって許容しうる色、良好なTMCD取込率、及び所望のIVを達成する反応性を有するコポリエステルを与えることができる。幾つかの態様においては、特定レベルのチタン、マンガン、及びリンの組合せによって、(i)90~100モル%のテレフタル酸残基;及び(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基を含むジカルボン酸成分;並びに(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基;及び(ii)約70~約58モル%のエチレングリコール(EG)残基を含むグリコール成分;を含む、全組成範囲にわたって改良された色、耐久性、及び機械特性、良好なTMCD取込率、及び所望のIVを達成する反応性を有するコポリエステルが与えられる。
【0012】
[0010]一態様においては、触媒がマンガンとチタン触媒の組合せであるほぼ同等の合計モル量の触媒とリンは、グリコール成分を基準として約30~約42モル%、又は約32~約42モル%、又は約32~約38モル%、又は約34~約39モル%、又は34より多く約39モル%まで、又は34.2~約39モル%、或いは約35~約39モル%のTMCDの組成範囲にわたって、TMCD取込率、良好な色、及び所望のインヘレント粘度(IV)を達成する反応性に関して、スズ及びリンのみ、チタン及びリンのみ、或いはチタン、スズ、及びリンの組合せよりも優れている。
【0013】
[0011]幾つかの態様においては、本発明は、熱可塑性ポリエステル組成物であって、(a)(i)90~100モル%のテレフタル酸残基;及び(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;を含むジカルボン酸成分;並びに(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基;及び(ii)約70~約58モル%のエチレングリコール残基;を含むグリコール成分;を含み;前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の合計モル%は100モル%であり;前記ポリエステルのインヘレント粘度(IV)は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして、前記ポリエステルに関するL色彩値は、1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施して、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90以上である上記熱可塑性ポリエステル組成物に関する。幾つかの態様においては、ポリエステルに関するL色彩値は、1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施して、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90より大きい。
【0014】
[0012]幾つかの態様においては、グリコール成分は、(i)約32~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、及び(ii)約68~約58モル%のエチレングリコール残基;又は(i)約34~約40モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、及び(ii)約66~約60モル%のエチレングリコール残基;又は(i)約34モル%より多く約40モル%までの2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、及び(ii)約66未満で約60モル%までのエチレングリコール残基;又は(i)34.2~約40モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、及び(ii)65.8~約60モル%のエチレングリコール残基;又は(i)約35~約39モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、及び(ii)約65~約61モル%のエチレングリコール残基;或いは(i)約36~約37モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、及び(ii)約64~約63モル%のエチレングリコール残基;を含む。
【0015】
[0013]幾つかの態様においては、本ポリエステル組成物は更に、(c)(i)ポリマー重量を基準として10~60ppmの範囲のチタン原子、(ii)ポリマー重量を基準として10~100ppmの範囲のマンガン原子、及び(iii)ポリマー重量を基準として10~200ppmの範囲のリン原子を含む触媒/安定剤成分を更に含む。幾つかの態様においては、触媒/安定剤成分には、ポリマー重量を基準として5ppm乃至25ppm未満、又は5~20ppmの範囲のスズ原子を含ませることができる。幾つかの態様においては、触媒/安定剤成分はスズを含まず、或いは存在する場合には5ppm未満のスズ、又は2ppm未満のスズ、或いは1ppm未満のスズを含む。幾つかの態様においては、触媒/安定剤成分は意図的に加えられたスズ原子を含まないが、低いレベルのスズを不純物として含んでいてよい。本触媒/安定剤成分は、チタン/リンのみ、又はスズ/リンのみによっては達成することができないTMCD取込率、所望の目標IVを達成する反応性、増加した明度、及び減少した黄色度の良好な組合せを与えることができる。
【0016】
[0014]幾つかの態様においては、本発明は、エチレングリコール(EG)、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)、及び場合によっては少量の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、例えば5モル%未満、又は3モル%未満、又は2モル%未満、或いは1モル%未満のCHDMを含み、良好なTMCD取込率、減少した黄色度、及び0.5dL/g~0.7dL/gの範囲のインヘレント粘度を有するコポリエステルを与える触媒/安定剤/コポリエステル組成物に関する。一態様においては、本触媒/安定剤系は、(i)約30~約42モル%のTMCD残基;及び(ii)約70~約58モル%のEG残基を含むグリコール成分を有する全ての組成に関して有用である。
【0017】
[0015]テレフタル酸、そのエステル、及び/又はそれらの混合物、エチレングリコール、並びに2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから形成され、特定の触媒及び熱安定剤、その反応生成物、及びこれらの混合物を含む特定のポリエステル組成物は、特定のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(T)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度、良好な色、良好な熱安定性、良好な超音波溶着強度、及び良好な食器洗浄機耐久性、並びに選択されたIVに関する機械特性の1以上の点で幾つかの市販のポリマーよりも優れていると考えられる。
【0018】
[0016]本発明の他の態様においては、次の特性:特定のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ(>1フィート/ポンド・インチ)、特定のガラス転移温度(T>100℃)、特定の曲げ弾性率(>300,000psi)、良好な明澄度、及び良好な色の2以上の組合せなどの、特定の用途、例えば射出成形、ブロー成形、押出、並びに熱成形フィルム及びシート用途のためにそれを望ましいものにする複数の特性の組合せを有するポリマー材料に対する商業的な必要性が存在する。
【0019】
[0017]一形態においては、本発明において有用なポリエステルの製造方法には、バッチ又は連続プロセスを含ませることができる。
[0018]一形態においては、本発明において有用なポリエステルの製造方法は連続プロセスを含む。
【0020】
[0019]一形態においては、本発明は、ポリエステル組成物であって、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約70~約58モル%のエチレングリコール残基;並びに
(iv)約5モル%未満、又は2モル%未満の任意の他の変性性(modifying)グリコール;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり;
前記グリコール成分の合計モル%は100モル%である少なくとも1種類のポリエステルを含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gである上記ポリエステル組成物に関する。
【0021】
[0020]一形態においては、本発明は、ポリエステル組成物であって、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり;
前記グリコール成分の合計モル%は100モル%である少なくとも1種類のポリエステルを含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして
場合によっては、ポリエステルの重合前及び/又は重合中に少なくとも1種類の分岐剤が加えられている上記ポリエステル組成物に関する。
【0022】
[0021]一形態においては、本発明は、ポリエステル組成物であって、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約32~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約68モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり;
前記グリコール成分の合計モル%は100モル%である少なくとも1種類のポリエステルを含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして
前記ポリエステルは、TA2100熱分析装置によって20℃/分の走査速度において測定して約100~約110℃のT、ASTM-D790によって規定して2000MPa(約290,000psi)以上、又は2200MPa(319,000psi)より大きい23℃における曲げ弾性率、ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において約30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)~約80J/m(1.50フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、及び293℃(560°F)の温度において2分間保持した後に5%未満のインヘレント粘度の損失から選択される特性の少なくとも1つを有する前記ポリエステル組成物に関する。一態様においては、ポリエステル組成物に関するL色彩値は、1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施して、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90以上であるか、又は90より高い。
【0023】
[0022]一形態においては、本発明は、ポリエステル組成物であって、
(I)(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の合計モル%は100モル%であり;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;
前記ポリエステルに関するL色彩値は、1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施して、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90以上であるか又は90より高く;そして
前記ポリエステルは、TA2100熱分析装置によって20℃/分の走査速度において測定して約100~約110℃のT、ASTM-D790によって規定して2000MPa(約290,000psi)以上、又は2200MPa(319,000psi)より大きい23℃における曲げ弾性率、ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において約30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)~約80J/m(1.50フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、及び293℃(560°F)の温度において2分間保持した後に5%未満のインヘレント粘度の損失から選択される特性の少なくとも1つを有する前記ポリエステル組成物に関する。一態様においては、ポリエステル組成物は、(II)(i)ポリマー重量を基準として10~60ppmの範囲のチタン原子、(ii)ポリマー重量を基準として10~100ppmの範囲のマンガン原子、及び(iii)ポリマー重量を基準として10~200ppmの範囲のリン原子を含む触媒/安定剤成分を更に含む。一態様においては、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基は、50モル%より多いシス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基と50モル%未満のトランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を含む混合物である。
【0024】
[0023]一形態においては、本発明は、ポリエステルを製造する方法であって、次の工程:
(I)(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分を含む混合物を、150℃~250℃から選択される少なくとも1つの温度において、0psig~75psigの範囲から選択される少なくとも1つの圧力下で加熱する工程;
ここで、工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01~3.0/1.0であり、TMCDは、反応中に約50~100%のTMCDの転化率を可能にして、約30~42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を有する最終ポリマーに到達させるために約30~84モル%の量で加え;
工程(I)における混合物は、
(i)Sn、Ti、Mn、Co、Sb、Ge、又はこれらの組合せから選択される少なくとも1種類の触媒;及び(ii)少なくとも1種類のリン化合物の存在下で加熱する;
(II)工程(I)の生成物を、230℃~320℃の温度において、工程(I)の最終圧力乃至0.02torr絶対圧の範囲から選択される少なくとも1つの圧力下で1~6時間加熱して最終ポリエステルを形成する工程;
ここで、最終ポリエステルのジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり;最終ポリエステルのグリコール成分の合計モル%は100モル%である;
を含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして前記ポリエステルに関するL色彩値は、1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施して、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90以上であるか又は90より高い上記方法に関する。幾つかの態様においては、触媒は、少なくとも1種類のマンガン化合物及び少なくとも1種類のチタン化合物を含む少なくとも1種類の触媒を含む。幾つかの態様においては、少なくとも1種類の触媒には、スズ、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウム化合物、及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムと併用したアルミニウム化合物から選択される少なくとも1種類の更なる化合物を更に含ませることができる。幾つかの態様においては、1種類又は複数の更なる化合物は、チタン及びマンガン化合物に対する重量%で少量で存在させる。幾つかの態様においては、更なる化合物は、最終ポリマー中において20ppm未満、又は10ppm未満、或いは5ppm未満の選択された更なる金属を与える量で存在させる。
【0025】
[0024]一形態においては、本発明は、ポリエステルを製造する方法であって、次の工程:
(I)(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分を含む混合物を、150℃~250℃から選択される少なくとも1つの温度において、0psig~75psigの範囲から選択される少なくとも1つの圧力下で加熱する工程;
ここで、工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01~3.0/1.0であり、TMCDは、反応中に約50~100%のTMCDの転化率を可能にして、約30~42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を有する最終ポリマーに到達させるために約30~84モル%の量で加え;
工程(I)における混合物は、
(i)少なくとも1種類のマンガン化合物及び少なくとも1種類のチタン化合物を含む少なくとも1種類の触媒;及び
(ii)少なくとも1種類のリン化合物;
の存在下で加熱する;
(II)工程(I)の生成物を、230℃~320℃の温度において、工程(I)の最終圧力乃至0.02torr絶対圧の範囲から選択される少なくとも1つの圧力下で1~6時間加熱して最終ポリエステルを形成する工程;
ここで、最終ポリエステルのジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり;最終ポリエステルのグリコール成分の合計モル%は100モル%である;
を含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして前記ポリエステルに関するL色彩値は、1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施して、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL***表色系によって求めて90以上であるか又は90より高い上記方法に関する。一態様においては、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基は、50モル%より多いシス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基と50モル%未満のトランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を含む混合物である。
【0026】
[0025]一形態においては、本発明において有用な1種類又は複数のポリエステルに関して、及び本発明において有用なプロセスに関して、本発明において有用なポリエステル(一態様においては1種類又は複数のトナーの存在下、及び一態様においては1種類又は複数のトナーの不存在下)に関するb値は、CIE(国際照明委員会)のL表色系(ここで、Lは明度座標を表し、aは赤/緑座標を表し、bは黄/青座標を表す)によって求めて-12乃至10未満であることができる。一態様においては、本発明において有用なポリエステル(一態様においては、1種類又は複数のトナーの存在下及び/又は不存在下)に関するb値は、0~10であることができる。一態様においては、本発明において有用なポリエステル(一態様においては、1種類又は複数のトナーの存在下及び/又は不存在下)に関するb値は、0~5であることができる。
【0027】
[0026]一形態においては、本発明は、本発明の任意のポリエステル組成物を含んでいてよい熱可塑性物品を包含する。
[0027]一形態においては、本発明において有用なポリエステルには、熱安定剤として存在するか又は熱安定剤としては存在しない少なくとも1種類のホスフェートエステルを含ませることができる。
【0028】
[0028]一形態においては、本発明において有用なポリエステルには、熱安定剤として存在するここに記載する少なくとも1種類のホスフェートエステルを含ませることができる。
【0029】
[0029]一形態においては、本発明において有用なポリエステルは分岐剤を含まず、或いはポリエステルの重合前又は重合中のいずれかにおいて少なくとも1種類の分岐剤を加える。
【0030】
[0030]一形態においては、本発明において有用なポリエステルは、それを加える方法又は順序を問わず、少なくとも1種類の分岐剤を含む。
[0031]一形態においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルはアモルファス又は半結晶質であることができる。一形態においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、比較的低い結晶化度を有することができる。本発明において有用な幾つかのポリエステルは、したがって実質的にアモルファスの形態を有することができ、これはポリエステルがポリマーの実質的に無秩序の領域を含むことを意味する。
【0031】
[0032]一形態においては、本発明のポリエステル、ポリエステル組成物、及び/又は方法には、リン原子、マンガン原子、及びチタン原子を含ませることができる。
[0033]一形態においては、本発明の1種類又は複数のポリエステル、ポリエステル組成物、及び/又は方法の任意のものに、少なくとも1種類のマンガン化合物、少なくとも1種類のチタン化合物、及び少なくとも1種類のリン化合物を含ませることができる。
【0032】
[0034]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物は、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスホン酸、並びにこれらの種々のエステル及び塩を含む。エステルは、アルキル、分岐アルキル、置換アルキル、二官能性アルキル、アルキルエーテル、アリール、及び置換アリールであってよい。
【0033】
[0035]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物は、置換又は非置換アルキルホスフェートエステル、置換又は非置換アリールホスフェートエステル、置換又は非置換混合アルキルアリールホスフェートエステル、ジホスファイト、リン酸の塩、ホスフィンオキシド、及び混合アルキルアリールホスファイト、これらの反応生成物、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される少なくとも1種類のリン化合物を含む。ホスフェートエステルとしては、リン酸が完全にエステル化しているか又は部分的にのみエステル化しているエステルが挙げられる。
【0034】
[0036]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物は、置換又は非置換アルキルホスフェートエステル、置換又は非置換アリールホスフェートエステル、混合置換又は非置換アルキルアリールホスフェートエステル、これらの反応生成物、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される少なくとも1種類のリン化合物を含む。ホスフェートエステルとしては、リン酸が完全にエステル化しているか又は部分的にのみエステル化しているエステルが挙げられる。
【0035】
[0037]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物は、アルキルホスフェートエステル、アリールホスフェートエステル、混合アルキルアリールホスフェートエステル、これらの反応生成物、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される。
【0036】
[0038]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物には、少なくとも1種類のアリールホスフェートエステルを含ませることができる。
[0039]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物には、少なくとも1種類の非置換アリールホスフェートエステルを含ませることができる。
【0037】
[0040]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物には、ベンジル基で置換されていない少なくとも1種類のアリールホスフェートエステルを含ませることができる。
【0038】
[0041]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物には、少なくとも1種類のトリアリールホスフェートエステルを含ませることができる。
[0042]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物には、ベンジル基で置換されていない少なくとも1種類のトリアリールホスフェートエステルを含ませることができる。
【0039】
[0043]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物には、少なくとも1種類のアルキルホスフェートエステルを含ませることができる。
[0044]一形態においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物には、トリフェニルホスフェート及び/又はMerpol Aを含ませることができる。一態様においては、本発明の任意のポリエステル組成物にトリフェニルホスフェートを含ませることができる。
【0040】
[0045]一形態においては、ポリエステル組成物及び/又はポリエステルの任意のものを製造するためのここに記載する任意の方法に、例えばDoverphos S-9228(Dover Chemicals, CAS#154862-43-8)としても知られるビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイトのような少なくとも1種類の混合アルキルアリールホスファイトを含ませることができる。
【0041】
[0046]一形態においては、ポリエステル組成物及び/又はポリエステルの任意のものを製造するためのここに記載する任意の方法に、少なくとも1種類のホスフィンオキシドを含ませることができる。
【0042】
[0047]一形態においては、ポリエステル組成物及び/又はポリエステルの任意のものを製造するためのここに記載する任意の方法に、例えばKHPO及びZn(POのような少なくとも1種類のリン酸の塩を含ませることができる。
【0043】
[0048]本発明において有用なポリエステルを製造する任意の方法を用いて、本発明において有用な任意のポリエステルを製造することができると考えられる。
[0049]一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において用いる圧力は、0psig~75psigから選択される少なくとも1つの圧力から構成される。一態様においては、本発明の任意の方法の工程(I)において用いる圧力は、0psig~50psigから選択される少なくとも1つの圧力から構成される。
【0044】
[0050]一形態においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、20torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、10torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、5torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、3torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、20torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、10torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、5torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、3torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成される。
【0045】
[0051]一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.0~3.0/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.0~2.5/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.0~2.0/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.0~1.75/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.0~1.5/1.0である。
【0046】
[0052]一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~3.0/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~2.5/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~2.0/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~1.75/1.0であり;一形態においては、本発明の任意の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~1.5/1.0である。
【0047】
[0053]本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法の態様においては、工程(II)の加熱時間は1~5時間であってよい。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法の態様においては、工程(II)の加熱時間は1~4時間であってよい。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法の態様においては、工程(II)の加熱時間は1~3時間であってよい。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法の態様においては、工程(II)の加熱時間は1.5~3時間であってよい。本発明において有用なポリエステルを製造するための任意の方法の態様においては、工程(II)の加熱時間は1~2時間であってよい。
【0048】
[0054]一形態においては、本発明の1つ又は複数の方法において1種類又は複数のリン化合物を加えて、0.1~2.5:1の最終ポリエステルにおける全リン原子と全チタン原子との重量比を与えることができる。一態様においては、本発明の1つ又は複数の方法において1種類又は複数のリン化合物を加えて、0.1~1.5:1の最終ポリエステルにおける全リン原子と全チタン原子との重量比を与えることができる。
【0049】
[0055]例えば、最終ポリエステル中に存在するチタン原子及びリン原子の重量はppmで測定することができ、任意の上述の重量比の最終ポリエステルにおける全リン原子と全チタン原子との重量比を与えることができる。
【0050】
[0056]一形態においては、本発明の1つ又は複数の方法において1種類又は複数のリン化合物を加えて、0.1~2.5:1の最終ポリエステルにおける全リン原子と全チタン原子との重量比を与えることができる。一態様においては、本発明の1つ又は複数の方法において1種類又は複数のリン化合物を加えて、0.1~1.5:1の最終ポリエステルにおける全リン原子と全チタン原子との重量比を与えることができる。
【0051】
[0057]例えば、最終ポリエステル中に存在するチタン原子及びリン原子の重量はppmで測定することができ、任意の上述の重量比の最終ポリエステルにおける全リン原子と全チタン原子との重量比を与えることができる。
【0052】
[0058]一形態においては、本発明において有用なポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として10~60ppmのチタン原子であってよい。
[0059]一形態においては、本発明において有用なポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として25~55ppmのチタン原子であってよい。
【0053】
[0060]一形態においては、本発明において有用なポリエステル中のマンガン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として10~100ppmのマンガン原子であってよい。
【0054】
[0061]一形態においては、本発明において有用なポリエステル中のマンガン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として15~60ppmのマンガン原子であってよい。
[0062]一形態においては、本発明において有用なポリエステル中のリン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として1~200ppmのリン原子であってよい。
【0055】
[0063]一態様においては、本発明において有用なポリエステル中のリン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として5~100ppm、又は5~80ppm、或いは10~65ppmのリン原子であってよく、ポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として10~60ppmのチタン原子であってよい。
【0056】
[0064]一態様においては、本発明において有用なポリエステル中のリン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として1~100ppm、又は5~80ppm、或いは10~65ppmのリン原子であってよく、ポリエステル中のマンガン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として10~100ppmのマンガン原子であってよい。
【0057】
[0065]一形態においては、本ポリエステル組成物は、押出及び/又は成形物品など(しかしながらこれらに限定されない)、例えば射出成形物品、押出物品、注型押出物品、異形押出物品、溶融紡糸物品、熱成形物品、押出成形物品、射出ブロー成形物品、射出延伸ブロー成形物品、押出ブロー成形物品、及び押出延伸ブロー成形物品(しかしながらこれらに限定されない)の成形物品において有用である。これらの物品としては、フィルム、ボトル、容器、飲用容器、医療用部品、シート、及び/又は繊維を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0058】
[0066]一形態においては、本発明において有用なポリエステル組成物は、1つ又は複数の押出フィルム及び/又はシート、1つ又は複数のカレンダー加工フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の圧縮成形フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の溶液キャストフィルム及び/又はシートなど(しかしながらこれらに限定されない)の種々のタイプのフィルム及び/又はシートにおいて用いることができる。フィルム及び/又はシートを製造する方法としては、押出、カレンダー加工、圧縮成形、及び溶液キャストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
[0067]一形態においては、本発明は、本発明の1種類又は複数のポリエステル及び/又はポリエステル組成物を含む成形及び押出物品、1つ又は複数の熱成形フィルム及び/又はシート、或いは1つ又は複数のカレンダー加工フィルム及び/又はシートに関する。
【0060】
[0068]一形態においては、本発明は、本発明の成形及び押出物品、熱成形フィルム及び/又はシートを導入した製造品に関する。
[0069]一形態においては、本発明は、改良された色及び/又は明澄度を有する、エチレングリコール及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールを含むポリエステルを製造する方法を提供する。本発明の幾つかの態様においては、ポリエステルは、約10モル%未満、又は約5モル%未満の、3~16個の炭素原子を有する変性性グリコールを含む。幾つかの態様においては、ポリエステルは、約10モル%未満、又は約5モル未満の任意の変性性グリコールを含む。幾つかの態様においては、ポリエステルは他の添加された変性性グリコールを含まない。多少の他のグリコール残基は加工中にin situで形成される可能性があることを理解すべきである。
【0061】
[0070]一形態においては、本発明において有用なポリエステルはアモルファス又は半結晶質であることができる。一形態においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは比較的低い結晶化度を有することができる。本発明において有用な幾つかのポリエステルは、したがって実質的にアモルファスの形態を有することができ、これはポリエステルがポリマーの実質的に無秩序の領域を含むことを意味する。
【0062】
[0071]ここで、以下の図面を参照して本発明の幾つかの態様を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】[0072]図1は、実施例11におけるスパイラルフロー試験にしたがう、異なるポリマー組成に関してバレル温度の関数としてのフロー長さを示すグラフである。
図2】[0073]図2は、実施例11におけるスパイラルフロー試験にしたがう、異なるポリマー組成に関してバレル温度の関数としてのフロー長さを示すグラフである。
図3】[0074]図3は、実施例12における溶着強度試験にしたがう、異なるポリマー組成に関して溶着部を破断するための力を示すグラフである。
図4】[0075]図4は、実施例12における溶着強度試験にしたがう、異なるポリマー組成に関して溶着部を破断するための力を示すグラフである。
図5】[0076]図5は、実施例13における熱安定性試験にしたがう、異なるポリマー組成に関してバレル温度及び滞留時間の関数としての分子量損失を示すグラフである。
図6】[0077]図6は、実施例13における熱安定性試験にしたがう、異なるポリマー組成に関してバレル温度及び滞留時間の関数としての分子量損失を示すグラフである。
図7】[0078]図7は、実施例13における熱安定性試験にしたがう、異なるポリマー組成に関してバレル温度及び滞留時間の関数としての分子量損失を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
[0079]本発明は、本発明の幾つかの態様の以下の詳細な記載及び実施例を参照することによってより容易に理解することができる。本発明の1つ又は複数の目的にしたがって、本発明の幾つかの態様を発明の概要において記載し、ここで下記において更に記載する。また、本発明の他の態様もここに記載する。
【0065】
[0080]テレフタル酸、そのエステル、及び/又はそれらの混合物、エチレングリコール、並びに2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから形成され、特定の触媒及び安定剤、それらの反応生成物、並びにそれらの混合物を更に含む本発明の幾つかのポリエステル及び/又は1つ若しくは複数のポリエステル組成物は、次の特性:特定のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(T)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度、良好な色、良好な熱安定性、良好な超音波溶着強度、及び良好な食器洗浄機耐久性、並びに選択されるIVに関する機械特性;の2以上の独特の組合せを有することができる。本発明の幾つかの態様においては、本発明の幾つかのポリエステル及び/又はポリエステル組成物は、特定のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(T)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度、良好な色、良好な熱安定性、良好な超音波溶着強度、及び良好な食器洗浄機耐久性、並びに選択されるIVに関する機械特性の3以上の独特の組合せを有することができる。
【0066】
[0081]一態様においては、チタンとマンガン、或いはチタンと低レベルのスズの混合物の触媒を用いて、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及びエチレングリコールを一定範囲の組成にわたって含むコポリエステルを製造することができる。
【0067】
[0082]これらのコポリエステルの色は、重合中に特定レベルのリン含有化合物/安定剤を加えることによって改良することができると考えられる。幾つかの態様においては、本発明は、リン化合物によって安定化されたチタンとマンガンの触媒の独特の組合せによって触媒されて、ここに記載する組成範囲にわたって良好なTMCD取込率、改良された色(より高い明度及び/又はより低い黄色度)、並びに所望のインヘレント粘度(IV)を達成する反応性を与える、テレフタル酸、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、及びエチレングリコールをベースとするポリエステルに関する。
【0068】
[0083]本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するプロセスにチタンを加える場合には、これはチタン化合物の形態でポリエステルを製造するプロセスに加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明のプロセスに加えるチタン化合物の量は、最終ポリエステル中に存在するチタン原子の形態で、例えばppmで測定される重量基準で測定することができる。
【0069】
[0084]本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するプロセスにマンガンを加える場合には、これはマンガン化合物の形態でポリエステルを製造するプロセスに加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明のプロセスに加えるマンガン化合物の量は、最終ポリエステル中に存在するマンガン原子の形態で、例えばppmで測定される重量基準で測定することができる。
【0070】
[0085]本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するプロセスにリンを加える場合には、これはリン化合物の形態でポリエステルを製造するプロセスに加える。一態様においては、このリン化合物は少なくとも1種類のホスフェートエステルを含んでいてよい。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明のプロセスに加えるリン化合物(例えば1種類又は複数のホスフェートエステル)の量は、最終ポリエステル中に存在するリン原子の形態で、例えばppmで測定される重量基準で測定することができる。
【0071】
[0086]本明細書において用いる「ポリエステル」という用語は「コポリエステル」を包含することを意図しており、1種類以上の二官能性カルボン酸及び/又は多官能性カルボン酸と、1種類以上の二官能性ヒドロキシル化合物及び/又は多官能性ヒドロキシル化合物、例えば分岐剤の反応によって製造される合成ポリマーを意味すると理解される。通常は、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であってよく、二官能性ヒドロキシル化合物は、例えばグリコール及びジオールのような二価アルコールであってよい。本明細書において用いる「グリコール」という用語には、ジオール、グリコール、及び/又は多官能性ヒドロキシル化合物、例えば分岐剤が包含されるが、これらに限定されない。或いは、二官能性カルボン酸は、例えばp-ヒドロキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸であってよく、二官能性ヒドロキシル化合物は、例えばヒドロキノンのような2つのヒドロキシル置換基を有する芳香核であってよい。本明細書において用いる「残基」という用語は、対応するモノマーから重縮合及び/又はエステル化反応によってポリマー中に導入される任意の有機構造を意味する。本明細書において用いる「繰り返し単位」という用語は、カルボニルオキシ基を介して結合しているジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。而して例えば、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー、或いはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、及び/又はこれらの混合物から誘導することができる。更に、本明細書において用いる「二酸」という用語は、多官能性酸、例えば分岐剤を包含する。したがって、本明細書において用いる「ジカルボン酸」という用語は、ポリエステルを生成させるジオールとの反応プロセスにおいて有用な、ジカルボン酸、及びジカルボン酸の任意の誘導体、例えばその関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、及び/又はこれらの混合物を包含すると意図される。本明細書において用いる「テレフタル酸」という用語は、ポリエステルを生成させるジオールとの反応プロセスにおいて有用な、テレフタル酸自体、及びその残基、並びにテレフタル酸の任意の誘導体、例えばその関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、及び/又はこれらの混合物或いはこれらの残基を包含すると意図される。
【0072】
[0087]本発明において用いるポリエステルは、通常はジカルボン酸とジオールから製造することができ、これらを実質的に同等の割合で反応させて、それらの対応する残基としてポリエステルポリマー中に導入する。したがって、本発明のポリエステルには、実質的に等モル割合の酸残基(100モル%)及びジオール(及び/又は多官能性ヒドロキシル化合物)残基(100モル%)を含ませて、繰り返し単位の合計モル数が100モル%に等しくなるようにすることができる。したがって、本発明において与えるモル%は、酸残基の全モル数、ジオール残基の全モル数、又は繰り返し単位の全モル数を基準とすることができる。例えば、全酸残基を基準として10モル%のイソフタル酸を含むポリエステルとは、ポリエステルが合計で100モル%の酸残基の中に10モル%のイソフタル酸残基を含むことを意味する。而して、酸残基100モル毎の中に10モルのイソフタル酸残基が存在する。他の例においては、全ジオール残基を基準として30モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールを含むポリエステルとは、ポリエステルが合計で100モル%のジオール残基の中に30モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を含むことを意味する。而して、ジオール残基100モル毎の中に30モルの2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基が存在する。
【0073】
[0088]本発明の他の形態においては、本発明において有用なポリエステルのためのグリコール成分としては、次の範囲の組合せ:約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約58~約70モル%のエチレングリコール;約32~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約58~約68モル%のエチレングリコール;約32~約38モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約64~約68モル%のエチレングリコール;約33~約41モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約59~約67モル%のエチレングリコール;約34~約40モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約60~約66モル%のエチレングリコール;34モル%より多く約40モル%までの2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約60乃至約66モル%未満のエチレングリコール;34.2~40モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約60~65.8モル%のエチレングリコール;約35~約39モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約61~65モル%のエチレングリコール;約35~約38モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約62~約65モル%のエチレングリコール;又は約36~約37モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び約63~約64モル%のエチレングリコール;の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
[0089]本発明の幾つかの態様に関しては、本発明において有用なポリエステルは、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて次のインヘレント粘度:0.50~0.70dL/g;0.55~0.65dL/g;0.56~0.64dL/g;0.56~0.63dL/g;0.56~0.62dL/g;0.56~0.61dL/g;0.57~0.64dL/g;0.58~0.64dL/g;0.57~0.63dL/g;0.57~0.62dL/g;0.57~0.61dL/g;0.58~0.60dL/g;又は約0.59dL/g;の少なくとも1つを示すことができる。
【0075】
[0090]一態様においては、テレフタル酸を出発材料として用いることができる。他の態様においては、ジメチルテレフタレートを出発材料として用いることができる。更に他の態様においては、テレフタル酸とジメチルテレフタレートの混合物を、出発材料として、及び/又は中間体材料として用いることができる。
【0076】
[0091]幾つかの態様においては、テレフタル酸、又は例えばジメチルテレフタレートのようなそのエステル、或いはテレフタル酸残基とそのエステルの混合物によって、本発明において有用なポリエステルを形成するのに用いるジカルボン酸成分の一部又は全部を構成することができる。幾つかの態様においては、テレフタル酸残基によって、本発明において有用なポリエステルを形成するのに用いるジカルボン酸成分の一部又は全部を構成することができる。幾つかの態様においては、より高い衝撃強度のポリエステルを製造するために、より多い量のテレフタル酸を用いることができる。本発明の目的のためには、「テレフタル酸」及び「ジメチルテレフタレート」の用語はここでは互換的に用いる。一態様においては、ジメチルテレフタレートは、本発明において有用なポリエステルを形成するために用いるジカルボン酸成分の一部又は全部である。幾つかの態様においては、70~100モル%;又は80~100モル%;又は90~100モル%;又は99~100モル%の範囲;或いは100モル%のテレフタル酸及び/又はジメチルテレフタレート及び/又はこれらの混合物を用いることができる。
【0077】
[0092]テレフタル酸に加えて、本発明において有用なポリエステルのジカルボン酸成分には、10モル%以下、5モル%以下、又は1モル%以下の1種類以上の変性性芳香族ジカルボン酸を含ませることができる。更に他の態様は、0モル%の変性性芳香族ジカルボン酸を含む。而して、存在する場合には、1種類以上の変性性芳香族ジカルボン酸の量は、任意のこれらの上述の端点値からの範囲、例えば0.01~10モル%、0.01~5モル%、及び0.01~1モル%の範囲であってよい。一態様においては、本発明において用いることができる変性性芳香族ジカルボン酸としては、20個以下の炭素原子を有するものが挙げられるが、これらに限定されず、これらは、線状、パラ配向、又は対称形であってよい。本発明において用いることができる変性性芳香族ジカルボン酸の例としては、イソフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-、1,5-、2,6-、2,7-ナフタレンジカルボン酸、及びトランス-4,4’-スチルベンジカルボン酸、並びにこれらのエステルが挙げられるが、これらに限定されない。一態様においては、変性性芳香族ジカルボン酸はイソフタル酸である。
【0078】
[0093]本発明において有用なポリエステルのカルボン酸成分は、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びドデカン二酸ジカルボン酸のような、10モル%以下、例えば5モル%以下、或いは1モル%以下の2~16個の炭素原子を含む1種類以上の脂肪族ジカルボン酸で更に変性することができる。幾つかの態様には、0.01~10モル%、例えば0.1~10モル%、1又は10モル%、5~10モル%の1種類以上の変性性脂肪族ジカルボン酸を含ませることもできる。更に他の態様は、0モル%の変性性脂肪族ジカルボン酸を含む。ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%である。一態様においては、本発明の変性性脂肪族ジカルボン酸成分中にアジピン酸及び/又はグルタル酸を与える。
【0079】
[0094]テレフタル酸及び他の変性性ジカルボン酸のエステル、或いはこれらの対応するエステル及び/又は塩を、ジカルボン酸に代えて用いることができる。ジカルボン酸エステルの好適な例としては、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジイソプロピル、ジブチル、及びジフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。一態様においては、エステルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びフェニルエステルの少なくとも1つから選択される。
【0080】
[0095]所望のポリエステルに関しては、シス/トランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールのモル比は、それらの純粋形態及びその混合物から変化させることができる。幾つかの態様においては、シス及び/又はトランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールのモル%は、50モル%より多いシス及び50モル%未満のトランス;又は55モル%より多いシス及び45モル%未満のトランス;又は50~70モル%のシス及び50~30モル%のトランス;又は60~70モル%のシス及び30~40モル%のトランス;又は70モル%より多いシス及び30モル%未満のトランス;であり、ここでシス及びトランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールに関する合計モル%は100モル%に等しい。更なる態様においては、シス/トランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールのモル比は、50/50~0/100の範囲内、例えば40/60~20/80の間で変化させることができる。
【0081】
[0096]一態様においては、本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分のグリコール成分に、30モル%以下の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール又はエチレングリコールではない1種類以上の変性性グリコールを含ませることができる。一態様においては、本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分のグリコール成分に、10モル%以下、又は9モル%以下、又は8モル%以下、又は7モル%以下、又は6モル%以下、或いはそれより少ない2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール又はエチレングリコールではない1種類以上の変性性グリコールを含ませることができる。一態様においては、本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分のグリコール成分に、5モル%以下、又は4モル%以下、又は3モル%以下、又は2モル%以下、或いは1モル%以下、或いはそれより少ない2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール又はエチレングリコールではない1種類以上の変性性グリコールを含ませることができる。幾つかの態様においては、本発明において有用なポリエステルに、3モル%以下の1種類以上の変性性グリコールを含ませることができる。他の態様においては、本発明において有用なポリエステルに、2モル%以下の1種類以上の変性性グリコールを含ませることができる。他の態様においては、本発明において有用なポリエステルに、0モル%の変性性グリコールを含ませることができる。しかしながら、多少の他のグリコール残基はin situで形成される可能性があると考えられる。例えば、重合反応中において、通常は一定量のDEGがin situで形成される。幾つかの態様においては、DEGはモノマーとして反応混合物に意図的に加えることができ、他の態様においては、DEGは意図的に加えないが、少量のDEG残基がin situ形成のために最終コポリマー中に存在する可能性がある。
【0082】
[0097]幾つかの態様においては、ポリエステルにおいて用いるための変性性グリコールとしては、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及びエチレングリコール以外のジオールを挙げることができ、これは2~16個の炭素原子を含んでいてよい。変性性グリコールの例としては、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、p-キシレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の態様においては、変性性グリコールとしては、1,3-プロパンジオール及び1,4-プロパンジオールの少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。一態様においては、少なくとも1つの変性性グリコールはジエチレングリコールである。一態様においては、ジエチレングリコールは別のモノマーとして加えないが、重合中に形成される。
【0083】
[0098]幾つかの態様においては、本発明によるポリエステルには、それぞれジオール又は二酸残基のいずれかの合計モル%を基準として0~10モル%、例えば0.01~5モル%、0.01~1モル%、0.05~5モル%、0.05~1モル%、又は0.1~0.7モル%の、3以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基、又はこれらの組合せを有する分岐性モノマー(branching monomer)(本発明においては分岐剤とも呼ぶ)の1以上の残基を含ませることができる。幾つかの態様においては、分岐性モノマー又は分岐剤は、ポリエステルの重合の前及び/又はその間及び/又はその後に加えることができる。幾つかの態様においては、本発明において有用な1つ又は複数のポリエステルは、したがって線状又は分岐であってよい。
【0084】
[0099]分岐性モノマーの例としては、多官能性酸又は多官能性アルコール、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、クエン酸、酒石酸、3-ヒドロキシグルタル酸などが挙げられるが、これらに限定されない。一態様においては、分岐性モノマー残基には、0.1~0.7モル%の無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、及び/又はトリメシン酸の少なくとも1つから選択される1以上の残基を含ませることができる。分岐性モノマーは、例えば米国特許5,654,347及び5,696,176(分岐性モノマーに関するその開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような濃縮液の形態で、ポリエステル反応混合物に加えるか、或いはポリエステルとブレンドすることができる。
【0085】
[0100]本発明のポリエステルには少なくとも1種類の連鎖延長剤を含ませることができる。好適な連鎖延長剤としては、多官能性(二官能性などであるが、これに限定されない)イソシアネート、例えばエポキシ化ノボラックなどの多官能性エポキシド、及びフェノキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、連鎖延長剤は、重合プロセスの終了時、又は重合プロセスの後に加えることができる。重合プロセスの後に加える場合には、連鎖延長剤は、射出成形又は押出のような変換プロセス中に配合又は添加することによって導入することができる。用いる連鎖延長剤の量は、用いる具体的なモノマー組成及び所望の物理特性に応じて変化させることができるが、一般にポリエステルの全重量を基準として約0.1重量%~約10重量%、例えば約0.1~約5重量%である。
【0086】
[0101]一態様においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは視覚的に明澄であることができる。「視覚的に明澄」という用語は、本発明においては、目視検査した際に、認められる曇り、霞み、及び/又は濁りが存在しないものとして定義される。
【0087】
[0102]一態様においては、本発明において有用なポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物は、Hunter Associates Lab Inc., Reston, Vaによって製造されているHunter Lab Ultrascanスペクトル比色計を用いて求めることができる色彩値L、a、及びbを有することができる。色の測定値は、ポリエステルのペレット、或いはそれから射出成形又は押出されたプラーク若しくは他の成形品のいずれかについて測定される複数の値の平均値である。これらは、CIE(国際照明委員会)のL表色系(ここで、Lは明度座標を表し、aは赤/緑座標を表し、bは黄/青座標を表す)によって求められる。種々の態様においては、色彩値は、1種類又は複数のトナーが存在しているポリマー及び/又は存在していないポリマーに関して求めることができる。
【0088】
[0103]有害な色の相互作用は、エチレングリコールを含むポリエステルを製造するために用いるスズ触媒又はチタン触媒によって起こると考えられる。本発明の一態様においては、本明細書に記載する少なくとも1種類のチタン化合物及び少なくとも1種類のマンガン化合物を少なくとも1種類のリン化合物と組み合わせて用いて製造される本発明において有用なポリエステルに関するb色彩値は、良好なTMCD取込率(>50%)、改良された色(L>90、及び/又はb<10)、及びIVを構築する能力に関して、これらのポリエステルの製造においてスズ触媒又はチタン触媒を単独か、又はリンと併せて用いた場合を凌ぐ大きな向上であると考えられる。
【0089】
[0104]一態様においては、1種類又は複数のリン化合物は、例えばハロゲン化又は非ハロゲン化有機置換基を含むリン酸エステルのような有機化合物であってよい。幾つかの態様においては、1種類又は複数のリン化合物に、広範囲のリン化合物、例えばホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスフィネート、ホスホネート、ホスフィンオキシド、及びホスフェートを含ませることができる。
【0090】
[0105]本発明において有用である可能性があるリン化合物の例としては、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、エチルジメチルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、トリベンジルホスフェート、フェニルエチルホスフェート、トリメチルチオノホスフェート、フェニルエチルチオノホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルメチルホスホネート、ジエチルペンチルホスホネート、ジラウリルメチルホスホネート、ジフェニルメチルホスホネート、ジベンジルメチルホスホネート、ジフェニルクレシルホスホネート、ジメチルクレシルホスホネート、ジメチルメチルチオノホスホネート、フェニルジフェニルホスフィネート、ベンジルジフェニルホスフィネート、メチルジフェニルホスフィネート、トリメチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリベンジルホスフィンオキシド、4-メチルジフェニルホスフィンオキシド、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリベンジルホスファイト、フェニルジエチルホスファイト、フェニルジメチルホスファイト、ベンジルジメチルホスファイト、ジメチルメチルホスホナイト、ジエチルペンチルホスホナイト、ジフェニルメチルホスホナイト、ジベンジルメチルホスホナイト、ジメチルクレシルホスホナイト、メチルジメチルホスフィナイト、メチルジエチルホスフィナイト、フェニルジフェニルホスフィナイト、メチルジフェニルホスフィナイト、ベンジルジフェニルホスフィナイト、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、及びメチルジフェニルホスフィンを挙げることができる。一態様においては、トリフェニルホスフィンオキシドは、本発明のポリエステル及び/又は本発明の1つ又は複数のポリエステル組成物を製造する1つ又は複数のプロセスにおける熱安定剤としては除外される。
【0091】
[0106]一態様においては、本発明において有用なリン化合物は、(酸素又はリン原子のいずれかに結合している)酸化合物の水素原子の1以上が、アルキル、分岐アルキル、置換アルキル、アルキルエーテル、置換アルキルエーテル、アルキル-アリール、アルキル-置換アリール、アリール、置換アリール、及びこれらの混合物で置き換えられている上記に記載の任意のリンベースの酸であってよい。他の態様においては、本発明において有用なリン化合物として、化合物の酸素原子に結合している水素原子の少なくとも1つが金属イオン又はアンモニウムイオンで置き換えられている上記に記載の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
[0107]エステルは、アルキル、分岐アルキル、置換アルキル、アルキルエーテル、アリール、及び/又は置換アリール基を含んでいてよい。エステルはまた、少なくとも1つのアルキル基及び少なくとも1つのアリール基を有していてもよい。特定のリン化合物中に存在するエステル基の数は、ゼロ乃至用いるリン化合物上に存在するヒドロキシル基の数に基づいて許容される最大数で変化してよい。例えば、アルキルホスフェートエステルとしては、モノ、ジ、及びトリアルキルホスフェートエステルの1以上を挙げることができ;アリールホスフェートエステルとしては、モノ、ジ、及びトリアリールホスフェートエステルの1以上を挙げることができ;アルキルホスフェートエステル及び/又はアリールホスフェートエステルとしてはまた、少なくとも1つのアルキル及び1つのアリール基を有する混合アルキルアリールホスフェートエステルも挙げられるが、これに限定されない。
【0093】
[0108]一態様においては、本発明において有用なリン化合物として、リン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、又は亜ホスホン酸のアルキル、アリール、又は混合アルキルアリールエステル、或いは部分エステルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル又はアリール基は1以上の置換基を含んでいてよい。
【0094】
[0109]一形態においては、本発明において有用なリン化合物は、置換又は非置換アルキルホスフェートエステル、置換又は非置換アリールホスフェートエステル、置換又は非置換混合アルキルアリールホスフェートエステル、ジホスファイト、リン酸の塩、ホスフィンオキシド、及び混合アリールアルキルホスファイト、これらの反応生成物、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される少なくとも1種類のリン化合物を含む。ホスフェートエステルとしては、リン酸が完全にエステル化されているか、又は部分的にのみエステル化されているエステルが挙げられる。
【0095】
[0110]例えば一態様においては、本発明において有用なリン化合物として、少なくとも1種類のホスフェートエステルを挙げることができる。
[0111]一形態においては、本発明において有用なリン化合物は、置換又は非置換アルキルホスフェートエステル、置換又は非置換アリールホスフェートエステル、置換又は非置換混合アルキルアリールホスフェートエステル、これらの反応生成物、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される少なくとも1種類のリン化合物を含む。ホスフェートエステルとしては、リン酸が完全にエステル化されているか、又は部分的にのみエステル化されているエステルが挙げられる。
【0096】
[0112]例えば一態様においては、本発明において有用なリン化合物として少なくとも1種類のホスフェートエステルを挙げることができる。
[0113]他の態様においては、本発明において有用なホスフェートエステルとしては、アルキルホスフェートエステル、アリールホスフェートエステル、混合アルキルアリールホスフェートエステル、及び/又はこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0097】
[0114]幾つかの態様においては、本発明において有用なホスフェートエステルは、ホスフェートエステル上の基が、アルキル、アルコキシ-アルキル、フェニル、又は置換フェニル基であるものである。これらのホスフェートエステルは、一般に本発明においてはアルキル及び/又はアリールホスフェートエステルと呼ぶ。幾つかの好ましい態様は、トリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、アルキルジアリールホスフェート、ジアルキルアリールホスフェート、及びかかるホスフェートの混合物を包含し、ここでアルキル基は好ましくは2~12個の炭素原子を含むものであり、アリール基は好ましくはフェニルである。
【0098】
[0115]代表的なアルキル及び分岐アルキル基は、好ましくは、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、デシル、及びドデシルなど(しかしながらこれらに限定されない)の1~12個の炭素原子を含むものである。置換アルキル基としては、カルボン酸基及びそのエステル、ヒドロキシル基、アミノ基、ケト基などの少なくとも1つを含むものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
[0116]代表的なアルキル-アリール及び置換アルキル-アリール基は、アルキル部分が1~12個の炭素原子を含み、アリール基が、フェニル、又はフェニル環上の任意の炭素位置の水素がアルキル、分岐アルキル、アリール、ヒドロキシルなどのような基で置換されている置換フェニルであるものである。好ましいアリール基としては、フェニル、又はフェニル環上の任意の位置の水素がアルキル、分岐アルキル、アリール、ヒドロキシルなどのような基で置換されている置換フェニルが挙げられる。
【0100】
[0117]一態様においては、本発明において有用なホスフェートエステルとして、ジブチルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及び/又はこれらの混合物、例えば特にトリブチルホスフェートとトリクレシルホスフェートの混合物、及びイソセチルジフェニルホスフェートと2-エチルヘキシルジフェニルホスフェートの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
[0118]一態様においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物は、少なくとも1種類のアリールホスフェートエステルを含む。
[0119]一態様においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物は、少なくとも1種類の非置換アリールホスフェートエステルを含む。
【0102】
[0120]一形態においては、本発明において有用な少なくとも種類のリン化合物は、ベンジル基で置換されていない少なくとも1種類のアリールホスフェートエステルを含む。
[0121]一形態においては、本発明において有用な任意のリン化合物に、少なくとも1種類のアルキルホスフェートエステルを含ませることができる。
【0103】
[0122]一態様においては、熱安定剤及び/又は色安定剤として本発明において有用なホスフェートエステルとして、トリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、アルキルジアリールホスフェート、及び混合アルキルアリールホスフェートの少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
[0123]一態様においては、熱安定剤及び/又は色安定剤として本発明において有用なホスフェートエステルとして、トリアリールホスフェート、アルキルジアリールホスフェート、及び混合アルキルアリールホスフェートの少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
[0124]一態様においては、本発明において熱安定剤及び/又は色安定剤として有用なホスフェートエステルとして、トリアリールホスフェート、及び混合アルキルアリールホスフェートの少なくとも1つを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0106】
[0125]一態様においては、本発明において有用な少なくとも1種類のリン化合物に、例えばトリフェニルホスフェートのようなトリアリールホスフェート(しかしながらこれに限定されない)を含ませることができる。一態様においては、少なくとも1種類の熱安定剤は、Merpol A(しかしながらこれに限定されない)を含む。一態様においては、本発明において有用な少なくとも1種類の熱安定剤は、トリフェニルホスフェート及びMerpol Aの少なくとも1つ(しかしながらこれらに限定されない)を含む。Merpol Aは、Stepan Chemical Co及び/又はE.I. DuPont de Nemours & Co.から商業的に入手できるホスフェートエステルである。Merpol Aに関するCAS登録番号は、CAS登録番号#37208-27-8と考えられる。
【0107】
[0126]一形態においては、本発明において有用な任意のリン化合物に、ベンジル基で置換されていない少なくとも1種類のトリアリールホスフェートエステルを含ませることができる。
【0108】
[0127]一態様においては、本発明のポリエステル組成物及び/又はプロセスに、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェートを含ませることができる。
【0109】
[0128]一態様においては、ポリエステル組成物及び/又はポリエステルの任意のものを製造するためのここに記載する任意のプロセスに、例えばビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト(Doverphos S-9228(Dover Chemicals, CAS#15486243-8)としても知られる)のような少なくとも1種類の混合アルキルアリールホスファイトを含ませることができる。
【0110】
[0129]一態様においては、ポリエステル組成物及び/又はポリエステルの任意のものを製造するためのここに記載する任意のプロセスに、少なくとも1種類のホスフィンオキシドを含ませることができる。
【0111】
[0130]一態様においては、ポリエステル組成物及び/又はポリエステルの任意のものを製造するためのここに記載する任意のプロセスに、例えばKHPO及びZn(POのようなリン酸の少なくとも1種類の塩を含ませることができる。
【0112】
[0131]「熱安定剤」という用語は、その1つ又は複数の反応生成物を包含すると意図される。本発明の熱安定剤に関連して用いる「反応生成物」という用語は、熱安定剤とポリエステルの製造において用いる任意のモノマーとの間の重縮合又はエステル化反応の任意の生成物、並びに触媒と任意の他のタイプの添加剤との間の重縮合又はエステル化反応の生成物を指す。
【0113】
[0132]本発明の一態様においては、本発明において有用なリン化合物は、熱安定剤として作用させることができる。本発明の一態様においては、本発明において有用なリン化合物は、熱安定剤として作用しない可能性があるが、色安定剤として作用させることができる。本発明の一態様においては、本発明において有用なリン化合物は、熱安定剤及び色安定剤の両方として作用させることができる。
【0114】
[0133]本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するプロセスにリンを加える場合には、これは、リン化合物、例えば少なくとも1種類のホスフェートエステルの形態で加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明のプロセスに加える1種類又は複数のリン化合物(例えば少なくとも1種類のホスフェートエステル)の量は、最終ポリエステル中に存在するリン原子の形態で、例えばppmで測定される重量基準で測定することができる。
【0115】
[0134]一態様においては、重合中に加える本発明のホスフェートエステルの量は、ポリエステル組成物の全重量を基準として、及び最終ポリエステル中のリン原子の形態で測定して10~200ppmから選択される。本発明の幾つかの態様においては、リンは、ポリエステル組成物の全重量を基準として、及び最終ポリエステル中のリン原子の形態で測定して、5~100ppm、又は5~80ppm、又は10~80ppm、又は10~75ppm、又は10~70ppm、或いは10~65ppmの量で存在させることができる。
【0116】
[0135]一態様においては、触媒混合物はチタン化合物を含む。一態様においては、チタン化合物は、エステル化反応又は重縮合反応のいずれか、或いは両方の反応において用いることができる。一態様においては、触媒混合物は、エステル化反応において用いるチタン化合物を含む。一態様においては、触媒混合物は、重縮合反応において用いるチタン化合物を含む。一態様においては、ポリエステルの全重量を基準として約60ppm未満の元素状チタンが、ポリエステル中に残渣として存在していてよい。
【0117】
[0136]幾つかの態様においては、チタンの量は、触媒金属を基準として、及び最終ポリマーの重量を基準として10ppm~70ppmの範囲であってよい。本発明の幾つかの態様においては、チタンは、ポリエステル組成物の全重量を基準として、及び最終ポリエステル中のチタン原子の形態で測定して、10~65ppm、又は10~60ppm、又は10~55ppm、又は20~60ppm、又は20~55ppm、或いは25~55ppmの量で存在させることができる。このプロセスは、バッチ又は連続プロセスのいずれかで行うことができる。一態様においては、このプロセスは連続プロセスで行う。
【0118】
[0137]本発明のポリエステル及び/又はポリエステル組成物及び/又はポリエステルを製造するプロセスにチタンを加える場合には、これはチタン化合物の形態でポリエステルを製造するプロセスに加える。本発明のポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物及び/又は本発明のプロセスに加えるチタン化合物の量は、最終ポリエステル中に存在するチタン原子の形態で、例えばppmで測定される重量基準で測定することができる。
【0119】
[0138]他の態様においては、触媒混合物は、最終ポリエステルの重量を基準として、及び最終ポリエステル中のチタン原子の形態で測定して10ppm~60ppmの量の、エテル化反応において用いるチタン化合物を含む。
【0120】
[0139]本発明において有用なチタン含有化合物としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ポリブチルチタネート、2-エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセト酢酸エステルチタネート、イソステアリルチタネート、アセチルトリイソプロピルチタネート、チタンテトライソプロポキシドチタングリコレート、チタンブトキシド、ヘキシレングリコールチタネート、及びテトライソオクチルチタネート、二酸化チタン、二酸化チタン/二酸化ケイ素共沈物、並びに二酸化チタン/二酸化ジルコニウム共沈物など(しかしながらこれらに限定されない)のチタンを含む任意の化合物が挙げられる。本発明は、米国特許6,559,272に記載されている二酸化チタン/二酸化ケイ素共沈物触媒を包含するが、これに限定されない。
【0121】
[0140]一態様においては、触媒混合物はマンガン化合物を含む。一態様においては、マンガン化合物は、エステル化反応又は重縮合反応のいずれか、或いは両方の反応において用いることができる。一態様においては、触媒混合物はエステル化反応において用いるマンガン化合物を含む。一態様においては、触媒混合物は重縮合反応において用いるマンガン化合物を含む。一般に、一態様においては、ポリエステルの全重量を基準として約100ppm未満の元素状マンガンが、ポリエステル中に残渣として存在していてよい。
【0122】
[0141]マンガンの量は、触媒金属を基準として、及び最終ポリマーの重量を基準として10ppm~100ppmの範囲であってよい。本発明の幾つかの態様においては、マンガンは、ポリエステル組成物の全重量を基準として、及び最終ポリエステル中のマンガン原子の形態で測定して、10~100ppm、10~80ppm、10~70ppm、10~60ppm、又は15~60ppm、又は15~55ppm、或いは15~50ppmの量で存在させることができる。このプロセスは、バッチ又は連続プロセスのいずれかで行うことができる。一態様においては、このプロセスは連続プロセスで行う。
【0123】
[0142]本発明において有用なマンガン含有化合物としては、マンガンを含む任意の化合物を挙げることができる。幾つかの態様においては、マンガンはマンガン塩の形態で加えることができる。幾つかの態様においては、有用なマンガン塩の例として、マンガン(II)ジアセテート、マンガンベンゾエート、マンガンオクトエート、マンガンカプロエート、マンガン2-ジエチルヘキソエート、マンガンリノレート、マンガンステアレート、マンガンナフテネート、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0124】
[0143]一態様においては、本発明において有用なポリエステルを製造するための本発明方法において用いるのに好適な触媒としては、少なくとも1種類のチタン化合物及び少なくとも1種類のマンガン化合物が挙げられる。幾つかの態様においては、少なくとも1種類のチタン化合物及び少なくとも1種類のマンガン化合物と組み合わせて、場合によっては他の触媒を本発明において用いることができる。一態様においては、他の触媒として、スズ、ガリウム、亜鉛、アンチモン、コバルト、マンガン、マグネシウム、ゲルマニウム、リチウム、アルミニウムの化合物をベースとするもの、及び水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムと併用したアルミニウム化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0125】
[0144]一態様においては、本発明のポリエステルは、1つ又は複数の触媒としてチタン化合物に加えて、スズが触媒金属を基準として、及び最終ポリマーの重量を基準として25ppm未満、又は20ppm未満の量で存在している少なくとも1種類のスズ化合物を用いて製造することができる。一態様においては、このチタンと低レベルのスズの触媒の組合せに、触媒金属を基準として、及び最終ポリマーの重量を基準として5ppm未満、又は2ppm未満の任意の他の意図的に加える触媒、例えばマグネシウムを含ませることができる。一態様においては、このチタンと低レベルのスズの触媒の組合せは、任意の他の意図的に加える触媒、例えばマグネシウムの不存在下であってもよい。
【0126】
[0145]一態様においては、本発明は、熱可塑性ポリエステル組成物であって、(a)90~100モル%のテレフタル酸残基;及び(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基を含むジカルボン酸成分;及び(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基;及び(ii)約70~約58モル%のエチレングリコール残基を含むグリコール成分;並びに、(c)(i)ポリマー重量を基準として10~60ppmの範囲のチタン原子、(ii)ポリマー重量を基準として10~100ppmの範囲のマンガン原子、ポリマー重量を基準として5~20ppmの範囲のスズ原子、及びマンガン原子とスズ原子の組合せからなる群から選択される更なる金属触媒原子;及び(iii)ポリマー重量を基準として10~200ppmの範囲のリン原子を含む触媒/安定剤成分を含み;ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり、グリコール成分の合計モル%は100モル%であり;そして、ポリエステルのインヘレント粘度(IV)は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gである上記組成物に関する。
【0127】
[0146]触媒系がチタン及びスズ(低レベル)を含むか、又はそれがチタン、マンガン、及びスズを含む幾つかの態様においては、広範囲のスズ化合物を用いることができる。例えば、米国特許2,720,507(スズ触媒に関する部分を参照として本明細書中に包含する)を参照。これらの触媒は、少なくとも1つの有機ラジカルを含むスズ化合物である。これらの触媒としては、下記に示す一般式:
【0128】
【化1】
【0129】
(式中、Mはアルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム、又はカリウムであり、M’は、Mg、Ca、又はSrのようなアルカリ土類金属であり、それぞれのRは、1~8個の炭素原子を含むアルキル基を表し、それぞれのR’は、1~8個の炭素原子を含むアルキル基(即ちR基)、及び6~9個の炭素原子を含むベンゼン系のアリール基(例えば、フェニル、トリル、ベンジル、フェニルエチル等の基)からなるものから選択される置換基を表し、Acは、2~18個の炭素原子を含む有機酸から誘導されるアシル基(例えば、アセチル、ブチリル、ラウロイル、ベンゾイル、ステアロイル等)を表す)
を有する二価又は三価の両方のスズの化合物が挙げられる。
【0130】
[0147]二金属アルコキシド触媒は、Meerwein, Ann. 476, 113 (1929)によって記載されているように製造することができる。Meerweinによって示されているように、これらの触媒は、2つの金属アルコキシドの単なる混合物ではない。これらは、塩様の構造を有する明確な化合物である。これらは、上記の式A~Hによって示される化合物である。Meerweinによって示されている実施例及び方法に類似する手順によって、Meerweinに具体的に記載されていないものを製造することができる。
【0131】
[0148]また、次の文献に記載されているもののような種々の方法によって、他のスズ化合物を製造することもできる:ジアリールスズジハライド(式P)の製造に関しては、Ber. 62, 996 (1929);J. Am. Chem. Soc. 49, 1369 (1927)を参照;ジアルキルスズジハライド(式P)の製造に関しては、J. Am. Chem. Soc. 47, 2568 (1925):C.A. 41,90 (1947)を参照;ジアリールスズオキシド(式M)の製造に関しては、J. Am. Chem. Soc. 48, 1054 (1926)を参照;テトラアリールスズ化合物(式K)の製造に関しては、C.A. 32,5387 (1938)を参照;スズアルコキシド(式J)の製造に関しては、C.A. 24,586 (1930)を参照;アルキルスズ塩(式Q)の製造に関しては、C.A. 31,4290を参照;アルキルスズ化合物(式K及びL)の製造に関しては、C.A. 25,2470 (1941):C.A. 33,5357 (1939)を参照;混合アルキルアリールスズ(式K及びL)の製造に関しては、C.A. 31,4290 (1937):C.A. 38,331 (1944)を参照;これらの引用文献によってカバーされていない他のスズ化合物の製造に関しては、"Die Chemie der Metal-Organischen Verbindungen", Kause及びV. Grosse, Berlinで1937に刊行, Gebroder-Borntragerを参照。
【0132】
[0149]スズアルコキシド(式I及びJ)並びに二金属アルコキシド(式A~H)は、R置換基(直鎖及び分岐鎖の両方のアルキル基を表していてよい)を含み、例えばジエトキシド、テトラメトキシド、テトラブトキシド、テトラ-tert-ブトキシド、テトラヘキソキシド等である。
【0133】
[0150]アルキル誘導体(式K及びL)は、C-Snの直接結合を介してスズ原子に結合している1以上のアルキル基を含み、例えばジブチルスズ、ジヘキシルスズ、テトラブチルスズ、テトラエチルスズ、テトラメチルスズ、ジオクチルスズ等である。テトラアルキル基の2つを酸素原子で置き換えて、式Mを有する化合物、例えばジメチルスズオキシド、ジエチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジヘプチルスズオキシド等を形成することができる。一態様においては、スズ触媒はジメチルスズオキシドを含む。
【0134】
[0151]アルコール溶液中でジアルキルスズオキシドをアルカリ金属アルコキシドと反応させること、例えばジブチルスズオキシドをナトリウムエトキシドと反応させることなどによって複合体を形成して、式Nを有する化合物(この化合物は特に有用な触媒である)を形成することができる。この式は、記載されている反応生成物を表すように意図される。アルキル及びアルコキシ基を含むスズ化合物(式Oを参照)、例えばジエチルスズジエトキシド、ジブチルスズジブトキシド、ジヘキシルスズジメトキシド等もまた有用な触媒である。
【0135】
[0152]ジアルキルスズオキシドをカルボン酸又は塩酸と反応させて誘導される塩も、触媒として特に価値のあるものである。式P及びQを参照。これらの縮合触媒試薬の例としては、ジブチルスズジアセテート、ジエチルスズジブチレート、ジブチルスズジラウロエート、ジメチルスズジベンゾエート、ジブチルスズジクロリド、ジエチルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、ジヘキシルスズジステアレート等が挙げられる。
【0136】
[0153]R’基の1以上がベンゼン系のアリール基、例えばフェニル、トリル、ベンジル等を表す式K、L、及びMを有するスズ化合物を製造することができる。例としては、ジブチルスズ、テトラフェニルスズ、ジフェニルジブチルスズ、ジトリルジエチルスズ、ジフェニルスズオキシド、ジベンジルスズ、テトラベンジルスズ、ジ([B-フェニルエチル)スズオキシド、ジベンジルスズオキシド等が挙げられる。
【0137】
[0154]本発明において有用な触媒の例としては、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズオキシド、及びジメチルスズオキシドの1以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
[0155]一態様においては、本発明において有用な触媒としては、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズオキシド、及びジメチルスズオキシドの1以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
[0156]スズベースの触媒を用いてポリエステルを製造する方法は周知であり、上述の米国特許2,720,507に記載されている。
[0157]本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分は、例えば均一溶液中のプロセス、溶融体中におけるエステル交換プロセス、及び2相界面プロセスなどによる文献から公知のプロセスによって製造することができる。好適な方法としては、1種類以上のジカルボン酸を、100℃~315℃の温度、0.1~760mmHgの圧力において、ポリエステルを形成するのに十分な時間、1種類以上のグリコールと反応させる工程が挙げられるが、これに限定されない。ポリエステルを製造する方法に関しては、米国特許3,772,405(かかる方法に関する開示事項を参照として本明細書中に包含する)を参照されたい。
【0140】
[0158]ポリエステルは、一般に、米国特許2,720,507(参照として本明細書中に包含する)に更に詳細に記載されているように、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを、ここに記載するチタン触媒及びマンガン触媒の存在下、縮合の過程中に約225℃~310℃の温度まで徐々に上昇させる昇温温度において、不活性雰囲気中でグリコールと縮合させ、縮合の後段中においては低い圧力で縮合を行うことによって製造することができる。
【0141】
[0159]他の形態においては、本発明は本発明のコポリエステルを製造する方法に関する。一態様においては、この方法は、テレフタル酸、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、及びエチレングリコールを含むコポリエステルの製造に関する。この方法は、
(A)本発明のポリエステルにおいて有用なモノマーを含む混合物を、少なくとも1種類のチタン触媒及び少なくとも1種類のマンガン触媒、並びに少なくとも1種類のホスフェートエステルの存在下、150~250℃の温度において、初期段階のポリエステルを製造するのに十分な時間加熱する工程;
(B)工程(A)の生成物を、230~320℃の温度において1~6時間加熱することによって重縮合する工程;及び
(C)未反応のグリコールを除去する工程;
を含む。
【0142】
[0160]エステル化工程(A)に関する反応時間は、選択される温度、圧力、及びグリコールとジカルボン酸との供給モル比によって定まる。
[0161]一態様においては、工程(A)は、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの50重量%以上が反応するまで実施することができる。工程(A)は、0psig~100psigの範囲の圧力下で実施することができる。本発明において有用な任意の触媒に関連して用いる「反応生成物」という用語は、ポリエステルの製造において用いる触媒及び任意のモノマーによる重縮合又はエステル化反応の任意の生成物、並びに触媒と任意の他のタイプの添加剤との間の重縮合又はエステル化反応の生成物を指す。
【0143】
[0162]幾つかの態様においては、工程(B)及び工程(C)は同時に実施することができる。これらの工程は、反応混合物を0.002psig乃至大気圧より低い圧力の範囲の圧力下に配置するか、或いは混合物の上に高温の窒素ガスを吹き込むことなどによる当該技術において公知の方法によって実施することができる。
【0144】
[0163]一態様においては、本発明は、
(I)(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約70モル%のエチレングリコール残基;並びに
(iii)約2モル%未満の、3~16個の炭素原子を有する変性性グリコール;
を含むグリコール成分;
を含む混合物を、150℃~250℃から選択される少なくとも1つの温度において、0psig~75psigの範囲から選択される少なくとも1つの圧力下で加熱する工程;
ここで、工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は1.01~3.0/1.0であり、TMCDは、反応中に約50~約100%のTMCDの転化率を可能にし、及び約30~42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を有する最終ポリマーに到達させるように約30~84モル%の量で加え;
工程(I)における混合物は、
(i)少なくとも1種類のチタン化合物及び少なくとも1種類のマンガン化合物を含む少なくとも1種類の触媒;及び(ii)少なくとも1種類のリン化合物、その反応生成物、及びその混合物の存在下で加熱する;
(II)工程(I)の生成物を、230℃~320℃の温度において、工程(I)の最終圧力乃至0.02torr絶対圧の範囲から選択される少なくとも1つの圧力下で1~6時間加熱して最終ポリエステルを形成する工程;
を含み;
ここで、最終ポリエステルのジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり;最終ポリエステルのグリコール成分の合計モル%は100モル%であり;そして
ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gである、ポリエステルを製造する方法(以下において、「マンガン及びチタンを含む方法」と呼ぶ)に関する。
【0145】
[0164]「マンガン及びチタンを含む方法」と呼ぶ本発明の方法においては、少なくとも1種類のリン化合物、例えば少なくとも1種類のホスフェートエステルは、工程(I)、工程(II)、及び/又は工程(I)及び(II)、及び/又は工程(I)及び/又は(II)の後、に加えることができる。幾つかの態様においては、少なくとも1種類のリン化合物は、工程(I)のみ、又は工程(II)のみに加えることができる。
【0146】
[0165]本発明の幾つかの態様においては、少なくとも1種類のリン化合物、その反応生成物、及びその混合物は、エステル化中、重縮合中のいずれか、又は両方の間に加えることができ、及び/又はこれは重合後に加えることができる。一態様においては、本発明の任意のプロセスにおいて有用なリン化合物はエステル化中に加えることができる。一態様においては、リン化合物をエステル化及び重縮合の両方の後に加える場合には、これは最終ポリエステルの全重量を基準として0~2重量%の量で加える。一態様においては、リン化合物をエステル化及び重縮合の両方の後に加える場合には、これは最終ポリエステルの全重量を基準として0.01~2重量%の量で加え、一態様においては、リン化合物には少なくとも1種類のホスフェートエステルを含ませることができる。一態様においては、リン化合物には、エステル化工程中に加える少なくとも1種類のリン化合物を含ませることができる。一態様においては、リン化合物には、例えばエステル化工程中に加える少なくとも1種類のホスフェートエステルを含ませることができる。
【0147】
[0166]ここに記載するポリエステルの製造方法を用いて、本発明において有用なポリエステルを製造することができると考えられる。
[0167]本発明の任意の方法のエステル化工程(I)に関する反応時間は、選択された温度、圧力、及びグリコールとジカルボン酸との供給モル比によって定まる。
【0148】
[0168]一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、20torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、10torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、5torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、3torr絶対圧~0.02torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、20torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、10torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、5torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成され;一態様においては、本発明の任意の方法の工程(II)において用いる圧力は、3torr絶対圧~0.1torr絶対圧から選択される少なくとも1つの圧力から構成される。
【0149】
[0169]一態様においては、本発明の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.0~2.0/1.0であり;一態様においては、本発明の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~2.0/1.0であり;一態様においては、本発明の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~1.75/1.0であり;一態様においては、本発明の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~1.7/1.0であり;一態様においては、本発明の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~1.5/1.0であり;一態様においては、本発明の方法の工程(I)において加えるグリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比は、1.01~1.2/1.0である。
【0150】
[0170]ポリエステルを製造する方法に関する本発明の幾つかの態様においては、工程(II)の加熱時間は、1~5時間、又は1~4時間、又は1~3時間、又は1.5~3時間、或いは1~2時間であってよい。一態様においては、工程(II)の加熱時間は1.5~3時間であってよい。
【0151】
[0171]一形態においては、本発明において有用なポリエステル、ポリエステル組成物、及び/又は本発明方法に、リン原子、マンガン原子、及びチタン原子を含ませることができる。
【0152】
[0172]一態様においては、本発明において有用な1種類又は複数のポリエステル、ポリエステル組成物、及び/又はポリエステルの製造方法に、少なくとも1種類のマンガン化合物、少なくとも1種類のチタン化合物、及び少なくとも1種類のリン化合物を含ませることができる。
【0153】
[0173]一態様においては、本発明の1つ又は複数のプロセスにおいて1種類又は複数のリン化合物を加えて、0.1~5:1の、最終ポリエステル中における全リン原子とマンガン及びチタン原子の合計との重量比を与えることができる。本発明の幾つかの態様においては、リンは、0.1~2.0:1、又は0.1~1.5:1、又は0.1~1.0:1、又は0.15~2.0:1、又は0.15~1.0:1、又は0.2~1.0:1、又は0.2~0.9:1の、最終ポリエステル中における全リン原子とマンガン及びチタン原子の合計との重量比で存在する。
【0154】
[0174]一態様においては、本発明において有用なポリエステル中のマンガン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として10~100ppmのマンガン原子であってよい。
【0155】
[0175]一態様においては、本発明において有用なポリエステル中のチタン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として10~60ppmのチタン原子であってよい。
[0176]一態様においては、本発明において有用なポリエステル中のリン原子の量は、最終ポリエステルの重量を基準として10~200ppmのリン原子であってよい。
【0156】
[0177]本発明は更に、上記に記載の1つ又は複数の方法によって製造されるポリエステル組成物に関する。
[0178]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーを着色する特定の薬剤を溶融体に加えることができる。一態様においては、得られるポリエステルポリマー溶融相生成物のbを減少させるために、溶融体に青色化トナーを加える。かかる青色化剤としては、1種類又は複数の青色の無機及び有機トナーが挙げられる。更に、1種類又は複数の赤色トナーを用いて、a色を調節することもできる。1種類又は複数の有機トナー、例えば米国特許5,372,864及び5,384,377(これらの全部を参照として包含する)に記載されている1種類又は複数のトナーのような1種類又は複数の青色及び赤色有機トナーを用いることができる。1種類又は複数の有機トナーは、プレミックス組成物として供給することができる。プレミックス組成物は赤色及び青色化合物のニートのブレンドであってよく、或いはこの組成物は、ポリエステルの原材料の1つ、例えばエチレングリコール中に予め溶解又はスラリー化することができる。
【0157】
[0179]加えるトナー成分の合計量は、ベースのポリエステルにおける固有の黄色の量、及びトナーの有効性によって定めることができる。一態様においては、約15ppm以下であり、最小濃度で約0.5ppmの有機トナー成分の合計の濃度を用いる。一態様においては、青色化添加剤の合計量は0.5~10ppmの範囲であってよい。一態様においては、1種類又は複数のトナーをエステル化区域又は重縮合区域に加えることができる。好ましくは、1種類又は複数のトナーは、エステル化区域、或いは予備重合反応器のような重縮合区域の初期段階に加える。
【0158】
[0180]本発明は更にポリマーブレンドに関する。幾つかの態様においては、このブレンドは、
(a)5~95重量%の少なくとも1種類の上記に記載のポリエステル;及び
(b)5~95重量%の少なくとも1種類のポリマー成分;
を含む。
【0159】
[0181]ポリマー成分の好適な例としては、ナイロン;ここに記載したものとは異なるポリエステル、例えばPET;DuPontからのZYTEL(登録商標)のようなポリアミド;ポリスチレン;ポリスチレンコポリマー;スチレンアクリロニトリルコポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート);アクリルコポリマー;ULTEM(登録商標)(General Electricからのポリ(エーテルイミド))のようなポリ(エーテルイミド);NORYL 1000(登録商標)(General Electricからのポリ(2,6-ジメチルフェニレンオキシド)とポリスチレン樹脂のブレンド)のような、ポリ(2,6-ジメチルフェニレンオキシド)又はポリ(フェニレンオキシド)のようなポリフェニレンオキシド/ポリスチレンのブレンド;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン樹脂;ポリ(エステルカーボネート);LEXAN(登録商標)(General Electricからのポリカーボネート)のようなポリカーボネート;ポリスルホン;ポリスルホンエーテル;及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ(エーテルケトン);或いは任意の上記のポリマーの混合物;が挙げられるが、これらに限定されない。このブレンドは、溶融ブレンド又は溶液ブレンドのような当該技術において公知の通常の処理技術によって製造することができる。
【0160】
[0182]幾つかの態様においては、ポリエステル組成物及びポリマーブレンド組成物にはまた、全組成物の0.01~25重量%の、着色剤、1種類又は複数のトナー、染料、離型剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、UV安定剤、ここに記載したリン化合物以外の熱安定剤など(しかしながらこれらに限定されない)の安定剤、及び/又はこれらの反応生成物、フィラー、並びに耐衝撃性改良剤のような通常の添加剤を含ませることもできる。商業的に入手できる耐衝撃性改良剤の例としては、エチレン/プロピレンターポリマー、メチルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレートを含むもののような官能化ポリオレフィン、スチレンベースのブロックコポリマー耐衝撃性改良剤、及び種々のアクリルコア/シェルタイプの耐衝撃性改良剤が挙げられるが、これらに限定されない。かかる添加剤の残基も、ポリエステル組成物の一部として意図される。
【0161】
[0183]強化材料を本発明の組成物に加えることができる。強化材料としては、炭素フィラメント、シリケート、マイカ、クレイ、タルク、二酸化チタン、珪灰石、ガラスフレーク、ガラスビーズ及び繊維、及びポリマー繊維、並びにこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。一態様においては、強化材料として、繊維状ガラスフィラメントのようなガラス、ガラスとタルク、ガラスとマイカ、及びガラスとポリマー繊維の混合物が挙げられる。
【0162】
[0184]一形態においては、本発明は、本発明のポリエステル組成物及び/又はポリマーブレンドを含む熱可塑性物品に関する。幾つかの態様においては、本発明は、本発明のポリエステル組成物及び/又はポリマーブレンドを含む1つ又は複数のフィルム及び/又はシートに関する。ポリエステル及び/又はブレンドを1つ又は複数のフィルム及び/又はシートに成形する方法は、当該技術において周知である。本発明の1つ又は複数のフィルム及び/又はシートの例としては、限定なしに、1つ又は複数の押出フィルム及び/又はシート、1つ又は複数のカレンダー加工フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の圧縮成形フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の溶液キャストフィルム及び/又はシート、収縮フィルム、感圧ラベル、延伸又は延伸性フィルム又はシート、一軸又は二軸配向フィルム、及び/又はマルチウォール(multiwall)フィルム又はシートが挙げられる。フィルム及び/又はシートを製造する方法としては、押出、カレンダー加工、圧縮成形、及び溶液キャストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
[0185]一態様においては、分岐性モノマー又は分岐剤の必要なしに改良されたカレンダー加工プロセスを与えるTMCD及びEGを含むポリエステル組成物が提供される。幾つかの態様においては、カレンダー加工のためのポリエステル組成物は、(a)二酸残基、ジオール残基を含み、少なくとも5分の結晶化ハーフタイム、及び約0.50~約0.80dL/gのインヘレント粘度を有する少なくとも1種類のポリエステル;及び(b)ポリエステルのカレンダーロールに対する粘着を阻止するのに有効な少なくとも1種類の剥離添加剤を含む。本発明のポリエステル組成物は、優れた溶融強度及び溶融粘度と良好な剪断応答性の予期しなかった組合せを有すると考えられ、これによって溶融破壊が起こる前により高いカレンダー加工ライン速度が可能になる。より高いカレンダー加工ライン速度により、商業的用途のポリエステルシート又はフィルムのより経済的な製造が与えられる。種々の態様においては、任意のタイプ及び/又は量のここで議論する二酸残基及びジオール残基を、ポリエステルカレンダー加工組成物のために用いることができる。一態様においては、ポリエステルカレンダー加工組成物は、分岐性モノマー又は分岐剤を含まない。
【0164】
[0186]一形態においては、本発明は、本発明のポリエステル組成物及び/又はポリマーブレンドを含む射出成形及び/又はブロー成形物品に関する。
[0187]本発明の幾つかの態様においては、本発明の幾つかのポリエステル及び/又はポリエステル組成物は、次の特性:特定のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、特定のインヘレント粘度、特定のガラス転移温度(T)、特定の曲げ弾性率、良好な明澄度、良好な色、及び良好な食器洗浄機耐久性、並びに機械特性の全部の独特の組合せを有することができる。
【0165】
[0188]一態様においては、本発明において有用なポリエステルを製造する方法には、バッチ又は連続プロセスを含ませることができる。
[0189]一態様においては、本発明において有用なポリエステルを製造する方法には、連続プロセスを含ませることができる。
【0166】
[0190]本発明の幾つかの態様においては、ポリエステルのTは、次の範囲:95~110℃;97~108℃;97~106℃;100~110℃;100~108℃;100~106℃;102~110℃;102~108℃;102~106℃;103~110℃;103~108℃;103~107℃;103~106℃;104~110℃;104~108℃;104~107℃;104~106℃;及び約105℃;の1つから選択することができる。
【0167】
[0191]本発明の幾つかの形態においては、ポリエステルに関するグリコール成分は、次の範囲の組合せ:30~45モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び55~70モル%のエチレングリコール;32~45モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び55~68モル%のエチレングリコール;32~42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び58~68モル%のエチレングリコール;32~38モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び64~68モル%のエチレングリコール;33~41モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び59~67モル%のエチレングリコール;34~40モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び60~66モル%のエチレングリコール;34モル%より多く40モル%までの2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び60モル%乃至66モル%未満のエチレングリコール;34.2~40モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び60~65.8モル%のエチレングリコール;35~39モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び61~65モル%のエチレングリコール;35~38モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び62~65モル%のエチレングリコール;36~37モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び63~64モル%のエチレングリコール;の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0168】
[0192]本発明の幾つかの態様に関しては、本発明において有用なポリエステルは、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて、次のインヘレント粘度:0.50~0.70dL/g;0.52~0.68dL/g;0.53~0.67dL/g;0.54~0.66dL/g;0.55~0.65dL/g;0.56~0.65dL/g;0.51~0.65dL/g;0.52~0.65dL/g;0.53~0.65dL/g;0.57~0.65dL/g;0.57~0.64dL/g;0.57~0.63dL/g;0.57~0.62dL/g;0.57~0.61dL/g;の少なくとも1つを示すことができる。
【0169】
[0193]本発明の幾つかの態様においては、ポリエステルは、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて、次のインヘレント粘度:0.51~0.65dL/g;0.52~0.65dL/g;0.53~0.65dL/g;0.54~0.65dL/g;0.55~0.62dL/g;0.57~0.62dL/g;約0.59dL/g;の少なくとも1つを示すことができる。
【0170】
[0194]本発明において有用な組成物は、他に示していない限りにおいて、ここに記載するインヘレント粘度範囲の少なくとも1つ、及びここに記載する組成物に関するモノマー範囲の少なくとも1つを有することができると意図される。また、本発明において有用な組成物は、他に示していない限りにおいて、ここに記載するT範囲の少なくとも1つ、及びここに記載する組成物に関するモノマー範囲の少なくとも1つを有することができるとも意図される。また、本発明において有用な組成物は、他に示していない限りにおいて、ここに記載するインヘレント粘度範囲の少なくとも1つ、ここに記載するT範囲の少なくとも1つ、及びここに記載する組成物に関するモノマー範囲の少なくとも1つを有することができるとも意図される。
【0171】
[0195]本発明の幾つかの態様においては、ポリエステルは、31~42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び58~70モル%のエチレングリコールを含むグリコール成分を含んで、0.51~0.65dL/gのインヘレント粘度、100~110℃のT、7.5未満、又は5.0未満のb値、及び90以上又は90より高いL値を有することができ;或いは、33~41モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び59~67モル%のエチレングリコールを含むグリコール成分を含んで、0.51~0.65dL/gのインヘレント粘度、100~110℃のT、7.2未満、又は5.0未満のb値、及び90以上又は90より高いL値を有することができ;或いは、35~41モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及び59~65モル%のエチレングリコールを含むグリコール成分を含んで、0.51~0.65dL/gのインヘレント粘度、102~110℃のT、7.2未満、又は5.0未満のb値、及び90以上又は90より高いL値を有することができる。
【0172】
[0196]ポリエステルのガラス転移温度(T)は、Thermal Analyst InstrumentからのTA-DSC-2920を用いて、20℃/分の走査速度で求める。
[0197]本発明において有用な幾つかのポリエステルによって示される170℃における長い(例えば5分より長い)結晶化ハーフタイムのために、射出成形部品、射出ブロー成形物品、射出延伸ブロー成形物品、押出フィルム、押出シート、カレンダー加工フィルム、収縮フィルム、感圧ラベル、延伸又は延伸可能なフィルム又はシート、一軸又は二軸配向フィルム、マルチウォールフィルム又はシート、押出ブロー成形物品、押出延伸ブロー成形物品、及び繊維など(しかしながらこれらに限定されない)の物品を製造することができる可能性がある。熱成形可能なシートは、本発明によって提供される製造物品の一例である。本発明のポリエステルはアモルファス又は半結晶質であることができる。一形態においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、比較的低い結晶化度を有することができる。而して、本発明において有用な幾つかのポリエステルは実質的にアモルファスの形態を有することができ、これはポリエステルがポリマーの実質的に無秩序の領域を含むことを意味する。
【0173】
[0198]幾つかの態様においては、本発明において有用なポリエステルに関するb値は-12乃至12未満であることができ、L値は、80より高く、又は85より高く、又は90より高く、又は91より高く、又は92より高く、又は93より高く、又は94より高く、或いは95より高い値であることができる。他の態様においては、本発明において有用なポリエステルに関するb値は、次の範囲:-10~10;-10乃至10未満;-10~9;-10~8;-10~7;-10~6;-10~5;-10~4;-10~3;-10~2;-5~9;-5~8;-5~7;-5~6;-5~5;-5~4;-5~3;-5~2;0~9;0~8;0~7;0~6;0~5;0~4;0~3;0~2;1~10;1~9;1~8;1~7;1~6;1~5;1~4;1~3;及び1~2;の1つで存在することができる。他の態様においては、本発明において有用なポリエステルに関するL値は、次の範囲:80~98;85~98;90~98;90より高く98まで;91~98;92~98;93~98;94~98;95~98;91~97;92~97;93~97;94~97;95~97;91~96;92~96;93~96;又は94~96の1つで存在することができる。
【0174】
[0199]ASTM-D256に記載されているノッチ付きアイゾッド衝撃強さは、強靱さを測定する通常の方法である。ノッチ付きアイゾッド衝撃強さは、ここでは、ASTM-D256にしたがい、太さ3.2mm(1/8インチ)の棒材中に10ミルのノッチを用いて23℃において測定される。一態様においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、ASTM-D256にしたがい、太さ3.2mm(1/8インチ)の棒材中に10ミルのノッチを用いて23℃において求めて少なくとも30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さを示すことができる。一態様においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、ASTM-D256にしたがい、太さ3.2mm(1/8インチ)の棒材中に10ミルのノッチを用いて23℃において求めて約30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)~約80J/m(1.50フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さを示すことができる。
【0175】
[0200]一態様においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、次の密度:23℃において1.2g/mLより高い密度の少なくとも1つを示すことができる。
[0201]一態様においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、ASTM-D790によって規定して2000MPa(290,000psi)以上の23℃における曲げ弾性率を示すことができる。他の態様においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、ASTM-D790によって規定して約2000MPa(約290,000psi)~約2750MPa(約400,000psi)の23℃における曲げ弾性率を示すことができる。他の態様においては、本発明において有用な幾つかのポリエステルは、ASTM-D790によって規定して約2200MPa(319,000psi)~約2600MPa(377,100psi)の23℃における曲げ弾性率を示すことができる。
【0176】
[0202]本発明において有用な幾つかのポリエステルは、次の特性:TA2100熱分析装置によって20℃/分の走査速度において測定して約100~約110℃のT;ASTM-D790によって規定して2000MPa(約290,000psi)以上、又は2200MPa(319,000psi)より高い23℃における曲げ弾性率;及び、ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)以上のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ;の少なくとも1つを有することができる。
【0177】
[0203]本発明において有用な他のポリエステルは、次の特性:TA2100熱分析装置によって20℃/分の走査速度において測定して約100~約110℃のT;ASTM-D790によって規定して約2200MPa(約319,000psi)~約2600MPa(377,100psi)の23℃における曲げ弾性率;及び、ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において約30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)~約80J/m(1.50フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ;の少なくとも1つを有することができる。
【0178】
[0204]一態様においては、本発明において有用な1つ又は複数のポリエステルの溶融粘度は、ロータリーメルトレオメーター上で290℃において1ラジアン/秒で測定して30,000ポアズ未満であることができる。他の態様においては、本発明において有用な1つ又は複数のポリエステルの溶融粘度は、ロータリーメルトレオメーター上で290℃において1ラジアン/秒で測定して20,000ポアズ未満であることができる。
【0179】
[0205]一態様においては、本発明において有用な1つ又は複数のポリエステルの溶融粘度は、ロータリーメルトレオメーター上で290℃において1ラジアン/秒(rad/秒)で測定して15,000ポアズ未満であることができる。一態様においては、本発明において有用な1つ又は複数のポリエステルの溶融粘度は、ロータリーメルトレオメーター上で290℃において1ラジアン/秒(rad/秒)で測定して12,000ポアズ未満であることができる。一態様においては、本発明において有用な1つ又は複数のポリエステルの溶融粘度は、ロータリーメルトレオメーター上で290℃において1ラジアン/秒(rad/秒)で測定して10,000ポアズ未満であることができる。
【0180】
[0206]幾つかの態様においては、本発明において有用なポリエステル組成物を用いることによって、溶融加工及び/又は熱成形の前の乾燥工程が最小になるか、及び/又は排除される。
【0181】
[0207]幾つかの態様においては、本発明のポリエステル組成物及び/又はポリマーブレンドは、次の用途:グラフィックアートフィルム、マルチウォールフィルム又はシート、押出物品、電気機器部品、及びガラス積層体;の1以上において用いることができる。
【0182】
[0208]グラフィックアートフィルムは、例えばインモールド装飾物品、エンボス加工物品、ハードコート物品のような種々の用途において用いることができる。グラフィックアートフィルムは平滑であってよく、又はテクスチャー加工することができる。
【0183】
[0209]マルチウォールフィルム又はシートとは、縦方向のリブによって互いと接続されている複数の層から構成される形状のものとして押出されたシートを指す。マルチウォールフィルム又はシートの例としては、屋外用シェルター(例えば、温室、商業用天蓋)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
[0210]本発明において有用なポリエステル組成物を含む押出物品の例としては、異形押出配管又は導管、押出ブロー成形ボトル、熱成形シート、グラフィックアート用途用のフィルム、屋外表示、天窓、マルチウォールフィルム、プラスチック・ガラス積層体用のプラスチックフィルム、並びに液晶ディスプレイ(LCD)フィルム、例えばLCD用のディフューザーシート、光学補償フィルム、及び保護フィルム(しかしながらこれらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
[0211]一態様においては、本発明は、ここに記載する任意の組成物を含む、装飾材料がその中に埋封されている、通常はシート材料の形態の熱可塑性物品を含む。
[0212]本明細書において用いる「屋外表示」とは、ここに記載するポリエステルから形成されるか、又はここに記載するポリエステル又はポリエステルフィルムで被覆した記号(例えば、数字、文字、文言、画像等)、パターン、又はデザインを含む表面を指す。一態様においては、屋外表示は、印刷された記号、パターン、又はデザインを含むポリエステルを含む。一態様においては、表示は、雨、雪、氷、みぞれ、高湿度、熱、風、日光、又はこれらの組合せのような通常の気象条件に、十分な時間、例えば1日間乃至数年間又はそれ以上の範囲耐えることができる。
【0186】
[0213]本明細書において用いる「電気機器部品」とは、電気機器と共に用いられる硬質の部品を指す。一態様においては、電気機器部品は、電気機器から部分的又は完全に分離することができる。他の態様においては、電気機器部品は、ポリマーから通常的に製造されるものである。一態様においては、電気機器部品は視覚的に明澄である。
【0187】
[0214]代表的な電気機器部品としては、フードプロセッサー、ミキサー、ブレンダー、及びチョッパーと共に用いるカップ及びボウル;冷蔵庫及び冷凍庫温度(例えば0℃より高い温度(例えば2℃)乃至5℃の範囲の冷蔵庫温度、又は例えば0℃未満の温度、例えば-20~0℃の範囲の温度、例えば-18℃の冷凍庫温度)に耐えることができる部品、例えば冷蔵庫及び冷凍庫用のトレー、蓋付き容器、及び棚;90℃までの温度において十分な加水分解安定性を有する部品、例えば食器洗浄機のドア、スチームクリーナーのキャニスター、やかん、及びコーヒーポット;並びに真空掃除機のキャニスター及びダストカップ;のような、強靱性及び耐久性を必要とするものが挙げられる。
【0188】
[0215]一態様においては、これらの電気機器部品は、強靱性、明澄性、耐化学性、T、加水分解安定性、及び食器洗浄機耐久性から選択される少なくとも1つの特性を有する。この電気機器部品はまた、一態様においては強靱性、明澄性、耐化学性、T、及び加水分解安定性から選択される少なくとも1つの特性を有していてよいスチームクリーナーのキャニスターから選択することもできる。
【0189】
[0216]一態様においては、電気機器部品において有用なポリエステルは、105~140℃のTを有する。
[0217]本発明の目的のためには、「wt」は「重量」を意味する。
【0190】
[0218]以下の実施例は本発明のポリエステルをどのように製造及び評価することができるかを更に示すものであり、単に本発明の例示であると意図され、その範囲を限定することは意図しない。他に示していない限りにおいて、部は重量部であり、温度は℃であるか又は室温であり、圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【実施例
【0191】
[0219]以下の実施例は、概して、本発明のコポリエステルをどのようにして製造するか、及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール及びエチレングリコール、並びに特定の触媒及び安定剤を用いることの、色及びIVのような種々のコポリエステル特性に対する効果を示す。なお、以下の実施例4は実施例に相当し、それ以外の以下の実施例は参考例に相当する。
【0192】
測定方法:
[0220]ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.5g/100mLの濃度において25℃で求め、dL/gで報告する。
【0193】
[0221]組成物のグリコール含量及びシス/トランス比は、プロトン核磁気共鳴(NMR)分光法によって求めた。全てのNMRスペクトルは、ポリマーに関してはクロロホルム-トリフルオロ酢酸(70-30体積/体積)、或いはオリゴマー試料に関しては、ロックのために重水素化クロロホルムを加えた60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタンのいずれかを用いて、JEOL Eclipse Plus 600MHz核磁気共鳴分光計で記録した。2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール共鳴に関するピーク帰属は、モデルの2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールのモノ及びジベンゾエートエステルと比較することによって行った。これらのモデル化合物は、ポリマー及びオリゴマーにおいて見られる共鳴位置に非常に近接している。
【0194】
[0222]ここに報告する色彩値は、以下のパラメーター:(1)D65光源、(2)10°の観測角(10 degree observer)、(3)正反射角を含めた反射モード、(4)大面積視野(large area view)、(5)1”のポートサイズ;を用いたHunter Lab Ultrascan XE分光光度計(Hunter Associates Laboratory Inc., Reston, Va.)からの測定値を用い、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがって測定されるCIELABのL*、a*、及びb*値である。他に示していない限りにおいては、測定は1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について行った。
【0195】
[0223]下記の実施例におけるスズ(Sn)、チタン(Ti)、及びマンガン(Mn)の量は、金属の100万分の1部(ppm)で報告し、PANanalytical Axios Advanced波長分散型X線蛍光分光計を用いてX線蛍光(xrf)によって測定したものである。リンの量は、同様に元素状リンのppmとして報告し、これも同じ装置を用いてxrfによって測定した。以下の実施例において「P測定値」の欄に報告する値は、上記に記載のようにしてリンを測定することによって得られたものである。
【0196】
[0224]他に述べていない限りにおいて、以下の実施例において用いる2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールのシス/トランス比は、約50/50であり、45/55~55/45の範囲である可能性があった。
【0197】
[0225]ジメチルテレフタレート(DMT)はCape Industriesから購入し、エチレングリコール(EG)、及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)はEastman Chemical Companyから購入した。スズ化合物は、Aldrichから購入したブチルスズトリス(2-エチルヘキサノエート)であった。チタン化合物は、Aldrichから購入したチタン(IV)イソプロポキシドであった。リン化合物は、Stepan Co.からのMerpol Aであった。下記において他に示していない限りにおいて、リンの源物質は、ポリエステル試薬の残りと共に最初に加えた。Ti触媒の添加を容易にするために、チタンイソプロポキシド及びEGを用いて溶液を調製した。Ti触媒溶液の濃度は、0.92重量原子Ti/体積%(wt atomic Ti/Vol%)であった。Sn触媒の添加を容易にするために、ブチルスズトリス(2-エチルヘキサノエート)及びn-ブタノールを用いて溶液を調製した。Sn触媒溶液の濃度は、1.57原子Sn/体積%(atomic Sn/vol%)であった。リン安定剤の添加を容易にするために、Merpol A及びEGを用いて溶液を調製した。P安定剤溶液の濃度は、0.22原子P/体積%(atomic P/vol%)であった。
【0198】
実施例1a(Sn及びTi):
[0226]77.68g(0.4モル)のDMT、42.51g(0.68モル)のEG、及び16.61g(0.12モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.22mLのTi触媒溶液(25ppmのTiを目標)、0.08mLのSn触媒溶液(15ppmのSnを目標)、及び1.51mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。実施例1aに関しては、これは16.9/(0.12/0.40)であり、58.6%が与えられる。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0199】
実施例1b(Tiのみ):
[0227]77.68g(0.4モル)のDMT、42.51g(0.68モル)のEG、及び16.61g(0.12モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.29mLのTi触媒溶液(32ppmのTiを目標)、及び1.51mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。32ppmのTiの選択は、実験1aにおいて用いた全触媒と同等のモル濃度を与えるためであった。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0200】
実施例1c(Snのみ):
[0228]77.68g(0.4モル)のDMT、42.51g(0.68モル)のEG、及び16.61g(0.12モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.41mLのSn触媒溶液(77ppmのSnを目標)、及び1.51mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。77ppmのSnの選択は、実験1aにおいて用いた全触媒と同等のモル濃度を与えるためであった。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0201】
実施例2a(Sn及びTi):
[0229]77.68g(0.4モル)のDMT、38.53g(0.62モル)のEG、及び25.84g(0.18モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.23mLのTi触媒溶液(25ppmのTiを目標)、0.08mLのSn触媒溶液(15ppmのSnを目標)、及び1.56mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。実施例2aに関しては、これは27.2/(0.18/0.40)であり、60.6%が与えられる。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0202】
実施例2b(Tiのみ):
[0230]77.68g(0.4モル)のDMT、38.53g(0.62モル)のEG、及び25.84g(0.18モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.30mLのTi触媒溶液(32ppmのTiを目標)、及び1.56mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。32ppmのTiの選択は、実験2aにおいて用いた全触媒と同等のモル濃度を与えるためであった。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0203】
実施例2c(Snのみ):
[0231]77.68g(0.4モル)のDMT、38.83g(0.62モル)のEG、及び25.84g(0.18モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.42mLのSn触媒溶液(77ppmのSnを目標)、及び1.56mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。77ppmのSnの選択は、実験2aにおいて用いた全触媒と同等のモル濃度を与えるためであった。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0204】
実施例3a(Sn及びTi):
[0232]77.68g(0.4モル)のDMT、34.56g(0.56モル)のEG、及び35.07g(0.24モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.24mLのTi触媒溶液(25ppmのTiを目標)、0.09mLのSn触媒溶液(15ppmのSnを目標)、及び1.62mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。実施例3aに関しては、これは36.8/(0.24/0.40)であり、60.6%が与えられる。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0205】
実施例3b(Tiのみ):
[0233]77.68g(0.4モル)のDMT、34.56g(0.58モル)のEG、及び35.07g(0.24モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.31mLのTi触媒溶液(32ppmのTiを目標)、及び1.62mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。32ppmのTiの選択は、実験3aにおいて用いた全触媒と同等のモル濃度を与えるためであった。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0206】
実施例3c(Snのみ):
[0234]77.68g(0.4モル)のDMT、34.56g(0.56モル)のEG、及び35.07g(0.24モル)のTMCDの混合物を、窒素のための導入口、金属製スターラー、及び短行程蒸留カラムを取り付けた500mLフラスコ内に配置した。更に、0.44mLのSn触媒溶液(77ppmのSnを目標)、及び1.62mLのP安定剤溶液(40ppmのPを目標)をフラスコに加えた。77ppmのSnの選択は、実験3aにおいて用いた全触媒と同等のモル濃度を与えるためであった。フラスコを、既に200℃に加熱したWood金属浴中に配置した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱し、次に温度を240分かけて275℃に徐々に上昇させた。次に、スターラーを100rpmに減速し、真空を0.3torrまで徐々に加えながら、反応混合物を275℃において20分間保持した。275℃の温度、0.3torrの真空、及び100rpmの撹拌を100分の合計時間維持して、過剰の未反応ジオールを除去した。100分後、運転を完了し、ポリマーを冷却して反応フラスコから取り出した。ポリマーを1mmに粉砕した。実際の触媒量を求め、表1に示す。ポリマー中のTMCDのモル%、及び粉砕したポリマーのbを表2に示す。表2において報告するTMCD取込率(%)は、ポリマー中のTMCDのモル%をとって、これを(充填したTMCD/充填したDMTのモル数)で割ることによって求めた。得られたポリマーのIVも表2に報告する。
【0207】
【表1】
【0208】
【表2】
【0209】
[0235]実施例及び表を検討すると、実施例1は少量のTMCD(約15モル%のTMCD)を含む材料を製造する試みを示し、実施例2は中程度の量のTMCD(約26モル%のTMCD)を含む材料を製造する試みを示し、実施例3はより多い量のTMCD(約37モル%のTMCD)を含む材料を製造する試みを示していることが分かる。
【0210】
[0236]組成範囲にわたって、高い(好ましくは50%より高い)TMCD取込率、可能な限り低い(少なくとも10未満の)b値、及び妥当な時間でIVを達成する能力を有するポリエステルを製造することができる触媒系を与えることが望ましい。表1及び2を検討すると、PとTiのみは、25モル%(実施例2b)及び26.5モル%(実施例3b)のTMCDレベルを有する材料を製造するのに有用であることが分かる。PとSnのみは、10を超えるb値のために、有用な材料を製造するために用いることができない(実施例1c、2c、3c)。全ての場合において、TiとPの触媒は最も低いb値を達成した。
【0211】
実施例4(Ti/Mn/P):
[0237]本実施例は、100モル%のジメチルテレフタレート残基、63モル%のエチレングリコール残基、及び37モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基の目標組成を有するコポリエステルの製造を示す。
【0212】
[0238]0.40モルのジメチルテレフタレート、0.50モルのエチレングリコール、0.24モルの2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、0.76グラムのマンガン(II)ジアセテート、及び2.46グラムのチタン(IV)テトライソプロポキシドの混合物を、窒素導入口、金属製スターラー、ゴム製ストッパー、及び真空システムに接続した短行程蒸留カラムを取り付けた500mL丸底フラスコに充填した。次に、フラスコを200℃に前もって加熱したBelmont浴中に浸漬した。撹拌速度を、実験の開始時において200RPMに設定した。全ての試薬が溶融した後、反応温度を3時間かけて275℃にゆっくりと上昇させた。275℃の温度が達成されたら、1.04グラムのMerpol Aを反応混合物に加え、撹拌速度を100RPMに減少させながら、真空を20分かけて0.3torrまで徐々に加えた。この目標真空度を160分間維持し、その間に0.648dL/gのインヘレント粘度を有する粘稠質で明澄で僅かに黄色のポリマーが与えられた。H-NMR分析によって、このコポリエステルは、37.77モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、0.47モル%のジエチレングリコール、及び61.76モル%のエチレングリコールから構成されていたことが分かった。
【0213】
[0239]反応条件を変化させて上記の実施例を繰り返した。結果を下表3に示し、これには、EG充填量(モル)、TMCD充填量(モル)、重縮合温度(℃)、重縮合反応時間(分)、インヘレント粘度(dL/g)、ジメチルテレフタレート(DMT)ポリマー含量(モル%)、エチレングリコール(EG)ポリマー含量(モル%)、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)ポリマー含量(モル%)、ジエチレングリコール(DEG)含量(モル%)、Mn濃度(ppm)、Ti濃度(ppm)、P濃度(ppm)、L、a、及びb値が示されている。
【0214】
【表3】
【0215】
実施例5(より大きなバッチのポリマープロセス):
[0240]下記に記載のようにして、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)及びEGをベースとするコポリエステルを調製した。本実施例は、100ポンドのバッチ反応器を用いて、(Ti及びPのプロセスに関しては)上記の実施例2bと同様に、そして(Ti、Mg、及びPのプロセスに関しては)上記の実施例4と同様に調製し、DMT、EG、TMCD、触媒、及びPを反応器に加え、15rpmで撹拌しながら温度を6時間かけて275℃に上昇させた。ポリマーの温度が275℃に達した時点でフルバキュームを加えた。圧力が<2mmHgに達した時点で、ポリマーを反応器から排出してペレット化して生成物にした。
【0216】
[0241]Ti及びPのプロセスを用いて幾つかのバッチを調製し、ジオール含量を基準として20.56~26.3モル%の範囲の量のTMCD、0.579~0.74dL/gの範囲のIV、約50~約60ppmの範囲のTi、及び約70~約80ppmの範囲のPを有するポリマーを与えた。
【0217】
[0242]実施例5aは、ジオール含量を基準として23.99~26.03モル%の範囲の量のTMCD、及び0.579~0.597dL/gの範囲のIVを有するポリマーの異なる(Ti及びPの)バッチをブレンドして、25.3モル%のTMCDの平均TMCD含量、95.6℃のT、及び0.59dL/gのIV、約50ppmの残留Ti、及び約70ppmの残留Pを有するポリマーブレンドを与えることによって調製した。
【0218】
[0243]実施例5bは、ジオール含量を基準として20.56~26.3モル%の範囲の量のTMCD、及び0.594~0.74dL/gの範囲のIVを有するポリマーの異なる(Ti及びPの)バッチをブレンドして、23.4モル%のTMCDの平均TMCD含量、93.1℃のT、及び0.66dL/gのIV、約50ppmの残留Ti、及び約70ppmの残留Pを有するポリマーブレンドを与えることによって調製した。
【0219】
[0244]Ti及びPのプロセスを用いて幾つかのバッチを調製し、ジオール含量を基準として32.66~37.72モル%の範囲の量のTMCD、0.563~0.651dL/gの範囲のIV、約50~約60ppmの範囲のTi、及び約70~約80ppmの範囲のPを有するポリマーを与えた。
【0220】
[0245]実施例5cは、ポリマーの異なる(Ti、Mg、及びPの)バッチをブレンドして、36.4モル%のTMCDの平均TMCD含量、106.5℃のT、及び0.59dL/gのIV、約50ppmの残留Ti、及び約70ppmの残留Pを有するポリマーブレンドを与えることによって調製した。
【0221】
実施例6(機械的試験及び食器洗浄機耐久性試験):
[0246]上記の実施例5cにしたがって製造されたポリマーを、アイゾッド衝撃強さ及び食器洗浄機耐久性に関して試験した。
【0222】
[0247]アイゾッド衝撃強さ試験は、ASTM-D4182にしたがって、23℃及び-40℃の両方において行った。結果は、本ポリエステルは両方の温度において良好な衝撃強さ、即ちそれぞれ3022及び3932J/mを示したことを示す。この衝撃性能は、通常は0.75±0.02dL/gのIV、並びにそれぞれ2589及び3666J/mの衝撃強さを有するPETGポリエステルのものよりも良好である。
【0223】
[0248]耐久性は、食器洗浄後の落下試験によって試験した。食器洗浄は、実施例5cのポリエステル、及びCoverstoからのMakrolon 2458ポリカーボネート(PC)の両方を、取っ手を有するビアマグに成形したものを用いて行った。それぞれの材料の8つの反復試験試料を、2つの異なる商業用食器洗浄機内で、0、100、250、500、750、及び1000サイクルのそれぞれの間洗浄した。1番目の食器洗浄機は、Ecolab Solid Power XL洗浄剤及びEcolab Solid Brillianceすすぎ助剤を用いたEcolabシングルチャンバー型ES2000HTシステムであり、一方で第2の食器洗浄機は、同じ洗浄剤を用いたEcolabコンベヤー型EC44システムである。シングルチャンバー型食器洗浄機は、通常は75℃の洗浄温度及び69℃のすすぎ温度を有しており、一方でコンベヤー型食器洗浄機は、80~82℃の洗浄温度及び90~92℃のすすぎ温度を有していた。洗浄が完了した後、それぞれの材料及びサイクル時間に関してビアマグ試料を落下試験した。
【0224】
[0249]落下試験は、最初に、ビアマグを、取っ手を内側に向けて高さ122cmのプラットホーム上に配置することから構成されていた。次にプラットホームを外して、マグをステンレススチール製のプレート上に落下させた。それぞれのマグを5回落下させた。それぞれの材料/サイクルの組において、4つのマグにそれぞれの落下に関して水を頂部から1インチまで充填し、一方、4つのマグは未充填状態のままにした。落下試験結果は表4及び5において見ることができる。結果は、それぞれのカップに関して5回の落下のそれぞれについて、合格(P)又は不合格(F)のいずれかとして与える。Fが記録されたら、更なる落下は終了して、更なる記録は行わなかった。ビアマグ落下試験は、大きな亀裂が形成されるか、或いはマグが1つより多い片に破砕して、マグがもはや液体を保持することができない場合にFとみなす。ビアマグは、小さな凹み、ざらついた領域(rough spots)、又は小さなクニック(knicks)しか認められず、マグが液体を漏れることなく保持する場合にPとみなす。マグが落下前に破損していた場合には、「食器洗浄機内で破損」と示す。
【0225】
【表4】
【0226】
【表5】
【0227】
[0250]表4を検討すると、シングルチャンバー型食器洗浄機において、PCマグは充填した場合に250サイクル後に不合格になり、750サイクル後に食器洗浄機内で破損したのに対して、実施例5cのポリエステルマグは、1000回の食器洗浄機サイクル後に不合格を与えなかったことが分かる。表5を検討すると、コンベヤー型食器洗浄機において、PCマグは500サイクル後に食器洗浄機内で破損し始めたのに対して、実施例5cのポリエステルマグは、1000サイクル後に食器洗浄機内で破損せず、充填した場合に750サイクル後に50%の不合格しか与えず、非充填の場合には1000サイクル後に25%の不合格しか与えなかったことが分かる。
【0228】
実施例7(Ti/Pを用いる連続プロセス):
[0251]連続溶融相プロセスを用い、DMTを、EG及びTMCDを含む合計でモル過剰のジオールと一緒に溶融状態でプロセス中に供給して、ランダムコポリエステルを製造した。チタン触媒及び場合によってはマンガン触媒を、プロセスの開始時に加えた。エステル交換が完了した後に、トナー及びP安定剤のような添加剤を加えた。このプロセスは、エステル交換、次にプレポリマー、そして高分子量への重縮合で終了する工程から構成される3段階合成であった。エステル交換は一連のCSTR反応器内で行い、温度を上昇させ、圧力を減少させてDMTをEG/TMCDと反応させてメタノールを遊離させた。温度を反応器全域で約225℃から約250℃に徐々に上昇させ、同時に圧力を約50psigから約5psigに減少させた。反応生成物を第2段階CSTR反応器内で更に反応させ、これは僅かな真空及び約250℃の温度で開始して、約150mmHgへ降下させたより高い真空及び約270℃へ続けた。全てのCSTR反応器は、100rpm未満で運転する一軸撹拌器を用いて撹拌した。次に、第2段階からの生成物を、高真空、及び約270℃~約280℃で開始する温度の下で、最終的な分子量を構築するために、連続重縮合反応器内で反応させた。溶融状態の棒状部材を水浴中に押出し、カッターに供給して最終ポリエステルのペレットを形成した。フェノール/テトラクロロエタンの60/40溶液100mL中の0.5グラムの溶液で測定したインヘレント粘度(IhV)は、約23~25モル%のTMCD、約75~77モル%のEG、及び2モル%未満のジエチレングリコールの残基を含むグリコール成分を有する最終ポリエステルに関して約0.65dL/gの値を与えた。
【0229】
実施例8(Ti/Mn/Pを用いる連続プロセス):
[0252]連続溶融相プロセスを用い、DMTを、EG及びTMCDを含む合計でモル過剰のジオールと一緒に溶融状態でプロセス中に供給して、ランダムコポリエステルを製造した。チタン触媒及びマンガン触媒を、プロセスの開始時に加えた。エステル交換が完了した後に、トナー及びP安定剤のような添加剤を加えた。このプロセスは、エステル交換、次にプレポリマー、そして高分子量への重縮合で終了する工程から構成される3段階合成であった。エステル交換は一連のCSTR反応器内で行い、温度を上昇させ、圧力を減少させてDMTをEG/TMCDと反応させてメタノールを遊離させた。温度を反応器全域で約225℃から約250℃に徐々に上昇させ、同時に圧力を約50psigから約5psigに減少させた。反応生成物を第2段階CSTR反応器内で更に反応させ、これは僅かな真空及び約250℃の温度で開始して、約150mmHgへ降下させたより高い真空及び約270℃へ続けた。全てのCSTR反応器は、100rpm未満で運転する一軸撹拌器を用いて撹拌した。次に、第2段階からの生成物を、高真空、及び約270℃~約280℃で開始する温度の下で、最終的な分子量を構築するために、連続重縮合反応器内で反応させた。溶融状態の棒状部材を水浴中に押出し、カッターに供給して最終ポリエステルのペレットを形成した。フェノール/テトラクロロエタンの60/40溶液100mL中の0.5グラムの溶液で測定したインヘレント粘度(IhV)は、約33~36モル%のTMCD、約62~66モル%のEG、及び2モル%未満のジエチレングリコールの残基を含むグリコール成分を有する最終ポリエステルに関して約0.59dL/gの値を与えた。
【0230】
実施例9(耐化学性試験-日焼け止め剤):
[0253]消費者によって用いられる飲用容器を表す部品として、二重壁タンブラーの外側シェルを試験のために用いた。試験したそれぞれの材料は、同じ射出成形装置及び金型を用いて成形した。成形部品の壁厚は約2mmであった。試験した材料は次の通り:(1)Tritan TX1000(Eastmanから)、(2)実施例5b、(3)実施例5c、(4)ポリカーボネートPC2658(Covestroから);及び(5)スチレンアクリロニトリルコポリマーSAN Lustran 31(Ineosから);であった。マーカーを用いてタンブラーの外側シェルを4つのセクションに分割し、次にそれぞれのセクションを6つに分割して、合計で24のセクションを生成させた。4人の異なる人が、それぞれ次の日焼け止め剤:Banana Boat SPF 30スポーツスプレー、Banana Boat SPF 50スポーツスプレー、Coppertone Kids SPF 50スプレー、及びBanana Boat SPF 100スポーツローションの1つを塗った。通常の日常的な用法の中で日焼け止め剤を塗るように、日焼け止め剤を彼らの手に塗って完全に擦り込んだ。次に、塗布の0、1、2、3、4、及び5分後に、それぞれの人が、親指又は他の指を用いて、彼らの日焼け止め剤に関して指定されたセクションにおいてカップに触れた。次に、カップを日光下の屋外(27℃)に10、30、又は60分間配置した。次に、それぞれのカップを、商業用食器洗浄機(Ecolabコンベヤー型EC44システム)内で、Ecolab Solid Power XL洗浄剤、及びEcolab Solid Brillianceすすぎ助剤を用いて、80~82℃の洗浄温度及び90~92℃のすすぎ温度で一回洗浄した。洗浄の後、全てのカップを室内条件において24時間空気乾燥し、次に残された日焼け止め剤の跡(marks)に関して目視検査した。跡は、次のスケール:全く視認できない(N)、ごく僅かしか視認できない(JB)、僅かしか視認できない(B)、僅かに視認できる(S)、視認できる(V)、及び非常によく視認できる(VV)で等級分けし、ここで「全く視認できない」は見栄えが最も良く、「非常によく視認できる」は見栄えが最も悪かった。結果を下表6に与える。
【0231】
【表6-1】
【0232】
【表6-2】
【0233】
[0254]表5を検討すると、コポリエステルの(2)実施例5bは、概して試験した日焼け止め剤に関してコポリエステルの(2)実施例5cと比べてより良好な日焼け止め剤抵抗性を有していたことが分かる。
【0234】
実施例10(耐化学性試験-柑橘類):
[0255]消費者によって用いられる飲用容器を表す部品として、二重壁タンブラーの外側シェルを試験のために用いた。試験したそれぞれの材料は、同じ射出成形装置及び金型を用いて成形した。成形部品の壁厚は約2mmであった。試験した材料は次の通り:(1)Tritan TX1000(Eastmanから)、(2)実施例5b、(3)実施例5c;ポリカーボネートPC2658(Covestroから);及びスチレンアクリロニトリルコポリマーSAN Lustran 31(Ineosから);であった。2人の異なる人が、次のレシピを用いてそれぞれのカップ内でモヒートを作った。10枚の新鮮なミントの葉及び1/8のライムをカップ内に配置した。マドラーを用いてライム及びミントの葉を粉砕して、ミント及びライムのエッセンシャルオイル及び果汁を放出させた。大さじ2杯の白砂糖及び2/8のライムを加え、再びマドラーでかき混ぜてライムのエッセンシャルオイル及び果汁を放出させた。次に、カップにアイスキューブを満たし、1.5オンスのラム酒及び1/2カップのクラブソーダを氷の上に注いだ。次に、混合物を撹拌し、それぞれのカップを50℃のオーブン内に30又は60分間配置した。次に、カップをオーブンから取り出し、モヒートを取り出し、カップを商業用食器洗浄機(Ecolabコンベヤー型EC44システム)内で、Ecolab Solid Power XL洗浄剤、及びEcolab Solid Brillianceすすぎ助剤を用いて、80~82℃の洗浄温度及び90~92℃のすすぎ温度で一回洗浄した。洗浄の後、全てのカップを室内条件において24時間空気乾燥し、次に残されたエッセンシャルオイルの跡に関して目視検査した。跡は、通常は材料の点蝕(pitting)として見られ、及び曇って見え、及び/又は見た目に白く見える。跡は、次のスケール:全く視認できない(N)、ごく僅かしか視認できない(JB)、僅かしか視認できない(B)、僅かに視認できる(S)、視認できる(V)、及び非常によく視認できる(VV)で等級分けし、ここで「全く視認できない」は見栄えが最も良く、「非常によく視認できる」は見栄えが最も悪かった。このプロセスをそれぞれのカップに関して7回繰り返し、結果を下表7及び8に与える。
【0235】
【表7】
【0236】
【表8】
【0237】
[0256]表7及び8を検討すると、コポリエステルの(2)実施例5bは、概して、30分間の試験及び60分間の試験の両方に関して、コポリエステルの(3)実施例5cと比べてより良好な柑橘類抵抗性を有していたことが分かる。
【0238】
実施例11(スパイラルフロー試験):
[0257]スパイラルフロー金型を取り付けたToyo 110射出成形機を用いて、材料のフローの比較を行った。スパイラルフロー金型のキャビティー寸法は、幅0.5インチ×厚さ0.125インチ×長さ60.0インチであり、0.25インチの間隔で離隔しているフロー長さを示す印が与えられていた。試験した材料は、次のモノマー残渣を有するコポリエステル:(1)TX1000(Eastmanから)、(2)実施例5b、(3)実施例5c、及び(4)PETG(Eastmanから);であった。材料は、成形前に、デシカント乾燥条件を用いて、カールフィッシャー分析によって確認して200ppm未満の湿分まで乾燥した。
【0239】
[0258]温度の設定値は、実験する材料のそれぞれに関する通常の加工条件を含めるように調節した。設定バレル温度及びノズル温度が平衡に達したら、スクリューを150rpmで回転させながら、スクリューがリカバリーして材料がノズルから自由に流れるのを阻止するために、背圧を500psiに増加させることによって材料をパージした。パージが完了した後、背圧を100psiに減少させ、ノズルがスプルーブッシュと接続されるまでスレッドを前方に移動させた。次に、完全なショットが装填されるまでスクリューを回転させ、機械を自動サイクルにセットした。
【0240】
[0259]スクリュー速度(150rpm)及び背圧(100psi)は、それぞれの実験に関して一定に維持した。1インチ/秒の射出速度を、1000psi及び1250psiの射出圧力と共に一定にした。金型温度は80°Fで一定に維持し、22秒の冷却時間を与えた。実際のサイクル時間は38.4秒で一定に維持した。それぞれのパラメーター変化に伴ってショットクッションを調節して、0.05インチと0.10インチの間に留めた。溶融温度を均一に維持することによって、小さなクッションで再現可能な結果が可能になった。
【0241】
[0260]パラメーターを入力したら、射出機を自動サイクルにセットして、所望のクッションが達成されるまでショットを廃棄した。次に、それぞれの材料及びそれぞれの条件に関して、10のショットを回収してフロー長さを測定し、平均化し、記録した。結果を図1及び2に示す。図1及び2を検討すると、コポリエステルの(2)実施例5bは、与えられた温度においてコポリエステルの(3)実施例5cと比べてより良好なスパイラルフローを有していたことが分かる。而して、一態様においては、本発明によるポリエステル組成物は、本実施例11にしたがって測定して、271℃(520°F)の温度において30.5cm(12インチ)より長いスパイラルフロー長さを有する。
【0242】
実施例12(溶着強度試験):
[0261]Iビーム形状の部品を成形し、これを用いて、次の材料:実施例7、実施例8、TX1000(Eastmanから)、TX2000(Eastmanから)、SAN(Ineosから)、及びPC2658(Covestroから);に関して超音波溶着の溶着強度を試験した。
【0243】
[0262]全ての材料を用いて、Iビームスタイルの部品を射出成形した。部品は、Toyo Plastar Si-110電気射出成形機モデル2000年を用いて製造した。この機械は、110のクランプのトン数、及び3.42オンスのショットサイズを有していた。この機械に汎用スクリューを取り付けた。この機械を用いて、表8に示すそれぞれの材料に関してIビームスタイルの部品を成形した。Iビームは、部品の品質を確保するために、それぞれの材料に関して変化する最適の条件で成形した。用いた条件を下表9及び10に示す。
【0244】
【表9】
【0245】
【表10】
【0246】
[0263]溶着プロセスは、同じ材料の2つの別々の部品をとって、それらを溶着させることを含んでいた。上首尾の溶着を行うためには、幾つかのパラメーターを設定し、チェックし、調節して、部品及び溶着部の一体性を確保しなければならない。エネルギーダイレクターを有する半Iビーム材を表面テクスチャーを有する半Iビーム材に溶着した。全ての材料の溶着部は設定距離に基づいており、これにより一定で再現可能な溶着が可能であった。溶着は、Dukane iQ "Melt Match"(15kHz、4800ワット)溶着機を用いて行った。50%の溶着振幅、75psiのトリガーフォース、及び0.12インチの距離でIビームを溶着した。それぞれの材料に加えたエネルギーの量は、それぞれの材料がその設定距離において許容するものに基づいて変化させた。
【0247】
[0264]溶着強度を試験するプロセスは、MTS Insightの電気機械式の10kNの標準長さの機械を用いた。標準的なプリセットIビーム条件を選択し、ダイヤル入力し、次に固定してそれぞれの部品に関する一貫性を確保した。Iビームを機械の把持部の内側に配置し、次に機械によってIビームを引き離した。機械によって、溶着したビームが離れるまで溶着したビームのそれぞれの側を引っ張ることによって力をゆっくりと加えた。機械によって試験片を引き離して溶着部上に応力を引き起こしながら、機械によって溶着部を破断するのに必要な力の量を記録した。溶着部が破断した後、平均値を与えるために更なるIビームを試験した。次に、平均値を分析して試験した他の材料と比較した。結果を図3及び4に示す。
【0248】
[0265]図3及び4を検討すると、実施例7及び8によるコポリエステルは他の材料よりも高い溶着強度を有しており、実施例7の材料は実施例8の材料よりも高い溶着強度を有していたことが分かる。
【0249】
実施例13(熱安定性試験):
[0266]次の4つの材料:実施例5bのコポリエステル、実施例5cのコポリエステル、TX1000、及びPETG;について熱安定性試験を行った。4インチ×4インチのシングルキャビティーコールドランナープラーク金型を取り付けたToyo 110射出成形機を用いて、熱安定性の実験を行った。4つの温度設定値(480°F、520°F、560°F、及び600°F)、並びに4つのポリマー溶融体滞留時間(2分、3分、5分、及び10分)を、試験する材料のそれぞれに適用した。Toyo 110のバレル容量は、1つの4インチ×4インチのプラーク及びコールドランナーの約3ショットであると求められた。冷却時間を増加させることによってポリマー溶融体滞留時間を調節して、選択された溶融体滞留時間を達成することができるようにした。スクリュー速度(125rpm)及び背圧(100psi)は、それぞれの実験に関して一定に維持した。
【0250】
[0267]設定バレル温度及びノズル温度が平衡に達したら、スクリューを125rpmで回転させながら、スクリューがリカバリーして材料がノズルから自由に流れるのを阻止するために、背圧を500psiに増加させることによって材料をパージした。パージが完了した後、背圧を100psiに減少させ、ノズルがスプルーブッシュと接続されるまでスレッドを前方に移動させた。次に、完全なショットが装填されるまでスクリューを回転させ、機械を自動サイクルにセットした。それぞれの条件において成形された最初の5つのショットは廃棄した。次の5つのショットを保有して、成形の順番で付番した。それぞれの成形条件において5番目のショットを回収した後、スレッドを逆進させ、次のショットを5オンスの紙カップ中に射出し、溶融ポリマー中に熱電対を挿入し、可能な限り迅速に撹拌し、観察された最も高い温度を記録することによって溶融温度を記録した。スレッドを逆進位置のままにして、次にサイクル時間及び温度を調節して、全ての計画された時間及び温度が達成されるまで手順を繰り返した。回収された部品をIV及びGPC分析にかけた。結果を図5~7に示す。
【0251】
[0268]図5~7を検討すると、実施例5cの材料は、実施例5bの材料よりも良好な熱安定性を有していたことが分かる。而して、幾つかの態様においては、本発明によるポリエステル組成物は、293℃(560°F)の温度において2分間保持した後に5%未満のインヘレント粘度の損失を有する。幾つかの態様においては、本発明によるポリエステル組成物は、271℃(520°F)の温度において10分間保持した後に5%未満のインヘレント粘度の損失を有する。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]ポリエステル組成物であって、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の合計モル%は100モル%である少なくとも1種類のポリエステルを含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして
前記ポリエステルに関するL 色彩値は、以下のパラメーター:(1)D65光源、(2)10°の観測角、(3)正反射角を含めた反射モード、(4)大面積視野、(5)1”のポートサイズ;を用いたHunter Lab Ultrascan XE分光光度計からの測定値を用い、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL * * * 表色系によって求めて90以上であり、この測定は1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施したものである、上記ポリエステル組成物。
[2](c)(i)ポリマー重量を基準として10~60ppmの範囲のチタン原子、(ii)ポリマー重量を基準として10~100ppmの範囲のマンガン原子、及び(iii)ポリマー重量を基準として10~200ppmの範囲のリン原子を含む触媒/安定剤成分を更に含む、[1]に記載のポリエステル組成物。
[3]前記触媒/安定剤成分が、ポリマー重量を基準として0~20ppmの範囲のスズ原子を含む、[1]又は[2]に記載のポリエステル組成物。
[4]前記触媒/安定剤成分が意図的に加えられたスズ原子を含まない、[1]又は[2]に記載のポリエステル組成物。
[5]2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールが約32~約38モル%の量で存在する、[1]に記載のポリエステル組成物。
[6]前記2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基が、約55~約65モル%のシス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基及び約35~約45モル%のトランス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基を含む混合物である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[7]前記ポリエステルのインヘレント粘度が0.54~0.65dL/gである、[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[8]前記ポリエステルが102~108℃のT を有する、[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[9]Pと全触媒との重量比が0.15:1~1.0:1である、[1]~[8]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[10]TiとMnとの重量比が0.8:1~1.9:1である、[1]~[9]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[11]前記触媒/安定剤成分が、ポリマー重量を基準として5~100ppmの範囲のリン原子を含む、[1]~[10]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[12]トリアリールホスフェート、アルキルジアリールホスフェート、及び混合アルキルアリールホスフェートの少なくとも1つから選択される少なくとも1種類のリン化合物を含む、[1]~[11]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[13]前記ポリエステルの曲げ弾性率が2000MPa(290,000psi)以上である、[1]~[12]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[14]前記ポリエステルが、実施例11にしたがって測定して271℃(520°F)の温度において30.5cm(12インチ)より長いスパイラルフロー長さを有する、[1]~[13]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[15]前記ポリエステルが、293℃(560°F)の温度で2分間保持した後に5%未満のインヘレント粘度の損失を有する、[1]~[14]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[16]前記ポリエステルが、ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において少なくとも約30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する、[1]~[15]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[17]前記ポリエステルが、TA2100熱分析装置によって20℃/分の走査速度において測定して約100~約110℃のT ;ASTM-D790によって規定して約2200MPa(319,000psi)~約2600MPa(377,100psi)の23℃における曲げ弾性率;ASTM-D256にしたがい、太さ1/8インチの棒材を用い、10ミルのノッチを用いて23℃において約30J/m(0.56フィート・ポンド/インチ)~約80J/m(1.50フィート・ポンド/インチ)のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ;及び実施例11にしたがって測定して、271℃(520°F)の温度において30.5cm(12インチ)より長いスパイラルフロー長さ;から選択される特性の2以上を有する、[1]に記載のポリエステル組成物。
[18]本発明において有用な前記ポリエステルに関するb 色彩値が、L 表色系によって求めて-12乃至10未満である、[1]~[17]のいずれかに記載のポリエステル組成物。
[19]成形物品であって、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基;
(ii)約0~約10モル%の、20個以下の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基;
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)(i)約30~約42モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基;及び
(ii)約58~約70モル%のエチレングリコール残基;
を含むグリコール成分;
を含み;
前記ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の合計モル%は100モル%である少なくとも1種類のポリエステルを含み;
前記ポリエステルのインヘレント粘度は、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mLの濃度で25℃において求めて0.50~0.70dL/gであり;そして
前記ポリエステルに関するL 色彩値は、以下のパラメーター:(1)D65光源、(2)10°の観測角、(3)正反射角を含めた反射モード、(4)大面積視野、(5)1”のポートサイズ;を用いたHunter Lab Ultrascan XE分光光度計からの測定値を用い、ASTM-D6290-98及びASTM-E308-99にしたがってL * * * 表色系によって求めて90以上であり、この測定は1mmの篩を通過するように粉砕したポリマー顆粒について実施したものである、上記成形物品。
[20]前記物品が熱成形フィルム又はシートである、[19]に記載の成形物品。
[21]前記ポリエステル組成物が、着色剤、離型剤、[1]に記載したもの以外のリン化合物、可塑剤、成核剤、UV安定剤、ガラス繊維、炭素繊維、フィラー、耐衝撃性改良剤、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種類の添加剤を含む、[19]に記載の成形物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7