(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】疾患の治療のための二重ロイシンジッパー(DLK)キナーゼのビシクロ[1.1.1]ペンタン阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 401/04 20060101AFI20220824BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220824BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220824BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220824BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220824BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220824BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220824BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220824BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220824BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220824BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20220824BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220824BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220824BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20220824BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20220824BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20220824BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20220824BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20220824BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20220824BHJP
A61K 31/541 20060101ALI20220824BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P9/10
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/04
A61P25/02 101
A61K31/5377
A61K31/4439
A61K31/553
A61K31/4545
C07D413/14
C07D401/14
A61K31/496
C07D471/04 104Z
A61K31/541
C07D405/14
(21)【出願番号】P 2019530500
(86)(22)【出願日】2017-12-08
(86)【国際出願番号】 US2017065385
(87)【国際公開番号】W WO2018107072
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-07
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000729
【氏名又は名称】ボード オブ レジェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 W. 7th Street,Austin,TX 78701,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ. ソス
(72)【発明者】
【氏名】ギャング リュー
(72)【発明者】
【氏名】カン リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン クロス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ジョーンズ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0257690(US,A1)
【文献】国際公開第2018/044808(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/134710(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/091889(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/161160(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/04
A61K 45/00
A61P 43/00
A61P 35/00
A61P 9/10
A61P 25/00
A61P 25/28
A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 25/04
A61P 25/02
A61K 31/5377
A61K 31/4439
A61K 31/553
A61K 31/4545
C07D 413/14
C07D 401/14
A61K 31/496
C07D 471/04
A61K 31/541
C07D 405/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)で表される化合物またはその塩。
【化1】
式中、
X
1は、CおよびNから選択され、
X
2は、CおよびNから選択され、
厳密にX
1およびX
2の1つは、Nであり、
X
3は、Nであり、
X
4およびX
5は、Cであり、
X
1、X
2、X
3、X
4、およびX
5は、5員ヘテロアリールを形成し、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
2は、Hであるか、またはアルキル、アミノ、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびスルホニルアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
6基で任意に置換され、
R
3は、H、アルキル、(アルコキシ)アルキル、(アリールアルコキシ)アルキル、(ヘテロアリールアルコキシ)アルキル、シアノ、シクロアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから選択され、
R
4は、N(R
4a)
2(ただし、各R
4aは、水素、C
1~4アルキル、およびC
1~4ハロアルキルから独立して選択される)であり、
またはR
3およびR
4は、それらが結合されている原子と一緒になって、1~3個のR
7基で任意に置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環もしくはヘテロアルキル環を形成し、
各R
5およびR
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、C
1~4アルキルチオ、C
1~4ハロアルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択され、かつ
各R
7は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される
各R
7は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
2個の原子間の破線は、その位置に追加の結合が存在してもよいし、存在しなくてもよいことを表す。
【請求項2】
R
1がメチルであり、かつ1または2個のR
5基で任意に置換される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1がヒドロキシメチルであり、かつ、1個のR
5基で任意に置換される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R
5が、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、およびC
3~7ヘテロシクロアルキルから選択される請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R
5が、メチル、エチル、トリフルオロメチル、2-プロピル、およびシクロプロピルから選択される請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
3がCF
3およびOCF
3から選択され、かつR
4がNH
2である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R
2がHであるか、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかが1または2個のR
6基で任意に置換される請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
6が、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、ヒドロキシ、およびオキソから選択される請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が、モルホリン-1-イル、ピペリジン-1-イル、およびピペラジン-1-イルから選択され、そのいずれかが1または2個のR
6基で任意に置換される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R
2がHである請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が構造式IIで表される化合物又はその塩である請求項1に記載の化合物。
【化2】
式中、
R
1が、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
3が、H、アルキル、シアノ、シクロアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから選択され、
R
8aおよびR
8bが、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4ハロアルキル、および(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4ハロアルキル(halolkyl)から独立して選択され、
またはR
8aおよびR
8bが、介在原子との組合せで、1~3個のR
6基で任意に置換された4~7員ヘテロシクロアルキル環を形成し、かつ
各R
5およびR
6が、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、C
1~4アルキルチオ、C
1~4ハロアルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
【請求項12】
R
8aおよびR
8bが、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4アルキル、および(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4アルキルから独立して選択され、
R
1が、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、およびイソプロピルから選択され、かつ
R
3が、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R
8aおよびR
8bが、介在原子との組合せで、1~3個のR
6基で任意に置換された4~7員ヘテロシクロアルキル環を形成する請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
R
8aおよびR
8bが、介在原子との組合せで、モルホリン環、ピペリジン環、またはピペラジン環を形成し、そのいずれかが1~3個のR
6基で任意に置換される請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R
1が、シクロプロピル、シクロプロピルメチルおよびイソプロピルから選択される請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
R
3が、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルから選択される請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物が構造式(VI)で表される化合物又はその塩である請求項1に記載の化合物。
【化3】
式中、
R
2が、Hであるか、またはアルキル、アミノ、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびスルホニルアルキルから選択され、そのいずれかが1~2個のR
6基で任意に置換され、
R
3が、ハロアルコキシおよびハロアルキルから選択され、かつ
R
5が、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、およびC
3~7シクロアルキルから選択され、
各R
6が、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
【請求項18】
R
3が、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルから選択される請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
R
5がC
1~4アルキルおよびC
1~4ハロアルキルから選択される請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
R
5がメチルおよびトリフルオロメチルから選択される請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
R
2が、
【化4】
から選択され、かつ
R
6aが、H、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、および(エチニル)C
1~4アルキルから選択される請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
R
2がHである請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、以下で表される化合物又はその塩である請求項1に記載の化合物。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載の化合物と、医薬として許容されるキャリアを含む医薬組成物。
【請求項25】
以下の疾患の治療のための請求項24に記載の医薬組成物。
化学療法誘発性認知障害(CICD)、
化学療法誘発性認知障害(CICI)、
化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)、
糖尿病性神経障害、
アルツハイマー病、
筋萎縮性側索硬化症、
前頭側頭型認知症、
ハンチントン病、
ケネディ病、
レビー小体病、
パーキンソン病、
進行性核上性麻痺、
脊髄小脳失調症、
外傷性脳損傷(TBI)および
中枢神経系または末梢神経系の神経細胞への外傷。
【請求項26】
化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の治療のための請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
化学療法誘発性認知障害(CICI)の治療のための請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
化学療法誘発性認知障害(CICD)の治療のための請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
パーキンソン病の治療のための請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
化合物が、以下の化学式で表される請求項24~29のいずれかに記載の医薬組成物。
【化12】
.
【請求項31】
化合物が、以下の化学式で表される請求項24~29のいずれかに記載の医薬組成物。
【化13】
【請求項32】
化合物が、以下の化学式で表される請求項24~29のいずれかに記載の医薬組成物。
【化14】
【請求項33】
化合物が、以下の化学式で表される請求項24~29のいずれかに記載の医薬組成物。
【化15】
【請求項34】
化合物が、以下の化学式で表される請求項24~29のいずれかに記載の医薬組成物。
【化16】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年12月8日出願の米国仮特許出願第62/431,504号(その開示はあたかもその全体が本明細書に記載されるがごとく本出願をもって参照により組み込まれる)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
本明細書には、新しい置換ビシクロ[1.1.1]ペンタン化合物および組成物ならびにそれらの疾患治療用医薬としての用途が開示される。中枢神経系ニューロンおよび末梢神経系ニューロンへの外傷性傷害から生じる神経疾患、神経変性病態、神経損傷から生じるニューロパチーなどの疾患の治療、ならびに薬理学的介入により引き起こされる疼痛および認知障害の治療のために、ヒト被験体または動物被験体における二重ロイシンジッパーのキナーゼ活性の阻害方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
二重ロイシンジッパーキナーゼ(DLK)は、c-Jun N末端キナーゼ(JNK)のストレス誘発ニューロン活性化に必要な混合系統キナーゼ(MLK)ファミリーのメンバーである。一方、JNKは、アポトーシスや細胞増殖をはじめとする細胞レギュレーションに重要な経路に関与する。JNKは、ニューロンの自然発生細胞死および病理的死の両方に関与するとされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化合物を投与することにより患者においてDLK媒介疾患を治療する方法を含めて化合物を合成および使用する方法と共に、新規な化合物および医薬組成物(それらのいくつかは、DLKのキナーゼ活性を阻害することが見いだされた)を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある特定の実施形態では、化合物は、構造式I:
【化1】
またはその塩を有し、式中、
X
1は、CおよびNから選択され、
X
2は、CおよびNから選択され、
厳密にX
1およびX
2の1つは、Nであり、
X
3は、Nであり、
X
4およびX
5は、Cであり、
X
1、X
2、X
3、X
4、およびX
5は、5員ヘテロアリールを形成し、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
2は、Hであるか、またはアルキル、アミノ、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびスルホニルアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
6基で任意に置換され、
R
3は、H、アルキル、(アルコキシ)アルキル、(アリールアルコキシ)アルキル、(ヘテロアリールアルコキシ)アルキル、シアノ、シクロアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから選択され、
R
4は、N(R
4a)
2(ただし、各R
4aは、水素、C
1~4アルキル、およびC
1~4ハロアルキルから独立して選択される)であり、
またはR
3およびR
4は、それらが結合されている原子と一緒になって、1~3個のR
7基で任意に置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環もしくはヘテロアルキル環を形成し、
各R
5およびR
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、C
1~4アルキルチオ、C
1~4ハロアルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択され、かつ
各R
7は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
【0006】
本明細書に開示されるある特定の化合物は、有用なDLK阻害活性を有し、DLKが積極的役割を果たす疾患の治療または予防に使用しうる。そのため、広義の態様では、ある特定の実施形態はまた、本明細書に開示される1種以上の化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物、さらにはそうした化合物および組成物を製造および使用する方法を提供する。ある特定の実施形態は、DLKを阻害する方法を提供する。他の実施形態は、治療有効量の本明細書に開示される化合物または組成物を患者に投与することを含む、治療を必要とする患者においてDLK媒介障害を治療する方法を提供する。また、DLKの阻害により寛解する疾患の治療のための医薬の製造に使用するための本明細書に開示されるある特定の化合物の使用が提供される。
【0007】
ある特定の実施形態では、X1はCであり、かつX2はNである。
【0008】
ある特定の実施形態では、X1はNであり、かつX2はCである。
【0009】
ある特定の実施形態では、R1はメチルであり、かつ1または2個のR5基で任意に置換される。
【0010】
ある特定の実施形態では、R1はヒドロキシメチルであり、かつ1個のR5基で任意に置換される。
【0011】
ある特定の実施形態では、R2はHである。
【0012】
ある特定の実施形態では、R2は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1または2個のR6基で任意に置換される。
【0013】
ある特定の実施形態では、R2は、モルホリン-1-イル、ピペリジン-1-イル、およびピペラジン-1-イルから選択され、そのいずれかは、1または2個のR6基で任意に置換される。
【0014】
ある特定の実施形態では、R2はモルホリン-1-イルである。
【0015】
ある特定の実施形態では、R2はピペラジン-1-イルおよび4-メチルピペラジン-1-イルから選択される。
【0016】
ある特定の実施形態では、R2はHである。
【0017】
ある特定の実施形態では、R3はハロアルコキシおよびハロアルキル(haloakyl)から選択される。
【0018】
ある特定の実施形態では、R3はハロメトキシおよびハロメチルから選択される。
【0019】
ある特定の実施形態では、R3はペルハロメトキシおよびペルハロメチルから選択される。
【0020】
ある特定の実施形態では、R3は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチル(difluoromethy)、およびトリフルオロメチルから選択される。
【0021】
ある特定の実施形態では、R3はCF3およびOCF3から選択される。
【0022】
ある特定の実施形態では、R4はNH2である。
【0023】
ある特定の実施形態では、R4はNHCH3およびN(CH3)2から選択される。
【0024】
ある特定の実施形態では、R4はNH(C1~4アルキル)およびN(C1~4アルキル)2から選択される。
【0025】
ある特定の実施形態では、R3およびR4は、それらが結合されている原子と一緒になって、1~3個のR7基で任意に置換された5員または6員のヘテロアリール環またはヘテロアルキル環を形成する。
【0026】
ある特定の実施形態では、R3およびR4は、それらが結合されている原子と一緒になって、5員または6員のヘテロアリール環またはヘテロアルキル環を形成する。
【0027】
ある特定の実施形態では、R3およびR4は、それらが結合されている原子と一緒になって、1または2個のR7基で任意に置換された5員ヘテロアリール環を形成する。
【0028】
ある特定の実施形態では、R5は、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C3~7シクロアルキル、およびC3~7ヘテロシクロアルキルから選択される。
【0029】
ある特定の実施形態では、R5は、C1~4アルコキシ、C1~4アルキル、C3~7ヘテロシクロアルコキシ、およびC3~7シクロアルキルから選択される。
【0030】
ある特定の実施形態では、R5は、メチル、エチル、トリフルオロメチル、2-プロピル、およびシクロプロピルから選択される。
【0031】
ある特定の実施形態では、R6は、C1~4アルコキシ、C1~4アルキル、C3~7ヘテロシクロアルコキシ、およびC3~7シクロアルキルから選択される。
【0032】
ある特定の実施形態では、R6はC1~4アルキルである。
【0033】
ある特定の実施形態では、R6はC1~4ハロアルキルである。
【0034】
ある特定の実施形態では、R6はC1~4フルオロアルキルである。
【0035】
ある特定の実施形態では、R6はメチルである。
【0036】
ある特定の実施形態では、R6は(エテニル)C1~4アルキルおよび(エチニル)C1~4アルキルから選択される。
【0037】
ある特定の実施形態では、R6は(エテニル)メチルおよび(エチニル)メチルから選択される。
【0038】
ある特定の実施形態では、化合物は、構造式II:
【化2】
またはその塩を有し、式中、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
3は、H、アルキル、シアノ、シクロアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから選択され、
R
8aおよびR
8bは、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4ハロアルキル、および(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4ハロアルキル(halolkyl)から独立して選択され、
またはR
8aおよびR
8bは、介在原子との組合せで、1~3個のR
6基で任意に置換された4~7員ヘテロシクロアルキル環を形成し、かつ
各R
5およびR
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、C
1~4アルキルチオ、C
1~4ハロアルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
【0039】
ある特定の実施形態では、化合物は、上記構造式IIまたはその塩を有し、式中、
R1は、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、およびイソプロピルから選択され、
R3は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルから選択され、
R8aおよびR8bは、介在原子との組合せで、モルホリン環またはピペラジン環を形成し、そのどちらかは、1~3個のR6基で任意に置換され、かつ
R6は、C1~4アルコキシ、C1~4アルキル、アミノ、C3~6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルから選択される。
【0040】
ある特定の実施形態では、化合物は、構造式III:
【化3】
またはその塩を有し、式中、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
3は、H、アルキル、シアノ、シクロアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから選択され、
R
8aおよびR
8bは、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4ハロアルキル、および(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4ハロアルキル(halolkyl)から独立して選択され、
またはR
8aおよびR
8bは、介在原子との組合せで、1~3個のR
6基で任意に置換された4~7員ヘテロシクロアルキル環を形成し、かつ
各R
5およびR
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、C
1~4アルキルチオ、C
1~4ハロアルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
【0041】
ある特定の実施形態では、化合物は、上記構造式IIIまたはその塩を有し、式中、
R1は、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、およびイソプロピルから選択され、
R3は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルから選択され、
R8aおよびR8bは、介在原子との組合せで、モルホリン環またはピペラジン環を形成し、そのどちらかは、1~3個のR6基で任意に置換され、かつ、
R6は、C1~4アルコキシ、C1~4アルキル、アミノ、C3~6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルから選択される。
【0042】
ある特定の実施形態では、化合物は、構造式IV:
【化4】
またはその塩を有し、式中、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
3は、H、アルキル、シアノ、シクロアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから選択され、
R
8aおよびR
8bは、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4アルキル、(C
1~4アルコキシ)C
1~4ハロアルキル、および(C
1~4ハロアルコキシ)C
1~4ハロアルキル(halolkyl)から独立して選択され、
またはR
8aおよびR
8bは、介在原子との組合せで、1~3個のR
6基で任意に置換された4~7員ヘテロシクロアルキル環を形成し、かつ
各R
5およびR
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、C
1~4アルキルチオ、C
1~4ハロアルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
【0043】
式I~IVのいずれかのある特定の実施形態では、R1は、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、およびイソプロピルから選択される。
【0044】
式I~IVのいずれかのある特定の実施形態では、R8aおよびR8bは、介在原子との組合せで、モルホリニルまたはピペリジニルを形成し、そのどちらかは、1~3個のR6基で任意に置換される。
【0045】
式I~IVのいずれかのある特定の実施形態では、R3は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルから選択される。
【0046】
式I~IVのいずれかのある特定の実施形態では、R5は、C1~4アルコキシ、C1~4アルキル、アミノ、C3~6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルから選択される。
【0047】
式I~IVのいずれかのある特定の実施形態では、R6は、C1~4アルコキシ、C1~4アルキル、アミノ、C3~6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルから選択される。
【0048】
式I~IVのいずれかのある特定の実施形態では、R6はC1~4アルキルである。
【0049】
式I~IVのいずれかのある特定の実施形態では、R6はメチルである。
【0050】
ある特定の実施形態では、化合物は、構造式Va:
【化5】
またはその塩を有し、式中、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
2は、Hであるか、またはアルキル、アミノ、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびスルホニルアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
6基で任意に置換され、
各R
5およびR
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択され、かつ
R
7は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから選択される。
【0051】
ある特定の実施形態では、化合物は、構造式Vb:
【化6】
またはその塩を有し、式中、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
5基で任意に置換され、
R
2は、Hであるか、またはアルキル、アミノ、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびスルホニルアルキルから選択され、そのいずれかは、1~3個のR
6基で任意に置換され、
各R
5およびR
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、(アリール)C
1~4アルコキシ、(ヘテロアリール)C
1~4アルコキシ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルコキシ、(アリール)C
1~4アルキルチオ、(ヘテロアリール)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキルチオ、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択され、かつ
R
7は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、C
1~4アルコキシ、C
1~4ハロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3~7シクロアルキル、C
3~7ヘテロシクロアルキル、(アリール)C
1~4アルキル、(ヘテロアリール)C
1~4アルキル、(C
3~7シクロアルキル)C
1~4アルキル、(C
3~7ヘテロシクロアルキル)C
1~4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから選択される。
【0052】
ある特定の実施形態では、化合物は、構造式VI:
【化7】
またはその塩を有し、式中、
R
2は、Hであるか、またはアルキル、アミノ、アリール、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびスルホニルアルキルから選択され、そのいずれかは、1~2個のR
6基で任意に置換され、
R
3は、ハロアルコキシおよびハロアルキルから選択され、かつ
R
5は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、およびC
3~7シクロアルキルから選択され、
各R
6は、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、(エチニル)C
1~4アルキル、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、およびオキソから独立して選択される。
【0053】
式VIのある特定の実施形態では、R2はHである。
【0054】
式VIのある特定の実施形態では、R2はヘテロシクロアルキルである。
【0055】
式VIのある特定の実施形態では、R2は、モルホリン-1-イル、ピペリジン-1-イル、およびピペラジン-1-イルから選択され、そのいずれかは、1または2個のR6基で任意に置換される。
【0056】
式VIのある特定の実施形態では、R
2は、
【化8】
から選択され、式中、R
6aは、H、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル、(エテニル)C
1~4アルキル、および(エチニル)C
1~4アルキルから選択される。
【0057】
式VIのある特定の実施形態では、R3は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、およびトリフルオロメチルから選択される。
【0058】
式VIのある特定の実施形態では、R5はC1~4アルキルおよびC1~4ハロアルキルから選択される。
【0059】
式VIのある特定の実施形態では、R5はメチルおよびトリフルオロメチルから選択される。
【0060】
ある特定の実施形態では、化合物は、
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
またはそれらの塩から選択される。
【0061】
また、組合せが相互排他的でない限り、以上のいずれかの実施形態をこれらの実施形態のいずれか1つ以上と組み合わせうる実施形態も提供される。
【0062】
本明細書で用いられる場合、2つの実施形態は、一方が他方とは何か異なるものであると定義されるとき「相互排他的」である。たとえば、2個の基が組み合わされてシクロアルキルを形成する実施形態は、一方の基がエチルであり他方の基が水素である実施形態とは相互排他的である。同様に、1個の基がCH2である実施形態は、同一の基がNHである実施形態とは相互排他的である。
【0063】
また、本明細書に開示される実施例から選択される化合物も提供される。
【0064】
また、DLKと本明細書に記載の化合物とを接触させる工程を含む、少なくとも1つのDLK機能を阻害する方法も提供される。細胞表現型、細胞増殖、DLKの活性、活性DLKにより産生される生化学的産物の変化、DLKの発現、またはDLKと天然結合パートナーとの結合をモニターしうる。かかる方法は、疾患の治療形態、生物学的アッセイ、細胞アッセイ、生化学的アッセイなどでありうる。
【0065】
また、本明細書には、必要とする患者に治療有効量の本明細書に開示される化合物またはその塩を投与することを含む、DLK媒介疾患の治療方法も提供される。
【0066】
ある特定の実施形態では、疾患は神経変性疾患から選択される。
【0067】
また、本明細書には、医薬として使用するための本明細書に開示される化合物も提供される。
【0068】
また、本明細書には、DLK媒介疾患の治療のための医薬として使用するための本明細書に開示される化合物も提供される。
【0069】
また、医薬としての本明細書に開示される化合物の使用も提供される。
【0070】
また、DLK媒介疾患の治療のための医薬としての本明細書に開示される化合物の使用も提供される。
【0071】
また、DLK媒介疾患の治療のための医薬の製造に使用するための本明細書に開示される化合物も提供される。
【0072】
また、DLK媒介疾患の治療のための本明細書に開示される化合物の使用も提供される。
【0073】
また、本明細書には、DLKと本明細書に開示される化合物またはその塩とを接触させる工程を含む、DLKの阻害方法も提供される。
【0074】
また、本明細書には、治療有効量の本明細書に開示される化合物またはその塩を患者に投与することを含む、患者において効果を達成する方法も提供される。ただし、効果は認知向上から選択される。
【0075】
ある特定の実施形態では、DLK媒介疾患は、中枢神経系ニューロンおよび末梢神経系ニューロンへの外傷性傷害から生じる疾患(たとえば、脳卒中、外傷性脳傷害、脊髄傷害)、慢性神経変性病態から生じる疾患(たとえば、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳失調症、進行性核上性麻痺、レビー小体病、ケネディー病、および他の関連病態)、神経損傷に起因するニューロパチーから生じる疾患(化学療法誘発末梢性ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、および関連病態)、および薬理学的介入に起因する認知障害から生じる疾患(たとえば、ケモブレインとしても知られる化学療法誘発認知障害)から選択される。
【0076】
また、治療有効量の本明細書に開示される化合物を投与することを含む、被験体においてDLK媒介機能をモジュレートする方法も提供される。
【0077】
また、本明細書に開示される化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物も提供される。
【0078】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は経口投与に供すべく製剤化される。
【0079】
ある特定の実施形態では、経口医薬組成物は錠剤およびカプセルから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0080】
定義
本明細書で用いられる場合、以下の用語は、指定された意味を有する。
【0081】
値の範囲が開示されかつ「n1~n2」という表記が用いられた場合(ただし、n1およびn2は数である)、とくに明記されていない限り、この表記は、数自体およびそれらの間の範囲を含むことが意図される。この範囲は、端値を含めてそれらの間の整数であってもそれらの間で連続したものであってもよい。例として、炭素は整数単位で現れるので、「2~6個の炭素」という範囲は、2、3、4、5、および6個の炭素を含むことが意図される。例として、「1~3μM(マイクロモル)」という範囲と比較されたい。この場合、1μM、3μM、およびいずれかの有効桁数までそれらの間のすべて(たとえば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)を含むことが意図される。
【0082】
「約」という用語は、本明細書で用いられる場合、それにより修飾された数値が誤差の許容範囲内で変動可能な値を表すことを認めることが意図される。データの図または表に与えられた平均値に対する標準偏差などの特定の誤差の許容範囲が挙げられていない場合、「約」という用語は、挙げられた値を包含する範囲、かつ有効数字を考慮して、その数値の切上げまたは切下げを行うことにより含まれる範囲を意味するものと理解すべきである。
【0083】
「アシル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環、またはいずれかの他の部分に結合されるカルボニルを意味する。ただし、カルボニルに結合される原子は炭素である。「アセチル」基とは、-C(O)CH3基を意味する。「アルキルカルボニル」基または「アルカノイル」基とは、カルボニル基を介して親分子部分に結合されるアルキル基を意味する。かかる基の例としては、メチルカルボニルおよびエチルカルボニルが挙げられる。アシル基の例としては、ホルミル、アルカノイル、およびアロイルが挙げられる。
【0084】
「アルケニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、1つ以上の二重結合を有しかつ2~20個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基を意味する。ある特定の実施形態では、前記アルケニルは2~6個の炭素原子を含むであろう。「アルケニレン」という用語は、2つ以上の位置で結合される炭素-炭素二重結合系、たとえば、エテニレン[(-CH=CH-)、(-C::C-)]を意味する。好適なアルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、2-メチルプロペニル、1,4-ブタジエニルなどが挙げられる。とくに明記されていない限り、「アルケニル」という用語は「アルケニレン」基を含みうる。
【0085】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルキルエーテル基を意味する。ただし、アルキルという用語は以下に定義される通りである。好適なアルキルエーテル基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。
【0086】
「アルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、1~20個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味する。ある特定の実施形態では、前記アルキルは1~10個の炭素原子を含むであろう。さらなる実施形態では、前記アルキルは1~8個の炭素原子を含むであろう。アルキル基は、本明細書に定義されるように任意に置換しうる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシル、オクチル、ノニル(noyl)などが挙げられる。「アルキレン」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、2つ以上の位置で結合される直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素から誘導された飽和脂肪族基、たとえば、メチレン(-CH2-)を意味する。とくに明記されていない限り、「アルキル」という用語は「アルキレン」基を含みうる。
【0087】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アミノ基を介して親分子部分に結合されるアルキル基を意味する。好適なアルキルアミノ基は、モノアルキル化またはジアルキル化されて、たとえば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-エチルメチルアミノなどの基を形成してもよい。
【0088】
「アルキリデン」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、炭素-炭素二重結合の一方の炭素原子がアルケニル基が結合される部分に属するアルケニル基を意味する。
【0089】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルキルチオエーテル(R-S-)基を意味する。ただし、アルキルという用語は以上に定義した通りであり、かつ硫黄は一酸化または二酸化されていてもよい。好適なアルキルチオエーテル基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、メタンスルホニル、エタンスルフィニルなどが挙げられる。
【0090】
「アルキニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、1つ以上の三重結合を有しかつ2~20個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基を意味する。ある特定の実施形態では、前記アルキニルは2~6個の炭素原子を含む。さらなる実施形態では、前記アルキニルは2~4個の炭素原子を含む。「アルキニレン」という用語は、2つの位置で結合される炭素-炭素三重結合、たとえば、エチニレン(-C:::C-、-C≡C-)を意味する。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチン-1-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシン-2-イルなどが挙げられる。とくに明記されていない限り、「アルキニル」という用語は「アルキニレン」基を含みうる。
【0091】
「アミド」および「カルバモイル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、カルボニル基を介して親分子部分に結合されるかまたはその反対側が結合される以下に記載のアミノ基を意味する。「C-アミド」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-C(O)N(RR’)基を意味する。ただし、RおよびR’は、本明細書に定義される通りであるかまたは具体的に列挙された指定の「R」基により定義される。「N-アミド」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、RC(O)N(R’)-基を意味する。ただし、RおよびR’は、本明細書に定義される通りであるかまたは具体的に列挙された指定の「R」基により定義される。「アシルアミノ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アミノ基を介して親部分に結合されるアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の例はアセチルアミノ(CH3C(O)NH-)である。
【0092】
「アミノ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-NRR’を意味する。ただし、RおよびR’は、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択され、そのいずれかはそれ自体任意に置換されていてもよい。そのほか、RおよびR’は、組み合わされてヘテロシクロアルキルを形成してもよく、そのどちらかは任意に置換されていてもよい。
【0093】
「アリール」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、1、2、または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味する。ただし、かかる多環式環系は縮合一体化されている。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどの芳香族基を包含する。
【0094】
「アリールアルケニル」または「アラルケニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルケニル基を介して親分子部分に結合されるアリール基を意味する。
【0095】
「アリールアルコキシ」または「アラルコキシ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルコキシ基を介して親分子部分に結合されるアリール基を意味する。
【0096】
「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルキル基を介して親分子部分に結合されるアリール基を意味する。
【0097】
「アリールアルキニル」または「アラルキニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルキニル基を介して親分子部分に結合されるアリール基を意味する。
【0098】
「アリールアルカノイル」または「アラルカノイル」または「アロイル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アリール置換アルカンカルボン酸から誘導されるアシル基、たとえば、ベンゾイル、ナフトイル(napthoyl)、フェニルアセチル、3-フェニルプロピオニル(ヒドロシンナモイル)、4-フェニルブチリル(2-ナフチル)アセチル、4-クロロヒドロシンナモイルなどを意味する。
【0099】
アリールオキシという用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、オキシを介して親分子部分に結合されるアリール基を意味する。
【0100】
「ベンゾ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、ベンゼンから誘導される2価基C6H4=を意味する。例としては、ベンゾチオフェンおよびベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0101】
「カルバメート」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、カルバミン酸のエステル(-NHCOO-)を意味する。ただし、窒素末端または酸末端のどちらから親分子部分に結合されていてもよく、本明細書に定義されるように任意に置換されていてもよい。
【0102】
「O-カルバミル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-OC(O)NRR’基を意味する。ただし、RおよびR’は本明細書に定義される通りである。
【0103】
「N-カルバミル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、ROC(O)NR’-基を意味する。ただし、RおよびR’は本明細書に定義される通りである。
【0104】
「カルボニル」という用語は、本明細書で用いられる場合、単独ではホルミル[-C(O)H]を含み、組合せでは-C(O)-基である。
【0105】
「カルボキシル」または「カルボキシ」という用語は、本明細書で用いられる場合、-C(O)OHまたは対応する「カルボキシレート」アニオン、たとえば、カルボン酸塩の状態を意味する。「O-カルボキシ」基とはRC(O)O-基を意味する。ただし、Rは本明細書に定義される通りである。「C-カルボキシ」基とは-C(O)OR基を意味する。ただし、Rは本明細書に定義される通りである。
【0106】
「シアノ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-CNを意味する。
【0107】
「シクロアルキル」または代替的に「炭素環」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、飽和または部分飽和の単環式、二環式、または三環式のアルキル基を意味する。ただし、各環式部分は、3~12個の炭素原子環員を含有し、かつ任意に本明細書に定義されるように任意に置換されたベンゾ縮合環系であってもよい。
ある特定の実施形態、前記シクロアルキルは5~7個の炭素原子を含むであろう。ある特定の実施形態では、前記シクロアルキルは、スピロ環式環系を含むであろう。かかるシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル(tetrahydronapthyl)、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチルなどが挙げられる。「二環式」および「三環式」とは、本明細書で用いられる場合、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの縮合環系も、さらには多環式(多中心)の飽和型または部分不飽和型も含むことが意図される。後者の型の異性体は、一般に、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、カンファー、アダマンタン、およびビシクロ[3.2.1]オクタンにより例証される。
【0108】
「エステル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、炭素原子で結合される2つの部分を架橋するカルボキシ基を意味する。
【0109】
「エーテル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、炭素原子で結合される2つの部分を架橋するオキシ基を意味する。
【0110】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0111】
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、酸素原子を介して親分子部分に結合されるハロアルキル基を意味する。
【0112】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、1個以上の水素がハロゲンで置き換えられている以上に定義された意味を有するアルキル基を意味する。具体的には、モノハロアルキル基、ジハロアルキル基、およびポリハロアルキル基が包含される。モノハロアルキル基は、一例として、ヨード原子、ブロモ原子、クロロ原子、またはフルオロ原子を基内に有してもよい。ジハロアルキル基およびポリハロアルキル基は、2個以上の同一ハロ原子を有していても異なるハロ基の組合せを有してもよい。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルが挙げられる。「ハロアルキレン」とは、2つ以上の位置で結合されるハロアルキル基を意味する。例としては、フルオロメチレン(-CFH-)、ジフルオロメチレン(-CF2-)、クロロメチレン(-CHCl-)などが挙げられる。
【0113】
「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、指定数の炭素原子とN、O、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる完全飽和のまたは1~3の不飽和度を含む安定な直鎖または分岐鎖またはそれらの組合せを意味する。ただし、N原子およびS原子は、任意に酸化されていてもよく、かつNヘテロ原子は、任意に四級化されていてもよい。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基のいずれの内部位置に配置されていてもよい。ヘテロ原子は2個まで連続していてもよく、たとえば、-CH2-NH-OCH3などであってもよい。
【0114】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、3~15員の不飽和ヘテロ単環式環を意味するか、または縮合環の少なくとも1つが、N、O、およびSから選択される少なくとも1個の原子を含有する芳香族である、縮合された単環式、二環式、もしくは三環式の環系を意味する。ある特定の実施形態では、前記ヘテロアリールは、環員として1~4個のヘテロ原子を含むであろう。さらなる実施形態では、前記ヘテロアリールは、環員として1~2個のヘテロ原子を含むであろう。ある特定の実施形態では、前記ヘテロアリールは、5~7個の原子を含むであろう。この用語はまた、ヘテロ環式環がアリール環と縮合されているか、ヘテロアリール環が他のヘテロアリール環と縮合されているか、ヘテロアリール環がヘテロシクロアルキル環と縮合されているか、またはヘテロアリール環がシクロアルキル環と縮合されている、縮合多環式基を包含する。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニルなどが挙げられる。例示的な三環式ヘテロ環式基としては、カルバゾリル、ベンゾインドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが挙げられる。
【0115】
「ヘテロシクロアルキル」および同義的に「ヘテロ環」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、各々、環員として少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和、部分不飽和、または完全不飽和(ただし非芳香族)の単環式、二環式、または三環式のヘテロ環式基を意味する。ただし、各前記ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択しうる。ある特定の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルはスピロ環式環系を含むであろう。ある特定の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキル(hetercycloalkyl)は、環員として1~4個のヘテロ原子を含むであろう。さらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは(hetercycloalkyl)、環員として1~2個のヘテロ原子を含むであろう。ある特定の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキル(hetercycloalkyl)は、各環中に3~8個の環員を含むであろう。さらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキル(hetercycloalkyl)は、各環中に3~7個の環員を含むであろう。そのほかのさらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキル(hetercycloalkyl)は、各環中に5~6個の環員を含むであろう。「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロ環」は、第3級窒素環員のスルホン、スルホキシド、N-オキシド、ならびに炭素環式縮合環系およびベンゾ縮合環系を含むことが意図され、そのほか、両方の用語はまた、ヘテロ環式環が本明細書に定義されるアリール基または追加のヘテロ環式基に縮合されている系を含む。ヘテロ環式基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル(dihy-dropyridinyl)、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。ヘテロ環式基は、具体的に禁止されていない限り、任意に置換されていてもよい。
【0116】
「ヒドラジニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、単結合により連結された2個のアミノ基すなわち-N-N-を意味する。
【0117】
「ヒドロキシ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-OHを意味する。
【0118】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、アルキル基を介して親分子部分に結合されるヒドロキシ基を意味する。
【0119】
「イミノ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、=N-を意味する。
【0120】
「イミノヒドロキシ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、=N(OH)および=N-O-を意味する。
【0121】
「主鎖中」という語句は、本明細書に開示される式のいずれか1つの化合物への基の結合点から始まる炭素原子の最長の連続鎖または隣接鎖を意味する。
【0122】
「イソシアナト」という用語は-NCO基を意味する。
【0123】
「イソチオシアナト」という用語は-NCS基を意味する。
【0124】
「原子の直鎖」という語句は、炭素、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される原子の最長直鎖を意味する。
【0125】
「低級」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、とくに具体的な定義がない限り、6個を含めて1~6個の炭素原子を含有することを意味する(すなわちC1~C6アルキル)。
【0126】
「低級アリール」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、フェニルまたはナフチルを意味し、そのどちらかは規定の通り任意に置換されていてもよい。
【0127】
「低級ヘテロアリール」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、1)5または6個の環員を含みそのうち1~4個の前記環員がN、O、およびSから選択されるヘテロ原子でありうる単環式ヘテロアリール、または2)縮合環の各々が5または6個の環員を含みそれらの間にN、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子が含まれる二環式ヘテロアリール、のどちらかを意味する。
【0128】
「低級シクロアルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、3~6個の環員を有する単環式シクロアルキルを意味する(すなわちC3~C6シクロアルキル)。低級シクロアルキルは不飽和であってもよい。低級シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0129】
「低級ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、3~6個の環員を有しそのうち1~4個がN、O、およびSから選択されるヘテロ原子でありうる単環式ヘテロシクロアルキルを意味する(すなわちC3~C6ヘテロシクロアルキル)。低級ヘテロシクロアルキルの例としては、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリニルが挙げられる。低級ヘテロシクロアルキルは不飽和であってもよい。
【0130】
「低級アミノ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-NRR’を意味する。ただし、RおよびR’は、水素および低級アルキルから独立して選択され、そのどちらかは任意に置換されていてもよい。
【0131】
「メルカプチル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、RS-基を意味する。ただし、Rは本明細書に定義される通りである。
【0132】
「ニトロ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-NO2を意味する。
【0133】
「オキシ」または「オキサ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-O-を意味する。
【0134】
「オキソ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、=Oを意味する。
【0135】
「ペルハロアルコキシ」という用語は、水素原子のすべてがハロゲン原子で置き換えられているアルコキシ基を意味する。
【0136】
「ペルハロアルキル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、水素原子のすべてがハロゲン原子で置き換えられているアルキル基を意味する。
【0137】
「スピロ環式環系」という用語は、単一原子が両方の環に共有されるように2つの環を含む多環式環系を意味する。
【0138】
「スルホネート」、「スルホン酸(sulfonic acid)」および「スルホン酸(sulfonic)」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-SO3H基およびそのアニオン(スルホン酸が塩形成状態で使用されるとき)を意味する。
【0139】
「スルファニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-S-を意味する。
【0140】
「スルフィニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-S(O)-を意味する。
【0141】
「スルホニル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-S(O)2-を意味する。
【0142】
「N-スルホンアミド」という用語は、RS(=O)2NR’-基を意味する。ただし、RおよびR’は本明細書に定義される通りである。
【0143】
「S-スルホンアミド」という用語は、-S(=O)2NRR’基を意味する。ただし、RおよびR’は本明細書に定義される通りである。
【0144】
「チア」および「チオ」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-S-基または酸素が硫黄で置き換えられているエーテルを意味する。チオ基の酸化誘導体、すなわち、スルフィニルおよびスルホニルは、チアおよびチオの定義に含まれる。
【0145】
「チオール」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、-SH基を意味する。
【0146】
「チオカルボニル」という用語は、本明細書で用いられる場合、単独ではチオホルミル-C(S)Hを含み、組合せでは-C(S)-基である。
【0147】
「N-チオカルバミル」という用語はROC(S)NR’-基を意味する。ただし、RおよびR’は本明細書に定義される通りである。
【0148】
「O-チオカルバミル」という用語は-OC(S)NRR’基を意味する。ただし、RおよびR’は本明細書に定義される通りである。
【0149】
「チオシアナト」という用語は-CNS基を意味する。
【0150】
「トリハロメタンスルホンアミド」という用語は、X3CS(O)2NR-基を意味する。ただし、Xはハロゲンであり、かつRは本明細書に定義される通りである。
【0151】
「トリハロメタンスルホニル」という用語はX3CS(O)2-基を意味する。ただし、Xはハロゲンである。
【0152】
「トリハロメトキシ」という用語はX3CO-基を意味する。ただし、Xはハロゲンである。
【0153】
「三置換シリル」という用語は、本明細書で単独または組合せで用いられる場合、置換アミノの定義の下に本明細書に列挙される基で3つの自由原子価が置換されたシリコーン基を意味する。例としては、トリメチルシリル(trimethysilyl)、tert-ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
【0154】
本明細書の定義はいずれも、複合構造基を記載するためにいずれかの他の定義との組合せで使用しうる。慣例によれば、いずれのかかる定義のトレーリング要素も親部分に結合するものである。たとえば、複合基のアルキルアミドは、アミド基を介して親分子に結合されるアルキル基を表し、アルコキシアルキルという用語は、アルキル基を介して親分子に結合されるアルコキシ基を表すであろう。
【0155】
基が「ヌル」であると定義される場合、前記基が不在であることを意味する。
【0156】
「任意に置換」という用語は、先行する基が置換されていても置換されていなくてもよいことを意味する。置換される場合、「任意に置換」される基の置換基は、限定されるものではないが、次の基、すなわち、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホネート、スルホン酸、三置換シリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバメート、および低級ウレア、または特定の指定された基のセットから独立して選択される1個以上の置換基を単独または組合せで含みうる。構造的に実現可能である場合、2個の置換基は、連結一体化されて0~3個のヘテロ原子からなる縮合された5、6、または7員の炭素環式またはヘテロ環式の環を形成しうる。たとえば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成しうる。任意に置換された基は、完全置換であっても(たとえば-CF2CF3)、非置換であっても(たとえば-CH2CH3)、一置換であっても(たとえば-CH2CH2F)、または完全置換と一置換との間のいずれかのレベルで置換されていてもよい(たとえば-CH2CF3)。置換基が置換に関しては限定なしに列挙されている場合、置換形および非置換形の両方が包含される。置換基が「置換」されたものとして限定されている場合、置換形が具体的に意図される。そのほか、必要に応じて、特定の部分への任意の置換基のさまざまなセットを定義しうる。こうした場合には、任意の置換は定義された通りであろう。また、多くの場合、「~で任意に置換」という語句の直前にくるであろう。
【0157】
数指定を伴うことなく単独で現れるRという用語またはR’という用語は、とくに定義がない限り、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルから選択される部分を意味し、そのいずれかは任意に置換されていてもよい。かかるR基およびR’基は、本明細書に定義されるように任意に置換されると理解すべきである。R基が数指定を有するか否かにもかかわらず、R、R’、およびRn(ただし、n=(1、2、3、...n))を含めてすべてのR基、すべての置換基、およびすべての用語は、群からの選択に関して他のすべてのものから独立していると理解すべきである。いずれかの変数、置換基、または用語(たとえば、アリール、ヘテロ環、Rなど)が式または一般構造に2回以上出現した場合、各出現のその定義は他のすべての出現の定義から独立している。さらに、ある特定の基は、親分子に結合してもよく、または記載のどちらの末端から元素鎖中の位置を占有してもよいことは、当業者であれば理解されよう。たとえば、-C(O)N(R)-などの非対称基は、炭素または窒素のどちらで親部分に結合してもよい。
【0158】
本明細書に開示される化合物には不斉中心が存在する。これらの中心は、キラル炭素原子の周りの置換基の構成に依存して、記号「R」または「S」により表される。本発明には、ジアステレオ異性形、鏡像異性形、およびエピ異性形、さらにはd-異性形およびl-異性形、ならびにそれらの混合物を含めて、すべての立体化学異性形が包含されることを理解すべきである。化合物の個別の立体異性形は、キラル中心を含有する市販の出発材料から合成的に調製可能であるか、または鏡像異性生成物の混合物を調製してからジアステレオマーの混合物に変換した後で分離もしくは再結晶化を行うなどの分離、クロマトグラフィー技術、キラルクロマトグラフィーカラム上での鏡像異性形の直接分離、もしくは任意の他の当技術分野で公知の適切な方法により調製可能である。特定の立体化学の出発化合物は、市販品として入手可能であるか、または当技術分野で公知の技術により作製および分割が可能である。そのほかに、本明細書に開示された化合物は、幾何異性形として存在しうる。本発明は、cis、trans、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の異性形、さらにはそれらの適切な混合物をすべて含む。そのほかに、化合物は、互変異性形として存在しうるとともに、すべての互変異性形は、本発明により提供される。そのほかに、本明細書に開示された化合物は、非溶媒和形で、さらには水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒との溶媒和形で、存在可能である。一般的には、溶媒和形は、非溶媒和形と等価であると考えられる。
【0159】
「結合」という用語は、結合により連結された原子がより大きい部分構造の一部であると考えられる場合、2個の原子間または2個の部分間の共有結合を意味する。結合は、とくに明記されていない限り、単結合、二重結合、または三重結合でありうる。分子の図中の2個の原子間の鎖線は、その位置に追加の結合が存在していても存在していなくてもよいことを意味する。
【0160】
「疾患」という用語は、本明細書で用いられる場合、一般的には、「障害」、「症候群」、および「病態」(医学的病態と同様)という用語と同義的であり、それらはすべて、正常機能を損ない、典型的には徴候および症状の識別により顕在化され、かつヒトまたは動物の寿命または生活の質を低下させる、人体または動物体またはそれらの一部の異常病態を反映するという点で、同義的に用いられる。
【0161】
「認知障害」とは、本明細書で用いられる場合、認知機能の損失を一次症状とし、かつ学習、記憶、知覚、および/または問題解決に主に影響を及ぼす精神的健康障害を意味する。認知障害としては、健忘症、認知症、および譫妄が挙げられる。原因としては、外傷に起因するかまたは化学療法に起因するかにかかわらず、脳の記憶部の損傷が挙げられうる。
【0162】
「組合せ療法」という用語は、本開示に記載の治療対象の病態または障害を治療するために2種以上の療法剤を投与することを意味する。かかる投与は、実質的に同時に、たとえば、固定比の活性成分を有する単一のカプセルで、または複数の各活性成分に対する個別のカプセルでこれらの療法剤を共投与することを包含する。それに加えて、かかる投与はまた、逐次的に各タイプの療法剤を使用することを包含する。どちらの場合も、治療レジメンは、本明細書に記載の病態または障害を治療するうえで薬剤の組合せの有益な効果を提供するであろう。
【0163】
「DLK結合剤」は、本明細書に一般的に記載されるDLK結合アッセイで測定したときにDLKに対して約100μM以下、より典型的には約50μM以下のKdを呈する化合物を意味するものとして本明細書で使用される。DLK結合アッセイでは、化合物とDLKの活性部位との結合に対するKd(解離定数)が測定される。本明細書に開示されるある特定の化合物は、DLKに結合することが発見された。ある特定の実施形態では、化合物は、DLKに対して約10μM以下のKdを呈するであろう。さらなる実施形態では、化合物は、DLKに対して約1μM以下のKdを呈するであろう。そのほかのさらなる実施形態では、化合物は、DLKに対して約0.1μM以下のKdを呈するであろう。そのほかのさらなる実施形態では、化合物は、本明細書に記載のDLKアッセイで測定したときにDLKに対して約10nM以下のKdを呈するであろう。
【0164】
「治療有効」という語句は、疾患の治療または臨床エンドポイントの達成に使用される活性成分の量を認定することが意図される。
【0165】
「治療上許容可能」という用語は、過度の毒性、刺激性、およびアレルギー反応を伴うことなく患者の組織と接触させて使用するのに好適であり、適正な便益/危険比に対応し、かつそれらの意図された使用に有効である、化合物(または塩、プロドラッグ、互変異性形、双性イオン形など)を意味する。
【0166】
本明細書で用いられる場合、患者の「治療」への言及は予防を含むことが意図される。治療はまた、本質的に先制的でありうる。すなわち、疾患の予防を含みうる。疾患の予防は、たとえば、病原体の感染予防の場合のように、疾患からの完全保護を含みうるか、または疾患進行の予防を含みうる。たとえば、疾患の予防は、いずれかのレベルで疾患に関連するなんらかの影響を完全に排除することを意味しなくてもよく、その代わりに、臨床的に有意または検出可能なレベルまで疾患の症状を予防することを意味しうる。疾患の予防はまた、疾患のより後期への疾患の進行を予防することを意味しうる。
【0167】
「患者」という用語は、一般的には「被験体」という用語と同義的であり、ヒトをはじめとするすべての哺乳動物を含む。患者の例としては、ヒト、家畜、たとえば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギ、ならびに伴侶動物、たとえば、イヌ、ネコ、ウサギ、およびウマが挙げられる。好ましくは、患者はヒトである。
【0168】
「プロドラッグ」という用語は、in vivoでより活性になる化合物を意味する。本明細書に開示されるある特定の化合物は、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry,and Enzymology(Testa,Bernard and Mayer,Joachim M.Wiley-VHCA,Zurich,Switzerland 2003)に記載されるようにプロドラッグとしても存在しうる。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて化合物を提供する化合物の構造的改変形である。そのほか、プロドラッグは、ex vivo環境で化学的方法または生化学的方法により化合物に変換可能である。たとえば、プロドラッグは、好適な酵素または化学試薬を含む経真皮パッチリザーバーに配置したときに化合物に徐々に変換可能である。プロドラッグは、いくつかの状況では化合物または親薬剤よりも投与が容易でありうるので、多くの場合、有用である。それらは、たとえば、経口投与により生物学的に利用可能でありうるが、親薬剤は、そうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物で親薬剤よりも優れた向上した溶解度を有しうる。プロドラッグの加水分解切断または酸化的活性化に依拠するものなど、多種多様なプロドラッグ誘導体が当技術分野で公知である。プロドラッグの例としては、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、代謝的に加水分解されて活性物質のカルボン酸になる化合物が挙げられようが、これらに限定されるものではない。追加の例としては、化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
【0169】
塩および多型体
本明細書に開示される化合物は、治療上許容可能な塩として存在可能である。本発明は、酸付加塩を含めて塩形で以上に列挙された化合物を含む。好適な塩としては、有機酸および無機酸の両方で形成されたものが挙げられる。かかる酸付加塩は、通常、薬学的に許容可能であろう。しかしながら、薬学的に許容可能でない塩の中には、当該化合物の調製および精製に有用な塩がありうる。塩基付加塩も形成しうるとともに、薬学的に許容可能でありうる。塩の調製および選択に関するより完全な考察については、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Stahl,P.Heinrich.Wiley-VCHA,Zurich,Switzerland,2002)を参照されたい。
【0170】
「治療上許容可能な塩」という用語は、本明細書で用いられる場合、本明細書に定義されるように水または油に溶解可能または分散可能かつ治療上許容可能な本明細書に開示される化合物の塩または双性イオン形を意味する。塩は、化合物の最後の単離時および精製時に調製可能であるか、または遊離塩基形の適切な化合物と好適な酸との反応により独立して調製可能である。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L-アスコルビン酸塩、アスパラギン酸、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチシン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL-マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩(phenylproprionate)、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩(p-トシル酸塩)、およびウンデカン酸塩が挙げられる。また、本明細書に開示される化合物中の塩基性基は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルのクロライド、ブロマイド、およびヨーダイド、ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルのスルフェート、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステリルのクロライド、ブロマイド、およびヨーダイド、ならびにベンジルおよびフェネチルのブロマイドで四級化しうる。治療上許容可能な付加塩を形成するために利用可能な酸の例としては、無機酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸、ならびに有機酸、たとえば、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸が挙げられる。塩はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類のイオンを用いて化合物を配位させることによっても形成可能である。そのため、本発明は、本明細書に開示される化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などを企図する。
【0171】
塩基付加塩は、カルボキシ基と、好適な塩基、たとえば、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩、あるいはアンモニアまたは有機の第1級、第2級、もしくは第3級のアミンと、を反応させることにより、化合物の最後の単離時および精製時に調製可能である。治療上許容可能な塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、さらには非毒性の第4級アミンカチオン、たとえば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、およびN,N’-ジベンジルエチレンジアミンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
【0172】
主題の発明の化合物は、そのまま化学物質として投与可能でありうるが、それらを医薬製剤として提示することも可能である。したがって、本明細書には、1種以上の本明細書に開示されるある特定の化合物、または1種以上のそれらの薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、アミド、もしくは溶媒和物を、1種以上のそれらの薬学的に許容可能な担体および任意に1種以上の他の治療成分と共に、含む医薬製剤が提供される。担体は、製剤の他の成分に適合可能でありかつそのレシピエントに有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。適正な製剤は、選択される投与経路に依存する。周知の技術、担体、および賦形剤のいずれかは、好適なものとして当技術分野で理解されているように使用しうる。本明細書に開示される医薬組成物は、当技術分野で公知のいずれかの方法により、たとえば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣化、研和、乳化、カプセル化、封入、または圧縮のプロセスを利用して、製造しうる。
【0173】
製剤
製剤は、経口投与、非経口(皮下、真皮内、筋肉内、静脈内、関節内、および髄内を含む)投与、腹腔内投与、経粘膜投与、経真皮投与、直腸内投与、および局所(真皮、頬腔内、舌下、および眼内を含む)投与に好適なものを含むが、最も好適な経路は、たとえば、レシピエントの病態および障害に依存しうる。製剤は、適宜、ユニット製剤で提供しうるとともに、薬学技術分野で周知の方法のいずれかにより調製しうる。典型的には、これらの方法は、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、もしくは溶媒和物(「活性成分」)と、1つ以上の副成分を構成する担体と、を会合させる工程を含む。一般的には、製剤は、活性成分と液体担体または微細化固体担体またはその両方とを均一かつ密接に会合させることにより、次いで、必要ならば、生成物を所望の製剤に造形することにより調製される。
【0174】
経口投与に好適な本明細書に開示される化合物の製剤は、それぞれ所定量の活性成分を含有するカプセル剤、カシェ剤、錠剤などの個別ユニットとして、粉末剤もしくは顆粒剤として、水性流体中もしくは非水性液体中の溶液剤もしくはサスペンジョン剤として、または水中油型液体エマルジョン剤もしくは油中水型液体エマルジョン剤として提示しうる。活性成分はまた、ボーラス剤、舐剤、またはペースト剤としても提示しうる。
【0175】
経口使用可能な医薬製剤として、錠剤、ゼラチンで作製されたプッシュフィットカプセル剤、さらにはゼラチンおよびグリセロールやソルビトールなどの可塑剤で作製されたソフトシールカプセル剤が挙げられる。錠剤は、圧縮または成形により任意に1つ以上の副成分と共に作製しうる。圧縮錠剤は、任意に結合剤、不活性希釈剤、または滑沢剤、界面活性剤、もしくは分散剤と混合された粉末や顆粒などの自由流動形態の活性成分を好適な機械で圧縮することにより調製可能である。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することにより作製しうる。錠剤は、任意に、コーティング付きまたは割線入りであってもよく、含まれる活性成分の低速放出または制御放出を提供するように製剤化しうる。経口投与に供される製剤はすべて、そのような投与に好適な投与量にすべきである。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクやマグネシウムステアレートなどの滑沢剤、および任意に安定化剤との混合状態で、活性成分を含有可能である。ソフトカプセル剤では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解または懸濁しうる。それに加えて、安定化剤を添加しうる。糖衣錠コアは、好適なコーティングを有して提供される。この目的では、濃縮糖溶液を使用しうる。これは、任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有しうる。識別のためにまたは活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣剤のコーティングには、色素または顔料を添加しうる。
【0176】
化合物は、注射によるたとえばボーラス注射による非経口投与または持続注入に供すべく製剤化しうる。注射用の製剤は、保存剤を添加して、ユニット製剤で、たとえば、アンプルで、または複数回用量容器で、提示しうる。組成物は、油性または水性の媒体中のサスペンジョン剤、溶液剤、またはエマルジョン剤のような形態をとりうるとともに、製剤化剤、たとえば、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤を含有しうる。製剤は、単位用量または複数回用量の容器(たとえば、密封されたアンプルおよびバイアル)で提示されうるとともに、使用直前に、滅菌液体担体、たとえば、生理食塩水または発熱原を含まない無菌水の添加だけを必要とする粉末形態またはフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵しうる。即時注射用の溶液剤およびサスペンジョン剤は、先に記載した種類の無菌の粉末剤、顆粒剤、および錠剤から調製可能である。
【0177】
非経口投与に供される製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静細菌剤、および対象レシピエントの血液と製剤とが等張になるようにする溶質を含有しうる活性化合物の水性および非水性(油性)の無菌注射溶液剤、および懸濁化剤と粘稠化剤とを含みうる水性および非水性の無菌サスペンジョン剤が含まれる。好適な親油性の溶媒または媒体には、ゴマ油などの脂肪油、またはエチルオレエートやトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性注射用サスペンジョン剤は、サスペンジョンの粘度を増加させる物質、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランを含有しうる。任意に、サスペンジョン剤はまた、安定化剤または化合物の溶解性を増加させて高濃度溶液の調製を可能にする好適な作用剤も含有しうる。
【0178】
以上に記載した製剤に加えて、化合物はまた、デポ製剤としても製剤化しうる。かかる長時間作用性製剤は、留置により(たとえば皮下もしくは筋肉内に)または筋肉内注射により投与可能である。したがって、たとえば、化合物は、好適な高分子材料もしくは疎水性材料(たとえば、許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と共に、または微溶性誘導体として、たとえば、微溶性塩として製剤化しうる。
【0179】
頬腔内投与または舌下投与に供する場合、組成物は、従来方式で製剤化された錠剤、ロゼンジ剤、パステル剤、またはゲル剤の形態をとりうる。かかる組成物は、スクロースやアカシアなどの風味付き基剤中またはトラガカント中に活性成分を含みうる。
【0180】
化合物はまた、たとえば、ココアバター、ポリエチレングリコール、他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤や保持浣腸剤などの経直腸組成物で製剤化しうる。
【0181】
本明細書に開示された特定の化合物は、局所投与されうる。すなわち、非全身投与により施しうる。これは、化合物が血流中に有意に進入しないように、本明細書に開示された化合物を外部から表皮または頬側口腔に適用すること、およびそのような化合物を耳内、眼内、および鼻内に点滴注入することを含む。これとは対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内の投与を意味する。
【0182】
局所投与に好適な製剤としては、皮膚を介して炎症部位に浸透させるのに好適な液体または半液体の製剤、たとえば、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、またはペースト剤、および眼、耳、または鼻への投与に好適な滴剤が挙げられる。局所投与に供される活性成分は、たとえば、製剤の0.001%~10%w/w(重量基準)を構成しうる。ある特定の実施形態では、活性成分は10%w/w程度を構成しうる。他の実施形態では、それは5%w/w未満を構成しうる。ある特定の実施形態では、活性成分は2%w/w~5%w/wを構成しうる。他の実施形態では、それは製剤の0.1%~1%w/wを構成しうる。
【0183】
吸入による投与に供する場合、化合物は、適宜、インサフレーター、ネブライザー、加圧パック、またはエアロゾルスプレーの送達に便利な他の手段から送達しうる。加圧パックは、好適な噴射剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを含みうる。加圧エアロゾルの場合、投与ユニットは、計量された量を送達するようにバルブを提供することにより決定しうる。他の選択肢として、吸入または吹送による投与に供する場合、本発明に係る化合物は、乾燥粉末組成物、たとえば、化合物とラクトースやデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物の形態をとりうる。粉末組成物は、ユニット製剤、たとえば、カプセル剤、カートリッジ剤、ゼラチン剤、またはインハレーターもしくはインサフレーターを利用して粉末を投与しうるブリスターパックで提示しうる。
【0184】
好ましいユニット投与製剤は、これ以降に挙げられた有効用量またはその適切な部分用量の活性成分を含有するものである。
【0185】
以上に特記される成分のほか、以上に記載の製剤は、当該製剤タイプを考慮して当技術分野で慣用される他の作用剤を含みうることを理解すべきである。たとえば、経口投与に好適なものは風味剤を含みうる。
【0186】
投与および治療
化合物は、0.1~500mg/kg/日の用量で経口投与または注射を介して投与しうる。成人に対する用量範囲は、一般的には、5mg~2g/日である。個別ユニットで提供される錠剤または他の形態の提示物は、適宜、かかる投与量またはその複数倍の投与量で有効な量の1種以上の化合物を含有しうる。たとえば、5mg~500mg、通常は約10mg~200mgを含有するユニットである。
【0187】
単回投与製剤を製造するために担体材料と組み合わせうる活性成分の量は、治療される宿主および特定の投与形態に依存して異なるであろう。
【0188】
化合物は、種々のモードで、たとえば、経口的に、局所的に、または注射により、投与可能である。患者に投与される化合物の正確な量は、担当医が責任を負うべきものであろう。いずれかの特定の患者に対する特定の用量レベルは、利用される特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与時期、投与経路、排泄速度、薬剤の組合せ、治療される正確な障害、および治療される障害の重症度を含めて、さまざまな因子に依存するであろう。また、投与経路は、病態およびその重症度に依存して変化しうる。
【0189】
ある特定の場合には、本明細書に記載の化合物(またはその薬学的に許容可能な塩)の少なくとも1種を他の療法剤との組合せで投与することが適切なこともある。単なる例にすぎないが、本明細書の化合物の1種を摂取したときに患者が受ける副作用の1つが高血圧である場合、初期療法剤との組合せで抗高血圧剤を投与することが適切なこともある。または単なる例にすぎないが、本明細書に記載の化合物の1種の治療有効性は、補助剤の投与により向上しうる(すなわち、補助剤は、それ自体では最小限の治療効果を有するにすぎないが、他の療法剤との組合せで患者への全治療効果が向上する)。または単なる例にすぎないが、患者が受ける利益は、本明細書に記載の化合物の1種を同様に治療効果を有する他の療法剤(それは治療レジメンも含む)と共に投与することにより増加しうる。単なる例にすぎないが、本明細書に記載の化合物の1種の投与を含む糖尿病の治療では、糖尿病の他の療法剤も患者に提供することにより治療効果の増加をもたらしうる。いずれの場合も、治療される疾患、障害、または病態にかかわらず、患者が受ける全利益は、単純に2種の療法剤の相加効果でありうるか、または、患者は相乗効果を経験しうる。
【0190】
可能な組合せ療法の特定例としては、限定されるものではないが、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンと共に本発明のある特定の化合物を使用することが挙げられる。さらなる例としては、抗アミロイド抗体およびワクチン、抗Ab抗体およびワクチン、抗タウ抗体およびワクチン、β-セクレターゼ阻害剤、5-HT4アゴニスト、5-HT6アンタゴニスト、5-HT1aアンタゴニスト、α7ニコチンレセプターアゴニスト、5-HT3レセプターアンタゴニスト、PDE4阻害剤、O-glcnacアーゼ阻害剤、およびアルツハイマー病の治療が承認された他の医薬が挙げられる。さらなる例としては、メトホルミン、ミノサイクリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、およびニューロン生存を改善する他の療法剤が挙げられる。
【0191】
いずれの場合も、任意の順序で、さらには同時に、複数の療法剤(本明細書に開示される化合物の少なくとも1種)を投与しうる。同時の場合、複数の療法剤は、単一の統合形態または複数の形態で提供しうる(単なる例にすぎないが、単一の丸剤または2つの個別丸剤のどちらかで)。療法剤の1種を複数回で投与しうるか、またはその両方を複数回で投与しうる。同時でない場合、複数回の間のタイミングは、数分間~4週間の範囲内のいずれかの継続時間でありうる。
【0192】
したがって、他の態様では、特定の実施形態は、治療を必要とするヒト被験体または動物被験体においてDLK媒介障害を治療する方法を提供し、この方法は、当技術分野で公知の前記障害の治療のための少なくとも1種の追加の作用剤との組合せで、被験体において前記障害を低減または予防するのに有効な量の本明細書に開示される化合物を前記被験体に投与することを含む。関連態様では、ある特定の実施形態は、DLK媒介障害の治療のための1種以上の追加の作用剤との組合せで本明細書に開示される少なくとも1種の化合物を含む治療組成物を提供する。
【0193】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、中枢神経系ニューロンおよび末梢神経系ニューロンへの外傷性傷害から生じる神経疾患の治療に有用でありうる。
【0194】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、脳卒中の治療に有用でありうる。
【0195】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、外傷性脳傷害の治療に有用でありうる。
【0196】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、脊髄傷害の治療に有用でありうる。
【0197】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、慢性神経変性病態から生じる神経疾患の治療に有用でありうる。
【0198】
ある特定の実施形態では、神経変性病態はアルツハイマー病である。
【0199】
ある特定の実施形態では、神経変性病態は前頭側頭型認知症である。
【0200】
ある特定の実施形態では、神経変性病態はパーキンソン病である。
【0201】
ある特定の実施形態では、神経変性病態はハンチントン病である。
【0202】
ある特定の実施形態では、神経変性病態は筋萎縮性側索硬化症である。
【0203】
ある特定の実施形態では、神経変性病態はアルツハイマー病である。
【0204】
ある特定の実施形態では、神経変性病態は脊髄小脳失調症である。
【0205】
ある特定の実施形態では、神経変性病態は進行性核上性麻痺である。
【0206】
ある特定の実施形態では、神経変性病態はレビー小体病である。
【0207】
ある特定の実施形態では、神経変性病態はケネディー病である。
【0208】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、神経損傷から生じるニューロパチーの治療に有用でありうる。
【0209】
ある特定の実施形態では、ニューロパチーは化学療法誘発末梢性ニューロパチーである。
【0210】
ある特定の実施形態では、ニューロパチーは糖尿病性ニューロパチーである。
【0211】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、認知障害の治療に有用でありうる。
【0212】
ある特定の実施形態では、認知障害は薬理学的介入により引き起こされる。
【0213】
ある特定の実施形態では、認知障害は化学療法誘発認知障害である。
【0214】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、他の療法剤と共に共投与しうる。
【0215】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、組成物、および方法は、認知障害の治療のための他の療法剤と共に共投与しうる。
【0216】
ヒト治療に有用である以外に、本明細書に開示される特定の化合物および製剤はまた、哺乳動物、齧歯動物などを含めて、伴侶動物、エキゾチック動物、および家畜の獣医学的治療にも役立ちうる。より好ましい動物としては、ウマ、イヌ、およびネコが挙げられる。
【0217】
略語のリスト
Ac2O=無水酢酸、AcCl=アセチルクロライド、AcOH=酢酸、AIBN=アゾビスイソブチロニトリル、aq.=水性、BAST=ビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド、Bu=ブチル、Bu3SnH=水素化トリブチルスズ、CD3OD=ジュウテリウム化メタノール、CDCl3=ジュウテリウム化クロロホルム、CDI=1,1’-カルボニルジイミダゾール、DAST=(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド、dba=ジベンジリデンアセトン、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、DCM=ジクロロメタン、DEAD=ジエチルアゾジカルボキシレート、DIBAL-H=ジ-iso-ブチルアルミニウムハイドライド、DIEA=DIPEA= N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO-d6=ジュウテリウム化ジメチルスルホキシド、DMSO=ジメチルスルホキシド、DPPA=ジフェニルホスホリルアジド、dppf=1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、EDC・HCl= EDCI・HCl=1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド、Et=エチル、Et2O=ジエチルエーテル、EtOAc=エチルアセテート、EtOH=エタノール、h=時間、HATU=2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタンアミニウム、HMDS=ヘキサメチルジシラザン、HOBT=1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、i-Pr=イソプロピル=2-プロピル、i-PrOH=イソプロパノール、LAH=水素化アルミニウムリチウム、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、MeCN=アセトニトリル、MeI=メチルヨーダイド、MeOH=メタノール、MPカーボネート樹脂=マクロ多孔性トリエチルアンモニウムメチルポリスチレンカーボネート樹脂、MsCl=メシルクロライド、MTBE=メチル第3級ブチルエーテル、n-BuLi=n-ブチルリチウム、NaHMDS=ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、NaOEt=ナトリウムエトキシド、NaOMe=ナトリウムメトキシド、NaOtBu=ナトリウムt-ブトキシド、NBS=N-ブロモスクシンイミド、NCS=N-クロロスクシンイミド、NIS=N-ヨードスクシンイミド、NMP=N-メチル-2-ピロリドン、Pd(Ph3)4=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、Pd2(dba)3=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、PdCl2(PPh3)2=ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド、PG=保護基、Ph=フェニル、分取HPLC=分取高性能液体クロマトグラフィー、PMBCl=p-メトキシベンジル、PMBCl=p-メトキシベンジルクロライド、PMBOH=p-メトキシベンジルアルコール、PyBop=(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、Pyr=ピリジン、RT=室温、RuPhos=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシビフェニル、sat.=飽和、ss=飽和溶液、tBu=t-Bu=tert-ブチル=1,1-ジメチルエチル、TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオライド、TBDPS=t-ブチルジフェニルシリル、t-BuOH=tert-ブタノール、T3P=プロピルホスホン酸無水物、TEA=Et3N=トリエチルアミン、TFA=トリフルオロ酢酸、TFAA=無水トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TIPS=トリイソプロピルシリル、Tol=トルエン、TsCl=トシルクロライド=p-トルエンスルホニルクロライド、TosMIC=p-トルエンスルホニルメチルイソシアニド、Trt=トリチル=(トリフェニル)メチル、Xantphos=4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、XPhos=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル。
【0218】
化合物を調製するための一般的合成方法
以下のスキームを用いて本発明を実施可能である。
【0219】
【化15】
実施例1および類似化合物は、スキームIに示される一般的合成手順を用いて合成可能である。イミダゾール103は、アルデヒド101とグリオキサールとアミン102との反応から得られる。2当量のNISとの反応は4,5-ジヨード化合物104を与える。グリニャール試薬を用いたトランスメタル化は、5位で選択的に行われ、得られる有機金属種は、H
+でクエンチされて4-ヨード化合物105を与える。t-ブトキシカルボニル(Boc)保護基の除去はアミン106を与え、次いで、これをアルキル化剤R
102-Xと反応させると107を与える。α,ω-ジハロアルカンなどのアルキル化用二官能化試薬の使用は、環状アミン生成物を提供するであろう。たとえば、1-ブロモ-2-(2-ブロモエトキシ)エタンの使用は、モルホリン部分を有する生成物を提供するであろう。目標化合物108は、十分に確立されたカップリング技術を用いてアリールボロン酸エステルとヨード-イミダゾールとを反応させることにより得られる。以上の一般的経路に対してR
1基、R
3基、およびR
102基を変更する多くの自明な変更形態を想定可能であることは、当業者であれば十分に理解される。
【0220】
【化16】
スキームIIに示される一般的合成手順を用いて、代替R
4基を化合物に導入可能である。スキームIまたは他の適用可能な方法により調製される中間体106は、十分に確立されたカップリング技術を用いてアリールボロン酸エステルと反応させる。以上の一般的経路に対してR
1基、R
3基、R
4基、およびR
102基を変更する多くの自明な変更形態を想定可能であることは、当業者であれば十分に理解される。
【0221】
【化17】
実施例5a/bおよび類似化合物は、スキームIII(Bn=ベンジル=PhCH
2-)に示される一般的合成手順を用いて合成可能である。スキームIの第1の工程は、ベンジル保護グリコールアルデヒド401(R
1=BnOCH
2およびアミン102の代わりにビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンを用いてスキームIから得られる)を用いて実施され、(ベンジル)オキシ化合物402を与える。カップリングされた(ベンジル)オキシ中間体403までスキームIの手順を継続し、酸性条件下で脱保護して第1級アルコール404を与える。アルコールを対応するアルデヒド405に酸化し、次いで、好適な有機金属試薬と反応させると第2級アルコール406を与える。代替的に、F
-の存在下でアルデヒド405をTMSCF
3と反応させると406(R
401=CF
3)を提供する。任意に、406のエナンチオマーは、クロマトグラフィーなどの当分野で公知の方法(図示せず)により分離可能である。以上の一般的経路に対してR
3基およびR
401基を変更する多くの自明な変更形態を想定可能であることは、当業者であれば十分に理解される。
【0222】
【化18】
実施例7a/bおよび類似化合物は、スキームIVに示される一般的合成手順を用いて合成可能である。スキームIの第1の工程は、R
1=BnOCH
2を用いて実施され、Boc/(ベンジル)オキシ化合物501を与える。ジヨード化合物502への変換に続いて、Boc除去およびアミンアルキル化を行うと第3級アミン503を与える。モノヨード化合物は、グリニャール試薬との反応および続いて酸クエンチにより得られ、504を与える。スキームIVの手順を継続してアルデヒド505を与え、これを第2級アルコール506に変換する。任意に、506のエナンチオマーは、クロマトグラフィーなどの当分野で公知の方法(図示せず)により分離可能である。以上の一般的経路に対してR
3基、R
502基、およびR
502基を変更する多くの自明な変更形態を想定可能であることは、当業者であれば十分に理解される。
【0223】
【化19】
実施例12および類似化合物は、スキームVに示される一般的合成手順を用いて合成可能である。スキームIまたは他の適用可能な方法により調製される中間体105は、好適に保護されたα,ω-ジブロモ化合物、たとえば、示されるN-トシル化合物と反応させると環状アミンを与える。トシル基の除去は酸中で達成され、301を与える。この化合物は、次の工程まで維持可能であるか、または任意に、アルキル化または還元的アミノ化の条件下で適切なアルキル化剤またはカルボキサルデヒドで修飾して302を与えることが可能である。合成は、スキームIまたはスキームIIに示されるように302をカップリングさせることにより終了する。官能基R
301は、所望によりこの時点では修飾可能である。以上の一般的経路に対してR
1基、R
3基、およびR
301基を変更する多くの自明な変更形態を想定可能であることは、当業者であれば十分に理解される。
【0224】
【化20】
実施例11および類似化合物は、スキームVIに示される一般的合成手順を用いて合成可能である。Boc保護アミノビシクロエステル601は、酸で脱保護され、次いで、アルキル化剤と反応させると第3級アミン602を与える。エステルは加水分解され、得られるカルボン酸はベンゾトリアゾールアミド603に変換される。フタルイミド保護アセチルピリジンとの反応はジケトン604を与え、これを置換ヒドラジンと反応させるとピラゾール形成およびフタルイミド開裂の両方を達成する。以上の一般的経路に対してR
1基、R
3基、およびR
601基を変更する多くの自明な変更形態を想定可能であることは、当業者であれば十分に理解される。
【0225】
【化21】
実施例27および類似化合物は、スキームVIIに示される一般的合成手順を用いて合成可能である。イミダゾール602は、アルデヒド101とグリオキサールとアミン/エステル601との反応から得られる。2当量のNISとの反応は4,5-ジヨード化合物603を与える。グリニャール試薬を用いたトランスメタル化は、5位で選択的に行われ、得られる有機金属種は、H
+でクエンチされて4-ヨード化合物604を与える。エステル基はDIBAL-Hでアルデヒドに還元され、カルボキサルデヒド605を与える。p-トルエンスルホニルメチルイソシアニド(TosMIC)との反応は、606のオキサゾール基を形成する。目標化合物607は、以上に開示されるカップリング技術により得られる。以上の一般的経路に対してR
1基、R
3基、およびR
102基を変更する多くの自明な変更形態を想定可能であることは、当業者であれば十分に理解される。
【0226】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0227】
実施例1
5-(2-シクロプロピル-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化22】
工程1:tert-ブチル(3-(2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
25℃のMeOH(10ml)中のシクロプロパンカルバルデヒド(0.70g、10mmol)の溶液にtert-ブチル(3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート(1.98g、10mmol)を滴下し、続いて、NH
4OAc(0.77g、10mmol)を添加した。次いで、グリオキサール(1.45g、10mmol)を滴下し、混合物を25℃で24時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中0%~8%MeOH)により残渣を精製して、淡黄色泡状固体(1.75g、収率60%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
16H
23N
3O
2要求値:289、実測値:290[M+H]
+。
【0228】
工程2:tert-ブチル(3-(2-シクロプロピル-4,5-ジヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
DMF(20ml)中の前の工程からの生成物(1.75g、6.05mmol)の溶液にNIS(4.08g、18.1mmol)を添加し、得られた混合物を60℃で1時間撹拌した。次いで、飽和aq.Na2S2O3(10ml)および水(100ml)を添加した。水性相をEtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0%~30%EtOAc)により残渣を精製して、白色泡状固体(1.94g、59%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H21I2N3O2要求値:541、実測値:542[M+H]+。
【0229】
工程3:tert-ブチル(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
THF(30ml)中の前の工程からの生成物(1.94g、3.58mmol)の溶液にTHF中の2.0M iPrMgClの溶液(2.69ml、5.38mmol)を添加し、得られた混合物を-15℃で1時間撹拌した。飽和aq.NH4Cl(50mL)を添加して、層を分離させた。水性層をEtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0%~40%EtOAc)により残渣を精製して、白色泡状固体(1.27g、85%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H22IN3O2要求値:415、実測値:416[M+H]+。
【0230】
工程4:3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
TFA(10ml)およびCH2Cl2(10ml)中の前の工程からの生成物(1.27g、3.06mmol)の溶液を20℃で2時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を凍結乾燥させて白色固体(推定された定量的収率)として粗標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを次の工程で使用した。MS(ES+)C11H14IN3要求値:315、実測値:316[M+H]+。
【0231】
工程5:4-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
MeCN(20ml)中の前の工程からの生成物(1.2g、2.2mmol)の溶液にK2CO3(1.527g、11.05mmol)および1-ブロモ-2-(2-ブロモエトキシ)エタン(1.54g、6.63mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で16時間撹拌した。反応混合物をCELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2中0%~4%MeOH)により残渣を精製し、白色固体(630mg、74%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C15H20IN3O要求値:385、実測値:386[M+H]+。
【0232】
工程6:5-(2-シクロプロピル-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(10ml)中の前の工程からの生成物(630mg、1.64mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(597mg、1.96mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(66.8mg、0.082mmol)、およびK2CO3(2.45ml、4.91mmol)の脱ガス溶液を90℃で1時間撹拌した。水(50ml)および1M aq.HCl(10ml)を添加し、得られた混合物をEtOAcで抽出した(3×30ml)。水性層を10%aq.NaOHでpH5に、次いで、飽和aq.NaHCO3でpH8に塩基性化した。次いで、水性層をEtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2中0%~8%MeOH)により残渣を精製して、白色固体(560mg、79%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C21H24F3N5O2要求値:435、実測値:436[M+H]+。1H NMR(MeOD)δ:8.22(s,1H),7.78(s,1H),7.31(s,1H),3.73(t,4H,J=4.6Hz),2.56(t,4H,J=4.4Hz),2.44(s,6H),2.05-1.99(m,1H),1.03-0.96(m,4H)。
【0233】
実施例2
【化23】
実施例2は、工程1でイソブチルアルデヒドおよび工程6で5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミンを用いて実施例1と同様に作製した。MS(ES
+)C
21H
26F
3N
5O要求値:421、実測値:422[M+H]
+。
1H NMR(MeOD)δ:8.52(d,1H,J=2.0Hz),8.17(d,1H,J=1.9Hz),7.8(s,1H),3.77(t,4H,J=4.6Hz),3.65-3.59(m,1H),2.68(t,4H,J=4.6Hz),2.59(s,6H),1.46(d,6H,J=7.0Hz)。
【0234】
実施例3
5-(2-イソプロピル-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化24】
工程1:tert-ブチル(3-(2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
MeOH(500ml)中のイソブチルアルデヒド(14.55g、201.8mmol)の溶液に、tert-ブチル(3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート(40g、200mmol)、NH
4OAc(15.55g、201.7mmol)、および40% aq.グリオキサール(29.3g、202mmol)を添加した。混合物を25℃で16時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣に飽和aq.NaHCO
3(500mL)を添加して、混合物をEtOAc(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して粗標記化合物(52.5g、89%)を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ES
+)C
16H
25N
3O
2要求値:291、実測値:292[M+H]
+。
【0235】
工程2:tert-ブチル(3-(4,5-ジヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
DMF(200ml)中の前の工程からの生成物(52.5g、180mmol)の溶液にNIS(122g、541mmol)を添加し、得られた混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物に水(1000ml)および飽和aq.Na2S2O3(100ml)を添加し、混合物をEtOAc(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%EtOAc)により残渣を精製して、白色泡状固体(29.8g、30%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H23I2N3O2要求値:543、実測値:544[M+H]+。
【0236】
工程3:tert-ブチル(3-(4-ヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
THF(300ml)中の前の工程からの生成物(29.8g、54.9mmol)の溶液にTHF溶液(35.7ml、71.3mmol)中の2.0M iPrMgClを添加し、得られた混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、飽和aq.NH4Cl(500mL)で処理した。水性相をEtOAc(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0~50%EtOAc)により残渣を精製して、白色固体(21.4g,93%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H24IN3O2要求値:417、実測値:418[M+H]+。
【0237】
工程4:3-(4-ヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンジハイドロクロライド
AcCl(72.9ml、1030mmol)をMeOH(300ml)に滴下した。得られた溶液を室温に放冷し、次いで、前の工程からの生成物(21.4g、51.3mmol)を含有するフラスコに添加した。得られた混合物を室温で6時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮して白色固体(22.3g、111%)として粗標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ES+)C11H16IN3要求値:317、実測値:318[M+H]+。
【0238】
工程5:4-(3-(4-ヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
MeCN(300ml)中の前の工程からの生成物(20g、51mmol)の溶液に1-ブロモ-2-(2-ブロモエトキシ)エタン(35.7g、154mmol)およびK2CO3(28.4g、205mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で16時間撹拌した。混合物を室温に放冷し、次いで、CELITE(登録商標)に通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0~4%MeOH)により残渣を精製して、白色固体(16.1g,81%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C15H22IN3O要求値:387、実測値:388[M+H]+。
【0239】
工程6:5-(2-イソプロピル-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(100ml)中の前の工程からの生成物(16.1g、41.6mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(12.6g、41.6mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(1.698g、2.079mmol)、および2.0M aq.K2CO3(41.6ml、83mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物を室温に放冷し、次いで、水(1000ml)および1M aq.HCl(100mL)を添加した。水性相をEtOAc(3×300mL)で抽出した。10%aq.NaOHを用いて水性層をpH8~9に調整し、次いで、EtOAc(3×300ml)で抽出した。合わせた有機層の第2のセットを飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0~10%MeOH)により残渣を精製して、白色固体(14.2g,78%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C21H26F3N5O2要求値:437、実測値:438[M+H]+。1H NMR(CD3OD)δ8.28(d,1H,J=2.0Hz),7.90(s,1H),7.77(s,1H),3.78(t,4H,J=4.7Hz),3.64-3.58(m,1H),2.71(t,4H,J=4.7Hz),2.60(s,6H),1.46(d,6H,J=7.0Hz)。
【0240】
実施例4
【化25】
実施例4は、工程6で5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミンを用いて実施例1と同様に作製した。MS(ES
+)C
21H
24F
3N
5O要求値:419、実測値:420[M+H]
+。
1H NMR(MeOD)δ:8.48(d,1H,J=2.0Hz),8.14(d,1H,J=1.9Hz),7.82(s,1H),3.80(t,4H,J=4.6Hz),2.79(t,4H,J=4.4Hz),2.66(s,6H),2.34-2.29(m,1H),1.39-1.23(m,4H)。
【0241】
実施例5a/b
(S)-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)(シクロプロピル)メタノールおよび(R)-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)(シクロプロピル)メタノール
【化26】
工程1:(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)(シクロプロピル)メタノール
THF(2793μl)中の4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H -イミダゾール-2-カルバルデヒド(180mg、0.559mmol)およびシクロプロピルマグネシウムクロライド(56.3mg、0.559mmol)の混合物を0℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、飽和aq.NH
4Clで洗浄した。有機層をコットンに通して濾過し、そして減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→30%、カラム:C18)により残渣を精製してラセミ標記化合物(90mg、44%)を得た。MS(ES
+):C
18H
19F
3N
4O要求値:364、実測値:365[M+H]
+。キラルHPLC(カラム:Enantiopak AD(100×4.6mm 5μm)、溶出液:MeOH中0.2%アンモニア)によりラセミ標記化合物を分離して2種のエナンチオマーを得た。エナンチオマーは、類推により実施例7aおよび7bに帰属された。
【0242】
5a:(保持時間=1.62分)を白色固体(12.7mg、14%)として単離した。MS(ES+):C18H19F3N4O要求値:364、実測値:365[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ:8.56(s,1H),8.09(s,1H),7.03(s,1H),4.94(s,2H),4.67-4.49(m,1H),2.83-2.73(m,1H),2.66(s,1H),2.35(t,J=7.3Hz,6H),1.32-1.15(m,1H),0.71-0.29(m,4H)。
【0243】
5b:(保持時間=2.24分)を白色固体(15.7mg、17%)として単離した。MS(ES+):C18H19F3N4O要求値:364、実測値:365[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.56(s,1H),8.09(s,1H),7.03(s,1H),4.94(s,2H),4.67-4.49(m,1H),2.83-2.73(m,1H),2.66(s,1H),2.35(t,J=7.3Hz,6H),1.32-1.15(m,1H),0.71-0.29(m,4H)。
【0244】
実施例6a/b
(S)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノールおよび(R)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノール
【化27】
工程1:2-((ベンジルオキシ)メチル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,5-ジヨード-1H-イミダゾール
MeOH(3.3mL)中の2-(ベンジルオキシ)アセトアルデヒド(600mg、4.00mmol)の溶液に、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン(831mg、10.0mmol)、NH
4OAc(771mg、10.0mmol)、および40%aq.グリオキサール(1451mg、10.00mmol)を添加した。得られた混合物を室温で6時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、減圧下で濃縮して粗2-(ベンジルオキシメチル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール(MS(ES
+)C
16H
18N
2O要求値:254、実測値:255[M+H]
+)を与え、これをDMF(3.3mL)に溶解させた後、NIS(6750mg、30.0mmol)で処理した。混合物を90℃で30分間撹拌し、室温に放冷し、次いで、飽和aq.Na
2S
2O
3で処理した。混合物を室温で30分間急速撹拌し、次いで、EtOAcと水との間で分配させた。有機層を減圧下で濃縮し、SiO
2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0%~100%EtOAc)により残渣を精製して褐色固体(1200mg、24%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
16H
16I
2N
2O要求値:506、実測値:507[M+H]
+。
【0245】
工程2:2-(ベンジルオキシメチル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-ヨード-1H-イミダゾール
-60℃のTHF(10mL)中の前の工程からの生成物(0.5g、1mmol)の溶液にEt2O溶液(1mL、3mmol)中の3.0M EtMgBrを添加し、混合物を30分間撹拌し、次いで、飽和aq.NH4Clで処理した。混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaCl(30mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して黄色油(0.35g、92%)として標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ES+)C16H17IN2O要求値:380、実測値:381[M+H]+。
【0246】
工程3:5-(2-(ベンジルオキシメチル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン
DMF(6mL)中の前の工程からの生成物(230mg、0.60mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン(208mg、0.722mmol)、2M aq.K2CO3(2mL、4mmol)、およびPd(dppf)Cl2(54mg、0.065mmol)の混合物を脱ガスし、N2でパージし、次いで、90℃で30分間撹拌した。混合物を室温に放冷し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(1:1EtOAc/石油エーテル)により残渣を精製して標記化合物(180mg、72%)を得た。MS(ES+):C22H21F3N4O要求値:414、実測値:415[M+H]+。
【0247】
工程4:(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)メタノール
0℃のDCM(40mL)中の前の工程からの生成物(180mg、0.43mmol)の混合物にBF3-SMe2錯体(0.8mL)を添加した。混合物を一晩撹拌し、RTに放温し、次いで、水性相がpH=11になるまで1M aq.NaOHで処理した。混合物をDCM(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaCl(35mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(10:1DCM/MeOH)により残渣を精製して標記化合物(100mg、71%)を得た。MS(ES+):C15H15F3N4O要求値:324、実測値:325[M+H]+。
【0248】
工程5:4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H -イミダゾール-2-カルバルデヒド
DCM(40mL)中の前の工程からの生成物(100mg、0.3mmol)の混合物にMnO2(254mg、2.92mmol)を添加した。混合物を一晩撹拌し、次いで、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮して標記化合物(100mg、100%)を得た。MS(ES+):C15H13F3N4O要求値:322、実測値:323[M+H]+。
【0249】
工程6:1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノール
0℃のTHF(5mL)中の前の工程からの生成物(50mg、0.15mmol)の溶液にTMSCF3(0.11mL、0.75mmol)を添加した。混合物を5分間撹拌し、次いで、THF(0.75mL、0.75mmol)中のTBAFの1M溶液を滴下した。混合物を一晩撹拌し、室温に放温し、飽和aq.NaHCO3で処理し、次いで、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaCl(35mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=10mM重炭酸アンモニウム/水、B=MeCN、グラジエント:B=18分以内で5%→95%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(30mg、50%)としてラセミ標記化合物を得た。MS(ES+):C16H14F6N4O要求値:392、実測値:393[M+H]+。キラルHPLC(カラム:Enantiopak AD(100×4.6mm 5μm)、溶出液:IPA中0.1%DEA)によりラセミ標記化合物を分離して2種のエナンチオマーを得た。エナンチオマーは、類推により実施例7aおよび7bに帰属された。
【0250】
6a:(保持時間=1.38分)を白色固体(9mg、30%)として単離した。MS(ES+):C16H14F6N4O要求値:392、実測値:393[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ:8.56(s,1H),8.08(s,1H),7.14(s,1H),5.19-5.09(m,1H),5.00(s,2H),4.35-4.15(m,1H),2.71(s,1H),2.40-2.35(m,6H)。
【0251】
6b:(保持時間=2.47分)を白色固体(11mg、36%)として単離した。MS(ES+):C16H14F6N4O要求値:392、実測値:393[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.56(s,1H),8.08(s,1H),7.14(s,1H),5.19-5.09(m,1H),5.00(s,2H),4.35-4.15(m,1H),2.71(s,1H),2.40-2.35(m,6H)。
【0252】
実施例7a/7b
(S)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オールおよび(R)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール
【化28】
工程1:tert-ブチル-N-[3-[2-(ベンジルオキシメチル)イミダゾール-1-イル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]カルバメート
MeOH(60mL)中のベンジルオキシアセトアルデヒド(1.90mL、13.1mmol)の混合物に、tert-ブチル(3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート(2.0g、10mmol)、NH
4OAc(3.14g、40.4mmol)、および40%aq.グリオキサール(1.65mL、14.4mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、水に注加し、そしてEtOAcで抽出した。有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して黄色油(1.74g、47%)として粗標記化合物を与え、これを次の工程で直接使用した。MS(ES
+):C
21H
27N
3O
3要求値:369、実測値:370[M+H]
+。
【0253】
工程2:tert-ブチル-3-(2-(ベンジルオキシメチル)-4,5-ジヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルカルバメート
DMF(50mL)中の前の工程からの生成物(1.74g、4.71mmol)の混合物にNIS(5.30g、23.6mmol)を添加し、混合物を50℃で3時間撹拌し、次いで、水に注加し、そしてEtOAc(2×60mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaCl(4×20mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中の0%~40%のEtOAc)により残渣を精製して黄色固体(2.4g、82%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C21H25I2N3O3要求値:621、実測値:622[M+H]+。
【0254】
工程3:tert-ブチル-3-(2-(ベンジルオキシメチル)-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルカルバメート
-78℃のTHF(45mL)中の前の工程からの生成物(2.4g、3.9mmol)の混合物にEt2O溶液(2.58mL、7.74mmol)中の3.0M EtMgBrを添加し、混合物を-78℃で2時間撹拌し、次いで、飽和aq.NH4Clで処理し、そしてEtOAc(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaCl(45mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中の10%~60%のEtOAc)により残渣を精製して白色固体(1.2g、63%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C21H26IN3O3要求値:495、実測値:496[M+H]+。
【0255】
工程4:4-(3-(2-(ベンジルオキシメチル)-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
DCM(25mL)中の前の工程からの生成物(1.2g、2.4mmol)の混合物にTFA(5mL)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮して褐色油(MS(ES+):C16H18IN3O要求値:395、実測値:396[M+H]+)として粗3-(2-(ベンジルオキシメチル)-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミントリフルオロアセテートを得た。油をMeCN(25mL)で処理し、混合物にK2CO3(1.59g、11.5mmol)およびビス(2-ブロモエチル)エーテル(1.08mL、6.91mmol)を添加した。得られた混合物を90℃で16時間撹拌し、次いで、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2中0%~4%MeOH)により残渣を精製して白色固体(841mg、75%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C20H24IN3O2、要求値:465、実測値:466[M+H]+。
【0256】
工程5:5-(2-(ベンジルオキシメチル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(5mL)中の前の工程からの生成物(445mg、956μmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(436mg、1.43mmol)、2M aq.K2CO3(2.39mL、4.78mmol)、およびPd(dppf)Cl2(119.54mg、143.45μmol)の混合物を脱ガスし、N2でパージし、次いで、90℃で30分間撹拌した。混合物を室温に放冷し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中10%~80%EtOAc)により残渣を精製して白色固体(400mg、81%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C26H28F3N5O3要求値:515、実測値:516[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.35(d,J=1.8Hz,1H),7.80(d,J=1.5Hz,1H),7.41-7.29(m,5H),7.09(s,1H),4.72(s,2H),4.64(s,2H),4.55(s,2H),3.86-3.67(m,4H),2.53-2.44(m,4H),2.31(s,6H)。
【0257】
工程6:(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)メタノール
TFA(15mL)中の前の工程からの生成物(436mg、846μmol)の混合物を還流下で一晩撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を飽和aq.NaHCO3とDCMとの間で分配し、有機層をMgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して白色固体(324mg、90%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C19H22F3N5O3要求値:425、実測値:426[M+H]+、1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.32(appar brs,1H),7.77(appar brs,1H),7.05(s,1H),4.81(appar brs,2H),4.73(s,2H),3.77(appar brs,4H),2.53(appar brs,4H),2.36(s,6H)。
【0258】
工程7:4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-カルバルデヒド
CHCl3(75mL)中の前の工程からの生成物(297mg、698μmol)の混合物にMnO2(639mg、6.98mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中25%~60%EtOAc)により残渣を精製して黄色固体(204mg、69%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C19H20F3N5O3要求値:423、実測値:424[M+H]+、1H NMR(500MHz,CDCl3)δ9.81(d,J=0.7Hz,1H),8.39(d,J=1.9Hz,1H),7.87(s,1H),7.29(d,J=1.5Hz,1H),4.83(s,2H),3.80-3.68(m,4H),2.62-2.50(m,4H),2.45(s,6H)。
【0259】
工程8:(S)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オールおよび(R)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2イル)-2-メチルプロパン-1-オール
-78℃のTHF(5mL)中の前の工程からの生成物(186mg、439μmol)の混合物にTHF(5.07mL、6.59mmol)中の1.3M iPrMgCl/LiCl溶液を添加し、混合物を-78℃で2時間撹拌し、室温に一晩放温し、次いで、飽和aq.NH4Clで処理し、そしてEtOAc(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaCl(45mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MEOH)により残渣を精製して黄色固体(50.5mg、25%)としてラセミ標記化合物を得た。MS(ES+):C22H28F3N5O3要求値:467、実測値:468[M+H]+、1H NMR(500MHz,MeOD)δ8.33(d,J=1.9Hz,1H),8.03(s,1H),7.90(s,1H),4.79(d,J=6.9Hz,1H),3.95-3.73(m,4H),2.98-2.89(m,4H),2.70(q,J=9.3Hz,6H),2.19(dq,J=13.4,6.7Hz,1H),1.12(d,J=6.6Hz,3H),0.99(d,J=6.8Hz,3H)。キラルHPLC(カラム:OZ-H(100×4.6mm 5μm)、溶出液:MeOH中0.2%アンモニア)によりラセミ標記化合物を分離して2種のエナンチオマーを得た。エナンチオマーは、DLKタンパク質構築物に結合された実施例7aの結晶構造に基づいて帰属した。
【0260】
7a:(保持時間=1.74分)を白色固体(9.8mg、39%)として単離した。MS(ES+):C22H28F3N5O3要求値:467、実測値:468[M+H]+、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.33(d,J=1.8Hz,1H),7.77(s,1H),7.00(s,1H),4.76(s,2H),4.49(brs,1H),3.79-3.71(m,4H),2.96(brs,1H),2.59-2.44(m,4H),2.40-2.29(m,6H),2.18-2.10(m,1H),1.02(d,J=6.7Hz,3H),0.96(d,J=6.8Hz,3H)。
【0261】
7b:(保持時間=2.37分)を白色固体(9.6mg、38%)として単離した。MS(ES+):C22H28F3N5O3要求値:467、実測値:468[M+H]+、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.33(d,J=1.8Hz,1H),7.77(s,1H),7.00(s,1H),4.78(s,2H),4.49(brs,1H),3.80-3.68(m,4H),3.02(brs,1H),2.62-2.44(m,4H),2.38-2.26(m,6H),2.19-2.11(m,1H),1.02(d,J=6.7Hz,3H),0.96(d,J=6.8Hz,3H)。
【0262】
実施例8a/8b
(S)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノールおよび(R)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノール
【化29】
工程1:1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノール
0℃のTHF(25mL)中の4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3イル)-1-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-カルバルデヒド(340mg、0.802mmol)の混合物にTMSCF
3(1.6mL、12mmol)を添加し、混合物を5分間撹拌し、次いで、それにTHF溶液(4mL、4mmol)中の1M TBAFを滴下した。混合物を一晩撹拌し、室温に放温し、飽和aq.NaHCO
3で処理し、次いで、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaCl(45mL)で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=10mM重炭酸アンモニウム/水およびB=MeCN、グラジエント:B=18分以内で5%→95%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体としてラセミ標記化合物を得た。MS(ES
+):C
20H
21F
6N
5O
3要求値:477、実測値:478[M+H]
+。キラルHPLC(カラム:Enantiopak AD(100×4.6mm 5μm)、溶出液:IPA中0.1%DEA)によりラセミ標記化合物を分離して2種のエナンチオマーを得た。エナンチオマーは、類推により実施例7aおよび7bに帰属された。
【0263】
8a:(保持時間=1.34分)を白色固体(25mg、17%)として単離した。MS(ES+):C20H21F6N5O3要求値:493、実測値:494[M+H]+、1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.35(d,J=1.7Hz,1H),7.76(s,1H),7.12(s,1H),5.13(d,J=5.3Hz,1H),4.81(s,2H),4.56(s,1H),3.93-3.56(m,4H),2.63-2.44(m,4H),2.36(q,J=9.4Hz,6H)。
【0264】
8b:(保持時間=1.82分)を白色固体(26mg、17%)として単離した。MS(ES+):C20H21F6N5O3要求値:493、実測値:494[M+H]+、1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.35(d,J=1.7Hz,1H),7.76(s,1H),7.12(s,1H),5.13(d,J=5.3Hz,1H),4.81(s,2H),4.56(s,1H),3.93-3.56(m,4H),2.63-2.44(m,4H),2.36(q,J=9.4Hz,6H)。
【0265】
実施例9a/9b
(S)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-(4-(プロプ-2-イニル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オールおよび(R)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-(4-(プロプ-2-イニル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール
【化30】
工程1:1-(3-(2-(1-(ベンジルオキシ)-2-メチルプロピル)-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-トシルピペラジン
DCM(10mL)中のtert-ブチル3-(2-(1-(ベンジルオキシ)-2-メチルプロピル)-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルカルバメート(1.00g、1.86mmol)の溶液にTFA(5mL)を添加した。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮して粗3-(2-(1-(ベンジルオキシ)-2-メチルプロピル)-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミントリフルオロアセテート(MS(ES
+)C
19H
24IN
3O要求値:437、実測値:438[M+H]
+)を得た。この残渣をMeCN(15mL)で処理し、得られた混合物にN,N-ビス(2-ブロモエチル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド(2.15g、5.58mmol)およびK
2CO
3(1.28g、9.26mmol)を添加した。得られた混合物を90℃で一晩撹拌し、次いで、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0%~90%EtOAc)により残渣を精製して白色固体(680mg、55%)として標記化合物を得た。MS(ES
+):C
30H
37IN
4O
3S要求値:660、実測値:661[M+H]
+。
【0266】
工程2:1-(4-ヨード-1-(3-(ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール
AcOH(5mL)中の前の工程からの生成物(680mg、1.03mmol)の溶液にAcOH溶液(5mL)中の40%HBrおよび4-ヒドロキシ安息香酸(427mg、3.09mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、水(10mL)で希釈し、そしてEtOAc(3×20mL)で洗浄した。NaOHを用いて水性層をpH=11に調整し、次いで、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層の第2のセットをNa2SO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して無色油(360mg、84%)として粗標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ES+):C16H25IN4O要求値:416、実測値:417[M+H]+。
【0267】
工程3:1-(4-ヨード-1-(3-(4-(プロプ-2-イニル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール
0℃のCHCl3(8mL)中の前の工程からの生成物(360mg、0.86mmol)の溶液に、3-ブロモプロプ-1-イン(153mg、1.29mmol)およびDIEA(333mg、2.58mmol)を添加した。得られた混合物を0℃で6時間撹拌し、次いで、濃縮して白色固体(340mg、64%)として粗標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ES+)C19H27IN4O要求値:454、実測値:455[M+H]+。
【0268】
工程4:1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-(4-(プロプ-2-イニル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール
DMF(3mL)中の前の工程からの粗生成物(340mg、0.75mmol)の溶液に、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(456mg、1.50mmol)、Pd(dppf)Cl2(83mg、0.11mmol)、および2M aq.K2CO3(1.875mL、3.75mmol)を添加した。得られた混合物を脱ガスし、N2でパージし、次いで、90℃で30分間撹拌した。混合物を室温に放冷し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A =10M NH4HCO3/水およびB=MeCN、グラジエント:B=9.5分以内で30%→60%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(58mg、15%)としてラセミ標記化合物を得た。MS(ES+)C25H31F3N6O2要求値:504、実測値:505[M+H]+。キラルHPLC(カラム:OZ-H(100×4.6mm 5μm)、溶出液:MeOH中0.1%NH3)によりラセミ標記化合物を分離して2種のエナンチオマーを得た。エナンチオマーは、類推により実施例7aおよび7bに帰属された。
【0269】
9a:(保持時間=1.29分)(25mg、43%)。MS(ES+)C25H31F3N6O2要求値:504、実測値:505[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.33(d,J=1.8Hz,1H),7.76(s,1H),6.99(s,1H),4.74(s,2H),4.49(s,1H),3.34(d,J=2.3Hz,2H),2.95(s,1H),2.64(d,J=27.8Hz,8H),2.35(q,J=9.4Hz,6H),2.27(t,J=2.3Hz,1H),2.14(dd,J=13.2,6.6Hz,1H),0.99(dd,J=28.1,6.7Hz,6H)。
【0270】
9b:(保持時間=1.99分)(19mg、32%)。MS(ES+)C25H31F3N6O2要求値:504、実測値:505[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.33(d,J=1.8Hz,1H),7.77(s,1H),7.00(s,1H),4.72(s,2H),4.50(s,1H),3.34(d,J=2.4Hz,2H),2.85(s,1H),2.64(d,J=29.2Hz,8H),2.35(q,J=9.4Hz,6H),2.27(t,J=2.4Hz,1H),2.13(dd,J=13.1,6.6Hz,1H),0.99(dd,J=21.7,6.7Hz,6H)。
【0271】
実施例10
(S)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-(4-(プロピル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール
【化31】
工程1:(S)-1-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(3-(4-(プロピル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オール
MeOH(3mL)中の化合物9a(12mg、0.024mmol)の溶液に10%Pd/C(10mg)を添加した。得られた混合物をH
2雰囲気下、室温で3時間撹拌し、次いで、濾過し、そして減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=10mM重炭酸アンモニウム/水およびB=MeCN、グラジエント:B=9.7分以内で40%→70%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(1.2mg、9%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
25H
35F
3N
6O
2要求値:508、実測値:509[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ8.25(d,J=1.7Hz,1H),7.69(s,1H),6.92(s,1H),4.68(s,2H),4.41(d,J=6.1Hz,1H),2.52(brs,5H),2.27(q,J=9.1Hz,8H),2.06(dd,J=13.3,6.6Hz,1H),1.50-1.42(m,6H),0.95(d,J=6.7Hz,3H),0.89-0.82(m,6H)。
【0272】
実施例11
5-(1-イソプロピル-5-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン
【化32】
2-(5-アセチル-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの調製
DCM(24.9ml)中の5-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン(1500mg、6.22mmol)、フタロイルジクロライド(1516mg、7.467mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(152mg、1.24mmol)、およびTEA(2588μl、18.67mmol)の混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、1M aq.HCl(30mL)で処理して3時間撹拌した。混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、飽和aq.NH
4Cl(30mL)で洗浄し、そして減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0%~100%EtOAc)により残渣を精製して2-(5-ブロモ3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(600mg、26%)を得た。MS(ES
+)C
14H
6BrF
3N
2O
2要求値:370、実測値:371[M+H]
+。
【0273】
1,4-ジオキサン(6790μl)中の前の工程からの生成物(630mg、1.70mmol)、(Ph3P)2PdCl2(179mg、0.255mmol)、およびトリブチル(1-エトキシビニル)スタンナン(644mg、1.78mmol)の混合物を100℃で7時間撹拌し、次いで、室温に放冷し、そして10M aq.KF(3mL)で処理した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、濾過して白色固体を除去し、EtOAc(50mL)で希釈し、飽和aq.NH4Cl(50mL)で洗浄し、そして減圧下で濃縮した。残渣を1M aq.HCl(50mL)で処理し、MeOH(50mL)に溶解させ、そして混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、次いで、EtOAc(100mL)と飽和aq.NaHCO3(50mL)との間で分配させた。有機層を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中20%~100%EtOAc)により残渣を精製して白色固体(480mg、85%)として2-(5-アセチル-3-(トリフルオロメチル)-ピリジン-2-イル)イソインドリン-1,3-ジオンを得た。MS(ES+)C16H9F3N2O3要求値:334、実測値:335[M+H]+。
【0274】
工程1:メチル3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
DCM(2072μl)およびTFA(2072μl)中のメチル3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(200mg、0.829mmol)の混合物を2時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をMeCN(4150μl)で処理し、得られた溶液をK2CO3(574mg、4.15mmol)および1-ブロモ-2-(2-ブロモエトキシ)エタン(577mg、2.49mmol)に添加した。得られた混合物を90℃で2時間撹拌し、次いで、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~4%MeOH)により残渣を精製して白色固体(110mg、63%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C11H17NO3要求値:211、実測値:212[M+H]+。
【0275】
工程2:(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)メタノン
室温の1:1:1THF/MeOH/水(12mL)中の前の工程からの生成物(1.00g、4.73mmol)の溶液にLiOH・H2O(570mg、13.6mmol)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣を水(15mL)で希釈し、次いで、EtOAc(2×15ml)で抽出した。1M aq.HClで水性層をpH=5~6に酸性化し、次いで、減圧下で濃縮して1.2gの残渣(粗3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸であると推定される)を得た。残渣をSOCl2(10mL)で処理し、得られた混合物を還流下で2時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮して残渣とし、これを20mLのDCMに溶解させ、そして0℃のDCM(10mL)およびEt3N(2.48mL、17.8mmol)中の1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(720mg、6.05mmol)の溶液に滴下した。混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、0℃の飽和aq.NH4Cl(10mL)で処理し、次いで、DCM(20mL)で抽出した。有機層を飽和aq.NaHCO3(2×20mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、そして減圧下で濃縮して灰色固体(700mg、50%)として粗標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ESI+)C16H18N4O2要求値:298、実測値:299[M+H]+。
【0276】
工程3:2-(5-(3-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-3-オキソプロパノイル)-3-(トリフルオロメチル)-ピリジン-2-イル)イソインドリン-1,3-ジオン2,2,2-トリフルオロアセテート
DCM(419μl)中のMgBr2・OEt2(87mg、0.34mmol)、TEA(93μl、0.670mmol)、および前の工程からの生成物(50.0mg、0.168mmol)のサスペンジョンに、DCM(419μl)中の2-(5-アセチル-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(56.0mg、0.168mmol)の溶液を滴下した。混合物を1時間撹拌し、次いで、EtOAc(30mL)で希釈し、濾過して固体を除去し、そして減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で30%→70%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(67.0mg、64%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C26H22F3N3O5要求値:513、実測値:514[M+H]+。
【0277】
工程4:5-(1-イソプロピル-5-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン
EtOH(536μl)中のイソプロピルヒドラジンハイドロクロライド(35.5mg、0.321mmol)および前の工程からの生成物(67.0mg、0.107mmol)の溶液を70℃で2時間撹拌し、次いで、室温に放冷した。溶液にNH2NH2・H2O(107mg、2.14mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で20%→50%、カラム:C18)により残渣を精製して、TFA塩の混合物として2種の生成物を与え、これを塩基性逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%NH3/水およびB=0.1%NH3/MeCN、グラジエント:B=20分以内で0%→90%、カラム:C18)により分離して、白色固体(4mg、9%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C21H26F3N5O要求値:421、実測値:422[M+H]+。1H NMR(600MHz,CD3OD)δ8.51(d,J=1.95Hz,1H),8.11(d,J=1.95Hz,1H),6.35(s,1H),4.66(q,J=6.6Hz,1H),3.72(t,J=4.6Hz,4H),2.55(t,J=4.5Hz,4H),2.21(s,6H),1.48(d,J=6.9Hz,6H)。他の異性体(5-(1-イソプロピル-3-(3-モルホリノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)-3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン)もまた、白色固体(10mg、22%)として単離した。MS(ES+)C21H26F3N5O要求値:421、実測値:422[M+H]+。1H NMR(600MHz,CDCl3)δ8.21(d,J=1.95Hz,1H),7.66(d,J=1.95Hz,1H),6.07(s,1H),5.11(s,2H),4.36(q,J=6.6Hz,1H),3.77(s,4H),2.53(s,4H),2.11(s,6H),1.45(d,J=6.9Hz,6H)。
【0278】
実施例12
5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化33】
工程1:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-トシルピペラジン
MeCN(20mL)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン2,2,2-トリフルオロアセテート(600mg、1.4mmol)の溶液にN,N-ビス(2-ブロモエチル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド(1.29g、3.36mmol)およびK
2CO
3(774mg、5.60mmol)を添加した。得られた混合物を90℃で一晩撹拌し、次いで、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0%~90%EtOAc)により残渣を精製して標記化合物(200mg、26%)を得た。MS(ES
+):C
22H
27IN
4O
2S要求値:538、実測値:539[M+H]
+。
【0279】
工程2:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペラジン
AcOH(0.5mL)中の前の工程からの生成物(200mg、0.37mmol)の溶液にAcOH溶液(0.5mL)中の40%HBrを添加した。得られた混合物を90℃で1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣を0.5mLのMeOHでスラリー化し、固体を捕集して標記化合物(100mg、71%)を得た。MS(ES+):C15H21IN4要求値:384、実測値:385[M+H]+。
【0280】
工程3:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-メチルピペラジン
MeOH(5mL)中の前の工程からの生成物(100mg、0.26mmol)の混合物に38%aq.ホルムアルデヒド溶液(2.0ml)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、NaBH3CN(20mg、0.31mmol)で処理し、そして室温で一晩撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、そして逆相分取HPLC(移動相:A=10mM重炭酸アンモニウム/水およびB=MeCN、グラジエント:B=18分以内で60%→95%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(40.0mg、40%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C16H23IN4要求値:398、実測値:399[M+H]+。
【0281】
工程4:5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(1mL)中の前の工程からの生成物(40mg、0.1mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(36mg、0.12mmol)、2M aq.K2CO3(0.19mL、0.38mmol)、およびPd(dppf)Cl2(13.54mg、16.25μmol)の混合物を脱ガスし、N2でパージし、次いで、90℃で30分間撹拌した。混合物を室温に放冷し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=10mM NH4HCO3/H2OおよびB=MeCN、グラジエント:B=18分以内で0%→45%、カラム:C18)により残渣を精製して、黄色固体(5.5mg、12%)として標記化合物を得た。MS(ES+):C22H27F3N6O要求値:448、実測値:449[M+H]+、1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.30(s,1H),7.75(s,1H),6.97(s,1H),4.67(s,2H),2.48-2.40(m,17H),1.89(tt,J=8.3,5.0Hz,1H),1.13-0.83(m,4H)。
【0282】
実施例13
【化34】
4-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)チオモルホリン1,1-ジオキシド
工程1:4-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)チオモルホリン1,1-ジオキシド
EtOH(1ml)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(150mg、0.276mmol)の溶液にDIEA(0.241ml、1.38mmol)および(ビニルスルホニル)エテン(65.3mg、0.552mmol)を添加し、得られた混合物を60℃で2時間撹拌した。形成された沈殿物を濾過により捕集して、白色固体(95mg、79%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
15H
20IN
3O
2S要求値:433、実測値:434[M+H]
+。
【0283】
工程2:4-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)チオモルホリン1,1-ジオキシド
DMF(1ml)中の前の工程からの生成物(94mg、0.22mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(79mg、0.26mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(17.7mg、0.022mmol)、および2M aq.K2CO3(0.325ml、0.650mmol)の脱ガス溶液を90℃で1時間撹拌した。混合物に1M aq.HCl(1mL)および水(10ml)を添加して、混合物をEtOAc(3×5mL)で抽出した。水性相を10%aq.NaOHでpH=5に、次いで、飽和aq.NaHCO3でpH=8~9に調整した。次いで、水性相をEtOAc(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して白色固体(62mg、59%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C21H24F3N5O3S要求値:483、実測値:484[M+H]+。1H NMR(CD3OD)δ8.21(d,1H,J=2.0Hz),7.77(s,1H),7.30(s,1H),3.17-3.07(m,8H),2.48(s,6H),2.05-1.98(m,1H),1.03-0.96(m,4H)。
【0284】
実施例14
5-(1-(3-(1,4-オキサゼパン-4-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化35】
工程1:3-(2-(トシルオキシ)エトキシ)プロピル4-メチルベンゼンスルホネート
0℃のピリジン(2ml)中の3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロパン-1-オール(240mg、2.00mmol)の溶液に4-トルエンスルホニルクロリド(800mg、4.19mmol)を添加し、得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。混合物を氷水に注加し、沈殿物を濾過により単離して、白色固体(658mg、77%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
19H
24O
7S
2要求値:428、実測値:429[M+H]
+。
【0285】
工程2:4-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1,4-オキサゼパン
MeCN(1mL)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(50mg、0.092mmol)の溶液にK2CO3(63.6mg、0.460mmol)および前の工程からの生成物(79mg、0.18mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で8時間撹拌した。混合物をCELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~8%MeOH)により残渣を精製して白色固体(15mg、41%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H22IN3O要求値:399、実測値:400[M+H]+。
【0286】
工程3:5-(1-(3-(1,4-オキサゼパン-4-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(15mg、0.038mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(13.7mg、0.045mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(3.07mg、3.76μmol)、および2M aq.K2CO3(0.056ml、0.112mmol)の脱ガス溶液を90℃で1時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で0%→30%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色粉末(5mg、20%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C22H26F3N5O2要求値:449、実測値:450[M+H]+。1H NMR(MeOD)δ8.25(d,1H,J=2.0Hz),7.94(s,1H),7.82(s,1H),3.95(t,2H,J=4.8Hz),3.87(t,2H,6.1Hz),3.52(t,2H,J=5.4Hz),3.46(t,2H,J=4.8Hz),2.92(s,6H),2.29-2.18(m,3H),1.35-1.22(m,4H)。
【0287】
実施例15
5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化36】
工程1:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペラジンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
AcOH(1ml)中の1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-トシルピペラジン(100mg、0.186mmol)の溶液にAcOH溶液(0.336ml)中の30%HBrを添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で0%→30%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(66mg、58%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
15H
21IN
4要求値:384、実測値:385[M+H]
+。
【0288】
工程2:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジン
MeCN(0.5ml)中の前の工程からの生成物(15mg、0.024mmol)の溶液に、DIEA(0.021ml、0.122mmol)および2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(11.4mg、0.049mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(7mg、41%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C17H22F3IN4要求値:466、実測値:467[M+H]+。
【0289】
工程3:5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(7mg、10μmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(3.68mg、0.012mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(0.823mg、1.01μmol)、および3.0M aq.K2CO3(10μl、0.030mmol)の脱ガス溶液を90℃で1時間撹拌した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色固体(4mg、46%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C23H26F6N6O要求値:516、実測値:517[M+H]+。1H NMR(CD3OD)δ8.25(d,1H,J=1.9Hz),7.94(s,1H),7.83(s,1H),3.31-3.26(m,2H),3.23-3.14(m,4H),3.07-2.98(m,4H),2.81(s,6H),2.30-2.25(m,1H),1.35-1.22(m,4H)。
【0290】
実施例16
5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化37】
工程1:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-(メチルスルホニル)ピペラジンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
MeCN(0.5ml)中の1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペラジンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(15mg、0.024mmol)の溶液に、DIEA(0.021ml、0.122mmol)およびメタンスルホニルクロリド(3.82μl、0.049mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して、無色液体(9mg、53%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
16H
23IN
4O
2S要求値:462、実測値:463[M+H]
+。
【0291】
工程2:5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(9.0mg、0.013mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(4.76mg、0.016mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(1.065mg、1.304μmol)、および3M aq.K2CO3(0.013ml、0.039mmol)の脱ガス溶液を90℃で1時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で0%→30%、カラム:C18)により残渣を精製して、白色粉末(5mg、52%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C22H27F3N6O3S要求値:512、実測値:513[M+H]+。1H NMR(MeOD)δ8.26(d,1H,J=1.8Hz),7.92(s,1H),7.82(s,1H),3.34-3.30(m,4H),2.88(s,3H),2.78-2.73(m,4H),2.60(s,6H),2.34-2.29(m,1H),1.36-1.23(m,4H)。
【0292】
実施例17
5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-(2-フルオロエチル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化38】
工程1:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-(2-フルオロエチル)ピペラジン
MeCN(1ml)中の1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペラジンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(30mg、0.049mmol)の溶液にK
2CO
3(33.9mg、0.245mmol)および1-フルオロ-2-ヨードエタン(17.0mg、0.098mmol)を添加し、得られた混合物を60℃で1時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して、無色液体(9.0mg、42%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
17H
24FIN
4要求値:430、実測値:431[M+H]
+。
【0293】
工程2:5-(2-シクロプロピル-1-(3-(4-(2-フルオロエチル)ピペラジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミントリス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
DMF(1ml)中の前の工程からの生成物、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(6.22mg、0.020mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(1.518mg、1.859μmol)、およびK2CO3(7.71mg、0.056mmol)の脱ガス溶液を90℃で1時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して白色固体(10mg、収率65%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C23H28F4N6O要求値:480、実測値:481[M+H]+。1H NMR(CD3OD)δ8.27(d,1H,J=1.6Hz),7.99(s,1H),7.84(s,1H),4.91(t,1H,J=4.3Hz),4.83(t,1H,J=4.3Hz),3.61(t,1H,J=4.3Hz),3.57(t,1H,J=4.3Hz),3.21-2.90(m,8H),2.59(s,6H),2.34-2.29(m,1H),1.36-1.23(m,4H)。
【0294】
実施例18
4-(3-(2-シクロプロピル-4-(3-(トリフルオロメチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
【化39】
工程1:4-(3-(2-シクロプロピル-4-(3-(トリフルオロメチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
DMF(1ml)中の4-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン(実施例1、工程5、30mg、0.078mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(41.3mg、0.093mmol)、PdCl
2(dppf)-CH
2Cl
2(6.36mg、7.79μmol)、および2M aq.K
2CO
3(0.117ml、0.234mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で20%→60%、カラム:C18)により残渣を精製して白色粉末(23mg、37%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
29H
38F
3N
5O
2Si要求値:573、実測値:574[M+H]
+。
【0295】
工程2:4-(3-(2-シクロプロピル-4-(3-(トリフルオロメチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
TFA(0.5ml)およびDCM(0.5ml)中の4-(3-(2-シクロプロピル-4-(3-(トリフルオロメチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(22mg、0.027mmol)の溶液を室温で6時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をMeOHに溶解させ、次いで、エチレンジアミン(18.5μl、0.274mmol)を添加し、得られた混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して白色粉末(13mg、71%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C23H24F3N5O要求値:443、実測値:444[M+H]+。1H NMR(CD3OD)δ8.27(d,1H,J=1.6Hz),7.99(s,1H),7.84(s,1H),4.91(t,1H,J=4.3Hz),4.83(t,1H,J=4.3Hz),3.61(t,1H,J=4.3Hz),3.57(t,1H,J=4.3Hz),3.21-2.90(m,8H),2.59(s,6H),2.34-2.29(m,1H),1.36-1.23(m,4H)。
【0296】
実施例19
5-(2-シクロプロピル-1-(3-(ピペリジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化40】
工程1:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペリジン
MeCN(1ml)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(50mg、0.092mmol)の溶液にK
2CO
3(63.6mg、0.460mmol)および1,5-ジブロモペンタン(63.5mg、0.276mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で8時間撹拌した。混合物をCELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~4%MeOH)により残渣を精製して白色固体(26mg、74%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
16H
22IN
3要求値:383、実測値:384[M+H]
+。
【0297】
工程2:5-(2-シクロプロピル-1-(3-(ピペリジン-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(1ml)中の前の工程からの生成物(20mg、0.052mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(26mg、0.086mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(5.82mg、7.13μmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.107ml、0.214mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製してビストリフルオロアセテート塩として標記化合物を得た。塩を水(2ml)に溶解させ、そして飽和aq.NaHCO3を用いて混合物をpH=9に調整した。沈殿物を濾過により単離して白色固体(16mg、52%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C22H26F3N5O要求値:433、実測値:434[M+H]+。1H NMR(CD3OD)δ8.22(d,1H,J=2.0Hz),7.80(s,1H),7.49(s,1H),3.10-2.69(m,4H),2.65(s,6H),2.15-2.06(m,1H),1.90-1.48(m,6H),1.16-1.03(m,4H)。
【0298】
実施例20
4-(3-(2-シクロプロピル-4-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
【化41】
工程1:6-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン
0℃のDMF(5ml)中の鉱油(120mg、3.0mmol)中60%NaHのサスペンジョンに6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン(394mg、2.00mmol)を添加し、得られた混合物を0℃で5分間撹拌した。混合物をトリメチルシリルエトキシメチルクロライド(0.532ml、3.00mmol)で処理し、次いで、室温で2時間撹拌した。混合物を飽和aq.NH
4Cl(10mL)で処理し、そしてEtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中10%~60%EtOAc)により残渣を精製して黄色液体(455mg、70%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
13H
19BrN
2OSi要求値:326、実測値:327[M+H]
+。
【0299】
工程2:6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン
1,4-ジオキサン(5ml)中の前の工程からの生成物(200mg、0.611mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(233mg、0.917mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(49.9mg、0.061mmol)、およびKOAc(180mg、1.83mmol)の脱ガス混合物を90℃で2時間撹拌した。水(10mL)を添加して層を分離した。水性相をEtOAc(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して褐色油(229mg、100%)として粗標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ES+)C19H31BN2O3Si要求値:374、実測値:293[M-82+H]+。
【0300】
工程3:4-(3-(2-シクロプロピル-4-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
DMF(1ml)中の前の工程からの生成物(58.3mg、0.156mmol)、4-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン(実施例1、工程5、60mg、0.16mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(12.7mg、0.016mmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.234ml、0.467mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。水(10mL)を添加して層を分離した。水性相をEtOAc(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~8%MeOH)により残渣を精製して黄褐色泡状固体(45mg、57%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C28H39N5O2Si要求値:505、実測値:506[M+H]+。
【0301】
工程4:4-(3-(2-シクロプロピル-4-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
TFA(1ml)およびDCM(1ml)中の前の工程からの生成物(43mg、0.085mmol)の溶液を室温で3時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をMeOH(1ml)に溶解させ、エチレンジアミン(0.115ml、1.70mmol)を添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で0%→30%、カラム:C18)により残渣を精製して黄色固体(39mg、76%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C22H25N5O要求値:375、実測値:376[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6)δ12.49(s,br,1H),8.93(s,1H),8.68(s,1H),8.14(s,1H),7.99(s,1H),6.80(s,1H),3.73-3.64(m,4H),2.66-2.55(m,4H),2.46(s,6H),2.20-2.12(m,1H),1.09-0.97(m,4H)。
【0302】
実施例21
4-(3-(2-シクロプロピル-4-(1-(2-フルオロエチル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
【化42】
工程1:4-(3-(2-シクロプロピル-4-(1-(2-フルオロエチル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)
MeCN(0.5ml)中の4-(3-(2-シクロプロピル-4-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(15mg、0.025mmol)の溶液にK
2CO
3(10.3mg、0.075mmol)および1-フルオロ-2-ヨードエタン(6.49mg、0.037mmol)を添加し、得られた混合物を80℃で3時間撹拌した。混合物を濾過して濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して白色固体(8mg、50%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
24H
28FN
5O要求値:421、実測値:422[M+H]
+。
1H NMR(CD
3OD)δ8.87(d,1H,J=1.2Hz),8.83(s,1H),8.07(d,1H,J=3.3Hz),7.85(s,1H),6.85(d,1H,J=3.3Hz),4.87-4.84(m,1H),4.79-4.74(m,2H),4.73-4.70(m,1H),3.81(t,4H,J=4.6Hz),2.80(t,4H,J=4.6Hz),2.63(s,6H),2.23-2.17(m,1H),1.22-1.13(m,4H)。
【0303】
実施例22
4-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1-メチルピペラジン-2-オン
【化43】
工程1:メチル(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)グリシネート
MeCN(3ml)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(200mg、0.368mmol)の溶液にK
2CO
3(254mg、1.84mmol)およびメチル2-ブロモアセテート(84mg、0.55mmol)を添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を濾過して濾液を減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して無色液体(126mg、88%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
14H
18IN
3O
2要求値:387、実測値:388[M+H]
+。
【0304】
工程2:(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)グリシン
THF(1ml)および水(1ml)中の前の工程からの生成物(125mg、0.323mmol)の溶液にLiOH(23.2mg、0.968mmol)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で0%→30%、カラム:C18)により残渣を精製して白色固体(152mg、収率78%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C13H16IN3O2要求値:373、実測値:374[M+H]+。
【0305】
工程3:4-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1-メチルピペラジン-2-オン
DMF(1ml)中の前の工程からの生成物(150mg、0.249mmol)の溶液に、2-ブロモ-N-メチルエタンアミンハイドロブロマイド(65.5mg、0.299mmol)、HATU(114mg、0.299mmol)、およびDIEA(0.218ml、1.25mmol)を添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。水(10mL)を添加して層を分離した。水性相をEtOAc(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して白色固体(52mg、51%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H21IN4O要求値:412、実測値:413[M+H]+。
【0306】
工程4:4-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1-メチルピペラジン-2-オン
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(50mg、0.12mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(44.3mg、0.146mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(9.90mg、0.012mmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.182ml、0.364mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して残渣を得た。残渣を水に溶解させ、混合物を飽和aq.NaHCO3でpH=8に調整した。沈殿物を濾過により単離して白色固体(25mg、収率45%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C22H25F3N6O2要求値:462、実測値:463[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6)δ8.28(d,1H,J=1.8Hz),7.69(s,1H),7.46(s,1H),6.29(s,2H),3.33-3.30(t,2H,J=5.5Hz),3.06(s,2H),2.84(s,3H),2.73-2.70(t,2H,J=5.5Hz),2.35(s,6H),2.04-1.98(m,1H),0.93-0.85(m,4H)。
【0307】
実施例23
1-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-メチルピペラジン-2-オン
【化44】
工程1:2-ブロモ-N-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
0℃のDMF(1ml)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(272mg、0.500mmol)の溶液に、2-ブロモ酢酸(83mg、0.60mmol)、HATU(228mg、0.600mmol)、およびDIEA(0.437ml、2.50mmol)を添加した。得られた混合物を1時間撹拌し、次いで、飽和aq.NH
4Cl(10ml)で処理した。混合物をEtOAc(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して無色液体(212mg、97%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
13H
15BrIN
3O要求値:435および437、実測値:436および438の[M+H]
+。
【0308】
工程2:2-((2-ブロモエチル)(メチル)アミノ)-N-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
MeCN(2ml)中の前の工程からの生成物(210mg、0.482mmol)の溶液に、K2CO3(333mg、2.41mmol)および2-ブロモ-N-メチルエタンアミン(199mg、1.44mmol)を添加し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を濾過して濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して無色液体(155mg、65%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H22BrIN4O要求値:492、実測値:493[M+H]+。
【0309】
工程3:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-メチルピペラジン-2-オン
MeCN(3ml)中の前の工程からの生成物(150mg、0.304mmol)の溶液にK2CO3(126mg、0.912mmol)を添加し、得られた混合物を80℃で2時間撹拌した。混合物を濾過して濾液を減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して白色固体(25mg、20%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H21IN4O要求値:412、実測値:413[M+H]+。
【0310】
工程4:1-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4-メチルピペラジン-2-オン
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(23mg、0.056mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(13.1mg、0.043mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(2.93mg、3.59μmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.090ml、0.180mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して残渣を得た。残渣を水に溶解させ、混合物を飽和aq.NaHCO3でpH=8に調整した。沈殿物を濾過により単離して白色固体(9mg、54%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C22H25F3N6O2要求値:462、実測値:463[M+H]+。1H NMR(CD3OD)δ8.22(d,1H,J=1.6Hz),7.78(s,1H),7.33(s,1H),3.45(t,2H,J=5.6Hz),3.09(s,2H),2.81(s,6H),2.73(t,2H,J=5.6Hz),2.35(s,3H),2.05-2.00(m,1H),1.03-0.97(m,4H)。
【0311】
実施例24
5-(2-シクロプロピル-1-(3-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化45】
工程1:3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)-N-(2-メトキシエチル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
MeCN(1ml)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(200mg、0.368mmol)の溶液にK
2CO
3(50.9mg、0.368mmol)および1-ブロモ-2-メトキシエタン(154mg、1.10mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で16時間撹拌した。混合物を濾過して濾液を減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して無色液体(30mg、22%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
14H
20IN
3O要求値:373、実測値:374[M+H]
+。
【0312】
また、ジアルキル化生成物の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)-N,N-ビス(2-メトキシエチル)ビシクロ-[1.1.1]ペンタン-1-アミン(56mg、35%)もこの反応混合物から単離した。MS(ES+)C17H26IN3O2要求値:431、実測値:432[M+H]+。この化合物は、以下の実施例25の化合物の合成に使用した。
【0313】
工程2:3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
DCM(1ml)中の前の工程からの生成物(20mg、0.054mmol)の溶液にホルマリン(0.015ml、0.201mmol)を添加し、得られた混合物を室温で10分間撹拌した。NaBH(OAc)3(114mg、0.536mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。飽和aq.NaHCO3(5mL)を添加して層を分離した。水性層をDCM(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して白色固体(16mg、77%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C15H22IN3O要求値:387、実測値:388[M+H]+。
【0314】
工程3:5-(2-シクロプロピル-1-(3-((2-メトキシエチル)(メチル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(15mg。0.039mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(14mg、0.046mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(3.16mg、3.87μmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.058ml、0.116mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して残渣を得た。残渣を水に溶解させ、混合物を飽和aq.NaHCO3でpH=8に調整した。沈殿物を濾過により単離して白色固体(8mg、47%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C21H26F3N5O2要求値:437、実測値:438[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6)δ8.28(d,1H,J=1.7Hz),7.69(s,1H),7.45(s,1H),6.32(s,2H),3.42(t,2H,6.0Hz),3.25(s,3H),2.57(t,2H,J=6.0Hz),2.31(s,6H),2.23(s,3H),2.04-1.99(m,1H),0.93-0.84(m,4H)。
【0315】
実施例25
5-(1-(3-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化46】
工程1:3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)-N,N-ビス(2-メトキシエチル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
この化合物は、以上に記載のように実施例24の化合物の合成の工程1で得られた。
【0316】
工程2:5-(1-(3-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(1ml)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)-N,N-ビス(2-メトキシエチル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン(40mg、0.093mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(33.8mg、0.111mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(7.57mg、9.27μmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.139ml、0.278mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B = 12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して残渣を得た。残渣を水に溶解させ、混合物を飽和aq.NaHCO3でpH=8に調整した。沈殿物を濾過により単離して白色固体(22mg、49%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C23H30F3N5O3要求値:481、実測値:482[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6)δ8.28(d,1H,J=1.6Hz),7.68(s,1H),7.45(s,1H),6.32(s,2H),3.37(t,4H,J=6.3Hz),3.25(s,6H),2.74(t,4H,J=6.3Hz),2.34(s,6H),2.05-2.00(m,1H),0.93-0.84(m,4H)。
【0317】
実施例26
1-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペリジン-4-オール
【化47】
工程1:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペリジン-4-オン
MeCN(3ml)中の3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(200mg、0.368mmol)の溶液にK
2CO
3(254mg、1.84mmol)および1,5-ジブロモペンタン-3-オン(135mg、0.552mmol)を添加し、得られた混合物を75℃で16時間撹拌した。混合物をブフナー漏斗に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して無色液体(82mg、56%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
16H
20IN
3O要求値:397、実測値:398[M+H]
+。
【0318】
工程2:1-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペリジン-4-オール
MeOH(5ml)中の前の工程からの生成物(300mg、0.755mmol)の溶液にNaBH4((86mg、2.3mmol))を添加し、得られた混合物を室温で0.5時間撹拌した。飽和aq.NaHCO3(1mL)を添加して混合物を減圧下で濃縮した。水(10mL)を添加して混合物をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~10%MeOH)により残渣を精製して白色泡状固体(212mg、70%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H22IN3O。要求値:399、実測値:400[M+H]+。
【0319】
工程3:1-(3-(4-(6-アミノ-5-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-3-イル)-2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)ピペリジン-4-オール
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(40mg、0.10mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(36.6mg、0.120mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(8.18mg、10.0μmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.150ml、0.301mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で0%→30%、カラム:C18)により残渣を精製して残渣を得た。残渣を水に溶解させ、混合物を飽和aq.NaHCO3でpH=8に調整した。沈殿物を濾過により単離して白色固体(31mg、69%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C22H26F3N5O2要求値:449、実測値:450[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6)δ8.28(s,1H),7.69(s,1H),7.46(s,1H),6.32(s,2H),4.60(s,1H),3.50-3.42(m,1H),2.74-2.68(m,2H),2.30(s,6H),2.18-2.10(m,2H),2.05-1.97(m,1H),1.77-1.70(m,2H),1.44-1.35(m,2H),0.94-0.83(m,4H)。
【0320】
実施例27
5-(2-シクロプロピル-1-(3-(オキサゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
【化48】
工程1:メチル3-(2-シクロプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
MeOH(5ml)中のシクロプロパンカルバルデヒド(70.0mg、0.999mmol)の溶液に、メチル3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(141mg、0.999mmol)、NH
4OAc(77mg、0.10mmol)、および40%aq.グリオキサール(145mg、0.999mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。SiO
2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して白色固体(93mg、40%)として標記化合物を得た。MS(ES
+)C
13H
16N
2O
2要求値:232、実測値:233[M+H]
+。
【0321】
工程2:メチル3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
DMF(2ml)中の前の工程からの生成物(92mg、0.40mmol)の溶液にNIS(267mg、1.19mmol)を添加し、得られた混合物を60℃で2時間撹拌した。飽和aq.Na2S2O3(1ml)および水(10ml)を添加し、混合物をEtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0%~40%EtOAc)により残渣を精製して淡黄色液体を与え、これをTHF(2mL)に溶解させて-78℃に冷却した。混合物にTHF溶液(200μL、0.400mmol)中の2.0M iPrMgClを添加し、得られた混合物を-78℃で1時間撹拌した。飽和aq.NH4Cl(10mL)を添加して層を分離した。水性層をEtOAc(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0%~50%EtOAc)により残渣を精製して白色固体(58mg、41%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C13H15IN2O2要求値:358、実測値:359[M+H]+。
【0322】
工程3:5-(3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)オキサゾール
-78℃のDCM(2ml)中の前の工程からの生成物(58mg、0.16mmol)の溶液にDIBAL-H(46.1mg、0.324mmol)を添加し、得られた混合物を-78℃で1時間撹拌した。飽和aq.NH4Cl(10mL)を添加して混合物をEtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaClで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して粗3-(2-シクロプロピル-4-ヨード-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルバルデヒド(MS(ES+)C12H13IN2O要求値:328、実測値:329[M+H]+)を与え、これをMeOH(2mL)に溶解させた。混合物にK2CO3(67.0mg、0.485mmol)およびトルエンスルホニルメチルイソシアニド(37.8mg、0.194mmol)を添加し、得られた混合物を60℃で16時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(DCM中0%~5%MeOH)により残渣を精製して白色固体(26mg、44%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C14H14IN3O要求値:367、実測値:368[M+H]+。
【0323】
工程4:5-(2-シクロプロピル-1-(3-(オキサゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-イミダゾール-4イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン
DMF(0.5ml)中の前の工程からの生成物(25mg、0.068mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリフルオロメトキシ)ピリジン-2-アミン(24.8mg、0.082mmol)、PdCl2(dppf)-CH2Cl2(5.56mg、6.81μmol)、および2.0M aq.K2CO3(0.102ml、0.204mmol)の脱ガス溶液を90℃で2時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)に通して濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/水、B=0.1%TFA/MeCN、グラジエント:B=12分以内で10%→40%、カラム:C18)により残渣を精製して残渣を得た。残渣を水に溶解させ、混合物を飽和aq.NaHCO3でpH=8に調整した。沈殿物を濾過により単離して白色固体(15mg、53%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C20H18F3N5O2要求値:417、実測値:418[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6)δ8.33(s,1H),8.30(d,1H,J=1.9Hz),7.70(s,1H),7.54(s,1H),7.09(s,1H),6.33(s,2H),2.70(s,6H),2.10-2.04(m,1H),0.95-0.87(m,4H)。
【0324】
実施例28
4-(3-(2-イソプロピル-4-(1-(1-(ピリジン-2-イル)エチル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
【化49】
工程1:tert-ブチル3-(2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルカルバメート
MeOH(20mL)中のtert-ブチル3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルカルバメート(2.0g、10mmol)およびイソブチルアルデヒド(727mg、10.1mmol)の溶液に、NH
4OAc(777mg、10.1mmol)および40%aq.グリオキサール(1.46g、10.1mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、濃縮し、そしてDCMで希釈した。得られた混合物を飽和aq.NaHCO
3および飽和aq.NaClで逐次的に洗浄し、MgSO
4で脱水し、濾過し、そして濃縮して褐色油(2.1g、72%)として標記化合物を与え、さらなる精製を行うことなくこれを使用した。MS(ES
+)C
16H
25N
3O
2要求値:291、実測値:292[M+H]
+。
【0325】
工程2:tert-ブチル3-(4,5-ジヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルカルバメート
DMF(20mL)中の前の工程からの生成物(2.0g、6.6mmol)の溶液にNIS(4.64g、20.6mmol)を添加し、混合物を50℃で3時間撹拌した。混合物を水に注加してEtOAc(2×45mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaCl(4×25mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0%~25%EtOAc)により残渣を精製して黄色固体(1.81g、50%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H23I2N3O2要求値:543、実測値:544[M+H]+。
【0326】
工程3:tert-ブチル3-(4-ヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルカルバメート
-78℃のTHF(20mL)中の前の工程からの生成物(1.81g、3.33mmol)の溶液に、Et2O溶液(3.33mL、6.66mmol)中の2.0M EtMgClを添加し、混合物を-78℃で1時間撹拌した。飽和aq.NH4Clを添加して混合物をEtOAc(3×80mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和aq.NaCl(50mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して黄色固体(900mg、65%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C16H24IN3O2要求値:417、実測値:418[M+H]+。
【0327】
工程4:3-(4-ヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
DCM(10mL)中の前の工程からの生成物(400mg、0.959mmol)の溶液にTFA(2mL)を添加して室温で一晩撹拌し、次いで、混合物を減圧下で濃縮した。残渣を飽和aq.NaHCO3で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して黄色固体(200mg、65%)として標記化合物を得た。MS(ES+)C11H16IN3要求値:317、実測値:318[M+H]+。
【0328】
工程5:4-(3-(4-ヨード-2-イソプロピル-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
MeCN(10mL)中の前の工程からの生成物(200mg、0.63mmol)の溶液に、1-ブロモ-2-(2-ブロモエトキシ)エタン(291mg、1.26mmol)およびK2CO3(434mg、3.15mmol)を添加し、混合物を90℃で一晩撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を飽和aq.NaHCO3で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。SiO2ゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中0%~100%EtOAc)により残渣を精製して標記化合物(100mg、41%)を得た。MS(ES+)C15H22IN3O要求値:387、実測値:388[M+H]+。
【0329】
工程6:4-(3-(2-イソプロピル-4-(1-(1-(ピリジン-2-イル)エチル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)-1H-イミダゾール-1-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)モルホリン
DMF(2mL)中の前の工程からの生成物、1-(1-(ピリジン-2-イル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン(80mg、0.23mmol)、2.0M aq.K2CO3(1.0mL、2.0mmol)、およびPd(dppf)Cl2(19mg、0.02mmol)の混合物を脱ガスし、N2でパージし、90℃で30分間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。逆相分取HPLC(移動相:A=10mM重炭酸アンモニウム/水、B=MeCN、グラジエント:B=18分以内で60%→95%、カラム:C18)により残渣を精製して標記化合物(15mg、19%)を得た。MS(ES+)C29H34N6O要求値:482、実測値:483[M+H]+。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ8.74(d,J=1.7Hz,1H),8.61(d,J=4.0Hz,1H),8.05(s,1H),7.53(ddd,J=27.6,19.1,11.6Hz,2H),7.21-7.11(m,1H),7.05(s,1H),6.79-6.77(m,2H),5.84(q,J=7.2Hz,1H),3.94-3.56(m,4H),3.23-2.99(m,1H),2.75-2.41(m,4H),2.36(s,6H),2.00(d,J=7.1Hz,3H),1.37(d,J=6.8Hz,6H)。
【0330】
以上に一般的に記載される方法を用いて以下の化合物を調製した。(手順#=実施例#の調製手順)
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【0336】
【0337】
【0338】
【0339】
【0340】
【0341】
【0342】
以下の化合物は、一般的には、以上に記載の方法を用いて作製可能である。この化合物は、本明細書に開示される実施例で作製されたものに類似した活性を有することが期待される。
【化50】
【0343】
DLK阻害剤としての実施例1~76の化合物の活性は、以下のアッセイで例示される。
【0344】
生物学的活性アッセイ
本明細書に記載の化合物は、in vitroでDLKに結合することおよび細胞アッセイで下流分子標的のリン酸化を阻害することが示されている。
【0345】
DLK Kdの決定
DLK解離定数(Kd)は、DiscoveRxのKINOMEscan KdELECT Serviceで決定した。
【0346】
全長ヒトDLK(アミノ酸1~859)とNFkBのDNA結合ドメインとの融合タンパク質を一過性トランスフェクトHEK293細胞で発現させた。Protease Inhibitor Cocktail Complete(Roche)およびPhosphatase Inhibitor Cocktail Set II(Merck)の存在下で製造業者の使用説明書に従って、このHEK293細胞から抽出物をM-PER抽出緩衝液(Pierce)中に調製した。DLK融合タンパク質は、qPCRリードアウト用アンプリコンに融合されたNFkB結合部位(5’-GGGAATTCCC-3’)を含有するキメラ二本鎖DNAタグを発現抽出物に直接添加して標識した(結合反応時DNAタグの最終濃度は0.1nMである)。
【0347】
ストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(Dynal M280)をビオチン化低分子リガンドで30分間室温処理し、結合アッセイ用親和性樹脂を形成した。非結合リガンドを除去して非特異的結合を低減するために、リガンド付きビーズを過剰のビオチンでブロックしてブロッキング緩衝液(SeaBlock(Pierce)、1%BSA、0.05%Tween20、1mM DTT)で洗浄した。
【0348】
16μlのDNAタグ付きキナーゼ抽出物、3.8μlのリガンド付きアフィニティービーズ、および0.18μlの試験化合物(PBS/0.05%Tween20/10mM DTT/0.1%BSA/2μg/ml超音波処理サケ精子DNA)を組み合わせることにより、結合反応を構成した。酵素精製工程をなんら用いることなく≧10,000倍の全ストック希釈倍率で抽出物を結合アッセイに直接使用した(最終のDNAタグ付き酵素濃度<0.1nM)。抽出物をDNAタグと共にロードし、2工程プロセスで希釈して結合反応に供した。最初の抽出物は、10nM DNAタグを含有する1×結合緩衝液(PBS/0.05%Tween20/10mM DTT/0.1%BSA/2μg/ml超音波処理サケ精子DNA)で1:100に希釈した。この希釈倍率で室温で15分間平衡化させ、その後、続いて1×結合緩衝液で1:100に希釈した。試験化合物は、100%DMSO中111×ストックとして調製した。Kdは、3つのDMSO対照ポイントと共に11ポイント3倍化合物希釈系列を用いて決定した。Kd測定に供される化合物はすべて、100%DMSOでアコースティックトランスファー(非接触ディスペンシング)により分配される。その場合、化合物は、DMSOの最終濃度が0.9%となるように直接希釈してアッセイに供される。反応はすべて、ポリプロピレン384ウェルプレートで実施した。各々0.02mLの最終体積であった。アッセイ系は、室温で1時間にわたり振盪しながらインキュベートした。次いで、ビーズをペレット化し、洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%Tween20)で洗浄し、変位したキナーゼおよび試験化合物を除去した。洗浄されたビーズは、溶出緩衝液(1×PBS、0.05%Tween20、0.5μM非ビオチン化親和性リガンド)に再懸濁させ、振盪しながら室温で30分間インキュベートした。溶出液中のキナーゼ濃度は、qPCRにより測定した。qPCR反応は、0.15μMアンプリコンプライマーおよび0.15μMアンプリコンプローブを含有する7.5μLのqPCRマスターミックスに2.5μLのキナーゼ溶出液を添加することにより構成した。qPCRプロトコルは、95℃で10分間のホットスタート、続いて、95℃で15秒間と60℃で1分間との35サイクルからなっていた。
【0349】
試験化合物の取扱い。試験化合物は、100%DMSO中111×ストックとして調製した。Kdは、3つのDMSO対照ポイントと共に11ポイント3倍化合物希釈系列を用いて決定した。Kd測定に供される化合物はすべて、100%DMSOでアコースティックトランスファー(非接触ディスペンシング)により分配される。次に、化合物は、DMSOの最終濃度が0.9%となるように直接希釈してアッセイに供された。Kdは、30,000nMの化合物最大濃度を用いて決定した。Kd測定は、デュプリケートで実施した。
【0350】
結合定数(K
d)の計算。結合定数(K
d)は、標準的用量-反応曲線を用いてヒル式:
【数1】
により計算した。
【0351】
ヒルスロープは-1に設定した。曲線は、レーベンバーグ・マーカートアルゴリズムによる非線形最小二乗当てはめを用いて当てはめた(Levenberg,K.,A method for the solution of certain non-linear problems in least squares,Q.Appl.Math.2,164-168(1944))。また、Fabian,M.A.et al.A small molecule-kinase interaction map for clinical kinase inhibitors.Nat.Biotechnol.23,329-336(2005)、Wodicka,L.M.et al.Activation state-dependent binding of small molecule kinase inhibitors:structural insights from biochemistry.Chem Biol.17,1241-9(2010)も参照されたい。
【0352】
より小さな解離定数を有する化合物は、より大きな親和性で標的に結合する。本明細書に開示される化合物、とくに(他を除外するものではないが)より小さな解離定数を有するものは、標的の活性を阻害してDLK媒介疾患の治療に有用であると予想しうる。結果は、以下の表2aおよび2bにnM単位で報告される。
【0353】
ホスホ-cJun細胞アッセイ
Dox誘導性ヒトDLKが安定にトランスフェクトされたHEK293細胞を、10%ウシ胎仔血清、1.5μg/mlドキシサイクリン、および1μg/mlピューロマイシンを含有する20μlのDMEM培地(フェノールレッドを含まない)の入った384ウェルプレート(40,000細胞/ウェル)にプレーティングした。陰性対照の細胞は、ドキシサイクリンの不在下で成長させた。プレートを37℃、5%CO2で20時間インキュベートした後、DMSO(対照)または培地に希釈された化合物を添加した。細胞を37℃でさらに5時間インキュベートした後、溶解させて製造業者のプロトコルに従ってp-cJun(Ser63)細胞アッセイキット(Cisbio)に基づいて付加検出抗体で調べた。可変スロープモデル:シグナル=シグナル陰性対照+(シグナルDMSO対照-シグナル陰性対照)/(1+(IC50/用量)^ヒルスロープ)を用いてGenedata Screenerソフトウェアにより標準的用量反応曲線の当てはめを行った。式中のシグナルおよび用量のみを既知の値として扱った。結果は、以下の表2aおよび2bにnM単位で報告される。表2bの値は、化合物の複数のバッチで行った追加のアッセイランを反映し、平均化の際は表2aのデータを含める。
【0354】
【0355】
【0356】
【0357】
本出願に引用されている米国または外国の参照文献、特許、または出願はすべて、あたかもそれら全体が本明細書に記載されたがごとく本出願をもって参照により組み込まれる。なんらかの矛盾を生じた場合、本明細書に実際に開示されたものが優先する。
【0358】
以上の説明から、当業者であれば、本発明の本質的特性を容易に確認することが可能であり、その趣旨および範囲から逸脱することなく本発明に種々の変更および修正を加えて種々の用途および条件に適合させることが可能である。