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特許7128835リチウム塩混合物、及びその電池電解質としての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】リチウム塩混合物、及びその電池電解質としての使用
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0568 20100101AFI20220824BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20220824BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20220824BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20220824BHJP
【FI】
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M10/0567
H01M10/052
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019554352
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 FR2018050825
(87)【国際公開番号】W WO2018185422
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】1752915
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, グレゴリー
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-198508(JP,A)
【文献】特表2015-500554(JP,A)
【文献】国際公開第2016/146925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M 4/00- 4/62
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
85mol%~99.9mol%のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及び
・0.1mol%~15mol%のリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート
を含む、電池の電解質のためのリチウム塩の混合物。
【請求項2】
・以下のモルパーセンテージのうちいずれかのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド:85%~99%、85%~98.5%、85%~98%、85%~97.5%、85%~97%、85.5%~99.9%、86%~99.9%、86%~99.5%、86.5%~99.5%、87%~99.5%、87%~99%、87.5%~99.9%、87.5%~99.5%、87.5%~99%、88%~99.9%、88%~99.5%、88%~99%、89%~99.9%、89%~99.5%、89%~99%、89.5%~99.9%、89.5%~99.5%、89.5%~99%、90%~99.9%、90%~99.5%、90%~99.5%、90%~99%、90%~98.5%、90%~98%、90%~97.5%、90%~97%、90%~96.5%、90%~96%、91%~99.9%、91%~99.5%、91%~99%、91%~98.5%、91%~98%、91%~97.5%、91%~97%、91%~96.5%、91%~96%、92%~99.9%、92%~99.5%、92%~99%、92%~98.5%、92%~98%、92%~97.5%、92%~97%、92%~96.5%、92%~96%、93%~99.9%、93%~99.5%、93%~99%、93%~98.5%、93%~98%、93%~97.5%、93%~97%、93%~96.5%、93%~96%、94%~99.9%、94%~99.5%、94%~99%、94%~98.5%、94%~98%、94%~97.5%、94%~97%、94%~96.5%、94%~96%、95%~99.9%、95%~99.5%、又は95%~99%、及び
・以下のモルパーセンテージのうちいずれかのリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート:15%~1%、15%~1.5%、15%~2%、15%~2.5%、15%~3%、14.5%~0.1%、14%~0.1%、14%~0.5%、13.5%~0.5%、13%~0.5%、13%~1%、12.5%~0.1%、12.5%~0.5%、12.5%~1%、12%~0.1%、12%~0.5%、12%~1%、11%~0.1%、11%~0.5%、11%~1%、10.5%~0.1%、10.5%~0.5%、11.5%~1%、10%~0.1%、10%~0.5%、10%~1%、10%~1.5%、10%~2%、10%~2.5%、10%~3%、10%~3.5%、10%~4%、9%~0.1%、9%~0.5%、9%~1%、9%~1.5%、9%~2%、9%~2.5%、9%~3%、9%~3.5%、9%~4%、8%~0.1%、9%~0.5%、8%~1%、8%~1.5%、8%~3%、8%~2.5%、8%~3%、8%~3.5%、8%~4%、7%~0.1%、7%~0.5%、7%~1%、7%~1.5%、7%~2%、7%~2.5%、7%~3%、7%~3.5%、7%~4%、6%~0.1%、6%~0.5%、6%~1%、6%~1.5%、6%~2%、6%~2.5%、6%~3%、6%~3.5%、6%~4%、5%~0.1%、5%~0.5%、又は5%~1%
を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
・リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドのモルパーセンテージが、95%以上であり、
・リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレートのモルパーセンテージが、5%以下である、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項4】
・86mol%~99.9mol%のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及び
・14mol%~0.1mol%のリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート
を含む、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の混合物の、Liイオン電池における使用であって、-30℃~65℃の間の範囲の温度における、使用。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム塩の混合物、及び少なくとも1つの溶媒を含む、電解質組成物。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム塩の混合物、少なくとも1つの溶媒、及び少なくとも1つの電解質添加剤を含む、電解質組成物。
【請求項8】
電解質組成物におけるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド及びリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレートのモル濃度が、5mol/l以下である、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
・0.85~0.999mol/lのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及び
・0.15~0.001mol/lのリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート
を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
・0.86~0.999mol/lのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及び
・0.14~0.001mol/lのリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート
を含む、請求項6からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
溶媒が、エーテル類、カーボネート類、エステル類、ケトン類、部分的に水素化された炭化水素類、ニトリル類、アミド類、アルコール類、スルホキシド類、スルホラン、ニトロメタン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項6から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
溶媒が、カーボネート類及びその混合物から選択される、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
電解質添加剤が、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、ピリダジン、ビニルピリダジン、キノリン、ビニルキノリン、ブタジエン、セバコニトリル、LiB(C、硝酸リチウム、アルキルジスルフィド、フルオロトルエン、1,4-ジメトキシテトラフルオロトルエン、オキシム、脂肪族エポキシド、ハロゲン化ビフェニル、メタクリル酸、アリルエチルカーボネート、酢酸ビニル、ジビニルアジペート、アクリロニトリル、2-ビニルピリジン、無水マレイン酸、メチルシンナメート、ホスホネート、ビニル含有シラン化合物、2-シアノフラン、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項6から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項6から13のいずれか一項に記載の電解質組成物の、Liイオン電池における使用であって、-30℃~65℃の間の範囲の温度における、使用。
【請求項15】
負極、正極、及び該負極と該正極との間に配置された、請求項6から13のいずれか一項に記載の電解質組成物を含む、電気化学セル。
【請求項16】
請求項15に記載の電気化学セルを少なくとも1つ備える、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、リチウム塩の混合物、及びその電池電解質としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池又はLi硫黄電池は少なくとも、負極(アノード)、正極(カソード)、セパレータ、及び電解質を含む。電解質は一般的に、粘度と誘電定数とを良好に両立させるため、溶媒(これは一般的に有機カーボネートの混合物である)に溶解されたリチウム塩から構成される。引き続き、電解質塩の安定性を向上させるために、添加物を添加することができる。
【0003】
最も広く使用される塩には、LiPF(リチウムヘキサフルオロホスフェート)が含まれ、この塩は、必要とされる品質のうち幾つかを有するものの、水との反応により分解してフッ化水素酸(HF)を形成するという欠点を示す。形成されたHFにより、カソード材料の溶解が生じ得る。よって、LiPFと残存水との反応は、電池の寿命に影響を与え、特に特定の乗り物でのリチウムイオン電池の使用という文脈では、安全上の問題につながりかねない。
【0004】
そこで、その他の塩、例えばLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、及びLiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)が、開発されてきた。これらの塩は、自発的な分解をほんの僅かにしか、又は全く起こさず、LiPFよりも加水分解に対して安定性である。とは言え、LiTFSIには、集電体(特にアルミニウム製のもの)に対して腐食性であるという欠点がある。
【0005】
電池の分野では、電池の性能品質改善を可能にする新規塩を開発する必要性が継続的に存在しており、ここで電池の性能品質とは例えば、耐用期間、及び/又はサイクル安定性、及び/又は電池の非可逆性の低下、特に幅広い温度範囲、例えばおよそ-25℃からおよそ60℃までの温度範囲にわたる、出力性能品質である。
【発明の概要】
【0006】
混合物
本特許出願は、リチウム塩の混合物に関し、この混合物は、
・85mol%~99.9mol%のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及び
・0.1mol%~15mol%のリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)
を含むものである。
【0007】
本発明によれば、モルパーセンテージは、混合物の化合物の合計モル数に対するものである。
【0008】
本発明の文脈において、「リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド塩」、「リチウムビス(スルホニル)イミド」、「LiFSI」、「LiN(FSO」、「リチウムビス(スルホニル)イミド」、及び「リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド」という用語は、等価に使用する。
【0009】
本発明の文脈において、「混合物の化合物の合計モル数」は、混合物の各化合物のモル数の合計に相当する。
【0010】
リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDIという名称で知られる)は、以下の構造を有する:
【0011】
1つの実施態様によれば、前述の混合物は、
・85mol%~99.9mol%のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及び
・0.1mol%~15mol%のリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)
から実質的に構成されるか、好ましくはこれらから成る。
【0012】
不純物が或る割合で混合物中に存在していてもよく、例えば、前記混合物の合計重量に対して3000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、特に500ppm未満、存在していてよい。
【0013】
本発明の文脈において、「ppm」又は「百万分率(parts per million)」という用語は、重量ppmを意味すると理解される。
【0014】
1つの実施態様によれば、本発明による混合物は、
・以下のモルパーセンテージのうちいずれかのLiFSI:85%~99%、85%~98.5%、85%~98%、85%~97.5%、85%~97%、85.5%~99.9%、86%~99.9%、86%~99.5%、86.5%~99.5%、87%~99.5%、87%~99%、87.5%~99.9%、87.5%~99.5%、87.5%~99%、88%~99.9%、88%~99.5%、88%~99%、89%~99.9%、89%~99.5%、89%~99%、89.5%~99.9%、89.5%~99.5%、89.5%~99%、90%~99.9%、90%~99.5%、90%~99.5%、90%~99%、90%~98.5%、90%~98%、90%~97.5%、90%~97%、90%~96.5%、90%~96%、91%~99.9%、91%~99.5%、91%~99%、91%~98.5%、91%~98%、91%~97.5%、91%~97%、91%~96.5%、91%~96%、92%~99.9%、92%~99.5%、92%~99%、92%~98.5%、92%~98%、92%~97.5%、92%~97%、92%~96.5%、92%~96%、93%~99.9%、93%~99.5%、93%~99%、93%~98.5%、93%~98%、93%~97.5%、93%~97%、93%~96.5%、93%~96%、94%~99.9%、94%~99.5%、94%~99%、94%~98.5%、94%~98%、94%~97.5%、94%~97%、94%~96.5%、94%~96%、95%~99.9%、95%~99.5%、又は95%~99%、及び
・以下のモルパーセンテージのうちいずれかのLiTDI:15%~1%、15%~1.5%、15%~2%、15%~2.5%、15%~3%、14.5%~0.1%、14%~0.1%、14%~0.5%、13.5%~0.5%、13%~0.5%、13%~1%、12.5%~0.1%、12.5%~0.5%、12.5%~1%、12%~0.1%、12%~0.5%、12%~1%、11%~0.1%、11%~0.5%、11%~1%、10.5%~0.1%、10.5%~0.5%、11.5%~1%、10%~0.1%、10%~0.5%、10%~1%、10%~1.5%、10%~2%、10%~2.5%、10%~3%、10%~3.5%、10%~4%、9%~0.1%、9%~0.5%、9%~1%、9%~1.5%、9%~2%、9%~2.5%、9%~3%、9%~3.5%、9%~4%、8%~0.1%、9%~0.5%、8%~1%、8%~1.5%、8%~3%、8%~2.5%、8%~3%、8%~3.5%、8%~4%、7%~0.1%、7%~0.5%、7%~1%、7%~1.5%、7%~2%、7%~2.5%、7%~3%、7%~3.5%、7%~4%、6%~0.1%、6%~0.5%、6%~1%、6%~1.5%、6%~2%、6%~2.5%、6%~3%、6%~3.5%、6%~4%、5%~0.1%、5%~0.5%、又は5%~1%
を含む(好ましくはこれらから実質的に構成され、好適にはこれらから成る)。
【0015】
1つの実施態様によれば、本発明による混合物は、
・86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上のモルパーセンテージのLiFSI、
・14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下のモルパーセンテージのLiTDI
を含む(好ましくはこれらから実質的に構成され、好適にはこれらから成る)。
【0016】
1つの実施態様によれば、本発明による混合物は、
・LiFSIのモルパーセンテージが、95%以上であり、
・LiTDIのモルパーセンテージが、5%以下である。
【0017】
1つの実施態様によれば、本発明による混合物は、
・86mol%~99.9mol%、好ましくは90mol%~99.5mol%、特に92mol%~98mol%、好適には93mol%~97mol%、例えば95mol%のLiFSI、及び
・14mol%~0.1mol%、好ましくは10mol%~0.5mol%、特に8mol%~2mol%、好適には7mol%~3mol%、例えば5mol%のLiTDI
を含む(好ましくはこれらから実質的に構成され、好適にはこれらから成る)。
【0018】
本特許出願はまた、前述の混合物の、Liイオン電池における使用に関し、特に-30℃~65℃の間の範囲の温度、好適には-25℃~60℃の間の範囲の温度、好ましくは25℃以上の温度、好ましくは25℃~65℃の間の範囲の温度、有利には40℃~60℃の間の範囲の温度における使用に関する。この使用は例えば、モバイル機器(例えば携帯電話、カメラ、タブレット、若しくはポータブルコンピュータ)において、電気自動車において、又は再生可能エネルギー貯蔵において、行われる。
【0019】
電解質組成物
本発明はまた、前述のリチウム塩の混合物、少なくとも1つの溶媒、及び任意選択的に少なくとも1つの電解質添加剤を含む、電解質組成物に関する。
【0020】
この組成物は好ましくは、LiFSI及びLiTDI以外に、その他のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含まない。
【0021】
この組成物は好ましくは、LiFSI及びLiTDI以外に、その他のリチウム塩を含まない。この組成物は特に、LiPF又はLiTFSIを含まない。
【0022】
本発明の文脈において、「電解質組成物」、「電解質」、及び「電解質組成物」は、相互に交換可能に用いる。
【0023】
1つの実施態様では、電解質組成物におけるLiFSI及びLiTDIのモル濃度が、5mol/l以下、有利には4mol/l以下、好ましくは2mol/l以下、好適には1.5mol/l以下、特に1mol/l以下である。
【0024】
1つの実施態様によれば、電解質組成物におけるLiFSI及びLiTDIのモル濃度は、以下の通りである:
[LiFSI]+[LiTDI]≦1mol/l
【0025】
1つの実施態様によれば、前述の電解質組成物は、
・0.85~0.999mol/lのLiFSI、及び
・0.15~0.001mol/lのLiTDI
を含む。
【0026】
1つの実施態様によれば、電解質組成物におけるLiFSIの濃度は、以下のいずれかから選択される:0.85~0.99mol/l、0.85~0.98mol/l、0.85~0.97mol/l、0.87~0.99mol/l、0.88~0.99mol/l、0.89~0.99mol/l、0.90~0.99mol/l、0.90~0.98mol/l、0.90~0.97mol/l、0.90~0.96mol/l、0.91~0.99mol/l、0.91~0.98mol/l、0.91~0.97mol/l、0.91~0.96mol/l、0.92~0.99mol/l、0.92~0.98mol/l、0.92~0.97mol/l、0.92~0.96mol/l、0.93~0.99mol/l、0.93~0.98mol/l、0.93~0.97mol/l、0.93~0.96mol/l、0.94~0.99mol/l、0.94~0.98mol/l、0.94~0.97mol/l、0.94~0.96mol/l、又は0.95~0.99mol/l。
【0027】
1つの実施態様によれば、電解質組成物におけるLiTDIの濃度は、以下のいずれかから選択される:0.15~0.01mol/l、0.15~0.2mol/l、0.15~0.03mol/l、0.13~0.01mol/l、0.12~0.01mol/l、0.11~0.01mol/l、0.10~0.01mol/l、0.10~0.02mol/l、0.10~0.03mol/l、0.10~0.04mol/l、0.09~0.01mol/l、0.09~0.02mol/l、0.09~0.03mol/l、0.09~0.04mol/l、0.08~0.01mol/l、0.08~0.02mol/l、0.08~0.03mol/l、0.08~0.04mol/l、0.07~0.01mol/l、0.07~0.02mol/l、0.07~0.03mol/l、0.07~0.04mol/l、0.06~0.01mol/l、0.06~0.02mol/l、0.06~0.03mol/l、0.06~0.04mol/l、又は0.05~0.01mol/l。
【0028】
1つの実施態様によれば、電解質組成物におけるLiFSIのモル濃度は、以下のいずれかから選択される:0.86mol/l以上、0.87mol/l以上、0.88mol/l以上、0.89mol/l以上、0.90mol/l以上、0.91mol/l以上、0.92mol/l以上、0.93mol/l以上、0.94mol/l以上、0.95mol/l以上、0.96mol/l以上、0.97mol/l以上、0.98mol/l以上、又は0.99mol/l以上。
【0029】
1つの実施態様によれば、電解質組成物におけるLiTDIのモル濃度は、以下のいずれかから選択される:0.14mol/l以下、0.13mol/l以下、0.12mol/l以下、0.11mol/l以下、0.10mol/l以下、0.09mol/l以下、0.08mol/l以下、0.07mol/l以下、0.06mol/l以下、0.05mol/l以下、0.04mol/l以下、0.03mol/l以下、0.02mol/l以下、又は0.01mol/l以下。
【0030】
1つの実施態様によれば、前述の電解質組成物は、
・LiFSIのモル濃度が、0.95mol/l以上であり、
・LiTDIのモル濃度が、0.05mol/l以下である。
【0031】
1つの実施態様によれば、前述の電解質組成物は、
・0.86~0.999mol/l、好ましくは0.86~0.99mol/l、特に0.90~0.995mol/l、特に0.92~0.98mol/l、好適には0.93~0.97mol/l、例えば0.95mol/lのLiFSI、及び
・0.14~0.001mol/l、好ましくは0.14~0.01mol/l、特に0.10~0.005mol/l、特に0.08~0.2mol/l、好適には0.07~0.03mol/l、例えば0.05mol/lのLiTDI
を含む。
【0032】
1つの実施態様によれば、本電解質組成物は、溶媒又は溶媒の混合物を含むことができ、例えば2つ、3つ、又は4つの異なる溶媒を含むことができる。
【0033】
電解質組成物の溶媒は、液状溶媒(任意選択的にポリマーによりゲル化されている)であってよく、又は極性ポリマー溶媒(任意選択的に液体により可塑化されている)であってよい。
【0034】
1つの実施態様によれば、溶媒は有機溶媒であり、好ましくは非プロトン性有機溶媒である。溶媒は好ましくは、極性有機溶媒である。
【0035】
1つの実施態様によれば、溶媒は、エーテル類、カーボネート類、エステル類、ケトン類、部分的に水素化された炭化水素類、ニトリル類、アミド類、アルコール類、スルホキシド類、スルホラン、ニトロメタン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0036】
エーテル類の中でも、線状又は環状のエーテル、例えばジメトキシエタン(DME)、2~5個のオキシエチレン単位のオリゴエチレングリコールのメチルエーテル、ジオキソラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0037】
エステル類の中でも、リン酸エステル又は亜硫酸エステルを挙げることができる。例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0038】
ケトン類の中でも特に、シクロヘキサノンを挙げることができる。
【0039】
アルコール類の中でも例えば、エチルアルコール又はイソプロピルアルコールを挙げることができる。
【0040】
ニトリル類の中でも例えば、アセトニトリル、ピルボニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアミノプロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ピバロニトリル、イソバレロニトリル、グルタロニトリル、メトキシグルタロニトリル、2-メチルグルタロニトリル、3-メチルグルタロニトリル、アジポニトリル、マロノニトリル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
カーボネート類の中でも例えば、環状カーボネート類、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)(CAS No.623-53-0)、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、トリフルオロプロピレンカーボネート、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
溶媒は、カーボネート類及びこれらの混合物から選択するのが、特に好ましい。特に、以下の混合物を挙げることができる:
・重量比で1/1/1のエチレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)/ジメチルカーボネート(DMC)、
・重量比で1/1/1のエチレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)/ジエチルカーボネート(DEC)、
・重量比で1/1/1のエチレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)/エチルメチルカーボネート(EMC)、
・重量比で1/1のエチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)、
・重量比で1/1のエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)、
・重量比で1/1のエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)、
・体積比で3/7のエチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)、
・体積比で3/7のエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)、
・体積比で3/7のエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)。
【0043】
1つの実施態様によれば、電解質組成物は、少なくとも1つの電解質添加剤を含むことができる。
【0044】
電解質添加剤は好ましくは、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート、4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、ピリダジン、ビニルピリダジン、キノリン、ビニルキノリン、ブタジエン、セバコニトリル、LiB(C、硝酸リチウム、アルキルジスルフィド、フルオロトルエン、1,4-ジメトキシテトラフルオロトルエン、オキシム、脂肪族エポキシド、ハロゲン化ビフェニル、メタクリル酸、アリルエチルカーボネート、酢酸ビニル、ジビニルアジペート、アクリロニトリル、2-ビニルピリジン、無水マレイン酸、メチルシンナメート、ホスホネート、ビニル含有シラン化合物、2-シアノフラン、及びこれらの混合物から成る群から選択され、電解質添加剤は好ましくは、フルオロエチレンカーボネート(FEC)である。
【0045】
例えば、電解質組成物における電解質添加剤の含有量は、組成物の合計重量に対して0.01重量%~10重量%の間、好ましくは0.1重量%~4重量%の間である。電解質組成物における電解質添加剤の含有量は特に、組成物の合計重量に対して2重量%以下である。
【0046】
1つの実施態様によれば、本発明による電解質組成物は、以下の組成のいずれかから選択される:
・i)0.85mol/lのLiFSI、及び0.15mol/lのLiTDI、電解質添加剤としてのフルオロエチレンカーボネート(特に2重量%以下の含有量で)、溶媒として、体積比で3/7のEC/EMC混合物、
・ii)0.90mol/lのLiFSI、及び0.10mol/lのLiTDI、電解質添加剤としてのフルオロエチレンカーボネート(特に2重量%以下の含有量で)、溶媒として、体積比で3/7のEC/EMC混合物、
・iii)0.95mol/lのLiFSI、及び0.05mol/lのLiTDI、電解質添加剤としてのフルオロエチレンカーボネート(特に2重量%以下の含有量で)、溶媒として、体積比で3/7のEC/EMC混合物、
・iii)0.96mol/lのLiFSI、及び0.04mol/lのLiTDI、電解質添加剤としてのフルオロエチレンカーボネート(特に2重量%以下の含有量で)、溶媒として、体積比で3/7のEC/EMC混合物、
・iv)0.97mol/lのLiFSI、及び0.03mol/lのLiTDI、電解質添加剤としてのフルオロエチレンカーボネート(特に2重量%以下の含有量で)、溶媒として、体積比で3/7のEC/EMC混合物、
・v)0.98mol/lのLiFSI、及び0.02mol/lのLiTDI、電解質添加剤としてのフルオロエチレンカーボネート(特に2重量%以下の含有量で)、溶媒として、体積比で3/7のEC/EMC混合物、
・vi)0.99mol/lのLiFSI、及び0.01mol/lのLiTDI、電解質添加剤としてのフルオロエチレンカーボネート(特に2重量%以下の含有量で)、溶媒として、体積比で3/7のEC/EMC混合物。
【0047】
本組成物、好ましくは電解質組成物は、好ましくは撹拌により、1つ又は複数の適切な割合の溶媒中に塩を溶解させることによって、調製できる。
【0048】
本特許出願はまた、前述の電解質組成物の、Liイオン電池における使用に関し、特に-30℃~65℃の間の範囲の温度、好適には-25℃~60℃の間の温度、好ましくは25℃以上の温度、好ましくは25℃~65℃の間の温度、有利には40℃~60℃の間の範囲の温度における使用に関する。この使用は例えば、モバイル機器(例えば携帯電話、カメラ、タブレット、若しくはポータブルコンピュータ)において、電気自動車において、又は再生可能エネルギー貯蔵において、行われる。
【0049】
電気化学セル
本特許出願はまた、負極、正極、及び当該負極と当該正極との間に配置された前述の電解質組成物を有する、電気化学セルに関する。この電気化学セルはまた、前述の電解質組成物を含浸させたセパレータを備えることもできる。
【0050】
本発明はまた、前述の電気化学セルを少なくとも1つ備える、電池に関する。電池が本発明による電気化学セルを複数備える場合、これらのセルは、直列及び/又は並列に組み立てることができる。
【0051】
本発明の文脈において、負極とは、電池が電流を生じさせるときには(すなわち放電プロセスでは)アノードとして働くとともに、電池が充電プロセスにあるときはカソードとして働く電極を意味すると理解される。
【0052】
負極は通常、電気化学的な活物質を含み、任意で電子伝導性材料を、また任意でバインダを含む。
【0053】
本発明の文脈において、「電気化学的な活物質」とは、イオンを可逆的に挿入可能な材料を意味すると理解される。
【0054】
本発明の文脈において、「電子伝導性材料」とは、電子を伝導可能な材料を意味すると理解される。
【0055】
1つの実施態様によれば、電気化学セルの負極は、電気化学的な活物質として、黒鉛、リチウム、リチウム合金、LiTi12型若しくはTiO型のチタン酸リチウム、ケイ素合金若しくはリチウム/ケイ素合金、酸化スズ、リチウム金属間化合物、又はこれらの混合物のうちいずれかを含む。
【0056】
負極は、リチウムを含み得る;この場合にリチウムは、金属リチウムの膜から、又はリチウム含有合金の膜から成り得る。負極の例は、ローラの間でリチウムストリップをローラ加工することにより調製された、活性リチウム膜を含み得る。
【0057】
本発明の文脈において、正極とは、電池が電流を生じさせるときには(すなわち放電プロセスでは)カソードとして働くとともに、電池が充電プロセスにあるときはアノードとして働く電極を意味すると理解される。
【0058】
正極は通常、電気化学的な活物質を含み、任意で電子伝導性材料を、また任意でバインダを含む。
【0059】
別の実施態様において、電気化学セルの正極は、二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウム/マンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウム/ニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウム/コバルト複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウム/ニッケル/複合酸化物(例えばLiNi1-yCo)、リチウム/ニッケル/コバルト/マンガン複合酸化物(例えばLiNiMnCo 式中、x+y+z=1)、リチウムを増加させたリチウム/ニッケル/コバルト/マンガン複合酸化物(例えばLi1+x(NiMnCo)1-x)、リチウム/遷移金属の複合酸化物、スピネル構造のリチウム/マンガン/ニッケル複合酸化物(例えばLiMn2-yNi)、オリビン構造のリチウム/リン酸化物(例えばLiFePO、LiFe1-yMnPO又はLiCoPO)、硫酸鉄、酸化バナジウム、及びこれらの混合物から選択される電気化学的な活物質を含む。
【0060】
正極は好ましくは、LiCoO、LiFePO(LFP)、LiMnCoNi(NMC、式中、x+y+z=1)、LiFePOF、LiFeSOF、LiNiCoAlO、及びこれらの混合物から選択される電気化学的な活物質を含む。
【0061】
正極の材料はまた、電気化学的な活物質に加えて、電子伝導性材料、例えば炭素源を含むことができ、これには例えば、カーボンブラック、Ketjen(登録商標)カーボン、Shawiniganカーボン、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維(例えば気相成長炭素繊維(VGCF))、有機前駆体の炭化により得られる非粉末状の炭素、又はこれら2つ以上の組み合わせが含まれる。その他の添加剤もまた、正極の材料中に存在していてよく、それは例えば、リチウム塩、又はセラミック若しくはガラス状の無機粒子、又はその他の適切な活物質(例えば硫黄)である。
【0062】
正極の材料は、バインダを含むこともできる。バインダの非限定的な例には、直鎖状、分枝鎖状、及び/又は架橋されたポリエーテルポリマーバインダ(例えばポリ(エチレンオキシド)(PEO)ベース若しくはポリプロピレン(オキシド)(PPO))ベースのポリマー、これら2つの混合物(すなわち、EO/POコポリマー)、任意で架橋可能な単位が含まれる)、水溶性バインダ(例えばSBR(スチレン/ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル/ブタジエンゴム)、HNBR(水素化されたNBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、ACM(アクリレートゴム))、又はフルオロポリマー型のバインダ(例えばPVDF(ポリビニリデンフルオリド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))、及びこれらの組み合わせが含まれる。幾つかのバインダ、例えば水に可溶性のものもまた、添加剤、例えばCMC(カルボキシメチルセルロース)を含むことができる。
【0063】
本発明による塩の混合物は有利なことに、溶液中で良好なイオン伝導性を有する。さらに、本発明による塩の混合物は有利なことに、電池の出力性能品質を改善させることができ、これによって例えば、電池のより迅速な再充電が可能になるか、又はエネルギーピークの場合に必要となる出力を供給することもできる。
【0064】
本発明による塩の混合物はまた、有利なことに、良好な性能品質を可能にし、特に出力の点で幅広い温度範囲にわたって、例えば寒冷条件で、又はおよそ-25℃~およそ60℃にわたる範囲の温度で、良好な性能品質を可能にする。
【0065】
本発明の文脈において、「x~yの間」、又は「XとYとの間」という用語は、x及びyの境界値を含む区間を意味すると理解される。例えば、「85%~99.9%の間」の範囲、又は「85%~99.9%の範囲」は特に、85%及び99.9%の値を含む。
【0066】
前述の全ての実施態様は、相互に組み合わせることができる。
【0067】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0068】
実験部
・略語
EC:エチレンカーボネート
EMC:エチルメチルカーボネート
FEC:フルオロエチレンカーボネート
・供給元
EC:BASF Corporation
EMC:BASF Corporation
FEC:BASF Corporation
【0069】
使用するLiFSIは具体的には、国際出願WO2015/158979に記載された方法によって得られ、一方でLiTDIは、国際出願WO2013/072591に記載された方法によって生成するものである。
【0070】
実施例1:イオン伝導性(インピーダンス分光法で測定)
2つの電解質を、以下の組成に従って調製した:
・組成物1(本発明による):0.95MのLiFSI、0.05MのLiTDI、EC/EMC(エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート)の3/7(体積比)の溶媒混合物、2重量%のFEC(組成物の合計重量に対して);
・組成物2(比較例):0.80MのLiFSI、0.20MのLiTDI、EC/EMC(エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート)の3/7(体積比)の溶媒混合物、2重量%のFEC(組成物の合計重量に対して)。
【0071】
それから導電性セルを各溶液に浸し、インピーダンス分光法による決定を3回行った。分光法によるこれらの決定は、10mVの振幅で500mHz~100kHzの間で行う。使用するセルの定数は、1.12であり、イオン伝導性は、下記式によって計算する:
式中、Rは、曲線Im(Z)=f(Re(Z))の線形回帰により得られる抵抗を表す。Im(Z)=0という特定の場合、Rは、線形回帰の等式の傾きで割った、原点で縦座標の反対に等しい。
【0072】
【0073】
0.95MのLiFSI/0.05MのLiTDI混合物は、有利なことに、0.8LiFSI/0.2LiTDI混合物よりも、良好なイオン導電性を示す。
【0074】
実施例2:出力試験
ラゴーン(Ragone)プロット試験を、以下の組成物1及び2によって行った:
・組成物1(本発明による):0.95MのLiFSI、0.05MのLiTDI、EC/EMC(エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート)の3/7(体積比)の溶媒混合物、2重量%のFEC(組成物の合計重量に対して);
・組成物2(比較例):0.80MのLiFSI、0.20MのLiTDI、EC/EMC(エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート)の3/7(体積比)の溶媒混合物、2重量%のFEC(組成物の合計重量に対して);
【0075】
手法:この手法は、電気回路により課されるストレスに対する応答能力について電解質性能を観察するために、電池の放電速度を増加させるものである。
【0076】
使用するシステム:
カソード:LiNi0.33Mn0.33Co0.33(89%)、炭素繊維VGCF(2.5%)、カーボンブラック(2.5%)、及び6%のPVDFバインダ。
アノード:金属リチウム。
【0077】
電流は、2.7~4.2Vの間で変化させ、放電は以下の順序で行った:C/20、C/10、C/5、C/2、C、及び2C。
全ての不活性層を形成するために、試験前にC/20サイクル形成を2回、行った。
【0078】
結果:
観察された結果は、以下の通り:
【0079】
【0080】
【0081】
これらの結果は、組成物1が、組成物2よりも高い出力定格で稼働可能なことを示している。これらの高い定格は、より多くの出力がますます必要とされているモバイル機器関連の市販の電池で、また行動半径が小さいため迅速な再充電が必要とされる電気自動車で、ひいては高い定格で稼働可能にする電解質において、特に望ましい。