(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】OCT検査装置およびOCT画像撮影方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20220824BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G01N21/17 630
A61B3/10 ZDM
(21)【出願番号】P 2019556623
(86)(22)【出願日】2018-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2018059929
(87)【国際公開番号】W WO2018192988
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】102017108193.3
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522273643
【氏名又は名称】オキュマックス・ヘルスケア・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OCUMAX Healthcare GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・ルバチョフスキー
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0285812(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0160264(US,A1)
【文献】国際公開第2015/189174(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層法を用いて物体を記録するためのOCT検査装置(15)であって、
- 400nm~2000nmの波長を有するOCT放射線(5)を放出するOCT放射線源(1)であって、
・スペクトル帯域幅が少なくとも20nm~400nmの範囲を含むOCT放射線源、または、
・スペクトル帯域幅が20nm~400nmより少ない狭い帯域幅を有し、狭い帯域幅が種々の波長の波の時間オフセット放出によって20nm~400nmのより広い帯域幅を形成するように波長可変であるOCT放射線源と、
- OCTビーム経路であって、
・OCT放射線源(1)からのOCT放射線(5)のOCT出力方向(A)、および
・画像物体によって後方散乱したOCT放射線のOCT入力方向、
を含むOCTビーム経路と、
- OCT放射線源の後方散乱OCT放射線を受信するためのOCT放射線受信機(3)と、
- OCT放射線源およびOCT放射線受信機を収納するハウジングと、
- OCT放射線源のOCT放射線のためにハウジングに形成された出口開口(2a)と、
- OCT放射線源の後面散乱OCT放射線のためにハウジングに形成された入口開口と、
- 出口開口(2a)を通る放射線のOCT出口方向(B)と、
- 入口開口を通る後方散乱OCT放射線のOCT入口方向と、
- 信号技術に関してOCT放射線源およびOCT放射線受信機に接続された制御ユニットであって、記録期間内に相互に分離した複数の測定プロファイルを記録し、記録期間内にOCT放射線源を駆動してOCT放射線を放出し、そしてOCT放射線受信機を駆動して後方散乱OCT放射線を受信するように構成された制御ユニットと、
- 観察機器と、を備え、
制御ユニットは、
OCT放射線源およびOCT放射線受信機が、ハウジング内、ならびにOCT放射線源からハウジングでの出口開口までの放出されるOCT放射線、および入口開口からOCT放射線受信機までの入口開口からの受信される後方散乱OCT放射線を含み、固定的に延びているOCTビーム経路内に固定的に配置されることにより、
記録期間中にOCT出力方向およびOCT出口方向をその角度配向について互いに一定に維持するように構成され、検査装置内でのOCT放射線の可動または制御可能な偏向手段が不要であ
り、
前記観察機器は、
- 可視または赤外の観察波範囲の光を、出口開口を通過する照明ビーム経路(6a)に放出する照明放射線源(7)と、
- 観察波範囲の放射線に対して感度を有し、入口開口を通過する観察ビーム経路(6b)からの可視または赤外の観察波範囲の反射光を受信する観察イメージセンサ(8)と、を備え、
観察ビーム経路(6b)およびOCT出口方向(B)は、互いに平行に、特に同軸に延びており、
前記制御ユニットは、観察イメージセンサによって受信した反射光で形成される第1画像と、第1画像に隣接し、観察イメージセンサによって受信した反射光からこの第1画像に対する時間オフセットとともに形成される第2画像とを組み合わせて、全体画像(21)を形成するように構成される画像処理ユニットを備えることを特徴とす
る、OCT検査装置。
【請求項2】
入口開口および出口開口(2a)は、単一のハウジング開口で形成されることを特徴とする請求項1に記載のOCT検査装置。
【請求項3】
出口開口(2a)およびOCT放射源(1)は、OCT出口方向(B)およびOCT出力方向(A)が互いに平行に、特に同軸に延びるように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のOCT検査装置。
【請求項4】
画像処理ユニットは、第1画像および第2画像の交差領域を識別するように構成され、
マッチング画像セクションが第1画像および第2画像において再生され、
第1画像および第2画像を組み合わせて、全体画像が、マッチング画像セクションでの第1画像および第2画像のオーバーラップを備えた第1画像および第2画像で構成されることを特徴とする請求項
1に記載のOCT検査装置。
【請求項5】
画像処理ユニットは、第1画像及び/又は第2画像を修正するように構成され、特に、
- 第1画像及び/又は第2画像は、画像表面法線の周りに傾斜軸として傾けられ、及び/又は、
- 第1画像及び/又は第2画像は、拡大縮小され、特にマッチング拡大縮小率で、または1つまたは2つの相互垂直空間方向に減少する拡大縮小率で全ての領域において拡大縮小される、ことを特徴とする請求項
1または4に記載のOCT
検査装置。
【請求項6】
制御ユニットは、OCT放射線受信機によって受信された後方散乱OCT放射線から編集された測定プロファイル、および観察イメージセンサによって受信された光から同時に記録された画像を処理し、そして測定プロファイルの位置を表現する画像内の領域をマーク付与するように構成されることを特徴とする請求項
1、4または5に記載のOCT検査装置。
【請求項7】
OCT放射線源およびOCT放射線受信機は、ハウジング内に固定的に配置されることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1つに記載のOCT検査装置。
【請求項8】
OCTビーム経路は、ハウジング内で固定的に延びていることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1つに記載のOCT検査装置。
【請求項9】
OCTビーム経路は、照明ビーム経路および観察ビーム経路に対して静止していることを特徴とする請求項
1、4、5、6のいずれかに記載のOCT検査装置。
【請求項10】
- 配置記録ユニットが、配置、特に、静止基準座標系に対するOCT放射線受信機の位置及び/又は配向を決定するように構成され、
- 画像処理ユニットが、信号技術に関して配置記録ユニットに接続され、
・第1時刻にOCT放射線受信機によって受信された後方散乱OCT放射線の第1測定プロファイルを決定し、
・第1時刻に配置記録ユニットから画像処理ユニットに送信された配置データから、第1測定プロファイルの後方散乱OCT放射線の受信した時刻でOCT放射線受信機の第1配置を決定し、
・第2時刻に配置記録ユニットから画像処理ユニットに送信された配置データから、第2測定プロファイルの後方散乱OCT放射線の受信した時刻でOCT放射線受信機の第2配置を決定し、
・第1配置および第2配置の支援とともに、第2測定プロファイルに対する第1測定プロファイルの相対的配置を決定し、
・第1測定プロファイルおよび第2測定プロファイルを組み合わせて、
前回決定した相対的配置で第1測定プロファイルおよび第2測定プロファイルを全体測定プロファイルの中に入力することによって、全体測定プロファイルを形成するように構成される、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか1つに記載のOCT検査装置。
【請求項11】
光干渉断層法を用いた物体のOCT画像撮影方法であって、
- 400nm~2000nmの波長を有するOCT放射線を放出するステップであって、
・スペクトル帯域幅が少なくとも20nm~400nmの範囲を含み、または、
・スペクトル帯域幅が20nm~400nmより少ない狭い帯域幅を有し、OCT放射線源は、狭い帯域幅が種々の波長の波の時間オフセット放出によって20nm~400nmのより広い帯域幅を形成するように波長可変であり、
OCT放射線源から、
・放射線源からのOCT放射線のOCT出力方向、および
・画像物体によって後方散乱したOCT放射線のOCT入力方向、を含むOCTビーム経路へ、OCT放射線を放出するステップと、
- OCT放射線受信機においてOCT放射線源の後方散乱OCT放射線を受信するステップと、
ハウジングが、OCTビーム経路のための出口開口および入口開口を有し、OCT放射線源およびOCT放射線受信機を収納しており、
- OCT放射線を、出口開口を通ってOCT出口方向に案内するステップと、
- 後方散乱OCT放射線を、入口開口を通ってOCT入口方向に案内するステップと、
- 制御ユニットを用いてOCT放射線源およびOCT放射線受信機を駆動し、OCT放射線源を用いてOCT放射線を放出し、記録期間に渡ってOCT放射線受信機を用いて後方散乱OCT放射線を受信するステップと、
- 記録期間中に、後方散乱OCT放射線から複数の相互に分離した測定プロファイルを記録するステップと、を含み、
OCT
出力方向およびOCT出口方向は、記録期間中にその角度配向について互いに一定に維持され、
OCT放射線源およびOCT放射線受信機が、ハウジング内、ならびにOCT放射線源からハウジングでの出口開口までの放出されるOCT放射線、および入口開口からOCT放射線受信機までの入口開口からの受信される後方散乱OCT放射線を含み、固定的に延びているOCTビーム経路内に固定的に配置されることにより、検査装置内でのOCT放射線の可動または制御可能な偏向手段が不要であることを特徴とするOCT画像撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OCT検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、光干渉断層法(optical coherence tomography)を用いて物体を記録するためのOCT検査装置に関する。該装置は、400nm~2000nmの波長を有するOCT放射線を放出するOCT放射線源であって、スペクトル帯域幅が少なくとも20nm~400nmの範囲を含むOCT放射線源、または、スペクトル帯域幅が20nm~400nmより少ない狭い帯域幅を有し、狭い帯域幅が種々の波長の波の時間オフセット放出によって20nm~400nmのより広い帯域幅を形成するように波長可変(tunable)であるOCT放射線源と、OCT放射線源からのOCT放射線のOCT出力方向、および画像物体によって後方散乱したOCT放射線のOCT入力方向を含むOCTビーム経路と、OCT放射線源の後方散乱OCT放射線を受信するためのOCT放射線受信機と、OCT放射線源およびOCT放射線受信機を収納するハウジングと、OCT放射線源のOCT放射線のためにハウジングに形成された出口開口と、OCT放射線源の後方散乱OCT放射線のためにハウジングに形成された入口開口と、出口開口を通る放射線のOCT出口方向と、入口開口を通る後方散乱OCT放射線のOCT入口方向と、信号技術に関してOCT放射線源およびOCT放射線受信機に接続された制御ユニットであって、記録期間内に相互に分離した複数の測定プロファイルを記録し、記録期間内にOCT放射線源を駆動してOCT放射線を放出し、そしてOCT放射線受信機を駆動して後方散乱OCT放射線を受信するように構成された制御ユニットと、を備える。
【0003】
光干渉断層法(OCT)は、短いコヒーレンス長を持つ光が、散乱材料中で距離測定用干渉計の支援とともに使用される検査方法である。OCT検査方法は、例えば、生体内(in vivo)および生体外(in vitro)検査用の医療で使用され、さらにこの医学的応用は、散乱材料を検査するために医学以外の他の分野でも適用される。原則として、物体のOCT画像撮影のための本発明に係るOCT診断装置および本発明に係る方法は、人間または動物の身体に対して実行される診断方法として使用できるが、異なる目的のため、即ち、人間または動物の身体に対して実行できるこれらの診断方法以外の分析方法として使用できることは理解すべきである。OCT検査方法は、検査対象の材料がOCT検査プロセスによって変更されず、また外科的効果も治療効果もないという点で区別される。物体のOCT画像撮影のための本発明の方法は、本説明の主題であり、ある地域での請求項であり、人体のこうした診断方法の保護の除外とともに、人体の診断方法を特許保護から除外することは理解すべきである。
【0004】
OCTシステムは、測定ビームを、検査対象物体のあるエリア(理想的な方法ではポイントと考えられる)に整列させることによって、後方散乱した放射線に基づいてこの物体に対するポイント測定を実行する測定システムである。従って、物体表面および、その直下に位置する深さ領域(1~3mmの典型的な侵入深さ)を多くの表面領域に渡ってまたは全体として撮像するために、OCT測定システムは、典型的にはライン走査として実行される走査によって測定ビームを表面上で移動させる必要がある。この走査は、モータ駆動による偏向ミラーによってOCT測定システムにおいて実現される。従って、高品質のOCT画像撮影は、検査対象物体を固定し、OCT測定装置を物体に対して固定された位置に配置し、そして偏向ミラーを用いて自動的に実行される走査によって物体の表面を走査することによって実行され、そのため複数の単一ポイント測定により表面および表面直下に位置する領域の表現を取得する。
【0005】
この測定方法は、一般には充分に試行を重ねたものであり、信頼性ある撮像品質を達成し、高速測定で実行できる。しかしながら、不利な点は、走査期間中に物体とOCT測定装置との間の相対的移動を回避するために、検査対象物体を固定することが必要であることである。この固定は、診断目的のため、例えば、人間の目の網膜を検査するためにOCT測定装置を使用する場合に特に不利である。頭または目を固定するために必要な費用がかなり大きいためである。
【0006】
接続されたOCT検査装置を有する手術用顕微鏡は、米国第2017/0027438号から知られている。この場合、OCT測定ビームは、2つの可動ミラーおよび静止ミラーによって顕微鏡のビーム経路中に結合され、結果として3回偏向される。OCTビームのガイドビーム経路は、画像歪みを回避するために、二重制御された偏向によって顕微鏡100の光軸に対して略平行な状態になるように意図される。これまで知られている技術は、OCT光源からのOCTビームの出力方向とハウジングからのOCTビームの出口方向との間の角度を一定に維持するには適していないが、この角度がほぼ一定であることしか達成できない。しかしながら、二重偏向および二重偏向を用いて検査領域を走査する原理のために、この角度は実際には顕微鏡の軸に対して平行に維持できないというこうした構成は、OCT光源からのOCTビームの出力方向とハウジングからのOCTビームの出口方向との間の角度が一定に維持されるという本発明に係る意味で理解すべきではない。
こうして以前から知られている装置は、走査プロセスによってOCT装置を用いて検査領域を撮影し、従って、検査対象物体に対して装置の固定を必要とする。さらに、装置はかなりの設置空間を占有するため、狭い空間状況で使用するには扱いにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、OCT検査を実行するために、全体的に簡素化され、OCT測定装置と検査対象物体との間の相対移動のために生じる測定誤差に対して敏感でないOCT検査装置についてニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、制御ユニットが、記録期間中にOCT出力方向およびOCT出口方向をその角度配向について互いに一定に維持するように構成される点で、導入部で述べたタイプのOCT検査装置を用いて達成される。
【0009】
本発明によれば、本発明に係るOCT検査装置の場合、検査対象物体の表面を測定ビームで走査することによって、画像撮影は実行される。この画像撮影は、走査中の最初の測定ポイントの記録で開始し、走査中の最後の測定ポイントの記録で終了する記録期間中に実行される。この記録期間内に複数の、即ち、少なくとも2つの、一般には数百または数千の測定ポイントが、測定ビームでアドレス指定され、それにより表面は、例えば、ライン状または螺旋状に走査される。
【0010】
このスキャンは、先行技術では、モータ調整可能な偏向ミラーまたは他のビーム偏向装置により自動化された方法で実行され、そのためOCT放射線源からのビームのOCT出力方向は、OCT検査装置からの測定ビームのOCT出口方向に対してその角度配向について可変であり、そして走査を実行するために記録期間中に変化し、本発明に係るOCT検査装置の場合、OCT出力方向およびOCT出口方向の角度配向は、記録期間全体を通して一定に維持される。従って、本発明に係るOCT検査装置は、OCT出力方向とOCT出口方向との間のこの角度配向の調整(電動式または他の方法で実行される)、特に、調整可能な偏向ミラーを不要とすることができ、本発明に係るOCT検査装置は、既知のOCT検査装置よりコンパクトに構成できるという更なる利点を有する。先行技術に係る偏向ミラーまたは相応に異なって構成される可変ビーム偏向装置の電動調整の代わりに、OCT装置のコンパクトな構成は、検査対象物体に対するOCT検査装置の移動によって、検査対象物体の表面の走査を実行することを可能にする。相対移動は、OCT検査装置自体の変位または傾斜またはこれらの組合せとして実行してもよく、スキャンに必要な相対移動を生成するために、OCT検査装置を空間的に静止させた状態で検査対象物体を変位または傾斜させてもよい。
【0011】
本発明に係るOCT検査装置において、OCT測定ビームは、出口開口を経由して検査対象物体に向けられ、後方散乱OCT放射線は、入口開口を経由してOCT検査装置に再入射する。原則として、特定の用途では2つの別個の開口を設けてもよいが、入口開口および出口開口が単一のハウジング開口によって形成されることが特に好ましいことを理解すべきである。特に、単一の開口から到来するOCT放射線、即ち、測定ビームおよび後方散乱OCT放射線は、同軸に延びていてもよく、このことはOCT検査装置を、入口/出口開口と検査対象表面との間の種々の測定距離に対して鈍感にする。
【0012】
他の好ましい実施形態によれば、出口開口およびOCT放射線源は、OCT出口方向およびOCT出力方向が互いに平行に、特に同軸に延びるように配置される。この実施形態によれば、OCT放射線源から現れる放射線は、出口開口の方向に直接配向してもよく、OCT放射線源から出口開口を通過するために偏向する必要はない。この実施形態は、ハウジングのスリム設計、例えば、細長い管状ハウジングの形態に特に適しており、これによりOCT検査装置の特に使い勝手の良い取り扱いが可能になる。
【0013】
他の好ましい実施形態によれば、OCT検査装置は、観察機器によって改良され、該観察機器は、可視または赤外の観察波範囲の光を、出口開口を通過する照明ビーム経路に放出する照明放射線源と、観察波範囲の放射線に対して感度を有し、入口開口を通過する観察ビーム経路からの可視または赤外の観察波範囲の反射光を受信する観察イメージセンサと、を備え、観察ビーム経路およびOCT出口方向は、互いに平行に、特に同軸に延びている。こうした観察機器により、可視または赤外領域の光で表面を撮像する他の検査方法でサンプリングすることにより、ユーザは、OCT画像撮影と同時に検査物体を観察することが可能になる。この観察機器は、一方では、2つの異なる撮像方法によって同時検査を実行することを可能にし、他方では、観察機器によって測定対象物体とのOCT測定ビームのアライメントは、OCT検査を実行しながら監視でき、OCT測定ビームは、観察機器によって記録された画像の支援とともに整列できる。特に、観察機器によって記録される画像内での測定ビームの位置は、マーク付与してもよい。観察機器がない場合、ユーザは、直接位置チェックなしで検査対象物体のスキャンを実行する必要があるが、これは、観察機器が存在する場合に制御された方法で実行してもよく、制御ユニットは、特に、OCT出口方向の測定ビームのアライメントと、この測定ビームの前回スキャンポイント、即ち、スキャンのプロファイルを、観察機器によって編集された画像の中に重ね合わせるように構成されてもよい。
【0014】
検査物体のスキャンは、本発明に従ってOCT検査装置と検査対象物体との間の相対移動によって実行される。従って、先行技術とは対照的に、記録期間中に検査対象物体およびOCT検査装置が相手方に対するその位置が一定または不変である必要がなく、OCT検査装置内のOCT測定ビームの変化する内部偏向または偏差によって、スキャンを実行する必要がなく、むしろスキャンおよびOCT測定ビームの相対移動は、OCT放射線源と検査対象物体との間の相対移動によって実行される。この相対移動は、特にOCT検査装置を手で案内するユーザによって手動で実行してもよい。原理上、簡略化された形態では、これは、ラインバイラインスキャン(一行ずつ走査)が電動式で確実に実行できるという事実に基づいて、ユーザが視覚チェックなしで手動でスキャン運動を実行するような方法で実行してもよい。しかしながら、手動スキャンは、例えば、スクリーン上でユーザに表示される運動方向インジケータ(これは、矢印などを表示することによって手動で実行すべきスキャン方向を示す)によって、あるいは、OCT検査画像の対応する再生によってユーザに表示される、OCT測定ビームを用いて既に記録されている領域によって、視覚チェックによって支援または案内されてもよく、その結果、検査対象物体の記録した表面は、ユーザが手動で実行しているスキャン運動に従ってスキャンと同時に構築される。これにより、ユーザは、リアルタイムでまたは時間遅延とともに構築されるOCT検査画像の支援とともに手動で実行しているスキャン経路をチェックおよび修正することが可能になり、これにより螺旋状にまたはライン状にまたは他の幾何形状に沿って案内されるスキャンを手動で実行できる。
【0015】
この場合、OCT検査装置は、電子制御ユニットが画像処理ユニットを含むことで改良してもよい。画像処理ユニットは、観察イメージセンサによって受信した反射光で形成される第1画像と、第1画像に隣接し、観察イメージセンサによって受信した反射光からこの第1画像に対する時間オフセットとともに形成される第2画像とを組み合わせて、全体画像を形成するように構成される。電子制御ユニットのこの構成により、スキャン運動から、OCT検査装置またはOCT放射線源と検査物体との間の相対移動から得られる記録、記録期間中の互いに時間オフセットを持つ複数の画像の記録を可能にし、検査物体の走査された表面の全体画像を編集できる。この組合せは、個別の画像を一緒に接合し、オーバーラップした状態で配置された同じ画像内容を持つ領域を相応にオーバーラップさせることによって実行してもよく、あるいは、これらの画像内容は、2つの接合した画像のうちの1つだけから採用され、全体画像の一意的で隙間無しの編集を達成する。電子制御ユニットは、特に複数の画像を組み合わせて全体画像を形成するように構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、これらの画像内にOCT測定ビームで記録した領域にマーク付与するように構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、観察機器の作成した画像の支援とともに、OCT測定ビームで決定した画像値を組み合わせて、全体OCT画像を形成するように構成されてもよい。これは、特に、観察機器の画像の相互間の位置決め(オーバーラップによって確立)の支援とともに、相互間の個別のOCT測定ポイントの配置が決定され、これらはその配置に互いに割り当てられるように実行してもよい。
【0016】
さらに、画像処理ユニットは、第1画像および第2画像の交差領域を識別するように構成されることも好ましく、マッチング画像セクションが第1画像および第2画像において再生され、第1画像および第2画像を組み合わせて、全体画像が、マッチング画像セクションでの第1画像および第2画像のオーバーラップを備えた第1画像および第2画像で構成されるようにする。制御ユニットによりこうして確立されたマッチング画像領域の支援とともに、互いに接合される2つの画像の配置の一意的な割当てが実行でき、よって隙間無し画像が編集できる。特に、2つ以上の異なる画像へのマッチング画像内容の識別により、個々の画像でのOCT測定ポイントの一意的な割当てが可能になり、そのためこれらのOCT測定ポイントの配置の一意的な割当てが、こうした確立したオーバーラップに基づいて実行できる。
【0017】
さらに、この場合、画像処理ユニットは、第1画像及び/又は第2画像を修正するように構成されるように設置してもよく、特に、第1画像及び/又は第2画像は、画像表面法線の周りに傾斜軸として傾けられ、及び/又は、第1画像及び/又は第2画像は、拡大縮小(スケーリング)され、特にマッチング拡大縮小率、または1つまたは2つの相互垂直空間方向に減少する拡大縮小率で全ての領域において拡大縮小される。この改良によれば、画像処理ユニットは、マッチング画像セクションの識別の途中で、傾斜または拡大縮小、またはその両方からなる修正を実行するように構成される。拡大縮小は、この場合、1つの軸方向のみの拡大縮小として、即ち、画像の辺長の比率を一定に維持しないで、これらを変化させる拡大縮小として理解すべきである。画像のこうした拡大縮小または傾斜によって、異なる記録方向および異なる記録縮尺、そしてそれから生じる複合歪み効果が補償され、こうした歪み効果のために異なる記録角度または記録縮尺を有する2つの隣接画像は、これらの歪みが全体画像に誤差として発生することなく組み合わせできる。特に、制御ユニットは、画像成分をマッチングするためのチェックにおいて2つの画像の比較を実行するように構成してもよく、これは、発生する画像の修正によって、こうした歪み効果を考慮し、および、マッチング画像セクションでの画像の比較分析が、修正された画像に基づいて実行される。
【0018】
さらに、制御ユニットは、OCT放射線受信機によって受信された後方散乱OCT放射線から編集された測定プロファイル、および観察イメージセンサによって受信された光から同時に記録された画像を処理するように構成されることも好ましい。後方散乱OCT放射線、およびそれから編集された測定プロファイル、および観察イメージセンサによって受信された光の同時処理によって、観察イメージセンサによって記録された画像に対するOCT測定プロファイルの空間的に一意的な割当てが可能であり、その結果、互いに対して空間的に正しい配置での個別のOCT測定ポイントの順序付けが、観察イメージ画像センサによって記録された画像の支援とともに実行できる。
【0019】
他の好ましい実施形態によれば、OCT放射線源およびOCT放射線受信機は、ハウジング内に固定的に配置される。こうした固定配置により、一方では、OCT検査装置の頑丈な構成が達成され、さらに、この空間的に固定的な配置のために、OCT検査装置は、コンパクトに構築され、スリムなハウジングに装着できる。
【0020】
さらに、OCTビーム経路は、ハウジング内で固定的に延びることも好ましい。OCT放射線源からハウジングでの出口開口までの放出されるOCT放射線、および入口開口からOCT放射線受信機までの受信される後方散乱OCT放射線の両方を含む、OCTビーム経路のこうした固定的なプロファイルにより、本発明によれば、検査装置内でのOCT放射線のための可動または制御可能な偏向手段が不要であり、これにより全体としてOCT検査装置の頑丈でスリムな構造が可能になる。さらに、OCTビーム経路は、照明ビーム経路および観察ビーム経路に対して静止していることが好ましい。観察および照明ビーム経路に対するこうした静止した、即ち、互いに固定的なOCTビーム経路の配置によって、本発明によれば、OCT測定ビームの配向、およびこれによって定義されるOCT測定ポイントの位置の明確な割当て(OCT検査装置の構造によって既に確立される)は、観察装置によって取得される画像において達成される。
【0021】
さらに、配置記録ユニットおよび画像処理ユニットによってOCT検査装置を改良することも好ましく、配置記録ユニットは、配置、特に、静止基準座標系に対するOCT放射線受信機の位置及び/又は配向を決定するように構成され、そして、画像処理ユニットは、信号技術に関して配置記録ユニットに接続され、第1時刻にOCT放射線受信機によって受信された後方散乱OCT放射線の第1測定プロファイルを決定し、第1時刻に配置記録ユニットから画像処理ユニットに送信された配置データから、第1測定プロファイルの後方散乱OCT放射線の受信した時刻でOCT放射線受信機の第1配置を決定し、第2時刻に配置記録ユニットから画像処理ユニットに送信された配置データから、第2測定プロファイルの後方散乱OCT放射線の受信した時刻でOCT放射線受信機の第2配置を決定し、第1配置および第2配置の支援とともに、第2測定プロファイルに対する第1測定プロファイルの相対的配置を決定し、第1および第2測定プロファイルを組み合わせて、前回決定した相対的配置で第1測定プロファイルおよび第2測定プロファイルを全体測定プロファイルの中に入力することによって、全体測定プロファイルを形成するように構成される。この実施形態によれば、OCT検査装置はさらに、配置記録ユニットを備える。この配置記録ユニットは、OCT検査装置の配置を決定するように構成される。この配置決定は、配置記録ユニットによって実行でき、OCT検査装置の配置の相対的な変化が第1および第2時刻の間に、例えば、1つ以上の加速度センサ(これらは配置記録ユニットのコンポーネント)によって記録されるOCT検査装置の加速度または複数の軸に沿ったOCT検査装置の加速度によって起こる。配置記録ユニットは、代替または追加として、重力の方向に対するOCT検査装置の配向を記録するセンサまたは複数のセンサを備えて、OCT検査装置の絶対的配置配向を記録してもよい。配置記録機器はさらに、1つ以上のジャイロスコープをセンサとして含み、複数の軸に沿った変位または傾斜を記録してもよい。
【0022】
配置記録機器は、OCT検査装置とは別個であって、環境内に静的に設置された基準システム、あるいは相応に静的に設置された基準ポイントに対してOCT検査装置の配置を記録するように構成してもよい。
【0023】
一方では、OCT検査装置の配置記録によって、画像撮影の時刻でのOCT検査装置の配置、即ち、位置および配向が決定でき、その結果、OCT検査装置のこうして決定された配置の支援とともに、時間間隔で記録された複数の画像またはOCT測定プロファイルの接合、およびOCT検査装置の位置を変化させながら実行してもよい。一方では、これは、OCT検査装置の絶対的に決定された配置の支援とともに、代替または追加として、時間オフセットとともに記録された2つの画像またはOCT測定ポイントの間のOCT検査装置の相対的な配置変化の支援とともに実行してもよい。全体測定プロファイルを形成するためのOCT測定プロファイルのこの接合は、単に配置記録ユニットのデータの支援とともに実行してもよいが、配置記録ユニットのデータは、個別の測定プロファイルを接合して全体測定プロファイルを形成する他の手順に追加として、例えば、観察機器によって記録される画像の支援とともに測定プロファイルの接合に追加として配置記録ユニットのデータによって使用してもよく、互いに対する個別のOCT測定プロファイルのこれらのオーバーラップおよびこうして定義された配置の決定が実行されることは理解すべきである。
【0024】
本発明の他の態様は、光干渉断層法を用いた物体のOCT画像撮影方法であり、下記のステップを有する。
・400nm~2000nmの波長を有するOCT放射線を放出するステップであって、
o スペクトル帯域幅が少なくとも20nm~400nmの範囲を含み、または、
o スペクトル帯域幅が20nm~400nmより少ない狭い帯域幅を有し、OCT放射線源は、狭い帯域幅が種々の波長の波の時間オフセット放出によって20nm~400nmのより広い帯域幅を形成するように波長可変であり、
OCT放射線源から、
o 放射線源からのOCT放射線のOCT出力方向、および
o 画像物体によって後方散乱したOCT放射線のOCT入力方向、を含むOCTビーム経路へ、OCT放射線を放出するステップ。
・OCT放射線受信機においてOCT放射線源の後方散乱OCT放射線を受信するステップ。
ハウジングが、OCTビーム経路のための出口開口および入口開口を有し、OCT放射線源およびOCT放射線受信機を収納している。
・OCT放射線を、出口開口を通ってOCT出口方向に案内するステップ。
・後方散乱OCT放射線を、入口開口を通ってOCT入口方向に案内するステップ。
・制御ユニットを用いてOCT放射線源およびOCT放射線受信機を駆動し、OCT放射線源を用いてOCT放射線を放出し、記録期間に渡ってOCT放射線受信機を用いて後方散乱OCT放射線を受信するステップ。
・記録期間中に、後方散乱したOCT放射線から複数の相互に分離した測定プロファイルを記録するステップ。OCT出口方向およびOCT出口方向は、記録期間中にその角度配向について互いに一定に維持される。
【0025】
本発明に係るOCT画像撮影方法は、複数のOCT測定ポイントがアドレス指定され、複数のOCT測定プロファイルが対応して記録される画像記録時に、OCT放射線源からのOCT放射線の出力方向と、OCT検査装置からのOCT放射線の出口方向との間で変化が生じないという点で区別される。導入部で説明したように、物体のOCT画像撮影方法は、物体のOCT検査のために実行でき、該方法は、必要に応じて、人間または動物の身体のための診断方法としての使用を除外して実行してもよい。
【0026】
該方法は、第1画像の記録と第2画像の記録との間で、観察イメージセンサは、画像物体に対して移動し、特に変位及び/又は傾斜するという点で改良してもよい。この場合、観察イメージセンサと検査対象物体と間の相対移動は、移動する観察イメージセンサによって、特に、検査対象物体が静止し、観察イメージセンサが配置されるOCT検査装置全体が移動することによって、あるいは、検査対象物体が移動し、観察イメージセンサが固定されることによって実行してもよい。
【0027】
他の好ましい実施形態によれば、第1測定プロファイルおよび第2測定プロファイルが記録期間内に記録され、第1測定プロファイルおよび第2測定プロファイルは、その空間配置において互いに割り当てられ、組み合わされて全体測定プロファイルを形成する。特に、第1測定プロファイルの記録と同時に、第1画像が、可視または赤外波長範囲の光放射線を放出し、物体で反射した光を受信することによって記録され、第2測定プロファイルの記録と同時に、第2画像が、可視または赤外波長範囲の光放射線を放出し、物体で反射した光を受信することによって記録され、第1画像での第1測定プロファイルの位置がマーク付与され、第2画像での第2測定プロファイルの位置がマーク付与され、第1画像および第2画像は、画像解析の支援とともに組み合わされ、オーバーラップ状態で配置された第1画像および第2画像のマッチング画像領域によって全体画像を形成し、第2測定プロファイルに対する第1測定プロファイルの相対位置決めは、全体画像でのこれらの位置の支援とともに決定され、第1測定プロファイルおよび第2測定プロファイルは、こうして決定された相対位置決めの支援とともに組み合わされ、全体測定プロファイルを形成し、
あるいは、ハウジングの第1配置が、第1測定プロファイルの記録と同時に記録され、ハウジングの第2配置が、第2測定プロファイルの記録と同時に記録され、第2測定プロファイルに対する第1測定プロファイルの相対位置決めは、ハウジングの第2配置に対する第1配置の相対変化の支援とともに決定され、第1測定プロファイルおよび第2測定プロファイルは、こうして決定された相対位置決めの支援とともに組み合わされ、全体測定プロファイルを形成する。
【0028】
この実施形態によれば、複数の測定プロファイルが組み合わされて全体測定プロファイルを形成し、こうして物体の検査表面およびこの検査表面の下方にある下地の表面近傍体積領域の対応するOCT検査表現が生成される。この場合、全体測定プロファイルを形成するために、スキャンによって得られた個別の測定プロファイルの接合は、マッチング画像内容の決定および全体画像を形成するための個別の画像の対応する接合(「縫合(stitching)」)を伴う画像分析の支援とともに、あるいは、OCT検査装置のハウジングの配置およびこのハウジングから出てくるOCT測定ビームの配置の配置決定の支援とともに実行してもよく、または、これらの2つの方法の組合せを実行して、個別の測定プロファイルを接合し、全体測定プロファイルを形成してもよい。
【0029】
本発明の実装および利点は、図の下記説明から見出されることがある。本発明の種々の例示的実施形態が図において表現されている。図面、説明および請求項は、個別にまたは組合せである機能を有する多くの特徴を含む。全ての特徴は、個別に考慮されこと、さらに適切な組合せで一緒に理解されることの両方が便宜的であることは理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るOCT装置の概略構造を示す。より良い表現のために、OCT装置は、測定対象の眼よりも大きく表現している。
【
図2】使用中での本発明の第1例示的実施形態を示す。
【
図3】
図3aと
図3bは、第2例示的実施形態を示し、患者は、自分の眼で、移動する凝視光に追従するように要求される。凝視光は、ある構成内のスクリーンによって生成し移動してもよい。
【
図4a】本発明に係るOCT装置の第1測定結果の例示的表現を、OCT測定ポイントの中央マーキングおよびそれに関連するAスキャンで単一のビデオ画像として示す。
【
図4b】本発明に係るOCT装置の第2測定結果の例示的表現を、配列したビデオ画像、OCT測定ポイントの結果ラインおよび関連するBスキャンで示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
目的を達成するためのOCT装置15は、光干渉断層法(OCT)を実行するために、対応する波長(400nm~2000nm)およびスペクトル帯域幅(20nm~400nm)によって区別される短コヒーレンス放射源(例えば、SLD)(1)を備える。OCT装置はさらに光学系(2)を備え、これにより測定ビーム(4)は測定対象物体の方向にコリメートされた状態になる。
【0032】
OCT放射線は、放射線源からOCT出力方向Aに出現し、光学系に入射する。OCT放射線は、光学系を通過し、出口開口2aから出口方向Bに出現する。
【0033】
必要に応じて、広帯域光源の代わりに、より小さな帯域幅を備えた急速波長可変(tunable)光源(いわゆる波長掃引光源)を使用してもよい。
【0034】
この構成はさらに、測定ビームの後方散乱OCT放射(5)を記録するためのOCT検出器(3)を含む。広帯域光源の場合、OCT検出器は、リニアセンサアレイでスペクトル分解された後方散乱OCT放射を表示する分光計でもよい(フーリエドメインOCT)。波長可変OCT放射線源の場合、OCT検出器は、簡単なポイント光センサ(フォトダイオード)(波長掃引光源OCT)で構成してもよい。いわゆるタイムドメインOCTモードでは、参照ビームの経路長が測定中に埋まり、OCT検出器は同様にポイント検出器で構成してもよい。
【0035】
OCT測定ビームと同一線上に、ビデオ記録用のイメージングビーム経路がある。イメージングビーム経路(可視光および赤外光用)は、例えば、半透明ミラー(11)を経由して結合される。それは、照明ビーム(6a)と観察ビーム経路(6b)とで構成される。照明(7)は、たとえば、可視または赤外波長範囲のLEDによって生成される。反射光(6b)は、撮像光学系(2)を経由して感光センサ(8)、例えば、CCDチップなどに入射する。CCDチップの画像情報は、一方では、モニター(9)上で直接に視覚化され、他方では、画像は、制御コンピュータ(10)内のデータ媒体にデジタル的に保存される。
【0036】
例えば、OCT装置が眼(13)の角膜(12)上に配置された場合、イメージングビーム経路は、それにより眼の網膜(14)の小さなセクション(断面)が表現できるように設計される。検査員(16)の手による傾斜または横方向変位などによって、眼(13)に対する構成(15)の移動は、網膜の新しいエリアを照明し、それに応じてこの画像をモニター上に表現し、そして該情報を制御コンピュータ(10)内のデータ媒体上の充分に速いサイクルレートで保存する。
【0037】
このプロセスは、暗闇に隠れた表面をサーチライトで探索することにほぼ系統的に匹敵する。照明されたエリアが記憶されると、探索され-走査された-表面の任意に大きな合成画像が取得される。
【0038】
イメージングビーム経路による網膜表面のフリーハンド走査と同時に、網膜の深さプロファイルが、照明エリアまたはビデオセクションの中心においてOCT測定ビームを用いて生成される。この場合、OCT測定ビームは、角膜(または他の対象)で測定される位置に侵入し、OCT放射線の一部が、反射または後方散乱されて検出器に戻る。後方散乱されたOCT放射線は、参照ビームと干渉計式に重ね合わされる。これにより個別の軸方向インターフェログラム(interferogram)が発生する。参照ビームおよび測定ビームの単一インターフェログラム(光相互相関)は、光反射構造の強度およびその相対的光路長を、軸方向深さプロファイル(Aスキャンまたは振幅モードスキャン)として画像化するリニアパターンを与える。この構成を移動することによって、測定ビームは、網膜の表面上で横断方向に案内され、フラット断層画像(Bスキャンまたは輝度モードスキャン)または3次元ボリューム(cモードスキャン)が走査によって記録できる。
【0039】
OCT装置15を移動させる代替として、他の実施形態において、OCT装置が静止状態で、患者は、自分の眼で、移動する凝視光に追従するように要求されてもよい。凝視光は、この構成内のスクリーンによって生成され、スクリーン上を移動してもよい。測定ビーム(5)、後方散乱光(5)およびイメージングビーム経路(6a,6b)は、中央開口(19)を通過して眼(13)に到達し、再び測定構成(15)の中に戻ることができる。患者の眼の移動によって、網膜のスキャンも同様に形成される。
【0040】
説明した構成のフリーハンド移動(または眼の移動)および網膜での走査は、しばしば不充分な鮮明度または再現性で行われるため、得られる網膜の2次元写真表面画像および個別の軸方向深さプロファイルは、制御装置においてソフトウェアによって組み合わせることが有利である(「縫合(stitching)」)。
【0041】
そのために制御コンピュータ(10)の支援とともに、個別に記録されたビデオ表面記録(20)は仮想座標系に転送され、最終的に組み合わされて全体画像(21)を形成する。OCT測定ビームの位置は、各個別の表面記録においてポイント(22)としてマーク付与してもよい。構成の移動に従って、記録全体(21)での1つ以上の連続ライン(23)が、個別のマーキングポイントから取得される。記録されたラインと同期して、このラインに沿ったOCT測定(Aスキャン)(24)の各個別の深さスキャンは、グラフィック的にプロットし、対応する2次元断層像(Bスキャン)(25)を取得できる。
【0042】
表面の個別の画像(20)を組み合わせて全体画像(21)を形成することは、それぞれマッチングする画像セクションでの2つの隣接画像の重なりが最大になるように実行され、必要に応じて、個別の画像は、一致するオーバーラップに関して修正される。
【0043】
さらに、複数、例えば3つのセンサ(30)が構成内に取り付けられ、全部で3つの空間方向での構成の移動を登録し記録する。これにより個別の画像の組合せが簡単になり、より正確になる。こうしたセンサ(30)は、例えば、並進運動及び/又は回転運動を記録したり、重力による上下に関する構成の配向を記録する加速度センサであってもよい。同様にジャイロスコープがセンサ(30)として使用し、測定構成の移動を登録し追跡してもよい。これらのセンサの支援とともに、OCT測定ビームおよびイメージングビーム経路の配向は、走査の記録期間内の任意の時点において決定できる。こうして決定された配向の支援とともに、記録された画像を組み合わせでき、全体の画像を形成し、そして記録されたOCT測定プロファイルは、全体測定プロファイル上で組み合わせできる。