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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】耐油性、耐グリース性、及び耐湿性板紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 19/82 20060101AFI20220824BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20220824BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220824BHJP
   D21H 19/36 20060101ALI20220824BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
D21H19/82
C09D201/00
C09D7/61
D21H19/36 Z
D21H27/00 Z
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020117026
(22)【出願日】2020-07-07
(62)【分割の表示】P 2017540863の分割
【原出願日】2016-02-11
(65)【公開番号】P2020169436
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】62/114,716
(32)【優先日】2015-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/164,128
(32)【優先日】2015-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504376810
【氏名又は名称】ウエストロック・エム・ダブリュー・ヴイ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジエビン・パン
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ・ガンディア
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・エー・ジュステ
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-154360(JP,A)
【文献】特開平09-158089(JP,A)
【文献】特開2005-330609(JP,A)
【文献】特開昭50-080328(JP,A)
【文献】特開2014-077212(JP,A)
【文献】国際公開第2001/059215(WO,A1)
【文献】米国特許第06545079(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D1/00-10/00
101/00-201/10
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を有する板紙基材と;
第1コート及び第2コートを含む、前記第1面上のコーティングであって、前記第1コート及び前記第2コートの各々は、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まない、コーティングと;
を備えるコート板紙であって、
前記第1コート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーであり、
前記第2コート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーであり、
前記バインダーは、ポリマーのバインダーを含み、
前記顔料は、無機顔料を含み、
前記コート板紙は、3Mキット試験値が少なくとも10である、コート板紙。
【請求項2】
50℃及び圧力0.69MPa(100psi)で24時間保持された後、ブロッキング傾向を示さない、請求項1に記載のコート板紙。
【請求項3】
前記第1コート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり30~35重量部バインダーである、請求項1に記載のコート板紙。
【請求項4】
前記第2コート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり30~35重量部バインダーである、請求項1に記載のコート板紙。
【請求項5】
板紙を処理する方法であって、
第1面及び第2面を有する板紙基材を提供するステップと;
第1コート及び第2コートを含むコーティングであって、前記第1コート及び前記第2コートの各々が、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まない、コーティングを、前記第1面に適用するステップと;
を含み、
前記第1コート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーであり、
前記第2コート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーであり、
前記バインダーは、ポリマーのバインダーを含み、
前記顔料は、無機顔料を含み、
処理された板紙は、3Mキット試験値が少なくとも10である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願参照]
本出願は、2015年2月11日に出願された米国仮出願第62/114、716号及び2015年5月20日に出願された米国仮出願第62/164、128号の、米国特許法第119条(e)による優先権の利益を主張するものであり、これらの仮出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、水性コーティングを有する板紙を処理することにより、油及びグリースの浸透に対する驚くほど良好な耐性を得る方法に関する。当該板紙はまた、良好な耐湿性を有する。処理された板紙は、完全に再パルプ化可能(repulpable)であり、ブロッキング傾向を有さない。
【0003】
本開示は、良好な耐油性及び耐グリース性を有するが、完全なリサイクル性を有しブロッキング傾向を有さない板紙基材に関する。
【背景技術】
【0004】
耐油性及び耐グリース性は、食品業界及び食品サービス業界における板紙包装についての最大のニーズの一つである。特殊化学品(ワックス、フルオロケミカル、デンプン、ポリビニルアルコール(PVOH)、アルギン酸ナトリウムなど)処理、ポリマー押出成形コーティング(ポリエチレンなど)などの技術が、板紙包装の耐油性及び耐グリース性を提供するために用いられている。しかしながら、現在耐油性及び耐グリース性包装に使用されているワックス処理又はポリエチレンコーティングが施された紙又は板紙は、再パルプ化が困難であり、従来の紙又は板紙ほど容易にリサイクル可能なものではない。フルオロケミカルなどの特殊化学品で処理された紙又は板紙には、健康上、安全上、及び環境上の潜在的な懸念があり、科学者たちは、包装材料を含む一般的な消費者製品におけるフルオロケミカルの不必要な使用を止めるように呼びかけている。
【0005】
このため、耐油性及び耐グリース性板紙には依然として、1)高性能で、2)環境上の又は安全上の懸念がなく、3)リサイクル可能であり、4)低コスト、という重要なニーズが存在する。水性コーティングは、これらの目的を達成するための有望な解決策の一つである。しかしながら、ブロッキング(板紙ロール中の層が互いにくっつく傾向)は、水性バリアコート板紙用の生産プロセス及び変質プロセスにおける困難な技術的ハードルであり、またブロッキングは、水性バリアコーティングのオンマシン用途に関する主要な技術的ハードルでもある。さらに、ほとんどの水性バリアコーティングは、完全には再パルプ化可能でない。本発明は、上述の問題に取り組むものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の全般的な目的は、板紙の「バリア」側を、2層の水性コーティングでコーティングすることである。ここで、当該2層は、同じコーティング製剤であってもよく、二つの異なる製剤であってもよい。2層のコーティングは、バリア性能に対して相乗効果を示す。当該コーティングは、抄紙機上で、又はオフラインコーターにより適用することができる。本発明によりコーティングされた板紙は、高い耐油性及び耐グリース性を提供し、ブロック傾向を有さず、安全性及び環境規制に準拠し、完全に再パルプ化可能であり、低コストでの生産が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、第1面及び第2面を有する板紙基材と;第1面と接触しているベースコートであって、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないベースコートと;ベースコートと接触しているトップコートであって、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないトップコートと;を含むコート板紙であって、3Mキット試験値が少なくとも10である、コート板紙が開示される。
【0008】
別の実施形態では、第1面及び第2面を有する板紙基材と;第1面と接触しているベースコートであって、コート重量が5~12ポンド/3000フィートであり、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないベースコートと;ベースコートと接触しているトップコートであって、コート重量が2~9ポンド/3000フィートであり、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないトップコートと;を含むコート板紙であって、50℃及び圧力100psiで24時間保持された後、3Mキット試験値が少なくとも10であり、少なくとも99%再パルプ化可能であり、ブロッキング傾向を有さないコート板紙が開示される。
【0009】
別の実施形態では、コート板紙の耐湿性を向上させるために、バインダーの組合せが使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】板抄紙機上でベースストックを生産する方法を図示する。
図2】板抄紙機上で、両面にコーティングを適用することにより、図1からベースストックを処理する方法を図示する。
図3】板抄紙機上で、片面にコーティングを適用することにより、図1からベースストックを処理する方法を図示する。
図4】オフマシンコーター上で、片面にコーティングを適用することにより、図1からベースストックを処理する方法を図示する。
図5】板紙のブロッキングを測定するためのデバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は、2層の水性コーティングで板紙ウェブをコーティングするための、例示的な抄紙機によるオンマシン方法を図示する。エンドレスベルトの形態の形成ワイヤ110は、ヘッドボックス120に近接して回転するブレストロール115を通過する。ヘッドボックスは、かなり低稠度(例えば固体成分が約0.5%)の水系ファイバースラリーを提供し、当該ファイバースラリーは、動いている形成ワイヤ110上を通る。第1距離230の間、水がスラリーから形成ワイヤ110を通って流出し、湿ったファイバーのウェブ300を形成する。距離230の間のスラリーは、表面に自由な水(free water)が存在するので、まだ外観上湿っていてもよい。流出中のある時点で、自由な水が表面から消失し得る。距離231にわたって、表面に水がないように見えても、水の流出は続き得る。
【0012】
最終的に、ウェブは、ウェブをさらに脱水するのを助ける、プレスロール130など一つ以上のプレス装置を通して、伝達フェルト又はプレスフェルトにより運ばれる。通常、圧力や真空が印加され、熱が加えられることもある。プレス後、依然として比較的湿っているウェブ300を、例えば乾燥機又は乾燥セクション401、402を使用して乾燥することにより、乾燥ウェブ(「ロウストック(raw stock)」)310が生産され、次いで、このロウストック310を、表面定寸を行うサイズプレス510を通して流すことにより、定寸された「ベースストック」320を生産することができる。次いで、ベースストック320は、追加の乾燥機セクション403及び(図2の)カレンダー520などの平滑化ステップを通して流され得る。
【0013】
その後、ベースストック320は、一つ以上のコーターを通って流され得る。例えば、コーター530は、ベースコート(「BC」)をウェブの第1面(「C1」)に適用することができ、ベースコーティングは、一つ以上の乾燥機セクション404において乾燥され得る。コーター540は、トップコート(「TC」)をウェブの第1面に適用することができ、トップコーティングは、一つ以上の乾燥機セクション405において乾燥され得る。
【0014】
ウェブが2面にコートされる場合、コーター550は、ベースコートをウェブの第2面(「C2」)に適用することができ、ベースコーティングは、一つ以上の乾燥機セクション406において乾燥され得る。コーター560は、トップコートをウェブの第2面に適用することができ、トップコーティングは、一つ以上の乾燥機セクション407において乾燥され得る。コーター540、550の順番は、まず両面C1;C2にベースコートが形成され、次いで両面にトップコートが形成されるように入れ替えてもよい。いくつかの例では、図3に示すように片面のみがコートされるか、又はベースコートのみが適用されてもよい。いくつかの例では、第3コートが片面に適用されてもよい。
【0015】
図2及び図3に示すようにオンマシンコーターによりコーティングを適用する代わりに、図4に示すように、オフマシンコーターによりコーティングが適用されてもよい。このような場合、抄紙機上で生産されてリール572に巻き付けられた板紙は、その後(リール又はより小さなロールとして)オフマシンコーター600へ移送され得る。オフマシンコーター600において、当該板紙は、リール572から解かれ、コーター610によりベースコーティングを付与され、乾燥機601で乾燥させられ、コーター620によりオプションのトップコーティングを付与され、乾燥機602で乾燥させられ、任意選択的に追加処理(グロスカレンダー処理など)を受けた後、リール573に巻き付けられる。代わりに、オフマシンコーターは、単一コートを板紙の片面に適用してもよく、単一コートを各面に適用してもよく、二つ以上のコートを片面又は両面に適用してもよい。いくつかのコーティングが抄紙機上で行われるとともに、代わる代わる、追加のコーティングがオフマシンコーター上で行われてもよい。
【0016】
様々な種類のコーティング装置が使用され得る。図2図4に図示されたコーターは、コーティングが受け皿に保持さるとともに、ロールによりウェブの下面(ウェブ通路に応じて、第1面及び第2面のいずれかである)へ移され、その後、ウェブがバッキングロールの周りに部分的に巻き付く際に過剰なコーティングがブレードにより掻き取られるデバイスである。しかしながら、代わりに、カーテンコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、フィルムコーター、短期滞留コーター、スプレーコーター、計量フィルムサイズプレスなど(これらに限定されるものではない)別の種類のコーターを使用してもよい。
【0017】
コーティングに使用される特定の材料は、完成した板紙に望まれる性質に応じて選択され得る。例えば、片面(例えばC1)には、所望の印刷適性を提供するコーティングを付与することができ、他方の面(例えばC2)には、耐油性及び耐グリース性(OGR)を提供するバリアコーティングを付与することができる。製造にあたっての優先度に応じて、OGRコーティングの前に印刷適性コーティングが適用されてもよく、又は、印刷適性コーティングの前にOGRコーティングが適用されてもよい。
【0018】
コーターに続き、追加の平滑化(例えばグロスカレンダー処理)などの追加加工のための追加設備が設けられ得る。最後に、ウェブがリール570にきつく巻き付けられる。
【0019】
一般的な製紙・コーティングプロセスについて、ここまでの詳細な説明及び図1図4において高いレベルで概説してきたが、ここからは本発明のバリアコーティングに話を移す。典型的な水性バリアコーティングは、特殊ポリマー、ワックス、及び/又は高いポリマーバインダーレベルのもの(従来のプリントコーティングと比較して)を使用することが多いが、これらのコーティングは、通常、許容可能なサイズまで分解するのが困難であったり、リサイクルされたファイバーで板紙中に「粘着物(stickies)」を形成する傾向があったりするので、コート板紙の再パルプ化適性に問題がある場合がある。
【0020】
さらに、多数のバリアコーティングを設けると、リール570、571、572、573において又は板紙がロールへ再巻き付けされた後で、板紙が「ブロック」を起こす(各層が互いにくっつく)傾向がある。特に、リール570には乾燥機からの残留熱が存在している場合があり、リールの質量が大きいので、この残留熱の放散は相当ゆっくり起こり得る。温度が高いと、ブロッキング傾向が向上し得る。
【0021】
従来の印刷適性コーティングでコートされた板紙は、通常ブロックが起こらず、完全に再パルプ化可能であることが知られている。ブロッキングが起こらず完全に再パルプ化可能なコーティングでもバリア特性が得られるのであれば有利であろう。しかしながら、従来の印刷適性コーティングでは、十分なバリア特性が得られない。それらの製剤は、流体(例えば印刷インク)を弾くのではなく吸収するように、比較的低レベルのバインダーを有する。
【0022】
従来の印刷適性コーティングにおけるバインダー量は、ベースコーティングには顔料100重量部あたり15~25重量部の範囲、トップコーティングには顔料100重量部あたり10~20重量部の範囲であり得る。印刷グレードは、これらの範囲の下半分にある傾向がある。トップコーティング中のバインダー量を制限することにより、印刷インク又は接着剤が印刷適性コーティングに容易に吸収され得るようになる。バリア特性を改善するために単にバインダーを増やすだけでは、結局印刷適性に干渉してさらなる問題を引き起こす。制御実験の結果が表1に示されており、バインダーと顔料との比率が100:100である高バインダーコーティング製剤AC-0についての試験結果を示している。顔料Clay-1、CaCO-1、及びSA(スチレンアクリレートコポリマー)バインダーは、以下で表4及び表5に示す試験で使用されるが、これらは同じ材料であった(ただし同じ配合率ではない)。高バインダーレベルコーティングの単一コートでコートされた板紙は、11という高い3Mキットレベルの良好な耐油性及び耐グリース性を示したが、再パルプ化試験におけるファイバーアクセプトはたったの97.2%であった。また、100psi圧力下での24時間後のブロッキング試験は、許容できるものではなかった。試料が38℃/90%RHで試験されると、ブロッキングレベルは4であった。その後の同じ材料の試験では、試料が50℃(湿度は不明)で保持された後のブロッキングレベルは2であった。ブロッキングレベルについては下記の表3で説明するが、値がゼロであることが望ましく(ブロッキングなし)、高い値ほど悪いブロッキングを示す。
【0023】
【表1】
【0024】
同様のブロッキング及び再パルプ化適性の問題は、特殊ポリマー及び/又は高ポリマーバインダーレベル(印刷適性コーティングと比較して)を使用する多数の水性バリアコーティングにも存在し、コート板紙が完全にはリサイクル可能なものとならず、かつ高い温度又は圧力でブロッキングが起こる傾向がある、という有害な効果がもたらされる。
【0025】
それに対し、本発明で開示される独創的なコーティングは、低コストであり紙又は板紙産業用のコーティング材料として広く入手可能な従来のポリマーバインダー及び従来の顔料を使用しながら、再パルプ化が容易であるとともに良好なバリア特性が得られる。従来のポリマーバインダーは、これに限定されるものではないが、スチレンアクリレートコポリマー(SA)及びスチレン-ブタジエンコポリマー(SB)を含み得る。本明細書に記載される例では、スチレンアクリレートコポリマー(SA)及びスチレン-ブタジエンコポリマー(SB)の両方、又はSAとSBとのブレンドが使用される。各例でバインダーとしてSA又はSBを選んだことは、決して発明を限定することを意味するものではない。
【0026】
本発明では従来の顔料が使用される。例えば、限定するものではないが、カオリン粘土、カルシウムカーボネートなどである。本明細書の各例で使用される顔料は、次のような「略記」表記で記載する。
「Clay-1」:カオリン粘土、例えばNo.1超微細粘土
「Clay-2」:アスペクト比が大きい板状粘土
「CaCO-1」:粗砕粒(coarse ground)カルシウムカーボネート(粒子サイズ60%<2ミクロン)
「CaCO-2」:微細砕粒(fine ground)カルシウムカーボネート(粒子サイズ90%<2ミクロン)
【0027】
表1のAC-0コーティングの高バインダーレベルとは対照的に、中間レベルのバインダー(ただし、印刷適性コーティングに使用されるバインダーレベルより大きい)を使用して複数層のコーティングを適用すると、驚くほど良好なバリア特性とともに優れた再パルプ化適性を有し、ブロッキング傾向のないものが得られることが見出された。ここで示す例では、表2の製剤例に示すように、顔料100重量部あたり25~35重量部のバインダーレベルを使用する。
【0028】
本発明によるバリアコーティングが表2に示す製剤に従って調製された。表2は、ブロッキング又は再パルプ化適性の問題(表3及び表4に反映されるようなもの)を生じさせることなく、驚くほど良好な耐油性及び耐グリース性を実現するために使用される、水性コーティング(AC)製剤の乾燥部の主要な成分のリストを与える。
【0029】
【表2】
【0030】
コーティング中には、フルオロケミカルが実質的に使用されなかった。「実質的にフルオロケミカルがない、~しない(substantially no fluorochemicals)」とは、フルオロケミカルが意図的に利用されず、存在するとしても多くても痕跡量であったことを意味する。フルオロケミカルは研究室での実験では排除することができるが、このような材料は、様々なグレードの製品を作るので、いくつかの抄紙機システムには痕跡量が存在し得るものであり、又はリサイクルプロセスを通して製紙システムに導入され得る。同様に、コーティング中には、ワックスが実質的に使用されなかった。
【0031】
表2に示す製剤のバインダーと顔料との比(顔料100重量部に対するバインダーの重量部)の範囲は、25~35である。これは、典型的な印刷適性コーティング(インクの吸収が速いことが望ましい)でのバインダーと顔料との比より大きく、典型的なバリアコーティングのバインダーと顔料との比より小さい。従って、効果的なバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり約25~約40重量部のバインダー、又は顔料100重量部あたり30~35重量部のバインダーであり得るようである。しかしながら、これを僅かに上回る範囲で、許容可能な結果(3Mキット試験が良好で、ブロッキングがなく、再パルプ化適性が良好である)が実現され得るかもしれない。
【0032】
板紙試料が、固体漂白硫酸塩(SBS)基材とともに16ポイント(0.016インチ)のキャリパーを使用して作られた。本試料は、1層又は2層コーティングのパイロットブレードコーターを使用して、片面(本明細書では「バリア面」と呼ぶ)にコートされた。パイロット結果は、生産抄紙機又は生産オフマシンコーターで実現され得る結果を代表するものであることが期待される。
【0033】
試料の耐油性及び耐グリース性(OGR)が、3Mキット試験(TAPPスタンダードT559cm-02)により、1(耐油性及び耐グリース性が最も小さい)~12(優れた耐油性及び耐グリース浸透性)の評点で、「バリア面」で測定された。
【0034】
バリアコート面と他方の非コート面との間の接着性を評価することにより、試料のブロッキング挙動が試験された。ブロッキング試験の簡単化したイラストが図5に示されている。板紙が2インチ×2インチの正方形試料にカットされた。いくつかの複製物が各条件で試験され、各複製物について試料の対752、754の間のブロッキングを評価した(例えば、四つの複製物が試験されたとすると、4対(8枚)が使用される)。各対は、一方の要素752の「バリアコート」面が他方の要素754の非コート面に接触するように配置された。これらの各対が、隣り合う対の間にスペーサ756を設けた状態でスタック750状に配置された。スペーサは、箔、剥離紙、又はコピー用紙でもよい。試料スタック全体が図5に図示される試験装置700に配置された。
【0035】
試験装置700は、フレーム710を含む。調節ノブ712がネジ714に取り付けられ、フレームトップ716を貫通してネジ留めされる。ネジ714の下端がプレート718に取り付けられ、プレート718は、重いコイルバネ720に担持される。バネ720の下端は、下面724の面積が1平方インチであるプレート722に担持される。スケール726により、使用者は、加えられている力(1平方インチの下面724を通じて試料のスタックに加わっている圧力に等しい)を読み取ることができる。
【0036】
試料のスタック750は、下面724とフレーム底部728との間に配置される。ノブ712は、スケール726が必要な100重量ポンドの力(100psiが試料に加わる)を示すまで締められる。次いで、試料を含む装置700全体が、38℃/90%RHの環境チャンバーに24時間、又は50℃のオーブンに24時間配置される。次いで、装置700が試験環境から取り外されて室温まで冷却される。その後、圧力が解放されて試料が装置から取り外される。
【0037】
板紙シートの各対を分離することにより、試料が粘着性及びブロッキングについて評価された。結果は以下のようであった。ここで、評点0はブロッキングの傾向がないことを示す。
【0038】
【表3】
【0039】
ブロッキング損傷は、ファイバー断裂として視認することができる。このファイバー断裂は、損傷が存在する場合、通常、ファイバーが試料754の非バリア表面から引き上げられている状態で生じる。非バリア表面がプリントコーティングでコートされていれば、ブロッキングはプリントコーティングへの損傷によっても証明され得る。
【0040】
例えば、図5に象徴的に図示されているように、試料752(0)/754(0)は、「0」ブロッキング(ブロッキングなし)の代表例である。試料の円形は、圧力下にあったおおよその領域、例えば試料全体のうち約1平方インチを示す。試料752(3)/754(3)は、特に試料754(3)の非コート表面の、圧力下にあった領域において、25%以下のファイバー断裂が生じた「3」ブロッキング評点の代表例である。試料752(4)/754(4)は、特に試料754(4)の非コート表面において、25%を超えるファイバー断裂が生じた評点「4」ブロッキングの代表例である。図5の図示は、試料の現実の外観を示すものではなく、このような試験試料に対する損傷の割合を大まかに示すためのものに過ぎない。
【0041】
AMC Maelstom 再パルプ化機(repulper)を使用して、再パルプ化適性が試験された。1インチ×1インチ四方にカットされた110グラムのコート板紙が2895グラムの水(pH6.5±0.5、50℃)を収容する再パルプ化機に加えられ、15分間浸漬され、次いで、30分間の再パルプ化が行われた。その後、300mLの再パルプ化スラリーが、振動平坦スクリーン(Vibrating Flat Screen;スロットサイズ0.006インチ)を通してスクリーニングされた。リジェクト(rejects;スクリーンにより捕捉されたもの)及びファイバーアクセプト(accepts)が収集、乾燥、及び秤量された。アクセプト及びリジェクトの重量に基づいて、アクセプト率が、100%を完全な再パルプ化適性として計算された。
【0042】
再パルプ化適性の劣った一例として、コート重量が7~11ポンド/3000フィートの低密度ポリエチレン(LDPE)でコートされたSBS板紙が試験され、91~97%の範囲のファイバーアクセプトが得られた(ファイバーアクセプト率は100%に近いことが望ましい)。ポリエチレンでコートされた板紙は、容易に再パルプ化することはできず、容易にリサイクルすることもできない。
【0043】
表2に示す様々なコーティング製剤が板紙基材に単一層として適用された。3Mキット試験、ブロッキング、及び再パルプ化適性を含む試験結果が、表4に示されている。表4に示すように、単一層コーティングでコートされた板紙は、ブロッキングを起こさず、完全に再パルプ化可能であり、バリア面で5~10の範囲の3Mキットレベルを有する。しかしながら、単一コートでは、コート重量を大きくしたとしても、3Mキット試験値は11や12には到達しない。
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
次いで、表2に示すコーティング製剤が板紙基材に2層コーティングとして適用された。その結果が表5に示されている。板紙製品において、驚くほど良好なバリア特性が実現される一方で、当該製品は完全に再パルプ化可能であり、ブロッキングが起こらない。2層コーティングには、同じコーティング製剤又は異なるコーティング製剤いずれかを使用した。3Mキットレベルが12という優れた耐油性及び耐グリース性は、板紙が2層コーティング(同じ製剤でも異なる製剤でもよく、コートの総重量は約10ポンド/3000フィートであってよい)でコートされた場合に実現される。3Mキットレベルが12であれば、食品及び食品サービス包装において現在広く使用されているポリエチレン押出成形コート板紙とマッチする。より重要なこととして、高い耐油性及び耐グリース性を有する板紙は、ブロッキングを起こさず、完全に再パルプ化可能である。
【0047】
コート板紙はまた、24時間まで、バリアコート面で植物油(キャノーラ油)で試験された。その結果は、単一コートを有する板紙については、バリアコート面に適用された油が24時間後に反対側の面から出てくるというものであった。しかしながら、2層コートを有する板紙については、油への優れた抵抗性があり、反対側の面では油による染みや浸透が見られなかった。これにより、2層コートを有する板紙の優れた耐油・耐グリース性能が確認された。
【0048】
このようにして、従来のバインダーを中間レベルでのみ有する従来の顔料を使用するコーティングが二重コートとして適用された場合、フルオロケミカルやワックスなどの典型的なバリア材料を用いずに、優れた耐油性及び耐グリース性を示すということが見出された。さらに、これらの結果は、ブロッキング傾向がなくかつ板紙の完全な再パルプ化適性を伴って実現された。
【0049】
本発明に係る板紙の、水蒸気バリア及び液体の水に対するバリアといった耐湿性が改善され得たか否かを決定するために、さらなる試験が行われた。上記の試験では、SA(スチレン-アクリル系)バインダーを利用した。今度の試験は、SA(スチレンアクリル)及びSBR(スチレン-ブタジエンゴム)バインダーを組み合わせて行われた。結果が表6に示されている。各試験(例えばコントロール1、コントロール2、A、B、C、D、E)では、ベースコート(BC)及びトップコート(TC)には同じ製剤(表の各列に列挙されたもの)が使用された。試験ごとに、コーティングはSA及びSBRバインダーの相対量が異なる。
【0050】
【表6】
【0051】
コントロールコーティングは、コントロール1(上述の試験のうちいくつかで使用されたような35重量部SAバインダー)及びコントロール2(35重量部SBRバインダー)とした。コントロール1は、最も高い/最も悪いWVTR(38℃及び相対湿度90%における水蒸気透過率;TAPPIスタンダードT464OM-12)値及びウォーターコッブ(water Cobb)(TAPPIスタンダードT441OM-04)値を有していた。コントロール2は、最も低い/最も良好なWVTR及びコッブ値を有していたが、その再パルプ化適性は99.3%と、良好ではない。
【0052】
SA及びSBRバインダーの混合物を用いると、3Mキット値が11.6及び12という良好な耐油性及び耐グリース性が得られ、再パルプ化適性は99.9~100%と優れていた。バリアコート面のこの優れた耐油性/耐グリース性又は抵抗性は、植物油試験により確認された。この試験では(試料A及びCが試験された)、キャノーラ油を用いたが、試験期間である24時間、バリアコート面で油の浸透又は染みが見られなかった。水蒸気透過率及び2分間のコッブ(two-minute Cobb)は、SAバインダーを単独で使用した場合と比較して、いずれも改善された(低くなった)。試料はブロッキング傾向を示さなかった。
【0053】
試験コーティングA~Eには、10~25重量部の各バインダーを含む全体として35重量部のバインダーを有する、SA及びSBRバインダーの混合物が組み込まれた。具体的には、35重量部のバインダーのうち少なくとも10重量部(28.6%)はスチレンアクリルバインダーであり、35重量部のバインダーのうち少なくとも17.5(50%)はスチレンブタジエンゴムであった。しかしながら、表6に得られた有望な結果を考慮すると、耐湿性の向上の一部は、SAが少なくとも25%又は少なくとも20%であり、SBRが少なくとも40%又は少なくとも35%である場合に得られるものとも思われる。
【0054】
上述の試験では、ベースコート及びトップコートの両方を適用するためにブレードコーターを使用した。上述のとおり、様々な種類のコーティング装置が使用され得る。表7は、ベースコートには計量(フィルム)サイズプレスを、トップコートにはブレードコーターを用いた二重コートの試験結果を示す。二つの異なる製剤は、いずれも上述のものと類似するが、それぞれ計量サイズプレス及びブレードコーターについてのデモンストレーションで使用された。計量サイズプレス及びブレードコーターによる二重コートでは、3Mキットレベルが12という良好な耐油性及び耐グリース性が得られた。比較として、計量サイズプレスによる、コート重量が7.4ポンド/3000フィートの製剤AC-6の単一層では、3Mキット値はたったの1未満であった。試料AC-6/AC-1(7.4/7.9ポンド/3000フィート)及びAC-6/AC-7(6.4/7.9ポンド/3000フィート)が、24時間、二重コート面においてキャノーラ油を用いて試験され、いずれの試料も二重コートの優れた油抵抗特性を示した。試料AC-6/AC-1(7.4/7.9ポンド/3000フィート)は、二重コートに油浸透も染みも示さなかった。試料AC-6/AC-7(6.4/7.9ポンド/3000フィート)では、バリアコート表面に、非常にぼんやりした表面の染みスポット(浸透なし)が僅かに見られただけであった。この試料は、ブロッキング傾向を示さなかった。
【0055】
【表7】
【0056】
上記の開示を参照すれば、当業者には他の多数の特徴、修正例、又は改良例が明らかとなろう。従って、このような特徴、修正例、又は改良例は本発明の一部とみなされ、その範囲は以下の特許請求の範囲により決定すべきものである。
【0057】
本発明の好ましい実施形態について説明及び図示を行ったが、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、本発明の各実施形態及び実装形態に対する多数の修正がなされ得るということは明らかである。従って、本発明は、本明細書に開示された(又は本開示から明らかな)特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ定められるものであることが理解されよう。
【0058】
さらに、本発明では以下の例を含むことも好ましい。
[項1]
第1面及び第2面を有する板紙基材と;
前記第1面と接触しているベースコートであって、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないベースコートと;
前記ベースコートと接触しているトップコートであって、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないトップコートと;
を備えるコート板紙であって、
3Mキット試験値が少なくとも10である、コート板紙。
[項2]
3Mキット試験値は、12である、項1に記載のコート板紙。
[項3]
前記コート板紙は、再パルプ化後のアクセプト率が少なくとも99%である程度に再パルプ化可能である、項1に記載のコート板紙。
[項4]
前記アクセプト率は、少なくとも99.9%である、項3に記載のコート板紙。
[項5]
前記ベースコートの重量は、5~12ポンド/3000フィートである、項1に記載のコート板紙。
[項6]
前記ベースコートの重量は、6~9ポンド/3000フィートである、項5に記載のコート板紙。
[項7]
前記トップコートの重量は、2~9ポンド/3000フィートである、項1に記載のコート板紙。
[項8]
前記トップコートの重量は、3~6ポンド/3000フィートである、項7に記載のコート板紙。
[項9]
50℃及び圧力100psiで24時間保持された後、ブロッキング傾向を示さない、項1に記載のコート板紙。
[項10]
前記ベースコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーである、項1に記載のコート板紙。
[項11]
前記ベースコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり30~35重量部バインダーである、項10に記載のコート板紙。
[項12]
前記トップコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーである、項1に記載のコート板紙。
[項13]
前記トップコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり30~35重量部バインダーである、項12に記載のコート板紙。
[項14]
前記バインダーは、スチレンアクリレートコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーのうち少なくとも一方を含む、項1に記載のコート板紙。
[項15]
前記顔料は、粘土及びカルシウムカーボネートのうち少なくとも一方を含む、項1に記載のコート板紙。
[項16]
前記顔料は、No.1超微細カオリン粘土を含む、項1に記載のコート板紙。
[項17]
前記顔料は、アスペクト比が大きい板状粘土を含む、項1に記載のコート板紙。
[項18]
前記顔料は、粗砕粒カルシウムカーボネート及び微細砕粒カルシウムカーボネートのうち少なくとも一方を含む、項1に記載のコート板紙。
[項19]
前記コート板紙の水蒸気透過率は、38℃及び相対湿度90%において、1日あたり多くとも425グラム/平方メートルである、項1に記載のコート板紙。
[項20]
前記コート板紙の水蒸気透過率は、38℃及び相対湿度90%において、1日あたり多くとも400グラム/平方メートルである、項19に記載のコート板紙。
[項21]
前記コート板紙は、2分コッブ試験が多くとも20グラム/平方メートルである、項1に記載のコート板紙。
[項22]
前記コート板紙は、2分コッブ試験が多くとも16グラム/平方メートルである、項21に記載のコート板紙。
[項23]
前記バインダーは、スチレンアクリレートコポリマー(SA)及びスチレン-ブタジエンコポリマー(SBR)の両方を含む、項1に記載のコート板紙。
[項24]
前記バインダーは、少なくとも28%のSA及び少なくとも50%のSBRを含む、項23に記載のコート板紙。
[項25]
前記バインダーは、少なくとも25%のSA及び少なくとも40%のSBRを含む、項23に記載のコート板紙。
[項26]
前記バインダーは、少なくとも20%のSA及び少なくとも35%のSBRを含む、項23に記載のコート板紙。
[項27]
第1面及び第2面を有する板紙基材と;
前記第1面と接触しているベースコートであって、コート重量が5~12ポンド/3000フィートであり、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないベースコートと;
前記ベースコートと接触しているトップコートであって、コート重量が2~9ポンド/3000フィートであり、バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないトップコートと;
を備えるコート板紙であって、
50℃及び圧力100psiで24時間保持された後、3Mキット試験値が少なくとも10であり、少なくとも99%再パルプ化可能であり、ブロッキング傾向を有しないコート板紙。
[項28]
前記3Mキット試験値は、12である、項27に記載のコート板紙。
[項29]
前記コート板紙は、少なくとも99.9%再パルプ化可能である、項27に記載のコート板紙。
[項30]
前記ベースコートの重量は、6~9ポンド/3000フィートである、項27に記載のコート板紙。
[項31]
前記トップコートの重量は、3~6ポンド/3000フィートである、項27に記載のコート板紙。
[項32]
前記ベースコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーである、項27に記載のコート板紙。
[項33]
前記トップコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーである、項27に記載のコート板紙。
[項34]
前記バインダーは、スチレンアクリレートコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーのうち少なくとも一方を含む、項27に記載のコート板紙。
[項35]
前記顔料は、粘土及びカルシウムカーボネートのうち少なくとも一方を含む、項27に記載のコート板紙。
[項36]
前記顔料は、No.1超微細カオリン粘土を含む、項27に記載のコート板紙。
[項37]
前記顔料は、アスペクト比が大きい板状粘土を含む、項27に記載のコート板紙。
[項38]
前記顔料は、粗砕粒カルシウムカーボネート及び微細砕粒カルシウムカーボネートのうち少なくとも一方を含む、項27に記載のコート板紙。
[項39]
板紙を処理する方法であって、
第1面及び第2面を有する板紙基材を提供するステップと;
バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないベースコートを、前記第1面に適用するステップと;
バインダー及び顔料を含み、フルオロケミカルもワックスも実質的に含まないトップコートを、前記ベースコート上に適用するステップと;
を含み、
結果得られた処理後の板紙の3Mキット試験値は、少なくとも10である、方法。
[項40]
前記ベースコートは、ブレードコーター、カーテンコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、フィルムコーター、短期滞留コーター、スプレーコーター、及び計量フィルムサイズプレスからなる群から選択されたデバイスにより適用される、項39に記載の方法。
[項41]
前記トップコートは、ブレードコーター、カーテンコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、フィルムコーター、短期滞留コーター、スプレーコーター、及び計量フィルムサイズプレスからなる群から選択されたデバイスにより適用される、項39に記載の方法。
[項42]
前記ベースコートの重量は、5~12ポンド/3000フィートである、項39に記載の方法。
[項43]
前記トップコートの重量は、2~9ポンド/3000フィートである、項39に記載の方法。
[項44]
前記ベースコートは、バインダー及び顔料を含み、前記ベースコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーである、項39に記載の方法。
[項45]
前記トップコートは、バインダー及び顔料を含み、前記トップコート中のバインダーと顔料との比は、顔料100重量部あたり25~40重量部バインダーである、項39に記載の方法。
[項46]
前記ベースコート及び前記トップコートはそれぞれ、バインダーを含み、前記ベースコート及びトップコートのうち少なくとも一方の前記バインダーは、スチレンアクリレートコポリマー及びスチレン-ブタジエンコポリマーのうち少なくとも一方を含む、項39に記載の方法。
[項47]
前記ベースコート及び前記トップコートはそれぞれ、顔料を含み、前記ベースコート及びトップコートのうち少なくとも一方の前記顔料は、粘土、カルシウムカーボネート、No.1超微細カオリン粘土、アスペクト比が大きい板状粘土、粗砕粒カルシウムカーボネート、及び微細砕粒カルシウムカーボネートのうち少なくとも一つを含む、項39に記載の方法。
[項48]
前記顔料は、No.1超微細カオリン粘土を含む、項39に記載の方法。
[項49]
前記顔料は、アスペクト比が大きい板状粘土を含む、項39に記載の方法。
[項50]
前記顔料は、粗砕粒カルシウムカーボネート及び微細砕粒カルシウムカーボネートのうち少なくとも一方を含む、項39に記載の方法。
【符号の説明】
【0059】
110 形成ワイヤ
115 ブレストロール
120 ヘッドボックス
130 プレスロール
300 ウェブ
310 乾燥ウェブ(ロウストック)
320 ベースストック
401,402,403,404,405,406,407,601,602 乾燥セクション、乾燥機セクション
510 サイズプレス
520 カレンダー
530,540,550,560,610,620 コーター
570,571,572,573 リール
600 オフマシンコーター
700 試験装置
710 フレーム
712 調節ノブ
714 ネジ
716 フレームトップ
718 プレート
720 コイルバネ
722 プレート
724 下面
726 スケール
728 フレーム底部
750 スタック
752,754 試料
756 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5