(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】テンションバンドを有する医療ツール
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20220824BHJP
【FI】
A61B34/35
(21)【出願番号】P 2020532725
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018064728
(87)【国際公開番号】W WO2019118337
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アボット,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ,イザベル
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0011901(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0302819(US,A1)
【文献】特開2009-226194(JP,A)
【文献】特表2014-534080(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123024(WO,A1)
【文献】特開2004-301275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、当該医療装置は、
シャフト、ジョイントアセンブリ、バンド、及びツール部材を有しており、
前記ジョイントアセンブリは、基端部分及び先端部分を含んでおり、前記基端部分はシャフトに結合され、
前記ツール部材は、接触部分及び結合部分を含んでおり、前記接触部分は標的組織に接触するように構成され、前記結合部分は、前記ジョイントアセンブリの前記先端部分に回転可能に結合され、
前記バンドは、第1のバンド部分及び第2のバンド部分を含んでおり、前記バンドの長手方向中心線が前記バンドに沿って規定され、前記第1のバンド部分は前記シャフト内にあり、前記第2のバンド部分は
、ピン又は突起部を含み、該ピン又は突起部によって前記ツール部材
の前記結合部分に結合され、前記第1のバンド部分は、前記バンドの前記長手方向中心線に垂直な第1の面に第1の断面積を有しており、前記第2のバンド部分は、前記バンドの前記長手方向中心線に垂直な第2の面に第2の断面積を有しており、前記第2の断面積は前記第1の断面積とは異なり、
前記ツール部材は、前記バンドを該バンドの前記長手方向中心線に沿って動かす際に、前記ジョイントアセンブリに対して回転軸線の周りに回転可能である、
医療装置。
【請求項2】
前記バンドは、複数のラミネートから構成され、
前記第1の断面積又は前記第2の断面積のうちの少なくとも一方が、四辺形の形状を有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第1の断面積又は前記第2の断面積のうちの少なくとも一方が長方形である、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記バンドは、前記第1のバンド部分と前記第2のバンド部分との間に第3のバンド部分を含み、
該第3のバンド部分は、前記第1の断面積から前記第2の断面積に移行する、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項5】
前記第3のバンド部分は、前記長手方向中心線の周りで、前記第1の断面積から前記第2の断面積に非対称に移行する、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記バンドは第3のバンド部分を含み、
前記第2のバンド部分は前記第1のバンド部分と前記第3のバンド部分との間にあり、
前記第3のバンド部分は前記シャフト内で前記バンドを動かすように構成されたアクチュエータに結合される、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記シャフト内で前記バンドを動かすために、前記シャフトに対して並進する、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記ツール部材の前記結合部分は、プーリ面を含み、
前記第2のバンド部分は、接触面及びロック突起部を含み、
該ロック突起部には、前記ピン又は突起部が含まれ、
該ロック突起部は、前記接触面が前記プーリ面に固定して結合されるように、前記ツール部材の前記結合部分と係合する、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項9】
前記バンドは、前記第1のバンド部分と前記第2のバンド部分との間で、前記バンドの長手方向中心線に沿ってねじられる、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項10】
前記バンドは第1のバンドであり、
当該医療装置は、第2のバンドをさらに含み、
該第2のバンドは、第3のバンド部分、第4のバンド部分、及び前記第3のバンド部分と前記第4のバンド部分との間で前記第2のバンドに沿った長手方向中心線を含み、
前記第3のバンド部分は前記シャフト内にあり、
前記第4のバンド部分は前記ツール部材に結合され、
前記第3のバンド部分は、前記第2のバンドの前記長手方向中心線に垂直な第3の面に第3の断面積を有しており、
前記第4のバンド部分は、前記第2のバンドの前記長手方向中心線に垂直な第4の面に第4の断面積を有しており、
前記第4の断面積は前記第3の断面積とは異なり、
前記ツール部材は、前記第1のバンドを基端方向に動かし、且つ前記第2のバンドを先端方向に動かす際に、前記ジョイントアセンブリに対して前記回転軸線の周りに回転する、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項11】
前記第1のバンド及び前記第2のバンドは、モノリシックに構成される、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記第2のバンド部分及び前記第4のバンド部分は、前記ツール部材の前記結合部分の周りに巻き付けられる、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記第2の断面積は、前記第1の断面積よりも小さい、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項14】
前記第3のバンド部分の端面が、前記第1の断面積から前記第2の断面積に連続的に移行する、請求項4に記載の医療装置。
【請求項15】
前記第3のバンド部分の長さが、前記第2のバンド部分の幅の少なくとも2倍である、請求項4に記載の医療装置。
【請求項16】
医療装置であって、当該医療装置は、
ツール部材、シャフト、前記ツール部材を前記シャフトに回転可能に固定するジョイント手段、及びバンドを有しており、
前記ツール部材は、接触部分及び結合部分を含み、前記接触部分は標的組織に接触するように構成され、前記結合部分は、前記ジョイント手段に回転可能に結合され、
前記バンドは、第1のバンド部分及び第2のバンド部分を含み、前記第1のバンド部分は前記シャフト内にあり、前記第2のバンド部分は
、ピン又は突起部を含み、該ピン又は突起部によって前記ツール部材
の前記結合部分に結合され、前記バンドの長手方向中心線が前記バンドに沿って規定され、前記第1のバンド部分は、前記バンドの前記長手方向中心線に垂直な第1の面に第1の断面積を有しており、前記第2のバンド部分は、前記バンドの前記長手方向中心線に垂直な第2の面に第2の断面積を有しており、前記第2の断面積は前記第1の断面積とは異なり、
前記バンドは、前記第1のバンド部分と前記第2のバンド部分との間に第3のバンド部分を含み、該第3のバンド部分は、テーパが付けられており、且つ前記第1の断面積及び前記第2の断面積とは異なる第3の断面積を有しており、
前記ツール部材は、前記バンドを該バンドの前記長手方向中心線に沿って動かす際に、前記ジョイント手段に対して回転軸線の周りに回転可能である、
医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、(2017年12月14日に出願された)“Medical Tools Having Tension Bands”という表題の米国仮出願第62/598,620号、(2017年12月14日に出願された)“Medical Tools Having Tension Bands”という表題の米国仮出願第62/598,626号、及び(2017年12月14日に出願された)“Medical Tools Having Tension Bands”という表題の米国仮出願第62/598,628号の優先権の利益を主張するものであり、これらの文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載される実施形態は、把持ツール、より具体的には医療装置、さらにより具体的には内視鏡ツールに関する。より具体的には、本明細書に記載される実施形態は、例えば、外科的用途で使用することができるテンション(tension)バンドを含む装置に関する。
【背景技術】
【0003】
低侵襲性手術(MIS)のための既知の技術は、手動で制御され得るか、又はコンピュータ支援遠隔操作を介して制御され得る器具を使用して、組織を操作する。多くの既知のMIS器具は、シャフトの先端部の手首機構に取り付けられた治療又は診断エンドエフェクタ(例えば、鉗子、切断ツール、又は焼灼ツール)を含む。MIS処置中に、エンドエフェクタ、手首機構、及びシャフトの先端部を患者の小さな切開部又は自然オリフィスに挿入して、エンドエフェクタを患者の体内の作業部位に位置付けできる。オプションの手首機構を使用して、シャフトに対するエンドエフェクタの向きを変更し、作業部位で所望の処置を行うことができる。既知の手首機構は、一般に、エンドエフェクタの動きに所望の自由度(DOF)を与える。例えば、鉗子又は他の把持ツールの場合に、既知の手首機構は、大抵の場合、シャフトに対してエンドエフェクタのピッチ及びヨーを変更できる。手首は、オプションで、エンドエフェクタにロールDOFを与えることができる、又は、ロールDOFは、シャフトを回転させることにより実施できる。エンドエフェクタは、オプションで、グリップ又はナイフブレードの動き等、追加の機械的DOFを有することができる。場合によっては、手首及びエンドエフェクタの機械的DOFを組み合わせることができる。例えば、(1997年5月16日に出願された)特許文献1は、手首及びエンドエフェクタのグリップDOFが組み合わされる機構を開示している。
【0004】
手首機構及びエンドエフェクタの所望の動きを可能にするために、既知の器具は、器具のシャフトを通って延び、且つ手首機構をアクチュエータ(本明細書では、バックエンド機構とも呼ばれる)に接続するテンション(tension:張力)要素(例えば、ケーブル)を含む。アクチュエータはケーブルを動かして手首機構を動作させる。ロボットシステム又は遠隔操作システムの場合に、バックエンド機構は、モータ駆動であり、且つユーザが器具を制御するためのユーザインターフェイスを提供するために処理システムに動作可能に結合され得る。
【0005】
患者は、MIS方法及びツールの有効性を改善するための継続的な努力から恩恵を受ける。例えば、シャフト及び手首機構のサイズ及び/又は動作領域(operating footprint)を低減することにより、より小さな侵入切開部が可能になり、それにより、痛み、瘢痕、及び望ましくない治癒時間等の手術の負の影響を低減することができる。しかし、低侵襲性処置のために臨床的に望まれる機能を実施する小径の医療器具を製造することは困難な場合がある。具体的には、構成要素を「縮小」することにより既知の手首機構のサイズを単に縮小するだけでは、必要な構成要素と材料特性とがスケーリングされないため、効果的な解決策にはならない。例えば、手首機構の効率的な実装は、手首機構の可動域全体に亘ってケーブルの張力を維持し且つ一方の回転軸線の別の回転軸線に対する相互作用(つまり、結合効果)を最小限に抑えるために、ケーブルを手首機構を通して慎重に経路指定する(routed)必要があるため、複雑になる可能性がある。さらに、プーリ及び/又は起伏のある表面が、一般的にケーブルの摩擦を低減するために必要であり、この摩擦の低減は、器具の寿命を延ばし、手首機構のケーブル又は他の構造に過剰な力を加えることなく動作できるようにする。小さな構造(手首機構のケーブル及び他の構成要素を含む)から生じ得る局所的な力の増大は、保管及び使用中のケーブルの望ましくない伸延(例えば、「伸び」又は「クリープ」)、ケーブル寿命の低下等を生じさせ得る。
【0006】
さらに、いくつかの医療器具は、乾燥作用、止血、切断、切開(dissection)、高周波療法、切開(incisions)、組織破壊、焼灼、及び血管シール等の臨床機能のために電気エネルギーを必要とするエンドエフェクタを有する。従って、既知の器具は、手首機構を通して(通電すべき)エンドエフェクタの部分に経路指定される1つ又は複数の導体を含む。手首機構、駆動ケーブル、及び導線の全ての構成要素を、例えば約10ミリメートル(mm)未満の小さな直径内に収める一方で、これらの構成要素の必要な強度及び機能を維持することは困難な場合がある。
【0007】
器具のサイズを縮小することに加えて、効果的に使い捨て可能である(すなわち、経済的コストで単回使用のみを目的とする)低コストの器具を開発することも望ましい。このような器具を使用すると、各MIS処置を新しい滅菌済みの器具を用いて行うことができるため、面倒で費用のかかる器具の再利用による滅菌処置が不要になる。しかしながら、現在の多くの器具設計は製造に費用がかかるため、経済的にこれらの器具は、複数の外科的処置中に使用するために滅菌再処理を受ける。一部には、これらの器具のコストは、動作負荷に耐えるための複数ストランドのタングステン製ケーブル及びハイポチューブ部分によるものであり得る。
【0008】
こうして、サイズが縮小し、部品点数が減少し、材料コストが低下した改善された手首機構を含み、且つ強度が増大した引張(tension)部材を含む、改善された内視鏡ツールの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5,792,135号
【文献】米国特許出願公開第2013/0304084号明細書
【発明の概要】
【0010】
この要約は、基本的な理解を与えるために、本明細書に記載される実施形態の特定の態様を紹介する。この要約は、本発明の主題の広範な概要ではなく、主要又は重要な要素を特定すること、又は本発明の主題の範囲を線引きすることを意図していない。いくつかの実施形態では、医療装置は、第1のリンク、第2のリンク、及びバンドを含む。第1のリンク及び第2のリンクはそれぞれ、基端部分及び先端部分を有する。第1のリンクの基端部分は、シャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第1のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2のリンクは、第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能である。第2のリンクの先端部分は、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能であるツール部材に結合されるコネクタを含む。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。第1のガイドチャネルが第1のリンク内に規定され、第2のガイドチャネルが第2のリンク内に規定される。バンドの先端部分が、第1のガイドチャネル及び第2のガイドチャネル内に配置され、且つツール部材に結合される。第2のリンクは、バンドの先端部分を動かすときに、第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能である。
【0011】
いくつかの実施形態では、医療装置は、第1のリンク、第2のリンク、ツール部材、及びバンドを含む。第1のリンクはシャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第2のリンクが第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能になるように、第1のリンクに結合される。ガイドチャネルが、第2のリンク内に(with)規定される。ツール部材は、接触部分及びプーリ部分を有する。接触部分は、標的組織と接触するように構成される。プーリ部分は、ツール部材が第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能になるように、第2のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。バンドは、第1のバンド部分及び第2のバンド部分を有する。第1のバンド部分は、ガイドチャネル内に配置され、第2のバンド部分は、ツール部材に結合される。バンドは、第1のバンド部分と第2のバンド部分との間で、バンドの長手方向中心線に沿ってねじられる。ツール部材は、バンドを動かすときに、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】手術等の医療処置を行うために使用される、一実施形態による遠隔操作医療システムの平面図である。
【
図2】
図1に示される遠隔操作手術システムのユーザ制御コンソールの斜視図である。
【
図3】
図1に示される遠隔操作手術システムのオプションの補助ユニットの斜視図である。
【
図4】
図1に示される遠隔操作手術システムの、一組の器具を含むマニピュレータユニットの正面図である。
【
図5】一実施形態による、手術システムの器具の一部の第1の構成の概略斜視図である。
【
図6】
図5に示される器具の一部の第1の構成の概略上面図である。
【
図7】
図5に示される器具の一部の第2の構成の概略上面図である。
【
図8】
図6に示される線X
1-X
1に沿って切り取られた器具の一部の第1の構成の概略正面断面図である。
【
図9】
図6に示される線X
1-X
1に沿って切り取られた器具の一部の第3の構成の概略正面断面図である。
【
図10】
図6に示される線X
2-X
2に沿って切り取られた器具の一部の概略側断面図である。
【
図11】一実施形態による、手術システムの器具の一部の第1の構成の概略斜視図である。
【
図12】
図11に示される線X
1-X
1に沿って切り取られた器具の一部の第1の構成の概略上断面図である。
【
図13】
図11に示される線X
1-X
1に沿って切り取られた器具の一部の第2の構成の概略上断面図である。
【
図14】
図11に示される線X
1-X
1に沿って切り取られた器具の一部の第3の構成の概略上断面図である。
【
図15】
図12に示される線X
2-X
2に沿って切り取られた器具の一部の第1の構成の概略側断面図である。
【
図16】
図12に示される線X
2-X
2に沿って切り取られた器具の一部の第2の構成の概略側断面図である。
【
図17】
図12に示される線X
2-X
2に沿って切り取られた器具の一部の第3の構成の概略側断面図である。
【
図18】一実施形態による、手術システムの器具の一部の概略正面断面図である。
【
図19】線X
19-X
19に沿って切り取られた
図18に示される器具内に含まれるバンドの概略側断面図である。
【
図20】線X
20-X
20に沿って切り取られた
図18に示される器具内に含まれるバンドの概略側断面図である。
【
図21】線X
21-X
21に沿って切り取られた
図18に示される器具内に含まれるバンドの概略側断面図である。
【
図22】一実施形態による、手術システムの器具の一部の概略図である。
【
図23】線X
23-X
23に沿って切り取られた
図22に示される器具内に含まれるバンドの概略側断面図である。
【
図24】線X
24-X
24に沿って切り取られた
図22に示される器具内に含まれるバンドの概略側断面図である。
【
図25】一実施形態による、手術システムの器具の一部の概略図である。
【
図26】一実施形態による、手術システムの器具の第1の構成の斜視図である。
【
図27】
図26に示される領域Zで示される器具の先端部分の拡大斜視図である。
【
図29】
図27に示される器具の先端部分の分解斜視図である。
【
図30】
図27に示される器具の手首アセンブリの第1のリンクの左側面斜視図である。
【
図31】
図27に示される器具の手首アセンブリの第1のリンクの右側面斜視図である。
【
図32】
図27に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【
図33】
図27に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【
図34】
図27に示される器具のエンドエフェクタの第1のツール部材の斜視図である。
【
図35】
図27に示される器具のエンドエフェクタの第2のツール部材の斜視図である。
【
図36】
図26に示される領域Zで示される器具の先端部分の拡大斜視図であり、器具は第2の構成である。
【
図37】一実施形態による、手術システムの器具の先端部分の斜視図である。
【
図38】
図37に示されるエンドエフェクタ及び器具のバンドの斜視図である。
【
図39】
図37に示される器具のバンドの一部の斜視図である。
【
図40】
図37に示される器具のバンドの一部及び第1のリンクの斜視図である。
【
図41】
図37に示される器具の手首アセンブリの第1のリンクの左側面斜視図である。
【
図42】
図37に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【
図43】
図37に示される器具のエンドエフェクタの第1のツール部材及び第2のツール部材の斜視図である。
【
図44】
図37に示される器具のエンドエフェクタの第1のツール部材及び第2のツール部材の斜視図である。
【
図45】
図37に示される器具のバンドの一部及び第1のツール部材の斜視図である。
【
図46】一実施形態による、手術システムの器具の先端部分の斜視図である。
【
図47】
図46に示される器具の先端部分の分解斜視図である。
【
図48】
図46に示される器具の先端部分の斜視図であり、シャフト及び第2のリンクを取り外して、エンドエフェクタ、バンド、及び第1のリンクを示している。
【
図49】
図46に示される器具の手首アセンブリの第1のリンクの左側面斜視図である。
【
図50】
図46に示される器具の手首アセンブリの第1のリンクの右側面斜視図である。
【
図51】
図46に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの左側面斜視図である。
【
図52】
図46に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの右側面斜視図である。
【
図53】一実施形態による、手術システムの器具の先端部分の斜視図である。
【
図54】
図53に示される器具の先端部分の斜視図であり、カバーを取り外して、
図53に示される器具の構成要素を示している。
【
図55】
図54に示される器具の手首アセンブリの第1のリンクの左側面斜視図である。
【
図56】
図54に示される器具のバンドの一部及び第2のリンクの斜視図である。
【
図57】
図54に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【
図58】一実施形態による、手術システムの器具の斜視図である。
【
図59】
図58に示される領域Zで示される器具の先端部分の拡大斜視図である。
【
図60】
図59に示される器具の手首アセンブリの第1のリンクの斜視図である。
【
図61】
図59に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【
図62】
図59に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【
図63】
図59に示される器具の先端部分の分解斜視図である。
【
図64】一実施形態による、手術システムの器具の先端部分の斜視図である。
【
図65】
図64に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【
図66】一実施形態による、手術システムの器具の先端部分の斜視図である。
【
図67】
図66に示される器具の手首アセンブリの第2のリンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載される実施形態は、手術に関連する多種多様な把持、切断、及び操作の動作において有利に使用することができる。特に、本明細書に記載される器具は、1つの処置のみに使用されるのを容易にする低コストの使い捨て器具であり得る。本明細書に記載されるように、器具は、エンドエフェクタを複数の自由度で作動させるように動かすことができる1つ又は複数のバンドを含む。さらに、バンドは、より大きな断面積を有する領域を含み、強度の増大を促進するか、又はねじられて、小型化された手首アセンブリ内での効率的な経路指定を可能にし得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、医療装置が、第1のリンク、第2のリンク、及びバンドを含む。第1のリンク及び第2のリンクはそれぞれ、基端部分及び先端部分を有する。第1のリンクの基端部分は、シャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第1のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2のリンクは、第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能である。第2のリンクの先端部分は、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能であるツール部材に結合されるコネクタを含む。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。第1のガイドチャネルが第1のリンク内に規定され、第2のガイドチャネルが第2のリンク内に規定される。バンドの先端部分が、第1のガイドチャネル及び第2のガイドチャネル内に配置され、且つツール部材に結合される。第2のリンクは、バンドの先端部分を動かすときに、第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、医療装置が、第1のリンク、第2のリンク、及びバンドを含む。第1のリンク及び第2のリンクはそれぞれ、基端部分及び先端部分を有する。第1のリンクの基端部分は、シャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第1のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2のリンクは、第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能である。第2のリンクの先端部分は、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能であるツール部材に結合されるコネクタを含む。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。第1のガイドチャネルが第1のリンク内に規定され、第2のガイドチャネルが第2のリンク内に規定される。バンドの先端部分が、第1のガイドチャネル及び第2のガイドチャネル内に配置される。バンドの先端部分は、ツール部材に結合される。ツール部材は、バンドの先端部分を動かすときに、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、医療装置が、第1のリンク、第2のリンク、及びバンドを含む。第1のリンク及び第2のリンクはそれぞれ、基端部分及び先端部分を有する。第1のリンクの基端部分は、シャフトに結合される。第1のリンクは、第1のガイドチャネルを集合的に規定する内側ガイド面及び外側ガイド面を含む。第1のガイドチャネルの長手方向中心線に垂直な断面平面内で切り取られた内側ガイド面の一部が線形であり、断面平面内で切り取られた外側ガイド面の一部が線形である。第2のリンクの基端部分は、第1のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2のリンクは、第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能である。第2のリンクの先端部分は、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能であるツール部材に結合されるコネクタを含む。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。バンドの先端部分は、第1のガイドチャネル内に配置される。バンドの先端部分は、ツール部材に結合される。ツール部材は、バンドの先端部分を動かすときに、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能である。バンドの内側接触面は、第2のリンクが第1のリンクに対して第1の軸線の周りに第1の方向に回転するときに、第1のリンクの内側ガイド面と接触する。バンドの外側接触面は、第2のリンクが第1のリンクに対して第1の軸線の周りに第2の方向に回転するときに、第1のリンクの外側ガイド面と接触する。
【0017】
いくつかの実施形態では、医療装置が、ジョイントアセンブリ、ツール部材、及びバンドを含む。ジョイントアセンブリは、基端部分及び先端部分を有する。ジョイントアセンブリの基端部分は、シャフトに結合される。ツール部材は、接触部分及び結合部分を有する。接触部分は、標的組織に接触するように構成され、結合部分は、ジョイントアセンブリの先端部分に回転可能に結合される。バンドは、第1のバンド部分及び第2のバンド部分を有する。第1のバンド部分は、シャフト内にあり、且つバンドの長手方向中心線に垂直な第1の面に第1の断面積を有する。第2のバンド部分は、ツール部材に結合され、且つバンドの長手方向中心線に垂直な第2の面に第2の断面積を有する。第2の断面積は、第1の断面積とは異なる。ツール部材は、バンドをその長手方向中心線に沿って動かすときに、ジョイントアセンブリに対して回転軸線の周りに回転可能である。
【0018】
いくつかの実施形態では、医療装置が、第1のリンク、第2のリンク、ツール部材、及びバンドを含む。第1のリンクはシャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第2のリンクが第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能となるように、第1のリンクに結合される。ツール部材は、接触部分及びプーリ部分を有する。接触部分は、標的組織に接触するように構成され、プーリ部分は、第2のリンクの先端部分に回転可能に結合される。バンドは、第1のバンド部分、第2のバンド部分、及び第3のバンド部分を有する。第2のバンド部分は、第1のバンド部分と第3のバンド部分との間にある。第1のバンド部分及び第3のバンド部分はそれぞれシャフト内にある。第1のバンド部分は、バンドの長手方向中心線に垂直な第1の面に第1の断面積を有する。第2のバンド部分は、プーリ部分の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。第2のバンド部分は、バンドの長手方向中心線に垂直な第2の面に第2の断面積を有する。第2の断面積は、第1の断面積とは異なる。ツール部材は、バンドをその長手方向中心線に沿って動かすときに、ジョイントアセンブリに対して回転軸線の周りに回転可能である。
【0019】
いくつかの実施形態では、医療装置が、ジョイントアセンブリ、ツール部材、及びバンドを含む。ジョイントアセンブリは、基端部分及び先端部分を有する。ジョイントアセンブリの基端部分は、シャフトに結合される。ジョイントアセンブリはガイド面を含む。ツール部材は、接触部分及びプーリ部分を有する。接触部分は、標的組織と接触するように構成される。バンドは、第1のバンド部分、第2のバンド部分、及び第3のバンド部分を有する。第2のバンド部分は、第1のバンド部分と第3のバンド部分との間にある。第1のバンド部分は、シャフト内にあり、且つバンドの長手方向中心線に垂直な第1の面に第1の断面積を有する。第2のバンド部分は、第2のバンド部分を動かすときに、ツール部材がジョイントアセンブリに対して回転軸線の周りに回転可能となるように、プーリ部分に結合される。第2のバンド部分は、バンドの長手方向中心線に垂直な第2の面に第2の断面積を有する。第3のバンド部分は、第1の断面積から第2の断面積に移行する。
【0020】
いくつかの実施形態では、医療装置が、第1のリンク、第2のリンク、ツール部材、及びバンドを含む。第1のリンクはシャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第2のリンクが第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能となるように、第1のリンクに結合される。第2のリンクはガイドチャネルを規定する。ツール部材は、接触部分及びプーリ部分を有する。接触部分は、標的組織に接触するように構成され、プーリ部分は、ツール部材が第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能となるように、第2のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。バンドは、第1のバンド部分及び第2のバンド部分を有する。第1のバンド部分は、ガイドチャネル内に配置される。第2のバンド部分は、ツール部材に結合される。バンドは、第1のバンド部分と第2のバンド部分との間で、バンドの長手方向中心線に沿ってねじられる。ツール部材は、バンドを動かすときに、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能である。
【0021】
いくつかの実施形態では、医療装置が、第1のリンク、第2のリンク、ツール部材、及びバンドを含む。第1のリンクはシャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第2のリンクが第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能となるように、第1のリンクに結合される。第2のリンクは、第1のガイドチャネル及び第2のガイドチャネルを規定する。ツール部材は、接触部分及びプーリ部分を有する。接触部分は、標的組織に接触するように構成され、プーリ部分は、ツール部材が第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能となるように、第2のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。バンドは、第1のバンド部分、第2のバンド部分、及び第3のバンド部分を有する。第2のバンド部分は、第1のバンド部分と第3のバンド部分との間にある。第1のバンド部分は第1のガイドチャネル内に配置され、第3のバンド部分は第2のガイドチャネル内に配置される。第2のバンド部分は、プーリ部分の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。バンドは、第1のバンド部分と第2のバンド部分との間で、バンドの長手方向中心線に沿ってねじられる。ツール部材は、バンドをその長手方向中心線に沿って動かすときに、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、医療装置が、第1のリンク、第2のリンク、ツール部材、及びバンドを含む。第1のリンクはシャフトに結合される。第2のリンクの基端部分は、第2のリンクが第1のリンクに対して第1の軸線の周りに回転可能となるように、第1のリンクに結合される。第2のリンクはガイド面を含む。ツール部材は、接触部分及びプーリ部分を有する。接触部分は、標的組織に接触するように構成され、プーリ部分は、ツール部材が第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能となるように、第2のリンクの先端部分に回転可能に結合される。第2の軸線は第1の軸線と非平行である。バンドは接触面を有する。接触面の第1の部分が、バンドの長手方向中心線に沿った第1のバンド位置でガイド面と摺接している。接触面の第2の部分が、バンドの長手方向中心線に沿った第2のバンド位置でプーリ部分に結合される。接触面の第1の部分は、接触面の第2の部分と非平行である。ツール部材は、バンドをその長手方向中心線に沿って動かすときに、第2のリンクに対して第2の軸線の周りに回転可能である。
【0023】
本明細書で使用される場合に、参照される数値表示に関連して使用される場合の「約」という用語は、その参照される数値表示の最大プラス又はマイナス10パーセントの参照される数値表示を意味する。例えば、「約50」という言い回しは、45~55の範囲をカバーする。同様に、「約5」という言い回しは、4.5~5.5の範囲をカバーする。
【0024】
機械的構造、構成要素、又は構成要素アセンブリ等の部品に関連する「可撓性」という用語は、広く解釈すべきである。本質的に、この用語は、部品を繰り返し曲げて、部品に損傷を与えることなく元の形状に復元できることを意味する。特定の可撓性の構成要素は、弾力性でもある。例えば、構成要素(例えば、たわみ等)は、弾性変形したときにエネルギーを吸収し、負荷を解除した(つまり、元の状態に戻る)際に蓄積されたエネルギーを解放する能力があれば、弾力性があると言われる。多くの「剛性」物体は、材料特性により、僅かに固有の弾力性のある「曲がり」を有しているが、このような物体は、本明細書で使用される場合に「可撓性」とは見なされない。
【0025】
可撓性部分は、無限の自由度(DOF)を有し得る。可撓性は、説明する物体の広範な特性であり、こうして、物体が形成される材料、及び物体の特定の物理的特性(例えば、断面形状、長さ、境界条件等)に依存する。例えば、物体の可撓性は、所望の弾性率、曲げ弾性率及び/又は堅さを有する材料を物体に選択的に含めることにより、増減させることができる。弾性率は、構成材料の内包的な(つまり固有の)特性であり、加えられた力に応じて物体が弾性的に(つまり、非永久的に)変形する傾向を表す。弾性率が高い材料は、均等に加えられた応力の存在下で弾性率が低い材料ほど撓まない。こうして、例えば、比較的高い弾性率を有する材料を物体に導入すること、及び/又はその材料で物体を構成することによって、物体の可撓性を低下させることができる。このような部品の例としては、著しい断面変形なしに、様々な単純曲線又は複合曲線に曲げることができる、閉じた屈曲可能なチューブ(例えば、NITINOL(登録商標)、ポリマー、軟性ゴム等で作製される)、らせん状のコイルばね等がある。
【0026】
他の可撓性部品は、蛇状の「椎骨」のような接続された短いリンクの直列配置に類似する一連の密集した構成要素を使用することによって、そのような無限DOF部品を近似し得る。そのような椎骨の配置では、各構成要素は運動学的連鎖の短いリンクであり、各リンク間の可動性の機械的拘束(例えば、ピンヒンジ、カップ及びボール、ライブヒンジ(live hinge)等)によって、リンク同士の間の相対移動の1つ(例えば、ピッチ)又は2つ(例えば、ピッチ及びヨー)のDOFが可能になる。可撓性部品自体が複数のDOFを有するいくつかの結合リンク、又は無限DOFリンクで作製される運動学的連鎖である場合でも、短い可撓性部品は、運動学的連鎖の2つのリンクの間に1つ又は複数のDOFを与える単一の機械的拘束(ジョイント)として機能し、モデル化され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合に、「先端」という用語は、作業部位に向かう方向を指し、「基端」という用語は、作業部位から離れる方向を指す。こうして、例えば、標的組織に最も近いツールの端部はツールの先端部となる一方、先端部の反対側の端部(すなわち、ユーザ又はアクチュエータによって操作される端部)はツールの基端部となる。
【0028】
さらに、1つ又は複数の実施形態及びオプションの要素又は特徴を説明するために選択された特定の単語は、本発明を限定することを意図していない。例えば、「~の下(beneath)」、「~より下(below)」、「下の(lower)」、「~より上(above)」、「上の(upper)」、「基端」、「先端」等の空間的に相対的な用語は、図に示されるように、ある要素又は特徴の別の要素又は特徴に対する関係を説明するために使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図に示される位置及び向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる位置(すなわち、並進配置)及び向き(すなわち、回転配置)を包含することが意図される。例えば、図中の装置がひっくり返された場合に、他の要素又は特徴「より下(below)」又はその「下(beneath)」と記載された要素は、他の要素又は特徴「より上(above)」又はその「上(over)」になる。こうして、「~より下(below)」という用語は、上及び下の両方の位置及び向きを包含することができる。装置は、別の方法で向き合わせされ(例えば、90度又は他の向きに回転され)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。同様に、様々な軸線に沿った動き(並進)及びその軸線の周りの動き(回転)の記述には、装置の様々な空間的な位置及び向きが含まれる。本体の位置及び向きの組合せにより、本体の姿勢が規定される。
【0029】
同様に、「平行」、「垂直(直交)」、「円形」、又は「正方形」等の幾何学用語は、文脈が他のことを示さない限り、絶対的な数学的正確性を要求することを意図していない。代わりに、そのような幾何学用語は、製造又は同等の機能による変化を許容する。例えば、要素が「丸い」又は「略丸い」と記述されている場合に、正確に円形ではない構成要素(例えば、やや楕円形又は多辺の多角形)も依然としてこの記述に包含される。
【0030】
加えて、単数形「1つの(a, an)」、及び「その(the)」は、文脈が他のことを示さない限り、複数形も同様に含むことを意図している。「備える、有する、含む(comprises)」、「含む、有する(includes)」、「有する、含む(has)」等の用語は、述べた特徴、ステップ、動作、要素、構成要素等の存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、又はグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0031】
他に示されない限り、機器、医療装置、器具、及びそれらの変形の用語は、互換的に使用することができる。
【0032】
本発明の態様は、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical, Inc.によって商品化されたda Vinci(登録商標)手術システムを使用した実施態様に関して主に説明される。そのような手術システムの例は、da Vinci Xi(登録商標)手術システム(モデルIS4000)及びda Vinci Si(登録商標)手術システム(モデルIS3000)である。しかしながら、知識のある人は、本明細書に開示される発明の態様が、コンピュータ支援、非コンピュータ支援、並びに手動及びコンピュータ支援のハイブリッドの実施形態及び実施態様の組合せを含む様々な方法で具体化及び実施し得ることを理解するであろう。da Vinci(登録商標)手術システム(例えば、モデルIS4000、モデルIS3000、モデルIS2000、モデルIS1200)の実装は、例として提示されているに過ぎず、本明細書に開示される発明の態様の範囲を制限するものと見なすべきではない。適用可能な場合に、本発明の態様は、比較的小さな手持ち式の手動装置と、追加の機械的支持を有する比較的大きなシステムとの両方で具体化及び実施することができる。
【0033】
図1は、コンピュータ支援遠隔操作システムの平面図である。手術台1010上に横になっている患者Pに対して低侵襲性診断又は外科的処置を行うために使用される、低侵襲ロボット手術(MIRS)システム1000(本明細書では低侵襲性遠隔操作手術システムとも呼ばれる)である医療装置が示されている。システムは、処置中に外科医又は他の熟練した臨床医Sが使用するためのユーザ制御ユニット1100等、任意数の構成要素を有することができる。MIRSシステム1000は、マニピュレータユニット1200(一般に手術用ロボットと呼ばれる)、及びオプションの補助ユニット1150をさらに含むことができる。マニピュレータユニット1200は、外科医Sが手術部位を観察し、ユーザ制御ユニット1100を介してツール1400の動きを制御する間に、患者Pの身体の低侵襲性切開部又は自然オリフィスを介して取り外し可能に結合される少なくとも1つのツールアセンブリ1400(本明細書では「器具」とも呼ばれる)を操作することができる。手術部位の画像は、立体内視鏡等の内視鏡1170によって取得され、内視鏡1170は、内視鏡1170を向き合わせするようにマニピュレータユニット1200によって操作され得る。補助ユニット1150は、制御ユニット1100を介して外科医Sに後で表示するために、手術部位の画像を処理するために使用できる。一度に使用されるツール1400の数は、他の要因の中でも、一般に診断又は外科的処置及び手術室内のスペースの制約に依存するだろう。処置中に使用されるツール1400の1つ又は複数を変更する必要がある場合に、アシスタントがツール1400をマニピュレータユニット1200から取り外し、手術室のトレイ1020から別のツール1400と交換する。ツール1400と共に使用されるものとして示されているが、本明細書に記載される器具のいずれも、MIRS1000と共に使用することができる。
【0034】
図2は、制御ユニット1100の斜視図である。制御ユニット1100は、深さ知覚を可能にする手術部位の調整された立体ビューを外科医Sに提示するための左眼用ディスプレイ1112及び右眼用ディスプレイ1114を含む。制御ユニット1100は、1つ又は複数の入力制御装置1116をさらに含み、これにより、マニピュレータユニット1200(
図1に示される)に1つ又は複数のツールを操作させる。入力制御装置1116は、外科医Sにテレプレゼンス、つまり入力制御装置1116が器具1400と一体である(又は直接的に接続される)という知覚を与えるように関連付けられる器具ツール1400と少なくとも同じ自由度を与える。このようにして、制御ユニット1100は、外科医Sにツール1400を直接的に制御しているという強い感覚を与える。この目的のために、位置、力、及び触覚フィードバックセンサ(図示せず)を使用して、ツール1400からの位置、力、及び触覚感知を、入力制御装置1116を通して外科医の手に戻すことができる。
【0035】
制御ユニット1100が
図1に示されており、この図では、外科医Sが処置を直接的に監視し、必要に応じて物理的に立ち会い、電話又は他の通信媒体を介してではなくアシスタントに直接話しかけることができるように、患者と同じ部屋にいるものとして示されている。しかしながら、他の実施形態では、制御ユニット1100及び外科医Sは、遠隔の外科的処置を可能にする、患者とは異なる部屋、完全に異なる建物、又は他の遠隔の場所にあり得る。
【0036】
図3は、補助ユニット1150の斜視図である。補助ユニット1150は、内視鏡1170と結合することができ、取り込んだ画像を処理するために1つ又は複数のプロセッサを含み、制御ユニット1100等を介して、又はローカル及び/又はリモートにある別の適切なディスプレイ上で、後で表示することができる。例えば、立体内視鏡が使用される場合に、補助ユニット1150は、取り込んだ画像を処理して、左眼用ディスプレイ1112及び右眼用ディスプレイ1114を介して、手術部位の調整された立体画像を外科医Sに提示することができる。そのような調整は、反対の画像の間での位置合わせを含むことができ、立体内視鏡の立体作動距離の調整を含むことができる。別の例として、画像処理は、以前に決定されたカメラ較正パラメータを使用して、光学収差等の画像取込装置の画像化エラーを補償することを含むことができる。
【0037】
図4は、マニピュレータユニット1200の正面斜視図を示す。マニピュレータユニット1200は、ツール1400と、手術部位の画像の取込みに使用される立体内視鏡等の撮像装置1170との操作を提供するための構成要素(例えば、アーム、リンク機構、モータ、センサ等)を含む。具体的には、ツール1400及び撮像装置1170を、複数のジョイントを有する遠隔操作機構によって操作することができる。さらに、ツール1400及び撮像装置1170は、運動学的遠隔中心が切開部又はオリフィスに維持されるような方法で、患者Pの切開部又は自然オリフィスを介して位置付け及び操作される。このようにして、切開部サイズを最小にすることができる。
【0038】
図5~
図10は、一実施形態による、器具2400の様々な部分の概略図である。いくつかの実施形態では、器具2400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具2400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上に示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具2400は、手首アセンブリ2500、バンド2420(引張部材として機能する)、及びツール部材2462を含む。本明細書に記載されるように、器具2400は、バンド2420の動きが、(
図7に示されるような)手首アセンブリ2500の動き、(
図9に示されるような)ツール部材2462の動き、又は手首アセンブリ2500の動きとツール部材2462の動きとの両方を発生させるように構成される。
【0039】
手首アセンブリ2500は、基端側の第1のリンク2510及び先端側の第2のリンク2610を含む。第1のリンク2510は、基端部分2511及び先端部分2512を有する。基端部分2511は、シャフト(図示せず)に結合される。シャフトが
図5~
図10には示されていないが、基端部分2511は、本明細書に示され記載されるシャフト5410又はシャフト7410等の任意の適切なシャフトに結合され得る。さらに、第1のリンク2510の基端部分2511は、溶接、締り嵌め、接着剤等の任意の適切な機構を介してシャフトに結合することができる。以下で説明するように、先端部分2512は、レボリュート・ジョイント(revolute joint)で第2のリンク2610に結合される。このようにして、第1のリンク2510及び第2のリンク2610は、第1の回転軸線A
1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ2500を形成し、第1の回転軸線A
1の周りで、第2のリンクが第1のリンクに対して回転できる。
【0040】
図6及び
図7に示されるように、第1のリンク2510は、第1の回転軸線A
1と交差する長手方向中心線CL
1を規定する。
図8~
図10を参照すると、第1のガイドチャネル2515が第1のリンク2510内に規定される。バンド2420の先端部分2422が、第1のガイドチャネル2515内で移動する。より具体的には、第1のリンク2510は、内側ガイド面2516及び外側ガイド面2517を含み、それぞれのガイド面が第1のガイドチャネル2515の境界の一部を形成する。
図10に示されるように、第1のリンク2510の長手方向中心線CL
1(又は、第1のガイドチャネル2515の長手方向中心線)に垂直な断面平面内で切り取られた内側ガイド面2516の一部が線形である。同様に、第1のリンク2510の長手方向中心線CL
1(又は、第1のガイドチャネル2515の長手方向中心線)に垂直な断面平面内で切り取られた外側ガイド面2517の一部が線形である。以下で説明するように、この構成により、第2のリンク2610が第1のリンク2510に対して第1の方向に回転するときに、内側ガイド面2516は、(断面内の単一の点のみではなく)線形の断面接触面に沿ってバンド2420の対応する内側接触面2425に接触することができる。この構成により、また、第2のリンク2610が第1のリンク2510に対して第1の方向とは反対の第2の方向に回転するときに、外側ガイド面2517は、線形の断面接触面に沿ってバンド2420の対応する外側接触面2426に接触することができる。
【0041】
図6及び
図7を参照すると、第1のガイドチャネル2515(従って、その中のバンド2420の一部)は、第1のリンク2510の長手方向中心線CL
1及び第1の回転軸線A
1から距離d
1だけオフセットされる。このようにして、バンド2420に張力を加えると(
図7の基端方向矢印AAで示される)、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生し、その結果、
図7の矢印BBによって示されるように、第2のリンク2610が第1のリンク2510に対して回転する。
図8及び
図9を参照すると、第1のガイドチャネル2515(従って、その中のバンド2420の一部)は、第2の回転軸線A
2から距離d
2だけオフセットされる。このようにして、バンド2420に張力を加えると(
図9の基端方向矢印CCで示される)、第2の回転軸線A
2の周りでツール部材2462にトルクが発生し、その結果、
図9の矢印DDによって示されるように、ツール部材2462が第2のリンク2610に対して回転する。
【0042】
第2のリンク2610は、基端部分2611及び先端部分2612を有する。上述したように、基端部分2611は、第1のリンク2510の先端部分2512に回転可能に結合され、手首ジョイントを形成する。例えば、いくつかの実施形態では、基端部分2611は、(2008年7月16日に出願された)“Four-Cable Wrist with Solid Surface Cable Channels”という表題の米国特許第8,821,480号に示され記載される基端側クレビス220と先端側クレビス230との間のピン留めジョイント等のピン留めジョイントを介して先端部分2512に結合することができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、基端部分2611は、(2015年2月20日に出願された)“Mechanical Wrist Joints with Enhanced Range of Motion, and Related
Devices and Methods”という表題の米国特許出願公開第2017/0120457号に示され記載されるタイプ等の嵌合ディスク面を介して先端部分2512に結合することができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
第2のリンク2610の先端部分2612は、ツール部材2462が手首アセンブリ2500に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転するように、ツール部材2462に結合されるコネクタ2680を含む。
図5に示されるように、第2の回転軸線A
2(ヨー軸線又はグリップ軸線とも呼ばれる)は、第1の回転軸線A
1と非平行である。こうして、器具2400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。第2の回転軸線A
2が、第1の回転軸線A
1に垂直であるように示されているが、他の実施形態では、第2の回転軸線A
2は、第1の回転軸線A
1から任意の適切な角度だけオフセットされ得る。コネクタ2680は、ツール部材2462を第2のリンク2610に回転可能に結合してツールジョイントを形成するための任意の適切なコネクタであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、コネクタ2680は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に示され記載されるピン留めジョイント等のクレビス及びピンを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、コネクタ2680は、(2016年1月26日に出願された)“Rolling-Contact Joint Mechanisms and Methods”という表題の国際公開第2016/123139号に示され記載されるコンプライアント機構等のコンプライアント機構を含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
図7に示されるように、第2のリンク2610は、第1の回転軸線A
1と交差する長手方向中心線CL
2を規定する。手首アセンブリ2500が第1の構成(
図5及び
図6)であるときに、第1のリンク2510の長手方向中心線CL
1及び第2のリンク2610の長手方向中心線CL
2は同一線上にある(及び、
図6では集合的にCLとして識別される)。第2のリンク2610が第1のリンク2510に対して回転する(すなわち、ピッチで回転する)ときに、長手方向中心線CL
1及び長手方向中心線CL
2はピッチ角を形成する。
【0045】
図8~
図9を参照すると、第2のガイドチャネル2615が、第2のリンク2610内に規定される。バンド2420の先端部分2422は、第2のガイドチャネル2615内で移動する。
図10に示されないが、第2のリンク2610は、内側ガイド面及び外側ガイド面(それぞれ、内側ガイド面2516及び外側ガイド面2517と同様)を含み、それぞれのガイド面が第2のガイドチャネル2615の境界の一部を形成する。第1のリンク2515のガイド面に関して上述したように、第2のリンク2610の内側ガイド面及び外側ガイド面は、第2のリンク2610が第2のリンク2610(第1のリンク2510)に対して回転するときに、バンド2420の対応する面に接触する。
図6を参照すると、第2のガイドチャネル2615(従って、その中のバンド2420の一部)は、第2のリンク2610の長手方向中心線CL
1及び第1の回転軸線A
1から距離d
1だけオフセットされる。このようにして、バンド2420に張力を加えると(
図7の基端方向矢印AAで示される)、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生し、その結果、
図7の矢印BBによって示されるように、第2のリンク2610が第1のリンク2510に対して回転する。
図8及び
図9を参照すると、第2のガイドチャネル2615(従って、その中のバンド2420の一部)は、第2の回転軸線A
2から距離d
2だけオフセットされる。このようにして、バンド2420に張力を加えると(
図9の基端方向矢印CCで示される)、第2の回転軸線A
2の周りでツール部材2462にトルクが発生し、その結果、
図9の矢印DDによって示されるように、ツール部材2462が第2のリンク2610に対して回転する。
【0046】
ツール部材2462は、手首アセンブリ2500に結合され、且つ手首アセンブリに対して第2の回転軸線A2の周りに回転する。このようにして、ツール部材2462の先端部分(例えば、係合部分)は、外科的処置中に標的組織と係合する又はこの組織を操作することができる。ツール部材2462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、任意の適切な医療用ツール部材であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ツール部材2462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、把持器、カッター、組織マニピュレータ等として機能する係合面を含むことができる。他の実施形態では、ツール部材2462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、焼灼処置に使用されるエネルギー供給を受けるツール部材であり得る。1つのツール部材2462のみが示されているが、他の実施形態では、器具2400は、把持機能又はせん断機能を協働して行う2つの移動式ツール部材を含む。このようにして、ツール部材2462は、器具2400のエンドエフェクタの一部を形成することができる。
【0047】
バンド2420は、基端部分2421及び先端部分2422を有する。基端部分2421は、シャフト(図示せず)を通って手首アセンブリ2500の外側に延び、且つアクチュエータ(図示せず)に結合される。アクチュエータは、任意の適切な機構によってバンドの基端部分2421を動かして、(
図7の矢印AA及び
図9の矢印CCによって示されるように)結果として生じる動き(又は力)をバンドの先端部分2422に生成することができる。いくつかの実施形態では、器具2400のバックエンドは、モータ駆動であり、こうして、遠隔操作手術システムに適している。バンド2420の先端部分2422は、第1のガイドチャネル2515及び第2のガイドチャネル2615内にあり、且つツール部材2462に結合される。このようにして、本明細書に記載されるように、バンド2420の運動(又は、そのバンドに加えられる力)は、ツール部材2462の回転、第2のリンク2610の回転、又はツール部材2462と第2のリンク2610との両方の回転を発生させる。バンド2420の先端部分2422は、適切な機構によってツール部材2462に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、先端部分2422は、ツール部材2462の接続部分と係合する(又はその中に受容される)ピン又は突起部によってツール部材2462に結合される。他の実施形態では、先端部分2422は、接着剤を介してツール部材2462に結合される。さらに他の実施形態では、バンドの先端部分2422は、ツール部材2462のプーリ部分の周りに巻き付けられる。
【0048】
バンド2420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、
図10は、(バンド2420の長手方向中心線に垂直な断面平面内で切り取られた)長方形の断面形状を有するものとしてバンド2420を示しているが、他の実施形態では、バンド2420は、任意の適切な断面形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、バンド2420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、台形形状を有することができる。他の実施形態では、バンド2420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、僅かに湾曲した面を含むことができる。例えば、内側接触面2425及び外側接触面2426が、(バンド2420の長手方向中心線に垂直な断面平面内で)線形であるように示されているが、他の実施形態では、内側接触面2425、外側接触面2426、又はその両方が湾曲しているか、又は「クラウン形状(crowned)」になっている。さらに、バンド2420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な材料から構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、バンド2420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、(例えば、接着剤を介して)互いに接合される一連のラミネートから構成され得る。他の実施形態では、ラミネートは、他の任意の適切な方法で接合することができる。ラミネートは、タングステン、鋼、又は任意の適切なポリマーを含む、任意の適切な材料から構成することができる。
【0049】
バンド2420の使用は、外科的処置(低侵襲性処置を含む)に適した低コストの使い捨て器具を提供することができる。使用中に、器具2400の先端部分は、最大3自由度を与え、且つ様々な外科手術を行うために複数の異なる構成の間で移動することができる。例えば、いくつかの状況では、
図7の基端方向矢印AAによって示されるように、バンド2420の先端部分2422の動きは、(
図7の矢印BBによって示されるように)第2のリンク2610のピッチ軸線A
1の周りの回転を発生させる。回転量、所望の回転を発生させるために必要な力、及びバンド2420の移動量は、とりわけ、バンド2420とピッチ軸線A
1との間のオフセット距離d
1、並びに第1のガイドチャネル2515及び第2のガイドチャネル2615内のバンド2420の先端部分2422の曲率(又は経路)によって制御され得る。例えば、より大きなオフセット距離d
1は、より大きなモーメントアームを発生させるが、次に、手首アセンブリ2500の全体のサイズを増大させる。他の状況では、
図9の基端方向矢印CCによって示されるように、バンド2420の先端部分2422の動きは、(
図9の矢印DDによって示されるように)ツール部材2462のヨー軸線A
2の周りの回転を発生させる。これにより、グリップ運動(例えば、2つのツール部材がある場合等)又はヨー運動が生成される。回転量、所望の回転を発生させるために必要な力、及びバンド2420の移動量は、とりわけ、バンド2420とヨー軸線A
2との間のオフセット距離d
2、並びに第1のガイドチャネル2515及び第2のガイドチャネル2615内のバンド2420の先端部分2422の曲率(又は経路)によって制御され得る。例えば、より大きなオフセット距離d
2は、より大きなモーメントアームを発生させるが、次に、手首アセンブリ2500の全体のサイズを増大させる。
【0050】
第1のリンク2510及び第2のリンク2610が長方形の断面形状を有するものとして示されているが、他の実施形態では、第1のリンク2510、第2のリンク2610、又は第1のリンク2510と第2のリンク2610との両方は、任意の適切な断面形状を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のリンク2510、第2のリンク2610、又は第1のリンク2510と第2のリンク2610との両方は、略円形の断面形状を有してもよい(すなわち、手首アセンブリ2500は実質的に円筒形であり得る)。
【0051】
第1のガイドチャネル2515及び第2のガイドチャネル2615は、それぞれ第1のリンク2510の長手方向中心線CL
1及び第2のリンク2610の長手方向中心線CL
2に沿って略直線として示されているが、他の実施形態では、第1のガイドチャネル2515、第2のガイドチャネル2615、又は第1のガイドチャネル2515と第2のガイドチャネル2615との両方は、バンド2420が、手首アセンブリ2500を通って経路指定されて、第2のリンク2610及びツール部材2462の全可動域の間に所望の張力及び不変の長さを維持するのを保証するように任意の長手方向形状を有することができる。例えば、
図11~
図17は、一実施形態による、器具3400の様々な部分の概略図である。器具3400は、手首アセンブリ3500、バンド3420(引張部材として機能する)、及びツール部材3462を含む。本明細書に記載されるように、器具3400は、バンド3420の動きが、(
図13~
図14に示されるように)手首アセンブリ3500の動き、ツール部材3462の動き(図示しないが、
図9に関して上で説明した動きと同様)、又は手首アセンブリ3500の動きとツール部材3462の動きとの両方を発生させるように構成される。
【0052】
手首アセンブリ3500は、基端側の第1のリンク3510及び先端側の第2のリンク3610を含む。第1のリンク3510は、基端部分3511及び先端部分3512を有する。基端部分3511は、シャフト(図示せず)に結合される。シャフトが
図11~
図17には示されていないが、基端部分3511は、本明細書に示され記載されるシャフト5410又はシャフト7410等の任意の適切なシャフトに結合され得る。さらに、第1のリンク3510の基端部分3511は、溶接、締り嵌め、接着剤等の任意の適切な機構を介してシャフトに結合することができる。以下で説明するように、先端部分3512は、レボリュート・ジョイントで第2のリンク3610に結合される。このようにして、第1のリンク3510及び第2のリンク3610は、第1の回転軸線A
1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ3500を形成し、第1の回転軸線A
1の周りで、第2のリンク3610が第1のリンクに対して回転する。
【0053】
図13に示されるように、第1のリンク3510は、第1の回転軸線A
1と交差する長手方向中心線CL
1を規定する。第1のガイドチャネル3515が、第1のリンク3510内に規定され、バンド3420の先端部分3422が、第1のガイドチャネル3515内にあり、そのガイドチャネル3515に沿って移動する。より具体的には、
図15~
図17に示されるように、第1のリンク3510は、内側ガイド面3516及び外側ガイド面3517を含み、それぞれのガイド面が第1のガイドチャネル3515の境界の一部を形成する。
図12~
図14に示されるように、第1のガイドチャネル3515は、第1のリンク3510の長手方向中心線CL
1に沿って湾曲している。特に、
図12に示されるように、内側ガイド面3516は、長手方向中心線CL
1に沿って曲率半径R
内側だけ湾曲しており、外側ガイド面3517は、長手方向中心線CL
1に沿って曲率半径R
外側だけ湾曲している。このようにして、第2のリンク3610が第1のリンク3510に対して第1の回転軸線A
1の周りに回転(すなわち、ピッチ運動)するときに、バンド3420は、内側ガイド面3516及び外側ガイド面3517の湾曲部分に接触して、器具3400の作動中に所望のバンド幾何学的形状、バンド張力等を維持することができる。いくつかの実施形態では、曲率半径R
内側は、曲率半径R
外側とは異なる。さらに、内側ガイド面3516及び外側ガイド面3517の曲率が、単一の曲率半径(それぞれR
内側及びR
外側)によって規定されるものとして示されているが、他の実施形態では、第1のガイドチャネルの曲率(又は、本明細書に記載されるガイドチャネルのいずれかの曲率)は、複数の異なる曲率半径によって規定することができる。
【0054】
図15~
図17に示されるように、第1のリンク3510の長手方向中心線CL
1(又は第1のガイドチャネル3515の長手方向中心線)に垂直な断面平面内で切り取られた内側ガイド面3516の一部が線形である。同様に、第1のリンク3510の長手方向中心線CL
1(又は第1のガイドチャネル3515の長手方向中心線)に垂直な断面平面内で切り取られた外側ガイド面3517の一部が線形である。以下で説明するように、この構成により、第2のリンク3610が第1のリンク3510に対して第1の方向に回転するときに、内側ガイド面3516は、(断面内の単一の点でのみではなく)線形の断面接触面に沿ってバンド3420の対応する内側接触面3425に接触できる。この構成により、また、第2のリンク3610が第1のリンク3510に対して第1の方向とは反対の第2の方向に回転するときに、外側ガイド面3517は、線形の断面接触面に沿ってバンド3420の対応する外側接触面3426に接触できる。
【0055】
第1のガイドチャネル3515(従って、その中のバンド3420の一部)は、第1のリンク3510の長手方向中心線CL
1及び第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、バンド3420に力を加えると(
図13の矢印EE及び
図14の矢印GGで示される)、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生し、その結果、
図13の矢印FF及び
図14の矢印HHによって示されるように、第2のリンク3610が第1のリンク3510に対して回転する。第1のガイドチャネル3515(従って、その中のバンド3420の一部)もまた、第2の回転軸線A
2からオフセットされる。このようにして、バンド3420に力を加えると、第2の回転軸線A
2の周りでツール部材3462にトルクを発生させることができ、その結果、ツール部材3462が第2のリンク3610に対して回転する。
【0056】
第2のリンク3610は、基端部分3611及び先端部分3612を有する。上述したように、基端部分3611は、第1のリンク3510の先端部分3512に回転可能に結合され、手首ジョイントを形成する。例えば、いくつかの実施形態では、基端部分3611は、(2008年7月16日に出願された)“Four-Cable Wrist with Solid Surface Cable Channels”という表題の米国特許第8,821,480号に示され記載される基端側クレビス220と先端側クレビス230との間のピン留めジョイント等のピン留めジョイントを介して先端部分3512に結合することができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、基端部分3611は、(2015年2月20日に出願された)“Mechanical Wrist Joints with Enhanced Range of Motion, and Related
Devices and Methods”という表題の米国特許出願公開第2017/0120457号に示され記載されるタイプ等の、嵌合ディスク面を介して先端部分3512に結合することができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
第2のリンク3610の先端部分3612は、ツール部材3462が手首アセンブリ3500に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転するように、ツール部材3462に結合されるコネクタ3680を含む。
図11に示されるように、第2の回転軸線A
2は、第1の回転軸線A
1と非平行である。軸線A
2は、ツール部材が一緒に回転する際のヨー軸線(ヨーという用語は任意である)と、ツール部材が互いに反対方向に回転する際のグリップ軸線との両方として機能する。こうして、器具3400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ回転、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。コネクタ3680は、ツール部材3462を第2のリンク3610に回転可能に結合してツールジョイントを形成するための任意の適切なコネクタであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、コネクタ3680は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に示され記載されるピン留めジョイント等のクレビス及びピンを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、コネクタ3680は、(2016年1月26日に出願された)“Rolling-Contact Joint Mechanisms and Methods”という表題の国際公開第2016/123139号に示され記載されるコンプライアント機構等のコンプライアント機構を含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ツール部材3462の取り付けのためのコンプライアント機構の使用は、ピン留めジョイントで利用可能なものと比較して、より少ない部品でツール部材が強化された可動域を有することを可能にし得る。
【0058】
図13に示されるように、第2のリンク3610は、第1の回転軸線A
1と交差する長手方向中心線CL
2を規定する。手首アセンブリ3500が第1の構成(
図11及び
図12)にあるときに、第1のリンク3510の長手方向中心線CL
1及び第2のリンク3610の長手方向中心線CL
2は同一線上にある。第2のリンク3610が第1のリンク3510に対して回転(すなわち、ピッチ運動)するときに、長手方向中心線CL
1及び長手方向中心線CL
2は、(
図13及び
図14に示されるように)ピッチ角を形成する。
【0059】
図12~
図14を参照すると、第2のガイドチャネル3615が、第2のリンク3610内に規定される。バンド3420の先端部分3422は、第2のガイドチャネル3615内を移動する。特定しないが、第2のリンク3610は、内側ガイド面及び外側ガイド面(それぞれ、内側ガイド面3516及び外側ガイド面3517と同様)を含み、それぞれのガイド面が、第2のガイドチャネル3615の境界の一部を形成する。第2のガイドチャネル3615は、第2のリンク3610の長手方向中心線CL
2に沿って湾曲している。具体的には、特定しないが、内側ガイド面は、長手方向中心線CL
2に沿って曲率半径だけ湾曲し、外側ガイド面は、長手方向中心線CL
2に沿って曲率半径だけ湾曲している。このようにして、第2のリンク3610が第1のリンク3510に対して第1の回転軸線A
1の周りに回転(すなわち、ピッチ運動)するときに、バンド3420は、第2のリンク3610の内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具3400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。
【0060】
第1のリンク3515のガイド面に関して上述したように、第2のリンク3610の内側ガイド面及び外側ガイド面は、第2のリンク3610が第2のリンク3610(第1ののリンク3510)に対して回転するときに、バンド3420の対応する面に接触する。さらに、第2のガイドチャネル3615(従って、その中のバンド3420の一部)は、第2のリンク3610の長手方向中心線CL2及び第1の回転軸線A1からオフセットされる。このようにして、バンド3420に力を加えると、第1の回転軸線A1の周りにトルクが発生し、その結果、第2のリンク3610が第1のリンク3510に対して回転する。第2のガイドチャネル3615(従って、その中のバンド3420の一部)も、第2の回転軸線A2からオフセットされる。このようにして、バンド3420に力を加えると、第2の回転軸線A2の周りでツール部材3462にトルクを発生させることができ、その結果、ツール部材3462が第2のリンク3610に対して回転する。
【0061】
ツール部材3462は、手首アセンブリ3500に結合され、且つ手首アセンブリに対して第2の回転軸線A2の周りに回転する。このようにして、ツール部材3462の先端部分(例えば、係合部分)は、外科的処置中に標的組織と係合する又はこの組織を操作することができる。ツール部材3462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、任意の適切な医療用ツール部材であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ツール部材3462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、把持器、カッター、組織マニピュレータ等として機能する係合面を含むことができる。他の実施形態では、ツール部材3462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、焼灼処置に使用されるエネルギー供給を受けるツール部材であり得る。1つのツール部材3462のみが示されているが、他の実施形態では、器具3400は、把持機能又はせん断機能を協働して行う2つの移動式ツール部材を含む。このようにして、ツール部材3462は、器具3400のためのエンドエフェクタの一部を形成することができる。
【0062】
バンド3420は、基端部分3421及び先端部分3422を有する。基端部分3421は、シャフト(図示せず)を通って手首アセンブリ3500の外側に延び、アクチュエータ(図示せず)に結合される。アクチュエータは、任意の適切な機構によってバンドの基端部分3421を動かして、(
図13の矢印EE及び
図14の矢印GGによって示されるように)結果として生じる動き(又は力)をバンドの先端部分3422に発生させることができる。バンド3420の先端部分3422は、第1のガイドチャネル3515及び第2のガイドチャネル3615内にあり、且つツール部材3462に結合される。このようにして、本明細書に記載されるように、バンド3420の動き(又はそれに加えられる力)は、ツール部材3462の回転、第2のリンク3610の回転、又はツール部材3462と第2のリンク3610との両方の回転を発生させる。バンド3420の先端部分3422は、任意の適切な機構によってツール部材3462に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、先端部分3422は、ツール部材3462の接続部分に係合する(又はその接続部分内に受容される)ピン又は突起部によってツール部材3462に結合することができる。他の実施形態では、先端部分3422は、接着剤を介してツール部材3462に結合することができる。さらに他の実施形態では、バンドの先端部分3422は、ツール部材3462のプーリ部分の周りに巻き付けることができる。
【0063】
バンド3420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な形状を有することができる。さらに、バンド3420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な材料から構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、バンド3420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、(例えば、接着剤を介して)互いに接合される一連のラミネートから構成され得る。他の実施形態では、ラミネートは、他の任意の適切な方法で接合することができる。ラミネートは、タングステン、鋼、又は任意の適切なポリマーを含む、任意の適切な材料から構成することができる。
【0064】
バンド3420の使用は、外科的処置に適した低コストの使い捨て器具を提供することができる。使用中に、器具3400の先端部分は、最大3自由度を与え、且つ複数の異なる構成の間で移動して、様々な外科手術を行うことができる。例えば、いくつかの状況では、第2のリンク3610は、ピッチ軸線A
1の周りで第1の方向に回転することができる。
図13に示されるように、矢印EEによって示されるようなバンド3420の動き(又はバンド340への力の適用)は、第2のリンク3610の第1のリンク3510に対する矢印FFによって示される第1の方向への回転を発生させる。
図16を参照すると、回転中に、バンド3420の内側接触面3425は、第1のリンク3510の内側ガイド面3516と接触する。具体的には、内側接触面3425は、湾曲した内側ガイド面3516の周りに巻き付けられて(すなわち、内側接触面3425と内側ガイド面3516との間の接触を維持することができる)、所望の張力がバンド3420内に維持され、先端部分3422と基端部分3421との間の(つまり、アクチュエータに結合された)動きが、第2のリンク3610及びツール部材3462の全可動域に亘って保存されるのを保証することができる。
図14に示されるように、矢印GGによって示されるようなバンド3420の動き(又はバンド340への力の適用)は、第2のリンク3610の第1のリンク3510に対する矢印HHによって示される第1の方向への回転を発生させる。
図17を参照すると、バンド3420の外側接触面3426は、第1のリンク3510の外側ガイド面3517に接触する。具体的には、外側接触面3417は、湾曲した外側ガイド面3517の周りに巻き付けられて(すなわち、外側接触面3426と外側ガイド面3517との間の接触を維持することができる)、所望の張力がバンド3420内に維持され、先端部分3422と基端部分3421との間の(すなわち、アクチュエータに結合された)動きが、第2のリンク3610及びツール部材3462の全可動域に亘って保存されるのを保証することができる。
【0065】
使用中に、いくつかの実施形態では、バンド(例えば、バンド3420)の第1の部分が、手首アセンブリの1つ又は複数のガイド面(例えば、内側ガイド面3516)の周りに巻き付けられ、バンドの第2の部分が、ツール部材(例えば、ツール部材3462)の部分(例えば、プーリ部分)の周りに巻き付けられる。そのような実施形態では、バンドは、所望のトルク又は力を手首アセンブリ又はツール部材に及ぼすのに十分な強度を有するように構成され、同時に、器具内の様々な構造に適合する(又はその周りに巻き付けられる)のに十分な可撓性も有する。本明細書に記載されるバンドの可撓性(又は剛性)は、バンドの広範な特性であり、こうして、バンドが形成される材料と、バンドの特定の物理的特性(例えば、断面形状、長さ、境界条件等)との両方に依存する。例えば、本明細書に記載のバンドのいずれかの可撓性は、所望の弾性率、曲げ弾性率及び/又は硬度を有する材料からバンドを選択的に構成することにより、増減させることができる。例えば、バンドの可撓性は、例えば、比較的低い弾性率を有する材料のバンドを構成することにより増大させることができる。いくつかの実施形態では、例えば、より薄いラミネートのバンドを構成することにより、バンドの可撓性を高めることができる。本明細書に記載されるバンドのいずれかの可撓性は、物体の形状又は断面積等、物体の物理的特性を変更することによって増減させることもできる。例えば、長さ及び断面積を有するバンドは、同じ長さを有するが断面積がより小さい別のバンドよりも大きな剛性を有し得る。こうして、バンドのサイズを小さくすること、及び/又はバンドの形状又は向きを変更することによって、バンドの可撓性を高めることができる。また、使用するラミネートの数を変更することにより、バンドの剛性を変更できる。
【0066】
本明細書に記載のバンドのいずれか等の細長い物体の剛性(又は逆に、可撓性)は、その曲げ剛性によって特徴付けることができる。バンドの曲げ剛性を使用して、所定の力の下でバンドが撓む容易さ(例えば、本明細書に記載される器具内で曲がりくねった経路に沿って巻き付けられたり移動したりしたときのバンドの撓み易さ)を特徴付けることができる。曲げ剛性は、以下に示されるように数学的に表現できる。
k=3EI/L3 (1)
【0067】
ここで、kはバンドの曲げ剛性であり、Eはバンドを構成する材料の弾性率であり、Iはバンドの断面2次モーメント(以下で規定される)であり、Lはバンドの長さである。こうして、所与のバンド長さに対して、バンドの弾性率と断面2次モーメントとの両方を低減することにより、剛性を低下させることができる(すなわち、可撓性を高めることができる)。長方形の断面形状の断面2次モーメントは次のように表される。
Ix=bh3/12 (2)
【0068】
ここで、xはバンドが曲げられている軸であり、bはx軸に平行な長方形の辺の長さ(つまり、長方形の「底辺」)であり、hはx軸に垂直な長方形の辺(つまり、長方形の「高さ」)である。この式から明らかなように、長方形の断面2次モーメントは、底辺が2つの辺のうち長い方であるときに最も低くなる。別の言い方をすれば、本明細書に記載されるバンドのいずれかの可撓性は、断面形状が、所望の曲げ軸線の周りの可能な限り低い断面2次モーメントを生成するように向き合わせされるのを確実にすることによって最大化できる。また、追加の薄いラミネートで構成することにより、強度を低下させることなくバンドの可撓性を高めることができる。
【0069】
従って、いくつかの実施形態では、器具は、その断面形状(長手方向中心線に沿った様々な位置で)が、第1の軸線の周りに低い断面2次モーメントを生成するように第1の向きになり、且つ第2の軸線の周りに低い断面2次モーメントを生成するように第2の向きになるように、長手方向中心線に沿ってねじられるバンドを含むことができる。この構成により、単一のバンドを変形させて、2つ以上の異なる軸線(例えば、ピッチ軸線及びヨー軸線)の周りに望ましい可撓性を維持できる。例えば、
図18は、一実施形態による、器具4400の一部の断面図を示す。器具4400は、手首アセンブリ4500、バンド4420、及びツール部材4462を含む。
図19~
図21は、バンド4420の長手方向中心線CLに垂直な面内で切り取られたバンド4420の様々な部分の断面図である。器具4400は、バンド4420の動きが、手首アセンブリ4500のピッチ軸線A
1の周りの動き、ツール部材4462のヨー軸線A
2の周りの動き、又は手首アセンブリ4500の動きとツール部材4462の動きとの両方を発生させるように構成される。
【0070】
手首アセンブリ4500は、基端側の第1のリンク4510及び先端側の第2のリンク4610を含む。第1のリンク4510は、基端部分及び先端部分を有する。第1のリンク4510の基端部分は、手首アセンブリ2500及び手首アセンブリ3500に関して上記で説明したのと同様の方法で、シャフト(図示せず、本明細書に記載されるシャフトのいずれかと同様)に結合される。先端部分は、レボリュート・ジョイントで第2のリンク4610に結合される。このようにして、第1のリンク4510及び第2のリンク4610は、第1の回転軸線A1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ4500を形成し、第1の回転軸線A1の周りで、第2のリンク4610が第1のリンクに対して回転する。
【0071】
第2のリンク4610は、基端部分4611及び先端部分4612を有する。上述したように、基端部分4611は、第1のリンク4510に回転可能に結合される。第2のリンク4610の基端部分4611及び第1のリンク4510の先端部分は、互いに結合されて、任意の適切な手首ジョイントを形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のリンク4610は、本明細書に示され記載されるタイプのピン留めジョイントを介して第1のリンク4510に結合され得る。他の実施形態では、第2のリンク4610は、本明細書に示され記載されるタイプの嵌合ディスク面を介して、第1のリンク4510に結合され得る。第2のリンク4610の先端部分4612は、ツール部材4462が手首アセンブリ4500に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転するように、ツール部材4462のプーリ部分4467に結合される。
図18に示されるように、第2の回転軸線A
2は、第1の回転軸線A
1と非平行である。軸線A
2は、ツール部材が一緒に回転する際のヨー軸線(ヨーという用語は任意である)と、ツール部材が互いに反対方向に回転する際のグリップ軸線との両方として機能する。こうして、器具4400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。ツール部材4462は、任意の適切なジョイントを介して第2のリンク4610に回転可能に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2のリンク4610は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に示され記載されるピン留めジョイント等の、クレビス及びピンを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、第2のリンク4610は、(2016年1月26日に出願された)“Rolling-Contact Joint Mechanisms and Methods”という表題の国際公開第2016/123139号に示され記載されるコンプライアント機構等のコンプライアント機構を含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
図示されるように、第2のリンク4610は、バンド4420の部分4422がその中に移動可能に配置されるガイドチャネル4615を規定する。いくつかの実施形態では、第2のリンク4610は、内側ガイド面及び外側ガイド面(それぞれ、内側ガイド面3516及び外側ガイド面3517と同様)を含み、それぞれのガイド面がガイドチャネル4615の境界の一部を形成する。さらに、いくつかの実施形態では、ガイドチャネル4615は、第2のリンク4610の長手方向中心線に沿って湾曲している。このようにして、第2のリンク4610が第1のリンク4510に対して第1の回転軸線A1の周りに回転(すなわち、ピッチ運動)するときに、バンド4420は、第2のリンク4610の内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分と接触して、器具4400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。
【0073】
ツール部材4462は、手首アセンブリ4500に結合され、且つ接触部分4464及びプーリ部分4467を含む。接触部分4464は、外科的処置中に標的組織と係合する又はこの組織を操作するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、接触部分4464は、把持器、カッター、組織マニピュレータ等として機能する係合面を含むことができる。他の実施形態では、接触部分4464は、焼灼処置に使用されるエネルギー供給を受けるツール部材であり得る。上述したように、プーリ部分4467は、矢印JJで示されるように、ツール部材4462が手首アセンブリ4500に対して第2の回転軸線A2の周りに回転するように、第2のリンク4610に回転可能に結合される。このようにして、ツール部材4462の接触部分4464は、外科的処置中に標的組織と係合する又はこの組織を操作することができる。ツール部材4462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、任意の適切な医療用ツール部材であり得る。さらに、1つのツール部材4462のみが示されているが、他の実施形態では、器具4400は、把持機能又はせん断機能を協働して行う2つの移動式ツール部材を含む。このようにして、ツール部材4462は、器具4400のためのエンドエフェクタの一部を形成することができる。
【0074】
バンド4420(引張部材として機能する)は、長手方向中心線CLを規定し、且つ第1のバンド部分4421、第2のバンド部分4422、及び第3のバンド部分4423を有する。第3のバンド部分4423は、第2のバンド部分4422と第1のバンド部分4421との間にある。第1のバンド部分4421は、ガイドチャネル4615内にあり、且つ第1のリンク部材4510内に延びる。いくつかの実施形態では、バンド4420は、シャフト(図示せず)を通って手首アセンブリ4500の外側に延び、アクチュエータ(図示せず)に結合される第4のバンド部分(すなわち、基端部分)を含むことができる。アクチュエータは、任意の適切な機構によってバンド4420を動かして、(
図18の矢印IIによって示されるように)結果として生じる動き(又は力)を第1のバンド部分4421に発生させることができる。第2のバンド部分4422は、ツール部材4462に結合される。具体的には、第2のバンド部分4422は、ツール部材4462のプーリ部分4467に結合される(又はその一部に巻き付けられる)。このようにして、本明細書に記載されるように、バンド4420の動き(又はそれに加えられる力)は、(矢印JJによって示されるような)ツール部材4462の回転、第2のリンク4610の回転、又はツール部材4462と第2のリンク4610との両方の回転を発生させる。バンド4420の第2のバンド部分4422は、任意の適切な機構によってツール部材4462に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2のバンド部分4422は、プーリ部分4467の接続部分と係合する(又はその中に受容される)ピン又は突起部によってツール部材4462に結合することができる。他の実施形態では、第2のバンド部分4422は、接着剤を介してプーリ部分4467に結合することができる。
【0075】
図示されるように、バンド4420は、第1のバンド部分4421と第2のバンド部分4422との間で、その長手方向中心線CLに沿ってねじられる。同様に、
図19~
図21を参照すると、バンド4420は、第1のバンド部分4421における接触面4425の向きが、第2のバンド部分4422における接触面4425の向きとは異なるように、その長手方向中心線CLに沿って角度的に変形される。
図20に示されるように、接触面4425の向きと形状との両方は、第3のバンド部分4423において、第1のバンド部分4421又は第2のバンド部分4422とは異なる。バンド4420のねじれを説明するさらに別の方法として、長手方向中心線CLに垂直な面内のバンド4420の断面形状は、主軸(major axis)によって特徴付けられる。主軸という用語は楕円形の文脈でよく使用されるが、本明細書では長方形(又は台形)の文脈で使用される場合に、「主軸」という用語は、反対側の中心点を通過する断面形状の長軸である。
図19~
図21を参照すると、第1のバンド部分4421内の主軸AM1は、第2のバンド部分4422内の主軸AM2とは異なる角度方向にある。このようにして、第1のバンド部分4421の接触面4425は、ガイド面と接触することができるか、又は第1の回転軸線A
1の周りに湾曲することができる。第2のバンド部分4422の接触面4425は、プーリ部分4467の周りに巻き付けられることができるか、又は第2の回転軸線A
2の周りに湾曲することができる。ねじられることにより、バンド4420の所望の変形軸線の周りの断面2次モーメントが最小化される。こうして、バンド4420の可撓性は、第1のバンド部分4421(第2のリンク部材4610のピッチ軸線A
1の周りの回転を容易にする)と、第2のバンド部分4422(ツール部材4462のヨー軸線A
2の周りの回転を容易にする)との両方で最大化される。
【0076】
図21を参照すると、バンド4420は、第1のバンド部分4421と第2のバンド部分4422との間で、その長手方向中心線CLに沿って任意の適切なねじれ角Θだけねじることができる。いくつかの実施形態では、ねじれ角Θは、第1の回転軸線A
1と第2の回転軸線A
2との間に規定される角度と同じであり得る(「回転オフセット角」と呼ばれる)。いくつかの実施形態では、ねじれ角Θは約90度であり得る。
【0077】
バンド4420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な形状を有することができる。さらに、バンド4420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な材料から構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、バンド4420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、(例えば、接着剤を介して)互いに接合される一連のラミネートから構成され得る。他の実施形態では、ラミネートは、他の任意の適切な方法で接合することができる。ラミネートは、タングステン、鋼、又は任意の適切なポリマーを含む、任意の適切な材料から構成することができる。
【0078】
バンド4420の使用は、外科的処置に適した低コストの使い捨て器具を提供することができる。使用中に、器具4400の先端部分は、最大3自由度を与え、且つ複数の異なる構成の間で移動して、様々な外科手術を行うことができる。例えば、いくつかの状況では、第2のリンク4610は、ピッチ軸線A1の周りに回転でき、それにより、バンド4420を第1のバンド部分4421内の主軸AM1に平行な軸線の周りに曲げ又は湾曲させることができる。他の状況では、ツール部材4462は、ヨー軸線A2の周りに回転することができ、それにより、バンド4420を、第2のバンド部分4422内の主軸AM2に平行な軸線の周りに曲げ又は湾曲させることができる。
【0079】
上記のバンド(例えば、バンド4420)は、バンドの長手方向中心線に沿って一定の断面積を有するものとして示されているが、他の実施形態では、本明細書に示され記載される任意のバンドは、可変の断面積、形状、又はサイズを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、器具は、手首内の領域(又はバンドがエンドエフェクタに結合される場所)の小さい断面積と、シャフト内(又はアクチュエータで)の大きい断面積とを有する1つ又は複数のバンドを含むことができる。このようにして、より大きな断面積を有するバンドの部分は、より大きな強度を有することができ、それは、次に、使用中のバンドの伸び(変形)量を最小化することができる。例えば、
図22は、一実施形態による、器具5400の一部の概略図である。器具5400は、手首アセンブリ5500、バンド5420、及びツール部材5462を含む。
図23及び
図24は、バンド5420の長手方向中心線CLに垂直な面内で切り取られたバンド5420の断面図である。器具5400は、バンド5420の動きが、手首アセンブリ5500のピッチ軸線A
1の周りの動き、ツール部材5462のヨー軸線A
2の周りの動き、又は手首アセンブリ5500の動きとツール部材5462の動きとの両方を発生させるように構成される。
【0080】
手首アセンブリ5500(ジョイントアセンブリとも呼ばれる)は、基端側の第1のリンク5510及び先端側の第2のリンク5610を含む。第1のリンク5510は、シャフト5410に結合される基端部分5511を有する。シャフト5410は、手首アセンブリ5500をアクチュエータ5700に結合する任意の適切な細長いシャフトとすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、シャフト5410は、円筒形シャフトとすることができ、このシャフト内に、アクチュエータ5470から手首アセンブリ5500に経路指定されるバンド5420及び他の構成要素(例えば、電線、接地線等)が配置される。基端部分5511は、任意の適切な機構を介してシャフト5410に結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、基端部分5511は、(例えば、締り嵌めを介して)シャフト5410の一部内に嵌合させて配置することができる。いくつかの実施形態では、基端部分5511は、基端部分5511をシャフト5410に結合する1つ又は複数の突起部、凹部、開口部、又はコネクタを含むことができる。
【0081】
第2のリンク5610は、基端部分及び先端部分5612を有する。基端部分は、第1のリンク5510に回転可能に結合され、第1の回転軸線A1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ5500を形成し、第1の回転軸線A1の周りで、第2のリンク5610が第1のリンクに対して回転する。手首アセンブリ5500は、任意の適切な結合機構を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のリンク5610は、本明細書に示され記載されるタイプのピン留ジョイントを介して第1のリンク5510に結合され得る。他の実施形態では、第2のリンク5610は、本明細書に示され記載されるタイプの嵌合ディスク面を介して第1のリンク5510に結合され得る。
【0082】
第2のリンク5610の先端部分5612は、ツール部材5462が手首アセンブリ5500に対して第2の回転軸線A2の周りに回転するように、ツール部材5462のプーリ部分5467に結合されるコネクタ5680を含む。第2の回転軸線A2は、第1の回転軸線A1と非平行である。軸線A2は、ツール部材が一緒に回転する際のヨー軸線(ヨーという用語は任意である)と、ツール部材が互いに反対方向に回転する際のグリップ軸線との両方として機能する。こうして、器具5400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A2の周りのグリップ運動)を与える。コネクタ5680は、ツール部材5462を手首アセンブリ5500に回転可能に結合するための任意の適切なコネクタであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2のリンク5610は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に示され記載されるピン留めジョイント等の、クレビス及びピンを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、第2のリンク5610は、(2016年1月26日に出願された)“Rolling-Contact Joint Mechanisms and Methods”という表題の国際公開第2016/123139号に示され記載されるコンプライアント機構等のコンプライアント機構を含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
ツール部材5462は、手首アセンブリ5500に結合され、且つ接触部分5464及びプーリ部分5467を含む。接触部分5464は、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、接触部分5464は、把持器、カッター、組織マニピュレータ等として機能する係合面を含むことができる。他の実施形態では、接触部分5464は、焼灼処置に使用されるエネルギー供給を受けるツール部材であり得る。上述したように、プーリ部分5467は、矢印KKで示されるように、ツール部材5462が手首アセンブリ5500に対して第2の回転軸線A2を介して回転するように、第2のリンク5610に回転可能に結合される。このようにして、ツール部材5462の接触部分5464は、外科的処置中に標的組織と係合する又はこの組織を操作することができる。ツール部材5462(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、任意の適切な医療用ツール部材であり得る。さらに、1つのツール部材5462のみが示されているが、他の実施形態では、器具5400は、把持機能又はせん断機能を協働して行う2つの移動式ツール部材を含む。このようにして、ツール部材5462は、器具5400のためのエンドエフェクタの一部を形成することができる。
【0084】
バンド5420(引張部材として機能する)は、長手方向中心線CLを規定し、且つ第1のバンド部分5421、第2のバンド部分5422、第3のバンド部分5423、第4のバンド部分5431、及び第5の(つまり、最も基端側の)バンド部分5427を有する。第1のバンド部分5421は、シャフト5410内に配置され、
図24に示されるように、長手方向中心線CLに垂直な第1の面に第1の断面積を有する。第2のバンド部分5422は、ツール部材5462に結合される。
図23に示されるように、第2のバンド部分5422は、長手方向中心線CLに垂直な第2の面に第2の断面積を有する。具体的には、第2の断面積は、第1の断面積よりも小さい。このようにして、バンド5420は、シャフト5410内により大きな(従ってより高い強度)部分と、手首アセンブリ2500内の(及びツール部材5462に結合された)より小さく、より可撓性の部分とを有することができる。第3のバンド部分5423は、第2のバンド部分5422と第1のバンド部分5421との間にあり、且つより小さい第2のバンド部分5422とより大きい第1のバンド部分5421との間の移行部分である。第3のバンド部分5423が第1のバンド部分5421と第2のバンド部分5422との間で長手方向中心線に関して対称的に移行するように示されているが、他の実施形態では、第3のバンド部分5423は、長手方向中心線CLに沿って非対称に移行(又はテーパ)することができる。さらに、第3のバンド部分5423が、第1のバンド部分5421と第2のバンド部分5422との間で連続的且つ線形に移行するように示されているが、他の実施形態では、第3のバンド部分5423は、長手方向中心線CLに沿って不連続又は非線形的に移行(又はテーパ)することができる。
【0085】
図示されるように、第2のバンド部分5422は、ツール部材5462のプーリ部分5467の周りに巻き付けられる。このようにして、第4のバンド部分5431は、シャフト5410内に延び、且つ第1のバンド部分5421の反対側にある。いくつかの実施形態では、バンドは、第1のバンド部分5421、第2のバンド部分5422、第3のバンド部分5423、及び第4のバンド部分5431が全て単一の要素内にあるようにモノリシックに構成される。しかしながら、他の実施形態では、第4のバンド部分5431は、第1のバンド部分5421とは別個に構成され得る(又は異なる要素であり得る)。第2のバンド部分5422は、任意の適切な機構によってツール部材5462に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2のバンド部分5422は、プーリ部分5467の接続部分と係合する(又はその中に受容される)ピン又は突起部によってツール部材5462に結合され得る。他の実施形態では、第2のバンド部分5422は、接着剤を介してプーリ部分5467に結合することができる。
【0086】
第5の(つまり、最も基端側の)バンド部分5427は、アクチュエータ5700に結合される。アクチュエータは、矢印KKによって示されるように、第5のバンド部分5427の動きを生成するモータ駆動アクチュエータであり得る。第5のバンド部分5427でのバンドの動きは、(矢印KKによって示されるように)ツール部材5462の回転、第2のリンク5610の回転、又はツール部材5462と第2のリンク5610との両方の回転を発生させる。第1のバンド部分5421の断面積を増大させることにより、シャフト5410内のバンド5420の剛さ又は剛性が増大し、それにより、最も基端側のバンド部分5427と最も先端側の(つまり、第2の)バンド部分5422との間のバンド5420の運動の保存が高まる。
【0087】
図示されるように、アクチュエータ5700は、シャフト5410に対して平行移動して第5のバンド部分5427を動かす線形アクチュエータを含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、アクチュエータ5700は、第5のバンド部分5427を回転させる又は「に巻いて」動きを発生させるキャプスタン又は他のモータ駆動ローラを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ5700は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に記載される任意のバックエンド・アセンブリ又は構成要素を含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
バンド5420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のバンド部分5421の形状は台形(
図24を参照)であり得、第2のバンド部分5422の形状は長方形であり得る。さらに、バンド5420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、任意の適切な材料から構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、バンド5420(及び、本明細書に記載されるバンドのいずれか)は、(例えば、接着剤を介して)一緒に接合される一連のラミネートから構成することができる。他の実施形態では、ラミネートは、他の任意の適切な方法で接合することができる。ラミネートは、タングステン、鋼、又は任意の適切なポリマーを含む、任意の適切な材料から構成することができる。
【0089】
上記に示される器具(例えば、器具4400及び器具5400)は、単一のツール部材を含むが、他の実施形態では、器具は、(例えば、所望のエンドエフェクタを形成するため)任意の適切な数のツール部材を含み得る。さらに、器具が、ツール部材(例えば、器具2400)への単一の接続点を有するか、又はツール部材(例えば、器具5400)のプーリ部分の周りに巻き付けられる、単一バンドを含むものとして上に示されているが、他の実施形態では、器具は、手首アセンブリ及びエンドエフェクタを作動させるために、任意の適切な数のバンドを含み得る。例えば、
図25は、一実施形態による、器具6400の一部の概略図である。器具6400は、手首アセンブリ6500、第1のバンド6420、第2のバンド6440、及びエンドエフェクタ6460を含む。器具6400は、第1のバンド6420及び第2のバンド6440の様々な部分の動きが、手首アセンブリ6500のピッチ軸線A
1の周りの動き、エンドエフェクタ6460のヨー軸線A
2の周りの動き、エンドエフェクタ6460のグリップ運動、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。
【0090】
手首アセンブリ6500は、基端側の第1のリンク6510及び先端側の第2のリンク6610を含む。第1のリンク6510は、本明細書に示され説明されるタイプのシャフト(図示せず)に結合される。第2のリンク6610は、基端部分及び先端部分を有する。基端部分は、第1のリンク6510に回転可能に結合され、第1の回転軸線A1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ6500を形成し、第1の回転軸線A1の周りで、第2のリンク6610が第1のリンク6510に対して回転する。手首アセンブリ6500は、任意の適切な結合機構を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のリンク6610は、本明細書に示され説明されるタイプのピン留めジョイントを介して第1のリンク6510に結合され得る。他の実施形態では、第2のリンク6610は、本明細書に示され説明されるタイプの嵌合ディスク面を介して第1のリンク6510に結合され得る。
【0091】
第2のリンク6610の先端部分は、エンドエフェクタ6460に結合される。より具体的には、第2のリンク6610の先端部分は、第1のツール部材6462のプーリ部分6467及び第2のツール部材6482のプーリ部分6487に結合される。この構成により、ツール部材6462及びツール部材6482のそれぞれが、手首アセンブリ6500に対して第2の回転軸線A2の周りに回転可能になる。第2の回転軸線A2は、第1の回転軸線A1と非平行であり、且つツール部材が一緒に回転する際のヨー軸線(ヨーという用語は任意である)と、ツール部材が互いに反対に回転する際のグリップ軸線との両方として機能する。こうして、器具6400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A2の周りのグリップ運動)を与える。エンドエフェクタ6460が、ピンコネクタを介して第2のリンク6610に結合されるものとして示されているが、他の実施形態では、エンドエフェクタ6460は、任意の適切な機構によって手首アセンブリ6500に結合され得る。
【0092】
エンドエフェクタは、第1のツール部材6462及び第2のツール部材6482を含む。第1のツール部材6462は、接触部分6464及びプーリ部分6467を含み、第2のツール部材6482は、接触部分6484及びプーリ部分6487を含む。接触部分6464及び接触部分6484はそれぞれ、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、接触部分は、把持器、カッター、組織マニピュレータ等として機能する係合面を含むことができる。他の実施形態では、接触部分は、焼灼処置に使用されるエネルギー供給を受けるツール部材であり得る。上述したように、プーリ部分6467及びプーリ部分6487はそれぞれ、ツール部材6462が手首アセンブリ6500に対して第2の回転軸線A2の周りに回転するように、第2のリンク6610に回転可能に結合される。プーリ部分は、対応するバンド(すなわち、第1のバンド6420及び第2のバンド6440)が巻き付けられる接触面を含むことができる。第1のツール部材6462及び第2のツール部材6482(又は、本明細書に記載されるツール部材のいずれか)は、任意の適切な医療用ツール部材であり得る。
【0093】
第1のバンド6420(引張部材として機能する)は、第1の基端部分6421、第2の基端部分6431、及び先端部分6422を有する。図示されるように、先端部分6422は、第1のツール部材6462のプーリ部分6467の周りに巻き付けられる。このようにして、第1の基端部分6421及び第2の基端部分6431はそれぞれ、第1のリンク6510を通ってシャフト(図示せず)内に延びる。さらに、第1の基端部分6421及び第2の基端部分6431はそれぞれ、(ピッチ、ヨー、及びグリップとラベル付けされた一連の矢印によって示されるように)基端部分のそれぞれを動かすことができるアクチュエータ(図示しないが、上述したアクチュエータ5700と同様)に結合される。第2のバンド6440(引張部材としても機能する)は、第3の基端部分6441、第4の基端部分6451、及び先端部分6442を有する。図示されるように、先端部分6442は、第2のツール部材6482のプーリ部分6487の周りに巻き付けられる。このようにして、第3の基端部分6441及び第4の基端部分6451はそれぞれ、第1のリンク6510を通ってシャフト(図示せず)内に延びる。さらに、第3の基端部分6441及び第4の基端部分6451はそれぞれ、(ピッチ、ヨー、及びグリップとラベル付けされた一連の矢印によって示されるように)基端部分のそれぞれを動かすことができるアクチュエータ(図示しないが、上述したアクチュエータ5700と同様)に結合される。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1のバンド6420又は第2のバンド6440(又は両方)は、第1の基端部分、第2の基端部分、及び先端部分が全て単一の要素内にあるようにモノリシックに構成できる。しかしながら、他の実施形態では、第1のバンド6420又は第2のバンド6440(又は両方)は、複数の別個に構成された構成要素を含み得る(例えば、第1の基端部分6421は、第2の基端部分6431とは別個に構成され得る)。さらに、第1のバンド6420又は第2のバンド6440(又は両方)は、本明細書に記載されるように、任意の適切な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、第1のバンド6420又は第2のバンド6440(又は両方)は、(バンド5420に関して上述したように)変化する断面積を有することができ、又は(バンド4420に関して上述したように)その長手方向中心線に沿ってねじることができる。いくつかの実施形態では、第1のバンド6420又は第2のバンド6440(又は両方)は、(例えば、接着剤を介して)一緒に接合される一連のラミネートから構成され得る。他の実施形態では、ラミネートは、他の任意の適切な方法で接合することができる。ラミネートは、タングステン、鋼、又は任意の適切なポリマーを含む、任意の適切な材料から構成することができる。
【0095】
器具6400のピッチ、ヨー、又はグリップを変更するには、一般に、4つの基端部分(第1の基端部分6421、第2の基端部分、第3の基端部分6441、及び第4の基端部分6451)のそれぞれにそれぞれ適用される動き又は動作が必要である。バンド部分の動きは、通常、一度に1つずつ、又は同時に任意の望ましい組合せで行われ、器具6400のピッチ、ヨー、及びグリップを変更できる。例えば、矢印MMで示されるように、ピッチ軸線の回転により、第2のリンク6610が第1の回転軸線A1(ピッチ軸線)の周りに回転する。ピッチ軸線A1を中心とする時計回りの回転の場合に、アクチュエータ(図示せず)は、第3の基端部分6441及び第4の基端部分6451を同じ長さだけ解放しながら(つまり、先端側に移動させながら)、第1の基端部分6421及び第2の基端部分6431を同じ長さだけ引き込む(つまり、基端側に移動させる)。これは、ピッチとラベル付けされた矢印によって示される。第1の基端部分6421及び第2の基端部分6431は、手首アセンブリ6500を通るガイドチャネルによって規定されるモーメントアームにおいて第2のリンク6610に力を加える。同様に、第1のリンク6510及び第2のリンク6610は、ピッチ軸線A1の周りにトルクを発生させるために、ピッチ軸線A1からオフセットされた1つ又は複数のガイドチャネルを規定することができる。ガイドチャネルは、本明細書に記載されるガイドチャネルのいずれか(例えば、手首アセンブリ2500又は手首アセンブリ3500に関連して示され記載されるガイドチャネル)であり得る。同様に、第2のリンク6610のピッチ軸線A1を中心とする反時計回りの回転の場合に、アクチュエータは、第1の基端部分6421及び第2の基端部分6431を同じ長さだけ解放しながら(すなわち、先端側に移動させながら)、第3の基端部分6441及び第4の基端部分6451を同じ長さだけ引き込む(すなわち、基端側に移動させる)。
【0096】
ヨー回転は、第1のツール部材6462及び第2のツール部材6482の第2の回転軸線A2(ヨー軸線)を中心とする同じ方向及び同じ角度に亘る回転である。特に、アクチュエータが第1の基端部分6421をある長さだけ引き込み(すなわち、基端側に移動させ)、第2の基端部分6431を同じ長さだけ解放する(すなわち、先端側に移動するのを可能にする)ときに、第1のツール部材6462は、ヨー軸線A2を中心にして時計回りに回転する(矢印NNを参照)。この回転のために、ガイドチャネル又はプーリ部分6467のプーリ面は、第1のバンド6420を介して伝達される力が加えられるモーメントアームを規定する。結果として生じるトルクは、第1のツール部材6462を時計回りに回転させる。この運動中に、第1の基端部分6421及び第2の基端部分6431はそれぞれ、第2のリンク6610のガイドチャネル内で摺動する。同時に、アクチュエータが第4の基端部分6451をある長さだけ引き込み、且つ第3の基端部分6441を同じ長さだけ解放する場合に、第2のツール部材6482は、第1のツール部材6462が回転する角度と同じ角度に亘って時計回りに回転する。従って、第1のツール部材6462及び第2のツール部材6482は、互いに対するそれらの位置を維持し、且つヨー角に亘ってユニットとして回転する。エンドエフェクタ6460の反時計回りの回転は、アクチュエータが、第1の基端部分6421及び第4の基端部分6451を同じ長さだけ解放しながら、第2の基端部分6431及び第3の基端部分6441を同じ長さだけ引き込む場合に、同様に達成される。これは、ヨーとラベル付けされた矢印で示される。
【0097】
グリップ回転は、第1のツール部材6462及び第2のツール部材6482のヨー軸線A2を中心とする反対方向への同じ角度に亘る回転である。エンドエフェクタ6460のグリップを開くために、アクチュエータは、第2の基端部分6431及び第4の基端部分6451を同じ長さだけ解放しながら、第1の基端部分6421及び第3の基端部分6441を同じ長さだけ引き込む。これにより、第1のツール部材6562が第2のツール部材6482とは反対方向に回転する。エンドエフェクタのグリップを閉じるために、アクチュエータは、第1の基端部分6421及び第3の基端部分6441を同じ長さだけ解放しながら、第2の基端部分6431及び第4の基端部分6451を同じ長さだけ引き込む。これにより、第1のツール部材6562を第2のツール部材6482に向けて回転させる。ツール部材の接触部分が接触すると、第2の基端部分6431及び第4の基端部分6451の張力は、第1の基端部分6421及び第3の基端部分6441の力の張力よりも大きく保たれ、所望のグリップ力を維持することができる。
【0098】
図26~
図36は、一実施形態による、器具7400の様々な図である。いくつかの実施形態では、器具7400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具7400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具7400は、アクチュエータアセンブリ7700、シャフト7410、手首アセンブリ7500、及びエンドエフェクタ7460を含む。
図29を参照すると、器具7400は、バックエンド機構7700を手首アセンブリ7500に結合する一連のバンド(具体的には、第1のバンド7420、第2のバンド7430、第3のバンド7440、及び第4のバンド7450)も含む。器具7400は、バンドの動きが、手首アセンブリ7500の第1の回転軸線A
1(
図27参照、ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)の周りの回転(すなわち、ピッチ回転)、エンドエフェクタ7460の第2の回転軸線A
2(
図27及び
図28参照、ヨー軸線として機能する)の周りのヨー回転、エンドエフェクタ7460のツール部材の第2の回転軸線A
2の周りのグリップ回転、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。器具7400のピッチ、ヨー、又はグリップの変更は、器具6400に関して上述したのと同様の方法で、4つのバンドを操作することによって行うことができる。こうして、所望の運動を達成するための4つのバンドのそれぞれの特定の動きについて、以下で説明する。
【0099】
バックエンド機構7700は、第1のバンド7420、第2のバンド7430、第3のバンド7440、及び第4のバンド7450のそれぞれの動きを生成して、手首アセンブリ7500で所望の動き(ピッチ、ヨー、又はグリップ)を生成する。具体的には、バックエンド機構7700は、一部のバンドを基端方向に移動する(つまり、特定のバンドを引き込む)のと同時に、同じ長さの他のバンドの先端方向の移動(つまり、解放又は「繰り出し」)を可能にする構成要素及びコントロールを含む。このようにして、バックエンド機構7700は、バンド内の所望の張力を維持することができ、いくつかの実施形態では、手首アセンブリの全可動域の間に、バンドの長さが保存される(すなわち、等しい量で移動する)ことができる。しかしながら、他の実施形態では、バンドの長さの保存は必要とされない。
【0100】
いくつかの実施形態では、バックエンド機構7700は、バンドの一部の並進(直線運動)を生成する1つ又は複数の線形アクチュエータを含むことができる。そのようなバックエンド機構は、任意のバンドの端部を直接的に引っ張る(又は解放する)ために、例えば、ジンバル、レバー、又は他の任意の適切な機構を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、バックエンド機構7700は、(2014年8月15日に出願された)“Lever Actuated Gimbal Plate”という表題の米国特許出願公開第2015/0047454号、又は(2001年6月28日に出願された)“Surgical Tool Having Positively Positionable Tendon-Actuated
Multi-Disk Wrist Joint”という表題の米国特許第6,817,974号に記載されるバックエンド・アセンブリ又は構成要素のいずれかを含むことができ、これらの文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、他の実施形態では、バックエンド機構7700は、任意のバンドの一部を回転して又は「巻いて」所望のバンド運動を生成するキャプスタン又は他のモータ駆動ローラを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、バックエンド機構7700は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に記載されるバックエンド・アセンブリ又は構成要素のいずれかを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
シャフト7410は、手首アセンブリ7500をバックエンド機構7700に結合する任意の適切な細長いシャフトとすることができる。具体的には、シャフト7410は、バックエンド機構7700のハウジングに結合される基端部分7411と、手首アセンブリ7500に結合される先端部分7412とを含む。シャフト7410は、バンド及び他の構成要素(例えば、電線、接地線等)がバックエンド機構7700から手首アセンブリ7500に経路指定され得る通路又は一連の通路を規定する。円筒形として示されているが、他の実施形態では、シャフト7410は、任意の適切な形状を有することができる。
【0102】
図27及び
図28を参照すると、手首アセンブリ7500は、基端側の第1のリンク7510及び先端側の第2のリンク7610を含む。第1のリンク7510は、基端部分7511及び先端部分7512を有する。基端部分7511は、シャフト7410の先端部分7412に結合される。基端部分7511は、任意の適切な機構を介してシャフト7410に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、基端部分7511は、(例えば、締り嵌めを介して)シャフトの一部内に嵌合させて配置することができる。図示されるように、基端部分7511は、基端部分7511をシャフトに結合する1つ又は複数の突起部、凹部、開口部、又はコネクタを含むことができる。基端部分7511は、接着剤接合、溶接、又は任意の他の永久的結合機構(すなわち、通常の使用中に取り外すことを意図していない結合機構)を介してシャフト7410に固定して結合され得る。
【0103】
先端部分7512は、第2のリンク7610の相手側の嵌合(mating)ジョイント部分7640に回転可能に結合されるジョイント部分7540を含む。このようにして、第1のリンク7510及び第2のリンク7610は、第1の回転軸線A1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ7500を形成し、第1の回転軸線A1の周りで、第2のリンク7610が第1のリンク7510に対して回転する。具体的には、ジョイント部分7540は、凹部によって離間された一連の歯7544を含む。手首ジョイントはピン留めジョイントではないため、ピッチ軸線A1は、第2のリンク7610の回転中に第1のリンク7510に対して移動する。一連の歯7544及び凹部は、(2015年2月20日に出願された)“Mechanical Wrist Joints with Enhanced Range of Motion, and Related
Devices and Methods”という表題の米国特許出願公開第2017/0120457号に示され記載されるものと同様であり得、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
図30及び
図31を参照すると、第1のガイドチャネル7515、第2のガイドチャネル7525、及び中央ボア7535が、第1のリンク7510に規定される。中央ボア7535は、例えば電線等の、手首アセンブリの様々な構成要素を含む(又は通過させる)ことができる。第1のリンク7510は、内側ガイド面7516及び外側ガイド面7517(それぞれのガイド面が、第1のガイドチャネル7515の境界の一部を形成する)と、内側ガイド面7526及び外側ガイド面7527(それぞれのガイド面が、第2のガイドチャネル7525の境界の一部を形成する)とを含む。第1のバンド7420及び第2のバンド7430は、第1のガイドチャネル7515内に移動可能に配置される。第3のバンド7440及び第4のバンド7450は、第2のガイドチャネル7525内に移動可能に配置される。こうして、第1のガイドチャネル7515及び第2のガイドチャネル7525のそれぞれは、2つのバンドを含む。
【0105】
図28に示されるように、第1のリンク7510及び第2のリンク7610は、器具が初期(又は「直線」構成)にあるときに、ピッチ軸線A
1と交差する長手方向中心線CLを規定する。上記のように、第2のリンク7610がピッチ軸線A
1の周りに回転するときに、ジョイント部分7540とジョイント部分7640との間の転がり(rolling)界面は、ピッチ軸線A
1が僅かに移動し、もはや長手方向中心線CLと整列されないようなものである。
図30及び
図31に示されるように、内側ガイド面7516の少なくとも一部及び外側ガイド面7517の少なくとも一部は、長手方向中心線CLに沿って湾曲している。同様に、内側ガイド面7526の少なくとも一部及び外側ガイド面7527の少なくとも一部は、長手方向中心線CLに沿って湾曲している。内側ガイド面7516、7526及び外側ガイド面7517、7527は、任意の適切な曲率半径を規定することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク7610が、第1のリンク7510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図27の矢印OOを参照)、第1のバンド7420は、内側ガイド面7516及び外側ガイド面7517の湾曲部分に接触して、器具7400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。同様に、第2のリンク7610が第1のリンク7510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに、第2(3)のバンド7440は、内側ガイド面7526及び外側ガイド面7527の湾曲部分に接触して、器具7400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。
【0106】
第1のガイドチャネル7515及び第2のガイドチャネル7525が、長手方向中心線CLに沿って湾曲しているが、長手方向中心線CLに垂直な断面平面内で切り取られた内側ガイド面7516、7526及び外側ガイド面7517、7527のそれぞれの一部が線形である。器具3400の作動に関して上述したように、この構成により、第2のリンク7610が第1のリンク7510に対して回転するときに、内側ガイド面7516及び外側ガイド面7517が、(断面内の単一の点のみではなく)線形の断面接触面に沿って第1のバンド7420及び第2のバンド7430の対応する内側接触面及び外側接触面にそれぞれ接触するのが可能になる。この構成により、また、第2のリンク7610が第1のリンク7510に対して回転するときに、内側ガイド面7526及び外側ガイド面7527が、線形の断面接触面に沿って第3のバンド7440及び第4のバンド7450の対応する内側接触面及び外側接触面にそれぞれ接触するのが可能になる。
【0107】
第1のガイドチャネル7515(従って、その中の第1のバンド7420及び第2のバンド7430の部分)は、長手方向中心線CL及び第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド7420又は第2のバンド7430を介して第2のリンク7610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。これは、
図27の矢印OOによって示されるように、第2のリンク7610の第1のリンク7510に対する回転を生じさせることができる。第2のガイドチャネル7525(従って、その中の第3のバンド7440及び第4のバンド7450の部分)は、長手方向中心線CL及び第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第3のバンド7440又は第4のバンド7450を介して第2のリンク7610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。これは、
図27の矢印OOによって示されるように、第2のリンク7610の第1のリンク7510に対する回転を生じさせることができる。
【0108】
第2のリンク7610は、基端部分7611及び先端部分7612を有する。上述したように、基端部分7611は、第1のリンク7510のジョイント部分7540に回転可能に結合されるジョイント部分7640を含む。具体的には、ジョイント部分7640は、凹部によって離間された一連の歯7644を含む。一連の歯7644は、第1のリンク7510の一連の歯7544(又はピン)と噛み合う。一連の歯7644及び凹部は、(2015年2月20日に出願された)“Medical Wrist Joints with Enhanced Range of Motion, and Related
Devices and Methods”という表題の米国特許出願公開第2017/0120457号に示され記載されるものと同様であり得、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
第2のリンク7610の先端部分7612は、エンドエフェクタ7460に結合されるコネクタ7680を含む。このようにして、第1のツール部材7462及び第2のツール部材7482は、第2のリンク7610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。コネクタ7680は、ピンタイプのコネクタであり、且つピン開口部7682によって支持される(及びその中に配置される)ピン7683を含む。いくつかの実施形態では、コネクタ7680は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に示され記載されるピン留めジョイントの構造及び特徴のいずれかを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図27に示されるように、第2の回転軸線A
2は、ピッチ軸線A
1と非平行である。こうして、器具7400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。例えば、
図36は、
図27に示されるものと比較して、第2のヨー構成に移行したエンドエフェクタ7460を示す。
【0110】
図32及び
図33を参照すると、第1のガイドチャネル7615、第2のガイドチャネル7625、及び中央ボア7635が、第2のリンク7610に規定される。中央ボア7635は、中央ボア7535と整列され、且つ例えば電線等の、手首アセンブリの様々な構成要素を含む(又は通過させる)ことができる。このようにして、バックエンド・アセンブリ7700からの電流は、中央ボア7535、7635を通って経路指定される構成要素を介してエンドエフェクタ7460に供給することができる。第2のリンク7610は、内側ガイド面7616及び外側ガイド面7617(それぞれのガイド面が第1のガイドチャネル7615の境界の一部を形成する)と、内側ガイド面7626及び外側ガイド面7627(それぞれのガイド面が第2のガイドチャネル7625の境界の一部を形成する)とを含む。第1のガイドチャネル7615は、(第1のリンク7510の)第1のガイドチャネル7515と整列され、第2のガイドチャネル7625は、(第1のリンク7510の)第2のガイドチャネル7525と整列される。このようにして、第1のバンド7420及び第2のバンド7430は、シャフト7410から第1のガイドチャネル7515及び第1のガイドチャネル7615を通って、第1のツール部材7462に結合されるように経路指定され得る。第3のバンド7440及び第4のバンド7450は、シャフト7410から第2のガイドチャネル7525及び第2のガイドチャネル7625を通って第2のツール部材7482に結合されるように経路指定され得る。
【0111】
図32及び
図33に示されるように、内側ガイド面7616の少なくとも一部及び外側ガイド面7617の少なくとも一部は、長手方向中心線CLに沿って湾曲している。同様に、内側ガイド面7626の少なくとも一部及び外側ガイド面7627の少なくとも一部は、長手方向中心線CLに沿って湾曲している。内側ガイド面7616、7626及び外側ガイド面7617、7627は、任意の適切な曲率半径を規定することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク7610が、第1のリンク7510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図27の矢印OOを参照)、第1のバンド7420は、内側ガイド面7616及び外側ガイド面7617の湾曲部分に接触して、器具7400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。同様に、第2のリンク7610が第1のリンク7510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに、第2のバンド7440は、内側ガイド面7626及び外側ガイド面7627の湾曲部分に接触して、器具7400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。
【0112】
第1のガイドチャネル7615及び第2のガイドチャネル7625が、長手方向中心線CLに沿って湾曲しているが、長手方向中心線CLに垂直な断面平面内で切り取られた内側ガイド面7616、7626及び外側ガイド面7617、7627のそれぞれの一部が線形である。器具3400の作動に関して上述したように、この構成により、第2のリンク7610が第1のリンク7510に対して回転するときに、内側ガイド面7616及び外側ガイド面7617が、(断面内の単一の点のみではなく)線形の断面接触面に沿って第1のバンド7420及び第2のバンド7430の対応する内側接触面及び外側接触面にそれぞれ接触することが可能になる。この構成により、また、第2のリンク7610が第1のリンク7510に対して回転するときに、内側ガイド面7626及び外側ガイド面7627が、線形の断面接触面に沿って第3のバンド7440及び第4のバンド7450の対応する内側接触面及び外側接触面にそれぞれ接触することが可能になる。
【0113】
第1のガイドチャネル7615(従って、その中の第1のバンド7420及び第2のバンド7430の部分)は、長手方向中心線CL及び第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド7420又は第2のバンド7430を介して第2のリンク7610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。これは、
図27の矢印OOによって示されるように、第2のリンク7610の第1のリンク7510に対する回転を生じさせる。第2のガイドチャネル7625(従って、その中の第3のバンド7440及び第4のバンド7450の部分)は、長手方向中心線CL及び第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第3のバンド7440又は第4のバンド7450を介して第2のリンク7610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。これは、
図27の矢印OOによって示されるように、第2のリンク7610の第1のリンク7510に対する回転を生じさせる。
【0114】
図29、
図34、及び
図35に示されるように、エンドエフェクタ7460は、第1のツール部材7462、第2のツール部材7482、及び絶縁体(insulator)7495を含む。第1のツール部材7462は、接触部分7464及びプーリ部分7467を含む。接触部分7464は、外科的処置中に標的組織を係合する又はこの組織を操作するように構成される。把持(gripping)面として示されているが、他の実施形態では、接触部分7464は、本明細書に示され記載されるタイプの任意の適切な面(例えば、カッター面、組織マニピュレータ面、焼灼面等)であり得る。プーリ部分7467は、ガイドチャネル7470、中央開口部7468、一対の結合開口部7472、及びガイドスロット(図示しないが、ガイドスロット7491と同様)を規定する。ガイドチャネル7470は、第1のバンド7420の先端部分7422及び第2のバンド7430の先端部分7432を受容する。
図29に示されるように、第1のバンド7420の先端部分7422は、結合開口部7472のうちの1つの開口部内に結合されるピンを含む。第2のバンド7430の先端部分7432は、結合開口部7472のうちの第2の開口部内に結合されるピンを含む。ガイドスロット(図示せず)は、第1のツール部材7462が第2のツール部材7482に対して回転する角度を制限するために絶縁体7495の突起部を受容する。プーリ部分7467は、(中央開口部7468内に配置された)ピン7683を介して第2のリンク7610に回転可能に結合される。このようにして、
図27及び
図28の矢印PPに示されるように、第1のツール部材7462は、ピン7683の周りに回転し、且つ第2のリンク7610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。さらに、結合開口部7472は、ヨー軸線A
2からオフセットされる。このようにして、第1のバンド7420又は第2のバンド7430がプーリ部分7467に力を加えると、ヨー軸線A
2の周りで第1のツール部材7462にトルクが発生し、その結果、第1のツール部材7462が回転し、又はグリップ力が加えられる。
【0115】
第2のツール部材7482は、接触部分7484及びプーリ部分7487を含む。接触部分7484は、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作するように構成される。把持面として示されているが、他の実施形態では、接触部分7484は、本明細書に示され記載されるタイプの任意の適切な面(例えば、カッター面、組織マニピュレータ面、焼灼面等)であり得る。プーリ部分7487は、ガイドチャネル7490、中央開口部7488、一対の結合開口部7492、及びガイドスロット7491を規定する。ガイドチャネル7490は、第3のバンド7440の先端部分7442と、第4のバンド7450の先端部分7452とを受容する。
図29に示されるように、第3のバンド7440の先端部分7442は、結合開口部7492のうちの1つの開口部内に結合されるピンを含む。第4のバンド7450の先端部分7452は、結合開口部7492のうちの第2の開口部内に結合されるピンを含む。ガイドスロット7491は、第1のツール部材7462が第2のツール部材7482に対して回転する角度を制限するために絶縁体7495の突起部を受容する。プーリ部分7487は、(中央開口部7488内に配置された)ピン7683を介して第2のリンク7610に回転可能に結合される。このようにして、
図27及び
図28の矢印PPによって示されるように、第2のツール部材4482は、ピン7683の周りに回転し、且つ第2のリンク7610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。さらに、結合開口部7492は、ヨー軸線A
2からオフセットされる。このようにして、第3のバンド7440又は第4のバンド7450がプーリ部分7487に力を加えると、ヨー軸線A
2の周りで第2のツール部材7482にトルクが発生し、その結果、第2のツール部材7482が回転し、又はグリップ力が加えられる。
【0116】
第1のバンド7420は、基端部分7421、中央部分7423、及び先端部分7422を有する。第2のバンド7430は、基端部分7431、中央部分7433、及び先端部分7432を有する。第3のバンド7440は、基端部分7441、中央部分7443、及び先端部分7442を有する。第4のバンド7450は、基端部分7451、中央部分7453、及び先端部分7452を有する。基端部分7421、7431、7441、7451はそれぞれ、手首アセンブリ7500の外側に延び、シャフト7410を通ってバックエンド機構7700内に延びる。上述したように、バックエンド機構7700は、基端部分7421、7431、7441、7451を動かして、結果として生じる動き(又は力)をバンドのそれぞれの先端部分7422、7432、7442、7452に発生させることができる。上述したように、第1のバンド7420の中央部分7423及び第2のバンド7430の中央部分7433は、第1のガイドチャネル7515、7615内にある。第1のガイドチャネル7515、7615の形状は、第1のバンド7420及び第2のバンド7430が、器具7400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持する方法で手首アセンブリ7500を通って経路指定されるような形状である。同様に、第3のバンド7440の中央部分7443及び第4のバンド7450の中央部分7453は、上述したように、第2のガイドチャネル7525、7625内にある。第2のガイドチャネル7525、7625の形状は、第3のバンド7440及び第4のバンド7450が、器具7400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持する方法で手首アセンブリ7500を通って経路指定されるような形状である。上述したように、先端部分7422、7432、7442、7452はそれぞれ、ピン結合を介してそれぞれのツール部材に結合される。このようにして、本明細書に記載されるように、バンドの動き(又はそれに加えられる力)は、ピッチ、ヨー、グリップ、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させる。
【0117】
バンド7420、7430、7440、7450は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、バンドが、(長手方向中心線CLに垂直な断面平面内で切り取られた)長方形の断面形状を有するものとして示されているが、他の実施形態では、バンドのいずれかが任意の適切な断面形状を有することができる。さらに、各バンドは、長手方向中心線CLに沿って変化するサイズを有する。具体的には、第1のバンド7420を例として参照すると、第1のバンド7420の基端部分7421は、長手方向中心線CLに垂直な第1の面で切り取られた第1の断面積を有する。先端部分7422は、長手方向中心線CLに垂直な第2の面に第2の断面積を有する。具体的には、第2の断面積は、第1の断面積よりも小さい。このようにして、第1のバンド7420は、シャフト7410内のより大きな(従って、より高い強度)部分と、手首アセンブリ7500内の(及び第1のツール部材7462に結合された)より小さく、より可撓性の部分とを有することができる。この実施形態では、第1のバンド7420は、長手方向中心線CLに関して非対称に、異なるサイズの部分同士の間を移行する。
【0118】
バンドの使用は、外科的処置(低侵襲性処置を含む)に適した低コストの使い捨て器具を提供することができる。使用中に、器具7400の先端部分は、最大3自由度を与え、且つ様々な外科的処置を行うために複数の異なる構成の間で移動することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、器具は、(長手方向中心線に沿った様々な位置で)断面形状が、第1の軸線の周りに低い断面2次モーメントが生じるように第1の向きになり、且つ第2の軸線の周りに低い断面2次モーメントが生じるように第2の向きになるように、長手方向中心線に沿ってねじられるバンドを含むことができる。この構成により、単一のバンドを変形させて、2つ以上の異なる軸線(例えば、ピッチ軸線及びヨー軸線)の周りで望ましい可撓性を維持できる。例えば、
図37~
図45は、一実施形態による、器具8400の一部の様々な図である。いくつかの実施形態では、器具8400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具8400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具8400は、アクチュエータアセンブリ(図示しないが、アクチュエータアセンブリ7700と同様)、シャフト8410、手首アセンブリ8500、及びエンドエフェクタ8460を含む。
図37を参照すると、器具8400は、バックエンド機構を手首アセンブリ8500に結合する第1のバンド8420及び第2のバンド8440も含む。器具8400は、バンドの動きが、手首アセンブリ8500の第1の回転軸線A
1(
図37参照、ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)の周りの回転(すなわち、ピッチ回転)、エンドエフェクタ8460の第2の回転軸線A
2(
図37参照、ヨー軸線として機能する)の周りのヨー回転、エンドエフェクタ8460のツール部材のヨー軸線の周りのグリップ回転、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。器具8400のピッチ、ヨー、又はグリップの変更は、器具6400に関して上述したのと同様の方法で、バンドを操作することによって行うことができる。こうして、所望の動きを実現するための第1のバンド8420及び第2のバンド8440の様々な部分の特定の動きについて、以下で説明しない。
【0120】
手首アセンブリ8500は、基端側の第1のリンク8510及び先端側の第2のリンク8610を含む。
図37、
図40、及び
図41に示されるように、第1のリンク8510は、基端部分8511及び先端部分8512を有する。基端部分8511は、シャフト8410の先端部分に結合される。基端部分8511は、本明細書に記載されるように、任意の適切な機構を介してシャフト8410に結合され得る。先端部分8512は、第2のリンク8610の相手側の嵌合ジョイント部分8640に回転可能に結合されるジョイント部分8540を含む。このようにして、第1のリンク8510及び第2のリンク8610は、第1の回転軸線A
1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ8500を形成し、第1の回転軸線A
1の周りで、第2のリンク8610が第1のリンク8510に対して回転する。具体的には、ジョイント部分8540は、凹部によって離間される一連の歯8544と、2つの湾曲した接触面8545とを含む。一連の歯8544は、第2のリンク8610の一連の歯8644(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面8545は、第2のリンク8610の対応する接触面8645と転がり接触している。
【0121】
図41を参照すると、第1のガイドチャネル8515、第2のガイドチャネル8520、第3のガイドチャネル8525、第4のガイドチャネル8530、及び中央ボア8535が、第1のリンク8510に規定される。中央ボア8535は、例えば電線等の、手首アセンブリの様々な構成要素を含む(又は通過させる)ことができる。第1のガイドチャネル8515は、内側ガイド面8516及び外側ガイド面8517によって少なくとも部分的に規定される。第1のバンド8420の第1の基端部分8421は、第1のガイドチャネル8515内に移動可能に配置される。第2のガイドチャネル8520は、内側ガイド面及び外側ガイド面(識別されない)によって少なくとも部分的に規定される。第1のバンド8420の第2の基端部分8431は、第2のガイドチャネル8520内に移動可能に配置される。このようにして、第1のリンク8510は、第1のツール部材8462に結合されたバンド部材(又は部分)が離間されたガイドチャネル内にあるという点で第1のリンク7510と異なる。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のガイドチャネル8515を第2のガイドチャネル8520と組み合わせて、第1の基端部分8421及び第2の基端部分8431が配置される単一のチャネルを形成することができる。第3のガイドチャネル8525は、内側ガイド面8526及び外側ガイド面8527によって少なくとも部分的に規定される。第2のバンド8440の第1の基端部分8441は、第3のガイドチャネル8525内に移動可能に配置される。第4のガイドチャネル8530は、内側ガイド面8531及び外側ガイド面(識別されない)によって少なくとも部分的に規定される。第2のバンド8440の第2の基端部分8451は、第4のガイドチャネル8530内に移動可能に配置される。いくつかの実施形態では、第3のガイドチャネル8525を第4のガイドチャネル8530と組み合わせて、第1の基端部分8441及び第2の基端部分8451が配置される単一のチャネルを形成することができる。
【0122】
図37に示されるように、第1のリンク8510及び第2のリンク8610は、器具8400が初期(又は「直線」構成)にあるときに、ピッチ軸線A
1と交差する長手方向中心線CLを規定する。第1のリンク7510に関して上述したのと同様に、第1のリンク8510のガイドチャネルは、長手方向中心線CLに沿って湾曲している。具体的には、内側ガイド面(例えば、内側ガイド面8516、8526、8531)及び外側ガイド面(例えば、外側ガイド面8517、8527)は、任意の適切な曲率半径を規定でき、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク8610が第1のリンク8510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図37の矢印QQを参照)、第1のバンド8420の第1の基端部分8421及び第2の基端部分8431と、第2のバンド8440の第1の基端部分8441及び第2の基端部分8451とは、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具8400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。また、上述したように、ガイドチャネル8515、8520、8525、8530は、長手方向中心線CL及び第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド8420又は第2のバンド8440を介して第2のリンク8610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。これは、
図37の矢印QQによって示されるように、第2のリンク8610の第1のリンク8510に対する回転を生じさせる。
【0123】
第2のリンク8610は、基端部分8611及び先端部分8612を有する。上述したように、基端部分8611は、第1のリンク8510のジョイント部分8540に回転可能に結合されるジョイント部分8640を含む。具体的には、ジョイント部分8640は、凹部によって離間された一連の歯8644と、2つの湾曲した接触面8645とを含む。一連の歯8644は、第1のリンク8510の一連の歯8544(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面8645は、第1のリンク8510の対応する接触面8545と転がり接触している。第2のリンク8610の先端部分8612は、エンドエフェクタ8460に結合されるコネクタ8680を含む。このようにして、第1のツール部材8462及び第2のツール部材8482は、第2のリンク8610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。コネクタ8680は、ピンタイプのコネクタであり、且つピン開口部8682によって支持される(及びその中に配置される)ピン8683を含む。いくつかの実施形態では、コネクタ8680は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に示され記載されるピン留めジョイントの構造及び特徴のいずれかを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図37に示されるように、第2の回転軸線A
2は、ピッチ軸線A
1と非平行である。こうして、器具8400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。
【0124】
図42を参照すると、第1のガイドチャネル8615、第2のガイドチャネル8620、第3のガイドチャネル8625、第4のガイドチャネル8630、及び中央ボア8635が、第2のリンク8610に規定される。中央ボア8635は、中央ボア8535と整列され、例えば電線等の、手首アセンブリの様々な構成要素を含む(又は通過させる)ことができる。このようにして、バックエンド・アセンブリからの電流は、中央ボア8535、8635を通して経路指定された構成要素を介してエンドエフェクタ8460に供給できる。第1のガイドチャネル8615は、内側ガイド面8616及び外側ガイド面8617によって少なくとも部分的に規定される。第2のガイドチャネル8620は、内側ガイド面8621及び外側ガイド面(識別されない)によって少なくとも部分的に規定される。第1のガイドチャネル8615は、(第1のリンク8510の)第1のガイドチャネル8515と整列され、第2のガイドチャネル8620は、(第1のリンク8510の)第2のガイドチャネル8520と整列される。このようにして、第1のバンド8420の部分(例えば、第1の基端部分8421)が、シャフト8410から第1のガイドチャネル8515及び第1のガイドチャネル8615を通って、第1のツール部材8462に結合されるように経路指定される。第1のバンド8420の部分(例えば、第2の部分8431)が、第1のツール部材8462から第2のガイドチャネル8520及び第2のガイドチャネル8620を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構に戻されるように経路指定される。同様に、第3のガイドチャネル8625は、内側ガイド面及び外側ガイド面(識別されない)によって少なくとも部分的に規定される。第2のガイドチャネル8620は、内側ガイド面及び外側ガイド面(識別されない)によって少なくとも部分的に規定される。第3のガイドチャネル8625は、(第1のリンク8510の)第3のガイドチャネル8525と整列され、第4のガイドチャネル8630は、(第1のリンク8510の)第4のガイドチャネル8530と整列される。このようにして、第2のバンド8440の部分(例えば、第1の基端部分8441)が、シャフト8410から第3のガイドチャネル8525及び第3のガイドチャネル8625を通って、第2のツール部材8482に結合されるように経路指定される。第2のバンド8440の部分(例えば、第2の部分8451)が、第2のツール部材8482から第4のガイドチャネル8530及び第4のガイドチャネル8630を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構に戻されるように経路指定される。
【0125】
いくつかの実施形態では、第1のガイドチャネル8615を第2のガイドチャネル8620と組み合わせて、第1の基端部分8421及び第2の基端部分8431が配置される単一のチャネルを形成することができる。いくつかの実施形態では、第3のガイドチャネル8625を第4のガイドチャネル8630と組み合わせて、第1の基端部分8441及び第2の基端部分8451が配置される単一のチャネルを形成することができる。
【0126】
第2のリンク7610に関して上述したのと同様に、第2のリンク8610のガイドチャネルは、長手方向中心線CLに沿って湾曲している。具体的には、内側ガイド面(例えば、内側ガイド面8616、8621)及び外側ガイド面(例えば、外側ガイド面8617)は、任意の適切な曲率半径を規定することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク8610が第1のリンク8510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図37の矢印QQを参照)、第1のバンド8420の部分及び第2のバンド8440の部分は、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分と接触して、器具8400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。また、上述したように、ガイドチャネル8615、8620、8625、8630は、長手方向中心線CL及び第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド8420又は第2のバンド8440を介して第2のリンク8610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。これは、
図37の矢印QQによって示されるように、第2のリンク8610の第1のリンク8510に対する回転を生じさせる。
【0127】
図37、
図38、
図43、及び
図44に示されるように、エンドエフェクタ8460は、第1のツール部材8462及び第2のツール部材8482を含む。第1のツール部材8462は、接触部分8464及びプーリ部分8467を含む。接触部分8464は、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作するように構成される。把持面として示されているが、他の実施形態では、接触部分8464は、本明細書に示され記載されるタイプの任意の適切な面(例えば、カッター面、組織マニピュレータ面、焼灼面等)であり得る。プーリ部分8467は、ガイド面8470、中央開口部8468、及び一対の接続スロット8469(スロットのうちの1つだけが
図44に識別される)を含む。いくつかの実施形態では、プーリ部分8467は、ガイドスロット(図示しないが、ガイドスロット8491と同様)、又はガイドピン(図示せず)を含むことができる。ガイド面8470は、チャネル内にあり、且つ第1のバンド8420の先端部分8422が巻き付けられる面である。
図45に示されるように、第1のバンド8420の先端部分8422は、対応する接続スロット8469内に結合される一対の接続タブ8424を含む。プーリ部分8467は、(中央開口部8468内に配置された)ピン8683を介して第2のリンク8610に回転可能に結合される。このようにして、
図37の矢印RRで示されるように、第1のツール部材8462は、ピン8683の周りに回転し、且つ第2のリンク8610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。さらに、ガイド面8470は、ヨー軸線A
2からオフセットされる(すなわち、ガイド面8470の半径だけオフセットされる)。このようにして、第1のバンド8420がプーリ部分8467に力を加えると、ヨー軸線A
2の周りで第1のツール部材8462にトルクが発生し、その結果、第1のツール部材8462が回転し、又はグリップ力が加えられる。
【0128】
第2のツール部材8482は、接触部分8484及びプーリ部分8487を含む。接触部分8484は、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作するように構成される。把持面として示されているが、他の実施形態では、接触部分8484は、本明細書に示され説明されるタイプの任意の適切な面(例えば、カッター面、組織マニピュレータ面、焼灼面等)であり得る。プーリ部分8487は、ガイド面8490、中央開口部8488、一対の接続スロット(識別されないが、接続スロット8469と同様)、及びガイドスロット8491を含む。ガイド面8490は、チャネル内にあり、且つ第2のバンド8440の先端部分8442が巻き付けられる面である。第2のバンド8440は、対応する接続スロット内に結合された(タブ8424と同様の)一対の接続タブによってガイド面8490に結合される。ガイドスロット8491は、第1のツール部材8462が第2のツール部材8482に対して回転する角度を制限するために、第1のツール部材8462(図示せず)の突起部又は中間構成要素(例えば、絶縁体、図示せず)の突起部を受容する。
【0129】
プーリ部分8487は、(中央開口部8488内に配置された)ピン8683を介して第2のリンク8610に回転可能に結合される。このようにして、
図37の矢印RRによって示されるように、第2のツール部材8482は、ピン8683の周りに回転し、且つ第2のリンク8610に対してヨー軸線A
2を介して回転する。さらに、ガイド面8490は、ヨー軸線A
2からオフセットされる(すなわち、ガイド面8490の半径だけオフセットされる)。このようにして、第2のバンド8440がプーリ部分8487に力を加えると、ヨー軸線A
2の周りで第2のツール部材8482にトルクが発生し、その結果、第2のツール部材8482が回転し、又はグリップ力が加えられる。
【0130】
第1のバンド8420(引張部材として機能する)は、第1の基端部分8421、第2の基端部分8431、先端部分8422、第1の中央部分8423、及び第2の中央部分8433を有する。図示されるように、先端部分8422は、第1のツール部材8462のプーリ部分8467の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分8421及び第2の基端部分8431はそれぞれ、第1のリンク8510(すなわち、第1のガイドチャネル8515及び第2のガイドチャネル8520のそれぞれ)を通ってシャフト8410内に延びる。本明細書に記載されるように、ガイドチャネルの形状は、第1のバンド8420が、器具8400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持する方法で手首アセンブリ8500を通って経路指定されるような形状である。さらに、第1の基端部分8421及び第2の基端部分8431はそれぞれ、シャフト8410を通って延び、(手首アセンブリ8500のピッチ、ヨー、及びグリップ運動を生成するために、基端部分のそれぞれを動かすことができる)バックエンド機構(図示しないが、上述したアクチュエータ7700と同様)に結合される。
【0131】
第1の中央部分8423は、第1の基端部分8421と先端部分8422との間にあり、第2の中央部分8433は、第2の基端部分8431と先端部分8422との間にある。図示されるように、第1のバンド8420は、長手方向中心線に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は第1の中央部分8423に沿っており、第2のねじれ領域は第2の中央部分8433に沿っている。このようにして、第1のバンド8420の第1の基端部分8421及び第2の基端部分8431における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第1のバンド8420の先端部分8422における接触面(すなわち、接触面8470の周りに巻かれたバンド面)の向きとは異なる。
【0132】
第2のバンド8440(引張部材としても機能する)は、第1の基端部分8441、第2の基端部分8451、先端部分8442、第1の中央部分8443、及び第2の中央部分(識別されない)を有する。図示されるように、先端部分8442は、第2のツール部材8482のプーリ部分8487の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分8441及び第2の基端部分8451はそれぞれ、第1のリンク8510(すなわち、第3のガイドチャネル8525及び第4のガイドチャネル8530のそれぞれ)を通ってシャフト8410内に延びる。ガイドチャネルの形状は、第2のバンド8440が、器具8400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持するような方法で手首アセンブリ8500を通って経路指定されるような形状である。さらに、第1の基端部分8441及び第2の基端部分8451はそれぞれ、シャフト8410を通って延び、且つ(手首アセンブリ8500のピッチ、ヨー、及びグリップ運動を生成するために、基端部分のそれぞれを動かすことができる)バックエンド機構(図示しないが、上述したアクチュエータ7700と同様)に結合される。
【0133】
第1の中央部分8443は、第1の基端部分8421と先端部分8442との間にあり、第2の中央部分(図示せず)は、第2の基端部分8451と先端部分8442との間にある。図示されるように、第2のバンド8440は、その長手方向中心線に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は第1の中央部分8443に沿っており、第2のねじれ領域は第2の中央部分に沿っている。このようにして、第2のバンド8440の第1の基端部分8441及び第2の基端部分8451における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第2のバンド8440の先端部分8442における接触面(すなわち、接触面8490の周りに巻き付けられるバンド面)の向きとは異なる。
【0134】
器具4400に関して上述したように、ねじれた構成は、第1のバンド8420及び第2のバンド8440の所望の変形軸線の周りの断面2次モーメントを最小にすることを可能にする。こうして、第1のバンド8420及び第2のバンド8440の可撓性は、(第2のリンク部材8610のピッチ軸線A1の周りの回転を容易にする)基端部分と、(第1のツール部材8462及び第2のツール部材8482のヨー軸線A2の周りの回転を容易にする)先端部分との両方で最大化される。第1のバンド8420及び第2のバンド8440が、90度のねじれ角(すなわち、第1の回転軸線A1と第2の回転軸線A2との間で規定される角度と同じ)でねじられるように示されているが、他の実施形態では、第1のバンド8420及び第2のバンド8440は、任意の適切なねじれ角だけねじることができる。
【0135】
第1のバンド8420及び第2のバンド8440は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、バンドが(長手方向中心線CLに垂直な断面平面内で切り取られた)長方形の断面形状を有するものとして示されているが、他の実施形態では、バンドのいずれかが、任意の適切な断面形状を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、各バンドは、長手方向中心線CLに沿って変化するサイズを有することができる。具体的には、第1のバンド8420を例として参照すると、第1の基端部分8421は、(例えば、シャフト8410内で)移行して、第1のバンド7420に関して説明したものと同様のより大きい断面積を有することができる。このようにして、第1のバンド8420は、シャフト8410内により大きな(従って、より高い強度)部分と、手首アセンブリ8500内に(及び第1のツール部材8462に結合された)より小さく、より可撓性の部分とを有することができる。
【0136】
第1のリンク8510及び第2のリンク8610のガイドチャネルは、それぞれのガイドチャネル内への側面開口部を含むものとして上で示され記載されている。このようにして、バンドの一部を、組立て中に所望のガイドチャネル内に容易に配置することができる。例えば、第1のガイドチャネル8515内への側面開口部は、バンドの第1の基端部分8421をガイドチャネル8515内に配置するのを可能にする。器具8400に示されていないが、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される器具のいずれかが、側面開口部を覆う1つ又は複数のカバー又はロックリングを含むことができる。そのようなカバー又はロックリングの使用は、バンドをそのガイドチャネル内に維持し、バンドの狭い側縁部が不注意に身体組織に接触する可能性も制限する。例えば、
図46~
図52は、一実施形態による、器具9400の一部の様々な図である。いくつかの実施形態では、器具9400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具9400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具9400は、アクチュエータアセンブリ(図示しないが、アクチュエータ7700と同様)、シャフト9410、手首アセンブリ9500、及びエンドエフェクタ9460を含む。
図47を参照すると、器具9400は、バックエンド機構を手首アセンブリ9500に結合する第1のバンド9420及び第2のバンド9440も含む。器具9400は、バンドの動きが、手首アセンブリ9500の第1の回転軸線A
1(
図46参照、ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)の周りの回転(すなわち、ピッチ回転)、エンドエフェクタ9460の第2回転軸線A
2(
図46参照、ヨー軸線として機能する)の周りのヨー回転、エンドエフェクタ9460のツール部材のヨー軸線の周りのグリップ回転、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。器具9400のピッチ、ヨー、又はグリップの変更は、器具6400に関して上述したのと同様の方法で、バンドを操作することによって行うことができる。こうして、所望の動作を実現するための第1のバンド9420及び第2のバンド9440の様々な部分の特定の動きについて、以下で説明しない。
【0137】
手首アセンブリ9500は、第1のリンク9510、第2のリンク9610、第1のロックリング9580、及び第2のロックリング9690を含む。
図49及び
図50に示されるように、第1のリンク9510は、基端部分9511及び先端部分9512を有する。基端部分9511は、シャフト9410の先端部分に結合される。基端部分9511は、本明細書に記載されるように、任意の適切な機構を介してシャフト9410に結合され得る。先端部分9512は、第2のリンク9610の相手側の嵌合ジョイント部分9640に回転可能に結合されるジョイント部分9540を含む。このようにして、第1のリンク9510及び第2のリンク9610は、第1の回転軸線A
1(ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)を有する手首アセンブリ9500を形成し、第1の回転軸線A
1の周りで、第2のリンク9610が第1のリンク9510に対して回転する。具体的には、ジョイント部分9540は、凹部によって離間された一連の歯9544と、2つの湾曲した接触面9545とを含む。一連の歯9544は、第2のリンク9610の一連の歯9644(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面9545は、第2のリンク9610の対応する接触面9645と転がり接触している。
【0138】
第1のガイドチャネル9515、第2のガイドチャネル9520、第3のガイドチャネル9525、第4のガイドチャネル9530、及び中央ボア9535が、第1のリンク9510に規定される。中央ボア9535は、例えば電線等の、手首アセンブリの様々な構成要素を含む(又は通過させる)ことができる。第1のバンド9420の第1の基端部分9421が、第1のガイドチャネル9515内に移動可能に配置される。第1のバンド9420の第2の基端部分9431が、第2のガイドチャネル9520内に移動可能に配置される。第2のバンド9440の第1の基端部分9441が、第3のガイドチャネル9525内に移動可能に配置される。第2のバンド9440の第2の基端部分9451が、第4のガイドチャネル9530内に移動可能に配置される。第1のリンク8510(及び器具3400)に関して上述したガイドチャネルと同様に、ガイドチャネル9515、9520、9525、9530は、第1のリンク9510(又は手首アセンブリ9500)の長手方向中心線に沿って湾曲している。具体的には、ガイドチャネル9515、9520、9525、9530を規定する内側ガイド面及び外側ガイド面は、任意の適切な曲率半径を有することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク9610が第1のリンク9510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図46の矢印SSを参照)、第1のバンド9420及び第2のバンド9440のそれぞれの部分は、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具9400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。さらに、上述したように、ガイドチャネル9515、9520、9525、9530は、第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド9420又は第2のバンド9440を介して第2のリンク9610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。
【0139】
第1のロックリング9580は、第1のリンク9510の周りに配置され、且つガイドチャネル9515、9520、9525、9530内への側面開口部を覆う。第1のロックリング9580は、第1のバンド9420及び第2のバンド9440の部分がそれぞれのガイドチャネル内に配置された後に、第1のリンク9510の周りに結合され得る。第1のロックリング9580は、任意の適切な機構によって(例えば、接着剤、締り嵌め、溶接等を介して)第1のリンク9510に結合することができる。
【0140】
第2のリンク9610は、基端部分9611及び先端部分9612を有する。上述したように、基端部分9611は、第1のリンク9510のジョイント部分9540に回転可能に結合されるジョイント部分9640を含む。具体的には、ジョイント部分9640は、凹部によって離間される一連の歯9644と、2つの湾曲した接触面9645とを含む。一連の歯9644は、第1のリンク9510の一連の歯9544(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面9645は、第1のリンク9510の対応する接触面9545と転がり接触している。第2のリンク9610の先端部分9612は、エンドエフェクタ9460に結合されるコネクタを含む。このようにして、第1のツール部材9462及び第2のツール部材9482は、第2のリンク9610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。コネクタは、ピンタイプのコネクタであり、且つピン開口部9682によって支持される(その中に配置される)ピン9683を含む。
図46に示されるように、第2の回転軸線A
2は、ピッチ軸線A
1と非平行である。こうして、器具9400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。
図47に示されるように、ピン9596は、第1のツール部材9462が第2のツール部材9482に対して回転する角度を制限するために、第1のツール部材9462及び第2のツール部材9482の対応するガイドスロット内にある。
【0141】
図51及び
図52を参照すると、第1のガイドチャネル9615、第2のガイドチャネル9620、第3のガイドチャネル9625、第4のガイドチャネル9630、及び中央ボア9635が、第2のリンク9610に規定される。中央ボア9535は、中央ボア9535と整列され、且つ例えば電線等の、手首アセンブリの様々な構成要素を含む(又は通過させる)ことができる。このようにして、バックエンド・アセンブリからの電流は、中央ボア9535、9635を通して経路指定された構成要素を介してエンドエフェクタ9460に供給できる。第1のガイドチャネル9615は、(第1のリンク9510の)第1のガイドチャネル9515と整列され、第2のガイドチャネル9620は、(第1のリンク9510の)第2のガイドチャネル9520と整列される。このようにして、第1のバンド9420の部分(例えば、第1の基端部分9421)が、シャフト9410から第1のガイドチャネル9515及び第1のガイドチャネル9615を通って、第1のツール部材9462に結合されるように経路指定される。第1のバンド9420の部分(例えば、第2の部分9431)が、第1のツール部材9462から第2のガイドチャネル9520及び第2のガイドチャネル9620を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構に戻されるように経路指定される。第3のガイドチャネル9625は、(第1のリンク9510の)第3のガイドチャネル9525と整列され、第4のガイドチャネル9630は、(第1のリンク9510の)第4のガイドチャネル9530と整列される。このようにして、第2のバンド9440の部分(例えば、第1の基端部分9441)が、シャフト9410から第3のガイドチャネル9525及び第3のガイドチャネル9625を通って、第2のツール部材9482に結合されるように経路指定される。第2のバンド9440の部分(例えば、第2の部分9451)が、第2のツール部材9482から第4のガイドチャネル9530及び第4のガイドチャネル9630を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構に戻されるように経路指定される。
【0142】
第2のリンク8610(及び器具3400)に関して上述したガイドチャネルと同様に、ガイドチャネル9615、9620、9625、9630は、第2のリンク9610(又は手首アセンブリ9500)の長手方向中心線に沿って湾曲している。具体的には、ガイドチャネル9615、9620、9625、9630を規定する内側ガイド面及び外側ガイド面は、任意の適切な曲率半径を有することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク9610が第1のリンク9510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図46の矢印SSを参照)、第1のバンド9420及び第2のバンド9440のそれぞれの部分が、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具9400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。さらに、上述したように、ガイドチャネル9615、9620、9625、9630は、第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド9420又は第2のバンド9440を介して第2のリンク9610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。
【0143】
第2のロックリング9690は、第2のリンク9610の周りに配置され、且つガイドチャネル9615、9620、9625、9630内への側面開口部を覆う。第2のロックリング9690は、第1のバンド9420及び第2のバンド9440の部分がそれぞれのガイドチャネル内に配置された後に、第2のリンク9610の周りに結合され得る。第2のロックリング9690は、任意の適切な機構によって(例えば、接着剤、締り嵌め、溶接等を介して)第2のリンク9610に結合することができる。
【0144】
エンドエフェクタ9460は、第1のツール部材9462、第2のツール部材9482、及び絶縁体9495を含む。第1のツール部材9462は、接触部分9464及びプーリ部分9467を含む。接触部分9464は、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作又は切断するように構成される。プーリ部分9467は、ガイド面9470、中央開口部9468、及び接続スロット(接続スロット8469のうちの1つと同様)を含む。ガイド面9470は、チャネル内にあり、且つ第1のバンド9420の先端部分9422が巻き付けられる面である。第1のバンド9420の先端部分9422は、プーリ部分9487の対応する接続スロット内に結合される(接続タブ8424のうちの1つと同様の)接続タブを含む。プーリ部分9467は、(中央開口部9468内に配置された)ピン9683を介して第2のリンク9610に回転可能に結合される。このようにして、
図46の矢印TTに示されるように、第1のツール部材9462は、ピン9683の周りに回転し、且つ第2のリンク9610に対して第2の回転軸線A
2を介して回転する。さらに、ガイド面9470は、ヨー軸線A
2からオフセットされる(すなわち、ガイド面9470の半径だけオフセットされる)。このようにして、第1のバンド9420がプーリ部分9467に力を加えると、ヨー軸線A
2の周りで第1のツール部材9462にトルクが発生し、その結果、第1のツール部材9462が回転し、又はグリップ力が加えられる。
【0145】
第2のツール部材9482は、接触部分9484及びプーリ部分9487を含む。接触部分9484は、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作又は切断するように構成される。プーリ部分9487は、ガイド面9490、中央開口部9488、及び接続スロット(識別されないが、接続スロット8469のうちの1つと同様)を含む。ガイド面9490は、チャネル内にあり、且つ第2のバンド9440の先端部分9442が巻き付けられる面である。第2のバンド9440は、対応する接続スロット内に結合される接続タブ(タブ8424のうちの1つと同様)によってガイド面9490に結合される。プーリ部分9487は、(中央開口部9488内に配置された)ピン9683を介して第2のリンク9610に回転可能に結合される。このようにして、
図46の矢印TTによって示されるように、第2のツール部材9482は、ピン9683の周りに回転し、且つヨー軸線A
2を介して第2のリンク9610に対して回転する。さらに、ガイド面9490は、ヨー軸線A
2からオフセットされる(すなわち、ガイド面9490の半径だけオフセットされる)。このようにして、第2のバンド9440がプーリ部分9487に力を加えると、ヨー軸線A
2の周りで第2のツール部材9482にトルクが発生し、その結果、第2のツール部材9482が回転し、又はグリップ力が加えられる。
【0146】
第1のバンド9420は、第1の基端部分9421、第2の基端部分9431、先端部分9422、第1の中央部分9423、及び第2の中央部分9433を有する。図示されるように、先端部分9422は、第1のツール部材9462のプーリ部分9467の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分9421及び第2の基端部分9431はそれぞれ、第1のリンク9510(すなわち、第1のガイドチャネル9515及び第2のガイドチャネル9520のそれぞれ)を通ってシャフト9410内に延びる。さらに、第1の基端部分9421及び第2の基端部分9431はそれぞれ、シャフト9410を通って延び、且つ手首アセンブリ9500のピッチ、ヨー、及びグリップの動きを生成するために、各基端部分を動かすことができるバックエンド機構(図示しないが、上述したアクチュエータ7700と同様)に結合される。第1の中央部分9423は、第1の基端部分9421と先端部分9422との間にあり、第2の中央部分9433は、第2の基端部分9431と先端部分9422との間にある。図示されるように、第1のバンド9420は、その長手方向中心線に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は、第1の中央部分9423に沿っており、第2のねじれ領域は、第2の中央部分9433に沿っている。このようにして、第1のバンド9420の第1の基端部分9421及び第2の基端部分9431における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第1のバンド9420の先端部分9422における接触面(すなわち、接触面9470に巻き付けられるバンド面)の向きとは異なる。
【0147】
第2のバンド9440は、第1の基端部分9441、第2の基端部分9451、先端部分9442、第1の中央部分9443、及び第2の中央部分(識別されない)を有する。図示されるように、先端部分9442は、第2のツール部材9482のプーリ部分9487の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分9441及び第2の基端部分9451はそれぞれ、第1のリンク9510(すなわち、第3のガイドチャネル9525及び第4のガイドチャネル9530のそれぞれ)を通ってシャフト9410内に延びる。さらに、第1の基端部分9441及び第2の基端部分9451はそれぞれ、シャフト9410を通って延び、且つ手首アセンブリ9500のピッチ、ヨー、及びグリップの動きを生成するために、各基端部分を動かすことができるバックエンド機構(図示しないが、上述したアクチュエータ7700と同様)に結合される。第1の中央部分9443は、第1の基端部分9441と先端部分9442との間にあり、第2の中央部分(図示せず)は、第2の基端部分9451と先端部分9442との間にある。図示されるように、第2のバンド9440は、その長手方向に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は第1の中央部分9443に沿っており、第2のねじれ領域は第2の中央部分に沿っている。このようにして、第2のバンド9440の第1の基端部分9441及び第2の基端部分9451における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第2のバンド9440の先端部分9442における接触面(すなわち、接触面9490の周りに巻き付けられるバンド面)の向きとは異なる。
【0148】
図53~
図57は、一実施形態による、器具10400の一部の様々な図である。いくつかの実施形態では、器具10400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具10400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具10400は、アクチュエータアセンブリ(図示しないが、アクチュエータ7700と同様)、シャフト(図示せず)、手首アセンブリ10500、カバー10590、及びエンドエフェクタ10460を含む。
図54及び
図56を参照すると、器具10400は、バックエンド機構を手首アセンブリ10500に結合する第1のバンド10420及び第2のバンド10440も含む。器具10400は、バンドの動きが、手首アセンブリ10500の第1の回転軸線A
1(
図54参照、ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)の周りの回転(すなわち、ピッチ回転)、エンドエフェクタ10460の第2の回転軸線A
2(
図54参照、ヨー軸線として機能する)の周りのヨー回転、エンドエフェクタ10460のツール部材のヨー軸線の周りのグリップ回転、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。器具10400のピッチ、ヨー、又はグリップの変更は、器具6400に関して上述したのと同様の方法で、バンドを操作することによって行うことができる。こうして、所望の動きを達成するための第1のバンド10420及び第2のバンド10440の様々な部分の特定の動きについて、以下で説明しない。
【0149】
手首アセンブリ10500は、第1のリンク10510、第2のリンク10610、及び第1のロックリング10580を含む。
図54及び
図55に示されるように、第1のリンク10510は、基端部分10511及び先端部分10512を有する。基端部分10511は、シャフトの先端部分に結合される。基端部分10511は、本明細書に記載されるように、任意の適切な機構を介してシャフトに結合され得る。先端部分10512は、第2のリンク10610の相手側の嵌合ジョイント部分10640に回転可能に結合されるジョイント部分10540を含む。このようにして、第1のリンク10510及び第2のリンク10610は、第1の回転軸線A
1を有する手首アセンブリ10500を形成し、第1の回転軸線A
1の周りで、第2のリンク10610が第1のリンク10510に対して回転する。具体的には、ジョイント部分10540は、凹部によって離間された一連の歯10544と、湾曲した接触面10545とを含む。一連の歯10544は、第2のリンク10610の一連の歯10644(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面10545は、第2のリンク10610の対応する接触面10645と転がり接触している。
【0150】
第1のガイドチャネル10515、第2のガイドチャネル10520、第3のガイドチャネル10525、及び第4のガイドチャネル10530が、第1のリンク10510に規定される。第1のリンク9510とは異なり、第1のリンク10510は中央ボアを規定しない。第1のバンド10420の第1の基端部分10421が、第1のガイドチャネル10515内に移動可能に配置される。第1のバンド10420の第2の基端部分10431が、第2のガイドチャネル10520内に移動可能に配置される。第2のバンド10440の第1の基端部分10441が、第3のガイドチャネル10525内に移動可能に配置される。第2のバンド10440の第2の基端部分10451が、第4のガイドチャネル10530内に移動可能に配置される。第1のリンク8510(及び器具3400)に関して上述したガイドチャネルと同様に、ガイドチャネル10515、10520、10525、10530は、第1のリンク10510(又は手首アセンブリ10500)の長手方向中心線に沿って湾曲している。具体的には、ガイドチャネル10515、10520、10525、10530を規定する内側ガイド面及び外側ガイド面は、任意の適切な曲率半径を有することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク10610が第1のリンク10510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図54の矢印UUを参照)、第1のバンド10420及び第2のバンド10440のそれぞれの部分は、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具10400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。特に、第1のリンク10510の内側ガイド面は、第1のリンク9510の対応する内側ガイド面より小さい曲率半径を有する(すなわち、対応する内側ガイド面よりも鋭く湾曲している)。さらに、上述したように、ガイドチャネル10515、10520、10525、10530は、第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド10420又は第2のバンド10440を介して第2のリンク10610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。
【0151】
第1のロックリング10580は、第1のリンク10510の周りに配置され、且つガイドチャネル10515、10520、10525、10530内への側面開口部を覆う。第1のロックリング10580は、第1のバンド10420及び第2のバンド10440の部分がそれぞれのガイドチャネル内に配置された後に、第1のリンク10510の周りに結合され得る。第1のロックリング10580は、任意の適切な機構によって(例えば、接着剤、締り嵌め、溶接等を介して)第1のリンク10510に結合することができる。
【0152】
図57を参照すると、第2のリンク10610は、基端部分10611及び先端部分10612を有する。上述したように、基端部分10611は、第1のリンク10510のジョイント部分10540に回転可能に結合されるジョイント部分10640を含む。具体的には、ジョイント部分10640は、凹部によって離間された一連の歯10644と、湾曲した接触面10645とを含む。一連の歯10644は、第1のリンク10510の一連の歯10544(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面10645は、第1のリンク10510の対応する接触面10545と転がり接触している。第2のリンク10610の先端部分10612は、エンドエフェクタ10460に結合されるコネクタを含む。このようにして、第1のツール部材10462及び第2のツール部材10482は、第2のリンク10610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。コネクタは、ピンタイプのコネクタであり、且つピン開口部10682によって支持される(及びその中に配置される)ピン10683を含む。
図54に示されるように、第2の回転軸線A
2は、ピッチ軸線A
1と非平行である。こうして、器具10400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。
【0153】
第1のガイドチャネル10615、第2のガイドチャネル10620、第3のガイドチャネル10625、及び第4のガイドチャネル10630が、第2のリンク10610に規定される。第2のリンク9610とは異なり、第2のリンク10610は中央ボアを規定しない。第1のガイドチャネル10615は、(第1のリンク10510の)第1のガイドチャネル10515と整列され、第2のガイドチャネル10620は、(第1のリンク10510の)第2のガイドチャネル10520と整列される。このようにして、第1のバンド10420の部分(例えば、第1の基端部分10421)が、シャフトから第1のガイドチャネル10515及び第1のガイドチャネル10615を通って、第1のツール部材10462に結合されるように経路指定される。第1のバンド10420の部分(例えば、第2の部分10431)が、第1のツール部材10462から第2のガイドチャネル10520及び第2のガイドチャネル10620を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構に戻されるように経路指定される。第3のガイドチャネル10625は、(第1のリンク10510の)第3のガイドチャネル10525と整列され、第4のガイドチャネル10630は、(第1のリンク10510の)第4のガイドチャネル10530と整列される。このようにして、第2のバンド10440の部分(例えば、第1の基端部分10441)が、シャフトから第3のガイドチャネル10525及び第3のガイドチャネル10625を通って、第2のツール部材10482に結合されるように経路指定される。第2のバンド10440の部分(例えば、第2の部分10451)が、第2のツール部材10482から第4のガイドチャネル10530及び第4のガイドチャネル10630を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構に戻されるように経路指定される。
【0154】
第2のリンク8610(及び器具3400)に関して上述したガイドチャネルと同様に、ガイドチャネル10615、10620、10625、10630は、第2のリンク10610(又は手首アセンブリ10500)の長手方向中心線に沿って湾曲している。具体的には、ガイドチャネル10615、10620、10625、10630を規定する内側ガイド面及び外側ガイド面は、任意の適切な曲率半径を有することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク10610が第1のリンク10510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図46の矢印SSを参照)、第1のバンド10420及び第2のバンド10440のそれぞれの部分は、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具10400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。特に、第2のリンク10610の外側ガイド面は、第2のリンク9610の対応する外側ガイド面より小さい曲率半径を有する(すなわち、対応する外側ガイド面よりも鋭く湾曲している)。さらに、上述したように、ガイドチャネル10615、10620、10625、10630は、第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド10420又は第2のバンド10440を介して第2のリンク10610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。
【0155】
エンドエフェクタ10460は、第1のツール部材10462及び第2のツール部材10482を含む。第1のツール部材10462は、接触部分(識別されない)及びプーリ部分10467を含む。接触部分及びプーリ部分10467は、それぞれ接触部分9464及びプーリ部分9467と同様であり、従って、ここでは詳細に説明しない。第2のツール部材10482は、接触部分(識別されない)及びプーリ部分10487を含む。接触部分及びプーリ部分10487は、それぞれ接触部分9484及びプーリ部分9487と同様であり、従って、ここでは詳細に説明しない。プーリ部分10467、10487はそれぞれ、ピン10683を介して第2のリンク10610に回転可能に結合される。このようにして、
図54の矢印VVによって示されるように、第1のツール部材10462及び第2のツール部材10482はそれぞれ、ピン10683の周りに回転し、且つ第2のリンク10610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転することができる。
【0156】
第1のバンド10420は、第1の基端部分10421、第2の基端部分10431、先端部分10422、第1の中央部分10423、及び第2の中央部分(図示せず)を有する。図示されるように、先端部分10422は、タブ10424を介して第1のツール部材10462のプーリ部分10467の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分10421及び第2の基端部分10431はそれぞれ、第1のリンク10510(すなわち、第1のガイドチャネル10515及び第2のガイドチャネル10520のそれぞれ)を通って、シャフト内に延びる。さらに、第1の基端部分10421及び第2の基端部分10431はそれぞれ、シャフトを通って延び、且つ手首アセンブリ10500のピッチ、ヨー、及びブリップ運動を生成するために、各基端部分を動かすことができるバックエンド機構(図示しないが、上述したアクチュエータ7700と同様)に結合される。第1の中央部分10423は、第1の基端部分10421と先端部分10422との間にあり、第2の中央部分は、第2の基端部分10431と先端部分10422との間にある。図示されるように、第1のバンド10420は、その長手方向中心線に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は第1の中央部分10423に沿っており、第2のねじれ領域は第2の中央部分に沿っている(図示しないが、第1の中央部分10423の反対側である)。このようにして、第1のバンド10420の第1の基端部分10421及び第2の基端部分10431における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第1のバンド10420の先端部分10422における接触面(すなわち、プーリ部分10467の周りに巻き付けられるバンド面)の向きとは異なる。
【0157】
第2のバンド10440は、第1の基端部分10441、第2の基端部分10451、先端部分10442、第1の中央部分10443、及び第2の中央部分10453を有する。図示されるように、先端部分10442は、タブ10444によって第2のツール部材10482のプーリ部分10487の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分10441及び第2の基端部分10451はそれぞれ、第1のリンク10510(すなわち、第1のガイドチャネル10525及び第1のガイドチャネル10530のそれぞれ)を通って、シャフト内に延びる。さらに、第1の基端部分10441及び第2の基端部分10451はそれぞれ、シャフトを通って延び、且つ手首アセンブリ10500のピッチ、ヨー、及びグリップ運動を生成するために、各基端部分を動かすことができるバックエンド機構(図示しないが、上述したアクチュエータ7700と同様)に結合される。第1の中央部分10443は、第1の基端部分10421と先端部分10442との間にあり、第2の中央部分10453は、第2の基端部分10451と先端部分10442との間にある。図示されるように、第2のバンド10440は、その長手方向中心線に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は第1の中央部分10443に沿っており、第2のねじれ領域は第2の中央部分に沿っている。このようにして、第2のバンド10440の第1の基端部分10441及び第2の基端部分10451における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第2のバンド10440の先端部分10442における接触面(すなわち、プーリ部分10487の周りに巻き付けられるバンド面)の向きとは異なる。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドエフェクタのいずれも、組織を操作又は切断し、次に組織を焼灼することができる焼灼ツールであり得る。従って、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される器具のいずれかは、任意数のワイヤ、絶縁体等を含むことができ、且つこれらの電気的構成要素を収容するための任意の適切なチャネルを規定することができる。そのような実施形態では、ケーブルよりも幅寸法を細くし得るバンドの使用により、手首構成要素(例えば、第1のリンク又は第2のリンク)のサイズを最小限に抑えることができる。例えば、
図58~
図63は、一実施形態による、器具11400の様々な図である。いくつかの実施形態では、器具11400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具11400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具11400は、アクチュエータアセンブリ11700、シャフト11410、手首アセンブリ11500、及びエンドエフェクタ11460を含む。
図63を参照すると、器具11400は、バックエンド機構11700を手首アセンブリ11500に結合する第1のバンド11420及び第2のバンド11440も含む。器具11400は、バンドの動きが、手首アセンブリ11500の第1の回転軸線A
1(
図59参照、ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)の周りの回転(すなわち、ピッチ回転)、エンドエフェクタ11460の第2の回転軸線A
2(
図59参照、ヨー軸線として機能する)の周りのヨー回転、エンドエフェクタ11460のツール部材のヨー軸線の周りのグリップ回転、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。器具11400のピッチ、ヨー、又はグリップの変更は、器具6400に関して上述したのと同様の方法で、バンドを操作することによって行うことができる。こうして、所望の動きを実現するための第1のバンド11420及び第2のバンド11440の様々な部分の特定の動きについて、以下で説明しない。
【0159】
いくつかの実施形態では、バックエンド機構11700は、バンドの部分の並進(線形運動)を生成する1つ又は複数の線形アクチュエータを含むことができる。そのようなバックエンド機構は、任意のバンドの端部を直接引っ張る(又は解放する)ための、例えばジンバル、レバー、又は他の任意の適切な機構を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、バックエンド機構11700は、(2014年8月15日に出願された)“Lever Actuated Gimbal Plate”という表題の米国特許出願公開第2015/0047454号、又は(2001年6月28日に出願された)“Surgical Tool Having Positively Positionable Tendon-Actuated
Multi-Disk Wrist Joint”という表題の米国特許第6,817,974号に記載されているバックエンド・アセンブリ又は構成要素のいずれかを含むことができ、これらの文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、他の実施形態では、バックエンド機構11700は、所望のバンドの動きを生成するために任意のバンドの一部を回転する又は「巻く」キャプスタン又は他のモータ駆動ローラを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、バックエンド機構11700は、(2008年7月16日に出願された)“Medical Instrument Electronically Energized Using Drive Cables”という表題の米国特許第9,204,923号に記載されるバックエンド・アセンブリ又は構成要素のいずれかを含むことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
シャフト11410は、手首アセンブリ11500をバックエンド機構11700に結合する任意の適切な細長いシャフトとすることができる。具体的には、シャフト11410は、バックエンド機構11700のハウジングに結合される基端部分11411と、手首アセンブリ11500に結合される先端端部11412とを含む。シャフト11410は、通路又は一連の通路を規定し、通路又は一連の通路を通して、バンド及び他の構成要素(例えば、電線11401、11405、接地線等)をバックエンド機構11700から手首アセンブリ11500に経路指定することができる。円筒形であるように示されているが、他の実施形態では、シャフト11410は、任意の適切な形状を有することができる。
【0161】
手首アセンブリ11500は、第1のリンク11510及び第2のリンク11610を含む。
図60に示されるように、第1のリンク11510は、基端部分11511及び先端部分11512を有する。基端部分11511は、シャフト11410の先端部分に結合される。基端部分11511は、本明細書に記載されるように、任意の適切な機構を介してシャフト11410に結合できる。先端部分11512は、第2のリンク11610の相手側の嵌合ジョイント部分11640に回転可能に結合されるジョイント部分11540を含む。このようにして、第1のリンク11510及び第2のリンク11610は、第1の回転軸線A
1を有する手首アセンブリ11500を形成し、第1の回転軸線A
1の周りで、第2のリンク11610が第1のリンク11510に対して回転する。具体的には、ジョイント部分11540は、凹部によって離間された一連の歯11544と、2つの湾曲した接触面11545とを含む。一連の歯11544は、第2のリンク11610の一連の歯11644(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面11545は、第2のリンク11610の対応する接触面11645と転がり接触している。
【0162】
第1のリンク11510は、2つの中央ボア11535及び中央スロット11536を規定する。中央ボア11535は、電線11401、11405を含む(又はそれら電線の通過を可能にする)。中央スロット11536は、絶縁体11495に結合される保持ストリップ(図示せず)の一部を含む。保持ストリップは、バンド内の張力が低下したとき、又はバンドが固定される前の組立中に、第2のリンク11610を第1のリンク11510に保持する。第1のリンク11510は、第1のガイドチャネル11515、第2のガイドチャネル11520、第3のガイドチャネル11525、及び第4のガイドチャネル11535も規定する。第1のバンド11420の第1の基端部分11421が、第1のガイドチャネル内に移動可能に配置される。第1のバンド11420の第2の基端部分11431が、第2のガイドチャネル11520内に移動可能に配置される。第2のバンド11440の第1の基端部分11441が、第3のガイドチャネル11525内に移動可能に配置される。第2のバンド11440の第2の基端部分11451が、第4のガイドチャネル11530内に移動可能に配置される。第1のリンク8510(及び器具3400)に関して上述したガイドチャネルと同様に、ガイドチャネル11515、11520、11525、11530は、第1のリンク11510(又は手首アセンブリ11500)の長手方向中心線に沿って湾曲している。具体的には、ガイドチャネル11515、11520、11525、11530を規定する内側ガイド面及び外側ガイド面は、任意の適切な曲率半径を有することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク11610が第1のリンク11510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図59の矢印WWを参照)、第1のバンド11420及び第2のバンド11440のそれぞれの部分は、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具11400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。さらに、上述したように、ガイドチャネル11515、11520、11525、11530は、第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド11420又は第2のバンド11440を介して第2のリンク11610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。
【0163】
図61及び
図62を参照すると、第2のリンク11610は、基端部分11611及び先端部分11612を有する。上述したように、基端部分11611は、第1のリンク11510のジョイント部分11540に回転可能に結合されるジョイント部分11640を含む。具体的には、ジョイント部分11640は、凹部によって離間された一連の歯11644と、2つの湾曲した接触面11645とを含む。一連の歯11644は、第1のリンク11510の一連の歯11544(又はピン)と噛み合い、湾曲した接触面11645は、第1のリンク11510の対応する接触面11545と転がり接触している。第2のリンク11610の先端部分11612は、エンドエフェクタ11460に結合されるコネクタを含む。このようにして、第1のツール部材11462及び第2のツール部材11482は、第2のリンク11610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。コネクタは、ピンタイプのコネクタであり、且つピン開口部11682によって支持される(及びその中に配置される)ピン11683を含む。
図59に示されるように、第2の回転軸線A
2は、ピッチ軸線A
1と非平行である。こうして、器具11400は、最大3自由度(すなわち、第1の回転軸線A
1の周りのピッチ運動、第2の回転軸線A
2の周りのヨー回転、及び第2の回転軸線A
2の周りのグリップ運動)を与える。
【0164】
第2のリンク11610は、2つの中央ボア11635及び中央スロット11636を規定する。中央ボア11635は、中央ボア11535と整列され、且つ電線11401、11405を含む(又はそれら電線の通過を可能にする)。中央スロット11636は、中央スロット11536と整列され、且つ絶縁体11495に結合される接地ストリップ(図示せず)を含む(又はその接地ストリップの通過を可能にする)。第2のリンク11610は、第1のガイドチャネル11615、第2のガイドチャネル11620、第3のガイドチャネル11625、及び第4のガイドチャネル11630も規定する。第1のガイドチャネル11615は、(第1のリンク11510の)第1のガイドチャネル11515と整列され、第2のガイドチャネル11620は、(第1のリンク11510の)第2のガイドチャネル11520と整列される。このようにして、第1のバンド11420の部分(例えば、第1の基端部分11421)が、シャフト11410から第1のガイドチャネル11515及び第1のガイドチャネル11615を通って、第1のツール部材11462に結合されるように経路指定される。第1のバンド11420の部分(例えば、第2の部分11431)が、第1のツール部材11462から第2のガイドチャネル11520及び第2のガイドチャネル11620を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構11700に戻されるように経路指定される。第3のガイドチャネル11625は、(第1のリンク11510の)第3のガイドチャネル11525と整列され、第4のガイドチャネル11630は、(第1のリンク11510の)第4のガイドチャネル11530と整列される。このようにして、第2のバンド11440の部分(例えば、第1の基端部分11441)が、シャフト11410から第3のガイドチャネル11525及び第3のガイドチャネル11625を通って、第2のツール部材11482に結合されるように経路指定される。第2のバンド11440の部分(例えば、第2の部分11451)が、第2のツール部材11482から第4のガイドチャネル11530及び第4のガイドチャネル11630を通って戻され、(シャフトを介して)バックエンド機構に戻されるように経路指定される。
【0165】
第2のリンク8610(及び器具3400)に関して上述したガイドチャネルと同様に、ガイドチャネル11615、11620、11625、11630は、第2のリンク11610(又は手首アセンブリ11500)の長手方向中心線に沿って湾曲している。具体的には、ガイドチャネル11615、11620、11625、11630を規定する内側ガイド面及び外側ガイド面は、任意の適切な曲率半径を有することができ、且つ器具3400に関して上述した形状と同様に、異なる曲線形状を有することができる。このようにして、第2のリンク11610が第1のリンク11510に対してピッチ軸線A
1の周りに回転するときに(
図46の矢印SSを参照)、第1のバンド11420及び第2のバンド11440のそれぞれの部分は、それぞれの内側ガイド面及び外側ガイド面の湾曲部分に接触して、器具11400の作動中に所望の曲げ形状、バンド張力等を維持することができる。さらに、上述したように、ガイドチャネル11615、11620、11625、11630は、第1の回転軸線A
1からオフセットされる。このようにして、第1のバンド11420又は第2のバンド11440を介して第2のリンク11610に力を加えると、第1の回転軸線A
1の周りにトルクが発生する。
【0166】
エンドエフェクタ11460は、第1のツール部材11462及び第2のツール部材11482を含む。第1のツール部材11462は、接触部材11464及びプーリ部材11467を含む。第1のツール部材10462とは異なり、接触部材11464及びプーリ部材11467は、別個の構成要素であり、一緒に結合されて第1のツール部材11462を形成する。接触部材11464は、外科的処置中に標的組織と係合する又はこの組織を操作又は切断するように構成される。接触部材11464は、プーリ部材11467に結合され、且つピン11483の周りに配置される結合部分11465を含む。接触部材11464は、ワイヤ11401が結合されるコネクタも含む。このようにして、バックエンド機構11700からの電流は、焼灼又は他の処置を行うために接触部材11462に伝達され得る。プーリ部材11467は、ガイド面11470、中央開口部11468、及び接続スロット11469を含む。ガイド面11470は、チャネル内にあり、且つ第1のバンド11420の先端部分11422が巻き付けられる面である。第1のバンド11420の先端部分11422は、プーリ部材11487の接続スロット11469内に結合される接続タブ11424を含む。プーリ部材11467は、(中央開口部11468内に配置された)ピン11683を介して第2のリンク11610に回転可能に結合される。このようにして、
図59の矢印XXに示されるように、第1のツール部材11462(接触部材11464とプーリ部材11467との両方)は、ピン11683の周りに回転し、且つ第2のリンク11610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。さらに、ガイド面11470は、ヨー軸線A
2からオフセットされる(すなわち、ガイド面11470の半径だけオフセットされる)。このようにして、第1のバンド11420がプーリ部材11467に力を加えると、ヨー軸線A
2の周りで第1のツール部材11462にトルクが発生し、その結果、第1のツール部材11462が回転し、又はグリップ力が加えられる。
【0167】
第2のツール部材11482は、接触部材11484及びプーリ部材11487を含む。第1のツール部材11462と同様に、接触部材11484及びプーリ部材11487は、別個の構成要素であり、一緒に結合されて第2のツール部材11482を形成する。接触部材11484は、外科的処置中に標的組織に係合する又はこの組織を操作又は切断するように構成される。接触部材11484は、プーリ部材11487に結合され、且つピン11483の周りに配置される結合部分11485を含む。接触部材11484は、ワイヤ11405が結合されるコネクタ11486も含む。このようにして、バックエンド機構11700からの電流を接触部材11482に伝達して、焼灼又は他の処置を行うことができる。プーリ部材11487は、ガイド面11490、中央開口部11488、及び接続スロット(図示しないが、接続スロット11469と同様)を含む。ガイド面11490は、チャネル内にあり、且つ第2のバンド11440の先端部分11442が巻き付けられる面である。第2のバンド11440の先端部分11442は、プーリ部材11487の接続スロット内に結合される接続タブ11444を含む。プーリ部材11487は、(中央開口部11488内に配置された)ピン11683を介して第2のリンク11610に回転可能に結合される。このようにして、
図59の矢印XXで示されるように、第2のツール部材11482(接触部材11484とプーリ部材11487との両方)は、ピン11683の周りに回転し、且つ第2のリンク11610に対して第2の回転軸線A
2の周りに回転する。
【0168】
第1のバンド11420は、第1の基端部分11421、第2の基端部分11431、先端部分11422、第1の中央部分11423、及び第2の中央部分(図示せず)を有する。図示されるように、先端部分11422は、タブ11424を介して第1のツール部材11462のプーリ部分11467の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分11421及び第2の基端部分11431はそれぞれ、第1のリンク11510(すなわち、第1のガイドチャネル11515及び第2のガイドチャネル11520のそれぞれ)を通って、シャフト11410内に延びる。さらに、第1の基端部分11421及び第2の基端部分11431はそれぞれ、シャフト11410を通って延び、且つバックエンド機構11700に結合される。バックエンド機構11700は、手首アセンブリ11500のピッチ、ヨー、及びグリップ運動を生成するために、各基端部分を動かすことができる。第1の中央部分11423は、第1の基端部分11421と先端部分11422との間にあり、第2の中央部分は、第2の基端部分11431と先端部分11422との間にある。図示されるように、第1のバンド11420は、その長手方向中心線に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は第1の中央部分11423に沿っており、第2のねじれ領域は第2の中央部分に沿っている(図示しないが、第1の中央部分11423の反対側である)。このようにして、第1のバンド11420の第1の基端部分11421及び第2の基端部分11431における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第1のバンド11420の先端部分11422における接触面(すなわち、プーリ部分11467の周りに巻き付けられるバンド面)の向きとは異なる。
【0169】
第2のバンド11440は、第1の基端部分11441、第2の基端部分11451、先端部分11442、第1の中央部分11443、及び第2の中央部分11453を有する。図示されるように、先端部分11442は、タブ11444によって第2のツール部材11482のプーリ部分11487の周りに巻き付けられ結合される。第1の基端部分11441及び第2の基端部分11451はそれぞれ、第1のリンク11510(すなわち、第1のガイドチャネル11525及び第1のガイドチャネル11525のそれぞれ)を通って、シャフト11410内に延びる。さらに、第1の基端部分11441及び第2の基端部分11451はそれぞれ、シャフト11410を通って延び、且つバックエンド機構11700に結合される。バックエンド機構11700は、手首アセンブリ11500のピッチ、ヨー、及びグリップ運動を生成するために、各基端部分を動かすことができる。第1の中央部分11443は、第1の基端部分11421と先端部分11442との間にあり、第2の中央部分11453は、第2の基端部分11451と先端部分11442との間にある。図示されるように、第2のバンド11440は、その長手方向中心線に沿って2つの場所でねじられる:第1のねじれ領域は、第1の中央部分11443に沿っており、第2のねじれ領域は、第2の中央部分に沿っている。このようにして、第2のバンド11440の第1の基端部分11441及び第2の基端部分11451における接触面(すなわち、内側ガイド面及び外側ガイド面に接触する又はその周りに巻き付けられるバンド面)の向きは、第2のバンド11440の先端部分11442における接触面(すなわち、プーリ部分11487の周りに巻き付けられるバンド面)の向きとは異なる。
【0170】
本明細書に記載の器具のいずれかは、器具の作動中にその中のバンドを所望の曲げ形状、バンド張力等に維持するのを確実にするような、任意の適切な第1のリンク設計又は第2のリンク設計を含むことができる。こうして、本明細書に記載される第1のリンクのいずれかは、任意の適切な形状(例えば、曲率半径、1つ又は複数の軸線からのオフセット距離等)を有する任意数のガイドチャネルを含むことができる。同様に、本明細書に記載される第2のリンクのいずれかは、任意の適切な形状(例えば、曲率半径、1つ又は複数の軸線からのオフセット距離等)を有する任意数のガイドチャネルを含むことができる。
図64及び
図65は、一実施形態による、器具12400の一部の様々な図である。いくつかの実施形態では、器具12400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具12400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具12400は、バックエンド機構(図示せず)、シャフト12410、手首アセンブリ12500、及びエンドエフェクタ12460を含む。
図63を参照すると、器具12400は、バックエンド機構を手首アセンブリ12500に結合する第1のバンド12420及び第2のバンド12440も含む。器具12400は、バンドの動きが、手首アセンブリ12500の第1の回転軸線A
1(
図64参照、ピッチ軸線として機能し、ピッチという用語は任意である)の周りの回転(すなわち、ピッチ回転)、エンドエフェクタ12460の第2の回転軸線A
2(
図64参照、ヨー軸線としてとして機能する)の周りのヨー回転、エンドエフェクタ12460のツール部材のヨー軸線の周りのグリップ回転、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。器具12400のピッチ、ヨー、又はグリップの変更は、器具6400に関して上述したのと同様の方法で、バンドを操作することによって行うことができる。
図65は、第2のリンク12610の斜視図を示す。図示されるように、第2のリンク12610は、本明細書に記載の一部の第2のリンクには存在しないような追加のガイド面12617及びカバー面12613を含む。
【0171】
図66及び
図67は、一実施形態による、器具13400の一部の様々な図である。いくつかの実施形態では、器具13400又はその中の任意の構成要素は、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。器具13400(及び、本明細書に記載される器具のいずれか)は、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。器具13400は、バックエンド機構(図示せず)、シャフト(図示せず)、手首アセンブリ13500、及びエンドエフェクタ13460を含む。
図63を参照すると、器具13400は、バックエンド機構を手首アセンブリ13500に結合する第1のバンド13420及び第2のバンド13440も含む。器具13400は、バンドの動きが、手首アセンブリ13500の第1の回転軸線A
1(
図66参照、ピッチ軸線として機能する)の周り回転(すなわち、ピッチ回転)、エンドエフェクタ13460の第2の回転軸線A
2(
図66参照、ヨー軸線として機能する)の周りのヨー回転、エンドエフェクタ13460のツール部材のヨー軸線の周りのグリップ回転、又はこれらの動きの任意の組合せを発生させるように構成される。器具13400のピッチ、ヨー、又はグリップの変更は、器具6400に関して上述したのと同様の方法で、バンドを操作することによって行うことができる。
図67は、第2のリンク13610の斜視図を示す。
【0172】
様々な実施形態について、上で説明してきたが、それら実施形態は、限定ではなく単に例として提示されたことを理解すべきである。上述した方法及び/又は概略図が、特定の順序で発生する特定のイベント及び/又はフローパターンを示す場合に、特定のイベント及び/又は操作の順序を変更することができる。実施形態を特に示し、説明してきたが、形態及び詳細に様々な変更を加えることができることが理解されよう。
【0173】
例えば、本明細書に記載の器具(及び、その中の構成要素)のいずれかは、オプションで、外科的処置を行う手術システムの一部であり、手術システムは、マニピュレータユニット、一連の運動学的リンク機構、一連のカニューレ等を含むことができる。こうして、本明細書に記載される器具のいずれも、上で示され説明されるMIRSシステム1000等の任意の適切な手術システムで使用することができる。さらに、本明細書に示され記載される器具のいずれかを使用して、外科的処置中に標的組織を操作することができる。そのような標的組織は、癌細胞、腫瘍細胞、病変部、血管閉塞、血栓症、結石、子宮筋腫、骨腫瘍転移、腺筋症、又は任意の他の身体組織であり得る。提示された標的組織の例は、完全なリストではない。さらに、標的構造は、例えば、ステント、人工チューブの一部、体内の締結具等のような、体内又は体に関連する人工物質(つまり、非組織)も含み得る。
【0174】
例えば、任意のツール部材は、医療グレードのステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金等の任意の材料から構成することができる。さらに、本明細書に記載されるリンク、ツール部材、バンド、又は構成要素のいずれも、後で一緒に接合される複数の部品から構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、リンクは、別々に構成された構成要素を一緒に接合することによって構成することができる。しかしながら、他の実施形態では、本明細書に記載されるリンク、ツール部材、バンド、又は構成要素のいずれも、モノリシックに構成することができる。
【0175】
本明細書に記載される任意のバンドは、任意の適切な形状を有することができる。例えば、
図10が、(バンド2420の長手方向中心線に垂直な断面平面内で切り取られた)長方形の断面形状を有するものとしてバンド2420を示しているが、他の実施形態では、本明細書に記載される任意のバンドは、任意の適切な断面形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意のバンドは台形形状を有してもよい(例えば、
図24参照)。他の実施形態では、本明細書に記載される任意のバンドは、僅かに湾曲した面を含むことができる。例えば、内側接触面2425及び外側接触面2426が、(バンド2420の長手方向中心線に垂直な断面平面内で)線形であるように示されているが、他の実施形態では、任意の内側接触面又は外側接触面は、曲面又は「クラウン形状」にすることができる。さらに、本明細書に記載される任意のバンドは、任意の適切な材料から構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意のバンドは、(例えば、接着剤を介して)一緒に接合される一連のラミネートから構成することができる。他の実施形態では、ラミネートは、他の任意の適切な方法で接合することができる。ラミネートは、タングステン、鋼、又は任意の適切なポリマーを含む、任意の適切な材料から構成することができる。
【0176】
器具が、一般に、第1の回転軸線A1に垂直な第2の回転軸線A2を有するものとして示されているが、他の実施形態では、本明細書に記載される任意の器具は、第1の回転軸線A1から任意の適切な角度だけオフセットされた第2の回転軸線A2を含むことができる。
【0177】
器具が、一般に使い捨てであるとして説明されているが、他の実施形態では、本明細書に記載される任意の器具は、再利用可能であり得る。
【0178】
バンドが、対応するスロット内に配置されたタブによってツール部材に結合されるものとして本明細書に記載されるが、他の実施形態では、本明細書に記載される任意のバンドは、溶接、接着剤、又は機械的締結具等の任意の適切な機構によって任意のツール部材に結合され得る。
【0179】
様々な実施形態について、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして説明したが、他の実施形態は、上述したような実施形態のいずれかからの任意の特徴及び/又は構成要素の組合せを有することが可能である。態様は、医療装置、より具体的には手術用器具の一般的な文脈で説明したが、発明の態様は、必ずしも医療装置での使用に限定されるものではない。
【0180】
例えば、いくつかの実施形態では、器具は、器具4400に関して上述したようにねじられたバンド、及び(器具3400に関して上述したような内側ガイド面及び外側ガイド面を含む)1つ又は複数のリンク(例えば、第1のリンク又は第2のリンク)も有するバンドを含むことができる。こうして、いくつかの実施形態では、器具は、ガイド面を規定する手首アセンブリを含むことができ、ガイド面は、長手方向中心線に沿って湾曲することができ、且つ長手方向中心線に垂直な断面に沿った線形表面を有することができる。