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特許7128893軌道を走行可能な軌道タンピング機械による軌道位置を改善するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】軌道を走行可能な軌道タンピング機械による軌道位置を改善するための方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 35/00 20060101AFI20220824BHJP
   E01B 27/16 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
E01B35/00
E01B27/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020533258
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 AT2019050005
(87)【国際公開番号】W WO2019140467
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】A50051/2018
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】517002409
【氏名又は名称】ハーペードライ・レアール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】リヒトベルガー・ベルンハルト
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-523854(JP,A)
【文献】特開平11-315503(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021224(WO,A1)
【文献】特開平01-250504(JP,A)
【文献】特開2016-003561(JP,A)
【文献】国際公開第95/014817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 35/00
E01B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの測定キャリッジ(A,B,C)とその間に張設された弦(9)を有する3点作業測定システムと、タンピングユニット(5)と、軌道用の持上げ整正ユニット(8)と、特に走行距離計を有し、軌道タンピング機械(6)の補正作業の後の軌道の位置が、測定システムにより記録される、軌道を走行可能な軌道タンピング機械(6)により軌道位置を改善するための方法において、
コンピュータ(R)が、予め設定した軌道目標位置(1)と測定システムにより記録された実位置との間の差、即ち残留誤差(K)を計算し、後方の測定キャリッジ(C)における後方の弦端が予め設定した軌道目標位置(1)上に誘導されるように、3点作業測定システムの軌道タンピング機械(6)の後方の測定キャリッジ(C)における後方の弦端の位置が継続的に補正されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
開始スロープ(IRA)を形成するために、測定キャリッジ(C)における後方の弦端の位置は、必要な軌道修正値(Kv(s))が連続的に増加するように、作業開始時のゼロ補正から軌道目標位置(1)まで自動的に誘導される(Kh(n-a))こと、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
終了スロープ(IRE)を形成するために、測定キャリッジ(A)における弦端の位置は、必要な軌道修正値(Kv(s))が連続的に減少するように、軌道目標位置(1)から作業終了時のゼロ補正まで自動的に誘導される(Kh(n+b))こと、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
測定キャリッジ(C)には、タンピング機械の補正作業後の軌道の位置を記録する慣性測定システム(INS)が付設されていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
タンピング作業後の軌道の残留誤差(Kh(n))の決定が、3つの測定キャリッジ(C,D,E)とその間に張設された弦(10)を有する後続の検査3点測定システムの測定に基づく外挿により行なわれること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンピング機械により軌道位置を改善するために適用される3点法を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道用の大抵の軌道は、バラスト軌道として形成されている。この場合、枕木は、バラスト内に位置する。その上を走行する列車の有効な車輪力により、バラストの不規則な沈下と、軌道の横方向の位置ジオメトリの変位が惹起される。バラスト道床の沈下により、縦方向高さ、カント(弧内)及び整正位置に誤差が生じる。これらの幾何学的変数の所定の快適限界値又は安全限界値を超えた場合、保守作業が実行される。軌道タンピング機械は、列車の負荷により悪化した軌道ジオメトリを改善する。このため、軌道は、電気油圧的に制御される持上げ整正装置により軌道目標位置に持ち上げられて整正され、枕木の下のバラストの圧縮(タンピング)によりこの位置に固定される。
【0003】
保線機械の補正工具を誘導するため、主に3点法による測定及び制御システムが使用される。実際には、軌道位置は確かに改善されるが、理論的に可能な改善は決して達成されないことが示されている。軌道位置誤差は、典型的には、30~50%の間でしか軽減されない。この場合、軌道位置誤差の形態及び位置は、大抵は維持され、誤差の振幅しか減少しない。
【0004】
このような軌道ジオメトリ改善作業の後、再び列車運転のために軌道を解放することができるように、鉄道保線機械は、いわゆる検査測定システム及び検査レコーダを備えている。この検査レコーダにより、残りのエラーが記録される。解放のためには、軌道位置誤差のそのために予め設定した公差を下回らなければならない。
【0005】
保守作業後の残留誤差が小さくなるほど、列車による車輪とレールとの間の相互作用力が小さくなり、軌道ジオメトリがゆっくり悪化し、軌道位置の耐久性が長くなる。従って、かなりのコストと労力を節約することができるので、軌道ジオメトリを目標位置にできるだけ近づけることが望ましい。
【0006】
軌道誤差を補正するため、種々の軌道整正方法が形成された。一方では、軌道位置を平滑化しかしない相対法があり、他方では、絶対法がある。後者は、現代の軌道の場合には十分に優勢であった。絶対法の場合、軌道位置は、予め設定した目標ジオメトリに応じて補正される。鉄道軌道の目標ジオメトリは、軌道位置計画として提供されており、保線機械のコンピュータに入力した後に、測定システムの特性の知識下で系統誤差を計算するために利用することができる。機械測定装置の前端用の絶対修正値が既知である場合、機械測定装置の前端は、軌道目標ジオメトリ上に誘導され、後端は、既に補正された軌道上に誘導される。作業箇所で、整正及び持上げ過程が実行される。軌道縦軸内のタンピング機械の位置は、走行距離計によって決定される。この方法は、3点法と呼ばれる。
【0007】
3点法の現在の適用における欠点は、軌道位置の理論的に期待可能な改善に反して、軌道位置誤差の不十分な低減が、約30~50%だけでしかないことである。3点法のこの不十分な機能により、より良好な適用により生じる労力及びコストの節約の能力が発揮されない。この不十分な機能の理由は、後方の弦端が正確に軌道目標ジオメトリ上に誘導されるのではなく、システムにフィードバックされる残留誤差を備えることに見られる。これらの誤差は、持上げ後の軌道の不規則な沈下及び整正後の軌道のスプリングバック並びに制御回路へのこれら誤差のフィードバックにより生じる。生じる沈下は、バラスト高さ及びバラスト状態に依存し、整正力による軌道のスプリングバックは、レール固定部の特性及び軌道自体の特性に依存する。連続溶接軌道は、高いレール温度(約T>20℃)で圧縮応力を備え、低い温度(約T<20℃)で引張応力を備える。即ち、整正後、この内部応力に基づいて、軌道のスプリングバック又はリバウンドが生じることがある。
【0008】
保線機械による作業開始及び作業終了時に、急激な横方向位置の持上げ又は補正の実行又は放置が許されるのではなく、値の連続的な増加もしくは減少(上りスロープ設定及び下りスロープ設定)が必要である。但し、これにより、これら移行部では、実際の軌道誤差は、部分的にしか除去されない。スロープの構築中及び構築後は、後方の弦端が不正確な軌道上にあると想定することができる。機械操作員による上りスロープ設定及び下りスロープ設定は、直感的で経験に基づいて行なわれ、その結果、実際に予測可能でなく、客観的に評価可能でない。
【0009】
検査測定記録を介して、機械の操作員は、あとに残った誤差の大きさを認識する。調整可能な修正値により、操作員は、調整可能な補正値を使用して、発生する誤差に対向しようとする。しかしながら、作業位置と検査測定位置との間には約10~15mの距離があるので、その間に位置する既に処理された軌道は、もはや影響を受けることができない。操作員の修正は、いわば、誤差がどのように発生するかについての操作員の予測である。この場合、操作員は、その直感と経験を頼りにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の根底にある課題は、30~50%よりも大きい軌道位置誤差の低減が可能であるように3点法の作用を改善する方法を提供することである。操作員による修正値の直感的で経験に基づく調整及びこれと関連した誤差の発生のし易さは回避されるべきである。作業開始及び作業終了時の上りスロープ設定及び下りスロープ設定は、制御回路へのフィードバックを防止するために、後方の弦端が適切に目標位置上に誘導されるように、引き続き自動的に行なわれるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コンピュータが、予め設定した軌道目標位置と測定システムにより記録された実位置との間の差、即ち残留誤差を計算し、軌道タンピング機械の後方の測定キャリッジにおける後方の弦端が軌道目標位置上に誘導されるように、3点作業測定システムの測定キャリッジにおける後方の弦端の位置が継続的に補正されることにより、提起した課題を解決する。
【0012】
軌道タンピング機械の後方の測定キャリッジにおける後方の弦端は、算術的及び電子的に、即ち仮想的に軌道目標位置上に誘導され、これまでのように後方の測定キャリッジにおける残りの残留誤差上に誘導されない。3点法のこれまでの適用時には確かに前方の弦点は電子的に軌道目標位置上に誘導することができるが、後方の弦点は残りの軌道誤差上に誘導することができないことにより、フィードバック式のシステムが得られる。後方の弦点は、軌道誤差上を走り、従って補正結果にマイナスの影響を及ぼす。このため、軌道の位置は、次の段落で略示されるように、タンピング機械の補正作業後に測定され、測定システムにより記録されたこの実位置が、残留誤差を計算するために使用される。次に、3点作業測定システムの測定キャリッジにおける後方の弦端の位置は、軌道タンピング機械の後方の測定キャリッジにおける後方の弦端が軌道目標位置上に誘導されるように、継続的に補正される。
【0013】
軌道タンピング機械の(後方の)測定キャリッジには、好ましくは、タンピング機械の補正作業後の軌道の位置を記録する慣性測定システムが付設されている。しかしながらまた、タンピング作業後の軌道の残留誤差の決定は、選択的又は付加的に、3つの測定キャリッジとその間に張設された弦を有する後続の検査3点測定システムの測定に基づく外挿により行なうことができる。
【0014】
本発明は、開始スロープを形成するために、タンピング機械の後方の測定キャリッジにおける後方の弦端の位置は、必要なトラック修正値が連続的に増加するように、作業開始時のゼロ補正から軌道目標位置まで自動的に誘導されること、及び、終了スロープを形成するために、タンピング機械の前方の測定キャリッジにおける弦端の位置は、必要な軌道修正値が連続的に減少するように、軌道目標位置から作業終了時のゼロ補正まで自動的に誘導されることにより、全自動の上りスロープ設定及び下りスロープ設定を解決する。
【0015】
後方の弦端は、計算されたスロープを介して軌道の目標位置上に誘導される。好ましくは、後方の弦端の測定キャリッジ上に、残留誤差を測定する慣性測定システムが構築される。本発明によりこのように決定されたこれらの測定誤差により、後方の弦端の位置が修正され、軌道目標位置上に誘導される。これにより、フィードバック及びこれにより生じるシステムの軌道位置誤差が回避される。
【0016】
慣性測定システムは、互いに回転可能に形成された2つの車輪セットを有する測定キャリッジ上に構築される。測定キャリッジと、走行距離計が接続され、この走行距離計は、軌道上を測定キャリッジが走行する距離を測定する。測定キャリッジは、測定中、基準レールに対して横方向に押圧される。慣性測定システムは、軌道上の測定キャリッジのトラック方向と縦方向傾斜の接線並びに横方向傾斜(カント)を測定する。例えば等距離ステップ(典型的に0.25、0.5又は1mであり、慣性測定システムの高い測定速度のために準連続記録も可能である)では、慣性測定システムの測定データは、相応の個所に保存される。各測定点については、慣性測定システムからのデータ以外に、走行した正確な弧長(又は“軌道キロメートル”)が保存される。
【0017】
作業中、空間内の測定キャリッジの軌跡は、各測定点に対する慣性測定システムの記録された値の北ベース座標系に対する絶対角度差(ロール角、ヨー角及びピッチ角)から計算される。この測定された実軌道位置軌跡と目標軌道位置軌跡との差は、絶対軌道位置誤差をもたらす。
【0018】
しかしながらまた、慣性測定システムの代わりに、残留誤差は、後続の3点検査弦の測定値から計算することもできる。デジタルフィルタにより、弦測定の近似逆伝達関数を形成し(例えば、西独国特許第103 37 976号明細書参照)、測定値に適用され、従って実際の誤差履歴に逆算される。次に、この誤差履歴の経過に基づいて、軌道誤差が外挿され、後方の測定キャリッジにおける作業測定弦の後端における残留誤差が決定される。外挿は、例えば、正弦関数又は最小二乗法により計算された高次の多項式を介して行なうことができる。
【0019】
本発明の利点は、改善された軌道位置及びそれにより得られた長い耐久性にある。これにより、必要な保守作業の間のサイクルを実質的に延長することができ、これが、かなりのコストを削減する。他方で、作業中の自動的な上りスロープ設定及び下りスロープ設定と修正入力の排除により、操作員がかなり負荷を軽減されることが利点として言及されるべきである。別の利点は、これにより保証される自動的に達成されるより高い軌道位置品質及びヒューマンエラーファクタの排除である。
【0020】
図面には、本発明の対象が、模範的に概略的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】軌道タンピング機械の概略側面図
図2】公知の3点測定システム及びINSユニットを有する本発明によるシステムにおける状況を示すグラフ
図3】軌道位置誤差の残っていない理想的な場合の3点法の図
図4】システムへのフィードバックがある軌道位置誤差が残っている時の3点法の図
図5】軌道タンピング機械による補正前後の軌道位置誤差の典型的な経過
図6】自動的に制御される開始スロープを説明するための概略図
図7】自動的に制御される終了スロープを説明するための概略図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明による方法を実行するための軌道タンピング機械を示す。軌道タンピング機械6には、トレーラ7が連結されている。軌道タンピング機械6は、タンピングユニット5を備えている。持上げ整正ユニット8により、バラスト道床内のその位置に関して補正すべき軌道11が、目標軌道位置に持ち上げられて整正される。軌道タンピング機械6の下に、3つの測定キャリッジA,B,Cとその間に張設された弦9、例えばスチール弦を有する3点作業測定システムが設けられている。測定キャリッジBにおいて、センサMが、高さ方向及び横方向の弦9の変位を測定する。弦9は、長さlを有し、弦部分a及びbに分割され、その間に測定キャリッジBが配置されている。
【0023】
検査測定のため、トレーラ7において、検査弦10を測定キャリッジEとCの間に張設することができる。測定キャリッジDにおいて、更にまたはセンサMにより高さ方向及び横方向の変位が測定される。検査測定弦の長さは、l’であり、これは、弦部分a’及びb’を有する。fは、測定キャリッジEとCの間に張設された検査弦10による測定時の測定キャリッジDの位置での残留誤差を示す。この場合、絶対残留誤差は直接的に測定することができないので、タンピング作業後の軌道の残留誤差Kの決定は、測定に基づく外挿により行なう必要がある。
【0024】
慣性測定システムINSを有する本発明による好ましい実施形態の場合、測定キャリッジE及びDは省略される。慣性測定システムINSは、タンピング機械の補正作業後の軌道の位置を記録する。測定キャリッジC(1つの軸を有する)の箇所において、4輪INS測定キャリッジINSが構築される。一般に、Kは、決定された残留誤差を表す。Kh(INS)は、慣性測定システムにより決定された残留誤差を表す。
【0025】
図2は、上のグラフに、3点弦、即ち測定キャリッジC,D,Eを有する検査測定システムの実施時の、測定された残留誤差fを弧長sの関数として概略的に示す。この場合、弦10は、測定キャリッジEとCの間に張設されている。即ち、軌道に沿って移動する軌道タンピング機械(6)の作業中に、測定キャリッジDにおいてそれぞれ最後に測定された残留誤差が測定される。これは、測定キャリッジCにおける後方の弦端と、測定キャリッジDにおいて測定された残留誤差との間に、長さb’の距離があることを意味する。これは、通常の場合、測定システムの構成に応じて5~8mである。これは、測定キャリッジDにおいて記録された残留誤差-この残留誤差は、検査レコーダに示される-と、測定キャリッジCにおける現在の残留誤差との間に、まだ記録されてないが既に不正確な長さb’の区間が位置することを意味する。操作員が測定キャリッジCにおける実際の残留誤差を修正したい場合、操作員は、記録された誤差形式から推定量を外挿する必要がある。これは困難であり、修正の精度は、操作員の経験と直感に依存する。
【0026】
図2の中央のグラフでは、これが、測定キャリッジDとCの間の破線により示される。この破線を、操作員は、過去の曲線経過から外挿し、仮定した修正値Kh(C)により測定キャリッジCにおける後方の弦端の位置を修正する。
【0027】
図2の下のグラフは、慣性測定システムINSを有する本発明による実施形態における状況を示す。コンピュータ(R)は、予め設定した軌道目標位置(1)と、測定システムにより記録された実位置との間の差から残留誤差(K)を計算し、測定キャリッジCにおける後方の弦端が軌道目標位置1上に誘導されるように、3点作業測定システムの測定キャリッジCにおける後方の弦端の位置を継続的に補正する。慣性測定システムINSが、測定キャリッジA,B及びCを有する軌道タンピング機械6の3点作業測定システムの後方の測定キャリッジCに構築されている場合、残留誤差は、測定システムの測定値の軌道目標位置1との比較により直接的に決定することができる。これにより、測定キャリッジCにおける後方の弦端の位置は、修正値Kh(n)により直接的に軌道目標位置1上に誘導することができる。この場合、軌道目標位置1上の測定キャリッジCにおける後方の弦端の位置の誘導は、好ましくはコンピュータR内で仮想的に行なわれるが、適当なアクチュエータにより測定キャリッジCにおいて直接的に機械的に行なうこともできる。
【0028】
図3は、3点測定システムの理想的な機能性を概略的に示す。軌道目標位置1及び不正確な軌道実位置2が略示されている。予備測定により、目標位置と実位置の間の偏差Kが決定され、軌道タンピング機械6のコンピュータRに引き渡された。これにより、コンピュータRは、補償計算により、一方の弦端を、仮想的に測定キャリッジCにおける軌道目標位置上に誘導することができる。但し、実際的に、弦点は、不正確な実軌道点C’上に存在する。測定キャリッジAにおける他方の弦端は、既に補正された、ここでは理想的に図示された正確な軌道1上に存在する。既知の軌道目標ジオメトリから、コンピュータRは、軌道目標正矢f(軌道の横方向用)もしくは軌道目標縦方向高さ(軌道の持上げ用)を計算する。fは、測定された正矢もしくは縦方向高さである。機械の持上げ整正ユニット8は、測定された実正矢fもしくは実縦方向高さが計算された目標値fに一致し、軌道目標位置1にもたらされるように、軌道を修正する。即ち、軌道は、値Kの分だけ修正される。理論的に、システムは、エラーなく作動する。
【0029】
図4は、3点作業測定システムの実際の機能性を概略的に示す。しかしながら理想的なシステム(図3)とは異なり、測定キャリッジAの後方の弦端は、軌道目標位置1上に存在するのではなく、残留誤差K(点A”)の分だけずれている。測定キャリッジA”,B”,Cにおける弦の不正確なこの位置のため、軌道位置の不正確な補正が行なわれる。従って、残留誤差Kにより背後で大きすぎる実正矢もしくは実縦方向高さが決定されるので、持上げ整正箇所もしくは測定キャリッジB,B”には、残留誤差Fが残っている。まさにこれら誤差は、本発明による方法により回避される。
【0030】
図5は、タンピング前の軌道誤差Lh12(実線)とタンピング後の軌道誤差Lh13(破線)の概略的な経過を示す。典型的に、誤差波長は、10~15mの範囲内にある。誤差の振幅は、区間速度に応じて2~5mmである。グラフからわかるように、従来技術に従った保線機械による作業は、同様の誤差経過の場合に約30~50%の軌道誤差の改善しかもたらさない。
【0031】
図6は、開始スロープ14の自動誘導の計算及び経過を概略的に図示する。スロープは、軌道誤差Kv0の開始点Sからスロープ長さLRAの直線をゼロラインに対して引くことにより形成される。測定キャリッジCにおける後方の弦端の長さは、開始スロープlRAを形成するために、必要な軌道修正Kv(s)が所定の移動区間の後のスロープ終了まで連続的に増加するように、作業開始S時のゼロ補正から軌道目標位置1に向かって自動的に誘導される。整正及び持上げ値がゆっくりと増加し始め、急激な修正が導入されないように、測定キャリッジCにおける弦の後端(弦長さl=a+bの弦部分a,b)は、測定キャリッジBで決定された整正及び持上げ値が設定されたスロープに応じてゆっくりと増加するように、(仮想的に)誘導される。開始点で、補正箇所Bにおける目標値が、ゼロ、即ちゼロ補正を与えられる。Bにおいて目標値がゼロになるように、後方の弦端は、コンピュータRにより算術的に値K上に位置する必要がある。後方の弦端Cは、作業が進むにつれて曲線Kh(n-a)上に誘導される。この場合、nは、修正箇所Bのそれぞれの位置である。例えば弦が測定キャリッジA’,B’,C’の記入した位置に存在する場合、後方の弦端C’の修正値Kh(n-a)は、持上げ整正システムB’の位置が正確にスロープの直線上に誘導されるように計算される。軌道は、軌道がスロープ線上に位置するように、値Kfnにより補正される。スロープの端部で、例えば修正Kfeが実行される。更なる作業において、3点法で企図されるように、後方の弦端Cと前方の弦端Aが目標軌道線(ここではゼロライン)上に誘導される。スロープの終了後、本発明によれば、慣性測定システムINSにより後方の弦端は、残留誤差を修正されるように(Kh(INS))更に誘導される。
【0032】
算術的に、後方の弦端Cは,以下の曲線上に誘導することができる:
【数1】
【0033】
図7は、終了スロープ17の自動誘導の計算及び経過を概略的に図示する。測定キャリッジAにおける弦端の位置は、終了スロープIREを形成するため、必要な軌道修正Kv(s)が所定の移動区間にわたって連続的に減少するように、軌道目標位置1から作業終了時のゼロ補正まで誘導されるKv(n+b)。スロープは、開始点Sのゼロラインから軌道誤差KvEまでスロープ長さLREの直線を引くことによって形成される。整正及び持上げ値がゆっくりと減少するように、弦の前端A(弦長さl=a+bの弦部分a,b)は、Bにおいて得られた整正及び持上げ値ゆっくりとスロープに応じて減少するように誘導される。終了スロープ17の開始点Sでは、前方及び後方の弦端がゼロライン上に存在する。弦が例えば測定キャリッジA’,B’,C’での位置ある場合、前方の弦端は、B’がスロープ線17上に位置するように、線Kv(n+b)上に位置する必要がある。スロープの端部(作業終了)で、B”が直接的に軌道誤差KvE上に存在し、後方の弦端C”がゼロライン上に存在し、前方の弦端A”が線K(lRE+b)上に存在し、もはや持上げもしくは整正過程に至らない。軌道は、正確に補正された最後の軌道位置Sからスロープ経過17を介してスロープの端部に存在する軌道誤差KvEに連続的に移行した。
【0034】
算術的に、前方の弦端Aは、以下の曲線上に誘導することができる:
【数2】
【0035】
慣性測定システムINSによる後方の弦端Cの残留誤差修正は、スロープSの開始で終了するが、それは、さもなければ、所望の適合曲線(慣性測定システムINSに対して残留誤差のように作用する)が、慣性測定システムINSによって補正されるからである。
【0036】
スロープに対して示した経過は、軌道の横方向位置の補正のためにここでは概略的に示されている。軌道の持上げについても同様である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7