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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-23
(45)【発行日】2022-08-31
(54)【発明の名称】水分検知ブリーダー材料
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/00 20060101AFI20220824BHJP
   G01N 31/22 20060101ALI20220824BHJP
   D01F 9/08 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G01N31/00 B
G01N31/22 121G
D01F9/08 Z
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021057301
(22)【出願日】2021-03-30
(62)【分割の表示】P 2016221300の分割
【原出願日】2016-11-14
(65)【公開番号】P2021113813
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】15/008,302
(32)【優先日】2016-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ミーガン・エヌ・ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・エイチ・レジスター
(72)【発明者】
【氏名】メレディス・エム・バード
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-512808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0095457(US,A1)
【文献】米国特許第04909179(US,A)
【文献】米国特許第03173880(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0330832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/00
G01N 31/22
D01F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分吸収標識材料を含むガラス繊維材料であって、水分吸収標識材料が、水分に曝露されたとき、第1の色から第2の色への色変化を生じ、色変化は、温度450°F(232℃)未満において熱的に不可逆である、ガラス繊維材料と、
ガラス繊維材料に直接連結された多孔質剥離フィルム層と、
ガラス繊維材料の上の通気層と、を含み、
水分吸収標識材料が、ハロゲン化金属材料を含み、
ハロゲン化金属材料が、シリカゲルの構成成分である、水分検知ブリーダー材料システム。
【請求項2】
ハロゲン化金属材料が、塩化物材料、臭化物材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の水分検知ブリーダー材料システム。
【請求項3】
ハロゲン化金属材料が、ニッケル、コバルト、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の水分検知ブリーダー材料システム。
【請求項4】
水分吸収標識材料の領域が、意図される複合材料補修領域よりも広いか、または同一の広がりを持つ、請求項1に記載の水分検知ブリーダー材料システム。
【請求項5】
水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料であって、水分吸収標識材料が、水分に曝露されたとき、第1の色から第2の色への色変化を生じ、色変化は、温度450°F(232℃)未満において熱的に不可逆である、水分検知ブリーダー材料と、
水分検知ブリーダー材料に直接連結された多孔質剥離フィルム層と、
水分検知ブリーダー材料の上の通気層と、を含み、
水分吸収標識材料が、ハロゲン化金属材料を含み、
ハロゲン化金属材料が、シリカゲルの構成成分である、装置。
【請求項6】
ハロゲン化金属材料が、塩化物材料、臭化物材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の装置。
【請求項7】
水分吸収標識材料の領域が、意図される複合材料補修領域よりも広いか、または同一の広がりを持つ、請求項に記載の装置。
【請求項8】
水分吸収標識材料が、ブリーダークロス、ブリーダーマット、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の装置。
【請求項9】
通気層が、水分検知ブリーダー材料の第1の面に連結され、多孔質剥離フィルム層が、水分検知ブリーダー材料の、第1の面とは反対側の第2の面に直接連結されている、請求項に記載の装置。
【請求項10】
固体剥離フィルム層をさらに含み、水分検知ブリーダー材料が、多孔質剥離フィルム層と固体剥離フィルム層との間にある、請求項に記載の装置。
【請求項11】
水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料と、
複合材料補修領域を含む部分であって、水分吸収標識材料の領域が、複合材料補修領域よりも広いか、または同一の広がりを持つ、部分と、
水分検知ブリーダー材料と複合材料補修領域との間にある多孔質剥離フィルム層と、を含み、
水分吸収標識材料が、ハロゲン化金属材料を含み、
ハロゲン化金属材料が、シリカゲルの構成成分である、装置。
【請求項12】
ハロゲン化金属材料が、塩化物材料、臭化物材料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ハロゲン化金属材料が、ニッケル、コバルト、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
水分吸収標識材料が、ブリーダークロス、ブリーダーマット、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して水分検知ブリーダー材料に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料部品の補修の間、水分の存在は、複合材料部品に対する補修材料の接着を阻害するなど、様々な問題と関連する場合がある。補修領域は、典型的には補修の前に乾燥され、水分の移入を防ぐために手段が講じられる。乾燥の後、水分の移入を検知することが難しい場合がある。そのため、もしも手順が行われ補修が申し分のないものであった場合、典型的には、補修工程の間水分の移入はなかったと仮定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態において、本方法は複数の層を複合材料補修領域に適用する段階を含む。複数の層は、水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料を含む。水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収を表示している。本方法は、バギングフィルムを複合材料補修領域に適用する段階を含む。バギングフィルムは流体界面を含み、本方法は、流体界面に減圧(例えば、周囲圧力未満の圧力)を適用する段階を含む、水分除去工程を実施する段階を含む。本方法は、水分検知ブリーダー材料を曝露するためにバギングフィルムを取り除く段階も含む。本方法は、色の変化が起こったか否かを決定するために曝露された水分検知ブリーダー材料を評価する段階をさらに含む。
【0004】
他の特定の実施形態において、本方法は複合材料補修配合物を複合材料補修領域に適用する段階を含む。複合材料補修配合物を適用した後、本方法は、複数の層を複合材料補修領域に適用する段階を含む。複数の層は、水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料を含む。水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収を表示している。本方法は、バギングフィルムを複合材料補修領域に適用する段階、複合材料補修配合物を加熱する段階を含む硬化工程を実施する段階、および水分検知ブリーダー材料を曝露するためにバギングフィルムを取り除く段階も含む。本方法は、色の変化が起こったか否かを決定するために曝露された水分検知ブリーダー材料を評価する段階をさらに含む。
【0005】
他の特定の実施形態において、水分検知ブリーダー材料は、ガラス繊維材料および水分吸収標識材料を含む。水分吸収標識材料は、水分に曝露されたとき、第1の色から第2の色への色変化を起こす。色変化は、温度450°F未満では熱的に不可逆である。
【0006】
記載される特徴、機能、および利点は、様々な実施形態において独立に実現され得るか、または他の実施形態において組み合わされてよく、そのさらなる詳細が以下の記載および図面に関して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による、水分検知ブリーダー材料の複合材料補修領域への適用を含む、(複合材料補修工程と関連する)水分除去工程を説明する図である。
図2】一実施形態による、水分検知ブリーダー材料の複合材料補修領域への適用を含む、(複合材料補修工程と関連する)硬化工程を説明する図である。
図3】水分検知ブリーダー材料を用いた水分除去工程(複合材料補修工程に関連する)を評価する方法の特定の実施形態を説明するフローチャートである。
図4】水分検知ブリーダー材料を用いた硬化工程(複合材料補修工程に関連する)を評価する方法の特定の実施形態を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、複合材料部品の補修に関連する1つまたは複数の工程の間に水分が吸収されたか否かを決定するために使用され得る水分検知ブリーダー材料(例えば、織布を含むブリーダークロス、または不織布を含むブリーダーマット)について説明する。例えば、本開示の水分検知ブリーダー材料は、水分除去工程が十分なものであったか否か、および/または硬化工程が十分なものであったか否かを決定するために使用され得る。本開示の水分検知ブリーダー材料は、水分吸収標識材料を含む。第1の色(例えば、白色)から第2の色(例えば、青色などの非白色)への水分吸収標識材料の色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である。
【0009】
場合によっては、本開示の水分検知ブリーダー材料は、図1に関連して本明細書において説明されかつさらに記載されるように、(複合材料補修工程に関連する)水分除去工程の有効性を評価するために使用され得る。他の場合には、本開示の水分検知ブリーダー材料は、図2に関連して本明細書において説明されかつさらに記載されるように、(複合材料補修工程に関連する)硬化工程の有効性を評価するために使用され得る。水分除去工程の場合において、水分吸収標識材料による水分吸収は、1つまたは複数の後の複合材料補修工程を実施する前に、水分の十分な除去を表示する。硬化工程の場合において、水分吸収標識材料による水分吸収は、複合材料部品を通じた水分移入、および/または減圧バギングの漏れからの湿度によりもたらされる水分の存在を表示する。硬化工程の間の水分の存在により(例えば、ラミネートパッチまたは結合された接着ジョイント中の間隙率に関連して)補修が不十分なものとなり得るので、色変化は不満足な複合材料補修工程の表示となり得る。
【0010】
図1を参照すると、図100は、水分検知ブリーダー材料102の(複合材料部品106の)複合材料補修領域104への適用を含む、(複合材料補修工程に関連する)水分除去工程の特定の実施形態を説明する。水分検知ブリーダー材料102は、水分吸収標識材料を含み、水分吸収標識材料の第1の色(例えば、白色)から第2の色(例えば、青色などの非白色)への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収を表示する。例えば、水分検知ブリーダー材料102は、ガラス繊維材料を含んでよく、水分吸収標識材料は、ガラス繊維材料の構成成分であってよい(例えば、ガラス繊維材料中に分散される)。本明細書においてさらに説明されるように、色変化は、満足のいく水分除去工程の表示であってよい。
【0011】
図1に示される特定の実施形態において、複数の層が複合材料補修領域104に適用される。図1の例において、複数の層は、水分検知ブリーダー材料102と複合材料補修領域104との間に多孔質剥離フィルム層108(例えば、有孔剥離フィルム)を含む。複数の層は、水分検知ブリーダー材料102の上にあるヒートブランケット層110およびヒートブランケット層110の上にある通気層112も含む。他の場合には、複数の層は、より少ない層またはより多い層を含んでよい。図1が、水分除去工程のための熱源がヒートブランケット層110である例を示しているのに対して、他の場合には、熱源はオーブンまたはオートクレーブであってよい。そのような場合には、ヒートブランケット層110は、複数の層から省略することができる。少なくとも1つの流体界面を含むバギングフィルム114が、複合材料補修領域104に適用され得る。図1の実施例において、バギングフィルム114が、複合材料補修領域104に対して減圧(例えば、周囲圧力未満の圧力)の適用を可能にする流体界面116(図1において、「減圧(Vacuum Out)」で示される)を含み、複合材料補修領域104から水分を除去するための水分経路118を提供する。図1に説明される特定の実施形態において、第2の流体界面120(図1において、「減圧モニター」で示される)が、水分除去工程の間の減圧の監視を可能にし得る。
【0012】
図1は、複合材料補修領域104上のバギングフィルム114(並びにバギングフィルム114下方の複数の層)を固定するためにシーラントテープ122が用いられる特定の例を説明する。他の場合には、代替的なおよび/または追加の密封方法が、水分除去のために複合材料補修領域104に減圧を適用することを可能にするために、バギングフィルム114を複合材料部品106に密封するために使用され得る。複合材料補修領域104に対する複数の層の適用の後、流体界面116に減圧を適用する段階を含む水分除去工程が実施され得る。水分除去工程を実施した後、水分検知ブリーダー材料102を曝露するために、バギングフィルム114は取り外されてよい。曝露された水分検知ブリーダー材料102は、色変化が生じたか否かを決定するために評価され得る。色変化は水分が水分検知ブリーダー材料102を通過したことを示すので、色変化が生じたとき、水分除去工程は十分なものであったとみなされてよい。図2に関連して本明細書において説明され、さらに記載されるように、硬化工程は、色変化に基づき水分除去工程が成功したことが確認された後、実施され得る。或いは、色変化が起こらないことは、水分除去工程が十分なものではなかったことに関連付けられ得る。なぜなら、色変化が起こらないことは、水分が水分検知ブリーダー材料102を通過しなかったことを示すためである。この場合において、色の変化が起こらなかったことが確認された後、第2のまたは追加の水分除去工程が実施されてよい。
【0013】
特定の実施形態において、水分検知ブリーダークロス層102の水分吸収標識材料の色変化は、水分除去工程の作業条件に関連する温度範囲内で熱的に不可逆である。例えば、色変化は、温度450°F未満では熱的に不可逆であり得る。水分吸収標識材料は、塩化物材料、臭化物材料、またはそれらの組み合わせなどの、金属ハロゲン化物材料を含んでよい(例えば、金属はニッケル、コバルト、またはそれらの組み合わせを含む)。説明のための、非制限的な例として、数ある選択肢の中で、ニッケル(II)臭化物、コバルト(II)塩化物、コバルト(II)臭化物、(またはそれらの組み合わせ)が挙げられる。場合によっては、金属ハロゲン化物材料は、シリカゲルの構成成分であってよい(例えば、活性化シリカゲル内に分散される)。
【0014】
このように、図1は、複合材料補修工程の硬化工程の前に行われ得る水分除去工程の例を示す(図2に関連してさらに本明細書に記載される)。水分除去工程は、水分に曝露されたとき色が第1の色から第2の色に変化する水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料の使用を含む。水分除去工程の後、水分に曝露した結果として水分吸収標識材料の色が変わったか否かを決定するために。水分検知ブリーダー材料は評価され得る。第1の色から第2の色への水分吸収標識材料の色の変化は、水分除去工程の間の水分吸収を表示し得、水分除去工程が十分なものであったことを表し、一方で色の変化が無いことは、不十分な水分除去工程の表示であり得る。
【0015】
図2を参照すると、図200は、(複合材料部品106の)複合材料補修領域104への水分検知ブリーダー材料102の適用を含む、(複合材料補修工程に関連する)硬化工程の特定の実施形態を説明する。図2は、複合材料補修レイアップの他の層を適用する段階の前に、複合材料補修配合物202(例えば、「プリプレグ材料」とも呼ばれる、予め含浸された材料)が、複合材料補修領域104に適用されることを説明する。硬化工程は、図1に関して本明細書に記載されるように、十分な水分除去工程の後、実施され得る。或いは、水分検知ブリーダー材料102は、水分除去工程に関してのみ、硬化工程に関してのみ、使用され得る。図1の例のように、図2の水分検知ブリーダー材料102は、水分に曝露されたとき、色を第1の色から第2の色に変える水分吸収標識材料を含む。硬化工程の後、水分検知ブリーダー材料102は、水分への曝露の結果として、水分吸収標識材料が色を変えたか否かを決定するために、評価され得る。第1の色から第2の色への色変化は、硬化工程の間の水分の存在を表示し、不十分な硬化工程を表し、一方で色変化が無いことは、十分な硬化工程を表示する。
【0016】
複合材料補修配合物202は、1つまたは複数の揮発性成分を含む場合がある。硬化工程の間、複合材料補修配合物202が(例えば、ヒートブランケット層110を介して、またはオーブンまたはオートクレーブなど他の熱源を介して)加熱されてよく、揮発成分が流体界面116を介して、減圧(例えば、周囲圧力未満の圧力)の適用によって、除去されてよい。場合によっては、揮発成分に対する水分検知ブリーダー材料102の曝露は、第1の色から第2の色への色変化をもたらさない場合がある。特定の実施形態において、水分吸収標識材料の色変化は、硬化工程の工程条件に関連する温度範囲内で熱的に不可逆である。例えば、色変化は、複合材料補修配合物202に対する熱の適用の結果である最大温度を表し得る温度450°F未満で熱的に不可逆であってよい。例として、水分吸収標識材料は、塩化物材料、臭化物材料、またはそれらの組み合わせなど、ハロゲン化金属材料を含んでよい(例えば、金属は、ニッケル、コバルト、またはそれらの組み合わせを含む)。説明のための、非制限的な例として、数ある選択肢の中で、ニッケル(II)臭化物、コバルト(II)塩化物、コバルト(II)臭化物、(またはそれらの組み合わせ)が挙げられる。場合によっては、金属ハロゲン化物材料は、シリカゲルの構成成分であってよい(例えば、活性化シリカゲル内に分散される)。
【0017】
図2は、複合材料補修配合物202が複合材料補修領域104に適用された後、複数の層が適用され得ることを説明する。図2の例において、複数の層は、水分検知ブリーダー材料102と(複合材料補修配合物202を含む)複合材料補修領域104との間に、多孔質剥離フィルム層108(例えば、有孔剥離フィルム)を含む。複数の層は、水分検知ブリーダー材料102の上の固体剥離フィルム層204、固体剥離フィルム層204の上のヒートブランケット層110、およびヒートブランケット層110の上の通気層112も含む。他の場合において、複数の層は、より少ない数の層またはより多い数の層を含んでよい。図2が、硬化工程のための熱源がヒートブランケット層110である例を説明する一方で、他の場合には熱源はオーブンまたはオートクレーブであってよい。そのような場合、ヒートブランケット層110は、複数の層から除外されてよい。(流体界面116を含む)バギングフィルム114が、複数の層の適用の後、複合材料補修領域104に適用され得、バギングフィルム114は、(例えば、シーラントテープ122を用いて)複合材料補修領域104を密封してよい。
【0018】
複数の層を複合材料補修領域104に適用した後、硬化工程が実施されてよく、硬化工程は流体界面116に減圧を適用する段階および(例えば、ヒートブランケット層110を用いて、または他の熱源を用いて)加熱する段階を含む。硬化工程を実施した後、バギングフィルム114は、水分検知ブリーダー材料102を曝露するために取り除かれてよい。曝露された水分検知ブリーダー材料102は、色変化が生じたか否かを決定するために評価されてよい。色変化は、硬化工程の間の1つまたは複数の場所からの水分移入(図2において「水分移入」および「バギング漏れからの湿度を有する空気」)、または硬化工程前の乾燥に効果がなかったことを表示し得る。結果的に、色変化は、硬化工程が不十分な硬化工程であったことを示し得る。或いは、色変化がないことは、満足のいく硬化工程に関連付けることができる。
【0019】
このように、図2は、複合材料補修工程に関連する硬化工程の例を示す。硬化工程は、水分に曝露されたとき第1の色から第2の色へと色を変える水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料の使用を含む。硬化工程の後、水分検知ブリーダー材料は、水分吸収標識材料が色を変えたか否かを決定するために、評価されてよい。色変化は、硬化工程に関連付けられる温度において熱的に不可逆であってよい。高温条件の下で色が戻る乾燥剤容器とは違って、本明細書の水分吸収標識材料は、硬化工程の間水分が存在していたか否かを決定するために、色変化を保持し得る。第1の色から第2の色への色変化は、硬化工程の間の水分侵入の表示であり、不満足な硬化工程を示し、一方で色変化が無いことは満足のいく硬化工程を示している。
【0020】
図3は、水分検知ブリーダー材料を用いる水分除去工程を評価する方法300の特定の実施形態を説明する。水分検知ブリーダー材料は、水分吸収標識材料を含み、水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である。色変化は、水分除去工程が十分に行われたことの表示であり得る。
【0021】
方法300は、302において、複合材料補修領域に複数の層を適用する段階を含む。複数の層は、水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料を含む。水分吸収標識材料の第1の色(例えば、白色)から第2の色(例えば、青色などの非白色)への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である。本明細書にさらに記載されるように、場合によっては、複数の層は、水分検知ブリーダー材料と複合材料補修領域との間の多孔質剥離フィルム層、水分検知ブリーダー材料の上のヒートブランケット層、およびヒートブランケット層の上の通気層をさらに含み得る。本明細書にさらに記載されるように、場合によっては、ヒートブランケット層110は、水分除去工程のための熱源として働き得る。他の場合には、熱源はオーブンまたはオートクレーブであってよく、ヒートブランケット層110は複数の層から除外され得る。例えば、図1を参照すると、水分検知ブリーダー材料102を含む複数の層が、複合材料補修領域104に適用され得る。図1は、複数の層が多孔質剥離フィルム層108、ヒートブランケット層110、および通気層112も含む例をさらに説明する。
【0022】
方法300は、304において、複合材料補修領域にバギングフィルムを適用する段階を含む。バギングフィルムは、水分除去工程の間、複合材料補修領域に対する減圧(例えば、周囲圧力未満の圧力)の適用を可能にする流体界面を含む。例えば、図1を参照すると、バギングフィルム114は、複合材料補修領域104に適用され得る。図1に示されるように、バギングフィルム114は、複合材料補修工程の水分除去工程の間、複合材料補修領域104から水分を除去するための水分経路118を提供する流体界面116(「減圧(Vacuum Out)」と示される)を含む
【0023】
方法300は、306において、流体界面に減圧を適用する段階を含む水分除去工程を実施する段階を含む。例えば、図1を参照すると、バギングフィルム114を(例えばシーラントテープ122を用いて)複合材料部品106に密封する段階の後、減圧(例えば、周囲圧力未満の圧力)が流体界面116に適用され得る。
【0024】
方法300は、308において、水分検知ブリーダー材料を曝露するためにバギングフィルムを取り除く段階を含む。例えば、図1を参照すると、水分除去工程を実施した後、バギングフィルム114は、水分検知ブリーダー材料102を曝露するために取り除かれてよい。
【0025】
方法300は、310において、色変化が生じたか否かを決定するために、曝露された水分検知ブリーダー材料を評価する段階を含む。水分吸収標識材料が第1の色から第2の色に色を変えたとき(水分表示材料による水分吸収の表示)、水分除去工程は、312において示されるように、満足のいく水分除去工程であるとみなされ得る。水分吸収標識材料が色を第1の色から第2の色に変えなかったとき、水分除去工程は、314において示されるように、不十分な水分除去工程とみなされ得る。
【0026】
したがって、図3は、水分検知ブリーダー材料を用いた水分除去工程の評価方法の特定の例を説明する。水分検知ブリーダー材料は、水分吸収標識材料を含み、水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である。水分検知ブリーダー材料は、水分除去工程の後に、色変化が生じたか否かを決定するために、試験され得る。色変化は、満足のいく水分除去工程の表示であり得る。
【0027】
図4は、水分検知ブリーダー材料を用いた硬化工程の評価方法400の特定の例を説明する。水分検知ブリーダー材料は、水分吸収標識材料を含み、水分吸収標識材料の第1の色(例えば、白色)から第2の色(例えば、青色などの非白色)への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である。色変化は、不十分な硬化工程の表示であり得る。
【0028】
方法400は、402において、複合材料補修領域に複合材料補修配合物を適用する段階を含む。例えば、図2を参照すると、複合材料補修配合物202は、複合材料補修領域104に適用され得る。
【0029】
方法400は、404において、複合材料補修領域に複数の層を適用する段階を含む。複数の層は、水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料を含む。水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である。本明細書においてさらに記載されるように、場合によっては、複数の層は、水分検知ブリーダー材料と複合材料補修領域との間の多孔質剥離フィルム層、水分検知ブリーダー材料の上の固体剥離フィルム層、固体剥離フィルム層の上のヒートブランケット層、およびヒートブランケット層の上の通気層をさらに含み得る。本明細書でさらに記載されるように、場合によっては、ヒートブランケット層110は、硬化工程のための熱源に相当し得る。他の場合には、熱源はオーブンまたはオートクレーブであってよく、ヒートブランケット層110は複数の層から除外され得る。例えば、図2を参照すると、水分検知ブリーダー材料102を含む複数の層が、複合材料補修領域104に適用され得る。図2は、複数の層が、(複合材料補修領域104に適用された複合材料補修配合物202の上の)多孔質剥離フィルム層108、固体剥離フィルム層204、ヒートブランケット層110、および通気層112も含む例をさらに説明する。他の場合には、複数の層は、より少ない層を含んでよく、またはより多い層を含んでよい。
【0030】
方法400は、406において、複合材料補修領域にバギングフィルムを適用する段階を含む。例えば、図2を参照すると、バギングフィルム114は、複合材料補修領域104に適用され得る。図2に示されるように、バギングフィルム114は、複合材料部品106内部に水分が移入する場合に、および/またはバギング漏れの結果水分が移入する場合に、水分を除去するための水分経路118を与えるために、流体界面116(「減圧」と示される)を含む。
【0031】
方法400は、408において、複合材料補修配合物を加熱する段階を含む硬化工程を実施する段階を含む。例えば、図2を参照すると、硬化工程が実施されてよく、硬化工程は複合材料補修配合物202を加熱する段階を含む(例えば、ヒートブランケット層110を用いて熱を与えることによって)。図2の例では示されていないが、他の場合において、熱はオーブンまたはオートクレーブによって適用されてよく、ヒートブランケット層110は複数の層に含まれなくてよい。
【0032】
方法400は、複合材料補修配合物の硬化の後、410において、水分検知ブリーダー材料を曝露するためバギングフィルムを取り除く段階を含む。例えば、図2を参照すると、バギングフィルム114は、水分検知ブリーダー材料102を曝露するため取り除かれてよい。
【0033】
方法400は、412において、色変化が生じたか否かを決定するために曝露された水分検知ブリーダー材料を評価する段階を含む。水分吸収標識材料の色が第2の色に変化しないとき(硬化工程の間水分の侵入がなかったことを示す)、414に示されるように、硬化工程は満足のいく複合材料補修工程とみなされ得る。水分吸収標識材料の色が第2の色に変化したとき(硬化工程の間の水分の侵入を示す)、416に示されるように、硬化工程は不十分な複合材料補修工程とみなされ得る。
【0034】
図4は、水分検知ブリーダー材料を用いた硬化工程を評価する方法の特定の例を説明する。水分検知ブリーダー材料は水分吸収標識材料を含み、水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化は、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である。色変化は、硬化工程の間の水分の存在を表すことができ(例えば、複合材料部品内部への水分移入、バギング漏れなどから生じる)、不十分な硬化工程を示す。
【0035】
本明細書に記載される実施形態の説明は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を与えることを意図している。説明は、本明細書に記載される構造または方法を用いる装置およびシステムの構成要素および特徴の全てを完全に記載するものとして働くことを意図されていない。本開示を参照するとき、他の多くの実施形態が、当業者には明白だろう。他の実施形態は、構造および論理の置換および変更が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得るように、用いられてよく、本開示から導かれてよい。例えば、方法における段階は、図に示されるものとは異なる順序で行われてよく、方法における1つまたは複数の段階が省略されてよい。したがって、本開示および図面は、限定的であるというよりむしろ説明であるとみなされる。
【0036】
さらに、特定の実施形態が本明細書において説明され、開示されているが、同じまたは類似の結果を実現するために設計された任意の後続の配置が、示された特定の実施形態で置換され得ることは明らかである。本開示は、様々な実施形態の任意のかつ全ての後続の適合または変更を含むことが意図されている。上述の実施形態の組み合わせ、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、本明細書を参照するとき当業者には明らかであるだろう。
【0037】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0038】
条項1
複合材料修領域に複数の層を適用する段階であって、複数の層が、水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料を含み、水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化が、水分吸収標識材料による水分吸収を表示する、段階と、
複合材料補修領域にバギングフィルムを適用する段階であって、バギングフィルムが流体界面を含む、段階と、
周囲圧力未満の圧力を流体界面に適用する段階を含む、水分除去工程を実施する段階と、
水分検知ブリーダー材料を曝露するためバギングフィルムを取り除く段階と、
色変化が生じたか否かを決定するために曝露された水分検知ブリーダー材料を評価する段階と、
を含む方法。
【0039】
条項2
色変化が生じたことを決定した後、硬化工程を実施する段階をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0040】
条項3
色変化が生じなかったことを決定した後、第2の水分除去工程を実施する段階をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0041】
条項4
複数の層が、
水分検知ブリーダー材料と複合材料補修領域との間の多孔質剥離フィルム層と、
水分検知ブリーダー材料の上の通気層と、をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0042】
条項5
色変化が、温度450°F未満において熱的に不可逆である、条項1に記載の方法。
【0043】
条項6
水分吸収標識材料が、ハロゲン化金属材料を含む、条項1に記載の方法。
【0044】
条項7
ハロゲン化金属材料が、シリカゲルの構成成分である、条項6に記載の方法。
【0045】
条項8
ハロゲン化金属材料が、塩化物材料、臭化物材料、またはそれらの組み合わせを含む、条項6に記載の方法。
【0046】
条項9
ハロゲン化金属材料が、ニッケル、コバルト、またはそれらの組み合わせを含む、条項6に記載の方法。
【0047】
条項10
複合材料補修領域に複合材料補修配合物を適用する段階と、
複合材料補修配合物を適用した後、複合材料補修領域に複数の層を適用する段階であって、複数の層が、水分吸収標識材料を含む水分検知ブリーダー材料を含み、水分吸収標識材料の第1の色から第2の色への色変化が、水分吸収標識材料による水分吸収の表示である、段階と、
複合材料補修領域にバギングフィルムを適用する段階と、
複合材料補修配合物を加熱する段階を含む硬化工程を実施する段階と、
水分検知ブリーダー材料を曝露するためにバギングフィルムを取り除く段階と、
色変化が起こったか否かを決定するために、曝露された水分検知ブリーダー材料を評価する段階と、
を含む方法。
【0048】
条項11
色変化が生じたとき、硬化工程の間水分の侵入が起こったことを決定する段階をさらに含む、条項10に記載の方法。
【0049】
条項12
複合材料補修配合物が、1つまたは複数の揮発性成分を含み、1つまたは複数の揮発成分に対する水分吸収標識材料の曝露が、第1の色から第2の色への色変化をもたらさない、条項10に記載の方法。
【0050】
条項13
複合材料補修配合物が、予め含浸された材料を含む、条項10に記載の方法。
【0051】
条項14
複数の層が、
水分検知ブリーダー材料と複合材料補修領域との間の多孔質剥離フィルム層と、
水分検知ブリーダー材料の上の固体剥離フィルム層と、
固体剥離フィルム層の上の通気層と、をさらに含む、条項10に記載の方法。
【0052】
条項15
色変化が、しきい値温度450°F未満では熱的に不可逆であり、複合材料補修配合物が、しきい値温度を超えない硬化温度に加熱される、条項10に記載の方法。
【0053】
条項16
ガラス繊維材料と、
水分吸収標識材料と
を含み、
水分吸収標識材料が、水分に曝露されたとき、第1の色から第2の色への色変化を生じ、色変化は、温度450°F未満では熱的に不可逆である、水分検知ブリーダー材料。
【0054】
条項17
水分吸収標識材料が、ハロゲン化金属材料を含む、条項16に記載の水分検知ブリーダー材料。
【0055】
条項18
ハロゲン化金属材料が、シリカゲルの構成成分である、条項17に記載の水分検知ブリーダー材料。
【0056】
条項19
ハロゲン化金属材料が、塩化物材料、臭化物材料、またはそれらの組み合わせを含む、条項17に記載の水分検知ブリーダー材料。
【0057】
条項20
ハロゲン化金属材料が、ニッケル、コバルト、またはそれらの混合物を含む、条項17に記載の水分検知ブリーダー材料。
【0058】
本開示の要約が、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという理解の下で、与えられる。さらに、上述の詳細な説明において、様々な特徴が、互いにグループ化され得、または本発明を簡素化するという目的で単一の実施形態で記載され得る。本開示は、請求項に記載の実施形態が、各請求項に明示されるものを超える、さらなる特徴を必要とするという意図を示すとは解釈されない。むしろ、これ以降の請求項は、請求項に記載される主題が、開示される実施形態の何れかの特徴の一部に関し得ることを示す。
【符号の説明】
【0059】
102 水分検知ブリーダー材料
104 複合材料補修領域
106 部品
108 多孔質剥離フィルム層
110 ヒートブランケット層
112 通気層
114 バギングフィルム
116 減圧
118 水分経路
120 減圧モニター
122 シーラントテープ
202 複合材料補修配合物
204 固体剥離フィルム層
図1
図2
図3
図4